特許異議申立
2018-700364
スロットマシン
- 審判番号
- 2018-700364
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2014-223236外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2018年05月01日
- 審決日
- 2019年03月26日
- 公報発行日
- 2019年06月28日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社三共
- 【権利者代理人】特許業務法人深見特許事務所
- 【異議申立人】日本電動式遊技機特許株式会社
- 【異議申立人代理人】特許業務法人 武和国際特許事務所
- 分類
- P1651.121-YAA(A63F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第2項第1号、特許法第113条第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6227515号発明「スロットマシン」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第6227515号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
特許第6227515号の請求項1に係る特許を維持する。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許第6227515号の請求項1に係る特許(以下、「本件特許」という。)についての出願は、平成26年10月31日に特許出願され、平成29年1月31日に手続補正書が提出され、同年5月15日付けで拒絶の理由が通知され、同年7月21日に意見書及び手続補正書が提出され、同年10月20日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許に対し、平成30年5月1日に特許異議申立人日本電動式遊技機特許株式会社(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがなされた。
その後、当審より、同年6月29日付けで取消理由が通知され、同年8月30日付けで特許権者から意見書が提出され、同年9月27日付けで取消理由(決定の予告)を通知したところ、同年11月30日付けで特許権者から意見書及び訂正請求書が提出されたので、申立人に対して、当該訂正請求書による訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)があった旨を通知したところ、平成31年2月15日付けで申立人から意見書が提出されたものである。
なお、申立人から提出された各甲号証を、以下、甲1などと省略して表記する。
第2 訂正の適否について
1 訂正の内容
本件訂正請求による訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、上記訂正請求書の記載によれば、以下の訂正事項1ないし4のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示す。
(1) 訂正事項1
本件特許の特許請求の範囲の請求項1に係る「再遊技導出時設定手段とを備え」と記載されているのを、
「再遊技導出時設定手段と、
遊技者により投入された遊技媒体の流路について、遊技媒体を外部に排出させる排出側流路または遊技媒体を内部に取り込む取込側流路に切り替える流路切替ソレノイドと、
前記流路切替ソレノイドの制御を行う切替制御手段とを備え」に訂正する。
(2) 訂正事項2
本件特許の特許請求の範囲の請求項1に係る「遊技用価値を更新することが可能である、スロットマシン。」と記載されているのを、
「遊技用価値を更新することが可能であり、
前記再遊技表示結果組合せが導出されてゲームが終了した後から前記再遊技導出時設定手段により賭数が設定されて次のゲームが開始可能となるまでにおいて遊技者により精算操作がされた場合、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値に相当する遊技媒体を返却する精算制御を行うことがなく、当該再遊技導出時設定手段により賭数が設定されて次のゲームが開始可能となった以降において遊技者により当該精算操作がされた場合、当該精算制御を行うことが可能であり、
前記再遊技表示結果組合せが導出されてゲームが終了し、前記再遊技導出時設定手段により賭数が設定されて次のゲームが開始可能となった後、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値が上限数未満である場合には、遊技媒体の投入が検出されているか否かを判定し、遊技媒体の投入が検出されていない場合には、遊技者による前記精算操作がされたか否かを判定し、
前記切替制御手段は、
前記再遊技表示結果組合せが導出されずにゲームが終了した後、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値が上限数に達しているか否かを判定することなく、遊技媒体の投入が可能である旨の設定を行う第1可能設定処理を行い、
前記再遊技表示結果組合せが導出されてゲームが終了し、前記再遊技導出時設定手段により賭数が設定された後、遊技媒体の投入が検出されたか否かを判定する前に、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値が上限数に達しているか否かを判定し、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値が上限数に達していない場合には、遊技媒体の投入が可能である旨の設定を行う第2可能設定処理を行い、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値が上限数に達している場合には、遊技媒体の投入が不可である旨の設定を行う第1不可設定処理を行い、
前記再遊技表示結果組合せが導出されずにゲームが終了し、前記賭数記憶手段に記憶されている賭数が上限値に達した後、遊技媒体が投入可能な状態において遊技媒体の投入が検出された場合にも、前記再遊技表示結果組合せが導出されてゲームが終了し、前記再遊技導出時設定手段により賭数が設定された後、遊技媒体が投入可能な状態において遊技媒体の投入が検出された場合にも、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値が上限数に達しているか否かを共通の判定処理により判定するとともに、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値が上限数に達しているときには、遊技媒体の投入が不可である旨の設定を行う共通の第2不可設定処理を行い、
前記第1不可設定処理が行われた場合にも前記第2不可設定処理が行われた場合にも共通の切替処理を行うことで、遊技媒体の投入が不可である旨の設定がされているときに、遊技者により投入された遊技媒体の流路が前記排出側流路となるように前記流路切替ソレノイドの制御を行い、
前記第1可能設定処理が行われた場合にも前記第2可能設定処理が行われた場合にも共通の前記切替処理を行うことで、遊技媒体の投入が可能である旨の設定がされているときに、遊技者により投入された遊技媒体の流路が前記取込側流路となるように前記流路切替ソレノイドの制御を行う、スロットマシン。」 に訂正する。
(3) 訂正事項3
本件特許の明細書の段落【0008】において、
「(1) 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を複数備え、
前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、複数の可変表示部の表示結果の組合せである表示結果組合せに応じて入賞が発生可能なスロットマシン(たとえば、スロットマシン1)において、
前記複数の可変表示部を変動表示させるために操作される開始操作手段と、
表示結果組合せを導出させるために操作される導出操作手段と、
導出を許容する表示結果組合せを決定する事前決定手段と、
前記事前決定手段の決定結果と前記導出操作手段の操作とに応じて表示結果組合せを導出させる制御を行う導出制御手段(たとえば、図18のS3)と、
画像を表示する表示手段と、
賭数の設定に使用可能な遊技用価値を記憶する遊技用価値記憶手段と、
1ゲームに対して設定されている賭数を記憶する賭数記憶手段と、
再遊技表示結果組合せが導出されたときに、遊技者所有の遊技用価値を消費することなく次のゲームが開始可能となるように賭数を設定する再遊技導出時設定手段とを備え、
前記導出制御手段は、前記事前決定手段の決定結果が特定決定結果となったときに特定表示結果組合せを導出可能であり、
前記特定表示結果組合せが導出されるときには、入賞が発生する入賞ライン上において特別識別情報のみが並ばず、入賞が発生しない非入賞ライン上において前記特別識別情報のみが並び、
前記表示手段は、
前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果となったゲームで前記開始操作手段が操作されたときに前記特別識別情報を示唆する示唆画像の表示を開始し、
前記導出操作手段の最終操作前の操作によって、前記示唆画像を強調表示せず、
最終操作によって、前記特定表示結果組合せが導出されたか否かに関わらず前記示唆画像の表示を終了し、
前記スロットマシンは、
ゲームが行われているときにおいて遊技者により遊技媒体が投入された場合、前記賭数記憶手段に記憶されている賭数を更新することも前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値を更新することもなく、
前記再遊技表示結果組合せが導出されずにゲームが終了した後において遊技者により遊技媒体が投入された場合、前記賭数記憶手段に記憶されている賭数が予め定められた上限数未満であるときには前記賭数記憶手段に記憶されている賭数を更新し、当該上限数に達しているときには前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値を更新し、
前記再遊技表示結果組合せが導出されてゲームが終了した後から前記再遊技導出時設定手段により賭数が設定されて次のゲームが開始可能となるまでにおいて遊技者により遊技媒体が投入された場合、前記賭数記憶手段に記憶されている賭数を更新することも前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値を更新することもなく、当該再遊技導出時設定手段により賭数が設定されて次のゲームが開始可能となった以降において遊技者により遊技媒体が投入された場合、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値を更新することが可能である。」
と記載されているのを、
「(1) 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を複数備え、
前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、複数の可変表示部の表示結果の組合せである表示結果組合せに応じて入賞が発生可能なスロットマシン(たとえば、スロットマシン1)において、
前記複数の可変表示部を変動表示させるために操作される開始操作手段と、
表示結果組合せを導出させるために操作される導出操作手段と、
導出を許容する表示結果組合せを決定する事前決定手段と、
前記事前決定手段の決定結果と前記導出操作手段の操作とに応じて表示結果組合せを導出させる制御を行う導出制御手段(たとえば、図18のS3)と、
画像を表示する表示手段と、
賭数の設定に使用可能な遊技用価値を記憶する遊技用価値記憶手段と、
1ゲームに対して設定されている賭数を記憶する賭数記憶手段と、
再遊技表示結果組合せが導出されたときに、遊技者所有の遊技用価値を消費することなく次のゲームが開始可能となるように賭数を設定する再遊技導出時設定手段と、
遊技者により投入された遊技媒体の流路について、遊技媒体を外部に排出させる排出側流路または遊技媒体を内部に取り込む取込側流路に切り替える流路切替ソレノイドと、
前記流路切替ソレノイドの制御を行う切替制御手段とを備え、
前記導出制御手段は、前記事前決定手段の決定結果が特定決定結果となったときに特定表示結果組合せを導出可能であり、
前記特定表示結果組合せが導出されるときには、入賞が発生する入賞ライン上において特別識別情報のみが並ばず、入賞が発生しない非入賞ライン上において前記特別識別情報のみが並び、
前記表示手段は、
前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果となったゲームで前記開始操作手段が操作されたときに前記特別識別情報を示唆する示唆画像の表示を開始し、
前記導出操作手段の最終操作前の操作によって、前記示唆画像を強調表示せず、
最終操作によって、前記特定表示結果組合せが導出されたか否かに関わらず前記示唆画像の表示を終了し、
前記スロットマシンは、
ゲームが行われているときにおいて遊技者により遊技媒体が投入された場合、前記賭数記憶手段に記憶されている賭数を更新することも前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値を更新することもなく、
前記再遊技表示結果組合せが導出されずにゲームが終了した後において遊技者により遊技媒体が投入された場合、前記賭数記憶手段に記憶されている賭数が予め定められた上限数未満であるときには前記賭数記憶手段に記憶されている賭数を更新し、当該上限数に達しているときには前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値を更新し、
前記再遊技表示結果組合せが導出されてゲームが終了した後から前記再遊技導出時設定手段により賭数が設定されて次のゲームが開始可能となるまでにおいて遊技者により遊技媒体が投入された場合、前記賭数記憶手段に記憶されている賭数を更新することも前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値を更新することもなく、当該再遊技導出時設定手段により賭数が設定されて次のゲームが開始可能となった以降において遊技者により遊技媒体が投入された場合、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値を更新することが可能であり、
前記再遊技表示結果組合せが導出されてゲームが終了した後から前記再遊技導出時設定手段により賭数が設定されて次のゲームが開始可能となるまでにおいて遊技者により精算操作がされた場合、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値に相当する遊技媒体を返却する精算制御を行うことがなく、当該再遊技導出時設定手段により賭数が設定されて次のゲームが開始可能となった以降において遊技者により当該精算操作がされた場合、当該精算制御を行うことが可能であり、
前記再遊技表示結果組合せが導出されてゲームが終了し、前記再遊技導出時設定手段により賭数が設定されて次のゲームが開始可能となった後、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値が上限数未満である場合には、遊技媒体の投入が検出されているか否かを判定し、遊技媒体の投入が検出されていない場合には、遊技者による前記精算操作がされたか否かを判定し、
前記切替制御手段は、
前記再遊技表示結果組合せが導出されずにゲームが終了した後、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値が上限数に達しているか否かを判定することなく、遊技媒体の投入が可能である旨の設定を行う第1可能設定処理を行い、
