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特許異議申立

2021-701118

流体制御弁、流体制御装置、及び駆動機構

審判番号
2021-701118
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2018-546228
登録番号
6920331
請求日
2021年11月30日
審決日
2023年02月22日
公報発行日
2023年05月26日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】株式会社堀場エステック
  • 【権利者代理人】西村 竜平
  • 【権利者代理人】齊藤 真大
  • 【異議申立人】板東 高志
審判長/審判官
  • 審判長 佐々木 芳枝
  • 審判官 窪田 治彦
  • 審判官 関口 哲生
分類
P1651.113-YAA(F16K) / P1651.121-YAA(F16K)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第2項
データ出所
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特許第6920331号発明「流体制御弁、流体制御装置、及び駆動機構」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第6920331号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~6〕、7について訂正することを認める。 特許第6920331号の請求項1~7に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯の概略 特許第6920331号の請求項1~7に係る特許(以下「本件特許」という。)についての手続の経緯は、概ね、次のとおりである。 2017年10月 2日 国際出願(優先権主張 2016年10 (平成29年10月 2日) 月21日、日本国) 令和 3年 7月28日 特許権の設定登録 令和 3年 8月18日 特許掲載公報の発行 令和 3年11月30日 特許異議申立人板東高志による特許異議 申立て 令和 4年 4月27日付け 取消理由通知書 令和 4年 7月 6日 特許権者による意見書及び訂正請求書の 提出 令和 4年 9月 5日 特許異議申立人による意見書の提出 令和 4年 9月21日付け 訂正拒絶理由通知書 令和 4年10月28日 特許権者による意見書の提出 令和 4年11月25日付け 取消理由通知書(決定の予告) 令和 5年 1月27日 特許権者による意見書及び訂正請求書の 提出 以下、令和5年1月27日付け訂正請求書に係る訂正を「本件訂正」という。なお、令和4年7月6日付け訂正請求書は取り下げられたものとみなす(特許法120条の5第7項)。 第2 本件訂正の適否 1 本件訂正の内容 本件訂正の請求は、特許第6920331号の特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~7について訂正することを求めるものであって、その訂正の内容は次のとおりである(下線は訂正箇所を示す。)。 (1) 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「前記アクチュエータの駆動用端子」とあるのを、「前記アクチュエータの第1及び第2の駆動用端子」に訂正し、「前記変位センサの出力端子が、前記蓋体に配置されている」とあるのを、「前記変位センサの第1及び第2の出力端子が、前記蓋体に配置されており、前記駆動用端子及び前記出力端子が、前記蓋体の上面の周方向に沿って互い違いに配置されており、互いに隣り合う前記駆動用端子及び前記出力端子が等間隔になるように配置されている、」に訂正する(請求項1を引用する請求項2~6も同様に訂正する。)。 (2) 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項7に「前記アクチュエータの駆動用端子」とあるのを、「前記アクチュエータの第1及び第2の駆動用端子」に訂正し、「前記変位センサの出力端子が、前記蓋体に配置されている」とあるのを、「前記変位センサの第1及び第2の出力端子が、前記蓋体に配置されており、前記駆動用端子及び前記出力端子が、前記蓋体の上面の周方向に沿って互い違いに配置されており、互いに隣り合う前記駆動用端子及び前記出力端子が等間隔になるように配置されている、」に訂正する。 2 本件訂正の適否について (1) 訂正の目的 訂正事項1、2は、本件訂正後の請求項1~7に係る発明について、「アクチュエータ」の「駆動用端子」が「第1及び第2の駆動用端子」からなること、「変位センサ」の「出力端子」が「第1及び第2の出力端子」からなることを特定した上で、「前記駆動用端子及び前記出力端子が、前記蓋体の上面の周方向に沿って互い違いに配置されており、互いに隣り合う前記駆動用端子及び前記出力端子が等間隔になるように配置されている」ことを特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的としたものである。 (2) 新規事項の追加の有無 本件特許明細書等には、以下の点が記載されている。 ・「駆動用端子7x及び出力端子9xが、蓋体82の上面8aの周方向に沿って互い違いに配置されており、互いに隣り合う駆動用端子7x及び出力端子9xが等間隔になるようにしている。」(【0029】) ・「【図2】 [図:0001397165000001.jpg] 」 このように、本件特許明細書等には、図2に示されるような、駆動用端子7x及び出力端子9xが、蓋体82の上面8aの周方向に沿って互い違いに配置されており、互いに隣り合う駆動用端子7x及び出力端子9xが等間隔になるようにしていることが示されている。 そうすると、訂正事項1、2は、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであって、新規事項を追加するものではない。 (3) また、訂正事項1、2に係る本件訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものではない。 (4) 訂正事項1に係る本件訂正は、訂正前の請求項〔1~6〕という一群の請求項ごとに請求されたものである。 (5) 以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項を目的とするものであって、同条4項、同条9項において準用する同法126条5、6項の規定に適合するので、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~6〕、7について訂正することを認める。 第3 本件発明 前記第2のとおり本件訂正は認められるから、請求項1~7に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1~7に記載された事項により特定される次のとおりである。以下、本件特許に係る発明を請求項の番号に従って「本件発明1」などという。 【請求項1】 流路を流れる流体を制御する流体制御弁であり、 弁体と、 前記弁体を変位させるアクチュエータと、 前記アクチュエータを収容するとともに、前記アクチュエータの第1及び第2の駆動用端子が配置された蓋体を有するケーシングと、 前記ケーシング内に設けられるとともに、前記弁体の変位に応じて出力信号の大きさが変わる変位センサとを具備し、 前記変位センサの第1及び第2の出力端子が、前記蓋体に配置されており、前記駆動用端子及び前記出力端子が、前記蓋体の上面の周方向に沿って互い違いに配置されており、互いに隣り合う前記駆動用端子及び前記出力端子が等間隔になるように配置されている、流体制御弁。 【請求項2】 前記ケーシングが、 前記アクチュエータ及び前記変位センサを収容する筒状のケーシング本体を有し、 前記蓋体が、前記ケーシング本体の上端開口を塞ぐとともに、前記駆動用端子及び前記出力端子が貫通する貫通孔が形成されたものである請求項1記載の流体制御弁。 【請求項3】 前記アクチュエータが前記ケーシング内に設けられた第1ピエゾスタックを有し、 前記変位センサが、前記ケーシング内において前記第1ピエゾスタックの上方又は下方に設けられた第2ピエゾスタックを有し、 前記第1ピエゾスタックの端面と前記第2ピエゾスタックの端面とが互いに接触している請求項1記載の流体制御弁。 【請求項4】 前記第1ピエゾスタック及び前記第2ピエゾスタックが四角柱状又は多角柱状であり、 前記第1ピエゾスタック及び前記第2ピエゾスタックを収容するケーシング本体が円筒形状である請求項3記載の流体制御弁。 【請求項5】 前記第1ピエゾスタックが、前記ケーシング内の上下に一対配置されており、 前記第2ピエゾスタックが、前記一対の第1ピエゾスタックの間に配置されている請求項3記載の流体制御弁。 【請求項6】 請求項1記載の流体制御弁を備える流体制御装置。 【請求項7】 流体制御弁を駆動する駆動機構であり、 前記流体制御弁の弁体を変位させるアクチュエータと、 前記アクチュエータを収容するとともに、前記アクチュエータの第1及び第2の駆動用端子が配置された蓋体を有するケーシングと、 前記ケーシング内に設けられるとともに、前記弁体の変位に応じて出力信号の大きさが変わる変位センサとを具備し、 前記変位センサの第1及び第2の出力端子が、前記蓋体に配置されており、前記駆動用端子及び前記出力端子が、前記蓋体の上面の周方向に沿って互い違いに配置されており、互いに隣り合う前記駆動用端子及び前記出力端子が等間隔になるように配置されている、駆動機構。 第4 取消理由の概要 本件特許に対し通知した取消理由(決定の予告)は、概ね、次のとおりである。 1 本件発明1、2、6、7は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において頒布された、甲第1号証に記載された発明であるから、特許法29条1項3号の規定に該当し、本件発明1、2、6、7に係る特許は、特許法29条1項の規定に違反してされたものである。 2 本件発明1~7は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において頒布された、甲第2号証に記載された発明及び甲第1号証、甲第3号証~甲第7号証に記載された事項に基いて、本件特許の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1~7に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。 第5 証拠方法 特許異議申立人が提出した証拠方法(甲第1号証~甲第8号証)は以下のとおりである。なお、証拠番号に従い、「甲1」などという。 甲1:特開平4-352480号公報 甲2:特開2015-121898号公報 甲3:再公表特許第2013/111841号 甲4:特開平5-206536号公報 甲5:特開2016-86409号公報 甲6:特開2016-102807号公報 甲7:特開平9-330128号公報 甲8:特許メモ 第6 取消理由1(29条1項3号)について 1 甲1に記載された発明 (1) 甲1には、以下の事項が記載されている(下線は当審にて付与した。以下同様。)。 ・「【0001】 【産業上の利用分野】この発明は圧電アクチュエータに関し、特に縦効果を利用した積層型の圧電アクチュエータに関する。」 ・「【0002】 【従来の技術】電気エネルギーを機械的エネルギーに変換する電歪効果素子を利用した圧電アクチュエータは、現在マスフローコントローラやXYテーブルの駆動装置、射出成形機などの工業分野で使用されている。」 ・「【0008】この圧電アクチュエータは、複数の電歪材と内部電極が交互に積層されて形成された電歪効果素子1の両側面に形成された電極2A,2Bにリード線4a,4bが接続され、また、電歪効果素子1の側面に熱電対7がエポキシ系樹脂などの接着剤で固着された後、熱電対7の出力端子7a,7bおよび電歪効果素子1に接続されたリード線4a,4bが4個の気密端子2a,2b,2c,2dにそれぞれ接続され、気密端子2a,2b,2c,2dが取り付けられている金属部材3と金属部材6が前記電歪効果素子1の両端面1a,1bに固着され、伸縮機能を有するベローズなどの金属ケース5が金属部材3、6に溶接によりシール結合されて気密封止されている。」 ・「【0014】 【実施例2】図3はこの発明の第2実施例を示す圧電アクチュエータの縦断面図である。この実施例は前記第1の実施例の熱電対7に代えて歪ゲージ8を用い、その出力端子8a,8bを気密端子2c,2dに接続した点を除いては第1の実施例と同様であるため、同一部分には同一参照符号を付してその説明を省略する。この実施例では、歪ゲージ8が電歪効果素子1に付加されているため、変位増減分を電歪効果素子1の入力電圧で補正しながら歪量を実測,確認できるという利点がある。」 ・「【0015】 【実施例3】図4はこの発明の第3実施例を示す電圧アクチュエータの縦断面図である。この実施例は複数個の電歪効果素子1,1のリード線4a,4b,4c,4dをそれぞれ気密端子2a,2b,2c,2dに個々に接続したもので、この点を除いては第1の実施例と同様であるため、同一部分には同一参照符号を付してその説明を省略する。この実施例では1つに電歪効果素子1をDC駆動で、残りの素子1をパルス駆動で個々に同時に駆動させることができる。また、1つの電歪効果素子1だけを使用し、残りの素子1は故障時のバックアップ用として用いることもできる。 【0016】 【実施例4】図5はこの発明の第4実施例を示す圧電アクチュエータの縦断面図である。この実施例は、気密端子2d,2b,2cの数を最小の3個にした点を除いては第3の実施例と同様であるため、同一部分には同一参照符号を付してその説明を省略する。」 ・「【図1】 [図:0001397165000002.jpg] 」 ・「【図3】 [図:0001397165000003.jpg] 」 ・「【図4】 [図:0001397165000004.jpg] 」 ・「【図5】 [図:0001397165000005.jpg] 」 (2) 甲1には、「マスフローコントローラやXYテーブルの駆動装置、射出成形機などの工業分野で使用されている」(【0002】)圧電アクチュエータが記載されているところ、圧電アクチュエータを駆動手段とする装置、駆動対象物があることは技術的に明らかである。 また、図1、3~5から、金属ケース5が筒状であること、金属部材3が、気密端子2a、2b、2c、2dが貫通する貫通孔が形成されたものであることがわかる。 そうすると、甲1に記載された事項から、甲1には次の発明(以下、それぞれ、「甲1-1発明」~「甲1-4発明」という。)が記載されているものと認められる。 (甲1-1発明) 「圧電アクチュエータを駆動手段とする装置であり、 駆動対象物と、 前記駆動対象物を駆動する電歪効果素子1と、 前記電歪効果素子1を収容するとともに、前記電歪効果素子1の気密端子2a、2bが配置された金属部材3と、金属部材6により気密封止された金属ケース5と、 前記金属ケース5内に設けられるとともに、歪量を実測、確認できる歪みゲージ8とを具備し、 前記歪みゲージ8の気密端子2c、2dが、前記金属部材3に配置されている、圧電アクチュエータを駆動手段とする装置。」 (甲1-2発明) 「前記金属ケース5が、 前記電歪効果素子1及び前記歪みゲージ8を収容する筒状であり、 前記金属部材3が、前記金属ケース5の上端開口を塞ぐとともに、前記気密端子2a、2b、2c、2dが貫通する貫通孔が形成されたものである、甲1-1発明に係る圧電アクチュエータを駆動手段とする装置。」 (甲1-3発明) 「甲1-1発明に係る圧電アクチュエータを駆動手段とする装置を備える、マスフローコントローラ。」 (甲1-4発明) 「圧電アクチュエータであり、 駆動対象物を駆動する電歪効果素子1と、 前記電歪効果素子1を収容するとともに、前記電歪効果素子1の気密端子2a、2bが配置された金属部材3と、金属部材6により気密封止された金属ケース5と、 前記金属ケース5内に設けられるとともに、歪量を実測、確認できる歪みゲージ8とを具備し、 前記歪みゲージ8の気密端子2c、2dが、前記金属部材3に配置されている、圧電アクチュエータ。」 2 甲6、7に記載された事項 (1) 甲6 甲6には、以下の事項が記載されている。 ・「【0020】 本実施形態に係る流体制御用機器100は、例えばガスパネルに搭載されて半導体製造装置の材料供給ラインの一部を構成するもので、図1に流体回路図、図2に全体斜視図を示すように、流量制御対象である流体が流れる内部流路1aを有するボディユニット1と、前記内部流路1a上に設けられた流体制御弁である流量調整弁4と、この流量調整弁4よりも下流側に設けられ、前記内部流路1aを流れる流体の質量流量を測定する流量測定機構10と、この流量測定機構10による測定流量が予め定めた目標流量になるように前記流量調整弁4を制御する制御回路6(図2には示していない)とから構成されたマスフローコントローラである。以下に各部を詳述する。」 ・「【0027】 一方、前記弁体部材41は、図3、図7に示すように、内部が気密状態となるように構成した筐体411と、この筐体411の内部に収容した柱状をなす積層圧電素子412とを具備している。 【0028】 筐体411は、長尺筒状をなすハウジング411aと、このハウジング411aの一端面を気密に閉塞する弾性変形可能な薄肉板状のダイアフラム部材411bと、前記ハウジング411aの他端面を気密に閉塞する閉塞部材411cとを具備したものである。 【0029】 ハウジング411aは、前記有底凹部1d上を覆うように部品取付面1xに取り付けられる概略直方体形状をなすフランジ部411a1と、このフランジ部411a1に連結される概略円筒状をなす円筒部411a2とからなるものである。また、ダイアフラム部材411bは、図7に示すように、内側に向かって突出する突起411b1を中央に有した弾性変形可能な薄板であり、前記フランジ部411a1と一体に成形されている。