特許異議申立
2017-700503
半導体装置、積層型半導体装置、封止後積層型半導体装置、及びこれらの製造方法
- 審判番号
- 2017-700503
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2014-071458
- 登録番号
- 特許第6031060号(P6031060)
- 請求日
- 2017年05月23日
- 審決日
- 2017年11月07日
- 公報発行日
- 2017年12月28日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】信越化学工業株式会社
- 【権利者代理人】好宮 幹夫
- 【異議申立人】内野 房子
- 審判長/審判官
- 審判長 森川 幸俊
- 審判官 関谷 隆一
- 審判官 酒井 朋広
- 分類
- P1651.121-Y (H01L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6031060号発明「半導体装置、積層型半導体装置、封止後積層型半導体装置、及びこれらの製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第6031060号の請求項1ないし14に係る特許を維持する。
理由
【理 由】
1.手続の経緯
本件特許第6031060号に係る出願は、平成26年3月31日に出願され、平成28年10月28日にその発明について特許の設定登録がなされたものであって、手続の概要は以下のとおりである。
特許異議申立(全請求項 内野房子):平成29年 5月23日
2.申立理由の概要
本件特許の全請求項に係る発明は、甲第1号証に記載された発明、甲第2ないし7号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
甲第1号証:米国特許出願公開第2013/0040423号明細書
甲第2号証:特開2002-76637号公報
甲第3号証:米国特許出願公開第2013/0264684号明細書
甲第4号証:米国特許第8476770号明細書
甲第5号証:特開2013-173920号公報
甲第6号証:再公表特許00/10369号
甲第7号証:特開2006-128493号公報
3.本件特許発明
本件特許の請求項1ないし14に係る発明(以下、「本件特許発明1」ないし「本件特許発明14」という。)は、特許請求の範囲の請求項1ないし14に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。
「 【請求項1】
半導体素子と、該半導体素子に電気的に接続される半導体素子上金属パッド及び金属配線を有し、該金属配線が貫通電極及びソルダーバンプに電気的に接続される半導体装置であって、
前記半導体素子が載置された第一絶縁層と、前記半導体素子上に形成された第二絶縁層と、該第二絶縁層上に形成された第三絶縁層とを有し、
前記金属配線が、前記第二絶縁層の上面で前記半導体素子上金属パッドを介して前記半導体素子に電気的に接続され、前記第二絶縁層の上面から前記第二絶縁層を貫通して前記第二絶縁層の下面で前記貫通電極に電気的に接続されたものであり、
前記第一絶縁層と前記半導体素子の間に半導体素子下金属配線が配置され、該半導体素子下金属配線が、前記第二絶縁層の下面で前記金属配線と電気的に接続されたものであることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第一絶縁層が光硬化性ドライフィルム又は光硬化性レジスト塗布膜によって形成されたものであり、前記第二絶縁層が前記光硬化性ドライフィルムによって形成されたものであり、前記第三絶縁層が前記光硬化性ドライフィルム又は光硬化性レジスト塗布膜によって形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記半導体素子の高さが20~100μmであり、前記第一絶縁層の膜厚が1~20μmであり、前記第二絶縁層の膜厚が5~100μmであり、前記第三絶縁層の膜厚が5~100μmであり、前記半導体装置の厚さが50~300μmであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記光硬化性ドライフィルムが、
(A)下記一般式(1)で示される繰り返し単位を有する重量平均分子量が3,000~500,000のシリコーン骨格含有高分子化合物、
【化1】
(略)
(式中、R1~R4は同一でも異なっていてもよい炭素数1~8の1価炭化水素基を示す。mは1~100の整数である。a、b、c、dは0又は正数、かつa、b、c、dは同時に0になることがない。ただし、a+b+c+d=1である。さらに、Xは下記一般式(2)で示される有機基、Yは下記一般式(3)で示される有機基である。)
【化2】
(略)
(式中、Zは
【化3】
(略)
のいずれかより選ばれる2価の有機基であり、nは0又は1である。R5及びR6はそれぞれ炭素数1~4のアルキル基又はアルコキシ基であり、相互に異なっていても同一でもよい。kは0、1、2のいずれかである。)
【化4】
(略)
(式中、Vは
【化5】
(略)
のいずれかより選ばれる2価の有機基であり、pは0又は1である。R7及びR8はそれぞれ炭素数1~4のアルキル基又はアルコキシ基であり、相互に異なっていても同一でもよい。hは0、1、2のいずれかである。)
(B)ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド-アルコールにより変性されたアミノ縮合物、1分子中に平均して2個以上のメチロール基又はアルコキシメチロール基を有するフェノール化合物から選ばれる1種又は2種以上の架橋剤、
(C)波長190~500nmの光によって分解し、酸を発生する光酸発生剤、及び
(D)溶剤、
を含有してなる化学増幅型ネガ型レジスト組成物材料からなる光硬化性樹脂層を有する光硬化性ドライフィルムであることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の半導体装置がフリップチップ化されて複数積層されたものであることを特徴とする積層型半導体装置。
【請求項6】
請求項5に記載の積層型半導体装置が電気回路を有する基板上に載置され、絶縁封止樹脂層で封止されたものであることを特徴とする封止後積層型半導体装置。
【請求項7】
半導体装置の製造方法であって、
(1)サポート基板に仮接着剤を塗布し、該仮接着剤上にレジスト組成物材料を光硬化性樹脂層として用いた膜厚1~20μmの第一絶縁層を形成する工程と、
(2)前記第一絶縁層に対してマスクを介したリソグラフィーによってパターニングを行って貫通電極となるホールパターンを形成後、ベークすることで前記第一絶縁層を硬化させる工程と、
(3)前記第一絶縁層にスパッタリングによるシード層形成を行い、その後前記貫通電極となるホールパターンをメッキによって埋め、貫通電極と接続される金属配線を形成するとともに、半導体素子下金属配線を形成する工程と、
(4)上部表面に電極パッドが露出した高さ20~100μmの半導体素子を、前記半導体素子下金属配線を形成した硬化後の第一絶縁層上へダイボンディング剤を用いてダイボンディングする工程と、
(5)膜厚5~100μmである光硬化性樹脂層が支持フィルムと保護フィルムで挟まれた構造を有し、該光硬化性樹脂層がレジスト組成物材料からなる光硬化性ドライフィルムを準備する工程と、
(6)前記第一絶縁層上へダイボンディングされた半導体素子を覆うように前記光硬化性ドライフィルムの光硬化性樹脂層をラミネートすることで第二絶縁層を形成する工程と、
(7)前記第二絶縁層に対して、マスクを介したリソグラフィーによってパターニングを行い、前記電極パッド上の開口と、前記貫通電極と接続される金属配線上に前記第二絶縁層を貫通する金属配線を形成するための開口と、前記貫通電極を形成するための開口を同時に形成した後、ベークすることで前記第二絶縁層を硬化させる工程と、
(8)硬化後、スパッタリングによるシード層形成を行い、その後前記電極パッド上の開口と、前記第二絶縁層を貫通する金属配線を形成するための開口と、前記貫通電極を形成するための開口をメッキによって埋めて、半導体素子上金属パッドと、前記第二絶縁層を貫通する金属配線と、貫通電極とを形成するとともに、前記メッキによって形成された前記半導体素子上金属パッドと前記第二絶縁層を貫通する金属配線をメッキによる金属配線によってつなぐ工程と、
