特許異議申立
2024-700444
逆流防止装置
- 審判番号
- 2024-700444
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2019-055406
- 登録番号
- 7378214
- 請求日
- 2024年05月10日
- 審決日
- 2025年07月15日
- 公報発行日
- 2025年10月31日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】前澤化成工業株式会社
- 【権利者代理人】樺澤 聡
- 【権利者代理人】山田 哲也
- 【異議申立人】村上 太郎
- 審判長/審判官
- 審判長 八木 誠
- 審判官 西山 智宏
- 審判官 中尾 麗
- 分類
- P1651.121-YAA(F16K) / P1651.537-YAA(F16K)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第4項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7378214号発明「逆流防止装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7378214号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、2、3、4、5、6について訂正することを認める。
特許第7378214号の請求項1~6に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7378214号(以下、「本件特許」という。)の請求項1~6に係る特許(以下、「本件特許」という。)についての出願は、平成31年3月22日に出願され、令和5年11月2日にその特許権の設定登録がされ、令和5年11月13日に特許掲載公報が発行された。
請求項1~6に係る特許に対する、特許異議申立人村上太郎(以下、「申立人」という。)による本件特許異議の申立ての経緯は、以下のとおりである。
令和 6年 5月10日 :特許異議の申立て
令和 6年 7月 4日付け:取消理由通知書
令和 6年 9月 3日提出:特許権者による意見書及び訂正請求書
令和 6年 9月18日付け:訂正請求があった旨の通知書
令和 6年10月11日提出:申立人による意見書
令和 6年10月18日提出:申立人による意見書
令和 6年11月26日付け:取消理由通知書(決定の予告)
令和 7年 1月29日提出:特許権者による意見書及び訂正請求書
令和 7年 2月18日付け:訂正請求があった旨の通知書
令和 7年 3月12日提出:申立人による意見書
第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
令和7年1月29日にされた訂正請求の趣旨は、特許第7378214号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを求めるものであり、その訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は次のとおりである(下線は、訂正箇所を示す。)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、
「被取付部に取り付けられて使用される逆流防止装置であって、
前記被取付部に取り付けられ、弁座部を有する装置本体と、
前記装置本体に回動可能に設けられ、前記弁座部に対して接離する弁体と、
前記被取付部の内周面に前記装置本体を取り付けるための弾性体とを備え、
前記装置本体は、前記弾性体を介して前記被取付部の内周面に取り付けられた状態時に、前記装置本体の姿勢を維持する姿勢維持用凸部を外周面に有し、
通常使用時には前記弁体と前記弁座部との間に隙間が存在し、逆流時には当該隙間がなくなる
ことを特徴とする逆流防止装置。」と記載されているのを、
「被取付部に取り付けられて使用される逆流防止装置であって、
前記被取付部に取り付けられ、弁座部を有する装置本体と、
前記装置本体に回動可能に設けられ、前記弁座部に対して接離する弁体と、
前記被取付部の内周面に前記装置本体を取り付けるための弾性体とを備え、
前記装置本体は、前記弾性体を介して前記被取付部の内周面に取り付けられた状態時に、前記被取付部の軸方向と前記装置本体の軸方向との上下方向の傾きを防止するように前記装置本体の姿勢を維持する姿勢維持用凸部を外周面の下側に有し、
前記下側の姿勢維持用凸部は、前記装置本体が前記弾性体を介して前記被取付部の内周面に取り付けられた場合に桝の内底面に当接する当接面を有し、
通常使用時には前記弁体と前記弁座部との間に隙間が存在し、逆流時には当該隙間がなくなる
ことを特徴とする逆流防止装置。」に訂正する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に、
「被取付部に取り付けられて使用される逆流防止装置であって、
前記被取付部に取り付けられ、弁座部を有する円筒状の装置本体と、
前記装置本体に回動可能に設けられ、前記弁座部に対して接離する弁体と、
前記被取付部の内周面に前記装置本体を取り付けるための弾性体とを備え、
前記装置本体は、前記弾性体を介して前記被取付部の内周面に取り付けられた状態時に、前記装置本体の姿勢を維持する姿勢維持用凸部を外周面に有し、
前記姿勢維持用凸部は、前記装置本体の中心軸線に対して平行に位置する平面を有し、
通常使用時には前記弁体と前記弁座部との間に隙間が存在し、逆流時には当該隙間がなくなる
ことを特徴とする逆流防止装置。」と記載されているのを、
「被取付部に取り付けられて使用される逆流防止装置であって、
前記被取付部に取り付けられ、弁座部を有する円筒状の装置本体と、
前記装置本体に回動可能に設けられ、前記弁座部に対して接離する弁体と、
前記被取付部の内周面に前記装置本体を取り付けるための弾性体とを備え、
前記装置本体は、前記弾性体を介して前記被取付部の内周面に取り付けられた状態時に、前記被取付部の軸方向と前記装置本体の軸方向との上下方向の傾きを防止するように前記装置本体の姿勢を維持する姿勢維持用凸部を外周面に有し、
前記姿勢維持用凸部は、前記装置本体の外周面のうち、少なくとも上側及び下側に形成され、
前記上側の姿勢維持用凸部は、前記装置本体の中心軸線に対して平行に位置する平面を有し、
前記下側の姿勢維持用凸部は、前記装置本体が前記弾性体を介して前記被取付部の内周面に取り付けられた場合に桝の内底面に当接する当接面を有し、
通常使用時には前記弁体と前記弁座部との間に隙間が存在し、逆流時には当該隙間がなくなる
ことを特徴とする逆流防止装置。」に訂正する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3に、
「姿勢維持用凸部は、装置本体の外周面のうち、少なくとも上側及び下側に形成されている
ことを特徴とする請求項1又は2記載の逆流防止装置。」と記載されているのを、
「被取付部に取り付けられて使用される逆流防止装置であって、
前記被取付部に取り付けられ、弁座部を有する装置本体と、
前記装置本体に回動可能に設けられ、前記弁座部に対して接離する弁体と、
前記被取付部の内周面に前記装置本体を取り付けるための弾性体とを備え、
前記装置本体は、前記弾性体を介して前記被取付部の内周面に取り付けられた状態時に、前記被取付部の軸方向と前記装置本体の軸方向との上下方向の傾きを防止するように前記装置本体の姿勢を維持する姿勢維持用凸部を外周面に有し、
前記姿勢維持用凸部は、前記装置本体の外周面のうち、少なくとも上側及び下側に形成され、
前記下側の姿勢維持用凸部は、前記装置本体が前記弾性体を介して前記被取付部の内周面に取り付けられた場合に桝の内底面に当接する当接面を有し、
通常使用時には前記弁体と前記弁座部との間に隙間が存在し、逆流時には当該隙間がなくなる
ことを特徴とする逆流防止装置。」に訂正する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4に、
「下側の姿勢維持用凸部は、上側の姿勢維持用凸部よりも下流側に位置し、
前記下側の姿勢維持用凸部の下流側の端面は、装置本体の弁座部の一部を構成している
ことを特徴とする請求項3記載の逆流防止装置。」と記載されているのを、
「被取付部に取り付けられて使用される逆流防止装置であって、
前記被取付部に取り付けられ、弁座部を有する装置本体と、
前記装置本体に回動可能に設けられ、前記弁座部に対して接離する弁体と、
前記被取付部の内周面に前記装置本体を取り付けるための弾性体とを備え、
前記装置本体は、前記弾性体を介して前記被取付部の内周面に取り付けられた状態時に、前記被取付部の軸方向と前記装置本体の軸方向との上下方向の傾きを防止するように前記装置本体の姿勢を維持する姿勢維持用凸部を外周面に有し、
前記姿勢維持用凸部は、前記装置本体の外周面のうち、少なくとも上側及び下側に形成され、
前記下側の姿勢維持用凸部は、前記上側の姿勢維持用凸部よりも下流側に位置し、
前記下側の姿勢維持用凸部の下流側の端面は、前記装置本体の前記弁座部の一部を構成し、
通常使用時には前記弁体と前記弁座部との間に隙間が存在し、逆流時には当該隙間がなくなる
ことを特徴とする逆流防止装置。」に訂正する。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項5に、
「弁体は、
装置本体に回動可能に設けられた弁部材と、
前記弁部材の外周端部に取り付けられ、前記装置本体の弁座部に対して接離する弾性部材とを有し、
前記弾性部材は、
前記弁座部に接離する環状の接触部と、
前記接触部の下流側に連設された断面コ字状をなす環状の取付部とを有する
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一記載の逆流防止装置。」と記載されているのを、
「被取付部に取り付けられて使用される逆流防止装置であって、
前記被取付部に取り付けられ、弁座部を有する装置本体と、
前記装置本体に回動可能に設けられ、前記弁座部に対して接離する弁体と、
前記被取付部の内周面に前記装置本体を取り付けるための弾性体とを備え、
前記装置本体は、前記弾性体を介して前記被取付部の内周面に取り付けられた状態時に、前記被取付部の軸方向と前記装置本体の軸方向との上下方向の傾きを防止するように前記装置本体の姿勢を維持する姿勢維持用凸部を外周面の下側に有し、
前記下側の姿勢維持用凸部は、前記装置本体が前記弾性体を介して前記被取付部の内周面に取り付けられた場合に桝の内底面に当接する当接面を有し、
前記弁体は、
前記装置本体に回動可能に設けられた弁部材と、
前記弁部材の外周端部に取り付けられ、前記装置本体の前記弁座部に対して接離する弾性部材とを有し、
前記弾性部材は、
前記弁座部に接離する環状の接触部と、
前記接触部の下流側に連設された断面コ字状をなす環状の取付部とを有し、
通常使用時には前記弁体と前記弁座部との間に隙間が存在し、逆流時には当該隙間がなくなる
ことを特徴とする逆流防止装置。」に訂正する。
(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項6に、
「弾性部材の接触部は、径方向外方に向かって徐々に薄肉になっており、
前記接触部と当該接触部の下流側に連設された取付部との間には、前記接触部の弾性変形を許容する空間部が存在する
ことを特徴とする請求項5記載の逆流防止装置。」と記載されているのを、
「被取付部に取り付けられて使用される逆流防止装置であって、
前記被取付部に取り付けられ、弁座部を有する装置本体と、
前記装置本体に回動可能に設けられ、前記弁座部に対して接離する弁体と、
前記被取付部の内周面に前記装置本体を取り付けるための弾性体とを備え、
前記装置本体は、前記弾性体を介して前記被取付部の内周面に取り付けられた状態時に、前記被取付部の軸方向と前記装置本体の軸方向との上下方向の傾きを防止するように前記装置本体の姿勢を維持する姿勢維持用凸部を外周面の下側に有し、
前記下側の姿勢維持用凸部は、前記装置本体が前記弾性体を介して前記被取付部の内周面に取り付けられた場合に桝の内底面に当接する当接面を有し、
前記弁体は、
前記装置本体に回動可能に設けられた弁部材と、
