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特許拒絶査定不服審判

2017-014042

核磁気共鳴(NMR)フィンガープリンティング

審判番号
2017-014042
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2015-532181外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2017年09月22日
審決日
2019年01月21日
公報発行日
2019年07月26日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .113-WZ (A61B) / P18 .121-WZ (A61B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条1項3号特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2015-532181「核磁気共鳴(NMR)フィンガープリンティング」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 3月27日国際公開、WO2014/047326、平成27年 9月28日国内公表、特表2015-528384〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、2013年(平成25年)9月19日(パリ条約による優先権主張 2012年9月19日 米国)を国際出願日とする出願であって、平成28年1月6日付けで拒絶理由が通知され、同年7月12日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年10月31日付けで拒絶理由が通知され、平成29年4月14日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年5月9日付けで拒絶査定されたところ、同年9月22日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。その後当審において平成30年7月12日付けで拒絶理由が通知され、同年11月30日付けで意見書及び手続補正書(以下、この手続補正書による補正を「本件補正」という。)が提出されたものである。 第2 本願発明 本件補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりである。 「核磁気共鳴(NMR)フィンガープリンティング励起に暴露される材料の特性を、前記NMRフィンガープリンティング励起に応答して前記材料から取得されるNMR信号に関連する第1の情報と、NMRフィンガープリンティング励起に関連する基準の情報とを比較することによって特徴づける工程を含み、その比較は、前記第1の情報に関係する前記基準の情報における信号を特定する工程、前記基準の情報における信号が前記第1の情報に関係する程度を特定する工程、および前記基準の情報における信号が前記第1の情報に関係する可能性を特定する工程のうちの1つ以上を含む方法。」 第3 拒絶の理由 平成30年7月12日の当審が通知した拒絶理由のうちの理由1は、次のとおりのものである。 (新規性)本願発明は、その優先権主張日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 (進歩性)本願発明は、その優先権主張日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先権主張日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 「MR Fingerprinting (MRF): a Novel Quantitative Approach to MRI,Proceedings of International Society for Magnetic Resonance in Medicine,2012年5月,p.288」(以下、「引用文献1」という。) 第4 引用文献1 1 引用文献1の記載 引用文献1には、以下の事項が記載されている。なお、原文に続き当審による訳文を示し、訳文の下線は当審おいて付与した。 引1ア 第1行 「MR Fingerprinting (MRF): a Novel Quantitative Approach to MRI」、 「MRフィンガープリンティング(MRF):MRIの新しい定量的アプローチ」 引1イ 第2~12行 「Introduction: Conventional MRI attempts to generate pure "weighted" images that depend only on one or two parameters of interest. Much of the MR pulse sequence development at ISMRM is directed at generating a constant signal level over time to acquire a weighted image as quickly as possible, It is well known that this is difficult to achieve (e.g. pure T2 weighting in a fast spin echo sequence) and is limited in the presence of motion or phase changes. Here we propose a new concept for MRI based on recent advances in Compressed Sensing which we call MR fingerprinting (MRF). MRF is based on a change in perspective: instead of providing a constant signal level over time, we use a sequence that attempts to generate a different signal evolution for each tissue with different relaxation parameters. We then use a pattern recognition based reconstruction to derive quantitative estimates of the underlying relaxation parameters. This is analogous to matching fingerprints (MR signal) to a database (dictionary), and by extension retrieving a host of additional personal information such as identity, address, phone number, etc (T1, T2, diffusion coefficient, etc.). Here we show that these estimates are independent of B0 and B1 variations using a sequence with very low SAR. We initially demonstrate this MRF concept by generating quantitative MR images in a clinically feasible time.」