特許拒絶査定不服審判
2018-010166
電気エネルギー貯蔵要素
- 審判番号
- 2018-010166
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-559251外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2018年07月25日
- 審決日
- 2019年09月03日
- 公報発行日
- 2020年03月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ユニコーン エナジー ゲーエムベーハー
- 【請求人代理人】特許業務法人あい特許事務所
- 分類
- P18 .575-Z (H01M) / P18 .121-Z (H01M)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-559251「電気エネルギー貯蔵要素」拒絶査定不服審判事件〔平成25年9月6日国際公開、WO2013/128009、平成27年5月21日国内公表、特表2015-515083〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、2013年(平成25年)3月1日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2012年3月2日、ドイツ連邦共和国(DE))を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成26年10月28日 :翻訳文提出
平成28年12月13日付け:拒絶理由通知書
平成29年 5月12日 :意見書、手続補正書の提出
同 年 8月29日付け:拒絶理由(最後の拒絶理由)通知書
平成30年 1月26日 :意見書、手続補正書の提出
同 年 3月30日付け:平成30年1月26日の手続補正についての補正の却下の決定、拒絶査定
同 年 7月25日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 平成30年7月25日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成30年7月25日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)
「電気エネルギーを供給する供給ネットワーク(90)を構成する電気エネルギー貯蔵要素(10)であって、
前記供給ネットワーク(90)を構成する別の電気エネルギー貯蔵要素(92,95~98)を接触させるための少なくとも1つの接点ユニット(12、14)と、少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵器(55)を含む機能群(16)と、前記少なくとも1つの接点ユニット(12、14)を前記機能群(16)に結合するための少なくとも1つの結合ユニット(18)とを備え、
前記少なくとも1つの接点ユニット(12、14)が、前記供給ネットワーク(90)を構成する別の電気エネルギー貯蔵要素(92,95~98)と通信するための通信インターフェース(34)と、電気エネルギーを前記別の電気エネルギー貯蔵要素(92,95~98)に移送するための移送インターフェース(36)とを有し、
前記機能群(16)を前記電気エネルギー貯蔵要素(10)から分離するための少なくとも1つのスイッチ(39)をさらに備え、
前記通信インターフェース(34)と協働して、前記供給ネットワーク(90)との適合性の認証および互換性の識別の後に、オンオフされるように前記スイッチ(39)が構成されている、電気エネルギー貯蔵要素。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、平成29年5月12日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「ネットワーク媒体を供給する供給ネットワーク(90)に用いられる供給ネットワーク構成要素(10)であって、
前記供給ネットワーク(90)を構成する別の供給ネットワーク構成要素(92~98)を接触させるための少なくとも1つの接点ユニット(12、14)と、少なくとも1つの機能ユニット(55)を有する機能群(16)と、前記少なくとも1つの接点ユニット(12、14)を前記機能群(16)に結合するための少なくとも1つの結合ユニット(18)とを備え、
前記少なくとも1つの接点ユニット(12、14)が、前記供給ネットワーク(90)を構成する別の供給ネットワーク構成要素(92~98)と通信するための通信インターフェース(34)と、ネットワーク媒体を前記供給ネットワーク構成要素(92~98)に移送するための移送インターフェース(36)とを有し、
