特許異議申立
2017-700086
スロットマシン
- 審判番号
- 2017-700086
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2014-113804外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年02月01日
- 審決日
- 2017年05月08日
- 公報発行日
- 2017年06月30日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 分類
- P1651.121-Y (A63F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第5961660号発明「スロットマシン」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第5961660号の請求項1に係る特許を維持する。
理由
【理 由】
1 手続の経緯
本件特許第5961660号(以下「本件特許」という。)の請求項1に係る特許についての出願は、平成20年12月24日に出願した特願2008-328628号の一部を新たな特許出願(特願2014-113804号)としたものであって、平成28年7月1日にその特許権の設定登録がされ、その後、平成29年2月1日付けで特許異議申立人日本電動式遊技機特許株式会社より請求項1について特許異議の申立てがされたものである。
2 本件発明
本件特許の請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)は、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである(当審において請求項1をA~Nに分説した。)。
「【請求項1】
A 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
B 前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
C 表示結果が導出される前に、再遊技の付与を伴う再遊技入賞と、遊技に使用可能な遊技用価値の付与を伴う小役入賞と、を含む複数種類の入賞について発生を許容するか否かを決定する事前決定手段と、
D 遊技者が表示結果を導出させるために操作する導出操作手段と、
E 前記表示結果を導出する制御を行う導出制御手段と、
F 第1の遊技状態に制御する第1遊技状態制御手段と、
G 前記第1の遊技状態とは異なる第2の遊技状態に制御する第2遊技状態制御手段と、
H 前記第1の遊技状態及び前記第2の遊技状態よりも遊技者にとって有利な遊技状態である第3の遊技状態に制御する第3遊技状態制御手段と、
I 前記第1の遊技状態において必ずしも成立するとは限らない第1の移行条件が成立したときに前記第2の遊技状態に移行させる第2遊技状態移行手段と、
J 前記第2の遊技状態において必ずしも成立するとは限らない第2の移行条件が成立したことを条件に前記第3の遊技状態へ移行させる第3遊技状態移行手段と、
を備え、
K 前記第1の遊技状態から前記第3の遊技状態に直接移行させることがなく、前記第1の遊技状態から前記第3の遊技状態への移行は、必ず前記第2の遊技状態を介在し、
L 前記導出制御手段は、前記事前決定手段の決定結果が第1の小役入賞及び第2の小役入賞のいずれの発生も許容する特定結果である場合において、第1の操作態様で前記導出操作手段が操作されたときに前記第1の小役入賞が発生する入賞表示結果を導出させる制御を行い、第2の操作態様で前記導出操作手段が操作されたときに前記第2の小役入賞が発生する入賞表示結果を導出させる制御を行い、前記第1の操作態様でも第2の操作態様でもない操作態様で前記導出操作手段が操作されたときに前記再遊技の付与も前記遊技用価値の付与も伴わない特定の非入賞表示結果を導出させる制御を行い、
M 前記第1の移行条件は、前記特定の非入賞表示結果の導出であり、
N 前記第1の小役入賞により付与される遊技用価値の数は、前記第2の小役入賞により付与される遊技用価値の数よりも多く、前記事前決定手段の決定結果が前記第1の小役入賞及び第2の小役入賞のいずれの発生も許容する特定結果である場合において前記第1の操作態様を報知可能である
ことを特徴とするスロットマシン。」
3 特許異議申立理由の概要
特許異議申立人日本電動式遊技機特許株式会社は、証拠方法として甲第1~10号証を提出し、
(1)「本件発明は、甲第1号証乃至甲第4号証、並びに周知技術(甲第5号証乃至甲第9号証)から当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない(異議理由1)。
(2)また、本件発明は、甲第10号証、甲第3号証及び甲第4号証、並びに周知技術(甲第5号証乃至甲第9号証)から当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない(異議理由2)。」と主張している。
<証拠方法>
甲第1号証:パチスロ必勝本2008 10月号 平成20年10月1日発行 54~57頁
甲第2号証:パチスロ必勝ガイド2008 10月号 平成20年10月1日発行 44頁
甲第3号証:パチスロ必勝本DX2008 10月号 平成20年10月1日発行 48~53頁
甲第4号証:特開2008-206707号公報
甲第5号証:特開2008-264259号公報
甲第6号証:特開2008-148810号公報
甲第7号証:特開2007-7211号公報
甲第8号証:特開2006-102272号公報
甲第9号証:特開2005-334627号公報
甲第10号証:特開2008-200165号公報
4 甲各号証の記載
(1)甲第1号証
特許異議申立人により提出された甲第1号証(パチスロ必勝本2008 10月号 平成20年10月1日発行 54~57頁)には、以下の事項が記載されている。
(1-a)「パチスロ ザーブルーハーツ
ボーナス後は一旦CZ待機状態へ移行
↓
9枚役の取りこぼし目出現でCZがスタート
変則押しでは取りこぼし目が出現しないので注意
ボーナス終了後は一旦、CZ待機状態となり、リールの押し順正解で揃う9枚役の取りこぼし目が出現すると内部的にもCZ状態となる。
9枚役の取りこぼし目は左リールを最初に停止させないと出現しないため、変則押しは厳禁だ。」(第54頁左)
(1-b)「ゲームの基本的な流れ
通常時
↓
ボーナス
↓(ボーナス後は必ずCZへ)
アンコールタイム(CZ)(チャンスリプレイ入賞)→ART突入
↓
ブルーハーツタイム(ART)」
押し順ナビに従えば9枚役を完全獲得可能 」(第54頁右)
(1-c)「ボーナス&小役払い出し構成
400枚を超える払い出しで終了(平均270枚獲得) BIG
・・・
スイカ-スイカ-スイカ 9」(第55頁右)
(1-d)「通常時小役確率
9枚役(押し順不問)1/65.2 9枚役(押し順あり)各1/30.8 ・・・ 通常リプレイ 1/8.0 ベルリプレイ 1/88.6
通常時は左リール枠内に2番のBARを狙い、ハサミ打ちでの消化がオススメだ。・・・ただし、中リールは中段の有効となっているので、引き込めない位置に小役を押さないように注意しよう。 」(第57頁下)
(1-e)第55頁右には、複数の図柄が記載された3個のリールを変動表示可能な変動表示部を備え、リールに対応させて3個の赤いストップスイッチが設けられたスロットマシンが示されている。
以上の記載によれば、甲第1号証には以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「a 複数の図柄が記載された3個のリールを変動表示可能な変動表示部を備え、
b リールの変動表示部が「スイカ-スイカ-スイカ」で停止表示することで9枚の払出しが行われるスロットマシンにおいて、
c 通常リプレイ、ベルリプレイ、9枚役の通常時小役確率が予め設定されており、
d リールに対応させて3個設けられた赤のストップスイッチと、
e 引き込めない位置でストップスイッチを押さないように注意する必要があり、
f ボーナス後は一旦「CZ待機状態」へ移行し、
g 「CZ待機状態」から「アンコールタイム(CZ)」へ移行し、
h’ 「アンコールタイム(CZ)」から「ブルーハーツタイム(ART)」に移行し、
i 「CZ待機状態」から9枚役の取りこぼし目出現で「アンコールタイム(CZ)」がスタートし、
j 「アンコールタイム(CZ)」からチャンスリプレイ入賞で「ブルーハーツタイム(ART)」突入し、
k ボーナス後は、必ず「アンコールタイム(CZ)」へ移行し、
l’ リールの押し順正解で9枚役の取りこぼし目が出現し、
n’ 「ブルーハーツタイム(ART)」において押し順ナビに従えば9枚役を完全獲得可能であるスロットマシン。」
(2)甲第2号証
特許異議申立人により提出された甲第2号証(パチスロ必勝ガイド2008 10月号 平成20年10月1日発行 44頁)には、以下の事項が記載されている。
「ART中の打ち方と性能
ART中はリプレイ確率大幅アップ&ベルを根こそぎ奪取でコイン激増!
