特許異議申立
2018-700515
天ぷら用バッターミックス
- 審判番号
- 2018-700515
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2013-224250
- 登録番号
- 特許第6255214号(P6255214)
- 請求日
- 2018年06月22日
- 審決日
- 2019年07月19日
- 公報発行日
- 2019年10月25日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】昭和産業株式会社
- 【権利者代理人】渡邊 薫
- 【異議申立人】矢部 陽子
- 審判長/審判官
- 審判長 松下 聡
- 審判官 槙原 進
- 審判官 窪田 治彦
- 分類
- P1651.121-YAA(A23L) / P1651.537-YAA(A23L) / P1651.536-YAA(A23L)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6255214号発明「天ぷら用バッターミックス」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第6255214号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~3〕、4、5について訂正することを認める。
特許第6255214号の請求項1、3、5に係る特許を維持する。
特許第6255214号の請求項2、4に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許第6255214号(以下、「本件特許」という。)の請求項1~5に係る特許についての出願は、平成25年10月29日の出願であって、平成29年12月8日にその特許権の設定登録がされ、平成29年12月27日に特許掲載公報が発行され、これに対して平成30年6月22日に特許異議申立人 矢部 陽子(以下、「申立人」という。)により、本件特許の請求項1~5に係る特許について特許異議の申立てがされたものである。
そして、その後の手続は以下のとおりである。
・平成30年8月21日付け取消理由通知(発送日:平成30年8月23日)
・平成30年10月19日に特許権者による意見書の提出及び訂正の請求
・平成30年12月18日に申立人による意見書の提出
・平成31年2月18日付け取消理由通知<決定の予告>(発送日:平成31年2月20日)
・平成31年4月19日に特許権者による意見書の提出及び訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。)
・令和元年6月14日に申立人による意見書の提出
<証拠方法等>
また、申立人及び特許権者が提出した証拠方法等は以下のとおりである。
A 申立人について
甲第1号証:香川県食糧事業協同組合のホームページの「米粉倶楽部」のサイト記事(同サイトのURL:http://www.kensyoku.or.jp/komeko/index.php)について、2012年12月4日時点の内容を示すウェブページ、[online]、ダウンロード日:2018年6月11日、インターネット<URL:https://web.archive.org/web/20121204072719/http://www.kensyoku.or.jp/komeko/index.php>
甲第2号証:兵庫教育大学大学院 自然・生活教育系、「米粉の物性分析報告書」、[online]、平成22年3月1日、インターネット<URL:http://www.kensyoku.or.jp/kemeko/pdf/butsu_k.pdf>
甲第3号証:特開2013-34440号公報
甲第4号証:ウェブ魚拓について解説されたウィキペディアのサイト記事、[online]、ダウンロード日:2018年5月28日、インターネット<URL:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%96%E9%AD%9A%E6%8B%93>
甲第5号証:平成16年(行ケ)第290号 審決取消請求事件、口頭弁論終結日 平成17年3月14日の判決文の写し
参考資料1:特開2010-104246号公報
参考資料2:特開2013-106538号公報
参考資料3:特開2012-125150号公報
参考資料4:特開2012-135225号公報
参考資料5:特開2005-168451号公報
参考資料6:特開2000-41602号公報
参考資料7:異議2018-700107の異議の決定謄本の写し
B 特許権者について
乙第1号証:「ヒノヒカリについて|お米なら「久保さんちのヒノヒカリ」」のホームページの「九州のお米「ヒノヒカリ」の通販なら「久保さんちのお米」。ヒノヒカリについてのご紹介」のサイト記事について、本件出願前の内容を示すウェブページ、[online]、ダウンロード日:2018年9月19日、インターネット<URL:http://kubosantino-okome.com/introduction.html>
