2019-015123
多重赤外バンドを検出するシステム及び方法
- 審判番号
- 2019-015123
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-143900外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2019年11月11日
- 審決日
- 2020年10月26日
- 公報発行日
- 2021年05月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ザ・ボーイング・カンパニー
- 【請求人代理人】園田・小林特許業務法人
- 分類
- P18 .121-Z (H01L)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
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結論
理由
目次 ▾ 10項目
第1 手続の経緯
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本願は、平成26年7月14日(パリ条約による優先権主張2013年7月15日 米国)の出願であって、その後の主な手続きの経緯は、以下のとおりである。
同年 9月12日 :意見書・手続補正書の提出
同年 6月26日付け:拒絶査定(同年7月9日送達)
第2 本願発明
本願の請求項1ないし10に係る発明は、令和元年11月11日付けの手続補正により補正された請求項1ないし10に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
「【請求項1】デュアルバンド赤外検出器であって、第1赤外波長バンドにのみ感応する第1吸収層と、合金を含むバリア層であって、続きを表示(全12行)前記合金が第1の割合のガリウムを有する、前記第1吸収層と連結した第1区域、前記合金が、前記第1の割合のガリウムとは異なる第2の割合のガリウムを有する、第2区域、及び、前記合金のガリウムの割合が前記第1の割合から前記第2の割合へと変遷する、前記第1区域と前記第2区域との間の階調部を含む、バリア層と、前記バリア層の前記第2区域と連結し、前記第1赤外波長バンドとは異なる第2赤外波長バンドにのみ感応する第2吸収層と、前記第1吸収層及び前記第2吸収層のうち一方と連結した界面層と、前記界面層と物理的に連結し、かつ前記第1吸収層及び前記第2吸収層と電気的に連結した読出しチップと、を備えており、第1の極性の第1バイアス電圧を前記第1吸収層に印加し、かつ、前記第1の極性とは逆の第2の極性の第2バイアス電圧を前記第2吸収層に印加することで、前記第1赤外波長バンド及び前記第2赤外波長バンドを検出することが可能であり、前記第1バイアス電圧と前記第2バイアス電圧の各々は500mVを下回る大きさを有する、デュアルバンド赤外検出器。」(なお、下線は、請求人が手続補正書において付したものである。)
第3 引用文献及び引用発明
1 引用文献に記載の事項
原査定の拒絶の理由において、引用文献1として引用された「E.Plis et al.,”Voltage Controllable dual-band response from InAs/GaSb strained layer superlattice detectors with nBn design”,ELECTRONICS LETTERS,Vol.47 No.2,p.133-134,[online],2011,[retrieved on 2018.06.04],Retrieved from the Internet:<URL:https://ieeexplore.ieee.org/document/5700018/> <DOI:10.1049/el.2010.3096>」(以下、「引用文献」という。)には、図面とともに、以下の記載がある(なお、翻訳は当審で作成した。また、下線は当審で付したものである。以下同様。)。
(1)「」(第1頁左欄)
(日本語訳
nBnで設計したInAs/GaSb歪層超格子検出器の電圧制御可能なデュアルバンド応答
E.Plis, S.S.Krishna, E.P.Smith, S.Johnson and S.Krishna