前記再遊技表示結果組合せが導出されてゲームが終了し、前記再遊技導出時設定手段により賭数が設定された後、遊技媒体の投入が検出されたか否かを判定する前に、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値が上限数に達しているか否かを判定し、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値が上限数に達していない場合には、遊技媒体の投入が可能である旨の設定を行う第2可能設定処理を行い、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値が上限数に達している場合には、遊技媒体の投入が不可である旨の設定を行う第1不可設定処理を行い、
前記再遊技表示結果組合せが導出されずにゲームが終了し、前記賭数記憶手段に記憶されている賭数が上限値に達した後、遊技媒体が投入可能な状態において遊技媒体の投入が検出された場合にも、前記再遊技表示結果組合せが導出されてゲームが終了し、前記再遊技導出時設定手段により賭数が設定された後、遊技媒体が投入可能な状態において遊技媒体の投入が検出された場合にも、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値が上限数に達しているか否かを共通の判定処理により判定するとともに、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値が上限数に達しているときには、遊技媒体の投入が不可である旨の設定を行う共通の第2不可設定処理を行い、
前記第1不可設定処理が行われた場合にも前記第2不可設定処理が行われた場合にも共通の切替処理を行うことで、遊技媒体の投入が不可である旨の設定がされているときに、遊技者により投入された遊技媒体の流路が前記排出側流路となるように前記流路切替ソレノイドの制御を行い、
前記第1可能設定処理が行われた場合にも前記第2可能設定処理が行われた場合にも共通の前記切替処理を行うことで、遊技媒体の投入が可能である旨の設定がされているときに、遊技者により投入された遊技媒体の流路が前記取込側流路となるように前記流路切替ソレノイドの制御を行う。」
に訂正する。
(4) 訂正事項4
本件特許の明細書の段落【0195】において、
「図22(c)は、リプレイ入賞した後においてメダルの投入または精算が許容されるタイミングを説明するための図である。リプレイ入賞が発生している場合には、払い出しが行われることなくゲームが終了し、その後、図18のS6の処理や、次のゲームのためのS1の処理、図19のS10~S12の処理に加えて、さらに賭数設定が完了したタイミング以降(つまり、賭数設定が完了したタイミング、または当該タイミングより後)であってS19においてクレジット可能であると判定された後において、S20以降の処理が実行されることにより、図22(c)に示されるようにメダルの投入または精算が許容される。」
と記載されているのを、
「図22(c)は、リプレイ入賞した後においてメダルの投入または精算が許容されるタイミングを説明するための図である。リプレイ入賞が発生している場合には、払い出しが行われることなくゲームが終了し、その後、図18のS6の処理や、次のゲームのためのS1の処理、図19のS10~S12の処理に加えて、さらに賭数設定が完了したタイミング以降(つまり、賭数設定が完了したタイミング、または当該タイミングより後)であってS18においてクレジット可能であると判定された後において、S20以降の処理が実行されることにより、図22(c)に示されるようにメダルの投入または精算が許容される。」に訂正する。
2 訂正事項についての判断
(1) 訂正事項1
ア 訂正事項1-1
訂正事項1のうち、「再遊技導出時設定手段と」の記載と「を備え、」の記載の間に、「遊技者により投入された遊技媒体の流路について、遊技媒体を外部に排出させる排出側流路または遊技媒体を内部に取り込む取込側流路に切り替える流路切替ソレノイドと、」の記載を挿入する訂正を訂正事項1-1とし、以下に検討する。
(ア) 新規事項の有無
本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「本件特許明細書等」という。)の段落【0043】には、「・・・メダル投入部4から投入されたメダルの流路を、筐体1a内部に設けられたホッパータンク34a(図3参照)側またはメダル払出口9側のいずれか一方に選択的に切り替えるための流路切替ソレノイド(図示略)と、・・・」と記載されており、同段落【0169】には、「メイン制御部41は、投入不可フラグが設定されているか否かに基づいてメダルの投入が可能な状態か否かを判定する(S21)。メイン制御部41は、メダルの投入が可能な状態であると判定した場合には(S21でY)、流路切替ソレノイド30の電源をONの状態とし、メダルの流路をホッパータンク側の経路としてメダルの投入が可能な状態とし(S22)、S24に進む。メイン制御部41は、メダルの投入が可能な状態でないと判定した場合には(S21でN)、流路切替ソレノイド30の電源をOFFの状態とし、メダルの流路をメダル払出口9側の経路として新たなメダルの投入を禁止し(S23)、S24に進む。」と記載されており、同段落【0512】には、「・・・投入された遊技媒体(たとえば、メダル)・・・」と記載されていることから、「流路切替ソレノイド」を備えた点が導き出せる。
したがって、訂正事項1-1は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
(イ) 訂正の目的の適否
訂正事項1-1は、本件特許の請求項1に「遊技者により投入された遊技媒体の流路について、遊技媒体を外部に排出させる排出側流路または遊技媒体を内部に取り込む取込側流路に切り替える流路切替ソレノイド」を備える点を限定するものであるから、訂正事項1-1は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 訂正事項1-2
訂正事項1のうち、「再遊技導出時設定手段と」と「を備え、」の間に、訂正事項1-1に加えて、「前記流路切替ソレノイドの制御を行う切替制御手段と」の記載を挿入する訂正を訂正事項1-2とし、以下に検討する。
(ア) 新規事項の有無
本件特許明細書等の段落【0060】には、「遊技制御基板40には、・・・流路切替ソレノイド30・・・が接続されている・・・」と記載されており、同段落【0061】には、「遊技制御基板40には、遊技の制御を行うメイン制御部41が搭載されている。メイン制御部41は、メインCPU41aと、ROM41bと、RAM41cと、I/Oポート41dとを備えたマイクロコンピュータからなる。」と記載されており、同段落【0062】には、「遊技制御基板40には、・・・流路切替ソレノイド30の駆動制御を行うソレノイド駆動回路46・・・が搭載されている。」と記載されており、同段落【0063】には、「メインCPU41aは、・・・ROM41bに記憶されたプログラムを実行して、遊技の進行に関する処理を行うとともに、遊技制御基板40に搭載された制御回路の各部を直接的または間接的に制御する。・・・」と記載されている。
そして、「流路切替ソレノイド30の駆動制御を行うソレノイド駆動回路46」は、切替制御手段といえることから、訂正事項1-2は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
(イ) 訂正の目的の適否
訂正事項1-2は、本件特許の請求項1に「前記流路切替ソレノイドの制御を行う切替制御手段」を備える点を限定するものであるから、訂正事項1-2は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
請求項1に係る訂正事項1-1及び1-2の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
エ 小括
以上のことから、請求項1に係る訂正事項1-1及び1-2の訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものであり、また、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものといえ、加えて、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(2) 訂正事項2
ア 訂正事項2-1
訂正事項2のうち、「遊技用価値を更新することが可能である、」の記載を、
「遊技用価値を更新することが可能であり、
前記再遊技表示結果組合せが導出されてゲームが終了した後から前記再遊技導出時設定手段により賭数が設定されて次のゲームが開始可能となるまでにおいて遊技者により精算操作がされた場合、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値に相当する遊技媒体を返却する精算制御を行うことがなく、当該再遊技導出時設定手段により賭数が設定されて次のゲームが開始可能となった以降において遊技者により当該精算操作がされた場合、当該精算制御を行うことが可能であり、」
とする訂正を訂正事項2-1とし、以下に検討する。
(ア) 新規事項の有無
本件特許明細書等の段落【0035】には、「・・・クレジットとして記憶されているメダルおよび賭数の設定に用いたメダルを精算する(クレジットおよび賭数の設定に用いた分のメダルを返却させる)・・・」と記載されており、同段落【0195】には、「図22(c)は、リプレイ入賞した後においてメダルの投入または精算が許容されるタイミングを説明するための図である。リプレイ入賞が発生している場合には、払い出しが行われることなくゲームが終了し、その後、図18のS6の処理や、次のゲームのためのS1の処理、図19のS10~S12の処理に加えて、さらに賭数設定が完了したタイミング以降(つまり、賭数設定が完了したタイミング、または当該タイミングより後)であってS19においてクレジット可能であると判定された後において、S20以降の処理が実行されることにより、図22(c)に示されるようにメダルの投入または精算が許容される。」と記載されている。
また、本件特許明細書等の図19、図20、図22(c)の記載は以下のとおりである。
【図19】
【図20】
【図22】(c)
そして、上記の摘記事項及び上記図19、20、22(c)の記載より、リプレイ入賞した直後では、投入・精算操作が許容されず、自動BETが終了して次のゲームが開始可能となった以降のタイミングで投入・精算操作が許可されることが導き出せる。
したがって、訂正事項2-1は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
(イ) 訂正の目的の適否
訂正事項2-1は、訂正前の請求項1に実質的に「スロットマシン」が、「前記再遊技表示結果組合せが導出されてゲームが終了した後から前記再遊技導出時設定手段により賭数が設定されて次のゲームが開始可能となるまでにおいて遊技者により精算操作がされた場合、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値に相当する遊技媒体を返却する精算制御を行うことがなく、当該再遊技導出時設定手段により賭数が設定されて次のゲームが開始可能となった以降において遊技者により当該精算操作がされた場合、当該精算制御を行うことが可能であ」る点を限定するものであるから、訂正事項2-1は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 訂正事項2-2
訂正事項2のうち、訂正事項2-1に続いて
「前記再遊技表示結果組合せが導出されてゲームが終了し、前記再遊技導出時設定手段により賭数が設定されて次のゲームが開始可能となった後、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値が上限数未満である場合には、遊技媒体の投入が検出されているか否かを判定し、遊技媒体の投入が検出されていない場合には、遊技者による前記精算操作がされたか否かを判定し、」
の記載を挿入する訂正を訂正事項2-2とし、以下に検討する。
(ア) 新規事項の有無
本件特許明細書等の段落【0159】には、「メイン制御部41は、次のゲーム(今から開始されるゲーム)がリプレイゲームであると判定した場合には(S12でY)、前回ゲームにおいて入賞した再遊技役が、第1のリプレイであったか否かを判定する(S13)。第1のリプレイとは、再遊技役のうち、ベルリプレイおよび特別リプレイ以外のリプレイ(通常リプレイ、下段リプレイ、転落リプレイ、昇格リプレイ1,2、特殊リプレイなど)をいう。第1のリプレイであったか否かは、設定されているリプレイゲームフラグから特定可能となる。このために、リプレイ入賞時には、入賞したリプレイに対応するリプレイゲームフラグが設定される。」と記載されており、同段落【0160】には、「メイン制御部41は、第1のリプレイであったと判定したときには(S13でY)、賭数が3(リプレイ当選可能な状態は3枚賭けであるため)加算される旨、および、サブ制御部91によりBET音を出力させる旨のBET音ありを示すBETコマンド(S14では便宜上、“BETコマンド(BET音あり)”と示している。以下同様)を通常コマンド用送信バッファに設定する(S14)。」と記載されている。
また、同段落【0163】には、「次に、メイン制御部41は、BETカウンタの値を1加算し(S16)、RAM41cに設定された賭数の規定数を参照し、BETカウンタの値が規定数(ここでは3)であるか否か、すなわちゲームの開始条件となる賭数が設定されているか否かを判定し(S17)、BETカウンタの値が規定数でなければ(S17でN)、S16に戻る。」と記載され、同段落【0164】には、「メイン制御部41は、BETカウンタの値が規定数となりリプレイ入賞による賭数の設定が完了すると(S17でY)、S18へ移行する。・・・」と記載され、同段落【0165】には、「メイン制御部41は、RAM41cの所定領域において格納されるクレジットの値であるクレジットカウンタの値が上限値である50であるか否かを判定する(S18)。・・・」と記載されていることから、再遊技表示結果組合せが導出されてゲームが終了し、前記再遊技導出時設定手段により賭数が設定されて次のゲームが開始可能となった後、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値が上限数未満であるか否かの判定が行われることが導き出せる。
そして、同段落【0166】には、「メイン制御部41は、上限値でないと判定したとき、つまりクレジット投入が可能であると判定したときには(S18でN)、S20に進む。・・・」と記載されており、同段落【0167】には、「メイン制御部41は、S20においては、投入待ち前の設定を行ってS21に進む。投入待ち前の設定では、RAM41cに投入不可フラグが設定されている場合は投入不可フラグをクリアし、メダルの投入が可能な状態とする。・・・」と記載されており、その後、図19のE3を経由して図20のE3に処理フローが移り、同段落【0171】には、「メイン制御部41は、投入メダルセンサ31による検出結果が適正な検出結果となり投入メダルの通過が検出されたか否か、すなわち投入メダルの通過が検出された旨を示す投入メダルフラグの有無を判定する(S30)。メイン制御部41は、投入メダルの通過が検出されていなければ(S30でN)、S45に進み、投入メダルの通過が検出されていれば(S30でY)、投入メダルフラグをクリアし(S31)、RAM41cに投入不可フラグが設定されているか否かに基づいてメダルの投入が可能な状態か否かを判定する(S32)。・・・」と記載されており、同段落【0188】には、「メイン制御部41は、精算スイッチ10の操作が検出されているか否か、すなわち精算スイッチ10の立ち上がりを示す立上りエッジが設定されているか否かを判定する(S52)。メイン制御部41は、精算スイッチ10の操作が検出されていなければ(S52でN)、S21に戻り、精算スイッチ10の操作が検出されていれば(S52でY)、S53に進み、立上りエッジをクリアする。・・・」と記載されていることから、遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値が上限数未満である場合には、遊技媒体の投入が検出されているか否かを判定し、遊技媒体の投入が検出されていない場合には、遊技者による前記精算操作がされたか否かを判定する構成が導き出せる。