乙第2号証:「レーザー回折式粒子径分布測定装置 HELOS&RODOS 取扱説明書」,(株)日本レーザー応用システム部,p.1~2,92~93
乙第3号証:本件出願日前における本件特許明細書の実施例2の平均粒径(メジアン径)の分析結果を示す資料:「備考:ID:米粉C-1」の「HELOS Particle Size Analysis」による測定結果;X50=33.67μm;測定者 昭和産業株式会社;測定日 2013年4月24日
乙第4号証:特開2011-103800号公報
乙第5号証:特開2017-73993号公報
乙第6号証:特開平2-167043号公報
乙第7号証:特開2014-217367号公報
乙第8号証:「別記様式2 水稲「恋の予感」 恋の予感 - 農林水産技術会議-農林水産省」,<URL:http://www.affrc.maff.go.jp/docs/research_result/norin_number/pdf/h26_rice_463.pdf>,[印刷日2019年3月19日]
乙第9号証:「農研機構/品種詳細:ホシニシキ」,<URL:http://www.naro.affrc.go.jp/collab/breed/0100/0107/001548.html>[印刷日2019年3月14日]
乙第10号証:編者 石谷孝佑,「米の事典-稲作からゲノムまで」,初版第1刷,株式会社 幸書房,2002年6月8日,表紙,奥付,p.94~97
なお、甲第1~5号証及び乙第1~10号証については、以下、それぞれ「甲1」のように略称とする。
第2 訂正の適否
1 訂正の内容
本件訂正請求は、本件特許の明細書、特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~3〕、4、5について訂正すること(以下、「本件訂正」という。)を求めるものであって、本件訂正の内容は以下のとおりである。
なお、先の平成30年10月19日にされた訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により取下げられたものとみなす。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1の
「平均粒径が25~70μmでありかつ損傷でん粉含有量が6質量%以下である粳米粉を含有する天ぷら用バッターミックス」を、
「平均粒径が25~70μmでありかつ損傷でん粉含有量が4.0質量%以下である粳米粉 10~40質量%、及び
小麦粉 40質量%以上、
を含有する、天ぷら用バッターミックス」
に訂正する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を削除する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3の
「請求項1又は2記載の天ぷら用バッターミックスを使用した天ぷら。」を
「請求項1記載の天ぷら用バッターミックスを使用した天ぷら。」
に訂正する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4を削除する。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項5の
「粳米粉の損傷でん粉含有量を6質量%以下に調整した、平均粒径が25~70μmの粳米粉を用いて、揚げたて時の天ぷら衣の食感を持続させる方法。」を、
「(A)粳米粉の損傷でん粉含有量を4.0質量%以下に調整した、平均粒径が25~70μmの粳米粉 10~40質量%、及び(B)小麦粉 40質量%以上、を含有する、天ぷら用バッターミックスを用いて、揚げたて時の天ぷら衣の歯切れがよくサクサクとした食感を持続させる方法。」
に訂正する。
(6)訂正事項6
明細書の段落【0011】及び明細書の段落【0036】における「・・・「レーザー解析式粒子径分布測定装置HELOS&RODOS」・・・」との記載を、
「・・・「レーザー回折式粒子径分布測定装置HELOS&RODOS」・・・」との記載
に訂正する。
(7)訂正事項7
明細書の段落【0017】における「本開示にて使用する粳米の品種は、特に限定されない。たとえば、ジャポニカ種、インディカ種、ジャバニカ種等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
ちなみに、米はでん粉の組成と性質によって粳米ともち米とに分けることができる。もち米は、餅やおこわに使われる米であり、調理時に強い粘性をもつ。もち米のでん粉の大部分はアミロペクチンよりなっており、アミロース含有量はゼロかほとんど含まれない。一方、粳米のでん粉は、アミロペクチンとアミロースの両方よりなっている。本開示において、もち米以外のものを粳米という。」との記載を、
「本開示にて使用する粳米の品種は、特に限定されない。たとえば、ジャポニカ種、インディカ種、ジャバニカ種等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
