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特許拒絶査定不服審判

2023-012031

肌照明デバイス

審判番号
2023-012031
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-545060外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2023年07月18日
審決日
2025年06月27日
公報発行日
2026年02月27日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (A44C)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条1項3号特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020-545060「肌照明デバイス」拒絶査定不服審判事件〔令和 元年 5月23日国際公開、WO2019/100034、令和 3年 3月18日国内公表、特表2021-509072〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2018年(平成30年)11月19日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2017年(平成29年)11月17日(US)米国)を国際出願日とする出願であって、令和4年8月23日付けの拒絶理由の通知に対し、令和5年2月21日に意見書が提出されるとともに、手続補正がなされたが、同年3月3日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年7月18日に審判の請求がなされると同時に手続補正がなされた。その後、令和6年9月27日に令和5年7月18日になされた手続補正が却下されるとともに、同日付けで拒絶理由が通知され、これに対して、令和7年4月1日に意見書が提出されるとともに、手続補正がなされたものである。 第2 本願発明 本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)は、令和7年4月1日に手続補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものであると認められる。 ・本願発明1 「【請求項1】 ユーザーの身体部位を光拡散媒体として使用するように前記ユーザーの身体部位を照明するデバイスであって、 前記ユーザーの身体部位を照明するように使用可能な可視光を発生させるように構成された光源と、 前記光源に動作可能に接続された形状保持具であって、照明された前記ユーザーの身体部位に装着するように構成されている、形状保持具と、 前記光源に動作可能に接続されたユーザーインターフェースであって、前記ユーザーが前記光源を制御するのを可能にするように構成された、ユーザーインターフェースと、 前記光源に動作可能に接続された電源であって、該デバイスに電力を提供するように構成された、電源と、 を備え、 前記形状保持具が照射された前記ユーザーの身体部位に装着される場合、前記光源が照射された前記ユーザーの身体部位に対向し前記光源から出射された光が照射された前記ユーザーの身体部位に透過して照射された前記ユーザーの身体部位に拡散するように該デバイスが構成され、照射された前記ユーザーの身体部位の内部から出射された光が、照射された前記ユーザーの身体部位の少なくとも前記光源が対向する側から視認できる、デバイス。」 第3 当審で通知した拒絶の理由 当審が令和6年9月27日付けで通知した拒絶の理由のうち、理由1及び2は、次の理由を含むものである。 ・理由1 この出願の請求項1に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された実願昭57-131616号(実開昭59-34611号公報)のマイクロフィルム(以下、「引用文献1」という。)