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特許異議申立

2018-700431

遊技機

審判番号
2018-700431
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2015-235093外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2018年05月29日
審決日
2019年04月23日
公報発行日
2019年07月26日
結論
訂正認容
当事者
審判長/審判官
分類
P1651.121-YAA(A63F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第126条第5項、特許法第126条第4項、特許法第29条第2項、特許法第44条第1項、特許法第29条第1項第3号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第6240651号発明「遊技機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第6240651号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 特許第6240651号の請求項1に係る特許を維持する。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 特許第6240651号(以下「本件特許」という。)の請求項1に係る特許についての出願は、平成22年1月22日に出願した特願2010-12559号の一部を平成26年6月16日に新たな特許出願(特願2014-123745号)とし、さらにその一部を平成27年12月1日に新たな特許出願(特願2015-235093号)としたものであって、平成29年11月10日にその特許権の設定登録がされ、同年11月29日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許について、平成30年5月29日に特許異議申立人により特許異議の申立てがされ、当審は、同年7月11日付けで取消理由を通知した。特許権者は、同年9月14日に意見書の提出及び訂正請求を行い、その訂正の請求に対して、特許異議申立人は、同年11月19日に意見書を提出した。当審は、同年11月30日付けで取消理由(決定の予告)を通知した。特許権者は、平成31年2月7日に意見書の提出及び訂正請求(以下「本件訂正請求」という。)を行い、その訂正の請求に対して、特許異議申立人は、同年4月1日に意見書を提出した。 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正の内容 本件訂正請求による訂正(以下「本件訂正」という。)は、以下のとおりである。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に 「遊技制御を実行するCPUと、乱数値となる数値データを生成する乱数回路と、が内蔵されたマイクロコンピュータを備え、」を加える。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項1に 「前記乱数回路は、 数値データを予め定められた手順により更新して出力する数値更新手段と、 所定信号が入力されたことに基づいて前記数値更新手段から出力された数値データを乱数値として乱数値格納領域に格納する乱数値格納手段と、 を含み、」を加える。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項1に 「前記CPUは、前記乱数値格納領域に格納されている乱数値を前記所定信号が入力されたことに基づいて読み出して抽選を行う抽選手段を含み、」を加える。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項1に 「前記マイクロコンピュータは、前記乱数値格納手段により前記乱数値格納領域に乱数値が格納された時点から、前記乱数値格納領域に格納されている乱数値が前記CPUにより読み出されるまでの期間において、前記乱数値格納手段により前記乱数値格納領域に新たな乱数値が格納されることを制限する格納制限手段を含み、」を加える。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項1に 「遊技を行うためのデータを読み出し及び書き込み可能に記憶する記憶領域を有し、電力供給が停止しても該記憶領域に記憶されているデータを保持することが可能なデータ記憶手段と、」とあるのを、 「前記マイクロコンピュータは、遊技を行うためのデータを読み出し及び書き込み可能に記憶する記憶領域を有し、電力供給が停止しても該記憶領域に記憶されているデータを保持することが可能なデータ記憶手段を含み、」に訂正する。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項1に 「前記遊技機の起動時に、前記データ記憶手段に記憶されているデータに基づく制御状態に復帰させる復帰処理と、前記データ記憶手段に記憶されているデータに基づく制御状態に復帰させない非復帰処理と、を含む起動時に必要な起動時処理を行う起動時処理手段と、を備え、」とあるのを、 「前記CPUは、 前記遊技機の起動時に、前記データ記憶手段に記憶されているデータに基づく制御状態に復帰させる復帰処理と、前記データ記憶手段に記憶されているデータに基づく制御状態に復帰させない非復帰処理と、を含む起動時に必要な起動時処理を行う起動時処理手段 ・・・ を含み、」に訂正する。 (7)訂正事項7 特許請求の範囲の請求項1に 「前記CPUは、 ・・・ 電断条件が成立したときに前記データ記憶手段に記憶されているデータに基づいて復帰可能とするための電断処理を実行する電断処理実行手段と、 ・・・ を含み、」を加える。 (8)訂正事項8 特許請求の範囲の請求項1に 「前記CPUは、 ・・・ 前記電断処理の実行後、電力供給が停止せずに一定時間継続した場合に出力されるリセット信号が検出されたときに、前記起動時処理を行う再起動時処理手段と、 ・・・ を含み、」を加える。 (9)訂正事項9 特許請求の範囲の請求項1に 「前記CPUは、 ・・・ 前記電断処理の実行後、電力供給が停止するのを待機しているときに、前記乱数値格納領域に格納されている乱数値を読み出す電断待機時読出手段と、 を含み、」を加える。 (10)訂正事項10 特許請求の範囲の請求項1の「起動時処理手段」に関して、「前記データ演算手段が前記所定の演算を行った後、前記第1の分岐手段が前記遊技を行うためのデータが正常か否かの判定を行うまでの間に、前記起動時処理のうち前記復帰処理に分岐される場合にも前記非復帰処理に分岐される場合にも共通して行う必要のある共通処理を行い、」を加える。 (11)訂正事項11 願書に添付した明細書の段落【0006】に 「上記課題を解決するために、本発明の請求項1の遊技機は、 遊技を行う遊技機であって、 遊技を行うためのデータを読み出し及び書き込み可能に記憶する記憶領域を有し、電力供給が停止しても該記憶領域に記憶されているデータを保持することが可能なデータ記憶手段と、 前記遊技機の起動時に、前記データ記憶手段に記憶されているデータに基づく制御状態に復帰させる復帰処理と、前記データ記憶手段に記憶されているデータに基づく制御状態に復帰させない非復帰処理と、を含む起動時に必要な起動時処理を行う起動時処理手段と、 を備え、 前記起動時処理手段は、 前記遊技機の電源投入時に前記データ記憶手段へのアクセスを許可するアクセス許可手段と、 前記アクセス許可手段により前記データ記憶手段へのアクセスが許可された後、前記データ記憶手段ヘアクセスする他の処理を行うことなく直ちに前記データ記憶手段の記憶領域に記憶されているデータを用いて所定の演算を行うデータ演算手段と、 前記データ演算手段による演算の結果に基づいて遊技を行うためのデータが正常か否かを判定し、正常と判定された場合に前記復帰処理に分岐させるとともに、正常と判定されなかった場合に前記非復帰処理に分岐させる第1の分岐手段と、 前記遊技機の起動時に、所定の操作がされているか否かを判定し、所定の操作がされていると判定された場合に遊技者の有利度を設定可能な設定処理に分岐させる第2の分岐手段と、 を含み、 前記起動時処理手段は、 前記第1の分岐手段が遊技を行うためのデータが正常か否かの判定を行った後、前記第2の分岐手段が所定の操作がされているか否かの判定を行う ことを特徴としている。」とあるのを、 「上記課題を解決するために、本発明の請求項1の遊技機は、 遊技を行う遊技機であって、 遊技制御を実行するCPUと、乱数値となる数値データを生成する乱数回路と、が内蔵されたマイクロコンピュータを備え、 前記乱数回路は、 数値データを予め定められた手順により更新して出力する数値更新手段と、 所定信号が入力されたことに基づいて前記数値更新手段から出力された数値データを乱数値として乱数値格納領域に格納する乱数値格納手段と、 を含み、 前記CPUは、前記乱数値格納領域に格納されている乱数値を前記所定信号が入力されたことに基づいて読み出して抽選を行う抽選手段を含み、 前記マイクロコンピュータは、前記乱数値格納手段により前記乱数値格納領域に乱数値が格納された時点から、前記乱数値格納領域に格納されている乱数値が前記CPUにより読み出されるまでの期間において、前記乱数値格納手段により前記乱数値格納領域に新たな乱数値が格納されることを制限する格納制限手段を含み、 前記マイクロコンピュータは、遊技を行うためのデータを読み出し及び書き込み可能に記憶する記憶領域を有し、電力供給が停止しても該記憶領域に記憶されているデータを保持することが可能なデータ記憶手段を含み、 前記CPUは、 前記遊技機の起動時に、前記データ記憶手段に記憶されているデータに基づく制御状態に復帰させる復帰処理と、前記データ記憶手段に記憶されているデータに基づく制御状態に復帰させない非復帰処理と、を含む起動時に必要な起動時処理を行う起動時処理手段と、 電断条件が成立したときに前記データ記憶手段に記憶されているデータに基づいて復帰可能とするための電断処理を実行する電断処理実行手段と、 前記電断処理の実行後、電力供給が停止せずに一定時間継続した場合に出力されるリセット信号が検出されたときに、前記起動時処理を行う再起動時処理手段と、 前記電断処理の実行後、電力供給が停止するのを待機しているときに、前記乱数値格納領域に格納されている乱数値を読み出す電断待機時読出手段と、 を含み、 前記起動時処理手段は、 前記遊技機の電源投入時に前記データ記憶手段へのアクセスを許可するアクセス許可手段と、 前記アクセス許可手段により前記データ記憶手段へのアクセスが許可された後、前記データ記憶手段ヘアクセスする他の処理を行うことなく直ちに前記データ記憶手段の記憶領域に記憶されているデータを用いて所定の演算を行うデータ演算手段と、 前記データ演算手段による演算の結果に基づいて遊技を行うためのデータが正常か否かを判定し、正常と判定された場合に前記復帰処理に分岐させるとともに、正常と判定されなかった場合に前記非復帰処理に分岐させる第1の分岐手段と、 前記遊技機の起動時に、所定の操作がされているか否かを判定し、所定の操作がされていると判定された場合に遊技者の有利度を設定可能な設定処理に分岐させる第2の分岐手段と、 を含み、 前記起動時処理手段は、 前記データ演算手段が前記所定の演算を行った後、前記第1の分岐手段が前記遊技を行うためのデータが正常か否かの判定を行うまでの間に、前記起動時処理のうち前記復帰処理に分岐される場合にも前記非復帰処理に分岐される場合にも共通して行う必要のある共通処理を行い、 前記第1の分岐手段が遊技を行うためのデータが正常か否かの判定を行った後、前記第2の分岐手段が所定の操作がされているか否かの判定を行う ことを特徴としている。」