ちなみに、米はでん粉の組成と性質によって粳米ともち米とに分けることができる。もち米は、餅やおこわに使われる米であり、調理時に強い粘性をもつ。もち米のでん粉の大部分はアミロペクチンよりなっており、アミロース含有量はゼロかほとんど含まれない。一方、粳米のでん粉は、アミロペクチンとアミロースの両方よりなっている。」
に訂正する。
なお、本件訂正請求は、一群の請求項〔1~3〕と、請求項4及び請求項5に対して請求されたものである。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的について
訂正事項1は、粳米粉の損傷でん粉含有量を限定し、天ぷら用バッターミックス中の粳米粉の含有量及び小麦粉の含有量を限定するものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
イ 本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「特許明細書等」といい、明細書については「特許明細書」という。)に記載した事項の範囲内の訂正であること
「損傷でん粉含有量が4.0質量%以下」は、特許明細書の段落【0012】の記載及び段落【0040】の表2の実施例5の記載に基づき、「粳米粉 10~40質量%」は、特許明細書の段落【0022】の記載及び段落【0044】の表3の記載に基づき、「小麦粉 40質量%以上」は、特許明細書の段落【0024】の記載及び段落【0044】の表3の記載に基づくから、訂正事項1は、特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項1は、上記アのとおり特許請求の範囲を減縮するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
(2)訂正事項2について
訂正事項2は、特許請求の範囲の請求項2を削除するものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであって、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
(3)訂正事項3について
訂正事項3は、引用する請求項の選択肢を削除するものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであって、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
(4)訂正事項4について
訂正事項4は、特許請求の範囲の請求項4を削除するものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであって、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
(5)訂正事項5について
ア 訂正の目的について
訂正事項5において、天ぷら用バッターミックスを用いることを特定したことについては、特許明細書の段落【0001】、【0005】~【0007】及び【0025】の記載によれば、天ぷらを揚げるのに、天ぷら用バッターミックスを用いることが明らかであるから、「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
また、訂正事項5は、粳米粉の損傷でん粉含有量を限定し、天ぷら用バッターミックス中の粳米粉の含有量及び小麦粉の含有量を限定し、天ぷら衣の食感を限定するものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
イ 特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
「損傷でん粉含有量が4.0質量%以下」は、特許明細書の段落【0012】の記載及び段落【0040】の表2の実施例5の記載に基づき、「粳米粉 10~40質量%」は、特許明細書の段落【0022】の記載及び段落【0044】の表3の記載に基づき、「小麦粉 40質量%以上」は、特許明細書の段落【0024】の記載及び段落【0044】の表3の記載に基づき、「天ぷら用バッターミックスを用い」ることは、特許明細書の段落【0001】、【0005】~【0007】及び【0025】の記載に基づくから、訂正事項5は、特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項5は、上記アのとおり明瞭でない記載の釈明及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
(6)訂正事項6について
ア 訂正の目的について
訂正事項6は、訂正前の明細書の段落【0011】及び【0036】における「レーザー解析式粒子径分布測定装置」が、「解析」という用語について明らかな誤記であったものを訂正するものであるから、「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものである。
イ 願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項6は、明らかな誤記を訂正するものであるから、当初明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項6は、明らかな誤記を訂正するものであるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