このレポートはnBnで設計したInAs/GaSb歪層超格子検出器を使った電圧制御可能な中波長赤外線(MWIR)および長波長赤外線(LWIR)の応答に関する報告である。順方向バイアス条件下ではMWIRキャリアが抽出され、逆方向バイアス条件下ではLWIRキャリアが抽出される。最大の比検出能力は(=5μm、Vb=+1Vの場合では)1.2×10 11Jones、また(=10μm、Vb=-1Vの場合では)1.2×1010Jonesであると計測された。)
(2)「」(左欄)
(日本語訳
序論:2つ以上の波長帯において赤外線放射(IR)を計測する能力は、物質の熱特性の識別や規定に関する様々なIR用途において望ましいものである。テルル化水銀カドミウム(MCT)および量子井戸型IR光検出器(QWIP)を基にした検出器は、このようなデュアルバンド用途に重要な技術である [1、2]。より大きな有効質量や最適化された発振器強度などInAs/GaSbタイプllの歪層超格子(SLS)材料システムの基本的な材料特性により、トンネル電流を減少させ、量子効率の向上が可能になる。InAs/GaSbのSLSを基にしたデュアルバンドの検出器については、これまでにいくつかの報告が公表されてきた。これには共通の接地層によって分けられた2つの「連続した」InAs/GaSbのSLSの光ダイオードを基にした従来のpin(接合)設計のデュアルカラーSLSカメラ [3、4] やnBnを設計したデュアルカラー検出器 [5]がある。前者はピクセルごとに複数の接点を必要とするため、焦平面アレイ(FPA)作製工程に関連する費用が増え、複雑性が増す。本文書では、MWIR/LWIRスペクトル帯(50%カットオフ~5.5および10.0μm)で動作するnBnを設計したデュアルバンドのInAs/GaSbのSLS検出器の光学的特性および電気的特性を示す。
図1 順方向バイアスおよび逆方向バイアスにおけるデュアルカラーの検出器のバンド図の略図
a 順方向バイアス
b 逆方向バイアス)
(3)「」(左欄ないし右欄)
(日本語訳
実験:本研究で調査したデバイスは固体ソースMBE VG-80システムによって、Teをドーピングしたエピレディ(100)GaSb基板上で成長した。nBnの検出器の構造では、同じ厚み(2.2μm)のMWIRのSLS吸収体およびLWIRのSLS吸収体をn型(1×1016cm-3)のAl0.2Ga0.8Sbバリア層で分け、n型(4×1016cm-3)のコンタクト層間に挿入した。LWIR(MWIR)のSLSの長さは、強制的なInSbインタフェースを伴う14MLのInAs/7MLのGaSb(10MLのInAs/10MLのGaSb)層から構成された。標準の光学フォトリソグラフィーを採用してデバイスを処理し、開口部が25から300μmまでの410×410μm四方のメサデバイスを規定した。n型のコンタクトには、Ti(500)/ Pt(500
)/ Au(3000)を使用した。接触し金属化させた後、作製したデバイスをSU-8 2002フォトレジストによって不動態化させた [6]。
印加したバイアスの極性が異なる条件下において、デュアルバンドSLS検出器の応答スペクトルをグローバー黒体源でフーリエ変換IR分光計(FTIR)を使って計測した。プラス電圧を上面の接点に印加すると定義される順方向バイアス条件下では、光のキャリアはMWIRのSLS吸収体から回収される。マイナス電圧を上面の接点に印加すると定義される逆方向バイアス条件下にデバイスがある場合には、LWIRのSLS吸収体から光のキャリアが回収される。一方、MWIR吸収体からの光のキャリアは障壁によって遮断される。そのため、デュアルカラーの応答は2つの異なるバイアス極性条件下で得られる。図1aおよびbは、順方向バイアスおよび逆方向バイアスのデュアルカラーの検出器のバンド図の略図を示している。
デュアルバンドのnBnのSLS検出器の信号対雑音比は、次の方程式を使って、特定の比検出能力D*値の評価により推定された:
ここで、Rは受光感度、kBはボルツマン定数、Tは温度、Rdは動的抵抗、Adはダイオード領域、qは電荷、Jは計測した暗電流密度を示す。受光感度は、800Kの黒体源を校正した2πの実視野(FOV)条件下で計測された。)
(4)「」(左欄)
(日本語訳
図2 異なる値のバイアスを印加した条件下において、77Kで計測されたnBnで設計したデュアルバンドInAs/GaSbのSLS検出器の応答スペクトル
図3 異なる温度で計測したnBnで設計したデュアルバンドのInAs/GaSbのSLS検出器の特定の比検出能力D*