に訂正する。 2 訂正の適否について (1)訂正事項1 ア 訂正の目的 訂正事項1は、特許請求の範囲の請求項1に新たに「遊技制御を実行するCPUと、乱数値となる数値データを生成する乱数回路と、が内蔵されたマイクロコンピュータを備え、」なる発明特定事項を加えることで、特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから、当該訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更について 願書に添付した明細書の段落【0042】には、「図5に示すメイン制御部41は、1チップマイクロコンピュータであり、・・・CPU505と、・・・乱数回路509と、・・・を備えて構成される。」と記載され、段落【0085】には、「メイン制御部41が備えるCPU505は、ROM506から読み出したプログラムを実行することにより、スロットマシン1におけるゲームの進行を制御するための処理などを実行する。」と記載され、段落【0090】には、「メイン制御部41が備える乱数回路509は、例えば16ビット乱数といった、所定の更新範囲を有する乱数値となる数値データを生成する回路である。」と記載されており、訂正事項1は、これらの記載、すなわち、遊技制御を実行するCPU(CPU505)と、乱数値となる数値データを生成する乱数回路(乱数回路505)と、が内蔵されたマイクロコンピュータ(1チップマイクロコンピュータであるメイン制御部41)を備えることに基づくものである。 したがって、訂正事項1は、上記のとおり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「願書に添付した明細書等」という。)の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。 そして、訂正事項1は、新たに発明特定事項を直列的に付加するものであるから、構成要件の削除、請求項の追加、実施例の追加ではなく、また、カテゴリーや対象を変更するものではないので、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合する。 (2)訂正事項2 ア 訂正の目的 訂正事項2は、特許請求の範囲の請求項1に新たに「前記乱数回路は、数値データを予め定められた手順により更新して出力する数値更新手段と、所定信号が入力されたことに基づいて前記数値更新手段から出力された数値データを乱数値として乱数値格納領域に格納する乱数値格納手段と、を含み、」なる発明特定事項を加えることで、特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから、当該訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更について 願書に添付した明細書の段落【0092】には、「乱数回路509は、図12に示すように、・・・乱数生成回路553、・・・乱数列変更回路555、・・・乱数ラッチセレクタ558A、558B、乱数値レジスタ559A、559Bを備えて構成される。」と記載され、段落【0097】には、「乱数生成回路553は、例えば16ビットのカウンタなどから構成され、クロック用フリップフロップ552から出力される乱数更新クロックRGKなどの入力に基づき、数値データを更新可能な所定の範囲において所定の初期値から所定の最終値まで循環的に更新する回路である。例えば乱数生成回路553は、所定のクロック端子への入力信号である乱数更新クロックRGKにおける立ち上がりエッジに応答して、「0」から「65535」までの範囲内で設定された初期値から「65535」まで1ずつ加算するように数値データをカウントアップして行く。そして、「65535」までカウントアップした後には、「0」から初期値よりも1小さい最終値となる数値まで1ずつ加算するようにカウントアップすることで、数値データを循環的に更新する。」と記載され、段落【0099】には、「乱数列変更回路555は、乱数生成回路553により生成された数値データが一巡したときに、数値データの更新順である順列を所定の乱数更新規則に従った順列に変更可能とする回路である。例えば、乱数列変更回路555は、乱数生成回路553から出力される数値データにおけるビットの入れ替えや転置などのビットスクランブル処理を実行する。また、乱数列変更回路555は、例えばビットスクランブル処理に用いるビットスクランブル用キーやビットスクランブルテーブルを変更することなどにより、数値データの更新順である順列の変更を行うことができる。」と記載され、段落【0112】には、「乱数値レジスタ559Aは、乱数列変更回路555から出力された乱数列RSNにおける数値データを乱数値として格納するレジスタである。」と記載され、段落【0113】には、「乱数値レジスタ559Aは、乱数ラッチセレクタ558Aから供給される乱数ラッチ信号LL1がオン状態となったことに応答して、乱数列変更回路555から出力された乱数列RSNにおける数値データを乱数値として取り込んで格納する。」と記載され、段落【0334】には、「ラッチ用フリップフロップ557Aは、ラッチ用クロックRC1の立ち上がりエッジに応答して、スタートスイッチ7から伝送されて入力ポートPOに供給されたゲーム開始信号SSIを取り込み(ラッチして)、ゲーム開始時ラッチ信号SL1として出力端子Qから出力する。」と記載されており、訂正事項2は、これらの記載及び図12の記載、すなわち、乱数回路は、数値データを予め定められた手順により更新して出力する数値更新手段(乱数生成回路553及び乱数列変更回路555)と、所定信号(スタートスイッチ7の入力信号)が入力されたことに基づいて数値更新手段(乱数列変更回路555)から出力された数値データを乱数値として乱数値格納領域(乱数値レジスタ559A)に格納する乱数値格納手段(乱数ラッチセレクタ558A)と、を含むことに基づくものである。 したがって、訂正事項2は、願書に添付した明細書等の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。 そして、訂正事項2は、新たに発明特定事項を直列的に付加するものであるから、構成要件の削除、請求項の追加、実施例の追加ではなく、また、カテゴリーや対象を変更するものではないので、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 よって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合する。 (2)訂正事項3 ア 訂正の目的 訂正事項3は、特許請求の範囲の請求項1に新たに「前記CPUは、前記乱数値格納領域に格納されている乱数値を前記所定信号が入力されたことに基づいて読み出して抽選を行う抽選手段を含み、」なる発明特定事項を加えることで、特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから、当該訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更について 願書に添付した明細書の段落【0086】には、「このように、メイン制御部41では、CPU505がROM506に格納されているプログラムに従って制御を実行するので、以下、メイン制御部41(又はCPU505)が実行する(又は処理を行う)ということは、具体的には、CPU505がプログラムに従って制御を実行することである。」と記載され、段落【0161】には、「内部抽選では、まず、スタートスイッチ7の検出時に内部抽選用の乱数値(0~65535の整数)を取得する。詳しくは、スタートスイッチ7の操作の検出と同時にラッチされ、乱数値レジスタR1Dに格納された数値データを読み出し、RAM507に割り当てられた乱数値ワークに格納する。」と記載され、段落【0263】には、「図29は、メイン制御部41が実行するゲーム処理の制御内容を示すフローチャートである。」と記載され、段落【0266】には、「Sd2のステップにおける内部抽選処理では、Sd1のステップにおけるスタートスイッチ7の検出によるゲーム開始と同時にラッチされた内部抽選用の乱数値に基づいて上記した各役への入賞を許容するかどうかを決定する処理を行う。」と記載されており、訂正事項3は、これらの記載、すなわち、CPU(CPU505)は、乱数値格納領域(乱数値レジスタR1D)に格納されている乱数値を所定信号(スタートスイッチ7の入力信号)が入力されたことに基づいて読み出して抽選を行う抽選手段を含むことに基づくものである。 したがって、訂正事項3は、願書に添付した明細書等の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。 そして、訂正事項3は、新たに発明特定事項を直列的に付加するものであるから、構成要件の削除、請求項の追加、実施例の追加ではなく、また、カテゴリーや対象を変更するものではないので、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 よって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合する。 (4)訂正事項4 ア 訂正の目的 訂正事項4は、特許請求の範囲の請求項1に新たに「前記マイクロコンピュータは、前記乱数値格納手段により前記乱数値格納領域に乱数値が格納された時点から、前記乱数値格納領域に格納されている乱数値が前記CPUにより読み出されるまでの期間において、前記乱数値格納手段により前記乱数値格納領域に新たな乱数値が格納されることを制限する格納制限手段を含み、」なる発明特定事項を加えることで、特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから、当該訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更について 願書に添付した明細書の段落【0115】には、「図19(B)に示す例では、・・・乱数ラッチフラグデータRDFM0が“1”の状態、すなわち乱数値レジスタR1Dに数値データが取り込まれている状態では、新たな乱数値の取込要求が発生した場合でも、新たな数値データを乱数値レジスタR1Dに取り込まないようになっており、このような状態では、乱数値レジスタR1Dの数値データが読み出されて、乱数ラッチフラグデータRDFM0がクリアされるまで新たな数値データを乱数値レジスタR1Dに取り込むことが不可能となる。」