特許拒絶査定不服審判
2018-017497
タッチパネルセンサ、タッチパネル装置および表示装置
- 審判番号
- 2018-017497
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2015-004421外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2018年12月28日
- 審決日
- 2020年04月17日
- 公報発行日
- 2020年07月31日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-Z (G06F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2015- 4421「タッチパネルセンサ、タッチパネル装置および表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 7月21日出願公開、特開2016-130912〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成27年1月13日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成30年 7月26日付け:拒絶理由通知書
平成30年 9月26日 :意見書、手続補正書の提出
平成30年10月 5日付け:拒絶査定
平成30年12月28日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 平成30年12月28日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成30年12月28日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1) 本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項2の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)
「 画像表示機構の表示面上に配置され、前記画像表示機構の表示面に対向する面をなす対向面と、前記対向面と反対側の面をなす反対面とを有するタッチパネルセンサであって、
前記タッチパネルセンサの厚み方向に離間して配置された第1電極および第2電極を有し、
前記第1電極および第2電極は、それぞれ、前記対向面側の面をなす第1面と、前記タッチパネルセンサの厚み方向に沿って前記第1面と反対側の面をなす第2面と、前記第1面と前記第2面との間を接続する一対の側面と、を有する導電性細線、を含む導電性パターンを有し、
前記導電性パターンの前記導電性細線の幅は、前記第2面側から前記第1面側に向けて小さくなるように変化し、
第1基材および第2基材を有し、
前記第1電極は、前記第1電極の前記導電性パターンをなす前記導電性細線が、その前記第2面が前記第1基材に対向するようにして、前記第1基材の、前記対向面側の面上に形成され、
前記第2電極は、前記第2電極の前記導電性パターンをなす前記導電性細線が、その前記第1面が前記第2基材に対向するようにして、前記第2基材の、前記反対面側の面上に形成されており、
前記導電性細線の高さをHとし、前記導電性細線の前記第1面での幅をW1とし、前記導電性細線の前記第2面での幅をW2としたときに、
2×H ≧ W2-W1 ≧ H ≧ (2×H)/tan85°
を満たす、タッチパネルセンサ。」
(2) 本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、平成30年9月26日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項2の記載は次のとおりである。
「 画像表示機構の表示面上に配置され、前記画像表示機構の表示面に対向する面をなす対向面と、前記対向面と反対側の面をなす反対面とを有するタッチパネルセンサであって、
前記タッチパネルセンサの厚み方向に離間して配置された第1電極および第2電極を有し、
前記第1電極および第2電極は、それぞれ、前記対向面側の面をなす第1面と、前記タッチパネルセンサの厚み方向に沿って前記第1面と反対側の面をなす第2面と、前記第1面と前記第2面との間を接続する一対の側面と、を有する導電性細線、を含む導電性パターンを有し、
前記導電性パターンの前記導電性細線の幅は、前記第2面側から前記第1面側に向けて小さくなるように変化し、
第1基材および第2基材を有し、
前記第1電極は、前記第1電極の前記導電性パターンをなす前記導電性細線が、その前記第2面が前記第1基材に対向するようにして、前記第1基材の、前記対向面側の面上に形成され、
前記第2電極は、前記第2電極の前記導電性パターンをなす前記導電性細線が、その前記第1面が前記第2基材に対向するようにして、前記第2基材の、前記反対面側の面上に形成されている、タッチパネルセンサ。」
2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項2に記載された発明を特定するために必要な事項である「導電性細線」について、「前記導電性細線の高さをHとし、前記導電性細線の前記第1面での幅をW1とし、前記導電性細線の前記第2面での幅をW2としたときに、2×H ≧ W2-W1 ≧ H ≧ (2×H)/tan85°を満たす」と限定するものであって、補正前の請求項2に記載された発明と補正後の請求項2に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項2に記載される発明(以下、「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(1) 本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。
(2) 引用文献の記載事項
ア 引用文献1
原査定の拒絶の理由で引用された、本願の出願前に、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開2014-016944号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある。(下線は、当審で付した。以下、同じ。)
(ア) 段落【0001】
「【0001】
本発明は、電極を有したタッチパネルセンサに係り、とりわけ、電極が低抵抗であるとともに電極をなす導線が細線化されたタッチパネルセンサに関する。また、本発明は、タッチパネルセンサを含むタッチパネル装置、並びに、タッチパネルセンサまたはタッチパネル装置を含む表示装置に関する。」
(イ) 段落【0007】-【0010】
「【0007】
ところで昨今においては、高画質化、さらには、タブレットと呼ばれる携帯用小型端末の普及にともなって、電極の細線化が強く要望されている。
【0008】
