特許拒絶査定不服審判
2024-020142
ハンドヘルド電子デバイス
- 審判番号
- 2024-020142
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2023-001259
- 請求日
- 2024年12月16日
- 審決日
- 2025年07月11日
- 公報発行日
- 2025年12月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】アップル インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】弁理士法人大塚国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 丸山 高政
- 審判官 松原 徳久
- 審判官 高野 洋
- 分類
- P18 .113-Z (H04M) / P18 .121-Z (H04M) / P18 .575-Z (H04M)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2023- 1259「ハンドヘルド電子デバイス」拒絶査定不服審判事件〔令和 5年 7月21日出願公開、特開2023-101471〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2023年(令和5年)1月6日(パリ条約による優先権主張 2022年1月10日(US)アメリカ合衆国 2022年9月6日(US)アメリカ合衆国)の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和 6年 2月22日付け 拒絶理由通知書
6月 3日 意見書、手続補正書の提出
8月 9日付け 拒絶査定
12月16日 審判請求書、手続補正書の提出
以下では、令和6年8月9日付け拒絶査定を「原査定」といい、令和6年12月16日の手続補正書による補正を「本件補正」という。
第2 本件補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
本件補正を却下する。
[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の請求項13の記載
本件補正により、本件補正前の請求項13は削除され、本件補正前の請求項14を本件補正後の請求項13とする旨の主張が審判請求書でなされている。
本件補正により、特許請求の範囲の請求項13の記載は、次のとおり補正された。なお、下線部は、本件補正前の請求項14に対する補正箇所であり、下線は当審で付した。後の参照の便宜のため、請求項13をA~Fの符号を付して分説し、「発明特定事項A」のようにして参照する。
「【請求項13】
A 電子デバイスであって、
B エンクロージャであって、
B1 第1のガラス材料から形成され、前記エンクロージャの前部外面を画定する前部カバーと、
B2 第2のガラス材料から形成され、前記エンクロージャの後部外面を画定する後部カバーと、
B3 単一金属構造から形成された第1のハウジング構成要素であって、
B3A 中間シャーシ部と前記前部カバーとの間に第1のキャビティを部分的に画定し、前記中間シャーシ部と前記後部カバーとの間に第2のキャビティを部分的に画定する前記中間シャーシ部と、
B3B 前記中間シャーシ部の第1の側部に沿って配置され、前記エンクロージャの第1の側部外面を画定する第1の壁部と、
B3C 前記中間シャーシ部の第2の側部に沿って配置され、前記エンクロージャの第2の側部外面を画定する第2の壁部と、
B3D を含む、第1のハウジング構成要素と、
B4 前記第1のハウジング構成要素の第1の端部に配置され、第1の外コーナ面を画定する第2のハウジング構成要素と、
B5 前記第1のハウジング構成要素の前記第1の端部に配置され、第2の外コーナ面を画定する第3のハウジング構成要素と、
B6 を含む、エンクロージャと、
C 前記前部カバーに結合され、前記前部カバーと前記中間シャーシ部との間の前記第1のキャビティ内において前記中間シャーシ部の第1の側部に配置されたディスプレイと、
D 前記第2のキャビティ内に配置され、前記中間シャーシ部に熱的に結合された回路基板アセンブリと、
E 前記後部カバーと前記中間シャーシ部との間の前記第2のキャビティ内において前記中間シャーシ部の第2の側部に配置され、前記中間シャーシ部に構造的に結合されたバッテリと、
F を備える、電子デバイス。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲の請求項14の記載
本件補正前の、令和6年6月3日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項14の記載は次のとおりである。
【請求項14】
電子デバイスであって、
エンクロージャであって、
第1のガラス材料から形成され、前記エンクロージャの前部外面を画定する前部カバーと、
第2のガラス材料から形成され、前記エンクロージャの後部外面を画定する後部カバーと、
ハウジング構成要素であって、
中間シャーシ部と前記前部カバーとの間に第1のキャビティを部分的に画定し、前記中間シャーシ部と前記後部カバーとの間に第2のキャビティを部分的に画定する前記中間シャーシ部と、
前記中間シャーシ部の第1の側部に沿って配置され、前記エンクロージャの第1の側部外面を画定する第1の壁部と、
前記中間シャーシ部の第2の側部に沿って配置され、前記エンクロージャの第2の側部外面を画定する第2の壁部と、を含む、ハウジング構成要素と、を含む、エンクロージャと、
前記前部カバーに結合され、前記前部カバーと前記中間シャーシ部との間の前記第1のキャビティ内において前記中間シャーシ部の第1の側部に配置されたディスプレイと、
前記第2のキャビティ内に配置され、前記中間シャーシ部に熱的に結合された回路基板アセンブリと、
前記後部カバーと前記中間シャーシ部との間の前記第2のキャビティ内において前記中間シャーシ部の第2の側部に配置され、前記中間シャーシ部に構造的に結合されたバッテリと、
を備える、電子デバイス。」
2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項14に記載された発明を特定するために必要な事項である「ハウジング構成要素」及び「エンクロージャ」について、上記1(1)の下線部のとおり限定を付加するものであって、補正前の請求項14に記載された発明と補正後の請求項13に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項13に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものと認める。