リプレイ・・・1/80→1/1.42
リプ・リプ・ベル・・・1/88.5→1/46.8」(第44頁下段)。
(3)甲第3号証
特許異議申立人により提出された甲第3号証(パチスロ必勝本DX2008 10月号 平成20年10月1日発行 48~53頁)には、以下の事項が記載されている。
(3-a)「押し順ベルは「第1停止の押し順に正解」「正しい絵柄を引き込む範囲で押す」と、2パターンの獲得方法がある。前者は必ずベースorギター絵柄のみで構成され、後者は必ずいずれかのリールにリプレイ絵柄を含む構成となるぞ(リプレイ・ギター・ギターなど)」(第48頁左下)
(3-b)ベル(9枚)には、ベースorギター絵柄のみで構成されるものと、いずれかのリールにリプレイ絵柄を含んで構成されるものがあることが図示されている。(第48頁「ベルの仕組み」)
(3-c)「上記の押し順ベル取りこぼし目出現で内部的にもCZ開始
ベルの取りこぼし目を必ず停止させよう
ボーナス終了後1回目のCZは必ず順押しorハサミ打ちで消化して、ベルの取りこぼし目を停止させよう。」(第52頁左下)
(4)甲第4号証
特許異議申立人により提出された甲第4号証(特開2008-206707号公報)には、以下の事項が記載されている。
「【0020】
具体的には、パチスロ機1は、ベル(払出枚数「11」)とチェリー(払出枚数「6」)が同時当籤し(図1の(1)参照)、払出枚数が少ないチェリーを停止表示した場合に(図1の(2)参照)、停止表示されたチェリーと停止表示されなかったベルとの払出枚数の差である差枚数(つまり、払出枚数「11」から払出枚数「6」を引いた差枚数「5」)を図示しない差枚数カウンタに加算する(図1の(3)参照)。
・・・
【0129】
続いて、選択された演出番号「1-1」に対応する演出番号1-1用小分類テーブルを用いて、当籤役「赤チェリー+ベル2+ベル3」に対応する演出分類「黄7と青7を示唆する花火」および演出番号「1-1-1」が選択される。具体的には、演出番号1-1用小分類テーブルにおいて当籤役が「赤チェリー+ベル2+ベル3」である場合には、全て演出番号1-1-1が選択されることとなり、液晶表示部2bに黄7と青7を示唆する花火が打ちあがる演出が表示されて遊技者にベル2およびベル3が当籤したことを報知する。つまり、「赤チェリー+ベル2+ベル3」が内部当籤した場合には、三つの小役が同時に当籤していることとなり、その三つの役のうち、一番払出枚数が多いベル2(青7-ベル-ベル)およびベル3(黄7-ベル-ベル)が当籤したことを遊技者に報知する。」
(5)甲第5号証
特許異議申立人により提出された甲第5号証(特開2008-264259号公報)には、以下の事項が記載されている。
「【0048】
続いて、図6を参照しながら、このようなリール4を用いた場合の停止図柄について説明する(適宜他図参照)。図6は、左リールの停止図柄の例であり、(a)は赤チェリーのみ当選した場合、(b)は赤チェリーと赤ベルが重複当選した場合、を示している。
【0049】
遊技状態がリプレイタイムのとき、遊技者がスタートレバー12を操作すると、リール4~6が回転し、同時に、CPU36が役の抽選を行う。その抽選の結果、赤チェリーのみが当選した場合、スロットマシン1の報知ランプ18Rが赤色を報知し、遊技者は、赤チェリーが当選したことを知る。そして、赤チェリーを揃えてしまうとリプレイタイムから一般遊技状態に移行(転落)してしまうため、遊技者は、視認性の高い赤7(配列番号「21」)を表示窓7内に狙ってリール停止ボタン13を押す。その結果、赤ベルは当選していないため、CPU36は、赤7(配列番号「21」)を表示窓7の下に外すべくステッピングモータ27を制御し、そのとき、表示窓7における停止図柄は図6(a)の通りとなる。なお、赤ベルを揃えないための制御としては、このほかに、左リールの表示窓7内に赤7を停止させ、中リールと右リールでベルを外すようにしてもよい。
・・・
【0051】
一方、CPU36が役を抽選した結果、赤チェリーと赤ベルが重複当選した場合、スロットマシン1の報知ランプ18Rが赤色を報知し、遊技者は、赤チェリーが当選したことを知り、前記と同様に、視認性の高い赤7(配列番号「21」)を表示窓7内に狙ってリール停止ボタン13を押す。そうすると、赤ベルも当選しているため、CPU36は、赤7(配列番号「21」)を表示窓7の内側に停止させるべくステッピングモータ27を制御し、表示窓7における停止図柄は例えば図6(b)の通りとなる。」
(6)甲第6号証
特許異議申立人により提出された甲第6号証(特開2008-148810号公報)には、以下の事項が記載されている。
「【0061】
子役・リプレイ用内部当籤役決定テーブルにおいて、例えば、子役・リプレイ用データポインタが「1」のときは、当たり要求フラグは「00000001」であり、これは、「特殊青」として規定されているので、内部当籤役が「特殊青」に決定される。また、子役・リプレイ用データポインタが「0」のときは、「ハズレ」であり、いずれの子役、リプレイにも内部当籤しない。さらに、例えば、子役・リプレイ用データポインタの「6」において、「黄チェリー+ハートチェリー+青チェリー」のように規定されているのは、内部当籤役として「黄チェリー」、「ハートチェリー」、「青チェリー」の3つに同時当籤することを示している。なお、子役・リプレイ用データポインタの「9」~「13」については、RB中のみに使用される内部当籤役のコンビネーションである(図8を参照)。」
(7)甲第7号証
特許異議申立人により提出された甲第7号証(特開2007-7211号公報)には、以下の事項が記載されている。
「【0116】
ここで、期待値K1及びK2を考慮すると、FT遊技状態は一般遊技状態に比べ相対的に有利な遊技状態である。そこで、実施例では、一般遊技状態においてスイカの小役の取りこぼしがあった場合には、一般遊技状態に比べ相対的に有利なFT遊技状態を作動させ、遊技者を救済するようにしている。
【0117】
具体的には、一般遊技状態において、内部当選役がスイカの小役であるにも拘らず、遊技者による停止操作のタイミングにより当該スイカの小役に対応する図柄組合せ(“スイカ-スイカ-スイカ”)が有効ラインに沿って停止表示されなかった場合には、当該図柄組合せとは別の所定の図柄組合せ(“スイカ-スイカ-BAR”)を有効ラインに沿って停止表示させる。これを契機としてFT遊技状態が作動し、遊技者が本来獲得することができるはずだったスイカの小役に対応するメダル枚数(15枚)に相応のゲーム回数分、FT遊技状態が継続することとなる。」
(8)甲第8号証
特許異議申立人により提出された甲第8号証(特開2006-102272号公報)には、以下の事項が記載されている。
「【0156】
以上説明したように、この実施の形態にかかるスロットマシン1では、通常の遊技状態において「スイカ」の小役または「ベル」の小役に当選したときに、例えば、右のリール3Rを第3リールとして停止させる場合には、停止ボタン12Rの操作タイミングによっては「スイカ」または「ベル」がテンパイしている図柄に対応する図柄を引き込むことができない場合がある。
【0157】