前記弁部材の外周端部に取り付けられ、前記装置本体の前記弁座部に対して接離する弾性部材とを有し、
前記弾性部材は、
前記弁座部に接離する環状の接触部と、
前記接触部の下流側に連設された断面コ字状をなす環状の取付部とを有し、
前記弾性部材の前記接触部は、径方向外方に向かって徐々に薄肉になっており、
前記接触部と当該接触部の下流側に連設された前記取付部との間には、前記接触部の弾性変形を許容する空間部が存在し、
通常使用時には前記弁体と前記弁座部との間に隙間が存在し、逆流時には当該隙間がなくなる
ことを特徴とする逆流防止装置。」に訂正する。
2 一群の請求項について
訂正前の請求項1、3~6について、請求項3~6は請求項1を直接的又は間接的に引用しているものであって、上記訂正事項1によって訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
また、訂正前の請求項2~6について、請求項3~6は請求項2を直接的又は間接的に引用しているものであって、上記訂正事項2によって訂正される請求項2に連動して訂正されるものである。
そのため、請求項1、3~6が一群の請求項を構成するとともに、請求項2~6も一群の請求項を構成するところ、共通の請求項を有するこれらの一群の請求項は組み合わされて、請求項1~6が1つの一群の請求項になる。
したがって、訂正前の請求項1~6に対応する訂正後の請求項1~6は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
そして、請求項1~6に係る訂正事項について、特許権者は、別の訂正単位とする求めをしている。
3 訂正事項1にかかる当審の判断
(1)訂正の目的の適否
訂正事項1は、本件訂正前の請求項1の「姿勢維持用凸部」に関し、その位置を「外周面の下側」に限定すると共に、「前記下側の姿勢維持用凸部は、前記装置本体が前記弾性体を介して前記被取付部の内周面に取り付けられた場合に桝の内底面に当接する当接面を有」するものと特定するものである。
さらに、本件訂正前の請求項1の「装置本体の姿勢を維持する」態様を「前記被取付部の軸方向と前記装置本体の軸方向との上下方向の傾きを防止するよう」な態様であると明瞭化したものである。
よって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするもの、及び、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること
訂正事項1は、願書に添付した明細書の【0031】~【0033】の記載事項及び図8の図示内容に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項において準用する第126条第5項の規定に適合する。
(3)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1に係る訂正は、上記(1)のとおり特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当するから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
4 訂正事項2にかかる当審の判断
(1)訂正の目的の適否
訂正事項2は、本件訂正前の請求項2の「姿勢維持用凸部」に関し、「装置本体の外周面のうち、少なくとも上側及び下側に形成され」るものと限定すると共に、「装置本体の中心軸線に対して平行に位置する平面を有」する「姿勢維持用凸部」を「前記上側の姿勢維持用凸部」と特定し、さらに、「前記下側の姿勢維持用凸部は、前記装置本体が前記弾性体を介して前記被取付部の内周面に取り付けられた場合に桝の内底面に当接する当接面を有」するものと特定するものである。
そして、本件訂正前の請求項2の「装置本体の姿勢を維持する」態様を「前記被取付部の軸方向と前記装置本体の軸方向との上下方向の傾きを防止するよう」な態様であると明瞭化したものである。
よって、訂正事項2に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするもの、及び、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること
訂正事項2は、願書に添付した明細書の【0031】~【0033】の記載事項及び図1、8の図示内容に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項において準用する第126条第5項の規定に適合する。
(3)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項2に係る訂正は、上記(1)のとおり特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当するから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
5 訂正事項3にかかる当審の判断
(1)訂正の目的の適否
訂正事項3は、本件訂正前の請求項1の記載を引用する訂正前の請求項3の記載を、当該請求項1の記載を引用しないものとすると共に、本件訂正前の請求項3の「上側の姿勢維持用凸部」及び「下側の姿勢維持用凸部」に関し、「前記下側の姿勢維持用凸部は、前記装置本体が前記弾性体を介して前記被取付部の内周面に取り付けられた場合に桝の内底面に当接する当接面を有」るものと限定するものである。
さらに、本件訂正前の請求項3の「装置本体の姿勢を維持する」態様を「前記被取付部の軸方向と前記装置本体の軸方向との上下方向の傾きを防止するよう」な態様であると明瞭化すると共に、本件訂正前の請求項3に「姿勢維持用凸部は、装置本体の外周面のうち」とあるのを「前記姿勢維持用凸部は、前記装置本体の外周面のうち」と明瞭化するものである。
よって、訂正事項3に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものに該当すると共に、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするもの、及び、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること
訂正事項3は、願書に添付した明細書の【0031】~【0033】の記載事項及び図8の図示内容に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項において準用する第126条第5項の規定に適合する。
(3)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項3に係る訂正は、上記(1)のとおり他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当するから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
6 訂正事項4にかかる当審の判断
(1)訂正の目的の適否
訂正事項4は、本件訂正前の請求項1の記載を引用する訂正前の請求項3の記載をさらに引用する訂正前の請求項4の記載を、当該請求項1及び3の記載を引用しないものとすると共に、本件訂正前の請求項4の「装置本体の姿勢を維持する」態様を「前記被取付部の軸方向と前記装置本体の軸方向との上下方向の傾きを防止するよう」な態様であると明瞭化し、さらに、本件訂正前の請求項4が引用する訂正前の請求項3に「姿勢維持用凸部は、装置本体の外周面のうち」とあるのを「前記姿勢維持用凸部は、前記装置本体の外周面のうち」と、本件訂正前の請求項4に「下側の姿勢維持用凸部は、上側の姿勢維持用凸部よりも」とあるのを「前記下側の姿勢維持用凸部は、前記上側の姿勢維持用凸部よりも」と、「装置本体の弁座部の一部を」とあるのを「前記装置本体の前記弁座部の一部を」と、それぞれ明瞭化するものである。
よって、訂正事項4に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものに該当すると共に、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること
訂正事項4は、願書に添付した明細書の【0031】~【0033】の記載事項及び図8の図示内容に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項において準用する第126条第5項の規定に適合する。
(3)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項4に係る訂正は、上記(1)のとおり他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当するから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
7 訂正事項5にかかる当審の判断
(1)訂正の目的の適否
訂正事項5は、本件訂正前の請求項1の記載を引用する訂正前の請求項5の記載を、当該請求項1の記載を引用しないものとすると共に、本件訂正前の請求項5の「姿勢維持用凸部」に関し、その位置を「外周面の下側」に限定すると共に、「前記下側の姿勢維持用凸部は、前記装置本体が前記弾性体を介して前記被取付部の内周面に取り付けられた場合に桝の内底面に当接する当接面を有」するものと特定するものである。
さらに、本件訂正前の請求項5の「装置本体の姿勢を維持する」態様を「前記被取付部の軸方向と前記装置本体の軸方向との上下方向の傾きを防止するよう」な態様であると明瞭化し、本件訂正前の請求項5に「弁体」とあるのを「前記弁体」と、「装置本体に回動可能に設けられた弁部材」とあるのを「前記装置本体に回動可能に設けられた弁部材」と、「前記装置本体の弁座部に対して」とあるのを「前記装置本体の前記弁座部に対して」と、それぞれ明瞭化するものである。
よって、訂正事項5に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものに該当すると共に、特許請求の範囲の減縮特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするもの、及び、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること
訂正事項5は、願書に添付した明細書の【0031】~【0033】の記載事項及び図8の図示内容に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項において準用する第126条第5項の規定に適合する。
(3)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項5に係る訂正は、上記(1)のとおり他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当するから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
8 訂正事項6にかかる当審の判断
(1)訂正の目的の適否
訂正事項6は、本件訂正前の請求項1の記載を引用する訂正前の請求項5の記載をさらに引用する訂正前の請求項6の記載を、当該請求項1及び5の記載を引用しないものとすると共に、訂正前の請求項6の「姿勢維持用凸部」に関し、その位置を「外周面の下側」に限定すると共に、「前記下側の姿勢維持用凸部は、前記装置本体が前記弾性体を介して前記被取付部の内周面に取り付けられた場合に桝の内底面に当接する当接面を有」するものと特定するものである。
さらに、本件訂正前の請求項6の「装置本体の姿勢を維持する」態様を「前記被取付部の軸方向と前記装置本体の軸方向との上下方向の傾きを防止するよう」な態様であると明瞭化し、本件訂正前の請求項6が引用する本件訂正前の請求項5に「弁体」とあるのを「前記弁体」と、「装置本体に回動可能に設けられた弁部材」とあるのを「前記装置本体に回動可能に設けられた弁部材」と、「前記装置本体の弁座部に対して」とあるのを「前記装置本体の前記弁座部に対して」と、本件訂正前の請求項6に「弾性部材の接触部は」とあるのを「前記弾性部材の前記接触部は」と、「取付部との間には」とあるのを「前記取付部との間には」と、それぞれ明瞭化するものである。
