特許異議申立
2017-700520
バスバーと電線の接続構造
- 審判番号
- 2017-700520
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2012-205335外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年05月26日
- 審決日
- 2017年08月24日
- 公報発行日
- 2017年10月27日
- 結論
- 維持
- 分類
- P1651.121-Y (H01R)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6033019号発明「バスバーと電線の接続構造」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第6033019号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許6033019号の請求項1~3に係る特許についての出願は、平成24年9月19日に特許出願され、平成28年11月4日に特許の設定登録がされ、同年11月30日に特許掲載公報が発行され、その後、平成29年5月26日に、その特許に対し特許異議申立人橋本清(以下、「異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。
第2 本件発明
特許6033019号の請求項1~3の特許に係る発明は、それぞれその特許請求の範囲の請求項1~3に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである(以下、「本件発明1」~「本件発明3」という。)。
「【請求項1】
複数の電池セル間又は電池セルと外部機器とを接続するアルミ材によって形成されたバスバーと、外部機器と接続された電線とを電気的に接続するバスバーと電線の接続構造であって、
前記バスバーと前記電線とを接続する圧着端子を備え、
前記圧着端子が、前記バスバーと圧着接続されるバスバー接続部と、連設部を介して前記バスバー接続部と接続され前記電線端末と圧着接続される電線接続部とで形成され、
前記圧着端子の電線接続部が、前記バスバー接続部に隣接して設けられる芯線圧着部と、この芯線圧着部を挟んで前記バスバー接続部の反対側に設けられた被覆加締め部とで形成され、
前記バスバー接続部に、前記バスバーの酸化被膜を破壊する酸化被膜破壊手段を設け、前記芯線圧着部にも、前記電線の芯線の酸化被膜を破壊する酸化被膜破壊手段を設けたことを特徴とするバスバーと電線の接続構造。
【請求項2】
請求項1記載のバスバーと電線の接続構造であって、
前記バスバーが、前記電池セルに接続されるバスバー本体と、このバスバー本体から板状に突設されて前記圧着端子のバスバー接続部に圧着接続されるバスバー圧着部とで形成され、
前記電線が、芯線と、この芯線の外周を被覆する被覆部とで形成され、
前記酸化被膜破壊手段が、セレーションであることを特徴とするバスバーと電線の接続構造。
【請求項3】
請求項1記載のバスバーと電線の接続構造であって、
前記バスバー接続部の酸化被膜破壊手段が、セレーションであり、
前記芯線圧着部の酸化被膜破壊手段が、前記芯線の軸方向へのずれを阻止して芯線を保持する複数の突状で形成されていることを特徴とするバスバーと電線の接続構造。」
第3 申立理由の概要
異議申立人は、証拠として下記の甲第1号証~甲第4号証を提出し、請求項1~3に係る発明は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された発明、並びに甲第3号証及び甲第4号証に例として示された周知技術1~3に基いて、当業者が容易に発明をすることができたもので、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、本件請求項1~3に係る特許を取り消すべきものである旨を主張している。
甲第1号証:特開2012-59500号公報
甲第2号証:特開平9-223523号公報
甲第3号証:特開2011-187400号公報
甲第4号証:特開2010-15900号公報
異議申立人が主張する、甲第3号証及び甲第4号証に例として示された周知技術1~3は、下記のとおりである(異議申立書9ページ24行~10ページ2行、及び10ページ13行~14行を参照。)。
周知技術1:バスバーと圧着接続されるバスバー接続部に、バスバーの酸化皮膜を破壊する酸化被膜破壊手段を設け、電線の芯線に圧着される芯線圧着部にも、電線の芯線の酸化皮膜を破壊する酸化皮膜破壊手段を設ける技術。
