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特許異議申立

2023-700516

給電スタンド

審判番号
2023-700516
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2019-021900
登録番号
7174937
請求日
2023年05月18日
審決日
2024年12月13日
公報発行日
2025年05月30日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】パナソニックIPマネジメント株式会社
  • 【権利者代理人】弁理士法人北斗特許事務所
  • 【異議申立人】若井 麻衣子
審判長/審判官
  • 審判長 平城 俊雅
  • 審判官 内田 博之
  • 審判官 横山 幸弘
分類
P1651.113-YAA(H01R) / P1651.121-YAA(H01R) / P1651.537-YAA(H01R)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第1項、特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第4項、特許法第29条第1項第3号、特許法第120条の8第1項
データ出所
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特許第7174937号発明「給電スタンド」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7174937号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-9〕、10について訂正することを認める。 特許第7174937号の請求項1~7、9、10に係る特許を維持する。 特許第7174937号の請求項8に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7174937号の請求項1~10に係る特許についての出願は、平成30年6月29日(優先権主張 平成29年6月29日)に出願された特願2018-125453号の一部を平成31年2月8日に新たな特許出願としたものであって、令和4年11月10日にその特許権の設定登録がされ、令和4年11月18日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和 5年 5月18日 特許異議申立人若井麻衣子(以下「異議申立人」という。)による特許異議申立て 令和 5年 8月 7日付け 取消理由通知書 令和 5年10月10日 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 令和 5年11月 6日付け 訂正拒絶理由通知書 令和 6年 1月15日付け 取消理由通知書<決定の予告> 令和 6年 3月18日 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 令和 6年 5月13日 令和6年3月18日付け訂正請求書に対する手続補正書 令和 6年 6月 5日付け 訂正拒絶理由通知書 令和 6年 7月11日 令和6年3月18日付け訂正請求書に対する手続補正書及び令和6年6月5日付け訂正拒絶理由通知書に対する意見書 なお、令和5年10月10日に提出された訂正請求書は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。 また、異議申立人に対し、令和6年8月28日付けで特許法第120条の5第5項に基づく訂正請求があった旨の通知を異議申立人に対して行ったところ、異議申立人から応答はなかった。 第2 本件訂正請求について 特許権者は、特許法120条の5第1項の規定により審判長が指定した期間内である令和6年3月18日に訂正請求書を提出し、同年5月13日に手続補正書により補正し、本件特許の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付した訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正すること(以下「本件訂正」という。)を求めた。 その後、令和6年6月5日付けの訂正拒絶理由通知に対して、特許権者は同年7月11日に手続補正書を提出して、上記訂正請求書における請求の理由及び訂正請求書に添付した訂正明細書及び特許請求の範囲について補正することを求めたので、この手続補正(以下「本件補正」という。)が訂正請求書の要旨を変更するものか否かを検討し、その上で本件訂正の適否について検討する。 1 本件補正について(下線は当審で付した。以下同様。) 本件補正は、本件訂正における (1)訂正事項2~7を削除し、 (2)訂正事項8を、請求項8を削除するものに変更し、 (3)訂正事項9により訂正される請求項9の「請求項1~8のいずれか1項に記載の給電スタンド。」との記載を「請求項1~7のいずれか1項に記載の給電スタンド。」に改めることで、上記(2)との整合性を図り、 (4)訂正事項10について、本件補正前の訂正後の明細書の【0007】の記載から、「本開示の更に別の一態様に係る給電スタンドは、本体部と、支持部と、を備える。前記本体部は、給電対象に電力を供給するための給電部を有する。前記支持部は、前記本体部を設置面上に立たせるように前記本体部を支持する。前記給電スタンドは、持ち運び可能な態様で前記設置面に据え置かれる自立型の給電スタンドである。」との記載を削除することで、上記(1)の、請求項2を訂正する訂正事項2を削除する補正との整合性を図る補正である。 そして、上記(1)~(4)は、いずれも訂正請求書の要旨を変更しないものであるから、特許法120条の5第9項で準用する同法131条の2第1項の規定により、本件補正を認める。 2 訂正拒絶理由について (1)訂正拒絶理由の要旨 令和6年6月5日付けで、本件訂正の請求について通知した訂正拒絶理由の要旨は、本件補正前の本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書各号に掲げる事項を目的としない訂正事項2~8を含み、また、同法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合しない訂正事項2~8を含むものであるから、訂正後の請求項〔1-9〕、10についての本件訂正を認めることはできない、というものである。 (2)補正前の訂正事項2~8について 訂正事項2は、訂正前の請求項2に特定されている「前記電池は、前記本体部の重心よりも下方に位置する」との特定事項を削除することを含む訂正であり、 訂正事項3は、訂正前の請求項3に特定されている「前記電池は、少なくとも前記給電部よりも下方に位置する」との特定事項を削除することを含む訂正であり、 訂正事項4は、訂正前の請求項4に特定されている「前記電池は、前記本体部に配置されている」との特定事項を削除することを含む訂正であり、 訂正事項5は、訂正前の請求項5に特定されている「前記電池は、前記本体部から取外し可能に、前記本体部に取り付けられる」との特定事項を削除することを含む訂正であり、 訂正事項6は、訂正前の請求項6に特定されている「前記電池の残容量を表示する残量表示部を更に備える」との特定事項を削除することを含む訂正であり、 訂正事項7は、訂正前の請求項7に特定されている「前記給電部は、前記電池の充電中であっても、前記給電対象に電力を供給可能である」との特定事項を削除することを含む訂正であり、 訂正事項8は、訂正前の請求項8に特定されている「非接触給電回路から非接触で電力が供給される非接触受電回路を更に備え、前記充電回路は、前記非接触受電回路に供給される電力にて前記電池を充電する」との特定事項を削除することを含む訂正である。 訂正事項2~8は、いずれも、特許請求の範囲の減縮を目的とするものでなく、誤記又は誤訳の訂正を目的とするものでなく、明瞭でない記載の釈明を目的とするものでなく、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものでもなく、実質上特許請求の範囲を変更するものである。 (3)小括 本件補正により、訂正事項2~7は削除され、訂正事項8は、請求項8を削除する訂正に改められたから、上記(1)の訂正拒絶理由は解消された。 3 訂正の趣旨及び訂正の内容 (1)訂正の趣旨 本件訂正の請求の趣旨は、特許第7174937号の明細書及び特許請求の範囲を、本件補正後の訂正請求書に添付した、訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1-10について訂正することを求める、というものである。 以下、本件特許の願書に添付された明細書、特許請求の範囲及び図面(上記特許掲載公報に記載されたもの)をまとめて「明細書等」という。 (2)訂正の内容 本件訂正の内容は以下のとおりである。(なお、訂正事項2~7は本件補正により削除された。)。 ア 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1の 「給電対象に電力を供給するための給電部を有する本体部と、 前記本体部を設置面上に立たせるように前記本体部を支持する支持部と、を備え、 持ち運び可能な態様で前記設置面に据え置かれる自立型の給電スタンドであって、 前記給電部に電力を供給するための電池と、 充電回路と、を更に備え、 前記電池は、前記充電回路にて充電される二次電池である 給電スタンド。」