前記機能群(16)を前記ネットワーク媒体から分離するための少なくとも1つのスイッチ(39)をさらに備え、
前記通信インターフェース(34)と協働して、前記供給ネットワーク(90)との適合性の認証および互換性の識別の後に、オンオフされるように構成されている、供給ネットワーク構成要素。」
2 補正の適否
本件補正は、請求項1に関して以下の3点で構成されている。
ア.本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「供給ネットワーク」が供給する「ネットワーク媒体」を、「電気エネルギー」であると限定し、当該限定に伴い、補正前の「供給ネットワーク構成要素(10)」を「電気エネルギー貯蔵要素(10)」へと改める補正。
イ.「移送インターフェース」が移送する宛先について、補正前は「前記供給ネットワーク構成要素(92~98)」としていたものを、「前記別の電気エネルギー貯蔵要素(92,95~98)」へ変更する補正。
ウ.補正前の最終パラグラフに「前記通信インターフェース(34)と協働して、前記供給ネットワーク(90)との適合性の認証および互換性の識別の後に、オンオフされるように構成されている」と記載した事項について、「前記通信インターフェース(34)と協働して、前記供給ネットワーク(90)との適合性の認証および互換性の識別の後に、オンオフされるように前記スイッチ(39)が構成されている」へと修正し「構成されている」とした対象が「スイッチ(39)」であるとした補正。
これらア~ウの補正は、ア及びウが限定的減縮を目的とするものに該当し、イが明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当し、いずれも補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であることが明らかである。
なお、本件補正は他に、補正前の請求項2、3を削除する補正も含んでいる。
そうすると、本件補正は特許法第17条の2第5項第2号で定める特許請求の範囲の減縮を目的とする補正を含んでいるため、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。
(2)引用文献の記載事項
(ア)原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開2007-35479号公報(平成19年2月8日出願公開。以下「引用文献」という。)には、図面とともに、次の記載がある。
「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、専用の充電器により電圧検出、充電状態の検出を行い充電停止の動作制御を行うため、電池パックを本体機器から取り外して充電を行う場合、保護ICを内蔵した単体であれば、間違って別の機器により充放電されても、内蔵した保護ICの動作により電池を保護することができる。しかし、保護ICを内蔵した電池パックでは、保護ICが電力を消費し、部品点数もそれなりに多く、コストも高くなるなどの問題を有している。また、保護回路を内臓した単体以外では、取り外しを行うと、間違って別の機器により充放電されても電池を保護することができないため、別の機器により充放電される恐れから分離独立することができなかった。
【0005】
二次電池、その充電器、本体機器が専用とされているものであっても、専用の充電器は、価格が割高であり、また単品で入手するには難しく入手性に困難さがあることから、専用充電器を使用せず、汎用の充電器や自作の充電器などを使用して二次電池の充電を行う場合がある。一体ではなく接続を切り離して分離独立できるようになっている機器にはそれぞれ定格、仕様が表記されている。したがってそれぞれの定格、仕様から判断して同等の定格、仕様の他の二次電池、その充電器、本体機器を組み合わせ流用することを可能にしている。しかし、このように汎用の充電器や自作の充電器などを使用して二次電池の充電を行うことは、二次電池の使用上極めて悪い影響を及ぼし、発煙や発火などを招くこともあり、種々の障害が発生する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するものであって、汎用の充電器や自作の充電器による電池パックの充電など、電池パック専用機器以外の使用を防止し、性能劣化や破壊を防止するものである。
【0007】
そのために本発明は、放電制御用スイッチを直列に接続した二次電池を内蔵し専用機器との間で充放電を行う電池パックであって、該電池パックに接続される前記専用機器との間で無線通信を行う無線通信手段と、前記無線通信手段を通して前記専用機器との間で無線通信により認証用のIDの送受信を行って該IDの照合による認証を行う認証処理手段と、前記認証処理手段による認証結果に応じて充放電の制限を行う制限手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
