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特許異議申立

2018-700261

ガラス板

審判番号
2018-700261
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2014-512694外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2018年03月26日
審決日
2018年10月11日
公報発行日
2019年01月25日
結論
訂正認容
当事者
審判長/審判官
分類
P1652.113-YAA(C03C) / P1652.121-YAA(C03C)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第29条第1項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第1項第3号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第6206400号発明「ガラス板」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第6206400号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~8〕について訂正することを認める。 特許第6206400号の請求項1~3、6~8に係る特許を維持する。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 特許第6206400号の請求項1~6に係る特許についての出願は、2013年(平成25年)4月25日(優先権主張 平成24年4月27日)を国際出願日とする出願であって、平成29年9月15日にその特許権の設定登録がされ、平成29年10月4日に登録公報の発行がされたものであり、その後、請求項1~3、6に係る特許について、平成30年3月26日付けで、特許異議申立人松村朋子(以下、「特許異議申立人」という。)により特許異議の申立てがなされ、平成30年6月7日付けで取消理由が通知され、平成30年8月3日に意見書の提出及び訂正の請求がされ、その訂正の請求に対して特許異議申立人から平成30年9月12日に意見書の提出がされたものである。 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正の内容 本件訂正請求による訂正の内容は、以下のとおりである。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に 「酸化物基準のmol百分率表示で、 SiO2  :57~69%、 Al2O3 :0.4~3%、 B2O3  :0~5%、 Na2O  :10~16%、 MgO   :8~19.8%、 CaO   :1.6~8%、 MgO+Al2O3+B2O3-Na2O(mol百分率表示)で表されるS-value :-10~10.5%、であり、 酸化物基準のmol百分率表示のMgOの含有量と酸化物基準のmol百分率表示のCaOの含有量との比([MgO]/[CaO])が、1.0~10である、ガラス板。」とあるのを、 「酸化物基準のmol百分率表示で、 SiO2  :57~69%、 Al2O3 :0.8~3%、 B2O3  :0~5%、 Na2O  :10~16%、 MgO   :8~19.8%、 CaO   :1.6~8%、 K2O   :0~0.7%、 MgO+Al2O3+B2O3-Na2O(mol百分率表示)で表されるS-value :-10~10.5%、であり、 酸化物基準のmol百分率表示のMgOの含有量と酸化物基準のmol百分率表示のCaOの含有量との比([MgO]/[CaO])が、1.0~10である、ガラス板。」に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2に 「前記S-valueが、-2~10.5%である、請求項1に記載のガラス板。」とあるのを、 「酸化物基準のmol百分率表示で、 SiO2  :57~69%、 Al2O3 :0.4~3%、 B2O3  :0~5%、 Na2O  :10~16%、 MgO   :8~19.8%、 CaO   :1.6~8%、 MgO+Al2O3+B2O3-Na2O(mol百分率表示)で表されるS-value :-2~10.5%、であり、 酸化物基準のmol百分率表示のMgOの含有量と酸化物基準のmol百分率表示のCaOの含有量との比([MgO]/[CaO])が、1.0~10である、ガラス板(ただし、Sb2O3含有量が0.1重量%以下であり、かつTiO2含有量が0.05~10重量%であるガラス板を除く。)。」に訂正する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3に 「前記S-valueが、0~10.5%である、請求項1に記載のガラス板。」とあるのを、 「酸化物基準のmol百分率表示で、 SiO2  :57~69%、 Al2O3 :0.4~3%、 B2O3  :0~5%、 Na2O  :10~16%、 MgO   :8~19.8%、 CaO   :1.6~8%、 MgO+Al2O3+B2O3-Na2O(mol百分率表示)で表されるS-value :0~10.5%、であり、 酸化物基準のmol百分率表示のMgOの含有量と酸化物基準のmol百分率表示のCaOの含有量との比([MgO]/[CaO])が、1.0~10である、太陽電池または集光ミラーに用いるガラス板。」に訂正する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項4に 「前記B2O3mol百分率表示が、 B2O3   :3~5%、 である、請求項1~3のいずれか一項に記載のガラス板。」とあるのを、 「酸化物基準のmol百分率表示で、 SiO2  :57~69%、 Al2O3 :0.4~3%、 B2O3  :3~5%、 Na2O  :10~16%、 MgO   :8~19.8%、 CaO   :1.6~8%、 MgO+Al2O3+B2O3-Na2O(mol百分率表示)で表されるS-value :-10~10.5%、であり、 酸化物基準のmol百分率表示のMgOの含有量と酸化物基準のmol百分率表示のCaOの含有量との比([MgO]/[CaO])が、1.0~10である、ガラス板。」に訂正する。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項5に 「前記[MgO]/[CaO]の比が、1.0~1.5である、請求項1に記載のガラス板。」とあるのを、 「酸化物基準のmol百分率表示で、 SiO2  :57~69%、 Al2O3 :0.4~3%、 B2O3  :0~5%、 Na2O  :10~16%、 MgO   :8~19.8%、 CaO   :1.6~8%、 MgO+Al2O3+B2O3-Na2O(mol百分率表示)で表されるS-value :-10~10.5%、であり、 酸化物基準のmol百分率表示のMgOの含有量と酸化物基準のmol百分率表示のCaOの含有量との比([MgO]/[CaO])が、1.0~1.5である、ガラス板。」