特許異議申立
2017-700693
加温販売用容器詰ジャスミン茶飲料及びその製造方法
- 審判番号
- 2017-700693
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2015-116393外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年07月13日
- 審決日
- 2018年08月23日
- 公報発行日
- 2018年11月30日
- 結論
- 訂正認容
- 分類
- P1651.537-YAA(A23F) / P1651.536-YAA(A23F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第4項第1号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6061314号発明「加温販売用容器詰ジャスミン茶飲料及びその製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第6061314号の明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2〕、3、4について、訂正することを認める。
特許第6061314号の請求項1ないし4に係る特許を維持する。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許第6061314号(以下、「本件特許」という。)に係る出願は、平成28年12月22日付けでその特許権の設定登録がされ、平成29年1月18日にその特許掲載公報が発行され、その後、平成29年7月13日に特許異議申立人羽川照江より全請求項に対して特許異議の申立てがなされた。
当審において、平成29年9月12日付けで取消理由を通知したところ、特許権者より、平成29年10月2日に意見書及び訂正請求書が提出がされ、特許異議申立人より、平成29年11月16日に意見書が提出された。
その後、当審において、平成30年1月26日付けで取消理由(決定の予告)を通知したところ、特許権者より、平成30年2月20日に意見書及び訂正請求書が提出され、特許異議申立人より、平成30年4月5日に意見書が提出された。
また、その後平成30年6月18日付けで訂正拒絶理由を通知したところ、特許権者より平成30年7月11日付けで意見書及び手続補正書が提出されたものである。
なお、平成29年10月2日付けの訂正請求書に係る訂正の請求は、本件訂正の請求により、取り下げられたものとみなす(特許法第120条の5第7項)。
第2 本件訂正の適否
1.訂正請求書の補正の適否
(1)補正事項の内容
平成30年7月11日付け手続補正書による補正は、平成30年2月20日の訂正請求(以下、「原訂正請求」という。)の訂正事項5(平成30年6月18日付け訂正拒絶理由通知書で指摘した、訂正明細書の段落【0050】の【表1】を削除する訂正)を削除するものである。
(2)補正の適否
上記補正は、原訂正請求における訂正事項5を削除するものであるから、原訂正請求の要旨を変更するものではない。
(3)小括
したがって、平成30年7月11日の訂正請求書の補正は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第131条の2第1項の規定に適合する。
2.本件訂正の内容
上記1.のとおり、原訂正請求の補正は認められるから、補正後の訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、以下(1)ないし(4)のとおりである。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「飲料液中の塩基性アミノ酸含有量Aが0.20mg/100g以上1.00mg/100g以下であると共に、前記飲料液中のアミノ酸合計含有量B(mg/100g)に対する、前記塩基性アミノ酸含有量の割合[A/B]が0.030以上0.100以下であることを特徴とするジャスミン茶飲料。」とあるのを、
「飲料液中において、以下に示す条件の高速液体クロマトグラフィーによる定量分析にて特定され、アルギニンの合計含有量である塩基性アミノ酸含有量Aが0.20mg/100g以上0.70mg/100g以下であると共に、前記飲料液中において、以下に示す条件の高速液体クロマトグラフィーによる定量分析にて特定され、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、セリン、グルタミン、アルギニン、アラニン及びテアニン合計含有量であるアミノ酸合計含有量B(mg/100g)に対する、前記塩基性アミノ酸含有量の割合[A/B]が0.030以上0.100以下であることを特徴とするジャスミン茶飲料。
<塩基性アミノ酸含有量及びアミノ酸含有量の定量分析条件>
装置名:Allianceシステム(Waters株式会社製)
分析手法:高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法
定量方法:検量線法
サンプル調整法:サンプルを適量はかりとり、蒸留水で希釈後、フィルター ろ過して分析に供した。
HPLC測定条件:
カラム :XBridge Shield RP18 3.0×100mm
温度 :40℃
注入量 :5μL
移動相A:50mM酢酸ナトリウムバッファー(pH6.0)
移動相B:アセトニトリル
検出器 :Waters 2475マルチ波長蛍光検出器検出波長:励起335nm エミッション450nm(アミノ酸、テアニンの測定方法)