したがって、訂正事項2-2は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
(イ) 訂正の目的の適否
訂正事項2-2は、訂正前の請求項1に実質的に「スロットマシン」が、「前記再遊技表示結果組合せが導出されてゲームが終了し、前記再遊技導出時設定手段により賭数が設定されて次のゲームが開始可能となった後、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値が上限数未満である場合には、遊技媒体の投入が検出されているか否かを判定し、遊技媒体の投入が検出されていない場合には、遊技者による前記精算操作がされたか否かを判定」する点を限定するものであるから、訂正事項2-2は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
ウ 訂正事項2-3
訂正事項2のうち、訂正事項2-1及び2-2に続いて
「前記切替制御手段は、
前記再遊技表示結果組合せが導出されずにゲームが終了した後、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値が上限数に達しているか否かを判定することなく、遊技媒体の投入が可能である旨の設定を行う第1可能設定処理を行い、」
の記載を挿入する訂正を訂正事項2-3とし、以下に検討する。
(ア) 新規事項の有無
本件特許明細書等の段落【0166】には、「メイン制御部41は、上限値でないと判定したとき、つまりクレジット投入が可能であると判定したときには(S18でN)、S20に進む。なお、メイン制御部41は、リプレイゲームでないと判定した場合には(S12でN)、そのままS20に進む。」と記載されており、同段落【0167】には、「メイン制御部41は、S20においては、投入待ち前の設定を行ってS21に進む。・・・」と記載されている。そして、「投入待ち前の設定を行」うことは、「第1可能設定処理」であると認められる。
したがって、訂正事項2-3は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
(イ) 訂正の目的の適否
訂正事項2-3は、訂正前の請求項1に実質的に「前記切替制御手段」が「前記再遊技表示結果組合せが導出されずにゲームが終了した後、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値が上限数に達しているか否かを判定することなく、遊技媒体の投入が可能である旨の設定を行う第1可能設定処理を行」う点を限定するものであるから、訂正事項2-3は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
エ 訂正事項2-4
訂正事項2のうち、訂正事項2-1ないし2-3に続いて
「前記再遊技表示結果組合せが導出されてゲームが終了し、前記再遊技導出時設定手段により賭数が設定された後、遊技媒体の投入が検出されたか否かを判定する前に、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値が上限数に達しているか否かを判定し、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値が上限数に達していない場合には、遊技媒体の投入が可能である旨の設定を行う第2可能設定処理を行い、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値が上限数に達している場合には、遊技媒体の投入が不可である旨の設定を行う第1不可設定処理を行い、」
の記載を挿入する訂正を訂正事項2-4とし、以下に検討する。
(ア) 新規事項の有無
本件特許明細書等の段落【0158】には、「・・・RAM41cにリプレイゲームである旨を示すリプレイゲームフラグが設定されているか否かに基づいて次のゲーム(今から開始されるゲーム)がリプレイゲームであるか否かを判定する(S12)。」と記載されており、上記「イ 訂正事項2-1」(ア)に示した図19を参酌すると、S12においてリプレイゲームであると判定されると結果的にS18に進むことが読み取れ、該S18に関して、同段落【0165】には、「・・・上限値であると判定されたときには(S18でY)、投入不可フラグをRAM41cに設定し(S19)、S21に進む。・・・」と記載されており、ここにおいて、上記「投入不可フラグをRAM41cに設定」することは、「第1不可設定処理」を行うことであると認められる。
また、同段落【0166】には、「メイン制御部41は、上限値でないと判定したとき、つまりクレジット投入が可能であると判定したときには(S18でN)、S20に進む。・・・」と記載されており、上記図19より、S18において、クレジットカウンタが50か否かの判断においてNと判断されること、すなわち上限値でないと判断されると、S20に進むことが読み取れ、同段落【0167】における「メイン制御部41は、S20においては、投入待ち前の設定を行ってS21に進む。投入待ち前の設定では、RAM41cに投入不可フラグが設定されている場合は投入不可フラグをクリアし、メダルの投入が可能な状態とする。」の記載を参酌すると、上記図19のS20において、投入不可フラグのクリア処理(第2可能設定処理)が行われると認められる。
したがって、訂正事項2-4は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
(イ) 訂正の目的の適否
訂正事項2-4は、訂正前の請求項1に実質的に「前記切替制御手段」が「前記再遊技表示結果組合せが導出されてゲームが終了し、前記再遊技導出時設定手段により賭数が設定された後、遊技媒体の投入が検出されたか否かを判定する前に、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値が上限数に達しているか否かを判定し、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値が上限数に達していない場合には、遊技媒体の投入が可能である旨の設定を行う第2可能設定処理を行い、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値が上限数に達している場合には、遊技媒体の投入が不可である旨の設定を行う第1不可設定処理を行」う点を限定するものであるから、訂正事項2-4は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
オ 訂正事項2-5
訂正事項2のうち、訂正事項2-1ないし2-4に続いて
「前記再遊技表示結果組合せが導出されずにゲームが終了し、前記賭数記憶手段に記憶されている賭数が上限値に達した後、遊技媒体が投入可能な状態において遊技媒体の投入が検出された場合にも、前記再遊技表示結果組合せが導出されてゲームが終了し、前記再遊技導出時設定手段により賭数が設定された後、遊技媒体が投入可能な状態において遊技媒体の投入が検出された場合にも、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値が上限数に達しているか否かを共通の判定処理により判定するとともに、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値が上限数に達しているときには、遊技媒体の投入が不可である旨の設定を行う共通の第2不可設定処理を行い、」
の記載を挿入する訂正を訂正事項2-5とし、以下に検討する。
(ア) 新規事項の有無
本件特許明細書等の段落【0166】には、「メイン制御部41は、上限値でないと判定したとき、つまりクレジット投入が可能であると判定したときには(S18でN)、S20に進む。なお、メイン制御部41は、リプレイゲームでないと判定した場合には(S12でN)、そのままS20に進む。・・・」と記載されており、リプレイゲームでないと判定した場合(S12でN)で、そのままS20に進むことは、「前記再遊技表示結果組合せが導出されずにゲームが終了し、」「遊技媒体が投入可能な状態」であり、クレジット投入が可能であると判定したとき(S18でN)は、「前記再遊技表示結果組合せが導出されてゲームが終了し、前記再遊技導出時設定手段により賭数が設定された後、遊技媒体が投入可能な状態」であると認められる。
そして、いずれの状態であっても、図19のE3を経由して図20のE3に処理フローが移ることが読み取れ、段落【0171】には、「・・・投入メダルの通過が検出されていれば(S30でY)、投入メダルフラグをクリアし(S31)、RAM41cに投入不可フラグが設定されているか否かに基づいてメダルの投入が可能な状態か否かを判定する(S32)。・・・」と記載されており、段落【0172】には、「メイン制御部41は、メダルの投入が可能な状態であれば(S32でY)、RAM41cに設定された賭数の規定数を参照し、BETカウンタの値が規定数であるか否を判定する(S33)。」と記載されており、段落【0178】には、「メイン制御部41は、クレジットカウンタの値が上限値である50であるか否かを判定する(S41)。メイン制御部41は、クレジットカウンタの値が50でなければ(S41でN)、S21に戻り、クレジットカウンタの値が50であれば(S41でY)、投入不可フラグをRAM41cに設定し(S42)、S21に戻る。」と記載されていることから、S30で遊技媒体の投入が検知され、S41で「クレジットカウンタの値が50」であるか否かの判断が行われ、S42で「投入不可フラグをRAM41cに設定」することが行われていることが読み取れる。
そして、この段落【0178】におけるS42の「投入不可フラグをRAM41cに設定」することは、「第2不可設定処理」であると認められる。
したがって、訂正事項2-5は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
(イ) 訂正の目的の適否
訂正事項2-5は、訂正前の請求項1に実質的に「前記切替制御手段」が「前記再遊技表示結果組合せが導出されずにゲームが終了し、前記賭数記憶手段に記憶されている賭数が上限値に達した後、遊技媒体が投入可能な状態において遊技媒体の投入が検出された場合にも、前記再遊技表示結果組合せが導出されてゲームが終了し、前記再遊技導出時設定手段により賭数が設定された後、遊技媒体が投入可能な状態において遊技媒体の投入が検出された場合にも、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値が上限数に達しているか否かを共通の判定処理により判定するとともに、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値が上限数に達しているときには、遊技媒体の投入が不可である旨の設定を行う共通の第2不可設定処理を行」う点を限定するものであるから、訂正事項2-5は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
カ 訂正事項2-6
訂正事項2のうち、訂正事項2-1ないし2-5に続いて
「前記第1不可設定処理が行われた場合にも前記第2不可設定処理が行われた場合にも共通の切替処理を行うことで、遊技媒体の投入が不可である旨の設定がされているときに、遊技者により投入された遊技媒体の流路が前記排出側流路となるように前記流路切替ソレノイドの制御を行い、」
の記載を挿入する訂正を訂正事項2-6とし、以下に検討する。
(ア) 新規事項の有無
本件特許明細書等の段落【0169】には、「メイン制御部41は、投入不可フラグが設定されているか否かに基づいてメダルの投入が可能な状態か否かを判定する(S21)。メイン制御部41は、メダルの投入が可能な状態であると判定した場合には(S21でY)、流路切替ソレノイド30の電源をONの状態とし、メダルの流路をホッパータンク側の経路としてメダルの投入が可能な状態とし(S22)、S24に進む。・・・」と記載されており、図19のS19において、投入不可フラグが設定された場合にも、図20のS42において、投入不可フラグが設定された場合にも、共通のメダル投入が可能な状態か否かの判定(S21)が行われ、メダル投入が可能な状態でないと判定されたときには、流路切替ソレノイド30をOFFの状態とし、メダルの流路をメダル払出口9側の経路とする点が記載されている。
したがって、訂正事項2-6は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
(イ) 訂正の目的の適否
訂正事項2-6は、訂正前の請求項1に実質的に「前記切替制御手段」が「前記第1不可設定処理が行われた場合にも前記第2不可設定処理が行われた場合にも共通の切替処理を行うことで、遊技媒体の投入が不可である旨の設定がされているときに、遊技者により投入された遊技媒体の流路が前記排出側流路となるように前記流路切替ソレノイドの制御を行」う点を限定するものであるから、訂正事項2-6は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
キ 訂正事項2-7
訂正事項2のうち、訂正事項2-1ないし2-6に続いて
「前記第1可能設定処理が行われた場合にも前記第2可能設定処理が行われた場合にも共通の前記切替処理を行うことで、遊技媒体の投入が可能である旨の設定がされているときに、遊技者により投入された遊技媒体の流路が前記取込側流路となるように前記流路切替ソレノイドの制御を行う、」
の記載を挿入する訂正を訂正事項2-7とし、以下に検討する。
(ア) 新規事項の有無
本件特許明細書等の段落【0166】には、「メイン制御部41は、上限値でないと判定したとき、つまりクレジット投入が可能であると判定したときには(S18でN)、S20に進む。なお、メイン制御部41は、リプレイゲームでないと判定した場合には(S12でN)、そのままS20に進む。・・・」と記載されており、同段落【0167】には、「メイン制御部41は、S20においては、投入待ち前の設定を行ってS21に進む。・・・」と記載されており、同段落【0169】には、「メイン制御部41は、投入不可フラグが設定されているか否かに基づいてメダルの投入が可能な状態か否かを判定する(S21)。メイン制御部41は、メダルの投入が可能な状態であると判定した場合には(S21でY)、流路切替ソレノイド30の電源をONの状態とし、メダルの流路をホッパータンク側の経路としてメダルの投入が可能な状態とし(S22)、S24に進む。・・・」と記載されている。
したがって、訂正事項2-7は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
(イ) 訂正の目的の適否
訂正事項2-7は、訂正前の請求項1に実質的に「前記切替制御手段」が「前記第1可能設定処理が行われた場合にも前記第2可能設定処理が行われた場合にも共通の前記切替処理を行うことで、遊技媒体の投入が可能である旨の設定がされているときに、遊技者により投入された遊技媒体の流路が前記取込側流路となるように前記流路切替ソレノイドの制御を行う」点を限定するものであるから、訂正事項2-7は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
ク 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
請求項1に係る訂正事項2-1ないし2-7の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
ケ 小括
以上のことから、請求項2に係る訂正事項2-1ないし2-7の訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものであり、また、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものといえ、加えて、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(3) 訂正事項3
ア 新規事項の有無