よって、訂正事項6に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものに該当すると共に、特許請求の範囲の減縮特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするもの、及び、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること
訂正事項6は、願書に添付した明細書の【0031】~【0033】の記載事項及び図8の図示内容に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項において準用する第126条第5項の規定に適合する。
(3)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項6に係る訂正は、上記(1)のとおり他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当するから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
9 小括
以上のとおり、訂正事項1~6に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項の規定に適合すると共に、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
そして、上記2に記載のとおり、請求項1~6に係る訂正事項について、特許権者は、別の訂正単位とする求めをしている。
したがって、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、2、3、4、5、6について訂正を認める。
第3 本件発明
上記のとおり本件訂正が認められるから、本件特許の請求項1~6に係る発明(以下、「本件発明1」~「本件発明6」という。)は、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~6に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
被取付部に取り付けられて使用される逆流防止装置であって、
前記被取付部に取り付けられ、弁座部を有する装置本体と、
前記装置本体に回動可能に設けられ、前記弁座部に対して接離する弁体と、
前記被取付部の内周面に前記装置本体を取り付けるための弾性体とを備え、
前記装置本体は、前記弾性体を介して前記被取付部の内周面に取り付けられた状態時に、前記被取付部の軸方向と前記装置本体の軸方向との上下方向の傾きを防止するように前記装置本体の姿勢を維持する姿勢維持用凸部を外周面の下側に有し、
前記下側の姿勢維持用凸部は、前記装置本体が前記弾性体を介して前記被取付部の内周面に取り付けられた場合に桝の内底面に当接する当接面を有し、
通常使用時には前記弁体と前記弁座部との間に隙間が存在し、逆流時には当該隙間がなくなる
ことを特徴とする逆流防止装置。
【請求項2】
被取付部に取り付けられて使用される逆流防止装置であって、
前記被取付部に取り付けられ、弁座部を有する円筒状の装置本体と、
前記装置本体に回動可能に設けられ、前記弁座部に対して接離する弁体と、
前記被取付部の内周面に前記装置本体を取り付けるための弾性体とを備え、
前記装置本体は、前記弾性体を介して前記被取付部の内周面に取り付けられた状態時に、前記被取付部の軸方向と前記装置本体の軸方向との上下方向の傾きを防止するように前記装置本体の姿勢を維持する姿勢維持用凸部を外周面に有し、
前記姿勢維持用凸部は、前記装置本体の外周面のうち、少なくとも上側及び下側に形成され、
前記上側の姿勢維持用凸部は、前記装置本体の中心軸線に対して平行に位置する平面を有し、
前記下側の姿勢維持用凸部は、前記装置本体が前記弾性体を介して前記被取付部の内周面に取り付けられた場合に桝の内底面に当接する当接面を有し、
通常使用時には前記弁体と前記弁座部との間に隙間が存在し、逆流時には当該隙間がなくなる
ことを特徴とする逆流防止装置。
【請求項3】
被取付部に取り付けられて使用される逆流防止装置であって、
前記被取付部に取り付けられ、弁座部を有する装置本体と、
前記装置本体に回動可能に設けられ、前記弁座部に対して接離する弁体と、
前記被取付部の内周面に前記装置本体を取り付けるための弾性体とを備え、
前記装置本体は、前記弾性体を介して前記被取付部の内周面に取り付けられた状態時に、前記被取付部の軸方向と前記装置本体の軸方向との上下方向の傾きを防止するように前記装置本体の姿勢を維持する姿勢維持用凸部を外周面に有し、
前記姿勢維持用凸部は、前記装置本体の外周面のうち、少なくとも上側及び下側に形成され、
前記下側の姿勢維持用凸部は、前記装置本体が前記弾性体を介して前記被取付部の内周面に取り付けられた場合に桝の内底面に当接する当接面を有し、
通常使用時には前記弁体と前記弁座部との間に隙間が存在し、逆流時には当該隙間がなくなることを特徴とする逆流防止装置。
【請求項4】
被取付部に取り付けられて使用される逆流防止装置であって、
前記被取付部に取り付けられ、弁座部を有する装置本体と、
前記装置本体に回動可能に設けられ、前記弁座部に対して接離する弁体と、
前記被取付部の内周面に前記装置本体を取り付けるための弾性体とを備え、
前記装置本体は、前記弾性体を介して前記被取付部の内周面に取り付けられた状態時に、前記被取付部の軸方向と前記装置本体の軸方向との上下方向の傾きを防止するように前記装置本体の姿勢を維持する姿勢維持用凸部を外周面に有し、
前記姿勢維持用凸部は、前記装置本体の外周面のうち、少なくとも上側及び下側に形成され、
前記下側の姿勢維持用凸部は、前記上側の姿勢維持用凸部よりも下流側に位置し、
前記下側の姿勢維持用凸部の下流側の端面は、前記装置本体の前記弁座部の一部を構成し、
通常使用時には前記弁体と前記弁座部との間に隙間が存在し、逆流時には当該隙間がなくなる
ことを特徴とする逆流防止装置。
【請求項5】
被取付部に取り付けられて使用される逆流防止装置であって、
前記被取付部に取り付けられ、弁座部を有する装置本体と、
前記装置本体に回動可能に設けられ、前記弁座部に対して接離する弁体と、
前記被取付部の内周面に前記装置本体を取り付けるための弾性体とを備え、
前記装置本体は、前記弾性体を介して前記被取付部の内周面に取り付けられた状態時に、前記被取付部の軸方向と前記装置本体の軸方向との上下方向の傾きを防止するように前記装置本体の姿勢を維持する姿勢維持用凸部を外周面の下側に有し、
前記下側の姿勢維持用凸部は、前記装置本体が前記弾性体を介して前記被取付部の内周面に取り付けられた場合に桝の内底面に当接する当接面を有し、
前記弁体は、
前記装置本体に回動可能に設けられた弁部材と、
前記弁部材の外周端部に取り付けられ、前記装置本体の前記弁座部に対して接離する弾性部材とを有し、
前記弾性部材は、
前記弁座部に接離する環状の接触部と、
前記接触部の下流側に連設された断面コ字状をなす環状の取付部とを有し、
通常使用時には前記弁体と前記弁座部との間に隙間が存在し、逆流時には当該隙間がなくなる
ことを特徴とする逆流防止装置。
【請求項6】
被取付部に取り付けられて使用される逆流防止装置であって、
前記被取付部に取り付けられ、弁座部を有する装置本体と、
前記装置本体に回動可能に設けられ、前記弁座部に対して接離する弁体と、
前記被取付部の内周面に前記装置本体を取り付けるための弾性体とを備え、
前記装置本体は、前記弾性体を介して前記被取付部の内周面に取り付けられた状態時に、前記被取付部の軸方向と前記装置本体の軸方向との上下方向の傾きを防止するように前記装置本体の姿勢を維持する姿勢維持用凸部を外周面の下側に有し、
前記下側の姿勢維持用凸部は、前記装置本体が前記弾性体を介して前記被取付部の内周面に取り付けられた場合に桝の内底面に当接する当接面を有し、
前記弁体は、
前記装置本体に回動可能に設けられた弁部材と、
前記弁部材の外周端部に取り付けられ、前記装置本体の前記弁座部に対して接離する弾性部材とを有し、
前記弾性部材は、
前記弁座部に接離する環状の接触部と、
前記接触部の下流側に連設された断面コ字状をなす環状の取付部とを有し、
前記弾性部材の前記接触部は、径方向外方に向かって徐々に薄肉になっており、
前記接触部と当該接触部の下流側に連設された前記取付部との間には、前記接触部の弾性変形を許容する空間部が存在し、
通常使用時には前記弁体と前記弁座部との間に隙間が存在し、逆流時には当該隙間がなくなる
ことを特徴とする逆流防止装置。」
第4 取消理由の概要
訂正前の請求項1~6に係る特許に対して、当審が令和6年11月26日付けで通知した取消理由(決定の予告)の概要は、次のとおりである。
1 取消理由1(特許法第36条第6項第2号)
本件特許は、特許請求の範囲の記載が以下の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
本件特許の請求項1~6に係る発明は、明確ではない。
2 取消理由2(特許法第29条第2項)
以下の請求項に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、下記の請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
・請求項3、5
引用文献1~4
・請求項3
引用文献4、2
・請求項5
引用文献4、2、1
3 引用文献一覧
引用文献1:特開2018-204198号公報(甲第1号証)
引用文献2:国際公開第2008/114460号(甲第2号証)
引用文献3:実願昭62-32568号(実開昭63-141274号)のマイクロフィルム(甲第3号証)
引用文献4:意匠登録第1616266号公報(甲第4号証)
第5 取消理由1(特許法第36条第6項第2号)に対する判断
1 請求項1、5及び6について
本件特許の請求項1には、
「前記装置本体は、前記弾性体を介して前記被取付部の内周面に取り付けられた状態時に、前記被取付部の軸方向と前記装置本体の軸方向との上下方向の傾きを防止するように前記装置本体の姿勢を維持する姿勢維持用凸部を外周面の下側に有し、
前記下側の姿勢維持用凸部は、前記装置本体が前記弾性体を介して前記被取付部の内周面に取り付けられた場合に桝の内底面に当接する当接面を有し」
と記載されている。
上記「前記被取付部の軸方向と前記装置本体の軸方向との上下方向の傾き」に関し、本件特許の【0033】の記載事項及び図8の図示内容等から、「前記装置本体が前記弾性体を介して前記被取付部の内周面に取り付けられた場合に桝の内底面に当接する当接面を有」する下側の姿勢維持用凸部によって、被取付部の軸方向と装置本体の軸方向との上下方向の傾きが一定程度防止されることが理解でき、上記記載により特定される構成は明確である。
そして、同様の記載がある請求項5及び6についても同様に明確である。
よって、本件発明1、5及び6は、明確である。
2 請求項2~4について
本件特許の請求項2には、
「前記装置本体は、前記弾性体を介して前記被取付部の内周面に取り付けられた状態時に、前記被取付部の軸方向と前記装置本体の軸方向との上下方向の傾きを防止するように前記装置本体の姿勢を維持する姿勢維持用凸部を外周面に有し、
前記姿勢維持用凸部は、前記装置本体の外周面のうち、少なくとも上側及び下側に形成され」
と記載されている。
上記「前記被取付部の軸方向と前記装置本体の軸方向との上下方向の傾き」に関し、本件特許の【0066】~【0067】の記載事項及び図14の図示内容等から、「装置本体の外周面のうち、少なくとも上側及び下側に形成され」る姿勢維持用凸部によって、被取付部の軸方向と装置本体の軸方向との上下方向の傾きが一定程度防止されることが理解でき、上記記載により特定される構成は明確である。
そして、同様の記載がある請求項3及び4についても同様に明確である。
よって、本件発明2~4は、明確である。
3 申立人の意見について