に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない ・理由2 この出願の請求項1に係る発明は、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に記載された発明に基づいて、本願の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 第4 引用文献 1 引用文献1 引用文献1には、次の事項が記載されている。 (1)引用文献1に記載された事項 ア 「イヤリングの耳たぶ後方側に、照射方向を耳たぶ後面に向けた適宜の発光体を位置せしめるべく構成したことを特徴とするイヤリング。」(明細書1ページ4行(空白行を含まない。以下同様。)から同ページ6行) イ 「本考案は耳たぶ後方に、照射方向を耳たぶ後面に向けた発光体を位置せしめて該耳たぶ前面へ透過せしめるべく構成し、前方より見た際に耳たぶの一部が赤く染って見えるようになしたるイヤリングに関するものである。」(明細書1ページ8行から同ページ12行) ウ 「而して本考案にあっては係る問題に鑑み、光量の少ない場所等においても自己の存在を相手に分からしめその相手の関心を自分の方に引きつけるべくなしたものであり、イヤリングの耳たぶの後方側に適宜の発光体を位置せしめるべく構成し、該発光体より発する照射を耳たぶ後面に向けることにより耳たぶを透過せしめて該耳たぶの一部を赤く染め出すべくなしたものであり、また取付杆に吊着した装飾体内に電池等を内蔵せしめるので明るい場所においては通常のイヤリングとしても使用し得るイヤリングを呈せんとするものである。」(明細書2ページ12行から3ページ2行) エ 「(イ)イヤリングlはU字状に形成した取付杆2の一端に適宜の装飾具3を固着し、同じく取付杆2の他端には螺筒体4を固着する。該螺筒体4には螺杆5を螺着せしめ、該螺杆5の一端、即ち耳たぶ後面6を指向する側には発光ダイオード等からなる発光体7を前面に装着した耳押圧頭8を形成すると共に、他端には回動摘み具9を取付け、該回動摘み具9を耳押圧頭8が耳たぶ後面6側に移動すべく回動し、前記装飾具3と耳押圧頭8たる発光体7により耳たぶを挟持すべく構成する。一方取付杆2より適宜の吊下装飾体10を垂下せしめ、該吊下装飾体10には電池Aを内蔵すると共に、耳押圧頭8の発光体7は該吊下装飾体10内の電池Aと電気的に接続されイヤリング1を取付けた際耳たぶ後面6を弱押圧しながら照射すべく構成している。」(明細書3ページ5行から同ページ20行) オ 「(口)第2の実施例においては、螺杆5内部に電池装着孔11を形成して小型の棒状電池Aを装着し、前述の発光体7と該棒状電池Aを電気的に接続せしめ発光体7が耳たぶ後面6を弱押圧しながら照射すべく構成する。 (ハ)第3の実施例においては、螺杆5の他端に取付けた回動摘み具9に小型電池Aを内蔵せしめ、前述の発光体7と電気的に接続すると共に、該発光体7にて耳たぶ後面6を弱押圧しながら照射すべく構成する。 (ニ)第4の実施例においては、小型棒状電池Aを収納する筒形容器12の先端部に電気的に接続した発光体7を装着せしめ、該発光体7の先端位置がイヤリングlを取付けた際に耳たぶ後面6を軽く押圧せしめるべく、前記箇形容器12は螺杆5に平行状態に位置変更自在に螺筒体4に装着する。」(明細書4ページ1行から同ページ16行) カ 「以上のように本考案は、イヤリングlの耳たぶ後方側に、照射方向を耳たぶ後面6に向けた適宜の発光体7を位置せしめるべく構成したものであるから、例えば第lの実施例では耳たぶの前面に位置するリング状の装飾具3の中央部裏面即ち耳たぶ後面6に発光体7が位置しているので、耳たぶを透過した光により耳たぶの一部が円状に赤く染まり従来には見ることのできなかったユニークなるイヤリングとなるものである。その上電池Aを垂下する装飾体10内に内蔵せしめるべく構成しているので該吊下装飾体10が昼間においては通常の装飾体となるものである。また第2実施例~第4実施例では小粒の真珠等を装飾具3として取付杆2の一端に固着せしめ、螺杆5の一端に装着する耳押圧頭8たる発光体7をやや上方にずらして位置せしめるので、発光体7を照射しない際には目立つことのない上品なるイヤリングlとなり、場所により発光体7を耳たぶ後面6より照射すれば透過した光が表面の真珠上方の耳たぶを赤く染め出し、一転してユニークなるイヤリングに変り自己の存在を相手に分からしめ相手の関心を自分の方に引き付けるにふさわしい装身具となるものである。」