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特許拒絶査定不服審判

2019-001891

車両用電力変換装置ユニット

審判番号
2019-001891
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2016-223746外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2019年02月12日
審決日
2019年12月03日
公報発行日
2020年03月27日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (B60R)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2016-223746号「車両用電力変換装置ユニット」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 5月24日出願公開、特開2018- 79810号〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、平成28年11月17日に出願されたものであって、平成29年11月17日付けで拒絶理由が通知され、平成30年1月9日に意見書及び手続補正書が提出され、同年6月7日付けで2回目の拒絶理由が通知され、同年7月30日に意見書及び手続補正書が提出され、同年12月4日付けで2回目の拒絶理由による拒絶査定がされ、平成31年2月12日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。 第2 本願発明 本願の請求項1~8に係る発明は、平成30年7月30日の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~8に記載された事項により特定しようとするものであると認められるところ、その請求項1には、次のとおりに記載されている。 「車両に搭載されたバッテリの電力を複数のスイッチング素子により変換して出力する電力変換装置と、前記バッテリの電圧端子と前記電力変換装置の出力端子とを接続するバッテリケーブルとを備えた車両用電力変換装置ユニットであって、 前記電力変換装置の金属筐体は、前記車両のエンジンを冷却するラジエータの冷却ファンによる風、または前記車両の走行による走行風が当たるように配置され、 前記バッテリケーブルの少なくとも一部は、前記冷却ファンによる風または前記走行風の流路内において前記金属筐体に沿って前記金属筐体と接触するように配線されていることを特徴とする車両用電力変換装置ユニット。」 ここで、上記請求項1の「車両に搭載されたバッテリの電力を複数のスイッチング素子により変換して出力する電力変換装置と、前記バッテリの電圧端子と前記電力変換装置の出力端子とを接続するバッテリケーブル」との記載事項について検討する(下線は当審で付加。以下同様。)。 本願明細書の段落【0014】には、各実施の形態の共通の説明として「車両用電力変換装置ユニット3は、電力変換装置4とバッテリケーブル5とを備えている。電力変換装置4は、例えばDC-DCコンバータであり、主バッテリである高電圧バッテリの直流電力を、複数のスイッチング素子により所定の直流電力に下降変換して補機バッテリ6に出力し、補機バッテリ6を充電させる。バッテリケーブル5は、補機バッテリ6の電圧端子6aと電力変換装置4の出力端子4aとを接続する。」と記載されており、「電力変換装置4」は、符号のない「主バッテリ」からの電力を変換して「補機バッテリ6」に出力するものであることが示されている。 そうすると、上記記載事項において「前記バッテリ」との記載は、最初に記載された「バッテリ」(本願明細書でいう「主バッテリ」)とは別の「バッテリ」(本願明細書でいう「補機バッテリ6」)を意図していることは明らかであるから、「前記」という記載は誤記と認める。 したがって、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりと認める。なお、最初に記載された「バッテリ」と次に記載された「バッテリ」とを明確に区別するため、後者を便宜的に「別のバッテリ」と表記する。 「車両に搭載されたバッテリの電力を複数のスイッチング素子により変換して出力する電力変換装置と、別のバッテリの電圧端子と前記電力変換装置の出力端子とを接続するバッテリケーブルとを備えた車両用電力変換装置ユニットであって、 前記電力変換装置の金属筐体は、前記車両のエンジンを冷却するラジエータの冷却ファンによる風、または前記車両の走行による走行風が当たるように配置され、 前記バッテリケーブルの少なくとも一部は、前記冷却ファンによる風または前記走行風の流路内において前記金属筐体に沿って前記金属筐体と接触するように配線されていることを特徴とする車両用電力変換装置ユニット。」 第3 原査定の概要 この出願の請求項1~8に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献1:特開2010-83317号公報 引用文献2:特開2014-54065号公報 引用文献3:特開2004-262368号公報(周知技術を示す文献) 引用文献4:特開2013-129259号公報(周知技術を示す文献) (請求項1に係る発明については、引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基いて容易想到としている。) 第4 引用文献の記載事項等 1 引用文献1について (1)記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面と共に次の事項が記載されている。 (1a)「【請求項1】 エンジンコンパートメント内に配置されると共に動力を出力可能なエンジンと、動力を出力可能なモータと、該モータと電力をやり取り可能な蓄電手段と、該蓄電手段からの電力を用いて前記モータを駆動可能なインバータを含むモータ駆動ユニットとを備えたハイブリッド車両において、 前記モータ駆動ユニットは、ラジエータグリルと対向すると共に前記インバータの実装面が車両の前後方向と概ね直交するように前記エンジンコンパートメント内に配置されることを特徴とするハイブリッド車両。」 (1b)「【0014】 図1は、本発明の一実施例に係るハイブリッド車両としてのハイブリッド自動車20を示す斜視図である。同図に示すハイブリッド自動車20は、動力を出力可能なエンジン22と、それぞれ動力を入出力可能な2体のモータMG1およびMG2と動力分配機構とからなるハイブリッドトランスアクスル30と、モータMG1およびMG2を駆動するためのパワーコントロールユニット40と、パワーコントロールユニット40を介してモータMG1およびMG2と電力をやり取り可能なバッテリ50とを備える。」 (1c)「【0017】 パワーコントロールユニット40は、バッテリ50側からの直流電力を交流電力に変換してモータMG1に印加したり、モータMG1からの交流電力を直流電力に変換してバッテリ50側に供給したりする第1のインバータや、バッテリ50側からの直流電力を交流電力に変換してモータMG2に印加したり、モータMG2からの交流電力を直流電力に変換してバッテリ50側に供給したりする第2のインバータ、バッテリ50からの電力を昇圧して第1および第2のインバータに供給すると共に第1および第2のインバータからの電力を降圧してバッテリ50に供給することができる昇圧コンバータ、コンデンサ、バッテリ50からの電力を降圧して補機用バッテリや他の補機類に供給可能なDC/DCコンバータ、電力制御用のIPM(インテリジェントパワーマネージメント)モジュール、第1および第2のインバータ等を介してモータMG1およびMG2を制御するモータ用電子制御ユニット等を含む。」 (1d)「【0020】 図2は、エンジンコンパートメント21における主要機器の配置状態を示す模式図である。同図に示すように、エンジン22は、エンジンコンパートメント21にクランクシャフトの軸方向が車幅方向に一致するように横置きに搭載される。また、ハイブリッドトランスアクスル30は、エンジン22に接続されると共にモータMG1およびMG2ならびに動力分配機構の軸方向が車幅方向に一致するように横置きに配置される。更に、パワーコントロールユニット40も、エンジン22やハイブリッドトランスアクスル30と共にエンジンコンパートメント21内に搭載される。実施例において、パワーコントロールユニット40は、図2に示すように、エンジンコンパートメント21の前部に形成されたラジエータグリル24からの走行風が当たるように、当該ラジエータグリル24やその背後に配置されたラジエータ25と対向するようにハイブリッドトランスアクスル30の近傍に設置される。 【0021】 ここで、パワーコントロールユニット40は、図2および図3に示すように、コンデンサケース41とインバータケース42とフロントカバー43とを含む。コンデンサケース41とインバータケース42とは、パワーコントロールユニット40の耐加振性を向上させるべくアルミダイキャストにより鋳造されたアルミニウム合金等からなる筐体である。コンデンサケース41の内部には、コンデンサ44が収容され、コンデンサケース41の車両後方側には、DC/DCコンバータ48が取り付けられる。また、インバータケース42の内部には、モータMG1用の第1のインバータとモータMG2用の第2のインバータと含むインバータユニット45が収容される。実施例において、インバータユニット45は、パワーコントロールユニット40の車載時に第1および第2のインバータの基板表面(実装面)が車両前後方向と概ね直交するように(縦置き状態となるように)インバータケース42の内部に配置される。更に、インバータユニット45の車両前方側には、リアクトル等を含む昇圧コンバータ46が並設される。昇圧コンバータ46も、パワーコントロールユニット40の車載時に、その基板表面(実装面)が車両前後方向と概ね直交するように(縦置き状態となるように)配置される。」 (1e)「【0023】 また、フロントカバー43は、車両前方から衝撃に対する強度を確保すべく鉄板等の鋼材を例えばプレス成形することにより製造されるものであり、パワーコントロールユニット40の車載時にインバータケース42よりも車両前側でラジエータグリル24と対向すると共に昇圧コンバータ46を覆うように複数のボルトを用いてインバータケース42に対して締結(固定)される。また、フロントカバー43の表面には、プレス加工により、パワーコントロールユニット40の車載時に車両上下方向および車幅方向に延びるように凹部43aが形成されている(図4参照)。そして、フロントカバー43の内部には、昇圧コンバータ46と共に、モータ用電子制御ユニットやIPMモジュール等が実装された基板47が収容される。これにより、電子部品としての昇圧コンバータ46および基板47は、パワーコントロールユニット40の車載時にインバータユニット45よりもラジエータグリル24側に位置する状態で車両前方側からフロントカバー43により覆われることになる。なお、実施例において、基板47も、その実装面がパワーコントロールユニット40の車載時に車両前後方向と概ね直交するように(縦置き状態となるように)フロントカバー43の内部に収容される。