特許異議申立
2017-700193
燃料電池
- 審判番号
- 2017-700193
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2016-114156外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年02月27日
- 審決日
- 2017年11月06日
- 公報発行日
- 2018年02月23日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】日本碍子株式会社
- 【権利者代理人】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
- 【異議申立人】亀崎 伸宏
- 分類
- P1651.113-YAA(H01M) / P1651.121-YAA(H01M) / P1651.537-YAA(H01M) / P1651.853-YAA(H01M)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第120条の5第2項第3号、特許法第36条第6項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第5981065号発明「燃料電池」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第5981065号の明細書を訂正請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。
特許第5981065号の請求項1、2に係る特許を維持する。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許第5981065号の請求項1、2に係る特許についての出願は、平成28年6月8日(国内優先権主張 平成27年7月1日)の出願であって、平成28年8月5日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許について、特許異議申立人 亀崎伸宏(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、平成29年5月31日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成29年8月4日に意見書の提出及び訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。)がされ、この本件訂正請求に対して申立人に意見を求めたところ、意見書の提出はされなかったものである。
第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
本件訂正請求による訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、明細書の段落【0025】の記載を、次のように訂正前から訂正後へと訂正するものである。
[訂正前]
「【0025】
空気極50は、主相と第二相のほか、一般式ABO3で表され、主相とは異なるペロブスカイト型酸化物、及び主相の構成元素の酸化物などによって構成されるによって構成される第三相を含んでいてもよい。主相の構成元素の酸化物としては、例えば、SrO、(Co,Fe)3O4、及びCo3O4などが挙げられる。(Co,Fe)3O4には、Co2FeO4、Co1.5Fe1.5O4、及びCoFe2O4などが含まれる。」
[訂正後]
「【0025】
空気極50は、主相と第二相のほか、一般式ABO3で表され、主相とは異なるペロブスカイト型酸化物、及び主相の構成元素の酸化物などによって構成されるによって構成される第三相を含んでいてもよい。主相の構成元素の酸化物としては、例えば、(Co,Fe)3O4、及びCo3O4などが挙げられる。(Co,Fe)3O4には、Co2FeO4、Co1.5Fe1.5O4、及びCoFe2O4などが含まれる。」(下線部は、訂正により変更された部分を示す。)
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
本件訂正は、訂正前の明細書の段落【0025】の記載が、第三相にSrOが含まれ、第二相がSrOであるとの記載と整合していなかったものを、第三相に含まれるSrOを削除して整合を図ったものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、本件訂正は、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
3 小括
以上のとおりであるから、本件訂正は特許法第120条の5第2項第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項、第6項の規定に適合するので、訂正後の明細書について訂正を認める。
第3 特許異議の申立てについて
1 本件発明
本件特許の請求項1、2に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」、「本件発明2」という。また、これらをまとめて「本件発明」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1、2に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
燃料極と、
一般式ABO3で表され、AサイトにLa及びSrの少なくとも一方を含むペロブスカイト型酸化物によって構成される主相と、酸化ストロンチウムによって構成される第二相とを含む空気極と、
前記燃料極および前記空気極の間に配置される固体電解質層と、
を備え、
前記空気極の断面における前記第二相の面積占有率は、0.05%以上3%以下である、