ここで、リール変動停止処理において適用されるリール制御テーブルとしてテーブル6またはテーブル10が選択されることによって、「スイカ」の小役または「ベル」の小役を取りこぼすと、右のリール3Rについて「赤7」または「BAR」が有効ライン上に導出されてRT入賞することとなる。RT入賞すると遊技状態がRTに移行されてリプレイ当選確率が高くなるので、この間に賭け数の設定に用いるメダルの数が通常の遊技状態よりも少なくて済むようになる。このように「スイカ」の小役または「ベル」の小役を取りこぼしにより生じた損失を、RTへの遊技状態を移行させることによって補填することが可能となる。
【0158】
ここで、RTへ遊技状態を移行させるのは、「スイカ」の小役または「ベル」の小役を取りこぼしたことに基づくものではなく、RT入賞に基づいて行われるものとなっている。つまり、RTへの遊技状態の移行による損失の補填が「スイカ」の小役または「ベル」の小役の取りこぼしに対して直接的に行われるものではなく、その損失の補填に対して遊技者の興味を減退させることがない。」
(9)甲第9号証
特許異議申立人により提出された甲第9号証(特開2005-334627号公報)には、以下の事項が記載されている。
「【0107】
なお、本実施の形態の特典は、リプレイタイムゲーム(RTゲーム)であり、遊技実行制御部186Aでは、一般遊技中に、特定の小役をとりこぼした時点から所定回数(例えば、50回から100回程度)のRTゲームを実行するように制御する。
【0108】
以下に本実施の形態の作用を説明する。
【0109】
本実施の形態では、特定の小役が内部当選したにも拘わらず、遊技者の停止ボタン356A、356B、356Cの操作による停止タイミングが悪く、滑り制御を駆使しても、前記内部当選した特定の小役に対応する図柄を揃えることができなかった場合、滑り制御の制御範囲内に予め設定した図柄(本実施の形態では「バー」図柄)が存在した場合に、この「バー」を用いた図柄配列で停止させ(「スイカ-スイカ-バー」)、遊技者のRTゲームという特典を与える可能性を持たせた。
【0110】
これは、特定の小役の内部当選が無効になったことを報知する機能であると共に、内部当選した特定の小役の権利を行使できなかった遊技者への救済措置ということができる。」
(10)甲第10号証
特許異議申立人により提出された甲第10号証(特開2008-200165号公報)には、以下の事項が記載されている。
(10-a)「【0001】
本発明は、遊技メダルや遊技球等の遊技媒体を用いて遊技を行う回胴式遊技機(スロットマシン)に関する。」
(10-b)「【0029】
操作部2mbの前面には、遊技メダルの投入後に回胴20a、20b、20cの回転を開始するためのスタートレバー36と、3つの回胴20a、20b、20cの回転をそれぞれ停止させるための回胴停止ボタン38a、38b、38cなどが設けられている。なお、回胴停止ボタン38a、38b、38cが本発明の停止操作手段に相当している。
・・・
【0034】
筐体3のほぼ中央には、3つの回胴20a、20b、20cが設けられており、各回胴20a~20cの外表面には、後述のように複数種類の図柄が表示されている。これら回胴20a~20cの上方には、遊技全体の制御を司る主制御基板200(図4参照)が格納された主制御基板ユニット110と、各回胴を駆動するための回胴基板260(図4参照)が格納された回胴基板ユニット111が設けられている。回胴20a、20b、20cの下方には、リアスピーカ114が設けられ、更にその下方には、投入された遊技メダルが集められるホッパー116や、遊技メダルを払い出すメダル払出装置118、遊技機1全体に電源を供給するための電源基板280(図4参照)が格納された電源ユニット120などが搭載されている。メダル払出装置118から払い出された遊技メダルは、コインシュータ108を通って、遊技メダル払出口50から払い出されるようになっている。また、電源ユニット120の前面には、遊技機1の電源を投入するための電源ユニット120sも設けられている。」
(10-c)「【0043】
遊技開始にあたって、遊技メダル投入口30から遊技メダルを投入して、メダルのベットを行う。ベットする遊技メダル数は、通常、1枚または3枚に固定されている。遊技メダルがクレジットとして予め内部に貯留されている場合は、一枚投入ボタン32、あるいは三枚投入ボタン34を押すことにより、それぞれ1枚または3枚の遊技メダルをベットすることも可能である。
【0044】
遊技メダルをベットして、スタートレバー36を操作すると、3つの回胴20a~20cが一斉に回転を開始する。それぞれの回胴20a~20cの外周面には複数の図柄が描かれているため、回胴20a~20cが回転すると、これら図柄が変動表示されることになる。また、前面扉2の前面側には、それぞれの回胴に対応して3つの回胴停止ボタン38a~38cが設けられている(図1参照)。回胴20a~20cの回転中に回胴停止ボタン38a~38cを押すと、押したボタンに対応する回胴が回転を停止し、これに伴って、変動表示されていた図柄がいずれかの図柄で停止表示される。このようにして、3つの回胴20a~20cの回転を停止させると、それぞれの回胴でいずれかの図柄が停止表示される。回胴20a~20cの停止は、主制御基板200のCPU200cが後述の回胴回転停止処理S107で行うように構成されている。したがって、主制御基板200のCPU200cが本発明の停止制御手段に相当している。
【0045】
本実施例の遊技機1では、表示窓20の大きさは、各回胴20a~20cあたり3つずつの図柄が表示される大きさに設定されている。このため、3つの回胴20a~20cが停止表示されると、表示窓20には、縦横3列ずつ、合計9つの図柄が表示されるようになっている。これら9つの図柄が表示される位置には、複数本の入賞ラインが予め設定されている。
・・・
【0047】
そして、有効な入賞ライン上で揃った図柄組合せがいずれかの遊技役を成立させる図柄組合せだった場合には、成立した遊技役に応じた特典が遊技者に付与される。図6は、本実施例の遊技機1に設定されている図柄組合せを示している。図6(a)は、遊技役の種類に図柄組合せと付与される特典を対応付けて示した説明図である。図6(a)では、左端の欄に遊技役の種類が表示され、中央の欄に遊技役を成立させる図柄組合せが表示され、右端の欄に遊技役が成立した場合に遊技者に付与される特典が表示されている。これらの図柄組合せは、主制御基板200に搭載されたROMに予め記憶されている。
・・・
【0050】
ベルの小役は、左回胴20aの図柄が「赤セブン」、「青セブン」、「バー」のいずれかであり、中回胴20bと右回胴20cの図柄が「ベル」の図柄組合せの3種類が設定されている。左図柄20aが「赤セブン」の場合は「ベルAの小役」と呼び、左図柄20aが「青セブン」の場合は「ベルBの小役」と呼び、左図柄20aが「バー」の場合は「ベルCの小役」と呼ぶ。これらのベルの小役に対して遊技者に付与される特典として、15枚の遊技メダルが払い出される。
【0051】
スイカの小役は、3つの回胴20a~20cのすべてが「スイカ」の図柄で揃った図柄組合せが設定されている。スイカの小役に対する特典として、6枚の遊技メダルが払い出される。また、チェリーの小役は、左回胴20aの図柄が「チェリー」の図柄であり、中図柄20bおよび右図柄20cはどのような図柄の組合せであっても構わない図柄組合せが設定されている。チェリーの組合せに対しては、2枚の遊技メダルが払い出される。
【0052】
