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特許異議申立

2018-700221

複合粒子およびその製造方法

審判番号
2018-700221
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2016-504339
登録番号
特許第6195970号(P6195970)
請求日
2018年03月12日
審決日
2018年11月02日
公報発行日
2019年02月22日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】キャボット コーポレイション
  • 【権利者代理人】青木 篤
  • 【権利者代理人】三橋 真二
  • 【権利者代理人】木村 健治
  • 【権利者代理人】胡田 尚則
  • 【異議申立人】駒井 佳子
審判長/審判官
  • 審判長 加藤 友也
  • 審判官 大島 祥吾
  • 審判官 阪▲崎▼ 裕美
分類
P1652.161-YAA(C08J) / P1652.113-YAA(C08J) / P1652.121-YAA(C08J)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第126条第7項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条の2、特許法第120条の5第5項、特許法第29条第2項、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第6195970号発明「複合粒子およびその製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第6195970号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1~5]、[6]、[7]、[8]、[9]、[10]、[11]、[12、17、20]、[13~16]、「18、19]、[21]について訂正することを認める。 特許第6195970号の請求項1、4、5、12、17、20に係る特許を維持する。 特許第6195970号の請求項2及び3に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

【理 由】 第1 主な手続の経緯等 特許第6195970号(設定登録時の請求項の数は21。以下、「本件特許」という。)は、国際出願日である平成26年3月18日(パリ条約による優先権主張 2013年3月20日 2013年5月3日 2013年12月20日 いずれもアメリカ合衆国(US))にされたとみなされる特許出願である特願2016-504339号に係るものであって、平成29年8月25日に設定登録され、特許掲載公報が同年9月13日に発行された。 特許異議申立人 駒井佳子(以下、単に「異議申立人」という。)は、平成30年3月12日に本件特許の請求項1ないし5、12、17及び20に係る発明についての特許に対して特許異議の申立てをした。 当審において、平成30年5月15日付けで取消理由を通知したところ、特許権者から、同年8月15日付けで訂正請求書(以下、当該訂正請求書による訂正請求を「本件訂正請求」という。)及び意見書が提出されたので、同年8月20日付けで異議申立人に対して特許法第120条の5第5項に基づく通知をしたところ、異議申立人からは、なんら応答はなかったものである。 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正の内容 本件訂正請求による訂正の内容は以下の訂正事項1ないし12である。ここで、訂正事項1ないし9は、訂正前の請求項1~11及び21という一群の請求項ごとに訂正するものであり、訂正事項10ないし12は、訂正前の請求項12~20という一群の請求項ごとに訂正するものである。 また、下線については訂正箇所に当審が付したものである。 訂正事項1 訂正前の特許請求の範囲の請求項1に、 「芯粒子の周りに配置された有機シリカ粒子を有する該芯粒子を含む複合粒子であって、該有機シリカ粒子が0.5~4の範囲のCのSiに対するモル比を有する、複合粒子。」 と記載されているのを 「芯粒子の周りに配置された有機シリカ粒子を有する該芯粒子を含む複合粒子であって、該有機シリカ粒子が0.5~4の範囲のCのSiに対するモル比を有し、かつ、該芯粒子が有機材料を含み、該有機材料が、ポリエステル、ポリエステル-スチレン共重合体もしくは混合物、およびポリエステル-アクリル共重合体もしくは混合物から選択されるか、または天然ワックスおよび合成ワックスから選択される、複合粒子。」 に訂正する。 請求項1を引用する請求項4及び5についても同様の訂正を行う。 訂正事項2 訂正前の特許請求の範囲の請求項2および3を削除する。 訂正事項3 訂正前の特許請求の範囲の請求項6を独立形式に改め、 「芯粒子の周りに配置された有機シリカ粒子を有する該芯粒子を含む複合粒子であって、該有機シリカ粒子が0.5~4の範囲のCのSiに対するモル比を有する、複合粒子と混合されているトナー粒子を含むトナー組成物。」 に訂正する。 訂正事項4 訂正前の特許請求の範囲の請求項7を独立形式に改め、 「芯粒子の周りに配置された有機シリカ粒子を有する該芯粒子を含む複合粒子であって、該有機シリカ粒子が0.5~4の範囲のCのSiに対するモル比を有する、複合粒子を含む、構造用接着剤。」 に訂正する。 訂正事項5 訂正前の特許請求の範囲の請求項8を独立形式に改め、 「芯粒子の周りに配置された有機シリカ粒子を有する該芯粒子を含む複合粒子であって、該有機シリカ粒子が0.5~4の範囲のCのSiに対するモル比を有する、複合粒子を含む、感圧接着剤。」 に訂正する。 訂正事項6 訂正前の特許請求の範囲の請求項9を独立形式に改め、 「芯粒子の周りに配置された有機シリカ粒子を有する該芯粒子を含む複合粒子であって、該有機シリカ粒子が0.5~4の範囲のCのSiに対するモル比を有する、複合粒子を含む、コーティング組成物。」 に訂正する。 訂正事項7 訂正前の特許請求の範囲の請求項10を独立形式に改め、 「芯粒子の周りに配置された有機シリカ粒子を有する該芯粒子を含む複合粒子であって、該有機シリカ粒子が0.5~4の範囲のCのSiに対するモル比を有する、複合粒子を含む、熱硬化性ポリマー組成物。」 