(明細書4ページ17行から5ページ19行) キ 「尚、電池Aを第1例では垂下する装飾体10内に内蔵しているが、第2~第3の実施例に見られるように小型水銀電池等を回動摘み具9或いは螺杆5内に内蔵すれば形状そのものは通常のイヤリングと相違はなくなり小型化し得るものである。 また、ナイトクラブ或いはディスコ等の光量の少ない場所で使用すればその効果は一段と上るものであるが、明るい場所でも耳たぶを覆う如くの髪形とすれば透過した光により充分耳たぶを染め出し得るものである等既知のイヤリングには見ることのできなかったユニークなるイヤリングを呈せんとするものである。」(明細書5ページ20行から6ページ11行) ク 引用文献1には、次の第1図から第4図が記載されている。 [図:0001431466000001.jpg] (2)引用発明 引用文献1に記載されたイヤリング1は、装飾具3と耳押圧頭8たる発光体7により耳たぶを挟持しており、この装飾具3は、U字状に形成した取付杆2の一端に固着されており、耳押圧頭8たる発光体7は、取付杆2の他端に固着された螺筒体4に螺着せしめられる螺杆5の一端に形成され、さらにこの螺杆5の他端には回動摘み具9が取り付けられ(上記(1)エ及びクに示す第1図参照)、回動摘み具9を耳押圧頭8が耳たぶ後面6側に移動すべく回動し、装飾具3と耳押圧頭8たる発光体7により耳たぶを挟持する(上記(1)エ)から、取付杆2と、装飾具3と、螺筒体4と、螺杆5と、耳押圧頭8と、回動摘み具9とは、発光体7が耳たぶに押し当てられるように挟持する挟持具であるといえる。 そして、この挟持具が発光体7が耳たぶに押し当てられるように挟持する場合、発光体7は、耳たぶの後面に位置するので、耳たぶを透過した光により耳たぶの一部が円状に赤く染まる(上記(1)カ)ことが引用文献1に記載されており、この耳たぶを透過した光は、発光体7から照射された光と解される。 以上のこと及び、上記(1)に示す引用文献1の記載より、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 ・引用発明 「耳たぶを前方より見た際に前記耳たぶの一部が赤く染まって見えるように光を透過させるイヤリング1であって、 前記耳たぶを前方より見た際に前記耳たぶの一部が赤く染まって見えるように光を照射する発光体7と、 前記発光体7を前面に装着した耳押圧頭8を含む挟持具であって、前記発光体7が耳たぶに押し当てられるように挟持する挟持具と、 前記発光体7に電気的に接続された電池Aと を備え、 前記挟持具が前記発光体7が耳たぶに押し当てられるように挟持する場合、前記発光体7が前記耳たぶの後面に位置し前記発光体7から照射した光が前記耳たぶを透過して耳たぶの一部が円状に赤く染まるようにイヤリング1が構成されたイヤリング1。」 第5 対比、一致点及び相違点 本願発明1と引用発明とを対比する。 引用発明の「耳たぶ」は、本願発明1の「ユーザーの身体部位」に相当し、引用発明の「耳たぶを前方より見た際に前記耳たぶの一部が赤く染まって見えるように光を透過させる」ことは、耳たぶを照明し、この照明した光が透過することを意味するから、本願発明1の「ユーザーの身体部位を光拡散媒体として使用するように前記ユーザーの身体部位を照明する」ことと、ユーザーの身体部位を光が通るように前記ユーザーの身体部位を照明することで共通する。また、引用発明の「イヤリング1」は、本願発明1の「デバイス」に相当する。よって、引用発明の「耳たぶを前方より見た際に前記耳たぶの一部が赤く染まって見えるように光を透過させるイヤリング1」は、本願発明1の「ユーザーの身体部位を光拡散媒体として使用するように前記ユーザーの身体部位を照明するデバイス」とユーザーの身体部位を光が通るように前記ユーザーの身体部位を照明するデバイスである点で共通する。 引用発明において、「前記耳たぶを前方より見た際に前記耳たぶの一部が赤く染まって見えるように光を照射する」ことは、本願発明1の「前記ユーザーの身体部位を照明するように使用可能な可視光を発生させるように構成された」ことに相当し、引用発明の「発光体7」は、本願発明1の「光源」に相当する。 引用発明の「挟持具」は、本願発明1の「形状保持具」に相当し、引用発明の「前記発光体7を前面に装着した耳押圧頭8を含む挟持具」は、本願発明1の「前記光源に動作可能に接続された形状保持具」に相当し、引用発明の「前記発光体7が耳たぶに押し当てられるように挟持する」ことは、本願発明1の「照明された前記ユーザーの身体部位に装着するように構成されている」ことに相当する。