と記載され、段落【0352】には、「本実施例に適用した乱数回路509では、乱数ラッチフラグデータRDFM0が“1”の状態、すなわち乱数値レジスタR1Dに数値データが取り込まれている状態では、新たな乱数値の取込要求が発生した場合でも、新たな数値データを乱数値レジスタR1Dに取り込まないようになっており、このような状態では、乱数値レジスタR1Dの数値データが読み出されて、乱数ラッチフラグデータRDFM0がクリアされるまで新たな数値データを乱数値レジスタR1Dに取り込むことが不可能となる。」と記載され、段落【0353】には、「このため、図38に示すように、スタートスイッチ7の操作によりゲーム開始信号SS1が入力されて数値データがラッチされ、乱数値レジスタR1Dに格納された後、この格納された数値データが読み出されるまでは、乱数ラッチフラグデータRDFM0が“1”の状態となることで、格納されている数値データが保持され、その間にゲーム開始信号SS1が入力されても新たな数値データに上書きされてしまうことがないので、静電気などによりゲーム開始信号SS1の信号線にノイズがのっても数値データが変わってしまうことがなく、このような場合であってもスタートスイッチ7が操作されたタイミングでラッチされた数値データとは異なる数値データを用いて内部抽選が行われてしまうことがない。」と記載されており、訂正事項4は、これらの記載及び図19(A)、図38の記載、すなわち、マイクロコンピュータ(1チップマイクロコンピュータであるメイン制御部41)は、乱数値格納手段(乱数ラッチセレクタ558A、558B)により乱数値格納領域(乱数値レジスタR1D)に乱数値(数値データ)が格納された時点から、乱数値格納領域(乱数値レジスタR1D)に格納されている乱数値(数値データ)がCPUにより読み出されるまでの期間において、乱数値格納手段(乱数ラッチセレクタ558A、558B)により乱数値格納領域(乱数値レジスタR1D)に新たな乱数値(数値データ)が格納されることを制限する格納制限手段を含むことに基づくものである。 したがって、訂正事項4は、願書に添付した明細書等の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。 そして、訂正事項4は、新たに発明特定事項を直列的に付加するものであるから、構成要件の削除、請求項の追加、実施例の追加ではなく、また、カテゴリーや対象を変更するものではないので、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 よって、訂正事項4は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合する。 (5)訂正事項5 ア 訂正の目的 訂正事項5は、上記訂正事項1において特許請求の範囲の請求項1に加えられた「マイクロコンピュータ」が「データ記憶手段」を含むことを限定することで、特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから、当該訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更について 願書に添付した明細書の段落【0042】には、「図5に示すメイン制御部41は、1チップマイクロコンピュータであり、・・・RAM507と、・・・を備えて構成される。」と記載され、段落【0085】には、「CPU505がRAM507に各種の変動データを書き込んで一時記憶させる変動データ書込動作、CPU505がRAM507に一時記憶されている各種の変動データを読み出す変動データ読出動作、」と記載され、段落【0088】には、「メイン制御部41が備えるRAM507は、ゲーム制御用のワークエリアを提供する。ここで、RAM507の少なくとも一部は、バックアップ電源によってバックアップされているバックアップRAMであれば良い。すなわち、スロットマシンへの電力供給が停止しても、所定期間はRAM507の少なくとも一部の内容が保存される。尚、本実施例では、RAM507の全ての領域がバックアップRAMとされており、スロットマシンへの電力供給が停止しても、所定期間はRAM507の全ての内容が保存される。」と記載されており、訂正事項5は、これらの記載、すなわち、マイクロコンピュータ(1チップマイクロコンピュータであるメイン制御部41)は、遊技を行うためのデータを読み出し及び書き込み可能に記憶する記憶領域(ワークエリア)を有し、電力供給が停止しても該記憶領域(ワークエリア)に記憶されているデータを保持することが可能なデータ記憶手段(RAM507)を含むことに基づくものである。 したがって、訂正事項5は、願書に添付した明細書等の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。 そして、訂正事項5は、上記訂正事項1において特許請求の範囲の請求項1に加えられた「マイクロコンピュータ」が「データ記憶手段」を含むことを限定するものであるから、構成要件の削除、請求項の追加、実施例の追加ではなく、また、カテゴリーや対象を変更するものではないので、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 よって、訂正事項5は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合する。 (6)訂正事項6 ア 訂正の目的 訂正事項6は、上記訂正事項1において特許請求の範囲の請求項1に加えられた「CPU」が「起動時処理手段」を含むことを限定することで、特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから、当該訂正事項6は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更について 願書に添付した明細書の段落【0085】には、「メイン制御部41が備えるCPU505は、ROM506から読み出したプログラムを実行することにより、スロットマシン1におけるゲームの進行を制御するための処理などを実行する。」と記載され、段落【0086】には、「このように、メイン制御部41では、CPU505がROM506に格納されているプログラムに従って制御を実行するので、以下、メイン制御部41(又はCPU505)が実行する(又は処理を行う)ということは、具体的には、CPU505がプログラムに従って制御を実行することである。」と記載され、段落【0215】には、「メイン制御部41は、リセット回路49からシステムリセット信号が入力されると、図23のフローチャートに示す起動処理(メイン)を行う。また、ユーザリセット信号が入力された場合には、起動処理(メイン)のSa2のステップから処理を開始する。すなわち電源投入に伴う起動の場合のみセキュリティチェック処理を行うセキュリティモードから開始する一方、ウォッチドッグタイマ49aのタイムアップによる起動の場合には、セキュリティチェック処理を省略してROM506に記憶されたユーザプログラムを実行するユーザモードから開始されることになる。」と記載されており、訂正事項6は、これらの記載、すなわち、CPU(CPU505)は、遊技機の起動時に、データ記憶手段(RAM507)に記憶されているデータに基づく制御状態に復帰させる復帰処理と、データ記憶手段(RAM507)に記憶されているデータに基づく制御状態に復帰させない非復帰処理と、を含む起動時に必要な起動時処理を行う起動時処理手段を含むことに基づくものである。 したがって、訂正事項6は、願書に添付した明細書等の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。 そして、訂正事項6は、上記訂正事項1において特許請求の範囲の請求項1に加えられた「CPU」が「起動時処理手段」を含むことを限定するものであるから、構成要件の削除、請求項の追加、実施例の追加ではなく、また、カテゴリーや対象を変更するものではないので、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 よって、訂正事項6は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合する。 (7)訂正事項7 ア 訂正の目的 訂正事項7は、特許請求の範囲の請求項1に新たに「前記CPUは、・・・電断条件が成立したときに前記データ記憶手段に記憶されているデータに基づいて復帰可能とするための電断処理を実行する電断処理実行手段と、・・・を含み、」なる発明特定事項を加えることで、特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから、当該訂正事項7は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更について 願書に添付した明細書の段落【0138】には、「本実施例のスロットマシン1においては、メイン制御部41は、タイマ割込処理(メイン)を実行する毎に、電断検出回路48からの電圧低下信号が検出されているか否かを判定する停電判定処理を行い、停電判定処理において電圧低下信号が検出されていると判定した場合に、電断処理(メイン)を実行する。電断処理(メイン)では、レジスタを後述するRAM507のスタックに退避し、RAM507にいずれかのビットが1となる破壊診断用データ(本実施例では、5AH)、すなわち0以外の特定のデータを格納するとともに、RAM507の全ての領域に格納されたデータに基づくRAMパリティが0となるようにRAMパリティ調整用データを計算し、RAM507に格納する処理を行うようになっている。尚、RAMパリティとはRAM507の該当する領域(本実施例では、全ての領域)の各ビットに格納されている値の排他的論理和として算出される値である。このため、RAM507の全ての領域に格納されたデータに基づくRAMパリティが0であれば、RAMパリティ調整用データは0となり、RAM507の全ての領域に格納されたデータに基づくRAMパリティが1であれば、RAMパリティ調整用データは1となる。」と記載され、段落【0139】には、「そして、メイン制御部41は、システムリセットによるかユーザリセットによるかに関わらず、その起動時においてRAM507の全ての領域に格納されたデータに基づいてRAMパリティを計算するとともに、破壊診断用データの値を確認し、RAMパリティが0であり、かつ破壊診断用データの値も正しいことを条件に、RAM507に記憶されているデータに基づいてメイン制御部41の処理状態を電断前の状態に復帰させるが、RAMパリティが0でない場合(1の場合)や破壊診断用データの値が正しくない場合には、RAM異常と判定し、RAM異常エラーコードをレジスタにセットしてRAM異常エラー状態に制御し、遊技の進行を不能化させるようになっている。」