2019-015050
多関節器具位置決め装置およびそれを採用するシステム
- 審判番号
- 2019-015050
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-000231外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2019年11月08日
- 審決日
- 2021年07月06日
- 公報発行日
- 2022年01月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】タイタン メディカル インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
- 【請求人代理人】森田 拓
- 【請求人代理人】前川 純一
- 【請求人代理人】二宮 浩康
- 【請求人代理人】上島 類
- 分類
- P18 .113-WZ (A61B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 7項目
第1 手続の経緯
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この出願(以下「本願」という。)は、2013年(平成25年)12月20日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2013年(平成25年)6月19日(US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする特願2016-520200号の一部を、平成30年1月4日に新たな特許出願としたものであって、その手続の主な経緯は以下のとおりである。
第2 本願発明
本願の請求項に係る発明は、令和3年3月1日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~21に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、同請求項に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。
「手術器具装置であって、長さに沿って延びる中心開口部と、遠位端に配置された器具ホルダとを有する多関節器具位置決め装置であって、少なくとも2つの多関節部分を有し、前記器具ホルダを位置決めするように構成されている、多関節位置決め装置と、エンドエフェクタと、前記器具位置決め装置の前記器具ホルダ内に受け入れられるように動作可能なカプラであって、前記エンドエフェクタの基部に接続されたカプラと、前記エンドエフェクタに結合された遠位端を有する制御リンクと、前記カプラに結合された遠位端を有する導管と、を備え、前記制御リンクが、前記導管を通して延在し、前記導管および前記制御リンクは、それぞれの遠位端に可撓性部分を有しており、前記制御リンクは、前記エンドエフェクタの第1移動を作動させるように動作可能であり、該第1移動は開閉移動であり、前記導管が、前記器具位置決め装置の前記中心開口部に受け入れられかつその長さに沿って延びるように構成され、前記エンドエフェクタの第2移動を作動させるように動作可能であり、該第2移動は回転移動である、手術器具装置。」
第3 拒絶の理由
令和2年10月26日付け拒絶理由通知書に記載された拒絶の理由は、次の理由4を含むものである。
[理由4(新規性)]
本願の請求項1に係る発明は、その優先権主張の日(以下「優先日」という。)前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物(引用文献2)に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
第4 刊行物の記載及び引用発明
1 上記引用文献2には、図面とともに、次の事項が記載されている。(下線は当審で付与した。以下同様。)
(1)[0018]~[0029]
「[0018]以下、この発明の各実施例を図面に基づいて説明する。図1~図4は第1の実施例を示し、図1は処置具の斜視図、図2は処置具の縦断側面図、図3はアウターケーシングとインナーケーブルの構成図、図4は処置具の作用説明図である。処置具は、先端に設けられた先端処置具1、この処置具1を位置決めする湾曲部2、先端処置具1と湾曲部2を操作する操作部3および操作部3と湾曲部2を接続する挿入部4とから構成されている。[0019]続きを表示(全25行)前記処置具1は枢支ピン5aを支点として回動自在な一対の鉗子片5bによって鉗子5が構成されており、一対の鉗子片5bの基端部は連結ピン6aを介してリンク6に連結されている。鉗子5およびリンク6は鉗子回転シャフト7に開閉自在に支持されており、この鉗子回転シャフト7の中央には鉗子回転シャフト7に対して進退自在で、リンク6を進退させて鉗子5を開閉する開閉ロッド8が設けられている。[0020]前記湾曲部2は、多数の湾曲駒9が関節状に接続された湾曲管10と、前記鉗子回転シャフト7を湾曲管10に回転自在に固定する鉗子支持部11とから構成されている。湾曲管10の内側には湾曲ワイヤ12、13が挿通されており、この一端は湾曲管10の端部に固定され、他端は挿入パイプ14の内部を挿通し、この挿入パイプ14に対して回転可能に固定された湾曲操作ノブ15に固定されている。湾曲管10の操作部3側端部は、挿入パイプ14に固定されており、挿入パイプ14は操作握り16に固定されている。[0021]前記湾曲部2の内腔には、管状のフレキシブルな外装部材であるアウターケーシング17が設けられ、更にその内部にはフレキシブルな棒状の内装部材であるインナーケーブル18が設けられている。