周知技術2:芯線圧着部の酸化皮膜破壊手段が、芯線の軸方向へのずれを阻止して芯線を保持する複数の突起で形成されている技術。
周知技術3:酸化皮膜破壊手段としてセレーションを採用すること。
第4 刊行物の記載
1 甲第1号証
甲第1号証には、「電池モジュール」に関して、図面とともに次の事項が記載されている。
(1) 「【0017】
<実施形態1>
以下、本発明の実施形態を図1~図6を参照しつつ説明する。
本実施形態の電池モジュール10は、電極端子12A,12Bを有する単電池11を複数個並べた単電池群に隣り合う電極端子12A,12B間を接続する電池接続アセンブリ20を装着して構成されるものであり、例えば、電気自動車またはハイブリッド自動車等の車両の駆動源として使用される。以下では、左右方向(幅方向)については図1を基準とし、図1の上方を前方、下方を後方とし、図1の紙面手前側を上方、紙面奥方を下方として説明する。」
(2) 「【0021】
接続部材22は、銅、銅合金、ステンレス鋼(SUS)等の金属からなり、概ね長方形状をなし、電極端子12A,12Bが挿通される通し孔23,23を有する。
電圧検知端子24は、単電池11の電圧を検知するためのものであって、接続部材22の概ね左半分の領域に重ねられており、矩形の平板部25と、平板部25の後方に連なり電圧検知線W(電圧検知用電線)が圧着される圧着部26とからなる。
平板部25は、中心部に電極端子12Bを挿通可能な円形の通し孔25Aが形成されている。
圧着部26は、電圧検知線Wの芯線部分を圧着するワイヤバレル部と、電圧検知線Wを絶縁被覆の上からかしめて保持するインシュレーションバレル部とを有する。
電圧検知線Wは、芯線が絶縁被覆(絶縁層)で覆われた被覆電線であり、その端末では、絶縁被覆が剥ぎ取られて芯線が露出している。」
(3) 「【0025】
溝部34は、底板35と、底板35の両側縁から起立し、互いに対向配置された1対の溝壁部36,36により形成されており、単位ユニット21が左右に連結された場合には、隣り合う単位ユニット21の溝部34同士が連なることにより上方に開口する電線挿通溝を形成する。この電線挿通溝に配索された電圧検知線Wは図示しない電池ECUに導かれる。この電池ECUは、マイクロコンピュータ、素子等が搭載されたものであって、単電池11の電圧・電流・温度等の検知、各単電池11の充放電コントロール等を行うための機能を備えた周知の構成のものである。
前方側の溝壁部36には、溝壁部36,36を分断する通し溝37が形成されている。
なお、後述するが前方側の溝壁部36には他の部分よりも高く立設された保持壁44を有している。」
(4) 「【0055】
<実施形態2>
実施形態2について図7,図8を参照して説明する。
実施形態1では、電圧検知端子24を用いて接続部材22と電圧検知線Wとの間を電気的に接続することとしたが、実施形態2では、電圧検知線Wに金属片102を巻きつけて接続部材104に接続するものである。以下、実施形態1と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。」
(5) 「【0056】
図8に示すように、接続部材104の外縁部のうち、幅方向の中心部には、縁部を切り欠いた切欠部100が設けられており、切欠部100の中間部には、電圧検知線Wを接続する角柱状の接続凸部101が突出している。
この接続凸部101に電圧検知線Wの芯線を沿わせ、長方形状で薄肉の金属片102(共圧着端子)で芯線及び接続凸部101を包み込むように両側から巻きつけて(かしめつけて)圧着することにより、接続部材104と電圧検知線Wとを接続する(図7)。」
(6) 図1、図2及び図4を参照すると、接続部材22及び電圧検出端子24が、複数の単電池11間又は単電池11と電池ECUとを接続していることが看取される。
ここで、上記「(4)」の、「実施形態1では、電圧検知端子24を用いて接続部材22と電圧検知線Wとの間を電気的に接続することとしたが、実施形態2では、電圧検知線Wに金属片102を巻きつけて接続部材104に接続するものである。」との記載を参酌すれば、実施形態2では、接続部材104が、複数の単電池11間又は単電池11と電池ECUとを接続するものであるといえる。
(7) 上記の各記載事項、認定事項及び図面の記載を総合すると、甲第1号証には、実施形態2として、次の発明(以下、「甲第1号証に記載された発明」という。)が記載されていると認められる。
