特許異議申立
2017-700753
マイクロキャビティキャリアベルト及びその製造方法
- 審判番号
- 2017-700753
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2014-530713
- 登録番号
- 特許第6072803号(P6072803)
- 請求日
- 2017年07月31日
- 審決日
- 2018年10月18日
- 公報発行日
- 2019年06月28日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】トリリオン サイエンス インコーポレイテッド
- 【権利者代理人】末成 幹生
- 【異議申立人】前田 桂子
- 審判長/審判官
- 審判長 ▲吉▼田 耕一
- 審判官 千葉 輝久
- 審判官 山田 正文
- 分類
- P1651.113-ZDA(H01B) / P1651.121-ZDA(H01B) / P1651.537-ZDA(H01B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第29条、特許法第113条第2号、特許法第36条第6項、特許法第113条第4号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6072803号発明「マイクロキャビティキャリアベルト及びその製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第6072803号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-14〕、〔15、16〕、〔17-19、27-31〕、〔20-26〕について訂正することを認める。
特許第6072803号の請求項17ないし19、27ないし40に係る特許を取り消す。
同請求項1ないし16に係る特許を維持する。
同請求項20-26に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許第6072803号(以下、「本件特許」という。)の請求項1-40に係る特許についての出願は、平成29年1月13日付けでその特許権の設定登録がされ、その後、特許異議申立人前田 桂子より請求項1-40に対して特許異議の申立てがされ、平成29年11月29日付けで取消理由が通知され、平成30年2月28日に特許権者により意見書及び訂正請求書(以下、この訂正請求書による訂正請求を「本件訂正請求」といい、本件訂正請求による訂正を「本件訂正」という。)が提出され、さらに、平成30年5月17日付けで取消理由が通知されたものである。なお、平成30年5月17日付け取消理由通知に対して、特許権者から何ら応答はなかった。
第2 訂正について
1.訂正の内容
特許権者は、本件訂正請求により、次の訂正事項1-5の訂正をすることを請求する。
(訂正事項1)
請求項1-14に係る訂正として、請求項1の「電子装置又はコンポーネント」を「電子デバイス」に訂正する。
(訂正事項2)
請求項15及び16に係る訂正として、請求項15の「前記マイクロキャビティ内に導電性粒子を配置する工程とを備えた」を「前記マイクロキャビティ内に導電性粒子を配置する工程と、前記導電性粒子を接着剤層に移す工程とを備えた」に訂正する。
(訂正事項3)
請求項15及び16に係る訂正として、請求項15の「を備えた電子デバイス又はコンポーネントの製造方法」、「前記電子デバイス又はコンポーネントは、前記電子デバイス又はコンポーネントと交差して」、「導電性粒子を本質的に含まない領域」、「特徴とする電子デバイス又はコンポーネントの製造方法。」を、それぞれ、「を備えた電子デバイスの製造方法」、「前記電子デバイスは、前記電子デバイスと交差して」、「導電性粒子を含まない領域」、「特徴とする電子デバイスの製造方法。」に訂正する。
(訂正事項4)
請求項17-19、27-31に係る訂正として、請求項17の「接着剤層内又は接着剤上のマイクロキャビティの非ランダムアレイ」、「導電性粒子を本質的に含まない領域」をそれぞれ、「接着剤上の非ランダムアレイ」、「導電性粒子を含まない領域」に訂正する。
(訂正事項5)
請求項20-26を削除する。
2.訂正の目的の適否、新規事項の有無、一群の請求項及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1は、訂正前に明瞭でない記載であった「電子装置又はコンポーネント」を、「電子デバイス」に訂正して明瞭な記載とするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
訂正事項2は、訂正前の請求項に「前記導電性粒子を接着剤層に移す工程」を付加するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
訂正事項3は、訂正前に明瞭でない記載であった「電子デバイス又はコンポーネント」、「本質的に含まない」を、それぞれ、「電子デバイス」、「含まない」として明瞭な記載とするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
訂正事項4は、、訂正前に明瞭でない記載であった「接着剤層内又は接着剤上のマイクロキャビティの非ランダムアレイ」、「本質的に含まない」を、それぞれ、「接着剤上の非ランダムアレイ」、「含まない」として明瞭な記載とするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
訂正事項5は、請求項の削除を目的とするものである。
また、訂正事項1-5はいずれも、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