を、 「給電対象に電力を供給するための給電部を有する本体部と、 前記本体部を設置面上に立たせるように前記本体部を支持する支持部と、を備え、 持ち運び可能な態様で前記設置面に据え置かれる自立型の給電スタンドであって、 前記給電部に電力を供給するための電池と、 充電回路と、 前記給電スタンドの取り付け及び取外しが可能な充電台の非接触給電回路から非接触で電力が供給される非接触受電回路と、を更に備え、 前記電池は、前記充電回路にて充電される二次電池であり、 前記充電回路は、前記非接触受電回路に供給される電力にて前記電池を充電し、 前記支持部は、前記本体部から上下方向と直交する方向に突出しており、 前記支持部は、前記上下方向に厚みを有する平板状であり、 前記支持部は、前記充電台の凹部に嵌り込む形状である 給電スタンド。」に訂正する。 (請求項1の記載を直接又は間接的に引用する請求項2~7、9も同様に訂正する。) イ 訂正事項8 特許請求の範囲の請求項8を削除する。 ウ 訂正事項9 特許請求の範囲の請求項9の 「前記支持部が置かれる充電台を有し、 前記充電台に前記支持部が置かれた状態で、前記電池が充電されることを特徴とする 請求項1~8のいずれか1項に記載の給電スタンド。」との記載を、 「前記支持部が置かれる前記充電台を有し、 前記充電台に前記支持部が置かれた状態で、前記電池が充電されることを特徴とする 請求項1~7のいずれか1項に記載の給電スタンド。」に訂正する。 エ 訂正事項10 明細書の段落【0007】に 「本開示の一態様に係る給電スタンドは、本体部と、支持部と、を備える。前記本体部は、給電対象に電力を供給するための給電部を有する。前記支持部は、前記本体部を設置面上に立たせるように前記本体部を支持する。前記給電スタンドは、持ち運び可能な態様で前記設置面に据え置かれる自立型の給電スタンドである。前記給電スタンドは、前記給電部に電力を供給するための電池と、充電回路と、を更に備える。前記電池は、前記充電回路にて充電される二次電池である。」と記載されているのを、 「本開示の一態様に係る給電スタンドは、本体部と、支持部と、を備える。前記本体部は、給電対象に電力を供給するための給電部を有する。前記支持部は、前記本体部を設置面上に立たせるように前記本体部を支持する。前記給電スタンドは、持ち運び可能な態様で前記設置面に据え置かれる自立型の給電スタンドである。前記給電スタンドは、前記給電部に電力を供給するための電池と、充電回路と、前記給電スタンドの取り付け及び取外しが可能な充電台の非接触給電回路から非接触で電力が供給される非接触受電回路と、を更に備える。前記電池は、前記充電回路にて充電される二次電池である。前記充電回路は、前記非接触受電回路に供給される電力にて前記電池を充電する。前記支持部は、前記本体部から上下方向と直交する方向に突出している。前記支持部は、前記上下方向に厚みを有する平板状である。前記支持部は、前記充電台の凹部に嵌り込む形状である。」に訂正する。 オ 訂正事項11 特許請求の範囲の請求項10に 「給電対象に電力を供給するための給電部を有する本体部と、 前記本体部を設置面上に立たせるように前記本体部を支持する支持部と、を備え、 持ち運び可能な態様で前記設置面に据え置かれる自立型の給電スタンドであって、 前記給電部に電力を供給するための電池を取り付け及び取外しが可能な電池収容部と、 充電回路とを、更に備え、 前記電池は、前記充電回路にて充電される二次電池である 給電スタンド。」と記載されているのを、 「給電対象に電力を供給するための給電部を有する本体部と、 前記本体部を設置面上に立たせるように前記本体部を支持する支持部と、を備え、 持ち運び可能な態様で前記設置面に据え置かれる自立型の給電スタンドであって、 前記給電部に電力を供給するための電池を取り付け及び取外しが可能な電池収容部と、 充電回路と、 前記給電スタンドの取り付け及び取外しが可能な充電台の接触給電端子に接触し、前記接触給電端子から電力が供給される接触受電端子と、を更に備え、 前記電池は、前記充電回路にて充電される二次電池であり、 前記支持部は、前記本体部から上下方向と直交する方向に突出しており、 前記支持部は、前記上下方向に厚みを有する平板状であり、 前記支持部は、前記充電台の凹部に嵌り込む形状である 給電スタンド。」に訂正する。 カ 訂正事項12 明細書の段落【0007】に 「本開示の別の一態様に係る給電スタンドは、本体部と、支持部と、を備える。前記本体部は、給電対象に電力を供給するための給電部を有する。前記支持部は、前記本体部を設置面上に立たせるように前記本体部を支持する。前記給電スタンドは、持ち運び可能な態様で前記設置面に据え置かれる自立型の給電スタンドである。前記給電スタンドは、前記給電部に電力を供給するための電池を取り付け及び取外しが可能な電池収容部と、充電回路とを、更に備える。前記電池は、前記充電回路にて充電される二次電池である。」と記載されているのを、 「本開示の別の一態様に係る給電スタンドは、本体部と、支持部と、を備える。前記本体部は、給電対象に電力を供給するための給電部を有する。前記支持部は、前記本体部を設置面上に立たせるように前記本体部を支持する。前記給電スタンドは、持ち運び可能な態様で前記設置面に据え置かれる自立型の給電スタンドである。前記給電スタンドは、前記給電部に電力を供給するための電池を取り付け及び取外しが可能な電池収容部と、充電回路と、前記給電スタンドの取り付け及び取外しが可能な充電台の接触給電端子に接触し、前記接触給電端子から電力が供給される接触受電端子と、を更に備える。前記電池は、前記充電回路にて充電される二次電池である。前記支持部は、前記本体部から上下方向と直交する方向に突出している。前記支持部は、前記上下方向に厚みを有する平板状である。前記支持部は、前記充電台の凹部に嵌り込む形状である。」に訂正する。 4 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)一群の請求項について 訂正前の請求項1~9について、請求項2~9は、請求項1を引用するものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるから、訂正前の請求項1~9に対応する訂正後の請求項〔1-9〕は、一群の請求項である。 また、訂正前の請求項10に対応する訂正後の請求項10は、一群の請求項である。 したがって、訂正事項1、8~12は、特許法第120条の5第4項の規定に適合する。 (2)訂正の目的について 訂正事項1は、請求項1の「給電スタンド」について、「給電スタンドの取り付け及び取外しが可能な充電台」の「非接触給電回路」から非接触で電力が供給される「非接触受電回路」を備える構成を限定するとともに、「充電回路」及び「支持部」の構成をさらに限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項8は、請求項8を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項9は、請求項9の「充電台」が請求項1の充電台であることを明確にするとともに、請求項9を、訂正事項8により削除されることとなる請求項8の記載を引用しないものとする訂正であるから、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 訂正事項11は、請求項10の「給電スタンド」について、「給電スタンドの取り付け及び取外しが可能な充電台」の「接触給電端子」に接触して電力が供給される「接触受電端子」を備える構成を限定するとともに、「支持部」の構成をさらに限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項10及び12は、明細書の段落【0007】の記載事項について、訂正後の請求項1及び10の記載と整合をとるものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (3)明細書等に記載した事項の範囲内であること ア 明細書等の記載について (ア)段落【0026】に「支持部4は、固定部31(ベース部311)の下面に固定された平板状の部材である。言い換えれば、ベース部311は、支持部4の上面から上方に突出するように、支持部4に支持されている。本実施形態では、支持部4の前端部の左右方向の寸法が、支持部4の後端部の左右方向の寸法よりも大きく設定されており、支持部4は平面視においてT字状となる。」と記載されている。 (イ)段落【0087】に「充電台200は、図12Aに示すように、凹部201と、通電表示部202と、電源コード203と、非接触給電回路204と、を有している。凹部201は、支持部4の形状に合わせて、充電台200の上面に形成されている。」と記載されている。 (ウ)【図12】 [図:0001422374000001.jpg] からは、 a 支持部4が、本体部3から上下方向と直交する方向に突出している構成と、 b 支持部4が、上下方向に厚みを有する平板状である構成と、 c 支持部4が、充電台200の凹部201に嵌り込む形状である構成と、 d 充電台200は、給電スタンド1Fの取り付け及び取外しが可能である構成とが看て取れる。 (エ)段落【0085】に「また、本実施形態に係る給電スタンド1Fは、非接触受電回路104を更に備えている。非接触受電回路104は、非接触給電回路204から非接触で電力が供給される。充電回路101は、非接触受電回路104に供給される電力にて電池13を充電する。すなわち、本実施形態では、給電スタンド1Fに対しては、非接触給電回路204を有する充電台200から、非接触給電方式にて電力が非接触で供給される。」と記載されている。 (オ)段落【0099】に「図13Aは、実施形態3の第1変形例に係る給電スタンド1Gの要部を示している。給電スタンド1Gは、充電台200Gから、非接触給電方式ではなく接触給電方式で電力が供給される点で、実施形態3に係る給電スタンド1Fと相違する。図13Aの例では、支持部4の前端面に、一対の接触受電端子105が設けられている。一対の接触受電端子105は充電回路101に電気的に接続されている。一方、充電台200Gにおける凹部201の内側面には、一対の接触給電端子205が設けられている。