再遊技役(リプレイ)は、3つの回胴20a~20cがいずれも「再遊技」の図柄で揃った図柄組合せが設定されている。本実施例の遊技機1では、3つの回胴20a~20cのすべてが「Replay」の図柄で揃った図柄組合せからなる再遊技役Aと、左図柄20aが半円状の図柄で、中図柄20bと右図柄20cが「Replay」の図柄である図柄組合せからなる再遊技役Bの2種類の再遊技役が設定されている。再遊技役Aおよび再遊技役Bのいずれかの図柄組合せが揃えば、再遊技役の入賞を成立させることができる。再遊技役に付与される特典としては、新たな遊技メダルをベットすることなく、再度遊技を行う権利が付与される。つまり、再遊技役の入賞を成立させたときにベットしていた遊技メダルと同じ遊技メダルがベットされたものとしてもう一度遊技を行うことが可能となる。また、再遊技役Bは、後述するRT遊技(リプレイタイム遊技)の開始図柄であり、RT遊技を開始させる特典も有している。RT遊技に関する詳細は後述する。
【0053】
3つの回胴20a~20cが停止したときに、図6に示すいずれの遊技役も成立しなかった場合は、再び1枚または3枚の遊技メダルをベットした後、スタートレバー36を操作して回胴20a~20cを回転させることで、次のゲームを行う。本実施例の遊技機1では、こうした操作を繰り返すことによってゲームが進行するようになっている。
【0054】
なお、本実施例の遊技機1では、図6(a)に示す遊技役に加えて、図6(b)に示す特定図柄と呼ばれる図柄組合せが設定されている。本実施例では、左図柄20aが「Replay」、中図柄20bが「ベル」、右図柄20cが「ベル」の図柄組合せが特定図柄に設定されており、この特定図柄は、遊技メダルが払い出される遊技役とは異なり、遊技状態の切り替えに用いられる。この特定図柄による遊技状態の切り替えについては後述する。
【0055】
図6(a)で示したいずれの遊技役に当選するかは後述する内部抽選で決定される。内部抽選処理では、主制御基板200のCPU200cがスタートレバー36が操作されたタイミングで取得した内部抽選用乱数に応じて遊技役を内部的に抽選する。内部抽選用乱数とは、主制御基板200がスタートレバー操作信号を受け取ったときに取得する乱数である。本実施例の内部抽選用乱数は2バイトデータとなっており、0~65535の範囲の乱数値を取得することが可能となっている。内部抽選用乱数は、主制御基板200に搭載された専用の乱数発生回路を用いてハードウェア的に生成することもでき、あるいは乱数発生用プログラムを用いてソフトウェア的に生成することもできる。なお、主制御基板200のCPU200cが本発明の遊技役抽選手段に相当している。
【0056】
ただし、内部抽選処理でいずれかの遊技役に当選したとしても、直ちに遊技役が成立するわけではなく、回胴停止ボタン38a~38cを操作することにより、対応する図柄組合せを入賞ライン上に揃えなければ当選した遊技役を成立させることはできない。逆にどのようなタイミングで回胴停止ボタン38a~38cを操作しても、内部抽選で当選した遊技役でなければ入賞ライン上に対応する図柄組合せを揃えることはできない。このように内部抽選は、図柄組合せを揃えて遊技役を成立させるための前提条件として内部的に行われる抽選となっている。内部抽選に当選した状態は、内部当選状態(または単に内部当選)と呼ばれている。内部抽選でいずれの遊技役に内部当選したかは内部当選フラグに設定される。内部当選フラグとは、内部抽選の結果を保存しておくために用いられるフラグであり、主制御基板200のRAMの所定アドレスに設定されている。」
(10-d)「【0061】
ここで、各遊技状態を対応する抽選テーブルとともに説明する。図8は、各遊技状態が切り替わる状態を示している。図8に示すように、通常遊技から特定遊技またはBB遊技に切り替わることができ、特定遊技からRT遊技、BB遊技または通常遊技に切り替わることができ、RT遊技から特定遊技またはBB遊技に切り替わることができ、BB遊技から通常遊技に切り替わる。これらの複数の遊技状態の切り替え(各遊技状態の開始及び終了)は、主制御基板200がROMに記憶されている抽選テーブルを選択することによって行われる。したがって、主制御基板200のCPU200cが本発明のリプレイタイム遊技開始手段、リプレイタイム遊技終了手段、特定遊技開始手段、特定遊技終了手段に相当している。
【0062】
まず、通常遊技について説明する。遊技を開始した直後(RAMクリア処理等を行って遊技状態を初期状態にしたとき)は、図7(c)の遊技状態フラグは全てのビットに「0」が設定される。したがって、遊技状態が最も一般的な遊技状態である通常遊技に設定されている。通常遊技状態では、通常遊技用抽選テーブルを用いて内部抽選が行われる。図9(a)は通常遊技用抽選テーブルを示し、図9(b)は通常遊技用抽選テーブルに設定されている各遊技役と内部抽選用乱数の乱数範囲との対応関係を示している。図9(a)に示す通常遊技用の抽選テーブルでは、「ベルAの小役」に対して0~1333の乱数値が設定されている。これは、取得した乱数値がこの範囲内にあった場合には、ベルAの小役に内部抽選することを表わしている。同様に、「ベルBの小役」には1334~2667、「ベルCの小役」には2668~4000、「スイカの小役」には4001~4200、「チェリーの小役」には4201~4400、「赤7のBB役」には4401~4600、「青7のBB役」には4601~4700、「再遊技役A」には4601~13800、「再遊技役B」には4601~4700のそれぞれの乱数値が設定されている。13801~65535の乱数値には、いずれの遊技役も設定されておらず、取得した乱数値がこの範囲にあった場合には、「外れ」となる。
・・・
【0067】
また、本実施例の遊技機1では、ベルの小役の入賞を成立させる図柄組み合わせが停止表示されなかった場合(取りこぼしが発生した場合)に、ベル小役の取りこぼし目として特定図柄の組み合わせ(図6(b)参照)が停止表示されるように設定されている。すなわち、ベルA、ベルB、ベルCのいずれかに内部当選した状態で、左回胴20aの図柄がベルA、ベルB、ベルCのいずれかの入賞を成立させる図柄(「赤セブン」か「青セブン」か「バー」のいずれか)が停止表示されなかった場合は、「再遊技」の図柄を左回胴20aに停止表示させる。そして、中回胴20b、右回胴20cについては、左回胴20aに停止表示された「再遊技」の図柄位置を含む入賞ライン上に「ベル」の図柄が停止表示される。これにより、「ベル」の小役を取りこぼした場合には、特定図柄の組み合わせが入賞ライン上に停止表示される。なお、特定図柄組み合わせが停止表示されることは、特定遊技の開始条件となっている。よって、通常遊技中に特定図柄組み合わせが停止表示された場合には、前述した遊技状態フラグ(図7(c)参照)における特定遊技フラグがONに設定され、特定遊技が開始される。
【0068】
以上のように、通常遊技からは、特定遊技またはBB遊技のいずれかの遊技状態に切り換わることができる(図8参照)。すなわち、通常遊技中にBB役(赤7および青7のBB役)の入賞が成立すると、遊技状態がBB遊技に切り換わる。また、有効な入賞ライン上に特定図柄の組み合わせが停止表示されると遊技状態が特定遊技に切り換わる。
【0069】
