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特許拒絶査定不服審判

2017-018930

エンドキッカー設備付帯のアップカットシャー設備

審判番号
2017-018930
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2014-194730外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2017年12月21日
審決日
2019年01月07日
公報発行日
2019年04月26日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (B23D) / P18 .561-Z (B23D) / P18 .575-Z (B23D)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第29条
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2014-194730「エンドキッカー設備付帯のアップカットシャー設備」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 4月28日出願公開、特開2016- 64464〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1.手続の経緯 本願は、平成26年9月25日を出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 平成29年 3月24日付け:拒絶理由通知書 同年 5月17日  :意見書、手続補正書の提出 同年10月 2日付け:拒絶査定 同年12月21日  :審判請求書と同時に手続補正書の提出 平成30年 7月11日  :上申書の提出 第2.平成29年12月21日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成29年12月21日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1.補正事項 本件補正は、特許請求の範囲の請求項1について、補正前(平成29年5月17日提出の手続補正書)の請求項1に、 (1)「【請求項1】 被切断材のパスラインよりも上方に固定配置されたアップカットシャー上刃及び前記パスラインよりも下方に配置されたアップカットシャー下刃を具備した単独のアップカットシャー設備に、 該アップカットシャー設備にてカットにより発生したカット屑を一端が上昇する昇降テーブルにてスクラップバックに投下するエンドキッカー設備を前記アップカットシャーの上流側に付帯させ、該昇降テーブルは、表面にクロムめっきを施した小ロールを複数具備し、 該アップカットシャー設備の下流側にカット屑が経由するシュートを設け、該シュートの表面に小ロールを複数具備することを特徴とする、エンドキッカー設備付帯のアップカットシャー設備。」 とあったものを、 (2)「【請求項1】 被切断材のパスラインよりも上方に固定配置されたアップカットシャー上刃及び前記パスラインよりも下方に配置されたアップカットシャー下刃を具備した単独のアップカットシャー設備に、 該アップカットシャー設備にてカットにより発生したカット屑を一端が上昇する昇降テーブルにてスクラップバックに投下するエンドキッカー設備を前記アップカットシャーの上流側に付帯させ、該昇降テーブルは、表面にクロムめっきを施して摺動性を向上させた小ロールを複数具備し、 該アップカットシャー設備の下流側にカット屑が経由するシュートを設け、該シュートの表面に小ロールを複数具備することを特徴とする、エンドキッカー設備付帯のアップカットシャー設備。」 と補正するものである(下線は補正箇所を示すために請求人が付したものである。)。 2.新規事項 本件補正によって請求項1に追加された「摺動性を向上させた」との事項について、請求人は、平成30年7月11日に提出の上申書において、「クロムめっきを施すことにより得られる効果の1つに、摩擦係数が小さいという特性があることは当業者に自明です。そのため、当業者であれば、出願時の技術常識に照らして、前記特性および前記記載(本願当初明細書の段落[0015]、[0016]等の記載)から『小ロール』について『表面にクロムめっきを施』すことで『摺動性を向上させ』るという事項は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項であり、新たな技術的事項を導入しないものです。」旨の主張をしている。 そこで、当該主張を前提として検討する。 本願明細書の段落【0015】に「そして、図4(図3に示すA方向から見た図)に示す昇降テーブル72の表面には、スクラップバックに投下するカット屑との間の摩擦によるカット屑詰まり防止のため、小ロール73を複数個設置し、摺動性を向上させている。」と記載され、それとは別に、並列的に、段落【0016】に「小ロール73には、クロムめっきを施したクロムメッキロールが好適であるが、これに限られるものでない。例えば、無電解ニッケルメッキロール、フッ素潤滑メッキロールといったものでも良い。」と記載されている。 そこで、これらの記載について検討すると、段落【0015】の記載からみて、「小ロール」そのものを設置することが、昇降テーブル72の「摺動性を向上させ」ることであると理解できるが、他方、段落【0016】には、「摺動性を向上させ」ることに関する記載がなく、同段落に記載された「クロムめっきを施」すことが「摺動性を向上させ」ることと関連する事項であるとは認められない。 そうすると、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)には、「小ロール」について、「表面にクロムめっきを施」すことで「摺動性を向上させ」る旨の記載及び示唆はないと認められるから、請求項1の上記事項は、当初明細書等に記載されておらず、しかも、当初明細書等に記載された事項から自明でもない。 