申立人は、令和7年3月12日提出の意見書において、「そうすると、本件訂正発明1、2及び6の「姿勢維持用凸部」が『・・・前記装置本体は、前記弾性体を介して前記被取付部の内周面に取り付けられた状態時に、前記被取付部の軸方向と前記装置本体の軸方向との上下方向の傾きを防止するように前記装置本体の姿勢を維持する・・・』との記載は、本件特許明細書などに記載された事項と明らかに矛盾する。
そのため、当該記載の技術的意味は、発明の詳細な説明などを参酌しても理解することができず、図8に示される断面図において、被取付部の軸方向と装置本体21の軸方向との上下方向の傾きのうち、時計回りヘ傾くのを防止することを意味しているのか、反時計回りヘ傾くのを防止することを意味しているのか、またはそれ以外の態様の傾きを防止することを意味しているのか、別言すれば、どのようにして時計回りおよび/または反時計回りの傾きが防止されるのかその作用機序が不明確である。
よって、本件訂正発明1、2及び6は明確ではなく、取消理由1(特許法第36条第6項第2号)が存在する。」と主張する。
また、申立人は、令和7年3月12日提出の意見書において、「そうすると、本件訂正発明3-5の「姿勢維持用凸部」が『・・・前記装置本体は、前記弾性体を介して前記被取付部の内周面に取り付けられた状態時に、前記被取付部の軸方向と前記装置本体の軸方向との上下方向の傾きを防止するように前記装置本体の姿勢を維持する・・・』との記載は、本件特許明細書などに記載された事項と明らかに矛盾する。
そのため、当該記載の技術的意味は、発明の詳細な説明などを参酌しても理解することができず、図8に示される断面図において、被取付部の軸方向と装置本体21の軸方向との上下方向の傾きのうち、時計回りヘ傾くのを防止することを意味しているのか、反時計回りヘ傾くのを防止することを意味しているのか、またはそれ以外の態様の傾きを防止することを意味しているのか、別言すれば、どのようにして時計回りおよび/または反時計回りの傾きが防止されるのかその作用機序が不明確である。
よって、本件訂正発明3-5は明確ではなく、取消理由1(特許法第36条第6項第2号)が存在する。」と主張する。
しかしながら、上記1及び2において示したとおり、本件特許の明細書の記載事項及び図面の図示内容から、作用機序が不明確であるということはできず、請求項1~6の記載により特定される構成は明確である。
よって、申立人の上記主張は、採用することができない。
4 小括
以上より、本件発明1~6は明確であり、特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たす。
第6 取消理由2(特許法第29条第2項)に対する判断
1 引用文献1について(なお、下線は当審で付した。以下同様。)
(1)「【0001】
本発明は、下水道本管を逆流した排水が排水ますを通って屋内排水設備へ逆流するのを防止するために排水ますの流入口に取り付けられる排水ます用逆流防止弁に関し、排水量が少ない時でも、異物などによる排水詰まりを生じることがなく、逆流時の排水(逆フローの排水)の流れのみを防止する排水ます用逆流防止弁に関する。」
(2)「【0011】
そこで、本発明は、排水量が少ない時でも、異物などによる排水詰まりを生じることがなく、逆流時の排水(逆フローの排水)の流れのみを確実に防止することができる排水ます用逆流防止弁を提供することを目的とする。」
(3)「【0034】
図1~3に示されているように、本実施形態の逆流防止弁2が取り付けられた排水ます1は、流入口11と、流出口12と、流入口11と流出口12とを接続するインバート部13と、そしてインバート部の上方で開口した点検口14を有する立上り管15を備えており、すべて合成樹脂により成形されている。また、排水ます本体はコンクリート製又はコンクリート材料と合成樹脂材料との組み合わせであってもよい。
【0035】
逆流防止弁2は排水ます1の流入口11の内部側に取り付けられており、そして逆流防止弁2は、流入口11と連通した開口部31を有し且つ排水ます1の内壁面16の流入口11に取り付けられる湾曲したフランジ部3と、開口部31に連通し且つフランジ部3により支持された弁管4であって、弁管4の下流側の開口端面41が上部から下部へ向かうにつれて下流側から上流側へ向けて傾斜するように形成されている前記弁管4と、弁管4の開口端面41を開閉するために開口端面41の上部端部42に揺動自在に軸支された弁体5を備えている。
【0036】
弁管4は、上部から下部へ向けて上流側へ後退するように傾斜した開口端(面)41を有しており、弁管4の上部端部42には特殊な形状を有する弁体5が揺動自在に吊り下げられている。このため、本実施形態の逆流防止弁2は、通常の状態において、図1に示されるように弁管4の開口端(面)41を開口しており、屋内排水設備(図示せず)から排水ます1へ流入する通常時の排水(順フローの排水)の流れを許容するので、排水量が少ない時でも、異物などによる排水詰まりを生じることがない。
【0037】
また、弁管4は排水ます1の内壁面16から内部へ突出しており、そして弁管4の開口端(面)41はインバート部13から離間した上方の位置で開口するように、排水ます1の内部に取り付けられる。このため、排水ます1の流出口12からインバート部13へ逆流した排水は、排水ます1の内部へ突出した弁管4の下部に邪魔をされて、弁体5の下流側の表面51よりも先にその背面(上流側の表面52)へ廻り込むことができない。それ故、本実施形態の逆流防止弁2では、逆流時の排水(逆フローの排水)の流れに対して、弁体5がその背面(上流側の表面52)から排水の圧力を受けて弁管4の開口端(面)41を開口する方向へ動くことが防止されている。」
(4)「【0044】
このように、本実施形態の逆流防止弁2は、排水量が少ない時でも、上部から下部へ向けて上流側へ後退するように傾斜した開口端面41を有する弁管4の先端に吊り下げられた弁体5は、前記開口端(面)41を開口しているので異物などによる排水詰まりを生じることがなく、排水ます1の流出口12からインバート部13へ流入した逆フローの排水の流れに対してのみ、弁体5の凹み形状、特定位置に設けた浮力発生部54の効果により弁管4の開口端(面)41を塞ぐように作動する。
【0045】
図4によく示されているように、本実施形態では、浮力発生部54は弁体5の中に中空部56を設けることにより形成されている。また、図示しないが、浮力発生部は弁体自体を水の比重よりも小さな樹脂材料で作製したり、或いは弁体の上流側の表面に水の比重よりも小さな樹脂部材を取り付けることによっても形成することができる。
【0046】
本実施形態の浮力発生部54について詳しく説明すると、浮力発生部54を形成する中空部56は、下流側から上流側へ向けて凹むように湾曲しており且つ弁体5の下流側の表面を形成する下流側壁面部51と、下流側から上流側へ向けて下流側壁面部51よりもより大きく凹んでおり且つ上流側の表面を形成する上流側壁面部52をそれぞれの周縁部57において接合することにより区画され、形成されている。このように弁体5を、凹みの程度が互いに異なる下流側壁面部51と上流側壁面部52とから構成すると、両者の周縁部57を接合することによって簡単に弁体5の中の所望する位置に中空部56を形成することができる。
【0047】
また、本実施形態では、弁体5自体を水の比重よりも小さな樹脂材料で作製することにより、中空部56に加えて第2の浮力発生部を形成してもよい。この場合は、弁体5の破損等により中空部56が破壊された場合においても、弁体5が所定の浮力を失うことがないので、排水ます1の流出口12からインバート部13へ逆流した排水の流れに対して確実に弁管4の開口端(面)41を塞ぐことができる。」
(5)「【0050】
図1,3,5,6に示されているように、本実施形態の逆流防止弁2ではそのメンテナンス性を向上させるために、フランジ部3を、排水ます1の内壁面16に取り付ける固定フランジ32と、固定フランジ32に対して着脱可能に取り付けられる可動フランジ33とへ分割することで、可動フランジ33に取り付けられた弁管4及び弁管4に支持された弁体5を一体的且つ容易に排水ます1から取り外すことができるようにしている。」
(6)「【0054】
また、固定フランジ32には、弁管4と略同じ内径を有しており、排水ます1の流入口11へ挿入される案内管6(図1参照)が弁管4の反対側に設けられている。案内管6は弁管4と連通しており、排水ます1の流入口11の一部を形成している。このため、本実施形態の固定フランジ32は、案内管6を排水ます1の流入口(壁面の開口部)11へ挿通することにより、排水ます1の内壁面16にガタ付きを抑えて固着させることができる。
【0055】
本実施形態の排水ます1は、排水ます1の外壁面17に取り付けられる湾曲した第2の固定フランジ7と、案内管6の外周面と略同一の直径の内周面を有し且つ第2の固定フランジ7に接続された流入側接続管8を備えている。このため、本実施形態の逆流防止弁2は、固定フランジ32の案内管6を排水ます1の側壁を挿通させて流入側接続管8の内部へ挿入し、固定フランジ32と第2の固定フランジ7とで排水ます1の側壁を挟持させることにより、排水ます1の内壁面16に強固に固定することができる。また、可動フランジ33を介して固定フランジ32に着脱可能に取り付けられた弁管4及び弁管4に支持された弁体5は、可動フランジ33と共に一体的且つ容易に排水ます1から取り外すことができる。」
(7)「【図1】
[図:0001427938000001.jpg]
」
(8)「【図4】
[図:0001427938000002.jpg]
」
(9)上記(8)の【図4】の図示内容の一部の拡大図を以下に参考図として示す。
そして、上記(7)の【図1】の図示内容、上記(8)の【図4】の図示内容及び上記(4)の【0044】~【0047】の記載事項から、弁体5は、下流側壁面部51と上流側壁面部52から構成され、下流側壁面部51と上流側壁面部52の周縁部57のさらに外周部に設けられた部分で開口端(面)41に接触すると認められ、その部分に設けられた部材は、緩衝性、水密性等を考慮する技術常識から、弾性部材であると認められる。
よって、以下の参考図に示すように、弁体5は、下流側壁面部51と上流側壁面部52から構成され、前記下流側壁面部51と上流側壁面部52の外周部に弁管4の開口端(面)41に接触する弾性部材を有し、前記弾性部材は、前記開口端(面)41に接触する接触部と、前記接触部の下流側に連設された弾性部を有するものと認められ、前記接触部及び前記弾性部は、共に弁体5の全周にわたる環状であると認められる。
(参考図)
[図:0001427938000003.jpg]
以上の記載事項(1)~(6)、図示内容(7)~(8)及び認定事項(9)を総合すると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されている。
(引用発明1)
「流入側接続管8を備えた排水ます1に取り付けられる逆流防止弁2であって、
前記流入側接続管8を備えた排水ます1に取り付けられ、開口端(面)41を有する弁管4及びフランジ部3と、
前記弁管4の前記開口端(面)41の上部端部42に揺動自在に軸支され、前記開口端(面)41を開閉するための弁体5とを備え、
前記流入側接続管8の内部へ前記フランジ部3の固定フランジ32を挿入し、
前記フランジ部3は、前記流入側接続管8の内部へ挿入することにより、前記排水ます1の内壁面16にガタ付きを抑えて固着させることができる固定フランジ32を有し、
前記弁体5は、
下流側壁面部51と上流側壁面部52から構成され、
前記下流側壁面部51と上流側壁面部52の外周部に前記弁管4の前記開口端(面)41に接触する弾性部材を有し、
前記弾性部材は、
前記開口端(面)41に接触する環状の接触部と、
前記接触部の下流側に連設された環状の弾性部を有し、
通常の状態において、前記開口端(面)41を開口しており、逆フローの排水の流れに対して、前記弁体5が前記開口端(面)41を塞ぐように作動する逆流防止弁2。」
2 引用文献2について
(1)「技術分野
この発明は、下水道管の管路用設備における雨水・汚水枡等の管路用枡に適用される防臭装置に関し、更に詳しくは、当該管路用枡の取付け管に装着される防臭装置に関する。」(1頁3行~6行)
(2)「発明の開示
(発明の目的)
本発明は、この種の下水道管路用枡に適用される防臭装置において、枡用蓋での臭気止めに替え、更に効果的な防臭作用が得られる新規な下水道管路用防臭装置を得ることを目的とする。