(9)金属配線の形成後、前記光硬化性ドライフィルムの光硬化性樹脂層をラミネートする又は前記光硬化性ドライフィルムに用いたレジスト組成物材料をスピンコートすることで第三絶縁層を形成する工程と、
(10)前記第三絶縁層に対して、マスクを介したリソグラフィーによってパターニングを行い、前記貫通電極上部に開口を形成した後、ベークすることで前記第三絶縁層を硬化させる工程と、
(11)硬化後、前記貫通電極上部の開口にソルダーバンプを形成する工程、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記工程(5)で準備される光硬化性ドライフィルムを
(A)下記一般式(1)で示される繰り返し単位を有する重量平均分子量が3,000~500,000のシリコーン骨格含有高分子化合物、
【化6】
(略)
(式中、R1~R4は同一でも異なっていてもよい炭素数1~8の1価炭化水素基を示す。mは1~100の整数である。a、b、c、dは0又は正数、かつa、b、c、dは同時に0になることがない。但し、a+b+c+d=1である。更に、Xは下記一般式(2)で示される有機基、Yは下記一般式(3)で示される有機基である。)
【化7】
(略)
(式中、Zは
【化8】
(略)
のいずれかより選ばれる2価の有機基であり、nは0又は1である。R5及びR6はそれぞれ炭素数1~4のアルキル基又はアルコキシ基であり、相互に異なっていても同一でもよい。kは0、1、2のいずれかである。)
【化9】
(略)
(式中、Vは
【化10】
(略)
のいずれかより選ばれる2価の有機基であり、pは0又は1である。R7及びR8はそれぞれ炭素数1~4のアルキル基又はアルコキシ基であり、相互に異なっていても同一でもよい。hは0、1、2のいずれかである。)
(B)ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド-アルコールにより変性されたアミノ縮合物、1分子中に平均して2個以上のメチロール基又はアルコキシメチロール基を有するフェノール化合物から選ばれる1種又は2種以上の架橋剤、
(C)波長190~500nmの光によって分解し、酸を発生する光酸発生剤、及び
(D)溶剤、
を含有してなる化学増幅型ネガ型レジスト組成物材料からなる光硬化性樹脂層を有する光硬化性ドライフィルムとすることを特徴とする請求項7に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記工程(6)において、前記第二絶縁層を機械的にプレスする工程を含むことを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記工程(11)において、前記貫通電極上部の開口にメッキによって貫通電極上金属パッドを形成する工程と、
前記貫通電極上金属パッド上にソルダーボールを形成し、ソルダーバンプとする工程、
を有することを特徴とする請求項7から請求項9のいずれか一項に記載の半導体装置の製
造方法。
【請求項11】
前記工程(8)のメッキによる前記貫通電極の形成において、SnAgによるメッキを行う工程を含み、
前記工程(10)において、前記貫通電極上部に開口を形成するようにパターニングを行うことで、前記メッキされたSnAgを露出させる工程と、
前記工程(11)において、前記メッキされたSnAgを溶融することで前記貫通電極上部の開口において電極を隆起させてソルダーバンプを形成する工程、
を有することを特徴とする請求項7から請求項9のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記工程(11)の後に、前記工程(1)で第一絶縁層と仮接着したサポート基板を除去する工程と、
前記基板を除去した後、ダイシングすることで個片化する工程、
を有することを特徴とする請求項7から請求項11のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
請求項12に記載の製造方法でダイシングによって個片化された半導体装置の複数を、絶縁樹脂層を挟んで、前記ソルダーバンプによって電気的に接合し、積層することを特徴とする積層型半導体装置の製造方法。
【請求項14】
請求項13に記載の製造方法で製造した積層型半導体装置を、電気回路を有した基板に載置する工程と、
前記基板に載置された積層型半導体装置を絶縁封止樹脂層で封止する工程、
を有することを特徴とする封止後積層型半導体装置の製造方法。」
4.甲第1号証
甲第1号証には、「METHOD OF MULTI-CHIP WAFER LEVEL PACKAGING」「(訳)マルチチップウエハレベルパッケージの方法」について、以下の記載がある。(下線は当審で付加した。)
(1)「[0012] Referring initially to FIG. 1 , a cross sectional view of a multi-chip semiconductor device is illustrated in accordance with an embodiment. The multi-chip semiconductor device 100 comprises a first semiconductor die 131 , a second semiconductor die 132 and a third semiconductor die 133 . As shown in FIG. 1 , the first semiconductor die 131 , the second semiconductor die 132 and the third semiconductor die 133 are stacked together to form the multi-chip semiconductor device 100 . More particularly, the backside of the second semiconductor die 132 is attached to the front side of the first semiconductor die 131 using a first adhesive layer 126 . Likewise, the backside of the third semiconductor die 133 is attached to a photo-sensitive material layer 108 using a second adhesive layer 124 .」
「(訳)[0012] まず、図1を参照すると、1つの実施形態に係るマルチチップ型半導体装置の断面図が示されている。マルチチップ型半導体装置100は、第1の半導体ダイ131と、第2の半導体ダイ132と、第3の半導体ダイ133とを備えている。図1に示すように、第1の半導体ダイ131、第2の半導体ダイ132および第3の半導体ダイ133は、互いに積み重ねられてマルチチップ型半導体装置100を形成する。より具体的には、第2の半導体ダイ132の裏面は、第1の接着剤層126を用いて第1の半導体ダイ131の表面に取り付けられており、同様に、第3の半導体ダイ133の裏面は、第2の接着剤層124を用いて感光性材料層108に取り付けられている。」
(2)「[0013] The multi-chip semiconductor device 100 further comprises a plurality of solder balls 110 as input/output (I/O) pads mounted on the top side of the multi-chip semiconductor device 100 using a plurality of under bump metallization (UBM) structures 112 . In order to give a basic insight of the inventive aspects of various embodiments, the first semiconductor die 131 , the second semiconductor die 132 and the third semiconductor die 133 are drawn without details. However, it should be noted the first semiconductor die 131 , the second semiconductor die 132 and the third semiconductor die 133 may comprise basic semiconductor layers such as active circuit layers, substrate layers, inter-layer dielectric (ILD) layers and inter-metal dielectric (IMD) layers (not shown).」