上記構成により、給電スタンド1Gは、充電台200G上に置かれ、支持部4が充電台200Gの凹部201に嵌り込んだ状態で、充電台200Gの一対の接触給電端子205に対して一対の接触受電端子105を接触させる。この状態で、充電台200Gの一対の接触給電端子205から給電スタンド1Fの一対の接触受電端子105に電力が供給(伝送)される。」と記載されている。 イ 訂正事項1について 訂正事項1によって請求項1に新たに限定される「前記給電スタンドの取り付け及び取外しが可能な充電台」は上記ア(ウ)dに、「充電台の非接触給電回路」は上記ア(イ)に、「非接触給電回路から非接触で電力が供給される非接触受電回路」及び「前記充電回路は、前記非接触受電回路に供給される電力にて前記電池を充電」することは上記ア(エ)に、「前記支持部は、前記本体部から上下方向と直交する方向に突出して」いることは上記ア(ウ)aに、「前記支持部は、前記上下方向に厚みを有する平板状」であることは上記ア(ウ)bに、「前記支持部は、前記充電台の凹部に嵌り込む形状」であることは上記ア(ウ)cに、それぞれ基づいており、訂正事項1に係る訂正は、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。 ウ 訂正事項8について 訂正事項8は、請求項8を削除するものであるから、訂正事項8に係る訂正は、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。 エ 訂正事項9について 訂正事項9は、請求項9を、訂正事項8により削除される請求項8の記載を引用しないものとする訂正であるから、訂正事項9に係る訂正は、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。 オ 訂正事項10について 訂正事項10により明細書の段落【0007】に新たに記載される事項は、訂正事項1により請求項1に新たに限定される事項と同じであるから、上記イと同様の理由により、訂正事項10に係る訂正は、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。 カ 訂正事項11について 訂正事項11によって請求項10に新たに限定される「前記給電スタンドの取り付け及び取外しが可能な充電台」は上記ア(ウ)dに、「充電台の接触給電端子に接触し、前記接触給電端子から電力が供給される接触受電端子」は上記ア(オ)に、「前記支持部は、前記本体部から上下方向と直交する方向に突出して」いることは上記ア(ウ)aに、「前記支持部は、前記上下方向に厚みを有する平板状」であることは上記ア(ウ)bに、「前記支持部は、前記充電台の凹部に嵌り込む形状」であることは上記ア(ウ)cに、それぞれ基づいており、訂正事項11に係る訂正は、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。 キ 訂正事項12について 訂正事項12により明細書の段落【0007】に新たに記載される事項は、訂正事項11により請求項10に新たに限定される事項と同じだから、上記カと同様の理由により、訂正事項12に係る訂正は、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。 (4)特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項1及び11は、「給電スタンド」について「受電回路」を備える構成を限定するとともに、「支持部」の構成をさらに限定するものであり、発明のカテゴリー又は対象を変更するものに該当しないことから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。 訂正事項8は請求項8を削除するものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。 また、訂正事項9、10及び12は、訂正事項1、8及び11の訂正と整合するように請求項9及び明細書の段落【0007】の記載を訂正するものであり、訂正後の請求項1~10に係る発明のカテゴリー又は対象を変更するものに該当しないことから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。 (5)小括 以上のとおりであるから、訂正事項1、8~12は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とするものであり、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、明細書、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-9〕、10について訂正することを認める。 第3 本件発明 本件訂正により訂正された請求項1~10に係る発明(以下「本件発明1」~「本件発明10」といい、まとめて「本件発明」ということがある。)は、その特許請求の範囲の請求項1~10記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 給電対象に電力を供給するための給電部を有する本体部と、 前記本体部を設置面上に立たせるように前記本体部を支持する支持部と、を備え、 持ち運び可能な態様で前記設置面に据え置かれる自立型の給電スタンドであって、 前記給電部に電力を供給するための電池と、 充電回路と、 前記給電スタンドの取り付け及び取外しが可能な充電台の非接触給電回路から非接触で電力が供給される非接触受電回路と、を更に備え、 前記電池は、前記充電回路にて充電される二次電池であり、 前記充電回路は、前記非接触受電回路に供給される電力にて前記電池を充電し、 前記支持部は、前記本体部から上下方向と直交する方向に突出しており、 前記支持部は、前記上下方向に厚みを有する平板状であり、 前記支持部は、前記充電台の凹部に嵌り込む形状である 給電スタンド。 【請求項2】 前記電池は、前記本体部の重心よりも下方に位置する 請求項1に記載の給電スタンド。 【請求項3】 前記電池は、少なくとも前記給電部よりも下方に位置する 請求項1又は2に記載の給電スタンド。 【請求項4】 前記電池は、前記本体部に配置されている 請求項1~3のいずれか1項に記載の給電スタンド。 【請求項5】 前記電池は、前記本体部から取外し可能に、前記本体部に取り付けられる 請求項4記載の給電スタンド。 【請求項6】 前記電池の残容量を表示する残量表示部を更に備える 請求項1~5のいずれか1項に記載の給電スタンド。 【請求項7】 前記給電部は、前記電池の充電中であっても、前記給電対象に電力を供給可能である 請求項1~6のいずれか1項に記載の給電スタンド。 【請求項8】 (削除) 【請求項9】 前記支持部が置かれる前記充電台を有し、 前記充電台に前記支持部が置かれた状態で、前記電池が充電されることを特徴とする 請求項1~7のいずれか1項に記載の給電スタンド。 【請求項10】 給電対象に電力を供給するための給電部を有する本体部と、 前記本体部を設置面上に立たせるように前記本体部を支持する支持部と、を備え、 持ち運び可能な態様で前記設置面に据え置かれる自立型の給電スタンドであって、 前記給電部に電力を供給するための電池を取り付け及び取外しが可能な電池収容部と、 充電回路と、 前記給電スタンドの取り付け及び取外しが可能な充電台の接触給電端子に接触し、前記接触給電端子から電力が供給される接触受電端子と、を更に備え、 前記電池は、前記充電回路にて充電される二次電池であり、 前記支持部は、前記本体部から上下方向と直交する方向に突出しており、 前記支持部は、前記上下方向に厚みを有する平板状であり、 前記支持部は、前記充電台の凹部に嵌り込む形状である 給電スタンド。」 第4 取消理由通知書の概要 令和6年1月15日付け取消理由通知書<決定の予告>に記載した取消理由は、概略、以下の理由を含むものである。 (進歩性)本件発明1~10は、本件特許出願の優先日前に日本国内又は外国において頒布された下記の引用文献に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~10に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 引用文献:米国特許第9484751号明細書(異議申立人の提出した甲第2号証) 第5 当審の判断 1 引用文献の記載等について 引用文献には、次の事項が記載されている。 (1)「The present invention provides a wireless power system for use in a work area, such as in an office, a home, a hotel, an airport or other transit station, a vehicle, or the like. The wireless power system includes at least one wireless power transmitter and at least one wireless power receiver, the receiver being located at a portable article such as an article of furniture or a device that is supportable on a work surface such as a table or a desk. The portable article includes at least one electrical power receptacle or outlet such as a low-voltage DC receptacle or outlet, a high-voltage AC receptacle or outlet, a light socket, a low voltage charging pad, or a wireless power transmitter, in order to provide users in the work area with access to electrical power via the portable article. According to one aspect of the present invention, a wireless power system includes a wireless electrical power transmitter, a portable article, a wireless electrical power receiver, and an electrical power receptacle or outlet. The wireless electrical power transmitter is disposed in a surface that defines a portion of a work area. Such surfaces may include, for example, a wall surface, a floor surface, a work surface, and a ceiling surface. The portable article is configured to be positioned within the work area, and is movable between two or more locations in the work area. The wireless electrical power receiver is positioned at the portable article and is configured to receive electrical power from the wireless electrical power transmitter when the wireless electrical power receiver is adjacent or spaced from the wireless electrical power transmitter by a distance that is less than or equal to a maximum transmission distance. The electrical power receptacle or outlet is positioned at the portable article and is configured to receive electrical power from the wireless electrical power receiver, and to provide electrical power to an electrical consumer that is electrically coupled to the electrical power receptacle or outlet. In one aspect, the wireless electrical power transmitter is an inductive power transmitter that receives electrical power from a main power source, such as via electrical wiring.」(第1欄36行~第2欄6行) 「本発明は、オフィス、家庭、ホテル、空港または他の交通駅、車両などの作業エリアで使用するためのワイヤレス電カシステムを提供する。ワイヤレス電カシステムは少なくとも1つのワイヤレス電力送信機と、少なくとも1つのワイヤレス電力受信機とを含み、受信機は、テーブルまたは机などの作業面上で支持可能な家具またはデバイスなどのポータブル物品に配置される。ポータプル物品は作業エリア内のユーザにポータプル物品を介して電力へのアクセスを提供するために、低電圧DCレセプタクルまたはコンセント、高電圧ACレセプタクルまたはコンセント、ライトソケット、低電圧充電パッド、またはワイヤレス電力送信機などの少なくとも1つの電カレセプタクルまたはコンセントを含む。 本発明の一態様によれば、ワイヤレス電カシステムは、ワイヤレス電力送信機と、ポータプル物品と、ワイヤレス電力受信機と、電カレセプタクルまたはコンセントとを含む。ワイヤレス電力送信機は、作業領域の一部分を画定する表面内に配置される。このような表面は例えば、壁面、床面、作業面、および天井面を含むことができる。ポータブル物品は、作業領域内に配置されるように構成され、作業領域内の2つ以上の場所の間で移動可能である。ワイヤレス電力受信機はポータブル物品に配置され、ワイヤレス電力受信機がワイヤレス電力送信機に隣接するか、またはワイヤレス電力送信機から最大送信距離以下の距離だけ離間しているとき、ワイヤレス電力送信機から電力を受け取るように構成される。電カレセプタクルまたはコンセントはポータプル物品に配置され、ワイヤレス電カ受信機から電力を受け取り、電カレセプタクルまたはコンセントに電気的に結合された電気の消費者に電力を提供するように構成される。 一態様では、ワイヤレス電力送信機が電気配線などを介して主電源から電力を受け取る誘導電力送信機である。」(当審訳。当審訳は、異議申立人の甲第2号証抄訳を参考にしている。以下同様。) (2)「In a further aspect, the portable article includes an electrical energy storage device that is operable to supply electrical current to the electrical power receptacle, such as at times when the wireless electrical power receiver is not receiving power from the wireless electrical power transmitter. Optionally, the electrical energy storage device receives electrical energy from the wireless electrical power receiver. The electrical energy storage device may be a rechargeable battery, for example.」(第2欄14~23行) 「さらなる態様では、ポータブル物品は、ワイヤレス電力受信機がワイヤレス電力送信機から電力を受け取っていないときなどに、電カレセプタクルに電流を供給するように動作可能な電気エネルギーの貯蔵装置を含む。任意選択的に、電気エネルギーの貯蔵装置は、ワイヤレス電力受信機から電気エネルギーを受け取る。電気エネルギーの貯蔵装置は例えば、再充電可能な電池であってもよい。」(当審訳) (3)「FIG. 8A is a perspective view of a movable tower with wireless power capability in accordance with the present invention, shown positioned along a floor surface and spaced from a wireless power transmitter in the floor surface; FIG. 8B is another perspective view of the tower and floor surface of FIG. 8A, in which the tower is aligned with the wireless power transmitter in the floor surface;」(第3欄52~59行) 「図8Aは、床面に沿って配置され、床面内のワイヤレス電力送信機から離間されて示される、本発明によるワイヤレス電力能力を有する可動タワーの斜視図である。図8Bは図8Aのタワーおよび床面の別の斜視図であり、タワーは、床面内のワイヤレス電力送信機と位置合わせされている。」(当審訳) (4)「Referring now to the drawings and the illustrative embodiments depicted therein, a wireless electrical power system 10 includes a wireless electrical power transmitter 12, a portable article 14 such as an article of furniture or an electrical device, a wireless electrical power receiver 16, and an electrical power receptacle or outlet unit 18 at the portable article 14 (FIGS. 1A and 1B).」(第4欄23~30行) 「次に、図面およびそこに描かれた例示的な実施形態を参照すると、ワイヤレス電力システム10は、ワイヤレス電力送信機12と、家具または電気機器などのポータブル物品14と、ワイヤレス電力受信機16と、ポータブル物品14における電力レセプタクルまたはコンセントユニット18とを含む(図1A及び1B)。」