しかしながら、電極が金属導線からなる従来のタッチパネルセンサでは、パターニングされたレジストをマスクとして、金属箔をエッチングすることにより作製されている。工業的に製造されている金属箔の厚みは10μm以上である。このような厚みの金属箔をエッチングすることによって安定して作製され得る、金属導線の幅は少なくとも10μm以上となる。その理由は、図21に示すように、エッチング時に必然的に生じてしまう横方向への浸食(サイドエッチング)により、隣り合う浸食箇所がレジストの下方で繋がってしまうことにある。レジストの下方で浸食箇所が繋がってしまうと、当該レジスト部分はもはや安定して支持され得ない。結果として、当該レジスト部分の下方に形成されるべき金属導線は直線性に欠け、また、高さ(厚み)にばらつきが生じる。
【0009】
加えて、図21に示すように、得られた金属導線の断面形状は、基材から突出する三角形形状となる。このような金属導線は、幅が狭い上に高さも低いため、十分な導電率を呈することはない。したがって、このタッチパネルセンサの面抵抗率は高くなってしまい、位置検出のためのセンシング感度が低下する。加えて、このようなタッチパネルセンサを、突出した金属導線が観察者側を向くようにしてタッチパネル装置や表示装置に組み込んだ場合、必要な面抵抗率を有する金属導線が視認されやすくなる。この結果、タッチパネルセンサの金属導線に起因した濃淡のムラや、画像表示機構の画素配列や他のタッチパネルセンサの金属導線等との干渉に起因したモアレが、視認されやすくなる。
【0010】
すなわち、従来の技術では、電極をなす金属導線を十分に細線化することができていなかった。本発明は、このような点を考慮してなされたものであって、電極が低抵抗であるとともに電極をなす導線が細線化されたタッチパネルセンサを提供することを目的とする。」
(ウ) 段落【0027】-【0108】
「【0027】
図1~図14は本発明による一実施の形態を説明するための図である。このうち図1はタッチパネル装置を表示装置とともに概略的に示す図であり、図2は図1のタッチパネル装置を表示装置とともに示す断面図であり、図3および図4はタッチパネル装置のタッチパネルセンサを示す上面図および断面図であり、図5はタッチパネルセンサの導電性メッシュにおけるメッシュパターンの一例を説明するための平面図である。
【0028】
図1~図4に示されたタッチパネル装置20は、投影型の静電容量結合方式として構成され、タッチパネル装置への外部導体(例えば、人間の指)の接触位置を検出可能に構成されている。なお、静電容量結合方式のタッチパネル装置20の検出感度が優れている場合には、外部導体がタッチパネル装置に接近しただけで当該外部導体がタッチパネル装置のどの領域に接近しているかを検出することができる。このような現象にともなって、ここで用いる「接触位置」とは、実際には接触していないが位置を検出され得る接近位置を含む概念とする。
【0029】
<<<画像表示機構12>>>
図1および図2に示すように、タッチパネル装置20は、画像表示機構(例えば液晶表示装置)12とともに組み合わせられて用いられ、表示装置10を構成している。図示された画像表示機構12は、一例としてフラットパネルディスプレイ、より具体的には液晶表示装置として構成されている。画像表示機構12は、表示面12aを形成する液晶表示パネル15と、液晶表示パネル15を背面から照明するバックライト14と、液晶表示パネル15に接続された表示制御部13と、を有している。液晶表示パネル15は、映像を表示することができる表示領域A1と、表示領域A1を取り囲むようにして表示領域A1の外側に配置された非表示領域(額縁領域とも呼ばれる)A2と、を含んでいる。表示制御部13は、表示されるべき映像に関する情報を処理し、映像情報に基づいて液晶表示パネル15を駆動する。液晶表示パネル15は、表示制御部13の制御信号により、所定の映像を表示面12aに表示するようになる。すなわち、画像表示機構12は、文字や図等の情報を映像として出力する出力装置として役割を担っている。
・・・(中略)・・・
【0034】
<<<タッチパネル装置20>>>
次に、タッチパネル装置20について説明する。タッチパネル装置20は、タッチパネルセンサ30を含む積層体20aと、タッチパネルセンサ30に接続された検出制御部21と、を有している。タッチパネルセンサ30を含む積層体20aは、画像表示機構12の表示面12aの対面する位置に配置されている。上述したように、タッチパネル装置20は、投影型容量結合方式のタッチパネル装置として構成されており、情報を入力する入力装置としての役割を担っている。
【0035】
図2に示された例では、タッチパネル装置20の積層体20aは、観察者側、すなわち、画像表示機構12とは反対の側から順に、カバー層28、接着層25、第1タッチパネルセンサ31、接着層24、第2タッチパネルセンサ32、および、低屈折率層23を有している。すなわち、図2に示された例では、タッチパネル装置20は、二つのタッチパネルセンサ30を含んでいる。
・・・(中略)・・・
【0041】
なお、「容量結合」方式および「投影型」の容量結合方式との用語は、タッチパネルの技術分野で用いられる際の意味と同様の意味を有するものとして、本件においても用いている。なお、「容量結合」方式は、タッチパネルの技術分野において「静電容量」方式や「静電容量結合」方式等とも呼ばれており、本件では、これらの「静電容量」方式や「静電容量結合」方式等と同義の用語として取り扱う。典型的な静電容量結合方式のタッチパネル装置は電極(導電体層)を含んでおり、外部の導体(典型的には人間の指)がタッチパネルに接触することにより、外部の導体とタッチパネル装置の電極(導電体層)との間でコンデンサ(静電容量)が形成されるようになる。そして、このコンデンサの形成にともなった電気的な状態の変化に基づき、タッチパネル上において外部導体が接触している位置の位置座標が特定(位置検出)されるようになる。
【0042】
<<タッチパネルセンサ30>>
次に、タッチパネルセンサ30について、詳述する。図2および図3に示すように、タッチパネルセンサ30は、シート状の基材35と、基材35上に設けられた電極40と、を有している。図2に示された例において、電極40は、基材35の一方の側(観察者側)の面上に設けられている。
【0043】
なお、図2に示されたタッチパネル装置20は、第1タッチパネルセンサ31および第2タッチパネルセンサ32を含んでいるが、第1タッチパネルセンサ31および第2タッチパネルセンサ32は、電極40の配列パターンが異なるだけであって、他は同一に構成され得る。以下の説明においては、第1タッチパネルセンサ31および第2タッチパネルセンサ32の間で同一に構成され得る部分についは、第1タッチパネルセンサ31および第2タッチパネルセンサ32を区別することなくタッチパネルセンサ30の構成として説明する。
【0044】
<基材35>
基材35は、電極40を支持し、且つ、タッチパネルセンサ30において誘電体として機能する。図1および図3に示すように、基材フィルム32は、タッチ位置を検出され得る領域に対応するアクティブエリアAa1と、アクティブエリアAa1に隣接する非アクティブエリアAa2と、を含んでいる。図1に示すように、タッチパネルセンサ30のアクティブエリアAa1は、画像表示機構12の表示領域A1に対面する領域を占めている。一方、非アクティブエリアAa2は、矩形状のアクティブエリアAa1を四方から周状に取り囲むように、言い換えると、額縁状に形成されている。この非アクティブエリアAa2は、画像表示機構12の非表示領域A2に対面する領域に形成されている。
