特許拒絶査定不服審判
2018-007915
電子機器、プログラムおよび制御方法
- 審判番号
- 2018-007915
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-222618
- 請求日
- 2018年06月07日
- 審決日
- 2019年03月11日
- 公報発行日
- 2019年06月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】京セラ株式会社
- 【請求人代理人】杉村 憲司
- 【請求人代理人】河合 隆慶
- 審判長/審判官
- 審判長 吉田 隆之
- 審判官 北岡 浩
- 審判官 中野 浩昌
- 分類
- P18 .575-Z (H04M) / P18 .121-Z (H04M)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2016-222618「電子機器、プログラムおよび制御方法」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 5月24日出願公開、特開2018- 82275〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成28年11月15日の出願であって、平成29年5月25日付けで拒絶理由が通知され、同年7月20日に意見書及び手続補正書が提出され、同年10月13日付けで拒絶理由が通知(最後)され、同年12月12日に意見書及び手続補正書が提出され、平成30年3月5日付けで平成29年12月12日に提出した手続補正書による補正が却下されるとともに拒絶査定がなされたところ、平成30年6月7日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。
第2 平成30年6月7日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成30年6月7日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正の概要
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(なお、下線は、補正箇所を示す。)。
「【請求項1】
近接センサと、
外部機器と通信する通信ユニットと、
前記近接センサによって検出されたジェスチャに基づき自機器を操作しているときに前記通信ユニットによって前記外部機器から異常通知信号を取得すると、前記近接センサによって検出された前記ジェスチャと同じジェスチャに基づき前記外部機器を遠隔操作する信号を送信するコントローラと、を備える、電子機器。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の、平成29年7月20日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「【請求項1】
近接センサと、
外部機器と通信する通信ユニットと、
前記近接センサによって検出されたジェスチャに基づき自機器を操作しているときに前記通信ユニットによって前記外部機器から異常通知信号を取得すると、前記近接センサによって検出されたジェスチャに基づき前記外部機器を遠隔操作する信号を送信するコントローラと、を備える、電子機器。」
2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である、「コントローラ」が「前記外部機器を遠隔操作する信号を送信する」基となる「前記近接センサによって検出されたジェスチャ」を、「前記近接センサによって検出された前記ジェスチャと同じジェスチャ」に補正するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的としたものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下、「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりである。
(2)引用文献の記載事項及び引用発明
ア 引用文献1の記載事項及び引用発明1
原査定の拒絶の理由に引用された特開2016-99790号公報(平成28年5月30日出願公開。以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、次のとおりの記載がある(なお、下線は当審において付与。)。
(ア)「【0012】
図1は、本実施形態の監視カメラシステム5のシステム構成の一例を示す図である。監視カメラシステム5は、主に宅内8に設置されており、親機10と、2台のコードレス子機(以下、単に「子機」ともいう)20A,20Bと、複数台のカメラ(屋内カメラ30A,監視カメラ30B,ベビーモニタカメラ30C,…)と、各種センサ(具体的には、人感センサ40A,40B,煙センサ40C,開閉センサ40D)と、スマートフォン50と、無線ルータ60とを含む構成である。なお、この監視カメラシステム5の構成は一例であり、種々の態様に変更可能である。
(中略)
【0016】
