特許異議申立
2019-700415
情報通知装置、情報通知方法、錠前管理システム、及び、プログラム
- 審判番号
- 2019-700415
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2015-067418
- 登録番号
- 特許第6453134号(P6453134)
- 請求日
- 2019年05月21日
- 審決日
- 2020年01月30日
- 公報発行日
- 2020年04月24日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】シャープ株式会社
- 【権利者代理人】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
- 【異議申立人】西林 博
- 審判長/審判官
- 審判長 北岡 浩
- 審判官 衣鳩 文彦
- 審判官 岡本 正紀
- 分類
- P1652.121-YAA(H04M)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第120条の5第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6453134号発明「情報通知装置、情報通知方法、錠前管理システム、及び、プログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第6453134号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~10、12〕について訂正することを認める。
特許第6453134号の請求項1、2、4、5に係る特許を維持する。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許第6453134号の請求項1~12に係る特許についての出願は、平成27年3月27日に出願され、平成30年12月21日にその特許権の設定登録がされ、平成31年1月16日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許について、令和1年5月21日に特許異議申立人西林博(以下、「異議申立人」という。)により、請求項1、2、4、5に係る特許に対する特許異議の申立てがされ、当審は、令和1年8月27日付けで取消理由を通知した。これに対し、特許権者は、その指定期間内である令和1年10月4日に意見書の提出及び訂正の請求を行い、その訂正の請求に対して、異議申立人は、令和1年11月28日に意見書を提出した。
第2 訂正の適否について
1 訂正の内容
本件訂正の請求による訂正の内容は、以下のとおりである。
(1)訂正事項
特許請求の範囲の請求項1に「上記通知処理部は、上記状態情報が示す状態に応じて上記状態情報の通知先となる端末を選択し、選択した端末に上記状態情報を通知する」と記載されているのを、「上記通知処理部は、上記状態情報が示す状態に応じて上記状態情報の通知先となる端末を、上記錠前識別情報との紐付けがされている上記グループ識別情報によって識別されるグループに属する複数のメンバの端末の中から選択し、選択した端末に上記状態情報を通知する」に訂正する。
また、請求項1の記載を直接的または間接的に引用する請求項2~10、12も同様に訂正する。
訂正前の請求項2~10、12は、請求項1を直接的又は間接的に引用するものであるから、上記訂正事項によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項1~10、12に対応する訂正後の請求項1~10、12は一群の請求項を構成し、上記訂正事項は、当該一群の請求項に対して請求されたものである。
2 訂正の目的、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張又は変更の存否、独立特許要件について
(1)訂正の目的について
訂正前の請求項1に係る特許は、通知処理部は、「上記状態情報が示す状態に応じて上記状態情報の通知先となる端末を選択し、選択した端末に上記状態情報を通知する」ことを特定している。
これに対して、訂正後の請求項1は、「上記錠前識別情報との紐付けがされている上記グループ識別情報によって識別されるグループに属する複数のメンバの端末の中から」との記載により、選択の対象となる端末をより具体的に特定するものであり、本件訂正事項に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、請求項1の上記訂正に連動する請求項2~10,12の訂正も、同様の理由により、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(2)新規事項の有無について
本件特許の願書に添付した明細書及び図面には、次の事項が記載されている。
a.「【0018】
図2からわかるように、本実施形態では、佐藤家(グループ)の各人は自身の専用の鍵500を保持する。」
b.「【0024】
即ち、上記登録操作と上記設定操作とが完了すると、上記SNSにおける、佐藤家(グループ)の各人(メンバ)の端末200に電子錠400の状態を示す情報を通知する機能(電子錠400の状態を示す情報を佐藤家で共有するための機能)が有効になる。」
c.「【0064】
以上の説明及び図5の(b)からわかるように、図6の登録画面に対する佐藤家の代表者による操作(電子錠400をSNSへ登録する操作)をトリガとして、登録処理部124(紐付け処理部)は、佐藤家の電子錠400を識別する家電ID(錠前識別情報、"01002")と佐藤家というグループを識別する家族ID(グループ識別情報、"01")とを紐付ける。即ち、電子錠400をSNSへ登録する操作は、電子錠400を識別する家電IDと佐藤家というグループを識別する家族IDとの紐付けをサーバ100に実行させる操作であると言える。」
d.「【0117】