本発明はこのため、管路用枡の排水口に取付けられる取付け管に着目し、該取付け管へ逆止弁作用をなす流水弁を備えた装置を配することにより本目的を達成したものである。」(1頁21行~2頁5行)
(3)「図1に示されるように、下水道管路用枡Mは、側壁体1と底盤2とにより上方に開口する容器部としての本体部が構成され、該開口に取水孔3aを有する蓋体3が載置される。側壁体1の上縁及び蓋体3は道路面Hに面一にされ、道路面Hからの雨水・汚水を取水孔3aを介して該枡Mの本体部内に導入する。
本枡Mの本体部の底盤2は地盤Iを掘削した溝底に敷設された割栗石J・均しコンクリートK上に載置される。
本枡Mの側壁体1には底盤2に接して、あるいは若干の高さを存して排水口5が開設され、該排水口5より取付け管6が取り付けられ、下水道本管Pへ導かれる。」(11頁5行~13行)
(4)「本体部12(図2~図8参照)
本体部12は、受口枠体部10とリンク部14を介して相離れ、取付け管6内に配され、防臭機能を担うものであり、円筒体を基体とするとともに該円筒体内に所定の弁体すなわち主副2つの弁体が配されてなる。
すなわち、該本体部12は、基体をなす円筒体25と、該円筒体25内に所定の角度βをもって横断的に配される隔壁26と、該隔壁26に装備される主弁体27及び副弁体28と、更には円筒体25の前部に取り付けられる案内環30と、該円筒体25の外側に配されるスペーサー環31とを含む。なお、円筒体25の後部はリンク部14に連結される。本態様において、上記βはαに合致するものとなっているが、必ずしも一致される必要はない。
以下、更にこの本体部12内の構成を詳しく説明する。
(円筒体25)
円筒体25は、所定厚の直円筒体を基本的構成とし、外径が取付け管6の内径よりも余裕を存して配される小径とされる。該円筒体25の後部はリンク部14の取付け部となる。」(12頁8行~22行)
(5)「(案内環30)(図2、図7、図8参照)
案内環30は、円筒体25の前部に取り付けられ、前方に至るにつれ縮径するテーパー部を有し、本体部12の取付け管6への挿入操作を容易にする。
詳しくは、該案内環30は、円筒体20の前端に嵌合される基体部44と、該基体部44の前方より前方に至るにつれ縮径するテーパー部45と、該基体部44の後方より拡径する弾圧部46と、からなる。
基体部44は直円筒体をなし、その内径は円筒体20の外径に合致し、円筒体20の前端に嵌合される。テーパー部45は、基体部44よりその全周が縮径され、上部においては更に庇部45aをもって延設される。なお、両側の中間部は省略されうる。弾圧部46は、基体部44の後方より拡径され、互いに離隔された複数の弾圧片46aよりなる。弾圧片46aの外径は自然状態(非加圧状態)で取付け管6の内径よりも大径をなす。これにより、弾圧片46aは取付け管6の内面を弾圧し、該ガイド環30を介して本体部12の取付け管6内での位置保持をなす。
(スペーサー環31)(図2、図7参照)
スペーサー環31は、所定の厚みと柔軟性を保持する円筒体よりなり、本体部12の円筒体25の後部に嵌合装着される。該スペーサー環31の厚みは、設置対象の取付け管6との隙間を閉塞するに足るものであり、取付け管6の内径により適宜決められる。
しかして、該スペーサー環31は円筒体25と取付け管6との水密を保持するとともに、円筒体25の中心を保持する。なお、該スペーサー環31は省略されうる。」(15頁5行~26行)
(6)「取付け管6は所定の角度αに下方に傾斜しているものであり、かつ該取付け管6は小径であり、該本体部12の前端に装着された案内環30はこの挿入操作を円滑になす。すなわち、案内環30のテーパー部45の庇部45aは、取付け管6の排水口5への挿入に臨んで、排水口5への引っかけ、更には取付け管6の内壁との引っかけを防止し、挿入が円滑になされる。加えて、更なる本体部12の押込みにおいて、その弾圧部46の取付け管6の内壁への弾圧作用により取付け管6との中心保持がなされる。」(17頁7行~13行)
(7)「図1
[図:0001427938000004.jpg]
図2
[図:0001427938000005.jpg]
」
(8)「図7
[図:0001427938000006.jpg]
図8
[図:0001427938000007.jpg]
」
(9)上記(5)の記載事項及び(8)の図8の図示内容から、弾圧部46は、本体部12の基体部44より上下を含む複数の方向へ拡径するものと認められる。
以上の記載事項(1)~(6)、図示内容(7)~(8)及び認定事項(9)を総合すると、引用文献2には、以下の技術(以下、「引用文献2記載技術」という。)が記載されている。
(引用文献2記載技術)
「取付け管6の内面に本体部12との隙間を閉塞するためのスペーサー環31を備え、本体部12は、スペーサー環31を円筒体25の後部に嵌合装着して取付け管6に設置された状態時に、弾圧部46が本体部12の基体部44より上下を含む複数の方向へ拡径することにより、取付け管6の内面を弾圧し、本体部12の取付け管6内での位置保持をなす、逆止弁作用をなす流水弁を備えた装置。」
3 引用文献3について
(1)「[産業上の利用分野]
本考案は汚水が送られる取付ますと下水本管の如きもの間に架設される取付管内の陶管用防臭逆止弁に関するものである。」(明細書2頁4行~7行)
(2)「[実施例]
以下、本考案の実施例を図面に基づき説明する。
第1図に示す如く、中空管体2は内径d1φの中空パイプとこれより大きい内径d2φの中空パイプを偏心せしめて一体的に連結した中空管から形成される。
なお、内径d2φと内径d1φの連結部は上方側に段差δを形成し、下方側は面一に形成される。入口側の開口部13にはフランジ3が形成され、段差δ側の反対側にはフランジ3から更に部分的に突出する鍔4が形成される。また出口側の開口部12はその下方側が軸線方向(水の流れ方向)に伸延して傾斜する開口に形成される。パッキン5は中空管体2のフランジ3側の外周に接着される輪状体6とこれから半径方向に突出し、リング状に形成される可撓性リップ7から形成される。なおフランジ3は中空管体2からパッキン5が外れるのを防止するものであり鍔4は中空管体2を陶管19の入口端面に係止するためのものである。可撓性リップ7は輪状体6に対し偏心して形成され、一方側に最大のたわみ代を有する可撓性リップ7が形成されると共に、これと対峙する他方側(鍔4側)は可撓性リップが無く、輪状体6のみとなる。可撓性リップ7のリップ高さは中空管体2を陶管19内に挿入し、パッキン5の輪状体6を陶管19の下方内面に接触せしめた場合に、最大内径を有する陶管19に対しても可撓性リップ7端が圧接されると共に、最小内径の陶管19に対しても圧接力が過剰とならないような寸法に形成される。以上によりパッキン5を中空管体1に接着する場合、鍔4と対峙する側に最大たわみ代を有する可撓性リップ7がくるようになる。」(5頁12行~7頁5行)
(3)「開閉蓋8による開口部12の閉止と、パッキン5によるシールにより陶管19内と取付ます14とは遮断され、取付管20内の悪臭は取付ます14内に進入しない。」(明細書8頁14行~18行)
(4)「第3図
[図:0001427938000008.jpg]
」
4 引用文献4について
(1)「(55)【意匠に係る物品の説明】本物品は、主に排水管路あるいは排水桝の受口内に設置して使用する逆止弁である。」(1頁22行~23行)
(2)「【図面】
【正面図】
[図:0001427938000009.jpg]
【平面図】
[図:0001427938000010.jpg]
【右側面図】
[図:0001427938000011.jpg]
【左側面図】
[図:0001427938000012.jpg]
【底面図】
[図:0001427938000013.jpg]
【A-A断面図】
[図:0001427938000014.jpg]
(3)上記(1)の記載事項、(2)の図示内容及び排水管路あるいは排水桝の受口内に設置して使用する逆止弁の技術常識から、引用文献4の(2)【A-A断面図】に基づいた以下の参考図2に図示したような各部材を有する逆止弁が記載されていると認められる。
(参考図2)
[図:0001427938000015.jpg]
(4)上記(1)の記載事項、(3)の認定事項及び排水管路あるいは排水桝の受口内に設置して使用する逆止弁の技術常識から、以下の事項が記載されていると認められる。
ア 装置本体が、受口内に設置され、弁座部を有すること。
イ 弁体が、装置本体に回動可能に設けられ、弁座部に対して接離すること。
ウ 弾性体が、受口内の内周面に装置本体を取り付けるためのものであること。
エ 通常使用時には弁体と弁座部との間に隙間が存在し、逆流時には当該隙間がなくなること。
オ 弁体が、装置本体に回動可能に設けられた弁部材と、前記弁部材の外周端部に取り付けられ、前記装置本体の弁座部に対して接離する弾性部材とを有すること。
(5)上記(2)の【A-A断面図】の図示内容の一部の拡大図を以下に参考図3として示す。
そして、排水管路あるいは排水桝の受口内に設置して使用する逆止弁の技術常識から、以下の参考図3に示すように、弁体は、弁座部に接離する環状の接触部(面)と、前記接触部(面)の下流側に連接された断面コ字状をなす環状のコ字状取付部を有するものと認められる。
(参考図3)
[図:0001427938000016.jpg]
以上の記載事項(1)、図示内容(2)及び認定事項(3)~(5)を総合すると、引用文献4には、以下の発明(以下、「引用発明4」という。)が記載されている。
(引用発明4)
「排水桝の受口内に設置して使用する逆止弁であって、
前記受口内に設置され、弁座部を有する装置本体と、
前記装置本体に回動可能に設けられ、前記弁座部に対して接離する弁体と、
前記受口内の内周面に前記装置本体を取り付けるための弾性体とを備え、
前記弁体は、
前記装置本体に回動可能に設けられた弁部材と、
前記弁部材の外周端部に取り付けられ、前記装置本体の前記弁座部に対して接離する弾性部材とを有し、
前記弾性部材は、
前記弁座部に接離する環状の接触部(面)と、
前記接触部(面)の下流側に連接された断面コ字状をなす環状のコ字状取付部を有し、
通常使用時には前記弁体と前記弁座部との間に隙間が存在し、逆流時には当該隙間がなくなる
逆止弁。」
5 引用文献1を主引用文献とする場合
(1)本件発明3について
ア 対比
本件発明3と引用発明1とを対比すると、後者の「流入側接続管8を備えた排水ます1」は前者の「被取付部」に相当し、以下同様に、
「取り付けられる」態様は「取り付けられて使用される」態様に、
「逆流防止弁2」は「逆流防止装置」に、
「開口端(面)41」は「弁座部」に、
「弁管4及びフランジ部3」、「弁管4」及び「フランジ部3」は「装置本体」に、
「揺動自在に軸支され」る態様は「回動可能に設けられ」る態様に、
「前記開口端(面)41を開閉するための」という態様は「前記弁座部に対して接離する」態様に、「弁体5」は「弁体」に、それぞれ相当する。
後者の「固定フランジ32」は、フランジ部3の外周面のうち、少なくとも上側及び下側を含む全周に形成されると認められる。また、固定フランジ部32が流入側接続管8の軸方向と弁管4の軸方向との上下方向の傾きを防止することが明らかである。
してみると、後者の「前記流入側接続管8の内部へ前記フランジ部3の固定フランジ32を挿入し、前記フランジ部3は、前記流入側接続管8の内部へ挿入することにより、前記排水ます1の内壁面16にガタ付きを抑えて固着させることができる固定フランジ32を有」する態様は、
前者の「前記被取付部の内周面に前記装置本体を取り付けるための弾性体とを備え、前記装置本体は、前記弾性体を介して前記被取付部の内周面に取り付けられた状態時に、前記被取付部の軸方向と前記装置本体の軸方向との上下方向の傾きを防止するように前記装置本体の姿勢を維持する姿勢維持用凸部を外周面に有し、前記姿勢維持用凸部は、前記装置本体の外周面のうち、少なくとも上側及び下側に形成され、前記下側の姿勢維持用凸部は、前記装置本体が前記弾性体を介して前記被取付部の内周面に取り付けられた場合に桝の内底面に当接する当接面を有」する態様と、
「装置本体は、被取付部の内周面に取り付けられた状態時に、被取付部の軸方向と装置本体の軸方向との上下方向の傾きを防止するように装置本体の姿勢を維持する姿勢維持部を外周面に有し、姿勢維持部は、装置本体の外周面のうち、少なくとも上側及び下側に形成される」という限りにおいて一致する。