「(訳)[0013] マルチチップ型半導体装置100は、さらに、複数のアンダー・バンプ・メタライゼーション(UBM)構造112を用いて、マルチチップ型半導体装置100の上面に搭載された入出力(I/O)パッドとしての複数のソルダーボール110を含む。様々な実施形態の本発明の態様の基本的な洞察を与えるために、第1の半導体ダイ131、第2の半導体ダイ132、および第3の半導体ダイ133は、細部なしで描かれている。しかしながら、第1の半導体ダイ131、第2の半導体ダイ132および第3の半導体ダイ133は、能動回路層、基板層、層間誘電体(ILD)層および金属間誘電体(IMD)層のような基本的な半導体層を含んでもかまわないことに留意されたい。」
(3)「[0015] The multi-chip semiconductor device 100 may comprise two photo-sensitive material layers 106 and 108 . The photo-sensitive material layer 106 is formed on top of the photo-sensitive material layer 108 . As shown in FIG. 1 , the second semiconductor die 132 is embedded in the photo-sensitive material layer 108 . The third semiconductor die 133 is embedded in the photo-sensitive material layer 106 . The photo-sensitive material layer 106 may further comprise a plurality of through assembly vias (TAVs) 102 , 104 and 116 . It should be noted, as shown in FIG. 1 , both the TAVs 104 and the TAVs 116 are formed in the photo-sensitive material layer 106 . However, the TAVs 116 are formed between the third semiconductor die 133 and the sold ball side of the multi-chip semiconductor device 100 . In contrast, the TAVs 104 are formed through the photo-sensitive material layer 106 and further connected to a second redistribution layer 134 formed on top of the photo-sensitive material layer 108 . Likewise, the TAVs 102 are formed through the photo-sensitive material layer 106 and further connected to TAVs formed in the photo-sensitive material layer 108 . The formation processes of the photo-sensitive material layers 106 , 108 and respective TAVs in each layer will be described in detail with respect to FIGS. 2-4 .」
「(訳)[0015] マルチチップ型半導体装置100は、2つの感光性材料層106および108を備えていてもよい。感光性材料層106は、感光性材料層108の上に形成される。図1に示すように、第2の半導体ダイ132は、感光性材料層108に埋め込まれている。第3の半導体ダイ133は、感光性材料層106に埋め込まれている。感光性材料層106は、さらに、複数のアセンブリ貫通ビア(TAV)102、104および116を含んでいてもよい。図1に示すように、TAV104およびTAV116は、感光性材料層106に形成されているが、TAV116は、第3の半導体ダイ133とマルチチップ型半導体装置100のソルダーボール側との間に形成されている。これに対して、TAV104は、感光性材料層106を貫通して形成され、さらに感光性材料層108の上に形成された第2の再配線層134に接続される。同様にして、TAV102は、感光性材料層106を貫通して形成され、さらに感光性材料層108に形成されたTAVに接続されている。各感光性材料層106、108および各TAVの形成工程については、図2-4を参照して詳細に説明する。」
(4)「[0016] The active circuit layer (not shown) of the first semiconductor die 131 is coupled to the solder balls 110 through the plurality of TAVs 102 , 104 and redistribution layers 114 and 134 . More particularly, the second redistribution layer 134 , the TAVs 102 , the TAVs 104 and the first redistribution layer 114 may form various connection paths so that the active circuits of the first semiconductor die 131 can be connected with the solder balls 110 . Likewise, the first redistribution layer 114 , the second redistribution layer 134 and the TAVs 104 , 116 may form various connection paths so that the active circuit (not shown) of the second semiconductor die 132 and the third semiconductor die 133 can be connected with the solder balls 110 .」
「(訳)[0016] 第1の半導体ダイ131の能動回路層(図示せず)は、複数のTAV102、104および再配線層114、134を介してソルダーボール110に接続される。特に、第2の再配線層134、TAV102、TAV104および第1の再配線層114は、第1の半導体ダイ131の能動回路がソルダーボール110に接続できるように、様々な接続経路を形成することができる。同様に、第1の再配線層114、第2の再配線層134、およびTAV104、116は、第2の半導体ダイ132および第3の半導体ダイ133の能動回路(図示せず)がソルダーボール110に接続できるように、様々な接続経路を形成することができる。」
