特許拒絶査定不服審判
2018-011775
文書生成システム、文書サーバ、端末装置、文書生成方法、およびコンピュータプログラム
- 審判番号
- 2018-011775
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2015-173567外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2018年09月03日
- 審決日
- 2019年09月18日
- 公報発行日
- 2019年11月29日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】コニカミノルタ株式会社
- 【請求人代理人】久保 幸雄
- 【請求人代理人】坂田 泰弘
- 分類
- P18 .121-WY (G06F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2015-173567「文書生成システム、文書サーバ、端末装置、文書生成方法、およびコンピュータプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 3月 9日出願公開、特開2017- 49865、請求項の数(13)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成27年9月3日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成29年10月13日付け:拒絶理由通知書
平成29年12月25日 :意見書、手続補正書の提出
平成30年 5月29日付け:拒絶査定
平成30年 9月 3日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 原査定の概要
原査定(平成30年5月29日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1-13に係る発明は、以下の引用文献1-3に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.特開2009-53928号公報
2.米国特許出願公開第2013/0259377号明細書
3.特開2015-146122号公報
第3 本願発明
本願請求項1-13に係る発明(以下、「本願発明1」-「本願発明13」という。)は、平成30年9月3日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-13に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1、5及び6は以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
第一の方向に並ぶ複数の行によって構成される複数のテキスト群が前記第一の方向とは異なる第二の方向に並んで配置されるとともに複数の図画が配置されてなる第一の文書から第二の文書を生成する文書生成システムであって、
前記第一の文書から前記複数のテキスト群および前記複数の図画を抽出する抽出手段と、
抽出された前記複数のテキスト群および前記複数の図画のそれぞれに、前記第一の文書を人間が読む際の順番に応じた順位を付す、順位付け手段と、
前記第二の文書として、前記順位付け手段によって付された前記順位の小さい順に前記複数のテキスト群のそれぞれを1つずつ前記第一の方向に並べたテキスト連結データと、前記複数のテキスト群から分離されかつ前記順位付け手段によって付された前記順位の小さい順に前記複数の図画のそれぞれを1つずつ前記第一の方向に並べた図画連結データと、を生成する生成手段と、
前記テキスト連結データに示される前記複数のテキスト群を表示するための第一の表示領域および前記図画連結データに示される前記複数の図画を表示するための第二の表示領域が互いに独立して配置された画面を表示することによって前記第二の文書を表示する表示手段と、
を有することを特徴とする文書生成システム。」
「【請求項5】
第一の方向に並ぶ複数の行によって構成される複数のテキスト群が前記第一の方向とは異なる第二の方向に並んで配置されるとともに複数の図画が配置されてなる第一の文書から第二の文書を生成する文書サーバであって、
前記第一の文書から前記複数のテキスト群および前記複数の図画を抽出する抽出手段と、
抽出された前記複数のテキスト群および前記複数の図画のそれぞれに、前記第一の文書を人間が読む際の順番に応じた順位を付す、順位付け手段と、
前記第二の文書として、前記順位付け手段によって付された前記順位の小さい順に前記複数のテキスト群のそれぞれを1つずつ前記第一の方向に並べたテキスト連結データと、前記複数のテキスト群から分離されかつ前記順位付け手段によって付された前記順位の小さい順に前記複数の図画のそれぞれを1つずつ前記第一の方向に並べた図画連結データと、を生成する生成手段と、
端末装置から前記第一の文書が指定された場合に、当該第一の文書から生成された前記第二の文書を当該端末装置に提供する、提供手段と、
を有することを特徴とする文書サーバ。」
「【請求項6】
第一の方向に並ぶ複数の行によって構成される複数のテキスト群が前記第一の方向とは異なる第二の方向に並んで配置されるとともに複数の図画が配置されてなる第一の文書から第二の文書を生成する文書サーバと接続可能な端末装置であって、