さらに、閉塞部材411cには、圧電素子駆動用の端子Tが気密に貫通させてあり、いわゆるハーメチック構造となっている。 【0030】 そして、前記フランジ部411a1の一端面である下面をボディユニット1の部品取付面1xにシール部材SL1を介して取り付けることにより、ボディユニット1に形成した前記有底凹部1dの開口を前記下面で封止するとともに、弁座面42aにダイアフラム部材411bを対向させ、前記圧電素子412の伸縮によってダイアフラム部材411bと弁座面42aとの離間距離が変わって、このダイアフラム部材411bが弁体41aとして機能するようにしてある。」 ・「【図3】 [図:0001397165000006.jpg] 」 (2) 甲7 甲7には、以下の事項が記載されている。 ・「【0003】 【従来の技術】図4は従来のマスフローコントローラの基本構造、図5は従来の流量制御方法の説明図である。 【0004】図において、11はマスフローコントローラ、12はメイン管、13は毛細管、14は流量センサ、15はブリッジ回路、16は増幅回路、17は補正回路、18は流動出力信号、19は流量設定信号、20は駆動電源、21は比較制御回路、22はバルブ駆動回路、23は流量制御バルブ、24はピエゾアクチュエータ、25はメタルダイヤフラムである。」 ・「【図4】 [図:0001397165000007.jpg] 」 3 対比及び判断 (1) 本件発明1について ア 本件発明1と甲1-1発明とを、その有する機能に照らして対比する。 甲1-1発明は「圧電アクチュエータを駆動手段とする装置」であるところ、本件発明1は駆動機構により駆動させる「流体制御弁」に係る発明であるから、甲1-1発明の「圧電アクチュエータを駆動手段とする装置」は、本件発明1の「流路を流れる流体を制御する流体制御弁」あるいは「流体制御弁」と、「駆動手段を有する装置」との限りで一致する。 そして、甲1-1発明は、「圧電アクチュエータ」の「電歪効果素子1」の駆動により「駆動対象物」を変位させるといえるから、甲1-1発明の「駆動対象物」、「電歪効果素子1」は、本件発明1の「弁体」、「アクチュエータ」と、それぞれ、「変位対象物」、「変位対象物を変位させるアクチュエータ」との限りで一致する。 また、甲1-1発明の「気密端子2a、2b」は、本件発明1の「第1及び第2の駆動用端子」に相当し、甲1-1発明の「金属部材3」は、本件発明1の「蓋体」に相当し、甲1-1発明の「金属部材3」、「金属部材6」及び「金属ケース5」は、本件発明1の「ケーシング」に相当する。 さらに、甲1-1発明の「歪みゲージ8」は、本件発明1の「変位センサ」に相当し、甲1-1発明の「気密端子2c、2d」は、本件発明1の「第1及び第2の出力端子」に相当する。 そうすると、本件発明1と甲1-1発明とは、以下の点で一致し、相違する。 (一致点) 「駆動手段を有する装置であり、 変位対象物と、 前記変位対象物を変位させるアクチュエータと、 前記アクチュエータを収容するとともに、前記アクチュエータの第1及び第2の駆動用端子が配置された蓋体を有するケーシングと、 前記ケーシング内に設けられる変位センサとを具備し、 前記変位センサの第1及び第2の出力端子が、前記蓋体に配置されている駆動手段を有する装置。」 (相違点1-1) 駆動手段を有する装置に関し、本件発明1は「流路を流れる流体を制御する流体制御弁」であり、変位対象物としての「弁体」と、「前記弁体を変位させる」アクチュエータと、「前記弁体の変位に応じて出力信号の大きさが変わる」変位センサとを具備するのに対し、甲1-1発明は「圧電アクチュエータを駆動手段とする装置」で、変位対象物は明らかでない点。 (相違点1-2) アクチュエータの第1及び第2の駆動用端子及び変位センサの第1及び第2の出力端子の配置に関し、本件発明1は「前記駆動用端子及び前記出力端子が、前記蓋体の上面の周方向に沿って互い違いに配置されており、互いに隣り合う前記駆動用端子及び前記出力端子が等間隔になるように配置されている」のに対し、甲1-1発明は、そのように配置されていない点。 イ 事案に鑑み、まず、相違点1-2についてみるに、上記のように、甲1-1発明は、本件発明1と相違し、本件発明1は、それにより、顕著な効果を奏するものであるから(後記第7)、この点は構成として実質的な相違点である。 よって、その余の事項を検討するまでもなく、本件発明1は、甲1に記載された発明であるとは認められない。 (2) 本件発明2、6について 本件発明2、6は、本件発明1を特定するための事項を全て含むものであるから、その余の事項を検討するまでもなく、本件発明2、6は、本件発明1と同様の理由により、甲1に記載された発明であるとは認められない。 (3) 本件発明7について ア 本件発明7と甲1-4発明とを、その有する機能に照らして対比する。 甲1-4発明は「駆動対象物」の駆動に係る「圧電アクチュエータ」であるところ、本件発明7は「流体制御弁を駆動する駆動機構」に係る発明であるから、甲1-4発明の「圧電アクチュエータ」は、本件発明7の「流体制御弁を駆動する駆動機構」あるいは「駆動機構」と、「駆動手段」の限りで一致する。 そして、甲1-4発明は、「圧電アクチュエータ」の「電歪効果素子1」の駆動により「駆動対象物」を変位させるといえるから、甲1-4発明の「駆動対象物」、「電歪効果素子1」は、本件発明7の「弁体」、「アクチュエータ」と、それぞれ、「変位対象物」、「変位対象物を変位させるアクチュエータ」の限りで一致する。 また、甲1-4発明の「気密端子2a、2b」は、本件発明7の「第1及び第2の駆動用端子」に相当し、甲1-4発明の「金属部材3」は、本件発明7の「蓋体」に相当し、甲1-4発明の「金属部材3」、「金属部材6」及び「金属ケース5」は、本件発明7の「ケーシング」に相当する。 さらに、甲1-4発明の「歪みゲージ8」は、本件発明7の「変位センサ」に相当し、甲1-4発明の「気密端子2c、2d」は、本件発明7の「第1及び第2の出力端子」に相当する。 そうすると、本件発明7と甲1-4発明とは、以下の点で一致し、相違する。 (一致点) 「駆動手段であり、 前記駆動手段の変位対象物を変位させるアクチュエータと、 前記アクチュエータを収容するとともに、前記アクチュエータの第1及び第2の駆動用端子が配置された蓋体を有するケーシングと、 前記ケーシング内に設けられるとともに、変位センサとを具備し、 前記変位センサの第1及び第2の出力端子が、前記蓋体に配置されている、駆動手段。」 (相違点2-1) 駆動手段に関し、本件発明7は、「流体制御弁を制御する駆動機構」であり、「前記流体制御弁の弁体」を変位させるアクチュエータと、「前記弁体の変位に応じて出力信号の大きさが変わる」変位センサとを具備するのに対し、甲1-4発明は「圧電アクチュエータ」であって、変位対象物は明らかでない点。 (相違点2-2) アクチュエータの第1及び第2の駆動用端子及び変位センサの第1及び第2の出力端子の配置に関し、本件発明7は「前記駆動用端子及び前記出力端子が、前記蓋体の上面の周方向に沿って互い違いに配置されており、互いに隣り合う前記駆動用端子及び前記出力端子が等間隔になるように配置されている」のに対し、甲1-4発明は、そのように配置されていない点。 イ 事案に鑑み、まず、相違点2-2についてみるに、上記のように、甲1-4発明は、本件発明7と相違し、本件発明7は、それにより、顕著な効果を奏するものであるから(後記第7)、この点は構成として実質的な相違点である。 よって、その余の事項を検討するまでもなく、本件発明7は、甲1に記載された発明であるとは認められない。 (4) なお、念のため、本件発明1~7が、甲1に記載された発明及び甲2~7に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるかについて検討するに(異議申立人は、本件発明3~5について、甲1に記載された発明及び甲3~5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである旨主張している(特許異議申立書15~16頁)。)、相違点1-2、2-2に係る構成は、甲1~7のいずれにも記載、示唆されておらず、本件発明1~7は、相違点1-2、2-2に係る構成を有することにより、顕著な効果を奏するものである(後記第7)。 そうすると、甲1に記載された発明において、相違点1-2、2-2に係る構成とすることが、当業者が容易に想到できた事項であるとは認められない。 よって、その余の事項を検討するまでもなく、本件発明1~7は、甲1に記載された発明及び甲2~7に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとも認められない。 第7 取消理由2(29条2項)について 1 甲2に記載された発明 (1) 甲2には、以下の事項が記載されている。 ・「【0001】 本発明は、流体の流量や圧力を制御するために用いられる流体制御弁に関するものである。」 ・「【0021】 本発明の一実施形態に係る流体制御弁100、及び、この流体制御弁100を用いた流量制御装置200について図1乃至3を参照しながら説明する。」 ・「【0024】 前記流体制御弁100は、いわゆるノーマルクローズタイプの弁であって図2の断面拡大図に示すようにブロック体Bの内部に形成された上流側流路L1と下流側流路L2との間を介するように前記ブロック体Bに形成された収容凹部内に嵌め込まれるものである。そして、前記流体制御弁100は図2における上側からアクチュエータ2、モニタリングセンサ、球体4、プランジャ5、弁座ブロック6、弁体7、弁体支持ばね71と、を備えている。 【0025】 前記アクチュエータ2は、ピエゾ素子を用いて構成されたピエゾアクチュエータ2であって、印加される電圧によって出力される力又は変位が制御されるものである。すなわち、このピエゾアクチュエータ2に印加される電流又は電圧に基づいて、ピエゾアクチュエータ2が現在出力している力、又はピエゾアクチュエータ2の現在の変位を所定の精度で推定することが可能なものである。また、このピエゾアクチュエータ2から出力されている力又はピエゾアクチュエータ2の変位の推定値から流体制御弁100としての開度についても換算により推定可能である。なお、ピエゾ素子は印加される電流又は電圧に対して変位がヒステリシスを示すため、前述した電流又は電圧によるピエゾアクチュエータ2の力又は変位の推定値や流体制御弁100としての開度の推定値はヒステリシスの影響により現在の状態を正確に推定できない場合がある。」 【0026】 前記モニタリングセンサは、本実施形態ではロードセル31であって、前記ピエゾアクチュエータ2が出力している現在の力を直接測定するものである。」 ・「【0030】 前記弁座ブロック6は、概略円筒状のものであって、側面と上面とに開口をし、前記上流側流路L1と連通する概略L字状の第1内部流路61と、中央部において上下方向に貫通させて設けてあり、前記下流側流路L2と連通する第2内部流路62とを有したものである。また、前記弁座ブロック6の下側の面における前記第2内部流路62の開口の周囲は、前記弁体7が着座すると弁座63として構成してある。」 ・「【0032】 前記流量センサ101は、熱式のものであって流路から分岐するU字状の細管11に巻き回された2つの感熱抵抗素子12の温度をそれぞれ一定温度となるように電流を制御し、各感熱抵抗素子12に印加されている電圧に基づいて流量を測定するものである。より具体的には、流量算出部13では、各感熱抵抗素子12に印加されている電圧の和及び差に基づき、流量を算出するように構成してある。この流量センサ101は流体の熱の移動に基づいて流量を測定するものであるので、測定される流量には所定の時間遅れが存在するため、本実施形態では高速制御を行う際にはその測定値は用いずに前記ロードセル31の測定値に基づいて流量の制御を行うようにしてある。」 ・「【0037】 前記実績値ベース制御モードは、前記流体量ベース制御モードにおいて前記ロードセル31が測定した値を利用して前記流量センサ101の測定値を用いずに開度制御を行うものである。より具体的には、前記実績値ベース制御モードでは、前記ロードセル31の測定値がフィードバックされて目標流体量が実現されるように開度制御が行われる。」 ・「【0046】 前記実績値記憶部85は、前記流体量ベース制御部83による制御が行われ、前記流量センサ101で測定される流量が目標流量と略一致した状態になったときに前記ロードセル31により測定されている前記ピエゾアクチュエータ2から出力されている力を実績値としてそのときの流路に流れている流体のガス種、目標流量、とを対にして記憶するものである。ここで、前記実績値記憶部85が前記ロードセル31の測定値を実績値として記憶する際のトリガとしては、例えば目標流量と測定流量の偏差が所定閾値内である状態が所定時間継続されていることに設定してもよい。言い換えると、前記実績値記憶部85は、ある目標流量が実現されている場合に前記ロードセル31等のモニタリングセンサから出力されていた測定値を実績値として記憶するものである。この実績値はある目標流量が実現されたときの開度と対応する値であり、本実施形態であれば前記ロードセル31から前記プランジャ5にかかる力が分かれば、前記可動子51及び前記弁体7の変位量が算出でき、前記弁座63と前記弁体7との間の開度について算出可能である。したがって、実績値は目標流量が実現したときの開度へと換算可能な値であるとも言える。」 ・「【0052】 図3(b)からも明らかなように前記実績値ベース制御モードでは、フィードバック制御のために前記流量センサ101で測定される流量は全く使用されておらず、流量センサ101よりもセンサの応答性が高いロードセル31の出力に基づいて開度及び流量が制御されることになる。また、前記実績値はある目標流量が実現されたときに前記ロードセル31が測定していた値であるので、前記ロードセル31において現在測定されている力を実績値と略一致させれば、目標流量が実現されたときの開度を再現し、ひいては同じ目標流量を実流量として実現することができる。」 ・「【0058】 また、前記ロードセル31による測定は、前記弁座63と前記弁体7との間の開度を略直接測定していることになるので、電流や電圧に基づいた診断に比べて精度や信頼性を高めることができる。」 ・「【図1】 [図:0001397165000008.jpg] 」 ・「【図2】 [図:0001397165000009.jpg] 」 ・「【図3】 [図:0001397165000010.jpg] 」 (2) 甲2に記載された流体制御弁100は、ピエゾアクチュエータ2、モニタリングセンサ(ロードセル31)、球体4、プランジャ5、弁座ブロック6、弁体7、弁体支持ばね71と、を備えているものであるところ(【0024】~【0026】)、図2の記載から、ピエゾアクチュエータ2等を収容するケーシングを具備することがわかり、ピエゾアクチュエータ2及びロードセル31を収容する部分が筒状であることがわかる。 また、図2の記載から、ロードセル31がピエゾアクチュエータ2の下方に設けられていることがわかり、ロードセル31は、ピエゾアクチュエータ2が出力している現在の力を直接測定するものであることからも(【0026】)、ピエゾアクチュエータ2の端面とロードセル31の端面とが互いに接触していることがわかる。 そうすると、甲2に記載された事項から、甲2には次の発明(以下、それぞれ、「甲2-1発明」~「甲2-5発明」という。)が記載されているものと認められる。 (甲2-1発明) 「上流側流路L1、下流側流路L2、第1内部流路、第2内部流路を流れる流体を制御する流体制御弁100であり、 弁体7と、 前記弁体7を変位させるピエゾアクチュエータ2と、 前記ピエゾアクチュエータ2を収容するケーシングと、 前記ケーシング内に設けられるとともに、前記ピエゾアクチュエータ2が出力している力を測定するロードセル31とを具備する、流体制御弁100。」 (甲2-2発明) 「前記ケーシングが、 前記ピエゾアクチュエータ2及び前記ロードセル31を収容する筒状の部分を有する、甲2-1発明に係る流体制御弁100。」 (甲2-3発明) 「前記ロードセル31が、前記ケーシング内において前記ピエゾアクチュエータ2の下方に設けられ、 前記ピエゾアクチュエータ2の端面と前記ロードセル31の端面とが互いに接触している、甲2-2発明に係る流体制御弁100。」 (甲2-4発明) 「甲2-1発明に係る流体制御弁100を備える、流体制御装置200。」 (甲2-5発明) 「流体制御弁100を駆動する駆動手段であり、 前記流体制御弁100の弁体7を変位させるピエゾアクチュエータ2と、 前記ピエゾアクチュエータ2を収容するケーシングと、 前記ケーシング内に設けられるとともに、前記ピエゾアクチュエータ2が出力している力を測定するロードセル31とを具備する、駆動手段。」 2 甲3~5に記載された事項 (1) 甲3 甲3には、以下の事項が記載されている。 ・「【0003】 圧電性シートは変位量に応じた電荷を発生するので、圧電性シートの対向する両面に電極を形成して圧電センサを構成し、当該発生電荷による電圧を検出することで、変位量(曲げ量、捻れ量、押し込み量等)を検出している。」 (2) 甲4 甲4には、以下の事項が記載されている。 ・「【0006】 【実施例】次に、本発明について図面を参照して説明する。図1は本発明の圧電アクチュエータの一実施例を示し、(a)は平面図、(b)はその縦断面図である。同図において、1は積層形の素子であり、金属ケース7内に気密封止される。この素子1は気密端子3及び金属部材8に接着剤で固定され、、気密端子3及び金属部材8は金属ケース7に溶接されている。又、前記素子1の一側面には、銅ニッケルの金属箔を用いた歪ゲージからなる変位センサー2が貼り付けてある。そして、素子1の駆動用リード線4c,4dを気密端子3の駆動用リード5c,5dに半田6で接続する。又、変位センサー2のセンサー用リード線4a,4bを気密端子3のセンサー用リード5a,5bに半田6で接続する。」 ・「【図1】 [図:0001397165000011.jpg] 」 (3) 甲5 甲5には、以下の事項が記載されている。 ・「【請求項1】 圧電体層と電極層とが交互に積層され、極性が異なる少なくとも一対の電極層の間に前記圧電体層が配置された積層圧電素子と、 前記積層圧電素子が配置された振動板とを備え、 前記積層圧電素子は積層方向から見て多角形であり、 前記積層圧電素子が配置された前記振動板の面は円形であり、 前記少なくとも一対の電極層に挟まれる前記圧電体層のうち、積層方向から投影して前記少なくとも一対の電極層が重なる実効層の体積の合計(V)が下記の条件を満たすことを特徴とする電気音響変換装置。 0.2πR2×ts≦V≦2.0πR2×ts (但し、πは円周率、Rは振動板の半径、tsは振動板の厚み)」 ・「【0037】 円形の振動板13の半径をR、振動板13の厚みをts、多角形の積層圧電素子12の対角線の長さの1/2をαR、積層圧電素子12の実効層の厚みをteとすると、多角形の積層圧電素子12の実効層の体積の合計(V)は以下のようになる。 V=((2αR)/(20.5))2×te (式2)」 3 対比及び判断 (1) 本件発明1について ア 本件発明1と甲2-1発明とを、その有する機能に照らして対比する。 甲2-1発明の「上流側流路L1、下流側流路L2、第1内部流路、第2内部流路」は、本件発明1の「流路」に相当し、以下同様に、甲2-1発明の「流体制御弁100」、「弁体7」、「ピエゾアクチュエータ2」、「ケーシング」は、それぞれ、本件発明1の「流体制御弁」、「弁体」、「アクチュエータ」、「ケーシング」に相当する。 また、甲2-1発明における「前記ピエゾアクチュエータ2が出力している力を測定するロードセル31とを具備する」点は、本件発明1における「前記弁体の変位に応じて出力信号の大きさが変わる変位センサとを具備(する)」点と、「前記ケーシング内に設けられる」「センサ」を具備するとの限りで、一致する。 そうすると、本件発明1と甲2-1発明とは、以下の点で一致し、相違する。 (一致点) 「流路を流れる流体を制御する流体制御弁であり、 弁体と、 前記弁体を変位させるアクチュエータと、 前記アクチュエータを収容するケーシングと、 前記ケーシング内に設けられるセンサとを具備する流体制御弁。」 (相違点3) 本件発明1は、ケーシングが「前記アクチュエータの第1及び第2の駆動用端子が配置された蓋体を有する」ものであり、ケーシング内に設けられるセンサが「前記弁体の変位に応じて出力信号の大きさが変わる変位センサ」であって、「前記変位センサの第1及び第2の出力端子が、前記蓋体に配置されており、前記駆動用端子及び前記出力端子が、前記蓋体の上面の周方向に沿って互い違いに配置されており、互いに隣り合う前記駆動用端子及び前記出力端子が等間隔になるように配置されている」のに対し、甲2-1発明は、ケーシングが蓋体を有するか不明で、ケーシング内に設けられるセンサが「前記ピエゾアクチュエータ2が出力している力を測定するロードセル31」であり、「ピエゾアクチュエータ2」の駆動用端子や「ロードセル31」の出力端子に係る構造も不明である点。 イ そこで、相違点3について検討すると、甲2(前記1(1))には、アクチュエータの駆動用端子及び変位センサの出力端子が、蓋体の上面の周方向に沿って互い違いに配置されており、互いに隣り合うアクチュエータの駆動用端子及び変位センサの出力端子が等間隔になるように配置されている点について特段記載、示唆はないから、その余の点を検討するまでもなく、甲2-1発明において、相違点3に係る構成とすることに関し、動機付けがあるとは認められない。 甲1(前記第6・1)、3~5(前記2)、6、7(前記第6・2)も同様で、アクチュエータの駆動用端子及び変位センサの出力端子が、蓋体の上面の周方向に沿って互い違いに配置されており、互いに隣り合うアクチュエータの駆動用端子及び変位センサの出力端子が等間隔になるように配置されている点について特段記載、示唆はないから、甲1、3~7をみても、甲2-1発明において、相違点3に係る構成とすることに関し、動機付けがあるとは認められない。 そして、本件発明1は、相違点3に係る構成を有することにより、顕著な効果を奏する。すなわち、「アクチュエータの駆動用端子が配置された蓋体に変位センサの出力端子を配置しているので、前記出力端子をケーシングの側方から取り出す必要がなく、端子の実装と流体制御弁の組み立てを簡素化することができる。これにより、弁体の変位を検出可能な流体制御弁を簡単且つ小型な構成にすることができる。」(本件特許明細書【0009】)といった効果を奏するとともに、流体制御弁の組み立て性を向上し、アクチュエータの第1及び第2の駆動用端子の絶縁性を向上するとともに、変位センサの第1及び第2の出力端子へのノイズ影響を可及的に低減することができるようになる(令和5年1月27日付け意見書)、といった所定の効果も期待できるものである。 そうすると、甲2-1発明において、相違点3に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到できた事項であるとは認められない。 ウ 異議申立人は、駆動用端子及び出力端子を蓋体の上面の周方向に沿って互い違いに配置することは設計的事項である、アクチュエータの第1及び第2の駆動用端子の絶縁性を向上するとともに、変位センサの第1及び第2の出力端子へのノイズ影響を可及的に低減することができるようになる点に関し、本件特許明細書等に記載がなく、各端子の絶縁性は筐体と端子間に設けられているハーメチック材料(通常はガラスなど) によって保たれており、変位センサ9である第2ピエゾスタック91を隣接させた2つの第1ピエゾスタックの上方又は下方に配置した場合に、上方又は下方のどちらかは必ず出力端子から変位センサ9の位置が離れるため接続されるリードが長くなり、ノイズの影響をより大きく受ける、当業者の技術常識では筐体内の信号線から入り込むノイズは非常に重要である、などと主張している(令和4年9月5日付け意見書)。 しかしながら、絶縁性の向上及びノイズ影響の低減についての効果は、本件特許明細書等に記載された「駆動用端子及び出力端子を蓋体の上面の周方向に沿って互い違いに配置し、互いに隣り合う駆動用端子及び出力端子が等間隔になるように配置されている」構成(前記第2・2(2)(【0029】、図2))から、当業者であれば推論することができる。 