(5)「[0025] FIG. 2E illustrates the formation of a plurality of UBM structures and interconnection pads. The plurality of UBM structures 112 are formed on top of the redistribution layer 114 . The UBM structures 112 may help to prevent diffusion between the solder balls and the integrated circuits of the multi-chip semiconductor device, while providing a low resistance electrical connection. The interconnection pads provide an effective way to connect the multi-chip semiconductor device with external circuits (not shown). The interconnection pads are I/O pads of the multi-chip semiconductor device. In accordance with an embodiment, the interconnection pads may be a plurality of solder balls 110 . Alternatively, the interconnection pads may be a plurality of land grid array (LGA) pads. FIG. 2E further illustrates a process of separating the reconfigured wafer into a plurality of multi-die structures 212 using a dicing process. The dicing process is well known in the art, and hence is not discussed in detail herein.」
「(訳) 図2Eは、複数のUBM構造および相互接続パッドの形成を示す。複数のUBM構造112は、再配線層114の上に形成される。UBM構造112は、低抵抗の電気的接続を提供しながら、ハンダボールとマルチチップ型半導体デバイスの集積回路との間の拡散を防止するのを助けることができる。相互接続パッドは、マルチチップ型半導体装置を外部回路(図示せず)と接続する有効な方法を提供する。相互接続パッドは、マルチチップ型半導体デバイスのI/Oパッドである。1つの実施形態によれば、相互接続パッドは、複数のソルダーボール110であってもよい。あるいは、相互接続パッドは、複数のランド・グリッド・アレイ(LGA)パッドであってもよい。図2Eは、さらに、再構成されたウエハをダイシングプロセスを用いて複数のマルチダイ構造212に分離するプロセスを示す。ダイシングプロセスは、当該技術分野において周知であり、したがってここでは詳細には論じない。」
上記摘示事項及び図面の記載から以下のことがいえる。
(a)甲第1号証には、「マルチチップ型半導体装置100」が記載されている(摘示事項(1))。
(b)第3の半導体ダイ133の裏面は、第2の接着剤層124を用いて感光性材料層108に取り付けられている(摘示事項(1))。
(c)マルチチップ型半導体装置100は、複数のアンダー・バンプ・メタライゼーション(UBM)構造112を用いて、マルチチップ型半導体装置100の上面に搭載された入出力(I/O)パッドとしての複数のソルダーボール110を含む(摘示事項(2))。
(d)マルチチップ型半導体装置100は、2つの感光性材料層106および108を備えている。感光性材料層106は、感光性材料層108の上に形成される。第3の半導体ダイ133は、感光性材料層106に埋め込まれている。感光性材料層106は、さらに、複数のアセンブリ貫通ビア(TAV)102、104および116を含んでいる。TAV116は、第3の半導体ダイ133とマルチチップ型半導体装置100のソルダーボール側との間に形成されている。TAV104は、感光性材料層106を貫通して形成され、さらに感光性材料層108の上に形成された第2の再配線層134に接続される。TAV102は、感光性材料層106を貫通して形成されている(摘示事項(3))。TAV102は、感光性材料層108の上に形成された第2の再配線層134に接続される(図1)。
(e)第1の再配線層114およびTAV116は、第3の半導体ダイ133の能動回路がソルダーボール110に接続できるように、接続経路を形成する(摘示事項(4))。
(f)第1の再配線層114は、感光性材料層106の上でUBM構造112に接続する(図1、摘示事項(5))。
(g)感光性材料層106の上に別の層が形成される(図1)。
以上を総合勘案すると、甲第1号証には、次の発明(以下「甲第1号証発明1」という。)が記載されているものと認める。
「マルチチップ型半導体装置100であって、
第3の半導体ダイ133の裏面は、第2の接着剤層124を用いて感光性材料層108に取り付けられており、
複数のアンダー・バンプ・メタライゼーション(UBM)構造112を用いて、マルチチップ型半導体装置100の上面に搭載された入出力(I/O)パッドとしての複数のソルダーボール110を含み、
2つの感光性材料層106および108を備えており、
感光性材料層106は、感光性材料層108の上に形成され、
第3の半導体ダイ133は、感光性材料層106に埋め込まれており、
感光性材料層106は、複数のアセンブリ貫通ビア(TAV)102、104および116を含んでおり、
TAV116は、第3の半導体ダイ133とマルチチップ型半導体装置100のソルダーボール側との間に形成されており、
TAV104は、感光性材料層106を貫通して形成され、さらに感光性材料層108の上に形成された第2の再配線層134に接続され、
TAV102は、感光性材料層106を貫通して形成され、さらに感光性材料層108の上に形成された第2の再配線層134に接続され、
第1の再配線層114およびTAV116は、第3の半導体ダイ133の能動回路がソルダーボール110に接続できるように、接続経路を形成し、
第1の再配線層114は、感光性材料層106の上でUBM構造112に接続し、
感光性材料層106の上に別の層が形成されるマルチチップ型半導体装置100。」
甲第1号証には、以下の記載もある。
(6)「[0023] FIG. 2C further illustrates a cross sectional view of forming a plurality of openings in the photo-sensitive material layer 106 . In consideration of electrical and thermal needs, selective areas of the photo-sensitive material layer 106 are exposed to light. The physical properties of the photo-sensitive regions exposed to light change as a result. According to an embodiment, the change of the physical properties of the exposed regions will cause the exposed regions to be etched away when a developer solution is applied to the photo-sensitive material layer 106 . As a result, a variety of openings 252 are formed. The formation of the openings 252 in the photo-sensitive material layer 106 involves lithography operations, which are well known, and hence are not discussed in further detail herein.」
「(訳)[0023] 図2Cは、さらに、感光性材料層106に複数の開口を形成した断面図を示す。電気的および熱的な必要性を考慮して、感光性材料層106の選択領域が露光される。結果として、光に曝される感光領域の物理的特性が変化する。1つの実施形態によれば、露光された領域の物理特性の変化は、現像液が感光性材料層106に塗布されると露光された領域がエッチングされることになる。その結果、様々な開口部252が形成される。感光性材料層106に開口部252を形成することは、周知のリソグラフィー操作を伴うため、ここでは詳細には説明しない。」