に訂正する。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項6に 「Fe2O3に換算した全鉄の含有量が、酸化物基準の質量百分率表示で、0.005~0.06%である、請求項1~5のいずれか一項に記載のガラス板。」とあるのを、 「酸化物基準のmol百分率表示で、 SiO2  :57~69%、 Al2O3 :0.8~3%、 B2O3  :0~5%、 Na2O  :10~16%、 MgO   :8~19.8%、 CaO   :1.6~8%、 K2O   :0~0.7%、 MgO+Al2O3+B2O3-Na2O(mol百分率表示)で表されるS-value :-10~10.5%、であり、 酸化物基準のmol百分率表示のMgOの含有量と酸化物基準のmol百分率表示のCaOの含有量との比([MgO]/[CaO])が、1.0~10であり、 Fe2O3に換算した全鉄の含有量が、酸化物基準の質量百分率表示で、0.005~0.06%である、ガラス板。」に訂正する。 (7)訂正事項7 特許請求の範囲の請求項7に、 「酸化物基準のmol百分率表示で、 SiO2  :57~69%、 Al2O3 :0.4~3%、 B2O3  :0~5%、 Na2O  :10~16%、 MgO   :8~19.8%、 CaO   :1.6~8%、 MgO+Al2O3+B2O3-Na2O(mol百分率表示)で表されるS-value :-2~10.5%、であり、 酸化物基準のmol百分率表示のMgOの含有量と酸化物基準のmol百分率表示のCaOの含有量との比([MgO]/[CaO])が、1.0~10であり、 Fe2O3に換算した全鉄の含有量が、酸化物基準の質量百分率表示で、0.005~0.06%である、太陽電池または集光ミラーに用いるガラス板。」を追加する。 (8)訂正事項8 特許請求の範囲の請求項8に、 「酸化物基準のmol百分率表示で、 SiO2  :57~69%、 Al2O3 :0.4~3%、 B2O3  :0~5%、 Na2O  :10~16%、 MgO   :8~19.8%、 CaO   :1.6~8%、 MgO+Al2O3+B2O3-Na2O(mol百分率表示)で表されるS-value :0~10.5%、であり、 酸化物基準のmol百分率表示のMgOの含有量と酸化物基準のmol百分率表示のCaOの含有量との比([MgO]/[CaO])が、1.0~10であり、 Fe2O3に換算した全鉄の含有量が、酸化物基準の質量百分率表示で、0.005~0.06%である、ガラス板(ただし、Sb2O3含有量が0.1重量%以下であり、かつTiO2含有量が0.05~10重量%であるガラス板を除く。)。」を追加する。 2 訂正要件の判断 (1)訂正事項1について 訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載された「ガラス板」のガラス組成について、Al2O3の含有量を「0.4~3%」から「0.8~3%」に減縮し、さらに、K2Oの含有量を「0~0.7%」に限定するものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 そして、願書に添付された明細書の段落0051の表1の例3、例5及び例7には、Al2O3の含有量が「0.8%」であることが記載され、段落0031には、「K2Oの含有量は、酸化物基準のmol百分率表示で、0~0.7%であるのが好ましい。」と記載されているから、訂正事項1は、願書に添付された明細書、特許請求の範囲及び図面に記載された事項の範囲内においてなされたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (2)訂正事項2について 訂正事項2は、訂正前の請求項2において、請求項1を引用する部分を独立した形に書き下して引用関係を解消するものであり、さらに、訂正前の請求項2に記載された「ガラス板」について、「ガラス板(ただし、Sb2O3含有量が0.1重量%以下であり、かつTiO2含有量が0.05~10重量%であるガラス板を除く。)」に限定するものであるから、「請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」及び「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 そして、訂正事項2の請求項間の引用関係を解消する訂正は、願書に添付された明細書、特許請求の範囲及び図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 また、訂正事項2の「ガラス板(ただし、Sb2O3含有量が0.1重量%以下であり、かつTiO2含有量が0.05~10重量%であるガラス板を除く。)」に限定する訂正は、取消理由通知で引用した甲第1号証(特開2000-290038号公報)に記載された発明との重なりのみを除くものであって、いわゆる「除くクレーム」とするものにすぎず、新たな技術的事項を導入するものではないから、願書に添付された明細書、特許請求の範囲及び図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (3)訂正事項3について 訂正事項3は、訂正前の請求項3において、請求項1を引用する部分を独立した形に書き下して引用関係を解消するものであり、さらに、訂正前の請求項3に記載された「ガラス板」を「太陽電池または集光ミラーに用いるガラス板」に限定するものであるから、「請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」及び「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 そして、訂正事項3の請求項間の引用関係を解消する訂正は、願書に添付された明細書、特許請求の範囲及び図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 また、願書に添付された明細書の段落0054には、「本発明のガラス板は、太陽電池用ガラス板(カバーガラス、薄膜太陽電池用ガラス基板等)、太陽熱発電における集光ミラー用ガラス板等として有用である。」