(2)引用文献の記載事項
ア 引用文献1
(ア)原査定の拒絶の理由で引用された中国実用新案第210670224号明細書(2020年6月2日発行。以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある。
「
[図:0001429809000001.jpg]
」
(当審訳:
[0024] 図1及び図2を参照すると、図1は、本願発明の実施形態によって提供される電子デバイスの正面図及び背面図の組合せの概略図を示し、図2は、本願発明の実施形態によって提供される分解された電子デバイスの概略図を示す。電子デバイス10は、ディスプレイ11、カバープレート12、センターフレーム13、回路基板アセンブリ14、バッテリ15及び背面カバー16を含み得る。本願の実施形態によって提供される電子デバイス10の構造はこれに限定されず、他の構成要素を含み得ることが理解され、例えば、電子デバイス10は、正面カメラモジュール171、背面カメラモジュール172、フラッシュ(図示せず)、指紋ロック解除モジュール(図示せず)及びスピーカアセンブリ18又はそれらの1つ、2つ又はそれ以上を含んでもよく、本願発明の実施形態はこれに限定されない。)
「
[図:0001429809000002.jpg]
」
(当審訳:
[0029] カバープレート12はセンターフレーム13に取り付けることができ、カバープレート12はディスプレイ11を傷や水濡れから保護するためにディスプレイ11を覆う。カバープレート12は、ユーザがカバープレート12を通してディスプレイ11が示すものを観察できるように、透明なガラスカバープレートであってもよい。いくつかの実施形態では、カバープレート12は、サファイアなどの材料から作られたガラスカバープレートであってもよい。カバープレート12はまた、ディスプレイ11と一体成形されていてもよく、あるいは電子装置10がカバープレート12を含まなくてもよいことが理解されよう。
[0030] センターフレーム13は、薄い板状又はシート状の構造であってもよいし、中空のフレーム構造であってもよい。センターフレーム13は、電子デバイス10内の電子部品、機能アセンブリを一緒に搭載するために、電子デバイス10内の電子部品、機能アセンブリを支持するために使用される。例えば、電子デバイス10内のカメラ、受信機、ディスプレイ11、回路基板アセンブリ14、バッテリ15などの機能アセンブリは、固定するためにセンターフレーム13に取り付けることができる。いくつかの実施形態では、センターフレーム13の材料は、金属又はプラスチックを含むことができる。
[0031] 回路基板アセンブリ14は、センターフレーム13に取り付けられてもよい。回路基板アセンブリ14は、電子デバイス10のマザーボードであってもよい。回路基板アセンブリ14には、回路基板アセンブリ14を接地するための接地点が設けられている。回路基板アセンブリ14には、マイクロフォン、スピーカ、レシーバ、ヘッドフォンインタフェース、USB(Universal Serial Bus)インタフェース、カメラ、距離センサ、環境光センサ、ジャイロスコープ及びプロセッサやメモリなどの機能アセンブリのうちの1つ、2つあるいはそれ以上が集積されていてもよい。また、ディスプレイ11は、回路基板アセンブリ14に電気的に接続されていてもよい。)
「
[図:0001429809000003.jpg]
[図:0001429809000004.jpg]
」
(当審訳:
[0035] 背面カバー16は、電子デバイス10の外形輪郭を形成することができる。同時に、背面カバー16は、バッテリ15を保護するためのバッテリカバーとして機能してもよく、具体的には、背面カバー16がバッテリ15を覆ってバッテリ15を保護し、電子デバイス10の衝突、落下等によるバッテリ15の損傷を低減する。背面カバー16は一体成形することができる。背面カバー16の成型工程において、背面カバー16にマイク孔、スピーカ孔、レシーバ孔、ヘッドホン孔、USBポート孔、背面カメラ孔、指紋識別モジュール取付孔などの構造を形成してもよい。
[0036] 提供される背面カバー16の材料はこれに限定されず、他の材料を使用してもよいことに留意すべきである。例えば、背面カバー16はプラスチックシェルであってもよい。さらに例えば、背面カバー16はセラミックシェルであってもよい。さらに例えば、背面カバー16は、プラスチック部分と金属部分とを含み、背面カバー16は、金属とプラスチックとが互いに嵌り合うシェル構造であってもよい。具体的には、金属部分を、例えば射出成形を用いて最初に成形してマグネシウム合金基板を形成し、次いでプラスチックをマグネシウム合金基板上に射出してプラスチック基板を形成し、完全なシェル構造を形成してもよい。なお、背面カバー16の材料や工程はこれに限定されず、ガラスシェルを用いてもよく、本願の実施形態はこれを限定するものではない。
[0037] 図3~図7を参照すると、図3は、本願発明の一実施形態により提供される電子デバイスのセンターフレームの構造を示す模式図であり、図4は、図3における基板の第1のタイプの構造を示す模式図であり、図5は、図3における基板の第2のタイプの構造を示す模式図であり、図6は、図3における放熱部材の第1のタイプの構造を示す模式図であり、図7は、図3における放熱部材の第2のタイプの構造を示す模式図である。センターフレーム13は、基板131と放熱部材132とから構成することができ、放熱部材132は基板131に取り付けられている。
[0038] 基板131は、主板1311とベゼル1312とを含んでもよく、ベゼル1312は、主板1311の外周に配置されてセンターフレーム13の主構造を形成する。主板1311は、電子デバイス10内の電子部品又は機能アセンブリの支持を提供してもよく、電子デバイス10内の電子部品又は機能アセンブリは、主板1311に取り付けられてもよい。とりわけ、主板1311は、第1の貫通孔1310を備え、第1の貫通孔1310は、主板1311の第1の貫通孔1310における内壁1313に囲まれて形成されてもよい。