(7)「[0032] FIGS. 4A-4H are cross sectional views of intermediate stages in the making of a multi-chip semiconductor device in accordance with yet another embodiment. FIG. 4A illustrates a cross sectional view of a wafer plane 141 , which is similar to that of FIG. 2A . FIG. 4B illustrates the process of stacking the second semiconductor die 132 on top of the wafer plane 141 . The backside of the second semiconductor die 132 is glued on the top side of the first semiconductor die 131 by employing the first adhesive 126 .」
「(訳)[0032] また、図4A-4Hは、さらに別の実施形態に係るマルチチップ型半導体デバイスの製造における中間段階の断面図である。図4Aは、ウエハ板141の断面図を示しており、これは図2Aと同様である。図4Bは、第2の半導体ダイ132をウエハ板141上に積み重ねるプロセスを示す。第2の半導体ダイ132の裏面は、第1の接着剤126を用いることによって、第1の半導体ダイ131の上面に接着される。」
(8)「[0033] FIG. 4C illustrates a cross sectional view of a photo-sensitive material layer 108 . The photo-sensitive material layer 108 is formed on top of the wafer plane 141 . As shown in FIG. 4C , the second semiconductor die 132 is embedded in the photo-sensitive material layer 108 . FIG. 4C further illustrates a cross sectional view of forming a plurality of openings 452 in the photo-sensitive material layer 108 . The process of forming the plurality of openings 452 is similar to that of forming the openings 252 shown in FIG. 2C , and hence are not discussed in further detail herein.」
「(訳)[0033] 図4Cは、感光性材料層108の断面図を示す。感光性材料層108は、ウエハ板141上に形成される。図4Cに示すように、第2の半導体ダイ132は、感光性材料層108に埋め込まれる。図4Cは、さらに、感光性材料層108内に複数の開口部452を形成する断面図を示す。複数の開口部452を形成するプロセスは、図2Cに示す開口部252を形成するプロセスと同様であるので、ここではさらに詳細には説明しない。」
(9)「[0034] FIG. 4D illustrates the formation of a plurality of TAVs and a second redistribution layer. Similar to the process shown in FIG. 2D , a plurality of TAVs 102 , 104 and the second redistribution layer 134 are formed by an electrochemical plating mechanism. FIG. 4E illustrates the process of stacking the third semiconductor die 133 on top of the photo-sensitive material layer 108 . The backside of the third semiconductor die 133 is glued on top of the photo-sensitive material layer 108 by employing a second adhesive 124 .」
「(訳)[0034] 図4Dは、複数のTAVおよび第2の再配線層の形成を示す。図2Dに示すように、複数のTAV102、104および第2の再配線層134は、電気化学的めっき機構によって形成される。図4Eは、第3の半導体ダイ133を感光性材料層108上に積み重ねるプロセスを示す。第3の半導体ダイ133の裏面は、第2の接着剤124を用いることによって感光性材料層108上に接着される。」
(10)「[0035] FIG. 4F illustrates a cross sectional view of a photo-sensitive material layer 106 . The photo-sensitive material layer 106 is formed on top of the photo-sensitive material layer 108 . As shown in FIG. 4F , the third semiconductor die 133 is embedded in the photo-sensitive material layer 106 . The process of forming a photo-sensitive material layer and openings has been described above with respect to FIG. 2C , and hence is not discussed in detail in order to avoid repetition. FIG. 4G illustrates a cross sectional view of forming a plurality of TAVs in the photo-sensitive material layer 106 . The process of forming TAVs 102 , 104 , 106 is similar to that shown in FIG. 2D .」
「(訳)[0035] 図4Fは、感光性材料層106の断面図を示す。感光性材料層106は、感光性材料層108上に形成される。図4Fに示すように、第3の半導体ダイ133は、感光性材料層106に埋め込まれている。感光性材料層および開口を形成するプロセスは、図2Cに関する説明で上述しているので、繰り返しを避けるために詳細には説明しない。図4Gは、感光性材料層106内に複数のTAVを形成する断面図を示す。TAV102、104、116を形成するプロセスは、図2Dに示すプロセスと同様である。」
(11)「[0036] FIG. 4H illustrates the formation of a plurality of UBM structures and interconnection pads. The plurality of UBM structures are formed between the redistribution layer 114 and the solder balls 110 . FIG. 4H further illustrates a process of separating the reconfigured wafer into a plurality of multi-die structures 412 using a dicing process. The dicing process is well known in the art, and hence is not discussed in detail herein.」
「(訳)[0036] 図4Hは、複数のUBM構造及び相互接続パッドの形成を示す。複数のUBM構造は、再配線層114とソルダーボール110との間に形成される。図4Hは、さらに、再構成されたウエハを、ダイシングプロセスを用いて複数のマルチダイ構造412に分離するプロセスを示す。ダイシングプロセスは、当該技術分野において周知であり、したがってここでは詳細には論じない。」