3.通知処理部122は、機器350が生成した状態情報が示す状態に応じてメッセージの通知先となる端末200を選択し、選択した端末に上記状態情報を通知するようになっている。例えば、上記状態がエラー状態である場合には太郎くんの両親の端末200にメッセージを通知し、上記状態が開状態である場合には佐藤家の全員の端末200にメッセージを通知する。これにより、太郎くんは、自身が確認すべき状態情報のみを確認できる。」
e.図1及び図2
上記cの記載より、錠前識別情報は、佐藤家というグループを識別するグループ識別情報と紐付けられており、上記a、b及びeの記載より、佐藤家というグループのメンバは、「太郎くん」、「パパ」、「ママ」という複数のメンバが含まれ、各メンバそれぞれが端末を有するものである。
そして、上記dの記載において、状態情報が示す状態に応じて通知先として選択される端末は、「状態がエラー状態である場合」には「太郎君の両親の端末200」であり、「状態が開状態である場合」には「佐藤家の全員の端末200」とされることから、状態情報が示す状態に応じて通知先として選択される端末は、佐藤家というグループに属するメンバの端末の中から選択されるものである。
したがって、本件訂正事項に係る訂正は、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものである。
(3)特許請求の範囲の拡張又は変更の存否について
上記訂正事項に係る訂正は、上記(1)で言及したように、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(4)独立特許要件について
訂正事項に係る請求項3、6~10、12は、特許異議の申立てがされていないので、訂正後の請求項3、6~10、12に係る特許について、独立特許要件を満たすか検討する。
訂正後の請求項3、6~10、12は、上記(1)で言及した、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正事項により訂正される請求項1を、直接的又は間接的に引用するものであり、訂正前の請求項3、6~10、12は、特許異議が申立てられていない請求項である。
そうすると、訂正後の請求項3、6~10、12に係る発明は、本件特許異議の申立ての理由により、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。また、他に訂正後の請求項3、6~10、12に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しない。
3 小活
以上のとおりであるから、本件訂正の請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項~第7項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~10、12〕について訂正することを認める。
第3 訂正後の本件発明
本件訂正の請求により訂正された請求項1~12に係る発明(以下、「本件発明1~12」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~12に記載された次の事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
錠前の状態を示す状態情報を取得する状態情報取得処理部と、
上記状態情報を通知する通知処理部とを備え、
上記通知処理部は、上記錠前を識別する錠前識別情報と該錠前を利用するグループを識別するグループ識別情報とが紐付けて記録されている記録媒体を参照し、上記錠前識別情報との紐付けがされているグループ識別情報によって識別されるグループのメンバの端末に上記状態情報を通知し、
上記通知処理部は、上記状態情報が示す状態に応じて上記状態情報の通知先となる端末を、上記錠前識別情報との紐付けがされている上記グループ識別情報によって識別されるグループに属する複数のメンバの端末の中から選択し、選択した端末に上記状態情報を通知する、ことを特徴とする情報通知装置。
【請求項2】
上記グループのメンバの端末から、上記錠前を制御するための制御コマンドを取得するコマンド取得処理部と、
上記端末から上記制御コマンドを取得した場合に上記制御コマンドに従って上記錠前を制御する錠前制御部と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の情報通知装置。
【請求項3】
上記情報通知装置は、上記グループ内でのコミュニケーションを可能にするソーシャルネットワークサービスを提供するサーバとして機能する装置であり、
上記通知処理部は、上記端末にインストールされている、上記ソーシャルネットワークサービスを上記メンバに利用させるためのアプリケーションに対して、上記状態情報を通知する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報通知装置。
【請求項4】
上記通知処理部は、上記状態の変化をトリガとして、変化後の上記状態を示す状態情報を上記端末にプッシュ通知する、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の情報通知装置。
【請求項5】
上記通知処理部は、上記状態が開状態である場合には、上記状態情報として、上記状態が開状態になった事と上記錠前を誰が開けたかとを示す情報を通知する、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の情報通知装置。
【請求項6】
上記錠前は、鍵との近距離通信が可能な電子錠であり、
上記鍵は、上記近距離通信により、上記電子錠を解錠させるための信号として上記鍵の固有情報を含む信号を上記電子錠に送信し、
上記通知処理部は、上記鍵の固有情報を含む信号を上記電子錠が受信した結果として上記状態が開状態になった場合には、上記状態情報を通知するために、該固有情報に紐付けられているメンバ情報を参照することによって上記電子錠を誰が開けたかを特定する、ことを特徴とする請求項5に記載の情報通知装置。
【請求項7】
上記通知処理部は、上記状態が開状態である場合には、上記状態情報として、上記状態が開状態になった事と上記錠前を誰が開けたかとを示す情報を通知し、