に訂正する。 訂正事項8 訂正前の特許請求の範囲の請求項11を独立形式に改め、 「芯粒子の周りに配置された有機シリカ粒子を有する該芯粒子を含む複合粒子であって、該有機シリカ粒子が0.5~4の範囲のCのSiに対するモル比を有する、複合粒子を含む、熱可塑性ポリマー組成物。」 に訂正する。 訂正事項9 訂正前の特許請求の範囲の請求項21を独立形式に改め、 「芯粒子の周りに配置された有機シリカ粒子を有する該芯粒子を含む複合粒子であって、該有機シリカ粒子が0.5~4の範囲のCのSiに対するモル比を有し、前記芯粒子内部に配置された金属粒子または金属酸化物粒子を更に含む、複合粒子。」 に訂正する。 訂正事項10 訂正前の特許請求の範囲の請求項12に、 「(a)ポリマーもしくはワックス粒子および表面剤を含む水性分散液を準備する工程、該水性分散液は、8以上のpHを有している」 と記載されているのを 「(a)ポリマーもしくはワックス粒子および表面剤を含む水性分散液を準備する工程、該水性分散液は、8以上のpHを有しており、該ポリマーが、ポリエステル、ポリエステル-スチレン共重合体もしくは混合物、およびポリエステル-アクリル共重合体もしくは混合物から選択される」 に訂正する。 請求項12を引用する請求項17及び20についても同様の訂正を行う。 訂正事項11 訂正前の特許請求の範囲の請求項13を独立形式に改め、 「以下の工程、 (a)ポリマーもしくはワックス粒子および表面剤を含む水性分散液を準備する工程、該水性分散液は、8以上のpHを有している、 (b)少なくとも部分的に加水分解された有機シラン化合物を含む水性混合物を、前記水性分散液に添加して、混合物を形成する工程、該有機シラン化合物は、式:R1SiR23を有しており、式中R1は、C1~C4アルキル、C2~C4アルケニルもしくはC2~C4アルキニル、かつR2は、アルコキシ、クロロ、ブロモ、もしくはヨードである、 (c)前記少なくとも部分的に加水分解された有機シラン化合物の反応による有機シリカ粒子の生成によって、複合粒子の水性分散液を形成する工程であって、該有機シリカ粒子が0.5~4の範囲のCのSiに対するモル比を有する工程、 を含んでなる、複合粒子の調製方法であって、 前記準備することが、 A)ポリマー粒子の水性分散液を、エチレン性不飽和モノマーと混合し、該モノマーを該ポリマー粒子中に移動せしめ、かつ該モノマーを重合すること、 B)ポリマーを溶媒に溶解させること、水を加えて水中油エマルジョンを形成すること、および該溶媒を該エマルジョンから留去してポリマー粒子の水性分散液を形成させること、 あるいは工程A)およびB)の両方を含む、方法。」 に訂正する。 請求項13を直接又は間接的に引用する請求項14ないし請求項16についても同様の訂正を行う。 訂正事項12 訂正前の特許請求の範囲の請求項18を独立形式に改め、 「以下の工程、 (a)ポリマーもしくはワックス粒子および表面剤を含む水性分散液を準備する工程、該水性分散液は、8以上のpHを有している、 (b)少なくとも部分的に加水分解された有機シラン化合物を含む水性混合物を、前記水性分散液に添加して、混合物を形成する工程、該有機シラン化合物は、式:R1SiR23を有しており、式中R1は、C1~C4アルキル、C2~C4アルケニルもしくはC2~C4アルキニル、かつR2は、アルコキシ、クロロ、ブロモ、もしくはヨードである、 (c)前記少なくとも部分的に加水分解された有機シラン化合物の反応による有機シリカ粒子の生成によって、複合粒子の水性分散液を形成する工程であって、該有機シリカ粒子が0.5~4の範囲のCのSiに対するモル比を有する工程、 を含んでなる、複合粒子の調製方法であって、 前記表面剤が、SiH3-xR3xR4Qを含み、式中xは1、2もしくは3、R4は、アルコキシ、クロロ、ブロモもしくはヨード、R4はC3~C22分岐もしくは非分岐アルキレンまたはアルケニレンまたは芳香族基であり、かつQは、H、Cl、Br、F、ヒドロキシル、カルボン酸、エポキシ、アミン、または置換もしくは非置換ビニル、アクリレート、またはメタクリレートである、方法。」 に訂正する。 請求項18を直接的に引用する請求項19についても同様の訂正を行う。 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1) 訂正事項1について ア 訂正事項1は、請求項1において、芯粒子が有機材料を含むことを特定し、更に有機材料を具体的に限定するものであるから、訂正事項1は、特許請求の範囲を減縮することを目的とするものであるといえる。 イ そして、当該訂正事項1は、願書に添付した明細書の段落【0004】、【0279】の記載から、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号を目的とし、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するものである。 (2) 訂正事項2について ア 訂正事項2は、訂正前の特許請求の範囲の請求項2及び請求項3を削除するというものであるから、当該訂正事項2は、特許請求の範囲を減縮することを目的とするものであるといえる。そして、当該訂正事項2は、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 イ よって、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号を目的とし、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するものである。 (3) 訂正事項3について ア 訂正事項3は、訂正前の請求項6が請求項1の記載を引用する記載であったところ、請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改めるための訂正であって、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものといえる。 イ そして、当該訂正事項3は、上記で明らかなように、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ウ よって、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号を目的とし、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するものである。 