そして、後者の「通常の状態において、前記開口端(面)41を開口しており、逆フローの排水の流れに対して、前記弁体5が前記開口端(面)41を塞ぐように作動する」態様は前者の「通常使用時には前記弁体と前記弁座部との間に隙間が存在し、逆流時には当該隙間がなくなる」態様に相当する。
すると、両者は以下の点で一致する。
[一致点3-1]
「被取付部に取り付けられて使用される逆流防止装置であって、
前記被取付部に取り付けられ、弁座部を有する装置本体と、
前記装置本体に回動可能に設けられ、前記弁座部に対して接離する弁体と、
前記装置本体は、前記被取付部の内周面に取り付けられた状態時に、前記被取付部の軸方向と前記装置本体の軸方向との上下方向の傾きを防止するように前記装置本体の姿勢を維持する姿勢維持部を外周面に有し、
前記姿勢維持部は、前記装置本体の外周面のうち、少なくとも上側及び下側に形成され、
通常使用時には前記弁体と前記弁座部との間に隙間が存在し、逆流時には当該隙間がなくなる逆流防止装置。」
そして、以下の点で相違する。
[相違点3-1]
装置本体は、被取付部の内周面に取り付けられた状態時に、被取付部の軸方向と装置本体の軸方向との上下方向の傾きを防止するように装置本体の姿勢を維持する姿勢維持部を外周面に有し、姿勢維持部は、装置本体の外周面のうち、少なくとも上側及び下側に形成されることに関し、
前者は「前記被取付部の内周面に前記装置本体を取り付けるための弾性体」「を備え、前記装置本体は、前記弾性体を介して前記被取付部の内周面に取り付けられた状態時に、前記被取付部の軸方向と前記装置本体の軸方向との上下方向の傾きを防止するように前記装置本体の姿勢を維持する姿勢維持用凸部を外周面に有し、前記姿勢維持用凸部は、前記装置本体の外周面のうち、少なくとも上側及び下側に形成され、前記下側の姿勢維持用凸部は、前記装置本体が前記弾性体を介して前記被取付部の内周面に取り付けられた場合に桝の内底面に当接する当接面を有」するのに対し、
後者は、被取付部の内周面に装置本体を取り付けるための弾性体を備えておらず、姿勢維持部は、「固定フランジ32」であって、下側の「固定フランジ32」は、装置本体が弾性体を介して被取付部の内周面に取り付けられた場合に桝の内底面に当接する当接面を有するものではない点。
イ 判断
相違点3-1について検討する。
逆流防止装置において、被取付部の内周面に装置本体を取り付けるための弾性体を備えることは、引用文献2(特に、上記2(2)、(4)、(5)、(7)の図2、(8)の図7参照。)、引用文献3(特に、上記3(1)~(4)参照。)、引用文献4(特に、上記4(1)、(3)参照。)に、それぞれみられるように周知技術(以下、「周知技術1」という。)である。
上記2に記載したように、引用文献2には、以下の引用文献2記載技術が記載されている。
「取付け管6の内面に本体部12との隙間を閉塞するためのスペーサー環31を備え、本体部12は、スペーサー環31を円筒体25の後部に嵌合装着して取付け管6に設置された状態時に、弾圧部46が本体部12の基体部44より上下を含む複数の方向へ拡径することにより、取付け管6の内面を弾圧し、本体部12の取付け管6内での位置保持をなす、逆止弁作用をなす流水弁を備えた装置。」
引用文献2記載技術のスペーサー環31は、取付け管6内に本体部12を取り付けるための弾性体であるといえる。また、引用文献2記載技術の弾圧部46は、取付け管6の軸方向と流水弁を備えた本体部12の軸方向との上下方向の傾きを防止する姿勢維持用凸部であるといえる。そして、下側の弾圧部46は、本体部12がスペーサー環31を介して取付け管6内に取り付けられた場合に取付け管6の内底面に当接する当接面を有しているといえる。
しかしながら、下側の姿勢維持用凸部が、装置本体が弾性体を介して被取付部の内周面に取り付けられた場合に桝の内底面に当接する当接面を有する点は、引用文献2だけでなく、引用文献3、4にも記載も示唆もされておらず、周知技術であると認めるに足る証拠もない。
してみると、引用発明1に引用文献2記載技術及び周知技術1を組み合わせたとしても、本件発明3の相違点3-1に係る発明特定事項のように構成することは、当業者が容易に想到することができたものということはできない。
よって、本件発明3は、引用発明1、引用文献2記載技術及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本件発明5について
ア 対比
本件発明5と引用発明1とを対比すると、
後者の「流入側接続管8を備えた排水ます1」は前者の「被取付部」に相当し、以下同様に、
「取り付けられる」態様は「取り付けられて使用される」態様に、
「逆流防止弁2」は「逆流防止装置」に、
「開口端(面)41」は「弁座部」に、
「弁管4及びフランジ部3」、「弁管4」及び「フランジ部3」は「装置本体」に、
「揺動自在に軸支され」る態様は「回動可能に設けられ」る態様に、
「前記開口端(面)41を開閉するための」という態様は「前記弁座部に対して接離する」態様に、
「弁体5」は「弁体」に、
「下流側壁面部51と上流側壁面部52」は「前記装置本体に回動可能に設けられた弁部材」に、
「前記下流側壁面部51と上流側壁面部52の外周部に前記弁管4の前記開口端(面)41に接触する弾性部材を有し」という態様は「前記弁部材の外周端部に取り付けられ、前記装置本体の前記弁座部に対して接離する弾性部材とを有し」という態様に、
「前記開口端(面)41に接触する」態様は「前記弁座部に接離する」態様に、それぞれ相当する。
そして、後者の「環状の弾性部」と前者の「断面コ字状をなす環状の取付部」とは、「環状の部材」という限りにおいて一致する。
後者の「固定フランジ32」は、フランジ部3の外周面のうち、下側を含む全周に形成されると認められる。また、固定フランジ部32が流入側接続管8の軸方向と弁管4の軸方向との上下方向の傾きを防止することが明らかである。
してみると、後者の「前記流入側接続管8の内部へ前記フランジ部3の固定フランジ32を挿入し、前記フランジ部3は、前記流入側接続管8の内部へ挿入することにより、前記排水ます1の内壁面16にガタ付きを抑えて固着させることができる固定フランジ32を有」する態様は、
前者の「前記被取付部の内周面に前記装置本体を取り付けるための弾性体とを備え、前記装置本体は、前記弾性体を介して前記被取付部の内周面に取り付けられた状態時に、前記被取付部の軸方向と前記装置本体の軸方向との上下方向の傾きを防止するように前記装置本体の姿勢を維持する姿勢維持用凸部を外周面の下側に有し、前記下側の姿勢維持用凸部は、前記装置本体が前記弾性体を介して前記被取付部の内周面に取り付けられた場合に桝の内底面に当接する当接面を有」する態様と、
「前記装置本体は、前記被取付部の内周面に取り付けられた状態時に、前記被取付部の軸方向と前記装置本体の軸方向との上下方向の傾きを防止するように前記装置本体の姿勢を維持する姿勢維持部を外周面の下側に有」するという限りにおいて一致する。
すると、両者は、以下の点で一致する。
[一致点5-1]
「被取付部に取り付けられて使用される逆流防止装置であって、
前記被取付部に取り付けられ、弁座部を有する装置本体と、
前記装置本体に回動可能に設けられ、前記弁座部に対して接離する弁体と、
前記装置本体は、前記被取付部の内周面に取り付けられた状態時に、前記被取付部の軸方向と前記装置本体の軸方向との上下方向の傾きを防止するように前記装置本体の姿勢を維持する姿勢維持部を外周面の下側に有し、
前記弁体は、
前記装置本体に回動可能に設けられた弁部材と、
前記弁部材の外周端部に取り付けられ、前記装置本体の前記弁座部に対して接離する弾性部材とを有し、
前記弾性部材は、
前記弁座部に接離する環状の接触部と、
前記接触部の下流側に連設された環状の部材とを有し、
通常使用時には前記弁体と前記弁座部との間に隙間が存在し、逆流時には当該隙間がなくなる逆流防止装置。」
そして、以下の点で相違する。
[相違点5-1]
「前記装置本体は、前記被取付部の内周面に取り付けられた状態時に、前記被取付部の軸方向と前記装置本体の軸方向との上下方向の傾きを防止するように前記装置本体の姿勢を維持する姿勢維持部を外周面の下側に有」することに関し、
前者は「前記被取付部の内周面に前記装置本体を取り付けるための弾性体」「を備え、前記装置本体は、前記弾性体を介して前記被取付部の内周面に取り付けられた状態時に、前記被取付部の軸方向と前記装置本体の軸方向との上下方向の傾きを防止するように前記装置本体の姿勢を維持する姿勢維持用凸部を外周面の下側に有し、前記下側の姿勢維持用凸部は、前記装置本体が前記弾性体を介して前記被取付部の内周面に取り付けられた場合に桝の内底面に当接する当接面を有」するのに対し、
後者は、被取付部の内周面に装置本体を取り付けるための弾性体を備えておらず、姿勢維持部は、「固定フランジ32」であって、下側の「固定フランジ32」は、装置本体が弾性体を介して被取付部の内周面に取り付けられた場合に桝の内底面に当接する当接面を有するものではない点。
[相違点5-2]
環状の部材に関し、本件発明5は、「断面コ字状をなす環状の取付部」であるのに対し、引用発明1-2は、そのように構成されていない点。
イ 判断
事案に鑑み、まず相違点5-1について検討する。
上記(1)イに記載したように、逆流防止装置において、被取付部の内周面に装置本体を取り付けるための弾性体を備えることは、引用文献2(特に、上記2(2)、(4)、(5)、(7)の図2、(8)の図7参照。)、引用文献3(特に、上記3(1)~(4)参照。)、引用文献4(特に、上記4(1)、(3)参照。)に、それぞれみられるように周知技術(周知技術1)である。
上記2に記載したように、引用文献2には、以下の引用文献2記載技術が記載されている。
「取付け管6の内面に本体部12との隙間を閉塞するためのスペーサー環31を備え、本体部12は、スペーサー環31を円筒体25の後部に嵌合装着して取付け管6に設置された状態時に、弾圧部46が本体部12の基体部44より上下を含む複数の方向へ拡径することにより、取付け管6の内面を弾圧し、本体部12の取付け管6内での位置保持をなす、逆止弁作用をなす流水弁を備えた装置。」
引用文献2記載技術のスペーサー環31は、取付け管6内に本体部12を取り付けるための弾性体であるといえる。また、引用文献2記載技術の弾圧部46は、取付け管6の軸方向と流水弁を備えた本体部12の軸方向との上下方向の傾きを防止する姿勢維持用凸部であるといえる。そして、下側の弾圧部46は、本体部12がスペーサー環31を介して取付け管6内に取り付けられた場合に取付け管6の内底面に当接する当接面を有しているといえる。
しかしながら、下側の姿勢維持用凸部が、装置本体が弾性体を介して被取付部の内周面に取り付けられた場合に桝の内底面に当接する当接面を有する点は、引用文献2だけでなく、引用文献3、4にも記載も示唆もされておらず、周知技術であると認めるに足る証拠もない。
してみると、引用発明1に引用文献2記載技術及び周知技術1を組み合わせたとしても、本件発明5の相違点5-1に係る発明特定事項のように構成することは、当業者が容易に想到することができたものということはできない。
よって、本件発明5は、引用発明1、引用文献2記載技術及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
6 引用文献4を主引用文献とする場合
(1)本件発明3について
ア 対比
本件発明3と引用発明4とを対比すると、後者の「排水桝の受口内」は前者の「被取付部」に相当し、以下同様に、
「設置して使用する」態様は「取り付けられて使用される」態様に、
「逆止弁」は「逆流防止装置」に、
「設置され」る態様は「取り付けられ」る態様に、それぞれ相当する。
すると、両者は以下の点で一致する。
[一致点3-2]
「被取付部に取り付けられて使用される逆流防止装置であって、
前記被取付部に取り付けられ、弁座部を有する装置本体と、
前記装置本体に回動可能に設けられ、前記弁座部に対して接離する弁体と、
前記被取付部の内周面に前記装置本体を取り付けるための弾性体とを備え、
通常使用時には前記弁体と前記弁座部との間に隙間が存在し、逆流時には当該隙間がなくなる逆流防止装置。」
そして、以下の点で相違する。