上記コマンド取得処理部は、上記錠前を制御するための制御コマンドとして、上記錠前を解錠させる解錠コマンドを上記端末から取得し、
上記解錠コマンドには、上記端末の利用者を識別するための識別情報が含まれており、
上記錠前制御部は、上記端末から上記解錠コマンドを取得した場合に、上記解錠コマンドに従って上記錠前を解錠し、
上記通知処理部は、上記錠前制御部による上記解錠コマンドに従った上記解錠の結果として上記状態が開状態になった場合には、上記状態情報を通知するために、該解錠コマンドに含まれている上記識別情報を参照することによって上記錠前を誰が開けたかを特定する、ことを特徴とする請求項2に記載の情報通知装置。
【請求項8】
上記通知処理部は、上記グループが利用する複数の錠前の各々について、該錠前の状態を示す状態情報を通知するようになっており、
上記通知処理部は、錠前の状態を示す状態情報として、該錠前の固有情報を含む情報であって該錠前の状態が開状態である事を示す情報を通知する、ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の情報通知装置。
【請求項9】
上記メンバによる上記紐付けを上記情報通知装置に実行させる操作をトリガとして、上記紐付けを実行する紐付け処理部を更に備えている、ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の情報通知装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の情報通知装置と上記端末とを含む錠前管理システム。
【請求項11】
装置による錠前に関する情報の通知方法であって、
上記錠前の状態を示す状態情報を取得する状態情報取得ステップと、
上記状態情報を通知する通知ステップとを含み、
上記通知ステップにて、上記錠前を識別する錠前識別情報と該錠前を利用するグループを識別するグループ識別情報とが紐付けて記録されている記録媒体を参照し、上記錠前識別情報との紐付けがされているグループ識別情報によって識別されるグループのメンバの端末に上記状態情報を通知し、
上記通知ステップにて、上記状態情報が示す状態に応じて上記状態情報の通知先となる端末を選択し、選択した端末に上記状態情報を通知する、ことを特徴とする情報通知方法。
【請求項12】
請求項1に記載の情報通知装置が備える上記通知処理部及び上記状態情報取得処理部としてコンピュータを機能させるためのプログラム。」
第4 取消理由通知に記載した取消理由について
1 取消理由の概要
訂正前の請求項1、2、4、5に係る特許に対して、当審が令和1年8月27日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。なお、当該取消理由は、異議申立人による本件特許異議の申立ての理由を全て採用している。
(1)請求項1、2に係る発明は、甲第1号証に記載された発明、及び甲第2号証又は甲第3号証に記載された技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
(2)請求項4に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証並びに甲第4号証に記載された技術、あるいは、甲第1号証に記載された発明及び甲第3号証並びに甲第4号証に記載された技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、請求項4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
(3)請求項5に係る発明は、甲第1号証に記載された発明、及び甲第2号証又は甲第3号証に記載された技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである(請求項1又は2を引用する場合)。また、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証並びに甲第4号証に記載された技術、あるいは、甲第1号証に記載された発明及び甲第3号証並びに甲第4号証に記載された技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである(請求項4を引用する場合)。
よって、請求項5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
証拠とする甲号証は、次のとおりである。
甲第1号証:特開2005-23689号公報
甲第2号証:特開2009-257046号公報
甲第3号証:特開2014-165998号公報
甲第4号証:特開2013-185346号公報
2 甲第1号証~甲第3号証について
(1)甲第1号証の記載事項及び引用発明
ア 甲第1号証には、図面と共に、次の事項が記載されている(下線は当審が付与。)。
(ア)「【0008】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明のドア施錠解錠システムの全体構成を示す図である。
この図において、1は玄関ドアなどのドアとその近傍に設けられている通信部や制御部などからなるドア部、21,22は携帯電話機などの携帯端末(MS)、31,32は基地局、4は基地局31,32を統括する交換機、5は前記交換機4と接続された本発明のドア施錠解錠システムのサービスセンター装置(以下、単に「サービスセンター」と呼ぶ。)、6は該サービスセンター5に接続され、各種データを格納するデータベースである。ここで、前記サービスセンター5は、例えば、インターネットなどのIPネットワークに接続されており、前記交換機4は、IPネットワークと移動体通信網とのゲートウエイである。」
(イ)「【0010】
このように構成された本発明のドア施錠解錠システムを利用しようとするユーザーは、まず、施錠/解錠をしようとするドア及びそのドアの施錠/解錠を行うことができる携帯端末に関する情報を前記サービスセンター5のデータベース6に登録しておくことが必要である。この登録は、通常の携帯電話システムにおける携帯端末の登録と同様に携帯電話ショップなどで行うことができる。