グラジエントプログラム:[分析開始~15.0分(A相:B相=90:10、流速0.46mL/min)]→[15.1分~28.0分(A相:B相=84:16、流速0.46mL/min)]→[28.1分~31.0分(A相:B相=40:60、流速0.92mL/min)]→[31.1分~34.0分(A相:B相=90:10、流速0.92mL/min)]→[35.0分~36.1分(A相:B相=90:10、流速0.46mL/min)]」に訂正する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項3に
「飲料液中の塩基性アミノ酸含有量Aが0.20mg/100g以上1.00mg/100g以下であると共に、前記飲料液中のアミノ酸合計含有量B(mg/100g)に対する、前記塩基性アミノ酸含有量の割合[A/B]が0.030以上0.100以下に調整することを特徴とするジャスミン茶飲料の製造方法。」とあるのを、
「飲料液中において、以下に示す条件の高速液体クロマトグラフィーによる定量分析にて特定され、アルギニンの合計含有量である塩基性アミノ酸含有量Aが0.20mg/100g以上0.70mg/100g以下であると共に、前記飲料液中において、以下に示す条件の高速液体クロマトグラフィーによる定量分析にて特定され、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、セリン、グルタミン、アルギニン、アラニン及びテアニン合計含有量であるアミノ酸合計含有量B(mg/100g)に対する、前記塩基性アミノ酸含有量の割合[A/B]が0.030以上0.100以下に調整することを特徴とするジャスミン茶飲料の製造方法。
<塩基性アミノ酸含有量及びアミノ酸含有量の定量分析条件>
装置名:Allianceシステム(Waters株式会社製)
分析手法:高速液体クロマトグラフィ(HPLC)法
定量方法:検量線法
サンプル調整法:サンプルを適量はかりとり、蒸留水で希釈後、フィルター ろ過して分析に供した。
HPLC測定条件:
カラム :XBridge Shield RP18 3.0×100mm
温度 :40℃
注入量 :5μL
移動相A:50mM酢酸ナトリウムバッファー(pH6.0)
移動相B:アセトニトリル
検出器 :Waters 2475マルチ波長蛍光検出器
検出波長:励起335nm エミッション450nm(アミノ酸、テアニンの測定方法)
グラジエントプログラム:
[分析開始~15.0分(A相:B相=90:10、流速0.46mL/min)]→[15.1分~28.0分(A相:B相=84:16、流速0.46mL/min)]→[28.1分~31.0分(A相:B相=40:60、流速0.92mL/min)]→[31.1分~34.0分(A相:B相=90:10、流速0.92mL/min)]→[35.0分~36.1分(A相:B相=90:10、流速0.46mL/min)]」に訂正する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項4に
「飲料液中の塩基性アミノ酸含有量Aが0.20mg/100g以上1.00mg/100g以下であると共に、前記飲料液中のアミノ酸合計含有量B(mg/100g)に対する、前記塩基性アミノ酸含有量の割合[A/B]が0.03以上0.100以下に調整することを特徴とするジャスミン茶飲料の香味調整方法。」とあるのを、
「飲料液中において、以下に示す条件の高速液体クロマトグラフィーによる定量分析にて特定され、アルギニンの合計含有量である塩基性アミノ酸含有量Aが0.20mg/100g以上0.70mg/100g以下であると共に、前記飲料液中において、以下に示す条件の高速液体クロマトグラフィーによる定量分析にて特定され、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、セリン、グルタミン、アルギニン、アラニン及びテアニン合計含有量であるアミノ酸合計含有量B(mg/100g)に対する、前記塩基性アミノ酸含有量の割合[A/B]が0.03以上0.100以下に調整することを特徴とするジャスミン茶飲料の香味調整方法。
<塩基性アミノ酸含有量及びアミノ酸含有量の定量分析条件>
装置名:Allianceシステム(Waters株式会社製)
分析手法:高速液体クロマトグラフィ(HPLC)法
定量方法:検量線法
サンプル調整法:サンプルを適量はかりとり、蒸留水で希釈後、フィルター ろ過して分析に供した。
HPLC測定条件:
カラム :XBridge Shield RP18 3.0×100mm
温度 :40℃
注入量 :5μL
移動相A:50mM酢酸ナトリウムバッファー(pH6.0)
移動相B:アセトニトリル
検出器 :Waters 2475マルチ波長蛍光検出器検出波長:励起335nm エミッション450nm(アミノ酸、テアニンの測定方法)
グラジエントプログラム:[分析開始~15.0分(A相:B相=90:10、流速0.46mL/min)]→[15.1分~28.0分(A相:B相=84:16、流速0.46mL/min)]→[28.1分~31.0分(A相:B相=40:60、流速0.92mL/min)]→[31.1分~34.0分(A相:B相=90:10、流速0.92mL/min)]→[35.0分~36.1分(A相:B相=90:10、流速0.46mL/min)]」に訂正する。
(4)訂正事項4
明細書の段落【0008】に
「すなわち本発明は、以下のとおりである。
(1)飲料液中の塩基性アミノ酸含有量Aが0.20mg/100g以上1.00mg/100g以下であると共に、前記飲料液中のアミノ酸合計含有量B(mg/100g)に対する、前記塩基性アミノ酸含有量の割合[A/B]が0.030以上0.100以下であることを特徴とするジャスミン茶飲料。
(2)前記塩基性アミノ酸がアルギニンであることを特徴とする1に記載のジャスミン茶飲料。