訂正事項3は、訂正事項1及び2に係る訂正により、本件特許の明細書の段落【0008】の記載を請求項1の記載と整合をとるためのものであるから、訂正事項1及び2において検討したとおり、当該訂正事項3は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
イ 訂正の目的の適否
訂正事項3は、訂正事項1及び2に係る訂正により、本件特許の明細書の段落【0008】の記載が特許請求の範囲の請求項1の記載と整合が取れなくなったことを是正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項3の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(4) 訂正事項4
ア 新規事項の有無
訂正事項4は、本件特許の明細書の段落【0195】において、訂正前の「S19においてクレジット可能であると判定された後において、」の記載を「S18においてクレジット可能であると判定された後において、」の記載に訂正するものであるが、本件特許の願書に最初に添付された明細書の段落【0165】には、「メイン制御部41は、RAM41cの所定領域において格納されるクレジットの値であるクレジットカウンタの値が上限値である50であるか否かを判定する(S18)。」と記載され、同段落【0512】には、「・・・S18においてクレジット可能であると判定された後において・・・」と記載され、さらに上記「ア 訂正事項2-1」(ア)に示した図19(願書に最初に添付された図19も同じ。)に示されたフロー図のS18及びS19を参照すると、判定はS18で行われていることは明らかである。
したがって、訂正事項4は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
イ 訂正の目的の適否
訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書き第2号に掲げる誤記の訂正を目的とするものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項4の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
3 訂正についてのまとめ
以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項第1号、第2号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1についての訂正を認める。
第3 本件訂正発明
上記「第2 訂正の適否について」に記したように、本件訂正は認められることとなったので、訂正後の本件特許の請求項1に係る発明は、次の事項により特定される発明であると認める。
なお、本件訂正により訂正された請求項1に係る発明を、「本件訂正発明」という。また、AないしQ-5の符号は、当審にて分説して付与したものである。
【請求項1】
A 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を複数備え、
B 前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、複数の可変表示部の表示結果の組合せである表示結果組合せに応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
C 前記複数の可変表示部を変動表示させるために操作される開始操作手段と、
D 表示結果組合せを導出させるために操作される導出操作手段と、
E 導出を許容する表示結果組合せを決定する事前決定手段と、
F 前記事前決定手段の決定結果と前記導出操作手段の操作とに応じて表示結果組合せを導出させる制御を行う導出制御手段と、
G 画像を表示する表示手段と、
H 賭数の設定に使用可能な遊技用価値を記憶する遊技用価値記憶手段と、
I 1ゲームに対して設定されている賭数を記憶する賭数記憶手段と、
J 再遊技表示結果組合せが導出されたときに、遊技者所有の遊技用価値を消費することなく次のゲームが開始可能となるように賭数を設定する再遊技導出時設定手段と、
K 遊技者により投入された遊技媒体の流路について、遊技媒体を外部に排出させる排出側流路または遊技媒体を内部に取り込む取込側流路に切り替える流路切替ソレノイドと、
L 前記流路切替ソレノイドの制御を行う切替制御手段とを備え、
M 前記導出制御手段は、前記事前決定手段の決定結果が特定決定結果となったときに特定表示結果組合せを導出可能であり、
N 前記特定表示結果組合せが導出されるときには、入賞が発生する入賞ライン上において特別識別情報のみが並ばず、入賞が発生しない非入賞ライン上において前記特別識別情報のみが並び、
O 前記表示手段は、
O-1 前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果となったゲームで前記開始操作手段が操作されたときに前記特別識別情報を示唆する示唆画像の表示を開始し、
O-2 前記導出操作手段の最終操作前の操作によって、前記示唆画像を強調表示せず、
O-3 最終操作によって、前記特定表示結果組合せが導出されたか否かに関わらず前記示唆画像の表示を終了し、
P 前記スロットマシンは、
P-1 ゲームが行われているときにおいて遊技者により遊技媒体が投入された場合、前記賭数記憶手段に記憶されている賭数を更新することも前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値を更新することもなく、
P-2 前記再遊技表示結果組合せが導出されずにゲームが終了した後において遊技者により遊技媒体が投入された場合、前記賭数記憶手段に記憶されている賭数が予め定められた上限数未満であるときには前記賭数記憶手段に記憶されている賭数を更新し、当該上限数に達しているときには前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値を更新し、
P-3 前記再遊技表示結果組合せが導出されてゲームが終了した後から前記再遊技導出時設定手段により賭数が設定されて次のゲームが開始可能となるまでにおいて遊技者により遊技媒体が投入された場合、前記賭数記憶手段に記憶されている賭数を更新することも前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値を更新することもなく、当該再遊技導出時設定手段により賭数が設定されて次のゲームが開始可能となった以降において遊技者により遊技媒体が投入された場合、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値を更新することが可能であり、
P-4 前記再遊技表示結果組合せが導出されてゲームが終了した後から前記再遊技導出時設定手段により賭数が設定されて次のゲームが開始可能となるまでにおいて遊技者により精算操作がされた場合、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値に相当する遊技媒体を返却する精算制御を行うことがなく、当該再遊技導出時設定手段により賭数が設定されて次のゲームが開始可能となった以降において遊技者により当該精算操作がされた場合、当該精算制御を行うことが可能であり、
P-5 前記再遊技表示結果組合せが導出されてゲームが終了し、前記再遊技導出時設定手段により賭数が設定されて次のゲームが開始可能となった後、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値が上限数未満である場合には、遊技媒体の投入が検出されているか否かを判定し、遊技媒体の投入が検出されていない場合には、遊技者による前記精算操作がされたか否かを判定し、
Q 前記切替制御手段は、
Q-1 前記再遊技表示結果組合せが導出されずにゲームが終了した後、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値が上限数に達しているか否かを判定することなく、遊技媒体の投入が可能である旨の設定を行う第1可能設定処理を行い、
Q-2 前記再遊技表示結果組合せが導出されてゲームが終了し、前記再遊技導出時設定手段により賭数が設定された後、遊技媒体の投入が検出されたか否かを判定する前に、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値が上限数に達しているか否かを判定し、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値が上限数に達していない場合には、遊技媒体の投入が可能である旨の設定を行う第2可能設定処理を行い、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値が上限数に達している場合には、遊技媒体の投入が不可である旨の設定を行う第1不可設定処理を行い、
Q-3 前記再遊技表示結果組合せが導出されずにゲームが終了し、前記賭数記憶手段に記憶されている賭数が上限値に達した後、遊技媒体が投入可能な状態において遊技媒体の投入が検出された場合にも、前記再遊技表示結果組合せが導出されてゲームが終了し、前記再遊技導出時設定手段により賭数が設定された後、遊技媒体が投入可能な状態において遊技媒体の投入が検出された場合にも、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値が上限数に達しているか否かを共通の判定処理により判定するとともに、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値が上限数に達しているときには、遊技媒体の投入が不可である旨の設定を行う共通の第2不可設定処理を行い、
Q-4 前記第1不可設定処理が行われた場合にも前記第2不可設定処理が行われた場合にも共通の切替処理を行うことで、遊技媒体の投入が不可である旨の設定がされているときに、遊技者により投入された遊技媒体の流路が前記排出側流路となるように前記流路切替ソレノイドの制御を行い、
Q-5 前記第1可能設定処理が行われた場合にも前記第2可能設定処理が行われた場合にも共通の前記切替処理を行うことで、遊技媒体の投入が可能である旨の設定がされているときに、遊技者により投入された遊技媒体の流路が前記取込側流路となるように前記流路切替ソレノイドの制御を行う、スロットマシン。
第4 特許異議の申立てについて
1 特許異議の申立ての概要
申立人は、下記甲1ないし6を提出した。
甲1:特開2009-142579号公報
甲2:特開2014-200485号公報
甲3:特開2010-115328号公報
甲4:特開2010-148749号公報
甲5:特開2014-140734号公報
甲6:特開2010-46547号公報
そして、特許異議申立書(以下、「申立書」という。)の第12頁の「4 申立ての理由」「(3) 申立ての根拠」の項、及び、第113頁の「(5) むすび」の項に記載された条文に鑑み、申立理由を整理すると、以下の(申立理由)を申立人は主張している。
(申立理由)
本件特許の請求項1に係る発明の特許は、甲1ないし甲6に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
2 取消理由の概要
本件訂正前の請求項1に係る特許に対して、当審が平成30年9月27日付けで特許権者に通知した取消理由(決定の予告)の要旨は、次の通りである。
本件特許の請求項1に係る発明は、甲1に記載された発明、甲2に記載された事項、甲3に記載された事項、及び、本件特許の出願前周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
したがって、本件特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
3 取消理由についての当審の判断
(1) 各甲号証に記載された事項
ア 甲1
(ア) 甲1の記載事項
取消理由で引用した甲1(特開2009-142579号公報)には、以下の事項が記載されている(下線は、合議体により付加した。以下同様)。
甲1-ア
「【0019】
スロットマシン100は、略箱状の本体101と、この本体101の前面開口部に取り付けられた前面扉102とを有して構成されている。スロットマシン100の本体101の中央内部には、外周面に複数種類の図柄が所定コマ数だけ配置されたリールが3個(左リール110、中リール111、右リール112)収納され、スロットマシン100の内部で回転できるように構成されている。各図柄は帯状部材に等間隔で適当数印刷され、この帯状部材が所定の円形枠材に貼り付けられて各リール110乃至112が構成されている。リール110乃至112上の図柄は、遊技者から見ると、図柄表示窓113から縦方向に概ね3つ表示され、合計9つの図柄が見えるようになっている。そして、各リール110乃至112を回転させることにより、遊技者から見える図柄の組み合せが変動することとなる。なお、本実施例1では、3個のリールをスロットマシン100の中央内部に備えているが、リールの数やリールの設置位置はこれに限定されるものではない。」
甲1-イ
「【0023】
ここで、「図柄組合せ」とは有効ラインL1上に表示された図柄の組み合わせをいい、具体的には、図柄表示窓113を構成する9つの領域1~領域9のうち、有効ライン(本実施例では、右下り入賞ライン)L1で示される領域1(左リール110の上段)、領域5(中リール111の中段)、および領域9(右リール112の下段)に表示された図柄の組合せを「図柄組合せ」という。また、図柄表示窓113を構成する9つの領域1~領域9を「表示領域」という。なお、「表示領域」は、少なくともn(nは正の整数)個の図柄が垂直方向に表示されるm(mは正の整数)列の表示列が水平方向に並列されることで、(n×m)個の図柄が表示される領域であればよく、本実施例のように9(=3×3)個の図柄が表示される領域に限定されるものではない。したがって、例えば、6(=2×3)個の図柄が表示される領域や、12(=4×3)個の図柄が表示される領域など、垂直方向の図柄の個数と水平方向の図柄の個数が異なる表示領域でもよい。
【0024】
図1に戻って、入賞ライン表示ランプ120は、有効となる入賞ラインを示すランプである。スタートランプ121は、リール110乃至112が回転することができる状態にあることを遊技者に知らせるランプである。再遊技ランプ122は、前回の遊技において入賞役の一つである再遊技役に入賞した場合に、今回の遊技が再遊技可能であること(メダルの投入が不要であること)を遊技者に知らせるランプである。告知ランプ123は、内部抽選において、特定の入賞役(例えば、後述するBB役(ビッグボーナス)やRB役(レギュラーボーナス)など)に内部当選していることを遊技者に知らせるランプである。メダル投入ランプ124は、メダルの投入が可能であることを知らせるランプである。払出枚数表示器125は、何らかの入賞役に入賞した結果、遊技者に払出されるメダルの枚数を表示するための表示器である。遊技回数表示器126は、メダル投入時のエラー表示や、後述するBB遊技中の遊技回数、所定の入賞役の入賞回数等を表示するための表示器である。貯留枚数表示器127は、スロットマシン100に電子的に貯留されているメダルの枚数を表示するための表示器である。リールパネルランプ128は、演出用のランプである。
【0025】
メダル投入ボタン130、131は、スロットマシン100に電子的に貯留されているメダルを所定の枚数分投入するためのボタンである。本実施例1においては、メダル投入ボタン130が押下される毎に1枚ずつ最大3枚まで投入され、メダル投入ボタン(以下、BETボタンと称する場合がある)131が押下されると3枚投入されるようになっている。メダル投入口134は、遊技を開始するに当たって遊技者がメダルを投入するための投入口である。すなわち、メダルの投入は、メダル投入ボタン130又は131により電子的に投入することもできるし、メダル投入口134から実際のメダルを投入することもできる。精算ボタン132は、スロットマシン100に電子的に貯留されたメダル及びベットされたメダルを精算し、メダル払出口155よりメダル受皿156に排出するためのボタンである。メダル返却ボタン133は、投入されたメダルが詰まった場合に押下してメダルを取り除くためのボタンである。」