図3は、前記データベース6に登録される情報の一例を示す図である。
この図に示すように、前記データベース6には、各ユーザー(ドア)ごとに、そのユーザーの登録番号、本システムを利用する携帯端末の台数(登録台数)、そのドアのドア部端末の電話番号であるドア側登録電話番号、本システムを利用する各携帯端末の電話番号(この例では、登録電話番号1~登録電話番号5)、パスワード(暗証番号)、及び、このドアの存在位置を示す位置情報が登録され、記録されている。ここで、前記位置情報は、住所で届出されたものをその住所をカバーする基地局を示す基地局コード(基地局位置情報)に置き換えてデータベース6に記録するようにしている。また、前記パスワードは、サービスセンター5から前記ドア側端末11に送られ、前記制御部12にも格納されるようになされている。
【0011】
このような構成を有する本発明のドア施錠解錠システムの動作について、)携帯端末からドアの解錠を行なう場合、合鍵を用いたドアの解錠があった場合、及び、異常なドアの解錠があった場合に分けて、サービスセンター5における処理を示す図10及び図11、ドア部1における処理を示す図12及び図13の各フローチャートを参照しつつ説明する。
【0012】
まず、携帯端末から前記ドアの解錠を行なう場合について説明する。なお、施錠を行なう場合も、同様の処理となる。
図4は、携帯端末から解錠を行う場合の処理の流れを示すシーケンス図、図5は、携帯端末、サービスセンター、ドア部及び登録携帯端末間で転送される情報の例を示す図である。ここでは、前記図3に示した登録内容のユーザーにおける登録電話番号4(9012342345)の携帯端末からドア1(ドア側登録電話番号9012349999)の解錠を行うものとして説明する。
前記ドア1の解錠を行う場合、まず、携帯端末から前記サービスセンター5に(1)解錠指令を送信する。これは、前記サービスセンター5がインターネットなどのIPネットワークに接続されている場合には、携帯端末がサービスセンター5のURLを入力してサービスセンター5にアクセスするか、あるいは、携帯端末のウェブメニューにドアの施錠/解錠のメニューを作成しておき、それを選択することにより前記サービスセンター5にアクセスするようにする。携帯端末からのアクセスがあったとき、前記サービスセンター5は携帯端末に対してパスワードの入力及び解錠か施錠かを選択する画面情報を送信する。ユーザーは、これに基づき、パスワードと解錠指令又は施錠指令を入力する。
前記交換機4は、このユーザーにより入力されたデータ(パスワードと解錠/施錠指令)に、その携帯端末の電話番号及びその携帯端末が収容されている基地局の位置情報を付加して、前記サービスセンター5に転送する。
図5の(1)は、携帯端末からサービスセンター5に送信される解錠指令の例を示す図である。この図に示すように、携帯端末の電話番号(9012342345)、暗証番号(この例では、「2468」)、解錠/施錠を示すコード(解錠であるので「0」)、及び、基地局位置情報(基地局コード)がサービスセンター5に送信される。
【0013】
この解錠指令を受信したサービスセンター5は、この解錠指令がサービス加入者からの解錠指令であるか否かを電話番号と暗証番号を用いてチェックする。その結果、サービス加入者からのものであり、また、ドア端末と携帯端末が同一地域にある場合には、前記ドア部端末11に対して(2)解錠指令/施錠指令を送信する。
【0014】
図10は、解錠指令/施錠指令を受信したときのサービスセンター5における処理の流れを示すフローチャートである。
この図に示すように、携帯端末から解錠/施錠指令を受信すると(ステップS1)、前記データベース6を参照して、その電話番号が登録されたものであるか(S2)、送られてきた暗証番号は登録されているものと一致するか(S3)、及び、その基地局位置情報は登録されている基地局位置情報と一致するか(S4)が判定され、その全ての判定結果がYESとなったときに、ステップS5に進み、ドア部に対する解錠/施錠指令(メール)を作成し、送信する。
【0015】
図5の(2)は、解錠指令メールに含まれる情報を示す図である。
この図に示すように、解錠指令メールは、解錠又は施錠を示すコードと暗証番号とからなるメール本文を有し、前述した(1)解錠指令を送信した携帯端末の電話番号(9012342345)がメール送信者電話番号、ドア部端末の電話番号(9012349999)がメール受信者電話番号とされている。ここで、前記メール本文における解錠又は施錠を示すコードは、前述と同様に、解錠が「0」、施錠が「1」とされており、この例では、メール本文は「02468」とされている。
【0016】
このメールを受信した前記ドア部1では、送られてきた暗証番号を確認し、送られてきたコードに基づいて解錠動作を行う。そして、解錠状態となったことを確認した後、解錠状態となったことを示す(3)解錠通知メールを作成し、前記サービスセンター5に送信する。(図4)
【0017】
図12は、ドア部1における処理の流れを示すフローチャートである。
ドア部端末(通信部)11で前記サービスセンター5からの解錠/施錠指令メール(この例では、「02468」)を受信すると(S21)、ステップS22でこの受信メールを制御部に送り、制御部において受信データを解析する(S23)。この例では、前述のように、解錠/施錠指令メール本文の形式は、解錠/施錠を示すコード+暗証番号とされており、制御部では、受信メール本文を解錠/施錠を示すコードと暗証番号に分割し、まず、受信メール中に含まれている暗証番号が制御部に記憶している暗証番号と一致するか否かを判定し(S24)、次に、動作指令が解錠であるのか施錠であるのかを判定する(S25)。
暗証番号が一致しており、解錠指令であるときは、ステップS26に進み、駆動部に対して解錠信号を送出する(S26)。これを受けて駆動部はソレノイド又はモーターを駆動して、解錠動作を開始し(S27)、解常動作の終了後(S28)、制御部は、駆動部の状態変化を確認して、電気錠の状態を通信部に送出する(S29)。通信部では、この状態情報に基づいて状態通知メール(この場合は解錠通知メール)を作成し、サービスセンター5に送信する(S30)。