また、放電制御用スイッチを直列に接続した二次電池を内蔵した電池パックとの間で充放電を行う電池パック専用機器であって、該専用機器に接続される前記電池パックとの間で無線通信を行う無線通信手段と、前記無線通信手段を通して前記電池パックとの間で無線通信により認証用のIDの送受信を行って該IDの照合による認証を行う認証処理手段と、前記認証処理手段による認証結果に応じて充放電の制限を行う制限手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、放電制御用スイッチを直列に接続した二次電池を内蔵し充放電を行う電池パックとその電池パック専用機器との間で無線通信により認証用のIDの送受信を行って該IDの照合による認証を行うので、電池パックに関する情報を一切開示せずに、本体機器や専用充電器からなる電池パック専用機器をID認証により確認することができ、内部の簡略化を行うことができる。このことにより電池パック内をブラックボックス化することができ、疑似品での適用をできなくし、保護を簡易化することもできる。しかも、ブラックボックス化することで、使用する機器を限定して簡略化、低コスト化することができ、IDも認証も簡略化し、低コスト化することができる。さらに、リチウムイオン電池において、内蔵の保護回路は、外部より印加される異常エネルギーによる影響を排除するために挿入されるものであることを考えると、本発明によれば、外部機器を確実に制限することができるので、保護回路の簡略化も可能となる。このような専用機器による使用は、電池パックの信頼性および安全性に対してもより向上を図り、製品レベルの向上に対する効果も大きい。」
「【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する 図1は本発明に係る電池パックの実施の形態を説明する図、図2および図3は本発明に係る認証処理の例を説明するための図である。図中、1は電池、2は電池電圧監視IC、3は充放電用制御FET、4はマイコン、5は電流検出抵抗、6はOPAMP、7はEEPROM、9はLED表示器、10は電池パック、11、21は無線通信部、12、22は認証処理部、13、23は制限スイッチ、14、24はIDメモリ、20は電池パック専用機器を示す。
【0011】
図1(1)において、電池1は、例えば3直にリチウムイオン電池からなるセルが接続された二次電池であり、電流検出抵抗5は、その充放電電流Iを検出し、OPAMP6は、電流検出抵抗5により検出された微小電圧を増幅する増幅器である。電池電圧監視IC2は、電池電圧を検出し充放電制御を行う保護ICである。マイコン4は、セル電圧や充放電電流のデータを入手して充放電の制御を行うためのメインプログラム、電池パック専用機器と通信するための通信プログラム、その通信プログラムにて電池パック専用機器の認証を行うための認証プログラムを有し、電池パック内の各種制御、異常検出等を行うものであり、そのための演算処理を行い、また外部ホスト装置に対し通信等を行う。EEPROM7は、プログラムや制御データ、異常データ、履歴・蓄積データ、認証用のID等を格納する記憶手段である。充放電用制御FET3は、電池電圧監視IC2又はマイコン4からの信号により充放電をオン、オフ制御するスイッチ素子である。LED表示器9は、容量表示用として残量を表示すると共に、認証結果の情報等を表示する。
【0012】
本発明に係る電池パックは、充電するため充電器が接続された場合、電源として放電するため機器本体に装着接続された場合、それら充電器や機器本体と間で無線通信により認証用のID(識別情報)の送受信を行って該IDの照合による認証を行い、それら充電器や機器本体がその電池パックに専用の電池パック専用機器であると判定された場合には、電池パックの充放電を可能とし、電池パック専用機器でないと判定された場合には、電池パックの充放電を制限(禁止)する。また、同様の機能を電池パック専用機器の充電器や機器本体それぞれに備えることにより、その電池パック専用機器に適合する電池パックか否かを判定して充電器からの充電、機器本体への放電を可能とし、あるいは制限(禁止)する。
【0013】
このような認証用のIDの照合により認証を行う機能のブロック構成図を示したのが図1(B)である。図1(B)において、電池パック10側には、無線通信部11、認証処理部12、制限スイッチ13、認証用のIDを保持するIDメモリ14を、電池パック専用機器(本体機器、充電器)20側には、無線通信部21、認証処理部22、制限スイッチ23、認証用のIDを保持するIDメモリ24をそれぞれ設けている。IDメモリ14、24に保持された認証用のIDを用い、無線通信部11、21は、無線通信により認証用のID、認証信号等の送受信を行い、認証処理部12、22は、認証用のID、認証信号等の送受信に従い、電池パック、電池パック専用機器の認証、判定を行うことにより、電池パック10に対する充放電の制御、充放電制限(禁止)の制御を行う。図1(A)に示す電池パックにおいて、無線通信部11は、マイコン4がEEPROM7に格納された通信プログラムを実行することにより、また、認証処理部12は、マイコン4がEEPROM7に格納された認証プログラムを実行することによりそれぞれ実現され、認証用のIDは、EEPROM7に格納される。無線通信部11、21間の無線通信は、電波や超音波、レーザ光による信号を使って実現される。」