また、基板47は、必ずしもフロントカバー43内に収容される必要はなく、インバータケース42の内部や、インバータケース42よりも車両後方側に搭載されてもよい。 【0024】 そして、実施例のハイブリッドトランスアクスル30とパワーコントロールユニット40とに対しては、LLC(ロングライフクーラント)といった冷媒(液体)を用いて両者を冷却可能なハイブリッド冷却系統60が設けられている。ハイブリッド冷却系統60は、モータMG1およびMG2や動力分配機構の周囲を囲むようにハイブリッドトランスアクスル30のケースに形成された冷媒通路(ウォータジャケット)へと冷媒を圧送する冷媒ポンプ61や図示しないフィラータンク等を含み、ハイブリッドトランスアクスル30のモータMG1,MG2等と熱交換した冷媒はラジエータ25で放熱させられる。そして、ラジエータ25で放熱した冷媒は、DC/DCコンバータ48の冷却に供された後、インバータケース42に形成された冷媒通路42aへと導かれる。実施例の冷媒通路42aは、図3に示すように、インバータユニット45の車両前方側および車両後方側で当該インバータユニット45と冷媒との熱交換を可能とすると共に、昇圧コンバータ46の車両後方側で当該昇圧コンバータ46と冷媒との熱交換を可能とするようにインバータケース42に形成されている。冷媒通路42aを通過した冷媒は、図示しないフィラータンクを介して冷媒ポンプ61の吸入口へと導かれる。 【0025】 以上説明したように、実施例のハイブリッド自動車20では、ラジエータグリル24と対向すると共にインバータユニット45の実装面が車両前後方向と概ね直交するようにパワーコントロールユニット40がエンジンコンパートメント21内に配置される。これにより、ラジエータグリル24を介してエンジンコンパートメント21内に流入する走行風をパワーコントロールユニット40に良好に当てることができるので、当該パワーコントロールユニット40をより効率よく冷却することが可能となる。また、実施例のハイブリッド自動車20は、冷媒を利用してパワーコントロールユニット40を冷却するハイブリッド冷却系統60を備えており、ラジエータグリル24を介してエンジンコンパートメント21内に流入する走行風とハイブリッド冷却系統60の冷媒とを併用しながらパワーコントロールユニット40を冷却することで、ハイブリッド冷却系統60の負担を抑えつつ、パワーコントロールユニット40をより効率よく冷却することが可能となる。」 (2)認定事項 (1f)記載事項(1e)の段落【0023】より、「昇圧コンバータ46と共に、モータ用電子制御ユニットやIPMモジュール等が実装された基板47」を「インバータケース42」に収容する態様が認定できる。 (3)記載された発明 上記(1)、(2)及び【図1】~【図4】の記載より、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認める。 「エンジンコンパートメント21内に配置されると共に動力を出力可能なエンジン22と、それぞれ動力を入出力可能な2体のモータMG1およびMG2と動力分配機構とからなるハイブリッドトランスアクスル30と、モータMG1およびMG2を駆動するためのパワーコントロールユニット40と、パワーコントロールユニット40を介してモータMG1およびMG2と電力をやり取り可能なバッテリ50とを備えたハイブリッド自動車20のパワーコントロールユニット40において、 パワーコントロールユニット40は、バッテリ50側からの直流電力を交流電力に変換してモータMG1に印加したり、モータMG1からの交流電力を直流電力に変換してバッテリ50側に供給したりする第1のインバータや、バッテリ50側からの直流電力を交流電力に変換してモータMG2に印加したり、モータMG2からの交流電力を直流電力に変換してバッテリ50側に供給したりする第2のインバータ、バッテリ50からの電力を昇圧して第1および第2のインバータに供給すると共に第1および第2のインバータからの電力を降圧してバッテリ50に供給することができる昇圧コンバータ、コンデンサ、バッテリ50からの電力を降圧して補機用バッテリや他の補機類に供給可能なDC/DCコンバータ48、電力制御用のIPM(インテリジェントパワーマネージメント)モジュール、第1および第2のインバータ等を介してモータMG1およびMG2を制御するモータ用電子制御ユニット等を含み、 エンジン22は、エンジンコンパートメント21にクランクシャフトの軸方向が車幅方向に一致するように横置きに搭載され、ハイブリッドトランスアクスル30は、エンジン22に接続されると共にモータMG1およびMG2ならびに動力分配機構の軸方向が車幅方向に一致するように横置きに配置され、パワーコントロールユニット40も、エンジン22やハイブリッドトランスアクスル30と共にエンジンコンパートメント21内に搭載され、パワーコントロールユニット40は、エンジンコンパートメント21の前部に形成されたラジエータグリル24からの走行風が当たるように、当該ラジエータグリル24やその背後に配置されたラジエータ25と対向するようにハイブリッドトランスアクスル30の近傍に設置され、 パワーコントロールユニット40は、コンデンサケース41とインバータケース42とフロントカバー43とを含み、コンデンサケース41とインバータケース42とは、アルミダイキャストにより鋳造されたアルミニウム合金からなる筐体であり、フロントカバー43は鋼材からなり、インバータケース42の内部には、モータMG1用の第1のインバータとモータMG2用の第2のインバータと含むインバータユニット45と、昇圧コンバータ46と共に、モータ用電子制御ユニットやIPMモジュール等が実装された基板47が収容され、コンデンサケース41の内部には、コンデンサ44が収容され、コンデンサケース41の車両後方側には、DC/DCコンバータ48が取り付けられ、 ハイブリッドトランスアクスル30とパワーコントロールユニット40とに対しては、冷媒を用いて両者を冷却可能なハイブリッド冷却系統60が設けられており、 ラジエータグリル24を介してエンジンコンパートメント21内に流入する走行風をパワーコントロールユニット40に良好に当てることができるので、当該パワーコントロールユニット40をより効率よく冷却することが可能となる、ハイブリッド自動車20のパワーコントロールユニット40。」 