と記載されているから、訂正事項3の「太陽電池または集光ミラーに用いるガラス板」に限定する訂正は、願書に添付された明細書、特許請求の範囲及び図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (4)訂正事項4について 訂正事項4は、訂正前の請求項4において、請求項1を引用する部分のみを独立した形に書き下して引用関係を解消するものであるから、「請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」及び「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、願書に添付された明細書、特許請求の範囲及び図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (5)訂正事項5について 訂正事項5は、訂正前の請求項5において、請求項1を引用する部分を独立した形に書き下して引用関係を解消するものであるから、「請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものであり、願書に添付された明細書、特許請求の範囲及び図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (6)訂正事項6について 訂正事項6は、訂正前の請求項6において、請求項1を引用する部分のみを独立した形に書き下して引用関係を解消するものであり、さらに、訂正前の請求項6に記載された「ガラス板」のガラス組成について、Al2O3の含有量を「0.4~3%」から「0.8~3%」に減縮し、さらに、K2Oの含有量を「0~0.7%」に限定するものであるから、「請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」及び「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 そして、訂正事項6の請求項間の引用関係を解消する訂正は、願書に添付された明細書、特許請求の範囲及び図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 また、願書に添付された明細書の段落0051の表1の例3、例5及び例7には、Al2O3の含有量が「0.8%」であることが記載され、段落0031には、「K2Oの含有量は、酸化物基準のmol百分率表示で、0~0.7%であるのが好ましい。」と記載されているから、訂正事項6のガラス組成に係る訂正は、願書に添付された明細書、特許請求の範囲及び図面に記載された事項の範囲内においてなされたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (7)訂正事項7について 訂正事項7は、訂正前の請求項6において、請求項2を引用する部分のみを独立した形に書き下して引用関係を解消するものであり、さらに、訂正前の請求項6に記載された「ガラス板」を「太陽電池または集光ミラーに用いるガラス板」に限定するものであるから、「請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」及び「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 そして、訂正事項7の請求項間の引用関係を解消する訂正は、願書に添付された明細書、特許請求の範囲及び図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 また、願書に添付された明細書の段落0054には、「本発明のガラス板は、太陽電池用ガラス板(カバーガラス、薄膜太陽電池用ガラス基板等)、太陽熱発電における集光ミラー用ガラス板等として有用である。」と記載されているから、訂正事項7の「太陽電池または集光ミラーに用いるガラス板」に限定する訂正は、願書に添付された明細書、特許請求の範囲及び図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (8)訂正事項8について 訂正事項8は、訂正前の請求項6において、請求項3を引用する部分のみを独立した形に書き下して引用関係を解消するものであり、さらに、訂正前の請求項6に記載された「ガラス板」について、「ガラス板(ただし、Sb2O3含有量が0.1重量%以下であり、かつTiO2含有量が0.05~10重量%であるガラス板を除く。)」に限定するものであるから、「請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」及び「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 そして、訂正事項8の請求項間の引用関係を解消する訂正は、願書に添付された明細書、特許請求の範囲及び図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 また、訂正事項8の「ガラス板(ただし、Sb2O3含有量が0.1重量%以下であり、かつTiO2含有量が0.05~10重量%であるガラス板を除く。)」に限定する訂正は、取消理由通知で引用した甲第1号証に記載された発明との重なりのみを除くものであって、いわゆる「除くクレーム」とするものにすぎず、新たな技術的事項を導入するものではないから、願書に添付された明細書、特許請求の範囲及び図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (9)一群の請求項について 訂正前の請求項2~6が、訂正前の請求項1を引用するものであるから、訂正事項1~8の特許請求の範囲の訂正は、一群の請求項1~6について請求されたものである。 (10)独立特許要件について 訂正事項1~3、6~8は、「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正を含むが、特許異議の申立ては、訂正前の請求項1~3、6にされているので、訂正後の請求項1~3、6~8に係る発明については、独立特許要件の規定は適用されない。 また、訂正事項4も、「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正を含むところ、訂正前の請求項4は、特許異議の申立てがされていないから、独立特許要件について検討する必要がある。 しかしながら、訂正前の請求項4に係る発明は、拒絶理由を発見しないとして特許されたものであり、また、訂正事項4に係る訂正は、上記(4)で指摘したとおり、訂正前の請求項4が請求項1~3のいずれか一項を引用するものから、請求項1を引用する部分のみを独立した形に書き下して引用関係を解消するものであり、新たな拒絶理由が生じるものではないから、訂正後の請求項4に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるといえる。 3 むすび 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項において準用する同法第126条第5項~第7項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1~8〕について訂正を認める。 第3 特許異議申立について 1 本件発明 本件訂正請求により訂正された請求項1~8に係る発明(以下、「本件発明1~8」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~8に記載された次の事項により特定されるとおりのものであると認める。