「複数の単電池11間又は単電池11と電池ECUとを接続する接続部材104と、電池ECUと接続された電圧検知線Wとを電気的に接続する接続部材104と電圧検知線Wとを接続した構成であって、
前記接続部材104と前記電圧検知線Wとを接続する金属片102を備え、
前記金属片102が、長方形状で薄肉で、
接続部材104の角柱状の接続凸部101に電圧検知線Wの芯線を沿わせ、金属片102(共圧着端子)で芯線及び接続凸部101を包み込むように両側から巻きつけて(かしめつけて)圧着することにより、接続部材104と電圧検知線Wとを接続する、
接続部材104と電圧検知線Wとを接続した構成。」
2 甲第2号証
甲第2号証には、「異種導体もしくは導体サイズ変換型圧着端子」に関して、図面とともに次の事項が記載されている。
(1) 「【請求項1】 高強度繊維からなる中心糸に圧延銅箔を横巻きした銅箔糸導体4、軟銅線撚線導体5、単線導体のいずれかの組み合わせからなる2つの電線を、両端に電線保持部2と導体保持部3を有する端子で夫々圧着することにより、異種導体電線に変換することを特徴とする異種導体もしくは導体サイズ変換型圧着端子1。
【請求項2】 請求項1における3種類の導体において、導体サイズの異なる導体を使用した電線同士を、両端に電線保持部2と導体保持部3を有する端子で夫々圧着することにより、異なる導体サイズの電線に変換することを特徴とする異種導体もしくは導体サイズ変換型圧着端子1。」
(2) 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、銅箔糸導体、軟銅撚線導体、単線導体等の異種導体同士もしくは異種又は同種の異なる導体サイズ同士を変換する圧着端子1に関し、特に任意のケーブルをあらゆるコネクタに接続することが可能な異種導体もしくは導体サイズ変換型圧着端子1に関する。」
(3) 「【0004】
【発明の実施の形態】以下、本発明の異種導体もしくは導体サイズ変換型圧着端子1の実施例を添付図面を参照して詳細に説明する。図1(イ)は、本発明の異種導体もしくは導体サイズ変換型圧着端子1の圧着時の側面図で、図1(ロ)は、実際の製造ラインにおける本発明の異種導体もしくは導体サイズ変換型圧着端子1の連続端子の斜視図である。本発明の代表的な例として、図1(イ)にアラミドやテトロン等の高強度繊維からなる中心糸に圧延銅箔を横巻きした銅箔糸導体4を一端に軟銅線撚線導体5を他端にした2つの電線を、両端に電線保持部2と導体保持部3を有する端子で夫々圧着することにより、異種導体電線に変換した異種導体もしくは導体サイズ変換型圧着端子1を示す。このような代表的な例に限らず、銅箔糸導体4、軟銅線撚線導体5、単線導体のいずれかの組み合わせでも一向に構わない。第2番目の構造としては、第1番目における3種類の導体において、導体サイズの異なる導体を使用した電線同士を、両端に電線保持部2と導体保持部3を有する端子で夫々圧着することにより、異なる導体サイズの電線に変換することを特徴とする異種導体もしくは導体サイズ変換型圧着端子1である。(図示せず)」
(4) 「【0005】
【実施例】図1(ハ)は、本発明の異種導体もしくは導体サイズ変換型圧着端子1の代表的な第一使用例で圧着端子部6を有する場合、図1(ニ)は、本発明の異種導体もしくは導体サイズ変換型圧着端子1の代表的な第二使用例で半田付け部7を有する場合である。
【0006】以上のような構造であるので、一端に銅箔糸導体4、軟銅線撚線導体5、単線導体を圧着し、他端に異種導体を圧着することにより異種導体の変換が可能となる。また、同様に異種又は同種類の場合で導体サイズが異なる場合でも変換が可能となる。
【0007】今まで、導体種別、導体サイズに関して説明してきたが、導体の材質(軟銅線、硬銅線、アルミ導体、銅合金線導体)に限らず、メッキの有無や一括メッキ線でも一向に構わない。更に、導体のみならず、半田耐熱絶縁体等の特殊絶縁体を使用した電線との変換等本発明の範囲内で各種の変形を含むものであることはいうまでもない。
【0008】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、ケーブルには一般的に、汎用的に使用される撚線導体や高屈曲性を考慮した銅箔糸導体や導体抵抗の安定性を高め、低減衰量を考慮した単線導体を使用した品種等があるが、本発明の異種導体もしくは導体サイズ変換型圧着端子1は、半田付け、圧着接続、圧接接続、突き刺し接続等のあらゆる接続方式によるコネクタに対して導体の種別や導体サイズの制限を受けることなくすべてに使用可能であるという優れた効果を奏することが出来るので、その工業的価値は大なるものがある。」