燃料電池。
【請求項2】
前記空気極の断面における前記第二相の平均円相当径は、10nm以上500nm以下である、
請求項1に記載の燃料電池。」
2 特許異議申立理由の概要
(1)本件発明1、2は、発明の詳細な説明に記載したものではなく、請求項1、2に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、取り消すべきものである。
(2)本件発明1は明確ではなく、請求項1に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、取り消すべきものである。
(3)本件発明1、2は、その出願前日本国内または外国において頒布された刊行物である甲第6号証に記載された発明および甲第7号証に記載された技術事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、請求項1、2に係る特許は取り消すべきものである。
(4)本件発明1は、その出願前日本国内または外国において公然知られた発明または公然実施された発明、および、甲第7-9号証に記載された技術事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、請求項1に係る特許は取り消すべきものである。
(5)本件発明1は、その出願前日本国内または外国において頒布された刊行物である甲第10号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるから、請求項1に係る特許は取り消すべきものである。
(6)本件発明1、2は、その出願前日本国内または外国において頒布された刊行物である甲第5号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるから、請求項1、2に係る特許は取り消すべきものである。
記
甲第1号証:特開2012-74307号公報
甲第2号証:特開2010-80151号公報
甲第3号証:特開2014-129186号公報
甲第4号証:特許第5981065号公報
甲第5号証:特開2015-88442号公報
甲第6号証:特開2014-89816号公報
甲第7号証:特開2013-191570号公報
甲第8号証:ドンジョ・オー(Dongio Oh)、外2名、J.Mater.Res、マテリアル・リサーチ・ソサイヤティ2012(Materials Research Society 2012)、2012年8月14日、Volume27、No.15、p.1992-1999
甲第9号証:チェン・ヨンホン(Chen Yonghong)、外5名、JOURNAL OF RARE EARTHS、(中国)、2005年8月、Volume23、No.4、p.437-441
甲第10号証:特開2012-164500号公報
甲第11号証:特開2015-38856号公報
3 平成29年5月31日付け取消理由通知の要旨
本件発明1、2が備える「空気極」は、「酸化ストロンチウムによって構成される第二相」を含むものである。
この点に関し、発明の詳細な説明の段落【0025】には、「空気極50は、主相と第二相のほか、一般式ABO3で表され、主相とは異なるペロブスカイト型酸化物、及び主相の構成元素の酸化物などによって構成されるによって構成される第三相を含んでいてもよい。主相の構成元素の酸化物としては、例えば、SrO、(Co,Fe)3O4、及びCo3O4などが挙げられる。」と記載されている。
この記載において、空気極が、主相および第二相のほか、SrO(酸化ストロンチウム)によって構成される第三相を含む場合があるが、本件発明1、2における「酸化ストロンチウムによって構成される第二相」は、この場合における第三相を含むのか否か不明であり、本件発明1、2における「酸化ストロンチウムによって構成される第二相」は明確でない。
また、第三相を構成するSrOは、主相を構成するペロブスカイト型酸化物から後発的に生成したSrOだけを意味し、第二相を構成するSrOは、意図的に混合されたSrOだけを意味するとも考えられるが、空気極の解析画像から抽出されたSrOがどちらのSrOなのかを判別することは困難であり、その結果、本件発明の技術的範囲が不明確である。
したがって、本件発明1、2は明確でなく、請求項1、2に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消すべきものである。
4 判断
(1)取消理由通知に記載した取消理由について
本件訂正により、発明の詳細な説明の段落【0025】において、第三相を構成する酸化物の例示としてSrOが削除された。
したがって、発明の詳細な説明で、空気極が、主相および第二相のほか、SrO(酸化ストロンチウム)によって構成される第三相を含む場合はなくなり、本件発明1、2における「酸化ストロンチウムによって構成される第二相」は明確でないとはいえなくなった。
よって、“請求項1、2に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである”ということはできない。
(2)取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由(特許法第36条第6項1号)について
ア 第二相の面積占有率について(特許異議申立書第10頁第12行目-第13頁第9行目)
申立人は、空気極の劣化の抑制という課題を解決するためには、第二相と主相との反応を抑制する必要があるから、第二相の面積占有率のみでなく主相の面積占有率と気相の面積占有率も考慮する必要があり、請求項1のように「第二相の面積占有率」を「3%以下」と特定するのみでは空気極の劣化を抑制できない態様を含んでいるから、本件発明1、2の範囲まで発明の詳細な説明において開示されている内容を拡張ないし一般化できるとはいえないと主張している。