・・・(中略)・・・
【0056】
<電極40>
次に、基材35上に設けられたタッチパネルセンサ30の電極40について説明する。上述したように、電極40は、位置検出に用いられる検出電極50と、検出電極50に接続された取出電極45と、を有している。
【0057】
電極40は、導電性を有した材料から形成され、外部導体5のカバー層28への接触位置を検出するように構成された検出制御部25の検出回路に電気的に接続されている。図3に示された例において、電極40は、基材35のアクティブエリアAa1に配置された多数の検出電極50と、各検出電極50にそれぞれ連結され基材35の非アクティブエリアAa2に配置された多数の取出電極45と、を有している。
【0058】
(検出電極50の全体構成)
第1タッチパネルセンサ31の検出電極50は、第1タッチパネルセンサ31の基材35の一方の側(観察者側)の面上に所定のパターンで配置されている。また、第2タッチパネルセンサ32の検出電極50は、第2タッチパネルセンサ32の基材35の一方の側(観察者側)の面上に、第1タッチパネルセンサ31の検出電極50とは異なるパターンで配置されている。より具体的には、図3に示すように、第1タッチパネルセンサ31の検出電極50は、マクロ的に観察すると、第1タッチパネルセンサ31のシート面に沿った一方向に並べて配列された線状に延びる導線(導電体)として構成されている。一方、第2タッチパネルセンサ32の検出電極50は、マクロ的に観察すると、前記一方向と交差する第2タッチパネルセンサ32のシート面に沿った他方向に並べて配列された線状に延びる導線(導電体)として構成されている。図示された例では、第1タッチパネルセンサ31の検出電極50の配列方向である一方向と、第2タッチパネルセンサ32の検出電極50の配列方向である他方向とは、タッチパネル装置20のパネル面上において直交している。
【0059】
図3に示すように、第1タッチパネルセンサ31および第2タッチパネルセンサ32において、電極40の検出電極50をなす導線の各々は、その配列方向(前記一方向または前記他方向)と交差する方向に線状に延びている。とりわけ図示する例において、検出電極50は、その配列方向と直交する直線方向に沿って延びている。
【0060】
図3に示された例において、電極40の各検出電極50は、その長手方向に間隔を明けて配列された多数の導電性メッシュ55と、隣り合う二つの導電性55の間を接続する接続導線51と、を有している。各検出電極50は、導電性メッシュ55および接続導線51により、アクティブエリアAa1内を直線状に延びている。後述するように、導電性メッシュ55では、細導線60が多数の開口領域71を画成するメッシュパターンにて配置されている。図3に示すように、各検出電極50が配置されている領域の幅は、導電性メッシュ55が設けられている部分において太くなっている。図3に示された各検出電極50は、導電性メッシュ55において、平面視略正方形形状の外輪郭を有するようになっている。
・・・(中略)・・・
【0098】
(電極40の断面形状)
次に、電極40の断面形状について説明する。図4は、厚さ方向に沿った断面において、タッチパネルセンサ30が示されている。ここで厚さ方向とは、シート状(フィルム状、板状、パネル状)からなるタッチパネルセンサ30のシート面(フィルム面、板面、パネル面)への法線方向に沿った断面のことを指す。また、シート面(フィルム面、板面、パネル面)とは、対象となるシート状(フィルム状、板状、パネル状)の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となるシート状部材の平面方向と一致する面のことを指す。そして、本実施の形態においては、基材35が一対の主表面を有するシート状の形状を有している。したがって、本実施の形態では、厚さ方向に沿った断面とは、基材35の表面への法線方向に沿った断面と一致する。
【0099】
図4は、導電性メッシュ55の細導線60の断面形状を示しているが、検出電極50の接続導線51も、幅が異なるだけで、細導線60と同様の断面形状を有している。すなわち、図4に示すように、検出電極50をなす細導線60および接続導線51は、基材35側に位置する基端面66と、基端面66に対向して配置された平坦な先端面67と、基端面66と先端面67との間を接続する一対の側面68と、を有している。そして図4に示された例において、基端面66と先端面67は互いに平行となっている。そして、図4に示す例において、細導線60および接続導線51は、基材35側に位置して基端面66を形成する金属層61と、金属層61上に設けられ先端面67を形成する黒化層62と、有している。接続導線51と導電性メッシュ55の細導線60との間で、金属層61は一体的に形成されており、且つ、黒化層62も一体的に形成されている。
・・・(中略)・・・
【0108】
なお、図4に示された細導線60の断面形状は、テーパ状となっており、先端面67での幅W2が基端面66での幅W1よりも狭くなっている。とりわけ、図示された例では、細導線60の幅は、基端面66の側から先端面67の側へ向けて、言い換えると観察者側へ向けて、狭くなるようにのみ変化している。さらに詳しくは、図示された例において、細導線60の幅は、基端面66の側から先端面67の側へ向けて、言い換えると観察者側へ向けて、狭くなり続けている。図2に示されているように、先端面67が観察者側を向くようにして、タッチパネルセンサ30が表示装置10およびタッチパネル装置20に組み込まれる場合には、側面68に露出した金属層61での外光反射により、画像表示機構12によって表示される画像のコントラスが低下してしまう可能性がある。このため、基端面66での幅W1と先端面67での幅W2との差(W1-W2)は、1.0μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることがより好ましい。」
(エ) 段落【0124】-【0130】
「【0124】
<<<変形例>>>
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。
【0125】
上述した実施の形態の第1タッチパネルセンサ31および第2タッチパネルセンサ32では、図2および図4によく示されているように、基材35の観察者側の面に、電極40が形成されている例を示した。しかしながら。第1タッチパネルセンサ31および第2タッチパネルセンサ32の一以上において、基材35の画像表示機構12側の面に、電極40が形成されていてもよい。
【0126】