よって、引用発明の「前記発光体7を前面に装着した耳押圧頭8を含む挟持具であって、前記発光体7が耳たぶに押し当てられるように挟持する挟持具」は、本願発明1の「前記光源に動作可能に接続された形状保持具であって、照明された前記ユーザーの身体部位に装着するように構成されている、形状保持具」に相当する。 引用発明において、電池Aが「前記発光体7に電気的に接続され」ているのは、電池Aからイヤリング1の発光体7に電力を供給するためであると解されるから、引用発明の「前記発光体7に電気的に接続された電池A」は、本願発明1の「前記光源に動作可能に接続された電源であって、該デバイスに電力を提供するように構成された、電源」に相当する。 引用発明において「前記挟持具が前記発光体7が耳たぶに押し当てられるように挟持する場合」は、本願発明1の「前記形状保持具が照射された前記ユーザーの身体部位に装着される場合」に相当し、引用発明の「前記発光体7が前記耳たぶの後面に位置し」ていることは、本願発明1の「前記光源が照射された前記ユーザーの身体部位に対向し」ていることに相当する。さらに引用発明の「前記発光体7から照射した光が前記耳たぶを透過して耳たぶの一部が円状に赤く染まるようにイヤリング1が構成された」ことは「耳たぶの後面に位置」している発光体7から照射した光が耳たぶを透過して、「耳たぶを前方より見た際に前記耳たぶの一部が赤く染まって見える」ようにしたものであるから、本願発明1の「前記光源から出射された光が照射された前記ユーザーの身体部位に透過して照射された前記ユーザーの身体部位に拡散するように該デバイスが構成され」ていることと、光源から出射された光が照射された前記ユーザーの身体部位を通るように該デバイスが構成されている点で共通する。 以上のことから、本願発明1と引用発明とは、次の一致点及び相違点1から3を有する。 ・一致点 「ユーザーの身体部位を光が通るように前記ユーザーの身体部位を照明するデバイスであって、 前記ユーザーの身体部位を照明するように使用可能な可視光を発生させるように構成された光源と、 前記光源に動作可能に接続された形状保持具であって、照明された前記ユーザーの身体部位に装着するように構成されている、形状保持具と、 前記光源に動作可能に接続された電源であって、該デバイスに電力を提供するように構成された、電源と、 を備え、 前記形状保持具が照射された前記ユーザーの身体部位に装着される場合、前記光源が照射された前記ユーザーの身体部位に対向し前記光源から出射された光が照射された前記ユーザーの身体部位に通るように該デバイスが構成される、デバイス。」 ・相違点1 本願発明1のデバイスは、「前記光源に動作可能に接続されたユーザーインターフェースであって、前記ユーザーが前記光源を制御するのを可能にするように構成された、ユーザーインターフェース」を備えるのに対し、引用発明は、ユーザーが発光体7を制御するユーザーインターフェースを備えることが特定されていない点。 ・相違点2 ユーザーの身体部位を光が通る点に関して、本願発明1のデバイスは、「ユーザーの身体部位を光拡散媒体として使用する」ものであって、「前記光源から出射された光が照射された前記ユーザーの身体部位に透過して照射された前記ユーザーの身体部位に拡散するように該デバイスが構成され」ているのに対し、引用発明のイヤリング1は、「耳たぶを前方より見た際に前記耳たぶの一部が赤く染まって見えるように光を透過させる」ものであって、「前記発光体7が前記耳たぶの後面に位置し前記発光体7から照射した光が前記耳たぶを透過して耳たぶの一部が円状に赤く染まるように」構成されているものの、ユーザーの身体部位である耳たぶで光が拡散するように構成されているか否かは、不明な点。 ・相違点3 本願発明1は、「照射された前記ユーザーの身体部位の内部から出射された光が、照射された前記ユーザーの身体部位の少なくとも前記光源が対向する側から視認できる」のに対し、引用発明は、「耳たぶを前方より見た際に前記耳たぶの一部が赤く染まって見える」ものの、耳たぶの後面から見た際に耳たぶの内部から出射された光が見えるかが不明な点。 第6 判断 相違点1から3について検討する。 