、 「序論:従来のMRIでは、1つまたは2つの対象パラメータにのみ依存する純粋な「強調」画像を生成しようとする。ISMRMにおけるMRパルスシーケンス開発の多くは、強調画像をできる限り速やかに取得するために一定の信号レベルを経時的に生成することを目指しているが、これは達成困難であることは周知であり(例えば、高速スピンエコーシーケンスにおける純粋なT2強調)、動きや位相の変化がある場合には制限がある。本稿では、MRフィンガープリンティング(MRF)という圧縮センシングにおける昨今の進歩に基づき、MRIのための新しい概念を提案する。MRFは視点の変化に基づくものであり、時間の経過と共に一定の信号レベルを提供するのではなく、異なる緩和パラメータを持つ各組織に対して異なる信号展開を生成するシーケンスを使用する。次に、根底にある緩和パラメータの定量的推定値を導出するために、再構成に基づくパターン認識を使用する。これは、フィンガープリンティング(MR信号)のデータベース(辞書)への照合と似たものであり、また、ID、住所、電話番号等(T1、T2、拡散係数等)の様々な追加的個人情報の検索とも似ている。本稿では、非常に低いSARを持つシーケンスを使用して、これらの推定値がB0およびB1の変動とは無関係であることを示す。まずは臨床的に実現可能な時間内で定量的なMR画像を生成することにより、このMRF概念を実証する。」 引1ウ 第13~38行 「Methods: The goal of an MRF sequence is to provide a unique signal evolution in each tissue type by varying the basic sequence parameters. One example of this type of sequence is to use random TrueFISP, which was chosen for the first demonstration of MRF due to extensive existing knowledge about the evolution of the TrueFISP signal evolution. Figure 1 demonstrates a sequence where 500 data points for each pixel were acquired. For each data point, we randomly varied the TR(range: 6.8-10ms) and flip angle (range: 2-6 degrees), and an inversion pulse was added every 200 TRs. Using such a sequence, the signal varies wildly from one TR to the next (see Figure 1C). To determine the relaxation parameters, pattern recognition of the signal time course is completed using Orthogonal Matching Pursuit (OMP) [2,3], which can resolve the correct signal and obtain multiple parameters simultaneously. OMP involves building a dictionary that contains all expected signal evolutions based on the designed sequence parameters (TR, TE, flip angle, B0) by using a Bloch simulation. This method was evaluated in a phantom study, where 10 cylindrical phantoms constructed with varying concentrations of GdCl3(Aldrich) and agarose (Sigma) to yield T1 and T2 values ranging from 67 to 1700 ms and 30 to 300 ms, respectively. The phantom was scanned using a 1.5T Siemens Espree (Siemens Medical Solutions). Around 15000 characteristic parameter sets (T1 from 50 to 2000 ms, T2 from 20 to 400 ms,and off-resonance from -40 to 40Hz) were used to simulate possible signal time courses using Bloch simulations of the spin evolution, and were stored in the dictionary. OMP was then used to select the elements from the dictionary that best represent the acquired signals, yielding the corresponding T1, T2, proton density,and off-resonance maps. As a gold standard comparison, a standard spin-echo sequence was performed to quantify T1 and T2 separately (T1 quantification: 13 TRs ranging from 50 to 5000ms, TE = 8.5 ms; T2 quantification: 15 echoes with TE= 15-225 ms with 15ms increment). T1 and T2 maps of the spin echo sequences were obtained by fitting the time courses on a pixel-by-pixel basis using a three-parameter nonlinear least squares fit. Square regions of interest (ROI) were chosen from each of the cylinders and the mean MRF values were compared with the values from the standard measurements.」