と記載されており、訂正事項7は、これらの記載、すなわち、CPUは、電断条件が成立したとき(電圧低下信号が検出されたとき)にデータ記憶手段(RAM507)に記憶されているデータに基づいて復帰可能とするための電断処理(電断処理(メイン))を実行する電断処理実行手段を含むことに基づくものである。 したがって、訂正事項7は、願書に添付した明細書等の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。 そして、訂正事項7は、新たに発明特定事項を直列的に付加するものであるから、構成要件の削除、請求項の追加、実施例の追加ではなく、また、カテゴリーや対象を変更するものではないので、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 よって、訂正事項7は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合する。 (8)訂正事項8 ア 訂正の目的 訂正事項8は、特許請求の範囲の請求項1に新たに「前記CPUは、・・・前記電断処理の実行後、電力供給が停止せずに一定時間継続した場合に出力されるリセット信号が検出されたときに、前記起動時処理を行う再起動時処理手段と、・・・を含み、」なる発明特定事項を加えることで、特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから、当該訂正事項8は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更について 願書に添付した明細書の段落【0041】には、「リセット回路49は、電源投入時または電源遮断時などの電源が不安定な状態においてメイン制御部41にシステムリセット信号を与える。また、リセット回路49は、ウォッチドッグタイマ49a(図5(B)参照)を内蔵し、ウォッチドッグタイマ49aがタイムアップした場合、すなわちメイン制御部41のCPU505の動作が一定時間停止した場合においてメイン制御部41にユーザリセット信号を与える。」と記載され、段落【0139】には、「そして、メイン制御部41は、システムリセットによるかユーザリセットによるかに関わらず、その起動時においてRAM507の全ての領域に格納されたデータに基づいてRAMパリティを計算するとともに、破壊診断用データの値を確認し、RAMパリティが0であり、かつ破壊診断用データの値も正しいことを条件に、RAM507に記憶されているデータに基づいてメイン制御部41の処理状態を電断前の状態に復帰させるが、RAMパリティが0でない場合(1の場合)や破壊診断用データの値が正しくない場合には、RAM異常と判定し、RAM異常エラーコードをレジスタにセットしてRAM異常エラー状態に制御し、遊技の進行を不能化させるようになっている。」と記載され、段落【0215】には、「メイン制御部41は、リセット回路49からシステムリセット信号が入力されると、図23のフローチャートに示す起動処理(メイン)を行う。また、ユーザリセット信号が入力された場合には、起動処理(メイン)のSa2のステップから処理を開始する。すなわち電源投入に伴う起動の場合のみセキュリティチェック処理を行うセキュリティモードから開始する一方、ウォッチドッグタイマ49aのタイムアップによる起動の場合には、セキュリティチェック処理を省略してROM506に記憶されたユーザプログラムを実行するユーザモードから開始されることになる。」と記載されており、訂正事項8は、これらの記載及び図23の記載、すなわち、CPUは、電断処理の実行後、電力供給が停止せずに一定時間継続した場合に出力されるリセット信号(ユーザリセット信号)が検出されたときに、データ記憶手段(ROM507)に記憶されているデータに基づく制御状態に復帰させる復帰処理(図23のSa11~Sa18)と、データ記憶手段に記憶されているデータに基づく制御状態に復帰させない非復帰処理(図23のSa21~Sa27)と、を含む起動時に必要な起動時処理を行う起動時処理手段を含むことに基づくものである。 したがって、訂正事項8は、願書に添付した明細書等の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。 そして、訂正事項8は、新たに発明特定事項を直列的に付加するものであるから、構成要件の削除、請求項の追加、実施例の追加ではなく、また、カテゴリーや対象を変更するものではないので、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 よって、訂正事項8は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合する。 (9)訂正事項9 ア 訂正の目的 訂正事項9は、特許請求の範囲の請求項1に新たに「前記CPUは、・・・前記電断処理の実行後、電力供給が停止するのを待機しているときに、前記乱数値格納領域に格納されている乱数値を読み出す電断待機時読出手段と、を含み、」なる発明特定事項を加えることで、特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから、当該訂正事項9は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更について 願書に添付した明細書の段落【0319】には、「その後、電圧が低下してCPU505が停止するか、ユーザリセット信号が入力されて再起動するか、の待機状態に移行する。この待機状態では、乱数ラッチフラグレジスタの値に基づいて乱数値がラッチされているか否か、すなわち乱数値レジスタ559Aに数値データが取り込まれているか否かを判定し(Sm6)、乱数値がラッチされていれば、乱数値レジスタ559Aから内部抽選用の乱数値を読み出す(Sm7)ようになっており、これら以外の処理は行われない。Sm7のステップにおいて乱数値レジスタ559から内部抽選用の乱数値が読み出されると乱数ラッチフラグレジスタがクリアされ、新たな数値データの取込が許可されることとなる。」と記載されており、訂正事項9は、この記載、すなわち、CPUは、電断処理の実行後、電力供給が停止するのを待機しているときに、乱数値格納手段(乱数値レジスタ559A)に格納されている乱数値(内部抽選用の乱数値)を読み出す電断待機時読出手段を含むことに基づくものである。 したがって、訂正事項9は、願書に添付した明細書等の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。 そして、訂正事項9は、新たに発明特定事項を直列的に付加するものであるから、構成要件の削除、請求項の追加、実施例の追加ではなく、また、カテゴリーや対象を変更するものではないので、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 よって、訂正事項9は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合する。 (10)訂正事項10 ア 訂正の目的 訂正事項10は、特許請求の範囲の請求項1の「起動時処理手段」に関して、「前記データ演算手段が前記所定の演算を行った後、前記第1の分岐手段が前記遊技を行うためのデータが正常か否かの判定を行うまでの間に、前記起動時処理のうち前記復帰処理に分岐される場合にも前記非復帰処理に分岐される場合にも共通して行う必要のある共通処理を行い、」を加えることで、特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから、当該訂正事項10は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更について 願書に添付した明細書の段落【0251】には、「また、システムリセットであるかユーザリセットであるかに関わらず、RAM507へのアクセスが許可された後、他の処理を行うことなく、まず、RAM507の全ての格納領域(未使用領域及び未使用スタック領域を含む)のRAMパリティを計算し、その後、計算したRAMパリティから格納データが正常か否かの判定を行う前に、RAM507の格納データが正常か否かに関わらず共通して行う必要のある処理として、打止機能、自動精算機能の有効/無効の設定、各スイッチの入力データ、確定データ、エッジデータのクリア、電断フラグのクリアを行い、その後、RAMパリティに基づいてRAM507の格納データが正常か否かの判定を行うようになっている。」と記載され、段落【0321】には、「本実施例のメイン制御部41は、システムリセットであるかユーザリセットであるかに関わらず、RAM507へのアクセスが許可された後、他の処理を行うことなく、まず、RAM507の全ての格納領域(未使用領域及び未使用スタック領域を含む)のRAMパリティを計算し、その後、計算したRAMパリティから格納データが正常か否かの判定を行う前に、RAM507の格納データが正常か否かに関わらず共通して行う必要のある処理を行い、その後、RAMパリティに基づいてRAM507の格納データが正常か否かの判定を行うようになっている。」と記載されており、訂正事項10は、これらの記載及び図23の記載、すなわち、起動時処理手段は、データ演算手段(図23のSa5)がデータ演算手段(RAM507)に記憶されているデータのRAMパリティを算出した(データ演算手段が所定の演算を行った)後、第1の分岐手段(図23のSa9)が遊技を行うためのデータが正常か否かの判定を行うまでの間に、起動時処理のうち復帰処理に分岐される場合にも非復帰処理に分岐される場合にも共通して行う必要のある共通処理(図23のSa6~Sa9)を行うことに基づくものである。 したがって、訂正事項10は、願書に添付した明細書等の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。 そして、訂正事項10は、新たに発明特定事項を直列的に付加するものであるから、カテゴリーや対象を変更するものではないので、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 よって、訂正事項10は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合する。 