複数台のカメラ(例えば屋内カメラ30A,監視カメラ30B,ベビーモニタカメラ30C,…)は、通話機能を有し、DECTの通信方式を用いて親機10と接続される。ここでは、カメラとして、屋外を撮像する監視カメラ30B、及び宅内8を撮像する屋内カメラ30A、及び乳幼児の睡眠場所(例えばベビーベッド(不図示)若しくはその周囲)を撮像するベビーモニタカメラ30Cが用いられる。以下、特にカメラの種類を区別する必要が無い場合、カメラ30と総称する。
【0017】
スマートフォン50は、携帯電話端末の一例として設けられる。スマートフォン50は、無線LANを用いた無線ルータ60を介して親機10と接続され、また、3G(第3世代))、HSPA(High Speed Packet Access)若しくはLTE(Long Term Evolution)等の通信方式を用いた携帯電話網75を介して携帯電話機70や他のスマートフォン等と接続される。」
(イ)「【0031】
図4は、カメラ30の内部構成の一例を示すブロック図である。カメラ30の一例としての屋内カメラ30A、監視カメラ30B、及びベビーモニタカメラ30Cは、いずれもほぼ同じ構成を有する。カメラ30は、制御部309と、記憶部303と、操作部305とを含む構成である。カメラ30は、撮像に関する動作を行うとともに、入力操作を受け付ける。
【0032】
また、カメラ30は、DECTプロトコル制御部317と、DECT無線I/F部318とを有し、DECTの通信方式を用いて親機10と無線接続を行う。
【0033】
また、カメラ30は、無線LAN制御部321と、無線LAN通信I/F部322とを有し、無線LANで接続された無線ルータ60を介して親機10、スマートフォン50等との間で画像データ及び音声データを送受信する。」
(ウ)「【0041】
図6は、スマートフォン50の内部構成の一例を示すブロック図である。携帯電話端末の一例としてのスマートフォン50は、制御部506と、記憶部504と、表示/操作部(例えばタッチパネル)503とを含む構成である。スマートフォン50は、各種の入力操作を受け付け、表示/操作部503に画像等の情報を表示する。制御部506は、プロセッサを有し、所定のプログラムをプロセッサによって実行することにより所定の機能を実現するものである。制御部506は、カメラ30の機能など、監視カメラシステム5の動作時の各種機能を設定可能な監視機能制御部514を内蔵する。
【0042】
スマートフォン50は、監視機能制御部514を実現するためのプログラムとして、ホームセキュリティ用のアプリケーション(以下、「ホームセキュリティアプリケーション」と称する)がインストールされ、記憶部504に保持される。タッチパネル等により構成される表示/操作部503は、表示部及び操作部が一体化された表示入力部として機能するものであり、画面に画像やアイコン等の情報を表示するとともに、スマートフォン50のユーザ(以下、単に「ユーザ」という)による画面へタップ操作(又はタッチ操作)を受け付ける。
(中略)
【0045】
また、スマートフォン50は、無線LAN制御部507と、無線LAN通信I/F部508とを有し、無線LANで接続された無線ルータ60を介して、親機10、カメラ30等と画像データ及び音声データを送受信する。」
(エ)「【0054】
動き検出感度PA1は、カメラ30にて撮像した画像内の動きを検出する場合の動き検出感度のパラメータである。検出領域選択PA2は、動き検出を行う検出対象領域のパラメータである。検出明るさPA3は、カメラ30周辺の明るさが所定値を超えたときに警報を発する場合の所定値に相当する明るさレベルのパラメータである。検出温度PA4は、カメラ30周辺の温度が所定値を超えたときに警報を発する場合の所定値に相当する正常温度範囲のパラメータである。検出音量PA5は、カメラ30にて収音した周辺音の音量が所定値を超えたときに警報を発する場合の所定値に相当する音量レベルのパラメータである。ユーザがこれらの検出パラメータを設定しておき、検出パラメータに対して所定の検出条件となった場合に、スマートフォン50の表示/操作部503に検出情報画面が表示され、ユーザに通知される。なお、警報としては、検出情報画面等による画面表示に限らず、音、光、振動など、各種報知手段を用いてもよい。
(中略)
【0056】
例えば、動き検出を行う場合、ベビーモニタカメラ30Cにおいて、監視対象の子供はベッド上で動くのが通常であるため、中央部分の領域は非検出領域として動き検出を行わない設定とする。また、ベビーモニタカメラ30Cがベビーベッド全体を撮像するようにした場合、ベビーベッド部分の領域は非検出領域とし、ベビーベッドよりも外側の部分を検出領域として設定し、ベビーベッドの外で動きが検出された場合に、異常発生として通知するようにする。
(中略)
【0058】
図9(A)は、スマートフォン50の表示/操作部503に表示される検出情報画面の例を示す図、図9(B)は、ホームセキュリティアプリケーションのモニタ画面の例を示す図である。スマートフォン50の待ち受け状態、又はホームセキュリティアプリケーション動作時、或いは他のアプリケーションの動作時に、カメラ30又はセンサ40によって所定の検出条件に該当する状態(ここでは監視対象の撮像画像の動き)が検出されると、スマートフォン50の表示/操作部503に検出情報画面が表示される。
【0059】
図9(A)に示す検出情報画面には、所定の検出条件に該当する状態が検出された対象の場所、内容等を示す検出通知ALが表示される。図示例の検出通知ALは、リビング2(Living 2)にて所定の検出条件の状態(例えば画像中の動きなど)が検出され、ベビーモニタカメラ30Cによってリビング2の様子を撮像していることを示している。