さらに、訂正前の[請求項1-14]、[請求項15及び16]、[請求項17-19、27-31]、[請求項20-26]は、それぞれ、訂正前において一群の請求項に該当するから、本件訂正請求は、一群の請求項ごとにされたものである。
3.小括
したがって、本件訂正請求による訂正事項1-5は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項1-31について訂正を認める。
第3 当審の判断
1.本件発明
本件特許の請求項1-40に係る発明(以下、請求項の番号により、「本件発明1」、「本件発明2」などという。)は、それぞれ、本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1-40に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
長尺キャリアとしてのベルトの表面上に形成されたマイクロキャビティのアレイ内に複数の導電性粒子を分配する工程と、
前記ベルトの表面と接触する接着剤層の表面を搬送しつつ、前記導電性粒子を載置する前記ベルトを回転する工程と、
前記ベルト上のマイクロキャビティから、前記ベルト上の前記マイクロキャビティのアレイに対応する前記接着剤層の予め定められた位置に、前記導電性粒子を移す工程と、
前記ベルトの表面から前記接着剤層を分離する工程とを備え、
前記ベルトは、ベルトの一端からベルトの端部に対して傾斜角度を有する他端にベルトと交差して延在する接合ラインを有する選択されたループであり、
前記ベルトから前記導電性粒子を転写することにより得られる異方性導電フィルム内の導電性粒子アレイは接合ラインに対応する領域に導電性粒子を含まないことを特徴とする電子デバイスの製造方法。
【請求項2】
前記マイクロキャビティのアレイ内に複数の導電性粒子を分配する工程は、1つのマイクロキャビティ内にそれぞれ導電性粒子を嵌め込む工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記傾斜角度は30~80度であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記傾斜角度は35~60度であることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記接合ラインは幅100ミクロン未満のギャップを有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ギャップは幅20ミクロン未満であることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ギャップは前記導電性粒子に付着しない充填組成物で充填されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記接合ラインの前記ギャップは、溶媒蒸発、室温加硫(RTV)、UV、熱、湿気又はこれらの組み合わせにより硬化型接着剤又は塗膜を硬化させて充填されることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記硬化型接着剤又は塗膜は、シリコーン、ポリイソシアネート、ポリウレタン、エポキシ、アクリル、アクリレート、メタクリレート、ビニルエーテル、加硫性熱可塑性エラストマー及び不飽和ゴムから選択されることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記硬化型接着剤又は塗膜が充填された前記接合ラインは、さらにレーザー除去され、
前記硬化型接着剤又は塗膜上にマイクロキャビティを形成することを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記ベルトは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(
PEN)、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリスルホン、ポリエー
テル、ポリイミド、液晶ポリマー及びコポリマー、並びに、これらの混合物、複合物、積層物又はサンドイッチフィルムから選択されたウェブ材料から形成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記導電性粒子を載置する前記ベルトの表面に前記接着剤層を接触する前に、前記接着剤層をアニールする追加的なステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記接着剤層はポリマーを含み、前記アニールは、前記接着剤層の接着剤の軟化又は加熱ひずみ温度よりも高く、前記接着剤層が硬化し始める開始温度未満の温度に前記接着剤層を加熱する工程を含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ポリマーは、アクリル、エポキシ又はフェノール樹脂であることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
マイクロキャビティの非ランダムアレイを形成する工程と、
前記マイクロキャビティ内に導電性粒子を配置する工程と、
前記導電性粒子を接着剤層に移す工程と
を備えた電子デバイスの製造方法であって、
前記マイクロキャビティのアレイ内に複数の導電性粒子を配置する工程は、1つのマイクロキャビティ内に前記導電性粒子のそれぞれを嵌め込むための粒子分配工程を含み、
前記電子デバイスは、前記電子デバイスと交差して延在する傾斜ラインに対応する導電性粒子を含まない領域を含むことを特徴とする電子デバイスの製造方法。
【請求項16】
前記マイクロキャビティ間の距離は1~40%変更されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
