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特許異議申立

2017-700737

再剥離型ウレタン粘着剤組成物並びにこれを用いて得られる再剥離可能な粘着フィルム及び光学部品の表面保護用フィルム

審判番号
2017-700737
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2014-109083外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2017年07月28日
審決日
2018年10月05日
公報発行日
2019年01月25日
結論
訂正認容
当事者
審判長/審判官
分類
P1651.121-YAA(C09J) / P1651.536-YAA(C09J) / P1651.537-YAA(C09J)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第2項第1号、特許法第120条の5第4項、特許法第36条第6項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第6070633号発明「再剥離型ウレタン粘着剤組成物並びにこれを用いて得られる再剥離可能な粘着フィルム及び光学部品の表面保護用フィルム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第6070633号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~7〕について訂正することを認める。 特許第6070633号の請求項1及び3~7に係る特許を維持する。 特許第6070633号の請求項2に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 特許第6070633号の請求項1~7に係る特許についての出願は、平成26年5月27日(優先権主張 平成25年5月29日)に出願され、平成29年1月13日に特許権の設定登録がされ、平成29年2月1日にその特許公報が発行され、その請求項1~7に係る発明の特許に対し、平成29年7月28日に半谷仁(以下「特許異議申立人A」という。)及び西村太一(以下「特許異議申立人B」という。)により、特許異議の申立てがされたものである。 特許異議の申立て後の手続の経緯は次のとおりである。 平成29年 8月17日   手続補正書(特許異議申立人A) 同年11月16日付け 取消理由通知 平成30年 1月11日   訂正請求書・意見書(特許権者) 同年 1月19日付け 手続補正指令(方式) 同年 2月 7日   手続補正書(特許権者) 同年 2月20日付け 通知書 同年 3月26日   意見書(特許異議申立人B) 同年 4月17日付け 取消理由通知(決定の予告) 同年 6月19日   訂正請求書・意見書・回答書(特許権者) 同年 6月25日付け 手続補正指令(方式) 同年 7月13日   手続補正書(特許権者) 同年 7月23日付け 通知書 なお、特許異議申立人Aは、平成30年2月20日付けの通知書及び同年7月23日付けの通知書に対して指定した期間内に何ら応答をしていない。 また、特許異議申立人Bは、平成30年7月23日付けの通知書に対して指定した期間内に何ら応答をしていない。 第2 訂正の適否 1.訂正の内容 平成30年6月19日付けの訂正請求による訂正(以下「本件訂正」という。)は、平成30年7月13日付けの手続補正により補正されたところ、その「請求の趣旨」は「特許第6070633号の明細書及び特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~7について訂正することを求める。」というものであり、その内容は、以下の訂正事項1~11のとおりである(なお、訂正箇所に下線を付す。)。 (1)訂正事項1 訂正前の請求項1に「末端に第1級の水酸基を有し、水酸基価10~40mgKOH/gであるポリウレタン樹脂(A)」とあるのを「ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及び多官能イソシアネートを反応させて得られたものである、末端に第1級の水酸基のみを有し、水酸基価10~40mgKOH/gであるポリウレタン樹脂(A)」に訂正する。 (2)訂正事項2 訂正前の請求項1に「ポリアルキレングリコール系化合物、エポキシ系化合物およびリン酸エステル系化合物から選ばれる少なくとも1種(C)」とあるのを「アジピン酸ジブチルジグリコール、ポリエチレングリコールビス(2-エチルヘキソエート)、9,10-エポキシステアリン酸ブチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ2-エチルヘキシル、および、リン酸トリ-2-エチルヘキシルから選ばれる少なくとも1種(C)」に訂正する。 (3)訂正事項3 請求項2を削除する。 (4)訂正事項4 訂正前の請求項3に「請求項1または2に記載」とあるのを「請求項1に記載」に訂正する。 (5)訂正事項5 請求項4に「請求項1~3のいずれかに記載」とあるのを「請求項1又は3に記載」に訂正する。 (6)訂正事項6 請求項5に「30,0000」とあるのを「300,000」に訂正する。 (7)訂正事項7 請求項5に「請求項1~4のいずれかに記載」とあるのを「請求項1、3、4のいずれかに記載」に訂正する。 (8)訂正事項8 請求項6に「請求項1~5のいずれかに記載」とあるのを「請求項1、3、4、5のいずれかに記載」に訂正する。 (9)訂正事項9 請求項7に「請求項1~5のいずれかに記載」とあるのを「請求項1、3、4、5のいずれかに記載」に訂正する。 (10)訂正事項10 明細書の段落0013に「30,0000」とあるのを「300,000」に訂正する。 (11)訂正事項11 明細書の段落0040に「エポキシ価不飽和脂肪酸エステル」とあるのを「エポキシ化不飽和脂肪酸エステル」に訂正する。 3.訂正の適否 (1)訂正事項1 ア 訂正の目的 訂正事項1は、訂正前の請求項1の「末端に第1級の水酸基を有し、水酸基価10~40mgKOH/gであるポリウレタン樹脂(A)」を「ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及び多官能イソシアネートを反応させて得られたものである、末端に第1級の水酸基のみを有し、水酸基価10~40mgKOH/gであるポリウレタン樹脂(A)」として、その「ポリウレタン樹脂(A)」を「ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及び多官能イソシアネートを反応させて得られたもの」に限定するとともに、その「末端に第1級の水酸基を有し」という事項の「末端」の「水酸基」を第1級の水酸基(末端が-CH2-OHの構造の水酸基)のみとして、例えば末端に第2級の水酸基(末端が-CHCH3-OHの構造の水酸基など)を有する場合のものなどを範囲から除外するものである。 したがって、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 イ 特許請求の範囲の拡張又は変更の存否 上記アで述べたように、訂正事項1は「特許請求の範囲の減縮」のみを目的とするものであるから、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。 ウ 新規事項の有無(特許明細書等に記載した事項の範囲内か否か) 本件特許明細書の段落0050の「合成例1…アデカポリエーテルAM-302(末端エチレンオキサイドキャップの3官能ポリプロピレングリコール…アデカ製)160部、クラレポリオールP-1010(2官能ポリエステルポリオール…クラレ製)40部、ヘキサメチレンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業製)13部加え、…ポリウレタン樹脂溶液(不揮発分 60%)を得た。」との記載にある合成例1のポリウレタン樹脂(A)は、 ポリエーテルポリオールとして「アデカポリエーテルAM-302」という製品名の末端がエチレンオキサイドでキャップされたポリオール(末端が-CH2CHCH3-O-CH2CH2-OHの構造を有する第1級の水酸基のみを有するポリオール)、 ポリエステルポリオールとして「クラレポリオールP-1010」という製品名の甲第9号証に示される化学式(構造式)を有するポリオール(末端が-CH2CH2CHCH3CH2CH2-OHの構造を有する第1級の水酸基のみを有するポリオール)、及び 多官能イソシアネート化合物として「ヘキサメチレンジイソシアネート」を反応させて得られたポリウレタン樹脂であって、 その水酸基の全てが「末端に第1級の水酸基」のみを有するものに該当する。 したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 (2)訂正事項2 ア 訂正の目的 訂正事項2は、訂正前の請求項1の「ポリアルキレングリコール系化合物、エポキシ系化合物およびリン酸エステル系化合物から選ばれる少なくとも1種(C)」を「アジピン酸ジブチルジグリコール、ポリエチレングリコールビス(2-エチルヘキソエート)、9,10-エポキシステアリン酸ブチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ2-エチルヘキシル、および、リン酸トリ-2-エチルヘキシルから選ばれる少なくとも1種(C)」として、 その「ポリアルキレングリコール系化合物」を「アジピン酸ジブチルジグリコール」及び「ポリエチレングリコールビス(2-エチルヘキソエート)」から選ばれるものに限定し、 その「エポキシ系化合物」を「9,10-エポキシステアリン酸ブチル」及び「エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ2-エチルヘキシル」から選ばれるものに限定し、 その「リン酸エステル系化合物」を「リン酸トリ-2-エチルヘキシル」に限定するものである。 したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 イ 特許請求の範囲の拡張又は変更の存否 上記アで述べたように、訂正事項2は「特許請求の範囲の減縮」のみを目的とするものであるから、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。 ウ 新規事項の有無(特許明細書等に記載した事項の範囲内か否か) 例えば、特開平7-331015号公報(甲11)の段落0036の「モノサイザーW260:アジピン酸ジブチルジグリコール」との記載からみて、本件特許明細書の段落0058の「(実施例1)…(C)成分としてモノサイザー W-260」との記載にあるポリアルキレングリコール系化合物が「アジピン酸ジブチルジグリコール」であることは明らかであり、 例えば、特開2004-83665号公報(乙1)の段落0102の「モノサイザーW-262…ポリエチレングリコールビス(2-エチルヘキソエート)」との記載からみて、本件特許明細書の段落0064の「(実施例4)…(C)成分としてモノサイザー W-262」との記載にあるポリアルキレングリコール系化合物が「ポリエチレングリコールビス(2-エチルヘキソエート)」であることは明らかであり、 例えば、特開平9-208978号公報(乙3)の段落0149の「9,10-エポキシステアリン酸ブチル…サンソサイザーE-4030」との記載からみて、本件特許明細書の段落0067の「(実施例7)…(C)成分としてサンソサイザー E-4030」との記載にあるエポキシ系化合物が「9,10-エポキシステアリン酸ブチル」であることは明らかであり、 例えば、特開2013-155293号公報(乙4)の段落0070の「サンソサイザーE-6000…エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ2-エチルヘキシル」との記載からみて、本件特許明細書の段落0070の「(実施例10)…(C)成分としてサンソサイザー E-6000」との記載にあるエポキシ系化合物が「エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ2-エチルヘキシル」であることは明らかであり、 例えば、特開2013-23568号公報(乙5)の段落0052の「トリス(2-エチルヘキシル)ホスフェート TOP」との記載からみて、本件特許明細書の段落0071の「(実施例11)…(C)成分としてTOP」との記載にあるリン酸エステル系化合物が「リン酸トリ-2-エチルヘキシル」であることは明らかである。 したがって、訂正事項2は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 (3)訂正事項3 ア 訂正の目的 訂正事項3は、訂正前の請求項2を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものに該当する。 イ 特許請求の範囲の拡張又は変更 訂正事項3は、訂正前の請求項2を削除するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。 ウ 新規事項の有無(特許明細書等に記載した事項の範囲内か否か) 訂正事項3は、訂正前の請求項2を削除するものであるから、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてしたものである。 したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 (4)訂正事項4~5及び7~9 ア 訂正の目的 訂正事項4~5及び7~9は、訂正事項3の訂正前の請求項2の削除にともない、訂正前の請求項2を引用する請求項3~7の記載を、当該請求項2の記載を引用しないものとする訂正であるから、特許法第120条の5第2項第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 したがって、訂正事項4~5及び7~9は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものに該当する。 イ 特許請求の範囲の拡張又は変更 訂正事項4~5及び7~9は、訂正前の請求項2を引用する請求項3~7の記載を、当該請求項2の記載を引用しないものとするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項4~5及び7~9は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。 ウ 新規事項の有無(特許明細書等に記載した事項の範囲内か否か) 訂正事項4~5及び7~9は、訂正前の請求項2を引用する請求項3~7の記載を、当該請求項2の記載を引用しないものとするものであるから、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてしたものである。 したがって、訂正事項4~5及び7~9は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 (5)訂正事項6及び10 ア 訂正の目的 訂正事項6及び10は、訂正前の請求項5及び明細書の段落0013の「30,0000」との記載が「300,000」の明らかな誤記であり、その記載を本来意図するところの記載に改めるためのものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第2号に掲げる「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものに該当する。 したがって、訂正事項6及び10は、特許法第120条の5第2項ただし書第2号に掲げる事項を目的とするものに該当する。 イ 特許請求の範囲の拡張又は変更 訂正事項6及び10は、訂正前の請求項5及び明細書の段落0013の明らかな誤記を本来意図するところの記載に改めるためのものであって、訂正前の「30,0000」との記載に接した当業者にしてみれば、これが「300,000」を意図していると直ちに解することができるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項6及び10は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。 ウ 新規事項の有無(当初明細書等に記載した事項の範囲内か否か) 訂正事項6は、訂正前の請求項5及び明細書の段落0013の明らかな誤記を本来意図するところの記載に改めるためのものであって、訂正前の「30,0000」との記載に接した当業者にしてみれば、これが「300,000」を意図していると直ちに解することができるから、願書に最初に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてしたものである。 したがって、訂正事項6及び10は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 (6)訂正事項11 ア 訂正の目的 訂正事項11は、訂正前の明細書の段落0040の「エポキシ価不飽和脂肪酸エステル」との記載が「エポキシ化不飽和脂肪酸エステル」の明らかな誤記であって、その記載を本来意図するところの記載に改めるためのものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第2号に掲げる「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものに該当する。 したがって、訂正事項11は、特許法第120条の5第2項ただし書第2号に掲げる事項を目的とするものに該当する。 イ 特許請求の範囲の拡張又は変更 訂正事項11は、訂正前の明細書の段落0040の明らかな誤記を本来意図するところの記載に改めるためのものであって、訂正前の「エポキシ価不飽和脂肪酸エステル」との記載に接した当業者にしてみれば、これが「エポキシ化不飽和脂肪酸エステル」を意図していると直ちに解することができるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項11は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。 ウ 新規事項の有無(当初明細書等に記載した事項の範囲内か否か) 訂正事項11は、訂正前の明細書の段落0040の明らかな誤記を本来意図するところの記載に改めるためのものであって、訂正前の「エポキシ価不飽和脂肪酸エステル」との記載に接した当業者にしてみれば、これが「エポキシ化不飽和脂肪酸エステル」を意図していると直ちに解することができるから、願書に最初に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてしたものである。 したがって、訂正事項11は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 (7)一群の請求項について 訂正事項1~9に係る訂正前の請求項1~7について、その請求項2~7はそれぞれ請求項1を引用しているものであるから、訂正前の請求項1~7に対応する訂正後の請求項1及び3~7は特許法第120条の5第4項に規定される一群の請求項である。 したがって、訂正事項1~9による本件訂正は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項に対してなされたものである。 訂正事項10及び11による明細書の訂正に係る請求項は、訂正前の請求項1~7であるから、訂正事項10及び11と関係する一群の請求項が請求の対象とされている。 