また、動作指令が施錠であるときは、制御部は駆動部に施錠信号を送出する(S31)。これを受けて駆動部は施錠動作を開始し(S32)、施錠動作が終了したのち(S33)、制御部は、駆動部の状態変化を確認した後、その状態を通信部に送出する(S34)。そして、通信部は、該状態変化を通知する状態通知メール(施錠通知メール)を作成し、サービスセンター5に送信する(S35)。
【0018】
図5の(3)は、前記解錠通知メールの一例を示す図である。
この図に示すように、(3)解錠通知メールは、送信者電話番号が前記ドア部端末の電話番号(901234999)、受信者電話番号が前記サービスセンター5の電話番号、本文が「電気錠の状態(0:解錠状態,1:施錠状態)+暗証番号」(この例では、「02468」)とされたメールである。
【0019】
このような(3)解錠通知メールを受け取ったサービスセンター5では、登録されている携帯端末に対して送信する(4)解錠通知メールを作成する(図4)。
図11は、解錠通知メールあるいは施錠通知メールを受け取ったときのサービスセンター5における処理の流れを示すフローチャートである。
センター5は、ドア部1から解錠状態又は施錠状態を示す状態通知メールを受信する(S11)と、その状態通知メールの送信先及び送信元の電話番号が登録されている電話番号であることを確認し、メール本文に含まれている状態コードに応じて、その時点の日時分を示す時刻情報、先にドア部に送出した解錠/施錠指令におけるメール送信者電話番号などの情報を付加して、登録されている携帯端末に対して送信する状態通知メールを作成する(S12)。そして、該作成した状態通知メールを登録されている電話番号に対して送信する(S13)。
【0020】
図5の(4)は、このようにして作成される状態通知メールの一例を示す図である。
この図に示すように、状態通知メールは、送信元が前記ドア部端末、送信先が登録されている全ての電話番号とされ、メール本文は、その時刻情報ともとの解錠/施錠指令を発した携帯端末番号を含み、解錠又は施錠があったことを示す本文となっている。
このように、状態通知コードが「0」又は「1」である場合は、解錠/施錠指令を発した携帯端末番号を含む本文となっている。後述するように、状態通知コードが他の値であるときには、異なる文面の状態通知メールが作成されることとなる。」
(ウ) 図1、3~5、10~12
イ 上記の記載事項、及び図より、甲第1号証には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「電気錠の状態を示す状態情報に基づいて作成された、ドア部端末の電話番号を含む状態通知メール(解錠通知メールまたは施錠通知メール)をドア部から受信し、
登録されている携帯端末に対して状態通知メールを送信し、
当該登録されている携帯端末に対して送信される状態通知メールは、
ドア部から受信した状態通知メールのメール本文に含まれている状態コードに応じて、その時点の日時分を示す時刻情報、先にドア部に送出した解錠/施錠指令におけるメール送信者電話番号などの情報を付加して作成され、
さらに、ドア施錠解錠システムの各ユーザー(ドア)ごとに、ユーザーの登録番号、そのドアのドア部端末の電話番号であるドア側登録電話番号、本システムを利用する(すなわち、そのドアの解錠/施錠を行うことができる)各携帯端末の電話番号(登録電話番号1~登録電話番号5)が記憶されているデータベースに登録されている携帯端末に対して送信される、サービスセンター。」
(2)甲第2号証の記載事項及び記載技術
ア 甲第2号証には、次の事項が記載されている(下線は当審が付与。)。
(ア)「【0007】
以下、実施例を示した図面を参照しつつ本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明による携帯電話を利用した解錠・施錠システムの処理の概要を示すフロー図である。図1において、101は携帯電話を利用した解錠・施錠システムにおける鍵及び扉の管理者である鍵・扉管理者であり、102は鍵・扉管理者101が鍵及び扉を管理するために使用する鍵・扉管理サーバであり、103は認証装置を具備した扉であり、104は居住者本人が保持する携帯電話装置であり、105は居住者以外の第三者が保持する携帯電話装置である。」
(イ)「【0012】
図3は、扉(認証装置)103のアプリケーションの構成図である。図3において、301は鍵・扉管理サーバ向けのアプリケーションであり、302は携帯電話向けのアプリケーションである。
鍵・扉管理サーバ102から扉・管理者登録リクエストを受け、扉(認証装置)103は鍵・扉管理サーバ向けアプリ301の識別ID設定アプリ303を起動し、扉に内蔵されているICチップに扉識別ID及び管理者識別IDを登録する。
携帯電話からのパスワード設定リクエストを受け、扉(認証装置)はパスワード設定アプリ304を起動し、扉に内蔵されているICチップにワンタイムパスワードを付与する。携帯電話からの解錠リクエストを受け、扉の認証装置は、解錠認証アプリ305中の利用者検証アプリ306を起動する。認証時の挙動については、住居者本人と住居者以外の第三者とでは異なる。
(1)居住者本人の場合(利用者登録済みの携帯電話の場合)
扉識別ID、管理者識別ID及び解錠キーの照合が完了した時点で、解錠が完了する。
(2)居住者以外の第三者の場合(利用者登録が未登録の携帯電話の場合)
a.扉識別ID、管理者識別ID及び解錠キーの照合が完了したら、次のステップへ進む。
b.パスワード要求アプリ307を起動し、携帯電話へパスワード入力リクエストを要求し、居住者以外の第三者の携帯電話から応答されたワンタイムパスワードと、扉に内蔵されたICチップに居住者より事前に設定されたパスワードとの照合を行う。
【0013】
解錠認証アプリ305による解錠リクエストの認証が完了すると、扉に設置された認証装置は、続けて、解錠通知発行アプリ308を起動し、携帯電話へ解錠通知を発行する。なお、居住者本人と居住者以外の第三者とでは、挙動が異なる。