甲1-ウ
「【0026】
スタートレバー135は、遊技の開始操作を行うためのレバー型のスイッチである。即ち、メダル投入口134に所望する枚数のメダルを投入して、スタートレバー135を操作すると、これを契機としてリール110乃至112が回転し、遊技が開始される。ストップボタン137乃至139は、スタートレバー135の操作によって回転を開始したリール110乃至112に対する停止操作を行うためのボタンであり、各リール110乃至112に対応して設けられている。そして、いずれかのストップボタン137乃至139を操作すると対応するいずれかのリール110乃至112が停止することになる。
【0027】
・・・(略)・・・
【0028】
上部ランプ150、サイドランプ151、中央ランプ152、腰部ランプ153、下部ランプ154は、遊技を盛り上げるための装飾用のランプである。演出装置190は、例えば開閉自在な扉装置(シャッター)163が前面に取り付けられた液晶表示装置を含み、この演出装置190には、例えば小役告知等の各種の情報が表示される。音孔160は、スロットマシン100内部に設けられているスピーカの音を外部に出力するための孔である。タイトルパネル162には、スロットマシン100を装飾するための図柄が描かれる。」
甲1-エ
「【0053】
「再遊技役(リプレイ)1~29」は、入賞により次回の遊技でメダル(遊技媒体)の投入を行うことなく遊技を行うことができる入賞役(作動役)であり、メダルの払出は行われない。なお、再遊技役1以外は、後述する重複役を構成する役である。また、対応する図柄組合せは、再遊技役1が「リプレイ図柄-リプレイ図柄-リプレイ図柄」であり、その他の再遊技役2~29は図7に示すとおりである。
【0054】
重複役には、図6に示すNO7~NO53の47種類がある。なお、同図の再遊技役の項目に示した再遊技役A~再遊技役Nは、単一または複数の再遊技役1~29によって構成される再遊技役のグループ名称であり、詳細は図8に示すとおりである。例えば、図6に示すNO20の重複役は、BB役と小役1(スイカ)に同時に内部当選することが可能な重複役であり、NO21の重複役は、BB役と小役2(ベル)に同時に内部当選することが可能な重複役である。」
甲1-オ
「【0072】
<主制御部メイン処理>
次に、図12を用いて、主制御部300のメイン処理について説明する。なお、同図は、主制御部300のメイン処理の流れを示すフローチャートである。
【0073】
遊技の基本的制御は、主制御部300のCPU310が中心になって行い、電源断等を検知しないかぎり、CPU310が同図の主制御部メイン処理を繰り返し実行する。
【0074】
スロットマシン100に電源が投入されると、まず、主制御部メイン処理のステップS101において各種の初期化処理が実行され、その後、ステップS102では、メダル投入に関する処理を行う。ここでは、メダルの投入の有無をチェックし、投入されたメダルの枚数に応じて入賞ライン表示ランプ120を点灯させる。なお、前回の遊技で再遊技役に入賞した場合は、メダルの追加投入をすることなく前回の遊技と同じ賭け数の遊技を行うことができる。また、ステップS102では、遊技のスタート操作に関する処理を行う。ここでは、スタートレバー135が操作されたか否かのチェックを行い、スタート操作されたと判断した場合は、投入されたメダル枚数を確定する。
【0075】
次に、ステップS103では、有効な入賞ライン114を確定し、ステップS104では、乱数発生器317で発生させた乱数を取得した後、ステップS105に進む。
【0076】
ステップS105では、ステップS104で取得した乱数値と、ROM312に格納されている入賞役抽選テーブルを用いて、入賞役の内部抽選を行う。また、このステップS105では、入賞役内部抽選の結果、入賞役に内部当選したと判定した場合には入賞役に対応する内部当選コマンドを、また、ハズレ(入賞役の非当選)と判定した場合にはハズレに対応するコマンドを、副制御部400に送信する準備を行う。例えば、ボーナス役に内部当選した場合には、副制御部400に対してボーナス内部当選コマンドを送信する準備を行う。また、後述する7揃い予告演出を行う再遊技役B~Fに内部当選した場合や、後述する順押しナビ報知や逆押しナビ報知を行う再遊技役G~Nに内部当選した場合には、副制御部400に対して、それぞれの再遊技役に対応するコマンドを送信する準備を行う。なお、副制御部400に対するコマンドの送信は、後述する遊技状態制御処理において一括して行う。
【0077】
次に、ステップS106では、上記ステップS105の内部抽選結果等に基づき、停止位置データ選択テーブルを参照し、1または複数のリール停止テーブル(単に「停止テーブル」と称する場合がある)の候補を選択した後、ステップS107に進む。ステップ107では、リール回転開始処理により、全リール110~112の回転を開始させた後、ステップS108に進む。
【0078】
ステップS108では、BETボタン131を受け付ける処理を行った後にステップS109に進み、ステップS109では、リール制御処理を行った後にステップS110に進む。詳細は後述するが、ステップS109のリール制御処理では、上記ステップS106で候補選択したリール停止テーブルに基づいて、停止操作されたストップボタン137~139に対応するリール110~112の回転を停止させる。
【0079】
ステップS110では、ストップボタン137~139が押されることによって停止した図柄の入賞判定を行う。ここでは、有効ライン上に、内部当選した入賞役またはフラグ持越し中の入賞役に対応する図柄組合せが揃った(表示された)場合にその入賞役に入賞したと判定する。例えば、有効ライン上に「リプレイ図柄-リプレイ図柄-リプレイ図柄」が揃っていたならばリプレイ入賞と判定する。また、このステップS110では、入賞判定の結果、入賞役に入賞したと判定した場合に、入賞役に対応する表示コマンドを副制御部400に送信する準備を行う。例えば、有効ライン上にBB役やRB役に対応する図柄組合せが表示された場合には、副制御部400に対してBB表示コマンドまたはRB表示コマンドをそれぞれ送信する準備を行う。」
甲1-カ
「【0098】
図20は再遊技役Bに内部当選した場合におけるリール110~112の停止制御の一例を示した図である。上記図19を併せて参照して、リール停止処理では、再遊技役Bに内部当選した場合には、候補選択した上記図19に示すリール停止テーブルを用いて各リール110~112の停止制御を行う。例えば、第1停止時に、左リール110の図柄位置1~4のいずれかの位置で停止ボタン137の操作を行って図柄位置0~2に対応する図柄(リプレイ図柄、スイカ図柄、青7図柄)を左リール110上に停止表示させ、第2停止時に、中リール111の図柄位置2~6のいずれかの位置で停止ボタン138の操作を行って図柄位置1~3に対応する図柄(スイカ図柄、青7図柄、スイカ図柄)を中リール111上に停止表示させ、第3停止時に、右リール112の図柄位置3~5のいずれかの位置で停止ボタン139の操作を行って図柄位置2~4に対応する図柄(青7図柄、スイカ図柄、リプレイ図柄)を右リール112上に停止表示させた場合には、有効ラインL1上に、再遊技役2に対応する図柄組合せ「リプレイ図柄-青7図柄-リプレイ図柄」が停止表示される。したがって、遊技状態がチャンス状態(RT1モード)であれば、RT100G準備状態(RT2モード)に移行する。」
甲1-キ
「【0145】
ステップS1101では、再遊技役B~Fに内部当選したか否かを判定し、該当する場合にはステップS1102に進んで青7揃い予告報知演出設定を行い、該当しない場合には青7揃い予告報知演出設定を行うことなくステップS1103に進む。」
甲1-ク
「【0164】
<チャンス状態(RT1モード)→RT100G準備状態(RT2モード)>
また、チャンス状態(RT1モード)において再遊技役B~Fに内部当選した場合(本実施例では、RT1モード中は再遊技役B、再遊技役Eのみに内部当選可能である)には、液晶表示装置157に表示されている上述のチャンス状態報知演出の表示を切り替えて、図36(a)の左図に示すような青7揃い予告報知演出を行う(上記ステップ1003)。この青7揃い予告報知演出では、図柄表示窓113の表示領域に青7図柄が表示されるように停止ボタン137~139の停止操作を行うように遊技者に示唆する表示(この例では、「青7図柄を狙って!」という表示)を行うとともに、特典として付与される可能性があるRT遊技状態のゲーム数(この例では100ゲームまたは200ゲーム)を示唆する表示を行う。
【0165】
例えば、チャンス状態(RT1モード)において再遊技役B(再遊技役2、15、16、18、19、22、23)に内部当選し、遊技者が青7揃い予告報知演出に従って、図37(a)に示すように再遊技役2に対応する図柄組合せ「リプレイ図柄-青7図柄-リプレイ図柄」を有効ラインL1上に表示することができた場合には、RT100G準備状態(RT2モード)に移行するとともに、図36(a)右図に示すように、獲得したRT遊技状態のゲーム数(この例では100ゲーム)を示唆するRT100G遊技待機状態報知演出を行った後、上記図35(a)の上から2番目の図に示すRT100G遊技待機状態報知演出を行う。なお、遊技者が、再遊技役2に対応する図柄組合せを有効ラインL1上に表示することができなかった場合には、再遊技役Bのうち、再遊技役2を除く再遊技役が有効ラインL1上に表示されてチャンス状態(RT1モード)が維持される。」
甲1-ケ
「【0179】
図39は再遊技役2~6に対応する図柄組合せが有効ライン上に表示される場合の図柄表示窓の表示例を示した図である。同図(a)に示すように、再遊技役2に対応する図柄組合せ(リプレイ図柄-青7図柄-リプレイ図柄)が有効ラインL1上に表示される場合、演出ラインL3上に「青7図柄-青7図柄-青7図柄」の図柄組合せが表示され、図柄表示窓113の表示領域には青7図柄が合計3個表示される。」
甲1-コ
「【図7】
」
甲1-サ
「【図8】
」
甲1-シ
「【図12】
」
甲1-ス
「【図20】
」
甲1-セ
「【図36】
」
甲1-ソ
「【図39】
」
(イ) 甲1より導き出せる事項
上記甲1-アないし甲1-ソに摘記した甲1の記載より、以下の事項が導き出せる。なお、(a)ないし(o-2)の符号は、本件訂正発明に付したAないしO-2の符号に対応するものである。
(a) 上記甲1-アに示した段落【0019】には、「スロットマシン100の本体101の中央内部には、外周面に複数種類の図柄が所定コマ数だけ配置されたリールが3個(左リール110、中リール111、右リール112)収納され、スロットマシン100の内部で回転できるように構成されている。」と記載されていることから、甲1には、スロットマシン100が、「複数種類の図柄が所定コマ数だけ配置された3個のリール(左リール110、中リール111、右リール112)を備え」る点が記載されていると認められる。
(b) 上記甲1-アに示した段落【0019】には、「スロットマシン100の本体101の中央内部には、外周面に複数種類の図柄が所定コマ数だけ配置されたリールが3個(左リール110、中リール111、右リール112)収納され、」と記載され、また、「各リール110乃至112を回転させることにより、遊技者から見える図柄の組み合せが変動することとなる。」と記載され、上記甲1-イに示した段落【0023】には、「「図柄組合せ」とは有効ラインL1上に表示された図柄の組み合わせをいい、」と記載され、上記甲1-ウに示した段落【0026】には、「スタートレバー135を操作すると、これを契機としてリール110乃至112が回転し、遊技が開始される。」と記載され、上記甲1-オに示した段落【0078】には、「ステップS109のリール制御処理では、上記ステップS106で候補選択したリール停止テーブルに基づいて、停止操作されたストップボタン137~139に対応するリール110~112の回転を停止させる。」と記載され、同じく段落【0079】には、「ストップボタン137~139が押されることによって停止した図柄の入賞判定を行う。ここでは、有効ライン上に、内部当選した入賞役またはフラグ持越し中の入賞役に対応する図柄組合せが揃った(表示された)場合にその入賞役に入賞したと判定する。」と記載されている。
よって、上記記載より、甲1には、スロットマシン100が、「リール110~112が回転して図柄の組み合せを変動してから、リール110~112の回転を停止し、入賞役の組み合せが有効ラインL1上に揃った場合にその入賞役に入賞したと判定する」ものである点が記載されていると認められる。
(c) 上記甲1-ウに示した段落【0026】には、「スタートレバー135を操作すると、これを契機としてリール110乃至112が回転し、遊技が開始される。」と記載されており、また、上記甲1-アには、「各リール110乃至112を回転させることにより、遊技者から見える図柄の組み合せが変動することとなる。」と記載されている。
よって、上記記載より、甲1には、スロットマシン100が、「リール110~112を回転して図柄の組み合せを変動させるスタートレバー135」を備える点が記載されていると認められる。
(d) 上記甲1-ウに示した段落【0026】には、「ストップボタン137乃至139は、スタートレバー135の操作によって回転を開始したリール110乃至112に対する停止操作を行うためのボタンであり、各リール110乃至112に対応して設けられている。そして、いずれかのストップボタン137乃至139を操作すると対応するいずれかのリール110乃至112が停止することになる。」と記載されており、また、上記甲1-オに示した段落【0079】には、「ストップボタン137~139が押されることによって停止した図柄の入賞判定を行う。ここでは、有効ライン上に、内部当選した入賞役またはフラグ持越し中の入賞役に対応する図柄組合せが揃った(表示された)場合にその入賞役に入賞したと判定する。」と記載されていることから、「ストップボタン137~139」は、リール110~112の図柄の組み合せを揃えるために操作されるものであることは明らかである。
よって、上記記載より、甲1には、スロットマシン100が、「リール110~112の図柄の組み合せを揃えるために操作されるストップボタン137~139」を備える点が記載されていると認められる。
(e) 上記甲1-オに示した段落【0076】には、「ステップS105では、ステップS104で取得した乱数値と、ROM312に格納されている入賞役抽選テーブルを用いて、入賞役の内部抽選を行う。」と記載されていることから、甲1には、スロットマシン100が、「入賞役抽選テーブルを用いて入賞役の内部抽選を行」うものである点が記載されていると認められる。
(f) 上記甲1-オに示した段落【0072】ないし【0078】及び上記甲1-シに示した図12を参照すると、図12には、主制御部300のメイン処理の流れを示すフローチャートが記載されており、段落【0076】には、「ステップS105では、ステップS104で取得した乱数値と、ROM312に格納されている入賞役抽選テーブルを用いて、入賞役の内部抽選を行う。」と記載され、段落【0077】には、「次に、ステップS106では、上記ステップS105の内部抽選結果等に基づき、停止位置データ選択テーブルを参照し、1または複数のリール停止テーブル(単に「停止テーブル」と称する場合がある)の候補を選択した後、ステップS107に進む。ステップ107では、リール回転開始処理により、全リール110~112の回転を開始させた後、ステップS108に進む。」と記載されており、段落【0078】には、「ステップS109のリール制御処理では、上記ステップS106で候補選択したリール停止テーブルに基づいて、停止操作されたストップボタン137~139に対応するリール110~112の回転を停止させる。」と記載されていることから、入賞役抽選テーブルを用いた内部抽選結果と、リール停止テーブルに基づいて、停止操作されたストップボタン137~139に対応するリール110~112の回転を停止させる点が記載されており、その制御が主制御部300で行われることは当業者にとって明らかである。