ウ 異議申立人の訂正要件違反の主張について 特許異議申立人は、 (ア)訂正前発明は本件特許公報の段落【0006】の「データ記憶手段に記憶されているデータへのアクセスが許可された直後、他の処理が行われる前の状態のデータを用いて演算した結果に基づいてデータが正常か否かの判定が行われるため、データ判定の信頼性を高めることができる」ことを、その目的・効果としているのに対し、訂正事項10に係る効果として、原出願の段落【0007】に記載されている「共通処理を行うことにより、これら共通処理を、遊技を行うためのデータが正常と判定された場合と異常と判定された場合とで個別に実行する必要がないため、起動時の処理に用いるプログラム容量を削減することができる」ことを、目的・効果に加えた発明としており、よって、訂正前発明および本件訂正発明の目的・効果は、大きく相違しており、「発明の具体的な目的の範囲内」でなされたものでなく、「技術的意義が変更」されており、異なる方向性(ベクトル)のものであることが明らかであるため、「実質上特許請求の範囲を変更する」ものであること、 (イ)さらに、本件訂正発明は、訂正事項10を不用な構成として削除して分割出願し、その分割出願に係る発明について特許された後に、当該訂正事項10を訂正請求にて追加したものであり、第三者が予測できずに不利益を被るから、「実質上特許請求の範囲を変更する」ものであること を主張する。 しかしながら、特許法第126条第4項は、訂正前の特許請求の範囲に含まれないこととされた発明が訂正後の特許請求の範囲に含まれることとなると、第三者にとって不足の不利益が生じるおそれがあるため、そうした事態が生じないことを担保したものであり、「実質上特許請求の範囲を変更する」とは、特許請求の範囲の記載自体を訂正することによって特許請求の範囲を変更するもの(例えば、請求項に記載した事項を別の意味を表す表現に入れ替えることによって特許請求の範囲をずらす訂正)や、発明の対象を変更する訂正のほか、特許請求の範囲については何ら訂正することなくただ発明の詳細な説明又は図面の記載を訂正することによって特許請求の範囲を変更するようなものをいうと解する。 これを訂正事項10についてみるに、訂正事項10は、「データ記憶手段に記憶されているデータへのアクセスが許可された直後、他の処理が行われる前の状態のデータを用いて演算した結果に基づいてデータが正常か否かの判定が行われるため、データ判定の信頼性を高めることができる」ことに対応する「前記起動時処理手段」が「前記アクセス許可手段により前記データ記憶手段へのアクセスが許可された後、前記データ記憶手段ヘアクセスする他の処理を行うことなく直ちに前記データ記憶手段の記憶領域に記憶されているデータを用いて所定の演算を行うデータ演算手段」「を含」む構成は何ら変更することなく、訂正前の発明特定事項である「起動時処理手段」に関して「共通処理」に係る発明特定事項を直列的に付加するものであるから、請求項に記載した事項を別の意味を表す表現に入れ替えることによって特許請求の範囲をずらす訂正でなく、発明の対象を変更する訂正でなく、特許請求の範囲については何ら訂正することなくただ発明の詳細な説明又は図面の記載を訂正することによって特許請求の範囲を変更するようなものでもないのであって、また、訂正前の特許請求の範囲に含まれないこととされた発明が訂正後の特許請求の範囲に含まれることがなく第三者にとって不足の不利益が生じるおそれもない。 したがって、訂正事項10は、実質上特許請求の範囲を変更するものではなく、異議申立人の主張は採用できない。 (11)訂正事項11 ア 訂正の目的 訂正事項11は、上記訂正事項1~10に係る訂正により、本件訂正前の請求項1における特許請求の範囲の減縮の訂正を行った結果、記載表現が一致しなくなった願書に添付した明細書の段落【0006】の記載を、訂正後の請求項1の記載に整合させるための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更について 訂正事項11は、上記(1)~(10)で検討したとおり、願書に添付した明細書等の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。 そして、訂正事項11は、構成要件の削除、請求項の追加、実施例の追加ではなく、また、カテゴリーや対象を変更するものではないので、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 よって、訂正事項11は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合する。 3 小括 したがって、本件訂正の訂正事項1~10は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合し、訂正事項11は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項1について訂正を認める。 第3 本件訂正後の本件発明 1 取消理由に記載した取消理由について 本件訂正請求により訂正された請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものである(当審において請求項をA~I2に分説した。)。 「A 遊技を行う遊技機であって、 B 遊技制御を実行するCPUと、乱数値となる数値データを生成する乱数回路と、が内蔵されたマイクロコンピュータを備え、 C 前記乱数回路は、 C1 数値データを予め定められた手順により更新して出力する数値更新手段と、 C2 所定信号が入力されたことに基づいて前記数値更新手段から出力された数値データを乱数値として乱数値格納領域に格納する乱数値格納手段と、 を含み、 D 前記CPUは、前記乱数値格納領域に格納されている乱数値を前記所定信号が入力されたことに基づいて読み出して抽選を行う抽選手段を含み、 E 前記マイクロコンピュータは、前記乱数値格納手段により前記乱数値格納領域に乱数値が格納された時点から、前記乱数値格納領域に格納されている乱数値が前記CPUにより読み出されるまでの期間において、前記乱数値格納手段により前記乱数値格納領域に新たな乱数値が格納されることを制限する格納制限手段を含み、 F 前記マイクロコンピュータは、遊技を行うためのデータを読み出し及び書き込み可能に記憶する記憶領域を有し、電力供給が停止しても該記憶領域に記憶されているデータを保持することが可能なデータ記憶手段を含み、 G 前記CPUは、 G1 前記遊技機の起動時に、前記データ記憶手段に記憶されているデータに基づく制御状態に復帰させる復帰処理と、前記データ記憶手段に記憶されているデータに基づく制御状態に復帰させない非復帰処理と、を含む起動時に必要な起動時処理を行う起動時処理手段と、 G2 電断条件が成立したときに前記データ記憶手段に記憶されているデータに基づいて復帰可能とするための電断処理を実行する電断処理実行手段と、 G3 前記電断処理の実行後、電力供給が停止せずに一定時間継続した場合に出力されるリセット信号が検出されたときに、前記起動時処理を行う再起動時処理手段と、 G4 前記電断処理の実行後、電力供給が停止するのを待機しているときに、前記乱数値格納領域に格納されている乱数値を読み出す電断待機時読出手段と、 を含み、 H 前記起動時処理手段は、 H1 前記遊技機の電源投入時に前記データ記憶手段へのアクセスを許可するアクセス許可手段と、 H2 前記アクセス許可手段により前記データ記憶手段へのアクセスが許可された後、前記データ記憶手段ヘアクセスする他の処理を行うことなく直ちに前記データ記憶手段の記憶領域に記憶されているデータを用いて所定の演算を行うデータ演算手段と、 H3 前記データ演算手段による演算の結果に基づいて遊技を行うためのデータが正常か否かを判定し、正常と判定された場合に前記復帰処理に分岐させるとともに、正常と判定されなかった場合に前記非復帰処理に分岐させる第1の分岐手段と、 H4 前記遊技機の起動時に、所定の操作がされているか否かを判定し、所定の操作がされていると判定された場合に遊技者の有利度を設定可能な設定処理に分岐させる第2の分岐手段と、 を含み、 I 前記起動時処理手段は、 I1 前記データ演算手段が前記所定の演算を行った後、前記第1の分岐手段が前記遊技を行うためのデータが正常か否かの判定を行うまでの間に、前記起動時処理のうち前記復帰処理に分岐される場合にも前記非復帰処理に分岐される場合にも共通して行う必要のある共通処理を行い、 I2 前記第1の分岐手段が遊技を行うためのデータが正常か否かの判定を行った後、前記第2の分岐手段が所定の操作がされているか否かの判定を行う、 遊技機。」 第4 取消理由通知に記載した取消理由について (1)取消理由の概要 訂正前の請求項1に係る特許に対して、平成30年11月30日付けで特許権者に通知した取消理由(決定の予告)の要旨は次のとおりである。 訂正前の請求項1に係る発明は、甲第5号証(特開2007-143729号公報)に記載された発明及び甲第6号証(特開2005-160931号公報)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。 (2)甲号証の記載 ア 甲第5号証 取消理由(決定の予告)で通知した甲第5号証(特開2007-143729号公報)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。 「【0020】 図1に示される如く、パチスロ機300は、本体302と、本体302の正面に設けられた開閉カバーとしての操作兼装飾部303とを備えて構成されている。」 「【0034】 パチスロ機300の制御系は、主制御部100を中心に構成されており、この主制御部100には、メダル投入部320から投入されたメダルを識別し、メダルの投入数や種類(不正又は純正)等を出力するメダルセレクタ102が接続されると共に、始動レバー354、上述したリール350A、350B、350Cのそれぞれに対応する停止ボタン356A、356B、356C、MAXベットボタン352B、1枚ベットボタン352A並びに遊技を中止する際に遊技機内部に貯留(クレジット)したメダルを戻すための精算ボタン103が、それぞれ操作状態を検出する不図示のセンサ等を介して接続されている。 【0035】 また、主制御部100は、CPUを含んで構成される主制御回路110を備えており、主制御回路110には、主として遊技の進行状況に応じた各種制御のパラメータ等を一時的に記憶するRAM128と、各種プログラム等が記憶されたROM130と、が接続されると共に、主制御回路110の動作の基準となるクロックパルスを生成するクロックパルス発生回路124が分周器126を介して接続されている。 【0036】 また、主制御回路110には、乱数発生器120及び乱数ラッチ回路122が接続されている。主制御回路110は、分周器126を介して入力されたクロックパルスに同期して乱数発生器120を制御して順次乱数を発生させ、乱数ラッチ回路122では、当該乱数発生器120により発生された乱数を取得する。 【0037】 パチスロ機300では、始動レバー354による操作タイミングで役の当落を決定する内部抽選が主制御部100により行われるようになっており、主制御回路110では、始動レバー354が操作されると上記乱数ラッチ回路122に対して、乱数の取得、保持及び出力を指示し、これにより乱数ラッチ回路122から入力された乱数に応じて抽選結果を導出する。」 