(1)居住者本人の場合(利用者登録済みの携帯電話の場合)
居住者本人の携帯電話へ解錠通知を送信する。
解錠通知は、携帯電話の画面を通して、即時に確認することが可能。
(2)居住者以外の第三者の場合(利用者登録が未登録の携帯電話の場合)
a.居住者本人以外の第三者の携帯電話へ解錠通知を送信する。
解錠通知は、携帯電話の画面を通して、即時に確認することが可能。
b.居住者本人の携帯電話へ解錠通知を送信する。
解錠通知は、メールにて送信される。即時に確認することが可能。
【0014】
図4は、携帯電話装置104及び105のアプリケーションの構成図である。図4において、401は鍵・扉管理サーバ向けのアプリケーションであり、402は携帯電話向けのアプリケーションであり、403は扉(認証装置)向けのアプリケーションである。
居住者は携帯電話に予めインストールされた初期設定アプリ404中の利用者登録アプリ405を利用して、携帯電話から解錠・施錠管理システム(本システムの全体を指す)の利用にあたり、鍵・扉管理サーバに対し初期登録を行う。利用者登録完了後、居住者は携帯電話の解錠キー取得アプリ406中の解錠キー要求アプリ407を起動して鍵・扉管理サーバにアクセスし、解錠キーの取得を行う。扉に取り付けられた認証装置から、住居内のネットワークを介して、鍵・扉管理サーバにアクセスして、扉ごとに取得する。」
(ウ)図1、3
イ 甲2記載技術
以上の記載事項より、甲第2号証には、次の技術的事項が記載されていると認められる(以下、「甲2記載技術」という。)。
「携帯電話を利用した解錠・施錠システムであって、
扉に設置された認証装置は、鍵・扉管理サーバに対して利用者登録済みの携帯電話(居住者本人)からの解錠リクエストの認証が完了した場合、居住者本人の携帯電話へ解錠通知を送信し、利用者登録が未登録の携帯電話(居住者以外の第三者)からの解錠リクエストの認証が完了した場合、居住者本人以外の第三者の携帯電話及び居住者本人の携帯電話へ解錠通知を送信する解錠・施錠システム。」
(3) 甲第3号証の記載事項及び記載技術
ア 甲第3号証には、次の事項が記載されている(下線は当審が付与。)。
(ア)「【0016】
<ホームエネルギーマネージメントシステム>
図1は、ホームエネルギーマネージメントシステム(HEMS:Home Energy Management System)20の概略図である。また、図2,図3は、通常時または停電時におけるホームエネルギーマネージメントシステム20の制御回路を示している。ホームエネルギーマネージメントシステム20は、住宅全体の電力等のエネルギー需給を総合的に管理するものであり、住宅に設置されている。なお、本実施の形態の住宅は、家屋そのもの(建物21)と、建物21が建築される敷地も含むものとする。
ホームエネルギーマネージメントシステム20は、電気配線網、通信ネットワーク、分電盤22および表示装置23等を備える。電気配線網および通信ネットワークは住宅に張り巡らされ、必要な電力を供給・受給したり、必要な情報を送受信したりしている。」
(イ)「【0018】
表示装置23は、前記分電盤22と接続されており、系統電源や自家発電電力、蓄電電力等を管理・制御できる。また、表示装置23は前記分電盤22を介して接続された各種電気機器等の制御も行うことができる。
また、この表示装置23は、エネルギー状況や各種情報が表示される表示部23aと、前記表示部23aに表示された画面や前記ホームエネルギーマネージメントシステム20に組み込まれた各種電気機器の操作を行うための操作部23bと、前記ホームエネルギーマネージメントシステム20の各種動作を制御するための制御手段とを備える。
なお、この表示装置23は通信ネットワークを利用して、例えばスマートフォン等の情報端末と接続可能とされており、外出中でも、この情報端末上で各種操作や情報確認等を行うことができる。
また、この表示装置23は通信ネットワークを利用して、例えば住宅関連サービスを提供する会社のサーバー41にアクセスして、住宅関連サービスを受けることができる。例えば、地域のリアルタイムの気象情報を受信したり、表示装置23を構成するソフトウェアのアップデートを行ったりするなど様々なサービスが挙げられる。」
(ウ)「【0140】
図41は、切替ボタン133をタッチして、前記電気錠操作盤28のリモート設定項目を、リモート設定項目表示領域136に表示させた状態の設定画面である。
リモート設定項目表示領域136には、電気錠操作盤28の設定項目が表示されている。具体的には、「電気錠施錠通知」、「電気錠解錠通知」、「窓施錠モニター通知」、「電気錠施錠制御」、「WEB確認」の項目が表示されている。各項目では、当該各項目の設定を行うか否かをボタンのタッチで選択することができる(「する」ボタンまたは「しない」ボタン)。選択されたボタンは、選択されなかったボタンと色分けされる。
また、各項目の選択を終えた後は、決定ボタン137をタッチして設定を完了させる。」
(エ)「【0146】
また、前記表示装置23は、前記ECHONET機器および前記HA機器と、前記複数のボタン63~70とをそれぞれ連携させるための設定画面を表示可能とされているので、前記表示装置23に前記設定画面を表示して、前記ECHONET機器および前記HA機器と、前記複数のボタン63~70とをそれぞれ連携させることができる。
これによって、ユーザーは、前記設定画面上で前記複数のボタン63~70の設定を行うことができるので使い勝手がよい。
さらに、前記ECHONET機器および前記HA機器と、前記複数のボタン63~70とをそれぞれ連携させるための設定画面だけでなく、その他の設定画面を表示して、前記ECHONET機器および前記HA機器を含む複数の電気機器の各種設定を行うことができるので、利便性に優れる。」
(オ)図1、図41
イ 甲3記載技術
以上の記載事項より、甲第3号証には、次の技術的事項が記載されていると認められる(以下、「甲3記載技術」という。)。
「ホームエネルギーマネージメントシステム(HEMS)の表示装置であって、