上記摘示事項及び図面の記載から以下のことがいえる。
(h)甲第1号証には、マルチチップ型半導体デバイスの製造方法が記載されている(摘示事項(7))。
(i)感光性材料層108は、ウエハ板141上に形成される。感光性材料層108内に複数の開口部452を形成するプロセスは、周知のリソグラフィー操作を伴う(摘示事項(6)、(8))。
(j)複数のTAV102、104および第2の再配線層134は、電気化学的めっき機構によって形成される。第3の半導体ダイ133の裏面は、第2の接着剤124を用いることによって感光性材料層108上に接着される(摘示事項(9))。
(k)感光性材料層106は、感光性材料層108上に形成される。第3の半導体ダイ133は、感光性材料層106に埋め込まれる。感光性材料層106内に複数の開口部452を形成するプロセスは、周知のリソグラフィー操作を伴う。感光性材料層106内に複数のTAVを形成する。TAV102、104、116および第1の再配線層114は、電気化学的めっき機構によって形成される(摘示事項(6)、(9)、(10)、図4G)。
(l)感光性材料層106の上に別の層が形成される(図4H)。
(m)複数のUBM構造は、再配線層114とソルダーボール110との間に形成される(摘示事項(11))。
以上を総合勘案すると、甲第1号証には、次の発明(以下「甲第1号証発明2」という。)が記載されているものと認める。
「マルチチップ型半導体デバイスの製造方法であって、
感光性材料層108は、ウエハ板141上に形成され、
感光性材料層108内に複数の開口部452を形成するプロセスは、周知のリソグラフィー操作を伴い、
複数のTAV102、104および第2の再配線層134は、電気化学的めっき機構によって形成され、
第3の半導体ダイ133の裏面は、第2の接着剤124を用いることによって感光性材料層108上に接着され、
感光性材料層106は、感光性材料層108上に形成され、第3の半導体ダイ133は、感光性材料層106に埋め込まれ、
感光性材料層106内に複数の開口部452を形成するプロセスは、周知のリソグラフィー操作を伴い、
感光性材料層106内に複数のTAVを形成し、TAV102、104、116および第1の再配線層114は、電気化学的めっき機構によって形成され、
感光性材料層106の上に別の層が形成され、
複数のUBM構造は、再配線層114とソルダーボール110との間に形成されるマルチチップ型半導体デバイスの製造方法。」
5.対比
そこで、まず、本件特許発明1と甲第1号証発明1とを対比する。
(1)半導体装置
本件特許発明1と甲第1号証発明1とは、「半導体装置」である点で一致する。
(2)半導体装置の構造
甲第1号証発明1の「第3の半導体ダイ133」は、「半導体素子」といえる。甲第1号証発明1の「TAV116」は、第3の半導体ダイ133とマルチチップ型半導体装置100のソルダーボール側との間に形成されているから、半導体素子に電気的に接続される「半導体素子上金属パッド」といえる。甲第1号証発明1の「第1の再配線層114」は、TAV116とともに、第3の半導体ダイ133の能動回路がソルダーボール110に接続できるように、接続経路を形成するから、半導体素子に電気的に接続される「金属配線」といえる。甲第1号証発明1の「ソルダーボール110」は、「ソルダーバンプ」といえる。
したがって、本件特許発明1と甲第1号証発明1とは、「半導体素子と、該半導体素子に電気的に接続される半導体素子上金属パッド及び金属配線を有し、該金属配線がソルダーバンプに電気的に接続される」点で一致する。
もっとも、甲第1号証発明1の「TAV104」および「TAV102」は、感光性材料層106を貫通して形成されるから、仮に「TAV104」もしくは「TAV102」が「貫通電極」といえたとしても、「第1の再配線層114」が「TAV116」と「TAV104」もしくは「TAV102」とを電気的に接続するとはいえない。
したがって、本件特許発明1は、「該金属配線(該半導体素子に電気的に接続される金属配線)が貫通電極に電気的に接続される」のに対し、甲第1号証発明1は、そのような構成を有しない点で相違する。
(3)絶縁層
甲第1号証発明1の「感光性材料層108」は、第3の半導体ダイ133の裏面が第2の接着剤層124を用いて取り付けられているから、本件特許発明1における「第一絶縁層」といえる。甲第1号証発明1の「感光性材料層106」は、第3の半導体ダイ133が埋め込まれているから、本件特許発明1における「第二絶縁層」といえる。甲第1号証発明1の感光性材料層106の上に形成される「別の層」は、本件特許発明1における「第三絶縁層」といえる。
したがって、本件特許発明1と甲第1号証発明1とは、「前記半導体素子が載置された第一絶縁層と、前記半導体素子上に形成された第二絶縁層と、該第二絶縁層上に形成された第三絶縁層とを有」する点で一致する。
(4)金属配線
甲第1号証発明1において、第1の再配線層114およびTAV116は、第3の半導体ダイ133の能動回路がソルダーボール110に接続できるように、接続経路を形成し、第1の再配線層114は、感光性材料層106の上にある。
したがって、本件特許発明1と甲第1号証発明1とは、「前記金属配線は、前記第二絶縁層の上面で前記半導体素子上金属パッドを介して前記半導体素子に電気的に接続され」る点で一致する。
もっとも、甲第1号証発明1の「TAV104」は、感光性材料層106を貫通して形成され、さらに感光性材料層108の上に形成された第2の再配線層134に接続され、「TAV102」は、感光性材料層106を貫通して形成され、さらに感光性材料層108の上に形成された第2の再配線層134に接続されるが、「第1の再配線層114」が「TAV116」と「TAV104」もしくは「TAV102」とを電気的に接続するとはいえず、「第2の再配線層134」が「TAV104」もしくは「TAV102」と別の「TAV104」もしくは「TAV102」とを電気的に接続するともいえない。
したがって、本件特許発明1は、「前記金属配線(該半導体素子に電気的に接続される金属配線)は、前記第二絶縁層の上面から前記第二絶縁層を貫通して前記第二絶縁層の下面で前記貫通電極に電気的に接続されたものであ」るのに対し、甲第1号証発明1は、そのような構成を有しない点で相違する。
(5)半導体素子下金属配線
本件特許発明1は、「前記第一絶縁層と前記半導体素子の間に半導体素子下金属配線が配置され、該半導体素子下金属配線が、前記第二絶縁層の下面で前記金属配線(該半導体素子に電気的に接続される金属配線)と電気的に接続されたものである」のに対し、甲第1号証発明1は、そのような構成を有しない点で相違する。
そうすると、本件特許発明1と甲第1号証発明1とは、次の点で一致する。
<一致点>
「半導体素子と、該半導体素子に電気的に接続される半導体素子上金属パッド及び金属配線を有し、該金属配線がソルダーバンプに電気的に接続される半導体装置であって、
前記半導体素子が載置された第一絶縁層と、前記半導体素子上に形成された第二絶縁層と、該第二絶縁層上に形成された第三絶縁層とを有し、
前記金属配線が、前記第二絶縁層の上面で前記半導体素子上金属パッドを介して前記半導体素子に電気的に接続されたものである半導体装置。」の点。
そして、次の点で相違する。
<相違点>
(1)本件特許発明1は、「該金属配線(該半導体素子に電気的に接続される金属配線)が貫通電極に電気的に接続される」のに対し、甲第1号証発明1は、そのような構成を有しない点。
(2)本件特許発明1は、「前記金属配線(該半導体素子に電気的に接続される金属配線)は、前記第二絶縁層の上面から前記第二絶縁層を貫通して前記第二絶縁層の下面で前記貫通電極に電気的に接続されたものである」のに対し、甲第1号証発明1は、そのような構成を有しない点。
(3)本件特許発明1は、「前記第一絶縁層と前記半導体素子の間に半導体素子下金属配線が配置され、該半導体素子下金属配線が、前記第二絶縁層の下面で前記金属配線(該半導体素子に電気的に接続される金属配線)と電気的に接続されたものである」のに対し、甲第1号証発明1は、そのような構成を有しない点。
次に、本件特許発明7と甲第1号証発明2とを対比する。
(6)半導体装置の製造方法
本件特許発明7と甲第1号証発明2とは、「半導体装置の製造方法」である点で一致する。
(7)第一絶縁層を形成する工程
甲第1号証発明2は、ウエハ板141上に感光性材料層108を形成するから、本件特許発明7と甲第1号証発明2とは、「第一絶縁層を形成する工程」を有する点で一致する。