(下線部は訂正箇所である。) 【請求項1】 酸化物基準のmol百分率表示で、 SiO2  :57~69%、 Al2O3 :0.8~3%、 B2O3  :0~5%、 Na2O  :10~16%、 MgO   :8~19.8%、 CaO   :1.6~8%、 K2O   :0~0.7%、 MgO+Al2O3+B2O3-Na2O(mol百分率表示)で表されるS-value :-10~10.5%、であり、 酸化物基準のmol百分率表示のMgOの含有量と酸化物基準のmol百分率表示のCaOの含有量との比([MgO]/[CaO])が、1.0~10である、ガラス板。 【請求項2】 酸化物基準のmol百分率表示で、 SiO2  :57~69%、 Al2O3 :0.4~3%、 B2O3  :0~5%、 Na2O  :10~16%、 MgO   :8~19.8%、 CaO   :1.6~8%、 MgO+Al2O3+B2O3-Na2O(mol百分率表示)で表されるS-value :-2~10.5%、であり、 酸化物基準のmol百分率表示のMgOの含有量と酸化物基準のmol百分率表示のCaOの含有量との比([MgO]/[CaO])が、1.0~10である、ガラス板(ただし、Sb2O3含有量が0.1重量%以下であり、かつTiO2含有量が0.05~10重量%であるガラス板を除く。)。 【請求項3】 酸化物基準のmol百分率表示で、 SiO2  :57~69%、 Al2O3 :0.4~3%、 B2O3  :0~5%、 Na2O  :10~16%、 MgO   :8~19.8%、 CaO   :1.6~8%、 MgO+Al2O3+B2O3-Na2O(mol百分率表示)で表されるS-value :0~10.5%、であり、 酸化物基準のmol百分率表示のMgOの含有量と酸化物基準のmol百分率表示のCaOの含有量との比([MgO]/[CaO])が、1.0~10である、太陽電池または集光ミラーに用いるガラス板。 【請求項4】 酸化物基準のmol百分率表示で、 SiO2  :57~69%、 Al2O3 :0.4~3%、 B2O3  :3~5%、 Na2O  :10~16%、 MgO   :8~19.8%、 CaO   :1.6~8%、 MgO+Al2O3+B2O3-Na2O(mol百分率表示)で表されるS-value :-10~10.5%、であり、 酸化物基準のmol百分率表示のMgOの含有量と酸化物基準のmol百分率表示のCaOの含有量との比([MgO]/[CaO])が、1.0~10である、ガラス板。 【請求項5】 酸化物基準のmol百分率表示で、 SiO2  :57~69%、 Al2O3 :0.4~3%、 B2O3  :0~5%、 Na2O  :10~16%、 MgO   :8~19.8%、 CaO   :1.6~8%、 MgO+Al2O3+B2O3-Na2O(mol百分率表示)で表されるS-value :-10~10.5%、であり、 酸化物基準のmol百分率表示のMgOの含有量と酸化物基準のmol百分率表示のCaOの含有量との比([MgO]/[CaO])が、1.0~1.5である、ガラス板。 【請求項6】 酸化物基準のmol百分率表示で、 SiO2  :57~69%、 Al2O3 :0.8~3%、 B2O3  :0~5%、 Na2O  :10~16%、 MgO   :8~19.8%、 CaO   :1.6~8%、 K2O   :0~0.7%、 MgO+Al2O3+B2O3-Na2O(mol百分率表示)で表されるS-value :-10~10.5%、であり、 酸化物基準のmol百分率表示のMgOの含有量と酸化物基準のmol百分率表示のCaOの含有量との比([MgO]/[CaO])が、1.0~10であり、 Fe2O3に換算した全鉄の含有量が、酸化物基準の質量百分率表示で、0.005~0.06%である、ガラス板。 【請求項7】 酸化物基準のmol百分率表示で、 SiO2  :57~69%、 Al2O3 :0.4~3%、 B2O3  :0~5%、 Na2O  :10~16%、 MgO   :8~19.8%、 CaO   :1.6~8%、 MgO+Al2O3+B2O3-Na2O(mol百分率表示)で表されるS-value :-2~10.5%、であり、 酸化物基準のmol百分率表示のMgOの含有量と酸化物基準のmol百分率表示のCaOの含有量との比([MgO]/[CaO])が、1.0~10であり、 Fe2O3に換算した全鉄の含有量が、酸化物基準の質量百分率表示で、0.005~0.06%である、太陽電池または集光ミラーに用いるガラス板。 【請求項8】 酸化物基準のmol百分率表示で、 SiO2  :57~69%、 Al2O3 :0.4~3%、 B2O3  :0~5%、 Na2O  :10~16%、 MgO   :8~19.8%、 CaO   :1.6~8%、 MgO+Al2O3+B2O3-Na2O(mol百分率表示)で表されるS-value :0~10.5%、であり、 酸化物基準のmol百分率表示のMgOの含有量と酸化物基準のmol百分率表示のCaOの含有量との比([MgO]/[CaO])が、1.0~10であり、 Fe2O3に換算した全鉄の含有量が、酸化物基準の質量百分率表示で、0.005~0.06%である、ガラス板(ただし、Sb2O3含有量が0.1重量%以下であり、かつTiO2含有量が0.05~10重量%であるガラス板を除く。)。 2 取消理由の概要 訂正前の請求項1~3、6に係る特許に対して、下記甲第1号証~甲第4号証に基づき、平成30年6月7日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 (1)取消理由1 訂正前の請求項1~3、6に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるから、訂正前の請求項1~3、6に係る特許は取り消すべきものである。 (2)取消理由2 訂正前の請求項1~3、6に係る発明は、甲第1号証に記載された発明、及び、甲第2号証~甲第4号証に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、訂正前の請求項1~3、6に係る特許は取り消すべきものである。 (3)取消理由3 訂正前の請求項1~3、6に係る発明は、甲第2号証に記載された発明、及び、甲第1号証に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、訂正前の請求項1~3、6に係る特許は取り消すべきものである。 (甲号証一覧) 甲第1号証:特開2000-290038号公報 甲第2号証:特開2005-243515号公報 甲第3号証:特開2006-114384号公報 甲第4号証:特開平8-273604号公報 3 甲号証の記載事項等について (1)甲第1号証の記載事項及び発明 ア 甲第1号証の記載事項 (ア)「【請求項1】 Sb2O3含有量が0.1重量%以下であり、かつ、TiO2含有量が0.05~10重量%であることを特徴とする蛍光ランプ用ガラス。」 (イ)「【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記したソーダライム系のガラス管を外囲器に用いて蛍光ランプを製造すると、製造時にガラスが黒く変色し、高輝度のランプが得られないという問題をしばしば引き起すことが問題となっている。 【0005】本発明の目的は、製造時にガラスが黒色に変色せず、しかも従来のソーダライムガラスと同等以上の特性を有する蛍光ランプ用ガラスと、このガラスからなる蛍光ランプ用ガラス管と、このガラス管を用いて作製される蛍光ランプを提供することである。 【0006】 【課題を解決するための手段】ガラスが黒色に変色する原因は、ガラス中に含まれるSb2O3が還元され易い成分であるために、加工工程中のバーナの燃焼状態に影響されて金属コロイド化されるためである。そこで本発明者等は種々の検討を行った結果、これを防止するためには、ガラス成分にSb2O3をなるべく含まないことが必要であること、及びSb2O3に代わる成分としてTiO2を所定量含有させればよいことを見いだした。 【0007】即ち、本発明の蛍光ランプ用ガラスは、Sb2O3含有量が0.1重量%以下であり、かつ、TiO2含有量が0.05~10重量%であることを特徴とする。 ・・・ 【0010】 【発明の実施の形態】本発明の蛍光ランプ用ガラスは、Sb2O3の代わりにTiO2を必須成分として含有することにより、高い輝度を有し、かつ輝度劣化が少ない蛍光ランプを作製することができる。 【0011】Sb2O3の含有量が0.1%を超えると、加工工程中にSbコロイドが生じて黒色に変色し、高輝度の蛍光ランプを得ることができなくなる。なおSb2O3は含有しないことが望ましい。 【0012】TiO2の含有量は0.05~10%、好ましくは0.2~5%である。TiO2は、高輝度で輝度劣化の少ない蛍光ランプを得るための必須成分であるとともに、ガラスの粘度を適度に下げて、蛍光ランプ工程における加工性、生産性を高める効果を有する。」 (ウ)「【0020】Al2O3は、ガラスの耐候性を向上させる作用が高く、またガラスの失透を抑えるのに有効であるが、0.5%未満ではその効果は小さく、10%を超えると、ガラスの粘度が急激に高くなりガラスの溶融や、蛍光ランプの曲げ加工が困難になる。なおAl2O3の好ましい範囲は0.5~5%である。」 (エ)「【0023】R’O(R’はLi、Na、Kを表す)は、ガラスの線熱膨張係数をステムガラスと整合のとれる90~105×10-7/℃に設定するとともに、粘度を下げるのに必須の成分である。また融剤としての作用も大きい。その含有量が10%より少ないとこの作用が不十分となる。また22%を超えると線熱膨張係数が大きくなりすぎるとともに、ガラスから溶出しやすくなるため、蛍光体や水銀と反応して蛍光ランプの輝度を下げたり、長期の使用に十分な耐候性が得られなくなる。なおR’Oの好ましい範囲は15~20%である。また各成分の含有量は、Li2O 0~3%、Na2O 7~19%、K2O 0~6%であることが好ましい。」 (オ)「【0036】 【表2】 」 (カ)「【0041】なお各測定は、以下のように行った。・・・耐紫外線ソラリゼーション性は次のようにして評価した。まず両面を鏡面研磨した厚さ1mmの試料を作製し、波長400nmの透過率を測定した。続いて40Wの低圧水銀ランプによって主波長253.7nmの紫外線を60分間照射した後、再度400nmの透過率を測定し、紫外線照射による透過率の低下量を求め、ΔT%として示した。耐紫外線ソラリゼーション性の劣るガラスほどこの透過率の低下量が大きくなり、蛍光ランプの輝度劣化が著しくなる。」 (キ)「【0042】表から明らかなように、TiO2を必須成分として含有する本発明の各試料は、Sb2O3を実質的に含まないガラスで有りながら、作業温度が969℃以下、アルカリ溶出量が0.79mg以下、耐紫外線ソラリゼーション性についても透過率低下量が1.0%以下であり、従来品である試料No.15と同等以上の特性を有することが分かった。」 イ 甲第1号証に記載された発明 甲第1号証には、上記ア(ア)によれば、Sb2O3含有量が0.1重量%以下であり、かつ、TiO2含有量が0.05~10重量%である蛍光ランプ用ガラスが記載されている。そして、甲第1号証には、この蛍光ランプ用ガラスの具体的なガラス組成として、上記ア(オ)の実施例7によれば、SiO2が67.3重量%、Al2O3が0.8重量%、B2O3が0重量%、CaOが3.9重量%、MgOが8.5重量%、Li2Oが0.4重量%、Na2Oが13.2重量%、K2Oが3.6重量%、ZrO2が0.5重量%、Fe2O3が0.05重量%、P2O5が0.3重量%、TiO2が1.5重量%であるガラス組成が記載され、さらに、上記ア(キ)によれば、前記ガラス組成にSb2O3を実質的に含まないことも記載されている。また、甲第1号証には、上記ア(カ)によれば、前記蛍光ランプ用ガラスを評価するために、両面を鏡面研磨して厚さ1mmの耐紫外線ソラリゼーション性測定用ガラス試料とすることが記載されている。 これら記載を実施例7の耐紫外線ソラリゼーション性測定用ガラス試料に注目して整理すると、甲第1号証には、 「SiO2が67.3重量%、Al2O3が0.8重量%、B2O3が0重量%、CaOが3.9重量%、MgOが8.5重量%、Li2Oが0.4重量%、Na2Oが13.2重量%、K2Oが3.6重量%、ZrO2が0.5重量%、Fe2O3が0.05重量%、P2O5が0.3重量%、TiO2が1.5重量%であり、Sb2O3を実質的に含まないガラス組成を有する蛍光ランプ用ガラスを評価するための両面を鏡面研磨した厚さ1mmの耐紫外線ソラリゼーション性測定用ガラス試料。」の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されているといえる。 (2)甲第2号証の記載事項及び発明 ア 甲第2号証の記載事項 (ア)「【請求項1】 2枚のガラス板を対向配置し、希ガスを封入した状態で両ガラス板の端部を加熱溶融して封着したことを特徴とする平面型蛍光ランプ。」 (イ)「【0021】 本実施の形態においては、図1に示すように、ガラス板1a,1bの端部をバーナー3a,3bで加熱溶融し、この端部自体を馴染ませることで直接的に封着する。ガラス板1a,1bは、長方形状であり、ガラス板1a,1bの端部の封着に際しては、少なくとも一辺を加熱溶融して封着する。もちろん、2辺、3辺を加熱溶融して封着してもよいし、4辺全てを加熱溶融して封着してもよい。 【0022】 また、図2に示すように、ガラス板1a,1bの端部をバーナー3a,3bで加熱溶融した後、当該端部を鋼鉄板等で挟み込むようにして押圧力をかけることで、気密に封着するようにしてもよい。これにより、ガラス板1a,1bの端部を強固に封着することができる。」 イ 甲第2号証に記載された発明 上記ア(ア)及び(イ)によれば、甲第2号証には、「平面型蛍光ランプ用のガラス板」の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されているといえる。 (3)甲第3号証の記載事項 ア 「【請求項1】 外面に電極が設けられた構造を有する外部電極蛍光ランプの作製に用いられる外部電極蛍光ランプ用外套容器であって、40KHz、250℃の誘電正接が0.02(0.02を含まず)~0.2、且つ歪点が650℃以下であるガラスからなることを特徴とする外部電極蛍光ランプ用外套容器。」 イ 「【0022】 なお本発明における「外套容器」とは、管形状、平面状等種々の形状を含み、蛍光ランプの放電空間を形成するための部材、或いは包囲体として使用されるものである。」 (4)甲第4号証の記載事項 ア 「【0002】 【従来の技術】従来より画像表示装置として液晶表示器が広く普及しており、そのバックライトとして冷陰極型の平面蛍光ランプが用いられている。 【0003】図10は従来の平面蛍光ランプを示しており、前面ガラスパネル(12)と背面ガラスパネル(13)を接合して、扁平な密封容器(1)を構成し、該密封容器(1)の内部は排気管(11)を用いて真空化されている。又、密封容器(1)の内面には蛍光膜(図示省略)が形成され、密封容器(1)の内部には、一対となる第1電極(2)及び第2電極(3)が対向配備されている。」 (5)特許異議申立人が意見書に添付して提出した甲第11号証(特開平8-316516号公報)の記載事項 ア 「【請求項1】 直列もしくは並列に接続された複数の太陽電池セルと、これら太陽電池セルが敷き並べられた状態で収容されるガラス容器と、このガラス容器内に収容された太陽電池セルを固定する固定用部材とを備え、上記ガラス容器が、透明の上側容器と、下側容器とから構成され、上記上側容器と下側容器とでつくられる収容空間内に、上記太陽電池セルが受光面を上側にして固定され、上記上側容器の周縁と下側容器の周縁が全周にわたって気密状に溶着されるとともに、内部の太陽電池セルからの出力用電極リードの導出部が、上記ガラス容器に気密状にガラス封止されていることを特徴とするガラス封止型太陽電池モジュール。」 イ 「【0010】より詳しく説明すると、上記ガラス容器1は、平板状に形成された上側容器1aと、略浅皿状に形成された下側容器1bとから構成されており、内部に層状の収容空間2が形成されている。この収容空間2内には、上記太陽電池セル9が、下側容器1bの底面にそれぞれ接着剤(固定用部材)3で受光面を上側にして接着固定されている。そして、上記上側容器1aの周縁と下側容器1bの周縁が、全周にわたって気密状に溶着されている。この溶着部は、図4に示すように上側容器1aおよび下側容器1bの周辺部が当接した状態になっており、この当接部が、ガスバーナーを利用した高温ガスの吹きつけによって溶融され一体化されて形成されている。また、内部の太陽電池セル9からの出力用電極リード4の導出部は、上記ガラス容器1の溶着部に、封着用ガラス(いわゆるハーメチックシール)5を介して気密状にガラス封止されている。上記封着用ガラス5には、出力用電極リード4に使用される金属材料と熱膨張係数の比較的近いものが用いられる。図において、6は各太陽電池セル9同士を接続するリード線である。」 4 取消理由通知に記載した取消理由について (1)取消理由1及び2についての検討 ア 甲1発明について 甲1発明は、上記3(1)イに記載されたとおりであるところ、甲1発明のガラス組成を、SiO2のモル質量が60.08g/mol、Al2O3のモル質量が101.96g/mol、B2O3のモル質量が69.62g/mol、CaOのモル質量が56.08g/mol、MgOのモル質量が40.30g/mol、Li2Oのモル質量が29.88g/mol、Na2Oのモル質量が61.98g/mol、K2Oのモル質量が94.20g/mol、ZrO2のモル質量が123.22g/mol、Fe2O3のモル質量が159.69g/mol、P2O5のモル質量が141.94g/mol、TiO2のモル質量が79.87g/mol、Sb2O3のモル質量が291.52g/molであるとして、mol百分率に換算すると、SiO2が65.96mol%、Al2O3が0.46mol%、B2O3が0.00mol%、CaOが4.10mol%、MgOが12.42mol%、Li2Oが0.79mol%、Na2Oが12.54mol%、K2Oが2.25mol%、ZrO2が0.24mol%、Fe2O3が0.018mol%、P2O5が0.12mol%、TiO2が1.11mol%、Sb2O3が0.00mol%となる。 また、上記mol百分率で示される甲1発明のガラス組成を用いて、MgO+Al2O3+B2O3-Na2O(mol百分率表示)で表されるS-valueを計算すると、S-valueは0.34(=12.42+0.46+0.00-12.54)となり、MgOの含有量とCaOの含有量との比([MgO]/[CaO])を計算すると、[MgO]/[CaO]は3.03(=12.42/4.10)となる。 そして、甲1発明の「両面を鏡面研磨した厚さ1mmの耐紫外線ソラリゼーション性測定用ガラス試料」は、ガラス板であるといえる。 イ 本件発明1及び6について 本件発明1及び6を甲1発明と対比すると、本件発明1及び6のガラス組成は、Al2O3含有量が0.8~3mol%であり、K2O含有量が0~0.7mol%であるのに対して、甲1発明のガラス組成は、Al2O3含有量が0.46mol%であり、K2O含有量が2.25mol%である点で、実質的に相違している。 そこで、当該相違点について検討すると、甲第1号証には、上記3(1)ア(ウ)及び(エ)に摘示したとおり、Al2O3含有量の好ましい範囲が0.5~5重量%であり、K2O含有量の好ましい範囲が0~6重量%であることが記載されている。 しかしながら、上記記載は、本件発明1及び6のガラス組成を満たすように、甲1発明のAl2O3及びK2O以外の成分のモル換算含有量を変更せずに、Al2O3含有量を0.8~3mol%、K2O含有量を0~0.7mol%とすることを示唆するものではない。 また、上記3(1)ア(ウ)及び(エ)によれば、Al2O3は、ガラスの耐候性を向上させ、ガラスの失透を抑える成分であり、K2Oは、線熱膨張係数を調整し、粘度を下げる成分であるため、甲1発明のガラスの性質を変えることなく、K2OをAl2O3に置換できるものでないから、上記記載に基づき、甲1発明のAl2O3含有量を0.8~3mol%に増加させ、K2O含有量を0~0.7mol%に減少させることは、当業者が容易になし得るものでない。 さらに、甲第2号証~甲第4号証には、上記3の(2)ア(ア)及び(イ)、(3)ア及びイ、並びに、(4)アに摘示されているように、蛍光ランプ用のガラス板が記載されているのみであるから、これら記載を参酌しても、甲1発明のAl2O3及びK2Oの含有量のみを変更することは、当業者が容易になし得るものでない。 したがって、本件発明1及び6は、甲第1号証に記載された発明に該当せず、また、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証~甲第4号証に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでないから、その特許は、特許法第29条第1項及び第2項の規定に違反してなされたものでない。 