(7)訂正事項7
ア 訂正の目的について
訂正事項7は、訂正前の明細書の段落【0017】における「ちなみに、米はでん粉の組成と性質によって粳米ともち米とに分けることができる。もち米は、餅やおこわに使われる米であり、調理時に強い粘性をもつ。もち米のでん粉の大部分はアミロペクチンよりなっており、アミロース含有量はゼロかほとんど含まれない。一方、粳米のでん粉は、アミロペクチンとアミロースの両方よりなっている。本開示において、もち米以外のものを粳米という。」との記載から、「本開示において、もち米以外のものを粳米という。」という記載を削除することによって、粳米の定義を明瞭にするものであるから、「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
ここで、申立人は、令和元年6月14日に提出した意見書において、不明瞭な記載がどうして解消されるのか何の説明もされていない旨主張するが、一般的には、粳米はアミロースとアミロペクチンがおよそ2:8といった所定範囲の比のものであるところ、訂正前における「もち米以外のものを粳米という。」という記載によって、アミロースのアミロペクチンに対する比が一般的なものより著しく高く、若しくは低くて、「油ちょう直後の食感がよく、かつ、揚げたての天ぷら特有の、歯切れがよくサクサクとした食感を、油ちょう後長時間持続できる天ぷらの衣を提供」することができないものまで含むことになっていたのであるから、訂正事項7によって粳米の定義が明瞭になるものといえる。
イ 特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項7は、特許請求の範囲の請求項1、5に記載の「粳米粉」に関する粳米の定義を明瞭にするものであるから、特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項7は、特許請求の範囲の請求項1、5に記載の「粳米粉」に関する粳米の定義を明瞭にするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
3 小括
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1~3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~3〕、4、5について訂正することを認める。
第3 訂正後の本件発明
訂正特許請求の範囲の記載は以下のとおりであり、本件訂正後の請求項1、3、5に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」、「本件発明3」、「本件発明5」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1、3、5に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
「【請求項1】
平均粒径が25~70μmでありかつ損傷でん粉含有量が4.0質量%以下である粳米粉 10~40質量%、及び
小麦粉 40質量%以上、
を含有する、天ぷら用バッターミックス。
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
請求項1記載の天ぷら用バッターミックスを使用した天ぷら。
【請求項4】
(削除)
【請求項5】
(A)粳米粉の損傷でん粉含有量を4.0質量%以下に調整した、平均粒径が25~70μmの粳米粉 10~40質量%、及び(B)小麦粉 40質量%以上、を含有する、天ぷら用バッターミックスを用いて、揚げたて時の天ぷら衣の歯切れがよくサクサクとした食感を持続させる方法。」
第4 平成31年2月18日付け取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由について
1 取消理由の概要
訂正前の請求項1~5に係る特許に対して、当審が平成31年2月18日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
(1)取消理由1(進歩性)
本件特許の請求項1~5に係る発明は、甲1~3に係る本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許の請求項1~5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
(2)取消理由2(実施可能要件)
本件特許の請求項1~5に係る特許は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。
記
明細書の段落【0011】及び【0036】には、「レーザー回析式粒子径分布測定装置HELOS&RODOS」と記載されているが、「回析」という用語は意味不明であるから(「回折」の誤記と考えられる。乙2参照。)、「レーザー回析式粒子径分布測定装置HELOS&RODOS」が如何なる装置であるのか特定できない。