よって、上記記載より、甲1には、スロットマシン100が、「入賞役抽選テーブルを用いた内部抽選結果と、ストップボタン137~139の停止操作とにより、リール110~112の図柄組み合せを導出させる制御を行う主制御部300」を備える点が記載されていると認められる。
(g) 上記甲1-ウに示した段落【0028】には、「演出装置190は、・・・液晶表示装置を含み、この演出装置190には、例えば小役告知等の各種の情報が表示される。」と記載されていることから、甲1には、スロットマシン100が、「画像を表示する演出装置」を備える点が記載されていると認められる。
(h)及び(i) 上記甲1-イに示した段落【0024】には「貯留枚数表示器127は、スロットマシン100に電子的に貯留されているメダルの枚数を表示するための表示器である。」と記載され、同じく段落【0025】には「メダル投入ボタン130、131は、スロットマシン100に電子的に貯留されているメダルを所定の枚数分投入するためのボタンである。本実施例1においては、メダル投入ボタン130が押下される毎に1枚ずつ最大3枚まで投入され、メダル投入ボタン(以下、BETボタンと称する場合がある)131が押下されると3枚投入されるようになっている。メダル投入口134は、遊技を開始するに当たって遊技者がメダルを投入するための投入口である。すなわち、メダルの投入は、メダル投入ボタン130又は131により電子的に投入することもできるし、メダル投入口134から実際のメダルを投入することもできる。」と記載されていることから、スロットマシン100は、「メダルを電子的に貯留する」とともに、貯留枚数を記憶する手段を有すると認められる。
また、「メダル投入ボタン130又は131により電子的に投入すること」は、「遊技者がメダルを投入する」場合と同様に、「遊技を開始するに当たって」行われることは明らかであり、「遊技を開始するに当たって」「メダル投入口134から投入された実際のメダルの枚数」及び「電子的に投入」された「メダル」の「枚数」を記憶する手段を備えることも、当業者にとって明らかである。
よって、甲1には、スロットマシン100が、(h)「メダルを電子的に貯留し、貯留枚数を記憶する手段」と、(i)「遊技を開始するに当たってメダル投入口134から投入された実際のメダルの枚数及び電子的に投入されたメダルの枚数を記憶する手段」と、を備える点が記載されていると認められる。
(j) 上記甲1-エに示した段落【0053】には、「「再遊技役(リプレイ)1~29」は、入賞により次回の遊技でメダル(遊技媒体)の投入を行うことなく遊技を行うことができる入賞役(作動役)であ」ることが記載されており、上記甲1-オに示した段落【0074】には「前回の遊技で再遊技役に入賞した場合は、メダルの追加投入をすることなく前回の遊技と同じ賭け数の遊技を行うことができる。」と記載されていることから、甲1には、スロットマシン100が、「再遊技役の入賞により、メダルの追加投入をすることなく前回の遊技と同じ賭け数の遊技を行うことができるようにする手段」を備える点が記載されていると認められる。
(m)及び(n) 上記甲1-エに示した段落【0054】には、「再遊技役A~再遊技役Nは、単一または複数の再遊技役1~29によって構成される再遊技役のグループ名称であり、詳細は図8に示すとおりである。」と記載されており、上記甲1-コに示した図7の「再遊技2」の欄には、図柄組合せが「リプレイ図柄-7図柄-リプレイ図柄」であり、「・メダルの投入なしに前回遊技で投入した枚数と同じ枚数の遊技を再度行える」及び「・RT2へ移行」と記載されている。また、上記甲1-サに示した図8の「再遊技役B」の欄には、「対応する再遊技役の内訳」として、「再遊技役2」、「再遊技役15」、「再遊技役16」、「再遊技役18」、「再遊技役19」、「再遊技役22」、「再遊技役23」が示され、「有効ラインに最優先で再遊技役2が揃う(演出ラインに7揃い可能)。有効ラインに再遊技役2を引き込めない場合は、同グループの他の再遊技役が揃う。」と記載されている。
したがって、上記記載より、再遊技役Bに対応する役として、再遊技役2を含む複数の役が含まれ、有効ラインに最優先で再遊技役2が引き込まれ、有効ラインに再遊技役2を引き込めない場合は、前記複数の役のうち、他の役が引き込まれる点が記載されていると認められる。
そして、上記甲1-カに示した段落【0098】、及び、上記甲1-スに示した図20には、「再遊技役Bに内部当選した場合におけるリール110~112の停止制御の一例」が示されており、「有効ラインL1上に、再遊技役2に対応する図柄組合せ「リプレイ図柄-青7図柄-リプレイ図柄」が停止表示される」態様が記載されており、上記甲1-ケに示した段落【0179】には、「再遊技役2に対応する図柄組合せ(リプレイ図柄-青7図柄-リプレイ図柄)が有効ラインL1上に表示される場合、演出ラインL3上に「青7図柄-青7図柄-青7図柄」の図柄組合せが表示され」と記載されており、さらに、上記甲1-ソに示した図39の「(a)再遊技役2」を参酌すると、甲1には、「演出ラインL2、L3に導出可能な再遊技役Bに対応する図柄組合せ」を導出可能とした点が記載されている。
よって、上記記載より、甲1には、(m)「主制御部300は、内部抽選の結果が再遊技役Bとなったときに、有効ラインL1又は演出ラインL2、L3に再遊技役Bに対応する図柄組合せを導出可能である」点、及び、(n)「再遊技役Bに対応する役として、再遊技役2を含む複数の役が含まれ、有効ラインに最優先で再遊技役2に対応する図柄組み合わせが引き込まれ、有効ラインに再遊技役2に対応する図柄組み合わせを引き込めない場合は、前記複数の役のうち、他の役に対応する図柄組み合わせが引き込まれ、再遊技役2が導出されるときには、入賞役の入賞判定に有効な有効ラインL1上に「青7図柄」が並ばず、入賞役の入賞判定に無効な演出ラインL3上に「青7図柄」のみが並ぶ」点が記載されていると認められる。
(o)及び(o-1) 上記甲1-キに示した段落【0145】には、「再遊技役B~Fに内部当選したか否かを判定し、該当する場合にはステップS1102に進んで青7揃い予告報知演出設定を行」う点が記載されており、上記甲1-セに示した図36(a)を参照すると、液晶表示装置157に、「青7図柄を狙って!」との表示を行う点が読み取れる。
よって、上記記載より、甲1には、「液晶表示装置157は、内部抽選の結果が再遊技役Bとなった遊技で「青7図柄」を示唆する「青7図柄を狙って!」との表示を行うものである」点が記載されていると認められる。
(o-2) 上記甲1-クに示した段落【0164】には、「<チャンス状態(RT1モード)→RT100G準備状態(RT2モード)> また、チャンス状態(RT1モード)において再遊技役B~Fに内部当選した場合(本実施例では、RT1モード中は再遊技役B、再遊技役Eのみに内部当選可能である)には、液晶表示装置157に表示されている上述のチャンス状態報知演出の表示を切り替えて、図36(a)の左図に示すような青7揃い予告報知演出を行う(上記ステップ1003)。この青7揃い予告報知演出では、図柄表示窓113の表示領域に青7図柄が表示されるように停止ボタン137~139の停止操作を行うように遊技者に示唆する表示(この例では、「青7図柄を狙って!」という表示)を行うとともに、特典として付与される可能性があるRT遊技状態のゲーム数(この例では100ゲームまたは200ゲーム)を示唆する表示を行う。」と記載されている。
一方、同段落【0165】には、「再遊技役2に対応する図柄組合せ「リプレイ図柄-青7図柄-リプレイ図柄」を有効ラインL1上に表示することができた場合」、「図36(a)右図に示すように、獲得したRT遊技状態のゲーム数(この例では100ゲーム)を示唆するRT100G遊技待機状態報知演出を行」うことが記載されており、図36(a)右図を参照すると、「青7図柄」自体の表示は何ら変化していないことから、「停止ボタン137~139の停止操作」によって、「青7図柄を狙って!」の表示が変化しないと認められる。
よって、甲1に記載されたスロットマシン100は、停止ボタン137~139の停止操作によって、「青7図柄を狙って!」との表示を変化させないものである。
(ウ) 甲1発明
以上のことから、甲1には、以下の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「(a) 複数種類の図柄が所定コマ数だけ配置された3個のリール(左リール110、中リール111、右リール112)を備え、
(b) リール110~112が回転して図柄の組み合せを変動してから、リール110~112の回転を停止し、入賞役の組み合せが有効ラインL1上に揃った場合にその入賞役に入賞したと判定するスロットマシン100において、
(c) リール110~112を回転して図柄の組み合せを変動させるスタートレバー135と、
(d) リール110~112の図柄の組み合せを揃えるために操作されるストップボタン137~139と、
(e) 入賞役抽選テーブルを用いて入賞役の内部抽選を行い、
(f) 入賞役抽選テーブルを用いた内部抽選結果と、ストップボタン137~139の停止操作とにより、リール110~112の図柄組み合せを導出させる制御を行う主制御部300と、
(g) 画像を表示する演出装置と、
(h) メダルを電子的に貯留し、貯留枚数を記憶する手段と、
(i) 遊技を開始するに当たってメダル投入口134から投入された実際のメダルの枚数及び電子的に投入されたメダルの枚数を記憶する手段と、
(j) 再遊技役の入賞により、メダルの追加投入をすることなく前回の遊技と同じ賭け数の遊技を行うことができるようにする手段と、
をさらに備え、
(m) 主制御部300は、内部抽選の結果が再遊技役Bとなったときに、有効ラインL1又は演出ラインL2、L3に再遊技役Bに対応する図柄組合せを導出可能であり、
(n) 再遊技役Bに対応する役として、再遊技役2を含む複数の役が含まれ、有効ラインに最優先で再遊技役2に対応する図柄組み合わせが引き込まれ、有効ラインに再遊技役2に対応する図柄組み合わせを引き込めない場合は、前記複数の役のうち、他の役に対応する図柄組み合わせが引き込まれ、再遊技役2が導出されるときには、入賞役の入賞判定に有効な有効ラインL1上に「青7図柄」が並ばず、入賞役の入賞判定に無効な演出ラインL3上に「青7図柄」のみが並ぶものであり、
(o),(o-1) 液晶表示装置157は、内部抽選の結果が再遊技役Bとなった遊技で「青7図柄」を示唆する「青7図柄を狙って!」との表示を行うものであり、
(o-2) 停止ボタン137~139の停止操作によって、「青7図柄を狙って!」との表示を変化させない、
スロットマシン100。」
イ 甲2
(ア) 甲2の記載事項
取消理由で引用した甲2(特開2014-200485号公報)には、以下の事項が記載されている。
甲2-ア
「【0030】
本実施の形態のスロットマシン1においてゲームを行う場合には、まず、メダルをメダル投入部4から投入するか、あるいはクレジットを使用して賭数を設定する。クレジットを使用するにはMAXBETスイッチ6を操作すれば良い。遊技状態に応じて定められた規定数の賭数が設定されると、入賞ラインLN(図1参照)が有効となり、スタートスイッチ7の操作が有効な状態、すなわち、ゲームが開始可能な状態となる。本実施の形態では、規定数の賭数として遊技状態に関わらず3枚が定められて規定数の賭数が設定されると入賞ラインLNが有効となる。なお、遊技状態に対応する規定数のうち最大数を超えてメダルが投入された場合には、その分はクレジットに加算される。」
甲2-イ
「【0114】
内部当選コマンドは、内部当選フラグの当選状況、並びに成立した内部当選フラグの種類、ボーナスの持ち越しの有無を特定可能なコマンドであり、スタートスイッチ7が操作されてゲームが開始したときに送信される。また、内部当選コマンドは、スタートスイッチ7が操作されたときに送信されるので、内部当選コマンドを受信することでスタートスイッチ7が操作されたことを特定可能である。」
甲2-ウ
「【0459】
・・・。まず、サブ制御部91は、メイン制御部41から受信した内部当選コマンドから内部抽選の結果を特定し、左ベルに当選したか否かを判定する(Sv1)。左ベルに当選していない場合は処理を終了する。左ベルに当選した場合には、左ベルに当選したことを示すベル当選フラグをRAM91cの所定領域にセットする(Sv2)。次いで、右下がりベルが入賞(図11,図17参照)可能であること(すなわち、右下がりベルを構成する図柄組合せが入賞ライン上に停止可能であることが許容された状態)を示唆する入賞結果示唆画面を液晶表示器51から表示する(Sv3)。
【0460】
入賞結果示唆画面では、例えば、右下がりベルが入賞可能であることを示す画像と、それ以外の入賞結果となることを示す画像とを液晶表示器51から表示する。このように、複数の入賞結果を表示することによって、右下がりベルが入賞結果の候補の1つであることを示し、右下がりベルが入賞可能であることを示唆できる。」
甲2-エ
「【0464】
一方、左第1停止となるようにストップスイッチ8Lが一番目に押下されなかった場合(すなわち中第1停止となるようにストップスイッチ8Cを一番目に押下あるいは右第1停止となるようにストップスイッチ8Rを一番目に押下された場合、換言すると中押しあるいは右押しが行われた場合)には、第2演出として入賞結果示唆画面から入賞結果確定画面に移行させる処理を実行することなく、図27のSv3で表示した入賞結果示唆画面の表示を継続して行う特殊制御を実行する(Sy4)。次いで、ベル当選フラグをクリアして処理を終了する(Sy5)。
【0465】
なお、本実施の形態では、入賞結果確定画面または入賞結果示唆画面はゲームの終了時(すなわち第3停止時)に消去するが、第2停止時や次ゲームでのスタートスイッチ操作時やBET操作時など適宜のタイミングで消去してよい。」
(イ) 甲2より導き出せる事項
(イ-1) 上記甲2-イに示した段落【0114】、上記甲2-ウに示した段落【0459】の記載より、スタートスイッチが操作されて送信される内部当選コマンドから内部抽選の結果を特定し、入賞結果示唆画面を表示する点が理解できる。
また、上記甲2-エに示した段落【0465】には、最終操作によって、入賞結果示唆画面は第3停止時に消去される点が記載されている。
したがって、甲2には、「開始操作手段が操作されたときに入賞結果示唆画面の表示を開始し、最終操作によって、前記入賞結果示唆画面の表示を終了する構成」(以下、「甲2記載構成A」という。)が記載されている。
(イ-2) 上記甲2-アに示した段落【0030】には、「メダルをメダル投入部4から投入するか、あるいはクレジットを使用して賭数を設定する。」と記載されており、また、「遊技状態に対応する規定数のうち最大数を超えてメダルが投入された場合には、その分はクレジットに加算される。」と記載されている。
したがって、甲2には、「遊技状態に対応する規定数のうち最大数を超えてメダルが投入された場合には、その分はクレジットに加算される構成」(以下、「甲2記載構成B」という。)が記載されている
ウ 甲3
(ア) 甲3の記載事項
取消理由で引用した甲3(特開2010-115328号公報)には、以下の事項が記載されている。
甲3-ア
「【0065】
図10はS23の再遊技入賞時処理を示すフローチャートである。S41では、仮投入数を、S21で設定した規定数のうちの最大規定数に設定する。S42では、メダル投入センサ320の検出結果を取得し、メダル投入口41に実メダルが投入されたか否かを判定する。投入を検出した場合はS43へ進み、そうでない場合はS44へ進む。S43では、クレジット加算・返却処理を行う。ここでは、クレジット数を1つ加算する。クレジット数が最大数を超える場合は実メダルをメダル払出口42から払い出す。つまり、再遊技入賞後、実メダルが投入された場合は、仮投入数を一律に変更しないようにしている。」
甲3-イ
「【0069】
S51では、スタートレバーセンサ321の検出結果を取得し、スタートレバー35に対する開始操作があったか否かを判定する。開始操作を検出した場合はS52へ進み、そうでない場合はS42へ戻る。S52では、現在の仮投入数をその遊技に遊技者がベットした投入数として確定する。また、仮投入数をリセット(=0)とする。以上により一単位の処理が終了する。」
甲3-ウ