[相違点3-2]
本件発明3の装置本体は、「前記弾性体を介して前記被取付部の内周面に取り付けられた状態時に、前記被取付部の軸方向と前記装置本体の軸方向との傾きを防止するように前記装置本体の姿勢を維持する姿勢維持用凸部を外周面に有し、前記姿勢維持用凸部は、前記装置本体の外周面のうち、少なくとも上側及び下側に形成され、前記下側の姿勢維持用凸部は、前記装置本体が前記弾性体を介して前記被取付部の内周面に取り付けられた場合に桝の内底面に当接する当接面を有」するのに対し、引用発明4は、そのような構成を有していない点。
イ 判断
上記相違点3-2について、以下検討する。
上記2に記載したように、引用文献2には、以下の引用文献2記載技術が記載されている。
「取付け管6の内面に本体部12との隙間を閉塞するためのスペーサー環31を備え、本体部12は、スペーサー環31を円筒体25の後部に嵌合装着して取付け管6に設置された状態時に、弾圧部46が本体部12の基体部44より上下を含む複数の方向へ拡径することにより、取付け管6の内面を弾圧し、本体部12の取付け管6内での位置保持をなす、逆止弁作用をなす流水弁を備えた装置。」
引用文献2記載技術のスペーサー環31は、取付け管6内に本体部12を取り付けるための弾性体であるといえる。また、引用文献2記載技術の弾圧部46は、取付け管6の軸方向と流水弁を備えた本体部12の軸方向との上下方向の傾きを防止する姿勢維持用凸部であるといえ、本体部12の外周面のうち、少なくとも上側及び下側に形成されている。そして、下側の弾圧部46は、本体部12がスペーサー環31を介して取付け管6内に取り付けられた場合に取付け管6の内底面に当接する当接面を有しているといえる。
しかしながら、下側の姿勢維持用凸部が、装置本体が弾性体を介して被取付部の内周面に取り付けられた場合に桝の内底面に当接する当接面を有する点は、引用文献2だけでなく、引用文献1、3にも記載も示唆もされておらず、周知技術であると認めるに足る証拠もない。
してみると、引用発明4に引用文献2記載技術を組み合わせたとしても、本件発明3の相違点3-2に係る発明特定事項のように構成することは、当業者が容易に想到することができたものということはできない。
よって、本件発明3は、引用発明4及び引用文献2記載技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本件発明5について
ア 対比
本件発明5と引用発明4とを対比すると、後者の「排水桝の受口内」は前者の「被取付部」に相当し、以下同様に、
「設置して使用する」態様は「取り付けられて使用される」態様に、
「逆止弁」は「逆流防止装置」に、
「設置され」る態様は「取り付けられ」る態様に、それぞれ相当する。
そして、後者の「接触部(面)」と前者の「接触部」とは、「接触する部分」という限りにおいて一致する。
すると、両者は、以下の点で一致する。
[一致点5-2]
「被取付部に取り付けられて使用される逆流防止装置であって、
前記被取付部に取り付けられ、弁座部を有する装置本体と、
前記装置本体に回動可能に設けられ、前記弁座部に対して接離する弁体と、
前記被取付部の内周面に前記装置本体を取り付けるための弾性体とを備え、
前記弁体は、
前記装置本体に回動可能に設けられた弁部材と、
前記弁部材の外周端部に取り付けられ、前記装置本体の前記弁座部に対して接離する弾性部材とを有し、
前記弾性部材は、
前記弁座部に接離する環状の接触する部分と、
前記接触部の下流側に連設された断面コ字状をなす環状の取付部とを有し、
通常使用時には前記弁体と前記弁座部との間に隙間が存在し、逆流時には当該隙間がなくなる逆流防止装置。」
そして、以下の点で相違する。
[相違点5-3]
本件発明5の装置本体は、「前記弾性体を介して前記被取付部の内周面に取り付けられた状態時に、前記被取付部の軸方向と前記装置本体の軸方向との傾きを防止するように前記装置本体の姿勢を維持する姿勢維持用凸部を外周面の下側に有し、前記下側の姿勢維持用凸部は、「前記装置本体が前記弾性体を介して前記被取付部の内周面に取り付けられた場合に桝の内底面に当接する当接面を有」するのに対し、引用発明4は、そのような構成を有していない点。
[相違点5-4]
接触する部分に関し、本件発明5は、「接触部」であるのに対し、引用発明4は、実質的に接触する面である点。
イ 判断
事案に鑑み、まず相違点5-3について検討する。
上記2に記載したように、引用文献2には、以下の引用文献2記載技術が記載されている。
「取付け管6の内面に本体部12との隙間を閉塞するためのスペーサー環31を備え、本体部12は、スペーサー環31を円筒体25の後部に嵌合装着して取付け管6に設置された状態時に、弾圧部46が本体部12の基体部44より上下を含む複数の方向へ拡径することにより、取付け管6の内面を弾圧し、本体部12の取付け管6内での位置保持をなす、逆止弁作用をなす流水弁を備えた装置。」
引用文献2記載技術のスペーサー環31は、取付け管6内に本体部12を取り付けるための弾性体であるといえる。また、引用文献2記載技術の弾圧部46は、取付け管6の軸方向と流水弁を備えた本体部12の軸方向との上下方向の傾きを防止する姿勢維持用凸部であるといえ、本体部12の外周面のうち、下側にも形成されている。そして、下側の弾圧部46は、本体部12がスペーサー環31を介して取付け管6内に取り付けられた場合に取付け管6の内底面に当接する当接面を有しているといえる。
しかしながら、下側の姿勢維持用凸部が、装置本体が弾性体を介して被取付部の内周面に取り付けられた場合に桝の内底面に当接する当接面を有する点は、引用文献2だけでなく、引用文献1、3にも記載も示唆もされておらず、周知技術であると認めるに足る証拠もない。
してみると、引用発明4に引用文献2記載技術を組み合わせたとしても、本件発明5の相違点5-3に係る発明特定事項のように構成することは、当業者が容易に想到することができたものということはできない。
よって、本件発明5は、引用発明4及び引用文献2記載技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
7 申立人の意見について
申立人は、令和7年3月12日提出の意見書において、「しかし、引用文献2(甲第2号証)には、下側の弾圧部46(本件訂正発明1の「下側の姿勢維持用凸部」に相当。)は、本体部12(本件訂正発明1の「装置本体」に相当。)がスペーサー環31(本件訂正発明1の「弾性体」に相当。)を介して取付け管6(本件訂正発明1の「被取付部である流入管7」に相当。)の内周面に取り付けられた場合に取付け管6の内底面に当接する当接面を有しているという構成が記載されている(引用文献2の明細書第15頁第5行-第26行目および図2、7、8)。
また、公共枡などの排水枡の分野において、例えば引用文献5(参考資料1)の図1、12、14に示されているように、排水の流れをスムーズにするために公共枡本体1の流入側接続口2の内底面(本件訂正発明1の「桝の内底面」に相当。)の全部または一部を、流入側接続管12(本件訂正発明1の「被取付部である流入管7」に相当。)の内底面と同一レベルに接続することは周知技術である。
そうすると、引用文献2に記載の本体部12を、スペーサー環31を介して、引用文献5に示されているような、桝の内底部が流入管7(被取付部)の内底部と同一レベルである被取付部に取り付ければ、下側の弾圧部46は、本件訂正発明1と同様にスペーサー環31と同一レベルで本体部12の外周面の下側に形成されているので、桝の内底面に当接することは自明である。
このように、引用文献2に記載の下側の弾圧部46が「取付け管6」の内底面に当接するか、または「枡」の内底面に当接するかは、本体部12が取り付けられる桝の構成により定まるものであるので、両者の間に実質的な差異はない。」と主張する。
しかしながら、申立人から、下側の姿勢維持用凸部が、装置本体が弾性体を介して被取付部の内周面に取り付けられた場合に桝の内底面に当接する当接面を有することが開示された証拠は提出されていない。また、「引用文献2に記載の下側の弾圧部46が「取付け管6」の内底面に当接するか、または「枡」の内底面に当接するかは、本体部12が取り付けられる桝の構成により定まるものであるので、両者の間に実質的な差異はない。」との主張についても、引用文献2に「下側の弾圧部46が」「「枡」の内底面に当接する」ことは記載も示唆もされておらず、根拠を有する主張であるとは認められない。
よって、申立人の上記主張は、採用することができない。
8 小括
以上より、本件発明3及び5は、引用発明1、引用文献2記載技術及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。また、本件発明3及び5は、引用発明4及び引用文献2記載技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
第7 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
1 特許異議申立理由の内容
特許異議申立人は、特許異議申立書において、甲第1号証(引用文献1)、甲第2号証(引用文献2)、甲第3号証(引用文献3)、甲第4号証(引用文献4)、甲第5-9号証を提出し、請求項1、2、4及び6に係る特許は、甲第1号証、甲第2号証及び甲第3号証に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、また、甲第4号証、甲第1号証、甲第2号証及び甲第3号証に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、請求項1、2、4及び6に係る特許を取り消すべきものである旨主張する。
2 引用文献1を主引用文献とする場合
(1)本件発明1について
本件発明1と引用発明1とを対比すると、少なくとも上記第6 5(2)アの相違点5-1において相違する。
そして、相違点5-1についての判断は、上記第6 5(2)イにおいて示したとおりである。
よって、本件発明1は、引用発明1、引用文献2記載技術及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本件発明2について
本件発明2と引用発明1とを対比すると、少なくとも上記第6 5(1)アの相違点3-1において相違する。
そして、相違点3-1についての判断は、上記第6 5(1)イにおいて示したとおりである。
よって、本件発明2は、引用発明1、引用文献2記載技術及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)本件発明4について
ア 対比
本件発明4と引用発明1とを対比すると、後者の「流入側接続管8を備えた排水ます1」は前者の「被取付部」に相当し、以下同様に、
「取り付けられる」態様は「取り付けられて使用される」態様に、
「逆流防止弁2」は「逆流防止装置」に、
「開口端(面)41」は「弁座部」に、
「弁管4及びフランジ部3」、「弁管4」及び「フランジ部3」は「装置本体」に、
「揺動自在に軸支され」る態様は「回動可能に設けられ」る態様に、
「前記開口端(面)41を開閉するための」という態様は「前記弁座部に対して接離する」態様に、
「弁体5」は「弁体」に、それぞれ相当する。
後者の「固定フランジ32」は、フランジ部3の外周面のうち、少なくとも上側及び下側を含む全周に形成されると認められる。また、固定フランジ部32が流入側接続管8の軸方向と弁管4の軸方向との上下方向の傾きを防止することが明らかである。
してみると、後者の「前記流入側接続管8の内部へ前記フランジ部3の固定フランジ32を挿入し、前記フランジ部3は、前記流入側接続管8の内部へ挿入することにより、前記排水ます1の内壁面16にガタ付きを抑えて固着させることができる固定フランジ32を有」する態様は、
前者の「前記被取付部の内周面に前記装置本体を取り付けるための弾性体とを備え、前記装置本体は、前記弾性体を介して前記被取付部の内周面に取り付けられた状態時に、前記被取付部の軸方向と前記装置本体の軸方向との上下方向の傾きを防止するように前記装置本体の姿勢を維持する姿勢維持用凸部を外周面に有し、前記姿勢維持用凸部は、前記装置本体の外周面のうち、少なくとも上側及び下側に形成され、前記下側の姿勢維持用凸部は、前記上側の姿勢維持用凸部よりも下流側に位置し、前記下側の姿勢維持用凸部の下流側の端面は、前記装置本体の前記弁座部の一部を構成」する態様と、