次に、特定遊技について説明する。特定遊技は、上述した特定図柄の組合せが成立することで開始されるものであり、特定遊技用抽選テーブルを用いて内部抽選が行われる。図10は、特定遊技用抽選テーブルを示している。図9に示した通常遊技用抽選テーブルと同様、特定遊技用抽選テーブルにも、複数の遊技役毎に、その遊技役を当選させる乱数範囲が設定されている。また、図10(b)には、特定遊技用抽選テーブルに設定されている各遊技役と、内部抽選乱数の乱数範囲との対応関係が示されている。図10に示す特定遊技用抽選テーブルと、図9に示す通常遊技用抽選テーブルとを比較すると、再遊技役全体の乱数範囲は通常遊技とほぼ同様であるが、通常遊技用抽選テーブルに対して特定遊技用抽選テーブルの方が再遊技役Bの乱数範囲が100から300に拡大されている。このため、特定遊技では、通常遊技よりも再遊技役Bに内部当選しやすい遊技状態となっている。また、拡大された再遊技役Bの乱数範囲(4701~4900の範囲)は、青7のBB役とは重複しておらず、再遊技役Aとのみ重複役を構成している。そして、この拡大された乱数範囲の乱数値に内部当選し、再遊技役Bの入賞が成立した場合はRT遊技が開始される。
【0070】
図8に示したように、特定遊技からRT遊技、BB遊技または通常遊技のいずれかの遊技状態に切り替わることができる。特定遊技中にBB役の入賞が成立すると、遊技状態がBB遊技に切り替わる。また、上述のように特定遊技は、再遊技役Bに内部当選する乱数範囲が拡大され、再遊技役Bが成立しやすくなっているため、特定遊技からRT遊技に切り替わり易くなっている。一方、特定遊技において、RT遊技またはBB遊技に切り替わらないまま、所定回数(本実施例では50回)の遊技が行われた場合には、特定遊技から通常遊技に戻る。
【0071】
次に、RT遊技について説明する。RT遊技では、RT遊技用抽選テーブルを用いて内部抽選が行われる。図11は、RT遊技用抽選テーブルを示している。RT遊技用抽選テーブルは、図10で示した特定遊技用抽選テーブルと比較すると、再遊技役Aおよび再遊技役Bに内部当選する乱数範囲が拡大されている。特に、再遊技役Aに内部当選する乱数範囲が拡大されており、全乱数範囲のほぼ半分が再遊技役Aに内部当選する乱数範囲に設定されている。また、その分だけ、外れの乱数範囲が縮小されている。RT遊技では、このような抽選テーブルを用いて内部抽選処理が行われることから、RT遊技は高い確率で再遊技役の入賞を成立させやすい遊技状態となっている。再遊技役に入賞すると、遊技メダルを投入することなく次回の遊技を行うことができため、この再遊技役に頻繁に当選することで、遊技者が保持している遊技メダルを比較的減らさずに遊技が可能になる。よって、RT遊技が長ければ長いほど遊技者にとって有利な状態となり、BB役等のボーナス役に当選するチャンスをメダルを減らさずに享受させることができる。このRT遊技は、赤7または青7のBB役に入賞するか、特定図柄の組み合わせが停止表示されるまで継続する。
【0072】
また、本実施例の遊技機1では、RT遊技中にベルA、ベルB、ベルCの小役のいずれかに内部当選した場合には、主制御基板200から内部当選を示す制御コマンドがサブ制御基板220に送信され、サブ制御基板220はコマンドを受け取ると各種ランプ類12や演出表示装置10等を用いてベル小役に内部当選した旨を遊技者に報知するように構成されている。遊技者は、報知されたベル小役を狙って比較的容易にベル小役の入賞を成立させることが可能である。このため、RT遊技中は、遊技者はあまり遊技メダルを減らすことなく、むしろ効率よくベル小役の入賞を成立させて少しずつ遊技メダルを増やしながら、BB役の入賞を狙って遊技を続けることが可能である。RT遊技中のベル小役当選の報知は、サブ制御基板220によって行われる。」
(10-e)「【0081】
遊技の進行は、主制御基板200によって制御されている。以下、主制御基板200が遊技の進行を制御するために行っている処理内容について説明する。
・・・
【0089】
次に、回胴20a~20cの回転を停止させる回胴回転停止処理を行う(S107)。回胴回転停止処理では、すべての回胴20a~20cの回転速度が所定速度で安定したことを確認した後、各回胴20a~20cに対応する回胴停止ボタン38a~38cの操作を有効化する。そして、主制御基板200は、各回胴停止ボタン38a~38cからの操作信号に基づいて、各回転停止ボタン38a~38cが操作された時に各回胴20a~20cの回転位置を検出し、検出結果に基づいて各回胴20a~20cの停止位置を決定し、決定した位置で回胴20a~20cを停止させる制御を行う。
【0090】
各回胴20a~20cの停止位置を決定する際には、内部抽選処理S105の結果が参照され、何れの遊技役にも内部当選していない場合には、どのようなタイミングで回胴停止ボタンが操作されても、遊技役を成立させる図柄組合せが停止表示されないように、回胴の停止位置が決定される。一方、ある遊技役に内部当選している場合には、よほどタイミングが外れていない限り、内部当選した遊技役を成立させる図柄組合せが停止表示されるように、各回胴の停止位置が決定されるようになっている。
【0091】
次に、予め設定された特定図柄(図6(b)参照)の組合せが、入賞ライン上に揃っているか否かを判定する(S108)。上述のように、本実施例の遊技機1では、ベルの小役の入賞を成立させる図柄組み合わせが停止表示されなかった場合(取りこぼしが発生した場合)に、特定図柄の組み合わせが停止表示される。」
(10-f)「【0100】
以下、遊技状態設定処理について説明する。図14は、遊技状態設定処理を示すフローチャートである。主制御基板200が、図14に示す遊技状態設定処理を行い、ROMに記憶されている抽選テーブルを選択することによって、複数の遊技状態を切り替えている。」
(10-g)「【0123】
次に、ベル報知処理を図19に基づいて説明する。まず、RT遊技中であるか否かを判定する(S361)。この結果、RT遊技中でないと判定された場合には(S361:NO)、ベル報知処理を終了する。一方、RT遊技中であると判定された場合には(S361:YES)、ベル小役に内部当選したか否かを判定する(S362)。ベル小役に内部当選したか否かは、主制御基板200から送信されるベル小役の内部当選を示す制御コマンドを受信したか否かによって判定することができる。
【0124】
この結果、ベル小役に内部当選していないと判定された場合には(S362:NO)、ベル報知処理を終了する。一方、ベル小役に内部当選したと判定された場合には(S362:YES)、ベル報知回数が0より大きいか否かを判定する(S363)。
【0125】
この結果、ベル報知回数が0より大きくないと判定された場合、すなわち、ベル報知回数の残り回数が0であった場合には(S363:NO)、すでにS343またはS344で設定された回数分のベル報知を行ったと判定できるので、ベル報知処理を終了する。一方、ベル報知回数が0より大きくないと判定された場合には(S363:YES)、遊技者にベル小役の内部当選を報知し(S364)、ベル報知回数を1減算する(S365)。ベル小役の内部当選報知では、演出表示装置10などを用いてベル小役に内部当選した旨を遊技者に報知する。ベルの小役は、図柄組合せが異なるベルA、ベルB、ベルCを含んでいるので、ベル小役の内部当選報知では内部当選したベル小役の種類も報知する。
【0126】