「【0086】
<メイン処理>
次に図15及び図16を参照してメイン処理について説明する。メイン処理は、主として演出に関わる処理を実行する。ここで、本実施形態では、上記の通り、スタートレバー35を操作するまで、メダルの投入数が変更可能であり、しかも、メダルの投入数により内部当選確率が変化する。一般に、遊技者はMAXベットボタン32を操作して最大規定数のメダルを投入する傾向があるが、本実施形態の場合、BB一般遊技においては、メダル投入数を2枚として遊技をすることが、遊技者にとって最も有利となる。」
甲3-エ
「【図10】
」
(イ) 甲3より導き出せる事項
上記甲3-エに示した図10には「再遊技入賞時処理」に関するフローチャートが示されている。
そして、上記甲3-アに示した段落【0065】における「S41では、仮投入数を、S21で設定した規定数のうちの最大規定数に設定する。S42では、メダル投入センサ320の検出結果を取得し、メダル投入口41に実メダルが投入されたか否かを判定する。」、「S43では、クレジット加算・返却処理を行う。」の記載、及び、上記甲3-イに示した段落【0069】における「S51では、スタートレバーセンサ321の検出結果を取得し、スタートレバー35に対する開始操作があったか否かを判定する。」の記載を参照すると、図10におけるフローチャートにおいて、S41として「仮投入数を最大規定数に設定するステップ」が存在し、その後、S42において「実メダルの投入検出」が行われ、S43において「クレジットの加算・返却処理」が行われ、その後S44(1ベット操作検出のステップ)、S47(2ベット操作検出のステップ)、S49(MAXベット操作検出のステップ)を経て、S51において「開始操作検出」のステップが行われる点が読み取れる。
そして、S41の実施中は、S43のクレジット加算・返却処理、及び、S44、S47、S49のステップは行わず、S41の終了からS51の開始操作検出までの間に、S42以降のステップを行うものである。
してみると、甲3には、以下の事項(以下、「甲3記載事項」という。)が記載されていると認められる。
「再遊技入賞時の処理であって、
仮投入数を最大規定数に設定するステップ(S41)、実メダル投入検知のステップ(S42)、クレジット加算・返却処理のステップ(S43)、1ベット操作検出のステップ(S44)、2ベット操作検出のステップ(S47)、MAXベット検出のステップ(S49)、開始操作検出のステップ(S51)を含み、
仮投入数を最大規定数に設定するステップ(S41)の実施中は、実メダル投入検知のステップ(S42)、クレジット加算・返却処理のステップ(S43)、1ベット操作検出のステップ(S44)、2ベット操作検出のステップ(S47)、MAXベット検出のステップ(S49)を行わず、
仮投入数を最大規定数に設定するステップ(S41)を実施した後に、1ベット操作検出のステップ(S44)、2ベット操作検出のステップ(S47)、MAXベット検出のステップ(S49)、及び、開始操作検出のステップ(S51)を行い、上記実メダル投入検知のステップ(S42)で実メダルの投入が検知された場合には、クレジット加算・返却処理のステップ(S43)を実施する構成。」
エ 甲4
取消理由で引用した甲4(特開2010-148749号公報)には、以下の事項が記載されている。
甲4-ア
「【0065】
ステップS25:CPUは、変換基板80に供給する駆動制御信号をLowレベルからHiレベルに切り替えた後、遊技処理を開始する。このステップS25に示す処理により、1以上の入賞ラインが有効化された状態でスタートレバー12の操作を検知した場合に、第1ソレノイド52が励磁から非励磁に切り替えられると共に、第2ソレノイド54が非励磁から励磁に切り替えられる。したがって、メダル通路50fが取込状態から返却状態に切り替えられると共に、突起片59がメダル通路50f内に突出される。この際も、図16に示したように、メダルガイドレール51が支持位置から排出位置に移動するまでの期間Pにおいては、突起片59が突出された状態になっている。よって、メダルMの連続投入中にスタートレバー12が操作された場合についても、メダルMの飲み込みを発生させることなく、返却すべきメダルMをメダル受皿40に戻すことができる。」
オ 甲5
取消理由で引用した甲5(特開2014-140734号公報)には、以下の事項が記載されている。
甲5-ア
「【0101】
図14に戻って通常処理について説明する。S501の処理においてメダルがベットされていると判定された場合には(S501:Yes)、次にスタートレバー71が操作されたか否かを判定する(S502)。S502の処理においてスタートレバー71が操作されたと判定された場合には(S502:Yes)、メダル投入不許可処理を行う(S503)。具体的には、メダル通路切替部材84のソレノイドを非励磁とし、仮にメダル投入口75からメダルが投入されたとしても排出用通路82を介して遊技者にかかるメダルが返却されるようにする。また、S503の処理の中で検出信号ラッチ回路88のラッチ信号をクリアする処理も併せて行う。」
甲5-イ
「【0115】
S704の処理においてラッチ信号が出力されている場合には(S704:Yes)、メダルの投入に異常が発生したと判断してS721へ処理を移行し、異常の発生に対応した処理を実行する。メダルがベットされた状態でスタートレバー71に対する始動操作が行われると、メダル投入不許可処理(図14のS503の処理)によってメダル投入口75から投入されたメダルが遊技者に返却される状態となるため、この状態においてラッチ信号が出力されるのは正常な状態ではあり得ない。このため、異常の発生として、ホール管理者などに投入異常ランプ13bの点灯によりエラーの発生を報知し、リセットスイッチ123がオン操作されるまでかかる状態を維持する。」
甲5-ウ
「【0141】
また、メダルがベットされた状態でスタートレバー71に対する始動操作が行われると遊技の開始となって各リール42L,42M,42Rの回転が開始されるが、遊技中には、S503のメダル投入不許可処理によってメダル投入口75から投入されたメダルがメダル通路切替部材84によって排出用通路82側に導かれて遊技者に返却されるメダル投入不許可状態となる。このメダル投入不許可状態は、各リール42L,42M,42Rの回転が停止し、またメダルの払い出しや特別遊技状態の設定が行われて、1回の遊技が終了するまで継続される。1回の遊技が終了すると、メダル投入許可処理(図14、S508参照)によってメダル投入口75から投入されたメダルが貯留用通路81へ導かれてメダルの投入が可能なメダル投入許可状態に切り替わる。」
カ 甲6
取消理由で引用した甲6(特開2010-46547号公報)には、以下の事項が記載されている。
甲6-ア
「【0025】
なお、上述した通り、メダルブロッカ21eは、スタートレバー135の操作があった後等、所定の条件が成立した場合に、メダルの通路に突出して、返却状態とされるが、この返却状態となる時とは、新たなメダルの投入を受け付けない場合である。従って、メダルブロッカ21eが返却状態となった時に、通路を通過中のメダルが存在し、メダル投入数検出用センサ320にその通過が検出されてしまう場合を防止する必要がある。つまり、メダルブロッカ21eが返却状態となった時にメダルブロッカ21eを既に通過しており、その後メダル投入数検出用センサ320を通過するようなメダルが生じないようにする必要がある。このため、メダルブロッカ21eは、これが返却状態となる所定の条件が成立した場合に、通路を通過途中のメダルが、メダル投入数検出用センサ320に到達しないように、メダル投入数検出用センサ320に対して位置決めされており、本実施形態ではメダル投入数検出用センサ320の上流側において、メダル投入数検出用センサ320の近傍に配設されている。」
キ 甲3ないし甲6の記載より認定できる周知事項
甲3において、上記甲3-ウに示した段落【0086】に「スタートレバー35を操作するまで、メダルの投入数が変更可能」である点が記載され、甲4において、上記甲4-アに示した段落【0065】に「1以上の入賞ラインが有効化された状態でスタートレバー12の操作を検知した場合に、第1ソレノイド52が励磁から非励磁に切り替えられると共に、第2ソレノイド54が非励磁から励磁に切り替えられる。したがって、メダル通路50fが取込状態から返却状態に切り替えられる」と記載され、甲5において、上記甲5-アに示した段落【0101】に「スタートレバー71が操作されたと判定された場合には(S502:Yes)、メダル投入不許可処理を行う」と、上記甲5-イに示した段落【0115】に「メダルがベットされた状態でスタートレバー71に対する始動操作が行われると、メダル投入不許可処理」「によってメダル投入口75から投入されたメダルが遊技者に返却される状態となる」と、上記甲5-ウに示した段落【0141】に「遊技中には、S503のメダル投入不許可処理によってメダル投入口75から投入されたメダルがメダル通路切替部材84によって排出用通路82側に導かれて遊技者に返却されるメダル投入不許可状態となる。このメダル投入不許可状態は、各リール42L,42M,42Rの回転が停止し、またメダルの払い出しや特別遊技状態の設定が行われて、1回の遊技が終了するまで継続される。」と記載され、甲6において、上記甲6-アに示した段落【0025】に「メダルブロッカ21eは、スタートレバー135の操作があった後等、所定の条件が成立した場合に、メダルの通路に突出して、返却状態とされるが、この返却状態となる時とは、新たなメダルの投入を受け付けない場合である。」と記載されていることから、ゲームが行われているときにおいて遊技者により遊技媒体が投入された場合、賭数記憶手段に記憶されている賭数を更新することも遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値を更新することもない点、すなわち、ゲーム中にメダルを投入するとベットもされず、クレジットもされないという構成は、本件特許の出願前に周知の事項であることが認定できる。
(2) 対比
本件訂正発明と甲1発明とを対比する。
ア 本件訂正発明のAの特定事項について
甲1発明の構成(a)における「複数種類の図柄が所定コマ数だけ配置された3個のリール(左リール110、中リール111、右リール112)を備え」ることは、本件訂正発明の構成Aの「各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を複数備え」ることに相当する。
イ 本件訂正発明のBの特定事項について
甲1発明の構成(b)における「リール110~112が回転して図柄の組み合せを変動してから、リール110~112の回転を停止し、入賞役の組み合せが有効ラインL1上に揃った場合にその入賞役に入賞したと判定するスロットマシン100」は、本件訂正発明の構成Bの「前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、複数の可変表示部の表示結果の組合せである表示結果組合せに応じて入賞が発生可能なスロットマシン」に相当する。
ウ 本件訂正発明のCの特定事項について
甲1発明の構成(c)における「リール110~112を回転して図柄の組み合せを変動させるスタートレバー135」は、本件訂正発明の構成Cの「前記複数の可変表示部を変動表示させるために操作される開始操作手段」に相当する。
エ 本件訂正発明のDの特定事項について
甲1発明の構成(d)における「リール110~112の図柄の組み合せを揃えるために操作されるストップボタン137~139」は、本件訂正発明の構成Dの「表示結果組合せを導出させるために操作される導出操作手段」に相当する。
オ 本件訂正発明のEの特定事項について
甲1発明の構成(e)及び(f)における「入賞役抽選テーブルを用いて入賞役の内部抽選を行」う「主制御部300」は、本件訂正発明の構成Eの「導出を許容する表示結果組合せを決定する事前決定手段」に相当する。
カ 本件訂正発明のFの特定事項について
甲1発明の構成(f)における「入賞役抽選テーブルを用いた内部抽選結果と、ストップボタン137~139の停止操作とにより、リール110~112の図柄組み合せを導出させる制御を行う主制御部300」は、本件訂正発明の構成Fの「前記事前決定手段の決定結果と前記導出操作手段の操作とに応じて表示結果組合せを導出させる制御を行う導出制御手段」に相当する。
キ 本件訂正発明のGの特定事項について
甲1発明の構成(g)における「画像を表示する演出装置」は、本件訂正発明の構成Gの「画像を表示する表示手段」に相当する。
ク 本件訂正発明のHの特定事項について
本件訂正発明における「賭数の設定に使用可能な遊技用価値を記憶する遊技用価値記憶手段」は、平成29年7月21日付け意見書によると本件特許明細書等の段落【0173】に記載された「クレジットの値が格納されるクレジットカウンタ」である。そして、本件特許明細書等の段落【0035】には、クレジットが、賭数の設定に使用可能な遊技者所有の遊技用価値として記憶されているメダル数である点が記載されていることから、甲1発明の構成(h)における「メダルを電子的に貯留し、貯留枚数を記憶する手段」は、本件訂正発明の構成Hの「賭数の設定に使用可能な遊技用価値を記憶する遊技用価値記憶手段」に相当する。
ケ 本件訂正発明のIの特定事項について
「スロットマシン」は、個々のゲームを開始するにあたって、各ゲームにおいて賭数として所定の遊技用価値を設定するものであることは、当業者の技術常識である。
そして、甲1発明の「遊技を開始するに当たってメダル投入口134から投入された実際のメダルの枚数及び電子的に投入されたメダルの枚数」は、上記した、個々のゲームを開始するにあたって、各ゲームにおいて設定される「所定の遊技用価値」であり、一方、本件訂正発明における「1ゲームに対して設定されている賭数」も同様に、上記「所定の遊技用価値」であるといえる。
したがって、甲1発明の構成(i)における「遊技を開始するに当たってメダル投入口134から投入された実際のメダルの枚数及び電子的に投入されたメダルの枚数を記憶する手段」は、本件訂正発明の構成Iの「1ゲームに対して設定されている賭数を記憶する賭数記憶手段」に相当する。
コ 本件訂正発明のJの特定事項について
甲1発明の構成(j)における「再遊技役の入賞により、メダルの追加投入をすることなく前回の遊技と同じ賭け数の遊技を行うことができるようにする手段」は、本件訂正発明の構成Jの「再遊技表示結果組合せが導出されたときに、遊技者所有の遊技用価値を消費することなく次のゲームが開始可能となるように賭数を設定する再遊技導出時設定手段」に相当する。
サ 本件訂正発明のMの特定事項について
甲1発明の「内部抽選の結果が再遊技役B」であることは、本件訂正発明の「事前決定手段の決定結果が特定決定結果となった」ことに相当する。
また、甲1発明の「主制御部300」が「有効ラインL1又は演出ラインL2、L3に再遊技役Bに対応する図柄組合せを導出可能であ」ることは、本件訂正発明の「導出制御手段」が「特定表示結果組合せを導出可能であ」ることに相当する。
よって、甲1発明の構成(m)における「主制御部300は、内部抽選の結果が再遊技役Bとなったときに、有効ラインL1又は演出ラインL2、L3に再遊技役Bに対応する図柄組合せを導出可能であ」ることは、本件訂正発明の構成Mの「前記導出制御手段は、前記事前決定手段の決定結果が特定決定結果となったときに特定表示結果組合せを導出可能であ」ることに相当する。
シ 本件訂正発明のNの特定事項について
甲1発明の「再遊技役Bに」「含まれ」る「再遊技役2が導出されるとき」は、本件訂正発明の「前記特定表示結果組合せが導出されるとき」に相当する。
また、甲1発明の「青7図柄」は、本件訂正発明の「特別識別情報」に相当する。
そして、甲1発明の「入賞役の入賞判定に有効な有効ラインL1上に「青7図柄」が並ばず、入賞役の入賞判定に無効な演出ラインL3上に「青7図柄」のみが並ぶ」ことは、本件訂正発明の「入賞が発生する入賞ライン上において特別識別情報のみが並ばず、入賞が発生しない非入賞ライン上において前記特別識別情報のみが並」ぶことに相当する。