(3)前記アミノ酸は、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、セリン、グルタミン、アルギニン、アラニン及びテアニンであることを特徴とする1又は2に記載のジャスミン茶飲料。
(4)飲料液中の没食子酸の含有量Cが0.20mg/100g以上1.00mg/100g以下であると共に、前記没食子酸に対する前記飲料液中のカテキン類含有量D(mg/100g)の含有割合[D/C]が30.00以上110.00以下であることを特徴とする1~3いずれか1に記載のジャスミン茶飲料。
(5)飲料液中の塩基性アミノ酸含有量Aが0.20mg/100g以上1.00mg/100g以下であると共に、前記飲料液中のアミノ酸合計含有量B(mg/100g)に対する、前記塩基性アミノ酸含有量の割合[A/B]が0.030以上0.100以下に調整することを特徴とするジャスミン茶飲料の製造方法。
(6)飲料液中の塩基性アミノ酸含有量Aが0.20mg/100g以上1.00mg/100g以下であると共に、前記飲料液中のアミノ酸合計含有量B(mg/100g)に対する、前記塩基性アミノ酸含有量の割合[A/B]が0.030以上0.100以下に調整することを特徴とするジャスミン茶飲料の香味調整方法。」とあるのを、
「すなわち本発明は、以下のとおりである。
(1)飲料液中において、以下に示す条件の高速液体クロマトグラフィーによる定量分析にて特定され、アルギニンの合計含有量である塩基性アミノ酸含有量Aが0.20mg/100g以上0.70mg/100g以下であると共に、前記飲料液中において、以下に示す条件の高速液体クロマトグラフィーによる定量分析にて特定され、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、セリン、グルタミン、アルギニン、アラニン及びテアニン合計含有量であるアミノ酸合計含有量B(mg/100g)に対する、前記塩基性アミノ酸含有量の割合[A/B]が0.03以上0.100以下であることを特徴とするジャスミン茶飲料。
<塩基性アミノ酸含有量及びアミノ酸含有量の定量分析条件>
装置名:Allianceシステム(Waters株式会社製)
分析手法:高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法
定量方法:検量線法
サンプル調整法:サンプルを適量はかりとり、蒸留水で希釈後、フィルター ろ過して分析に供した。
HPLC測定条件:
カラム :XBridge Shield RP18 3.0×100mm
温度 :40℃
注入量 :5μL
移動相A:50mM酢酸ナトリウムバッファー(pH6.0)
移動相B:アセトニトリル
検出器 :Waters 2475マルチ波長蛍光検出器検出波長:励起335nm エミッション450nm(アミノ酸、テアニンの測定方法)
グラジエントプログラム:[分析開始~15.0分(A相:B相=90:10、流速0.46mL/min)]→[15.1分~28.0分(A相:B相=84:16、流速0.46mL/min)]→[28.1分~31.0分(A相:B相=40:60、流速0.92mL/min)]→[31.1分~34.0分(A相:B相=90:10、流速0.92mL/min)]→[35.0分~36.1分(A相:B相=90:10、流速0.46mL/min)]
(2)飲料液中の没食子酸の含有量Cが0.20mg/100g以上1.00mg/100g以下であると共に、前記飲料液中の没食子酸に対する前記飲料液中のカテキン類含有量D(mg/100g)の含有割合[D/C]が30.00以上110.00以下であることを特徴とする1に記載のジャスミン茶飲料。
(3)飲料液中において、以下に示す条件の高速液体クロマトグラフィーによる定量分析にて特定され、アルギニンの合計含有量である塩基性アミノ酸含有量Aが0.20mg/100g以上0.70mg/100g以下であると共に、前記飲料液中において、以下に示す条件の高速液体クロマトグラフィーによる定量分析にて特定され、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、セリン、グルタミン、アルギニン、アラニン及びテアニン合計含有量であるアミノ酸合計含有量B(mg/100g)に対する、前記塩基性アミノ酸含有量の割合[A/B]が0.030以上0.100以下に調整することを特徴とするジャスミン茶飲料の製造方法。
<塩基性アミノ酸含有量及びアミノ酸含有量の定量分析条件>
装置名:Allianceシステム(Waters株式会社製)
分析手法:高速液体クロマトグラフィ(HPLC)法
定量方法:検量線法
サンプル調整法:サンプルを適量はかりとり、蒸留水で希釈後、フィルター ろ過して分析に供した。
HPLC測定条件:
カラム :XBridge Shield RP18 3.0×100mm
温度 :40℃
注入量 :5μL
移動相A:50mM酢酸ナトリウムバッファー(pH6.0)
移動相B:アセトニトリル
検出器 :Waters 2475マルチ波長蛍光検出器
検出波長:励起335nm エミッション450nm(アミノ酸、テアニンの測定方法)
グラジエントプログラム:
[分析開始~15.0分(A相:B相=90:10、流速0.46mL/min)]→[15.1分~28.0分(A相:B相=84:16、流速0.46mL/min)]→[28.1分~31.0分(A相:B相=40:60、流速0.92mL/min)]→[31.1分~34.0分(A相:B相=90:10、流速0.92mL/min)]→[35.0分~36.1分(A相:B相=90:10、流速0.46mL/min)]