接着剤上の非ランダムアレイとして予め決められた非ランダム粒子位置に配置される複数の導電性粒子を備えた異方性導電性フィルムであって、
前記異方性導電性フィルムは、前記異方性導電性フィルムと交差して延在する傾斜ラインに対応する導電性粒子を含まない領域を含むことを特徴とする異方性導電性フィルム。
【請求項18】
前記導電性粒子は前記接着剤層内に部分的に埋め込まれることを特徴とする請求項17に記載の異方性導電性フィルム。
【請求項19】
前記マイクロキャビティ間の距離は1~40%変更されることを特徴とする請求項18に記載の異方性導電性フィルム。
【請求項20】(削除)
【請求項21】(削除)
【請求項22】(削除)
【請求項23】(削除)
【請求項24】(削除)
【請求項25】(削除)
【請求項26】(削除)
【請求項27】
前記傾斜ラインは30~80度であることを特徴とする請求項17に記載の異方性導電性フィルム。
【請求項28】
前記傾斜ラインは35~60度であることを特徴とする請求項27に記載の異方性導電性フィルム。
【請求項29】
前記傾斜ラインは幅100ミクロンであることを特徴とする請求項17に記載の異方性導電性フィルム。
【請求項30】
前記傾斜ラインは幅20ミクロンであることを特徴とする請求項17に記載の異方性導電性フィルム。
【請求項31】
前記接着剤はアクリル、エポキシ又はフェノール樹脂を含むことを特徴とする請求項17に記載の異方性導電性フィルム。
【請求項32】
少なくとも2つの切断面を形成するために、表面上のマイクロキャビティの非ランダムアレイを有する少なくとも1枚のウェブを切断する工程と、
前記切断面を当接する工程と、
接合ラインを形成するために、当接した前記切断面に充填組成物又は接着剤を塗工する工程とを備え、
前記マイクロキャビティの非ランダムアレイは、接合ラインの領域内にマイクロキャビティを含まないことを特徴とする電子デバイス又はコンポーネントの製造に有用な表面上のマイクロキャビティを有するキャリアベルトの形成方法。
【請求項33】
前記接合ラインの領域内に追加的なマイクロキャビティを形成する追加的なステップを含むことを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記マイクロキャビティを有する表面に対向する前記ウェブの表面に接着剤又は塗膜を塗工する追加的なステップを含むことを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記切断面に塗工されて硬化した前記充填組成物又は接着剤は導電性粒子に付着しないことを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記充填組成物又は接着剤は、
アクリル、シリコーン、ポリイソシアネート、ポリウレタン、エポキシ、アクリレート、メタクリレート、ビニルエーテル、ビニルエステル、加硫性熱可塑性エラストマー及び不飽和ゴムから選択された硬化型接着剤又は塗膜であることを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記接着剤を塗工する前に切断端面をコロナ処理するステップを含むことを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項38】
前記接合ラインは、前記キャリアベルトの一方の縁から他方の縁に至り、その両端で構造テープによりさらに補強されることを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項39】
長尺キャリアとしてのベルト又はループの主要表面上のマイクロキャビティのアレイと、
前記ベルト又はループの一方の縁から他方の縁に前記ベルト又はループと交差して延在する接合ラインとを備え、
前記マイクロキャビティのアレイは、接合ラインの領域内にマイクロキャビティを含まないことを特徴とする電子デバイス又はコンポーネントの製造に有用なベルト又はループ。
【請求項40】
前記接合ラインは、前記ベルト又はループと交差して延在する傾斜ラインであることを特徴とする請求項39に記載のベルト又はループ。」
2.甲各号証の記載
(1)甲第1号証
本件特許の優先権主張の日前に頒布された刊行物である甲第1号証(米国特許出願公開第2010/0101700号明細書)には、FIGURE4(図4)とともに以下の技術事項が記載されている。
ア.「[0003] This invention relates generally to the structures and manufacturing methods of an anisotropic conductive film(ACF). More particularly, this invention relates to new structurs and manufacturing processes of an ACF of improved resolution and reliability of electrical connection at a significantly lower production cost.」
(訳:[0003]本発明は、一般に、異方性導電フィルム(ACF)の構造およびその製造方法に関する。さらに具体的には、本発明は、著しく低い製造コストで解像度と電気的接続の信頼性を改善したACFの新しい構造および製造プロセスに関する。)
