特許異議申立
2018-700422
発光装置
- 審判番号
- 2018-700422
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2016-116215
- 登録番号
- 特許第6242437号(P6242437)
- 請求日
- 2018年05月22日
- 審決日
- 2019年01月31日
- 公報発行日
- 2019年05月31日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】シャープ株式会社
- 【権利者代理人】特許業務法人深見特許事務所
- 【異議申立人】西林 博
- 審判長/審判官
- 審判長 西村 直史
- 審判官 小松 徹三
- 審判官 星野 浩一
- 分類
- P1651.851-YAA(H01L) / P1651.852-YAA(H01L) / P1651.121-YAA(H01L)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第5項、特許法第29条第2項、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6242437号発明「発光装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第6242437号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-10〕について訂正することを認める。
特許第6242437号の請求項1ないし8に係る特許を維持する。
特許第6242437号の請求項9及び10に係る特許についての特許異議申立てを却下する。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許第6242437号(以下「本件特許」という。)の請求項1~10に係る特許についての出願は、平成19年3月15日に特許出願された特願2007-67362号(以下「原出願」という。)の第6世代分割出願(第1世代分割出願~第5世代分割出願は、下記を参照。)であって、平成29年11月17日付けでその特許権の設定登録がなされ、平成29年12月6日に特許掲載公報が発行され、その後、平成30年5月22日に、その特許に対し、特許異議申立人西林博により請求項1-10に対して特許異議の申立てがなされたものである。そして、その後の手続の経緯は以下のとおりである。
平成30年 9月 3日 取消理由通知(同年9月5日発送)
平成30年11月 1日 訂正請求書・意見書
特許法第120条の5第5項の規定に基づき、異議申立人に意見書を提出する機会を与えたが、意見書は提出されなかった。
記
原出願 :特願2007-67362号(平成19年3月15日に 特許出願)
第1世代分割出願:特願2009-211855号(原出願の一部を平成2 1年9月14日に新たな特許出願としたもの)
第2世代分割出願:特願2010-129024号(第1世代分割出願の一
部を平成22年6月4日に新たな特許出願としたもの)
第3世代分割出願:特願2011-183773号(第2世代分割出願の一
部を平成23年8月25日に新たな特許出願としたもの )
第4世代分割出願:特願2014-136034号(第3世代分割出願の一 部を平成26年7月1日に新たな特許出願としたもの)
第5世代分割出願:特願2015-145559号(第4世代分割出願の一 部を平成27年7月23日に新たな特許出願としたもの )
第6世代分割出願:特願2016-116215号(第5世代分割出願の一
部を平成28年6月10日に新たな特許出願としたもの
)
第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
平成30年11月1日付けの訂正請求(以下「本件訂正請求」という。)は、以下の訂正事項からなる。
(1)訂正事項1:請求項1の「前記第1の蛍光体と異なる第2の蛍光体を含有する第2の封止体」を「、前記第1の封止体上を部分的に覆うように、かつ、前記複数個の発光素子上に配置される様に形成され、前記第1の蛍光体と異なる第2の蛍光体を含有する第2の封止体」に訂正するとともに、請求項1を直接、又は間接に引用する請求項2~8についても同様に訂正する訂正事項。(注:下線は訂正箇所に特許権者が付した下線である。以下同様である。)
(2)訂正事項2:請求項2の「…を有することを特徴する…」を「…を有することを特徴とする…」に訂正するとともに、請求項2を直接、又は間接に引用する請求項3~8についても同様に訂正する訂正事項。
(3)訂正事項3:請求項3の「…を有することを特徴する…」を「…を有することを特徴とする…」に訂正するとともに、請求項3を直接、又は間接に引用する請求項4~8についても同様に訂正する訂正事項。
(4)訂正事項4:請求項4の「…を含むことを特徴する…」を「…を含むことを特徴とする…」に訂正するとともに、請求項4を直接、又は間接に引用する請求項5、7、8についても同様に訂正する訂正事項。
(5)訂正事項5:請求項5の「…を含むことを特徴する…」を「…を含むことを特徴とする…」に訂正するとともに、請求項5を直接、又は間接に引用する請求項7、8についても同様に訂正する訂正事項。
(6)訂正事項6:請求項6の「…を含むことを特徴する…」を「…を含むことを特徴とする…」に訂正するとともに、請求項6を直接、又は間接に引用する請求項7、8についても同様に訂正する訂正事項。