【0060】
ユーザが検出通知ALのアイコンをタップしてモニタ表示の指示操作を行うと、ホームセキュリティアプリケーションが起動し、図9(B)に示すような検出情報に対応するカメラ30(ベビーモニタカメラ30C)が撮像した現在の監視対象の動画画像MV3を示すモニタ画面が表示/操作部503に表示される。図9(B)は、ベビーモニタカメラ30C(Baby monitor camera1)にて撮像した監視対象の動画画像MV3を示すモニタ画面の例である。図9(B)のモニタ画面において、ユーザがモニタ停止IC5のアイコンをタップして指示操作を行うと、モニタ画面の表示が停止され、元の画面表示に戻る。」
(オ)「【0066】
そして、例えばベビーモニタカメラ30Cにおいて、監視対象の画像の検出領域外で所定量以上の動きがあることを検出した場合(S21)、ベビーモニタカメラ30Cは、動き検出した位置が検出領域外であるので、動き検出を通知しない。また、例えば監視対象の画像の検出領域内で所定量以上の動きがあることを検出した場合(S22)、ベビーモニタカメラ30Cは、動き検出した位置が検出領域内であるので、動き検出通知を親機10に送信する(S23)。
【0067】
親機10は、ベビーモニタカメラ30Cから動き検出通知を受信すると、検出領域内の動きの検出通知情報として、検出情報画面の画像情報を作成し(S24)、スマートフォン50に検出通知情報を送信する(S25)。スマートフォン50は、親機10からベビーモニタカメラ30Cの検出通知情報を受信すると、検出内容を示す検出情報画面を表示/操作部503に表示する(S26)。この状態で、スマートフォン50の表示/操作部503へのタッチ操作などによって、スマートフォン50がユーザからモニタ表示指示の操作入力を受けると(S27)、スマートフォン50は、親機10に対して画像データ転送要求を送信する(S28)。
【0068】
親機10は、スマートフォン50からの画像データ転送要求を受けると、ベビーモニタカメラ30Cに対して画像データ転送要求を送信する(S29)。ベビーモニタカメラ30Cは、親機10からの画像データ転送要求を受けると、親機10に対して自装置にて撮像した監視対象の画像データを送信する(S30)。画像データは、動画の映像データ、静止画の画像データの少なくとも一方を含む。親機10は、ベビーモニタカメラ30Cより取得した画像データをスマートフォン50に転送する(S31)。スマートフォン50は、親機10から転送された画像データを受信し、表示/操作部503に動画又は静止画によるモニタ画面を表示する(S32)。」
(カ)図1、図6及び図9は以下のとおりである。
図1
図6
図9
a 上記【0012】、【0045】の記載及び図1によれば、「ベビーモニタカメラ30C」は、複数台のカメラの1つであり、「監視カメラシステム5」は、「親機10と、ベビーモニタカメラ30Cと、スマートフォン50と、無線ルータ60とを含んで構成され」る。そして、上記【0041】、【0045】の記載及び図6によれば、当該「監視カメラシステム5」における「スマートフォン50」は、「制御部506と、記憶部504と、表示/操作部503と、無線LAN制御部507と、無線LAN通信I/F部508とを含」み、上記【0017】の記載によれば、「スマートフォン50は、無線LANを用いた無線ルータ60を介して親機10と接続され」る。
b 上記【0041】、【0042】の記載によれば、「制御部506」は、「カメラ30の機能など、監視カメラシステム5の動作時の各種機能を設定可能な監視機能制御部514を内蔵」しており、「スマートフォン50は、監視機能制御部514を実現するためのプログラムとして、ホームセキュリティ用のアプリケーション(以下、「ホームセキュリティアプリケーション」と称する。)がインストールされ、記憶部504に保持され」るものであり、「各種機能」の例である「カメラ30の機能」には「ベビーモニタカメラ30Cの機能」も含まれると解されるから、「制御部506は、ベビーモニタカメラ30Cの機能を設定可能な監視機能制御部514を内蔵し、記憶部504には、監視機能制御部514を実現するためのプログラムとして、ホームセキュリティアプリケーションがインストールされ、保持され」るといえる。
c 上記【0045】の記載によれば、「スマートフォン50は、無線LANで接続された無線ルータ60を介して、親機10、カメラ30等と画像データ及び音声データを送受信」する。
また、上記【0042】の記載によれば、「タッチパネル等により構成される表示/操作部503」は、「表示部及び操作部が一体化された表示入力部として機能するものであり、画面に画像やアイコン等の情報を表示するとともに、スマートフォン50のユーザ(以下、単に「ユーザ」という)による画面へタップ操作(又はタッチ操作)を受け付け」るものであるから、「スマートフォン50は、タッチパネル等により構成される表示/操作部503の画面へのタップ操作によって入力を受け付け」るといえる。
d 上記【0031】、【0033】の記載によれば、カメラ30の一例としての「ベビーモニタカメラ30C」は、「制御部309と、記憶部303と、操作部305と、無線LAN制御部321と、無線LAN通信I/F部322とを含」み、「撮像に関する動作を行うとともに、入力操作を受け付け」、「無線LANで接続された無線ルータ60を介して親機10、スマートフォン50等との間で画像データ及び音声データを送受信する」。