図15に示された例において、第1タッチパネルセンサ31および第2タッチパネルセンサ32の両方において、電極40は、基材35の画像表示機構12側の面に設けられている。図15に示された例では、タッチパネル装置20の積層体20aは、観察者側、すなわち、画像表示機構12とは反対の側から順に、カバー層28、接着層25、第1タッチパネルセンサ31、接着層24、第2タッチパネルセンサ32、接着層26、支持層27、および、低屈折率層23を有している。
【0127】
図16は、図15のタッチパネル装置20に組み込まれ得るタッチパネルセンサ30の一例を示している。図16に示されたタッチパネルセンサ30は、基材35と、基材35上に設けられた電極40と、を有している。電極40は、基材35側に位置して基端面66を形成する黒化層62と、黒化層62上に設けられ先端面67を形成する金属層61と、有している。すなわち、図16に示された例でも、上述した実施の形態と同様に、黒化層62が金属層61の観察者側に配置されている。図16に示された電極40は、基材35上への金属層61と黒化層62との積層順が異なる点において、上述した実施の形態の電極40と異なっており、他の点において上述した実施の形態の電極40と同一に構成され得る。なお、図16に示された黒化層62および金属層61は、上述した種々の方法によって作製され得る。一例として、基材35上にスパッタリングによって成膜されたニッケルまたはクロムから黒化層62を作製することができ、或いは、基材35上に塗布された染料や顔料等を有する塗膜から黒化層62を作製することができる。
【0128】
また、上述した実施の形態において、電極40の厚み方向に沿った断面形状、とりわけ、導電性メッシュ55をなす細導線60の厚み方向に沿った断面形状が、基端面66側から先端面67側へ向けて先細りしていくテーパ状に形成されている例を示したが、これに限られない。例えば、図17に示すように、電極40、とりわけ細導線60の断面形状において、先端面67での幅W2が基端面66での幅W1よりも広くなるようにしてもよい。とりわけ、図17に示された例では、細導線60の幅は、先端面67の側から基端面66の側へ向けて、言い換えると画像表示機構12側へ向けて、狭くなるようにのみ変化している。さらに詳しくは、図17に示された例において、細導線60の幅は、先端面67の側から基端面66の側へ向けて、言い換えると画像表示機構12側へ向けて、狭くなり続けている。図17に示されているように、先端面67が観察者側を向くようにして、タッチパネルセンサ30が表示装置10およびタッチパネル装置20に組み込まれる場合、金属層61よりも観察者側に配置された黒化層62によって、金属層61をより見え難くすることができる。これにより、コントラストを向上させ、画像表示機構12によって表示される画像の視認性を改善することができる。
【0129】
また、黒化層62によって金属層61を観察され難くしてコントラストを向上させるといった観点からは、電極40(細導線60)の幅が、先端面67の側から基端面66の側へ向けて、言い換えると画像表示機構12側へ向けて、狭くなるようにのみ変化している必要はなく、また、電極40(細導線60)の幅が、先端面67の側から基端面66の側へ向けて、言い換えると画像表示機構12側へ向けて、狭くなるようにのみ変化し続けていく必要もない。導電体メッシュ55の電極40(細導線60)の幅が、まず先端面67から基端面66の側に向けて小さくなるようにのみ変化し、その後、先端面67の側から基端面66に向けて大きくなるように変化する場合でも、すなわち、先端面67の近傍でのみ逆テーパ状となっている場合でも、黒化層62によって金属層61を効果的に観察され難くしてコントラストを向上させることが可能である。また、導電体メッシュ55の電極40(細導線60)の幅が、まず先端面67から基端面66の側に向けて大きくなるようにのみ変化し、その後、先端面67の側から基端面66に向けて小さくなるように変化する場合でも、すなわち、基端面66の近傍でのみ逆テーパ状となっている場合でも、黒化層62によって金属層61を効果的に観察され難くしてコントラストを向上させることが可能である。
【0130】
なお、本件発明者らが鋭意実験を重ねたところ、先端面67での幅W2、基端面66での幅W1、並びに、基端面66から先端面67までの厚さHが、次の式が満たされることが好ましいことが知見された。
1≦H/((W2-W1)/2)≦2
「H/((W2-W1)/2)」が1未満となると、テーパがきつくなり、電極40が基材35へ十分に密着しなくなり、タッチパネルセンサ30の使用状況如何によっては、電極40が基材35から剥がれ、さらには、電極40に断線が生じてしまう可能性がある。一方、「H/((W2-W1)/2)」が2を超えると、側面68での反射に起因したコントラストの低下が認識されるようになった。」
上記各記載事項を関連図面に照らし、下線部に着目すれば、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。
「 タッチパネル装置20は、投影型の静電容量結合方式として構成され、タッチパネル装置への外部導体(例えば、人間の指)の接触位置を検出可能に構成されているものであって、タッチパネルセンサ30を含む積層体20aを有しており、
タッチパネルセンサ30を含む積層体20aは、画像表示機構12の表示面12aの対面する位置に配置されているものであって、観察者側、すなわち、画像表示機構12とは反対の側から順に、第1タッチパネルセンサ31、第2タッチパネルセンサ32を有している、すなわち、タッチパネル装置20は、二つのタッチパネルセンサ30を含んでおり、
タッチパネルセンサ30は、シート状の基材35と、基材35上に設けられた電極40と、を有しており、
電極40は、基材35の一方の側(観察者側)の面上に設けられているものであって、位置検出に用いられる検出電極50を有しており、
第1タッチパネルセンサ31の検出電極50は、第1タッチパネルセンサ31の基材35の一方の側(観察者側)の面上に所定のパターンで配置されており、
第2タッチパネルセンサ32の検出電極50は、第2タッチパネルセンサ32の基材35の一方の側(観察者側)の面上に、第1タッチパネルセンサ31の検出電極50とは異なるパターンで配置されており、
電極40の各検出電極50は、その長手方向に間隔を明けて配列された多数の導電性メッシュ55と、隣り合う二つの導電性55の間を接続する接続導線51と、を有しており、
導電性メッシュ55では、細導線60が多数の開口領域71を画成するメッシュパターンにて配置されており、
検出電極50の接続導線51も、幅が異なるだけで、細導線60と同様の断面形状を有している、すなわち、検出電極50をなす細導線60および接続導線51は、基材35側に位置する基端面66と、基端面66に対向して配置された平坦な先端面67と、基端面66と先端面67との間を接続する一対の側面68と、を有しており、
細導線60の断面形状は、テーパ状となっており、先端面67での幅W2が基端面66での幅W1よりも狭くなっており、
細導線60の幅は、基端面66の側から先端面67の側へ向けて、狭くなるようにのみ変化しており、
上述した第1タッチパネルセンサ31および第2タッチパネルセンサ32では、基材35の観察者側の面に、電極40が形成されているが、第1タッチパネルセンサ31および第2タッチパネルセンサ32の一以上において、基材35の画像表示機構12側の面に、電極40が形成されていてもよく、