(7)訂正事項7:請求項9を削除する訂正事項。
(8)訂正事項8:請求項10を削除する訂正事項。
(9)訂正事項9:明細書の段落【0009】に「…前記第1の蛍光体と異なる第2の蛍光体を含有する第2の封止体…」とあるのを「…、前記第1の封止体上を部分的に覆うように、かつ、前記複数個の発光素子上に配置される様に形成され、前記第1の蛍光体と異なる第2の蛍光体を含有する第2の封止体…」に訂正する訂正事項。
(10)訂正事項10:明細書の段落【0015】を削除する訂正事項。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
「第2の封止体」について、「前記第1の封止体上を部分的に覆うように、かつ、前記複数個の発光素子上に配置される様に形成され」ることを限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
第2の封止体が第1の封止体を部分的に覆うことは請求項10に記載されている。また、段落【0040】、【0046】、【0047】の記載を踏まえて図2、図6、図7を見ると、複数個の発光素子5上に第2の封止体層44が配置されていることが看て取れる。してみると、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものである。
そして、訂正事項1は発明のカテゴリーや目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(2)訂正事項2-6について
訂正事項2-6は、「…特徴する…」との記載を「…特徴とする…」にするものであるから、誤記の訂正を目的とするものである。
そして、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項2-6は、特許法第120条の5第2項ただし書き第2号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(3)訂正事項7、8について
訂正事項7、8は、請求項を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項7、8は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(4)訂正事項9について
訂正事項9は、上記訂正事項1に伴い、特許請求の範囲と明細書の記載を整合させる訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項9は、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(5)訂正事項10について
訂正事項10は、上記訂正事項7、8の訂正に伴い、特許請求の範囲と明細書の記載を整合させるものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項10は、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
3 小括
以上のとおり、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号ないし第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、明細書、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-10〕について訂正することを認める。
第3 訂正後の本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項1ないし10に係る発明は、訂正特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「【請求項1】
絶縁性を有する材料で形成されている絶縁基板と、
前記絶縁基板の上面上に形成された発光部と、
前記発光部を封止する封止体と、
前記絶縁基板の上面に設けられた正電極外部接続ランドおよび負電極外部接続ランドと、
前記絶縁基板の上面に配置された、カソード用配線パターンとアノード用配線パターンを含む配線パターンとを備え、
前記発光部は、前記絶縁基板上に搭載された複数個の発光素子を有し、
前記発光素子は前記配線パターンの間に搭載され、
前記正電極外部接続ランドおよび前記負電極外部接続ランドは、前記アノード用配線パターンおよび前記カソード用配線パターンにそれぞれ接続され、
前記封止体は、第1の蛍光体を含有する第1の封止体と、前記第1の封止体上を部分的に覆うように、かつ、前記複数個の発光素子上に配置される様に形成され、前記第1の蛍光体と異なる第2の蛍光体を含有する第2の封止体とを含み、
前記正電極外部接続ランドと前記負電極外部接続ランドとが、前記発光部を挟んで対向していることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記封止体は、六角形状、円形状、または矩形状の上面形状を有することを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記絶縁基板は、円形状、または矩形状の上面形状を有することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記絶縁基板は、前記正電極外部接続ランドに隣接する正極の極性表示を含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項5】