[0039] 放熱部材132は、本体部1321と接続部1322とから構成されていてもよい。本体部1321は、薄い板状又はシート状の構造であってもよく、図3のP1-P1方向に沿った第1の断面図を示す図8に示すように、本体部1321の少なくとも一部が第1の貫通孔1310内に埋め込まれている。第1の貫通孔1310内に配置された本体部分1321の部分は、あらゆるところで内壁1313に抵抗し、すなわち、第1の貫通孔1310内に配置された本体部分1321の部分は、第1の貫通孔1310を埋め尽くすか、又は、第1の貫通孔1310内に配置された本体部分1321の部分は、主板1311上の第1の貫通孔1310をちょうど封止する。)
「
[図:0001429809000005.jpg]
[図:0001429809000006.jpg]
」
(当審訳:
[0043] なお、本願発明の実施の形態において、第1貫通孔1310は、主板1311上の発熱量の高い電子部品の実装位置に開口していてもよく、つまり、放熱部材132は、主板1311上の発熱量の高い電子部品の実装位置に実装されており、放熱部材132の材質は、銅合金等の熱伝導率の高い金属であってもよく、これにより、発熱量の高い電子部品の実装位置に対応するセンターフレーム13の材質は、銅合金等の熱伝導率の高い金属とすることで、電子デバイス10における発熱量の高い電子部品の放熱をより良好に補助することができる。
[0044] 基板131は、第1の収容領域(図示せず)及び第2の収容領域(図示せず)を備えてもよく、第1の収容領域及び第2の収容領域は、共に、電子デバイス10の背面カバー16に近い基板131の一方の側に位置し、第1の収容領域は、電子デバイス10の第1の電子部品を収容するために使用されてもよく、第2の収容領域は、電子デバイス10の第2の電子部品を収容するために使用されてもよく、放熱部材132が第1の電子部品及び第2の電子部品の熱を同時に放熱するのを補助することができるように、第1の収容領域と第2の収容領域とを接続する。ここで、第1の電子部品は、中央プロセッサ、カメラ、指紋識別モジュール、センサーのいずれか1つ以上を含むことができ、第2の電子部品は、バッテリ15であってもよい。)
「
[図:0001429809000007.jpg]
」
(当審訳:
[0050] 図4及び図5を併せて参照すると、基板131は、背中合わせに設けられた第1の表面(図示せず)及び第2の表面(図示せず)を含み、第1の表面は、電子デバイス10のディスプレイ11に近接する表面であり、第2の表面は、電子デバイス10の背面カバー16に近接する表面である。第1の表面には、第1の凹部1314が設けられ、第2の表面には、第2の凹部1315が設けられ、基板131には、第2の貫通孔1316がさらに設けられ、第2の貫通孔1316は、第1の凹部1314と第2の凹部1315との間に配置され、第2の貫通孔1316は、第1の凹部1314と第2の凹部1315とを接続する。)
「
[図:0001429809000008.jpg]
」
(当審訳:図1)
「
[図:0001429809000009.jpg]
」
(当審訳:図2)
「
[図:0001429809000010.jpg]
」
(当審訳:図3)
「
[図:0001429809000011.jpg]
」
(当審訳:図4)
「
[図:0001429809000012.jpg]
」
(当審訳:図5)
「
[図:0001429809000013.jpg]
」
(当審訳:図8)
(イ)前記(ア)の下線部に着目すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、後の参照の便宜のため、引用発明をa~gの符号を付して分説し、「構成a」のようにして参照する。
「a ディスプレイ11、カバープレート12、センターフレーム13、回路基板アセンブリ14、バッテリ15及び背面カバー16を含む電子デバイス10であって、([0024])
b カバープレート12は、ディスプレイ11を覆い、透明なガラスカバープレートであり、カバープレート12はディスプレイ11と一体成形されており、([0029])
c1 背面カバー16は、電子デバイス10の外形輪郭を形成し、バッテリ15を覆ってバッテリ15を保護し、([0035])
c2 背面カバー16は、ガラスシェルを用い、([0036])
d1 センターフレーム13の材料は、金属を含み、([0030])
d2 センターフレーム13は、基板131と放熱部材132とから構成され、([0037])
d3 基板131は、主板1311とベゼル1312とを含み、ベゼル1312は、主板1311の外周に配置されてセンターフレーム13の主構造を形成し、電子デバイス10内の電子部品又は機能アセンブリは、主板1311に取り付けられ、([0038])
d4 基板131は、背中合わせに設けられた第1の表面及び第2の表面を含み、第1の表面は、電子デバイス10のディスプレイ11に近接する表面であり、第2の表面は、電子デバイス10の背面カバー16に近接する表面であり、([0050])
d5 放熱部材132は、主板1311上の発熱量の高い電子部品の実装位置に実装されており、放熱部材132の材質は、銅合金等の熱伝導率の高い金属であり、これにより、電子デバイス10における発熱量の高い電子部品の放熱をより良好に補助することができ、([0043])
d6 基板131は、第1の収容領域及び第2の収容領域を備え、第1の収容領域及び第2の収容領域は、共に、電子デバイス10の背面カバー16に近い基板131の一方の側に位置し、第1の収容領域は、電子デバイス10の第1の電子部品を収容するために使用され、第2の収容領域は、電子デバイス10の第2の電子部品を収容するために使用され、([0044])
d7 放熱部材132が第1の電子部品及び第2の電子部品の熱を同時に放熱するのを補助することができ、第1の電子部品は、中央プロセッサを含み、第2の電子部品は、バッテリ15であり、([0044])
e センターフレーム13は、電子デバイス10内の電子部品、機能アセンブリを支持するために使用され、例えば、電子デバイス10内のディスプレイ11などの機能アセンブリは、固定するためにセンターフレーム13に取り付けることができ、([0030])
f 回路基板アセンブリ14には、プロセッサなどの機能アセンブリのうちの1つ以上が集積される、([0031])
g 電子デバイス10。」
(3)引用発明との対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。
ア 発明特定事項Aについて
引用発明の「電子デバイス10」(構成a)は、本件補正発明の「電子デバイス」に相当する。