第1タッチパネルセンサ31および第2タッチパネルセンサ32の両方において、電極40は、基材35の画像表示機構12側の面に設けられており、
タッチパネル装置20の積層体20aは、観察者側、すなわち、画像表示機構12とは反対の側から順に、第1タッチパネルセンサ31、第2タッチパネルセンサ32を有しており、
電極40の厚み方向に沿った断面形状、とりわけ、導電性メッシュ55をなす細導線60の厚み方向に沿った断面形状は、基端面66側から先端面67側へ向けて先細りしていくテーパ状に形成されているが、これに限られず、電極40、とりわけ細導線60の断面形状において、先端面67での幅W2が基端面66での幅W1よりも広くなるようにしてもよく、
細導線60の幅は、先端面67の側から基端面66の側へ向けて、狭くなるようにのみ変化しており、
先端面67での幅W2、基端面66での幅W1、並びに、基端面66から先端面67までの厚さHが、次の式が満たされることが好ましい、
1≦H/((W2-W1)/2)≦2
タッチパネルセンサ30を含む積層体20a。」
イ 周知技術
(ア) 周知文献1
原査定の拒絶の理由で引用文献5として引用された、本願の出願前に、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開2014-186716号公報(以下、「周知文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある。
a 段落【0001】
「【0001】
本発明は、主にタッチパネルに用いられる光透過性電極に関し、特に投影型静電容量方式のタッチパネルに好適な光透過性電極に関するものである。」
b 段落【0002】
「【0002】
PDA(パーソナル・デジタル・アシスタント)、ノートPC、OA機器、医療機器、あるいはカーナビゲーションシステム等の電子機器においては、これらのディスプレイに入力手段としてタッチパネルが広く用いられている。」
c 段落【0022】-【0023】
「【0022】
図2は本発明の光透過性電極の別の一例を示す概略断面図である。図2に示した光透過性電極20は、公知の方法にて光透過性基材1a上(図面では下側)に光透過性導電層2aを設け、また光透過性基材1bの上に光透過性導電層2bを設け、光透過性導電層2aと光透過性導電層2bとを接着層4を介して積層することで、容易に作製することができる。この場合、光透過性基材1a、1bは光透過性電極20の保護基材としても作用する。
【0023】
図3は本発明の光透過性電極のまた別の一例を示す概略断面図である。図3においては光透過性基材1の両面に光透過性導電層2a、2bが形成されており、この光透過性導電層2a、2bが接着層4を介して保護基材3、保護基材5と積層されている。このような光透過性電極は、例えば公知の方法にて光透過性基材1aの上に光透過性導電層2aを設け、また光透過性基材1bの上に光透過性導電層2bを設け、光透過性基材1aと光透過性基材1bを熱融着や図示しない接着層4を介して接着させることで、容易に作製することができる。」
d 図2-3
「【図2】
【図3】
」
(イ) 周知文献2
原査定の拒絶の理由で引用文献6として引用された、本願の出願前に、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開2014-199555号公報(以下、「周知文献2」という。)には、図面とともに、次の記載がある。
a 段落【0031】
「【0031】
また、対となる2組のセンサ電極を有するタッチパネル用電極部材として、図3(a)に示す平面構造を有し、図3(c)又は図3(d)に示す断面構造を有する形態も挙げられる。図3(c)、図3(d)は、図3(a)のA-A’断面図を示すものである。
図3(c)に示す断面構造を有するタッチパネル用電極部材は、一方の面にX軸方向に延在するセンサ電極2(2x)が設けられた透明絶縁基材1(1x)と、一方の面にY軸方向に延在するセンサ電極2(2y)が設けられた透明絶縁基材1(1y)とを有しており、透明絶縁基材1xと透明絶縁基材1yとは、センサ電極2が設けられた面をZ軸方向において同一方向に向けて積層されている。また、透明絶縁基材1xと透明絶縁基材1yとは、透明接着層9を介して積層されており、互いに絶縁されている。
図3(d)に示すタッチパネル用電極部材は、一方の面にX軸方向に延在するセンサ電極2(2x)が設けられた透明絶縁基材1(1x)と、一方の面にY軸方向に延在するセンサ電極2(2y)が設けられた透明絶縁基材1(1y)とを有しており、透明絶縁基材1xと透明絶縁基材1yとは、互いのセンサ電極2x、2yが対向するように積層されている。また、透明絶縁基材1xと透明絶縁基材1yとは、透明接着層9を介して積層されており、互いに絶縁されている。透明接着層については後述する。
図3(c)及び図3(d)に示すタッチパネル用電極部材は、それぞれ、図3(a)に示すように、センサ電極2xとセンサ電極2yとが、Z軸方向においてセンサ電極要素2xEとセンサ電極要素2yEとが重なりあわないように配置されている。」
b 段落【0054】
「【0054】
[画像表示物品]
本発明に係る画像表示物品は、表面に画像を有する物品の画像表示面に、上記本発明に係るタッチパネルを配置してなるものである。
図4に本発明の画像表示物品の一例を模式的に示す分解断面図を示す。図4において、画像表示物品300は、表面に画像を有する物品10の画像表示面10aに、タッチパネル200が配置されている。タッチパネル200の表面には、前面保護板11が配置されている。
本発明のタッチパネルについては、既に説明した通りであるため、ここでの説明は省略する。
表面に画像を有する物品としては、特に限定されず、例えば、画像表示パネル、網点で表現された白黒乃至はカラーの印刷物、印画紙に形成された写真等が挙げられる。画像表示パネルとしては、液晶表示パネル、プラズマ表示パネル、EL(電界発光)パネル、電子ペーパー等の各種画像表示パネルの他、ブラウン管も挙げられる。」
c 図3-4
「【図3】
【図4】
」
(ウ) 周知文献3
原査定の拒絶の理由で引用文献7として引用された、本願の出願前に、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開2008-009553号公報(以下、「周知文献3」という。)には、図面とともに、次の記載がある。
a 段落【0013】-【0016】
「【0013】
図1に示されるように、入力装置付表示装置100は、タッチパネル入力装置10と、表示素子20と、バックライト30とを備えている。ここで、タッチパネル入力装置10の反視認側の面(背面)は、表示素子20の視認側の面(前面)に対向して配置されている。そして、タッチパネル入力装置10の反視認側の面と表示素子20の視認側の面とが、接着層40の接着により貼り合わされている。また、バックライト30の視認側の面が表示素子20の反視認側の面に接着材(不図示)により取り付けられている。
【0014】
