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特許拒絶査定不服審判

2017-018378

通信システム、通信装置、鍵管理装置、及び通信方法

審判番号
2017-018378
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2014-142508外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2017年12月11日
審決日
2018年10月18日
公報発行日
2019年01月25日
結論
請求不成立
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (H04L) / P18 .575-Z (H04L)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項、特許法第164条第3項、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第5項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2014-142508「通信システム,通信装置,鍵管理装置,及び通信方法」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 2月 1日出願公開,特開2016- 19233〕について,次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は,成り立たない。

理由

【理 由】 第1.手続の経緯 本願は,平成26年7月10日の出願であって, 平成28年2月5日付けで審査請求がなされ,平成29年2月28日付けで審査官により拒絶理由が通知され,これに対して平成29年5月2日付けで意見書が提出されると共に手続補正がなされたが,平成29年10月18日付けで審査官により拒絶査定がなされ,これに対して平成29年12月11日付けで審判請求がなされると共に手続補正がなされ,平成30年1月11日付けで審査官により特許法第164条第3項の規定に基づく報告がなされたものである。 第2.平成29年12月11日付けの手続補正の却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成29年12月11日付け手続補正を却下する。 [理由] 1.補正の内容 平成29年12月11日付けの手続補正(以下,「本件手続補正」という)により,平成29年5月2日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲, 「 【請求項1】 第1の暗号鍵を備えた第1の通信装置,第2の暗号鍵を備えた第2の通信装置,及び前記第1の暗号鍵と前記第2の暗号鍵とを備えた鍵管理装置を備える通信システムであって, 前記第2の通信装置は, 乱数を生成する乱数生成部と, 前記乱数に基づき,前記第2の暗号鍵及び前記乱数が類推困難なセッション鍵を生成する第1のセッション鍵生成部と, 前記セッション鍵を用いて,所定のデータを暗号化して暗号データを生成し,前記第2の暗号鍵を用いて前記乱数を暗号化して鍵情報データを生成する第1の暗号化処理部と, 前記鍵情報データ,前記第2の通信装置の識別情報,及び前記暗号データを前記第1の通信装置に送信する第1の通信部と,を備え, 前記第1の通信装置は, 前記第2の通信装置から,前記鍵情報データ,前記第2の通信装置の識別情報,及び前記暗号データを受信し,前記鍵管理装置へ,受信された前記鍵情報データと前記第2の通信装置の識別情報とを送信する第2の通信部と, 備え, 前記鍵管理装置は, 前記第1の通信装置から,前記鍵情報データ及び前記第2の通信装置の識別情報を受信する第3の通信部と, 前記第2の通信装置の識別情報に対応する前記第2の暗号鍵を用いて,前記鍵情報データを復号して前記乱数を取得する暗号復号処理部と, 前記暗号復号処理部により復号された前記乱数に基づく前記セッション鍵を生成する第2のセッション鍵生成部と, を備え, 前記暗号復号処理部は,前記第2のセッション鍵生成部により生成された前記セッション鍵を,前記第1の暗号鍵を用いて暗号化して,セッション鍵情報データを生成し, 前記第3の通信部は,前記暗号復号処理部により生成された前記セッション鍵情報データを前記第1の通信装置に送信し, 前記第1の通信装置は,前記鍵管理装置から,前記第2の通信部により前記セッション鍵情報データを受信し,前記第1の暗号鍵を用いて,受信された前記セッション鍵情報データから前記セッション鍵を復号し,復号された前記セッション鍵を用いて,前記暗号データを復号し,前記所定のデータを得る復号処理部を備える,通信システム。 【請求項2】 請求項1に記載の通信システムであって, 前記第1のセッション鍵生成部及び前記第2のセッション鍵生成部は,一方向性関数を用いて前記乱数から前記セッション鍵を生成する,通信システム。 【請求項3】 請求項1または2に記載の通信システムであって, 前記第1の通信部及び前記第2の通信部は,相互に近距離無線通信する,通信システム。 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の通信システムであって, 前記鍵管理装置は,前記第1の通信装置の識別情報を用いて,前記第1の通信装置を認証し,前記第1の通信装置に通知する第1の認証部を備え, 前記第1の通信装置は,前記第1の認証部との通信を行う第2の認証部を備え, 前記第2の認証部は,前記第1の通信装置の識別情報を前記鍵管理装置へ送信し,前記第1の認証部により前記第1の通信装置が正当な端末であることが認証された場合には,前記第2の通信部を用いて,前記鍵情報データと前記第2の通信装置の識別情報とを送信し,前記認証が失敗した場合には,前記鍵情報データと前記第2の通信装置の識別情報とを送信せずに動作を終了する,通信システム。 【請求項5】 請求項4に記載の通信システムであって, 前記第1の認証部は,前記第1の通信装置が正当な端末であることが認証された場合には,前記暗号復号処理部に対して処理の実行を許可し,前記第1の通信装置の識別情報を前記暗号復号処理部に通知し, 前記暗号復号処理部は,前記第1の認証部による許可を受けて,前記第2の通信装置の識別情報に対応する前記第2の暗号鍵を用いて,前記鍵情報データを復号して前記乱数を取得し,復号された前記乱数に基づいて前記第2のセッション鍵生成部により生成された前記セッション鍵を,前記第1の暗号鍵を用いて暗号化して,前記セッション鍵情報データを生成し, 前記第3の通信部は,前記第1の認証部により前記第1の通信装置が正当な端末であることが認証された場合には,前記セッション鍵情報データを前記第1の通信装置に送信する,通信システム。 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の通信システムであって, 前記第1の通信装置及び前記第2の通信装置は,通信端末であり, 前記第2の通信装置は,データ提供サーバから前記所定のデータを取得するデータ取得部を備える,通信システム。 【請求項7】 第1の暗号鍵を備え,所定のデータを他の通信装置に提供する通信装置であって, 乱数を生成する乱数生成部と, 前記乱数に基づき,前記他の通信装置が備える第2の暗号鍵及び前記乱数が類推困難なセッション鍵を生成するセッション鍵生成部と, 前記セッション鍵を用いて,所定のデータを暗号化して暗号データを生成し,前記第1の暗号鍵を用いて前記乱数を暗号化して鍵情報データを生成する暗号化処理部と, 前記鍵情報データ,当該通信装置の識別情報,及び前記暗号データを前記他の通信装置に送信する通信部と, を備える通信装置。 【請求項8】 第2の暗号鍵を備える他の通信装置から所定のデータを提供され,第1の暗号鍵を備える通信装置であって, 前記他の通信装置から,前記第2の暗号鍵を用いて乱数が暗号化された鍵情報データと,前記他の通信装置の識別情報と,前記乱数に基づき前記第2の暗号鍵及び前記乱数が類推困難なセッション鍵を用いて前記所定のデータが暗号化された暗号データと,を受信し,鍵管理装置へ,前記受信された鍵情報データ及び前記他の通信装置の識別情報を送信し,前記鍵管理装置から,前記第1の暗号鍵を用いて前記セッション鍵が暗号化されたセッション鍵情報データを受信する通信部と, 前記第1の暗号鍵を用いて,受信された前記セッション鍵情報データから前記セッション鍵を復号し,復号された前記セッション鍵を用いて,前記暗号データを復号し,前記所定のデータを得る復号処理部と, を備える通信装置。 