「【0076】 また、バックアップメモリ176は、遊技の進行状況に応じた各種制御のパラメータ等を一時的に保存するための領域であり、RAM128の予め設定された領域に設けられている。」 「【0079】 バックアップ実行制御部162は、電源供給状態判定部174により電源が遮断されると判定された場合には、バックアップ実行を示す情報をバックアップデータ書込部164に出力する。これにより、バックアップデータ書込部164は、遊技実行制御部186Aから遊技の進行状況に応じた各種制御のパラメータ等の情報(バックアップデータ)を取得し、バックアップメモリ176にアクセスして予め設定された領域に当該バックアップデータを書込むことにより遊技の進行状況に関するパラメータ等を退避・保持する。 【0080】 一方、バックアップ実行制御部162は、電源供給状態判定部174により電源の供給が再開されたと判定された場合には、バックアップデータの読出しを行うべくバックアップデータ読出部166に読出し指示を入力する。バックアップデータ読出部166では、読出指示が入力されると、バックアップメモリ176の上記予め設定された領域にアクセスしてバックアップデータを読出す。」 「【0107】 ここで、図6は、パチスロ機300の電源が遮断される場合に実行される電源断処理の流れを示すフローチャートである。以下、同図を参照して本実施の形態に係る電源断処理について説明する。」 「【0109】 すなわち、バックアップとして、実行中の処理に関するレジスタ群をRAM128等の所定領域(スタック)に退避させると共に、スタックポインタを保存することにより、遊技の進行状況に応じたパラメータを保持する。」 「【0111】 図7は、パチスロ機300の電源が投入された場合に実行される電源投入処理の流れを示すフローチャートである。以下、同図を参照して本実施の形態に係る電源投入処理について説明する。」 「【0113】 ステップ402では、RAM128へのアクセスを許可し、その後にステップ404に移行してRAMチェックを実行した後に、ステップ406に移行する。 【0114】 ここで、本実施の形態では、RAMチェックとして、RAM128の所定領域からの設定値及びスタックポインタ値の読み出し、電源断直前のデータ合計と電源投入直後のデータ合計とが一致していることの確認(チェックサム)及び予め設定された領域へのチェックパターンの書込み及び読出し等を実行する。 【0115】 ステップ406では、RAMチェックが正常に終了したか否かを判定し、当該判定が否定判定となった場合はステップ408に移行して、RAMのリード/ライトチェックを行い、その後にステップ410に移行してRAM128をクリアして全てのデータを「0」にする。」 「【0120】 一方、ステップ406で肯定判定となった場合はステップ416に移行して、RAMチェックにおいて読出した6段階の設定値が1~6の何れかであったか否かを判定する。ステップ416で肯定判定となった場合はステップ422に移行して、設定キーがONであるか否かを判定し、当該判定が肯定判定となった場合はステップ424に移行して、6段階の設定を実行する。 【0121】 また、ステップ422で否定判定となった場合はステップ426に移行して、RAMチェックにおいて読出したスタックポインタ値が正常であるか否かを判定し、当該判定が肯定判定となった場合はステップ430に移行して、スタックポインタ値に基づいて電源断前の処理へ移行する。」 「【0125】 ステップ420では、設定キーがONであるか否かを判定し、当該判定が肯定判定となった場合はステップ424に移行して、6段階の設定を実行する。」 「【0152】 以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、主制御部100により、6段階の設定値(設定値1~設定値6)から予め選択された何れか1つの設定値に基づく当選確率で役の内部抽選を実行し、当該内部抽選の結果に応じて遊技を進行するにあたり、設定値の選択状況が判別できない場合には予め設定されたデフォルトの設定値(本実施の形態では、「設定値1」)が選択されて遊技を実行する一方、デフォルト設定コマンドを主制御部100の外部に出力するので、遊技の進行を司る主制御系に負担をかけることなく、通常とは異なる状態の変化を迅速に認識することができる遊技機を提供することができる。」 (認定事項ア) 【図2】から、主制御部100はRAM128を含むことが見て取れる。 (認定事項イ) 【図2】から、RAM128が主制御回路110とのみ接続されているのが見て取れるから、CPUを含んで構成される主制御回路110が、段落【0107】乃至【0121】のRAM128を介して行われる電源断処理及び電源投入処理を行うことは明らかである。 (認定事項ウ) 【図7】から、電源投入処理において、RAMアクセス許可のステップ402の後、他の処理をおこなうことなく直ちにRAMチェックのステップ404を実行することが見て取れる。 (認定事項エ) 【図7】から、RAMチェックが正常に終了したか否かを判定するステップ406が、肯定判定となった場合に電源断前の処理のステップ430へ移行することが可能であるとともに、否定判定となった場合にRAMクリアのステップ410に移行することが可能であることが見て取れる。 (認定事項オ) 【図7】から、ステップ406でRAMチェックが正常に終了したか否かの判定を行った後、ステップ420,422で設定キーがONであるか否かの判定を行うことが見て取れる。 上記記載事項及び認定事項から、甲第5号証には次の発明(以下、「甲5発明」という。)が記載されていると認められる(a~i1は、本件発明のA~I1に対応させて付与した。)。 「a 遊技を行うパチスロ機300であって(【0020】、【0035】)、 b、c CPUを含んで構成される主制御回路110と、分周器126を介して入力されたクロックパルスに同期して順次乱数を発生する乱数発生器120と、始動レバー354が操作されると当該乱数発生器120により発生された乱数を取得、保持するする乱数ラッチ回路122を含む主制御部100を備え(【0035】、【0036】、【0037】)、 d 前記主制御回路110は、乱数ラッチ回路122から入力された乱数に応じて抽選結果を導出するものであり(【0037】)、 f 前記主制御部100は、電源が遮断されると遊技の進行状況に応じた各種制御のパラメータ等の情報(バックアップデータ)を退避・保持するために書込み、電源の供給が再開されるとバックアップデータを読出すことが可能なバックアップメモリ176が予め設定された領域に設けられているRAM128を含み(【0076】、【0079】、【0080】、認定事項ア)、 g 前記CPUを含んで構成される主制御回路110は、 g1 電源が投入された場合に、RAM128にバックアップとして保存されたスタックポインタ値に基づいて電源断前の処理へ移行する処理と、RAM128をクリアして全てのデータを「0」にする処理と、を含む電源投入処理を行い(【0109】、【0111】、【0115】、【0121】、認定事項イ)、 g2 電源が遮断される場合に遊技の進行状況に応じたパラメータを保持するために、バックアップとして、実行中の処理に関するレジスタ群をRAM128等の所定領域(スタック)に退避させると共に、スタックポインタを保存する電源断処理を行い(【0107】、【0109】、認定事項イ) h 前記電源投入処理は、 h1 前記パチスロ機300の電源が投入された場合に前記RAM128へのアクセスを許可するステップ402と(【0111】、【0113】)、 h2 前記RAM128へのアクセスが許可された後、他の処理をおこなうことなく直ちに前記RAM128の所定領域からの設定値及びスタックポインタ値を読み出し、電源断直前のデータ合計と電源投入直後のデータ合計とが一致していることの確認(チェックサム)を実行するステップ404と(【0113】、【0114】、認定事項ウ)、 h3 RAMチェックが正常に終了したか否かを判定し、当該判定が肯定判定となった場合に前記電源断前の処理のステップ430へ移行することが可能であるとともに、当該判定が否定判定となった場合に前記RAM128をクリアして全てのデータを「0」にするステップ410に移行することが可能であるステップ406と(【0115】、【0120】、【0121】、認定事項エ)、 h4 前記パチスロ機300の電源投入時に、設定キーがONであるか否かを判定し、当該判定が肯定判定となった場合には役の内部抽選の当選確率を設定する6段階の設定に移行するステップ420,422と(【0111】、【0120】、【0125】、【0152】)、 を含み、 i 前記電源投入処理は、 i1 前記ステップ406が前記RAMチェック手段によるRAMチェックが正常に終了したか否かの判定を行った後、ステップ420,422が設定キーがONであるか否かの判定を行う(【0115】、【0120】、【0125】、認定事項オ)、 パチスロ機300。」 イ 甲第6号証 取消理由(決定の予告)で通知した甲第6号証(特開2005-160931号公報)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。 「【0010】 図1は、本発明の実施例1における遊技機制御用マイクロコンピュータ1の構成を表すブロック図である。ROM3は、遊技機メーカが作成した遊技機制御用のプログラム(ユーザプログラム)や電源投入時にチップを起動させるためのプログラムおよびセキュリティチェックプログラム等を記憶する記憶手段である。RAM4は、ROM3に記憶されたプログラムのワークエリアとして使用される。CPU2は、ROM3に記憶されたプログラムにしたがい遊技機を制御する中央処理装置である。」 「【0016】 図2は、本発明の遊技機制御用マイクロコンピュータ1に内蔵された乱数取込制御回路8と乱数回路9の構成を示すブロック図である。設定部9aは、乱数値発生部9bに対し、乱数の初期値を得るための値(例えば、1,2,3といった遊技機制御用マイクロコンピュータの開発メーカがあらかじめ任意に設定した固定値、チップ固有の識別番号の値(IDナンバ)、RAMの値、RAMの値を加算したRAM加算値、等のチップ毎に異なった乱数初期値を得るための値のこと)や乱数値更新の周期等の初期情報を設定する回路である。乱数値発生部9bは、設定部9aからの情報を基に乱数値を発生する回路で、M系列乱数等の乱数値を発生する回路を内蔵する。乱数値格納部9cは、乱数値発生部9bから発生した乱数値を取り込むレジスタで、乱数取込制御回路8からの乱数取込信号が入力されたとき乱数値を取り込む。出力データ制御部9dは、乱数値格納部読取信号が入力されたとき、乱数値格納部9cに格納された乱数値を出力する。 【0017】 乱数取込制御回路8内の乱数取込制御部8aは、外部トリガ信号が入力したとき、乱数値格納部9cに対し乱数取込信号を出力すると同時に割込制御回路7に対しCPU2が乱数処理を実行すべく乱数処理割込信号を出力する。 【0018】 図3は、本発明の乱数値の取り込みを表すタイムチャートである。