もっとも、「第一絶縁層を形成する工程」について、本件特許発明7は、「サポート基板に仮接着剤を塗布し、該仮接着剤上に」第一絶縁層を形成するのに対し、甲第1号証発明2は、そのようにしない点、および、本件特許発明7は、「レジスト組成物材料を光硬化性樹脂層として用いた膜厚1~20μmの」第一絶縁層を形成するのに対し、甲第1号証発明2は、そのような特定がない点で相違する。
(8)ホールパターンを形成後、第一絶縁層を硬化させる工程
甲第1号証発明2は、周知のリソグラフィー操作を伴って感光性材料層108内に複数の開口部452を形成するから、本件特許発明7と甲第1号証発明2とは、「前記第一絶縁層に対してマスクを介したリソグラフィーによってパターニングを行って貫通電極となるホールパターンを形成」する工程を有する点で一致する。
もっとも、本件特許発明7は、「ホールパターンを形成後、ベークすることで前記第一絶縁層を硬化させる工程」を有するのに対し、甲第1号証発明2は、そのような特定がない点で相違する。
(9)ホールパターンをメッキによって埋め、金属配線を形成するとともに、半導体素子下金属配線を形成する工程
甲第1号証発明2は、複数のTAV102、104および第2の再配線層134を電気化学的めっき機構によって形成するから、本件特許発明7と甲第1号証発明2とは、「前記貫通電極となるホールパターンをメッキによって埋め、貫通電極と接続される金属配線を形成する工程」を有する点で一致する。
もっとも、「前記貫通電極となるホールパターンをメッキによって埋め、金属配線を形成する工程」について、本件特許発明7は、「前記第一絶縁層にスパッタリングによるシード層形成を行い、その後」行うのに対し、甲第1号証発明2は、そのような特定がない点、および、本件特許発明7は、「半導体素子下金属配線を形成する工程」を有するのに対し、甲第1号証発明2は、そのような工程を有しない点で相違する。
(10)ダイボンディングする工程
甲第1号証発明2の第3の半導体ダイ133の表面に電極パッドが露出していることは明らかであり、甲第1号証発明2は、第3の半導体ダイ133の裏面を第2の接着剤124を用いることによって感光性材料層108上に接着するから、本件特許発明7と甲第1号証発明2とは、「上部表面に電極パッドが露出した半導体素子を、第一絶縁層上へダイボンディング剤を用いてダイボンディングする工程」を有する点で一致する。
もっとも、「半導体素子」について、本件特許発明7は、「高さ20~100μm」であるのに対し、甲第1号証発明2は、そのような特定がない点で相違する。
(11)光硬化性ドライフィルムを準備する工程
本件特許発明7は、「膜厚5~100μmである光硬化性樹脂層が支持フィルムと保護フィルムで挟まれた構造を有し、該光硬化性樹脂層がレジスト組成物材料からなる光硬化性ドライフィルムを準備する工程」を有するのに対し、甲第1号証発明2は、そのような工程について特定がない点で相違する。
(12)第二絶縁層を形成する工程
甲第1号証発明2は、感光性材料層106を感光性材料層108上に形成し、第3の半導体ダイ133を感光性材料層106に埋め込むから、本件特許発明7と甲第1号証発明とは、「前記第一絶縁層上へダイボンディングされた半導体素子を覆うように第二絶縁層を形成する工程」を有する点で一致する。
もっとも、「第二絶縁層を形成する工程」について、本件特許発明7は、「前記光硬化性ドライフィルムの光硬化性樹脂層をラミネートすることで」行うのに対し、甲第1号証発明2は、そのような特定がない点で相違する。
(13)開口を形成した後、第二絶縁層を硬化させる工程
甲第1号証発明2は、周知のリソグラフィー操作を伴って感光性材料層106内に複数の開口部452を形成するから、本件特許発明7と甲第1号証発明2とは、「前記第二絶縁層に対して、マスクを介したリソグラフィーによってパターニングを行い、前記電極パッド上の開口と、金属配線上に前記第二絶縁層を貫通する金属配線を形成するための開口と、前記貫通電極を形成するための開口を同時に形成」する工程を有する点で一致する。
もっとも、本件特許発明7は、「前記貫通電極と接続される」金属配線上に前記第二絶縁層を貫通する金属配線を形成するための開口を形成するのに対し、甲第1号証発明2は、「前記貫通電極と接続されない」金属配線上に前記第二絶縁層を貫通する金属配線を形成するための開口を形成する点、および、本件特許発明7は、「開口を形成した後、ベークすることで前記第二絶縁層を硬化させる工程」を有するのに対し、甲第1号証発明2は、そのような特定がない点で相違する。
(14)開口をメッキによって埋めるとともに、金属配線によってつなぐ工程
甲第1号証発明2は、感光性材料層106内に複数のTAVを形成し、TAV102、104、116および第1の再配線層114を電気化学的めっき機構によって形成するから、本件特許発明7と甲第1号証発明2とは、「前記電極パッド上の開口と、前記第二絶縁層を貫通する金属配線を形成するための開口と、前記貫通電極を形成するための開口をメッキによって埋めて、半導体素子上金属パッドと、前記第二絶縁層を貫通する金属配線と、貫通電極とを形成する工程」を有する点で一致する。
もっとも、「前記電極パッド上の開口と、前記第二絶縁層を貫通する金属配線を形成するための開口と、前記貫通電極を形成するための開口をメッキによって埋めて、半導体素子上金属パッドと、前記第二絶縁層を貫通する金属配線と、貫通電極とを形成する工程」について、本件特許発明7は、「スパッタリングによるシード層形成を行い、その後」行うのに対し、甲第1号証発明2は、そのような特定がない点、および、本件特許発明7は、「前記メッキによって形成された前記半導体素子上金属パッドと前記第二絶縁層を貫通する金属配線をメッキによる金属配線によってつなぐ」工程を有するのに対し、甲第1号証発明2は、そのような工程を有しない点で相違する。
(15)第三絶縁層を形成する工程
甲第1号証発明2は、感光性材料層106の上に別の層を形成するから、本件特許発明7と甲第1号証発明2とは、「金属配線の形成後、第三絶縁層を形成する工程」を有する点で一致する。
もっとも、「第三絶縁層を形成する工程」について、本件特許発明7は、「前記光硬化性ドライフィルムの光硬化性樹脂層をラミネートする又は前記光硬化性ドライフィルムに用いたレジスト組成物材料をスピンコートすることで」行うのに対し、甲第1号証発明2は、そのような特定がない点で相違する。
(16)開口を形成した後、第三絶縁層を硬化させる工程
本件特許発明7は、「前記第三絶縁層に対して、マスクを介したリソグラフィーによってパターニングを行い、前記貫通電極上部に開口を形成した後、ベークすることで前記第三絶縁層を硬化させる工程」を有するのに対し、甲第1号証発明2は、そのような特定がない点で相違する。
(17)ソルダーバンプを形成する工程
甲第1号証発明2は、再配線層114とソルダーボール110との間に複数のUBM構造を形成するから、本件特許発明7と甲第1号証発明2とは、「ソルダーバンプを形成する工程」を有する点で一致する。
そうすると、本件特許発明7と甲第1号証発明2とは、次の点で一致する。
<一致点>
「半導体装置の製造方法であって、
(1)第一絶縁層を形成する工程と、
(2)前記第一絶縁層に対してマスクを介したリソグラフィーによってパターニングを行って貫通電極となるホールパターンを形成する工程と、
(3)前記貫通電極となるホールパターンをメッキによって埋め、貫通電極と接続される金属配線を形成する工程と、
(4)上部表面に電極パッドが露出した半導体素子を、前記第一絶縁層上へダイボンディング剤を用いてダイボンディングする工程と、
(6)前記第一絶縁層上へダイボンディングされた半導体素子を覆うように第二絶縁層を形成する工程と、
(7)前記第二絶縁層に対して、マスクを介したリソグラフィーによってパターニングを行い、前記電極パッド上の開口と、金属配線上に前記第二絶縁層を貫通する金属配線を形成するための開口と、前記貫通電極を形成するための開口を同時に形成する工程と、
(8)前記電極パッド上の開口と、前記第二絶縁層を貫通する金属配線を形成するための開口と、前記貫通電極を形成するための開口をメッキによって埋めて、半導体素子上金属パッドと、前記第二絶縁層を貫通する金属配線と、貫通電極とを形成する工程と、
(9)金属配線の形成後、第三絶縁層を形成する工程と、
(11)ソルダーバンプを形成する工程、
を有する半導体装置の製造方法。」
そして、次の点で相違する。
<相違点>