【請求項9】 第2の暗号鍵を備えた第2の通信装置から所定のデータを提供され,第1の暗号鍵を備える第1の通信装置にネットワークを介して接続され,前記第1の暗号鍵と前記第2の暗号鍵とを備えた鍵管理装置であって, 前記第1の通信装置から,前記第2の暗号鍵を用いて乱数が暗号化された鍵情報データと,第2の通信装置の識別情報と,を受信する通信部と, 前記第2の通信装置の識別情報に対応する前記第2の暗号鍵を用いて,前記鍵情報データを復号して前記乱数を取得する暗号復号処理部と, 前記暗号復号処理部により復号された前記乱数に基づき,前記第2の暗号鍵及び前記乱数が類推困難なセッション鍵を生成するセッション鍵生成部と, を備え, 前記暗号復号処理部は,前記セッション鍵生成部により生成された前記セッション鍵を,前記第1の暗号鍵を用いて暗号化して,セッション鍵情報データを生成し, 前記通信部は,前記暗号復号処理部により生成された前記セッション鍵情報データを前記第1の通信装置に送信する,鍵管理装置。 【請求項10】 第1の暗号鍵を備えた第1の通信装置,第2の暗号鍵を備えた第2の通信装置,及び前記第1の暗号鍵と前記第2の暗号鍵とを備えた鍵管理装置を備える通信システムにおける通信方法であって, 前記第2の通信装置において,乱数を生成するステップと, 前記乱数に基づき,前記第2の暗号鍵及び前記乱数が類推困難なセッション鍵を生成するステップと, 前記第2の通信装置において,前記セッション鍵を用いて,所定のデータを暗号化して暗号データを生成するステップと, 前記第2の通信装置において,前記第2の暗号鍵を用いて,前記乱数を暗号化して鍵情報データを生成するステップと, 前記第2の通信装置において,前記鍵情報データ,前記第2の通信装置の識別情報,及び前記暗号データを,前記第1の通信装置に送信するステップと, 前記第1の通信装置において,前記第2の通信装置から,前記鍵情報データ,前記第2の通信装置の識別情報,及び前記暗号データを受信するステップと, 前記第1の通信装置において,前記鍵情報データと前記第2の通信装置の識別情報とを,前記鍵管理装置へ送信するステップと, 前記鍵管理装置において,前記第1の通信装置から,前記鍵情報データ及び前記第2の通信装置の識別情報を受信するステップと, 前記鍵管理装置において,前記第2の通信装置の識別情報に対応する前記第2の暗号鍵を用いて,前記鍵情報データを復号して前記乱数を取得するステップと, 前記鍵管理装置において,前記復号された前記乱数に基づく前記セッション鍵を生成するステップと, 前記鍵管理装置において,前記生成された前記セッション鍵を,前記第1の暗号鍵を用いて暗号化して,セッション鍵情報データを生成するステップと, 前記鍵管理装置において,前記暗号化されたセッション鍵情報データを,前記第1の通信装置に送信するステップと, 前記第1の通信装置において,前記鍵管理装置から前記セッション鍵情報データを受信するステップと, 前記第1の通信装置において,前記第1の暗号鍵を用いて,受信された前記セッション鍵情報データから前記セッション鍵を復号するステップと, 前記第1の通信装置において,復号された前記セッション鍵を用いて,前記暗号データを復号し,前記所定のデータを得るステップと, を備える,通信方法。」(以下,上記引用の請求項各項を,「補正前の請求項」という)は, 「 【請求項1】 第1の暗号鍵を備えた第1の通信装置,第2の暗号鍵を備えた第2の通信装置,及び前記第1の暗号鍵と前記第2の暗号鍵とを備えた鍵管理装置を備える通信システムであって, 前記第2の通信装置は, 乱数を生成する乱数生成部と, 前記乱数に基づき,前記第2の暗号鍵及び前記乱数が類推困難であって,前記第2の通信装置が保持する所定のデータの暗号化に供するためのセッション鍵を生成する第1のセッション鍵生成部と, 前記セッション鍵を用いて前記所定のデータを暗号化して暗号データを生成し,前記第2の暗号鍵を用いて前記乱数を暗号化して鍵情報データを生成する第1の暗号化処理部と, 前記鍵情報データ,前記第2の通信装置の識別情報,及び前記暗号データを前記第1の通信装置に送信する第1の通信部と,を備え, 前記第1の通信装置は, 前記第2の通信装置から,前記鍵情報データ,前記第2の通信装置の識別情報,及び前記暗号データを受信し,前記鍵管理装置へ,受信された前記鍵情報データと前記第2の通信装置の識別情報とを送信する第2の通信部と,を備え, 前記鍵管理装置は, 前記第1の通信装置から,前記鍵情報データ及び前記第2の通信装置の識別情報を受信する第3の通信部と, 前記第2の通信装置の識別情報に対応する前記第2の暗号鍵を用いて,前記鍵情報データを復号して前記乱数を取得する暗号復号処理部と, 前記暗号復号処理部により復号された前記乱数に基づく前記セッション鍵を生成する第2のセッション鍵生成部と,を備え, 前記暗号復号処理部は,前記第2のセッション鍵生成部により生成された前記セッション鍵を,前記第1の暗号鍵を用いて暗号化して,セッション鍵情報データを生成し, 前記第3の通信部は,前記暗号復号処理部により生成された前記セッション鍵情報データを前記第1の通信装置に送信し, 前記第1の通信装置は,前記鍵管理装置から,前記第2の通信部により前記セッション鍵情報データを受信し,前記第1の暗号鍵を用いて,受信された前記セッション鍵情報データから前記セッション鍵を復号し,復号された前記セッション鍵を用いて前記暗号データを復号し,前記所定のデータを得る復号処理部を備える, 通信システム。 【請求項2】 請求項1に記載の通信システムであって, 前記第1のセッション鍵生成部及び前記第2のセッション鍵生成部は,一方向性関数を用いて前記乱数から前記セッション鍵を生成する,通信システム。 【請求項3】 請求項1または2に記載の通信システムであって, 前記第1の通信部及び前記第2の通信部は,相互に近距離無線通信する,通信システム。 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の通信システムであって, 前記鍵管理装置は,前記第1の通信装置の識別情報を用いて,前記第1の通信装置を認証し,前記第1の通信装置に通知する第1の認証部を備え, 前記第1の通信装置は,前記第1の認証部との通信を行う第2の認証部を備え, 前記第2の認証部は,前記第1の通信装置の識別情報を前記鍵管理装置へ送信し,前記第1の認証部により前記第1の通信装置が正当な端末であることが認証された場合には,前記第2の通信部を用いて,前記鍵情報データと前記第2の通信装置の識別情報とを送信し,前記認証が失敗した場合には,前記鍵情報データと前記第2の通信装置の識別情報とを送信せずに動作を終了する,通信システム。 【請求項5】 請求項4に記載の通信システムであって, 前記第1の認証部は,前記第1の通信装置が正当な端末であることが認証された場合には,前記暗号復号処理部に対して処理の実行を許可し,前記第1の通信装置の識別情報を前記暗号復号処理部に通知し, 前記暗号復号処理部は,前記第1の認証部による許可を受けて,前記第2の通信装置の識別情報に対応する前記第2の暗号鍵を用いて,前記鍵情報データを復号して前記乱数を取得し,復号された前記乱数に基づいて前記第2のセッション鍵生成部により生成された前記セッション鍵を,前記第1の暗号鍵を用いて暗号化して,前記セッション鍵情報データを生成し, 前記第3の通信部は,前記第1の認証部により前記第1の通信装置が正当な端末であることが認証された場合には,前記セッション鍵情報データを前記第1の通信装置に送信する,通信システム。 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の通信システムであって, 前記第1の通信装置及び前記第2の通信装置は,通信端末であり, 前記第2の通信装置は,データ提供サーバから前記所定のデータを取得するデータ取得部を備える,通信システム。 