なお、本実施例においては、8ビットのマイクロプロセッサで16ビットの乱数値を生成する場合を想定しているため、乱数値格納部読取信号を乱数値(上位)リード信号と乱数値(下位)リード信号の二つに分けて説明するものとする。A点で乱数取込信号の入力があったとき、その時点の乱数値発生部の乱数値R1が乱数値格納部に格納される。乱数値(上位)リード信号が入力されると、C点で上位フラグが立つ。乱数値(下位)リード信号が入力されると、F点で下位フラグが立ち、フラグクリア信号も併せて生成される。このフラグクリア信号により、上位フラグと下位フラグはクリアされる。 【0019】 なお、乱数値読み取り中に乱数値格納部内の乱数値が変更するという不安定な動作を避けるため、乱数値読み取り中は外部からの割り込み信号が入力されても、新しい乱数値を格納しないようにする。すなわち、フラグクリア信号により上位フラグと下位フラグがクリアされるまで、乱数値格納部の値は変更しない。例えば、D点で乱数値取込信号が入力された場合においても、フラグがクリアされていないため、E点で乱数値格納部の値は取り込まない。」 したがって、甲第6号証には次の発明(以下、「甲6発明」という。)が記載されていると認められる(b、c、eは本件発明のB、C、Eに対応させて付与した。)。 「b、c 遊技機を制御するCPU2と(【0010】)、乱数取込制御回路8と乱数回路9と、が内蔵された遊技機制御用マイクロコンピュータ1であって(【0016】)、 e 乱数取込制御回路8からの乱数取込信号の入力があったとき、その時点の乱数値発生部の乱数値R1が乱数値格納部9cに格納され、乱数値格納部読取信号の乱数値(上位)リード信号が入力されると上位フラグが立ち、乱数値格納部読取信号の乱数値(下位)リード信号が入力されると下位フラグが立ち、合わせて生成されるフラグクリア信号により上位フラグと下位フラグがクリアされるものであり(【0016】、【0018】)、乱数値格納部内の乱数値が変更するという不安定な動作を避けるため、フラグ信号により上位フラグと下位フラグがクリアされるまで、乱数値格納部の値は変更しない(【0019】) 遊技機制御用マイクロコンピュータ1。」 (3)当審の判断 本件発明と甲5発明を対比する(見出し(a)~(i1)は、本件発明のA~I1に対応させて付与した。)。 (a)甲5発明の「a 遊技を行うパチスロ機300」は、本件発明の「A 遊技を行う遊技機」に相当する。 (b)甲5発明のb、cの「主制御回路110」の「CPU」は、これが遊技制御を実行することは技術常識であるから、本件発明の「B 遊技制御を実行するCPU」に相当する。 また、甲5発明のb、cの「分周器126を介して入力されたクロックパルスに同期して順次乱数を発生する乱数発生器120と、始動レバー354が操作されると当該乱数発生器120により発生された乱数を取得、保持する乱数ラッチ回路122と」からなるものは、本件発明のBの「乱数値となる数値データを生成する乱数回路」に相当する。 さらに、甲5発明のb、cの「主制御部100」は、これが「CPUを含んで構成される主制御回路110」を備えるものであることから、本件発明の「マイクロコンピュータ」に相当する。 したがって、甲5発明の「b、c CPUを含んで構成される主制御回路110と、分周器126を介して入力されたクロックパルスに同期して順次乱数を発生する乱数発生器120と、始動レバー354が操作されると当該乱数発生器120により発生された乱数を取得、保持するする乱数ラッチ回路122を備える主制御部100」は、本件発明の「B 遊技制御を実行するCPUと、乱数値となる数値データを生成する乱数回路と、が内蔵されたマイクロコンピュータ」に相当する。 (c1)甲5発明のb、cの「分周器126を介して入力されたクロックパルスに同期して順次乱数を発生する乱数発生器120」は、本件発明の「C1 数値データを予め定められた手順により更新して出力する数値更新手段」に相当する。 (c2)甲5発明のb、cの「始動レバー354が操作されると当該乱数発生器120により発生された乱数を取得、保持する乱数ラッチ回路122」は、本件発明の「C2 所定信号が入力されたことに基づいて前記数値更新手段から出力された数値データを乱数値として乱数値格納領域に格納する乱数値格納手段」に相当する。 (d)甲5発明において、dの「乱数ラッチ回路122から入力された乱数」は、b、cの「始動レバー354が操作され」「取得、保持」された「乱数」であることは明らかである。 また、甲5発明において、「d 前記主制御回路110は、乱数ラッチ回路122から入力された乱数に応じて抽選結果を導出する」ことが、b、cの「主制御回路110」の「CPU」により行われることは明らかである。 したがって、甲5発明は、本件発明の「D 前記CPUは、前記乱数値格納領域に格納されている乱数値を前記所定信号が入力されたことに基づいて読み出して抽選を行う抽選手段を含」むことに相当するものを有するといえる。 (f)甲5発明において、fの「RAM128」が電力供給が停止しても「バックアップメモリ176」に「書込」まれた「遊技の進行状況に応じた各種制御のパラーメータ等の情報(バックアップデータ)」を「退避・保持」することは明らかである。 したがって、甲5発明の「f 前記主制御部100は、電源が遮断されると遊技の進行状況に応じた各種制御のパラメータ等の情報(バックアップデータ)を退避・保持するために書込み、電源の供給が再開されるとバックアップデータを読出すことが可能なバックアップメモリ176が予め設定された領域に設けられているRAM128を含」むことは、本件発明の「F 前記マイクロコンピュータは、遊技を行うためのデータを読み出し及び書き込み可能に記憶する記憶領域を有し、電力供給が停止しても該記憶領域に記憶されているデータを保持することが可能なデータ記憶手段を含」むことに相当する。 (g1)甲5発明は、「g 前記CPUを含んで構成される主制御回路110」が「g1 電源が投入されると、RAM128にバックアップとして保存されたスタックポインタ値に基づいて電源断前の処理へ移行する処理と、RAM128をクリアして全てのデータを「0」にする処理と、を含む電源投入処理を行うのであるから、本件発明の「G 前記CPUは」、「G1 前記遊技機の起動時に、前記データ記憶手段に記憶されているデータに基づく制御状態に復帰させる復帰処理と、前記データ記憶手段に記憶されているデータに基づく制御状態に復帰させない非復帰処理と、を含む起動時に必要な起動時処理を行う起動時処理手段」「を含」むことに相当するものを有するといえる。 (g2)甲5発明は、「g 前記CPUを含んで構成される主制御回路110」が「g2 電源が遮断される場合に遊技の進行状況に応じたパラメータを保持するために、バックアップとして、実行中の処理に関するレジスタ群をRAM128等の所定領域(スタック)に退避させると共に、スタックポインタを保存する電源断処理を行」うのであるから、本件発明の「G 前記CPUは」、「G2 電断条件が成立したときに前記データ記憶手段に記憶されているデータに基づいて復帰可能とするための電断処理を実行する電断処理実行手段」「を含」むことに相当するものを有するといえる。 (h1)甲5発明は、「h 前記電源投入処理」が「h1 前記パチスロ機300の電源投入時に前記RAM128へのアクセスを許可するステップ402」「を含」のであるから、本件発明の「H 前記起動時処理手段」が「H1 前記遊技機の電源投入時に前記データ記憶手段へのアクセスを許可するアクセス許可手段」「を含」むことに相当するものを有するといえる。 (h2)甲5発明は、「h 前記電源投入処理」が「h2 前記RAM128へのアクセスが許可された後、他の処理をおこなうことなく直ちに前記RAM128の所定領域からの設定値及びスタックポインタ値を読み出し、電源断直前のデータ合計と電源投入直後のデータ合計とが一致していることの確認(チェックサム)を実行するステップ404」「を含」むのであるから、本件発明の「H 前記起動時処理手段」が「H2 前記アクセス許可手段により前記データ記憶手段へのアクセスが許可された後、前記データ記憶手段ヘアクセスする他の処理を行うことなく直ちに前記データ記憶手段の記憶領域に記憶されているデータを用いて所定の演算を行うデータ演算手段」「を含」むことに相当するものを有するといえる。 (h3)甲5発明は、「h 前記電源投入処理」が「h3 RAMチェックが正常に終了したか否かを判定し、当該判定が肯定判定となった場合に前記電源断前の処理のステップ430へ移行することが可能であるとともに、当該判定が否定判定となった場合に前記RAM128をクリアして全てのデータを「0」にするステップ410に移行することが可能であるステップ406」「を含」むのであるから、本件発明の「H 前記起動時処理手段」が「H3 前記データ演算手段による演算の結果に基づいて遊技を行うためのデータが正常か否かを判定し、正常と判定された場合に前記復帰処理に分岐させるとともに、正常と判定されなかった場合に前記非復帰処理に分岐させる第1の分岐手段」「を含」むことに相当するものを有するといえる。 (h4)甲5発明は、「h 前記電源投入処理」が「h4 前記パチスロ機300の電源投入時に、設定キーがONであるか否かを判定し、当該判定が肯定判定となった場合には役の内部抽選の当選確率を設定する6段階の設定に移行するステップ420,422」「を含」むのであるから、本件発明の「H 前記起動時処理手段」が「H4 前記遊技機の起動時に、所定の操作がされているか否かを判定し、所定の操作がされていると判定された場合に遊技者の有利度を設定可能な設定処理に分岐させる第2の分岐手段」「を含」むことに相当するものを有するといえる。 (i2)甲5発明は、「i 前記電源投入処理」が「i2 前記ステップ406が前記RAMチェック手段によるRAMチェックが正常に終了したか否かの判定を行った後、ステップ420,422が設定キーがONであるか否かの判定を行う」のであるから、本件発明の「I 前記起動時処理手段」が「I2 前記第1の分岐手段が遊技を行うためのデータが正常か否かの判定を行った後、前記第2の分岐手段が所定の操作がされているか否かの判定を行う」ことに相当するものを有するといえる。 そうすると、本件発明と甲5発明は次の点で一致する。 