前記第二の文書として、前記複数のテキスト群のそれぞれを人間が読む際の順に1つずつ前記第一の方向に並べたテキスト連結データと、前記複数のテキスト群から分離されかつ前記複数の図画のそれぞれを人間が読む際の順に1つずつ前記第一の方向に並べた図画連結データと、を取得する、取得手段と、
取得した前記テキスト連結データに示される前記複数のテキスト群を表示するための第一の表示領域および取得した前記図画連結データに示される前記複数の図画を表示するための第二の表示領域が互いに独立して配置された画面を表示することによって前記第二の文書を表示する表示手段と、
を有することを特徴とする端末装置。」
また、本願発明2-4,7-13の概要は以下のとおりである。
本願発明2-4は、本願発明1を減縮した発明である。
本願発明7及び8は、本願発明6を減縮した発明である。
本願発明9-11は、それぞれ本願発明1,3及び4に対する方法の発明であり、本願発明1,3及び4とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。
本願発明12は、本願発明1に対するプログラムの発明である。
本願発明13は、本願発明6に対するプログラムの発明である。
第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。なお、下線は当審において付加したものである。
ア 「【0023】
図1は、本発明の実施形態の画像データ表示システムにおけるPDA100と文書画像処理サーバ150の構成を示すブロック図である。PDA100及び文書画像処理サーバ150は、ネットワークを介して接続されている。また、PDA100と文書画像処理サーバ150を接続するネットワークは、公衆ネットワークやLAN(Local Area Network)等、どのようなネットワークでもよい。また、PDA100が、文書画像処理サーバ150に対して接続する際、無線あるいは有線のどちらでもよい。
【0024】
本図に示すように、文書画像処理サーバ150の内部は、文書画像データ取得部151と、文書要素抽出部152と、読み順特定部153と、分割位置決定部154と、分割画像作成部155と、表示順生成部156と、文書画像データ合成部157と、通信制御部158とを備え、PDAで表示する際に用いられる表示制御データを文書画像データに付加して、PDA100に送信する処理を行う。」
【0025】
文書画像データ取得部151は、PDA100に表示させる文書画像データを取得する処理を行う。取得の手段としては、スキャナにより紙原稿から読み込みを行う、あるいは図示しないHDD(Hard Disk Drive)にあらかじめ蓄積されている文書画像データを取得する等、どのような手段を用いてもよい。また、文書画像データとは、文書情報を有する画像データを示し、例えば、文書が記載された紙原稿をスキャナ等で読み込むことにより入力された画像データや、文書データから変換された画像データ等が含まれる。
【0026】
図2は、文書画像処理サーバ150が取得した文書画像データの例を示した図である。そして、本実施形態は、この文書画像データを処理の対象とした場合について説明する。本図に示すように、当該文書画像データは、表題と横の3段組からなる文書として構成されている。
【0027】
図1に戻り、文書要素抽出部152は、文書画像データに含まれる各文書要素を抽出する処理を行う。当該処理により、文書要素ごとの領域を特定することができる。本実施形態においては、文書要素をコラムとする。そして、文書要素抽出部152は、文書画像データに含まれるコラムの領域を特定する。また、文書要素抽出部152は、文書に掲載されている図表あるいは写真画像等も文書要素として抽出してもよい。」
イ 「【0030】
図1に戻り、読み順特定部153は、抽出されたコラムの読み順を特定する処理を行う。この読み順の特定手法としては、どのような手法を用いてもよいが、例えば、特開平07-192084号公報に記載された手法を用いることができる。さらに、同公報に記載された手法を用いることで、各文書要素の領域が表題を示しているのか、単なるコラムを示しているのか特定できる。そこで、本実施形態における読み順特定部153は、該手法を用いることで、文書要素の読み順、各文書要素の領域が表題かコラムかを特定する。
【0031】
図4は、読み順特定部153により特定された文書要素の読み順を示した説明図である。各文書要素の領域が表題300とコラム301~303とに分けられ、まずは表題、コラムの順に読み順が特定される。そして、コラムの中での読み順が特定され、コラム301、コラム302、コラム303の順番で読み順が特定される。結果的に、表題300が1番目、コラム301が2番目、コラム302が3番目、コラム303が4番目となり、各文書要素の読み順が特定される。
【0032】
図1に戻り、分割位置決定部154は、画像を分割する位置を決定する処理を行う。具体的には、文書要素抽出部152で特定されたコラムの領域をPDA100の表示画面の大きさに相当する矩形で区切り、文書要素領域の分割を行う。分割位置決定部154は、通信制御部158が文書画像処理サーバ150とネットワークを介して接続した後に該サーバ150から受信したPDA100の表示能力(画面サイズ等)のデータを受け取り、該データから分割する領域の矩形を設定する。そして、分割後の領域中にコラム内の文字や行の漏れがないように矩形で区切る位置を決定する。
