商標拒絶査定不服審判
2025-003634
ゲンマイノチカラ、チカラ
- 審判番号
- 2025-003634
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2023-144766
- 請求日
- 2025年03月05日
- 審決日
- 2025年07月01日
- 公報発行日
- 2025年09月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社ヤクルト本社
- 【請求人代理人】弁理士法人不二商標綜合事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 高橋 幸志
- 審判官 小俣 克巳
- 審判官 白鳥 幹周
- 分類
- T18 .13 -Z (W293032)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第3条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2023-144766拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和5年12月28日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和6年 8月 8日付け:拒絶理由通知書
令和6年 9月19日 :意見書、手続補正書の提出
令和6年12月11日付け:拒絶査定
令和7年 3月 5日 :審判請求書の提出
2 本願商標
本願商標は、「玄米の力」の文字を標準文字で表してなり、第29類、第30類及び第32類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として登録出願されたものである。
そして、本願の指定商品は、原審における上記1の手続補正書により、第29類「玄米を使用した豆乳,玄米を使用した豆乳飲料,玄米を使用した発酵豆乳(ヨーグルト状のものを含む),玄米を使用した乳製品,玄米を使用した菓子(果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものに限る。),玄米を使用した加工野菜及び加工果実」、第30類「玄米を使用した茶,玄米を使用したコーヒー,玄米を使用したココア,玄米を使用した穀物の加工品,玄米を使用した生菓子,玄米を使用した菓子,玄米を使用した即席菓子のもと,玄米を使用したアイスクリームのもと,玄米を使用したシャーベットのもと」及び第31類「玄米を使用した果実飲料,玄米を使用した飲料用野菜ジュース,玄米を使用した清涼飲料,玄米を使用した乳清飲料」と補正されたものである。
3 原査定の拒絶の理由(要旨)
本願商標は、「玄米の力」の文字を標準文字で表してなるものであり、構成全体として、「玄米のききめ(効果)」ほどの意味合いを容易に認識させるものである。
そして、「玄米」には人間の健康に必要な栄養素が豊富に含まれていることから、その原材料に玄米を使用していることを謳った食品が一般に取引されている事実があり、また、「玄米の力」や「玄米のチカラ」等の文字が、原材料である玄米による効果・効能を表すものとして使用されている事実もある。
そうすると、本願商標を上記2の補正後の指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、その商品が「玄米の効果・効能を有する商品」であるという、商品の品質、原材料又は効能を表示したものと理解するにとどまり、自他商品の識別標識としては認識し得ないというべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
4 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、「玄米の力」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中「玄米」の文字は、「籾殻を除いただけで、精白していない米。」(出典:「広辞苑 第七版」株式会社岩波書店)を意味する語であり、上記2の補正後の指定商品との関係において、その商品の原材料を表示したといえるものであって、また、同構成中の「力」の文字は、「ききめ。効能。」(出典:同上)などを意味する語であるから、本願商標の構成全体よりは「玄米の効能」といった意味合いが容易に理解できるものである。
そして、原審提示の情報にあるように、本願の指定商品を含む、飲食料品を取り扱う分野においては、玄米に関する健康効果や効能等を表す言葉として「玄米の力」の文字やこれに通じる「玄米のチカラ」といった表現が広く一般的に使用されている事実が認められる。
そうすると、本願商標をその指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、それが「玄米の効能を有する商品」であること、すなわち、商品の品質を表示したものと理解するにとどまるものというのが相当であるから、本願商標は、その指定商品の品質を普通に用いられる方法で表示するものといえる。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標は一体不可分に認識される造語商標であって、また、仮に、本願商標に接する取引者・需要者が、本願商標を「玄米」、「の」及び「力」に分離し、その各々の意味合いを認識した上で、再びこれらの意味同士を結びつけて本願商標の意味合いを認識したとしても、「力」の語は様々な意味を有する語であることなどから、本願商標全体からは、明確な意味を認識できないか、あるいは、漠然とした広範な意味合いを生ずるものと認められ、何らかの意味合いを間接的に表示、あるいは暗示させることはあったとしても、補正後の指定商品との関係において、商品の品質、原材料又は効能を直接的かつ具体的に表示するものとして、取引者・需要者に理解・認識されると解釈することは困難であるとみるのが妥当である旨主張する。
また、請求人は、原審提示の情報で示されている「玄米の力」「玄米のチカラ」の文字の使用事例において、同文字が、商品の原材料である玄米による効果・効能を取引者・需要者に想起させるとすれば、それは、いずれも前後の文章等も含めての結果にすぎず、「玄米の力」「玄米のチカラ」の文字を単独で使用した場合に、原審説示のような意味合いを取引者・需要者が直接的に理解するとは言えない旨主張する。
しかしながら、その構成態様から、本願商標が一連一体のものとして認識されるのはそのとおりとしても、本願商標の商標法3条1項3号該当性を判断するに当たっては、このような一連一体の語句を構成する各語の意味に加え、取引の実情に照らし、取引者又は需要者によって、当該一連一体の語句が、商品の品質、効能、用途等の特徴を示すものと一般に認識されるものであるかどうかを検討する必要がある(知財高裁令和5年(行ケ)第10030号、同年9月7日判決)。
そして、上記(1)のとおり、本願商標全体よりは、その構成各語の意味から、「玄米の効能」ほどの意味合いが認識し得るものであって、また、本願の指定商品を含む、飲食料品を取り扱う分野において、玄米に関する健康効果や効能等を表す言葉として「玄米の力」の文字やこれに通じる「玄米のチカラ」「玄米のちから」といった表現が広く一般的に使用されている事実が認められることからすれば、本願商標をその指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、それが「玄米の効能を有する商品」であること、すなわち、商品の品質を表示したものと理解し、自他商品の識別標識としては認識し得ないものというのが相当である。
イ 請求人は、「原材料(食材)名」の後に「の力」の語を付加した構成よりなる商標の審決例又は登録例や、「玄米力」の文字からなる商標に係る過去の登録例を挙げ、本願商標もそれらと同様に登録を認められるべきである旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かの判断は、当該登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と指定商品又は指定役務との関係や、その商品又は役務の分野における取引の実情をも踏まえて、個別具体的に判断されるべきものであるところ、請求人の挙げた登録例は、判断時期や商標の構成態様が本願とは異なるなど、本願とは事案を異にするものというべきであり、また、過去の登録例が存在することをもって、上記判断が左右されるものではない。
エ したがって、請求人の上記ア及びイの主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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