そして、上記【0054】及び【0056】の記載によれば、「ベビーモニタカメラ30C」では、「ユーザ」が「設定して」おいた「撮像した画像内の動きを検出する場合の動き検出感度」などの「検出パラメータに対して所定の検出条件となった場合に、スマートフォン50の表示/操作部503に検出情報画面が表示され、ユーザに通知され」、「例えば、動き検出を行う場合、ベビーモニタカメラ30Cにおいて、監視対象の子供はベッド上で動くのが通常であるため」、「ベビーモニタカメラ30Cがベビーベッド全体を撮像するようにした場合」、「ベビーベッドよりも外側の部分を検出領域として設定し、ベビーベッドの外で動きが検出された場合に、異常発生として通知する」。
そうすると、「ベビーモニタカメラ30Cがベビーベッド全体を撮像するようにして、ベビーベッドよりも外側の部分を検出領域として設定し、ベビーベッドの外で動きが検出された場合に、異常発生として通知がなされ」るといえる。
e 一方、上記【0058】~【0060】の記載及び図9によれば、「スマートフォン50」では、「他のアプリケーションの動作時に」、「所定の検出条件に該当する状態(ここでは監視対象の撮像画像の動き)が検出されると、スマートフォン50の表示/操作部503に検出情報画面が表示され」(図9(A))、当該「検出情報画面には、所定の検出条件に該当する状態が検出された対象の場所、内容等を示す検出通知ALが表示される」。そして、「ユーザが検出通知ALのアイコンをタップしてモニタ表示の指示操作を行うと、ホームセキュリティアプリケーションが起動し、図9(B)に示すような検出情報に対応するベビーモニタカメラ30Cが撮像した現在の監視対象の動画画像MV3を示すモニタ画面が表示/操作部503に表示される」。
ここで、上記【0066】~【0068】の記載によれば、「ベビーモニタカメラ30C」が「監視対象の画像の検出領域内で所定量以上の動きがあることを検出」すると(S22)、「スマートフォン50」では、「親機10」を介して「ベビーモニタカメラ30Cの検出通知情報」が「受信」され、「検出内容を示す検出情報画面」が「表示/操作部503に表示」され(S26)、「この状態で、スマートフォン50の表示/操作部503へのタッチ操作などによって、スマートフォン50がユーザからモニタ表示指示の操作入力を受けると」(S27)、「親機10」を介して「ベビーモニタカメラ30C」に「画像データ転送要求」を送信し(S28、S29)、「ベビーモニタカメラ30C」に「撮像した監視対象の画像データ」を「送信」させる(S30)。
そうすると、「スマートフォン50」が親機10を介して受信する「ベビーモニタカメラ30Cの検出通知情報」は、「異常発生」を通知するために送信される情報といえ、「スマートフォン50では、他のアプリケーションの動作時に、異常発生を通知するために送信されるベビーモニタカメラ30Cの検出通知情報を親機10を介して受信すると、表示/操作部503に検出通知ALのアイコンを含む検出情報画面が表示され、その状態において検出通知ALのアイコンのタップ操作を受け付けると、親機10を介してベビーモニタカメラ30Cに画像データ転送要求を送信し」、「ベビーモニタカメラ30Cに撮像した監視対象の画像データを送信させる」といえる。
上記a乃至eを総合すると、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認める。
「親機10と、ベビーモニタカメラ30Cと、スマートフォン50と、無線ルータ60とを含んで構成される監視カメラシステム5におけるスマートフォン50であって、
スマートフォン50は、制御部506と、記憶部504と、表示/操作部503と、無線LAN制御部507と、無線LAN通信I/F部508とを含み、無線LANを用いた無線ルータ60を介して親機10と接続され、
制御部506は、ベビーモニタカメラ30Cの機能を設定可能な監視機能制御部514を内蔵し、記憶部504には、監視機能制御部514を実現するためのプログラムとして、ホームセキュリティアプリケーションがインストールされ、保持され、
スマートフォン50は、無線LANで接続された無線ルータ60を介して、親機10、ベビーモニタカメラ30Cと画像データ及び音声データを送受信し、
タッチパネル等により構成される表示/操作部503の画面へのタップ操作によって入力を受け付け、
ベビーモニタカメラ30Cがベビーベッド全体を撮像するようにしてベビーベッドよりも外側の部分を検出領域として設定し、ベビーベッドの外で動きが検出された場合に、異常発生として通知がなされ、
スマートフォン50では、他のアプリケーションの動作時に、異常発生を通知するために送信されるベビーモニタカメラ30Cの検出通知情報を親機10を介して受信すると、表示/操作部503に検出通知ALのアイコンを含む検出情報画面が表示され、その状態において検出通知ALのアイコンのタップ操作を受け付けると、親機10を介してベビーモニタカメラ30Cに画像データ転送要求を送信し、ベビーモニタカメラ30Cに撮像した監視対象の画像データを送信させる、
スマートフォン50。」
イ 引用文献2の記載事項及び引用発明2
原査定の拒絶の理由に引用された特表2016-512357号公報(平成28年4月25日公表。以下「引用文献2」という。)には、次のとおりの記載がある(なお、下線は当審において付与。)。
(ア)「【0015】