2 引用文献2について (1)記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面と共に次の事項が記載されている。 (2a)「【請求項1】 走行用のモータに交流電力を供給するパワーコントロールユニットであり、 インバータ回路を冷却する冷却器が内蔵されており、 パワーコントロールユニットと他のデバイスを電気的に接続するバスバがパワーコントロールユニットの外側に配索されているとともに、そのバスバの一部が前記冷却器に対応する筐体外壁部分の外面に接していることを特徴とするパワーコントロールユニット。」 (2b)「【0006】 本願出願人は、バスバ(大電流を通す導電体であり、棒状の金属部材による導電体。通常はPCU筐体内で配索される)の一部を、PCUの外側に配索することによって、PCUの温度上昇を抑制することを提案した(特願2011-112071号、本願出願時は未公開)。本明細書は、特願2011-112071号で提案した技術をさらに改良し、バスバの一部をPCU筐体外側に配索する際に、PCU内部の熱を受けて温度が上昇するバスバを効率よく冷却する技術を提供する。」 (2c)「【0012】 図面を参照して実施例のPCU2(パワーコントロールユニット)を説明する。PCU2は、2個のモータとエンジンを駆動力として備えるハイブリッド車に搭載されるデバイスである。まず、PCU2を含む、ハイブリッド車1の電力系を説明する。図1に、ハイブリッド車1の電力系のブロック図を示す。ハイブリッド車1では、2個のモータ45、46の駆動軸とエンジン43の駆動軸が動力分配機構44に連結しており、動力分配機構44の出力は車軸47とデフ48を介して駆動輪49に伝達される。詳しい説明は省略するが、動力分配機構44は、プラネタリギアで構成されており、エンジン43の出力と2個のモータ45、46の出力を適宜に合成/分配して車軸47へ伝達する。また、場合によっては、動力分配機構44は、エンジン43の出力を一方のモータ45の出力軸へと伝達する。この場合、モータ45はエンジン43によって駆動され、発電機として機能する。さらに、ドライバがブレーキペダルを踏んだ際、動力分配機構44は、車軸47をモータ45と連動させる。この場合、モータ45は、車両の運動エネルギから駆動力を得て回転し、発電する。車両の運動エネルギを使って発電することは一般に「回生」と呼ばれる。 【0013】 ハイブリッド車1の電力系は、主として、メインバッテリ40、低電圧バッテリ(補機バッテリ)41、及び、PCU(パワーコントロールユニット)で構成される。その他にも、例えば、メインバッテリ40とPCU2の間には、システムメインリレーが備えられている。電力系を構成するデバイスは他にもあるが、ここでは、それらの説明は省略する。」 (2d)「【0015】 PCU2は、昇降圧コンバータ33、降圧コンバータ37、2個のインバータ回路35、36、2個のコンデンサ31、32、及び、制御基板34を含む。メインバッテリ40は、昇降圧コンバータ33と降圧コンバータ37に接続される。別言すれば、メインバッテリ40の出力電力は、昇降圧コンバータ33と降圧コンバータ37にそれぞれ入力される。PCU2の筐体には、上記のデバイスが格納される。 【0016】 昇降圧コンバータ33は、メインバッテリ40の出力電圧を、モータ駆動に適した電圧(例えば600ボルト)に昇圧する。また、昇降圧コンバータ33は、モータ45が発電する場合には、その電力をメインバッテリ40の電圧まで降圧する。 【0017】 降圧コンバータ37は、メインバッテリ40の出力電圧を、低電圧バッテリ41の充電に適した電圧に降圧する。降圧コンバータ37の高電圧側はメインバッテリ40に接続しており、低電圧側は、中継器38、39を介して補機バッテリ41の電力線42に接続している。電力線42には様々な補機が接続されるが、図1の「to AUX」の文字が、様々な補機が接続されることを簡略に表している。中継器38、39は、PCU2の筐体の側面に設置されているボックスであり、それらの間を接続する導体には棒状の金属材が用いられる。その棒状の金属部材がバスバ4に相当する。なお、中継器38は、PCU2の内部の電気ケーブル(バスバ)と、PCU2の筐体の外に配索されるバスバ4を接続するためのボックスであるので、図1では、PCUの筐体を表す矩形の境界に中継器38を描いてある。中継器38、39、バスバ4については後に改めて説明する。」 (2e)「【0019】 昇降圧コンバータ33の高電圧側には、コンデンサ32を介して、2個のインバータ回路35、36が接続されている。インバータ回路35、36は、それぞれ、昇圧された直流電力を、モータの駆動に適した交流電力に変換し、夫々のモータ45、46に供給する。インバータ回路35、36は、2個のスイッチング回路(典型的にはIGBTなどのトランジスタとそれに逆並列に接続されるダイオード)の直列接続回路が3セット並列に接続した回路構成を有している。 【0020】 昇降圧コンバータ33や降圧コンバータ37も、インバータ回路と同様にスイッチング回路を備える。