(5) 図1(イ)~(ニ)を参照すると、2つの電線は、それぞれ被覆部分と導体とを有しており、2つの電線を、両端に電線の被覆部分を圧着する電線保持部2、2と、その内側の電線の導体を圧着する導体保持部3、3とを有する圧着端子1で、夫々圧着したものが看取される。
(6) 上記の記載事項、認定事項及び図面の記載を総合すると、甲第2号証には、次の発明(以下、「甲第2号証に記載された発明」という。)が記載されていると認められる。
「異種導体同士もしくは異種又は同種の異なる導体サイズ同士を変換する圧着端子1であり、それぞれ被覆部分と導体とを有する2つの電線を、両端に電線の被覆部分を圧着する電線保持部2、2と、その内側の電線の導体を圧着する導体保持部3、3とを有する圧着端子1で、夫々圧着することにより、異種導体電線に変換、または異なる導体サイズの電線に変換する圧着端子1。」
3 甲第3号証
甲第3号証には、「アルミニウム体の接続構造およびコネクタ」に関して、図面とともに次の事項が記載されている。
(1) 「【0023】
図1は本発明に係るアルミニウム電線の接続構造を説明する図であって、(a)はアルミニウム電線の接続構造を示す図、(b)は(a)の拡大A-A断面図であり、(c)は(a)、(b)に示したアルミニウム電線の接続構造に使用するコネクタの変形前の圧着部の一部を示す図、(d)は(c)の拡大B-B断面図であり、また図2は図1に示したアルミニウム電線の接続構造の一部を示す断面図である。図に示すように、単線のアルミニウム電線1の端部とコネクタ2の圧着部3とが圧着されている。そして、圧着部3に複数の突起4(突出部)が設けられている。突起4は截頭四角錐形状であり、突起4は4つの傾斜面5を有している。また、図1(d)に示す状態において、圧着部3の表面に対する突起4の稜線の角度は60度であり、傾斜面5の傾斜角度θは60度である。そして、突起4が基部を残してアルミニウム電線1の表面に圧入されており、アルミニウム電線1の表面部に傾斜面5に沿ったひずみ領域6が形成されている。そして、アルミニウム電線1の表面部にはひずみ領域6が閉じている独立領域が複数形成されている。すなわち、アルミニウム電線1の表面部には、4つの突起4によって囲まれた領域内に存在する図2紙面左右方向平面において切れ目のないひずみ領域6が形成されており、この切れ目のないひずみ領域6によって囲まれた独立領域が複数形成されている。また、アルミニウム電線1の表面部の4つの突起4によって囲まれた領域においては、ひずみ領域6の体積はひずみ領域6以外の領域の体積よりも大きい。
【0024】
このようなアルミニウム電線の接続構造においては、アルミニウム電線1の表面部にはひずみ領域6が閉じている独立領域が複数形成され、ひずみ領域6のどの部分にも同じひずみ領域6の他の部分が対向している。したがって、ひずみ領域6のある部分からの冷間流れを同じひずみ領域6の他の部分によって止めることができるから、冷間流れを確実に止めることができる。このため、冷間流れによるひずみ領域6の応力の低下を抑制することができるから、突起4の傾斜面5とアルミニウム電線1のひずみ領域6との間の圧着力(密着力)の低下を抑制することができるので、アルミニウム電線1とコネクタ2の圧着部3との間の電気抵抗が大きくなるのを抑制することができる。」
(2) 「【0035】
また、上述実施の形態においては、アルミニウム体がアルミニウム電線1の場合について説明したが、アルミニウム体が板状である場合などにも本発明を適用できることは明らかである。」
4 甲第4号証
甲第4号証には、「電線の固定構造」に関して、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0022】
図5は、本発明の電線の接続構造に用いることができるスプライス端子の第3の変形例を示す上面図(a)およびB-B’断面図(b)である。図5(a)に示すように、スプライス端子400は、図4に記載のスプライス端子300に加え、スプライス端子の底部および/または保持部の内壁に凹、凸、またはそれらを組合せたセレーション430を設けるようにしている。このセレーション430によって、電線をスプライス端子400に圧着した際、導線とスプライス端子400との密着性を高め、電線をより強固に保持することができる。」
第5 判断
1 本件発明1について
(1) 対比
本件発明1と甲第1号証に記載された発明とを対比する。
甲第1号証に記載された発明の「単電池11」は、本件発明1の「電池セル」に相当する。