結果および考察: 図2は異なる値のバイアスを印加した条件下でのデュアルバンドSLS検出器の応答スペクトルを示している。MWIRおよびLWIRの吸収体のゼロ応答のカットオフ波長(50%)は、MWIRでは5.5μmまでに相当し、LWIRでは10.0μmまでにそれぞれ相当した(77K)。印加バイアス電圧を-0.1Vから-0.2V間で変化させた場合、応答カットオフ波長はMWIRからLWIRに変化した。この特性のため、単一検出器は連続した異なるバイアス値で動作が可能で、結果としてピクセルごとの単一の接触や安価な読み出し電子回路につながる。印加バイアスが-0.12Vの場合、応答スペクトル曲線はフラットで、障壁は印加電圧のこの-0.12Vに対して最小化される。そのため、この電圧から長波赤外線吸収体およびAlGaSb障壁間の価電子帯障壁高の定量的な推定値が与えられる(Ev~140meV)。
MWIRの応答は、最大175Kで観測されたが、LWIRの応答は77Kでのみ観測された。最大ピーク受光感度は(=5μm、Vb=+1Vの場合では)1.6A/W、また(=10μm、Vb=-1Vの場合では)1.2 A/Wに相当した。量子効率の対応値は、MWIRでは+1Vのバイアスで36%であると推定され、LWIRでは-1Vのバイアスで15%であるとそれぞれ推定された。
図3は異なる温度で評価した特定の比検出能力の値を示している。77Kでは、比検出能力D*はMWIRの吸収体に対しては、(=5μm、Vb=+1Vの場合に)1.2×1011Jonesの最大値を達成し、LWIRの吸収体に対しては、( =10μm、Vb=-1Vの場合に)1.2×1010Jonesの最大値をそれぞれ達成した。この値は、同様の波長範囲において、成熟したQWIPデュアルバンド検出技術によって示された比検出能力D*に相当する [7]。)
(5)「」(左欄)
(日本語訳
結論:nBnで設計したInAs/GaSbのSLS検出器のデュアルバンド応答が実証された。光学的特性および電気的特性を詳述した後に、特定の比検出能力D*の値は、成熟したQWIPのデュアルカラーの検出技術によって示された値に匹敵することがわかった。非常に小さなバイアス電圧範囲内でLW対MWの強度比の変化が観測されたため、より安価で複雑なマルチカラーのFPA技術が可能となるであろう。)
2 引用文献に記載された発明
(1)上記1(1)の記載からして、引用文献には、
「順方向バイアスで中波長赤外線を検出し、逆方向バイアスで長波長赤外線を検出する、赤外線検出器」が記載されているものと認められる。
(2)上記1(2)ないし(5)の記載を踏まえて、図1を見ると、以下のことが理解できる。
ア 図1の左側から光が入射していることから、左側が検出器の上面であること。
イ 中波長赤外線を吸収する吸収層(以下「第1吸収層」という。)と長波長赤外線を吸収する吸収層(以下「第2吸収層」という。)を、Al0.2Ga0.8Sbバリア層で分けていること。
ウ 検出器は、上部に第1吸収層が位置し、中間にAl0.2Ga0.8Sbバリア層が位置し、下部に第2吸収層が位置すること。
エ 順方向バイアスで第1吸収層(図1の左)から光のキャリアが回収され、逆方向バイアスで第2吸収層(図の右)から光のキャリアが回収されること。
オ 第1吸収層及び第2吸収層の外側には、Ti(500)/ Pt(500)/ Au(3000)のn型コンタクト層が位置すること。
(3)上記1(4)の記載を踏まえ、図2を見ると、以下のことが理解できる。
ア 印加バイアス電圧が0.1V(緑*)の場合、2μm~5μm付近の光を検出すること。
イ 印加バイアス電圧が-0.12V(赤△)の場合、2μm~14μmでフラットであること。
ウ 印加バイアス電圧を-0.1V(図面では負のバイアス電圧の最大値から-0.2V(図面では負のバイアス電圧の最小値)間で変化させると、4μm~6μm付近で応答カットオフ波長が変化すること。
エ 検出器は、読み出し電子回路に接続していること。
(4)上記(1)ないし(3)の検討からして、引用文献には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「順方向バイアスで中波長赤外線を検出し、逆方向バイアスで長波長赤外線を検出する、赤外線検出器であって、前記検出器は、読み出し電子回路に接続されており、中波長赤外線を吸収する第1吸収層、長波長赤外線を吸収する第2吸収層、Al0.2Ga0.8Sbバリア層及びn型コンタクト層を備え、前記第1吸収層と前記第2吸収層との間に前記Al0.2Ga0.8Sbバリア層が位置し、前記第1吸収層及び前記第2吸収層の外側に前記n型コンタクト層が位置し、順方向バイアスで第1吸収層から光のキャリアが回収され、逆方向バイアスで第2吸収層から光のキャリアが回収され、印加バイアス電圧が0.1Vの場合、2μm~5μm付近の光を検出し、印加バイアス電圧が-0.12V場合、応答スペクトル曲線はフラットであり、印加バイアス電圧を-0.1Vから-0.2V間で変化させると応答カットオフ波長が変化する、赤外線検出器。」