前記絶縁基板は、前記負電極外部接続ランドに隣接する負極の極性表示を含むことを特徴とする、請求項4に記載の発光装置。
【請求項6】
前記絶縁基板は、前記負電極外部接続ランドに隣接する負極の極性表示を含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項7】
前記正電極外部接続ランドは前記アノード用配線パターンに、前記負電極外部接続ランドは前記カソード用配線パターンに、外部引き出し配線パターンを通じてそれぞれ電気的に接続されており、
前記外部引き出し配線パターンは、前記正電極外部接続ランドと前記アノード用配線パターンとの間に形成された第1の外部引き出し配線パターンと、前記負電極外部接続ランドと前記カソード用配線パターンとの間に形成された第2の外部引き出し配線パターンとを有すること特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項8】
前記外部引き出し配線パターンの幅は、前記正電極外部接続ランドおよび前記負電極外部接続ランドの幅より小さいことを特徴とする請求項7に記載の発光装置。
【請求項9】
(削除)
【請求項10】
(削除)」(以下、その順に「本件発明1」などという。)
第4 取消理由の概要
訂正前の請求項1ないし10に係る発明の特許に対して、当審が通知した取消理由の概要は、以下のとおりである。
本件特許の請求項1-10に係る発明は、その遡及出願(特願2007-67362号、平成19年3月15日出願)の出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その遡及出願の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消されるべきものである。
記
甲第1号証:特開2003-347600号公報
甲第2号証:特開2000-183408号公報
甲第3号証:特表2006-525679号公報
甲第4号証:特開2005-252222号公報
甲第5号証:IDECオプトデバイス株式会社製品カタログ
IDECオプトデバイス(株) 2006年10月24日
甲第6号証:特開2006-128456号公報
甲第7号証:特開2002-252376号公報
甲第8号証:特開2003-46133号公報
甲第9号証:米国デザイン特許第573553号公報
(甲第9号証は、甲第5号証の発行日を示す証拠である。)
第5 当審の判断
1 甲号証の記載等
(1)甲第1号証
ア 甲第1号証には、以下の記載がある(下線は、当審が付加した。以下同様である。)。
(ア)【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、発光ダイオード(LED)を用いた照明用のLED実装基板に関するものである。
(イ)「【0003】
【発明が解決しようとする課題】…
…
【0005】本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、少ない部品点数と工数で製造することができ、発光度を上げつつ熱放散性を高く得ることができるLED実装基板を提供することを目的とするものである。」
(ウ)「【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係るLED実装基板は、絶縁性を有し、かつ熱伝導率が10W/(m・K)(25℃)以上である平板状のセラミック基板1の表面に、内周面2が内方へ下り傾斜した凹部3を少なくとも2個以上形成すると共に、各凹部3の底面4に光源となるLED素子5を実装して成ることを特徴とするものである。
…
【0008】また請求項3の発明は、請求項1又は2において、LED素子5と電気的に接続される電極6を凹部3の底面4に形成すると共に、この電極6から凹部3の内周面2に沿って凹部3の外部にまでセラミック基板1の表面に回路7を形成して成ることを特徴とするものである。
【0009】また請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかにおいて、セラミック基板1の表面に形成した回路7に電源供給用回路部8を形成すると共に、この電源供給用回路部8と電力を供給するための電源供給配線9とを電気的に接続することによって、LED素子5に電源を供給可能にして成ることを特徴とするものである。」
(エ)「【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明する。
…
【0024】そして、図2(b)及び図3(b)に示すように、回路7を形成したセラミック基板1の各凹部3の底面4に、光源となるLED素子5をエポキシ樹脂などの接着用樹脂17を用いて固定すると共に、LED素子5の電極と凹部3の底面4に形成した回路電極6とを金線などの金属線18でワイアボンディングして、セラミック基板1にLED素子5を実装することによって、本発明に係るLED実装基板を製造することができる。LED素子5を実装した後の凹部3内には、蛍光体を含むシリコーン樹脂などの封止樹脂19を充填することによって、LED素子5を封止することができる。ここで、回路電極6が凹部3の外部に形成されていると、回路電極6とLED素子5の電極とを接合する金属線18の一部は必ずセラミック基板1の表面から飛び出してしまうこととなるが、本発明のように回路電極6が凹部3の底面4に形成されていると、上記の金属線18をすべて凹部3内に収容することができ、封止樹脂19を凹部3内に充填するだけで金属線18を封止することができるものである。」