ブロック104で、ユーザデバイスは、たとえば図7に示す入力コンポーネント1516を介して、少なくとも1つの非接触のジェスチャ入力または指示を受け付けてアプリケーションに作用し、またはアプリケーションを制御することができる。非接触の対話式ジェスチャ入力または指示は、ユーザデバイスのインターフェースのすぐ上で(たとえば、オンスクリーン)、またはユーザデバイスの側面、上部、底部または裏側などユーザデバイスのインターフェースから離れて(たとえば、オフスクリーン)、手、指、ペンなどの対象を用いる姿勢または挙動を含んでよい。様々な実施形態において、ユーザデバイスは、たとえば図7に示す入力コンポーネント1516の一部としてなど、凝視または視標追跡のような対話式入力能力を備えてよい。たとえば、ユーザデバイスは、カメラなどの画像または映像キャプチャ能力を介して、ユーザデバイスをじっと見つめる、またはユーザデバイスに目を向けるユーザの顔を検出することができる。
【0016】
本明細書における実施形態では、ユーザデバイスは、モバイルデバイス、タブレット、ラップトップ、パーソナルコンピュータ(PC)、テレビ、スピーカ、プリンタ、ゲームボックスなどを含んでよい。一般に、ユーザデバイスは、非接触のジェスチャの認識を含む任意のデバイスを含むか、またはその一部であってよく、つまり、非接触のジェスチャは、タッチスクリーンのジェスチャ対話以外のセンサまたは技術によってキャプチャされ得るのが一般的である。たとえば、非接触のジェスチャの認識は、超音波ジェスチャ検出、カメラなどの画像または映像キャプチャコンポーネント(たとえば、可視光カメラ、飛行時間型カメラなどの距離画像カメラ、立体照明カメラ、ステレオカメラまたは同種のもの)、深度センサ、赤外線(IR)、超音波ペンのジェスチャの検出などを介して行われ得る。つまり、デバイスは、デバイスに接触することのないユーザのジェスチャ(すなわち、カメラの前の手の姿勢のような非接触のジェスチャ)をキャプチャするためのカメラまたは他の画像追跡技術を用いる視覚ベースのジェスチャ能力を備えてよく、または、視覚ベースの能力以外の非接触のジェスチャを検出する能力を備えてよい。」
(イ)「【0072】
ここで図6を参照すると、図は、本開示の一実施形態による、バックグラウンドタスクのジェスチャの処理の一例を示す。この実施形態は、図2の実施形態で示す方法と同様に実施され得る。たとえば、602で、初期状態Aにおいては、音楽アプリケーションは再生中であってよく、また、3つのジェスチャ、すなわち左、右および上に対して登録され得る。この実施形態では、左は、音楽アプリケーションに1曲戻らせ、右は、音楽アプリケーションに1曲進ませ、上は、音楽アプリケーションに音楽の再生を一時停止させることができる。
【0073】
604で、状態Bにおいては、電話の呼出しが受けられ得る。通話アプリケーションは優先権を得ることができ、左および右のジェスチャに対して登録する。この状態Bでは、左および右のジェスチャは、もはや音楽アプリケーションに送られ得ず、および適用され得ないが、その代わりに、電話の呼出しに応答する(右のジェスチャ)、または電話の呼出しをボイスメールに送る(左のジェスチャ)のいずれかのために用いられ得る。電話が鳴っている間にユーザが上のジェスチャを行う場合、上のジェスチャはまだバックグラウンドアプリケーションに送られ、および適用されるので、音楽は一時停止する。電話の呼出しが終了すると、システムは、音楽アプリケーションのみがジェスチャイベントに対して登録される状態C606に戻り、したがって、右、左および上のジェスチャはすべて音楽アプリケーションに送られ、および適用され得る。
(中略)
【0075】
1つのジェスチャアプリケーションのみが動作している実施形態において、サービスは、そのジェスチャアプリケーションが登録されているというすべてのメッセージをそのアプリケーションに単純に送ることができる。新たなアプリケーションが起動し、フォアグラウンドアプリケーションになり、予め登録されたジェスチャアプリケーションは動作し続けるが今やバックグラウンドにある(たとえば、音楽再生アプリケーション)という別の実施形態では、フォアグラウンドアプリケーションはフォアグラウンドアプリケーションに関連付けられたすべてのジェスチャイベントに関して優先権を得ることができる。このため、バックグラウンドアプリケーションが、フォアグラウンドアプリケーションが登録されているのと同一の非接触のジェスチャイベントに対して登録されている場合、フォアグラウンドアプリケーションは、バックグラウンドアプリケーションの代わりにそれらの非接触のジェスチャイベントを受け付けることができる。バックグラウンドアプリケーションは登録されているが、フォアグラウンドアプリケーションは登録されていない何らかの非接触のジェスチャイベントがある場合、バックグラウンドアプリケーションはそのような非接触のジェスチャイベントを受け付け続けることができる。フォアグラウンドアプリケーションが中止または終了することになる場合、バックグラウンドアプリケーションは、フォアグラウンドアプリケーションによって奪われていた何らかのそれらのジェスチャの第一順位のレシーバとして回復することができる。別の実施形態では、ジェスチャを登録するための第1のアプリケーションは、ジェスチャの制御を維持してよい。さらに別の実施形態では、ユーザは、競合があるときにどのアプリケーションが一定のジェスチャによって制御されるかを選択するように促され得る。別の実施形態では、ジェスチャを「所有する」アプリケーションは、アプリケーションを使用する頻度、重要性(たとえば、緊急応答機能は音楽よりも重要である)、またはある種の階層もしくは優先度に基づいて割り当てられてよい。