(当審訳) (5)「Rolling cart 23 further contains an optional electrical energy storage device 46 that can supply electrical current to the electrical power receptacle unit 18 for a limited time before storage device 46 requires replacement or recharging. Storage device 46 is electrically coupled to power receiver 16 via wiring 48, which may be used both to supply electrical power from power receiver 16 to storage device 46, and to supply electrical power to power receptacle unit 18 via power receiver 16 and wiring 44. For example, storage device 46 may be a rechargeable battery having a low voltage DC output, such as about 24V DC or less, so that an electrical transformer or inverter (e.g., mounted at any of power receiver 16, power receptacle unit 18, or storage device 46) may be used to convert the DC output of storage device 46 to a high voltage AC output at AC receptacles or outlets 42, or to adjust the DC output of storage device 46 as appropriate for DC receptacles or outlets 38 and/or charging base 40.」(第6欄11~28行) 「ローリングカート23は貯蔵装置46が交換または再充電を必要とする前に、限られた時間にわたって電カレセプタクルユニット18に電流を供給することができる任意の電気エネルギーの貯蔵装置46をさらに含む。貯蔵装置46は配線48を介して電力受信機16に電気的に結合され、この配線は電力受信機16から貯蔵装置46に電力を供給するため、および電力受信機16および配線44を介して電カレセプタクルユニット18に電力を供給するための両方に使用されてもよい。例えば、貯蔵装置46は約24V DC以下などの低電圧DC出力を有する再充電可能バッテリであってもよく、その結果、電気変圧器またはインバータ(例えば、電力受信機16、電カレセプタクルユニット18、または貯蔵装置46のいずれかに搭載される)は貯蔵装置46のDC出力をACレセプタクルまたはコンセント42における高電圧AC出力に変換するために、またはDCレセプタクルまたはコンセント38および/または充電ベース40に適切なように貯蔵装置46のDC出力を調整するために使用されてもよい。」(当審訳) (6)「Optionally, and as shown in FIGS. 2A-2C, wireless electrical power system 10 may be arranged somewhat differently, with power transmitter 12 mounted in floor surface 20b,power receiver 16 mounted externally to a bottom surface of rolling cart 23, and storage device 46 wired in series between power receiver 16 and power receptacle unit 18 via electrical wiring 44, 48. Electrically, the embodiment of FIGS. 2A-2C is substantially the same as that of FIGS. 1A-1C, with power receiver 16 receiving electrical power whenever it is positioned directly above a power transmitter 12 located in floor surface 20b,such as shown in FIG. 2B.」(第6欄54~64行) 「任意選択的に、図2A~図2Cに示されるように、ワイヤレス電カシステム10は、いくぶん異なるように配置されてもよく、電力送信機12が床面20bに取り付けられ、電力受信機16がローリングカート23の底面の外部に取り付けられ、貯蔵装置46が電気配線44、48を介して電力受信機16と電カレセプタクルユニット18との間に直列に配線される。電気的には、図2A~図2Cの実施形態が図1A~図1Cの実施形態と実質的に同じであり、電力受信機16は図2Bに示されるように、床面20bに配置された電力送信機12の真上に配置されるときはいつでも、電力を受け取る。」(当審訳) (7)「Similar to chair 30 of FIGS. 7A-7C, the rolling cart 23 of FIGS. 2A-2C, and the table 26 of FIGS. 4A and 4B, movable tower 32 is energizable by placing it atop a power transmitter 12 located in floor surface 20b(FIGS. 8A and 8B). In the illustrated embodiment, movable tower 32 includes at least two power receptacle units 18c including high voltage AC receptacles 42 and low voltage DC receptacles 38, and has a power receiver 16 mounted at a lower end portion 32a. Optionally, an upper end portion 32bhouses a wireless charging pad or transmitter. Accordingly, work areas 22 having multiple wireless power transmitters 12 located in wall surfaces 20a,floor surfaces 20b,or ceiling surfaces 20dmay be readily reconfigured by relocating different types of portable articles, such as furniture, in locations where the power systems associated with the articles will be energized as desired, and substantially without need for any visible or obstructive wiring. It will be appreciated that any of the portable articles 14, including(but not necessarily limited to) desk or table 26, cabinet 28, chair 30,movable tower 32, table-supportable electrified monuments 34a,34b,and electric portable lamp 36 may include or incorporate an electrical energy storage device similar to storage device 46 described above with reference to rolling cart 23. The electrical energy storage device would be sized and shaped as appropriate for packaging purposes within the available space in or along the portable article and the desired electrical output and storage capacity for the storage device. In the illustrated embodiments of 4A, 4B, and 7A-8B, floor surface 20b is a raised floor surface with electrical wiring routed underneath, and with wireless power transmitter 12 mounted in a floor box 76. Such raised floor surfaces, wiring arrangements, and floor boxes are more fully described in commonly-owned U.S. Pat. Nos. 7,878,845 and 7,183,504, which are hereby incorporated herein by reference in their entireties.」