イ.「[0080] After the fluidic step(160), the conductive particles in the microcavities may be transferred to the second substrate(130), which is preferably pre-coated with an adhesive(120) as shown in FIG.4. The temporrary microcavity web(190) may then be reused by repeating the particle filling and transferring steps. Optionally, the web(190) may be cleaned by a cleaning device (not shown) to remove any residual particles or adhesive left on the web and a release coating may be reapplied before refill the particles. Still optionally, a close loop of temporary microcavity web may be used continuously and repeatedly for the particle filling, transferring, cleaning and release application steps.」
(訳:流体充填工程(160)の後、図4に示すように、マイクロキャビティ内の導電性粒子を、好ましくは接着剤(120)で予めコーティングされた第2の基板(130)に転写することができる。仮のマイクロキャビティウェブ(190)は、粒子の充填および転写工程を繰り返すことによって再利用することができる。また、ウェブ(190)をクリーニング装置(図示せず)で洗浄して、ウェブ上に残った残留粒子または接着剤を除去し、粒子を補充する前に剥離コーティングを再塗布してもよい。さらには、粒子の充填、転写、クリーニングおよび放出の塗布工程のために仮のマイクロキャビティウェブのクローズループを連続的かつ繰り返し使用してもよい。)
(2)甲第2号証
本件特許の優先権主張の日前に頒布された刊行物である甲第2号証(特開2007-80522号公報)には、図とともに以下の技術事項が記載されている。
「【0009】
本発明によれば、絶縁性接着剤フィルムと、この絶縁性接着剤フィルムに固定された導電性粒子と、を有し、前記導電性粒子は、前記絶縁性接着剤フィルムのフィルム面を平面視した場合に、複数列に配列され、前記各列は、前記絶縁性接着剤フィルムの長手方向に対し、傾斜するとともに、前記各列の傾斜角度は、前記絶縁性接着剤フィルムの長手方向と略直交する方向に対し、15°以下であることを特徴とする異方導電性フィルムが提供される。
【0010】
ここで、導電性粒子は、一次粒子に限らず、二次凝集粒子をも含む概念である。
本発明者らが、検討を行った結果、導電性粒子の列の傾斜角度を絶縁性接着剤フィルムの長手方向と略直交する方向に対し、15°以下とすることで、上下の端子間の接続抵抗のばらつきを抑えることができることができるとわかった。
導電性粒子の列の傾斜角度を15°以下とすることで、異方導電性フィルムに対する上下の端子の配置位置によらず、端子の辺に沿って配置される導電性粒子の数を低減できるとともに、上下の端子間に存在する導電性粒子の数のばらつきを抑えることができると考えられる。
なお、本発明では、導電性粒子の列の傾斜角度を3°以上、10°以下とすることが好ましい。
導電性粒子の列の傾斜角度を3°以上、10°以下とすることで、より確実に上下の端子間の接続抵抗のばらつきを抑えることができるとともに、異方導電性フィルムの製造を容易化することができる。」
「【0014】
また、本発明では、複数の前記導電性粒子のうち、少なくとも一部の導電性粒子が前記絶縁性接着剤フィルム表面から露出していることが好ましい。
少なくとも一部の導電性粒子を絶縁性接着剤フィルム表面から露出させることで、上下の端子を接続する際に、導電性粒子と端子との間に摩擦が生じる。そのため、上下の端子を接続する際に、面方向に隣接する端子間のスペースに、導電性粒子が流れにくくなる。
このように、面方向に隣接する端子間のスペースに流れる導電性粒子の数を減らすことで、面方向に隣接する端子の短絡を防止することができる。
また、面方向に隣接する端子間のスペースに流れる導電性粒子の数は、絶縁性接着剤フィルムの組成の違いに依存すると考えられる。
本発明では、導電性粒子を絶縁性接着剤フィルム表面から露出させることで、面方向に隣接する端子間のスペースに流れる導電性粒子の数を減らすことができるので、絶縁性接着剤フィルムの組成の違いによる前記スペースに流れる導電性粒子の数の差を小さくすることが可能となる。
なお、本発明では、すべての導電性粒子が絶縁性接着剤フィルム表面から露出していなくてもよく、一部の導電性粒子は絶縁性接着剤フィルム内部に埋まっていてもよい。
【0015】
さらに、本発明では、導電性粒子の一次粒子の径は、5μm以下であることが好ましい。
また、本発明では、前記各列の配列ピッチは、接続すべき端子の前記絶縁性接着剤フィルムの長手方向に沿った幅寸法よりも狭いことが好ましい。
接続すべき端子の幅より導電性粒子の列の配列ピッチを狭くすることで、端子上に確実に導電性粒子を存在させることができる。これにより、確実に通電容量を確保することが可能となる。」
「【0019】
以下に、異方導電性フィルム1を詳細に説明する。
絶縁性接着剤フィルム11は、長尺状に延びたものである。絶縁性接着剤フィルム11の厚みは、例えば、LCDパネルとTCPやFPCとの接続においては、10μm~20μm程度の厚みが好ましい。
この絶縁性接着剤フィルム11の組成は、特に限定されるものではないが、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、或いは、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂との混合品の何れかが用いられる。