よって、本件補正は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないということができないから、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではない。 したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に適合しない。 3.独立特許要件 本件補正は、上記2.で説示したように、補正の要件を満たしていないと認められるものであるが、一応、本件補正が、特許法第17条の2第3項の規定に適合するとした場合についても予備的に検討する。 本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「小ロール」について、「摺動性を向上させた」との限定を付加するものであり、かつ、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、特許法17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下、「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)否かについて検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、上記1.(2)に記載したとおりのものである。 (2)引用文献1の記載事項 ア.原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開平9-76115号公報(平成9年3月25日出願公開。以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある(下線は当審で付した。)。 (ア)「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、金属板の搬送装置の改善に関し、より詳しくは、切断設備によって切断された圧延鋼板の端板をスクラップバッグ等に容易に落下させることを可能ならしめるようにした端板排出機構を備えた金属板の搬送装置に係る技術分野に属するものである。」 (イ)「【0010】 【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、従って本発明の請求項1に係る金属板の搬送装置が採用した手段の特徴とするところは、通板テーブルを備えた端板排出機構を有する金属板の搬送装置において、前記通板テーブルのパスライン側に、通板方向と直交する向きの水平な軸心回りに自由回転する複数のディスクローラを設け、前記通板テーブルを、該通板テーブルの出側を剪断設備の下刃を超える高さに上げ得る長さの短リンクと、入側を出側よりも高く上げ得る長さの長リンクとを備えたリンク機構で支持すると共に、前記通板テーブルを上下方向に作動させるテーブル作動装置を設けたことを特徴とする。」 (ウ)「【0012】 【発明の実施の形態】本発明は、切断装置の金属板の入側に設けられる通板テーブルを、金属板の端部切断時における水平状態から、通板テーブルの金属板の出側(切断装置側)が切断装置の下刃を超える高さになるようにし、金属板の入側が出側よりもさらに高くなるよう傾斜させる構成にすると共に、切断で生じる端板の滑落を容易にする手段を講じれば、通板テーブルから滑落する端板が切断設備の下刃を超えて落下すると考えてなしたものである。 【0013】即ち、金属板の端部切断時における水平状態にある通板テーブルを、この通板テーブルの金属板の入側が長く、切断装置側が短いリンクを介して支持して、この通板テーブルを上方に上げるテーブル作動装置を設ければ、このテーブル作動装置の作動により通板テーブルの切断装置側が少なくとも切断装置の下刃を超える高さになり、金属板の入側がさらに高くなるように、この通板テーブルを傾斜させることができる。そして、この通板テーブルの金属板のパスライン側に複数のディスクローラを設ければ、摩擦抵抗の減少により端板が滑落し易くなり、滑落時の勢いにより端板は確実に切断設備の下刃を超えてスクラックバッグに落下することになる。」 (エ)「【0015】図1または図3に示す符号1は、圧延されて搬送されてくる鋼板の端部を切断する上刃1aと下刃1bとを有する切断設備(シャー)である。この切断設備1の鋼板の入側には後述する構成になる通板テーブル3を有する端板排出機構2が配設されている。この端板排出機構2の通板テーブル3の鋼板のパスラインPL側には、図2(a)と図2(b)とに示すように、右側向きの矢印で示す鋼板の搬送方向に沿い、かつその長手方向に所定の間隔で交互に相反する方向に突出する、鋼板の搬送方向と直交する向きのローラ支持軸3bを支持してなる軸支持部材3aがボルト、ナット等の機械的手段で固着されている。これら各ローラ支持軸3bの突出端には、図2(b)に示すように、円板状のディスクローラ3cが外嵌されている。」 (オ)「【0020】 以下、上記構成になる鋼板の搬送装置の端板排出機構2の作用態様を説明すると、圧延されて搬送されてくる鋼板が、水平状態にある通板テーブル3上を通過すると共に、切断設備1を通過し、鋼板の使用し得ない端部が通板テーブル3上にあるとき、この鋼板が切断設備1の上刃1aと下刃1bとによって切断され、端部の切断によって生じる端板sがディスクローラ3cにより支えられた状態で通板テーブル3の上に残される。 【0021】そこで、トラニオン型エヤシリンダ5のボトム側に圧縮空気を供給してそのロッドを伸長させると、ロッドに押し上げられて通板テーブル3が上方に移動するが、この通板テーブル3は短リンク4aと長リンク4bとからなるリンク機構4により支持されているため、図3において2点鎖線で示すように、この通板テーブル3の鋼板の出側が切断装置1の下刃1bを超える高さになる一方、鋼板の入側がさらに高くなるように傾斜する。 