エ 訂正事項3は、特許異議申立てがされていない請求項に係る訂正であるが、訂正事項3は上記のとおり特許法第120条の5第2項ただし書第4号を目的とする訂正であって、同条同項第1号又は第2号に掲げる事項を目的とする訂正ではないから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 (4) 訂正事項4について ア 訂正事項4は、訂正前の請求項7が請求項1の記載を引用する記載であったところ、請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改めるための訂正であって、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものといえる。 イ そして、当該訂正事項4は、上記で明らかなように、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ウ よって、訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号を目的とし、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するものである。 エ 訂正事項4は、特許異議申立てがされていない請求項に係る訂正であるが、訂正事項4は上記のとおり特許法第120条の5第2項ただし書第4号を目的とする訂正であって、同条同項第1号又は第2号に掲げる事項を目的とする訂正ではないから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 (5) 訂正事項5について ア 訂正事項5は、訂正前の請求項8が請求項1の記載を引用する記載であったところ、請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改めるための訂正であって、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものといえる。 イ そして、当該訂正事項5は、上記で明らかなように、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ウ よって、訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号を目的とし、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するものである。 エ 訂正事項5は、特許異議申立てがされていない請求項に係る訂正であるが、訂正事項5は上記のとおり特許法第120条の5第2項ただし書第4号を目的とする訂正であって、同条同項第1号又は第2号に掲げる事項を目的とする訂正ではないから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 (6) 訂正事項6について ア 訂正事項6は、訂正前の請求項9が請求項1の記載を引用する記載であったところ、請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改めるための訂正であって、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものといえる。 イ そして、当該訂正事項6は、上記で明らかなように、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ウ よって、訂正事項6は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号を目的とし、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するものである。 エ 訂正事項6は、特許異議申立てがされていない請求項に係る訂正であるが、訂正事項6は上記のとおり特許法第120条の5第2項ただし書第4号を目的とする訂正であって、同条同項第1号又は第2号に掲げる事項を目的とする訂正ではないから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 (7) 訂正事項7について ア 訂正事項7は、訂正前の請求項10が請求項1の記載を引用する記載であったところ、請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改めるための訂正であって、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものといえる。 イ そして、当該訂正事項7は、上記で明らかなように、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ウ よって、訂正事項7は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号を目的とし、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するものである。 エ 訂正事項7は、特許異議申立てがされていない請求項に係る訂正であるが、訂正事項7は上記のとおり特許法第120条の5第2項ただし書第4号を目的とする訂正であって、同条同項第1号又は第2号に掲げる事項を目的とする訂正ではないから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 (8) 訂正事項8について ア 訂正事項8は、訂正前の請求項11が請求項1の記載を引用する記載であったところ、請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改めるための訂正であって、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものといえる。 イ そして、当該訂正事項8は、上記で明らかなように、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ウ よって、訂正事項8は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号を目的とし、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するものである。 