しかしながら、第二相に比べてその反応相手である主相の量は十分大きく、反応するのは主に両者が接している部分のみであるから、全体の3%程度である第二相にとっては、主相や気相の面積占有率が、“該反応が抑制されるか否か”に及ぼす影響は限定的であり、本件発明1が空気極の劣化を抑制できない態様を含んでいるとは必ずしもいえない。本件発明2についても同様である。
よって、申立人の上記主張は当を得ないものであり、“請求項1、2に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである”ということはできない。
イ 空気極の断面における第二相の面積占有率について(特許異議申立書第13頁第10行目-第15頁第14行目)
申立人は、本件発明1、2における「空気極の断面」は、任意の断面を意味しているのか、それとも特定の1つの断面だけを意味しているのか不明であるから、請求項1に記載の「空気極の断面における第二相の面積占有率は、0.05%以上3%以下である」ことには、空気極の全領域において、第二相の面積占有率は、0.05%以上3%以下である「全領域態様」と、空気極の一部領域だけにおいて、第二相の面積占有率は、0.05%以上3%以下である「一部領域態様」との2つの態様が含まれる。この2つの態様について、発明の詳細な説明には、全領域態様を前提とした記載があるのみであり、一部領域態様については具体的な記載が全くなく、一部領域態様については、本件発明の課題を解決できるか否かが不明であるから、本件発明1、2の範囲まで発明の詳細な説明において開示されている内容を拡張ないし一般化できるとはいえないと主張している。
しかしながら、本件明細書記載の実施例において、空気極は領域を区別せず均一に作られているものである(明細書の段落【0043】~【0047】を参照)から、「空気極の断面」は任意の断面を意味していることは明らかであり、申立人も主張するように、発明の詳細な説明には、全領域態様を前提とした記載があるのみであり、一部領域態様については具体的な記載は全くないから、本件発明1、2は、全領域態様を前提とした、一部領域態様を含まない発明であるといえる。したがって、仮に、一部領域態様が本件発明の課題を解決できるか否かが不明であるとしたとしても、本件発明1、2が本件発明の課題を解決できるか否かが不明であるとはいえない。本件発明2についても同様である。
よって、申立人の上記主張は当を得ないものであり、“請求項1、2に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである”ということはできない。
ウ 空気極の第二相(SrO)以外の成分について(特許異議申立書第15頁第15行目-第25行目、第34頁下から8行目-第35頁下から5行目)
申立人は、本件発明1、2は、甲第5号証の「空気極の断面におけるSrSO4の面積占有率が10.2%以下」(甲第5号証の【請求項1】)という条件を満たさず、本件の課題である空気極の劣化を抑制できない態様を含んでいるから、本件発明1、2の範囲まで発明の詳細な説明において開示されている内容を拡張ないし一般化できるとはいえないと主張している。
しかしながら、甲第5号証の上記条件は、甲第5号証の【0004】、【0005】の記載によれば、燃料電池の初期出力の低下の原因の1つが空気極内部に発生する不活性領域によるものであり、この不活性領域は空気極内部に導入される硫酸ストロンチウム(SrSO4)の割合に関係することを新たに見出したとの知見に基づくものであるが、本件発明1、2は、そもそも、SrSO4を用いることについては全く想定していないものであり、SrSO4の面積占有率は本件発明1、2に無関係な事項であるから、本件発明1、2が、本件の課題である空気極の劣化を抑制できない態様を含んでいるとはいえない。
よって、申立人の上記主張は当を得ないものであり、“請求項1、2に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである”ということはできない。
(3)取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由(特許法第29条第2項)について
ア 甲第6号証を主たる証拠とした進歩性(特許異議申立書第19頁下から7行目-第21頁第12行目)
申立人は、燃料電池の空気極を構成する材料としてLaSrCoFe酸化物(ランタンクロマイトの一例)を使用する場合、焼結助剤としてSrOを用いることは従来周知の事項である(甲第7号証を参照)から、甲第6号証に記載された、空気極を構成する材料としてLaSrCoFe酸化物を用いた燃料電池の発明は、空気極がSrOを含むことは明らかであり、甲第6号証に記載された発明において、空気極の断面におけるSrO(本件発明でいう「第二相」)の面積占有率を0.05%以上3%以下とすることは、当業者の通常の創作能力の発揮に過ぎず、本件発明1は、甲第6号証に記載された発明および甲第7号証に記載された技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである旨主張している。
しかしながら、仮に、焼結助剤としてSrOを用いることが周知の事項であり、甲第6号証に記載された発明において、空気極にSrOを用いることが想定し得ることであるとしても、SrOを用いる量をどの程度にすればよいのか不明であり、特に、面積占有率について全く示唆されていない甲第6号証において、SrOの面積占有率を0.05%以上3%以下とする動機は他の証拠をみても全くなく、当業者が容易に想到し得ることとはいえない。
したがって、“本件発明1は、甲第6号証に記載された発明および甲第7号証に記載された技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである”ということはできない。