装置本体は、被取付部の内周面に取り付けられた状態時に、被取付部の軸方向と装置本体の軸方向との上下方向の傾きを防止するように装置本体の姿勢を維持する姿勢維持部を外周面に有し、姿勢維持部は、装置本体の外周面のうち、少なくとも上側及び下側に形成されるという限りにおいて一致する。
そして、後者の「通常の状態において、前記開口端(面)41を開口しており、逆フローの排水の流れに対して、前記弁体5が前記開口端(面)41を塞ぐように作動する」態様は前者の「通常使用時には前記弁体と前記弁座部との間に隙間が存在し、逆流時には当該隙間がなくなる」態様に相当する。
すると、両者は以下の点で一致する。
[一致点4-1]
「被取付部に取り付けられて使用される逆流防止装置であって、
前記被取付部に取り付けられ、弁座部を有する装置本体と、
前記装置本体に回動可能に設けられ、前記弁座部に対して接離する弁体と、
前記装置本体は、前記被取付部の内周面に取り付けられた状態時に、前記被取付部の軸方向と前記装置本体の軸方向との上下方向の傾きを防止するように前記装置本体の姿勢を維持する姿勢維持部を外周面に有し、
前記姿勢維持部は、前記装置本体の外周面のうち、少なくとも上側及び下側に形成され、
通常使用時には前記弁体と前記弁座部との間に隙間が存在し、逆流時には当該隙間がなくなる逆流防止装置。」
そして、以下の点で相違する。
[相違点4-1]
前記装置本体は、前記被取付部の内周面に取り付けられた状態時に、前記被取付部の軸方向と前記装置本体の軸方向との上下方向の傾きを防止するように前記装置本体の姿勢を維持する姿勢維持部を外周面に有し、前記姿勢維持部は、前記装置本体の外周面のうち、少なくとも上側及び下側に形成されることに関し、
前者は「前記被取付部の内周面に前記装置本体を取り付けるための弾性体」「を備え、前記装置本体は、前記弾性体を介して前記被取付部の内周面に取り付けられた状態時に、前記被取付部の軸方向と前記装置本体の軸方向との上下方向の傾きを防止するように前記装置本体の姿勢を維持する姿勢維持用凸部を外周面に有し、前記姿勢維持用凸部は、前記装置本体の外周面のうち、少なくとも上側及び下側に形成され、前記下側の姿勢維持用凸部は、前記上側の姿勢維持用凸部よりも下流側に位置し、前記下側の姿勢維持用凸部の下流側の端面は、前記装置本体の前記弁座部の一部を構成」するのに対し、
後者は、前記被取付部の内周面に前記装置本体を取り付けるための弾性体を備えておらず、姿勢維持部は、「固定フランジ32」であって、下側の「固定フランジ32」は、上側の「固定フランジ32」よりも下流側に位置しておらず、下側の「固定フランジ32」の下流側の端面は、装置本体の弁座部の一部を構成するものではない点。
イ 判断
相違点4-1について検討する。
上記第6 5(1)イに記載したように、逆流防止装置において、被取付部の内周面に装置本体を取り付けるための弾性体を備えることは、引用文献2(特に、上記2(2)、(4)、(5)、(7)の図2、(8)の図7参照。)、引用文献3(特に、上記3(1)~(4)参照。)、引用文献4(特に、上記4(1)、(3)参照。)に、それぞれみられるように周知技術(周知技術1)である。
上記第6 2に記載したように、引用文献2には、以下の引用文献2記載技術が記載されている。
「取付け管6の内面に本体部12との隙間を閉塞するためのスペーサー環31を備え、本体部12は、スペーサー環31を円筒体25の後部に嵌合装着して取付け管6に設置された状態時に、弾圧部46が本体部12の基体部44より上下を含む複数の方向へ拡径することにより、取付け管6の内面を弾圧し、本体部12の取付け管6内での位置保持をなす、逆止弁作用をなす流水弁を備えた装置。」
引用文献2記載技術のスペーサー環31は、取付け管6内に本体部12を取り付けるための弾性体であるといえる。また、引用文献2記載技術の弾圧部46は、取付け管6の軸方向と流水弁を備えた本体部12の軸方向との上下方向の傾きを防止する姿勢維持用凸部であるといえる。
しかしながら、下側の姿勢維持用凸部は、上側の姿勢維持用凸部よりも下流側に位置し、下側の姿勢維持用凸部の下流側の端面は、装置本体の弁座部の一部を構成する点は、引用文献2だけでなく、引用文献3、4にも記載も示唆もされておらず、周知技術であると認めるに足る証拠もない。
してみると、引用発明1に引用文献2記載技術及び周知技術1を組み合わせたとしても、本件発明4の相違点4-1に係る発明特定事項のように構成することは、当業者が容易に想到することができたものということはできない。
よって、本件発明4は、引用発明1、引用文献2記載技術及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(4)本件発明6について
本件発明6と引用発明1とを対比すると、少なくとも上記第6 5(2)アの相違点5-1において相違する。
そして、相違点5-1についての判断は、上記第6 5(2)イにおいて示したとおりである。
よって、本件発明1は、引用発明1、引用文献2記載技術及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
3 引用文献4を主引用文献とする場合
(1)本件発明1について
本件発明1と引用発明4とを対比すると、少なくとも上記第6 6(2)アの相違点5-3において相違する。
そして、相違点5-3についての判断は、上記第6 6(2)イにおいて示したとおりである。
よって、本件発明1は、引用発明4及び引用文献2記載技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本件発明2について
本件発明2と引用発明4とを対比すると、少なくとも上記第6 6(1)アの相違点3-2において相違する。
そして、相違点3-2についての判断は、上記第6 6(1)イにおいて示したとおりである。
よって、本件発明2は、引用発明4及び引用文献2記載技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)本件発明4について
ア 対比
本件発明4と引用発明4とを対比すると、後者の「排水桝の受口内」は前者の「被取付部」に相当し、以下同様に、
「設置して使用する」態様は「取り付けられて使用される」態様に、
「逆止弁」は「逆流防止装置」に、
「設置され」る態様は「取り付けられ」る態様に、それぞれ相当する。
すると、両者は以下の点で一致する。
[一致点4-2]
「被取付部に取り付けられて使用される逆流防止装置であって、
前記被取付部に取り付けられ、弁座部を有する装置本体と、
前記装置本体に回動可能に設けられ、前記弁座部に対して接離する弁体と、
前記被取付部の内周面に前記装置本体を取り付けるための弾性体とを備え、
通常使用時には前記弁体と前記弁座部との間に隙間が存在し、逆流時には当該隙間がなくなる逆流防止装置。」
そして、以下の点で相違する。
[相違点4-2]
本件発明4の装置本体は、「前記装置本体は、前記弾性体を介して前記被取付部の内周面に取り付けられた状態時に、前記被取付部の軸方向と前記装置本体の軸方向との上下方向の傾きを防止するように前記装置本体の姿勢を維持する姿勢維持用凸部を外周面に有し、前記姿勢維持用凸部は、前記装置本体の外周面のうち、少なくとも上側及び下側に形成され、前記下側の姿勢維持用凸部は、前記上側の姿勢維持用凸部よりも下流側に位置し、前記下側の姿勢維持用凸部の下流側の端面は、前記装置本体の前記弁座部の一部を構成」するのに対し、引用発明4は、そのような構成を有していない点。
イ 判断
上記相違点4-2について、以下検討する。
上記第6 2に記載したように、引用文献2には、以下の引用文献2記載技術が記載されている。
「取付け管6の内面に本体部12との隙間を閉塞するためのスペーサー環31を備え、本体部12は、スペーサー環31を円筒体25の後部に嵌合装着して取付け管6に設置された状態時に、弾圧部46が本体部12の基体部44より上下を含む複数の方向へ拡径することにより、取付け管6の内面を弾圧し、本体部12の取付け管6内での位置保持をなす、逆止弁作用をなす流水弁を備えた装置。」
引用文献2記載技術のスペーサー環31は、取付け管6内に本体部12を取り付けるための弾性体であるといえる。また、引用文献2記載技術の弾圧部46は、取付け管6の軸方向と流水弁を備えた本体部12の軸方向との上下方向の傾きを防止する姿勢維持用凸部であるといえ、本体部12の外周面のうち、少なくとも上側及び下側に形成されている。
しかしながら、下側の姿勢維持用凸部は、上側の姿勢維持用凸部よりも下流側に位置し、下側の姿勢維持用凸部の下流側の端面は、装置本体の弁座部の一部を構成する点は、引用文献2だけでなく、引用文献1、3にも記載も示唆もされておらず、周知技術であると認めるに足る証拠もない。
してみると、引用発明4に引用文献2記載技術を組み合わせたとしても、本件発明4の相違点4-2に係る発明特定事項のように構成することは、当業者が容易に想到することができたものということはできない。
よって、本件発明4は、引用発明4及び引用文献2記載技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(4)本件発明6について
本件発明6と引用発明4とを対比すると、少なくとも上記第6 6(2)アの相違点5-3において相違する。
そして、相違点5-3についての判断は、上記第6 6(2)イにおいて示したとおりである。
よって、本件発明6は、引用発明4及び引用文献2記載技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
4 申立人の意見について
本件発明1、2及び6に関する申立人の意見については、上記第6 7において示したとおり、採用することができない。
申立人は、令和7年3月12日提出の意見書において、本件発明4に関し、「そのため、上側の姿勢維持用凸部33aは、本質的に下側の姿勢維持用凸部33bの配置から制約を受けることなく、本体装置の外周に自由に設けることができるものである。
それゆえ、上側の姿勢維持用凸部33aを本体装置の外周に設けることに特段の困難性はなく、本件訂正発明4において、案内環30の下側の弾圧片46a(本件訂正発明4の「下側の姿勢維持用凸部」に相当。)を案内環30の上側の弾圧片46a(本件訂正発明4の「上側の姿勢維持用凸部」に相当。)よりも下流側に配置し、下側の弾圧片46aの下流側の端面が、甲4発明の弁管の開口端(面)の一部を構成するように配置することは、当業者であれば適宜なし得る設計的事項である。」と主張する。
しかしながら、申立人から、下側の姿勢維持用凸部は、上側の姿勢維持用凸部よりも下流側に位置し、下側の姿勢維持用凸部の下流側の端面は、装置本体の弁座部の一部を構成することが開示された証拠は提出されていない。また、申立人が主張するように、仮に「上側の姿勢維持用凸部33aは、本質的に下側の姿勢維持用凸部33bの配置から制約を受けることなく、本体装置の外周に自由に設けることができる」としても、下側の姿勢維持用凸部は、上側の姿勢維持用凸部よりも下流側に位置し、下側の姿勢維持用凸部の下流側の端面は、装置本体の弁座部の一部を構成するようにすることを、当業者が想到し得たとする根拠が示されていない。
よって、申立人の上記主張は、採用することができない。
5 小括
以上より、本件発明1、2、4及び6は、引用発明1、引用文献2記載技術及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。また、本件発明1、2、4及び6は、引用発明4及び引用文献2記載技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
第8 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由並びに特許異議申立書に記載した特許異議申立理由及び証拠によっては、本件発明1~6に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1~6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2024-700444