エ 訂正事項8は、特許異議申立てがされていない請求項に係る訂正であるが、訂正事項8は上記のとおり特許法第120条の5第2項ただし書第4号を目的とする訂正であって、同条同項第1号又は第2号に掲げる事項を目的とする訂正ではないから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 (9) 訂正事項9について ア 訂正事項9は、訂正前の請求項21が請求項1の記載を引用する記載であったところ、請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改めるための訂正であって、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものといえる。 イ そして、当該訂正事項9は、上記で明らかなように、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ウ よって、訂正事項9は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号を目的とし、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するものである。 エ 訂正事項9は、特許異議申立てがされていない請求項に係る訂正であるが、訂正事項9は上記のとおり特許法第120条の5第2項ただし書第4号を目的とする訂正であって、同条同項第1号又は第2号に掲げる事項を目的とする訂正ではないから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 (10) 訂正事項10について ア 訂正事項10は、請求項12において、ポリマーを具体的に限定するものであるから、訂正事項10は、特許請求の範囲を減縮することを目的とするものであるといえる。 イ そして、当該訂正事項10は、願書に添付した明細書の段落【0004】、【0279】の記載から、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 よって、訂正事項10は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号を目的とし、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するものである。 (11) 訂正事項11について ア 訂正事項11は、訂正前の請求項13が請求項12の記載を引用する記載であったところ、請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改めるための訂正であって、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものといえる。 イ そして、当該訂正事項11は、上記で明らかなように、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ウ よって、訂正事項11は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号を目的とし、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するものである。 エ 訂正事項11は、特許異議申立てがされていない請求項に係る訂正であるが、訂正事項11は上記のとおり特許法第120条の5第2項ただし書第4号を目的とする訂正であって、同条同項第1号又は第2号に掲げる事項を目的とする訂正ではないから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 (12) 訂正事項12について ア 訂正事項12は、訂正前の請求項18が請求項12の記載を引用する記載であったところ、請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改めるための訂正であって、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものといえる。 イ そして、当該訂正事項12は、上記で明らかなように、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ウ よって、訂正事項12は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号を目的とし、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するものである。 エ 訂正事項12は、特許異議申立てがされていない請求項に係る訂正であるが、訂正事項12は上記のとおり特許法第120条の5第2項ただし書第4号を目的とする訂正であって、同条同項第1号又は第2号に掲げる事項を目的とする訂正ではないから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 (13) 請求人から、訂正後の請求項6~11、13~16、18~19および21については、引用関係の解消を目的とする訂正であるから、当該訂正が認められる場合には、請求項6~11、13~16、18~19および21は、請求項1~5、12、17および20とは別途訂正することの求めがあった。 3 むすび 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項ただし書き第1号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項及び同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正が認められ、特許権者から、訂正が認められるときは上記2(13)の別途訂正することの求めがあり、訂正後の請求項6~11は、独立形式請求項であるから、訂正後の請求項[1~5]、[6]、[7]、[8]、[9]、[10]、[11]、[12、17、20]、[13~16]、「18、19]、[21]について訂正することを認める。 