したがって、本件補正発明と引用発明とは、「電子デバイス」である点で一致する。
イ 発明特定事項Bについて
(ア)本件補正発明の「エンクロージャ」とは、本願の明細書の「…(前略)…エンクロージャ100は、デバイス100の構成要素が配置される内部容積を画定することができる。…(後略)…」(【0159】)という記載を参酌すると、「電子デバイス」の内部容積を画定するためのものといえる。
(イ)引用発明の「電子デバイス10」は、「ディスプレイ11、カバープレート12、センターフレーム13」「及び背面カバー16を含む」ものである(構成a)。
「カバープレート12」は、「ディスプレイ11を覆い」(構成b)、図2によれば「電子デバイス10」の正面側にある。
また、「背面カバー16」は、「電子デバイス10の外形輪郭を形成し」ており(構成c1)、図2によれば「電子デバイス10」の背面側にある。
また、「センターフレーム13」に含まれる「基板131」(構成d2)に含まれる「ベゼル1312」(構成d3)が、「電子デバイス10」の正面及び背面以外の側面を構成することも図2~5より明らかである。
そうすると、「電子デバイス10」は、「カバープレート12」、「背面カバー16」及び「センターフレーム13」によって、内部容積が画定されているといえ、「カバープレート12」、「背面カバー16」及び「センターフレーム13」が、本件補正発明の「エンクロージャ」に相当する。
(ウ)前記(ア)及び(イ)を踏まえると、本件補正発明と引用発明とは、「エンクロージャ」を備える点で一致する。
ウ 発明特定事項B1について
(ア)引用発明の「カバープレート12」は、前記イ(イ)に記載のとおり、「電子デバイス10」のエンクロージャの正面、すなわち、前部外面を画定するものであるから、本件補正発明の「前記エンクロージャの前部外面を画定する前部カバー」に相当する。
(イ)引用発明の「カバープレート12」は、「透明なガラスカバープレートであ」る(構成b)から、ガラス材料(これを「第1のガラス材料」と呼ぶことは任意である。)から形成されていることは明らかであり、引用発明の「カバープレート12」は、本件補正発明の「第1のガラス材料から形成され」る「前部カバー」に相当する。
(ウ)前記(ア)及び(イ)を踏まえると、本件補正発明と引用発明とは、「第1のガラス材料から形成され、前記エンクロージャの前部外面を画定する前部カバー」を備える点で一致する。
エ 発明特定事項B2について
(ア)引用発明の「背面カバー16」は、前記イ(イ)に記載のとおり、「電子デバイス10」のエンクロージャの背面、すなわち、後部外面を画定するものであるから、本件補正発明の「前記エンクロージャの後部外面を画定する後部カバー」に相当する。
(イ)引用発明の「背面カバー16」は、「ガラスシェルを用い」る(構成c2)から、ガラス材料(これを「第2のガラス材料」と呼ぶことは任意である。)から形成されていることは明らかであり、引用発明の「背面カバー16」は、本件補正発明の「第2のガラス材料から形成され」る「後部カバー」に相当する。
(ウ)前記(ア)及び(イ)を踏まえると、本件補正発明と引用発明とは、「第2のガラス材料から形成され、前記エンクロージャの後部外面を画定する後部カバー」を備える点で一致する。
オ 発明特定事項B3~B3Dについて
(ア)発明特定事項B3Aについて
a 引用発明の「カバープレート12」は、「ディスプレイ11を覆」う(構成b)から、図2における「ディスプレイ11」を覆うように、「カバープレート12」は配置されるといえる。
そうすると、図2~4及び8より(なお、図8は、[0039]によれば図3のP1-P1方向に沿った断面図である。)、「ディスプレイ11」は、「センターフレーム13」を構成する「基板131」の「主板1311」(構成d2、d3)と、「カバープレート12」との間の空間に配置されることとなる。
したがって、「主板1311」は、「カバープレート12」との間の空間、すなわち、キャビティ(これを「第1のキャビティ」と呼ぶことは任意である。)の一部分を画定しているといえる。
b 「センターフレーム13」を構成する「基板131」(構成d2)は、「背面カバー16に近い基板131の一方の側」に「第1の電子部品」及び「第2の電子部品」を収容するための「第1の収容領域及び第2の収容領域を備え」るから(構成d6)、「基板131」を構成する「主板1311」と、「背面カバー16」との間に、「第1の電子部品」及び「第2の電子部品」を収容するための空間があるといえる。
したがって、「主板1311」は、「背面カバー16」との間の空間、すなわち、キャビティ(これを「第2のキャビティ」と呼ぶことは任意である。)の一部分を画定しているといえる。
c 前記a及びbを踏まえると、引用発明の「主板1311」は、本件補正発明の「中間シャーシ部」に相当し、本件補正発明と引用発明とは、「中間シャーシ部と前記前部カバーとの間に第1のキャビティを部分的に画定し、前記中間シャーシ部と前記後部カバーとの間に第2のキャビティを部分的に画定する前記中間シャーシ部」を備える点で一致する。
(イ)発明特定事項B3B、B3Cについて
引用発明の「センターフレーム13」を構成する「基板131」(構成d2)のうち「ベゼル1312」(構成d3)は、前記イ(イ)でも記載したように、「電子デバイス10」の正面及び背面以外の側面、すなわち、「電子デバイス10」の内部容積の側部外面(正面及び背面を除いた側部外面)を画定しているといえる。
また、「ベゼル1312」は、図5を参照すると「基板131」を背面から見たときの「主板1311」の左の側部に沿った壁状の部分を指しているが、「ベゼル1312」は、「主板1311の外周に配置されてセンターフレーム13の主構造を形成」する(構成d3)ものであるから、「ベゼル1312」は、図5における「主板1311」の外周全体に配置された壁状の部分のことといえる。
そうすると、「ベゼル1312」は、「主板1311」の左右の側部に沿って配置されている壁状の部分、すなわち、壁部を含むことは明らかであり、「基板131」を背面から見たときの、「主板1311」の左の側部及び右の側部を、それぞれ「第1の側部」及び「第2の側部」と呼ぶことは任意である。
そして、「ベゼル1312」のうち、「第1の側部」及び「第2の側部」に沿って配置される壁部を、それぞれ「第1の壁部」及び「第2の壁部」と呼ぶことも任意である。