したがって、訂正事項10及び11による本件訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第4項に適合するものである。 (8)訂正の適否のまとめ 以上総括するに、訂正事項1~11による本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第2号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項において準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔1~7〕について訂正を認める。 第3 本件発明 1.訂正後の請求項1及び3~7に係る発明 本件訂正により訂正された請求項1及び3~7に係る発明(以下「本1発明」及び「本3発明」~「本7発明」ともいう。)は、その特許請求の範囲の請求項1及び3~7に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及び多官能イソシアネートを反応させて得られたものである、末端に第1級の水酸基のみを有し、水酸基価10~40mgKOH/gであるポリウレタン樹脂(A)100重量部、多官能イソシアネート化合物(B)1~20重量部、ならびにアジピン酸ジブチルジグリコール、ポリエチレングリコールビス(2-エチルヘキソエート)、9,10-エポキシステアリン酸ブチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ2-エチルヘキシル、および、リン酸トリ-2-エチルヘキシルから選ばれる少なくとも1種(C)25~100重量部を含有することを特徴とする再剥離型ウレタン粘着剤組成物。 【請求項3】前記(C)成分の平均分子量が300~800であることを特徴とする請求項1に記載の再剥離型ウレタン粘着剤組成物。 【請求項4】多官能イソシアネート化合物(B)が3官能以上である請求項1又は3に記載の再剥離型ウレタン粘着剤組成物。 【請求項5】ポリウレタン樹脂(A)の数平均分子量が5,000~300,000である請求項1、3、4のいずれかに記載の再剥離型ウレタン粘着剤組成物。 【請求項6】プラスチックフィルム基材に請求項1、3、4、5のいずれかに記載の再剥離型ウレタン粘着剤組成物の粘着層が形成された再剥離可能な粘着フィルム。 【請求項7】プラスチックフィルム基材に請求項1、3、4、5のいずれかに記載の再剥離型ウレタン粘着剤組成物の粘着層が形成された再剥離可能な光学部品の表面保護用フィルム。」 2.本件特許明細書の記載 本件特許明細書には、次のとおりの記載がある。 摘示a:背景技術 「【0002】粘着テープ、シールおよびラベル等に粘着性を付与する粘着剤は、粘着性を有しつつ容易に再剥離が可能な特性が求められる。近年、パソコン、テレビ、携帯電話等の液晶ディスプレイやタッチパネルなどの光学部品の製造工程において、また、製品の梱包輸送時や使用時において、表面を汚れや傷から保護する表面保護フィルムの需要が増加している。特に、光学部品用の表面保護フィルムは、その製造工程で貼付と剥離が繰り返される場合があるため、貼付のしやすさ(被着体への濡れ広がり)と剥離の際に製品表面に糊残りがないこと(再剥離性)が必要である。また、光学部品の薄膜化に伴い光学部品自体が割れやすくなっており、表面保護フィルムは、粘着性を有しながらも、より軽い力で剥離が可能な特性(軽剥離性)が必要となってきている。 【0003】この問題を解決すべく、種々のウレタン粘着剤が提案されている。ウレタン粘着剤とは、末端に水酸基を有するポリウレタン樹脂と多官能イソシアネート化合物との二液性の粘着剤のことで、ポリウレタン樹脂と多官能イソシアネートが架橋することによって粘着特性が発現する。ポリウレタン樹脂に用いられるポリオール成分としては、ポリエーテルポリオールあるいはポリエステルポリオールがよく知られており、このうち、ポリエーテルポリオールを使用したウレタン粘着剤は、柔軟性が出て粘着力は向上するが、凝集力が低下して糊残りしやすくなるといった問題点がある。一方、ポリオール成分としてポリエステルポリオールを用いたウレタン粘着剤は、粘着剤としての凝集力が高く糊残りを抑制することができるが、粘着剤層自体の硬度も高くなって被着体との密着性が低下し、粘着力が発現しにくくなることが知られている(特許文献1)。 【0004】これらの改良のために、ポリエーテルポリオールとポリエステルポリオールを併用したウレタン粘着剤が開示されている(特許文献2)。さらに、第三成分として脂肪酸エステルを配合することにより、被着体に粘着フィルムを貼りつける際の、粘着フィルムが速やかに被着体に密着する現象、所謂、濡れ広がり性を高めフィルム粘着時の作業性に優れたウレタン粘着剤(特許文献3)が開示されている。」 摘示b:発明が解決しようとする課題 「【0007】本発明は、短時間の乾燥硬化によって粘着力を発現させることができるために生産性が高く、さらに、例えば、100℃以上の硬化条件であっても被着体への濡れ広がり性が良好で、粘着力が過度に上昇してしまうこともなく安定した特性が得られる再剥離が可能なウレタン樹脂粘着剤組成物、およびウレタン樹脂粘着剤の接着層が形成された再剥離可能な粘着フィルムを提供することを目的とする。」 摘示c:ポリウレタン樹脂の合成例1 「【0050】合成例1 ポリウレタン樹脂溶液の合成 撹拌器、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下漏斗を備え付けた4口フラスコにアデカポリエーテルAM-302(末端エチレンオキサイドキャップの3官能ポリプロピレングリコール、水酸基価56mgKOH/g、分子量3,000、アデカ製)160部、クラレポリオールP-1010(2官能ポリエステルポリオール、水酸基価112mgKOH/g、分子量1,000、クラレ製)40部、ヘキサメチレンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業製)13部加え、触媒としてジオクチル錫ジラウレート0.1部、トルエン142部仕込み、80℃まで徐々に昇温し、4時間反応を行った。IRを用いてイソシアネート基の消滅を確認してから冷却し、ポリウレタン樹脂溶液(不揮発分 60%)を得た。このポリウレタン樹脂の数平均分子量(ゲルパーメーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算値、以下同じ)は12,000、水酸基価は22mgKOH/gであった。」 摘示d:ポリウレタン樹脂の合成例4 「【0053】合成例4 ポリウレタン樹脂溶液の合成 撹拌器、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下漏斗を備え付けた4口フラスコにクラレポリオールF-3010(3官能脂肪族系ポリエステルポリオール、水酸基価56mgKOH /g、分子量3,000、クラレ製)160部、クラレポリオールP-1010 40部、ヘキサメチレンジイソシアネート13部加え、触媒としてジオクチル錫ジラウレート0.1部、トルエン142部仕込み、80℃まで徐々に昇温し、4時間反応を行った。IRを用いてイソシアネート基の消滅を確認してから冷却し、ポリウレタン樹脂溶液(不揮発分 60%)を得た。このポリウレタン樹脂の数平均分子量は11,500、水酸基価は22mgKOH/gであった。」 摘示e:実施例1 「【0058】<評価方法> 1、塗工方法 (実施例1) ポリウレタン樹脂(A)として合成例1で合成したポリウレタン樹脂溶液167重量部((A)成分として100重量部)に対して、多官能イソシアネート化合物(B)としてコロネートHX(ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体 日本ポリウレタン工業製)を10重量部と、(C)成分としてモノサイザー W-260(ポリアルキレングリコール系化合物、分子量434、DIC製)を25重量部とを配合し、粘着剤を得た。得られた粘着剤をポリエチレンテレフタレートフィルム(膜厚50μm)に乾燥塗膜10μmになるように塗工し、120℃で2分、あるいは120℃で5分乾燥させ、粘着シートを得た。該粘着シートを用いて、以下に示す方法に従って、粘着力、再剥離性及び濡れ広がり性の試験をした。各評価試験の結果を表1に示す。」 摘示f:表1 「【0090】【表1】 」 第4 取消理由通知の概要 1.〔理由2〕の概要 平成29年11月16日付けの取消理由通知、及び平成30年4月17日付けの取消理由通知(決定の予告)で通知した〔理由2〕の取消理由の概要は、次のとおりである。 〔理由2〕本件特許の請求項1~7に係る発明は、特許請求の範囲の記載が下記の(1)及び(2)点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に適合するものではない。 よって、本件特許の請求項1~7に係る発明に係る特許は、特許法第36条第6項の規定を満たさない特許出願に対してなされたものであり、同法第113条第1項第4号の規定により取り消されるべきものである。 (1)可塑剤(C)の範囲について、同じ「脂肪酸エステル」又は「ポリアルキレングリコール系化合物」に属する可塑剤であっても、その商品名の異なる「脂肪酸エステル」の種類によって、濡れ性、粘着力、再剥離性などの性能に顕著な差異が生じるとする試験結果が、本件特許明細書の発明の詳細な説明に示されているので、本件特許明細書の「4種類のアルキレングリコール系可塑剤と2種類のエポキシ系可塑剤と1種類のリン酸系可塑剤」を用いた実施例に基づき、本件特許の請求項1に記載された選択肢の全てが、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるとは認められず、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるとも認められない。 (2)ポリオール成分の範囲について、本件特許明細書の段落0090の表1に記載された実施例1~18で用いられている合成例1~5のポリウレタン樹脂(A)の各々は、いずれも2種類のポリオール成分を併用したものであり、例えば、ポリエーテルポリオールのみを用いた場合に、本件特許の請求項1~7に係る発明の課題を解決できることを具体的に裏付ける試験結果の記載は発明の詳細な説明に見当たらないので、ポリウレタン樹脂(A)が本件特許の請求項2のものに限定されていない本件特許の請求項1及び3~7の記載は、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるとは認められず、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるとも認められない。 2.〔理由1〕の概要 平成29年11月16日付けの取消理由通知で通知され、その後の取消理由通知(決定の予告)で通知されなかった〔理由1〕の取消理由の概要は、次のとおりである。 〔理由1〕本件特許の請求項1~7に係る発明は、本件出願日前に日本国内又は外国において頒布された以下の刊行物1~7に記載された発明に基いて、本件出願日前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、本件特許の請求項1~7に係る発明に係る特許は、同法第29条の規定に違反してなされたものであり、同法第113条第1項第2号の規定により取り消されるべきものである。 刊行物1:特開2011-190420号公報(特許異議申立人Aの甲4) 刊行物2:特開2010-189580号公報 刊行物3:特開2007-327012号公報(特許異議申立人Aの甲3) 刊行物4:国際公開第2008/038465号(特許異議申立人Aの甲12) 刊行物5:特開平7-331015号公報(特許異議申立人Aの甲11) 刊行物6:特開平6-101114号公報 刊行物7:特開2006-307197号公報 第5 当審の判断 1.〔理由2〕について (1)サポート要件の適合要件 一般に『特許請求の範囲の記載が,明細書のサポート要件に適合するか否かは,特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し,特許請求の範囲に記載された発明が,発明の詳細な説明に記載された発明で,発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か,また,その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものであり,明細書のサポート要件の存在は,特許出願人(…)が証明責任を負うと解するのが相当である。』とされている〔平成17年(行ケ)10042号判決参照。〕。 (2)特許請求の範囲及び明細書の記載 訂正後の請求項1及び3~7の記載は、上記「第3」の「1.訂正後の請求項1及び3~7に係る発明」の項に示したとおりである。 また、本件特許明細書には、上記「第3」の「2.本件特許明細書の記載」の項に示したとおりの記載がなされている。 (3)本1及び本3~本7発明の解決しようとする課題 本件特許明細書の段落0007(摘示b)の「本発明は、短時間の乾燥硬化によって粘着力を発現させることができるために生産性が高く、さらに、例えば、100℃以上の硬化条件であっても被着体への濡れ広がり性が良好で、粘着力が過度に上昇してしまうこともなく安定した特性が得られる再剥離が可能なウレタン樹脂粘着剤組成物、およびウレタン樹脂粘着剤の接着層が形成された再剥離可能な粘着フィルムを提供することを目的とする。」との記載を含む発明の詳細な説明の全体の記載からみて、本件特許の請求項1及び3~7に係る発明の解決しようとする課題は『短時間の乾燥硬化によって粘着力を発現させることができるために生産性が高く、100℃以上の硬化条件であっても被着体への濡れ広がり性が良好で、粘着力が過度に上昇してしまうこともなく安定した特性が得られる再剥離が可能なウレタン樹脂粘着剤組成物、およびウレタン樹脂粘着剤の接着層が形成された再剥離可能な粘着フィルムの提供』にあるものと認められる。 (4)ポリオール成分の範囲について 本件特許の請求項1の記載について「特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比」する。 本件特許の請求項1の「ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及び多官能イソシアネートを反応させて得られたものである、末端に第1級の水酸基のみを有し、水酸基価10~40mgKOH/gであるポリウレタン樹脂(A)」について、 本件特許明細書の段落0090(摘示f)の表1に記載された実施例1~15及び17~18で用いられている合成例1~3及び5のポリウレタン樹脂(A)の各々は、いずれもポリオール成分として、ポリエーテルポリオールと、ポリエステルポリオールの2種類を併用したものである。 そして、当該表1には、実施例1~15及び17~18の試験結果として、同段落0058(摘示e)の「120℃で2分、あるいは120℃で5分乾燥」させて得られた粘着シートの「粘着力、再剥離性及び濡れ広がり性の試験」において優れた結果が得られたことが示されている。 してみると、ポリオール成分の範囲について、その範囲を訂正前の請求項2のものに限定した本件特許の請求項1及び3~7の記載が、上記『第4 1.(2)ポリオール成分の範囲について』の項に示したとおりの「ポリウレタン樹脂(A)が本件特許の請求項2のものに限定されていない本件特許の請求項1及び3~7の記載は、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるとは認められず、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるとも認められない。」との理由に該当しないことは明らかである。 したがって、本件特許の請求項1及び3~7の記載は、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載されたものではないとはいえず、特許法第36条第6項第1号に適合するものではないとはいえない。 (5)可塑剤(C)の範囲について 本件特許の請求項1の記載について「特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比」する。 本件特許の請求項1の「アジピン酸ジブチルジグリコール、ポリエチレングリコールビス(2-エチルヘキソエート)、9,10-エポキシステアリン酸ブチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ2-エチルヘキシル、および、リン酸トリ-2-エチルヘキシルから選ばれる少なくとも1種(C)」について、 本件特許明細書の段落0090(摘示f)の表1に記載された実施例1~18で用いられている(C)の製品名について、実施例1の「W-260」との記載にあるポリアルキレングリコール系化合物が「アジピン酸ジブチルジグリコール」であり、実施例4の「W-262」との記載にあるポリアルキレングリコール系化合物が「ポリエチレングリコールビス(2-エチルヘキソエート)」であり、実施例7の「E-4030」との記載にあるエポキシ系化合物が「9,10-エポキシステアリン酸ブチル」であり、実施例10の「E-6000」との記載にあるエポキシ系化合物が「エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ2-エチルヘキシル」であり、実施例11の「TOP」との記載にあるリン酸エステル系化合物が「リン酸トリ-2-エチルヘキシル」であることは、上記『第2 3.(2)ウ 新規事項の有無』の項に示したとおり明らかである。 そして、当該表1には、実施例1、4、7、10及び11の試験結果として、同段落0058(摘示e)の「120℃で2分、あるいは120℃で5分乾燥」させて得られた粘着シートの「粘着力、再剥離性及び濡れ広がり性の試験」において優れた結果が得られたことが示されている。 してみると、可塑剤(C)の範囲について、その範囲を、濡れ性、粘着力、再剥離性などの性能において優れた試験結果が得られた実施例で用いられたものに限定した本件特許の請求項1及び3~7の記載が、上記『第4 1.(1)可塑剤(C)の範囲について』の項に示したとおりの「本件特許の請求項1に記載された選択肢の全てが、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるとは認められず、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるとも認められない。」との理由に該当しないことは明らかである。 したがって、本件特許の請求項1及び3~7の記載は、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載されたものではないとはいえず、特許法第36条第6項第1号に適合するものではないとはいえない。 2.〔理由1〕について (1)引用刊行物及びその記載事項 上記刊行物1には、次の記載がある。 摘記1a:請求項1 「【請求項1】ポリウレタンポリオール(A)を50~95重量%、多官能イソシアネート化合物(B)を0.5~20重量%、炭素数が10~30である脂肪酸エステル(C)を0.5~50重量%含有することを特徴とするウレタン粘着剤。」 摘記1b:段落0001及び0005 「【0001】本発明は、粘着テープや粘着ラベル、好ましくはガラスや鏡面などの表面保護粘着シートに用いられるウレタン粘着剤に関するものである。… 【0005】本発明は、再剥離性を維持しつつ、基材への密着性、濡れ広がり性(粘着シートの糊面を基材に接触させた後、粘着シートが自重で基材と密着していく現象)、泡抜け性(貼付時にはさみこんだ気泡が指で押し広げたときに抜けるかどうか)が良好なウレタン系粘着剤を提供することを目的とする。」 