(オ)「【0027】本発明に係るLED実装基板においては、次のようにしてLED素子5に電力を供給することが可能である。例えば、図4に示すようにセラミック基板1には予め、凹部3を形成しておくほか、貫通孔20も穿設しておくものであり、セラミック基板1に回路7を形成した後に、図示省略した電源に接続されている電源供給配線9の一端を、セラミック基板1において回路7を形成していない側から上記の貫通孔20に挿入する。その後、電源供給配線9の先端からリード線21を引き出し、このリード線21を回路7に形成した電源供給用回路部8に半田22で接合することによって、電源供給用回路部8と電源供給配線9とを電気的に接続する。そして、電源から電源供給配線9を通してLED素子5に電力を供給することが可能となるものである。このように本発明においては、セラミック基板1の表面に電源供給用回路部8を形成してあるので、電力の供給を容易に行うことができるものであり、また、セラミック基板1において回路7を形成していない側、すなわちLED素子5を実装していない側から電源供給配線9を貫通孔20に挿入するようにしているので、LED素子5を実装している側に電源供給配線9を配置する必要がなく、電源供給配線9がLED素子5の発光の障害とならないようにすることができるものである。」
(カ)図1~図4は、以下のとおりである。
イ 以下、図4に記載の実施形態及びその説明をする記載に基づいて引用発明を認定する。その際、甲第1号証には「【0027】本発明に係るLED実装基板においては、次のようにしてLED素子5に電力を供給することが可能である。例えば、図4に示すように…」の記載があるから、LED素子に電力を供給する構成を除き、LED実装基板の他の構成については、甲第1号証の他の記載及び図面を参酌する。
(ア)上記ア(ウ)によれば、以下の事項が記載されている。
「絶縁性を有し、かつ熱伝導率が10W/(m・K)(25℃)以上である平板状のセラミック基板1の表面に、内周面が内方へ下り傾斜した凹部3を少なくとも2個以上形成すると共に、各凹部3の底面に光源となるLED素子5を実装して成るLED実装基板において、
LED素子5と電気的に接続される電極6を凹部3の底面4に形成すると共に、この電極6から凹部3の内周面2に沿って凹部3の外部にまでセラミック基板1の表面に回路7を形成して成り、
セラミック基板1の表面に形成した回路7に電源供給用回路部8を形成すると共に、この電源供給用回路部8と電力を供給するための電源供給配線9とを電気的に接続することによって、LED素子5に電源を供給可能にして成るLED実装基板。」
(イ)上記ア(エ)の記載によれば、凹部3内には、蛍光体を含むシリコーン樹脂などの封止樹脂19が充填されることが開示されている。
(ウ)上記ア(オ)の記載によれば、電源供給用回路部8と電源供給配線9との電気的に接続は、電源供給配線9の先端から引き出したリード線21と半田22で接合することが開示されている。
(エ)上記ア(オ)の記載を踏まえて図4を見ると、「回路7は複数のLED素子5を直列に接続するとともに、その両端部にそれぞれ回路7の幅より広い幅の矩形形状の電源供給用回路部8が形成されていること」が看て取れる。
(オ)上記ア(ア)の記載によれば、LED実装基板は照明用のLED実装基板である。
(カ)以上によれば、甲第1号証には、以下の発明が開示されている。
「絶縁性を有し、かつ熱伝導率が10W/(m・K)(25℃)以上である平板状のセラミック基板1の表面に、内周面が内方へ下り傾斜した凹部3を少なくとも2個以上形成すると共に、各凹部3の底面に光源となるLED素子5を実装して成る照明用のLED実装基板において、
LED素子5と電気的に接続される電極6を凹部3の底面4に形成すると共に、この電極6から凹部3の内周面2に沿って凹部3の外部にまでセラミック基板1の表面に回路7を形成して成り、
セラミック基板1の表面に形成した回路7に電源供給用回路部8を形成すると共に、この電源供給用回路部8と電力を供給するための電源供給配線9とを電気的に接続することによって、LED素子5に電源を供給可能にして成り、
回路7は複数のLED素子5を直列に接続するとともに、その両端部にそれぞれ回路7の幅より広い幅の矩形形状の電源供給用回路部8が形成されており、
電源供給用回路部8と電源供給配線9との電気的に接続は、電源供給配線9の先端から引き出したリード線21と半田22で接合するものであり、
凹部3内には、蛍光体を含むシリコーン樹脂などの封止樹脂19が充填されている、
照明用のLED実装基板。」(以下「引用発明」という。)
(2)甲第2号証
ア 甲第2号証には以下の記載がある。
(ア)「【0014】上述した紫外LEDチップ1は、ボンディングワイヤ4などと共に樹脂層5により覆われている。ここで、樹脂層5は紫外LEDチップ1の周囲を覆うプレディップ材6と、このプレディップ材6の周囲を覆うキャスティング材7とを有している。プレディップ材6は、例えば無機の溶剤を用いて形成される。プレディップ材6とキャスティング材7は共に透明な樹脂などで形成される。