そうすると、本件特許の発明の詳細な説明の記載は、本件発明1~5について、当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されているとはいえない。
2 甲1~3について
(1)甲1について
取消理由通知において引用した甲1は、甲4でも説明されているように、2012年(平成24年)12月4日時点の香川県食糧事業協同組合のホームページの「米粉倶楽部」のサイト記事を表示したインターネットアーカイブ(http://web.archive.org)のサイト記事の内容であって、本件特許の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となったサイト記事の内容を示すものであり、次の事項が記載されている。なお、便宜上、○付きの数字は「○数字」のように表記する。
ア 「○1米粉とは…」の欄には、「米粉は、その名の通りお米(うるち米・もち米)を粉末にしたものの総称です。
・・・
これらの新しい米粉を使った食品は、従来の小麦粉と異なる、米粉ならではの独特の食味・食感が味わえることで好評を得ており、新たな食材として幅広い料理に応用することが可能です。」と記載され、また、「香川県食糧事業協同組合では、瀬戸内で育まれた「さぬき米」を独自の加工技術により、小麦粉よりも微細な粉に加工し、新しい米粉「微細」「パン用」「麺用」を開発・製造しています。」と記載されている。
イ 「○2米粉の種類・特徴」の「◆米粉(微細)」の欄には、「浸漬した白米を湿式粉砕した米粉(微細)は粉砕時の発生熱が生じないので、デンプンの損傷が少なく、ダマになりにくいです。
平均粒径が小さく、約40ミクロンの米粉(微細)ですから、しっとり感あるケーキや、粘りのある和菓子ができます。
用途: 洋菓子、パン、麺、天ぷら粉等」と記載されている。
ウ 「○4米粉に関する試験データ」の欄には、「右側のボタンをクリックすると、詳しい資料(PDFファイル)をダウンロードすることができます。」との記載があり、その記載の最も右側に「物性 分析試験成績書ダウンロード」との記載とともに、「PDF」のマークが記載された色付きの表示がある。
(2)甲2について
取消理由通知において引用した甲2は、甲1に示される香川県食糧事業協同組合のホームページの「米粉倶楽部」のサイト記事の「物性 分析試験成績表ダウンロード」の箇所をクリックして表示されるもので、本件特許の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった平成22年3月1日付け「米粉の物性分析報告書」であり、次の事項が記載されている。
ア 甲2の1頁の「1.検体」の欄には、米粉の原料としてヒノヒカリの精米を用いたことが記載されている。なお、ヒノヒカリは粳米である。
イ 甲2の1頁の「2.分析結果」の欄に掲載された表には、米粉(微細)の平均粒径は42.20μmであること、デンプンの損傷率は4.19%であることが記載されている。
(3)甲3について
取消理由通知において引用した甲3は、本件特許の出願前に頒布された刊行物である特開2013-34440号公報であり、次の事項が記載されている。
ア 「【請求項1】
アミロース含量が22%以上の米粉を0.5質量%以上60質量%以下含む天ぷら用小麦粉組成物。」
イ 「【0004】
天ぷらの衣は、一般にモチモチした食感よりもサクサク、カリッとした歯切れの良い食感が良いとされている。
米粉を単に使用した天ぷら粉を使用した場合、一般的に、モチモチしたヒキのある食感となる傾向があり、サクサク感に乏しいことから天ぷらの衣の食感としては好ましくはなかった。
本発明の目的は、特定の性質を有する米粉を特定量小麦粉に配合することで、サクサク、カリッとした歯切れの良い食感の天ぷらの衣を得ることが出来る天ぷら用小麦粉組成物及びこれを使用した天ぷらを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは前記の目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、使用する米粉のアミロース含量に着目し、特定のアミロース含量の米粉を特定量小麦粉と併用することで、口溶けが良くカリッとした歯切れの良い食感の天ぷらの衣を得ることが出来ることを見出し、本発明を完成するに至った。
従って、本発明は、アミロース含量が22%以上の米粉を0.5質量%以上60質量%以下含む天ぷら用小麦粉組成物及びこれを使用した天ぷらである。
好ましい米粉の配合量は、10質量%以上30質量%以下である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の天ぷら用小麦粉組成物を使用することでサクサク、カリッとした好ましい食感の天ぷらの衣が得られる。」
ウ 「【0008】
小麦粉に配合する米粉の配合量は0.5質量%以上60質量%以下である。
好ましくは、10質量%以上30質量%以下である。
米粉の配合量が、0.5質量%から10質量%といった少量配合の場合は配合量の影響が大きく、米粉の配合量が40質量%以上になってくると配合量の差異が食感に与える影響は小さくなる。