摘記1c:段落0010 「【0010】 まず、本発明に用いるポリウレタンポリオール(A)について説明する。 本発明に用いるポリウレタンポリオール(A)は、ポリエステルポリオール(a1)と、ポリエーテルポリオール(a2)とを、触媒存在下又は無触媒で有機ポリイソシアネ-ト化合物(a3)と反応させてなるものである。」 摘記1d:段落0035及び0037~0038 「【0035】本発明で用いる脂肪酸エステル(C)としては、炭素数が8~18の一塩基酸ないし多塩基酸と炭素数が18以下の分岐アルコールとのエステルや、炭素数が14~18の不飽和脂肪酸ないしは分岐酸と4価以下のアルコールとのアルコールのエステルが、好適に用いられる。… 【0037】…4価以下のアルコールとしては、具体的には、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール又はソルビタン等が挙げられる。 【0038】…多官能イソシアネート化合物(B)が、0.5重量%未満では粘着剤としての凝集力が低下し、20重量%越えると粘着力が低下する。」 摘記1e:段落0046~0047、0053、0055及び0058 「【0046】(合成例1)撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロートを備えた4口フラスコにポリエステルポリオールP-1010(2官能ポリエステルポリオール、OH価112、分子量1,000、クラレ株式会社製)81重量部、ポリエーテルポリオールG-3000B(3官能ポリエーテルポリオール、OH価56、分子量3,000、旭電化株式会社製)101g、ヘキサメチレンジイソシアネート(住友バイエル株式会社製)19重量部、トルエン134重量部、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.05重量部、2-エチルヘキサン酸錫0.02重量部を仕込み、90℃まで徐々に昇温し2時間反応を行う。IRで残存イソシアネート基の消滅を確認した上で冷却し反応を終了することでポリウレタンポリオール溶液を得た。このポリウレタンポリオール溶液は無色透明で不揮発分60%、粘度3,300cps、Mn(数平均分子量)=15,500、Mw(重量平均分子量)=46,000であった。分子量測定に関しては、島津製作所製Prominenceを用いて実施した(カラム;TOSOH製 TSKgelGMH×2本連結、検出器;RID-10A、溶媒;THF、流速;1ml/分)。 【0047】(実施例1)合成例1で合成したポリウレタンポリオール溶液100重量部に対して、炭素数10~30である脂肪酸エステル(C)としてパルミチン酸イソプロピル(IPP)を8.3重量部と、イソシアネート基を有する化合物(B)としてヘキサメチレンジイソシアネートトリメチロールプロパンアダクト体75重量%酢酸エチル溶液を16.7重量部とを配合し、粘着剤を得た。得られた粘着剤を剥離紙に乾燥塗膜25μmになるように塗工し、100℃-2分乾燥させ、ポリエチレンテレフタレートフィルム(膜厚50μm)を貼着した。塗工後室温で1週間経過させ、試験用粘着シートを得た。該粘着シートを用いて、以下に示す方法に従って、粘着力、再剥離性、濡れ広がり性、泡抜け性の試験をした。… 【0053】(実施例4)脂肪酸エステル(C)としてミリスチン酸イソプロピル(IPM)を、ポリウレタンポリオール溶液100重量部に対し33.3重量部配合した以外は、実施例1と同様にして試験用粘着シートを得、同様に評価した。… 【0055】(比較例2)脂肪酸エステル(C)の代わりに、ポリエーテルポリオールPP-2000(2官能ポリエーテルポリオール、OH価56、三洋化成工業株式会社製)を、ポリウレタンポリオール溶液100重量部に対し33.3重量部配合した以外は、実施例1と同様にして試験用粘着シートを得、同様に評価した。… 【0058】【表1】 」 上記刊行物2には、次の記載がある。 摘記2a:請求項1~4 「【請求項1】ガラス転移点が30℃以下で、かつ水酸基価が0.1~20KOHmg/g、数平均分子量10,000~100,000のウレタン変性ポリエステル樹脂と当該樹脂に相溶性を有する可塑剤からなることを特徴とする感圧接着剤組成物。 【請求項2】前記可塑剤がポリエステル系可塑剤であることを特徴とする請求項1に記載の感圧接着剤組成物。 【請求項3】さらに、前記ウレタン変性ポリエステル樹脂を架橋することのできる架橋剤が、前記ウレタン変性ポリエステル樹脂の水酸基価の当量以下配合されることを特徴とする請求項1または2に記載の感圧接着剤組成物。 【請求項4】前記架橋剤がメラミン系多官能架橋剤またはイソシアネート系多官能架橋剤であることを特徴とする請求項3に記載の感圧接着剤組成物。」 摘記2b:段落0009及び0040 「【0009】本発明は上記従来の問題点を解決すべくなされたものであり、ウレタン塗装、メラミン塗装、エポキシ塗装などの樹脂塗装面に対しても初期接着性が極めて弱く、粘着シートの貼り付け位置を容易に調整することができ、また貼り付け時にエア咬みの問題の起こるおそれのすくない粘着シートを形成することのできる感圧接着剤(粘着剤)組成物を提供することを目的とする。… 【0040】本発明の感圧接着剤組成物は、ガラス転移点が30℃以下で、かつ水酸基価が0.1~20KOHmg/g、数平均分子量10,000~100,000のウレタン変性ポリエステル樹脂と当該樹脂に相溶性を有する可塑剤からなる、あるいはこれにさらに前記ウレタン変性ポリエステル樹脂を架橋することのできる架橋剤が必要に応じ配合されることを特徴とする。」 摘記2c:段落0047及び0049 「【0047】本発明では、ガラス転移点が30℃以下で、かつ水酸基価が0.1~20KOHmg/g、数平均分子量が10,000~100,000のウレタン変性ポリエステル樹脂が用いられるが、ガラス転移点が30℃を超えると、接着層と被着体との密着性が低下し24時間後の接着強度が不十分となる。一方、水酸基価が0.1未満であると十分な架橋性が得られないし、20を越えると初期接着性が強くなり、貼り付け作業性が劣ることになる。また数平均分子量が10,000未満では、凝集力が小さく経時若しくは加熱後の接着強度(保持性)が不十分で、貼付した粘着シートのずれや糊のはみ出しなどの問題を引き起こし、数平均分子量が100,000を超える場合は、溶液粘度が高くなり、塗工性が悪くなる。したがって、上記ポリエステルポリオールとポリイソシアネート化合物との配合割合は、ポリエステルポリオールとポリイソシアネート化合物の構造、特性に応じ、上記のようなウレタン変性ポリエステル樹脂が得られる配合比とされる。… 【0049】(可塑剤)本発明の感圧接着剤組成物で用いられる上記ウレタン変性ポリエステル樹脂に相溶性を有する可塑剤としては、上記ウレタン変性ポリエステル樹脂に相溶性を有する限り、従来公知の可塑剤(例えば、フタル酸エステル系、アジピン酸エステル系、セバシン酸エステル系、トリメリット酸エステル系、リン酸エステル系、クエン酸エステル系、エポキシ化大豆油などのエポキシ系、マレイン酸エステル系などの可塑剤)のいずれをも用いることができるが、中でもポリエステル系可塑剤が好ましいものとして挙げられる。」 摘記2d:段落0092及び0098 「【0092】実施例1 ガラス転移点(Tg)10℃、水酸基価10KOHmg/g、数平均分子量40×103のウレタン変性ポリエステル樹脂(東洋紡製、バイロンUR-3500)80重量部、ガラス転移点(Tg)-22℃、水酸基価3KOHmg/g、数平均分子量32×103のウレタン変性ポリエステル樹脂(東洋紡製、バイロンUR-8700)20重量部、数平均分子量1,000のポリエステル系可塑剤(アデカ製、アデカサイザーPN-150)10重量部を混合し、この感圧接着剤組成物をシリコーン剥離紙上に乾燥膜厚30μmになるよう塗布し、100℃で5分間乾燥させた。… 【0098】実施例3 ウレタン変性ポリエステル樹脂を東洋紡製UR-3500 100重量部のみとし、数平均分子量2,500のポリエステル系可塑剤(アデカ製、アデカサイザーPN-350)20重量部およびポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業製、コロネートHL)5重量部を配合して感圧接着剤組成物とした。」 上記刊行物3には、次の記載がある。 摘記3a:段落0005及び0018 「【0005】高価なシリコーン系の粘着剤を用いることなく、安価なアクリル系粘着剤を主とする粘着剤を用いて、各種ディスプレイ表面の欠陥検査が可能であり、濡れ性がよく、気泡が抜け易く、手張りが可能なディスプレイ表面保護フィルムを提供することを目的とする。… 【0018】また、上記可塑剤は、上記架橋型アクリル系粘着剤を構成する(メタ)アクリル共重合体、すなわち架橋させる前の(メタ)アクリル共重合体100重量部に対して、8重量部以上80重量部以下添加することが好ましく、10重量部以上50重量部以下添加することがより好ましく、20重量部以上30重量部以下添加することが特に好ましい。可塑剤の添加量が8重量部より少ないと手張りした際に気泡が抜け難くなる。また、80重量部より多いと、ディスプレイ表面に曇りが発生する恐れがある。」 摘記3b:段落0040~0041及び0051 「【0040】(実施例4)可塑剤として、SP値が8.9、粘度が30mPa・sのエーテルエステル系可塑剤(旭電化工業(株)製、商品名アデカサイザーRS-700)を用いた以外は、実施例1と同様にして粘着フィルムを作製した。 【0041】(実施例5)可塑剤として、SP値が9.2、粘度が800mPa・sのエーテルエステル系可塑剤(旭電化工業(株)製、商品名アデカサイザーPN-170)を用いた以外は、実施例1と同様にして粘着フィルムを作製した。