特許拒絶査定不服審判
2024-003599
組織牽引装置及び送達システム
- 審判番号
- 2024-003599
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2022-132526外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2024年02月29日
- 審決日
- 2025年09月09日
- 公報発行日
- 2026年02月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】恩田 誠
- 【請求人代理人】恩田 博宣
- 【請求人代理人】本田 淳
- 分類
- P18 .113-WZ (A61B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2022-132526号「組織牽引装置及び送達システム」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年10月21日出願公開、特開2022-162027号〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2019年(平成31年) 4月30日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2018年 5月 1日(US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする特願2020-567474号の一部を令和 4年 8月23日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は概略以下のとおりである。
令和 4年 9月21日提出 上申書及び手続補正書
令和 5年 7月 5日付け 拒絶理由通知
令和 5年10月11日提出 意見書及び手続補正書
令和 5年10月19日付け 拒絶査定
令和 6年 2月29日提出 審判請求書及び手続補正書
令和 6年10月22日提出 上申書
令和 7年 5月 7日付け 拒絶理由通知
令和 7年 7月29日提出 意見書及び手続補正書
第2 本願発明
令和 7年 7月29日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりである。
「【請求項1】
第1の組織係合部材と、
接続部材によって、前記第1の組織係合部材と互いに長手軸線周りに相対回転可能に連結されるテザーと、を備える、組織牽引装置。」
第3 拒絶の理由
令和 7年 5月 7日付けで当審が通知した拒絶理由(以下「拒絶理由」という。)で留保した令和 5年10月19日付け拒絶査定の拒絶の理由は、概略次の理由を含むものである。
本願発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記引用文献1に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
引用文献1:米国特許出願公開第2018/035997号明細書
第4 引用文献の記載及び引用発明
1.引用文献1の記載
引用文献1には、以下の事項が記載されている(審決注:訳は、ファミリー文献である特表2019-524276号公報による。下線は当審で付与した。)。
(1)「[0064] FIG. 2 shows another system 200 for retracting tissue 202 at a target area or lesion 204. Like system 100, system 200 may include an introducer 206, a cutting instrument 220, anchors 208 and 210 for embedding into tissue 202 to act as staged pull points, an anchor 212 for embedding in target area 204, a tether 214 for linking anchor 212 to anchors 208 and 210, and a clip 216 at an end of tether 214 for engaging anchors 208 and 210.」
(訳:図2は、標的領域又は病変204における組織202を牽引するための別のシステム200を示す。システム100と同様に、システム200は、イントロデューサ206と、切断器具220と、段階的な引張地点として作用するために組織202に埋め込むためのアンカ208,210と、標的領域204に埋め込むためのアンカ212と、アンカ212をアンカ208,210に連結するためのテザー214と、アンカ208,210に係合するためのテザー214の端部に位置するクリップ216とを含み得る。)
(2)「[0065] System 200 may differ from system 100 in a variety of ways. For example, anchor 208 may include a base element 244 having a fastener (not shown) attached to a first end. The fastener may be embedded into tissue 202 to secure anchor 208 to tissue 202. The fastener may include, for example, a helical penetrating end similar to anchor 108. An engagement element 234 may be attached to a second end of base element 244. Engagement element 234 may include a loop or eyelet. Anchor 210 may be similar to, or even identical to, anchor 208.」
(訳:システム200は、様々な形でシステム100とは異なっていてもよい。例えば、アンカ208は、第1の端部に取り付けられた留め具(図示せず)を有する基部要素244を含み得る。留め具は、アンカ208を組織202に固定するために組織202内に埋め込まれ得る。留め具は、例えば、アンカ108と同等のらせん状の刺込端部を含んでもよい。係合要素234は、基部要素244の第2の端部に取り付けられ得る。係合要素234は、ループ又は小穴を含み得る。アンカ210は、アンカ208と同等であるか、又は同一であってもよい。)