まず、タッチパネル入力装置10の構成について、図に基づいて具体的に説明する。
図1に示されるように、タッチパネル入力装置10は、電極基板11と、カバー12と、接着層13とを備えている。電極基板11は、第1および第2の透明基板111、112と、複数の第1および第2の透明電極113、114と、接着層117とを備えている。第1および第2の透明基板111、112は、略矩形状に形成された薄板からなり、透明基板111、112の材料には、透明ガラスが用いられている。なお、第1および第2の切断溝痕115、116については、後で詳細に説明する。
【0015】
図1および図2に示されるように、第1の透明基板111と、接着層117と、第2の透明基板112とが、視認側から反視認側へ向けて、順次積層して設けられている。図1、図2および図3に示されるように、第1の透明基板111の視認側の面(前面)上には、複数の第1の透明電極113がストライプ状に形成されている。また、図2および図3に示されるように、複数の第1の接続配線113aが第1の透明基板111の視認側の面上に形成されている。これら複数の第1の接続配線113aは複数の第1の透明電極113にそれぞれ接続されており、第1の透明基板111の一辺側に引き出されている。
【0016】
図1、図2および図4に示されるように、第2の透明基板112の反視認側の面上には複数の第2の透明電極114がストライプ状に形成されている。図2(a)および図2(b)に示されるように、複数の第2の透明電極114は、複数の第1の透明電極113に対して略直交するように配設されている。複数の第2の接続配線114aが第2の透明基板112の反視認側の面上に形成されている。図2および図4に示されるように、これら複数の第2の接続配線114aは複数の第2の透明電極114にそれぞれ接続されており、第2の透明基板112の一辺側に引き出されている。」
b 図1-2
「【図1】
【図2】
」
(エ) 上記(ア)-(ウ)によれば、「タッチパネルにおいて、タッチ面側の面に電極が形成された基材と、表示部側の面に電極が形成された基材とを組み合わせること」は、周知技術である。
(3) 引用発明との対比
本件補正発明と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明の「タッチパネル装置20」は、「タッチパネルセンサ30を含む積層体20aを有しており、タッチパネルセンサ30を含む積層体20aは、画像表示機構12の表示面12aの対面する位置に配置されているものであって、観察者側、すなわち、画像表示機構12とは反対の側から順に、第1タッチパネルセンサ31、第2タッチパネルセンサ32を有している、すなわち、タッチパネル装置20は、二つのタッチパネルセンサ30を含んで」いるところ、引用発明の「画像表示機構12」は、本件補正発明の「画像表示機構」に相当し、また、引用発明の、「タッチパネル装置20」に含まれる「二つのタッチパネルセンサ30」である「第1タッチパネルセンサ31」及び「第2タッチパネルセンサ32」は、本件補正発明の「タッチパネルセンサ」に対応する。
そして、引用発明の、「第2タッチパネルセンサ32」の、「画像表示機構12の表示面12a」に「対面する」面、「第1タッチパネルセンサ31」の、「画像表示機構12とは反対の側」の面は、それぞれ、本件補正発明の「前記画像表示機構の表示面に対向する面をなす対向面」、「前記対向面と反対側の面をなす反対面」に相当する。
したがって、引用発明の、「画像表示機構12の表示面12aの対面する位置に配置されて」おり、「第2タッチパネルセンサ32」の、「画像表示機構12の表示面12a」に「対面する」面と、「第1タッチパネルセンサ31」の、「画像表示機構12とは反対の側」の面とを有する「第1タッチパネルセンサ31」及び「第2タッチパネルセンサ32」は、本件補正発明の「画像表示機構の表示面上に配置され、前記画像表示機構の表示面に対向する面をなす対向面と、前記対向面と反対側の面をなす反対面とを有するタッチパネルセンサ」に相当する。
イ 引用発明の「タッチパネルセンサ30は、シート状の基材35と、基材35上に設けられた電極40と、を有しており、電極40は、基材35の一方の側(観察者側)の面上に設けられているものであって、位置検出に用いられる検出電極50を有しており、第1タッチパネルセンサ31の検出電極50は、第1タッチパネルセンサ31の基材35の一方の側(観察者側)の面上に所定のパターンで配置されており、第2タッチパネルセンサ32の検出電極50は、第2タッチパネルセンサ32の基材35の一方の側(観察者側)の面上に、第1タッチパネルセンサ31の検出電極50とは異なるパターンで配置されて」いるものであって、「タッチパネルセンサ30」は、「第1タッチパネルセンサ31および第2タッチパネルセンサ32の一以上において、基材35の画像表示機構12側の面に、電極40が形成されていてもよ」いところ、「第1タッチパネルセンサ31および第2タッチパネルセンサ32の両方において、電極40は、基材35の画像表示機構12側の面に設けられて」いる。
そして、引用発明の「第1タッチパネルセンサ31の検出電極50」及び「第2タッチパネルセンサ32の検出電極50」は、「第2タッチパネルセンサ32」の「基材35」を介して配置されているから、「第1タッチパネルセンサ31」及び「第2タッチパネルセンサ32」の厚み方向に離間して配置されているといえる。
したがって、引用発明の、「第1タッチパネルセンサ31」及び「第2タッチパネルセンサ32」の厚み方向に離間して配置されている「第1タッチパネルセンサ31の検出電極50」及び「第2タッチパネルセンサ32の検出電極50」は、本件補正発明の「前記タッチパネルセンサの厚み方向に離間して配置された第1電極および第2電極」に相当する。
ウ 引用発明の「電極40の各検出電極50は、その長手方向に間隔を明けて配列された多数の導電性メッシュ55と、隣り合う二つの導電性55の間を接続する接続導線51と、を有しており、導電性メッシュ55では、細導線60が多数の開口領域71を画成するメッシュパターンにて配置されており、検出電極50の接続導線51も、幅が異なるだけで、細導線60と同様の断面形状を有している、すなわち、検出電極50をなす細導線60および接続導線51は、基材35側に位置する基端面66と、基端面66に対向して配置された平坦な先端面67と、基端面66と先端面67との間を接続する一対の側面68と、を有して」いるから、引用発明の「第1タッチパネルセンサ31の検出電極50」及び「第2タッチパネルセンサ32の検出電極50」は、それぞれ、「細導線60が多数の開口領域71を画成するメッシュパターンにて配置されて」いる「導電性メッシュ55」を有しており、「細導線60」は、「基材35側に位置する基端面66と、基端面66に対向して配置された平坦な先端面67と、基端面66と先端面67との間を接続する一対の側面68と、を有して」いる。