「【0014】
次に、認証処理部12による認証処理の例として、一方から認証用のIDを送信し、受信側でその認証用のIDを照合して認証信号を返信することにより、その認証信号の受信を確認する方式、つまり相手に認証用のIDの照合機能を持たせる場合や、認証用のIDの送信を要求し、その受信した認証用のIDを照合して認証する方式、つまり認証用のIDの照合機能を自分で持つ場合について説明する。
【0015】
相手に認証用のIDの照合機能を持たせる場合の処理は、例えば図2に示すようにまず、相手との通信が可能になると相手に認証用のIDを送信して(ステップS11)、送信した認証用のIDに対し相手側から照合を行うことにより、その結果として返信してくる認証信号(照合ID有・一致/照合ID無・不一致)の受信を待ち(ステップS12)、その認証信号に応じて、照合ID無・不一致の場合には不適合を報知(表示)し(ステップS13)、照合ID有・一致の場合には充放電制限スイッチをオンにし(ステップS14)、認証処理を終了する。充放電制限スイッチは、例えば充放電用制御FET3を制御可能にする充放電制限スイッチや、充放電用制御FET3に直列接続して給電回路をオン/オフする充放電制限スイッチであり、例えば充放電用制御FET3のオン/オフを制御する制御回路を作動可能にする充放電制限スイッチなどを含み、充放電を制限するための回路スイッチである。
【0016】
電池パックにおいてこの認証処理を行うようにする場合、相手となる充電器や本体機器(電池パック専用機器)は、認証用のIDを電池パックから受信してその認証を行い、照合ID有・一致/照合ID無・不一致の認証信号を電池パックに返信する機能を備えるものとなる。充電器や本体機器においてこの認証処理を行うようにする場合には、この逆に電池パックが認証用のIDの受信、認証、照合ID有・一致/照合ID無・不一致の認証信号の返信機能を備えるものとなる。」
「
」
上記【図1】の図示から看取できる事項として、【図1】(A)の右端に+-が付された2つの□は、同図(B)に示された電池パック専用機器20に対する充放電の接続端子であること、該接続端子と二次電池1とを結ぶ実線であって、充放電用FET3を含む線は、接続端子と二次電池1とを結合する配線路であること、該充放電用FET3がオフのときには、電池パック10から二次電池1が電気的に分離されること、が挙げられる。
(イ)上記(ア)から、引用文献には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
<引用発明>
「二次電池1を内蔵し専用機器との間で充放電を行う電池パック10であって、
前記専用機器を電気的に接続する接続端子と、二次電池1と、前記接続端子を前記二次電池1に結合するための配線路とを備え、
該電池パック10に接続される前記専用機器との間で無線通信を行う無線通信部11と、前記無線通信部11を通して前記専用機器との間で無線通信により認証用のIDの送受信を行って該IDの照合による認証を行う認証処理部12と、前記認証処理部12による認証結果に応じて前記二次電池1の充放電路に接続された充放電用制御FET3により充放電の制限を行う制限手段とを有し、
前記二次電池1を前記電池パック10から電気的に分離するための前記充放電用制御FET3をさらに備え、
前記無線通信部11は無線通信により認証用のID、認証信号等の送受信を行い、前記認証処理部12は認証用のID、認証信号等の送受信に従い、電池パックの認証、判定を行うことにより、専用機器が電池パックに適合するか否かを判定し、前記無線通信部11で得たID情報が照合ID無・不一致の場合には不適合とし、前記充放電用制御FET3をオフにするよう前記制限手段を制御し、照合ID有・一致の場合には前記充放電用制御FET3をオンにするよう前記制限手段を制御する
電池パック10。」
(3)引用発明との対比
ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「専用機器との間で充放電を行う電池パック10」は、一般的に電池が放電により電力を供給する機能を有することが明らかであるから、本件補正発明の「電気エネルギーを供給する供給ネットワーク(90)を構成する電気エネルギー貯蔵要素(10)」に相当する。