「A 遊技を行う遊技機であって、 B 遊技制御を実行するCPUと、乱数値となる数値データを生成する乱数回路と、が内蔵されたマイクロコンピュータを備え、 C 前記乱数回路は、 C1 数値データを予め定められた手順により更新して出力する数値更新手段と、 C2 所定信号が入力されたことに基づいて前記数値更新手段から出力された数値データを乱数値として乱数値格納領域に格納する乱数値格納手段と、 を含み、 D 前記CPUは、前記乱数値格納領域に格納されている乱数値を前記所定信号が入力されたことに基づいて読み出して抽選を行う抽選手段を含み、 F 前記マイクロコンピュータは、遊技を行うためのデータを読み出し及び書き込み可能に記憶する記憶領域を有し、電力供給が停止しても該記憶領域に記憶されているデータを保持することが可能なデータ記憶手段を含み、 G 前記CPUは、 G1 前記遊技機の起動時に、前記データ記憶手段に記憶されているデータに基づく制御状態に復帰させる復帰処理と、前記データ記憶手段に記憶されているデータに基づく制御状態に復帰させない非復帰処理と、を含む起動時に必要な起動時処理を行う起動時処理手段と、 G2 電断条件が成立したときに前記データ記憶手段に記憶されているデータに基づいて復帰可能とするための電断処理を実行する電断処理実行手段と、 を含み、 H 前記起動時処理手段は、 H1 前記遊技機の電源投入時に前記データ記憶手段へのアクセスを許可するアクセス許可手段と、 H2 前記アクセス許可手段により前記データ記憶手段へのアクセスが許可された後、前記データ記憶手段ヘアクセスする他の処理を行うことなく直ちに前記データ記憶手段の記憶領域に記憶されているデータを用いて所定の演算を行うデータ演算手段と、 H3 前記データ演算手段による演算の結果に基づいて遊技を行うためのデータが正常か否かを判定し、正常と判定された場合に前記復帰処理に分岐させるとともに、正常と判定されなかった場合に前記非復帰処理に分岐させる第1の分岐手段と、 H4 前記遊技機の起動時に、所定の操作がされているか否かを判定し、所定の操作がされていると判定された場合に遊技者の有利度を設定可能な設定処理に分岐させる第2の分岐手段と、 を含み、 I 前記起動時処理手段は、 I2 前記第1の分岐手段が遊技を行うためのデータが正常か否かの判定を行った後、前記第2の分岐手段が所定の操作がされているか否かの判定を行う、 遊技機。」 そして、本件発明と甲5発明は以下の点で相違する。 (相違点1) 本件発明が「E 前記マイクロコンピュータは、前記乱数値格納手段により前記乱数値格納領域に乱数値が格納された時点から、前記乱数値格納領域に格納されている乱数値が前記CPUにより読み出されるまでの期間において、前記乱数値格納手段により前記乱数値格納領域に新たな乱数値が格納されることを制限する格納制限手段を含」むものであるのに対し、甲5発明はそのようなものか否か不明な点。 (相違点2) 本件発明は、相違点1に係る構成において、「G 前記CPUは」、 「G3 前記電断処理の実行後、電力供給が停止せずに一定時間継続した場合に出力されるリセット信号が検出されたときに、前記起動時処理を行う再起動時処理手段と、 G4 前記電断処理の実行後、電力供給が停止するのを待機しているときに、前記乱数値格納領域に格納されている乱数値を読み出す電断待機時読出手段と、 を含」むものであるのに対し、甲5発明はそのようなものか否か不明な点。 (相違点3) 本件発明は、「I 前記起動時処理手段」が「I2 前記データ演算手段が前記所定の演算を行った後、前記第1の分岐手段が前記遊技を行うためのデータが正常か否かの判定を行うまでの間に、前記起動時処理のうち前記復帰処理に分岐される場合にも前記非復帰処理に分岐される場合にも共通して行う必要のある共通処理を行」うのに対し、甲5発明はそのようなものではない点。 以下、相違点について検討する。 (相違点1について) 甲6発明の「乱数取込制御回路8からの乱数取込信号の入力があったとき、その時点の乱数値発生部の乱数値R1が乱数値格納部9cに格納され」ることは、本件発明のEの「前記乱数値格納手段により前記乱数値格納領域に乱数値が格納され」ることに相当する。 また、甲6発明において、乱数値格納部読取信号の乱数値(上位)リード信号が入力されるとCPU2が乱数値(上位)を読み出し、次に、乱数値格納部読取信号の乱数値(下位)リード信号が入力されるとCPU2が乱数値(下位)を読み出すことによって、乱数値格納領域に格納された乱数値の読み出しが完了することは明らかである。 したがって、「乱数値格納部読取信号の乱数値(上位)リード信号が入力されると上位フラグが立ち、乱数値格納部読取信号の乱数値(下位)リード信号が入力されると下位フラグが立ち、合わせて生成されるフラグクリア信号により上位フラグと下位フラグがクリアされるものであり」、「フラグ信号により上位フラグと下位フラグがクリアされるまで、乱数値格納部の値は変更しない」ものである甲6発明は、本件発明のEの「前記乱数値格納領域に格納されている乱数値が前記CPUにより読み出されるまでの期間において、前記乱数値格納手段により前記乱数値格納領域に新たな乱数値が格納されることを制限する格納制限手段」に相当するものを有するといえる。 さらに、甲6発明の「遊技機制御用マイクロコンピュータ1」は、本件発明のEの「マイクロコンピュータ」に相当する。 しかしがなら、「前記乱数値格納領域に格納されている乱数値が前記CPUにより読み出されるまでの期間において、前記乱数値格納手段により前記乱数値格納領域に新たな乱数値が格納されることを制限する」のは、本願発明は「前記乱数値格納手段により前記乱数値格納領域に乱数値が格納された時点から」であるのに対し、甲6発明では「乱数値格納部読取信号の乱数値(上位)リード信号が入力され」「上位フラグが立」つ時点からであることで、両者は相違する。 この相違点に関して、本件発明では乱数値が乱数値格納領域に格納された時点から、この格納された乱数値がCPUにより読み出されるまでの期間において、所定信号が入力されて新たな乱数値に上書きされて乱数値が変わってしまうことを防止する目的であるのに対し、甲6発明では乱数値読み取り中に外部からの割り込み信号が入力されると乱数値格納部内の乱数値が変更するという不安定な動作を避ける目的であって、そもそも両者は、乱数値格納領域に新たな乱数値が格納されることが制限されるための目的が全く相違する。 そうすると、本件訂正発明のように、乱数値が乱数値格納領域に格納された時点から、この格納された乱数値がCPUにより読み出されるまでの期間を含めて、新たな乱数値が格納されることが制限される構成は、甲6発明から到底導き出せるものではない。 さらに、他に、この点を開示する公知文献ないし周知技術は見当たらない。 そして、相違点1に係る本願発明の構成では、抽選の契機となる所定信号が入力されて乱数値が乱数値格納領域に格納された時点から、この格納された乱数値がCPUにより読み出されるまでの期間において、新たに乱数値が格納されることが制限され、その間に所定信号が入力されても新たな乱数値に上書きされてしまうことがないので、静電気などにより所定信号の信号線にノイズがのっても乱数値が変わってしまうことがなく、このような場合であっても所定信号が入力されたタイミングで格納された乱数値とは異なる乱数値を用いて抽選が行われてしまうことがないという格別顕著な効果を奏する。 (相違点3について) 甲第5号証の図7のフローチャートには、ステップ404でRAMチェックを行った直後に、ステップ406で正常か否かの判定により分岐する構成が開示されており、本件発明のように、データ演算手段が所定の演算を行った後、第1の分岐手段が遊技を行うためのデータが正常か否かの判定を行うまでの間に、共通処理を行う構成は開示も示唆もなく、甲第5号証の明細書にもそのような構成の開示も示唆もない。 また、甲第6号証、甲第7号証(特開2003-263309号公報)、甲第8号証(特開2006-230666号公報)にも相違点3に係る本件発明の構成の開示も示唆もない。 さらに、他に相違点3に係る本件発明の構成を開示する公知文献ないし周知技術は見当たらない。 そして、相違点3に係る本件発明の構成により、遊技機の起動時に、データ演算手段がデータ記憶手段に記憶されているデータを用いた所定の演算を行った後、分岐手段がデータ演算手段による演算の結果に基づいて遊技を行うためのデータが正常か否かの判定を行うまでの間に、起動時処理のうち復帰処理に分岐される場合にも非復帰処理に分岐される場合にも共通して行う必要のある共通処理を行うことにより、これら共通処理を、遊技を行うためのデータが正常と判定された場合と異常と判定された場合とで個別に実行する必要がないため、起動時の処理に用いるプログラム容量を削減することができるという格別顕著な効果を奏する。 (まとめ) したがって、甲5発明に甲6発明を組み合わせたとしても、本件発明の相違点1及び相違点3に係る構成には到達し得ないから、他の相違点2について検討するまでもなく、本件請求項1に係る発明は、甲5発明及び甲6発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について 特許異議申立人は、特許異議申立書において、原出願の分割直前の明細書、図面及び特許請求の範囲(以下、「明細書等」という。)には、「共通処理」に係る技術事項を有しない発明についての記載、開示は全くないことから、本件訂正前の請求項1に係る発明が原出願の分割直前の明細書等の記載された事項の範囲内であるとは認められず、本願は不適法な分割出願であり出願日の遡及が認められず、甲第5号証(特開2007-143729号公報)に記載された発明と同一、または、甲第3号証(原出願の公開公報である特開2014-221305号公報)に記載された発明及び甲第5号証(特開2007-143729号公報)に記載された発明に基づいて並びに甲第4号証(原出願の原出願の公開公報である特開2011-147675号公報)に記載された発明及び甲第5号証(特開2007-143729号公報)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1に係る発明は、特許法44条第1項違反に基づく特許法第29条第1項第3号又は同法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである旨主張する。 しかしながら、本件訂正前の請求項1に係る発明が、「共通処理を行うことにより、これら共通処理を、遊技を行うためのデータが正常と判定された場合と異常と判定された場合とで個別に実行する必要がないため、起動時の処理に用いるプログラム容量を削減することができる」という作用効果を有する「共通処理」に係る発明特定事項を有していなくとも、「データ記憶手段に記憶されているデータへのアクセスが許可された直後、他の処理が行われる前の状態のデータを用いて演算した結果に基づいてデータが正常か否かの判定が行われるため、データ判定の信頼性を高めることができる」という作用効果を有する1つの発明として技術的に理解できることから、「共通処理」にかかる技術事項が、原出願の明細書等に開示された発明として必須の前提事項であるとまでいうことはできない。 したがって、本件訂正前の請求項1に係る発明は原出願の分割直前の明細書等の記載された事項の範囲内であり、本件特許に係る出願は適法な分割出願である。 よって、不適法な分割出願であり出願日の遡及が認められないことを前提とする特許異議申立人のかかる主張は、採用することができない。 なお、「共通処理」に係る技術事項は、本件訂正により請求項1に係る発明の発明特定事項として追加されたので、特許異議申立人が主張する不適法な分割出願であることの根拠理由は消滅した。 第6 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2018-700431

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