【0033】
図5は、分割位置決定部154により分割された画像の領域を示した説明図である。本実施形態では、PDA100の画面サイズは、1コラムの1行分と他のコラムの一部とを包含する横幅と、1コラムの縦幅の3分の1より大きく2分の1より小さい縦幅とを有している。そのため、全てのコラムの内容を分割後の領域に漏れなく網羅するために、本図に示すように、コラム301に対して画像領域501~503、コラム302に対して画像領域504~506、コラム303に対して507~509の計9つの画像領域となる。
【0034】
図1に戻り、分割画像作成部155は、矩形で区切られた領域に相当する部分の画像を分割画像として生成する処理を行う。分割画像データは、文書画像データ取得部151で取得された文書画像データとは別に、図示しないメモリに保持される。なお、分割画像データには、どのコラムの領域を分割した分割画像かを示すコラムデータと、上下左右の4方向あるいは上下左右斜めの8方向に隣接する分割画像同士の位置関係を示すリンクデータとが属性データとして付加される。本実施形態では、9つの分割画像データが生成され保持される。
【0035】
このように、画面への表示単位である分割画像ごとに画像データを生成して保持することで、大きな文書画像1枚全体をメモリ上に保持する必要がなくなり、また、リソースが比較的貧弱なモバイル機器では高負荷となりやすい、サーバ側で作成された読み順に基づいた画面スクロール等の表示制御を行わなくて済むため、ハードウェアリソースの大量消費を抑制することにつながる。
【0036】
表示順生成部156は、ユーザが各分割画像を閲覧する順序(PDA100の表示画面への表示順序)を決定する処理を行う。表示順序は、読み順特定部153で特定されたコラムの読み順及び分割画像の位置関係に基づく文書の読み順に従ったものとなる。すなわち、表示順生成部156は、分割画像作成部155で生成された分割画像データに付加されたコラムデータ及びリンクデータを参照して分割画像の表示順序を決定する。そして、決定した表示順序のデータは、表示制御データとして生成され、図示しないメモリに保持される。
【0037】
図7は、表示順生成部156により決定された分割画像の表示順序を示した説明図である。例えば、図2の文書のように横書きで列方向に段組みがなされている場合の文書の読み順は、左側の段から下に向かって読んでいくものとなるため、この順序を実現するために、まずコラムの読み順を判断し、次いで同一コラム内について分割画像の位置を判断する。この結果、図7に示すとおり、分割画像501が1番目、分割画像502は2番目と続き、分割画像509が9番目というような表示順序が決定される。当該処理は、例えば文書が縦書きで行方向に段組みされている場合でも、同様に文書の読み順に従って分割画像の表示順序を決定できる。
【0038】
図1に戻り、文書画像データ合成部157は、表示順序を含む表示制御データと分割画像データとを合成する処理を行う。データの合成に際して、「表示制御データ(表示順序)+分割画像データ(属性データ(コラムデータ+リンクデータ)含む)」、「表示制御データ+属性データ+分割画像データ」、「分割画像データ(属性データ及び表示制御データを含む)」、「表示順序に従って並べられた分割画像データ(あるいは表示順を表す名前が与えられた分割画像データ)」というように、種々の形式で行うことが可能である。なお、第4の形式へのデータ合成は簡便で、また合成されたデータは後述するような既存のフォトビューワソフト等がそのまま使えるというメリットがある。これらのように、合成されたデータを表示制御データ付き分割画像データとして生成することで、表示制御データの取り扱いが容易となる。」
したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「PDA100及び文書画像処理サーバ150がネットワークを介して接続されている画像データ表示システムであって(【0023】)、
前記文書画像処理サーバ150は、文書画像データ取得部151と、文書要素抽出部152と、読み順特定部153と、分割位置決定部154と、分割画像作成部155と、表示順生成部156と、文書画像データ合成部157と、通信制御部158とを備え、PDAで表示する際に用いられる表示制御データを文書画像データに付加して、PDA100に送信する処理を行うものであり(【0024】)、
前記文書画像データ取得部151は、PDA100に表示させる文書画像データを取得するものであって(【0025】)、前記文書画像データは、表題と横の3段組からなる文書として構成されており(【0026】)、
前記文書要素抽出部152は、文書画像データに含まれる各文書要素を抽出する処理を行うものであって、文書に掲載されている図表あるいは写真画像等も文書要素として抽出してもよく(【0027】)、
前記読み順特定部153は、抽出された文書要素であるコラムの読み順を特定する処理を行い(【0030】)、
前記分割位置決定部154は、画像を分割する位置を決定する処理として、具体的には、前記文書要素抽出部152で特定されたコラムの領域をPDA100の表示画面の大きさに相当する矩形で区切り、文書要素領域の分割を行い(【0032】)、
前記分割画像作成部155は、矩形で区切られた領域に相当する部分の画像を分割画像として生成し(【0034】)、