【請求項7】 第1の暗号鍵を備え,所定のデータを他の通信装置に提供する通信装置であって, 乱数を生成する乱数生成部と, 前記乱数に基づき,前記他の通信装置が備える第2の暗号鍵及び前記乱数が類推困難であって,当該通信装置が保持する前記所定のデータの暗号化に供するためのセッション鍵を生成するセッション鍵生成部と, 前記セッション鍵を用いて前記所定のデータを暗号化して暗号データを生成し,前記第1の暗号鍵を用いて前記乱数を暗号化して鍵情報データを生成する暗号化処理部と, 前記鍵情報データ,当該通信装置の識別情報,及び前記暗号データを前記他の通信装置に送信する通信部と,を備える, 通信装置。 【請求項8】 第2の暗号鍵を備える他の通信装置から所定のデータを提供され,第1の暗号鍵を備える通信装置であって, 前記他の通信装置から,前記第2の暗号鍵を用いて乱数が暗号化された鍵情報データと,前記他の通信装置の識別情報と,前記乱数に基づき,前記第2の暗号鍵及び前記乱数が類推困難であって,前記他の通信装置が保持する前記所定のデータの暗号化に供するためのセッション鍵を用いて前記所定のデータが暗号化された暗号データと,を受信し,鍵管理装置へ,前記受信された鍵情報データ及び前記他の通信装置の識別情報を送信し,前記鍵管理装置から,前記第1の暗号鍵を用いて前記セッション鍵が暗号化されたセッション鍵情報データを受信する通信部と, 前記第1の暗号鍵を用いて,受信された前記セッション鍵情報データから前記セッション鍵を復号し,復号された前記セッション鍵を用いて前記暗号データを復号し,前記所定のデータを得る復号処理部と,を備える, 通信装置。 【請求項9】 第2の暗号鍵を備えた第2の通信装置から所定のデータを提供され,第1の暗号鍵を備える第1の通信装置にネットワークを介して接続され,前記第1の暗号鍵と前記第2の暗号鍵とを備えた鍵管理装置であって, 前記第1の通信装置から,前記第2の暗号鍵を用いて乱数が暗号化された鍵情報データと,第2の通信装置の識別情報と,を受信する通信部と, 前記第2の通信装置の識別情報に対応する前記第2の暗号鍵を用いて,前記鍵情報データを復号して前記乱数を取得する暗号復号処理部と, 前記暗号復号処理部により復号された前記乱数に基づき,前記第2の暗号鍵及び前記乱数が類推困難であって,前記第2の通信装置が保持する前記所定のデータの暗号化に供するためのセッション鍵を生成するセッション鍵生成部と,を備え, 前記暗号復号処理部は,前記セッション鍵生成部により生成された前記セッション鍵を,前記第1の暗号鍵を用いて暗号化して,セッション鍵情報データを生成し, 前記通信部は,前記暗号復号処理部により生成された前記セッション鍵情報データを前記第1の通信装置に送信する, 鍵管理装置。 【請求項10】 第1の暗号鍵を備えた第1の通信装置,第2の暗号鍵を備えた第2の通信装置,及び前記第1の暗号鍵と前記第2の暗号鍵とを備えた鍵管理装置を備える通信システムにおける通信方法であって, 前記第2の通信装置において,乱数を生成するステップと, 前記乱数に基づき,前記第2の暗号鍵及び前記乱数が類推困難であって,前記第2の通信装置が保持する所定のデータの暗号化に供するためのセッション鍵を生成するステップと, 前記第2の通信装置において,前記セッション鍵を用いて,所定のデータを暗号化して暗号データを生成するステップと, 前記第2の通信装置において,前記第2の暗号鍵を用いて,前記乱数を暗号化して鍵情報データを生成するステップと, 前記第2の通信装置において,前記鍵情報データ,前記第2の通信装置の識別情報,及び前記暗号データを,前記第1の通信装置に送信するステップと, 前記第1の通信装置において,前記第2の通信装置から,前記鍵情報データ,前記第2の通信装置の識別情報,及び前記暗号データを受信するステップと, 前記第1の通信装置において,前記鍵情報データと前記第2の通信装置の識別情報とを,前記鍵管理装置へ送信するステップと, 前記鍵管理装置において,前記第1の通信装置から,前記鍵情報データ及び前記第2の通信装置の識別情報を受信するステップと, 前記鍵管理装置において,前記第2の通信装置の識別情報に対応する前記第2の暗号鍵を用いて,前記鍵情報データを復号して前記乱数を取得するステップと, 前記鍵管理装置において,前記復号された前記乱数に基づく前記セッション鍵を生成するステップと, 前記鍵管理装置において,前記生成された前記セッション鍵を,前記第1の暗号鍵を用いて暗号化して,セッション鍵情報データを生成するステップと, 前記鍵管理装置において,前記暗号化されたセッション鍵情報データを,前記第1の通信装置に送信するステップと, 前記第1の通信装置において,前記鍵管理装置から前記セッション鍵情報データを受信するステップと, 前記第1の通信装置において,前記第1の暗号鍵を用いて,受信された前記セッション鍵情報データから前記セッション鍵を復号するステップと, 前記第1の通信装置において,復号された前記セッション鍵を用いて,前記暗号データを復号し,前記所定のデータを得るステップと,を備える, 通信方法。」(以下,上記引用の請求項各項を,「補正後の請求項」という)に補正された。 2.補正の適否 本件手続補正は,補正前の請求項1,補正前の請求項7,補正前の請求項8,補正前の請求項9,及び,補正前の請求項10に記載の「セッション鍵」に,「第2の通信装置が保持する所定のデータの暗号化に供するための」という限定事項を付加するものであって,当該補正事項は,本願の願書に最初に添付された,明細書,特許請求の範囲,及び,図面に記載の範囲内でなされたものであって,「セッション鍵」に,限定事項を付加するものであるから,特許法第17条の2第3項,及び,特許法第17条の2第5項の規定を満たすものである。 そこで,本件手続補正が,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定を満たすものであるか否か,即ち,補正後の請求項に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か,以下に検討する。 (1)補正後の請求項1に記載の発明 補正後の請求項1に記載の発明(以下,これを「本件補正発明」という)は,上記「1.補正の内容」において,補正後の請求項1として引用した,次のとおりのものである。 「第1の暗号鍵を備えた第1の通信装置,第2の暗号鍵を備えた第2の通信装置,及び前記第1の暗号鍵と前記第2の暗号鍵とを備えた鍵管理装置を備える通信システムであって, 前記第2の通信装置は, 乱数を生成する乱数生成部と, 前記乱数に基づき,前記第2の暗号鍵及び前記乱数が類推困難であって,前記第2の通信装置が保持する所定のデータの暗号化に供するためのセッション鍵を生成する第1のセッション鍵生成部と, 前記セッション鍵を用いて前記所定のデータを暗号化して暗号データを生成し,前記第2の暗号鍵を用いて前記乱数を暗号化して鍵情報データを生成する第1の暗号化処理部と, 前記鍵情報データ,前記第2の通信装置の識別情報,及び前記暗号データを前記第1の通信装置に送信する第1の通信部と,を備え, 前記第1の通信装置は, 前記第2の通信装置から,前記鍵情報データ,前記第2の通信装置の識別情報,及び前記暗号データを受信し,前記鍵管理装置へ,受信された前記鍵情報データと前記第2の通信装置の識別情報とを送信する第2の通信部と,を備え, 前記鍵管理装置は, 前記第1の通信装置から,前記鍵情報データ及び前記第2の通信装置の識別情報を受信する第3の通信部と, 前記第2の通信装置の識別情報に対応する前記第2の暗号鍵を用いて,前記鍵情報データを復号して前記乱数を取得する暗号復号処理部と, 前記暗号復号処理部により復号された前記乱数に基づく前記セッション鍵を生成する第2のセッション鍵生成部と,を備え, 前記暗号復号処理部は,前記第2のセッション鍵生成部により生成された前記セッション鍵を,前記第1の暗号鍵を用いて暗号化して,セッション鍵情報データを生成し, 前記第3の通信部は,前記暗号復号処理部により生成された前記セッション鍵情報データを前記第1の通信装置に送信し, 前記第1の通信装置は,前記鍵管理装置から,前記第2の通信部により前記セッション鍵情報データを受信し,前記第1の暗号鍵を用いて,受信された前記セッション鍵情報データから前記セッション鍵を復号し,復号された前記セッション鍵を用いて前記暗号データを復号し,前記所定のデータを得る復号処理部を備える, 通信システム。」 (2)引用文献に記載の事項 ア.原審における平成29年2月28日付けの拒絶理由(以下,これを「原審拒絶理由」という)に引用された,本願の出願前に既に公知である,特開2004-297755号公報(平成16年10月21日公開,以下,これを「引用文献1」という)には,関連する図面と共に,次の事項が記載されている。 A.「【0095】 暗号ファイル作成プログラムが実行されると,はじめに乱数(セッション・キー)が生成される(ステップ61)。セッション・キーが用いられて,入力された文書データ(平文データ)が暗号化される。暗号文データが得られる(ステップ62)。 【0096】 文書データの暗号化に用いられたセッション・キーが,暗号化装置20のハードディスク25に記憶されている共通鍵1によって暗号化される(ステップ63A)。セッション・キーを共通鍵で暗号化したものを,暗号化セッション・キー3と呼ぶ。暗号文データと,暗号化セッション・キー3と,ID1(暗号ファイル作成者ID)とによって構成される暗号ファイルが作成される。」 B.「【0097】 次に暗号文の復号処理について説明する。図6の右下に示すクライアント(復号装置)30および図6の上段に示す鍵管理サーバ10を参照する。上述したクライアント(暗号化装置)20によって作成された暗号ファイルを,クライアント(復号装置)30において復号する場合を説明する。 【0098】 クライアント30のハードディスク35は復号処理プログラムが記憶されており,復号処理プログラムがクライアント30において実行されることによってクライアント30が復号装置として機能する。 【0099】 復号装置30のハードディスク35にはID2と共通鍵2とが記憶されている。暗号ファイルに含まれている暗号化セッション・キー3およびID1(暗号ファイル作成者ID)と,ハードディスク35に記憶されているID2(復号実行者ID)とが,ネットワーク1を介して復号装置30から鍵管理サーバ10に送信される。」 C.「【0100】 復号装置30から暗号化セッション・キー3およびID1(暗号ファイル作成者ID)と,ID2(復号実行者ID)とを受信すると,鍵管理サーバ10は,管理データベース60Aを参照して,ID2(復号実行者ID)についての復号許可IDに基づいて,ID2によって特定される利用メンバ(復号実行者)がID1によって特定される利用メンバ(暗号ファイル作成者)が作成した暗号文を復号する権限を有するかどうかの判断を行う(ステップ64)。 【0101】 復号実行者が暗号ファイルの復号権限を有する場合(ステップ64でYES ),ID1(暗号ファイル作成者ID)に対応する共通鍵1が管理データベース60Aから読み出され,読み出された共通鍵1が用いられて暗号化セッション・キー3が復号される(ステップ66A)。暗号化セッション・キー3は,暗号化装置20において共通鍵1が用いられて暗号化されたものであるから,共通鍵1を用いた復号処理により暗号化セッション・キー3を復号することができる。セッション・キーが得られる。 【0102】 ID2(復号実行者ID)に対応する共通鍵2が管理データベース60Aから読み出され,セッション・キーが共通鍵2によって暗号化される(ステップ67A)。セッション・キーを復号実行者の共通鍵によって暗号化したものを,暗号化セッション・キー4と呼ぶ。暗号化セッション・キー4が鍵管理サーバ10から復号装置30に送信される。」 D.「【0103】 復号装置30は,鍵管理サーバ10から暗号化セッション・キー4を受信すると,ハードディスク35に記憶されている共通鍵2で暗号化セッション・キー4を復号する(ステップ68A)。上述のように,暗号化セッション・キー4は,管理データベース60Aに記憶されている共通鍵2によって暗号化されたものであるから,共通鍵2を用いることによって復号することができる。セッション・キーが得られる。最後に,得られたセッション・キーが用いられて,暗号ファイルに含まれる暗号文データが復号される(ステップ69)。文書データが得られる。」 E.「 」 イ.原審拒絶理由に引用された,本願の出願前に既に公知である,特開2013-026840号公報(平成25年2月4日公開,以下,これを「引用文献2」という)には,関連する図面と共に,次の事項が記載されている。 F.「【0020】 秘密鍵生成部105は,乱数生成部104によって生成された乱数を用いて秘密鍵のデータを生成する。秘密鍵生成部105は,どのような既存の方法を適用して秘密鍵のデータを生成しても良い。例えば,秘密鍵生成部105は,乱数にハッシュ関数SHA-256を適用して得られた256ビットの値を秘密鍵としても良い。秘密鍵生成部105は,生成した秘密鍵を秘密鍵記憶部102に書き込む。」 (3)引用文献1に記載の発明 ア.上記Eに引用した,引用文献1の【図6】に開示の事項から,引用文献1には, “共通鍵1を有し,ID1を付与された暗号化装置20と,共通鍵2を有し,ID2を付与された復号装置30と,少なくとも,ID1に対応する共通鍵1,及び,ID2に対応する共通鍵2を有する鍵管理サーバ10とからなるシステム”が開示されていることが,読み取れる。 イ.上記Aの「暗号ファイル作成プログラムが実行されると,はじめに乱数(セッション・キー)が生成される(ステップ61)。セッション・キーが用いられて,入力された文書データ(平文データ)が暗号化される。暗号文データが得られる」という記載と,上記Eに引用した,【図6】に開示の内容から,引用文献1において, “暗号化装置20は,暗号ファイル生成プログラムが実行されると,乱数を生成し,前記乱数をセッション・キーとして,文書データを暗号化し,暗号文データを取得する”ものであることが読み取れる。 ウ.同じく,上記Aの「文書データの暗号化に用いられたセッション・キーが,暗号化装置20のハードディスク25に記憶されている共通鍵1によって暗号化される(ステップ63A)。セッション・キーを共通鍵で暗号化したものを,暗号化セッション・キー3と呼ぶ。暗号文データと,暗号化セッション・キー3と,ID1(暗号ファイル作成者ID)とによって構成される暗号ファイルが作成される」という記載と,上記Eに引用した,【図6】に開示の内容から,引用文献1において, “暗号化装置20は,セッション・キーを,共通鍵1で暗号化し,暗号化セッション・キー3と,暗号化装置のID1と,暗号文データから構成される暗号ファイルを作成し,前記暗号ファイルを,復号装置30に送信する”ものであることが読み取れる。 エ.上記Bの「復号装置30のハードディスク35にはID2と共通鍵2とが記憶されている。暗号ファイルに含まれている暗号化セッション・キー3およびID1(暗号ファイル作成者ID)と,ハードディスク35に記憶されているID2(復号実行者ID)とが,ネットワーク1を介して復号装置30から鍵管理サーバ10に送信される」という記載と,上記Eに引用した,【図6】に開示の内容から,引用文献1において, “復号装置30は,暗号化装置10から暗号ファイルを受信すると,前記暗号ファイルに含まれている暗号化セッション・キー3およびID1と,前記復号装置30のID2とを,鍵管理サーバ10に送信する”ものであることが読み取れる。 オ.上記Cの「復号装置30から暗号化セッション・キー3およびID1(暗号ファイル作成者ID)と,ID2(復号実行者ID)とを受信すると,鍵管理サーバ10は」という記載,同じく上記Cの「ID1(暗号ファイル作成者ID)に対応する共通鍵1が管理データベース60Aから読み出され,読み出された共通鍵1が用いられて暗号化セッション・キー3が復号される」という記載,及び,同じく,上記Cの「ID2(復号実行者ID)に対応する共通鍵2が管理データベース60Aから読み出され,セッション・キーが共通鍵2によって暗号化される(ステップ67A)。セッション・キーを復号実行者の共通鍵によって暗号化したものを,暗号化セッション・キー4と呼ぶ。