したがって、引用発明の、「第1タッチパネルセンサ31の検出電極50」及び「第2タッチパネルセンサ32の検出電極50」が、それぞれ、「基材35側に位置する基端面66と、基端面66に対向して配置された平坦な先端面67と、基端面66と先端面67との間を接続する一対の側面68と、を有して」いる「細導線60が多数の開口領域71を画成するメッシュパターンにて配置されて」いる「導電性メッシュ55」を有していることは、本件補正発明の「前記第1電極および第2電極は、それぞれ、前記対向面側の面をなす第1面と、前記タッチパネルセンサの厚み方向に沿って前記第1面と反対側の面をなす第2面と、前記第1面と前記第2面との間を接続する一対の側面と、を有する導電性細線、を含む導電性パターンを有」することに相当する。
なお、引用発明の「細導線60」の、「基材35側に位置する基端面66」、「基端面66に対向して配置された平坦な先端面67」、「基端面66と先端面67との間を接続する一対の側面68」は、それぞれ、本件補正発明の「導電性細線」の、「前記タッチパネルセンサの厚み方向に沿って前記第1面と反対側の面をなす第2面」、「前記対向面側の面をなす第1面」、「前記第1面と前記第2面との間を接続する一対の側面」に相当する。
エ 引用発明の、「導電性メッシュ55をなす細導線60の厚み方向に沿った断面形状は、基端面66側から先端面67側へ向けて先細りしていくテーパ状に形成されている」から、「導電性メッシュ55をなす細導線60」の幅は、「基端面66側から先端面67側へ向けて」小さくなるように変化しているといえる。
したがって、引用発明の、「導電性メッシュ55をなす細導線60」の幅が、「基端面66側から先端面67側へ向けて」小さくなるように変化していることは、本件補正発明の「前記導電性パターンの前記導電性細線の幅は、前記第2面側から前記第1面側に向けて小さくなるように変化」することに相当する。
オ 引用発明の「第1タッチパネルセンサ31の基材35」、「第2タッチパネルセンサ32の基材35」は、それぞれ、本件補正発明の「第1基材」、「第2基材」に相当する。
カ 引用発明の「第1タッチパネルセンサ31」の「電極40」は、「基材35の画像表示機構12側の面に設けられており、」「第1タッチパネルセンサ31の検出電極50」は、「基材35側に位置する基端面66と、基端面66に対向して配置された平坦な先端面67と、基端面66と先端面67との間を接続する一対の側面68と、を有して」いる「細導線60が多数の開口領域71を画成するメッシュパターンにて配置されて」いる「導電性メッシュ55」を有しているところ、「第1タッチパネルセンサ31の検出電極50」における「導電性メッシュ55をなす細導線60」は、「基端面66」が「基材35」に対向するようにして、「基材35の画像表示機構12側の面」上に形成されているといえる。
したがって、引用発明の、「第1タッチパネルセンサ31の検出電極50」における「導電性メッシュ55をなす細導線60」が、「基端面66」が「基材35」に対向するようにして、「基材35の画像表示機構12側の面」上に形成されていることは、本件補正発明の「前記第1電極は、前記第1電極の前記導電性パターンをなす前記導電性細線が、その前記第2面が前記第1基材に対向するようにして、前記第1基材の、前記対向面側の面上に形成され、前記第2電極は、前記第2電極の前記導電性パターンをなす前記導電性細線が、その前記第1面が前記第2基材に対向するようにして、前記第2基材の、前記反対面側の面上に形成されて」いることと、「前記第1電極は、前記第1電極の前記導電性パターンをなす前記導電性細線が、その前記第2面が前記第1基材に対向するようにして、前記第1基材の、前記対向面側の面上に形成され」ている点で共通する。
よって、本件補正発明と引用発明との一致点・相違点は、次のとおりであるといえる。
[一致点]
「 画像表示機構の表示面上に配置され、前記画像表示機構の表示面に対向する面をなす対向面と、前記対向面と反対側の面をなす反対面とを有するタッチパネルセンサであって、
前記タッチパネルセンサの厚み方向に離間して配置された第1電極および第2電極を有し、
前記第1電極および第2電極は、それぞれ、前記対向面側の面をなす第1面と、前記タッチパネルセンサの厚み方向に沿って前記第1面と反対側の面をなす第2面と、前記第1面と前記第2面との間を接続する一対の側面と、を有する導電性細線、を含む導電性パターンを有し、
前記導電性パターンの前記導電性細線の幅は、前記第2面側から前記第1面側に向けて小さくなるように変化し、
第1基材および第2基材を有し、
前記第1電極は、前記第1電極の前記導電性パターンをなす前記導電性細線が、その前記第2面が前記第1基材に対向するようにして、前記第1基材の、前記対向面側の面上に形成されている、タッチパネルセンサ。」
[相違点1]
本件補正発明では、「前記第2電極は、前記第2電極の前記導電性パターンをなす前記導電性細線が、その前記第1面が前記第2基材に対向するようにして、前記第2基材の、前記反対面側の面上に形成されて」いるのに対して、引用発明では、「第2タッチパネルセンサ32の検出電極50」における「導電性メッシュ55をなす細導線60」が、「基端面66」が「基材35」に対向するようにして、「基材35の画像表示機構12側の面」上に形成されている点。
[相違点2]
本件補正発明では、「前記導電性細線の高さをHとし、前記導電性細線の前記第1面での幅をW1とし、前記導電性細線の前記第2面での幅をW2としたときに、2×H ≧ W2-W1 ≧ H ≧ (2×H)/tan85°を満たす」のに対して、引用発明では、そのような特定がされていない点。
(4) 判断
ア 上記相違点1について検討する。
(ア) 引用発明は、「第1タッチパネルセンサ31の検出電極50」における「細導線60」と、「第2タッチパネルセンサ32検出電極50」における「細導線60」とが、ともに、「基端面66」が「基材35」に対向するようにして、「基材35の画像表示機構12側の面」上に形成されているものの、引用文献1には、「上述した実施の形態の第1タッチパネルセンサ31および第2タッチパネルセンサ32では、図2および図4によく示されているように、基材35の観察者側の面に、電極40が形成されている例を示した。しかしながら。第1タッチパネルセンサ31および第2タッチパネルセンサ32の一以上において、基材35の画像表示機構12側の面に、電極40が形成されていてもよい。」(上記(2)ア(ウ)の段落【0125】)との記載、すなわち、第1タッチパネルセンサ31および第2タッチパネルセンサ32の一方において、基材35の画像表示機構12側の面に、電極40が形成され、第1タッチパネルセンサ31および第2タッチパネルセンサ32の他方において、基材35の観察者側の面に、電極40が形成されていてもよいことを示唆する記載がある。
(イ) また、引用発明は、「導電性メッシュ55をなす細導線60」の幅が、「基端面66側から先端面67側へ向けて」小さくなるように変化しているものの、引用文献1には、「上述した実施の形態において、電極40の厚み方向に沿った断面形状、とりわけ、導電性メッシュ55をなす細導線60の厚み方向に沿った断面形状が、基端面66側から先端面67側へ向けて先細りしていくテーパ状に形成されている例を示したが、これに限られない。例えば、図17に示すように、電極40、とりわけ細導線60の断面形状において、先端面67での幅W2が基端面66での幅W1よりも広くなるようにしてもよい。」(上記(2)ア(ウ)の段落【0128】)ことを示唆する記載がされているとともに、図17の記載によれば、「断面形状において、先端面67での幅W2が基端面66での幅W1よりも広」い「細導線60」が、基材35の観察者側の面に形成されていることが記載されている。