前記表示順生成部156は、ユーザが各分割画像を閲覧する順序(PDA100の表示画面への表示順序)を決定し、決定した表示順序のデータは、表示制御データとして生成され、図示しないメモリに保持され(【0036】)、
前記文書画像データ合成部157は、表示順序を含む表示制御データと分割画像データとを合成する(【0038】)、
画像データ表示システム。」
2 引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2の段落【0006】【0019】【0021】【0030】の記載からみて、当該引用文献2には、2段組にレイアウトされた文書からテキストブロックと図面ブロックを抽出し、各ブロックを読み順に並べた上で、移動無線端末の画面幅に合うように横幅を変換し、移動無線端末で前記文書を読む際の横方向へのスクロールを不要にするという技術的事項が記載されていると認められる。
3 引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3の段落【0123】-段落【0125】の記載からみて、当該引用文献3には、テキストデータ(本文)と画像データ(図表)とか混在する文書画像を表示する際に、図表へのリンク一覧を本文とは別途作成し、そのリンク一覧の中からユーザが選択した図表の画像を、前記本文とは別に個別に表示する表示方法において、前記リンクとして、前記画像のサムネイルを表示するという技術的事項が記載されていると認められる。
第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア 本願発明1の「文書生成システム」に関して
引用発明の『画像データ表示システム』は、『表題と横の3段組からなる文書』に含まれる各文書要素であるコラムの領域をPDAの表示画面の大きさに相当する矩形で区切り、区切られた領域に相当する部分の画像を『分割画像データ』として生成し、当該『分割画像データ』を、表示順序を含む表示制御データと合成して、PDAに送信するものであって、文書に掲載されている図表又は写真画像等も前記文書要素として抽出されることから、引用発明の『表題と横の3段組からなる文書』は、本願発明1の「第一の方向に並ぶ複数の行によって構成される複数のテキスト群が前記第一の方向とは異なる第二の方向に並んで配置されるとともに複数の図画が配置されてなる第一の文書」に相当し、引用発明の第一の文書から生成される『分割画像データ』と『表示制御データ』とを合成したものは、本願発明1の「第二の文書」に相当し、引用発明の『画像データ表示システム』は、本願発明1の「第一の文書から第二の文書を生成する文書生成システム」に相当する。
イ 本願発明1の「抽出手段」に関して
引用発明の文書画像処理サーバが備える『文書要素抽出部』は、第一の文書に含まれる文書要素である『コラム』を抽出し、また、文書に掲載されている『図表』又は『写真画像』等も文書要素として抽出してもよいことから、引用発明における『コラム』及び『図表』(又は『写真画像』)は、本願発明1の「テキスト群」及び「図画」に相当し、引用発明の『文書要素抽出部』は、本願発明1の「前記第一の文書から前記複数のテキスト群および前記複数の図画を抽出する抽出手段」に相当する。
ウ 本願発明1の「順位付け手段」に関して
引用発明では、上記イにおいて示したとおり、文書に掲載されている『図表』又は『写真画像』等も文書要素として抽出してもよいところ、引用発明の『読み順特定部』は、抽出された文書要素の読み順を特定することから、本願発明1の「抽出された前記複数のテキスト群および前記複数の図画のそれぞれに、前記第一の文書を人間が読む際の順番に応じた順位を付す、順位付け手段」に相当する。
エ 本願発明1の「生成手段」に関して
引用発明では、上記アに示したとおり、第一の文書(『表題と横の3段組からなる文書』)から第二の文書(『分割画像データ』と『表示制御データ』とを合成したもの)を生成していることから、引用発明の文書生成システムは、本願発明1の「前記第二の文書」「を生成する生成手段」に対応する構成を備えているといえる。
オ 本願発明1の「表示手段」に関して
引用発明の文書生成システムは、『文書画像処理サーバ』と『PDA』とによって構成され、前記『文書画像処理サーバ』は、前記『PDA』で表示される文書画像データを当該『PDA』に送信しているとともに、『PDA』が表示手段を備えることは自明であることから、引用発明の文書生成システムは、本願発明1の「前記第二の文書を表示する表示手段」に対応する構成を備えているといえる。
したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
<一致点>
「第一の方向に並ぶ複数の行によって構成される複数のテキスト群が前記第一の方向とは異なる第二の方向に並んで配置されるとともに複数の図画が配置されてなる第一の文書から第二の文書を生成する文書生成システムであって、
前記第一の文書から前記複数のテキスト群および前記複数の図画を抽出する抽出手段と、
抽出された前記複数のテキスト群および前記複数の図画のそれぞれに、前記第一の文書を人間が読む際の順番に応じた順位を付す、順位付け手段と、
前記第二の文書を生成する生成手段と、
前記第二の文書を表示する表示手段と、
を有することを特徴とする文書生成システム。」
<相違点>