(4)飲料液中において、以下に示す条件の高速液体クロマトグラフィーによる定量分析にて特定され、アルギニンの合計含有量である塩基性アミノ酸含有量Aが0.20mg/100g以上0.70mg/100g以下であると共に、前記飲料液中において、以下に示す条件の高速液体クロマトグラフィーによる定量分析にて特定され、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、セリン、グルタミン、アルギニン、アラニン及びテアニン合計含有量であるアミノ酸合計含有量B(mg/100g)に対する、前記塩基性アミノ酸含有量の割合[A/B]が0.030以上0.100以下に調整することを特徴とするジャスミン茶飲料の香味調整方法。
<塩基性アミノ酸含有量及びアミノ酸含有量の定量分析条件>
装置名:Allianceシステム(Waters株式会社製)
分析手法:高速液体クロマトグラフィ(HPLC)法
定量方法:検量線法
サンプル調整法:サンプルを適量はかりとり、蒸留水で希釈後、フィルター ろ過して分析に供した。
HPLC測定条件:
カラム :XBridge Shield RP18 3.0×100mm
温度 :40℃
注入量 :5μL
移動相A:50mM酢酸ナトリウムバッファー(pH6.0)
移動相B:アセトニトリル
検出器 :Waters 2475マルチ波長蛍光検出器検出波長:励起335nm エミッション450nm(アミノ酸、テアニンの測定方法)
グラジエントプログラム:[分析開始~15.0分(A相:B相=90:10、流速0.46mL/min)]→[15.1分~28.0分(A相:B相=84:16、流速0.46mL/min)]→[28.1分~31.0分(A相:B相=40:60、流速0.92mL/min)]→[31.1分~34.0分(A相:B相=90:10、流速0.92mL/min)]→[35.0分~36.1分(A相:B相=90:10、流速0.46mL/min)]」に訂正する。
3.訂正の適否
(1)訂正事項1~3について
ア.訂正の目的の適否
訂正事項1~3に係る訂正は、いずれも「塩基性アミノ酸含有量A」を「アルギニンの合計含有量である塩基性アミノ酸含有量A」と特定し(以下、「訂正A」という。)、「アミノ酸合計含有量B」を「アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、セリン、グルタミン、アルギニン、アラニン及びテアニン合計含有量であるアミノ酸合計含有量B」と特定する(以下、「訂正B」という。)と共に、塩基性アミノ酸含有量Aを「0.20mg/100g以上1.00mg/100g以下」から「0.20mg/100g以上0.70mg/100g以下」へとより狭い範囲に減縮するものである(以下、「訂正C」という。)。さらに、訂正事項1~3に係る訂正は、塩基性アミノ酸含有量A及びアミノ酸合計含有量Bの特定を「以下に示す条件の高速液体クロマトグラフィーによる定量分析にて特定される」として、
「<塩基性アミノ酸含有量及びアミノ酸含有量の定量分析条件>
装置名:Allianceシステム(Waters株式会社製)
分析手法:高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法
定量方法:検量線法
サンプル調整法:サンプルを適量はかりとり、蒸留水で希釈後、フィルターろ過して分析に供した。
HPLC測定条件:
カラム :XBridge Shield RP18 3.0×100mm
温度 :40℃
注入量 :5μL
移動相A:50mM酢酸ナトリウムバッファー(pH6.0)
移動相B:アセトニトリル
検出器 :Waters 2475マルチ波長蛍光検出器
検出波長:励起335nm エミッション450nm(アミノ酸、テアニンの測定方法)
グラジエントプログラム:[分析開始~15.0分(A相:B相=90:10、流速0.46mL/min)]→[15.1分~28.0分(A相:B相=84:16、流速0.46mL/min)]→[28.1分~31.0分(A相:B相=40:60、流速0.92mL/min)]→[31.1分~34.0分(A相:B相=90:10、流速0.92mL/min)]→[35.0分~36.1分(A相:B相=90:10、流速0.46mL/min)]」という具体的な高速液体クロマトグラフィーの定量分析条件を特定する(以下、「訂正D」という。)ものである。
よって、訂正事項1~3に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、請求項1を引用する請求項2についても、同様に特許請求の範囲を減縮を目的とするものである。
イ.新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正Aは、本件特許明細書の「本発明において塩基性アミノ酸は、塩基性アミノ酸であれば特に制限されず、必須アミノ酸及び非必須アミノ酸のいずれから選択されたものであってもよい。また本発明において、塩基性アミノ酸の1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。本発明に使用することが好ましい塩基性アミノ酸として、例えば、アルギニン、ヒスチジン、シトルリン、リジンや、γアミノ酪酸(GABA)などを挙げることができる。塩基性アミノ酸としてアルギニンを用いることが最も好ましい。塩基性アミノ酸含有量は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で測定することが可能である。」