【0015】図1に示すLEDランプにおいて、プレディップ材6は2層積層構造を有しており、紫外LEDチップ1の周囲を覆う第1の層6aは青色発光蛍光体を含有している。さらに、第1の層6a上に形成された第2の層6bは黄橙色発光蛍光体を含有している。すなわち、2層構造を有するプレディップ材6のうち、紫外LEDチップ1の発光面を覆う第1の層6aは青色発光蛍光体を含む第1の蛍光体層として機能し、この第1の層(第1の蛍光体層)6a上に形成された第2の層6bは黄橙色発光蛍光体を含む第2の蛍光体層として機能する。」
(イ)図1は、以下のとおりである。
イ 上記アによれば、甲第2号証には、以下の技術事項が開示されている。
「紫外LEDチップ1の周囲を覆うプレディップ材6は2層積層構造を有しており、紫外LEDチップ1の周囲を覆う第1の層6aは青色発光蛍光体を含有し、さらに、第1の層6a上に形成された第2の層6bは黄橙色発光蛍光体を含有していること。」(以下「甲2の技術事項」という。)
(3)甲第3号証
ア 甲第3号証には以下の記載がある。
(ア)「【0025】
図10は複数のLED10の第1の好都合な構成を例示する上面図であり、接近して集められた六角形のアレイを形成している。PC基板92は共通の電極81Aおよび81Cを有する。」
(イ)図10は、以下のとおりである。
イ 上記アによれば、甲第3号証には、以下の技術事項が開示されている。
「電極81A、81CがLED10を挟んで対向していること。」(以下「甲3の技術事項」という。)
(4)甲第4号証
ア 甲第4号証には以下の記載がある。
(ア)「【0097】
LEDモジュールは、直径5cmの円形をしたAlNからなるセラミックス基板302と217個の樹脂レンズ304とを有している。セラミックス基板302には照明器具332に取り付けるためのガイド凹部306や、照明器具332からの給電を受けるための端子308,310が設けられている。
図29(a)はLEDモジュール300の平面図、図29(b)は図29(a)におけるG・G線断面図、図29(c)は、図29(b)におけるチップ実装部分の拡大図をそれぞれ示している。
【0098】
図29(c)に示すように、セラミックス基板302の下面には放熱特性を改善するための金メッキ312が施されている。
図29(a)において円形に見える各レンズの中心に対応するセラミックス基板302の上に、LEDチップ2が1個ずつ(全部で217個)実装されている。」
(イ)図29は、以下のとおりである。
イ 上記アによれば、甲第4号証には、以下の技術事項が開示されている。
「給電を受けるための端子308,310が発光部(217個の樹脂レンズ304と各樹脂レンズの中心に対応するセラミックス基板302の上に実装されたLEDチップ2)を挟んで対向していること。」(以下「甲4の技術事項」という。)
(5)甲第5号証
ア 甲第5号証は、IDECオプトデバイス株式会社の製品カタログであり、3頁左中央には、IDECサンシャインシリーズの外形寸法図が以下のとおり記載されている。
イ 上記アによれば、甲第5号証には、以下の技術事項が開示されている。
「+側電極と-側電極が発光部を挟んで対向していること、そして、+側電極、-側電極に隣接して、+の極性表示、-の極性表示が、それぞれ為されていること。」(以下「甲5の技術事項」という。)
(6)甲第6号証
ア 甲第6号証には以下の記載がある。
(ア)「【0013】
(第1の実施の形態)
(LED1の構成)
図1(a)および(b)は、第1の実施の形態に係る発光装置としてのLEDを示し、(a)は平面図、(b)は(a)のA-A部における縦断面図である。このLED1は、青色光を放射するフェイスアップ型のLED素子2Aと、紫外光を放射するフェイスアップ型のLED素子2Bと、表面にLED素子2A、2Bとの電気接続用の配線パターンである配線部3A、3B、および3Cを有する基板3と、基板3と一体化されてLED1の外装を形成する本体部4と、本体部4の開口部40に充填されるとともに本体部4内に収容されるLED素子2A,2B,およびワイヤ7を封止する光透過性の樹脂封止部5と、樹脂封止部5に含有される蛍光体6とを有する。
【0014】
LED素子2Aは、窒化物系化合物半導体材料によって形成されて、発光スペクトルの主ピークが450~480nmの発光波長を有する青色光を放射する。
【0015】
LED素子2Bは、窒化物系化合物半導体材料によって形成されて、発光スペクトルの主ピークが370~400nmの発光波長を有する紫外光を放射する。
【0016】
基板3は、セラミックによって形成されており、基板上にLED素子2A,2B,および外部回路との電気的接続を行うタングステン薄膜からなる配線部3A,3B,および3Cが形成されている。なお、配線部3A,3B,および3Cは、銅箔等の導電性薄膜で形成することも可能である。配線部3Aは共通電極であり、配線部3Bおよび3CとともにLED素子2A,2Bの電極部とワイヤ7を介して電気的に接続される。また、配線部3A,3B,および3Cは、基板3の底面において図示しない外部回路と半田リフロー等によって電気的に接続される。なお、基板3は、セラミック以外の他の材料としてガラスエポキシ等によって形成することも可能である。」
(イ)図1は、以下のとおりである。
イ 上記アによれば、甲第6号証には、以下の技術事項が開示されている。
「基板3の上面形状は矩形状であり、樹脂封止部5の上面形状は、円形であること。」(以下「甲6の技術事項」という。)