暗号化セッション・キー4が鍵管理サーバ10から復号装置30に送信される」という記載と,上記Eに引用した,【図6】に開示の内容から,引用文献1において, “鍵管理サーバ10は,復号装置30から暗号化セッション・キー3およびID1と,ID2とを受信すると,ID1に対応する共通鍵1を用いて暗号化セッション・キー3を復号し,得られた前記セッション・キーを,ID2に対応する共通鍵2を用いて暗号化し,暗号化セッション・キー4を生成し,前記暗号化セッション・キー4を,復号装置30に送信する”ものであることが読み取れる。 カ.上記Dの「復号装置30は,鍵管理サーバ10から暗号化セッション・キー4を受信すると,ハードディスク35に記憶されている共通鍵2で暗号化セッション・キー4を復号する」という記載,及び,同じく,上記Dの「得られたセッション・キーが用いられて,暗号ファイルに含まれる暗号文データが復号される(ステップ69)。文書データが得られる」という記載と,上記Eに引用した,【図6】に開示の内容から,引用文献1において, “復号装置30は,鍵管理サーバ10から暗号化セッション・キー4を受信すると,共通鍵2で暗号化セッション・キー4を復号し,得られたセッション・キーを用いて,暗号ファイルに含まれる暗号文データを復号し,文書データを得る”ものであることが読み取れる。 キ.以上,上記ア.~カ.において検討した事項から,引用文献1には,次の発明(以下,これを「引用発明」という)が記載されているものと認める。 「共通鍵1を有し,ID1を付与された暗号化装置20と,共通鍵2を有し,ID2を付与された復号装置30と,少なくとも,ID1に対応する共通鍵1,及び,ID2に対応する共通鍵2を有する鍵管理サーバ10とからなるシステムであって, 前記暗号化装置20は,暗号ファイル生成プログラムが実行されると,乱数を生成し,前記乱数をセッション・キーとして,文書データを暗号化し,暗号文データを取得し, 前記セッション・キーを,前記共通鍵1で暗号化し,暗号化セッション・キー3と,前記ID1と,前記暗号文データから構成される暗号ファイルを作成し,前記暗号ファイルを,前記復号装置30に送信し, 前記復号装置30は,前記暗号化装置10から前記暗号ファイルを受信すると,前記暗号ファイルに含まれている前記暗号化セッション・キー3および前記ID1と,前記ID2とを,前記鍵管理サーバ10に送信し, 前記鍵管理サーバ10は,前記復号装置30から前記暗号化セッション・キー3および前記ID1と,前記ID2とを受信すると,前記ID1に対応する前記共通鍵1を用いて前記暗号化セッション・キー3を復号し,得られた前記セッション・キーを,前記ID2に対応する前記共通鍵2を用いて暗号化し,暗号化セッション・キー4を生成し,前記暗号化セッション・キー4を,復号装置30に送信し, 前記復号装置30は,前記鍵管理サーバ10から前記暗号化セッション・キー4を受信すると,前記共通鍵2で前記暗号化セッション・キー4を復号し,得られた前記セッション・キーを用いて,前記暗号ファイルに含まれる前記暗号文データを復号し,前記文書データを得る,システム。」 (4)本件補正発明と引用発明との対比 ア.引用発明においては,「暗号化装置20」において生成される「乱数」を,「セッション・キー」とし,前記「セッション・キー」を,前記「暗号化装置20」が有する「共通鍵1」を用いて暗号化するのであるから, 引用発明における「暗号化装置20」,「復号装置30」,及び,「鍵管理サーバ10」が,それぞれ,本件補正発明における「第2の通信装置」,「第1の通信装置」,及び,「鍵管理装置」に相当し, 引用発明における「共通鍵1」,及び,「共通鍵2」が,それぞれ,本件補正発明における「第2の暗号鍵」,及び,「第1の暗号鍵」に相当し, 引用発明おいて,「暗号化装置20」と,「復号装置30」,及び,「復号装置30」と,「鍵管理サーバ10」とが,通信を行っていることは,明らかであるから, 引用発明における「共通鍵1を有し,ID1を付与された暗号化装置20と,共通鍵2を有し,ID2を付与された復号装置30と,少なくとも,ID1に対応する共通鍵1,及び,ID2に対応する共通鍵2を有する鍵管理サーバ10とからなるシステム」が, 本件補正発明における「第1の暗号鍵を備えた第1の通信装置,第2の暗号鍵を備えた第2の通信装置,及び前記第1の暗号鍵と前記第2の暗号鍵とを備えた鍵管理装置を備える通信システム」に相当する。 イ.上記ア.においても言及したように,引用発明において,「暗号化装置20」は,「乱数」を生成し,前記「乱数」を,「セッション・キー」として用いるものであるから, 引用発明において,「暗号化装置20」が,「乱数生成器」を有していることは明らかであるから, 引用発明おける“暗号化装置20は,乱数を生成する乱数生成器を有”することが, 本件補正発明における「乱数を生成する乱数生成部」に相当し, 引用発明において,“乱数に基づき,暗号化装置20の有する文書データを暗号化するセッション・キーを得る”ことと, 本件補正発明における「乱数に基づき,前記第2の暗号鍵及び前記乱数が類推困難であって,前記第2の通信装置が保持する所定のデータの暗号化に供するためのセッション鍵を生成する第1のセッション鍵生成部」とは, “乱数に基づき,第2の通信装置が保持する所定のデータの暗号化に供するためのセッション鍵を得る取得部”である点で共通する。 ウ.引用発明においては,「暗号化装置20」は,「文書データを暗号化し,暗号文データを取得し」,“セッション・キーを,共通鍵1で暗号化し,暗号化セッション・キー3を得る”ものであって, 「暗号化装置20」が,“文書データを,セッション・キーで暗号化して暗号文データを取得し,前記セッション・キーを,共通鍵1で暗号化し,暗号化セッション・キー3を取得する,暗号化器”を有していることは,明らかであるから,この, 引用発明における“文書データを,セッション・キーで暗号化して暗号文データを取得し,前記セッション・キーを,共通鍵1で暗号化し,暗号化セッション・キー3を取得する,暗号化器”が, 本件補正発明における「セッション鍵を用いて前記所定のデータを暗号化して暗号データを生成し,前記第2の暗号鍵を用いて前記乱数を暗号化して鍵情報データを生成する第1の暗号化処理部」に相当する。 エ.引用発明における「ID1」が,本件補正発明における「第2の通信装置の識別情報」に相当し, 引用発明においては,“暗号化セッション・キー3と,ID1と,暗号文データから構成される暗号ファイルを作成し,前記暗号ファイルを,復号装置30に送信し”ているので,引用発明において,「暗号化装置20」が,「暗号ファイル」を送信するための「送信器」を有することは,明らかであるから, 引用発明における“暗号化装置20は,暗号化セッション・キー3と,ID1と,暗号文データから構成される暗号ファイルを作成し,前記暗号ファイルを,復号装置30に送信する送信器”が, 本件補正発明における「鍵情報データ,前記第2の通信装置の識別情報,及び前記暗号データを前記第1の通信装置に送信する第1の通信部」に相当する。 オ.引用発明においては,「復号装置30は,前記暗号化装置10から前記暗号ファイルを受信すると,前記暗号ファイルに含まれている前記暗号化セッション・キー3および前記ID1と,前記ID2とを,前記鍵管理サーバ10に送信」するものであり, 「復号装置30」が,「暗号化装置20」,及び,「鍵管理サーバ10」と通信するための,「通信器」を有していることは,明らかであって, 引用発明における“復号装置が,暗号化装置10から暗号ファイルを受信すると,前記暗号ファイルに含まれている暗号化セッション・キー3及びID1と,ID2とを,鍵管理サーバ10に送信する通信器”が, 本件補正発明における「第2の通信装置から,前記鍵情報データ,前記第2の通信装置の識別情報,及び前記暗号データを受信し,前記鍵管理装置へ,受信された前記鍵情報データと前記第2の通信装置の識別情報とを送信する第2の通信部」に相当する。 カ.引用発明においては,「鍵管理サーバ10は,前記復号装置30から前記暗号化セッション・キー3および前記ID1と,前記ID2とを受信」し,「暗号化セッション・キー4を,復号装置30に送信し」ているので,引用発明において,「鍵管理サーバ10」が,受信,送信のための「通信器」を有していることは,明らかであるから, 引用発明における“鍵管理サーバ10は,復号装置30から暗号化セッション・キー3およびID1と,ID2とを受信する通信器”が, 本件補正発明における「第1の通信装置から,前記鍵情報データ及び前記第2の通信装置の識別情報を受信する第3の通信部」に相当する。 