(ウ) したがって、上記(ア)、(イ)に照らして、引用発明に周知技術(上記(2)イ(エ)を参照。)を適用し、上記相違点1に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
イ 上記相違点2について検討する。
(ア) 本件補正発明の式「2×H ≧ W2-W1 ≧ H ≧ (2×H)/tan85°」における、式「H ≧ (2×H)/tan85°」について
式「H ≧ (2×H)/tan85°」の右辺のうち、「2/tan85°」は、固定の値であって、2/tan85°<1であるから、式「H ≧ (2×H)/tan85°」は、Hの値にかかわらず、常に成り立つものである。
したがって、引用発明においても、「基端面66から先端面67までの厚さH」について、式「H ≧ (2×H)/tan85°」が成り立つことは、明らかである。
(イ) 本件補正発明の式「2×H ≧ W2-W1 ≧ H ≧ (2×H)/tan85°」における、式「2×H ≧ W2-W1 ≧ H」について
a 引用発明は、「先端面67での幅W2、基端面66での幅W1、並びに、基端面66から先端面67までの厚さH」について、式「1≦H/((W2-W1)/2)≦2」を「満た」すものであって、式「1≦H/((W2-W1)/2)≦2」を変形すると、2×H ≧ W2-W1 ≧ Hとなる。
ここで、「基端面66での幅W1」、「先端面67での幅W2」、「基端面66から先端面67までの厚さH」は、正の値であるから、上記式は、(W2-W1)>0、すなわち、「断面形状において、先端面67での幅W2が基端面66での幅W1よりも広」い「細導線60」についての式であると解される。
b ここで、上記式について、引用文献1には、「「H/((W2-W1)/2)」が1未満となると、テーパがきつくなり、電極40が基材35へ十分に密着しなくなり、タッチパネルセンサ30の使用状況如何によっては、電極40が基材35から剥がれ、さらには、電極40に断線が生じてしまう可能性がある。一方、「H/((W2-W1)/2)」が2を超えると、側面68での反射に起因したコントラストの低下が認識されるようになった。」と記載されており、この記載によれば、「H/((W2-W1)/2)」が2を超える(式「W2-W1 ≧ H」を満たさなくなる)、すなわち、細導線60のテーパ(先細り)の度合いが小さくなり、基材35の、細導線60が形成された面に垂直な方向に対する、細導線60の側面68の角度が小さくなると、「側面68での反射に起因したコントラストの低下が認識されるようにな」ると解される。
そして、「先端面67での幅W2」<「基端面66での幅W1」である「細導線60」についても、細導線60のテーパ(先細り)の度合いが小さく、基材35の、細導線60が形成された面に垂直な方向に対する、細導線60の側面68の角度が小さい場合に、「側面68での反射に起因したコントラストの低下が認識されるようにな」ることは、明らかである。
c また、引用発明は、例えば、「金属導線の断面形状」が「基材から突出する三角形形状となる」と、「タッチパネルセンサの面抵抗率は高くなってしまい、位置検出のためのセンシング感度が低下する」との課題(上記2(2)ア(イ)の段落【0009】を参照。)を解決しようとするものであるが、「先端面67での幅W2」<「基端面66での幅W1」である「細導線60」のテーパ(先細り)の度合いが大きくなる、すなわち、「基端面66から先端面67までの厚さH」に対して、「基端面66での幅W1」と「先端面67での幅W2」との差分が大きくなると、「細導線60」の断面形状が、従来技術における「金属導線の断面形状」に近づくことから、上記課題を解決することができなくなることは、明らかである。
d したがって、引用発明において、「細導線60」のテーパ(先細り)の度合いを、「タッチパネルセンサの面抵抗率は高くなってしまい、位置検出のためのセンシング感度が低下する」との課題を解決することができ、かつ、「側面68での反射に起因したコントラストの低下が認識されるようにな」らないような範囲にして、上記相違点2に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
ウ そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
3 本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
平成30年12月28日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願請求項に係る発明は、平成30年9月26日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-6に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項2に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、その請求項2に記載された事項により特定される、上記「第2」の[理由]1(2)に記載のとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、概略、次のとおりのものである。
本願請求項1-6に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明、及び、引用文献3-7に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1:特開2014-016944号公報
引用文献2:特開2014-123338号公報
引用文献3:特開2012-079238号公報
引用文献4:特開2014-142462号公報
引用文献5:特開2014-186716号公報
引用文献6:特開2014-199555号公報
引用文献7:特開2008-009553号公報
3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1、5-7及びその記載事項は、上記「第2」の[理由]2(2)に記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、上記「第2」の[理由]2で検討した本件補正発明から、「導電性細線」に係る限定事項を削除したものであって、引用発明と対比すると、上記相違点1-2(上記「第2」の[理由]2(3)を参照。)のうち、上記相違点1を有し、その余の点で一致する。
そうすると、本願発明は、上記「第2」の[理由]2(4)に記載したように、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2018-017497