表示装置は通信ネットワークを利用して、例えばスマートフォン等の情報端末と接続可能とされており、外出中でも、この情報端末上で各種操作や情報確認等を行うことができ、
表示装置は、その他の設定画面を表示して、ECHONET機器およびHA機器を含む複数の電気機器の各種設定を行うことができ、
リモート設定項目の設定画面として、「電気錠施錠通知」、「電気錠解錠通知」の項目が表示され、各項目では、当該各項目の設定を行うか否かをボタンのタッチで選択することができる(「する」ボタンまたは「しない」ボタン)、表示装置。」
3 対比・判断
(1)本件発明1について
本件発明1と引用発明を対比する。
ア 引用発明の「電気錠」及び「状態情報」は、それぞれ、本件発明1における「錠前」及び「状態情報」に相当する。
イ 引用発明は、「電気錠の状態を示す状態情報に基づいて作成された、ドア部端末の電話番号を含む状態通知メール(解錠通知メールまたは施錠通知メール)をドア部から受信」することから、ドア部端末の電話番号により、電気錠は識別されるものであり、引用発明の「ドア部端末の電話番号であるドア側登録電話番号」は、本件発明1の「上記錠前を識別する錠前識別情報」に対応する。
ウ 引用発明におけるデータベースには、各ユーザーごとに、ユーザの登録番号と、そのドアの解錠/施錠を行うことができる各携帯端末の電話番号(登録電話番号1~登録電話番号5)が記憶されていることから、ユーザーごとに複数の携帯端末の電話番号が記憶されるものであり、「ユーザー」は、当該複数の携帯端末からなる、そのドアの解錠/施錠を行うことができるグループに対応するものである。
したがって、引用発明における「ユーザーの登録番号」は、本件発明1における「該錠前を利用するグループを識別するグループ識別情報」に相当する。
エ 引用発明において、「データベース」には、各ユーザーごとに、「ユーザーの登録番号」と「ドア側登録電話番号」とが記憶されているから、引用発明における「データベース」は、本件発明1における「上記錠前を識別する錠前識別情報と該錠前を利用するグループを識別するグループ識別情報とが紐付けて記録されている記録媒体」に相当する。
また、上記ウで述べたように、引用発明における「本システムを利用する(すなわち、そのドアの解錠/施錠を行うことができる)各携帯端末」は、そのドアの解錠/施錠を行うことができるグループを構成するものであるから、本件発明1における「上記錠前識別情報との紐付けがされているグループ識別情報によって識別されるグループのメンバの端末」に相当する。
オ 引用発明における「電気錠の状態を示す状態情報に基づいて作成された、ドア部端末の電話番号を含む状態通知メール(解錠通知メールまたは施錠通知メール)をドア部から受信」すること、及び「登録されている携帯端末に対して送信される状態通知メールを送信」することは、本件発明1における「錠前の状態を示す状態情報を取得する」こと、及び「グループのメンバの端末に上記状態情報を通知する」ことに相当する。
したがって、引用発明における「サービスセンター」は、本件発明1における「錠前の状態を示す状態情報を取得する状態情報取得処理部」及び「グループのメンバの端末に上記状態情報を通知」する「通知処理部」に対応する機能を有し、そのための構成を有しているといえるから、本件発明1における「情報通知装置」に対応する。
カ 上記ア~オより、本件発明1と引用発明との一致点、相違点は、次のとおりである。
【一致点】
「錠前の状態を示す状態情報を取得する状態情報取得処理部と、
上記状態情報を通知する通知処理部とを備え、
上記通知処理部は、上記錠前を識別する錠前識別情報と該錠前を利用するグループを識別するグループ識別情報とが紐付けて記録されている記録媒体を参照し、上記錠前識別情報との紐付けがされているグループ識別情報によって識別されるグループのメンバの端末に上記状態情報を通知する、情報通知装置。」
【相違点】
本件発明1では、「情報通知装置」が備える「通知処理部」は、「上記状態情報が示す状態に応じて上記状態情報の通知先となる端末を、上記錠前識別情報との紐付けがされている上記グループ識別情報によって識別されるグループに属する複数のメンバの端末の中から選択し、選択した端末に上記状態情報を通知する」のに対して、引用発明では、当該構成について特定されておらず、「状態通知メール」は、データベースに登録されている、ドアの解錠/施錠を行うことができる携帯端末に対して送信される点。
キ 上記相違点について検討する。
上記2の(2)イの甲2記載技術において、「居住者以外の第三者の携帯電話」は、利用者登録が未登録の携帯電話であるから、引用発明の「ドア施錠解錠システムの各ユーザー(ドア)ごとに、ユーザーの登録番号、そのドアのドア部端末の電話番号であるドア側登録電話番号、本システムを利用する(すなわち、そのドアの解錠/施錠を行うことができる)各携帯端末の電話番号(登録電話番号1~登録電話番号5)が記憶されているデータベースに登録されている携帯端末」である、「グループに属する複数のメンバの端末」に含まれない携帯端末である。
そうすると、引用発明に甲2記載技術を適用したとしても、「上記状態情報が示す状態に応じて上記状態情報の通知先となる端末」を、「上記錠前識別情報との紐付けがされている上記グループ識別情報によって識別されるグループに属する複数のメンバの端末」とするか、「上記錠前識別情報との紐付けがされている上記グループ識別情報によって識別されるグループに属する複数のメンバの端末及び利用者登録が未登録の端末」とするかが選択される構成となって、「グループに属する複数のメンバの端末の中から選択」することにはならないから、上記相違点である、「上記状態情報が示す状態に応じて上記状態情報の通知先となる端末を、上記錠前識別情報との紐付けがされている上記グループ識別情報によって識別されるグループに属する複数のメンバの端末の中から選択」することは、当業者が容易になし得たものとはいえない。