キ.引用発明においては,「ID1に対応する前記共通鍵1を用いて前記暗号化セッション・キー3を復号し」ているが,引用発明においては,「セッション・キー」は,「乱数」であるから,上記の構成は,“共通鍵1を用いて,暗号化された乱数を,復号する”ことに他ならず,引用発明においては,「鍵管理サーバ10」は,そのための「処理器」を有することは,明らかである。したがって, 引用発明における“ID1に対応する前記共通鍵1を用いて前記暗号化セッション・キー3を復号する処理器”が, 本件補正発明における「第2の通信装置の識別情報に対応する前記第2の暗号鍵を用いて,前記鍵情報データを復号して前記乱数を取得する暗号復号処理部」に相当する。 ク.引用発明において,「セッション・キーを,前記ID2に対応する前記共通鍵2を用いて暗号化し,暗号化セッション・キー4を生成し」ているので,そのための「処理器」を有することは,明らかであるから, 引用発明における“セッション・キーを,前記ID2に対応する前記共通鍵2を用いて暗号化し,暗号化セッション・キー4を生成する生成器”と, 本件補正発明における「暗号復号処理部は,前記第2のセッション鍵生成部により生成された前記セッション鍵を,前記第1の暗号鍵を用いて暗号化して,セッション鍵情報データを生成し」とは, “暗号復号処理部は,セッション鍵を,第1の暗号鍵を用い暗号化して,セッション鍵情報データを生成”する点で共通する。 ケ.上記カ.においても言及したように,引用発明においては,「鍵管理サーバ10」は,“暗号化セッション・キー4を,復号装置30に送信する通信器”を有しているので,上記ク.において検討した事項を踏まえると, 引用発明における“通信器が,暗号化セッション・キー4を,復号装置30に送信する”ことが, 本件補正発明における「第3の通信部は,前記暗号復号処理部により生成された前記セッション鍵情報データを前記第1の通信装置に送信し」に相当する。 コ.上記オ.において検討したとおり,引用発明においては,「復号装置30」は,「鍵管理サーバ10」と通信するための“通信器”を有するものであるから, 引用発明おける「復号装置30は,前記鍵管理サーバ10から前記暗号化セッション・キー4を受信する」が, 本件補正発明における「第1の通信装置は,前記鍵管理装置から,前記第2の通信部により前記セッション鍵情報データを受信し」に相当する。 サ.引用発明において,「復号装置30」が,“共通鍵2で暗号化セッション・キー4を復号し,得られたセッション・キーを用いて,暗号ファイルに含まれる前記暗号文データを復号する処理器”を有することは,明らかであるから,上記ク.において検討した事項と併せると, 引用発明における「共通鍵2で前記暗号化セッション・キー4を復号し,得られた前記セッション・キーを用いて,前記暗号ファイルに含まれる前記暗号文データを復号し,前記文書データを得る」が, 本件補正発明における「第1の暗号鍵を用いて,受信された前記セッション鍵情報データから前記セッション鍵を復号し,復号された前記セッション鍵を用いて前記暗号データを復号し,前記所定のデータを得る復号処理部」に相当する。 シ.以上,上記ア.~サ.において検討した事項から,本件補正発明と,引用発明との,一致点,及び,相違点は,次のとおりである。 [一致点] 第1の暗号鍵を備えた第1の通信装置,第2の暗号鍵を備えた第2の通信装置,及び前記第1の暗号鍵と前記第2の暗号鍵とを備えた鍵管理装置を備える通信システムであって, 前記第2の通信装置は, 乱数を生成する乱数生成部と, 前記乱数に基づき,前記第2の通信装置が保持する所定のデータの暗号化に供するためのセッション鍵を得る取得部と, 前記セッション鍵を用いて前記所定のデータを暗号化して暗号データを生成し,前記第2の暗号鍵を用いて前記乱数を暗号化して鍵情報データを生成する第1の暗号化処理部と, 前記鍵情報データ,前記第2の通信装置の識別情報,及び前記暗号データを前記第1の通信装置に送信する第1の通信部と,を備え, 前記第1の通信装置は, 前記第2の通信装置から,前記鍵情報データ,前記第2の通信装置の識別情報,及び前記暗号データを受信し,前記鍵管理装置へ,受信された前記鍵情報データと前記第2の通信装置の識別情報とを送信する第2の通信部と,を備え, 前記鍵管理装置は, 前記第1の通信装置から,前記鍵情報データ及び前記第2の通信装置の識別情報を受信する第3の通信部と, 前記第2の通信装置の識別情報に対応する前記第2の暗号鍵を用いて,前記鍵情報データを復号して前記乱数を取得する暗号復号処理部と, 前記暗号復号処理部は,セッション鍵を,第1の暗号鍵を用い暗号化して,セッション鍵情報データを生成し, 前記第3の通信部は,前記暗号復号処理部により生成された前記セッション鍵情報データを前記第1の通信装置に送信し, 前記第1の通信装置は,前記鍵管理装置から,前記第2の通信部により前記セッション鍵情報データを受信し,第1の暗号鍵を用いて,受信された前記セッション鍵情報データから前記セッション鍵を復号し,復号された前記セッション鍵を用いて前記暗号データを復号し,前記所定のデータを得る復号処理部を備える, 通信システム。 [相違点1] “取得部”に関して, 本件補正発明においては,「乱数に基づき,前記第2の暗号鍵及び前記乱数が類推困難であって,前記第2の通信装置が保持する所定のデータの暗号化に供するためのセッション鍵を生成する第1のセッション鍵生成部」であるのに対して, 引用発明においては,「乱数」を,「セッション・キー」としていて,「乱数」から,「セッション・キー」の生成は行っていない点。 [相違点2] 本件補正発明においては,「暗号復号処理部により復号された前記乱数に基づく前記セッション鍵を生成する第2のセッション鍵生成部」を有するのに対して, 引用発明においては,復号された「乱数」を,そのまま「セッション・キー」として用いるので,「鍵管理サーバ10」が,「第2のセッション鍵生成部」に相当する構成を有してない点。 [相違点3] “暗号復号処理部”に関して, 本件補正発明においては,「暗号復号処理部」は,「第2の通信装置の識別情報に対応する前記第2の暗号鍵を用いて,前記鍵情報データを復号」する処理と,「第2のセッション鍵生成部により生成された前記セッション鍵を,前記第1の暗号鍵を用いて暗号化」処理を行っているのに対して, 引用発明においては,「鍵管理サーバ10」における「ID1に対応する前記共通鍵1を用いて前記暗号化セッション・キー3を復号」する処理と,「セッション・キーを,前記ID2に対応する前記共通鍵2を用いて暗号化」する処理とを,同じ“機器”が行っているか,示されていない点。 (5)相違点についての当審の判断 ア.[相違点1]について 「乱数」を直接「セッション・キー」として用いることに替えて,当該「乱数」を用いて,当該「乱数」からは類推困難である“値”を生成し,当該“値”を「セッション・キー」として用いる手法として,ハッシュ関数を用いることは,上記Fに引用した引用文献2の記載にもあるように,本願の出願前に,当業者には広く知られた周知の技術事項であるから,引用発明において,「乱数」を「セッション・キー」とすることに替えて,当該「乱数」から,ハッシュ関数を用いて生成したハッシュ値を「セッション・キー」とするための構成を導入することは,当業者が適宜なし得る事項である。また,このとき,当該ハッシュ値と,当該ハッシュ値を暗号化するために用いる共通鍵1とは,何なの関係もないので,当該ハッシュ値から,共通鍵1が類推困難であることも,当業者には周知の技術事項である。 よって,[相違点1]は,格別のものではない。 イ.[相違点2]について 上記ア.において検討した事項を踏まえれば,暗号化された「乱数」を復号して,「セッション・キー」を得る「鍵管理サーバ10」において,「暗号化装置20」側が,「セッション・キー」の生成において,ハッシュ関数を導入したのであれば,同じ「セッション・キー」を得るために,「暗号化装置20」と同じ,ハッシュ関数を導入することは,明らかな技術的選択事項である。 よって,[相違点2]は,格別のものではない。 ウ.