… 【0051】表1から明らかなように、本発明の粘着フィルムである実施例1~5は、手貼りに必要な濡れ性、気泡の抜け性を備え、樹脂板に対する汚染性がなく、貼り付けたままでディスプレイ表面の欠陥検査を精度よく行うことが可能なものであった。」 上記刊行物4には、次の記載がある。 摘記4a:段落0046~0047 「【0046】【表1】…化合物No.22…ポリエチレングリコール(MW300)ジ-2-エチルヘキサノエート… 【0047】…前記表1の化合物No.22の市販品としては、(株)ADEKA製のアデカサイザーRS-700…が挙げられる。」 上記刊行物5には、次の記載がある。 摘記5a:段落0004、0034及び0036 「【0004】また、従来からアクリルゴムに使用されてきた可塑剤としては、主としてアジピン酸ジブトキシエトキシエチルやグルタル酸ジブトキシエトキシエトキシエチル(特公昭54-44695号公報)等のエーテルエステル系、ジオクチルフタレート(DOP)等のフタル酸ジエステル系、トリオクチルトリメリテート(TOTM)等のトリメリット酸トリエステル系などがあり、これらの可塑剤では耐熱性に問題があった。一方、耐熱性の良好なアジピン酸系ポリエステル等では耐寒性に問題があった。… 【0034】【表2】…可塑剤…比較例…3…W-260…4…W-262…5…RS-735… 【0036】…(12)モノサイザーW-260:アジピン酸ジブチルジグリコール(大日本インキ化学工業社製品)…(14)RS-735:ポリエーテルエステル系可塑剤(旭電化工業社製品)」 上記刊行物6には、次の記載がある。 摘記6a:段落0022 「【0022】…ポリエステル可塑剤(旭電化工業株式会社製PN-150:プロピレングリコールとブタンジオールの脂肪族ジアルコール2種とアジピン酸の脂肪族ジカルボン酸1種からなる脂肪族ポリエステルである。)」 上記刊行物7には、次の記載がある。 摘記7a:段落0091 「【0091】…ポリプロピレングリコール(Mn2,000)[サンニックスPP-2000、三洋化成工業(株)製]」 (2)刊行物1に記載された発明 刊行物1の段落0046~0047、0053、0055及び0058(摘記1e)の「合成例1…ポリエステルポリオールP-1010…81重量部、ポリエーテルポリオールG-3000B…101g、ヘキサメチレンジイソシアネート…19重量部…を仕込み…反応…ポリウレタンポリオール溶液を得た。…不揮発分60%…Mn(数平均分子量)=15,500…実施例1…合成例1で合成したポリウレタンポリオール溶液100重量部に対して、炭素数10~30である脂肪酸エステル(C)としてパルミチン酸イソプロピル(IPP)を8.3重量部と、イソシアネート基を有する化合物(B)としてヘキサメチレンジイソシアネートトリメチロールプロパンアダクト体75重量%酢酸エチル溶液を16.7重量部とを配合し、粘着剤を得た。…実施例4…脂肪酸エステル(C)としてミリスチン酸イソプロピル(IPM)を、ポリウレタンポリオール溶液100重量部に対し33.3重量部配合した以外は、実施例1と同様にして試験用粘着シートを得、同様に評価した。…比較例2…脂肪酸エステル(C)の代わりに、ポリエーテルポリオールPP-2000…を、ポリウレタンポリオール溶液100重量部に対し33.3重量部配合した以外は、実施例1と同様にして試験用粘着シートを得、同様に評価した。…再剥離性…◎」との記載からみて、刊行物1には、実施例4として、 『ポリエステルポリオール(商品名:P-1010)、ポリエーテルポリオール(商品名:G-3000B)、ヘキサメチレンジイソシアネートを反応させて得られた数平均分子量が15,500のポリウレタンポリオール溶液(不揮発分60%)100重量部に対して、ミリスチン酸イソプロピルを33.3重量部と、ヘキサメチレンジイソシアネートトリメチロールプロパンアダクト体75重量%酢酸エチル溶液を16.7重量部とを配合してなる、再剥離性の評価が◎の粘着剤。』についての発明(以下「刊1発明」という。)が記載されているといえる。 (3)対比 本1発明と刊1発明とを対比する。 刊1発明の「ポリエステルポリオール(商品名:P-1010)、ポリエーテルポリオール(商品名:G-3000B)、ヘキサメチレンジイソシアネートを反応させて得られた数平均分子量が15,500のポリウレタンポリオール溶液(不揮発分60%)」の「不揮発分」は、刊1発明の「ヘキサメチレンジイソシアネート」が本1発明の「多官能イソシアネート」に該当することが明らかであることから、本1発明の「ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及び多官能イソシアネートを反応させて得られたものである…ポリウレタン樹脂(A)」に相当する。 刊1発明の「ポリウレタンポリオール溶液(不揮発分60%)100重量部に対して、ミリスチン酸イソプロピルを33.3重量部」は、刊1発明の「ミリスチン酸イソプロピル」と本1発明の「アジピン酸ジブチルジグリコール、ポリエチレングリコールビス(2-エチルヘキソエート)、9,10-エポキシステアリン酸ブチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ2-エチルヘキシル、および、リン酸トリ-2-エチルヘキシルから選ばれる少なくとも1種」のうちの「アジピン酸ジブチルジグリコール」等とが、両者とも「脂肪酸エステル系化合物」である点において共通し、刊1発明の「33.3重量部」がポリウレタンポリオールの不揮発分100重量部当たりに換算して33.3÷60×100=55.5重量部になるから、本1発明の「(C)25~100重量部」に相当するので、両者は「脂肪酸エステルから選ばれる少なくとも1種(C)25~100重量部を含有する」という点において共通する。 刊1発明の「ポリウレタンポリオール溶液(不揮発分60%)100重量部に対して、…ヘキサメチレンジイソシアネートトリメチロールプロパンアダクト体75重量%酢酸エチル溶液を16.7重量部」は、本件特許明細書の段落0029の「(A)成分に用いられる多官能イソシアネートとしては…ヘキサメチレンジイソシアネート」との記載、及び同段落0037の「本発明に用いられる多官能イソシアネート化合物(B)としては前述の(A)成分の合成に使用する多官能イソシアネート化合物…のアダクト体…中でもアダクト体…が好ましい」との記載からみて、当該「ヘキサメチレンジイソシアネートトリメチロールプロパンアダクト体」は本1発明の「多官能イソシアネート化合物(B)」に該当し、当該「75重量%酢酸エチル溶液を16.7重量部」がポリウレタンポリオールの不揮発分100重量部当たりのアダクト体の量に換算して16.7×0.75÷60×100=20.875重量部になるから、本1発明の「多官能イソシアネート化合物(B)1~20重量部」に対応する。 刊1発明の「再剥離性の評価が◎の粘着剤」は、ウレタンポリオールを主成分とするものであることから、本1発明の「再剥離型ウレタン粘着剤組成物」に相当する。 してみると、本1発明と刊1発明は、両者とも『ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及び多官能イソシアネートを反応させて得られたものであるポリウレタン樹脂(A)100重量部、多官能イソシアネート化合物(B)、ならびに脂肪酸エステル系化合物から選ばれる少なくとも1種(C)25~100重量部を含有する再剥離型ウレタン粘着剤組成物。』に関するものである点において一致し、次の(α)~(γ)の3つの点において相違する。 (α)ポリウレタン樹脂(A)が、本1発明においては「末端に第1級の水酸基のみを有し、水酸基価10~40mgKOH/gである」のに対して、刊1発明においては、その「ポリウレタンポリオール」との記載における「ポリオール」との記載からみて、水酸基が存在することが明らかなものの、その水酸基が「第1級」のもの「のみ」として「末端」に位置しているのか不明であり、また、その数が「水酸基価10~40mgKOH/g」を満たす範囲にあるのか不明である点。 (β)ポリウレタン樹脂(A)100重量部に対する多官能イソシアネート化合物(B)の配合量が、本1発明においては「1~20重量部」であるのに対して、刊1発明においては「20.875重量部」である点。 (γ)脂肪酸エステル系化合物から選ばれる少なくとも1種(C)が、本1発明においては「アジピン酸ジブチルジグリコール、ポリエチレングリコールビス(2-エチルヘキソエート)、9,10-エポキシステアリン酸ブチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ2-エチルヘキシル、および、リン酸トリ-2-エチルヘキシルから選ばれる少なくとも1種」であるのに対して、刊1発明においては「ミリスチン酸イソプロピル」である点。 (4)判断 上記(γ)の相違点について、刊1発明は、刊行物1の段落0005(摘記1b)の「再剥離性を維持しつつ、基材への密着性、濡れ広がり性(…)、泡抜け性(…)が良好なウレタン系粘着剤を提供すること目的とする」との記載にあるとおりの目的で、刊行物1の請求項1(摘記1a)に記載された「炭素数が10~30である脂肪酸エステル(C)」に該当するものとして炭素数が17の「ミリスチン酸イソプロピル」を配合するものであるところ、刊行物1には、本1発明の「アジピン酸ジブチルジグリコール、ポリエチレングリコールビス(2-エチルヘキソエート)、9,10-エポキシステアリン酸ブチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ2-エチルヘキシル、および、リン酸トリ-2-エチルヘキシルから選ばれる少なくとも1種」について具体的な記載がない。 