第3 本件発明 上記第2のとおり、本件訂正請求による訂正は認められるので、本件特許の請求項1ないし5、12、17及び20に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」ないし「本件発明5」、「本件発明12」、「本件発明17」、「本件発明20」という。)は、平成30年8月15日付け訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1ないし5、12、17及び20に記載された事項により特定される以下に記載のとおりのものである。 「【請求項1】 芯粒子の周りに配置された有機シリカ粒子を有する該芯粒子を含む複合粒子であって、該有機シリカ粒子が0.5~4の範囲のCのSiに対するモル比を有し、かつ、該芯粒子が有機材料を含み、該有機材料が、ポリエステル、ポリエステル-スチレン共重合体もしくは混合物、およびポリエステル-アクリル共重合体もしくは混合物から選択されるか、または天然ワックスおよび合成ワックスから選択される、複合粒子。 【請求項2】 (削除) 【請求項3】 (削除) 【請求項4】 前記有機シリカ粒子が、有機シラン化合物の反応によって誘導される、請求項1記載の複合粒子。 【請求項5】 前記複合粒子が、1.1~2.0の真円度Rを有し、該真円度が、式:R=P2/(4πS)によって定められ、式中Pは、該粒子の断面の周長であり、そしてSは、該粒子の断面積である、請求項1記載の複合粒子。 【請求項12】 (a)ポリマーもしくはワックス粒子および表面剤を含む水性分散液を準備する工程、該水性分散液は、8以上のpHを有しており、該ポリマーが、ポリエステル、ポリエステル-スチレン共重合体もしくは混合物、およびポリエステル-アクリル共重合体もしくは混合物から選択される、 (b)少なくとも部分的に加水分解された有機シラン化合物を含む水性混合物を、前記水性分散液に添加して、混合物を形成する工程、該有機シラン化合物は、式:R1SiR23を有しており、式中R1は、C1~C4アルキル、C2~C4アルケニルもしくはC2~C4アルキニル、かつR2は、アルコキシ、クロロ、ブロモ、もしくはヨードである、 (c)前記少なくとも部分的に加水分解された有機シラン化合物の反応による有機シリカ粒子の生成によって、複合粒子の水性分散液を形成する工程であって、該有機シリカ粒子が0.5~4の範囲のCのSiに対するモル比を有する工程、 を含んでなる、複合粒子の調製方法。 【請求項17】 前記表面剤が、ポリエチレングリコール系ポリマー、第四級アミン系有機化合物、ポリビニルピロリドン系もしくはポリピロリドン系界面活性剤、またはスルフェートアニオン成分を有するアニオン性界面活性剤を含む、請求項12記載の方法。 【請求項20】 前記複合粒子を疎水化剤で処理する工程(e)、前記水性分散液を乾燥させる工程(f)、あるいは工程e)およびf)の両方を更に含む、請求項12記載の方法。」 第4 取消理由の概要 平成30年5月15日付けで通知した取消理由は、概略、以下のとおりである。なお、当該理由は、特許異議申立書に記載されている理由と概ね同趣旨である。 「【理由1】 本件特許の請求項1ないし5、12、17、20に係る発明は、その出願前の特許出願であって、その出願後に特許掲載公報の発行又は出願公開がされた下記の特許出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。 【理由2】 本件特許の請求項1ないし5に係る発明は、本件特許の出願前に頒布された下記の刊行物に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。 【理由3】 本件特許の請求項1ないし5、12、17、20に係る発明は、本件特許の優先日前に頒布された下記の刊行物に記載された発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。 記 ・・・ 1 理由1(特許法第29条の2) (1)先願 先願:特願2013-38344号(特開2014-162920号)(特許異議申立書に添付された甲第1号証) ・・・ 2 理由2及び3(特許法第29条第1項第3号、第29条第2項) (1)刊行物 甲2:特許第4271725号公報(特許異議申立書に添付された甲第2号証) 甲4:特開2000-239396号公報(特許異議申立書に添付された甲第4号証) ・・・」 第5 合議体の判断 当合議体は、以下に述べるように、上記取消理由1ないし3には、理由がないと判断する。 1 理由1(29条の2)について (1) 先願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「先願明細書等」という。)に記載された発明 先願明細書等の請求項1には「有機樹脂粒子をポリオルガノシロキサンで被覆してなる複合粒子であって、該有機樹脂粒子1重量部に対するポリオルガノシロキサンの配合量が1~50重量部である球状または該球状粒子表面にポリオルガノシロキサンの小さな突起が化学的に結合した形状を有することを特徴とする複合粒子。」と記載され、「ポリオルガノシロキサンの小さな突起」は、「予めオルガノトリアルコキシシランを加水分解させた原料液を添加して、脱水縮合反応をさせることで、球状粒子表面に突起を形成させ」(段落【0010】、【0045】)ているものである。 そして、具体的な実施例1(段落【0045】)における記載から、次の発明(以下、「甲1先願発明A」という。)が記載されていると認める。 「ポリメチルメタクリレート球状粒子と、メチルトリメトキシシランを加水分解させた原料液を添加して、脱水縮合反応をさせることで、球状粒子表面に小さな突起が化学的に結合した形状を有する複合粒子。」 また、甲1先願発明Aの複合粒子の調整方法として、次の発明(以下、「甲1先願発明B」という。)が記載さえていると認める。 「工程A:メチルトリメトキシシラン加水分解液、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液、およびポリメチルメタクリレート粒子を含むポリメチルメタクリレート粒子分散液(pHは8.6に調整)を調整する工程 工程B:メチルトリメトキシシラン加水分解物を添加する工程 工程C:上記添加後に熟成することで、メチルトリメトキシシランを加水分解させた原料を脱水縮合反応をさせることで、球状粒子表面に小さな突起が形成される工程 工程E:球状粒子表面に小さな突起が化学的に結合した形状を有する複合粒子の調整方法。」 (2) 本件発明1ないし5と甲1先願発明Aとの対比・判断 ア 本件発明1について 本件発明1と甲1先願発明Aとを対比する。 甲1先願発明Aの「ポリメチルメタクリレート球状粒子」は、有機材料の粒子である限りにおいて、本件発明1における「芯粒子」に相当する。 甲1先願発明Aの「メチルトリメトキシシランを加水分解させた原料液を添加して、脱水縮合反応をさせることで、球状粒子表面に小さな突起が化学的に結合した形状を有する複合粒子」における小さな突起を形成しているのは、メチルトリメトキシシランを加水分解させた原料液を添加して脱水縮合反応をさせているものであるから、有機シリカである。 そして、メチルトリメトキシシランの化学構造CH3Si(OCH3)3及びその加水分解機構を考慮すれば、そのCのSiに対するモル比は、1~4の範囲にあることは明らかであるし、特許権者の本件出願の審査過程において特許庁に提出している平成29年7月21日付け意見書(異議申立人が特許異議申立書に添付して提出した甲第3号証)の主張も合わせ考慮すれば、甲1先願発明Aのメチルトリメトキシシランを加水分解させた原料液を添加して脱水縮合反応をさせて形成された突起を形成する有機シリカのCのSiに対するモル比は1といえる。 また、甲1先願発明Aの球状粒子表面に小さな突起が化学的に結合した形状は、本件発明1の「有機シリカ粒子」が、本件特許明細書によれば「有機シリカ粒子は、有機シラン化合物の反応によって誘導することができる」(段落【0005】)及び「有機シリカ粒子は、有機シラン化合物の反応から誘導される。典型的には、少なくとも部分的な加水分解に続いて、加水分解生成物は、重合および/または縮合を起こして、有機シリカ粒子を形成する。」(段落【0059】)との記載からみて、本件発明1の有機シリカ粒子と同様に形成されているので、本件発明1の「芯粒子の周りに配置された有機シリカ粒子を有する」複合粒子の形状に相当する。 そうすると、甲1先願発明Aと本件発明1とを対比すると、 「芯粒子の周りに配置された有機シリカ粒子を有する該芯粒子を含む複合粒子であって、該有機シリカ粒子が0.5~4の範囲のCのSiに対するモル比を有し、かつ、該芯粒子が有機材料を含む、複合粒子。」で一致し、以下の点で相違する。 <相違点1> 芯粒子を構成する有機材料について、本件発明1は、「該有機材料が、ポリエステル、ポリエステル-スチレン共重合体もしくは混合物、およびポリエステル-アクリル共重合体もしくは混合物から選択されるか、または天然ワックスおよび合成ワックスから選択される」と特定するのに対して、甲1先願発明Aは、「ポリメチルメタクリレート」である点。 以下、相違点について検討する。 有機材料として、「ポリメチルメタクリレート」と「ポリエステル、ポリエステル-スチレン共重合体もしくは混合物、およびポリエステル-アクリル共重合体もしくは混合物から選択されるか、または天然ワックスおよび合成ワックスから選択される」ものとは、明らかに相違する。そして、先願明細書等の段落【0018】における「本発明で用いられる有機樹脂粒子は具体的には、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリウレタン等が例示され、これらの1種または2種以上を混合して使用してもよい。」の記載からみて、ポリメチルメタクリレートと同等に使用しうる樹脂は、ポリスチレン、ポリウレタンに限られることから、相違点1は、実質的な相違点である。 してみれば、本件発明1は、甲1先願発明Aとは同一ではない。 よって、本件発明1は、先願明細書等に記載された発明と同一ではない。 イ 本件発明4及び5について 本件発明4及び5は、本件発明1を直接引用する発明であるから、少なくとも上記アで検討した相違点1の点で、甲1先願発明Aと実質的に相違する。してみれば、本件発明4及び5は、先願明細書等に記載された発明と同一ではない。 (3) 本件発明12、17、20と甲1先願発明Bとの対比・判断 ア 本件発明12について 本件発明12と甲1先願発明Bとを対比する。 甲1先願発明Bの「ポリメチルメタクリレート粒子」は、ポリマーである限りにおいて、本件発明12における「ポリマーもしくはワックス粒子」と一致する。 甲1先願発明Bの「ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド」は、それぞれ、本件発明12における「表面材」に相当し、甲1先願発明Bの「工程A」のpHは8.6に調整されているから、甲1先願発明Bの「工程A」は、本件発明12の「工程(a)」に相当する。 甲1先願発明Bの工程Bの「メチルトリメトキシシラン」は、本件発明12における「有機シラン化合物、該有機シラン化合物は、式:R1SiR23を有しており、式中R1は、C1~C4アルキル、C2~C4アルケニルもしくはC2~C4アルキニル、かつR2は、アルコキシ、クロロ、ブロモ、もしくはヨードである」に相当するから、甲1先願発明Bの「工程B」は、本件発明12の「工程(b)」に相当する。 甲1先願発明Bの「工程C」は、上記アの検討と同様であるから、本件発明12における「工程(c)」に相当する。 そうすると、甲1先願発明Bと本件発明12とを対比すると、 「(a)ポリマーもしくはワックス粒子および表面剤を含む水性分散液を準備する工程、該水性分散液は、8以上のpHを有しており、 (b)少なくとも部分的に加水分解された有機シラン化合物を含む水性混合物を、前記水性分散液に添加して、混合物を形成する工程、該有機シラン化合物は、式:R1SiR23を有しており、式中R1は、C1~C4アルキル、C2~C4アルケニルもしくはC2~C4アルキニル、かつR2は、アルコキシ、クロロ、ブロモ、もしくはヨードである、 (c)前記少なくとも部分的に加水分解された有機シラン化合物の反応による有機シリカ粒子の生成によって、複合粒子の水性分散液を形成する工程であって、該有機シリカ粒子が0.5~4の範囲のCのSiに対するモル比を有する工程、 を含んでなる、複合粒子の調製方法。」で一致し、以下の点で相違する。 <相違点2> 水性分散液に配合されるポリマーについて、本件発明12は、「該ポリマーが、ポリエステル、ポリエステル-スチレン共重合体もしくは混合物、およびポリエステル-アクリル共重合体もしくは混合物から選択される」と特定するのに対して、甲1先願発明Bは、「ポリメチルメタクリレート」である点。 