したがって、本件補正発明と引用発明とは、「前記中間シャーシ部の第1の側部に沿って配置され、前記エンクロージャの第1の側部外面を画定する第1の壁部」及び「前記中間シャーシ部の第2の側部に沿って配置され、前記エンクロージャの第2の側部外面を画定する第2の壁部」を備える点で一致する。
(ウ)発明特定事項B3、B3Dについて
a 引用発明の「センターフレーム13」は、前記イ(イ)を参酌すると、「カバープレート12」及び「背面カバー16」とともに、「電子デバイス10」の内部容積を画定しているから、「センターフレーム13」は、「電子デバイス10」の内部の電子部品等を覆うもの、すなわち、「電子デバイス10」のハウジングを構成しているといえる。
そうすると、「センターフレーム13」は、ハウジングを構成するための要素(これを「第1のハウジング構成要素」と呼ぶことは任意である。)であるから、引用発明の「センターフレーム13」は、本件補正発明の「第1のハウジング構成要素」に相当する。
b 引用発明の「センターフレーム13」の材料は「金属を含」み(構成d1)、また、引用発明の「センターフレーム13」は、「主板1311」及び「ベゼル1312」を含む「基板131」から構成されていて(構成d2、d3)、「主板1311」及び「ベゼル1312」を組み合わせたものは構造といえるから、引用発明の「センターフレーム13」は、金属を含む構造から形成されているといえる。
c 引用発明の「センターフレーム13」は、前記(ア)及び(イ)のとおり、本件補正発明の「中間シャーシ部」、「第1の壁部」及び「第2の壁部」を含むものであって、前記a及びbを踏まえると、本件補正発明と引用発明とは、「金属を含む構造から形成された第1のハウジング構成要素」を備える点で共通するが、「金属を含む構造」について、本件補正発明は、「単一金属構造」であるのに対し、引用発明は、「単一金属構造」ではない点で相違する。
(エ)発明特定事項B3~B3Dについて
前記(ア)~(ウ)を踏まえると、本件補正発明と引用発明とは、「金属を含む構造から形成された第1のハウジング構成要素であって、中間シャーシ部と前記前部カバーとの間に第1のキャビティを部分的に画定し、前記中間シャーシ部と前記後部カバーとの間に第2のキャビティを部分的に画定する前記中間シャーシ部と、前記中間シャーシ部の第1の側部に沿って配置され、前記エンクロージャの第1の側部外面を画定する第1の壁部と、前記中間シャーシ部の第2の側部に沿って配置され、前記エンクロージャの第2の側部外面を画定する第2の壁部と、を含む、第1のハウジング構成要素」を備える点で共通するが、「金属を含む構造」について、本件補正発明は、「単一金属構造」であるのに対し、引用発明は、「単一金属構造」ではない点で相違する。
カ 発明特定事項B4、B5について
引用発明の「センターフレーム13」は、図2~5より、「センターフレーム13」の四隅に、「電子デバイス10」のコーナ面を画定する部分を備えていることは明らかであって、例えば、「電子デバイス10」を正面から見た時の上端に相当する「センターフレーム13」の上端(これを「第1の端部」と呼ぶことは任意である。)のうち、右側及び左側にそれぞれコーナ面(これらを「第1の外コーナ面」及び「第2の外コーナ面」と呼ぶことは任意である。)を画定する部分が配置されているといえ、当該コーナ面を画定する部分をそれぞれ「第2のハウジング構成要素」及び「第3のハウジング構成要素」と呼ぶことは任意である。
したがって、本件補正発明と引用発明とは、「前記第1のハウジング構成要素の第1の端部に配置され、第1の外コーナ面を画定する第2のハウジング構成要素」及び「前記第1のハウジング構成要素の前記第1の端部に配置され、第2の外コーナ面を画定する第3のハウジング構成要素」を備える点で一致する。
キ 発明特定事項B6について
前記イ~カを踏まえると、引用発明の「電子デバイス10」の内部容積を画定するためのもの、すなわち、本件補正発明の「エンクロージャ」には、「カバープレート12」(本件補正発明の「前部カバー」に相当する。)、「背面カバー16」(本件補正発明の「後部カバー」に相当する。)、「センターフレーム13」(本件補正発明の「第1のハウジング構成要素」に相当し、かつ、本件補正発明の「第2のハウジング構成要素」及び「第3のハウジング構成要素」を備える。)が含まれているといえるから、本件補正発明と引用発明とは、「前部カバー」と、「後部カバー」と、「第1のハウジング構成要素」と、「第2のハウジング構成要素」と、「第3のハウジング構成要素」と、「を含む、エンクロージャ」を備える点で一致する。
ク 発明特定事項Cについて
(ア)引用発明の「ディスプレイ11」(構成a)は、本件補正発明の「ディスプレイ」に相当する。
(イ)本件補正発明の「前記前部カバーと前記中間シャーシ部との間の前記第1のキャビティ内において前記中間シャーシ部の第1の側部に配置されたディスプレイ」のうちの「前記中間シャーシ部の第1の側部」とは、本願の明細書の「シャーシ428の第1の側面と対向する第2の側面に配置されたディスプレイアセンブリ526は、…(後略)…」(【0287】)という記載を参酌すれば、中間シャーシ部においてディスプレイが配置される側の面、すなわち、電子デバイスにおける正面側の、中間シャーシ部の表面のことといえる。
(ウ)引用発明の「第1の表面」は「ディスプレイ11に近接する表面」であり、引用発明の「第2の表面」は「背面カバー16に近接する表面」であって、さらに、「第1の表面及び第2の表面」は「背中合わせに設けられ」る(構成d4)から、引用発明の「第1の表面」は、「電子デバイス10」の正面に位置する「ディスプレイ11」側の表面であると解され、「第2の表面」は、「電子デバイス10」の背面に位置する「背面カバー16」側の表面であると解される。
ここで、引用発明の「第1の表面及び第2の表面」は、「基板131」に「含」まれ(構成d4)、「基板131」は「主板1311とベゼル1312とを含」む(構成d3)ところ、「ベゼル1312は、主板1311の外周に配置されて」いる(構成d3)ことに鑑みれば、「第1の表面及び第2の表面」は、「ベゼル1312」の表面ではなく、「主板1311」の表面であると解される。
そうすると、引用発明の「基板131」の「第1の表面」は、本件補正発明の「前記中間シャーシ部の第1の側部」に相当する。