また、上記2の(3)イの甲3記載技術は、「電気錠施錠通知」、「電気錠解錠通知」を「する」か、「しない」かを選択することができるものであるから、「上記状態情報が示す状態に応じて上記状態情報の通知先となる端末を、上記錠前識別情報との紐付けがされている上記グループ識別情報によって識別されるグループに属する複数のメンバの端末の中から選択」する技術ではない。
よって、引用発明に甲3記載技術を適用しても、上記相違点の「上記状態情報が示す状態に応じて上記状態情報の通知先となる端末を、上記錠前識別情報との紐付けがされている上記グループ識別情報によって識別されるグループに属する複数のメンバの端末の中から選択」することは、当業者が容易になし得たものとはいえない。
さらに、甲第4号証を検討すると、甲第4号証には、段落0001、0016、0033より、「住宅(集合住宅、一般住宅)などの各種物件における出入口、玄関などのゲート(扉)への出入を管理する出入管理システムであって、利用者端末に、管理端末からの設定によりキーデータ(通行権限情報)の変更が行われたときに、この変更に伴うキーデータの更新を行うべく、管理端末から管理サーバを介してプッシュ通知による指示がなされる出入管理システム」が開示されるものであるから、「上記状態情報が示す状態に応じて上記状態情報の通知先となる端末を、上記錠前識別情報との紐付けがされている上記グループ識別情報によって識別されるグループに属する複数のメンバの端末の中から選択」する技術ではない。
そして、「上記状態情報が示す状態に応じて上記状態情報の通知先となる端末を、上記錠前識別情報との紐付けがされている上記グループ識別情報によって識別されるグループに属する複数のメンバの端末の中から選択」することが当業者に自明な事項とはいえず、他に、容易とする証拠もない。
よって、本件発明1は、甲第1号証に記載された発明、及び甲第2号証又は甲第3号証に記載された技術に基いて、当業者が容易になし得たものとはいえない。
(2)本件発明2について
本件発明2は、請求項1を引用することから、引用発明とは、上記(1)カの【相違点】があり、当該相違点は、上記(1)キで検討したように、当業者が容易になし得たものとはいえない。
よって、本件発明2も同様に、甲第1号証に記載された発明、及び甲第2号証又は甲第3号証に記載された技術に基いて、当業者が容易になし得たものとはいえない。
(3)本件発明4について
本件発明4は、請求項1から3のいずれか1項を引用することから、直接的又は間接的に請求項1を引用するものであり、引用発明とは、少なくとも、上記(1)カの【相違点】があり、当該相違点は、上記(1)キで検討したように、当業者が容易になし得たものとはいえない。
よって、本件発明4も同様に、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証並びに甲第4号証に記載された技術、あるいは、甲第1号証に記載された発明及び甲第3号証並びに甲第4号証に記載された技術に基いて、当業者が容易になし得たものとはいえない。
(4)本件発明5について
本件発明5は、請求項1から4のいずれか1項を引用することから、直接的又は間接的に請求項1を引用するものであり、引用発明とは、少なくとも、上記(1)カの【相違点】があり、当該相違点は、上記(1)キで検討したように、当業者が容易になし得たものとはいえない。
よって、本件発明5は、甲第1号証に記載された発明、及び甲第2号証又は甲第3号証に記載された技術に基いて、当業者が容易になし得たものとはいえない(請求項1又は2を引用する場合)。また、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証並びに甲第4号証に記載された技術、あるいは、甲第1号証に記載された発明及び甲第3号証並びに甲第4号証に記載された技術に基いて、当業者が容易になし得たものとはいえない(請求項4を引用する場合)。
第5 意見書における主張
異議申立人は、令和1年11月28日に提出した意見書により、「この箇所の訂正は、一見、請求項1を限定しているようにも思われますが、請求項1を限定していないに等しいものです。なぜなら、請求項1の上記箇所の直前には「上記通知処理部は、上記錠前を識別する錠前識別情報と該錠前を利用するグループを識別するグループ識別情報とが紐付けて記録されている記録媒体を参照し、上記錠前識別情報との紐付けがされているグループ識別情報によって識別されるグループのメンバの端末に上記状態情報を通知し、」と記載されており、この記載を鑑みれば、通知処理部による通知が行われる端末が「上記錠前識別情報との紐付けがされているグループ識別情報によって識別されるグループのメンバの端末」のいずれかであることは訂正前の請求項1においても明らかだからです。
また、甲第1号証の段落0010、0019,及び、図4、5、11には、各携帯端末の電話番号が記憶されているデータベース、及び、このデータベースに登録されている携帯端末に状態通知メールを送信することが記載されており、訂正により追加された事項は、甲第1号証に開示されているものといえます。」と主張する。
しかしながら、甲第1号証において、データベースに登録されている携帯端末に状態通知メールを送信することが記載されているとしても、状態情報が示す状態に応じて状態情報の通知先となる端末を、錠前識別情報との紐付けがされているグループ識別情報によって識別されるグループに属する複数のメンバの端末の中から選択する構成は開示されておらず、当該構成は、上記第4の3で言及するように、甲第2号証から甲第4号証の記載事項によっても、当業者が容易になし得たものとはいえない。
よって、特許異議申立人の上記主張は理由がない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由(特許異議申立書に記載した申立ての理由)によっては、本件訂正の請求により訂正された、訂正後の請求項1、2、4、5に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件訂正の請求により訂正された、訂正後の請求項1、2、4、5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2019-700415