1 相違点1について 引用文献1には、発光体7と電池Aとの電気的接続をオン又はオフにすることについて明記されていないものの、吊下装飾体10が昼間においては通常の装飾体となること(上記第4・1(1)カ参照)も記載されており、他の実施例である第2実施例~第4実施例においては、発光体7を照射しないこと(上記第4・1(1)カ参照)も記載されていることを踏まえると、第1実施例においても、通常、昼間や使用しない状態において、発光体7を照射させ続けることは考えられず、昼間や使用しない場合は、発光体7を照射させないと考えるのが普通である。 そうすると、引用発明において、イヤリング1が発光体7と電池Aとの電気的接続をオン又はオフにするために、ユーザーインターフェースを備えることは明らかであるといえ、上記相違点1は、実質的な相違点であるとはいえない。仮に、前記ユーザーインターフェースを備えることが明らかでないとしても、引用文献1には、発光体7を照射しないことについての示唆があるから、発光体7の照射をコントロールするためのユーザーインターフェースを備えることは当業者が適宜なし得た設計的事項である。 2 相違点2及び3について 相違点2及び3は、光源から出射された光の見え方に関する相違点であって、関連する相違点であるから、併せて検討する。 引用発明は、「前記発光体7から照射した光が前記耳たぶを透過して耳たぶの一部が円状に赤く染まるように」構成され、このとき、「前記耳たぶを前方より見た際に前記耳たぶの一部が赤く染まって見える」ものであるから、少なくとも、発光体7から照射された光は、耳たぶを透過、すなわち、耳たぶの後面より耳たぶに入り、耳たぶの前面から出るものと理解できる。 ところで、一般的に耳たぶを含む人体や、他の物質等(以下、「耳たぶ等」という。)に光を照射したとき、照射した光の全てがその耳たぶ等に入ることはなく、照射した光の一部は、耳たぶ等の表面で反射する。このことは、請求人が令和7年4月1日に提出した意見書において、引用文献1のデバイスについて、「耳たぶの後ろでは、観察者が見る光は、耳たぶから反射された光のみです」と主張していることとも整合する(「(2)理由1(新規性)、理由2(進歩性)について」参照。なお、このような「光のみ」であることまで、整合するとしているものではない。)。 また、耳たぶは、一般的に、均一な組織でできているものではなく、表皮及び真皮等の皮膚組織とその内側の脂肪組織と共に毛細血管が張りめぐらされたものとなっている。 そうすると、引用発明において、発光体7から照射された光が耳たぶの後面より耳たぶに入り、耳たぶの前面から出るためには、耳たぶの後面より耳たぶに入り、皮膚組織の表面、脂肪組織の表面、及び毛細血管表面とそこを流れる血液等に当たり、反射等を繰り返し、耳たぶの前面から出ることとなり、これは、引用発明において、「前記耳たぶを前方より見た際に前記耳たぶの一部が赤く染まって見えるように光」が実質的に耳たぶの内部で拡散した光であることを意味する。また、耳たぶの内部で反射等を繰り返した光は、その全てが「前記耳たぶを前方より見た際に前記耳たぶの一部が赤く染まって見えるよう」な光となるものではなく、耳たぶの後ろ側、すなわち、光源である発光体7が対向する側からも耳たぶの外部へ出るから、この光は、「前記挟持具が前記発光体7が耳たぶに押し当てられるように挟持する場合」に視認できるものである。 そうすると、相違点2及び3は、実質的な相違点であるとはいえない。 また、仮に実質的な相違点であるとしても、引用発明のイヤリング1は、「光量の少ない場所等においても自己の存在を相手に分からしめその相手の関心を自分の方に引きつけるべくなしたものであり」(上記第4・1(1)ウ)、ここで、自己の存在を分からしめ、自分の方に引きつける相手は、自己の前面にいる相手だけでなく、後方を含む様々な方向にいる相手と考えられるから、引用発明において、耳たぶを光拡散媒体とし、上記相違点2及び3に係る本件発明1の発明特定事項を得ることは、当業者が容易に想到し得た事項である。 3 効果について 本願発明1と引用発明との一致点、相違点1から3に係る本願発明1の発明特定事項を一体にみても、本願発明1が奏する効果は、引用発明から当業者が予想し得る範囲のものであって、格別なものとはいえない。 