(エ)引用発明の「センターフレーム13」は、「機能アセンブリを支持するために使用され、例えば、電子デバイス10内のディスプレイ11などの機能アセンブリは、固定するためにセンターフレーム13に取り付けることができ」る(構成e)ものであるから、「機能アセンブリ」の一例である「ディスプレイ11」を支持するために使用されるものである。また、「電子デバイス10内の」「機能アセンブリは、主板1311に取り付けられ」る(構成d3)ものであるから、「機能アセンブリ」の例である「ディスプレイ11」も「センターフレーム13」における「主板1311」に取り付けられるものといえる。
「主板1311」は、その名のとおり板であると解され、加えて、引用文献1の図4より「主板1311」が板状であることは明らかであるから、「ディスプレイ11」を「主板1311」に取り付けるとは、「ディスプレイ11」を「主板1311」の表面(「第1の表面」)に取り付けるという意味であることは明らかである。
以上に加え、前記(ウ)も踏まえると、引用発明の「ディスプレイ11」は、「前記中間シャーシ部の第1の側部」に配置されるものといえる。
(オ)前記オ(ア)aのとおり、引用発明の「基板131」に含まれる「主板1311」と、「カバープレート12」との間には空間(本件補正発明の「第1のキャビティ」に相当する。)が画定され、また、「カバープレート12」は「ディスプレイ11を覆」う(構成b)から、引用発明の「ディスプレイ11」は、「主板1311」と「カバープレート12」との間の空間に配置されているといえる。
(カ)引用発明の「カバープレート12」は、「ディスプレイ11と一体成形され」る(構成b)から、引用発明の「ディスプレイ11」は、「カバープレート12」に結合されるものといえる。
(キ)前記(ア)~(カ)を踏まえると、本件補正発明と引用発明とは、「前記前部カバーに結合され、前記前部カバーと前記中間シャーシ部との間の前記第1のキャビティ内において前記中間シャーシ部の第1の側部に配置されたディスプレイ」を備える点で一致する。
ケ 発明特定事項Dについて
(ア)引用発明の「回路基板アセンブリ14」は、本件補正発明の「回路基板アセンブリ」に相当する。
(イ)前記オ(ア)cのとおり、引用発明の「主板1311」は、本件補正発明の「中間シャーシ部」に相当し、引用発明の「主板1311」には、「放熱部材132」が「実装されており」(構成d5)、「放熱部材132」は、「中央プロセッサ」の「熱を」「放熱するのを補助する」ものであって(構成d7)、「中央プロセッサ」は一般的に回路基板に集積されるものであること、及び、引用発明の「回路基板アセンブリ14」には、「プロセッサなどの機能アセンブリのうちの1つ以上が集積される」(構成f)ことから、「放熱部材132」は、「回路基板アセンブリ14」に集積された「中央プロセッサ」の熱を放熱することを補助するものといえる。
そして、引用発明の「回路基板アセンブリ14」に集積された「中央プロセッサ」の熱は、「放熱部材132」を介して「主板1311」にも当然伝わることとなり、「回路基板アセンブリ14」と「主板1311」は、熱的に結合されているといえるから、引用発明の「回路基板アセンブリ14」は、本件補正発明の「前記中間シャーシ部に熱的に結合された回路基板アセンブリ」に相当する。
(ウ)引用発明の「基板131」は、「中央プロセッサ」を含む「第1の電子部品」(構成d7)を収容する「第1の収容領域」を備え(構成d6)、「第1の収容領域」は、「背面カバー16に近い基板131の一方の側」、すなわち、「基板131」の「第2の表面」に位置するものであって(構成d4、d6)、前記オ(ア)bを踏まえると、引用発明の「基板131」に含まれる「主板1311」と「背面カバー16」との間に画定された空間(本件補正発明の「第2のキャビティ」に相当する。)に、「中央プロセッサ」を含む「第1の電子部品」が配置されるものといえる。
そして、前記(イ)を踏まえると、「第1の収容領域」は、「中央プロセッサ」を含む「回路基板アセンブリ14」を収容するものといえるから、引用発明の「回路基板アセンブリ14」は、本件補正発明の「前記第2のキャビティ内に配置され」るものに相当する。
(エ)前記(ア)~(ウ)を踏まえると、本件補正発明と引用発明とは、「前記第2のキャビティ内に配置され、前記中間シャーシ部に熱的に結合された回路基板アセンブリ」を備える点で一致する。
コ 発明特定事項Eについて
(ア)引用発明の「バッテリ15」(構成a)は、本件補正発明の「バッテリ」に相当する。
(イ)本件補正発明の「前記後部カバーと前記中間シャーシ部との間の前記第2のキャビティ内において前記中間シャーシ部の第2の側部に配置され」という記載のうち、「前記中間シャーシ部の第2の側部」とは、本願の明細書の「…(前略)…例えば、シャーシ428の第1の側に位置するバッテリ440は、…(後略)…」(【0286】)との記載、及び、「シャーシ428の第1の側面と対向する第2の側面に配置されたディスプレイアセンブリ526は、…(後略)…」(【0287】)との記載を参酌すれば、中間シャーシ部においてバッテリが配置される側の面、すなわち、電子デバイスにおける背面側の、中間シャーシ部の表面のことといえる。
(ウ)前記ク(ウ)のとおり、引用発明の「第2の表面」は、「主板1311」の表面であって、「電子デバイス10」の背面に位置する「背面カバー16」側の表面であると解される。
そうすると、引用発明の「基板131」の「第2の表面」は、本件補正発明の「前記中間シャーシ部の第2の側部」に相当する。
(エ)引用発明の「基板131」は、「バッテリ15」である「第2の電子部品」を収容する「第2の収容領域」を備え(構成d6、d7)、「第2の収容領域」は、「背面カバー16に近い基板131の一方の側」に位置する(構成d6)から、前記(ウ)も踏まえると、「第2の収容領域」は、「主板1311」における「背面カバー16」側の表面に位置するといえ、「バッテリ15」は、「主板1311」における「背面カバー16」側の表面に配置されるものといえる。
また、前記オ(ア)bを踏まえると、引用発明の「基板131」に含まれる「主板1311」と「背面カバー16」との間に画定された空間(本件補正発明の「第2のキャビティ」に相当する。)に、「バッテリ15」である「第2の電子部品」が配置されるものといえる。
そうすると、前記(ア)~(ウ)を踏まえると、引用発明の「バッテリ15」は、本件補正発明の「前記後部カバーと前記中間シャーシ部との間の前記第2のキャビティ内において前記中間シャーシ部の第2の側部に配置され」るものに相当する。
(オ)引用発明において、「電子デバイス10内の電子部品又は機能アセンブリは、主板1311に取り付けられ」る(構成d3)から、「第2の電子部品」である引用発明の「バッテリ15」(構成d7)は、「主板1311」に取り付けられるものといえ、引用発明の「主板1311」に取り付けられた「バッテリ15」は、本件補正発明の「前記中間シャーシ部に構造的に結合されたバッテリ」に相当する。