【0022】従って、通板テーブル3の上に残されている端板sはディスクローラ3cの回転により容易に通板テーブル3から滑落し、従来例2のように人手により端板を切断装置1の鋼板の出側に移動させるまでもなく、また従来例3のように端板が切断装置1の下刃1bに当接するようなこともなく、下刃1bの刃先を超えて、切断装置1の鋼板の出側の下方に配設されているスクラップバッグ6の中に落下することになる。」 イ.上記記載及び図面から、引用文献1には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。 (ア)段落【0020】の「この鋼板が切断設備1の上刃1aと下刃1bとによって切断され、」との記載、及び【図1】の上刃1aと下刃1bの実線の記載及び、下刃1bの二点鎖線の記載から、上刃1aはパスラインPLよりも上方に固定配置されること、及び、切断設備1は、単独で配置され、鋼板の切断時にパスラインPLよりも下方に配置された下刃1bが上昇するものであることが理解できる。 (イ)段落【0020】の「端板排出機構2の作用態様を説明すると、圧延されて搬送されてくる鋼板が、水平状態にある通板テーブル3上を通過すると共に、切断設備1を通過し、鋼板の使用し得ない端部が通板テーブル3上にあるとき、この鋼板が切断設備1の上刃1aと下刃1bとによって切断され、」との記載、及び、【図1】の記載から、切断設備1は端板排出機構2を上刃1aと下刃1bの上流側に付帯していることが理解できる。 (ウ)段落【0022】の「通板テーブル3の上に残されている端板sはディスクローラ3cの回転により容易に通板テーブル3から滑落し、」との記載、並びに【図2】(a)及び(b)の記載から、通板テーブル3は、端板sの滑落を容易にするためのディスクローラ3cを複数具備することが理解できる。 ウ.上記ア.及びイ.から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「鋼板のパスラインPLよりも上方に固定配置された上刃1a及び前記パスラインPLよりも下方に配置された下刃1bを具備した単独の切断設備1に、 該切断設備1にて切断によって生じた端板sを鋼板の入側がさらに高くなる通板テーブル3にてスクラップバッグ6に落下させる端板排出機構2を前記上刃1aと下刃1bの上流側に付帯させ、該通板テーブル3は、端板sの滑落を容易にするためのディスクローラ3cを複数具備した端板排出機構2付帯の切断設備1。」 (3)引用発明との対比 ア.本件補正発明と引用発明とを対比する。 (ア)引用発明の「切断設備1」は、上記(2)イ.(ア)で認定したように、鋼板の切断時にパスラインPLよりも下方に配置された下刃1bが上昇するものであるから、本件補正発明の「アップカットシャー設備」に相当し、以下同様に、「上刃1a」は「アップカットシャー上刃」に、「下刃1b」は「アップカットシャー下刃」に、それぞれ相当する。 (イ)引用発明の「鋼板」は、本件補正発明の「被切断材」に相当し、以下同様に、「パスラインPL」は「パスライン」に、「端板s」は「カット屑」に、「通板テーブル3」は「昇降テーブル」に、「端板排出機構2」は「エンドキッカー設備」に、「スクラップバッグ6」は「スクラップバック」に、「ディスクローラ3c」は「小ロール」に、それぞれ相当する。 (ウ)前述のように引用発明の「端板s」は本件補正発明の「カット屑」に相当するから、引用発明の「切断によって生じた端板s」は、本件補正発明の「カットにより発生したカット屑」に相当する。 (エ)前述のように引用発明の「通板テーブル3」は本件補正発明の「昇降テーブル」に相当するから、引用発明の「鋼板の入側がさらに高くなる通板テーブル3」は、本件補正発明の「一端が上昇する昇降テーブル」に相当する。 (オ)前述のように引用発明の「スクラップバッグ6」は本件補正発明の「スクラップバック」に相当するから、引用発明の「スクラップバッグ6に落下させる」ことは、本件補正発明の「スクラップバックに投下する」ことに相当する。 (カ)前述のように引用発明の「端板排出機構2」は本件補正発明の「エンドキッカー設備」に相当するから、引用発明の「端板排出機構2を前記上刃1aと下刃1bの上流側に付帯させ」ることは、本件補正発明の「エンドキッカー設備を前記アップカットシャーの上流側に付帯させ」ることに相当する。 (キ)前述のように引用発明の「ディスクローラ3c」及び「端板s」は、本件補正発明の「小ロール」及び「カット屑」に相当し、本件補正発明の「小ロール」を設けることにより、カット屑の摺動を向上するもの、すなわち、端板sの滑落を容易にするものであるから、引用発明の「端板sの滑落を容易にするためのディスクローラ3c」は、本件補正発明の「摺動性を向上させた小ロール」に相当する。 イ.以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 【一致点】 「被切断材のパスラインよりも上方に固定配置されたアップカットシャー上刃及び前記パスラインよりも下方に配置されたアップカットシャー下刃を具備した単独のアップカットシャー設備に、 該アップカットシャー設備にてカットにより発生したカット屑を一端が上昇する昇降テーブルにてスクラップバックに投下するエンドキッカー設備を前記アップカットシャーの上流側に付帯させ、該昇降テーブルは、摺動性を向上させた小ロールを複数具備したエンドキッカー設備付帯のアップカットシャー設備。」 【相違点1】 本件補正発明は、「小ロール」の「表面にクロムめっきを施して摺動性を向上させた」ものであるのに対し、引用発明においては、「ディスクローラ3c」の材質が不明である点。 【相違点2】 本件補正発明は、「アップカットシャー設備の下流側にカット屑が経由するシュートを設け、該シュートの表面に小ロールを複数具備する」のに対し、引用発明は、かかる構成が明らかでない点。 (4)判断 以下、相違点について検討する。 ア.相違点1について 搬送装置を構成するローラの表面にクロムめっきを施すことは周知の技術事項(例えば、特開平7-16636号公報(以下、「引用文献2」という。)の段落【0007】、特開平1-154809号公報(以下、「引用文献3」という。)の第1ページ左欄の(産業上の利用分野)参照。)