[相違点3] 本件補正発明も,引用発明も共通鍵暗号に基づくものであるから,暗号化復号を1つの機器で行うよう構成し得ることは,当業者にとって周知の技術事項である。 よって,[相違点3]は,格別のものではない。 エ.以上,上記ア.~ウ.において検討したとおりであるから,[相違点1]~[相違点3]はいずれも格別のものではなく,そして,本件補正発明の構成によってもたらされる効果も,当業者であれば容易に予測できる程度のものであって,格別なものとは認められない。 よって,本件補正発明は,本願の特許出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので,特許法第29条第2項の規定により,特許出願の際,独立して特許を受けることができない。 3.補正却下むすび したがって,本件手続補正は,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので,同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって,補正却下の決定の結論のとおり決定する。 第3.本願発明について 平成29年12月11日付けの手続補正は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明(以下,これを「本願発明」という)は,平成29年5月2日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された,上記「第2.平成29年12月11日付けの手続補正の却下の決定」の「1.補正の内容」において,補正前の請求項1として引用した,次のとおりのものである。 「第1の暗号鍵を備えた第1の通信装置,第2の暗号鍵を備えた第2の通信装置,及び前記第1の暗号鍵と前記第2の暗号鍵とを備えた鍵管理装置を備える通信システムであって, 前記第2の通信装置は, 乱数を生成する乱数生成部と, 前記乱数に基づき,前記第2の暗号鍵及び前記乱数が類推困難なセッション鍵を生成する第1のセッション鍵生成部と, 前記セッション鍵を用いて,所定のデータを暗号化して暗号データを生成し,前記第2の暗号鍵を用いて前記乱数を暗号化して鍵情報データを生成する第1の暗号化処理部と, 前記鍵情報データ,前記第2の通信装置の識別情報,及び前記暗号データを前記第1の通信装置に送信する第1の通信部と,を備え, 前記第1の通信装置は, 前記第2の通信装置から,前記鍵情報データ,前記第2の通信装置の識別情報,及び前記暗号データを受信し,前記鍵管理装置へ,受信された前記鍵情報データと前記第2の通信装置の識別情報とを送信する第2の通信部と, 備え, 前記鍵管理装置は, 前記第1の通信装置から,前記鍵情報データ及び前記第2の通信装置の識別情報を受信する第3の通信部と, 前記第2の通信装置の識別情報に対応する前記第2の暗号鍵を用いて,前記鍵情報データを復号して前記乱数を取得する暗号復号処理部と, 前記暗号復号処理部により復号された前記乱数に基づく前記セッション鍵を生成する第2のセッション鍵生成部と, を備え, 前記暗号復号処理部は,前記第2のセッション鍵生成部により生成された前記セッション鍵を,前記第1の暗号鍵を用いて暗号化して,セッション鍵情報データを生成し, 前記第3の通信部は,前記暗号復号処理部により生成された前記セッション鍵情報データを前記第1の通信装置に送信し, 前記第1の通信装置は,前記鍵管理装置から,前記第2の通信部により前記セッション鍵情報データを受信し,前記第1の暗号鍵を用いて,受信された前記セッション鍵情報データから前記セッション鍵を復号し,復号された前記セッション鍵を用いて,前記暗号データを復号し,前記所定のデータを得る復号処理部を備える,通信システム。」 第4.原審拒絶理由 原審拒絶理由は,概略,次のとおりである。 「               理由 1.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記   (引用文献等については引用文献等一覧参照) ●理由1(進歩性)について ・請求項 1-3,7-10 ・引用文献等 1-2 ・備考 引用文献1には, 復号装置として機能するクライアント30,暗号化装置として機能するクライアント20,及び鍵管理サーバを備える暗号システム(段落[0047]-[0048],[0052],[図1],[図4])であって, 前記クライアント20は, 暗号ファイル作成プログラムが実行されると,はじめに乱数が生成され, 前記乱数がセッション・キーとして用いられて,文書データ(平文データ)が暗号化され暗号文データが得られ(段落[0063]),前記クライアント20に固有の秘密鍵によって前記セッション・キーを暗号化して暗号化セッション・キーを生成し, 前記暗号文データ,ID1(暗号ファイル作成者のID),及び前記暗号化セッション・キーによって構成される暗号ファイルを作成し(段落[0063]-[0064]),前記クライアント30に送信し(段落[0066]の「暗号ファイルの取得は,暗号化装置20からネットワーク1を介して復号装置30に送信する態様であってもよい」との記載を参照), 前記クライアント30は, 前記クライアント20から,前記暗号文データ,前記ID1(暗号ファイル作成者のID),及び前記暗号化セッション・キーによって構成される前記暗号ファイルを取得し(段落[0066]),前記鍵管理サーバへ,取得された前記暗号ファイルに含まれる前記暗号化セッション・キーおよび前記ID1(暗号ファイル作成者のID)を送信し(段落[0068]),前記鍵管理サーバから,新たに生成された暗号化セッション・キーを受信し(段落[0076]-[0077]), 受信された前記新たに生成された暗号化セッション・キーが復号されて得られたセッション・キーを用いて,前記暗号ファイルに含まれる前記暗号文データを復号し,もとの前記文書データ(平文データ)が得られ(段落[0077]-[0078]), 前記鍵管理サーバは, 前記クライアント30から,前記暗号化セッション・キーおよび前記ID1(暗号ファイル作成者ID)を受信し(段落[0070]), 前記ID1(暗号ファイル作成者ID)に対応する公開鍵が読出され,前記暗号化セッション・キーを復号して前記セッション・キーが得られ(段落[0074]), 得られたセッション・キーから新たに生成された暗号化セッション・キーを前記クライアント20に送信する(段落[0075]-[0076]),暗号システムの発明が記載されている。 請求項1-3に係る発明と,引用文献1に記載された発明とを対比すると,引用文献1に記載された発明におけるクライアント30,クライアント20,鍵管理サーバ,暗号システムは,請求項1-3に係る発明における「第1の通信装置」,「第2の通信装置」,「鍵管理装置」,「通信システム」にそれぞれ相当し,さらに,引用文献1に記載された発明のクライアント30,クライアント20,鍵管理サーバによってそれぞれ処理される機能が,対応する手段によってそれぞれ実現されていることは当業者にとって技術常識であるし,引用文献1に記載された発明におけるID1(暗号ファイル作成者のID)は,クライアント20において公開鍵/秘密鍵生成プログラムが実行されることによって生成された公開鍵/秘密鍵のうち,公開鍵に対応付けて管理されている(段落[0056],[0060])ことから,該ID1がクライアント20の識別情報としても用いられていることは明らかであるから,引用文献1に記載された発明におけるID1(暗号ファイル作成者のID)は,請求項1-3に係る発明の「第2の通信装置の識別情報」に相当するので,両者は以下の点で相違し,その余の点で一致する。 [相違点] 請求項1-3に係る発明が,第2の通信装置において,乱数に基づく暗号鍵を用いて,所定のデータを暗号化して暗号データを生成し,前記乱数を暗号化して鍵情報データを生成し,鍵管理装置は,前記鍵情報データを復号して取得された前記乱数に基づく暗号鍵を前記第1の通信装置に送信しているのに対し,引用文献1に記載された発明では,クライアント20は,生成された乱数をセッション・キーとして用い(段落[0063]),該セッション・キーを暗号化したものを暗号化セッション・キーとし(段落[0064]),鍵管理サーバは,前記暗号化セッション・キーを復号して得られたセッション・キーを復号実行者の公開鍵で暗号化されることによって新たに生成される暗号化セッション・キーをクライアント30に送信しており(段落[0074]-[0075]),クライアント20,鍵管理サーバがいずれも「乱数に基づく暗号鍵」として「一方向性関数を用いて乱数から暗号鍵を生成」してはいない点。 