本件発明2は、本件発明1をさらに限定したものであるから、同じ理由により、“本件発明2は、甲第6号証に記載された発明および甲第7号証に記載された技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである”ということはできない。
イ 本件明細書等による自認発明に基づく進歩性(特許異議申立書第21頁第13行目-第23頁下から4行目)
申立人は、本件明細書等には、SrOを含む空気極を備える燃料電池が、本件出願前に公然知られていた発明、もしくは、公然実施されていた発明に該当することを自認する記載があり、本件発明1は、上記本件出願前に公然知られていた発明、もしくは、公然実施されていた発明(以下、「自認発明」という。)、および、甲第7、8、9号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである旨主張している。
しかしながら、本件出願の願書に添付された本件明細書等に記載された事項によっては、本件出願前に公然知られた発明、もしくは、公然実施された発明を認定することはできないから、そのような認定を行う申立人の上記主張は当を得ないものである。
したがって、“本件発明1は、その出願前日本国内または外国において公然知られた発明または公然実施された発明、および、甲第7、8、9号証に記載された技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである”ということはできない。
(5)取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由(特許法第29条第1項第3号)について
ア 甲第10号証を主たる証拠とした新規性(特許異議申立書第23頁下から2行目-第27頁下から9行目)
申立人は、甲第8号証も参酌すると、本件発明1は、甲第10号証に記載された発明である旨主張している。
甲第10号証には、酸素極に、La0.75Sr0.25MnO3で表されるSrを固溶させたランタンマンガナイトを用いた固体酸化物型燃料電池(SOFC)(【0029】)が記載されており、このSOFCを、発電温度900℃、運転時間50時間で発電試験を行ったこと(【0060】)が記載されている。
また、甲第8号証には、固体酸化物型燃料電池の空気極に用いるLa0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3(LSFC)を、800℃または900℃で50時間熱処理をすると、LSFCの表面にSr-Oをベースとした沈殿物が形成され、LSFCの表面における触媒活性の相当な劣化を引き起こすこと(第1993頁左欄下から3行目-第8行目、第1998頁左欄下から5行目-下から1行目)が記載されている。
甲第8号証の技術事項を参酌すると、甲第10号証に記載された固体酸化物型燃料電池の酸素極は、熱処理によって、表面にSr-Oをベースとした沈殿物が形成され、LSFCの表面における触媒活性の相当な劣化を引き起こしていると推測されるかも知れない。
しかしながら、甲第8号証における、LSFCの表面にSr-Oをベースとした沈殿物が形成され、LSFCの表面における触媒活性の相当な劣化を引き起こしたものは、「Sr-Oは、絶縁物であり、Srの凝集は遷移金属の欠乏を引き起こす」との記載から、Sr-Oが形成されることにより、LSCF(本発明でいう「主相」)は、すでに劣化してしまっており、主相の構成が異なるものとなっていると考えられ、甲第10号証に記載されたものについても同様に酸素極はすでに劣化してしまっていると考えられる。
したがって、甲第10号証に記載された、熱処理後の固体酸化物型燃料電池が、空気極の劣化を抑制できたとする本件発明1と同じものであるとはいえない。
よって、“本件発明1は、甲第10号証に記載された発明である”ということはできない。
イ 甲第5号証を主たる証拠とした新規性(特許異議申立書第27頁下から8行目-第34頁下から9行目)
申立人は、本件発明1、2は、甲第5号証に記載された発明である旨主張している。
甲第5号証には、「燃料極と、
一般式ABO3で表され、Aサイトに少なくともSrを含むペロブスカイト型酸化物を主成分とする主相と硫酸ストロンチウムを主成分とする第二相と、含む空気極と、
前記燃料極および前記空気極の間に配置される固体電解質層と、
を備え、
前記空気極の断面における前記第二相の面積占有率は、10.2%以下である、
燃料電池セル」(【請求項1】)が記載されている。
そして、試験評価を行うことにより、甲第5号証のものは、空気極の劣化率として、本件発明と同じ1.5パーセント以下との評価結果が得られること(【0065】-【0069】)が記載されている。
しかしながら、甲第5号証のものは、空気極の第二相が硫酸ストロンチウムを主成分とするものであって、その面積占有率を10.2%以下とすることにより課題を解決しているものであり、本件発明のような酸化ストロンチウムの面積占有率の値については全く示唆がないから、結果として劣化率が同一であるからといって、甲第5号証のものが空気極に酸化ストロンチウムを含んでいるとは断定できないし、ましてや、その面積占有率の範囲を導くことはできない。
よって、“本件発明1は、甲第5号証に記載された発明である”ということはできない。
本件発明2は、本件発明1をさらに限定したものであるから、同じ理由により、“本件発明2は、甲第5号証に記載された発明である”ということはできない。
第4 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正請求は適法なものである。
また、取消理由通知書に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1、2に係る特許を取り消すことはできない。
さらに、他に、本件請求項1、2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2017-700193