よって、甲1発明の構成(n)における「再遊技役Bに」「含まれ」る「再遊技役2が導出されるとき」は、「入賞役の入賞判定に有効な有効ラインL1上に「青7図柄」が並ばず、入賞役の入賞判定に無効な演出ラインL3上に「青7図柄」のみが並ぶ」ことは、本件訂正発明の構成Nの「前記特定表示結果組合せが導出されるときには、入賞が発生する入賞ライン上において特別識別情報のみが並ばず、入賞が発生しない非入賞ライン上において前記特別識別情報のみが並」ぶことに相当する。
ス 本件訂正発明のO及びO-1の特定事項について
甲1発明の「内部抽選の結果が再遊技役Bとなった遊技」は、本件訂正発明の「前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果となったゲーム」に相当する。
また、甲1発明の「液晶表示装置157は、」「「青7図柄」を示唆する「青7図柄を狙って!」との表示を行う」ことは、本件訂正発明の「前記表示手段は、」「前記特別識別情報を示唆する示唆画像」を「表示」することに相当する。
よって、本件訂正発明と甲1発明は、O「前記表示手段が」、O-1’「前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果となったゲームで」「前記特別識別情報を示唆する示唆画像」を「表示」する点で一致する。
セ 本件訂正発明のO-2の特定事項について
甲1発明の構成(o-2)における「停止ボタン137~139の停止操作によって、「青7図柄を狙って!」との表示を変化させない」ことは、本件訂正発明の構成O-2の「前記導出操作手段の最終操作前の操作によって、前記示唆画像を強調表示」しないことに相当する。
ソ 一致点及び相違点について
以上のことから、本件訂正発明と甲1発明は、以下の点で一致する。
<一致点>
「A 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を複数備え、
B 前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、複数の可変表示部の表示結果の組合せである表示結果組合せに応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
C 前記複数の可変表示部を変動表示させるために操作される開始操作手段と、
D 表示結果組合せを導出させるために操作される導出操作手段と、
E 導出を許容する表示結果組合せを決定する事前決定手段と、
F 前記事前決定手段の決定結果と前記導出操作手段の操作とに応じて表示結果組合せを導出させる制御を行う導出制御手段と、
G 画像を表示する表示手段と、
H 賭数の設定に使用可能な遊技用価値を記憶する遊技用価値記憶手段と、
I 1ゲームに対して設定されている賭数を記憶する賭数記憶手段と、
J 再遊技表示結果組合せが導出されたときに、遊技者所有の遊技用価値を消費することなく次のゲームが開始可能となるように賭数を設定する再遊技導出時設定手段とを備え、
M 前記導出制御手段は、前記事前決定手段の決定結果が特定決定結果となったときに特定表示結果組合せを導出可能であり、
N 前記特定表示結果組合せが導出されるときには、入賞が発生する入賞ライン上において特別識別情報のみが並ばず、入賞が発生しない非入賞ライン上において前記特別識別情報のみが並び、
O 前記表示手段は、
O-1’ 前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果となったゲームで前記特別識別情報を示唆する示唆画像を表示し、
O-2 前記導出操作手段の最終操作前の操作によって、前記示唆画像を強調表示しない
スロットマシン。」
そして、以下の点で両者は相違する。
<相違点1> (本件訂正発明のK、M、QないしQ-5の特定事項)
本件訂正発明は、(K)遊技者により投入された遊技媒体の流路について、遊技媒体を外部に排出させる排出側流路または遊技媒体を内部に取り込む取込側流路に切り替える流路切替ソレノイドと、(M)前記流路切替ソレノイドの制御を行う切替制御手段とを備え、
(Q)前記切替制御手段は、
(Q-1)前記再遊技表示結果組合せが導出されずにゲームが終了した後、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値が上限数に達しているか否かを判定することなく、遊技媒体の投入が可能である旨の設定を行う第1可能設定処理を行い、
(Q-2)前記再遊技表示結果組合せが導出されてゲームが終了し、前記再遊技導出時設定手段により賭数が設定された後、遊技媒体の投入が検出されたか否かを判定する前に、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値が上限数に達しているか否かを判定し、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値が上限数に達していない場合には、遊技媒体の投入が可能である旨の設定を行う第2可能設定処理を行い、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値が上限数に達している場合には、遊技媒体の投入が不可である旨の設定を行う第1不可設定処理を行い、
(Q-3)前記再遊技表示結果組合せが導出されずにゲームが終了し、前記賭数記憶手段に記憶されている賭数が上限値に達した後、遊技媒体が投入可能な状態において遊技媒体の投入が検出された場合にも、前記再遊技表示結果組合せが導出されてゲームが終了し、前記再遊技導出時設定手段により賭数が設定された後、遊技媒体が投入可能な状態において遊技媒体の投入が検出された場合にも、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値が上限数に達しているか否かを共通の判定処理により判定するとともに、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値が上限数に達しているときには、遊技媒体の投入が不可である旨の設定を行う共通の第2不可設定処理を行い、
(Q-4)前記第1不可設定処理が行われた場合にも前記第2不可設定処理が行われた場合にも共通の切替処理を行うことで、遊技媒体の投入が不可である旨の設定がされているときに、遊技者により投入された遊技媒体の流路が前記排出側流路となるように前記流路切替ソレノイドの制御を行い、
(Q-5)前記第1可能設定処理が行われた場合にも前記第2可能設定処理が行われた場合にも共通の前記切替処理を行うことで、遊技媒体の投入が可能である旨の設定がされているときに、遊技者により投入された遊技媒体の流路が前記取込側流路となるように前記流路切替ソレノイドの制御を行うものであるのに対して、甲1発明は、そのような特定がない点。
<相違点2> (本件訂正発明のO-1及びO-3の特定事項)
表示手段による特別識別情報を示唆する示唆画像の表示に関して、本件訂正発明は、開始操作手段が操作されたときに示唆画像の表示を開始し、最終操作によって、特定表示結果組合せが導出されたか否かに関わらず前記示唆画像の表示を終了するのに対して、甲1発明は、表示を開始する時点、及び、表示を終了する時点が特定されていない点。
<相違点3> (本件訂正発明のP-1の特定事項)
本件訂正発明は、ゲームが行われているときにおいて遊技者により遊技媒体が投入された場合、賭数記憶手段に記憶されている賭数を更新することも遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値を更新することもないのに対して、甲1発明は、そのような特定がない点。
<相違点4> (本件訂正発明のP-2の特定事項)
本件訂正発明は、再遊技表示結果組合せが導出されずにゲームが終了した後において遊技者により遊技媒体が投入された場合、賭数記憶手段に記憶されている賭数が予め定められた上限数未満であるときには前記賭数記憶手段に記憶されている賭数を更新し、当該上限数に達しているときには遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値を更新するのに対して、甲1発明は、そのような特定がない点。
<相違点5> (本件訂正発明のP-3の特定事項)
本件訂正発明は、再遊技表示結果組合せが導出されてゲームが終了した後から再遊技導出時設定手段により賭数が設定されて次のゲームが開始可能となるまでにおいて遊技者により遊技媒体が投入された場合、賭数記憶手段に記憶されている賭数を更新することも遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値を更新することもなく、当該再遊技導出時設定手段により賭数が設定されて次のゲームが開始可能となった以降において遊技者により遊技媒体が投入された場合、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値を更新することが可能であるのに対して、甲1発明は、そのような特定がない点。
<相違点6> (本件訂正発明のP-4の特定事項)
本件訂正発明は、再遊技表示結果組合せが導出されてゲームが終了した後から再遊技導出時設定手段により賭数が設定されて次のゲームが開始可能となるまでにおいて遊技者により精算操作がされた場合、遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値に相当する遊技媒体を返却する精算制御を行うことがなく、当該再遊技導出時設定手段により賭数が設定されて次のゲームが開始可能となった以降において遊技者により当該精算操作がされた場合、当該精算制御を行うことが可能であるのに対して、甲1発明は、そのような特定がない点。
<相違点7> (本件訂正発明のP-5の特定事項)
本件訂正発明は、再遊技表示結果組合せが導出されてゲームが終了し、再遊技導出時設定手段により賭数が設定されて次のゲームが開始可能となった後、遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値が上限数未満である場合には、遊技媒体の投入が検出されているか否かを判定し、遊技媒体の投入が検出されていない場合には、遊技者による前記精算操作がされたか否かを判定するのに対して、甲1発明は、そのような特定がない点。
(3) 当審の判断
事案に鑑み、相違点7について検討する。
上記相違点7に係る発明特定事項は、申立人が示した甲2ないし6のいずれにも記載も示唆もされておらず、また、その発明特定事項が本件特許の出願前において周知又は技術常識であったとはいえず、単なる設計的事項であるともいえない。
してみると、甲1ないし甲6に接した当業者といえども、上記相違点7に係る本件訂正発明の発明特定事項を想起することはできない。
(4) 小括
したがって、本件訂正発明の他の相違点に係る構成を検討するまでもなく、本件訂正発明は、甲1ないし甲6に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
第5 新たに追加された証拠と申立人の意見書における本件訂正発明についての主張について
1 申立人の主張の概略
申立人は、平成31年2月15日付け意見書(以下、「申立人意見書」という。)において、以下の(1)及び(2)についての主張を行っている。
(1) 訂正要件違反について
本件訂正により、本件訂正発明は、訂正前の本件特許の請求項1に係る発明に、発明特定事項を追加し、かつその目的・効果を新たな別の目的・効果に変更していることから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に違反するものであり、認められないものである。
(2) 進歩性欠如について
申立人は、申立人意見書に添付して下記の証拠を提出している。
甲7:特開2014-200469号公報
甲8:特開2014-124417号公報
そして、申立人によると、特許権者は、平成30年11月30日付け意見書(以下、「特許権者意見書」という。)において、本件訂正発明と甲1発明との対比において、両者は、以下の相違点A、Bをさらに有する点を主張している。
相違点A:本件訂正発明は、構成Q-1ないしQ-5を備えるが、甲1発明は有さない点。
相違点B:本件訂正発明は、構成P-4及びP-5を備えるが、甲1発明は有さない点。
しかしながら、上記相違点Aに係る構成は、甲7に記載されており、上記相違点Bに係る構成は、甲8に記載されている。
したがって、本件訂正発明は、甲1ないし甲8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものにすぎない。
2 当審の判断
そこで、申立人の主張について検討する。
(1) 訂正要件違反について
本件訂正は、「第2 訂正の適否についての判断」において検討したように、訂正前の本件特許の請求項1に係る発明に実質的に訂正事項1及び訂正事項2に係る構成を付加することにより、特許請求の範囲の減縮を行うものであり、付加された構成により、新たな別の目的・効果を生ずるものであるが、訂正前の本件特許の請求項1に係る発明の構成の削除や変更はなされておらず、また、訂正前の本件特許の請求項1に係る発明の有する目的・効果を依然として有するものであるから、本件訂正が「実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するもの」とまではいえず、申立人の訂正要件違反についての主張は採用できない。
(2) 進歩性欠如について
特許権者が主張する上記相違点Bは、構成P-5を含み、当該構成P-5は、本件訂正発明と甲1発明との対比における相違点7に係る構成であるが、申立人が提出した甲8には、段落【0038】に、「操作パネル部30の左側には、精算スイッチ38が設けられており、メダル投入の受付期間内に操作されると、クレジットされていたメダルがすべて払い戻され、クレジット数表示器27に表示されている値が「0」になる。ここで、メダル投入の受付期間は、例えば、スタートスイッチ36の操作が有効と見なされてリール40L、40C及び40Rが回転を開始してから、全てのリールが停止するまで(メダルが払い出される場合は、メダルの払い出しが終了するまで)の間とする。」と記載されており、メダル受付期間内であれば、クレジット精算が可能である点までは読み取れる。
しかしながら、甲8には、「再遊技表示結果組合せが導出されてゲームが終了し、再遊技導出時設定手段により賭数が設定されて次のゲームが開始可能となった後、遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値が上限数未満である場合には、遊技媒体の投入が検出されているか否かを判定し、遊技媒体の投入が検出されていない場合には、遊技者による前記精算操作がされたか否かを判定する」点は、記載も示唆もされていない。
また、甲7には、段落【0768】、【0770】、【0771】、【0786】ないし【0790】、【0795】ないし【0797】、図80、図83等に、リプレイ入賞が発生したか否かを判別し、それに応じたメダル投入の許可又は不許可の制御フロー等に関する事項が記載されているが、遊技者による精算操作に関する事項は記載も示唆もされていない。
そして、特許権者意見書の第18頁第11行ないし第15行にも記載されているように、本件訂正発明は、相違点Bに係る構成を備えることにより、遊技媒体の投入の有無を判定し、遊技媒体が投入されていない場合には、精算操作の有無を判定し、遊技媒体が投入されていない場合に精算制御を行うことにより、精算処理中に既に投入されていた遊技媒体を飲み込むことが起こらないようにすることができるという効果を奏するものである。
したがって、申立人意見書に添付された甲7及び甲8の記載内容を参酌しても、本件訂正発明が、甲1ないし甲8に記載された発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知で通知した取消理由並びに特許異議申立の理由及び証拠によっては、本件訂正後の請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件訂正後の請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって結論のとおり決定する。
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2018-700364