ベル小役の内部当選報知により、遊技者は、報知されたベル小役を狙って比較的容易にベル小役の入賞を成立させることができる。これにより、遊技者は、効率よくベル小役の入賞を成立させて少しずつ遊技メダルを増やしながら、BB役の入賞を狙って遊技を続けることが可能である。また、本実施例の遊技機1では、RT遊技から特定遊技に移行する条件がベル小役の取りこぼし目である特定図柄が揃った場合となっている。このため、ベル小役に内部当選しているにもかかわらず、ベル小役の入賞を成立させる図柄を停止表示されることができなかった場合は特定図柄が揃い、RT遊技から特定遊技に移行する。これに対し、ベル小役の内部当選を報知することで、ベル小役の報知を行うことで、容易にベル小役の入賞を成立させることができ、再遊技役の内部当選確率が高いRT遊技を継続させることができる。」
(10-h)段落【0056】の「回胴停止ボタン38a~38cを操作することにより、対応する図柄組合せを入賞ライン上に揃えなければ当選した遊技役を成立させることはできない。逆にどのようなタイミングで回胴停止ボタン38a~38cを操作しても、内部抽選で当選した遊技役でなければ入賞ライン上に対応する図柄組合せを揃えることはできない。」の記載、及び段落【0090】の「ある遊技役に内部当選している場合には、よほどタイミングが外れていない限り、内部当選した遊技役を成立させる図柄組合せが停止表示されるように、各回胴の停止位置が決定されるようになっている。」の記載等から、当選した遊技役に対応するタイミングで回胴停止ボタンを操作されたときには、その遊技役を成立させることができ、当該タイミングと異なるタイミングで回胴停止ボタンを操作されたときには、その遊技役を取りこぼすことになるといえる。
これらの記載を踏まえれば、段落【0067】の記載は、前記遊技役抽選手段の決定結果がベルA、ベルB、ベルCのいずれかに内部当選した状態で当該ベル小役に対応するタイミングで前記回胴停止ボタンが操作されたときに、前記ベル小役の入賞が発生する図柄組み合わせを前記表示窓20に停止表示させ、当該ベル小役に対応するタイミングとは異なるタイミングで前記回胴停止ボタンが操作されたときに、前記再遊技の付与も前記遊技メダルの付与も伴わない特定図柄(Replay-ベル-ベル)を前記表示窓20に停止表示させる制御を行うことであるといえる。
(10-i)段落【0072】には「遊技者は、報知されたベル小役を狙って比較的容易にベル小役の入賞を成立させることが可能である。」と記載されているから、当選したベル小役(ベルA、ベルB、ベルC)の種類を特定可能に報知することは明らかである。
以上の事項を総合すれば、甲第10号証には以下の発明(以下「甲10発明」という。)が記載されていると認められる。
「a 複数種類の図柄が変動表示される回胴20a~20cを備え(段落【0034】、【0044】)、
b 回胴20a~20cが回転し、図柄が変動表示された後、回胴停止ボタンを押すと回胴20a~20cが回転を停止し、入賞ライン上で揃った図柄組み合わせがいずれかの遊技役であった場合には、成立した遊技役に応じて特典が付与される回胴式遊技機において(段落【0001】、【0044】、【0047】)、
c スタートレバー36が操作されたタイミングで、再遊技の付与を伴う再遊技役A及びBと、遊技メダルの付与を伴う小役を含む遊技役に当選させるかを内部的に抽選する遊技役抽選手段と(段落【0050】~【0052】、【0055】、図6(a))、
d 前記回胴20a~20cの回転を停止させ図柄組み合わせを表示させる回胴停止ボタンと(段落【0029】)、
e ある遊技役に内部当選している場合には、よほど回胴停止ボタンの操作タイミングが外れていない限り、内部当選した遊技役を成立させる図柄組み合わせを停止表示させる制御を行う主制御基板200と(段落【0081】、【0090】)、
f 通常遊技状態に制御する主制御基板200と(段落【0061】)、
g 前記通常遊技状態とは異なる特定遊技状態に制御する主制御基板200と(段落【0061】、【0069】)、
h 前記通常遊技状態及び前記特定遊技状態よりも高い確率で再遊技役の入賞を成立させやすい遊技状態であるRT遊技状態に制御する主制御基板200と(段落【0061】、【0069】、【0071】)、
i 前記通常遊技状態において特定図柄(Replay-ベル-ベル)が成立した場合に前記特定遊技状態に移行させる主制御基板200と(段落【0054】、【0067】)、
j 前記特定遊技状態において再遊技役Bが成立した場合に前記RT遊技状態へ移行させる主制御基板200と、を備え(段落【0061】、【0069】)、
k 前記通常遊技状態から前記RT遊技状態に直接移行させることがなく、前記通常遊技状態から前記RT遊技状態への移行は、必ず前記特定遊技状態を介在し(段落【0061】、図8)、
l’ 前記主制御基板200は、 前記遊技役抽選手段の決定結果がベルA、ベルB、ベルCのいずれかに内部当選した状態で当該ベル小役に対応するタイミングで前記回胴停止ボタンが操作されたときに、前記ベル小役の入賞が発生する図柄組み合わせを前記表示窓20に停止表示させ、当該ベル小役に対応するタイミングとは異なるタイミングで前記回胴停止ボタンが操作されたときに、前記再遊技の付与も前記遊技メダルの付与も伴わない特定図柄(Replay-ベル-ベル)を前記表示窓20に停止表示させる制御を行い(認定事項(10-h))、
m 特定図柄(Replay-ベル-ベル)が停止表示された場合に前記特定遊技状態に移行させ(段落【0061】、【0067】)、
n’ 前記RT遊技状態において当選したベル小役(ベルA、ベルB、ベルC)の種類を特定可能に報知することが可能なサブ制御基板220をさらに備える回胴式遊技機(段落【0001】、【0072】)。」
5 当審の判断
5-1 異議理由1について
(1)対比
本件発明と甲1発明とを対比すると、甲1発明の「CZ待機状態」、「アンコールタイム(CZ)」、「ブルーハーツタイム(ART)」、「9枚役の取りこぼし目出現」、「チャンスリプレイ入賞」は、本件発明の「第1の遊技状態」、「第2の遊技状態」、「第3の遊技状態」、「第1の移行条件」、「第2の移行条件」にそれぞれ相当する。
したがって、本件発明1と甲1発明とは、
「A 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
B 前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
C 表示結果が導出される前に、再遊技の付与を伴う再遊技入賞と、遊技に使用可能な遊技用価値の付与を伴う小役入賞と、を含む複数種類の入賞について発生を許容するか否かを決定する事前決定手段と、
D 遊技者が表示結果を導出させるために操作する導出操作手段と、
E 前記表示結果を導出する制御を行う導出制御手段と、
F 第1の遊技状態に制御する第1遊技状態制御手段と、
G 前記第1の遊技状態とは異なる第2の遊技状態に制御する第2遊技状態制御手段と、
H’ 第3の遊技状態に制御する第3遊技状態制御手段と、
I 前記第1の遊技状態において必ずしも成立するとは限らない第1の移行条件が成立したときに前記第2の遊技状態に移行させる第2遊技状態移行手段と、
J 前記第2の遊技状態において必ずしも成立するとは限らない第2の移行条件が成立したことを条件に前記第3の遊技状態へ移行させる第3遊技状態移行手段と、
を備え、
K 前記第1の遊技状態から前記第3の遊技状態に直接移行させることがなく、前記第1の遊技状態から前記第3の遊技状態への移行は、必ず前記第2の遊技状態を介在し、
L’ 前記導出制御手段は、小役入賞以外の操作態様で操作されたときに再遊技の付与も前記遊技用価値の付与も伴わない特定の非入賞表示結果を導出させる制御を行い、
M 前記第1の移行条件は、前記特定の非入賞表示結果の導出であり、