(イ)引用発明の「二次電池1」は、本件補正発明の「少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵器(55)を含む機能群(16)」に相当する。
(ウ)引用発明の「専用機器」は、電池パックと充放電を行う他の構成要素であるから、本件補正発明の「別の電気エネルギー貯蔵要素」に対応するものと認められるが、エネルギーを貯蔵するかどうかの直接的な記載はない。よって、本件補正発明と引用発明とは、「別の要素」と接続される点で一致する。
そうすると、引用発明の「前記専用機器を電気的に接続する接続端子」は、電気エネルギーの移送を行う接点であるから、本件補正発明の「電気エネルギーを」別の要素に「移送するための移送インターフェース(36)」に相当する。
ただし、「別の要素」について、本件補正発明は「電気エネルギー貯蔵要素」であるのに対し、引用発明にはその旨の特定がない点で相違する。
ここで、引用発明にはユニットとされる集合体が見当たらないため、本件補正発明の「少なくとも1つの接点ユニット」に対応する集合体を引用発明を備えていない点は相違するものの、当該接点ユニットに含まれる個々の機能手段の対応関係について、以下、対比を続ける。
(エ)引用発明の「二次電池1と、前記接続端子を前記二次電池1に結合するための配線路」は、上記(ウ)の本件補正発明の「前記少なくとも1つの接点ユニット(12、14)を前記機能群(16)に結合するための少なくとも1つの結合ユニット(18)」に、接点ユニットとして結合する点を除き相当する。
(オ)引用発明の「該電池パック10に接続される前記専用機器との間で無線通信を行う無線通信部11」は、電池パックに備わっており、通信を行うインターフェースであるから、本件補正発明の「前記供給ネットワーク(90)を構成する別の電気エネルギー貯蔵要素(92,95~98)と通信するための通信インターフェース(34)」に相当する。
ただし、本件補正発明の「通信インターフェース」は、「接点ユニット」の一部であるのに対して、引用発明の「無線通信部11」は特にユニットを構成した旨の特定がない点で相違する。
(カ)引用発明の「前記二次電池1を前記電池パック10から電気的に分離するための充放電用制御FET3」は、本件補正発明の「前記機能群(16)を前記電気エネルギー貯蔵要素(10)から分離するための少なくとも1つのスイッチ(39)」に相当する。
(キ)引用発明の「前記無線通信部11は無線通信により認証用のID、認証信号等の送受信を行い、前記認証処理部12は認証用のID、認証信号等の送受信に従い、電池パックの認証、判定を行うことにより、専用機器が電池パックに適合するか否かを判定」することは、「無線通信部11」と「認証処理部12」が協働して「電池パックの認証、判定」を行っており、上記(ア)及び(エ)で、引用発明の「電池パック20」と「専用機器」とが接続されて充放電することにより、電気エネルギーの授受を形成するネットワークとなることが理解できるので、本件補正発明の「前記通信インターフェース(34)と協働して、前記供給ネットワーク(90)との適合性の認証および互換性の識別」をすることに相当する。
(ク)引用発明の「専用機器が電池パックに適合するか否かを判定し、前記無線通信部11で得たID情報が照合ID無・不一致の場合には不適合とし、前記充放電用制御FET3をオフにするよう前記制限手段を制御し、照合ID有・一致の場合には前記充放電用制御FET3をオンにするよう前記制限手段を制御する」ことは、「無線通信部11」と「認証処理部12」とが「専用機器」と「電池パック10」との間の適合判定を行ったことを受けて、「制限手段」が「充放電制御FET3」を制御してオンオフする構成をなしているから、本件補正発明の「前記供給ネットワーク(90)との適合性の認証および互換性の識別の後に、オンオフされるように前記スイッチ(39)が構成されている」ことに相当する。
イ 以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
【一致点】
「電気エネルギーを供給する供給ネットワークを構成する電気エネルギー貯蔵要素であって、
少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵器を含む機能群と、別の要素と通信するための通信インターフェースと、電気エネルギーを前記別の要素に移送するための移送インターフェースと、前記移送インターフェースを前記機能群に結合するための少なくとも1つの結合ユニットと、前記機能群を前記電気エネルギー貯蔵要素から分離するためのスイッチとを備え、
前記通信インターフェースと協働して、前記供給ネットワークとの適合性の認証および互換性の識別の後に、オンオフされるように前記スイッチが構成されている、電気エネルギー貯蔵要素。」
【相違点】