米粉の配合量が、0.5質量%未満では、本発明の効果を得ることができず、米粉の配合量が60質量%を超える場合は、衣の食感が硬くなりすぎてしまう。」
エ 「【0011】
以下本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[試験例1~8]
「あきたこまち」を原料として、湿式気流粉砕しアミロース含量18.3%の米粉を得た。
この米粉と薄力粉を表1に示す配合で混合し、天ぷら用小麦粉組成物を得た。
この天ぷら用小麦粉組成物100gに対し冷水を150g加え、バッターを調製した。
伸ばし海老に前記バッターを付け170℃の大豆菜種油中で2分間フライして天ぷらを得た。
10名のパネラーにより以下の評価基準において評価を行った。
評価は、フライ直後と、フライして3時間経過後の2回行った。
結果を表1に示す。
[評価基準]
5点 非常にサクサク、カリッとした食感で非常に良い
4点 サクサク、カリッとした食感で良い
3点 普通
2点 ヒキが有りモチモチした食感で劣る
1点 非常にヒキが有りモチモチした食感で非常に劣る」
オ 「【0013】
[試験例9~16]
「コシヒカリ」を原料として、湿式気流粉砕しアミロース含量19.2%の米粉を得た。
この米粉を使用して試験例1と同様に評価を行った。」
カ 「【0015】
[試験例17~24]
「あきたこまち」、「モミロマン」を配合して、湿式気流粉砕しアミロース含量21.4%の米粉を得た。
この米粉を使用して試験例1と同様に評価を行った。」
キ 「【0017】
[試験例25~32]
「あきたこまち」、「越のかおり」を配合して、湿式気流粉砕しアミロース含量22.5%の米粉を得た。
この米粉を使用して試験例1と同様に評価を行った。」
ク 「【0023】
フライ直後、フライして3時間経過後のどちらの場合でもアミロース含量22.5%、25.9%、29.5%の米粉を使用し、米粉の配合量が0.5質量%以上60質量%の場合に優れた評価が得られた。
アミロース含量22.5%、25.9%、29.5%の米粉を使用し、米粉の配合量が10質量%以上30質量%以下の場合には特に優れた評価が得られた。」
(4)引用発明
甲2は、甲1と一体の付属書であって、甲1に記載された米粉についての物性分析報告書であるから、上記(1)及び(2)によれば、次の事項からなる各発明が認められる。
ア 引用発明1
「平均粒径が42.20μmでありかつデンプンの損傷率が4.19%であるヒノヒカリの精米を原料とする米粉を含有する、天ぷら粉。」(以下、「引用発明1」という。)
イ 引用発明2
「ヒノヒカリの精米を原料とする米粉のデンプンの損傷率を4.19%に調整した、平均粒径が42.20μmのヒノヒカリの精米を原料とする米粉を含有する、天ぷら粉を用いて、米粉ならではの独特の食味・食感が味わえる天ぷらを得る方法。」(以下、「引用発明2」という。)
3 当審の判断
(1)取消理由1(特許法第29条第2項)について
ア 本件発明1について
(ア)対比
本件発明1と引用発明1とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。
・引用発明1の「平均粒径が42.20μm」であることは、本件発明1の「平均粒径が25~70μm」であることに相当し、同様に、「ヒノヒカリの精米を原料とする米粉」は「粳米粉」に相当する。
・引用発明1の「デンプンの損傷率が4.19%である」ことと、本件発明1の「損傷でん粉含有量が4.0質量%以下である」こととは、「損傷でん粉含有量が所定の質量%である」という限りにおいて一致する。
そして、引用発明1の「平均粒径が42.20μmでありかつデンプンの損傷率が4.19%であるヒノヒカリの精米を原料とする米粉」と、本件発明1の「平均粒径が25~70μmでありかつ損傷でん粉含有量が4.0質量%以下である粳米粉」とは、「平均粒径が25~70μmでありかつ損傷でん粉含有量が所定の質量%である粳米粉」という限りにおいて一致する。
また、引用発明1の「天ぷら粉」は、本件発明1の「天ぷら用バッターミックス」に、「天ぷら用材料」という限りにおいて一致する。
したがって、両者は、
「平均粒径が25~70μmでありかつ損傷でん粉含有量が所定の質量%である粳米粉を含有する、天ぷら用材料。」の点で一致し、次の点で相違している。
[相違点1-1]
本件発明1は、「損傷でん粉含有量が4.0質量%以下である粳米粉 10~40質量%、及び小麦粉 40質量%以上、を含有する、天ぷら用バッターミックス」であるのに対して、引用発明1は、「デンプンの損傷率が4.19%であるヒノヒカリの精米を原料とする米粉を含有する、天ぷら粉」である点。
(イ)判断
相違点1-1について検討する。
天ぷらの衣の食感を、サクサク、カリッとした歯切れの良い食感とし、その食感をフライ後も持続させることは、天ぷらにおける普遍的な課題(上記2(3)イ、エ及びク)であるとしても、そのような課題を解決するために、粳米粉の損傷でん粉含有量を設定する技術は、甲1~3には開示も示唆もされていないし、本件特許の出願前の技術常識であるということもできないから、引用発明1において、ヒノヒカリの精米を原料とする米粉(粳米粉)を、損傷でん粉含有量が4.0質量%以下とする動機付けは認められない。