(4)「第一絶縁層を形成する工程」について、本件特許発明7は、「サポート基板に仮接着剤を塗布し、該仮接着剤上に」第一絶縁層を形成するのに対し、甲第1号証発明2は、そのようにしない点、および、本件特許発明7は、「レジスト組成物材料を光硬化性樹脂層として用いた膜厚1~20μmの」第一絶縁層を形成するのに対し、甲第1号証発明2は、そのような特定がない点。
(5)本件特許発明7は、「ホールパターンを形成後、ベークすることで前記第一絶縁層を硬化させる工程」を有するのに対し、甲第1号証発明2は、そのような特定がない点。
(6)「前記貫通電極となるホールパターンをメッキによって埋め、金属配線を形成する工程」について、本件特許発明7は、「前記第一絶縁層にスパッタリングによるシード層形成を行い、その後」行うのに対し、甲第1号証発明2は、そのような特定がない点、および、本件特許発明7は、「半導体素子下金属配線を形成する工程」を有するのに対し、甲第1号証発明2は、そのような工程を有しない点。
(7)「半導体素子」について、本件特許発明7は、「高さ20~100μm」であるのに対し、甲第1号証発明2は、そのような特定がない点。
(8)本件特許発明7は、「膜厚5~100μmである光硬化性樹脂層が支持フィルムと保護フィルムで挟まれた構造を有し、該光硬化性樹脂層がレジスト組成物材料からなる光硬化性ドライフィルムを準備する工程」を有するのに対し、甲第1号証発明2は、そのような工程について特定がない点。
(9)「第二絶縁層を形成する工程」について、本件特許発明7は、「前記光硬化性ドライフィルムの光硬化性樹脂層をラミネートすることで」行うのに対し、甲第1号証発明2は、そのような特定がない点。
(10)本件特許発明7は、「前記貫通電極と接続される」金属配線上に前記第二絶縁層を貫通する金属配線を形成するための開口を形成するのに対し、甲第1号証発明2は、「前記貫通電極と接続されない」金属配線上に前記第二絶縁層を貫通する金属配線を形成するための開口を形成する点、および、本件特許発明7は、「開口を形成した後、ベークすることで前記第二絶縁層を硬化させる工程」を有するのに対し、甲第1号証発明2は、そのような特定がない点。
(11)「前記電極パッド上の開口と、前記第二絶縁層を貫通する金属配線を形成するための開口と、前記貫通電極を形成するための開口をメッキによって埋めて、半導体素子上金属パッドと、前記第二絶縁層を貫通する金属配線と、貫通電極とを形成する工程」について、本件特許発明7は、「スパッタリングによるシード層形成を行い、その後」行うのに対し、甲第1号証発明2は、そのような特定がない点、および、本件特許発明7は、「前記メッキによって形成された前記半導体素子上金属パッドと前記第二絶縁層を貫通する金属配線をメッキによる金属配線によってつなぐ」工程を有するのに対し、甲第1号証発明2は、そのような工程を有しない点。
(12)「第三絶縁層を形成する工程」について、本件特許発明7は、「前記光硬化性ドライフィルムの光硬化性樹脂層をラミネートする又は前記光硬化性ドライフィルムに用いたレジスト組成物材料をスピンコートすることで」行うのに対し、甲第1号証発明2は、そのような特定がない点。
(13)本件特許発明7は、「前記第三絶縁層に対して、マスクを介したリソグラフィーによってパターニングを行い、前記貫通電極上部に開口を形成した後、ベークすることで前記第三絶縁層を硬化させる工程」を有するのに対し、甲第1号証発明2は、そのような特定がない点。
6.判断
そこで、まず、上記相違点(1)および(2)について検討する。
甲第1号証発明1においては、第3の半導体ダイ133の能動回路がTAV116、第1の再配線層114およびUBM構造112を順に介してソルダーボール110に接続されている。そして、そのような接続を変更して、第3の半導体ダイ133の能動回路がTAV116、第1の再配線層114、TAV104もしくは102、第2の再配線層134、別のTAV104もしくは102およびUBM構造112を順に介してソルダーボール110に接続されるようにする動機付けとなる事項は、甲第1号証に記載ないし示唆されていない。
甲第2号証には、基板101の上面において、チップ部品104がワイヤーボンド105もしくは半田106を介して基板101を貫通するビア接続部102に接続され、基板101の下面において、該ビア接続部102が配線部103を介して別のビア接続部102に接続される構成(【0061】、図1)が記載されている。
しかしながら、甲第1号証発明1において、「第3の半導体ダイ133の能動回路がTAV116、第1の再配線層114およびUBM構造112を順に介してソルダーボール110に接続されている」構成を、「第3の半導体ダイ133の能動回路がTAV116、第1の再配線層114、TAV104もしくは102、第2の再配線層134、別のTAV104もしくは102およびUBM構造112を順に介してソルダーボール110に接続される」構成に変更する動機付けとなる事項は、甲第2号証にも記載ないし示唆されていない。
したがって、仮に「TAV104」もしくは「TAV102」が「貫通電極」といえたとしても、甲第1号証発明1において、第3の半導体ダイ133の能動回路からソルダーボール110までの接続経路を変更して、本件特許発明1のようにすることは、当業者が容易に想到し得るとはいえない。
甲第3号証は、本件特許発明2に対して引用されたものであり、甲第4号証は、本件特許発明3に対して引用されたものであり、甲第5号証は、本件特許発明4に対して引用されたものであり、いずれも、相違点(1)および(2)についての判断を左右するものではない。
したがって、上記相違点(3)について検討するまでもなく、本件特許発明1は、甲第1号証発明1、もしくは、甲第1号証発明1および甲第2号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
本件特許発明2ないし6は、本件特許発明1の発明特定事項をすべて含みさらに発明特定事項を付加したものであるから、上記本件特許発明1についての判断と同様の理由により、本件特許発明2ないし6は、甲第1号証発明1および甲第2ないし5号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
次に、上記相違点(6)および(11)について検討する。
甲第1号証発明2によって、第3の半導体ダイ133の能動回路は、TAV116、第1の再配線層114およびUBM構造112を順に介してソルダーボール110に接続される。そして、そのような接続を変更して、第3の半導体ダイ133の能動回路をTAV116、第1の再配線層114、TAV104もしくは102、第2の再配線層134、別のTAV104もしくは102およびUBM構造112を順に介してソルダーボール110に接続する動機付けとなる事項は、甲第1号証に記載ないし示唆されていない。
したがって、甲第1号証発明2において、第3の半導体ダイ133の能動回路からソルダーボール110までの接続経路を変更して、「前記貫通電極と接続される」金属配線上に前記第二絶縁層を貫通する金属配線を形成するための開口を形成するとともに、「前記メッキによって形成された前記半導体素子上金属パッドと前記第二絶縁層を貫通する金属配線をメッキによる金属配線によってつなぐ」工程を有するようにすることは、当業者が容易に想到し得るとはいえない。
甲第5号証は、本件特許発明8に対して引用されたものであり、甲第6および7号証は、本件特許発明11に対して引用されたものであり、いずれも、相違点(6)および(11)についての判断を左右するものではない。
したがって、上記相違点(4)、(5)、(7)ないし(10)、(12)および(13)について検討するまでもなく、本件特許発明7は、甲第1号証発明2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
本件特許発明8ないし14は、本件特許発明7の発明特定事項をすべて含みさらに発明特定事項を付加したものであるから、上記本件特許発明7についての判断と同様の理由により、本件特許発明8ないし14は、甲第1号証発明2および甲第5ないし7号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
7.むすび
以上のとおりであるから、申立理由及び証拠によっては、請求項1ないし14に係る発明の特許を取り消すことはできない。
また、ほかに請求項1ないし14に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2017-700503