例えば、LCDパネルと、TCPやFPCとを接続し、熱ストレスや吸湿等の影響を受けた後の接続抵抗安定性を考慮すると、熱硬化性樹脂、或いは熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂との混合品を用いることが好ましい。また、フィルム形成性を勘案すると熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂との混合品がより好適に用いられる。
ここで、絶縁性接着剤フィルム11に用いられる熱硬化性樹脂としては、特に制限されるものではないが、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、フェノール樹脂、(メタ)アクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、マレイミド樹脂等が用いられる。」
「【0022】
このような絶縁性接着剤フィルム11の一方の面(表面)には、導電性粒子12が固着され、他方の面(裏面)には、剥離フィルム13が固着されている(図2参照)。
【0023】
導電性粒子12は、絶縁性接着剤フィルム11の表面に沿って多数列配列されている。
絶縁性接着剤フィルム11に固着された導電性粒子12の一部は、一次粒子となっており、残りは、凝集した二次凝集粒子である。すなわち、導電性粒子12は、球状体であってもよく、球状体が凝集したものであってもよい。
導電性粒子12の各列は、互いに平行に配置されており、絶縁性接着剤フィルム11の長手方向(X軸方向)に沿って並んでいる。
また、導電性粒子12の各列は、絶縁性接着剤フィルム11の長手方向(図1のX軸方向)に対し、傾斜している。」
「【0024】
さらに各列の傾斜角度θは、前記絶縁性接着剤フィルム11の長手方向と略直交する方向(図1のY軸方向)に対し、15°以下である。
なかでも傾斜角度θは、3°以上、10°以下であることが好ましい。
傾斜角度を3°未満とした場合には、絶縁性接着剤フィルム11に対し、端子31,41がわずかに傾いて設置された場合に、端子31,41の辺と導電性粒子12の列の傾きとが略等しくなって、端子31,41の辺上に多くの導電性粒子12が配置されることとなる。そのため、絶縁性接着剤フィルム11に対し、端子31,41を傾き無く正確に配置する必要があり、端子31,41の設置に手間を要する。
傾斜角度を3°以上とすることでこのような問題が生じにくくなる。
また、傾斜角度を10°以下とすれば、異方導電性フィルムの製造に手間を要しない。
異方導電性フィルム1の製造方法については、詳しくは後述するが、磁性媒体21の特定領域21Aに磁気記録を行う磁気記録装置として、市販のカセットテープレコーダーやビデオカセットレコーダーを使用することがある。導電性粒子12の列の傾斜角度を10°以下とした場合には、市販のカセットテープレコーダーやビデオカセットレコーダーの磁気ヘッドと、磁性媒体21との位置関係を大幅に調整する必要がない。そのため、異方導電性フィルムの製造に手間を要しないのである。
【0025】
本実施形態では、導電性粒子12の配列の各列の配列ピッチDは、各列における隣接する導電性粒子12のピッチdよりも小さく、配列ピッチDと、ピッチdとは異なっている。
ここで、D/dは、1/5以上であることが好ましい。
なかでも、D/dは、1/3以上、2以下とすることが好ましい。
D/dを2を超えるものとした場合には、面方向に隣接する端子31間、端子41間の間隔や、各列における導電性粒子12のピッチdにもよるが、導電性粒子12の各列の配列ピッチDが広くなってしまい、端子31,41上に存在する導電性粒子12の数が少なくなってしまう可能性がある。この場合には、安定した接続抵抗を得ることが困難となる可能性がある。
一方で、D/dを1/5未満とした場合には、導電性粒子12の各列の配列ピッチDが小さくなるとともに、各列における導電性粒子12のピッチdが大きくなる。この場合には、絶縁性接着剤フィルム11の長手方向に沿って、導電性粒子12が密に配置する可能性がある。そのため、面方向に隣接する端子31間、端子41間での短絡が起こりやすくなる。
また、面方向に隣接する端子31間、端子41間の短絡を防止するために、導電性粒子12の各列の配列ピッチDを広くとってしまうと、各列における導電性粒子12間のピッチdが非常に広くなってしまうため、端子31,41上に存在する導電性粒子12の数が少なくなってしまう可能性がある。
なお、D/dは、1/5以上であればよいが、D/dを1/3以上とすることでこのような課題を確実に解決することが可能となる。
例えば、本実施形態では、各列の配列ピッチDは、30μmであり、各列における導電性粒子12のピッチdは、39μmである。
なお、配列ピッチDは、絶縁性接着剤フィルム11の長手方向に隣接する各列の導電性粒子12の略中心間を結んだ距離である。また、ピッチdは各列における導電性粒子12の略中心間を結んだ距離である。
【0026】
さらに、導電性粒子12の各列の配列ピッチDは、接続すべき端子41,31の幅寸法(端子41,31の異方導電性フィルム1の長手方向に沿った幅寸法)Wよりも大きくなっている。例えば、Dは30μmであり、Wは、20μmである。
なお、端子41,31は、平面略矩形形状であり、その長手方向が、絶縁性接着剤フィルム11の短辺方向(Y軸方向)に沿って延びるように配置される。」
「【0030】
次に、図3~図6を参照して、以上のような異方導電性フィルム1の製造方法について説明する。
異方導電性フィルム1は、磁性媒体21の特定領域21Aに導電性粒子12を配置した後、配置された導電性粒子12を絶縁性接着剤フィルム11に転写することで製造される。
具体的には、異方導電性フィルム1の製造工程は、以下の工程を含んで構成される。