そして、刊行物3の段落0018(摘記3a)及び同段落0040(摘記3b)には、架橋型アクリル系粘着剤の「気泡抜け」を良好にするために「アデカサイザーRS-700」を「可塑剤」として用いることができることの記載があり、刊行物4の段落0046~0047(摘記4a)には「アデカサイザーRS-700」が「ポリエチレングリコール(MW300)ジ-2-エチルヘキサノエート」であることについての記載があるところ、当該化合物は、刊行物1の段落0035(摘記1d)の「本発明で用いる脂肪酸エステル(C)としては、炭素数が8~18の一塩基酸ないし多塩基酸と炭素数が18以下の分岐アルコールとのエステルや、炭素数が14~18の不飽和脂肪酸ないしは分岐酸と4価以下のアルコールとのアルコールのエステルが、好適に用いられる。」との記載にある脂肪酸エステル系化合物に該当しないことが明らかなので、刊1発明の「ミリスチン酸イソプロピル」を刊行物3~4に記載された「ポリエチレングリコールビス(2-エチルヘキソエート)」に置き換えることに動機付けがあるとはいえない。 また、刊行物5の段落0004(摘記5a)には「アジピン酸ジブトキシエトキシエチル」等の従来の可塑剤では「耐熱性」や「耐寒性」に問題があることが記載され、同段落0034(摘記5a)の表2には、本件特許明細書の実施例1~4及び6において用いられているアルキレングリコール系化合物と合致する「W-260」と「WS-262」と「RS-735」という商品名の可塑剤が比較例として記載されているところ、刊1発明は「再剥離性を維持しつつ、基材への密着性、濡れ広がり性(…)、泡抜け性(…)が良好なウレタン系粘着剤を提供すること目的とする」ものであるから、刊1発明の「ミリスチン酸イソプロピル」を、刊行物5に記載された耐熱性や耐寒性の問題を解決するための可塑剤である「W-260」や「WS-262」や「RS-735」という商品名の化合物に置き換えることに動機付けがあるとはいえない。 さらに、刊行物2及び6~7には、本1発明の「アジピン酸ジブチルジグリコール、ポリエチレングリコールビス(2-エチルヘキソエート)、9,10-エポキシステアリン酸ブチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ2-エチルヘキシル、および、リン酸トリ-2-エチルヘキシルから選ばれる少なくとも1種」についての記載がない。 そして、本件特許明細書の段落0090(摘示f)の表1には、(C)の脂肪酸エステル系化合物等の種類を、本1発明の「アジピン酸ジブチルジグリコール、ポリエチレングリコールビス(2-エチルヘキソエート)、9,10-エポキシステアリン酸ブチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ2-エチルヘキシル、および、リン酸トリ-2-エチルヘキシルから選ばれる少なくとも1種」に厳選し、その配合量を「25~100重量部」に厳選することにより、濡れ性、粘着力、再剥離性などの性能において優れた試験結果が得られたことが示されているところ、刊行物1~7の全ての記載を精査しても、このような構成と効果について示唆を含めて記載するところが見当たらない。 してみると、刊行物1~7の全ての記載、及び本件特許の優先日前の技術水準における技術常識を参酌したとしても、刊1発明の「ミリスチン酸イソプロピル」を「アジピン酸ジブチルジグリコール、ポリエチレングリコールビス(2-エチルヘキソエート)、9,10-エポキシステアリン酸ブチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ2-エチルヘキシル、および、リン酸トリ-2-エチルヘキシルから選ばれる少なくとも1種」に置き換えること、及びこれにより、再剥離性を維持しつつ、基材への密着性、濡れ広がり性、泡抜け性が良好なウレタン系粘着剤が得られることまでをも、当業者が容易に想到し得るとはいえない。 次に、上記(α)の相違点について、本件特許明細書の段落0057の「アデカポリエーテルG-3000B(3官能ポリプロピレングリコール…)…このポリウレタン樹脂の…水酸基価は22mgKOH/gであった。」との記載からみて、刊1発明の「ポリエーテルポリオール(商品名:G-3000B)」は、末端が-CH2CHCH3-OHの構造を有する第2級の水酸基を有するポリオールに該当し、刊1発明の「ポリウレタンポリオール溶液」中のポリウレタン樹脂の水酸基価は、本1発明の「水酸基価10~40mgKOH/g」の数値範囲にあるものと解される。 すなわち、上記(α)の相違点について、本1発明は「末端に第1級の水酸基のみを有」するのに対して、刊1発明は「末端に第2級の水酸基をも有」するという点において、両者は実質的に相違する。 そして、刊行物1~7に記載された技術事項の全てを精査しても、刊1発明の「ポリエーテルポリオール(商品名:G-3000B)」の末端にある第2級の水酸基を、第1級の水酸基に置き換えることについては、示唆を含めて記載が見当たらず、本件特許の優先日前の技術水準において、このような置き換えが当業者の技術常識といえるほどに周知であったと認め得るに足る事情も見当たらない。 さらに、本1発明は、本件特許明細書の段落0090の表1に示されるように、刊1発明に相当する合成例8のポリウレタン樹脂を用いた比較例11のものに比して、顕著な効果を奏するものであるところ、本1発明の構成及び当該構成を具備することの効果を、当業者が容易に想到し得るとはいえない。 したがって、上記(β)の相違点について検討するまでもなく、本1発明が刊行物1~7に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、特許法第29条第2項の規定に違反するものではない。 (5)本3発明~本7発明について 本3発明~本7発明は、本1発明をさらに限定したものであるから、本1発明が刊行物1~7に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない以上、本件特許の優先日前の技術常識を斟酌しても、本3発明~本7発明が刊行物1~7に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 したがって、本3発明~本7発明は、刊行物1~7に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、特許法第29条第2項の規定に違反するものではない。 3.取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について (1)特許異議申立人Aが主張する進歩性について ア.進歩性に関する主張の概要 特許異議申立人Aは、特許異議申立書の第24頁第26~28行において「本件特許発明1は、甲第1号証に記載された発明に、甲第2号証及び甲第7号証に記載の公知技術、並びに周知技術を適用することにより、当業者が容易になし得た発明である。」と主張し、 同第28頁第17~18行において「本件特許発明1は、甲第2号証に記載された発明に周知技術を適用することにより、当業者が容易になし得た発明である。」と主張し、 同第32頁第14~16行において「本件特許発明1ないし7は、甲第1号証又は甲第2号証に記載された発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。」と主張している。 イ.甲第1号証に記載の発明との相違点 特許異議申立人Aが提出した甲第1号証(特開2000-73040号公報)には、その請求項1に「ポリエステルポリオールとポリエーテルポリオール及び有機ポリイソシアネートとを2種類の触媒の存在下に反応させて得られる末端に水酸基を有するポリウレタンポリオール(A)に多官能イソシアネート化合物(B)を配合してなるポリウレタン粘着剤組成物。」についての発明が記載され、その段落0030に「本発明に用いられるポリウレタンポリオール(A)と多官能イソシアネート(B)の配合比は(A)100部(重量部)に対して(B)1~20部用いられる。」との記載がなされ、その段落0033に「添加剤を配合しても良い」との記載がなされている。 しかしながら、甲第1号証には、本1発明の「アジピン酸ジブチルジグリコール、ポリエチレングリコールビス(2-エチルヘキソエート)、9,10-エポキシステアリン酸ブチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ2-エチルヘキシル、および、リン酸トリ-2-エチルヘキシルから選ばれる少なくとも1種(C)25~100重量部を含有すること」についての記載がない(特許異議申立書の第20頁第7~11行の<相違点2>を参照。)。 また、甲第1号証の段落0052~0054の表1及び表2には、合成例4のポリウレタンポリオールを用いた再剥離性の評価が「◎」の実施例4の粘着剤組成物についての記載がなされているところ、同段落0042の「合成例4…ポリエーテルポリオールG-3000B」との記載、及び本件特許明細書の段落0057の「アデカポリエーテルG-3000B(3官能ポリプロピレングリコール」との記載からみて、甲第1号証の実施例4で用いられているポリウレタン樹脂が末端に第2級の水酸基を有していることは明らかであり、甲第1号証に「末端に第1級の水酸基のみを有」するポリウレタン樹脂が記載されているとは認められない。 ウ.甲第2号証に記載の発明との相違点 特許異議申立人が提出した甲第2号証(特開2009-24093号公報)には、その請求項1に「芳香族ジカルボン酸系成分(a1)を50~70モル%含むCOOH系成分(A)中のカルボキシル基と、…水酸基間の炭素数が4以上の直鎖脂肪族ジオール(b1)を25~55モル%、…側鎖にアルキル基を有するジオール(b2)及び/又は…側鎖にアルキル基を有するジオール(b3)を合計で20~50モル%、…及び側鎖にアルキル基を有する他のジオール(b4)、を含むOH成分(B)中の水酸基と、を水酸基過剰の条件下で反応させてなる末端水酸基のポリエステルプレポリマー(C)中の水酸基と、3個以上のイソシアネート基を有する化合物(D1)中のイソシアネート基と、を反応させてなるポリウレタン(E)を含む感圧式接着剤組成物。」