上記相違点について検討すると,引用文献2には,乱数生成部によって生成された乱数にハッシュ関数SHA-256を適用して得られた256ビットの値を秘密鍵とする秘密鍵生成部が記載(段落[0020])されており,ここで,前記ハッシュ関数SHA-256が一方向性関数であることは,本出願前における当業者にとって技術常識である。 そして,引用文献1,2が共に乱数を用いた暗号鍵の生成技術について記載したものであるから,引用文献1に記載された発明における生成された乱数をセッション・キーとして用いる代わりに,引用文献2に記載された秘密鍵生成部を適用し,セッション・キーを得るクライアント20,鍵管理サーバに前記秘密鍵生成部をそれぞれ設けることで,クライアント20及び鍵管理サーバにおいて乱数に基づくセッション・キーを生成できるよう構成することは,当業者が容易になし得たものである。 ・・・・・(中略)・・・・ <引用文献等一覧> 1.特開2004-297755号公報 2.特開2013-026840号公報 3.特開2007-251348号公報(周知技術を示す文献)」 第5.引用刊行物に記載の発明 原審拒絶理由において引用され,上記「第2.平成29年12月11日付けの手続補正の却下の決定」の「2.補正の適否」における「(2)引用文献に記載の事項」において,引用文献1として引用された,特開2004-297755号公報(平成16年10月21日公開)には,上記「第2.平成29年12月11日付けの手続補正の却下の決定」の「2.補正の適否」における「(3)引用文献1に記載の発明」において認定したとおりの,次の発明が記載されている。 「共通鍵1を有し,ID1を付与された暗号化装置20と,共通鍵2を有し,ID2を付与された復号装置30と,少なくとも,ID1に対応する共通鍵1,及び,ID2に対応する共通鍵2を有する鍵管理サーバ10とからなるシステムであって, 前記暗号化装置20は,暗号ファイル生成プログラムが実行されると,乱数を生成し,前記乱数をセッション・キーとして,文書データを暗号化し,暗号文データを取得し, 前記セッション・キーを,前記共通鍵1で暗号化し,暗号化セッション・キー3と,前記ID1と,前記暗号文データから構成される暗号ファイルを作成し,前記暗号ファイルを,前記復号装置30に送信し, 前記復号装置30は,前記暗号化装置10から前記暗号ファイルを受信すると,前記暗号ファイルに含まれている前記暗号化セッション・キー3および前記ID1と,前記ID2とを,前記鍵管理サーバ10に送信し, 前記鍵管理サーバ10は,前記復号装置30から前記暗号化セッション・キー3および前記ID1と,前記ID2とを受信すると,前記ID1に対応する前記共通鍵1を用いて前記暗号化セッション・キー3を復号し,得られた前記セッション・キーを,前記ID2に対応する前記共通鍵2を用いて暗号化し,暗号化セッション・キー4を生成し,前記暗号化セッション・キー4を,復号装置30に送信し, 前記復号装置30は,前記鍵管理サーバ10から前記暗号化セッション・キー4を受信すると,前記共通鍵2で前記暗号化セッション・キー4を復号し,得られた前記セッション・キーを用いて,前記暗号ファイルに含まれる前記暗号文データを復号し,前記文書データを得る,システム。」 第6.本願発明と引用発明との対比 本願発明は,本件補正発明から,「第2の通信装置が保持する所定のデータの暗号化に供するための」という限定事項を取り除いたものであるから, 本願発明と,引用発明との一致点,及び,相違点は,次のとおりである。 [一致点] 第1の暗号鍵を備えた第1の通信装置,第2の暗号鍵を備えた第2の通信装置,及び前記第1の暗号鍵と前記第2の暗号鍵とを備えた鍵管理装置を備える通信システムであって, 前記第2の通信装置は, 乱数を生成する乱数生成部と, 前記乱数に基づき,前記第2の通信装置が保持する所定のデータの暗号化に供するためのセッション鍵を得る取得部と, 前記セッション鍵を用いて前記所定のデータを暗号化して暗号データを生成し,前記第2の暗号鍵を用いて前記乱数を暗号化して鍵情報データを生成する第1の暗号化処理部と, 前記鍵情報データ,前記第2の通信装置の識別情報,及び前記暗号データを前記第1の通信装置に送信する第1の通信部と,を備え, 前記第1の通信装置は, 前記第2の通信装置から,前記鍵情報データ,前記第2の通信装置の識別情報,及び前記暗号データを受信し,前記鍵管理装置へ,受信された前記鍵情報データと前記第2の通信装置の識別情報とを送信する第2の通信部と,を備え, 前記鍵管理装置は, 前記第1の通信装置から,前記鍵情報データ及び前記第2の通信装置の識別情報を受信する第3の通信部と, 前記第2の通信装置の識別情報に対応する前記第2の暗号鍵を用いて,前記鍵情報データを復号して前記乱数を取得する暗号復号処理部と, 前記暗号復号処理部は,セッション鍵を,第1の暗号鍵を用い暗号化して,セッション鍵情報データを生成し, 前記第3の通信部は,前記暗号復号処理部により生成された前記セッション鍵情報データを前記第1の通信装置に送信し, 前記第1の通信装置は,前記鍵管理装置から,前記第2の通信部により前記セッション鍵情報データを受信し,第1の暗号鍵を用いて,受信された前記セッション鍵情報データから前記セッション鍵を復号し,復号された前記セッション鍵を用いて前記暗号データを復号し,前記所定のデータを得る復号処理部を備える, 通信システム。 [相違点a] “取得部”に関して, 本願発明においては,「乱数に基づき,前記第2の暗号鍵及び前記乱数が類推困難なセッション鍵を生成する第1のセッション鍵生成部」であるのに対して, 引用発明においては,「乱数」を,「セッション・キー」としていて,「乱数」から,「セッション・キー」の生成は行っていない点。 [相違点b] 本願発明においては,「暗号復号処理部により復号された前記乱数に基づく前記セッション鍵を生成する第2のセッション鍵生成部」を有するのに対して, 引用発明においては,復号された「乱数」を,そのまま「セッション・キー」として用いるので,「鍵管理サーバ10」が,「第2のセッション鍵生成部」に相当する構成を有してない点。 [相違点c] “暗号復号処理部”に関して, 本願発明においては,「暗号復号処理部」は,「第2の通信装置の識別情報に対応する前記第2の暗号鍵を用いて,前記鍵情報データを復号」する処理と,「第2のセッション鍵生成部により生成された前記セッション鍵を,前記第1の暗号鍵を用いて暗号化」処理を行っているのに対して, 引用発明においては,「鍵管理サーバ10」における「ID1に対応する前記共通鍵1を用いて前記暗号化セッション・キー3を復号」する処理と,「セッション・キーを,前記ID2に対応する前記共通鍵2を用いて暗号化」する処理とを,同じ“機器”が行っているか,示されていない点。 第7.相違点についての当審の判断 本願発明と,引用発明との[相違点b],及び,[相違点c]は,本件補正発明と,引用発明との[相違点2],及び,[相違点3]と同じものであり, 本願発明と,引用発明との[相違点a]は,本件補正発明と,引用発明との[相違点1]と,ほぼ同等のものであるから,上記「第2.平成29年12月11日付けの手続補正の却下の決定」の「2.補正の適否」における「(5)相違点についての当審の判断」において検討したとおり,[相違点a]~[相違点c]は,格別のものではない。 そして,本願発明の構成によってもたらされる効果も,当業者であれば容易に予測できる程度のものであって,格別なものとは認められない。 第8.むすび したがって,本願発明は,本願の特許出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって,結論のとおり審決する。

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2017-018378

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