にすぎない。 引用発明においては、「ディスクローラ3c」の材質について、何ら示されていない。 しかしながら、引用文献1に接した当業者が、引用発明を実施しようとすれば、何らかの材質で「ディスクローラ3c」で製作することになるところ、当該技術分野で知られているローラから、例えば、引用文献2及び引用文献3に示されたような周知のローラを用いることに困難性は認められない。 また、本件補正発明がクロムめっきを施す目的は、本願明細書を参酌しても明らかであるとはいえないが、請求人が平成30年7月11日に提出の上申書において主張するように「クロムめっきを施すことにより得られる効果の1つに、摩擦係数が小さいという特性がある」ということであれば、クロムめっきを施せば、当然の結果として、摺動性も向上するものである。 そうすると、引用文献1の上記(2)ア.(ウ)に摘記した段落【0013】に記載されているように、引用発明の実施にあたってのローラの選択において、摩擦抵抗の減少を意識してローラを選択することは当業者であれば十分に認識しうる事項であると認められる。 したがって、引用発明に上記の周知の技術事項を適用して、相違点1に係る本件補正発明の特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 イ.相違点2について アップカットシャー設備の下流側にカット屑が経由するシュートを設けることは周知の技術事項(例えば、実願昭53-142224号(実開昭55-60917号)のマイクロフィルムのクロップシュート28、実願昭58-72016号(実開昭59-176719号)のマイクロフィルムの端板排出用シユート9参照。)であり、また、シュートの表面に小ロールを複数具備することも 周知の技術事項(例えば、特開昭51-69280号公報のローラ4を有する斜行シユート5、特開平6-206117号公報のローラ列のシュート53参照。)である。 引用発明及び上記周知の技術事項は鋼板の切断装置という共通の技術分野に属するものであるから、引用発明に上記周知の技術事項を適用して、相違点2に係る本件補正発明の特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 ウ.そして、これらの相違点1及び2を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明及び上記周知の技術事項の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。 エ.したがって、本件補正発明は、引用発明及び上記周知の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 4.まとめ 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に適合しておらず、仮に適合するとしても、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合しないので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3.本願発明について 1.本願発明 平成29年12月21日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成29年5月17日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記第2.[理由]1.(1)に記載のとおりのものである。 2.原査定の拒絶の理由 本願発明は、願書に最初に添付した特許請求の範囲の請求項2を補正したものであり、原査定の拒絶の理由は、願書に最初に添付した特許請求の範囲の請求項2に係る発明は、本願の出願日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明及び周知の技術事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 引用文献1:特開平9-76115号公報 3.引用文献1 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1及びそれらの記載事項は、前記第2.の[理由]3.(2)に記載したとおりである。 4.対比・判断 本願発明は、前記第2.の[理由]3.で検討した本件補正発明から、「小ロール」に係る限定事項を削除したものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]3.(3)、(4)に記載したとおり、引用発明及び周知の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び周知の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 5 請求人のその他の主張について 請求人は、平成30年7月11日に提出の上申書において、「上記した本願発明の「アップカットシャー設備の省スペース化」に関する目的(課題)、課題解決方法および効果について一切開示や示唆がありません。」旨の主張をしている。 確かに、引用文献1は、切断設備1が単独で用いることが図示されているものの、この切断設備1の下流側に鋼板の先端部を切断するための切断設備が設置されるかもしれない。 しかしながら、図示された切断設備1により鋼板の先端部を切断できることは、当業者にとって技術的に自明な事項であって、切断設備1の下流側に鋼板の先端部を切断するための切断設備をわざわざ別途設置するものと当業者が当然に認識するものとはいえない。 そうすると、引用発明は単独で用いて省スペース化を達成し得るものであるから、請求人の当該主張を採用することはできない。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2017-018930

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