ウ 本件発明2及び8について 本件発明2及び8を甲1発明と対比すると、本件発明2及び8は、「ガラス板(ただし、Sb2O3含有量が0.1重量%以下であり、かつTiO2含有量が0.05~10重量%であるガラス板を除く。)」であるのに対して、甲1発明は、TiO2を1.5重量%含み、Sb2O3を実質的に含まないガラス組成のガラス板である点で、実質的に相違している。 そこで、当該相違点について検討すると、甲第1号証には、上記3(1)ア(ア)に摘示したとおり、「Sb2O3含有量が0.1重量%以下であり、かつ、TiO2含有量が0.05~10重量%であることを特徴とする蛍光ランプ用ガラス」が記載され、また、上記3(1)ア(イ)に摘示したとおり、製造時にガラスが黒色に変色せず、しかも従来のソーダライムガラスと同等以上の特性を有する蛍光ランプ用ガラスを提供するために、Sb2O3含有量を0.1重量%以下、TiO2含有量を0.05~10重量%とすることが記載されている。 そして、甲1発明は、上記蛍光ランプ用ガラスの実施例であることを踏まえると、甲1発明のガラス組成を、甲第1号証に記載された上記課題を解決できない「Sb2O3含有量が0.1重量%以下であり、かつ、TiO2含有量が0.05~10重量%」でないガラス組成に変更することには阻害要因がある。 よって、甲第2号証(上記3(2)ア(ア)参照)、甲第3号証(上記3(3)ア及びイ参照)及び甲第4号証(上記3(4)ア参照)に蛍光ランプ用のガラス板が記載されていることを参酌しても、甲1発明において、「ガラス板(ただし、Sb2O3含有量が0.1重量%以下であり、かつTiO2含有量が0.05~10重量%であるガラス板を除く。)」とすることは、当業者が容易に想到し得たことでない。 ここで、特許異議申立人は、甲第1号証の記載から読み取れる発明は、その請求項1に記載された発明に限定されるわけでなく、Sb2O3及びTiO2を除く各成分のガラス組成を発明として読み取ることは可能であり、そのようなガラス組成の一例が、甲第1号証の実施例7の開示に基づき、SiO2が67.3重量%、Al2O3が0.8重量%、B2O3が0重量%、CaOが3.9重量%、MgOが8.5重量%、Li2Oが0.4重量%、Na2Oが13.2重量%、K2Oが3.6重量%、ZrO2が0.5重量%、Fe2O3が0.05重量%、P2O5が0.3重量%であり、本件発明2のガラス組成を充足する旨を主張している。 しかしながら、甲第1号証の実施例7のガラスは、甲第1号証の請求項1に記載された発明の具体例として記載されたものであるから、そのガラス組成からSb2O3及びTiO2を除外した発明として認定することはできない。 よって、特許異議申立人の主張は採用できない。 以上のとおりであるから、本件発明2及び8は、甲第1号証に記載された発明に該当せず、また、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証~甲第4号証に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでないから、その特許は、特許法第29条第1項及び第2項の規定に違反してなされたものでない。 エ 本件発明3及び7について 本件発明3及び7を甲1発明と対比すると、本件発明3及び7は、「太陽電池または集光ミラーに用いる」ガラス板であるのに対して、甲1発明は、蛍光ランプ用ガラスを評価するための耐紫外線ソラリゼーション性測定用のガラス板である点で、実質的に相違している。 そこで、当該相違点について検討すると、甲第2号証(上記3(2)ア(ア)参照)、甲第3号証(上記3(3)ア及びイ参照)及び甲第4号証(上記3(4)ア参照)には、蛍光ランプ用のガラス板が記載されているのみである。 また、特許異議申立人は、意見書と共に甲第11号証を提出し、甲第11号証(上記3(5)ア及びイ参照)に記載されているように、太陽電池のガラス容器もバーナーを用いて封止加工が施されることがあるから、太陽電池用ガラスの黒色化を避けるために、バーナー加工に適した甲1発明のガラスを甲11号証に記載された「太陽電池」に適用することは、当業者にとって何ら困難なことではない旨を主張している。 しかしながら、本件発明3及び7のガラス組成により、従来の太陽電池または集光ミラーに用いるガラス板よりも日射透過率(Te)を高くすることができるという本件明細書の段落0002、0011、0044等に記載された作用効果については、甲第1号証~甲第4号証及び甲第11号証に記載も示唆もなされていない。 すなわち、本件発明3及び7は、甲第1号証~甲第4号証及び甲第11号証の記載からは予測し得ない作用効果を奏するものであって、単に、甲1発明のガラスを甲第11号証の太陽電池モジュールに適用することにより得られたものとはいえない。 したがって、本件発明3及び7は、甲第1号証に記載された発明に該当せず、また、甲第1号証に記載された発明、並びに、甲第2号証~甲第4号証及び甲第11号証に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでないから、その特許は、特許法第29条第1項及び第2項の規定に違反してなされたものでない。 (2)取消理由3についての検討 ア 本件発明1、2、6及び8について 本件発明1、2、6及び8を、甲2発明と対比すると、本件発明1、2、6及び8はガラス組成が特定されているのに対して、甲2発明のガラス組成は明らかでない点で相違している。 そこで、上記相違点について検討すると、上記(1)ア及びイで検討したとおり、本件発明1、2、6及び8のガラス組成は、甲第1号証に記載されていないし、甲第1号証の記載から当業者が容易に想到し得るものでもないから、甲第1号証の記載を参酌しても、甲2発明のガラス組成を本件発明1、2、6又は8のガラス組成とすることは当業者が容易に想到し得たことでない。 したがって、本件発明1、2、6及び8は、甲第2号証に記載された発明及び甲第1号証に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでないから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものでない。 イ 本件発明3及び7について 本件発明3及び7を、甲2発明と対比すると、本件発明3及び7は、「太陽電池または集光ミラーに用いるガラス板」であるのに対して、甲2発明は、「平面型蛍光ランプ用のガラス板」である点で相違し、さらに、本件発明3及び7はガラス組成が特定されているのに対して、甲2発明のガラス組成は明らかでない点で相違している。 そこで、これら相違点について検討すると、上記3(1)ア(ア)に摘示したとおり、甲第1号証には、蛍光ランプ用ガラスが記載されているのみであり、太陽電池または集光ミラーに用いるガラス板は記載されていないから、甲第1号証の記載を参酌しても、甲2発明の「平面型蛍光ランプ用のガラス板」を太陽電池または集光ミラーに用いることは当業者が容易に想到し得たことでない。 