また、甲3には、上記課題を解決するために、アミロース含量が22%以上の米粉を0.5質量%以上60質量%以下含むことが記載されているものの、アミロース含量が22%以上の米粉という特定の米粉を使用することを前提とするものであるから、アミロース含量が16.7%であるヒノヒカリ(乙8)の精米を原料とする米粉を使用する引用発明1において、ヒノヒカリの精米を原料とする米粉(粳米粉)を、0.5質量%以上60質量%以下含むことの動機付けも認められない。
そうすると、その余の事項を検討を検討するまでもなく、引用発明1において、相違点1-1に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。
そして、本件発明1は、相違点1-1に係る本件発明1の構成を備えることにより、訂正後の本件特許明細書の段落【0008】に記載された「油ちょう直後の食感がよく、かつ、揚げたての天ぷら特有の、歯切れがよくサクサクとした食感を、油ちょう後長時間持続できる天ぷらの衣を提供することができる。」という効果を奏するものである。
したがって、本件発明1は、引用発明1及び甲3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
イ 本件発明3について
本件特許の請求項3は、本件特許の請求項1の記載を置き換えることなく引用して記載されたものである。
したがって、本件発明3は、本件発明1の発明特定事項を全て含むものであるから、上記アの本件発明1の検討を踏まえると、引用発明1及び甲3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
ウ 本件発明5について
(ア)対比
本件発明5と引用発明2とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。
・引用発明2の「ヒノヒカリの精米を原料とする米粉」は、本件発明5の「粳米粉」に相当し、同様に、「平均粒径が42.20μm」であることは「平均粒径が25~70μm」であることに相当する。
・引用発明2の「ヒノヒカリの精米を原料とする米粉のデンプンの損傷率を4.19%に調整した」ことと、本件発明5の「粳米粉の損傷でん粉含有量を4.0質量%以下に調整した」こととは、「粳米粉の損傷でん粉含有量を所定の質量%に調整した」という限りにおいて一致する。
また、引用発明2の「天ぷら粉」と、本件発明5の「天ぷら用バッターミックス」とは、「天ぷら用材料」という限りにおいて一致する。
そうすると、引用発明2の「ヒノヒカリの精米を原料とする米粉のデンプンの損傷率を4.19%に調整した、平均粒径が42.20μmのヒノヒカリの精米を原料とする米粉を含有する、天ぷら粉」と、本件発明5の「(A)粳米粉の損傷でん粉含有量を4.0質量%以下に調整した、平均粒径が25~70μmの粳米粉 10~40質量%、及び(B)小麦粉 40質量%以上、を含有する、天ぷら用バッターミックス」とは、「粳米粉の損傷でん粉含有量を所定の質量%に調整した、平均粒径が25~70μmの粳米粉を含有する、天ぷら用材料」という限りにおいて一致する。
・引用発明2の「米粉ならではの独特の食味・食感が味わえる天ぷらを得る方法」と、本件発明5の「揚げたて時の天ぷら衣の歯切れがよくサクサクとした食感を持続させる方法」とは、「所定の天ぷら衣の食感を得る方法」という限りにおいて一致する。
したがって、両者は、
「粳米粉の損傷でん粉含有量を所定の質量%に調整した、平均粒径が25~70μmの粳米粉を含有する、天ぷら用材料を用いて、所定の天ぷら衣の食感を得る方法。」の点で一致し、次の点で相違している。
[相違点5-1]
本件発明5の方法は、「(A)粳米粉の損傷でん粉含有量を4.0質量%以下に調整した」、「粳米粉 10~40質量%、及び(B)小麦粉 40質量%以上、を含有する、天ぷら用バッターミックスを用いて」いるのに対して、引用発明2の方法は、「ヒノヒカリの精米を原料とする米粉のデンプンの損傷率を4.19%に調整した」、「ヒノヒカリの精米を原料とする米粉を含有する、天ぷら粉を用いて」いる点。
[相違点5-2]
本件発明5は、「揚げたて時の天ぷら衣の歯切れがよくサクサクとした食感を持続させる方法」であるのに対して、引用発明2は、「米粉ならではの独特の食味・食感が味わえる天ぷらを得る方法」である点。
(イ)判断
相違点5-1は、上記ア(ア)で示した相違点1-1と実質的に同じであるから、上記ア(イ)で示した理由と同様の理由により、相違点5-1に係る本件発明5の構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことではない。
そうすると、相違点5-2を検討するまでもなく、本件発明5は、引用発明2及び甲3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
エ まとめ
上記ア~ウのとおりであるから、本件発明1、3及び5は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。