4 請求人の主張について 請求人は、令和7年4月1日に提出した意見書において、「引用文献1には、光源からの光が耳たぶの前面に透過し、耳たぶの一部が正面から見て赤色に着色されていることが記載されています(・・・)。・・・すなわち、透過光に関する情報のみが存在し、拡散光に関する情報は存在しません。」と主張し、また、「耳たぶの後ろでは、観察者が見る光は、耳たぶから反射された光のみです」と主張している。しかし、引用発明のイヤリング1において、発光体7から耳たぶに照射された光のうち観察者が見る光が透過光と反射光だけではないのは、上記相違点2及び3について検討したとおりであるから、請求人の主張は、採用することができない。 また、請求人は、同じく意見書において、「引用文献1にはユーザーインターフェースに関する情報はなく、図1-図4では、その存在のヒントさえありません。したがって、引用文献1からはユーザーインターフェースが分からない。少なくとも、引用文献1からはユーザーインターフェースが既知であるという明確な結論を導くことはできません」とも主張する。しかし、引用文献1の記載から、引用発明のイヤリング1が、発光体7をオン又はオフするためのユーザーインターフェースを備えることは明らかであり、また仮にそうでないとしても、当業者が適宜なし得た設計的事項といえる(上記1参照)から、請求人の主張は、採用することができない。 さらに、請求人は、同じく意見書において、「本願発明は、より均一な照明を提供し、視認性を高め、ユーザーの身体部位を照明する際に注目を集めることを目的とし」、「本願発明においては、より均一な照明を実現するために、使用者の身体部位に侵入して拡散する光はできるだけ多く用いられ」るのに対し、「引用文献1によるデバイスは、耳たぶをクランプし、の図1及び2(当審注:「引用文献1の図1及び2」の誤記)から分かるように、光源を耳たぶに強く押し付けると、耳たぶが著しく変形し」、「引用文献1のデバイスを使用する場合、光源が耳たぶに押し付けられると、充分に大きな白色光(透過光)のスポットがもたらされ、赤色(拡散)光が周辺部でわずかにしか見えないので、光源が耳たぶに押し付けられることが必須であるため、耳たぶの前部でさえ非常に不均一に照らされます」とも主張する。しかし、本願発明1は、上記第2に示すとおりであって、「前記光源に動作可能に接続された形状保持具であって、照明された前記ユーザーの身体部位に装着するように構成されている、形状保持具」を備え、「前記形状保持具が照射された前記ユーザーの身体部位に装着される」ことは、特定されているが、この形状保持具をユーザーの身体部位にどのように装着するか、すなわち、光源がユーザーの身体部位に押しつけられるように、形状保持具を装着するか、あるいは、光源がユーザーの身体部位に触れる程度に形状保持具を装着するかまでは、特定されていないから、請求人の主張は、本願発明1の発明特定事項に基づくものではない。また、本願発明1と引用発明とは、「前記光源が照射された前記ユーザーの身体部位に対向し前記光源から出射された光が照射された前記ユーザーの身体部位に通る」点において、共通するものであり(上記第5参照。)、引用発明において、耳たぶで光が拡散するように構成されること、身体部位の内部から出射された光が身体部位の光源が対向する側から視認できることは、上記2に示す「相違点2及び3について」において判断したとおりであるから請求人の上記主張には根拠がない。 5 まとめ よって、上記相違点1から3は、実質的な相違点とはいえず、本願発明1は、引用発明である。また、仮に、相違点1から3が実質的な相違点であるとしても、相違点1から3に係る本願発明1の発明特定事項を得ることは、当業者が容易になし得た事項である。 第7 結論 以上のとおり、本願発明1は、引用発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、同法第29条第1項の規定により特許を受けることができず、また、仮にそうでないとしても、本願発明1は、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、同条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-012031

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