(中略)
【0077】
1つまたは複数の実施形態において、アプリケーションに関連付けられたジェスチャのリスト、ライブラリまたはボキャブラリは、登録するアプリケーションに基づいて変わってよい。たとえば、音楽アプリケーションは、左、右の動きを含むジェスチャに対して登録され得、ここにおいて、左は、音楽アプリケーションに1曲戻らせることができ、右は、音楽アプリケーションに1曲進ませることができる。続いて、電話アプリケーションもまた、左、右の動きを含むジェスチャに対して登録することができ、ここにおいて、左は、電話アプリケーションにボイスメールへ呼出しを送らせることができ、右は、電話アプリケーションに電話の呼出しへの応答をさせることができる。いくつかの実施形態では、左および右に関連付けられた指示は、電話アプリケーションが登録するときに変更する。さらに、ウェブページをリフレッシュするための円を描くジェスチャ、およびウェブページをブックマークするための上の動きを含むジェスチャに対して、ブラウザアプリケーションが続いて登録される場合、音楽アプリケーションおよび電話アプリケーションだけが登録されたときと比較して、ユーザが用いるためのさらなるジェスチャが利用可能であってよい。このため、ジェスチャのリスト、ライブラリまたはボキャブラリは、登録されたアプリケーション(またはその優先度)に基づいて変わってよい。」
(ウ)図6は次のとおりである。
a 上記【0015】及び【0016】の記載によれば、ユーザデバイスには「モバイルデバイス」が含まれる。そして、非接触のジェスチャの認識は、超音波ジェスチャ検出、カメラなどの画像または映像キャプチャコンポーネント、深度センサ、赤外線(IR)、超音波ペンのジェスチャの検出などを介して行われる。ここで、カメラなどの画像または映像キャプチャコンポーネント、深度センサ、赤外線(IR)等は、「モバイルデバイス」のインターフェースのすぐ上や周辺での手や指等の姿勢または挙動を非接触で検出することにより、「モバイルデバイス」への非接触のジェスチャ入力を検出するものであるから、「モバイルデバイスへの非接触のジェスチャ入力を検出する近接センサ」といえる。
b 上記【0077】の記載及び図6によれば、「アプリケーションに関連付けられたジェスチャのリスト、ライブラリまたはボキャブラリは、登録するアプリケーションに基づいて変わ」り、「音楽アプリケーションは、左、右の動きを含むジェスチャに対して登録され得、ここにおいて、左は、音楽アプリケーションに1曲戻らせることができ、右は、音楽アプリケーションに1曲進ませることができ」、「電話アプリケーションもまた、左、右の動きを含むジェスチャに対して登録することができ、ここにおいて、左は、電話アプリケーションにボイスメールへ呼出しを送らせることができ、右は、電話アプリケーションに電話の呼出しへの応答をさせることができる」。
また、上記【0072】~【0073】、【0075】の記載によれば、初期状態Aにおいては音楽アプリケーションが再生中であり、状態Bにおいては通話アプリケーションがフォアグラウンドアプリケーションとなって優先権を得る。ここで、当該技術分野においては、任意のアプリケーションの動作中に電話の着信があると電話アプリケーションが優先権を得て着信画面が表示されることが一般的であるから(例えば、特開2016-130679号公報(特に、段落7、段落14-15。)、特開2014-142868号公報(特に、段落43-44。)又は特開2016-91350号公報(特に、段落4-15。)参照。)、上記状態Aにおいて音楽アプリケーションの再生中に電話の着信があると状態Aから状態Bに移行すると解するのが合理的である。
そして、図6によれば、上記状態Aにおいて音楽アプリケーションの再生中は、左又は右の動きを含むジェスチャに基づいて1曲戻らせ又は1曲進ませ、状態Bに移行すると、状態Aで音楽アプリケーションに1曲戻らせ又は1曲進ませることに関連付けられていた左又は右のジェスチャによって、通話アプリケーションにボイスメールへ呼出しを送らせ又は電話の呼出しへの応答をさせることが把握できる。
そうすると、左、右の動きを含むジェスチャは、「近接センサによって検出されるジェスチャ」といえ、音楽アプリケーションに1曲戻らせ又は1曲進ませることや、通話アプリケーションにボイスメールへ呼出しを送らせ又は電話の呼出しへの応答をさせることは、「操作」といえ、図6の状態A及び状態Bをそれぞれ「第1の状態」及び「第2の状態」と称することは任意であるから、「近接センサによって検出されるジェスチャに関連付けて第1の状態における操作と第2の状態における操作とがそれぞれ登録され」、「第1の状態において前記近接センサによって検出されたジェスチャに基づきモバイルデバイスを操作しているときに第1の状態から第2の状態に移行すると、第1の状態において前記近接センサによって検出された前記ジェスチャと同じジェスチャに基づき第2の状態における操作を行う」といえる。
上記a及びbを総合すると、引用文献2には、モバイルデバイスへの非接触のジェスチャ入力に関する次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認める。