(7)甲第7号証
ア 甲第7号証には以下の記載がある。
(ア)「【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて、具体的に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る表面実装型LEDの構造を示す平面図であり、図2はそのII-II 線断面図である。図中、1は基板である。ガラスエポキシ樹脂等からなる基板1の両端には、外部回路に接続するための外部電極2,2が設けられている。一方の外部電極2の中央部には、基板1の中央側に張り出させてチップ搭載部2aが設けられており、その端部に、GaN系化合物半導体を発光層として有するLEDチップ3が実装されている。他方の外部電極2には、チップ搭載部2aに対向させて内部電極2bが設けられている。LEDチップ3の一方の電極は、金線4によりチップ搭載部2aと、他方の電極は金線4により内部電極2bと接続されている。
【0013】LEDチップ3は、エポキシ樹脂等の透光性樹脂からなる第1透光性樹脂層5により封止されている。第1透光性樹脂層5は、直接LEDチップ3を封止するチップ封止部5aと、溝部5bを介し、チップ封止部5aの周囲に、その高さをチップ封止部5aの高さより高くして設けられたチップ封止部包囲部5cとからなる。
【0014】チップ封止部包囲部5cの内側であって、チップ封止部5aの上方と側方とに相当する部分には、蛍光剤を含むエポキシ樹脂等の透光性樹脂層からなる第2透光性樹脂層6が形成されている。蛍光剤は、LEDチップ3の発光波長を他の波長に変換できる、蛍光塗料、蛍光顔料、蛍光体等の蛍光物質である。
【0015】本発明の表面実装型LEDにおいては、第1透光性樹脂層5が蛍光剤を含んでいないので、LEDチップ3の金線4接続部分等の信頼性を確保することができる。そして、チップ封止部包囲部5cの内側に、蛍光剤を混合した第2透光性樹脂6を形成するので、第1透光性樹脂層5の形状により第2透光性樹脂層6の形状が定まる。従って、第2透光性樹脂層6の厚みを均一にすることができ、蛍光剤の分布が均一になるので、波長変換効率が均一になり、LEDの発光波長が均一化される。そして、LEDチップ3の上方だけでなく、側方も第2透光性樹脂層6で覆われているので、LEDチップ3の上面からの放射光と側面からの放射光との色調ムラが低減する。」
(イ)図1、図2は、以下のとおりである。
イ 上記ア(ア)の記載を踏まえて図1、2を見ると、以下の技術事項が看取できる。
「第1透光性樹脂層5は、第2透光性樹脂層6によって、部分的に覆われていること。」(以下「甲7の技術事項」という。)
(8)甲第8号証
ア 甲第8号証には以下の記載がある。
(ア)「【0044】(実施の形態8)図12に、本発明の請求項11に係る第8の実施の形態を示す。この実施の形態では、第4の実施の形態などと同様に、発光素子3を載置した凹部2内に透明封止物質5を一定量充填して硬化または固化させる。次に、このように作製した発光部の発光素子3を点灯させて配光分布を測定し、この測定データを元に配光特性に対して適切になるように、凹部2の上面内の領域ごとに必要な波長変換物質や光吸収体の濃度を見積もりする。
【0045】その後、第7の実施の形態で用いたドット式印刷の手法において多色印刷の手法を用い、波長変換物質や光吸収体の濃度の異なる複数種の樹脂7a、7bが供給される複数のノズル25a、25bを準備すると共に、凹部2の上面内の微小領域毎に見積もられた波長変換物質や光吸収体の濃度に合致するように、上記の複数種の樹脂7a、7bをノズル25a、25bからそれぞれ必要量ずつ滴下する。この後、樹脂7a、7bを硬化あるいは固化させて樹脂部4を形成することによって、発光装置を形成することができるものである。この発光装置では、実装基板1上の各場所毎に、波長変換物質または光吸収体の濃度が異なる樹脂7の種類を変化させて印刷しているので、実装基板1に波長変換物質や光吸収体の濃度が部分的に異なる樹脂部4が形成されることになる。
【0046】この方法は上述した他の実施の形態と比較すると、工程的にはやや煩雑であるが、発光部内における、観察する角度による色むらも低減されるので、発光部ごと、発光装置毎の色ばらつき、光量ばらつきが、さらに低減されるものである。
【0047】また、上記の方法ではドット印刷の手法を用いて波長変換物質または光吸収体の濃度が異なる樹脂7の種類を変化させて印刷しているが、図13(a)に示すように、スクリーン印刷の手法における多色印刷の手法を用いても、上記と同様の波長変換物質や光吸収体の濃度が部分的に異なる樹脂部4が形成可能である。また、図13のものにおいては複数回の印刷が行われるが、実装基板1上の各場所毎に、実装基板1に印刷される樹脂7の厚みを変化させ、大きさの異なる複数の層4a、4b、4cを積層して樹脂部4を形成することができるものであり、これにより、図13(b)に示すように、部分的に厚みが異なる樹脂部4を形成することができるものである。
【0048】さらに、図12、13のものにおいて、波長変換物質または光吸収体の種類が異なる複数種の樹脂7を用いてもよく、これにより、波長変換物質や光吸収体の種類が異なる樹脂7の種類を変化させて印刷することができるものであり、波長変換物質や光吸収体の種類が部分的に異なる樹脂部4が形成可能である。」
(イ)図12、図13は、以下のとおりである。