第4 当審の判断
1 対比
(1)本願発明と引用発明とを対比すると、以下のことがいえる。
ア 引用発明の「赤外線検出器」は、中波長赤外線及び長波長赤外線を検出するから、本願補正発明の「デュアルバンド赤外検出器」に相当する。
以下、同様に、
「中波長赤外線を吸収する第1吸収層」は、「第1赤外波長バンドにのみ感応する第1吸収層」に、
「長波長赤外線を吸収する第2吸収層」は、「第1赤外波長バンドとは異なる第2赤外波長バンドにのみ感応する第2吸収層」に、
「Al0.2Ga0.8Sbバリア層」は、「合金を含むバリア層」に、
「『第1吸収層及び第2吸収層の外側に』位置する『n型コンタクト層』」は、「第1吸収層及び第2吸収層のうち一方と連結した界面層」に、
「読み出し電子回路」は、「読出しチップ」に、それぞれ、相当する。
イ 上記アからして、本願発明と引用発明とは、「デュアルバンド赤外検 出器であって、
第1赤外波長バンドにのみ感応する第1吸収層と、
合金を含むバリア層であって、
前記合金がガリウムを有する、前記第1吸収層と連結した第1区域、及び、前記合金がガリウムを有する、第2区域を含む、バリア層と、
前記バリア層の前記第2区域と連結し、前記第1赤外波長バンドとは異なる第2赤外波長バンドにのみ感応する第2吸収層と、
前記第1吸収層及び前記第2吸収層のうち一方と連結した界面層と、
前記界面層と連結し、かつ前記第1吸収層及び前記第2吸収層と電気的に連結した読出しチップと、を備える」点で一致する。
ウ 引用発明は、「順方向バイアスで第1吸収層から光のキャリアが回収され、逆方向バイアスで第2吸収層から光のキャリアが回収され、印加バイアス電圧が0.1Vの場合、2μm~5μm付近の光を検出し、印加バイアス電圧が-0.12V場合、応答スペクトル曲線はフラットであり、印加バイアス電圧を-0.1Vから-0.2V間で変化させると応答カットオフ波長が変化する」ものであって、バイアス方向を切り換えることにより、異なる帯域(バンド)の赤外線を検出できるから、
本願発明と引用発明とは、「第1の極性の第1バイアス電圧を第1吸収層に印加し、かつ、前記第1の極性とは逆の第2の極性の第2バイアス電圧を第2吸収層に印加することで、第1赤外波長バンド及び第2赤外波長バンドを検出することが可能であり、前記第1バイアス電圧と前記第2バイアス電圧の各々は500mVを下回る大きさを有する」点で一致する。
エ 以上のことから、本願発明と引用発明とは、以下の点で一致する。
〈一致点〉
「デュアルバンド赤外検出器であって、第1赤外波長バンドにのみ感応する第1吸収層と、合金を含むバリア層であって、前記合金がガリウムを有する、前記第1吸収層と連結した第1区域、及び、前記合金がガリウムを有する、第2区域を含む、バリア層と、前記バリア層の前記第2区域と連結し、前記第1赤外波長バンドとは異なる第2赤外波長バンドにのみ感応する第2吸収層と、前記第1吸収層及び前記第2吸収層のうち一方と連結した界面層と、前記界面層と連結し、かつ前記第1吸収層及び前記第2吸収層と電気的に連結した読出しチップと、を備えており、第1の極性の第1バイアス電圧を前記第1吸収層に印加し、かつ、前記第1の極性とは逆の第2の極性の第2バイアス電圧を前記第2吸収層に印加することで、前記第1赤外波長バンド及び前記第2赤外波長バンドを検出することが可能であり、前記第1バイアス電圧と前記第2バイアス電圧の各々は500mVを下回る大きさを有する、デュアルバンド赤外検出器。」
(2)一方、両者は、以下の点で相違する。
〈相違点1〉
バリア層の合金に関して、
本願発明は、
ア 「合金が第1の割合のガリウムを有する、第1吸収層と連結した第1区域、前記合金が、前記第1の割合のガリウムとは異なる第2の割合のガリウムを有する、第2区域」を含み、
イ 「合金のガリウムの割合が前記第1の割合から前記第2の割合へと変遷する、前記第1区域と前記第2区域との間の階調部」を含むのに対して、
引用発明は、そのようなのものではない点。
〈相違点2〉
界面層と読出しチップとの連結に関して、