「モバイルデバイスにおいて、
モバイルデバイスへの非接触のジェスチャ入力を検出する近接センサを備え、
前記近接センサによって検出されるジェスチャに関連付けて第1の状態における操作と第2の状態における操作とがそれぞれ登録され、
第1の状態において前記近接センサによって検出されたジェスチャに基づきモバイルデバイスを操作しているときに第1の状態から第2の状態に移行すると、第1の状態において前記近接センサによって検出された前記ジェスチャと同じジェスチャに基づき第2の状態における操作を行う。」
(3)対比
本件補正発明と引用発明1とを対比する。
ア 引用発明1は、「無線LAN制御部507と、無線LAN通信I/F部508とを含み」、「無線LANを用いた無線ルータ60を介して親機10と接続され」、「無線LANで接続された無線ルータ60を介して、親機10、ベビーモニタカメラ30Cと画像データ及び音声データを送受信」するものであり、「ベビーモニタカメラ30Cの検出通知情報を親機10を介して受信」し、「親機10を介してベビーモニタカメラ30Cに画像データ転送要求を送信」しているから、引用発明1の「ベビーモニタカメラ30C」は、本件補正発明の「外部機器」に含まれるといえ、引用発明1の「無線LAN制御部507と、無線LAN通信I/F部508」は、本件補正発明の「外部機器と通信する通信ユニット」に相当するといえる。
イ 引用発明1の「異常発生を通知するために送信されるベビーモニタカメラ30Cの検出通知情報」は、無線LANを用いて受信される「信号」といえ「無線LAN制御部507及び無線LAN通信I/F部508」によって受信されることも明らかである。
ここで、本件補正発明の「外部機器から異常通知信号を取得する」ことは、例えば、本件の請求項3に「前記外部機器は、第1の外部機器および第2の外部機器を含み、 前記コントローラは、前記第1の外部機器を介して前記第2の外部機器を遠隔操作する、請求項1または2に記載の電子機器。」とあることからみて、外部機器が他の外部機器を介して異常通知信号を取得することを排除していないと解することができる。
そうすると、引用発明1において、「無線LAN制御部507及び無線LAN通信I/F部508」によって、「異常発生を通知するために送信されるベビーモニタカメラ30Cの検出通知情報を親機10を介して受信する」ことは、本件補正発明の「前記通信ユニットによって前記外部機器から異常通知信号を取得する」ことに対応するといえる。
そして、引用発明1は、「他のアプリケーションの動作時に、異常発生を通知するために送信されるベビーモニタカメラ30Cの検出通知情報を親機10を介して受信する」ところ、「他のアプリケーションの動作時」には、スマートフォン50において他のアプリケーションに対する操作がなされていると解されるから、本件補正発明と引用発明1とは、「自機器を操作しているときに前記通信ユニットによって前記外部機器から異常通知信号を取得する」点で一致するといえる。
ウ 引用発明1の「画像データ転送要求」は、「ベビーモニタカメラ30Cに撮像した監視対象の画像データを送信させる」ために送信される信号といえ、「検出通知ALのアイコンのタップ操作」に基づいて送信されるから、本件補正発明と引用発明1とは、「自機器の操作に基づき前記外部機器を遠隔操作する信号を送信する」点で一致するといえる。
エ 引用発明1の「ベビーモニタカメラ30Cの機能を設定可能な監視機能制御部514」を内蔵した「制御部506」は、本件補正発明の「コントローラ」に対応するといえる。
そして、引用発明1は、「ベビーモニタカメラ30Cの検出通知情報」を「受信すると、表示/操作部503に検出通知ALのアイコンを含む検出情報画面が表示され、その状態において検出通知ALのアイコンのタップ操作を受け付けると」、「ベビーモニタカメラ30Cに画像データ転送要求を送信」するから、上記イ及びウも総合すると、本件補正発明と引用発明1とは、「自機器を操作しているときに前記通信ユニットによって前記外部機器から異常通知信号を取得すると、自機器の操作に基づき前記外部機器を遠隔操作する信号を送信するコントローラ」を備える点で一致するといえる。
オ また、引用発明1は「スマートフォン50」であるから、本件補正発明と引用発明1とは「電子機器」である点で共通する。
以上より、本件補正発明と引用発明1とは、
「 外部機器と通信する通信ユニットと、
自機器を操作しているときに前記通信ユニットによって前記外部機器から異常通知信号を取得すると、自機器の操作に基づき前記外部機器を遠隔操作する信号を送信するコントローラと、を備える、電子機器。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点]
本件補正発明は、「近接センサ」を備え、「前記近接センサによって検出されたジェスチャに基づき」自機器を操作するものであり、外部機器を遠隔操作する信号は、「前記近接センサによって検出された前記ジェスチャと同じジェスチャに基づき」送信するのに対し、引用発明1は、「近接センサ」を備えておらず、「表示/操作部503の画面へのタップ操作」に基づき自機器を操作するものであり、外部機器を遠隔操作する信号は、「表示/操作部(例えばタッチパネル)503に検出通知ALのアイコンを含む検出情報画面を表示し」た「状態において検出通知ALのアイコンのタップ操作」に基づき送信する点。
(4)判断