アウターケーシング17は、湾曲管10およびインナーケーブル18に対して回転自在であり、インナーケーブル18はアウターケーシング17に対して進退自在である。アウターケーシング17の先端処置具1側端部は、鉗子回転シャフト7に固定されており、操作部3側端部は中空の回転伝達軸19に固定されている。[0022]前記回転伝達軸19は挿入パイプ14に対して回転自在な回転操作リング20に固定されている。インナーケーブル18の先端処置具1側端部は開閉ロッド8に固定され、操作部3側端部には挿入パイプ14に挿通された直動ロッド21に固定されている。直動ロッド21は、操作握り16に対して支点を中心に回動可能な操作ハンドル22に固定されている。[0023]前記アウターケーシング17とインナーケーブル18について説明を加えると、図3に示すように構成されている。すなわち、アウターケーシング17は、ステンレス製の平角スプリング23およびこの平角スプリング23の外側に設けられたステンレス製のブレード24と、それらの外側に施されたフッ素樹脂による樹脂コーティング25より構成されている。インナーケーブル18は、ステンレス製の芯線26と、その周囲によられた芯線26よりも細いステンレス製の側線27とから構成されている。[0024]インナーケーブル18は、芯線26と側線27によるより線構造を取ることで、フレキシブルに湾曲することが可能である。前記鉗子5を閉じようとした場合に発生するインナーケーブル18を伸長する力に関しては、より線が密に寄り合うことで伸長を防止し、鉗子5を開こうとする場合に発生する、インナーケーブル18を圧縮する力に関しては、中心の太い芯線26によって座屈を防止する。[0025]アウターケーシング17は平角スプリング23、ブレード24、樹脂コーティング25によるフレキシブルな構造により湾曲が可能である。鉗子5を閉じようとした場合に発生するアウターケーシング17を圧縮する力に関しては、平角スプリング23が密着することで座屈を防止する。鉗子5を開こうとする場合に発生する、アウターケーシング17を伸長する力に関しては、平角スプリング23の収縮力とブレード24および樹脂コーティング25によって伸びを抑制する。また、回転力は、主としてブレード24と樹脂コーティング25により左右両回転とも伝達される。[0026]次に、前述のように構成された処置具の作用について説明する。操作部3の湾曲操作ノブ15を操作することにより、湾曲ワイヤ12、13が軸方向に差動的に動作して湾曲管10が湾曲し、湾曲部2が湾曲する。また、回転操作リング20を回転すると、その回転力は回転伝達軸19、アウターケーシング17、鉗子回転シャフト7と伝達されて鉗子5の全体が回転する。さらに、操作握り16及び操作ハンドル22を開閉することにより、直動ロッド21が回転伝達軸19に対して進退し、インナーケーブル18がアウターケーシング17に対して進退し、開閉ロッド8が鉗子回転シャフト7に対して進退して鉗子5が開閉する。[0027]したがって、図4に示すように湾曲部2の湾曲時に鉗子5を生体組織Aの剥離のために開こうとした場合、図4(a)に示すように直動ロッド21を先端側へ押そうとする力によって、インナーケーブル18に撓もうとする力が働くが、図4(b)に示すように、インナーケーブル18がアウターケーシング17により拘束されているために、鉗子5を開く力が先端に確実に伝達される。[0028]また、インナーケーブル18が、アウターケーシング17により拘束されているために湾曲部2の湾曲による経路の長さ変化がなく、湾曲している場合としない場合で同じ操作感で鉗子5の開閉操作を行うことができる。[0029]また、湾曲部2による湾曲とアウターケーシング17による回転を同時に行えるため、鉗子5に縫合針を保持して行う縫合などの複雑な操作を行うことが容易になる。さらに、湾曲部2を関節を有する構造によっているため、操作力が小さく、繰り返しの使用に対して耐久性が高い。」
(2)図2には、湾曲部2の内腔が長手方向に沿って延びる点、鉗子支持部11が湾曲部2の遠位端に配置される点、アウターケーシング17が湾曲部2の内腔に設けられかつその長手方向に沿って延びるように構成された点、鉗子回転シャフト7が鉗子支持部11内に受け入れられる点、先端処置具1として鉗子5、リンク6、鉗子回転シャフト7及び開閉ロッド8が含まれる点が、それぞれ図示されている。
[図:0001380219000001.jpg]
2 上記1(1)の記載事項及び同(2)の図示事項から、引用文献2には、次の技術的事項が記載されているといえる。
(1)上記1(1)の[0019]に記載の「前記処置具1は枢支ピン5aを支点として回動自在な一対の鉗子片5bによって鉗子5が構成されており、一対の鉗子片5bの基端部は連結ピン6aを介してリンク6に連結されている。鉗子5およびリンク6は鉗子回転シャフト7に開閉自在に支持されており、この鉗子回転シャフト7の中央には鉗子回転シャフト7に対して進退自在で、リンク6を進退させて鉗子5を開閉する開閉ロッド8が設けられている。」及び上記1(2)の図示事項からみて、先端処置具1は、鉗子5、リンク6、鉗子回転シャフト7及び開閉ロッド8から構成されたものであるといえる。
(2)上記1(1)の[0020]に記載の「前記湾曲部2は、多数の湾曲駒9が関節状に接続された湾曲管10と、前記鉗子回転シャフト7を湾曲管10に回転自在に固定する鉗子支持部11とから構成されている。」から、湾曲部2は、鉗子支持部11を有し、多数の湾曲駒9を有する多関節湾曲部2であるといえる。