以下同様に、「電池ECU」は、「外部機器」に、
「接続部材104」及びその「角柱状の接続凸部101」は、「バスバー」に、
「電圧検知線W」は、「電線」に、
「金属片102」は、「圧着端子」に、
「接続部材104と電圧検知線Wとを接続した構成」は、「バスバーと電線の接続構造」に、それぞれ相当する。
以上のことから、本件発明1と甲第1号証記載に記載された発明とは次の点で一致する。
[一致点]
「複数の電池セル間又は電池セルと外部機器とを接続するバスバーと、外部機器と接続された電線とを電気的に接続するバスバーと電線の接続構造であって、
前記バスバーと前記電線とを接続する圧着端子を備えるバスバーと電線の接続構造。」
一方で、両者は次の点で相違する。
[相違点1]
バスバーの材質について、本件発明1では、「アルミ材によって形成」されているのに対して、
甲第1号証に記載された発明では、その材質は明らかではない点。
[相違点2]
圧着端子について、本件発明1では、圧着端子が、「前記バスバーと圧着接続されるバスバー接続部と、連設部を介して前記バスバー接続部と接続され前記電線端末と圧着接続される電線接続部とで形成され、前記圧着端子の電線接続部が、前記バスバー接続部に隣接して設けられる芯線圧着部と、この芯線圧着部を挟んで前記バスバー接続部の反対側に設けられた被覆加締め部とで形成され、前記バスバー接続部に、前記バスバーの酸化被膜を破壊する酸化被膜破壊手段を設け、前記芯線圧着部にも、前記電線の芯線の酸化被膜を破壊する酸化被膜破壊手段を設け」ているのに対して、
甲第1号証に記載された発明では、金属片102(圧着端子)が、「長方形状で薄肉で、接続部材104の角柱状の接続凸部101に電圧検知線Wの芯線を沿わせ、金属片102(共圧着端子)で芯線及び接続凸部101を包み込むように両側から巻きつけて(かしめつけて)圧着することにより、接続部材104と電圧検知線Wとを接続する」点。
(2) 判断
事案に鑑みて、相違点2について先に検討する。
ア 甲第2号証について
甲第2号証に記載された発明では、圧着端子1は、被覆部分と導体とを有する電線同士を接続するもので、バスバーを接続するものではないから、「バスバーと圧着接続されるバスバー接続部」を備えていない。
したがって、甲第2号証に記載された発明は、上記相違点2に係る本件発明1の構成の一部である、「前記圧着端子が、前記バスバーと圧着接続されるバスバー接続部と、連設部を介して前記バスバー接続部と接続され前記電線端末と圧着接続される電線接続部とで形成され、前記圧着端子の電線接続部が、前記バスバー接続部に隣接して設けられる芯線圧着部と、この芯線圧着部を挟んで前記バスバー接続部の反対側に設けられた被覆加締め部とで形成され」ている点について、示唆するものではない。
ところで、甲第1号証に記載された発明の「金属片102」は、接続する対象は、接続部材104の角柱状の接続凸部101(バスバー)と、電圧検知線W(電線)であり、これらを直接接続するものである。
これに対して、甲第2号証に記載された発明の「圧着端子1」は、接続する対象は、それぞれ被覆部分と導体とを有する2つの電線であり、これらを圧着端子1を介して接続するものである。
このように、甲第1号証に記載された発明の「金属片102」と、甲第2号証に記載された発明の「圧着端子1」とは、接続する対象が同じでなく、また、甲第2号証にバスバーの接続に使用できる旨の示唆があるものでもないから、甲第1号証に記載された発明の、接続部材104の角柱状の接続凸部101(バスバー)と電圧検知線W(電線)とを接続する金属片102として、甲第2号証に記載された発明の、電線と電線とを接続するための圧着端子1を適用する動機付けがあるとはいえない。
イ 周知技術1~3、並びに甲第3号証及び甲第4号証について
異議申立人が主張する周知技術1~3、並びに甲第3号証及び甲第4号証には、上記相違点2に係る本件発明1の構成の一部である、「前記圧着端子が、前記バスバーと圧着接続されるバスバー接続部と、連設部を介して前記バスバー接続部と接続され前記電線端末と圧着接続される電線接続部とで形成され、前記圧着端子の電線接続部が、前記バスバー接続部に隣接して設けられる芯線圧着部と、この芯線圧着部を挟んで前記バスバー接続部の反対側に設けられた被覆加締め部とで形成され」ている点については、記載も示唆もされていない。
ウ 異議申立人の主張について