(段落【0014】)との記載に基づいて、塩基性アミノ酸の種類をアルギニンに特定するものであるから、訂正Aは、本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、訂正Bは、本件特許明細書の「本発明において、アミノ酸合計含有量は、飲料液中に含まれるアミノ酸の総量を意味するものであり、アミノ酸とは特に制限はないが、例えば、バリン、ロイシン、イソロイシン、アラニン、アルギニン、グルタミン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、プロリン、システイン、スレオニン、メチオニン、ヒスチジン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、アスパラギン、グリシン、セリンから選ばれる1種以上の遊離アミノ酸のほか、γアミノ酪酸(GABA)やテアニンのような、αアミノ酸以外のアミノ酸やアミノ酸誘導体をあげることができる。好ましくは、例えばアスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、セリン、グルタミン、アルギニン、アラニン及びテアニンを含むものである。アミノ酸合計含有量は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で測定することが可能である。」(段落【0015】)との記載に基づいて、アミノ酸の種類を特定するものであるから、訂正Bは、本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
そして、訂正Cの、塩基性アミノ酸含有量Aの「0.70mg/100g」の数値については、
「【表1】
」(段落【0050】)
に、実施例4として塩基性アミノ酸量を0.70mg/100mlとするものが記載されており、当該訂正Cは、特許明細書に記載した事項の範囲内のものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
更に、訂正Dについては、本件特許明細書に、
「(各成分の測定方法)
各成分の測定方法は、公知の方法を適宜用いることができるが、例えば、以下記載の測定方法を用いることができる。
<塩基性アミノ酸及びアミノ酸合計含有量>
Allianceシステム(Waters株式会社製)を用いて高速液体クロマトグラフィ(HPLC)を以下の条件で操作し、検量線法により定量して測定した。
サンプル調整法:
サンプルを適量はかりとり、蒸留水で希釈後、フィルターろ過して分析に供した。
HPLC測定条件:
カラム :XBridge Shield RP18 3.0×100mm温度 :40℃
注入量 :5μL
移動相A:50mM酢酸ナトリウムバッファー(pH6.0)
移動相B:アセトニトリル
検出器 :Waters 2475マルチ波長蛍光検出器
検出波長:励起335nm エミッション450nm(アミノ酸、テアニンの測定方法)
グラジエントプログラム:
[分析開始~15.0分(A相:B相=90:10、流速0.46mL/min)]→[15.1分~28.0分(A相:B相=84:16、流速0.46mL/min)]→[28.1分~31.0分(A相:B相=40:60、流速0.92mL/min)]→[31.1分~34.0分(A相:B相=90:10、流速0.92mL/min)]→[35.0分~36.1分(A相:B相=90:10、流速0.46mL/min)]」(段落【0024】~段落【0025】)
と記載されており、訂正Dは当該記載に基づいて、「塩基性アミノ酸含有量A」及び「アミノ酸合計含有量B」の定量分析条件を特定するものであるから、当該訂正Dは、本件特許明細書に記載した事項の範囲内においてするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ.一群の請求項に係る訂正について
訂正前の請求項1及び2について、請求項2は請求項1を引用しているものであり、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
また、訂正事項2及び3に係る訂正は、それぞれ請求項3及び4を訂正するものである。
よって、本件訂正請求は一群の請求項ごとになされたものである。
(2)訂正事項4について
訂正事項4に係る訂正は、訂正前の本件特許明細書の段落【0008】の記載が、訂正前の請求項1~4に係る発明の構成を記載したものであったのを、訂正事項1~3により、訂正後の請求項1~4に訂正されたことに伴って、当該段落【0008】の記載を、訂正後の請求項1~4に係る発明の構成に対応するように改めたものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものにあたる。
そして、訂正事項4は上記のとおり適法になされた訂正事項1~3の訂正内容との整合をとるものであるから、新規事項を追加するものではなく、実質的に特許請求の範囲を拡張・変更するものではない。
(3)小括
以上のとおりであるから、本件訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであって、同条第4項及び同条第9項において準用する同法第126条第4項ないし第6項の規定に適合するものであるから、訂正後の請求項〔1、2〕、3、4について本件訂正を認める。
第3 特許異議の申立てについて
1.本件発明
前記第2のとおり、本件訂正は認められるから、本件特許の請求項1ないし4に係る発明は、訂正特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。
以下、本件特許に係る発明を請求項の番号に従って、「本件発明1」等といい、総称して「本件発明」という。
【請求項1】