以下、相違点2について検討すると、相違点2は、上記(2)の相違点1と実質的に同じであるから、上記(2)での検討のとおり、実質的な相違点である。 してみれば、本件発明12は、甲1先願発明Bとは同一ではない。 よって、本件発明12は、先願明細書等に記載された発明と同一ではない。 イ 本件発明17及び20について 本件発明17及び20は、本件発明12を直接又は間接的に引用する発明であるから、少なくとも上記アで検討した相違点2の点で、甲1先願発明Bと実質的に相違するから、本件発明17及び20は、甲1先願発明Bと同一ではなく、先願明細書等に記載された発明と同一ではない。 (4) まとめ 以上のことから、取消理由1は、理由がない。 2 理由2及び3(特許法第29条第1項第3号及び第29条第2項)について (1) 甲2に記載された発明 甲2の請求項1には「オルガノトリアルコキシシランおよび/またはオルガノトリアルコキシシラン加水分解物を主成分化合物とし、該主成分化合物と、分散された有機樹脂粒子と、アルカリ性物質またはアルカリ性水溶液とを、前記主成分化合物が脱水縮合反応する前までに反応系内に添加して前記主成分化合物の脱水縮合反応を行うことで、該有機樹脂粒子表面にポリオルガノシロキサンを突起状に析出させることを特徴とする金平糖状粒子の製造方法。」が記載されていて、その具体的な実施例22には、「有機樹脂粒子」として、「ポリメチルメタクリレート樹脂粒子」を用い、「オルガノトリアルコキシシランおよび/またはオルガノトリアルコキシシラン」として、「メチルトリメトキシシラン」を利用し、「アルカリ性物質またはアルカリ性水溶液」として、「アンモニア水」を利用して反応液のpHを9.7に調整しているものが記載されているから、甲2には、次の発明(以下、「甲2発明A」という。)が記載されていると認める。 「分散されたポリメチルメタクリレート粒子と、アンモニア水と、主成分化合物であるメチルトリメトキシシラン加水分解物を、pHを9.7に調整して、当該主成分化合物の脱水縮合反応を行うことで、該有機樹脂粒子表面にポリメチルシルセスキオキサンを突起状に析出させた金平糖状粒子。」 また、甲2発明Aの金平糖状粒子の製造方法として、次の発明(以下、「甲2発明B」という。)が記載されていると認める。 「工程A’:ポリメチルメタクリレート粒子分散液にアンモニア水を添加し、撹拌し、pHを9.7に調整し、 工程B’:アンモニア水を添加後のポリメチルメタクリレート粒子分散液に、メチルトリメトキシシランを、滴下し、30分間撹拌継続し、 工程C’:その後、静置化で10時間熟成し、メチルトリメトキシシランの脱水縮合反応を行うことで、該有機樹脂粒子表面にポリメチルシルセスキオキサンを突起状に析出させる 工程D’:金平糖状粒子の製造方法。」 (2)本件発明1ないし5と甲2発明Aとの対比・判断 ア 本件発明1について 本件発明1と甲2発明Aとを対比する。 甲2発明Aの「ポリメチルメタクリレート粒子」、は、有機樹脂粒子の限りにおいて、本件発明1における「芯粒子」に相当する。 甲2発明Aの「ポリメチルシルセスキオキサン」は、分散されたポリメチルメタクリレート粒子と、アンモニア水と、主成分化合物であるメチルトリメトキシシラン加水分解物を、pHを9.7に調整して、当該主成分化合物の脱水縮合反応を行うことで、該有機樹脂粒子表面にポリメチルシルセスキオキサンを突起状に析出させているから、本件発明1の「有機シリカ」に相当する。 甲2発明Aの「金平糖状粒子」は、本件発明1の「複合粒子」に相当する。 そして、メチルトリメトキシシランの化学構造CH3Si(OCH3)3及びその加水分解機構を考慮すれば、そのCのSiに対するモル比は、1~4の範囲にあることは明らかであるし、特許権者の本件出願の審査過程において特許庁に提出している平成29年7月21日付け意見書(異議申立人が特許異議申立書に添付して提出した甲第3号証)の主張も合わせ考慮すれば、甲2発明Aの突起を形成するポリメチルシルセスキオキサン(有機シリカ)のCのSiに対するモル比は1といえる。 そうすると、甲2発明Aと本件発明1とを対比すると、 「芯粒子の周りに配置された有機シリカ粒子を有する該芯粒子を含む複合粒子であって、該有機シリカ粒子が0.5~4の範囲のCのSiに対するモル比を有し、かつ、該芯粒子が有機材料を含む、複合粒子。」で一致し、以下の点で相違する。 <相違点3> 芯粒子を構成する有機材料について、本件発明1は、「該有機材料が、ポリエステル、ポリエステル-スチレン共重合体もしくは混合物、およびポリエステル-アクリル共重合体もしくは混合物から選択されるか、または天然ワックスおよび合成ワックスから選択される」と特定するのに対して、甲2発明Aは、「ポリメチルメタクリレート」である点。 以下、相違点3について検討する。 有機材料として、「ポリメチルメタクリレート」と「ポリエステル、ポリエステル-スチレン共重合体もしくは混合物、およびポリエステル-アクリル共重合体もしくは混合物から選択されるか、または天然ワックスおよび合成ワックスから選択される」ものとは、明らかに相違する。 そして、甲2の請求項7及び段落【0009】における「有機樹脂粒子は具体的には、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂またはこれらを含有する複合樹脂粒子および/または共重合樹脂粒子からなる。」の記載からみて、ポリメチルメタクリレートと同等に使用しうる樹脂は、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂またはこれらを含有する複合樹脂粒子および/または共重合樹脂粒子に限られることから、相違点3は、実質的な相違点である。 そして、取消理由通知で引用したいずれの証拠にも、有機樹脂粒子として、相違点3に係る「ポリエステル、ポリエステル-スチレン共重合体もしくは混合物、およびポリエステル-アクリル共重合体もしくは混合物から選択されるか、または天然ワックスおよび合成ワックスから選択される」ものを利用するものは記載されていない。また、有機材料として、これらの樹脂が周知であるといえたとしても、有機材料を当該材料に変更する動機が存在しない。 してみれば、当該相違点3の構成は、当業者が想到容易ということはできない。 よって、本件発明1は、甲2に記載された発明ではなく、甲2に記載された発明から容易に発明をすることができたものでもない。 