(3)上記(1)の認定事項、上記1(1)の[0018]に記載の「処置具は、先端に設けられた先端処置具1、この処置具1を位置決めする湾曲部2」から、多関節湾曲部2は、先端処置具1を位置決めするものであり、先端処置具1を構成する鉗子回転シャフト7は、同[0020]に記載のとおり、「鉗子支持部11」により「湾曲管10に回転自在に固定」されているから、多関節湾曲部2は、鉗子支持部11を位置決めするよう構成されているといえる。
3 上記1及び2から、引用文献2には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「処置具であって、長手方向に沿って延びる内腔と、遠位端に配置された鉗子支持部11とを有する多関節湾曲部2であって、多数の湾曲駒9を有し、前記鉗子支持部11を位置決めするように構成されている、多関節湾曲部2と、鉗子5、リンク6、鉗子回転シャフト7及び開閉ロッド8から構成された先端処置具1と、前記多関節湾曲部2の前記鉗子支持部11内に受け入れられて回転自在に固定した鉗子回転シャフト7であって、前記先端処置具1を構成する鉗子回転シャフト7と、前記先端処置具1を構成する開閉ロッド8に固定された先端処置具1側端部を有するフレキシブルなインナーケーブル18と、前記鉗子回転シャフト7に固定された先端処置具1側端部を有するフレキシブルなアウターケーシング17と、を備え、前記インナーケーブル18が、前記アウターケーシング17の内部に設けられ、前記先端処置具1を構成する鉗子5を開閉させるように構成され、前記アウターケーシング17が、前記多関節湾曲部2の内腔に設けられかつその長手方向に沿って延びるよう構成され、前記先端処置具1を構成する鉗子5の全体を回転させるように構成される、処置具。」
第5 対比・判断
本願発明と引用発明を対比するに、引用発明の「処置具」は、その機能及び構造からみて、本願発明の「手術器具装置」に相当し、以下同様に、「長手方向に沿って」は「長さに沿って」に、「内腔」は「中心開口部」に、「鉗子支持部11」は「器具ホルダ」に、「多関節湾曲部2」は「多関節器具位置決め装置」又は「多関節位置決め装置」に、「多数の湾曲駒9」は「少なくとも2つの多関節部分」に、それぞれ相当する。
ここで、本願発明では、「エンドエフェクタの基部に接続されたカプラ」という発明特定事項からみて、「カプラ」を、「エンドエフェクタ」を構成する部材としてではなく、「エンドエフェクタ」とは別の部材として区分している。
一方、引用発明の「先端処置具1」は、上記第4のとおり、引用文献2に記載された事項にしたがって、「鉗子5、リンク6、鉗子回転シャフト7及び開閉ロッド8から構成される」ものであると認定している。
引用発明では、鉗子5を開閉する機能を有する鉗子5、リンク6及び開閉ロッド8と、鉗子5の全体を回転する機能を有する鉗子回転シャフト7とは、それぞれ別の機能を有するものであることから、機能面からみれば、先端処置具1は、鉗子5、リンク6及び開閉ロッド8から構成される機構と、鉗子回転シャフト7とに区分することができる。
そうすると、引用発明の「鉗子5、リンク6、鉗子回転シャフト7及び開閉ロッド8から構成された先端処置具1」のうち、鉗子5、リンク6及び開閉ロッド8から構成される機構は、その構造及び機能からみて、本願発明の「エンドエフェクタ」に、「鉗子回転シャフト7」は「カプラ」に、それぞれ相当する。そして、引用発明の「鉗子支持部11内に受け入れられて回転自在に固定した鉗子回転シャフト7」は、本願発明の「器具ホルダ内に受け入れられるように動作可能なカプラ」に相当する。また、鉗子5、リンク6及び開閉ロッド8から構成される機構(エンドエフェクタ)は、リンク6及び開閉ロッド8の部分(基部)において鉗子回転シャフト7(カプラ)と接続していることは明らか(必要であれば、図2等を参照。)であることから、引用発明の「先端処置具1を構成する鉗子回転シャフト7」は、本願発明の「エンドエフェクタの基部に接続されたカプラ」に相当する。
さらに、引用発明の「先端処置具1を構成する開閉ロッド8に固定された先端処置具1側端部」は、その機能及び構造からみて、本願発明の「エンドエフェクタに結合された遠位端」に相当し、以下同様に、「鉗子回転シャフト7に固定された先端処置具1側端部」は「カプラに結合された遠位端」に、「インナーケーブル18」は「制御リンク」に、「アウターケーシング17」は「導管」に、「アウターケーシング17の内部に設けられ」は「導管を通して延在し」に、「内腔に設けられ」は「中心開口部に受け入れられ」に、それぞれ相当する。
そして、引用発明の「フレキシブルなアウターケーシング」及び「フレキシブルなインナーケーブル」は、それぞれの遠位端においてもフレキシブルであることは明らかであるから、本願発明の「前記導管および前記制御リンクは、それぞれの遠位端に可撓性部分を有しており」に相当する。
また、引用発明の「先端処置具1を構成する鉗子5を開閉させるように構成され」は、その機能及び構造からみて、本願発明の「エンドエフェクタの第1移動を作動させるように動作可能であり、該第1移動は開閉移動であり」に相当し、引用発明の「先端処置具1を構成する鉗子5の全体を回転させるように構成される」は、同様に、本願発明の「エンドエフェクタの第2移動を作動させるように動作可能であり、該第2移動は回転移動である」に、それぞれ相当する。
したがって、本願発明と引用発明とに相違するところはなく、本願発明は、引用発明であるので、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものである。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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