そして、駆動用端子及び出力端子を蓋体の上面の周方向に沿って互い違いに配置し、互いに隣り合う駆動用端子及び出力端子が等間隔になるように配置することで、それらを非等間隔に配置した場合に比べれば、絶縁性の向上及びノイズ影響の低減に関し所定の効果が期待できることは、技術的に明らかであって、この点が単なる設計的事項であるとも認められない。 エ 以上のとおりであるから、本件発明1は、甲2-1発明及び甲1、3~7に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。 (2) 本件発明2について 本件発明2は、本件発明1を特定するための事項を全て含むものであるから、その余の事項を検討するまでもなく、本件発明2は、本件発明1と同様の理由により、甲2-2発明及び甲1、3~7に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。 (3) 本件発明3~5について 本件発明3~5は、本件発明1を特定するための事項を全て含むものであるから、その余の事項を検討するまでもなく、本件発明3~5は,本件発明1と同様の理由により、甲2-3発明及び甲1、3~7に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。 (4) 本件発明6について 本件発明6は、本件発明1を特定するための事項を全て含むものであるから、その余の事項を検討するまでもなく、本件発明6は,本件発明1と同様の理由により、甲2-4発明及び甲1、3~7に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。 (5) 本件発明7について ア 本件発明7と甲2-5発明とを、その有する機能に照らして対比する。 甲2-5発明の「流体制御弁100」は、本件発明7の「流体制御弁」に相当し、以下同様に、甲2-5発明の「駆動手段」、「弁体7」、「ピエゾアクチュエータ2」、「ケーシング」は、それぞれ、本件発明7の「駆動機構」、「弁体」、「アクチュエータ」、「ケーシング」に相当する。 また、甲2-5発明における「前記ケーシング内に設けられるとともに、前記ピエゾアクチュエータ2が出力している力を測定するロードセル31とを具備する」点は、本件発明7における「前記ケーシング内に設けられるとともに、前記弁体の変位に応じて出力信号の大きさが変わる変位センサとを具備(する)」点と、「前記ケーシング内に設けられる」「センサ」を具備するとの限りで、一致する。 そうすると、本件発明7と甲2-5発明とは、以下の点で一致し、相違する。 (一致点) 「流体制御弁を駆動する駆動機構であり、 前記流体制御弁の弁体を変位させるアクチュエータと、 前記アクチュエータを収容するケーシングと、 前記ケーシング内に設けられるセンサとを具備する流体制御弁。」 (相違点4) 本件発明7は、ケーシングが「前記アクチュエータの第1及び第2の駆動用端子が配置された蓋体を有する」ものであり、ケーシング内に設けられるセンサが「前記弁体の変位に応じて出力信号の大きさが変わる変位センサ」であって、「前記変位センサの第1及び第2の出力端子が、前記蓋体に配置されており、前記駆動用端子及び前記出力端子が、前記蓋体の上面の周方向に沿って互い違いに配置されており、互いに隣り合う前記駆動用端子及び前記出力端子が等間隔になるように配置されている」のに対し、甲2-5発明は、ケーシングが蓋体を有するか不明で、ケーシング内に設けられるセンサが「前記ピエゾアクチュエータ2が出力している力を測定するロードセル31」であり、「ピエゾアクチュエータ2」の駆動用端子や「ロードセル31」の出力端子に係る構造も不明である点。 イ そこで、相違点4について検討すると、相違点4は実質的に前記相違点3と同じであるところ(前記(1)ア)、既に述べたとおり、甲1~7には、アクチュエータの駆動用端子及び変位センサの出力端子が、蓋体の上面の周方向に沿って互い違いに配置されており、互いに隣り合うアクチュエータの駆動用端子及び変位センサの出力端子が等間隔になるように配置されている点について特段記載、示唆はないから、その余の点を検討するまでもなく、甲2-5発明において、相違点4に係る構成とすることに関し、動機付けがあるとは認められない上、本件発明7は、相違点4に係る構成を有することにより、本件発明1と同様、顕著な効果を奏するものである(前記(1)イ)。 そうすると、甲2-5発明において、相違点4に係る本件発明7の構成とすることは、当業者が容易に想到できた事項であるとは認められない。 ウ 以上のとおりであるから、本件発明7は,甲2-5発明及び甲1、3~7に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。 第8 むすび 以上のとおり、本件の請求項1~7に係る特許は、特許法29条1項、29条2項の規定に違反してされたものとは認められないから、前記取消理由により取り消すことはできない。 また、他に本件の請求項1~7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2021-701118

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  • 2018-700922異議申立 / 2020-02-10 / 訂正認容複座平衡弁
    共通の審決分類: 113・F16K、121・F16K
  • 2017-701184異議申立 / 2018-02-21 / 維持湯水混合栓
    共通の審決分類: 113・F16K、121・F16K
  • 2024-013501拒絶査定不服審判 / 2026-03-10 / 原査定取消(特許/登録すべき)弁装置及び弁本体部
    共通の審決分類: 113・F16K、121・F16K
  • 2023-013124拒絶査定不服審判 / 2024-12-18 / 原査定取消(特許/登録すべき)バルブ装置
    共通の審決分類: 113・F16K、121・F16K

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