(第8欄42行~第9欄10行) 「図7A~図7Cの椅子30、図2A~図2Cのローリングカート23、及び図4Aおよび図4Bのテーブル26と同様に、可動タワー32は、床面20b(図8A及び図8B)に位置する送電器12の上に配置することによって通電可能である。図示の実施形態では、可動タワー32が高電圧ACレセプタクル42および低電圧DCレセプタクル38を含む少なくとも2つの電カレセプタクルユニット18Cを含み、下端部32aに取り付けられた電力受信機16を有する。任意選択的に、上端部32bは、ワイヤレス充電パッドまたは送信機を収容する。したがつて、壁面20a、床面20b、または天井面20dに配置された複数のワイヤレス電力送信機12を有する作業領域22は条項に関連する電カシステムが所望に応じて通電される場所に家具などの異なるタイプのポータブル物品を再配置することによって、実質的に目に見えるまたは妨害的な配を必要とせずに、容易に再構成され得る。 机またはテーブル26、キャビネット28、椅子30、可動タワー32、テーブル支持可能な電化モニュメント34a、34b、および電気携帯ランプ36を含む(ただし、必ずしもこれらに限定されない)ポータブル物品14のいずれも、ローリングカート23を参照して上述した貯蔵装置46と同様の電気エネルギーの貯蔵装置を含むか、または組み込むことができることが理解されよう。電気エネルギーの貯蔵装置は、ポータブル物品内又はポータブル物品に沿った利用可能な空間内のパッケージング並びに貯蔵装置のための所望の電気出力及び貯蔵容量に適した大きさ及び形状にされる。 4A、4B、および7A~8Bの図示された実施形態では、床面20bが下に配線された電気配線を有する隆起床面であり、ワイヤレス電力送信機12が床ボックス76に取り付けられている。そのような隆起床面、配線構造、および床ボックスは、共通所有の米国特許第7,878,845号および同第7,183,504号がその全体が参照により本明細書に組み込まれる。」(当審訳) (8)「Various additional features are envisioned that may enhance or facilitate the use of the wireless electrical power system. For example,each portable article 14 may include an indicator light that illuminates when a sufficient wireless electrical coupling has been established between a wireless power transmitter and at least one wireless power receiver of the portable article.」(第9欄58~64行) 「ワイヤレス電カシステムの使用を強化または容易にし得る様々な追加の特徴が想定される。例えば、各ポータブル物品14は、ポータブル物品のワイヤレス電力送信機と少なくとも1つのワイヤレス電力受信機との間に十分なワイヤレス電気的結合が確立されたときに点灯するインジケータライトを含むことができる。」(当審訳) (9)FIG.2A [図:0001422374000002.jpg] (10)FIG.8A [図:0001422374000003.jpg] (11)FIG.8B [図:0001422374000004.jpg] (12)FIG.8A及び8Bからは、ワイヤレス電力システムのポータブル物品14である可動タワー32が床面20bに対して自立している構成と、電カレセプタクルユニット18Cが配置された可動タワー32の上端部と下端部の間の角柱状の部分が、床面20b上において縦長状態となるように、下に行くほど幅広となる可動タワー32の下端部32aによって支持されている構成が看て取れる。 (13)上記(1)の「ワイヤレス電力受信機はポータブル物品に配置され、ワイヤレス電力受信機がワイヤレス電力送信機に隣接するか、またはワイヤレス電力送信機から最大送信距離以下の距離だけ離間しているとき、ワイヤレス電力送信機から電力を受け取るように構成される。」との記載に照らせば、FIG.8Bのように、床ボックス76上の中央の縁が中央に向かって凹んだ部分にポータブル物品14である可動タワー32を位置合わせして置くと、床ボックス76に取り付けられたワイヤレス電力送信機12と、可動タワー32の下端部32aに取り付けられたワイヤレス電力受信機16とが、隣接するか、または、最大送信距離以下の距離だけ離間していると認められる。 (14)上記(5)の「貯蔵装置46は配線48を介して電力受信機16に電気的に結合され、この配線は電力受信機16から貯蔵装置46に電力を供給する」との記載及び「貯蔵装置46は約24V DC以下などの低電圧DC出力を有する再充電可能バッテリであってもよく、」との記載並びに上記(13)の認定事項から、貯蔵装置46が再充電可能バッテリである場合、電気配線48は、ワイヤレス電力送信機12から電力受信機16に供給される電力によって再充電可能バッテリを再充電すると認められる。 2 引用発明 上記1(1)~(11)の記載事項、1(12)の図示内容及び1(13)の認定事項から、引用文献には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 [引用発明] 「電気の消費者に電力を提供する電カレセプタクルユニット18Cを有する可動タワー32の上端部と下端部の間の角柱状の部分と、 可動タワー32の上端部と下端部の間の角柱状の部分を、床面20b上において縦長状態となるように支持する可動タワー32の下端部32a(支持部)と、を備え、 床面20b上に移動可能に配置され、床面20bに対して自立する、ワイヤレス電力システム10の可動タワー32であって、 電カレセプタクルユニット18cに電力を供給する、電気エネルギーの貯蔵装置46であって交換できる再充電可能バッテリと、 再充電可能バッテリを再充電する電気配線48と、 可動タワー32を位置合わせして置くことができる床ボックス76のワイヤレス電力送信機12から最大送信距離以下の距離だけ離間して電力が供給されるワイヤレス電力受信機16と、を更に備え、 再充電可能バッテリは、電気配線48によって再充電される再充電可能バッテリであり、 電気配線48は、電力受信機16に供給される電力によって再充電可能バッテリを再充電し、 可動タワー32の下端部32aは、下に行くほど幅広となる形状であり 可動タワー32の下端部32aは、床ボックス76の縁が中央に向かって凹んだ部分に位置合わせして置くことができる形状である 可動タワー32。」 3 本件発明1について (1)対比 本件発明1と引用発明とを対比する。 後者の「電気の消費者に電力を提供する」ことは、前者の「給電対象に電力を供給する」ことに相当するから、後者の「電カレセプタクルユニット18C」は前者の「給電部」に相当し、後者の「可動タワー32の上端部と下端部の間の角柱状の部分」は前者の「本体部」に相当する。 後者の「可動タワー32の上端部と下端部の間の角柱状の部分を、床面20b上において縦長状態となるように支持する」ことは前者の「前記本体部を設置面上に立たせるように前記本体部を支持する」ことに相当するから、後者の「可動タワー32の下端部32a」は前者の「支持部」に相当する。 後者の「床面20b上に移動可能に配置され」ることは前者の「持ち運び可能な態様で前記設置面に据え置かれ」ることに相当し、後者の「床面20bに対して自立する、ワイヤレス電力システム10の可動タワー32」は前者の「自立型の給電スタンド」に相当する。 後者の「電カレセプタクルユニット18cに電力を供給する」ことは前者の「前記給電部に電力を供給する」ことに相当するから、後者の「電気エネルギーの貯蔵装置46」である「再充電可能バッテリ」は、前者の「電池」に相当する。 後者の「再充電可能バッテリを再充電する電気配線48」は前者の「充電回路」に相当する。 後者の「可動タワー32を位置合わせして置くことができる」ことは、前者の「前記給電スタンドの取り付け及び取外しが可能」であることに相当し、後者の「床ボックス76」は前者の「充電台」に相当し、後者の「ワイヤレス電力送信機12」は前者の「非接触給電回路」に相当し、後者の「最大送信距離以下の距離だけ離間して電力が供給される」ことは前者の「非接触で電力が供給される」ことに相当するから、後者の「ワイヤレス電力受信機16」は前者の「非接触受電回路」に相当する。 二次電池とは再充電可能な電池のことであるから、後者の「電気配線48によって再充電される再充電可能バッテリ」は前者の「前記充電回路にて充電される二次電池」に相当する。 後者の「電気配線48」が「電力受信機16に供給される電力によって再充電可能バッテリを再充電」することは、前者の「前記充電回路」が「前記非接触受電回路に供給される電力にて前記電池を充電」することに相当する。 後者の「可動タワー32の下端部32a」が「下に行くほど幅広となる形状」であることは、「可動タワー32の上端部と下端部の間の角柱状の部分」から上下方向と直交する方向に、四方に突出する形状でもあるから、前者の「支持部」が「前記本体部から上下方向と直交する方向に突出して」いることに相当する。 後者の「可動タワー32の下端部32a」が「床ボックス76の縁が中央に向かって凹んだ部分に位置合わせして置くことができる形状」であることは、前者の「支持部」が「前記充電台の凹部に嵌り込む形状」であることに相当する。 したがって、本件発明1と引用発明とは、次の一致点1で一致し、相違点1で相違する。 [一致点1] 「給電対象に電力を供給するための給電部を有する本体部と、 前記本体部を設置面上に立たせるように前記本体部を支持する支持部と、を備え、 持ち運び可能な態様で前記設置面に据え置かれる自立型の給電スタンドであって、 前記給電部に電力を供給するための電池と、 充電回路と、 前記給電スタンドの取り付け及び取外しが可能な充電台の非接触給電回路から非接触で電力が供給される非接触受電回路と、を更に備え、 前記電池は、前記充電回路にて充電される二次電池であり、 前記充電回路は、前記非接触受電回路に供給される電力にて前記電池を充電し、 前記支持部は、前記本体部から上下方向と直交する方向に突出しており、 前記支持部は、前記充電台の凹部に嵌り込む形状である 給電スタンド。」 [相違点1] 本件発明1の「支持部」は、「前記上下方向に厚みを有する平板状」であるのに対し、引用発明の「可動タワー32の下端部32a」は、「下に行くほど幅広となる形状」である点。 (2)判断 上記相違点1について検討する。 異議申立人の提出した甲第1、3、4号証(下記第6 1(2)、(4)及び(5)参照。)のいずれにも、充電台の凹部に嵌り込む形状の支持部を、「上下方向に厚みを有する平板状」とする構成は記載も示唆もされていない。 また、自立型の給電スタンドの、充電台の凹部に嵌り込む支持部を、上下方向に厚みを有する平板状とすることが周知技術であったとも認められない。 そして、本件発明1は、上記相違点1に係る本件発明1の構成によって、「支持部4の厚みを薄く設定し」「机95等の什器に支持部4を踏ませる」ことで「支持部4が設置面91の定位置に固定(仮固定)されるため、給電スタンド1Dの転倒が生じにくくなる」(明細書の段落【0068】参照。)という効果が期待できる。 したがって、本件発明1は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない。 4 本件発明2~7、9について 本件発明2~7、9は、本件発明1の構成を全て含むものであるから、本件発明1と同じ理由により、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない。 5 本件発明10について (1)対比 本件発明10と引用発明とを対比する。 後者の「電気の消費者に電力を提供する」ことは、前者の「給電対象に電力を供給する」ことに相当するから、後者の「電カレセプタクルユニット18C」は前者の「給電部」に相当し、後者の「可動タワー32の上端部と下端部の間の角柱状の部分」は前者の「本体部」に相当する。 後者の「可動タワー32の上端部と下端部の間の角柱状の部分を、床面20b上において縦長状態となるように支持する」ことは前者の「前記本体部を設置面上に立たせるように前記本体部を支持する」ことに相当するから、後者の「可動タワー32の下端部32a」は前者の「支持部」に相当する。 後者の「床面20b上に移動可能に配置され」ることは前者の「持ち運び可能な態様で前記設置面に据え置かれ」ることに相当し、後者の「床面20bに対して自立する、ワイヤレス電力システム10の可動タワー32」は前者の「自立型の給電スタンド」に相当する。 後者の「電カレセプタクルユニット18cに電力を供給する」ことは前者の「前記給電部に電力を供給する」ことに相当するから、後者の「電気エネルギーの貯蔵装置46」である「再充電可能バッテリ」は、前者の「電池」に相当する。 また、後者の「再充電可能バッテリ」が「交換できる」構成は、後者の「可動タワー32」に、「再充電可能バッテリ」を取り付け及び取外して、交換できるように収容する部分があることを意味すると認められるから、前者の「電池を取り付け及び取外しが可能な電池収容部」の構成に相当する。 後者の「再充電可能バッテリを再充電する電気配線48」は前者の「充電回路」に相当する。 後者の「電気配線48によって再充電される再充電可能バッテリ」は前者の「前記充電回路にて充電される二次電池」に相当する。 後者の「可動タワー32の下端部32a」が「下に行くほど幅広となる形状」であることは、「可動タワー32の上端部と下端部の間の角柱状の部分」から上下方向と直交する方向に、四方に突出する形状でもあるから、前者の「支持部」が「前記本体部から上下方向と直交する方向に突出して」いることに相当する。 後者の「可動タワー32の下端部32a」が「床ボックス76の縁が中央に向かって凹んだ部分に位置合わせして置くことができる形状」であることは、前者の「支持部」が「前記充電台の凹部に嵌り込む形状」であることに相当する。 したがって、本件発明10と引用発明とは、次の一致点2で一致し、相違点2及び3で相違する。 [一致点2] 「給電対象に電力を供給するための給電部を有する本体部と、 前記本体部を設置面上に立たせるように前記本体部を支持する支持部と、を備え、 持ち運び可能な態様で前記設置面に据え置かれる自立型の給電スタンドであって、 前記給電部に電力を供給するための電池を取り付け及び取外しが可能な電池収容部と、 充電回路と、 を更に備え、 前記電池は、前記充電回路にて充電される二次電池であり、 前記支持部は、前記本体部から上下方向と直交する方向に突出しており、 前記支持部は、前記充電台の凹部に嵌り込む形状である 給電スタンド。」 [相違点2] 本件発明10は「前記給電スタンドの取り付け及び取外しが可能な充電台の接触給電端子に接触し、前記接触給電端子から電力が供給される接触受電端子」を備えるのに対し、引用発明は「可動タワー32を位置合わせして置くことができる床ボックス76のワイヤレス電力送信機12から最大送信距離以下の距離だけ離間して電力が供給されるワイヤレス電力受信機16」を備える点。 [相違点3] 本件発明10の「支持部」は、「前記上下方向に厚みを有する平板状」であるのに対し、引用発明の「可動タワー32の下端部32a」は、「下に行くほど幅広となる形状」である点。 (2)判断 相違点3は、上記3(1)の相違点1と同じ内容である。 そうであれば、相違点2について検討するまでもなく、上記3(2)と同様の理由により、本件発明10は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでない。 第6 取消理由通知において採用しなかった特許異議の申立ての理由について 1 新規性、進歩性について (1)異議申立人の主張 異議申立人は、異議申立書において、次のような新規性及び進歩性に関する主張をしている。 本件特許の請求項1~10に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、取り消されるべきでものある。 また、本件特許の請求項1~6、10に係る発明は、甲第1号証に基いて、本件特許の請求項7、8に係る発明は、甲第1号証と、甲第3号証に基いて、本件特許の請求項9に係る発明は、甲第1号証と、甲第3号証及び甲第4号証に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明であるから、取り消されるべきものである。 <証拠方法> 甲第1号証:特開2008-148463号公報 甲第2号証:米国特許第9484751号明細書(上記引用文献) 甲第3号証:特開平9-247869号公報 甲第4号証:特開2014-57023号公報 (以下、「甲第1号証」~「甲第4号証」を「甲1」~「甲4」という。) (2)甲1の記載事項について 甲1には、次の事項が記載されている。 ア「【0013】 図1の符号1は、オフィスや展示会などでプレゼンテーション等を行う際に使用される本発明の適用されたディスプレイワゴンであり、このディスプレイワゴン1は、床面上を走行可能な台車2と、この台車2に積載された電源装置3と、台車2から上方に立設する支柱4と、この支柱4に支持されて電源装置3から電力を供給する本実施例における外部機器としての大型のディスプレイ5により構成されている。 【0014】 使用者はディスプレイワゴン1を走行させて任意の場所までディスプレイ5を移動させることができ、このディスプレイ5にノートPC(図示略)等を接続して、プレゼンテーション等を行う際に用いる映像等をディスプレイ5に表示できるようになっている。」 イ「【0020】 図3に示すように、支柱4の背面には、本実施例における出力部としての電源タップ19が取り付けられており、ディスプレイ5から延びる電源ケーブル20が、電源タップ19のコンセント21に接続されている。ディスプレイ5には、この電源タップ19を介してベース体6に着脱可能に設けられた2つ(複数)の第1及び第2バッテリ16,17から電力が供給されるようになっている。」 ウ「【0022】 図7に示すように、第1及び第2バッテリ16,17は略直方体形状をなし、その内部にニッケル水素電池で構成された蓄電部22が設けられている。尚、安価なニッケル水素電池を用いて蓄電部22を構成することで、バッテリ16,17の製造コストが低減される。更に尚、本実施例ではバッテリ16,17の蓄電部22にニッケル水素電池を用いているが、ニッケル水素電池に限らず、リチウムイオン電池や鉛電池やその他の電池を蓄電部22に用いてもよい。また、このバッテリ16,17の上面には、バッテリの着脱作業者が把持できる把手23が設けられている。更に、このバッテリ16,17の下面には、コネクタ24が設けられている。」 エ「【0031】 次に、本発明のディスプレイワゴン1に設けられた電源装置3について図4を参照して詳述する。電源装置3の第1及び第2バッテリ16,17は、それぞれがバッテリ切換器37に接続されて、バッテリ切換器37に電力が供給できるようになっている。バッテリ切換器37の内部には、第1バッテリ16に接続するためのリレースイッチ(図示略)と、第2バッテリ17に接続するためのリレースイッチ(図示略)と、が設けられており、 これらリレースイッチ(図示略)のON/OFFを制御することで、バッテリ切換器37が第1バッテリ16または第2バッテリ17の何れか一方と接続されるようになっている。」 (3)甲1発明について 上記(2)の記載事項から、甲1には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。 [甲1発明] 「ディスプレイ5に電力を供給するための電源タップ19が取り付けられた支柱4と、 支柱4を上方に立設し、床面上を走行可能な台車2とを備え、 任意の場所まで走行させて移動させることができるディスプレイワゴン1であっって、 電源タップ19に電力を供給するための第1及び第2バッテリ16、17を更に備え、 第1及び第2バッテリ16、17の内部に蓄電部22が設けられており、 第1及び第2バッテリ16、17はバッテリ切換器37に接続されている、 ディスプレイワゴン1。」 (4)甲3の記載事項について 甲3には、次の事項が記載されている。 「【0017】本実施の形態によれば、二次電池4の端子電圧が最大値を超えると、前記端子電圧を監視するサンプリング間隔を小さくし、且つ得られた端子電圧複数個を平均化して正規の端子電圧とする処理を行うため、前記二次電池4への充電ととともに負荷へ電流を供給していて、前記負荷の変動により前記二次電池4の端子電圧が変動しても、前記端子電圧の平均化により前記端子電圧の一時的な変動を吸収することができるため、前記負荷変動による-ΔVの誤検出を無くすことができ、常に二次電池4を適正に充電することができる。」 (5)甲4の記載事項について 甲4には、次の事項が記載されている。 「【0009】 本発明のワイヤレス充電台は、回路基板と送電コイルとフェライト板がケース内部に収納され、送電コイルが回路基板に固定され、フェライト板がケース内部の底面に固定されることにより送電コイルの下方に配置されるので、ワイヤレス充電台の共振周波数のばらつきによる電力伝送効率の低下を抑えるとともに、磁束漏れや、衝撃によるフェライト板の破損をなくすことができる。」 (6)本件発明1について 本件発明1と甲1発明とを対比すると、少なくとも次の相違点4で相違する。 [相違点4] 本件発明1の給電スタンドは、「充電回路」を備え、「電池は、前記充電回路にて充電される」のに対し、甲1発明のディスプレイワゴン1は、充電回路を備えない点。 次に、上記相違点4について検討する。 甲1発明のディスプレイワゴン1は、バッテリ切換器37に2つのバッテリを接続し、一方のバッテリの交換時に、他方のバッテリからの給電に切り替えることで、「長時間連続して使用する外部機器に対して用いることができ、かつバッテリの着脱作業者が任意にバッテリの着脱作業を行える電源装置を提供する」(明細書の【0005】参照。)発明であるから、仮に蓄電池を充電回路と組み合わせることが周知技術であったとしても、甲1発明に当該周知技術を適用する動機付けはない。 したがって、甲1発明及び周知技術に基いて上記相違点4に係る本件発明1の構成に想到することは当業者が容易になし得たこととは認められない。 よって、本件発明1は甲1発明でなく、また、本件発明1は、甲1発明及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものでない。 (7)本件発明2~7、9、10について 本件発明2~7、9、10は、本件発明1と同様に、「充電回路」を備え、「電池は、前記充電回路にて充電される」という事項を備えるものである。 したがって、本件発明1と同じ理由により、本件発明2~10は、甲1発明でなく、また、本件発明2~6及び10に係る発明は、甲1発明に基いて、本件発明7に係る発明は、甲1発明と甲3に基いて、本件発明9は、甲1発明と、甲3及び甲4に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでない。 2 記載不備について (1)サポート要件(充電回路の点)について 異議申立人は、特許異議申立書において、次のようなサポート要件(充電回路の点)に関する主張をしている。 本件発明1及び本件発明10では、構成要件として充電回路を限定しているが、充電回路の配置位置について限定はなく、従って、充電回路を電池に設けた構成も含んでいる。しかし、明細書及び図面には、充電回路を電池に設けることについての記載は全く存在していない。してみると、本件発明1及び本件発明10は、明細書又は図面で開示されていない構成まで技術的範囲に含むものであつて、特許法第36条第6項第1号(サポート要件)に違反している。本件発明1を引用する本件発明2~9も同様である。 そこで、上記のサポート要件(充電回路)に関する主張について検討する。 本件発明1及び10は、「給電対象への電力の供給元を自由に配置する場合でも故障等の不具合が生じにくい、給電スタンドを提供する」(明細書の段落【0006】参照。)という課題を解決する発明であり、この課題の解決手段に関して、明細書には「少なくとも本体部3が自立型かつ可搬型の給電装置であって、ユーザ93(図3参照)が給電スタンド1を自由に持ち運んで設置面91上の任意の位置に設置することができる。これにより、例えば、住宅の居室等の環境において、携帯端末等の給電対象92への電力の供給元を自由に配置することができる。しかも、給電スタンド1は、給電部2を有する本体部3が、支持部4に支持されて設置面91上に立つように設置される。そのため、給電スタンド1では、給電部2が人の足で踏まれたり、設置面91に液体がこぼれた際に給電部2に液体が掛かったりすることによる給電部2の故障等の不具合が生じにくい、という利点がある。」(明細書の段落【0012】参照)と記載されており、上記課題の解決手段として充電回路の配置まで特定する必要はないといえる。 したがって、本件発明1及び10は、発明の詳細な説明において発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えているとはいえず、出願時の技術常識に照らしても、本件発明1及び10の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できないものではない。 よって、異議申立人のサポート要件(充電回路)に関する主張は採用することはできず、本件発明1~7、9、10に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たす。 (2)明確性要件(充電回路の点)について 異議申立人は、特許異議申立書において、次のような明確性要件(充電回路の点)に関する主張をしている。 本件発明1及び本件発明10では、構成要件として充電回路を限定しているが、充電回路の位置について限定はない一方、明細書の【0099】には、充電回路101充電台200Gに設けられていてもよい旨の記載があり、充電台を構成要件にしていない本件第1発明において充電回路が充電台に設けられている場合に充電回路がどのように位置付けられるのか、明確でない。すなわち、本件発明1では、充電回路の配置位置は限定していないため、充電回路と他の構成要素とがどのように関連しているのか明確でなく、発明を正確に把握し難い。従って、本件発明1及び本件発明10は、特許法第36条第6項第2号(明確性要件)に違反している。本件発明1を引用する本件発明2~9も同様である。 しかしながら、本件発明1及び10における、充電回路に関する特定事項(「充電回路」が「給電スタンド」に備わる構成、及び、「前記電池は、前記充電回路にて充電される二次電池である」という構成。)は明確であり、充電回路の配置位置の特定がなくても不明確であるとはいえない。 よって、異議申立人の明確性要件(充電回路の点)に関する主張は採用することはできず、本件発明1~7、9、10に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たす。 (3)明確性要件(充電台)について 異議申立人は、特許異議申立書において、次のような明確性要件(充電台)に関する主張をしている。 本件発明9は充電台を構成要件にしており、「充電台に前記支持部が置かれた状態で、前記電池が充電される」と記載しているが、充電台の機能が不明であり、支持部が充電台に置かれると、どのようなメカニズムで電池が充電されるのか、不明確である。すなわち、本件発明1~8では、電池の充電は充電回路によって行われているが、充電回路と支持部と充電台との関係は曖昧模糊としており、支持部を充電台におくと充電台と充電回路とがどのような関係を生じるのか不明であり、発明を正確に把握できない。従って、特許法第36条第6項第2号に違反している。 しかしながら、電池が充電されるメカニズムがどのようなものであり、充電台と充電回路とがどのような関係を生ずるとしても、本件の請求項9に記載された「充電台」は、給電スタンドを置く機能があることと、置いた給電スタンドの電池を充電可能にする機能があることは明確であるから、充電回路と支持部及び充電台との関係は明確であるといえ、異議申立人の明確性要件(充電台)に関する主張は採用することはできず、本件発明9に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たす。 第7 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議の申立ての理由によっては、本件の請求項1~7、9、10に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件の請求項1~7、9、10に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 そして、本件の請求項8は、上記第2のとおり、本件訂正により削除された。これにより、異議申立人による本件の請求項8に係る特許についての特許異議の申立てについては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項において準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-700516

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