飲料液中において、以下に示す条件の高速液体クロマトグラフィーによる定量分析にて特定され、アルギニンの合計含有量である塩基性アミノ酸含有量Aが0.20mg/100g以上0.70mg/100g以下であると共に、前記飲料液中において、以下に示す条件の高速液体クロマトグラフィーによる定量分析にて特定され、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、セリン、グルタミン、アルギニン、アラニン及びテアニン合計含有量であるアミノ酸合計含有量B(mg/100g)に対する、前記塩基性アミノ酸含有量の割合[A/B]が0.030以上0.100以下であることを特徴とするジャスミン茶飲料。
<塩基性アミノ酸含有量及びアミノ酸含有量の定量分析条件>
装置名:Allianceシステム(Waters株式会社製)
分析手法:高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法
定量方法:検量線法
サンプル調整法:サンプルを適量はかりとり、蒸留水で希釈後、フィルター ろ過して分析に供した。
HPLC測定条件:
カラム :XBridge Shield RP18 3.0×100mm
温度 :40℃
注入量 :5μL
移動相A:50mM酢酸ナトリウムバッファー(pH6.0)
移動相B:アセトニトリル
検出器 :Waters 2475マルチ波長蛍光検出器検出波長:励起335nm エミッション450nm(アミノ酸、テアニンの測定方法)
グラジエントプログラム:[分析開始~15.0分(A相:B相=90:10、流速0.46mL/min)]→[15.1分~28.0分(A相:B相=84:16、流速0.46mL/min)]→[28.1分~31.0分(A相:B相=40:60、流速0.92mL/min)]→[31.1分~34.0分(A相:B相=90:10、流速0.92mL/min)]→[35.0分~36.1分(A相:B相=90:10、流速0.46mL/min)]
【請求項2】
飲料液中の没食子酸の含有量Cが0.20mg/100g以上1.00mg/100g以下であると共に、前記飲料液中の没食子酸に対する前記飲料液中のカテキン類含有量D(mg/100g)の含有割合[D/C]が30.00以上110.00以下であることを特徴とする請求項1に記載のジャスミン茶飲料。
【請求項3】
飲料液中において、以下に示す条件の高速液体クロマトグラフィーによる定量分析にて特定され、アルギニンの合計含有量である塩基性アミノ酸含有量Aが0.20mg/100g以上0.70mg/100g以下であると共に、前記飲料液中において、以下に示す条件の高速液体クロマトグラフィーによる定量分析にて特定され、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、セリン、グルタミン、アルギニン、アラニン及びテアニン合計含有量であるアミノ酸合計含有量B(mg/100g)に対する、前記塩基性アミノ酸含有量の割合[A/B]が0.030以上0.100以下に調整することを特徴とするジャスミン茶飲料の製造方法。
<塩基性アミノ酸含有量及びアミノ酸含有量の定量分析条件>
装置名:Allianceシステム(Waters株式会社製)
分析手法:高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法
定量方法:検量線法
サンプル調整法:サンプルを適量はかりとり、蒸留水で希釈後、フィルター ろ過して分析に供した。
HPLC測定条件:
カラム :XBridge Shield RP18 3.0×100mm
温度 :40℃
注入量 :5μL
移動相A:50mM酢酸ナトリウムバッファー(pH6.0)
移動相B:アセトニトリル
検出器 :Waters 2475マルチ波長蛍光検出器
検出波長:励起335nm エミッション450nm(アミノ酸、テアニンの測定方法)グラジエントプログラム:
[分析開始~15.0分(A相:B相=90:10、流速0.46mL/min)]→[15.1分~28.0分(A相:B相=84:16、流速0.46mL/min)]→[28.1分~31.0分(A相:B相=40:60、流速0.92mL/min)]→[31.1分~34.0分(A相:B相=90:10、流速0.92mL/min)]→[35.0分~36.1分(A相:B相=90:10、流速0.46mL/min)]
【請求項4】
飲料液中において、以下に示す条件の高速液体クロマトグラフィーによる定量分析にて特定され、アルギニンの合計含有量である塩基性アミノ酸含有量Aが0.20mg/100g以上0.70mg/100g以下であると共に、前記飲料液中において、以下に示す条件の高速液体クロマトグラフィーによる定量分析にて特定され、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、セリン、グルタミン、アルギニン、アラニン及びテアニン合計含有量であるアミノ酸合計含有量B(mg/100g)に対する、前記塩基性アミノ酸含有量の割合[A/B]が0.03以上0.100以下に調整することを特徴とするジャスミン茶飲料の香味調整方法。
<塩基性アミノ酸含有量及びアミノ酸含有量の定量分析条件>
装置名:Allianceシステム(Waters株式会社製)
分析手法:高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法
定量方法:検量線法
サンプル調整法:サンプルを適量はかりとり、蒸留水で希釈後、フィルター ろ過して分析に供した。
HPLC測定条件:
カラム :XBridge Shield RP18 3.0×100mm
温度 :40℃
注入量 :5μL
移動相A:50mM酢酸ナトリウムバッファー(pH6.0)
移動相B:アセトニトリル
検出器 :Waters 2475マルチ波長蛍光検出器検出波長:励起335nm エミッション450nm(アミノ酸、テアニンの測定方法)