イ 上記アによれば、甲第8号証には、以下の技術事項が開示されている。
「発光素子3は、透明封止物質5及び樹脂7によって封止され、樹脂7に含まれる層4aの上面には、層4bによって部分的に覆われていること。そして、波長変換物質または光吸収体の種類が異なる複数種の樹脂7を用いてもよく、これにより、波長変換物質や光吸収体の種類が異なる樹脂7の種類を変化させて印刷することができるものであり、波長変換物質や光吸収体の種類が部分的に異なる樹脂部4が形成可能であること。」(以下「甲8の技術事項」という。)
2 対比
本件発明1と引用発明を対比する。
(1)本件発明1の「絶縁性を有する材料で形成されている絶縁基板」と引用発明の「絶縁性を有し、…のセラミック基板1」を対比すると、両者は相当関係にある。
(2)本件発明1の「前記絶縁基板の上面上に形成された発光部」と引用発明の「セラミック基板1の表面に」形成し、「底面に光源となるLED素子5を実装」する「少なくとも2個以上」の「凹部3」を対比する。
引用発明の「セラミック基板1の表面」は本件発明1の「絶縁基板の上面」に相当する。そして、引用発明の「凹部3」は、「底面に光源となるLED素子5を実装」するから、本件発明1の「発光部」に相当する。
してみると、両者は相当関係にある。
(3)本件発明1の「前記発光部を封止する封止体」と引用発明の「凹部3内」に「充填されている」「蛍光体を含むシリコーン樹脂などの封止樹脂1」を対比する。
上記(2)で検討したとおり、引用発明の「凹部3」は、本件発明1の「発光部」に相当する。また、引用発明の「封止樹脂1」は、本件発明1の「封止体」に相当する。
してみると、両者は相当関係にある。
(4)本件発明1の「前記絶縁基板の上面に設けられた正電極外部接続ランドおよび負電極外部接続ランド」と、引用発明の「セラミック基板1の表面に形成した回路7」「の両端部にそれぞれ」「形成されて」いる「回路7の幅より広い幅の矩形形状の電源供給用回路部8」であって、「電源供給配線9の先端から引き出したリード線21と半田22で接合する」「電源供給用回路部8」を対比する。
引用発明の「電源供給用回路部8」は、「電源供給配線9の先端から引き出したリード線21と半田22で接合する」ものであって、「回路7の幅より広い幅の矩形形状」であるから、本件発明1の「外部接続ランド」に相当する。そして、引用発明の「電源供給用回路部8」は、「セラミック基板1の表面に形成した回路7」「の両端部にそれぞれ」「形成されて」いるから、引用発明の「電源供給用回路部8」はセラミック基板1の表面に形成されるものである。さらに、引用発明の「電源供給用回路部8」は、「回路7」「の両端部にそれぞれ」「形成されて」いるところ、一方の「電源供給用回路部8」は正電極用であり、他方の「電源供給用回路部8」は負電極用である。
してみると、両者は相当関係にある。
(5)本件発明1の「前記絶縁基板の上面に配置された、カソード用配線パターンとアノード用配線パターンを含む配線パターン」と、引用発明の「セラミック基板1の表面に形成した回路7」であって、「複数のLED素子5を直列に接続する」「回路7」を対比する。
引用発明の「セラミック基板1の表面に形成」していることは、本件発明1の「絶縁基板の上面に配置され」ていることに相当する。
LED素子はアノード電極とカソード電極を有する素子であることが技術常識であることを踏まえると、電源供給用回路部8とLED素子のアノード電極を接続する回路7は本件発明1の「アノード用配線パターン」に相当し、電源供給用回路部8とLED素子のカソード電極を接続する回路7は本件発明1の「カソード用配線パターン」に相当する。
してみると、両者は相当関係にある。
(6)本件発明1の「前記発光部は、前記絶縁基板上に搭載された複数個の発光素子を有」することと、引用発明の「セラミック基板1の表面に」「形成」した「各凹部3」は「底面に光源となるLED素子5を実装」することを対比する。
上記(2)で検討したとおり、引用発明の「凹部3」は本件発明1の「発光部」に相当する。そして、引用発明の凹部3はセラミック基板の表面に形成されており、各凹部3の底面にLED素子5を実装しているから、LED素子5はセラミック基板上に実装されている。
してみると、両者は相当関係にある。
(7)本件発明1の「前記発光素子は前記配線パターンの間に搭載され」ることと、引用発明の「回路7は複数のLED素子5を直列に接続する」ことを対比する。
回路7は、上記上記(5)で検討したとおり、電源供給用回路部8とLED素子のアノード電極を接続する回路7と、電源供給用回路部8とLED素子のカソード電極を接続する回路7を含むところ、LED素子は「…アノード電極を接続する回路7」と「…カソード電極を接続する回路7」の間に実装される。
してみると、両者は相当関係にある。
(8)本件発明1の「前記正電極外部接続ランドおよび前記負電極外部接続ランドは、前記アノード用配線パターンおよび前記カソード用配線パターンにそれぞれ接続され」ることと、引用発明の「回路7は…の両端部にそれぞれ回路7の幅より広い幅の矩形形状の電源供給用回路部8が形成されて」いることを対比する。