イ 本件発明4及び5について 本件発明4及び5は、本件発明1を直接引用する発明であるから、少なくとも上記アで検討した相違点3の点で、甲2発明Aと実質的に相違する。してみれば、本件発明4及び5は、甲2に記載された発明ということはできない。 また、当該相違点3は、上記アでの検討のとおり当業者においても想到容易でなく、当該相違点3を含む本件発明4及び5は、甲2に記載された発明から容易に発明をすることができたものではない。 (3) 本件発明12、17、20と甲2発明Bとの対比・判断 ア 本件発明12について 本件発明12と甲2発明Bとを対比する。 甲2発明Bの「ポリメチルメタクリレート粒子」は、ポリマーである限りにおいて、本件発明12における「ポリマーもしくはワックス粒子」と一致する。 甲2発明Bの「ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド」は、それぞれ、本件発明12における「表面材」に相当し、甲2発明Bの「工程A」のpHは8.6に調整されているから、甲2発明Bの「工程A」は、本件発明12の「工程(a)」に相当する。 甲2発明Bの工程Bの「メチルトリメトキシシラン」は、本件発明12における「有機シラン化合物、該有機シラン化合物は、式:R1SiR23を有しており、式中R1は、C1~C4アルキル、C2~C4アルケニルもしくはC2~C4アルキニル、かつR2は、アルコキシ、クロロ、ブロモ、もしくはヨードである」に相当するから、甲2発明Bの「工程B」は、本件発明12の「工程(b)」に相当する。 甲2発明Bの「工程C」は、上記アの検討と同様であるから、本件発明12における「工程(c)」に相当する。 甲2発明Bの「金平糖条粒子」は、本件発明12の「複合粒子」に相当する。 そうすると、甲2発明Bと本件発明12とを対比すると、 「(a)ポリマーもしくはワックス粒子および表面剤を含む水性分散液を準備する工程、該水性分散液は、8以上のpHを有しており、 (b)少なくとも部分的に加水分解された有機シラン化合物を含む水性混合物を、前記水性分散液に添加して、混合物を形成する工程、該有機シラン化合物は、式:R1SiR23を有しており、式中R1は、C1~C4アルキル、C2~C4アルケニルもしくはC2~C4アルキニル、かつR2は、アルコキシ、クロロ、ブロモ、もしくはヨードである、 (c)前記少なくとも部分的に加水分解された有機シラン化合物の反応による有機シリカ粒子の生成によって、複合粒子の水性分散液を形成する工程であって、該有機シリカ粒子が0.5~4の範囲のCのSiに対するモル比を有する工程、 を含んでなる、複合粒子の調製方法。」で一致し、以下の点で相違する。 <相違点4> 水性分散液に配合されるポリマーについて、本件発明12は、「該ポリマーが、ポリエステル、ポリエステル-スチレン共重合体もしくは混合物、およびポリエステル-アクリル共重合体もしくは混合物から選択される」と特定するのに対して、甲2発明Bは、「ポリメチルメタクリレート」である点。 以下、相違点4について検討すると、相違点4は、上記(2)の相違点3と実質的に同じであるから、上記(2)での検討のとおり、当該相違点の構成は、当業者が想到容易ということはできない。 よって、本件発明12は、甲2に記載された発明から容易に発明をすることができたものではない。 イ 本件発明17及び20について 本件発明17及び20は、本件発明12を直接又は間接的に引用する発明であるから、少なくとも上記アで検討した相違点4の点で、上記アでの検討のとおり、当業者が想到容易でなく、甲2に記載された発明から容易に発明をすることができたものではない。 (4) まとめ 以上のことから、取消理由2及び3には、理由がない。 第6 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について 異議申立人は、上記第4に記載の取消理由に加えて、本件特許の請求項12及び20に係る発明は、甲2に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消されるべきである旨主張する。 しかし、上記の上記第5 2(3)アに記載したとおり、本件発明12と甲2に記載された発明とは、相違点4で相違しているから、本件発明12は、甲2に記載された発明ではない。本件発明12を引用する本件発明20についても、同様に、甲2に記載された発明ではない。 したがって、特許異議申立人の主張する特許異議申立て理由によっては、請求項12及び20に係る特許を取り消すことはできない。 第7 むすび 以上のとおりであるから、当審において通知した取消理由及び異議申立人が主張する取消理由によっては、特許第6195970号の請求項1、4、5、12、17、20に係る特許を取り消すことはできない。 特許第6195970号の請求項2及び3に係る特許は、上記のとおり、訂正により削除された。これにより、異議申立人による特許異議の申立てについて、請求項2及び3に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 また、他に本件特許の請求項1、4、5、12、17、20に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2018-700221

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  • 2023-701407異議申立 / 2024-08-29 / 訂正認容フィルム、および、フィルムの製造方法
    共通の審決分類: 113・C08J、121・C08J、161・C08J
  • 2023-701041異議申立 / 2024-05-16 / 訂正認容ポリプロピレンフィルムおよびこれを用いた金属膜積層フィルム、フィルムコンデンサ
    共通の審決分類: 113・C08J、121・C08J、161・C08J
  • 2022-700782異議申立 / 2023-01-23 / 維持スチレン系樹脂押出発泡体およびその製造方法
    共通の審決分類: 113・C08J、121・C08J、161・C08J
  • 2022-700359異議申立 / 2022-08-25 / 維持熱伝導シート及び熱伝導シートの製造方法
    共通の審決分類: 113・C08J、121・C08J、161・C08J

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