N’ 小役入賞の操作態様を報知可能であるスロットマシン。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点1]
第3の遊技状態に関して、本件発明は、「前記第1の遊技状態及び前記第2の遊技状態よりも遊技者にとって有利な遊技状態である」(構成H)のに対して、甲1発明は、そのように特定されていない点。
[相違点2]
導出制御手段に関して、本件発明は、「前記事前決定手段の決定結果が第1の小役入賞及び第2の小役入賞のいずれの発生も許容する特定結果である場合において、第1の操作態様で前記導出操作手段が操作されたときに前記第1の小役入賞が発生する入賞表示結果を導出させる制御を行い、第2の操作態様で前記導出操作手段が操作されたときに前記第2の小役入賞が発生する入賞表示結果を導出させる制御を行い、前記第1の操作態様でも第2の操作態様でもない操作態様で前記導出操作手段が操作されたときに前記再遊技の付与も前記遊技用価値の付与も伴わない特定の非入賞表示結果を導出させる制御を行い」(構成L)、「前記第1の小役入賞により付与される遊技用価値の数は、前記第2の小役入賞により付与される遊技用価値の数よりも多く、前記事前決定手段の決定結果が前記第1の小役入賞及び第2の小役入賞のいずれの発生も許容する特定結果である場合において前記第1の操作態様を報知可能である」(構成N)のに対して、甲1発明は、そのように特定されていない点。
(2)特許異議申立人の主張について
ア 相違点1について
甲第2号証には、「ART中の打ち方と性能」には、「ART中はリプレイ確率大幅アップ&ベルを根こそぎ奪取でコイン激増!」との記載があり、「リプレイ・・・1/80→1/1.42」とリプレイ確率が上昇する記載がある(第44頁下段)。
したがって、甲第1号証に甲第2号証を組み合わせることで、上記相違点1に係る構成とすることは容易に想到することが可能である(特許異議申立書第65頁第12行~第66頁第5行)。
イ 相違点2について
甲第3号証には、共通ベルとリプレイ絵柄を含むベルとが重複当選する押し順ベルがあり、押し順ベルは「第1停止の押し順に正解」、「正しい絵柄を引き込む範囲で押す」の2パターンの獲得方法があり、小役の払出し枚数が9枚であることが記載されている(48頁中段)。そして、「第1停止の押し順に正解」の操作手順では共通ベルの小役に振り分けられ、「正しい絵柄を引き込む範囲で押す」の操作手順ではリプレイ絵柄を含むベルに振り分けられることが記載されている(48頁下段)。
甲第4号証には、ベル(払出枚数「11」)とチェリー(払出枚数「6」)が同時当籤する場合が記載されており、払出枚数が多いベルが当籤したことを報知する態様が記載されている(段落【0020】、【0083】、【0129】)。
甲第1号証に甲第3号証を組み合わせることで、構成Lは容易に想到可能であり、甲第1号証に甲第4号証の公知技術を組み合わせることで、構成Nは容易に想到可能である(特許異議申立書第66頁6行~第70頁第8行)。
ウ 補足
重複当選している場合に、第1停止のタイミングによって、多配当の役、小配当の役、又は0枚の取りこぼしのいずれかが決定される態様は、例えば、甲第4号証乃至甲第6号証に記載されているように周知技術に過ぎない(特許異議申立書第70頁第10~19行)。
取りこぼしが生じた場合に、有利な遊技状態に移行させ、遊技者の損失感を補填することは、例えば、甲第7号証乃至甲第9号証に記載されているように周知技術である(特許異議申立書第81頁第6~14行)。
(3)判断
事案に鑑み、相違点2について検討する。
ア[相違点2]について
甲第3号証には、ギター又はベース絵柄で構成される役と、リプレイ絵柄を含む構成の役とが同時成立しているベル(9枚)となった場合に、押し順ベルは第1停止の押し順に正解するか、正しい絵柄を引き込む範囲で押すことで獲得され、第1停止の押し順に正解すると「ギター又はベース絵柄で構成される役」となり、正しい絵柄を引き込む範囲で押すと「リプレイ絵柄を含む構成の役」となり、押し順ベルのリプレイ絵柄を含む取りこぼし目を停止させることによりCZが開始される遊技機が記載されている(以下「甲第3号証記載の事項」という。)。
甲第3号証記載の事項における「第1停止の押し順に正解」は「第1の操作手順」、「正しい絵柄を引き込む範囲で押す」は「第2の操作手順」、「押し順ベルのリプレイ絵柄を含む取りこぼし目を停止させる」は「第1の操作手順でも第2の操作手順でもない操作手順」、「ギター又はベース絵柄で構成される役」は「第1の小役入賞」、「リプレイ絵柄を含む構成の役」は「第2の小役入賞」と解することができる。
そして、甲第3号証記載の事項のベル(9枚)においては、「ギター又はベース絵柄で構成される役」(第1の小役入賞)と「リプレイ絵柄を含む構成の役」(第2の小役入賞)は、共に9枚のメダルが付与され、これらの役の取りこぼし目を停止させることによりCZが開始されるものであり、ARTにおいて複数の小役入賞のうちの遊技価値の大きい方の小役入賞を発生させるための操作手順を報知するものではない。
一方、甲第4号証には、「赤チェリー+ベル2+ベル3」が内部当籤した場合には、三つの小役が同時に当籤していることとなり、チェリーは払出枚数「6」、ベルは払出枚数「11」であり、その三つの役のうち、一番払出枚数が多いベル2およびベル3が当籤したことを遊技者に報知するパチスロ機1が記載されている(以下「甲第4号証記載の事項」という。)。
特許異議申立人は、甲第1号証に甲第3号証を組み合わせることで、構成Lは容易に想到可能であり、甲第1号証に甲第4号証の公知技術を組み合わせることで、構成Nは容易に想到可能であると主張している(上記(2)イ参照)。
ここで、本件発明の構成L、構成Nは、ともに「第1の小役入賞及び第2の小役入賞のいずれの発生も許容する特定結果」を発明特定事項とするものであるから、甲第3号証記載の事項の「ベル(9枚)」に甲第4号証記載の事項の「赤チェリー+ベル2+ベル3」を適用して共通の特定結果とする必要がある。
しかしながら、甲第3号証記載の事項の「ベル(9枚)」は、共に9枚のメダルが付与される2種類の小役があり、これらの役の取りこぼし目が移行役となるのに対して、甲第4号証記載の事項の「赤チェリー+ベル2+ベル3」は、6枚のメダルが付与される小役と11枚のメダルが付与される小役があり、これらの役の取りこぼし目が移行役となるものではない。
すなわち、甲第4号証記載の事項の「赤チェリー+ベル2+ベル3」は、移行役を含まない点において、甲第3号証記載の事項の「ベル(9枚)」とは、当選役としての技術的意味が異なるものである。また、甲第3号証記載の事項の「ベル(9枚)」は、そもそも、第1停止の押し順に正解するか、正しい絵柄を引き込む範囲で押すかという操作手順が異なっても9枚のメダルが付与されるものであるところ、これを、甲第4号証記載の事項の小役の払出し枚数が異なる「赤チェリー+ベル2+ベル3」とすることはゲームの内容を大きく変更するものであるから、甲第3号証記載の事項の「ベル(9枚)」を、甲第4号証記載の事項の「赤チェリー+ベル2+ベル3」に適用する動機付けがない。
したがって、上記甲第4号証記載の事項の「赤チェリー+ベル2+ベル3」に基づいて、甲第3号証記載の事項のベル(9枚)を、「第1の小役入賞により付与される遊技用価値の数は、第2の小役入賞により付与される遊技用価値の数よりも多く」するとともに、遊技用価値の数が多い「第1の操作態様を報知可能」として甲1発明に適用することは当業者が容易になし得たこととはいえない。