(カ)前記(ア)~(オ)を踏まえると、本件補正発明と引用発明とは、「前記後部カバーと前記中間シャーシ部との間の前記第2のキャビティ内において前記中間シャーシ部の第2の側部に配置され、前記中間シャーシ部に構造的に結合されたバッテリ」を備える点で一致する。
サ 発明特定事項Fについて
前記アのとおり、引用発明の「電子デバイス10」は、本件補正発明の「電子デバイス」に相当し、前記イ~コを踏まえると、本件補正発明と引用発明とは、「エンクロージャ」と、「ディスプレイ」と、「回路基板アセンブリ」と、「バッテリ」と、「を備える、電子デバイス」である点で一致する。
シ 一致点、相違点
以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
【一致点】
「電子デバイスであって、
エンクロージャであって、
第1のガラス材料から形成され、前記エンクロージャの前部外面を画定する前部カバーと、
第2のガラス材料から形成され、前記エンクロージャの後部外面を画定する後部カバーと、
金属を含む構造から形成された第1のハウジング構成要素であって、
中間シャーシ部と前記前部カバーとの間に第1のキャビティを部分的に画定し、前記中間シャーシ部と前記後部カバーとの間に第2のキャビティを部分的に画定する前記中間シャーシ部と、
前記中間シャーシ部の第1の側部に沿って配置され、前記エンクロージャの第1の側部外面を画定する第1の壁部と、
前記中間シャーシ部の第2の側部に沿って配置され、前記エンクロージャの第2の側部外面を画定する第2の壁部と、を含む、第1のハウジング構成要素と、
前記第1のハウジング構成要素の第1の端部に配置され、第1の外コーナ面を画定する第2のハウジング構成要素と、
前記第1のハウジング構成要素の前記第1の端部に配置され、第2の外コーナ面を画定する第3のハウジング構成要素と、を含む、エンクロージャと、
前記前部カバーに結合され、前記前部カバーと前記中間シャーシ部との間の前記第1のキャビティ内において前記中間シャーシ部の第1の側部に配置されたディスプレイと、
前記第2のキャビティ内に配置され、前記中間シャーシ部に熱的に結合された回路基板アセンブリと、
前記後部カバーと前記中間シャーシ部との間の前記第2のキャビティ内において前記中間シャーシ部の第2の側部に配置され、前記中間シャーシ部に構造的に結合されたバッテリと、
を備える、電子デバイス。」
【相違点】
「第1のハウジング構成要素」の「金属を含む構造」について、本件補正発明は、「単一金属構造」であるのに対し、引用発明は、「単一金属構造」ではない点。
(4)判断
ア 相違点についての判断
(ア)本件補正発明の「単一金属構造」という用語は、本願の明細書には記載されていない。
そこで、「単一」との用語について、本願の明細書の「…(前略)…ハウジング構成要素410は、単一の材料片から形成された一体構造であってもよい。例えば、ハウジング構成要素410の一体構造は、アルミニウム、鋼、チタン等の金属であってもよく、…(後略)…」(【0252】)との記載を参酌すると、「単一」という用語は、材料片のみを修飾するものであって「構造」を修飾するものではない。
加えて、「ハウジング構成要素314は、単一の材料片から形成された一体構造であってもよい。例えば、ハウジング構成要素314の一体構造は、アルミニウム、鋼、チタン等の金属であってもよく、…(後略)…」(【0244】)との記載においても、「構造」を修飾するために「一体」という用語が用いられているものの、「単一」の「構造」といった表現はされていない。
そうすると、本件補正発明の「単一金属構造」における「単一」についても、材料片である「金属」のみを修飾するものと解され、本件補正発明の「単一金属構造」とは、単一の金属による構造のことといえる。
(イ)「金属構造」は、金属の構造であって、金属以外を含まない構造と解されるから、本件補正発明の「単一金属構造」とは、単一の金属のみによる構造のことと解される。
そうすると、前記(ア)を踏まえれば、本件補正発明の「単一金属構造」とは、単一の金属のみによる構造、すなわち、単一の金属以外の材料を含まない構造のことといえる。
(ウ)引用発明の「センターフレーム13の材料」は、「金属を含」む(構成d1)のだから、全て金属であってもよいことは当然である。また、一般的に、金属構造を具現化する際に、特段の事情がなければ、複数の金属材料を組み合わせる必要はない。むしろ、複数の金属材料を用いると、材料の管理や加工の工数が増加し、好ましくないと推察される。
加えて、引用文献1の図8は[0039]によれば図3のP1-P1方向に沿った断面図であるから、図8の左右端の上下に延在する部分は、ベゼル1312であると解される。そして、図8によれば、ベゼル1312と主板1311とが継ぎ目も境界もない同一の部材として描かれている。よって、引用文献1に触れた当業者は、まず、主板1311とベゼル1312とを同一の材料で具現化するよう動機付けられる。
そうすると、引用発明の「センターフレーム13」の材料として、単一の金属のみを用いることは、当業者であれば容易になし得たことである。
そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
イ 請求人の主張についての判断
以下の第3、2に示すように、原査定で引用された引用文献1~3は以下のとおりであり、令和6年2月22日付け拒絶理由通知書でも同じ引用文献が引用された。
引用文献1:米国特許出願公開第2021/0167487号明細書
引用文献2:特表2018-526709号公報
引用文献3:中国実用新案第210670224号明細書(この審決における引用文献1)
(ア)請求人は、意見書において、引用文献1及び2には、バッテリとディスプレイがそれぞれ中間シャーシ部の対向する側(後部カバー側、前部カバー側)にあるという特徴が教示又は示唆されていない旨を主張している(意見書の第2頁下から2行目~第3頁第25行)。
また、請求人は、引用文献3にも、当該特徴が開示又は示唆されていない旨を主張している(意見書の第3頁第26~27行)。
しかしながら、前記2(3)ク及びコのとおり、当該特徴については、引用文献3に記載されているから、当該主張は採用できない。
