商標拒絶査定不服審判
2019-008121
アイススラリー、スラリー
- 審判番号
- 2019-008121
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2018-021078
- 請求日
- 2019年06月18日
- 審決日
- 2020年01月23日
- 公報発行日
- 2020年05月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】大塚製薬株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人深見特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 岩崎 安子
- 審判官 小田 昌子
- 審判官 石塚 利恵
- 分類
- T18 .13 -Z (W3032)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第3条
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
商願2018-21078拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
1 本願商標
本願商標は、「ICE SLURRY」の文字を横書きしてなり、第30類「アイスクリーム,シャーベット,ゼリー状の菓子,冷凍のゼリー菓子,冷凍菓子,菓子,茶,コーヒー,ココア,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,調味料,穀物の加工品,即席菓子のもと,食用粉類」及び第32類「シャーベット状の清涼飲料,ゼリー状の清涼飲料,冷凍可能な容器に詰めたゼリー状の清涼飲料,清涼飲料,清涼飲料のもと,果実飲料,飲料用野菜ジュース,乳清飲料,ビール」を指定商品として、平成30年2月21日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、別掲1の情報によれば、おおむね『氷の粒が液体に混ざったシャーベット状の飲料』について、『ICE SLURRY』ないしは、その表音である『アイススラリー』と称している実情が認められる。さらに、スポーツドリンク等の既存の液体飲料を用いて作る『アイススラリー』の飲用が、熱中症対策の一環としてメディアにおいて取り上げられている実情も認められる。そうすると、本願商標を、その指定商品中『シャーベット状の清涼飲料,ゼリー状の清涼飲料,冷凍可能な容器に詰めたゼリー状の清涼飲料,清涼飲料,清涼飲料のもと,果実飲料,飲料用野菜ジュース,乳清飲料』に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、『氷の粒が液体に混ざったシャーベット状の飲料(清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,乳清飲料)』及び『氷の粒が液体に混ざったシャーベット状の飲料を作るための清涼飲料のもと』であること、すなわち、商品の品質を表示したものとして認識するにとどまり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものとみるのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、前記1のとおり、「ICE SLURRY」の文字を普通に用いられる方法で横書きしてなるものであるところ、その構成中、「ICE」の文字は「氷」の意味を有し、「SLURRY」の文字は「スラリー、懸濁液」の意味を有する語(いずれも「ジーニアス英和辞典 第5版」株式会社大修館書店)である。
また、原審において示した事実(別掲1)に加え、別掲2の事実からすると、「ICE SLURRY」の文字又はそれを片仮名で表した「アイススラリー」の文字は、氷の粒が液体に混ざったシャーベット状の飲料を指称する語として、近年、我が国において注目されていることが認められるところ、アイススラリーを摂取することにより体の深部体温が下がることから、国立スポーツ科学センターが、今年(2020年)開催される東京オリンピックの暑さ対策として、各競技団体などにアイススラリーの摂取を推奨しており、高校野球や消防、西日本豪雨の災害現場においても、熱中症の新たな予防策としてアイススラリーが取り入れられているほか、家庭でできる熱中症対策として、アイススラリーの作り方がテレビ番組において紹介されたり、アイススラリーを作ることが出来るクーラー容器が発売されるなどしている事実が認められる。
これらの事情を鑑みれば、「ICE SLURRY」の文字からなる本願商標をその第32類の指定商品中、「シャーベット状の清涼飲料,ゼリー状の清涼飲料,冷凍可能な容器に詰めたゼリー状の清涼飲料,清涼飲料,清涼飲料のもと,果実飲料,飲料用野菜ジュース,乳清飲料」について使用しても、これに接する取引者、需要者は、「氷の粒が液体に混ざったシャーベット状の飲料、又はそれを作る清涼飲料のもと」であると認識、理解するにすぎないものというべきである。
そうすると、本願商標は、その指定商品中、「シャーベット状の清涼飲料,ゼリー状の清涼飲料,冷凍可能な容器に詰めたゼリー状の清涼飲料,清涼飲料,清涼飲料のもと,果実飲料,飲料用野菜ジュース,乳清飲料」との関係においては、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものといわざるを得ない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は、「ICE SLURRY」の文字又は「アイススラリー」の文字が、辞書に掲載されている事実はなく、特定の意味合いを有しない一種の造語というべきものであり、原審で示された例によっても、「ICE SLURRY」の文字又は「アイススラリー」の文字が、飲料を取り扱う業界において、一般需要者及び取引者によって品質等表示として使用されている事実を見いだすことはできない旨主張する。
しかしながら、商標法第3条第1項第3号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くとされているのは、このような商標は、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品識別力を欠くものであることによるものと解される(最高裁昭和54年4月10日第三小法廷判決・裁判集民事126号507頁、判例時報927号233頁参照。)。この趣旨に照らせば、本件審決時において、当該商標が指定商品の原材料又は品質を表すものと取引者、需要者に広く認識されている場合はもとより、将来を含め、取引者、需要者にその商品の原材料又は品質を表すものと認識される可能性があり、これを特定人に独占使用させることが公益上適当でないと判断されるときには、その商標は、同号に該当するものと解するのが相当である(平成17年(行ケ)第10342号、知的財産高等裁判所、同年6月9日判決言渡し)。
そうすると、本願商標が商標法3条1項3号に該当するというためには、本件審決の時点において、本願商標が、その指定商品との関係で、その商品の産地、販売地、品質、形状その他の特性を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、本願商標の指定商品の取引者、需要者によって本願商標がその指定商品に使用された場合に、将来を含め、商品の上記特性を表示したものと一般に認識されるものであれば足りると解される。
そして、本願商標は、別掲1及び2の事実からすれば、その第32類の指定商品中、「シャーベット状の清涼飲料,ゼリー状の清涼飲料,冷凍可能な容器に詰めたゼリー状の清涼飲料,清涼飲料,清涼飲料のもと,果実飲料,飲料用野菜ジュース,乳清飲料」に使用された場合には、これに接する取引者、需要者によって、「氷の粒が液体に混ざったシャーベット状の飲料、又はそれを作る清涼飲料のもと」を表示するものとして一般に認識されるものであり、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるものと認められるから、特定人によるその独占使用を認めるのは適当でないとともに、自他商品識別力を欠くものというべきである。
したがって、上記請求人の主張は、採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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