昇降圧コンバータ33、降圧コンバータ37、及び、2個のインバータ回路35、36が備えるスイッチング回路は、制御基板34に実装されたコントローラによって制御される。具体的には、コントローラは、スイッチング回路のトランジスタのゲートに加えるPWM信号を生成して各トランジスタに与える。昇降圧コンバータ、降圧コンバータ、及び、インバータ回路の具体的な回路構成は良く知られているので詳しい説明は省略する。 【0021】 電気自動車のモータは出力が大きく、インバータ回路は大電流を扱うため、発熱が大きい。特に、スイッチング回路の発熱が大きく、従って、PCU2は、スイッチング回路を冷却するための冷却器を備える。図2に、冷却器3の構造を示す。なお、この冷却器3は、2個のトランジスタ(IGBT)と2個のダイオードを樹脂でモールドした複数のパッケージ13と冷媒が通る複数の冷却プレート12が交互に積層した構造を有しており、パワーユニットとでも称すべきものであるが、本明細書では、冷却器に焦点を置いているので、上記の積層体を冷却器3と称する。 【0022】 冷却器3の構造を概説する。パッケージ13は、2個のトランジスタ(IGBT)15と2個のダイオード16を樹脂で封止したものである。パッケージ13の内部にて、2個のトランジスタ15は直列に接続している。2個のダイオード16は、それぞれ、トランジスタ15に逆並列に接続している。トランジスタとダイオードの逆並列の回路がスイッチング回路に相当する。すなわち、パッケージ13は、2個のスイッチング回路が直列に接続された回路構成を内部に備えている。パッケージ13の下側には、3本の金属板状の端子17が延びている。それらは、2個のスイッチング回路の直列接続に高電圧側に繋がる端子、低電圧側に繋がる端子、及び、直列接続の中間に繋がる端子である。これらの端子17には大電流が流れるため、金属板が用いられる。パッケージ13の上側には、IGBTのゲートに繋がる制御線18が延びている。ゲートに供給する電流(すなわちPWM信号)は、エミッタやコレクタに流れる電流(モータを駆動するための電流)よりもはるかに小さく、それゆえ、制御線18には金属細線が用いられる。 【0023】 前述したように、インバータ回路は、2個のスイッチング回路の直列接続が3セット並列に接続された構造を有している、それぞれのパッケージ13が一つの直列回路を構成するので、3個のパッケージ13で一つのインバータ回路が構成される。図2に示すように、冷却器3には、6個のパッケージ13が積層されており、そのうちの3個のパッケージ13が一方のインバータ回路35に相当し、残りの3個のパッケージ13が他方のインバータ回路36に相当する。なお、昇降圧コンバータ33や降圧コンバータ37もスイッチング回路を備えており、昇降圧コンバータ33や降圧コンバータ37のスイッチング回路を内蔵したパッケージがインバータ回路用のパッケージと一緒に積層される場合もある。」 【0024】 パッケージ13は、両側にセラミック製の絶縁プレート19を配して、隣接した冷却プレート12に挟持される。冷却プレート12は、内部を冷媒が通り、2枚の冷却プレート12がパッケージ13を両側から冷却する。隣接する冷却プレート12は、2個の管(接続管)で接続されており、積層体の一端の冷却プレート12には冷媒供給と排出のためのパイプ14が接続される。一方のパイプ14から供給される冷媒は、一方の接続管を通じて全ての冷却プレート12に行き亘る。冷却プレート12を横断してパッケージ13から熱を奪った冷媒は、別の接続管とパイプ14を通じて排出される。」 (2f)「【0025】 図3にPCU2の外観図を示す。図3は、PCUの筐体を斜め下方から見た図である。図1を参照して説明したように、PCU2の側面に中継器38、39が取り付けられている、中継器38は、内部の降圧コンバータ37の低電圧側端子とバスバ4の一端を接続するためのボックスであり、中継器39は、バスバ4の他端と補機系の電力線を繋ぐワイヤハーネス51を接続するためのボックスである。夫々のボックス内では、端子やバスバなどの金属板同士がボルトにて確実に接続される。 【0026】 バスバ4は、PCU2の一つの側面(第1の側面2a)にて中継器38から延びており、第1側面2aに沿って進み、隣接する第2の側面2bに沿って湾曲し、その第2側面2bに設けられた中継器39へと続いている。バスバ4は、本来はPCU2の筐体内部に配索されてもよいのであるが、PCU2の筐体を小型化すると、筐体内部にバスバを配索するスペースが適切に確保できなくなる場合がある。実施例のPCU2はそのような状況にあり、それゆえ、バスバ4を筐体外側に配索している。バスバ4を筐体外側に配索することによって、PCU2の筐体がその分小型化できている。 【0027】 前述したように、PCU2の筐体には、昇降圧コンバータ33、降圧コンバータ37、2個のインバータ回路35、36、2個のコンデンサ31、32、及び、制御基板34が格納される。前述したように、インバータ回路35、36の主要構成部品であるスイッチング回路は冷却器3に含まれる。即ち、図2に示した冷却器3もPCU2に内蔵される。なお、図3では、図2に示した冷却器3を単純な直方体で示してある。バスバ4は、冷却器3に対応する筐体外壁部分に接するように配索されている。別言すれば、冷却器3は、PCU2の筐体外壁を挟んでバスバ4と対向している。図4に、図3のVI-VI矢視における断面図を示す。冷却器3は、PCU2の外壁21の内面に接しており、バスバ4は、外壁21の外面(上記した第1側面2a)に接している。」 (2g)「【0029】 PCU2の特徴と利点を説明する。PCU2は、筐体全体を小型化するため、バスバ4を筐体外側に配索している。