本願発明は、「界面層と物理的に連結し」ているのに対して、
引用発明は、そのようなものであるか否か不明である点。
2 判断
(1)上記〈相違点1〉について検討する。
ア 引用文献の記載(摘記(3)を参照。)によれば、引用発明の「赤外線検出器」の各半導体層は成長基板上に成長させたものであって、図1からして「Al0.2Ga0.8Sbバリア層」は、バンドギャップエネルギーの小さな材料からなる半導体層(第1吸収層及び第2吸収層)と接することで、ヘテロ界面に伝導帯バンドオフセットを生じさせるものであることは、当業者に明らかであるところ、価電子帯バンドオフセットを緩和するようにガリウム組成比を連続的に変化させることは通常行われていることにすぎず、当業者が必要に応じて適宜なし得ることである。
ヘテロ界面でのバンドオフセットの緩和について、必要ならば、例えば、下記の文献を参照。
文献a 原査定の理由において引用文献3として引用された米国特許出願公開第2013/0146998号明細書([0072]及び図1)
文献b 原査定の理由において引用文献4として引用された米国特許出願公開第2010/0072514号明細書([0018]、[0050]ないし[0054]及び図3C)
文献c 米国特許出願公開第2008/0111152号明細書([0062]及び図13)
文献d 国際公開第2013/102631号(図2、図3a及び図3b)
ちなみに、文献aの図1は、以下のものである。
また、文献bの図3Cは、以下のものである。
イ よって、引用発明において、上記〈相違点1〉に係る本願発明の構成を採用することは、当業者が容易になし得たことである
(2)上記〈相違点2〉について検討する。
ア(ア)本願明細書には「界面層」に関して、以下の記載がある。
「【0015】界面層208は、第2吸収層206を読み出しチップ210と連結する。いくつかの実行形態では、界面層208は、第2吸収層206を読み込みチップ210と連結するために『差し込まれて』一体化された、複数のインジウムバンプ(図示せず)を含む。読み込みチップ210は、例えばマイクロチップであり、少なくとも処理装置と、第1バイアス電圧を第1吸収層202に、第2バイアス電圧を第2吸収層206に印加して、第1吸収層202に第1波長バンドの赤外線を検出させ、第2吸収層206に第2波長バンドの赤外線を検出させるよう構成された回路機構を含む。」
(イ)本願明細書において、「物理的に連結し」との表現は明示的に用いられていないが、上記記載からして、本願発明の「界面層と物理的に連結し」とは、
「界面層」は、「(差し込まれて一体化された)バンプ」を用いてマイクロチップ等の読み込みチップと電気的に接続されているような態様を含んでいると解される。
イ 一方、引用発明の「赤外線検出器」は、「読み出し電子回路に接続され」、「第1吸収層及び第2吸収層の外側にはn型コンタクト層が位置」するから、該「(二つの)n型コンタクト層」と「読み出し電子回路」は「何らかの導電部材」を用いて電気的に接続されていることは明らかであって、該「(二つの)n型コンタクト層」と「読み出し電子回路」を「バンプ等の導電部材」を用いて電気的に接続することは、当業者が適宜なし得た設計事項である。
ウ 上記イのようにした引用発明は、「(二つの)n型コンタクト層」とバンプを用いて物理的に連結し、「中波長赤外線を吸収する第1吸収層」と「長波長赤外線を吸収する第2吸収層」と電気的に連結した「読み出し電子回路」を備えることになる。
エ よって、引用発明において、上記〈相違点2〉に係る本願発明の構成を採用することは、当業者が容易になし得たことである。
(3)効果
本願発明の奏する効果は、引用発明の奏する効果から予測し得る範囲内のものである。
(4)審判請求書における主張について
請求人は、「4.本願発明が特許されるべき理由」において、赤外検出器の界面層と物理的に連結し、かつ第1吸収層及び第2吸収層と電気的に連結した読出しチップの構成は、当分野において未知のものである旨主張する。
しかしながら、上記「2(2)」で検討したように、当業者が適宜なし得た設計事項である。
よって、請求人の主張は、上記「2(2)」の判断を左右するものではない。
3 まとめ
よって、本願発明は、当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
第5 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2019-015123