<相違点1>
本願発明1の生成手段は、第二の文書として、「前記順位付け手段によって付された前記順位の小さい順に前記複数のテキスト群のそれぞれを1つずつ前記第一の方向に並べたテキスト連結データと、前記複数のテキスト群から分離されかつ前記順位付け手段によって付された前記順位の小さい順に前記複数の図画のそれぞれを1つずつ前記第一の方向に並べた図画連結データと」を生成するのに対し、引用発明の生成手段は、そのような構成を備えていない点。
<相違点2>
本願発明1の表示手段は、「前記テキスト連結データに示される前記複数のテキスト群を表示するための第一の表示領域および前記図画連結データに示される前記複数の図画を表示するための第二の表示領域が互いに独立して配置された画面」を表示するのに対し、引用発明の表示手段は、そのような構成を備えていない点。
(2)相違点についての判断
ア 上記相違点1について検討すると、上記相違点1に係る本願発明1の生成手段が、第二の文書として「前記順位付け手段によって付された前記順位の小さい順に前記複数のテキスト群のそれぞれを1つずつ前記第一の方向に並べたテキスト連結データと、前記複数のテキスト群から分離されかつ前記順位付け手段によって付された前記順位の小さい順に前記複数の図画のそれぞれを1つずつ前記第一の方向に並べた図画連結データと」を生成するという構成は、上記「第4」の引用文献2及び3にも記載されていない。また、当該構成は公知技術又は周知技術であるともいえない。
仮に、上記構成が公知技術又は周知技術であるとしても、引用発明は、『分割画像データ』を用いることで、「画面への表示単位である分割画像ごとに画像データを生成して保持することで、大きな文書画像1枚全体をメモリ上に保持する必要がなくなり」、また、「サーバ側で作成された読み順に基づいた画面スクロール等の表示制御を行わなくて済むため、ハードウェアリソースの大量消費を抑制する」(【0035】)という効果を奏し、従来の課題を解決するものであることを踏まえると、引用発明の『分割画像データ』を連結させ、本願発明1のような「テキスト連結データ」や「図画連結データ」を生成するように構成することには阻害要因が存在するといえる。
イ 上記相違点2について検討すると、上記相違点2に係る本願発明1の表示手段が、「前記テキスト連結データに示される前記複数のテキスト群を表示するための第一の表示領域および前記図画連結データに示される前記複数の図画を表示するための第二の表示領域が互いに独立して配置された画面」を表示するという構成は、上記「第4」の引用文献2及び3にも記載されていない。また、当該構成は公知技術又は周知技術であるともいえない。
なお、引用文献3に記載された発明において、テキストデータ(本文)と画像データ(図表)とが混在する文書を表示する際に、本文とは別に表示するものは、『図表』の『サムネイル』であって、文書を構成する『図表』自体ではないと認められる。
ウ 上記ア及びイのとおり、本願発明1は、当業者であっても、引用発明1及び引用文献2-3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
2 本願発明2-4について
本願発明2-4も、本願発明1の、生成手段が第二の文書として「前記順位付け手段によって付された前記順位の小さい順に前記複数のテキスト群のそれぞれを1つずつ前記第一の方向に並べたテキスト連結データと、前記複数のテキスト群から分離されかつ前記順位付け手段によって付された前記順位の小さい順に前記複数の図画のそれぞれを1つずつ前記第一の方向に並べた図画連結データと」を生成するという構成、及び、本願発明1の、表示手段が「前記テキスト連結データに示される前記複数のテキスト群を表示するための第一の表示領域および前記図画連結データに示される前記複数の図画を表示するための第二の表示領域が互いに独立して配置された画面」を表示するという構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明1及び引用文献2-3に示された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
3 本願発明5について
本願発明5も、本願発明1の、生成手段が第二の文書として「前記順位付け手段によって付された前記順位の小さい順に前記複数のテキスト群のそれぞれを1つずつ前記第一の方向に並べたテキスト連結データと、前記複数のテキスト群から分離されかつ前記順位付け手段によって付された前記順位の小さい順に前記複数の図画のそれぞれを1つずつ前記第一の方向に並べた図画連結データと」を生成するという構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明1及び引用文献2-3に示された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
4 本願発明6-8について