よって、甲1発明に甲第3証記載の事項及び甲第4号証記載の事項を適用し、上記相違点2に係る本件発明とすることは、当業者が容易になし得たこととはいえない。
さらに、特許異議申立人は、重複当選している場合に、第1停止のタイミングによって、多配当の役、小配当の役、又は0枚の取りこぼしのいずれかが決定される態様は、例えば、甲第4号証乃至甲第6号証に記載されているように周知技術であり、
取りこぼしが生じた場合に、有利な遊技状態に移行させ、遊技者の損失感を補填することは、例えば、甲第7号証乃至甲第9号証に記載されているように周知技術であると主張している(上記(2)ウ参照)。
また、甲第2号証には、ART中にリプレイ確率が大幅に上昇することが記載されており、ブルーハーツタイム(ART)は、CZ待機状態及びアンコールタイム(CZ)よりも有利な状態であることが記載されている(以下「甲第2号証記載の事項」という)。
しかしながら、何れの証拠も、当選役として「第1の小役」と「第2の小役」が重複当選したものにおいて、これらの小役の取りこぼし目が遊技状態の移行役となるとともに、「第1の小役入賞により付与される遊技用価値の数は、第2の小役入賞により付与される遊技用価値の数よりも多く」する点を開示するものではない。
そして、甲第2号証記載の事項、甲第4号証乃至甲第6号証に記載された周知技術及び甲第7号証乃至甲第9号証に記載された周知技術をさらに考慮しても、上記相違点2に係る本件発明とすることは、当業者が容易になし得たこととはいえない。
本件発明は、上記相違点2に係る本件発明の構成(構成L、N)により、「本実施例では、RT(1)において11枚と12枚が同時に当選し、これら当選した11枚及び12枚の双方を取りこぼした際に導出される移行役が成立したときに、RT(1)からRT(0)に移行するようになっており、RT(1)において11枚と12枚とが同時に当選し、かつ11枚及び12枚の双方を取りこぼしてメダルを獲得できなかった場合であっても、遊技者にとって有利なRT(0)へ移行するので、RT(1)においては、11枚(1)と12枚(2)が同時に当選した場合には、当選した11枚、12枚を取りこぼしたか否かに関わらず、遊技者にとって利益となる。」(段落【0167】)、「遊技者は操作手順報知によって報知された色または模様の「7」図柄を左リールに狙って停止操作を行うこと、または、操作手順報知によって報知されたリールの停止操作を他のリールよりも先に行うことにより、その時点で遊技者にとって有利となる停止態様を導出させることが可能となる。」(段落【0184】)という効果を奏するものであり、この効果は、甲1発明、甲第2号証記載の事項、甲第3号証記載の事項、甲第4号証記載の事項、甲第4号証乃至甲第6号証に記載された周知技術及び甲第7号証乃至甲第9号証に記載された周知技術から予測し得るものではない。
イ まとめ
よって、相違点1について検討するまでもなく、本件発明は、甲1発明、甲第2号証記載の事項、甲第3号証記載の事項、甲第4号証記載の事項、甲第4号証乃至甲第6号証に記載された周知技術及び甲第7号証乃至甲第9号証に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
5-2 異議理由2について
(1)対比・判断
本件発明と甲10発明とを対比すると、甲10発明の「通常遊技状態」、「特定遊技状態」、「RT遊技状態」、「特定図柄(Replay-ベル-ベル)が成立した場合」、「再遊技役Bが成立した場合」は、本件発明の「第1の遊技状態」、「第2の遊技状態」、「第3の遊技状態」、「第1の移行条件」、「第2の移行条件」にそれぞれ相当する。
したがって、本件発明1と甲1発明とは、
「A 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
B 前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
C 表示結果が導出される前に、再遊技の付与を伴う再遊技入賞と、遊技に使用可能な遊技用価値の付与を伴う小役入賞と、を含む複数種類の入賞について発生を許容するか否かを決定する事前決定手段と、
D 遊技者が表示結果を導出させるために操作する導出操作手段と、
E 前記表示結果を導出する制御を行う導出制御手段と、
F 第1の遊技状態に制御する第1遊技状態制御手段と、
G 前記第1の遊技状態とは異なる第2の遊技状態に制御する第2遊技状態制御手段と、
H 前記第1の遊技状態及び前記第2の遊技状態よりも遊技者にとって有利な遊技状態である第3の遊技状態に制御する第3遊技状態制御手段と、
I 前記第1の遊技状態において必ずしも成立するとは限らない第1の移行条件が成立したときに前記第2の遊技状態に移行させる第2遊技状態移行手段と、
J 前記第2の遊技状態において必ずしも成立するとは限らない第2の移行条件が成立したことを条件に前記第3の遊技状態へ移行させる第3遊技状態移行手段と、
を備え、
K 前記第1の遊技状態から前記第3の遊技状態に直接移行させることがなく、前記第1の遊技状態から前記第3の遊技状態への移行は、必ず前記第2の遊技状態を介在し、
L’ 前記導出制御手段は、小役入賞以外の操作態様で操作されたときに再遊技の付与も前記遊技用価値の付与も伴わない特定の非入賞表示結果を導出させる制御を行い、
M 前記第1の移行条件は、前記特定の非入賞表示結果の導出であり、
N’ 小役入賞の操作態様を報知可能であるスロットマシン。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点1’]
導出制御手段に関して、本件発明は、「前記事前決定手段の決定結果が第1の小役入賞及び第2の小役入賞のいずれの発生も許容する特定結果である場合において、第1の操作態様で前記導出操作手段が操作されたときに前記第1の小役入賞が発生する入賞表示結果を導出させる制御を行い、第2の操作態様で前記導出操作手段が操作されたときに前記第2の小役入賞が発生する入賞表示結果を導出させる制御を行い、前記第1の操作態様でも第2の操作態様でもない操作態様で前記導出操作手段が操作されたときに前記再遊技の付与も前記遊技用価値の付与も伴わない特定の非入賞表示結果を導出させる制御を行い」(構成L)、「前記第1の小役入賞により付与される遊技用価値の数は、前記第2の小役入賞により付与される遊技用価値の数よりも多く、前記事前決定手段の決定結果が前記第1の小役入賞及び第2の小役入賞のいずれの発生も許容する特定結果である場合において前記第1の操作態様を報知可能である」(構成N)のに対して、甲10発明は、そのように特定されていない点。
上記相違点1’は、上記5-1(3)の相違点2と同様のものであるから、上記5-1(3)で検討したとおり、本件発明は、甲10発明、甲第3号証記載の事項、甲第4号証記載の事項、甲第4号証乃至甲第6号証に記載された周知技術及び甲第7号証乃至甲第9号証に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
6 むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立の理由(異議理由1、異議理由2)及び提出された証拠によっては、請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2017-700086