(i)磁性媒体21の特定領域21Aに磁気記録を行う第一工程
(ii)磁性媒体21上に導電性粒子12を配置する第二工程
(iii)磁性媒体21上に配置された導電性粒子12を、絶縁性接着剤フィルム11上に転写・固定化する第三工程」
「【0044】
さらに、導電性粒子12の各列の配列ピッチを小さくし、各列の導電性粒子12のピッチを大きくした場合には、絶縁性接着剤フィルム11の長手方向に対して、導電性粒子12が密に配置することとなるので、端子31,41を接続した際に、面方向に隣接する端子31間、端子41間での短絡が起こりやすくなる。
また、面方向に隣接する端子31間、端子41間の短絡を防止するために、導電性粒子12の各列の配列ピッチDを広くとってしまうと、各列における導電性粒子12間のピッチdが非常に広くなってしまうため、端子31,41上に存在する導電性粒子12の数が少なくなってしまう可能性がある。
これに対し、本実施形態では、各列間の配列ピッチをD、前記各列における導電性粒子12のピッチをdとし、D/dを、1/5以上としているため、このような課題を解決することが可能となる。
【0045】
また、端子幅より、導電性粒子12の列の配列ピッチを狭くすれば、上下の端子31,41間に存在する導電性粒子12の数を確実に増やすことができるが、導電性粒子12の列が密に配列されることとなるので、面方向に隣接する端子31間、面方向に隣接する端子41間の短絡が発生しやすくなる。
これに対し、本実施形態では、接続すべき端子31,41の幅Wより導電性粒子12の列ピッチDを広くしており、導電性粒子12の列が密に配置されていない。そのため、面方向に隣接する端子31間、面方向に隣接する端子41間の短絡を防止することができる。
【0046】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、導電性粒子12の各列の配列ピッチDは、各列における隣接する導電性粒子12のピッチdよりも小さいとしたが、これに限定されるものではない。
例えば、導電性粒子12の各列の配列ピッチDは、前記各列における導電性粒子12間のピッチdよりも大きくてもよい。
異方導電性フィルムを用いて、端子間を接続する際には、異方導電性フィルムの長手方向に沿って、面方向に隣接する端子31、面方向に隣接する端子41が配置されることとなる。
導電性粒子12の各列の配列ピッチDを、各列における導電性粒子12間ピッチdよりも大きくする構成を採用すれば、導電性粒子12の配列ピッチD(異方導電性フィルムの長手方向に沿った寸法)が広くなる。そのため、異方導電性フィルムにより、上下の端子31,34を接続する際に、面方向に隣接する端子31間、端子41間に、導電性粒子12が集まったとしても、導電性粒子12同士の接触を防止することができ、端子31間、端子41間の短絡の発生を防止できる。
また、各列における導電性粒子12のピッチdは、導電性粒子12の各列の配列ピッチDよりも小さく、各列における導電性粒子12間の間隔は小さくなる。そのため、異方導電性フィルムにより、上下の端子31,41を接続する際に、上下の端子31,41間に存在する導電性粒子12の数を確保することができる。これにより、通電容量を確実に確保することができる。」
(3)甲第3号証
本件特許の優先権主張の日前に頒布された刊行物である甲第3号証(特開平9-320345号公報)には、図とともに以下の技術事項が記載されている。
「【0010】
【発明の実施の形態】以下添付図面を参照して本発明の異方導電性フィルム(ACF)の好適な実施の形態について説明する。図1は、本発明のACFの第1の実施形態を示す平面拡大図である。
【0011】図1において、ACF1は、シート状に形成されたエポキシ系又はアクリル系等の絶縁性接着剤フィルム2の主面に沿って多数のニッケル等の金属製導電粒子3を後述する如く配列させたものである。ACF1の寸法はACFが使用される応用例に依存するが、PDP(プラズマ ディスプレー パネル)に用いられる本実施形態のACF1の場合、縦(Y方向)2mm、厚さ20~25μmであり、横(X方向)150mmを単位とする。
【0012】導電粒子3の各列は接着剤フィルム2の長手辺5に直交する方向(Y方向)に対して所定角度αだけ傾斜して延びると共に、隣接する導電粒子列が互いに千鳥(スタガ)配列されている。本実施形態において特徴的なのは、任意の導電粒子3aは、その周囲の6個の導電粒子3b、3c、3d、3e、3f、3gのいずれとも等距離に配置されている点である。本明細書では、この配置を六方配置と称する。この六方配置によれば、最も近接する3個の導電粒子3a、3b、3cの各中心が正三角形6の各頂点に配置されることになる。このため、正三角形6の1辺の長さを単位長さとすると、正三角形6の面積0.25√3内に0.5個の導電粒子3が存在するので、導電粒子3の密度は約1.15個となる。従って、六方配置の密度は、格子配列の密度(1個)より常に大きくなるばかりでなく、後述する如く近接する導電粒子3、3間の距離を一定にする条件下では最も大きくなる。
【0013】図2は、本発明のACFの第2実施形態の平面拡大図である。導電粒子13の各列が接着剤フィルム12の長手辺15に対して略直交する方向に延び、隣接する導電粒子列が互いにスタガ配列されている点は第1実施形態と同じである。第2実施形態のACF10が第1実施形態のACF1と異なる点は、任意の導電粒子13aが、近接する4個の導電粒子13b、13c、13d、13eで形成される正方形16の中心に配置されていることである。このため、正方形16の1辺の長さを単位長さとすると、正方形16の面積、即ち単位面積当たり2個の導電粒子13が存在するので、密度は単純な格子配列の場合の密度の2倍になる。但し、最も近接する導電粒子間の距離、例えば導電粒子13a、13b間の距離が正方形16の1辺の長さより短くなるという制約がある。従って、最も近接する導電粒子間の距離を最低限必要な単位長さに設定した場合は、格子配列と同じ密度になる。」