(イ)請求人は、審判請求書において、引用文献1に記載されたモバイル電話機200は、シャーシ219の前面側にディスプレイ203とバッテリ230とが配置されているものであり、バッテリ230の位置を、シャーシ219の背面側に移動するように変更することは、ハウジングの内部構造が完全に変わるものであって、多数のコンポーネントの再設計が必要となり、単なる設計上の選択ではない旨を主張している(審判請求書の第8頁第6行~第10頁下から8行目)。
また、請求人は、引用文献1に記載されたモバイル電話機200において、バッテリ230の位置を、シャーシ219の背面側に移動するように変更することは、上記のとおり単なる設計上の選択ではないことから、引用文献2及び3に記載された内部コンポーネント構成を、引用文献1に記載のモバイル電話機200に組み込もうとする動機がなく、当業者はそのような変更を行うことはありえない旨を主張している(審判請求書の第10頁下から7行目~最下行)。
そして、請求人は、補正前の請求項14に対応する補正後の請求項13に係る発明についても、上記と同じまたは同様の理由により、引用文献1~3に対して進歩性を有すると主張している(審判請求書の第11頁第2~4行)。
しかしながら、前記2(3)ク及びコのとおり、引用文献3には、バッテリとディスプレイがそれぞれ中間シャーシ部の対向する側(後部カバー側、前部カバー側)にあることが記載されているから、当該主張は採用できない。
さらに、請求人は、バッテリとディスプレイがそれぞれ中間シャーシ部の対向する側(後部カバー側、前部カバー側)にあることにより、バッテリとディスプレイの両方が中間シャーシ部に熱的に結合し、熱拡散が大きくなり、バッテリとディスプレイの両方の性能が向上する旨も主張しているが(審判請求書の第7頁第1~8行)、前記2(3)ク及びコのとおり、引用文献3に記載のバッテリ15とディスプレイ11もそれぞれ主板1311(本件補正発明の「中間シャーシ部」に相当する。)の対向する側(背面カバー16側、カバーフレーム12側)に取り付けられるものであるため、熱拡散が大きくなり、性能が向上するという効果を当然有するものといえるから、当該主張も採用できない。
(ウ)請求人は、審判請求書において、補正後の請求項13に係る発明には、ハウジングのコーナー部分を画定する追加のハウジング構成要素が含まれることにより、引用文献1~3とさらに差別化される旨、及び、補正後の請求項1に係る発明の「第1のハウジング構成要素」が、一体金属構造によって画定される旨、を主張している(審判請求書の第4頁第6~9行、第5頁下から10行目~下から4行目)。
しかしながら、ハウジングのコーナー部分を画定する追加のハウジング構成要素については、前記2(3)カに記載のように、拒絶理由通知における引用文献3に記載されているものであり、また、「第1のハウジング構成要素」が一体金属構造によって画定されることについては、補正後の請求項1には特定されているものの、補正後の請求項13に係る発明には特定されていない事項である(前記ア(ア)及び(イ)のとおり、補正後の請求項13の「単一金属構造」は、「単一の金属」のみによる構造のことと解される。)から、いずれの主張も採用できない。
(エ)前記(ア)~(ウ)より、請求人の主張はいずれも採用できない。
ウ 以上によれば、本件補正発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
3 本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
令和6年12月16日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和6年6月3日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1から19に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項14に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項14に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものと認める。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、令和6年2月22日付け拒絶理由通知書に記載した理由2及び3によって本願を拒絶するものであり、その概要は、以下のとおりである。
2.(新規性)この出願の請求項8、14及び16に係る発明は、以下の引用文献3に記載された発明であるから、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができない。
3.(進歩性)この出願の請求項8、14、16~18に係る発明は、以下の引用文献3に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
この出願の請求項1~7に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
この出願の請求項8に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された技術及び引用文献3に記載された周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1:米国特許出願公開第2021/0167487号明細書
引用文献2:特表2018-526709号公報
引用文献3:中国実用新案第210670224号明細書
3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献3(この審決における引用文献1)及びその記載事項は、前記第2[理由]2(2)に記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、前記第2[理由]2で検討した本件補正発明から、「ハウジング構成要素」及び「エンクロージャ」に係る限定事項を削除したものである。
そうすると、前記第2[理由]2(3)を踏まえると、本願発明と引用発明に相違点はない。仮に、相違点があったとしても、当業者が容易に想到し得たものといえる。
したがって、本願発明は、引用発明であるか、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法29条1項及び同条2項の規定により、特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-020142