したがって、本件特許の請求項1、3及び5に係る特許は、取消理由1により取り消すことができない。
(2)取消理由2(特許法第36条第4項第1号)について
本件訂正後の明細書の段落【0011】及び【0036】において、「レーザー回折式粒子径分布測定装置HELOS&RODOS」と記載されたことにより、当該装置を特定できるものとなった。
これにより、本件特許の発明の詳細な説明の記載は、当業者が本件発明1、3及び5の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものといえるから、本件特許の請求項1、3及び5に係る特許は、取消理由2により取り消すことができない。
第5 平成31年2月18日付け取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由について
1 特許異議申立理由
申立人は、特許異議申立書において、次の特許異議申立理由を主張する。
・本件特許明細書には、平均粒径について、段落0011、0036に「株式会社日本レーザー社製「レーザー解析式粒子径分布測定装置HELOS&RODOS」を用いて乾式で測定する」ことが記載されているのみであり、その算出方法が特定されていない。
一方、甲5の判決文には、「平均粒径については,個数平均径,長さ平均径,体積平均径等複数の種類があり,当然それらの計算式は異なるものである(6頁下から12~11行)」こと,「平均粒径の定義・意味、測定方法を特定しなければ,平均粒径の意義は明確でない,と認められる(7頁14~15行)」ことが記載されている。
レーザー解析式粒子径分布測定装置によって求められる平均粒径には、計算方法によって、中央値、最頻値、体積平均値の3つの算出方法があり、算出方法が異なると結果も変わってくることは、当業者にとって知られていることである。
したがって、どの算出方法によって求められた平均粒径であるかが、本件特許明細書には記載されていないので、本件の特許請求の範囲における粒径の規定は明確ではない。
よって、本件の特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第2号に違反している。
2 当審の判断
請求項1及び5において、「平均粒径が25~70μm」と記載されているところ、「平均粒径」について定義する記載はないが、「平均粒径」を説明する記載として、本件特許明細書の発明の詳細な説明には以下の記載がある。
・「【0011】
本開示の粳米粉の「平均粒径」の測定方法は、株式会社日本レーザー社製「レーザー回折式粒子径分布測定装置HELOS&RODOS」を用いて乾式で測定する。」
・「【0036】
<米粉の平均粒径の測定方法>
各実験で使用した米粉の「平均粒径(μm)」は、株式会社日本レーザー社製「レーザー回折式粒子径分布測定装置HELOS&RODOS」を用いて乾式で測定した。」
これら記載から、平均粒径の測定を株式会社日本レーザー社製「レーザー回折式粒子径分布測定装置HELOS&RODOS」を用いて乾式で測定したことが理解できる。
そして、甲2において、特許権者ではない「兵庫教育大学大学院 自然・生活教育系」が作成した平成22年3月1日付けの「米粉の物性分析報告書」の「2.分析結果」において、単に「平均粒径」と記された項目において、米粉(微細)について「42.20μm」となっているところ、「レーザー回折式粒子径分布測定装置HELOS&RODOS」を用いて計測した3つ目の結果において、中央下には「x50= 42.20μm」と記されていること(細目、中目についても同様。)及び乙2にはx50がメジアン径であることが示されていることから、米粉を「レーザー回折式粒子径分布測定装置HELOS&RODOS」を用いて計測した結果において、単に「平均粒径」と記した場合は、メジアン径を意味することが普通であると理解できる。
そうすると、本件特許の請求項1、3及び5における「平均粒径」はメジアン径を意味するものと理解できるから、本件発明1、3及び5は明確である。
したがって、本件特許の請求項1、3及び5に係る特許は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるとはいえないから、同法第113条第4号に該当せず、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由により取り消すことができない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件特許の請求項1、3及び5に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許の請求項1、3及び5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、本件特許の請求項2及び4は、本件訂正により削除された。
これにより、本件特許の請求項2及び4に対して申立人がした特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2018-700515