「【0015】さて、ACF20の各導電粒子列は、接着剤フィルム22の長手辺25に直交する方向に所定角度αだけ傾斜しており、長手辺25は電極8の側辺8a、8bと直交して配置されるので、側辺8a、8bに対して角度α傾くことになる。このため、側辺8a、8b上に配置される導電粒子23b、23fに対して各導電粒子列の延長方向に沿って隣接する導電粒子23c、23hは側辺8a、8b上に位置することはない。従って、ごく一部の導電粒子(23b、23f等)を除き、電極8上に配置された導電粒子は全て導電を担うので、通電容量が著しく低下することはない。よって、電極8によって通電量がばらつくことはない。
【0016】角度αは、電極8の側辺8a、8b上に配置される導電粒子23の個数が最少になるように設定すべきであり、導電粒子23の外径R及び同一列内の導電粒子23間のピッチLに依存する。側辺8a、8b上に配置される導電粒子23b、23fに対して各導電粒子列の延長方向に沿って隣接する導電粒子23c、23hが側辺8a、8b上に位置しないことが望ましいのであるから、導電粒子23c、23hは、導電粒子23b,23fに対して導電粒子の外径RだけX方向にシフトすることが要求される。従って、角度αはsinα=R/Lを満たす角度以上であるのが好適である。尚、角度αは0°より大きければ上記式を満足する角度未満であっても通電容量を従来の最悪値より大きくすることはできる。しかし、側辺8a、8b上に位置する導電粒子23の数が上記好適角度の場合より多くなるので、通電容量増大の効果は半減する。また、上述の角度αについての議論は、第1実施形態のACF1及び第2実施形態のACF10に適用できるばかりでなく、単純な格子配列のACFにも適用できることは勿論である。」
「【0019】図4は、本発明のACFの製造工程を示す断面図である。ACF1(10、20)は、以下の工程により製造できる。即ち、まず、ガラス基板31及びその上に形成したITO等の導電層32からなる基板30上に、スピンコートにより液状レジスト(めっきに対するレジスト)を塗布する。フォトリソグラフィによってレジストに所定の孔34を設け、レジストパターン33を形成する。孔34を設けるためのガラス製フォトマスク(図示せず)には上述の導電粒子の配列と同一のパターンが形成されている。次に、導電層32を陰極として電気めっきによりニッケル等の導電粒子3を形成する(図4(a))。続いて、レジストパターン33をアセトン等により除去し(図4(b))、洗浄した後、エポキシ系又はアクリル系の熱硬化性接着剤フィルム2を基板30上に熱圧着して基板30上の導電粒子3を接着剤フィルム2に転写することにより、ACF1を形成する(図4(c))。最後に、基板30からACF1を剥離することにより、接着剤フィルム2及び導電粒子3からなるACF1単体が得られる(図4(d))。尚、必要に応じて導電粒子3の球面状頂面3h又は底面3jに金めっき層を形成してもよい。
【0020】この様にして製造したACF1においては、図4(d)に示されるとおり導電粒子3の底面3jが接着剤フィルム2の1個から露出しており、一方導電粒子3の球面状頂面3hはフィルム2を構成する接着剤に覆われている。このACF1を、例えばFPC電極(電極厚さは通常18~35μm)とLCDパネル電極(電極厚さは通常1μm以下)の間に挟んで加熱、加圧することにより接着剤が流動して電極間の隙間を埋め、かつ、最終的に接着剤が硬化して電気的機械的接続が達成される。この例の場合、ACF1の導電粒子3が露出している面をLCDパネル電極側に向けて配置し、FPCの外側から加熱、加圧して接続することで、接続工程中の接着剤の流動に伴って生じる導電粒子の位置の乱れを低減することができる。その理由の一つは導電粒子3の底面3jとLCDパネル電極との間に摩擦力が働く為であり、もう一つはFPC側(即ち、図4(d)の上側)から加熱するために導電粒子3の球面状頂面3hを覆っている接着剤の部分(接着剤フィルム2の上部)がまず流動して電極間の隙間を埋め、接着剤フィルム2の下部においてはあまり流動が起こることはく熱硬化する為である。」
3.判断
(1)平成29年11月29日付け取消理由通知書に記載した取消理由について
ア 特許法第29条第1項第3号、第29条第2項
当該取消理由は、請求項20-26に係るものであるが、本件訂正により、請求項20-26は削除されたため、対象とする請求項は存在しない。
イ 特許法第36条第6項第2号
当該取消理由は、請求項1-31に係るものであるが、本件訂正により、請求項20-26は削除されたため、請求項20-26に係る取消理由は対象とする請求項は存在しない。また、本件訂正により、請求項1-19、27-31における取消理由に該当する文言が削除されたため、請求項1-19、27-31に係るこの取消理由は解消した。
(2)平成30年5月17日付け取消理由通知書に記載した取消理由について
平成30年5月17日付けで、請求項17-19、27-31に対する特許法第29条第1項第3号及び第29条第2項を根拠法条とする取消理由、請求項32-40に対する特許法第36条第6項第2号を根拠法条とする取消理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、特許権者からは応答がなかった。
そして、上記の取消理由は妥当なものと認められるので、本件請求項17-19、27-40に係る特許は、この取消理由によって取り消すべきものである。
(3)取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
ア 請求項1-16に対する特許法第29条第2項