グラジエントプログラム:[分析開始~15.0分(A相:B相=90:10、流速0.46mL/min)]→[15.1分~28.0分(A相:B相=84:16、流速0.46mL/min)]→[28.1分~31.0分(A相:B相=40:60、流速0.92mL/min)]→[31.1分~34.0分(A相:B相=90:10、流速0.92mL/min)]→[35.0分~36.1分(A相:B相=90:10、流速0.46mL/min)]
2.取消理由の概要
本件訂正前の本件特許に対して通知した取消理由は、概ね、次のとおりである。
なお、上記取消理由は、本件特許異議申立において申し立てられたすべての申立理由を含んでいる。
(1)取消理由1
本件特許は、特許請求の範囲の記載が不備であるため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。
すなわち、
ア.本件発明における「アミノ酸」と「塩基性アミノ酸」の定義が不明であり、実施例及び比較例にて含有量を求める対象のアミノ酸が明記されていないので、この実施例及び比較例の記載はどのアミノ酸を基にした結果であるのかが不明瞭であり、本件発明と発明の詳細な説明に記載された実施例が同じものか否かが不明であるから、特許請求の範囲に記載された発明が発明の詳細な説明に記載されたものであると認定できない。
イ.実施例における塩基性アミノ酸含有量Aが0.70mg/100mLを超えて、1.00mg/mLに近い値を有するジャスミン茶の効果を確認できておらず、その効果を確認できていない範囲のジャスミン茶は、僅かに数値が本発明の範囲を逸脱する比較例3及び4の効果を考慮すると、当業者が十分に効果を予測することができないものとなる。そしてこのような実施例の記載では、本件発明は、その効果の点において発明の詳細な説明に十分に記載されたものではない。
(2)取消理由2
本件特許は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。
すなわち、本件発明における「アミノ酸」が具体的にどのアミノ酸を指しているのかが不明である。そして結果的に「アミノ酸合計含有量B」も不明である。
また、本件発明における「塩基性アミノ酸含有量A」の範囲がどの塩基性アミノ酸による値であるのか不明瞭である。
そして、「アミノ酸」と「塩基性アミノ酸」の範囲が共に不明瞭であるために、飲料液中のアミノ酸合計含有量B(mg/100g)に対する、前記塩基性アミノ酸含有量Aの割合[A/B]が意味するところも不明瞭となる。
(3)取消理由3
本件特許は、発明の詳細な説明の記載が不備のため、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。
すなわち、本件発明における塩基性アミノ酸とアミノ酸の定義が不明であり、かつ実施例及び比較例において測定したこれらのアミノ酸の種類も記載されていないので、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載は、本件発明を実施できるように記載されているとはいえない。
3.当審の判断
(1)取消理由1(36条6項1号)について
ア.前記2.(1)ア.について
本件訂正により、塩基性アミノ酸含有量Aが「アルギニンの合計含有量である」点、及びアミノ酸合計含有量Bが「アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、セリン、グルタミン、アルギニン、アラニン及びテアニン合計含有量である」点が特定された。
そして、アミノ酸の種類が特定されれば、当該アミノ酸を高速液体クロマトグラフィーにより定量分析するための標準試薬を特定することは当業者にとって可能であるから、請求項1,3,4に記載された定量分析条件に基づいて、当業者であれば塩基性アミノ酸の含有量及びアミノ酸の合計含有量を計測することができるといえる。
なお、本件訂正明細書の実施例及び比較例において、塩基性アミノ酸としてアルギニンを、またアミノ酸としてアスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、セリン、グルタミン、アルギニン、アラニン及びテアニンを用いた旨の明記はないが、段落【0014】に、最も好ましい塩基性アミノ酸としてアルギニンが、また段落【0015】に、好ましいアミノ酸としてアスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、セリン、グルタミン、アルギニン、アラニン及びテアニンが開示されている以上、実施例及び比較例に用いられる塩基性アミノ酸及びアミノ酸として、当業者であればこれら最も好ましい塩基性アミノ酸及び好ましいアミノ酸を選択したというべきであり、明記はなくとも,発明の詳細な説明には本件発明が実質的に記載されていたというべきである。
よって、前記2.(1)ア.の理由によっては、本件発明が発明の詳細な説明に記載されたものではないとはいえない。
イ.前記2.(1)イ.について
本件訂正により塩基性アミノ酸含有量Aの上限値が0.70mg/100gとなったことにより、明細書によりサポートされていない範囲の数値は削除された。
よって、前記2.(1)イ.の理由によっては、本件発明が発明の詳細な説明に記載されたものではないとはいえない。
(2)取消理由2(36条6項2号)について
本件訂正により、「塩基性アミノ酸含有量A」が、「アルギニンの合計含有量」であり、また、「アミノ酸合計含有量B」が、「アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、セリン、グルタミン、アルギニン、アラニン及びテアニン合計含有量」であるとされ、「塩基性アミノ酸含有量A」及び「アミノ酸合計含有量B」の内容が明確となった。