1.「電気エネルギー貯蔵要素」の接続先である「他の要素」について、本件補正発明は「前記供給ネットワーク(90)を構成する別の電気エネルギー貯蔵要素」であるのに対して、引用発明にはその旨の特定がない点。
2.本件補正発明は、「通信インターフェース」と「移送インターフェース」を有する部材として「接点ユニット」という構成要素を備えるのに対して、引用発明は「通信ユニット」に対応する「無線通信部11」と、「移送インターフェース」に対応する「前記専用機器を電気的に接続する接続端子」とを備えるとし、当該2つの構成要素をユニットとする特定がない点。
(4)判断
以下、相違点1及び2について検討する。
(相違点1について)
引用発明の電池パック10も、本件補正発明の電気エネルギー貯蔵装置も、どちらも接続先として適合性がないものを想定し、適合性の認証、互換性の識別を果たした後に初めて電気的な接続を果たすように構成されている点が、上記一致点により明らかである。
また、本件補正発明の特定事項である「前記供給ネットワーク(90)を構成する」事項と「(別の)電気エネルギー貯蔵要素」である事項は、どちらも本件補正発明の電気エネルギー貯蔵要素と適合し、互いの電気的接続が確立した後に、何らかの負荷へ協働して電力を供給する関係を果たすことを意味した特定であると解される。
ところが、引用発明の電池パック10と接続される専用機器は、一般的にスマートフォンや携帯電話などが想定されることが自明であり、スマートフォンや携帯電話はバッテリーを内蔵するため、接続先である専用機器が電気エネルギーを貯蔵する別の要素であること、及び電池パック10と接続された後に当該電池パック10と接続先の専用機器にある内蔵バッテリーとが協働して接続先のスマートフォンや携帯電話へ電気エネルギーを供給する電気エネルギー供給ネットワークを構成することは、いずれも明らかな事項である。
以上のことから、引用発明の専用機器は、上記相違点1に係る「供給ネットワークを構成する」事項、及び「電気エネルギー」を「貯蔵」する事項の双方を満足することが認められる。
よって、引用発明の専用機器として自明の技術事項を採用して、相違点1に係る構成となすことは、当業者が容易になし得た事項と認められる
(相違点2について)
一般的に電池やスマートフォン等の電子機器は、外部通信接続端子と充放電の配線路とが結合されているものであるところ、これら配線される部材同士を一つにまとめることは、本件出願の優先日前に当業者に慣用された設計的事項である(要すれば、特開2011-86469号公報を参照。プリント配線基板115に、配線路と通信ブロック141と正極端子として機能する電池蓋116と、負極端子として機能する120とが集約されている。)。
そうすると、引用発明の電池パックの充放電用接続端子と、外部との無線通信部11のインターフェース部品とを集中配置できるように1つの配線ユニットに集約する程度のことは、当業者が容易になし得る慣用の設計的事項にすぎないというべきである。
以上纏めると、上記相違点1及び2は、いずれも引用発明に自明な事項及び慣用な設計的事項を適用することで、当業者が容易に発明できたと認められるので、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないと認められる。
3 本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
平成30年7月25日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成29年5月12日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、との理由(拒絶理由通知中の2.)を含むものである。
引用文献1:特開2007-35479号公報
3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1及びその記載事項は、前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「ネットワーク媒体」及び「供給ネットワーク構成要素」並びに「オンオフされるように構成されている」に係る限定事項を削除し、上位概念化したものである。そして、本願発明と引用文献1に記載された発明とは、前記第2の[理由]2(3)で挙げた相違点1及び2で相違する。
しかしながら、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2(3)、(4)に記載したとおり、引用発明及び自明な事項並びに慣用な設計的事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものである以上、本願発明も、引用発明及び自明な事項並びに慣用な設計的事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2018-010166