(3)「[0067] A first end of tether 214 may be attached to second end 240 of anchor 212 . A second end of tether 214 may be attached to clip 216. Clip 216 may include an engagement element 246 configured for receipt in engagement element 234 of anchor 208 (and the engagement element of anchor 210) to attach clip 216 to anchor 208. Clip 216 also may include an aperture or eyelet 258 configured to receive cutting instrument 220.」
(訳:テザー214の第1の端部は、アンカ212の第2の端部240に取り付けられ得る。テザー214の第2の端部はクリップ216に取り付けられ得る。クリップ216は、クリップ216をアンカ208に取り付けるためにアンカ208の係合要素234(及びアンカ210の係合要素)内に収容されるように構成された係合要素246を含み得る。クリップ216はまた、切断器具220を受け入れるように構成された開口部又は小穴258を含み得る。)
(4)「[0069] The user may insert the distal end of cutting instrument 220 into aperture 258 of clip 216. Using movement of introducer 206 and cutting instrument 220, the user may pull clip 216 toward anchor 208 (shown in dashed line in FIG. 2). The user may attach engagement element 246 of clip 216 to engagement element 234 of anchor 208. These movements may impart a tensile force on tether 214, which may pull anchor 212, and thereby retract target area 204. The retraction may be along a vector extending between target area 204 and anchor 208. The movement also may stretch tether 214.」
(訳:使用者は、切断器具220の遠位端部をクリップ216の開口部258に挿入し得る。使用者は、イントロデューサ206と切断器具220とを移動させ、クリップ216をアンカ208に向けて引っ張り得る(図2に破線で図示)。使用者は、クリップ216の係合要素246をアンカ208の係合要素234に取り付け得る。これらの動作は、アンカ212を引っ張り得るテザー214に対して引張力を与え、それにより標的領域204を牽引し得る。該牽引は、標的領域204とアンカ208との間に延びるベクトルに沿い得る。上記動作はまた、テザー214を伸張させ得る。)
(5)「
[図:0001431612000001.jpg]
」
2.引用発明
上記(1)~(3)の特に下線部の記載及び(5)の図面の記載からすれば、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「組織202に固定するために組織202内に埋め込まれ得るアンカ208、210と、
アンカ208、210に取り付けるためにアンカ208の係合要素234(及びアンカ210の係合要素)内に収容されるように構成された係合要素246を含むクリップ216が端部に位置するテザー214と、を備える、システム200。」
第5 対比
1.引用発明の「組織202に固定するために組織202内に埋め込まれ得るアンカ208、210」は、アンカ208、210が組織202内に埋め込まれて固定されるのであるから、本願発明の「第1の組織係合部材」に相当する。
2.引用発明の「テザー214」は本願発明の「テザー」に相当し、その端部に位置するクリップ216の係合要素246がアンカ208の係合要素234及びアンカ210の係合要素内に収容されるによって、アンカ208、210に取り付けられるのであるから、引用発明の「クリップ216の係合要素246」は、本願発明の「接続部材」に相当する。
よって、引用発明の「アンカ208、210に取り付けるためにアンカ208の係合要素234(及びアンカ210の係合要素)内に収容されるように構成された係合要素246を含むクリップ216が端部に位置するテザー214」と本願発明の「接続部材によって、前記第1の組織係合部材と互いに長手軸線周りに相対回転可能に連結されるテザー」は、接続部材によって、前記第1の組織係合部材と連結されるテザーである限りで一致する。
3.引用発明の「システム」は、組織202を牽引するためのものであるから、本願発明の「組織牽引装置」に相当する。
してみると、本願発明と引用発明は、次の一致点と一応の相違点を有する。
【一致点】
第1の組織係合部材と、
接続部材によって、前記第1の組織係合部材と連結されるテザーと、を備える、組織牽引装置。
【一応の相違点】
本願発明は、テザーが、第1の組織係合部材と互いに長手軸線周りに相対回転可能に連結されるのに対し、引用発明は、そのように特定されていない点。
第6 判断
以下、上記一応の相違点について検討する。
上記第4の1(5)の図面の記載から、引用発明のアンカ208、210の係合要素234は環状であり、当該係合要素234内に収容されるように構成されたクリップ216の係合要素246はフック状である。
そして、環状の係合要素234とフック状の係合要素246は、テザー214の長手方向軸線上で点接触しており、回転角度に制限はあるものの、当該点接触した点を中心として両者が互いにテザー214の長手軸線周りに相対回転可能であることは構造上自明である。
してみれば、引用発明は上記一応の相違点に係る本願発明の事項を実質的に備えている。
よって、上記一応の相違点は、相違点でない。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明は引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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