本願出願より前の平成26年2月20日に発行された「カラー図解 DTP&印刷 スーパーしくみ事典2014」(ワークスコーポレーション書籍編集部編、p076、株式会社ワークスコーポレーション、平成26年2月20日発行。)には、本願の出願日である平成28年11月15日当時の技術水準を表す次の記載がある(なお、下線は当審において付与。)。
「 マイクロソフトのゲーム機「Xbox 360」には、キネクトという14、800円のアクセサリーがある。キネクトには映像入力用のカメラ1台、奥行き検出用の赤外線カメラ1台、4つのマイクが内蔵されていて、これでプレイヤーの全身の動きと声を入力し、身振り手振りでゲームのコントロールを行うことができるのだ。
Windows版のキネクトも販売されていて、いろいろなアプリケーションの開発が期待されている。たとえば空中で手を動かすジェスチャーによって画面のカーソルを動かしたり、クリックしたりといったことも可能になる。
(中略)
モバイルデバイスに限れば、タッチレスでのジェスチャー操作が一般化する可能性が高い。既にサムスンのスマートフォン「GALAXYS4」や、富士通のタブレット「ARROWS Tab LTE F-01D」がジェスチャー操作を採用している。
GALAXY S4は、画面の上に手をかざして左右に動かすことで、ブラウザのスクロール、タブ切り替え、着信応答などができる。ARROWS Tabはそのほか、ワンセグのチャンネル切換え、ボリュームのアップダウンなどもできる。タッチレス操作が必要となるシチュエーションとして、たとえば料理中でタブレットに手を触れない状況を想定しているようだ。」(本文左欄第1行~第12行、第39行~第50行)
上記記載によれば、本願出願当時、「スマートフォンを含むモバイルデバイスにおいて、タッチレスでのジェスチャ操作を可能にすること」は、周知の課題であったといえ、引用発明1の「監視カメラシステムにおけるスマートフォン50」においても、モバイルデバイスへの非接触のジェスチャ入力に関する引用発明2を採用する動機があるといえる。
そうすると、引用発明1に引用発明2を適用して、「モバイルデバイスへの非接触のジェスチャ入力を検出する近接センサ」(本件補正発明の「近接センサ」に相当。)を備え、他のアプリケーションの動作中である「第1の状態」において「前記近接センサによって検出されたジェスチャに基づき」スマートフォン50を操作しているときに(本件補正発明の「前記近接センサによって検出されたジェスチャに基づき自機器を操作しているときに」に相当。)ベビーモニタカメラ30Cの検出通知情報を受信すると、検出情報画面を表示し、その「第2の状態」において「第1の状態において前記近接センサによって検出された前記ジェスチャと同じジェスチャに基づき」(本件補正発明の「前記近接センサによって検出された前記ジェスチャと同じジェスチャに基づき」に相当。)外部機器を遠隔操作する信号を送信する構成とすることは、当業者が容易に想到し得る。
そして、本件補正発明が奏する作用効果は、引用発明1及び引用発明2から予測できる範囲内のものであって、格別のものということはできない。
よって、本件補正発明は、引用発明1及び引用発明2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
3 小括
したがって、本件補正は、同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
平成30年6月7日にされた手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成29年7月20日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、上記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由の概要は、この出願の請求項1に係る発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。
引用文献1:特開2016-099790号公報
引用文献2:特表2016-512357号公報
3 引用文献の記載事項及び引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1及び2の記載事項、引用発明1及び引用発明2は、上記第2[理由]2(2)に記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、本件補正発明の「コントローラ」が「前記外部機器を遠隔操作する信号を送信する」基となる「前記近接センサによって検出された前記ジェスチャと同じジェスチャ」を、単に「前記近接センサによって検出されたジェスチャ」としたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2(3)及び(4)に記載したとおり、引用発明1及び引用発明2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明1及び引用発明2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
5 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願の他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2018-007915