そして、「塩基性アミノ酸含有量A」及び「アミノ酸合計含有量B」が明確になることにより、「アミノ酸合計含有量B(mg/100g)に対する、前記塩基性アミノ酸含有量の割合[A/B]」も明確となった。
よって、請求項1,3,4の記載が明確でないとはいえない。
(3)取消理由3(36条4項1号)について
本件発明における「塩基性アミノ酸」とは、アルギニンであり、「アミノ酸」とは、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、セリン、グルタミン、アルギニン、アラニン及びテアニンであることが、本件訂正により特定された。
そして、当該特定の根拠は上記(1)で指摘したように本件特許明細書の段落【0014】及び【0015】に記載されている。
してみれば、本件明細書の発明の詳細な説明には、段落【0050】の【表1】の「塩基性アミノ酸量(A)」、「アミノ酸合計含有量(B)」及び「塩基性アミノ酸量/アミノ酸合計含有量[A/B]」が、それぞれ本件発明の「塩基性アミノ酸含有量A」、「アミノ酸合計含有量B」及び「アミノ酸合計含有量B(mg/100g)に対する、前記塩基性アミノ酸含有量の割合[A/B]」に相当するものとして記載されていたと認められる。
よって、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載は、当業者が本件発明を実施できる程度に記載されていたといえる。
(4)特許異議申立人の意見について
特許異議申立人は、本件訂正について、平成30年4月5日付け意見書(以下、「意見書」という。)において、「塩基性アミノ酸としてアルギニンを選択することと、その含有量の上限を0.70mg/100gとすることの組合せとする上記訂正請求書による訂正、及びA/Bの範囲を、アルギニンを基とする訂正は出願当初の明細書に記載の事項の範囲を超える訂正です。」(4頁3行~4頁6行参照。)と主張している。
当該主張は、塩基性アミノ酸が複数種含有されていることを前提とするものであるが、本件特許明細書の段落【0014】の「本発明のジャスミン茶飲料において、飲料液中の塩基性アミノ酸含有量A(mg/100g)は0.20mg/100g以上1.00mg/100g以下であることを特徴とする。これにより、苦渋みが抑制され、しつこくなくまろやかな風味を有したジャスミン茶を製造することができる。この特徴をより発揮させるためには、塩基性アミノ酸含有量を0.25mg/100g以上0.75mg/100g以下、好ましくは0.28mg/100g以上0.68mg/100g以下、さらに好ましくは0.32mg/100g以上0.50mg/100g以下に調整する。
本発明において塩基性アミノ酸は、塩基性アミノ酸であれば特に制限されず、必須アミノ酸及び非必須アミノ酸のいずれから選択されたものであってもよい。また本発明において、塩基性アミノ酸の1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。」(審決注:下線は合議体が強調のため加入)の記載からすれば、本件発明には、塩基性アミノ酸として、アルギニン1種のみを含有するように調整したものも包含されることになるから、特許異議申立人の上記主張は採用できない。
また、同様にアミノ酸についても、本件特許明細書の段落【0015】の「本発明のジャスミン茶飲料において、飲料液中のアミノ酸合計含有量B(mg/100g)は2.5mg/100g以上15.0mg/100g以下であることを特徴とする。これにより、しつこすぎることなく、まろやかでほどよい旨みのある風味を有したジャスミン茶を製造することができる。この特徴をより発揮させるためには、アミノ酸合計含有量を5.0mg/100g以上12.0mg/100g以下、好ましくは6.0mg/100g以上11.0mg/100g以下、さらに好ましくは7.0mg/100g以上10.0mg/100g以下に調整する。
本発明において、アミノ酸合計含有量は、飲料液中に含まれるアミノ酸の総量を意味するものであり、アミノ酸とは特に制限はないが、例えば、バリン、ロイシン、イソロイシン、アラニン、アルギニン、グルタミン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、プロリン、システイン、スレオニン、メチオニン、ヒスチジン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、アスパラギン、グリシン、セリンから選ばれる1種以上の遊離アミノ酸のほか、γアミノ酪酸(GABA)やテアニンのような、αアミノ酸以外のアミノ酸やアミノ酸誘導体をあげることができる。」(審決注:下線は合議体が強調のため加入)の記載からすれば、本件発明は、特許異議申立人が意見書で主張するように、アミノ酸が、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、セリン、グルタミン、アルギニン、アラニン及びテアニン以外にも複数種含有されるものに限定されるとは認められないから、アミノ酸に、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、セリン、グルタミン、アルギニン、アラニン及びテアニン以外にも複数種含有されていることを前提とする、特許異議申立人の主張(意見書の4頁7行~6頁23行参照。)は採用できない。
4.むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由によっては、本件請求項1ないし4に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1ないし4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2017-700693