異議申立人は、「これらの記載を合わせると単線導体かつアルミ導体を用いることが開示されているから、甲第2号証には『アルミ材によって形成されたバスバー』を用いることが示唆されている。また、芯線の外周が被覆部で被覆された『電線』を用いることが開示されている。したがって、甲第2号証の図1に記載された『銅箔糸導体4』は本件特許発明1の『バスバー』に相当し、同じく『軟銅撚線導体5』は『電線』に相当する。そうすると甲第2号証には、以下の発明(以下、『甲2発明』という。)が記載されていることになる。 <甲2発明> 『アルミ材によって形成されたバスバー4と電線5とを電気的に接続する圧着端子1であって、圧着端子1が、バスバー4と圧着接続されるバスバー接続部3と、連接部を介してバスバー接続部3と接続され電線5と圧着接続される電線接続部とで形成されており、圧着端子1の電線接続部が、バスバー接続部3に隣接して設けられる芯線圧着部3と、この芯線圧着部3を挟んでバスバー接続部3の反対側に設けられた被覆加締め部2とで形成されている圧着端子1。』」(異議申立書8ページ10行~25行)、及び「<相違点3> 本件特許発明1は『前記圧着端子が、前記バスバーと圧着接続されるバスバー接続部と、連設部を介して前記バスバー接続部と接続され前記電線端末と圧着接続される電線接続部とで形成され、前記圧着端子の電線接続部が、前記バスバー接続部に隣接して設けられる芯線圧着部と、この芯線圧着部を挟んで前記バスバー接続部の反対側に設けられた被覆加締め部とで形成されている』のに対して、甲1発明はそのような構成を備えていない点。甲2発明は『圧着端子1が、バスバー4と圧着接続されるバスバー接続部3と、連接部を介してバスバー接続部3と接続され電線5と圧着接続される電線接続部とで形成され、圧着端子1の電線接続部が、バスバー接続部3に隣接して設けられる芯線圧着部3と、この芯線圧着部3を挟んでバスバー接続部3の反対側に設けられた被覆加締め部2とで形成されている』ものであるから、甲1発明に甲2発明を適用することで相違点3の構成に容易に想到できる。」(異議申立書11ページ10行~23行)と主張している。
ところで、そもそもバスバーとは、絶縁被覆を施していない銅またはアルミニウムの板状の導体を指すものである。
これに対して、甲第2号証において、「単線導体」とは、「高強度繊維からなる中心糸に圧延銅箔を横巻きした銅箔糸導体4、軟銅線撚線導体5、単線導体のいずれかの組み合わせからなる2つの電線」(「第4 2(1)」の【請求項1】を参照。)との記載によれば、撚線ではなく単線であることを示すもので、また、「アルミ導体」とは、「導体の材質(軟銅線、硬銅線、アルミ導体、銅合金線導体)」(「第4 2(4)」の段落【0007】を参照。)との記載によれば、電線の導体の材質としてアルミを特定しているもので、結局、「単線導体」及び「アルミ導体」は、どちらも電線であって、バスバーには該当しない。
更に、甲第2号証の図1に記載された「銅箔糸導体4」は、「高強度繊維からなる中心糸に圧延銅箔を横巻きした銅箔糸導体4」(「第4 2(1)」の【請求項1】を参照。)との記載によれば、板状の導体ではないから、バスバーには該当しない。
そうすると、異議申立人の上記主張は、甲第2号証の記載から甲2発明を正しく認定した上での主張ではない。
したがって、異議申立人の上記主張は、理由がない。
エ 小括
以上のことから、上記相違点2に係る本件発明1の構成は、当業者が容易に想到し得たとはいえない。
したがって、相違点1について判断するまでもなく、本件発明1は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された発明、並びに甲第3号証及び甲第4号証に例として示された周知技術1~3に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
2 本件発明2及び3について
本件発明2及び3は、本件発明1を更に減縮したものであるから、上記本件発明1についての判断と同様の理由により、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された発明、並びに甲第3号証及び甲第4号証に例として示された周知技術1~3に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
第6 むすび
したがって、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件請求項1~3に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1~3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2017-700520