回路7は、上記(5)で検討したとおり、電源供給用回路部8とLED素子のアノード電極を接続する回路7と、電源供給用回路部8とLED素子のカソード電極を接続する回路7を含む。また、上記(4)で検討したとおり、引用発明の「電源供給用回路部8」は、本件発明1の「外部接続ランド」に相当し、また、「回路7」「の両端部にそれぞれ」「形成されて」いる一方の「電源供給用回路部8」は正電極用であり、他方の「電源供給用回路部8」は負電極用である。そして、引用発明の「電源供給用回路部8」は、「回路7」「の両端部にそれぞれ」「形成されて」いるから、「電源供給用回路部8」と「回路7」は接続されている。
してみると、両者は相当関係にある。
(9)本件発明1の「発光装置」と引用発明の「照明用のLED実装基板」を対比する。
本件発明1の「発光装置」は、「絶縁基板」、「発光部」、「封止体」、「正電極外部接続ランドおよび負電極外部接続ランド」、「配線パターン」を備えるものであり、引用発明の「照明用のLED実装基板」は、「セラミック基板1」、「凹部3」、「封止樹脂19」、回路7の両端部にそれぞれ形成されている「電源供給用回路部8」、「回路7」を有するものである。
ここで、引用発明の「セラミック基板1」は本件発明1の「絶縁基板」に相当し、以下同様に、「凹部3」は「発光部」に、「封止樹脂19」は「封止体」に、回路7の両端部にそれぞれ形成されている「電源供給用回路部8」は「正電極外部接続ランドおよび負電極外部接続ランド」に、「回路7」は「配線パターン」に、それぞれ相当する。
してみると、引用発明の「照明用のLED実装基板」は、本件発明1の「発光装置」に相当する。
(10)以上によれば、本件発明1と引用発明は、
「絶縁性を有する材料で形成されている絶縁基板と、
前記絶縁基板の上面上に形成された発光部と、
前記発光部を封止する封止体と、
前記絶縁基板の上面に設けられた正電極外部接続ランドおよび負電極外部接続ランドと、
前記絶縁基板の上面に配置された、カソード用配線パターンとアノード用配線パターンを含む配線パターンとを備え、
前記発光部は、前記絶縁基板上に搭載された複数個の発光素子を有し、
前記発光素子は前記配線パターンの間に搭載され、
前記正電極外部接続ランドおよび前記負電極外部接続ランドは、前記アノード用配線パターンおよび前記カソード用配線パターンにそれぞれ接続される、
発光装置。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
相違点1:「封止体」に関し、本件発明1では、「第1の蛍光体を含有する第1の封止体と、前記第1の封止体上を部分的に覆うように、かつ、前記複数個の発光素子上に配置される様に形成され、前記第1の蛍光体と異なる第2の蛍光体を含有する第2の封止体とを含」むのに対し、引用発明はそのような特定を有しない点。
相違点2:「前記正電極外部接続ランドと前記負電極外部接続ランド」に関し、本件発明1は、「前記発光部を挟んで対向している」のに対し、引用発明は、そのようなものではない点。
3 当審の判断
(1)相違点1について
特性が異なる2種類の蛍光体を含む発光装置は、甲2の技術事項、甲8の技術事項に開示されているが、「第1の蛍光体を含有する第1の封止体」と「前記第1の封止体上を部分的に覆うように、かつ、前記複数個の発光素子上に配置される様に形成され、前記第1の蛍光体と異なる第2の蛍光体を含有する第2の封止体」を含む発光装置は、甲第2号証~甲第8号証の何れにも開示されていない。そして、本件発明1は、上記相違点1に係る本件発明1の発明特定事項を有することにより、「【0046】…第1の封止体層43を部分的に覆うようにして第2の封止体層44を形成することで、第1の封止体層の一部のみの調整で発光装置として所望の色度特性を有する(たとえば、後述する色度座標を示す図13の(b)の範囲内に入る)発光装置を得ることができる」という明細書記載の効果を奏するものである。
そうすると、引用発明の凹部3内に充填される蛍光体を含む封止樹脂を、「第1の蛍光体を含有する第1の封止体」と「前記第1の封止体上を部分的に覆うように、かつ、前記複数個の発光素子上に配置される様に形成され、前記第1の蛍光体と異なる第2の蛍光体を含有する第2の封止体」とし、上記相違点1に係る本件発明1の発明特定事項と為すことは、当業者が引用発明と甲第2号証の技術事項~甲第8号証の技術事項に基づいて容易に想到し得るものとはいえない。
(2)小括
以上によれば、相違点2について検討するまでもなく、本件発明1は、当業者が引用発明と甲2の技術事項~甲8の技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。
4 本件発明2-8について
本件発明2-8は、本件発明1を直接に、又は間接に引用する発明であって、本件発明1をさらに減縮する発明である。よって、上記3に示した理由と同様の理由により、本件発明2-8は、当業者が引用発明と甲2の技術事項~甲8の技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。
第5 むすび
以上のとおり、本件発明1-8に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、取り消すことができない。さらに、他に本件発明1-8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、本件発明9、10に係る特許は、上記のとおり、訂正により削除された。これにより、特許異議申立人西林博による特許異議申立てについて、請求項9及び10に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2018-700422