したがって、その他の相違点を検討するまでもなく、本件発明3及び7は、甲第2号証に記載された発明及び甲第1号証に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない。 よって、本件発明3及び7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものでない。 5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について (1)申立理由 特許異議申立人は、下記の甲第5号証~甲第10号証に基づき、下記の申立理由4及び5により、訂正前の請求項1~3、6に係る特許は取り消すべきものであることを主張している。 ア 申立理由4 甲第5号証には、その第36頁の表7の下から18番目及び15番目の記載によれば、「SiO2が68.73mol%、CaOが4.09mol%、Na2Oが12.96mol%、MgOが14.23mol%であるガラス組成物のガラス。」の発明、及び、「SiO2が68.73mol%、CaOが6.13mol%、Na2Oが12.94mol%、MgOが14.21mol%であるガラス組成物のガラス。」の発明が記載されているところ、訂正前の請求項1~3、6に係る発明は、甲第5号証に記載された発明、及び、甲第6号証~甲第10号証に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 イ 申立理由5 甲第8号証には、その請求項1、段落0022、表1の実施例4の記載によれば、「SiO2が69.7重量%、Al2O3が2.7重量%、CaOが0.0重量%、MgOが12.7重量%、Na2Oが14.8重量%、K2Oが0.0重量%、TiO2が0.0重量%、SO3が0.0重量%のガラス組成の太陽電池用ガラス板。」の発明が記載されているところ、訂正前の請求項1~3、6に係る発明は、甲第8号証に記載された発明、並びに、甲第6号証、甲第7号証、甲第9号証及び甲第10号証に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 (甲号証一覧) 甲第5号証:K.A.Shahid et al., Phase equilibria in the glass forming region of the system Na2O-CaO-MgO-SiO2, Physics and Chemistry of Glasses, 1972, Vol.13, No.2, p27-42 甲第6号証:山根正之他,ガラス工学ハンドブック,初版,株式会社朝倉書店,1999年,第10-12,286-295,358-362頁 甲第7号証:作花済夫編,ガラスの事典,初版,株式会社朝倉書店,1985年,第20-21頁 甲第8号証:特開2000-159538号公報 甲第9号証:特開2010-100440号公報 甲第10号証:特開2010-208906号公報 (2)申立理由4についての検討 ア 本件発明1と甲第5号証に記載された発明(以下、「甲5発明」という。)を対比すると、本件発明1は、Al2O3含有量が0.4~3mol%であるのに対して、甲5発明は0mol%である点で、少なくとも相違している。 そして、甲5発明のその他のガラス成分の含有量を変更することなく、Al2O3含有量を変更することはできないから、甲第6号証の第11頁右欄の下から2~1行、及び、甲第7号証の表1のフロート板(日)に、Al2O3含有量が1.8重量%であるガラス板が記載されているとしても、本件発明1のガラス組成を満たすように、甲5発明のガラス組成を変更せずに、Al2O3含有量を0.8~3mol%にすることは、当業者が容易になし得るものといえない。 したがって、本件発明1は、甲第5号証に記載された発明、及び、甲第6号証~甲第10号証に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない。 イ 本件発明2、3、6~8について検討すると、本件発明2、3、6~8は、いずれも甲5発明とAl2O3含有量が少なくとも相違しているから、上記アの検討と同様に、Al2O3含有量を0.4~3mol%、あるいは、0.8~3mol%にすることは、当業者が容易になし得るものといえない。 したがって、本件発明2、3、6~8は、甲第5号証に記載された発明、及び、甲第6号証~甲第10号証に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない。 (3)申立理由5についての検討 ア 甲第8号証に記載された発明(以下、「甲8発明」という。)のガラス組成は、mol百分率に換算すると、SiO2が66.7mol%、Al2O3が1.5mol%、CaOが0.0mol%、MgOが18.1mol%、Na2Oが13.7mol%、K2Oが0.0mol%、TiO2が0.0mol%、SO3が0.0mol%のガラス組成となる。 イ 本件発明1と甲8発明を対比すると、本件発明1は、CaO含有量が1.6~8mol%であるのに対して、甲8発明は0mol%である点で、少なくとも相違している。 そして、甲8発明のCaO以外の成分の含有量を変更することなく、CaO含有量を変更することはできないから、甲第8号証の段落0013にCaO含有量を0~8.5重量%の範囲で許容できることが記載されているとしても、本件発明1のガラス組成を満たすように、甲8発明のCaO以外の成分組成を変更せずに、CaO含有量を1.6~8mol%にすることは、当業者が容易に想到し得るものといえない。 したがって、本件発明1は、甲第8号証に記載された発明、並びに、甲第6号証、甲第7号証、甲第9号証及び甲第10号証に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない。 ウ 本件発明2、3、6~8について検討すると、本件発明2、3、6~8は、いずれも甲8発明とCaO含有量が少なくとも相違しているから、上記イの検討と同様に、CaO含有量を1.6~8mol%にすることは、当業者が容易に想到し得るものといえない。 したがって、本件発明2、3、6~8は、甲第8号証に記載された発明、並びに、甲第6号証、甲第7号証、甲第9号証及び甲第10号証に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない。 (4)まとめ 以上で検討したとおり、特許異議申立人が主張する申立理由4及び5は採用できない。 第4 むすび 以上のとおりであるから、取消理由及び申立理由によっては、本件請求項1~3、6~8に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1~3、6~8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2018-700261

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