本願発明6-8は、本願発明1の生成手段が生成する「テキスト連結データ」及び「図画連結データ」と同様の、「前記複数のテキスト群のそれぞれを人間が読む際の順に1つずつ前記第一の方向に並べたテキスト連結データ」及び「前記複数のテキスト群から分離されかつ前記複数の図画のそれぞれを人間が読む際の順に1つずつ前記第一の方向に並べた図画連結データ」を、「取得する」という構成、及び、本願発明1の表示手段が表示する「画面」と同様の、「取得した前記テキスト連結データに示される前記複数のテキスト群を表示するための第一の表示領域および取得した前記図画連結データに示される前記複数の図画を表示するための第二の表示領域が互いに独立して配置された画面」を、表示するという構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明1及び引用文献2-3に示された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
5 本願発明9-11について
本願発明9-11は、それぞれ、本願発明1,3及び4に対応する「方法」の発明であるから、本願発明1,3及び4と同様の理由により、当業者であっても、引用発明1-3に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
6 本願発明12について
本願発明12は、本願発明1に対応する「プログラム」の発明であるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明1-3に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
7 本願発明13について
本願発明13は、本願発明6に対応する「プログラム」の発明であるから、本願発明6と同様の理由により、当業者であっても、引用発明1-3に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
第6 原査定について
1 本願発明1-4,9-12について
審判請求時の補正により、本願発明1-4は、第二の文書として「前記順位付け手段によって付された前記順位の小さい順に前記複数のテキスト群のそれぞれを1つずつ前記第一の方向に並べたテキスト連結データと、前記複数のテキスト群から分離されかつ前記順位付け手段によって付された前記順位の小さい順に前記複数の図画のそれぞれを1つずつ前記第一の方向に並べた図画連結データと」を生成するという事項、及び、「前記テキスト連結データに示される前記複数のテキスト群を表示するための第一の表示領域および前記図画連結データに示される前記複数の図画を表示するための第二の表示領域が互いに独立して配置された画面」を表示するという事項を有するものとなっており、上記「第5」で示したとおり、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1-3に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。
さらに、審判請求時の補正により、本願発明1,3及び4に対する方法の発明である本願発明9-11、並びに、本願発明1に対するプログラムの発明である本願発明12は、上記事項に対応する構成を有するものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1-3に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。
2 本願発明5について
審判請求時の補正により、本願発明5は、第二の文書として「前記順位付け手段によって付された前記順位の小さい順に前記複数のテキスト群のそれぞれを1つずつ前記第一の方向に並べたテキスト連結データと、前記複数のテキスト群から分離されかつ前記順位付け手段によって付された前記順位の小さい順に前記複数の図画のそれぞれを1つずつ前記第一の方向に並べた図画連結データと」を生成するという事項を有するものとなっており、上記「第5」で示したとおり、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1-3に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。
3 本願発明6-8,13について
審判請求時の補正により、本願発明6-8は、「前記複数のテキスト群のそれぞれを人間が読む際の順に1つずつ前記第一の方向に並べたテキスト連結データ」及び「前記複数のテキスト群から分離されかつ前記複数の図画のそれぞれを人間が読む際の順に1つずつ前記第一の方向に並べた図画連結データ」を、「取得する」という事項、及び、「取得した前記テキスト連結データに示される前記複数のテキスト群を表示するための第一の表示領域および取得した前記図画連結データに示される前記複数の図画を表示するための第二の表示領域が互いに独立して配置された画面」を表示するという事項を有するものとなっており、上記「第5」で示したとおり、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1-3に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。
さらに、審判請求時の補正により、本願発明6に対するプログラムの発明である本願発明13は、上記事項に対応する構成を有するものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1-3に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。
第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2018-011775