バスバ4は、その一端が降圧コンバータ37の出力端(低電圧側の端子)に連なっており、降圧コンバータ37の出力を、メインバッテリ40よりも出力電圧が低い低電圧バッテリ41(補機バッテリ)に供給するための導電材である。バスバ4は、降圧コンバータ37の熱を伝え易く、それゆえ、高温になり易い。そこで、バスバ4は、その一部が、PCU2の筐体外側にて、筐体外壁21を挟んで冷却器3と対向するように配索されている。前述したように、冷却器3とバスバ4はともに筐体外壁21に接している。そのようなバスバ4のレイアウトにより、バスバ4は、冷却器3によって効果的に冷却される。特に、バスバ4を被覆する被覆材5には、筐体外壁21と接する部分に、被覆材5の材質よりも熱伝導率が高い樹脂プレート6が埋め込まれている。この熱伝導率の高い樹脂プレートが、バスバ4の冷却を促進する。」 (2h)【図3】は次のとおりである。 (2)認定事項 (2i)上記記載事項(2h)の【図3】の右下には、X、Y、Z及び矢印が記載されており、上記(2f)の段落【0025】に「図3は、PCUの筐体を斜め下方から見た図である。」との記載があるが、X、Y、Z及び矢印が何を示すのかの明示はない。しかしながら、車両の分野において、X、Y、Z及び矢印を表示した場合、Xの矢印方向が車両前方を示すことは、常識的なことであり(一例として、特開2015-205595号公報の段落【0012】及び【図1】参照。)、引用文献2において、当該常識と異なるとすべき事情は見当たらない。 そうすると、上記(2f)の「バスバ4」が接する「第1側面2a」は車両前方側にあることが認定できる。 (2j)上記記載事項(2e)の段落【0023】の記載より、「冷却器3」が「昇降圧コンバータ33」、「降圧コンバータ37」をも冷却する態様が認定できる。 (2k)上記記載事項(2e)の段落【0024】の記載より、「冷却器3」は「冷媒」により冷却するものであることが認定できる。 (3)記載された技術的事項 上記(1)、(2)より、引用文献2には次の技術的事項(以下「引用文献2技術」という。)が記載されていると認める。 「主として、メインバッテリ40、補機バッテリ41、及び、パワーコントロールユニット2で構成されるハイブリッド車1の電力系の、走行用のモータ45、46に交流電力を供給するパワーコントロールユニット2であり、 パワーコントロールユニット2は、スイッチング回路を備える昇降圧コンバータ33、スイッチング回路を備える降圧コンバータ37、スイッチング回路を備える2個のインバータ回路35、36、2個のコンデンサ31、32、及び、制御基板34、を含み、メインバッテリ40は、昇降圧コンバータ33と降圧コンバータ37に接続され、パワーコントロールユニット2の筐体には、上記のデバイスが格納され、 降圧コンバータ37の低電圧側は、2個の中継器38、39を介して補機バッテリ41の電力線42に接続しており、 パワーコントロールユニット2には、2個のインバータ回路35、36、昇降圧コンバータ33、降圧コンバータ37を冷媒により冷却する冷却器3が内蔵されており、 パワーコントロールユニット2の側面に2個の中継器38、39が取り付けられ、中継器38は、内部の降圧コンバータ37の低電圧側端子とバスバ4の一端を接続するためのボックスであり、中継器39は、バスバ4の他端と補機系の電力線を繋ぐワイヤハーネス51を接続するためのボックスであり、夫々のボックス内では、端子やバスバなどの金属板同士がボルトにて確実に接続され、 パワーコントロールユニット2と他のデバイスを電気的に接続するバスバ4がパワーコントロールユニット2の車両前方側の第1の側面2aに配索されているとともに、そのバスバ4の一部が前記冷却器13に対応する筐体外壁21の第1側面2aに接している、パワーコントロールユニット2。」 第5 対比・判断 1 対比 本願発明と引用発明とを対比する。 (1)後者の「ハイブリッド自動車20」は、前者の「車両」に相当する。また、後者の「バッテリ50」は、前者の「バッテリ」に相当し、後者の「補機用バッテリ」は、前者の「別のバッテリ」に相当するといえる(上記「第2」を参照。)。 (2)上記(1)を踏まえると、後者の「バッテリ50からの電力を降圧して補機用バッテリや他の補機類に供給可能なDC/DCコンバータ48」は、前者の「電力変換装置」に相当する。また、引用文献1に明示がないものの、DC/DCコンバータ48と補機用バッテリとを接続する何らかの導電手段が備えられることは自明のことであり、DC/DCコンバータ48と当該導電手段を併せたものはユニットといえるものである。また、当該ユニットは「ハイブリッド車1」に用いられるものであるから、車両用といえるものである。 そうすると、後者の「バッテリ50からの電力を降圧して補機用バッテリや他の補機類に供給可能なDC/DCコンバータ48」と導電手段を併せたものは、前者の「車両用電力変換装置ユニット」に相当するといえる。 (3)上記(1)、(2)を踏まえると、後者の 「エンジンコンパートメント21内に配置されると共に動力を出力可能なエンジン22と、それぞれ動力を入出力可能な2体のモータMG1およびMG2と動力分配機構とからなるハイブリッドトランスアクスル30と、モータMG1およびMG2を駆動するためのパワーコントロールユニット40と、パワーコントロールユニット40を介してモータMG1およびMG2と電力をやり取り可能なバッテリ50とを備えたハイブリッド自動車20のパワーコントロールユニット40において、 