甲第1号証には、マイクロキャビティウェブのクローズループを使用した異方性導電フィルム(ACF)の製造方法に関する発明が記載されている。
しかしながら、甲第1号証には、少なくとも、本件発明1の「前記ベルトは、ベルトの一端からベルトの端部に対して傾斜角度を有する他端にベルトと交差して延在する接合ラインを有する選択されたループ」であるという発明特定事項、特に、「傾斜角度を有する接合ライン」については、記載乃至示唆はされていない。このことは、甲第2号証、甲第3号証のいずれにも記載乃至示唆はなく周知技術であるともいえない。
甲第2号証には、導電性粒子が絶縁性接着剤フィルムの長手方向に対し傾斜した異方導電性フィルムが記載され、甲第3号証には、導電粒子の列が接着剤フィルムの長手辺に直交する方向に対して所定角度だけ傾斜して延びて配列された異方導電性フィルムが記載されているが、これらは製造されたフィルムの構成であって、製造方法に関するものではなく、また、これら甲各号証には、フィルムの製造方法も記載されているが、本件発明1のようなベルトを用いた製造方法ではない。
したがって、これら甲号証の記載から直ちに、甲第1号証の異方性導電フィルムの製造方法に用いるマイクロキャビティウェブ(ベルト)を、ベルトの一端からベルトの端部に対して傾斜角度を有する他端にベルトと交差して延在する接合ラインを有する選択されたループであるようにすることを導くことはできない。
よって、本件発明1が、甲第1号証に記載された発明および甲第2号証、甲第3号証に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
本件発明1の上記発明特定事項と同じ発明特定事項を備えている本件発明2-14についても同じ理由により、甲第1号証に記載された発明および甲第2号証、甲第3号証に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
同様に、甲第1号証には、少なくとも、本件発明15の「マイクロキャビティ内に導電性粒子を配置する工程と、前記導電性粒子を接着剤層に移す工程とを備えた電子デバイスの製造方法であって」、「前記電子デバイスは、前記電子デバイスと交差して延在する傾斜ラインに対応する導電性粒子を含まない領域を含む」という発明特定事項について記載乃至示唆はされていない。このことは、甲第2号証、甲第3号証のいずれにも記載乃至示唆はなく周知技術であるともいえない。
上述した、甲第2号証、甲第3号証の記載は、製造されたフィルムの構成であって、製造方法に関するものではなく、また、これら甲各号証には、フィルムの製造方法も記載されているが、本件発明15のようなマイクロキャビティを用いた製造方法ではない。
したがって、これら甲号証の記載から直ちに、甲第1号証の異方導電性フィルムの製造方法において、電子デバイス(異方導電性フィルム)は、前記電子デバイスと交差して延在する傾斜ラインに対応する導電性粒子を含まない領域を含むようにする製造方法を導くことはできない。
よって、本件発明15が、甲第1号証に記載された発明および甲第2号証、甲第3号証に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
本件発明15の上記発明特定事項と同じ発明特定事項を備えている本件発明16についても同じ理由により、甲第1号証に記載された発明および甲第2号証、甲第3号証に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
イ 請求項1-14に対する特許法第36条第6項第1号
本件訂正により訂正された特許請求の範囲の請求項1には、「・・・ベルトの表面上に形成されたマイクロキャビティのアレイ内に複数の導電性粒子を分配する工程と、
・・・、
前記ベルト上のマイクロキャビティから、・・・接着剤層・・・に、前記導電性粒子を移す工程と、
前記ベルトの表面から前記接着剤層を分離する工程とを備え、
・・・、
前記ベルトから前記導電性粒子を転写することにより得られる異方性導電フィルム内の導電性粒子アレイは・・・ことを特徴とする電子デバイスの製造方法。」と記載されている。
この記載から、本件発明1は、ベルトから導電性粒子を転写することにより異方性導電フィルムを得る電子デバイスの製造方法であり、製造される電子デバイスが異方性導電フィルムであることは明らかである。
したがって、本件発明1は、異方性導電フィルムの製造方法であって、それ以外の電子デバイスの製造方法ではなく、発明の詳細な説明に記載された範囲を超えたものではない。請求項1を引用して記載した請求項2-14についても同様である。
第4 むすび
以上のとおりであるから、平成30年2月28日付けの訂正請求による訂正は適法なものである。
本件請求項17-19、27-31に係る特許は、特許法第29条の規定に違反してされたものであるので、特許法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
本件請求項32-40に係る特許は、特許法第36条第6項の規定にする要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるので、特許法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。
本件発明1-16に係る特許については、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては取り消すことはできない。さらに、他に本件請求項1-16に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
本件請求項20-26に係る特許についての特許異議の申立ては却下すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2017-700753