についての発明が記載され、その段落0080に「本発明の感圧式接着剤組成物には…可塑剤…を配合しても良い。」との記載がなされている。 しかしながら、甲第2号証には、本1発明の「アジピン酸ジブチルジグリコール、ポリエチレングリコールビス(2-エチルヘキソエート)、9,10-エポキシステアリン酸ブチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ2-エチルヘキシル、および、リン酸トリ-2-エチルヘキシルから選ばれる少なくとも1種(C)25~100重量部を含有すること」についての記載がない(特許異議申立書の第27頁末行~第28頁第4行の<相違点4>を参照。)。 また、甲第2号証に記載の発明の「ポリウレタン(E)」は「直鎖脂肪族ジオール(b1)」などのジオールを原料とするものであって、本1発明のように「ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及び多官能イソシアネートを反応させて得られたもの」ではない。 エ.特定の(C)成分を特定の量で用いることが容易であるか否か 特許異議申立人Aが提出した甲第3号証(上記刊行物3に同じ)には、上記『第5 2.(4)判断』の項において示したように、架橋型アクリル系粘着剤の「気泡抜け」を良好にするために「アデカサイザーRS-700」を「可塑剤」として用いることができることの記載があり、当該「アデカサイザーRS-700」が「ポリエチレングリコール(MW300)ジ-2-エチルヘキサノエート」であることは自明である。 しかしながら、甲第1号証には、粘着剤組成物に脂肪酸エステル系化合物又は可塑剤を配合することについて、示唆を含めて記載がないので、甲第1号証に記載された発明に、甲第3号証に記載の商品名の脂肪酸エステル系化合物又は可塑剤を組み合わせることに動機付けがあるとはいえない。 また、甲第2号証には、可塑剤を配合することについての示唆が記載されているものの、甲第2号証に記載された発明は、その段落0014の「本発明は、液晶セル用のガラス基板に偏光フィルムを積層するために使用する感圧式接着剤組成物に関し、良好な光学特性(透明性)、耐熱性及び耐湿熱性、良好な応力緩和性、屈折率の制御性、再剥離性等を有する接着剤層を形成し得るポリウレタンを含む感圧式接着剤組成物を提供することを目的とする。」との記載にあるとおりの事項を課題とするものであって、粘着剤組成物の「気泡抜け」等を良好にすることを課題としていないので、甲第2号証に記載された発明に、甲第3号証に記載の商品名の脂肪酸エステル系化合物又は可塑剤を組み合わせることに動機付けがあるとはいえない。 さらに、本件特許明細書の段落0090(摘示f)の表1には、(C)の脂肪酸エステル系化合物等の種類を、本1発明の「アジピン酸ジブチルジグリコール、ポリエチレングリコールビス(2-エチルヘキソエート)、9,10-エポキシステアリン酸ブチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ2-エチルヘキシル、および、リン酸トリ-2-エチルヘキシルから選ばれる少なくとも1種」に厳選し、その配合量を「25~100重量部」に厳選することにより、濡れ性、粘着力、再剥離性などの性能において優れた試験結果が得られたことが示されているところ、特許異議申立人Aが提出した甲第1~12号証のうちの公知の刊行物等の全ての記載を精査しても、このような構成と効果について示唆を含めて記載するところが見当たらない。 してみると、甲第1号証に記載の発明又は甲第2号証に記載の発明に、特定の(C)成分を特定の量で用いる技術を組み合わせることが、当業者にとって容易であるとはいえない。 オ.ポリウレタン樹脂(A)について 特許異議申立人Aが提出した甲第1~12号証のうちの公知の刊行物等の全ての記載を精査しても「ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及び多官能イソシアネートを反応させて得られたものである、末端に第1級の水酸基のみを有し、水酸基価10~40mgKOH/gであるポリウレタン樹脂(A)」の構成と効果について示唆を含めて記載するところが見当たらないので、甲第1号証に記載の発明又は甲第2号証に記載のポリウレタン樹脂を「ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及び多官能イソシアネートを反応させて得られたものである、末端に第1級の水酸基のみを有し、水酸基価10~40mgKOH/gであるポリウレタン樹脂」にすることが、当業者にとって容易であるとはいえない。 カ.進歩性のまとめ 以上総括するに、特許異議申立人Aの証拠方法によっては、本1発明及び本1発明をさらに限定した本3発明~本7発明に係る特許が特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものとはいえない。 (2)特許異議申立人Aが主張する「第1級の水酸基」の記載不備について 特許異議申立人Aは、特許異議申立書の第30頁第25~30行において「本件明細書の実施例は、全ての末端水酸基が第1級である場合に所期の効果を奏することを示すものであることに照らし、それ以外のポリウレタン樹脂、すなわち第2級及び/又は第3級水酸基を含むものであれば、その分当然に反応性が低くなって、生産性が高いとの本件特許発明の効果は奏されないのであろうし、硬化が不十分となれば、濡れ拡がり性及び再剥離性といった効果が得られることを、当業者は推認することができない。」と主張し、同第32頁第18~20行において「本件請求項1~7に記載の発明は、発明の詳細な説明に記載された発明ではなく、本件特許は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願についてされたものである。」と主張している。 しかしながら、訂正後の請求項1の記載は「末端に第1級の水酸基のみを有し」という事項を発明特定事項とするものであって、末端水酸基が「第2級及び/又は第3級」のものを含むものとして特定されていない。 したがって、特許異議申立人Aの「第1級の水酸基」に関するサポート要件の主張によっては、本件特許の請求項1及び3~7の記載が特許法第36条第6項第1号に適合するものではないとはいえない。 (3)特許異議申立人Bが主張する記載不備について 特許異議申立人Bは、特許異議申立書の第18頁第13行~第23頁第15行において『本件特許発明の構成要件E-1には「ポリウレタン樹脂が、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及び多官能イソシアネートを反応させて得られたものである」と記載されている。…合成例1~5のポリウレタン樹脂(A)において、原料であるポリオール中のポリエーテルポリオールの含有率(モル%)は、最小で0モル%(合成例4)、最大で57モル%(合成例1)である。合成例7は、ポリオール中のポリエーテルポリオールの含有率が80モル%であるが、これは、比較例10で使用されているのみであり…実施例では使用されていない。…本件特許発明の構成要件E-1においては、ポリオール中のポリエーテルポリオールとポリエステルポリオールとの比率(ポリエーテルポリオールの含有率)については一切限定されていない。よって、本件特許発明の構成要件E-1は、本件特許明細書の発明の詳細な説明によって十分に裏付けられておらず、かつ、当業者が発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものでない。』と主張している。 しかしながら、本件特許明細書の合成例1~8のポリウレタン樹脂(A)のうち、実施例の粘着剤の製造に使用されていない合成例6~8のものは、合成例6の水酸基価が6mgKOH/gであり、合成例7の水酸基価が53mgKOH/gであり、合成例8のウレタン樹脂は原料ポリオール(G-3000B)のプロピレングリコール末端がエチレンオキサイドでキャップされていないという点において「末端に第1級の水酸基のみ」を有するものではないので、本件特許発明の「末端に第1級の水酸基のみを有し、水酸基価10~40mgKOH/gであるポリウレタン樹脂(A)」という発明特定事項の要件を満たすものではない。 そして、本件特許明細書の段落0008の「末端に第1級の水酸基を有する特定水酸基価のポリウレタン樹脂…を含有する組成物とすれば、上記課題を解決し得ることを見出した。」との記載に接した当業者にしてみれば、本件特許発明の課題を解決するために必要な事項は、ポリウレタン樹脂が、末端に第1級の水酸基を有すること、及び特定の水酸基価にあることであると認識され、ポリエーテルポリオールとポリエステルポリオールとの比率(ポリエーテルポリオールの含有率)を特定することが必要不可欠であるとは認識できない。 したがって、特許異議申立人Bの「ポリエーテルポリオールとポリエステルポリオールとの比率(ポリエーテルポリオールの含有率)」に関するサポート要件及び実施可能要件の主張によっては、本件特許の請求項1及び3~7の記載が特許法第36条第6項第1号に適合するものではないとはいえず、本件特許明細書の発明の詳細な説明が同条第4項第1号に適合するものではないともいえない。 第6 むすび 以上のとおり、取消理由通知に記載した取消理由並びに特許異議申立人A及びBが申し立てた理由によっては、本1発明及び本3発明~本7発明に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に、本1発明及び本3発明~本7発明に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 そして、訂正前の請求項2は削除されているので、請求項2に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2017-700737

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