パワーコントロールユニット40は、バッテリ50側からの直流電力を交流電力に変換してモータMG1に印加したり、モータMG1からの交流電力を直流電力に変換してバッテリ50側に供給したりする第1のインバータや、バッテリ50側からの直流電力を交流電力に変換してモータMG2に印加したり、モータMG2からの交流電力を直流電力に変換してバッテリ50側に供給したりする第2のインバータ、バッテリ50からの電力を昇圧して第1および第2のインバータに供給すると共に第1および第2のインバータからの電力を降圧してバッテリ50に供給することができる昇圧コンバータ、コンデンサ、バッテリ50からの電力を降圧して補機用バッテリや他の補機類に供給可能なDC/DCコンバータ48、電力制御用のIPM(インテリジェントパワーマネージメント)モジュール、第1および第2のインバータ等を介してモータMG1およびMG2を制御するモータ用電子制御ユニット等を含」んでいるということと、 前者の 「車両に搭載されたバッテリの電力を複数のスイッチング素子により変換して出力する電力変換装置と、別のバッテリの電圧端子と前記電力変換装置の出力端子とを接続するバッテリケーブルとを備えた車両用電力変換装置ユニット」 とは、 「車両に搭載されたバッテリの電力を変換して出力する電力変換装置と、別のバッテリと前記電力変換装置を接続する導電手段とを備えた車両用電力変換装置ユニット」 の限りで共通するといえる。 (4)以上のことから、本願発明と引用発明との一致点、相違点は次のとおりと認める。 〔一致点〕 「車両に搭載されたバッテリの電力を変換して出力する電力変換装置と、別のバッテリと電力変換装置を接続する導電手段とを備えた車両用電力変換装置ユニット。」 〔相違点〕 本願発明が、「電力変換装置」による電力の変換について、「複数のスイッチング素子」によるものであり、「導電手段」が「別のバッテリの電圧端子と前記電力変換装置の出力端子とを接続するバッテリケーブル」であり、「前記電力変換装置の金属筐体は、前記車両のエンジンを冷却するラジエータの冷却ファンによる風、または前記車両の走行による走行風が当たるように配置され、前記バッテリケーブルの少なくとも一部は、前記冷却ファンによる風または前記走行風の流路内において前記金属筐体に沿って前記金属筐体と接触するように配線されている」のに対し、引用発明は、複数のスイッチング素子、電圧端子、バッテリーケーブル及びそれと他の構成要素との関係、並びに、「DC/DCコンバータ48」の筐体の材質の特定がなく、「DC/DCコンバータ48」を含む「パワーコントロールユニット40」に走行風を当てるものではあるが、「DC/DCコンバータ48」に当てることの特定がない点。 2 判断 上記相違点について検討する。 (1)引用文献2技術の検討 ア 引用文献2技術と本願発明とを対比すると、後者の「ハイブリッド車1」は、前者の「車両」に相当する。また、後者の「メインバッテリ40」は、前者の「バッテリ」に相当し、後者の「補機バッテリ41」は、前者「別のバッテリ」に相当するといえる。 イ 上記アを踏まえると、後者の「降圧コンバータ37」は「補機バッテリ41の電力線42に接続して」いるものであるから、前者の「電力変換装置」に相当する。 ウ 後者の「パワーコントロールユニット2の筐体」には、「降圧コンバータ37」も格納されるものであるところ、前者の「電力変換装置」の「筐体」内に他の装置を含まないことの特定はない。 そうすると、後者の「パワーコントロールユニット2の筐体」と、前者の「電力変換装置の金属筐体」とは、「電力変換装置の筐体」の限りで共通するといえる。 エ 後者の「内部の降圧コンバータ37の低電圧側端子」は、前者の「電力変換装置の出力端子」に相当するといえる。 オ 以上を踏まえて、本願発明の対応する用語をかっこ書きで付記して、引用文献2技術を示すと以下のとおりとなる。 「主として、メインバッテリ40(バッテリ)、補機バッテリ41(別のバッテリ)、及び、パワーコントロールユニット2で構成されるハイブリッド車1(車両)の電力系の、走行用のモータ45、46に交流電力を供給するパワーコントロールユニット2であり、 パワーコントロールユニット2は、スイッチング回路を備える昇降圧コンバータ33、スイッチング回路を備える降圧コンバータ37(電力変換装置)、スイッチング回路を備える2個のインバータ回路35、36、2個のコンデンサ31、32、及び、制御基板34、を含み、メインバッテリ40は、昇降圧コンバータ33と降圧コンバータ37(電力変換装置)に接続され、パワーコントロールユニット2の筐体(電力変換装置の筐体)には、上記のデバイスが格納され、 降圧コンバータ37(電力変換装置)の低電圧側は、2個の中継器38、39を介して補機バッテリ41(別のバッテリ)の電力線42に接続しており、 パワーコントロールユニット2には、2個のインバータ回路35、36、昇降圧コンバータ33、降圧コンバータ37(電力変換装置)を冷媒により冷却する冷却器3が内蔵されており、 パワーコントロールユニット2の側面に2個の中継器38、39が取り付けられ、中継器38は、内部の降圧コンバータ37の低電圧側端子(電力変換装置の出力端子)とバスバ4の一端を接続するためのボックスであり、中継器39は、バスバ4の他端と補機系の電力線を繋ぐワイヤハーネス51を接続するためのボックスであり、夫々のボックス内では、端子やバスバなどの金属板同士がボルトにて確実に接続され、 パワーコントロールユニット2と他のデバイスを電気的に接続するバスバ4がパワーコントロールユニット2の車両前方側の第1の側面2aに配索されているとともに、そのバスバ4の一部が前記冷却器13に対応する筐体外壁21の第1側面2aに接している、パワーコントロールユニット2。」 (2)引用発明への引用文献2技術の適用の検討 ア 引用発明も、引用文献2技術も、ハイブリッド車両のパワーコントロールユニットを構成するインバータ、コンバータ(電力変換装置)等の機器の冷却を目的としたものであり、共に冷媒による冷却装置を内蔵するものであるところ、導電手段の冷却にも着目することで、冷却性能の向上を図ることは当業者が通常認識し得る事項であって、引用発明も引用文献2技術もパワーコントロールのための各要素が同様のものであるから、引用発明の「パワーコントロールユニット40は、バッテリ50側からの直流電力を交流電力に変換してモータMG1に印加したり、モータMG1からの交流電力を直流電力に変換してバッテリ50側に供給したりする第1のインバータや、バッテリ50側からの直流電力を交流電力に変換してモータMG2に印加したり、モータMG2からの交流電力を直流電力に変換してバッテリ50側に供給したりする第2のインバータ、バッテリ50からの電力を昇圧して第1および第2のインバータに供給すると共に第1および第2のインバータからの電力を降圧してバッテリ50に供給することができる昇圧コンバータ、コンデンサ、バッテリ50からの電力を降圧して補機用バッテリや他の補機類に供給可能なDC/DCコンバータ48、電力制御用のIPM(インテリジェントパワーマネージメント)モジュール、第1および第2のインバータ等を介してモータMG1およびMG2を制御するモータ用電子制御ユニット等を含み」、「パワーコントロールユニット40は、コンデンサケース41とインバータケース42とフロントカバー43とを含み、コンデンサケース41とインバータケース42とは、アルミダイキャストにより鋳造されたアルミニウム合金からなる筐体であり、フロントカバー43は鋼材からなり、インバータケース42の内部には、モータMG1用の第1のインバータとモータMG2用の第2のインバータと含むインバータユニット45と、昇圧コンバータ46と共に、モータ用電子制御ユニットやIPMモジュール等が実装された基板47が収容され、コンデンサケース41の内部には、コンデンサ44が収容され、コンデンサケース41の車両後方側には、DC/DCコンバータ48が取り付けられ」、「パワーコントロールユニット40」「に対しては、冷媒を用いて」「冷却可能なハイブリッド冷却系統60が設けられており」という事項を有する「パワーコントロールユニット40」の構成に代えて、引用文献2技術の「パワーコントロールユニット2」の構成の採用を試みることは、当業者であれば容易に想到し得ることである。 イ ここで、引用文献2技術は、「パワーコントロールユニット2の筐体」の材質の特定がないが、「第1の側面2a」を介して「冷却器31」により「バスバ4」を冷却するものであるから、断熱性が高い材質では有効な効果が発揮できないことは構成上明らかであり、パワーコントロールユニットの筐体として金属を用いることも一般的であることから、引用文献2に明示がなくとも、「パワーコントロールユニット2の筐体」は実質的に金属からなることは自明のことといえる。あるいは、そこまでいえないとしても、効果的な冷却を考慮して「パワーコントロールユニット2の筐体」を、一般に樹脂等よりも伝熱性に優れる「金属」を選定することは、上記採用に際し、当業者であれば所望により適宜なし得た設計的事項にすぎない。 ウ また、引用文献2技術は、導電部材として「バスパ4」を用いており、それは「大電流を通す導電体であり、棒状の金属部材による導電体」(上記記載事項(2b))というものであるが、ケーブルであっても適切なものを選定することにより大電流を通すことは可能であり、さらに、「パワーコントロールユニット2」の内部のものであるが、引用文献2には「電気ケーブル(バスパ)」(上記記載事項(2c)の段落【0017】)というようにケーブルとバスパが併記されていることからみても、両者は所望により適宜置換可能な技術であると認められる。 そして、引用文献2技術は、「補機バッテリ41」が「電圧端子」を有することの特定がないが、補機バッテリの技術常識からみて、実質的にそのようなものを有することは、自明のことである。 以上のことを踏まえると、上記採用の際し、「バスパ4」及び「ワイヤハーネス51」を「バッテリケーブル」とし、「補機バッテリ41」の電圧端子と「内部の降圧コンバータ37の低電圧側端子」とを接続するようにすることは、当業者であれば所望により適宜なし得た設計変更にすぎない。そして、引用文献2技術の「バスパ4」が配索された「第1の側面2a」は車両前方側の面であるから、当該バッテリケーブルは走行風の流路内のものとなる。 エ また、引用文献2には、「2個のインバータ回路35、36」の「スイッチング回路」が複数のスイッチング素子を有することが示されているが(上記記載事項(2e)の段落【0022】)、「降圧コンバータ37」の「スイッチング回路」については、記載が省略されており、複数のスイッチング素子からなるものであるのかは明らかでない。しかしながら、スイッチング回路として、複数のスイッチング素子を有するものは、特段文献を示すまでもなく周知・慣用のものであり、「降圧コンバータ37」の「スイッチング回路」にそのようなものを用いることは、上記採用に際し、当業者であれば所望により適宜なし得た設計的事項にすぎない。 オ 以上のとおりであるから、引用発明の「パワーコントロールユニット40」に代えて引用文献2技術の「パワーコントロールユニット2」を採用し、周知・慣用技術及び技術常識を参酌することにより、上記相違点に係る本願発明の発明特定事項を有するものとすることは、当業者であれば容易になし得たことである。 そして、本願発明の作用効果について検討しても、当業者が予測できないような格別なものがあるとはいえない。 第6 むすび 以上のとおり、本願発明は引用発明、引用文献2技術、周知・慣用技術及び技術常識に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2019-001891

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