、 「方法:MRFシーケンスの目的は、基本的なシーケンスパラメータを変化させることによって、各組織型において固有の信号展開を提供することである。このタイプのシーケンスの1例では、ランダムなTrueFISPを使用するが、これはTrueFISP信号展開の展開に関する広範な既存の知識からMRFの第一の証明のために選択された。図1は、各画素に対する500個のデータ点が得られたシーケンスを示す。各データ点に対して、TR(範囲:6.8~10ms)とフリップ角(範囲:2~6度)をランダムに変化させ、逆パルスを200TRs毎に追加した。かかるシーケンスを用いると、信号は1つのTRから次のTRに大きく変化する(図1Cを参照)。緩和パラメータを決定するために、信号時間経過のパターン認識は、直交マッチング追跡(OMP)[2,3]を用いて完成させ、OMPは、正確な信号を分解し、複数のパラメータを同時に得ることができる。OMPは、設計シーケンスパラメータ(TR、TE、フリップ角、B0)に基づく全ての予想される信号展開を含む辞書を、ブロッホシミュレーションを用いて構築することを含む。この方法は、ファントム研究において評価され、GdCl3(Aldrich)とアガロース(Sigma)の異なる濃度の10個の円筒形ファントムが作成され、それぞれ67~1700msおよび30~300msのT1およびT2の値が得られた。ファントムは、1.5TのSiemens Espree(Siemens Medical Solutions)を用いてスキャンされた。約1万5千の特性パラメータ集合(T1:50~2000ms、T2:20~400msおよびオフレゾナンス:-40~40Hz)は、スピン展開のブロッホシミュレーションを用いて予測される信号時間経過をシミュレートするため使用され、そして辞書に登録された。続いてOMPは、得られた信号を最もよく表す要素を辞書から選択するために使用され、対応するT1、T2、プロトン濃度およびオフレゾナンスマップを得た。代表的な比較例として、標準スピンエコーシーケンスを行い、T1とT2を別々に定量化した(T1定量化:50~5000msの13TR、TE=8.5ms;T2定量化:増分15msでTE=15~225msの15エコー)。スピンエコーシーケンスのT1およびT2マップは、3パラメータ非線形最小2乗フィットを用いて画素毎に時間経過をフィットさせることで得られた。各円筒形から対象の正方形領域(ROI)を選択し、平均MRF値を標準計測による値と比較した。」 引1エ 第39~56行 「Results and Discussion: Figure 1C shows the signal time course from one pixel of the reconstructed MRF series and its corresponding dictionary match. The T1, T2, M0, and off-resonance maps generated from MRF are shown in Figure 2. In Figure 3, T1 and T2 values obtained from MRF methods are compared with the values from standard spin-echo sequence measurements. As can be seen in Figure 3, Both T1 and T2 values are in good agreement with the traditional measurement even though the MRF sequence used only very low flip angles. In addition, we simultaneously obtained a map of off-resonance. The concept of MRF uses a completely different approach to experimental design in MRI, where the sequence design is optimized not towards yielding individual images with various weightings, but rather towards generating unique signal timecourses that can be matched with a compressed sensing approach to the corresponding parameters to yield the underlying tissue parameters. The method is robust as long as the designed sequence provides unique signal evolution curves for different tissues, and the chosen reconstruction method is able to generate the required parameter maps. In addition, because a single preparation is avoided, the equilibrium signal state is never reached, which allows for continuous scanning to assess measure multiple parameters at once. Also, since the reconstruction is probabilistic, MRF may be less susceptible to motion. The presented sequence design is but one of the infinite sequence designs possible and to be explored, that could yield quantification of any of the various parameters which affect the MR signal without errors due to B0,B1 and other effects.」、 「結果と考察:図1Cは、再構成したMRFシリーズの1画素からの信号時間経過と、それに対応する辞書マッチを示す。MRFから作成したT1、T2、M0およびオフレゾナンスマップを図2に示す。図3では、MRF方法で得たT1とT2の値を標準スピンエコーシーケンス測定による値と比較している。図3から分かるように、MRFシーケンスは非常に低いフリップ角のみを使用したが、T1とT2の値は共に従来の測定とよく合致している。また、オフレゾナンスのマップも同時に得られた。MRFの概念は、MRIの実験的設計とは全く異なるアプローチを用いており、そのアプローチではシーケンス設計は、様々な強調を持つ個別画像の生成ではなく、根底にある組織パラメータを生成するための対応するパラメータへの圧縮センシング手法に適合可能な固有の信号時間経過を生成するために最適化される。設計シーケンスが異なる組織に固有の信号展開曲線を提供する限りにおいて、この方法はロバストであり、選択された再構成方法は、必要なパラメータマップを生成することができる。さらに、準備を単一にすることを避けているため、平衡信号状態に達することはなく、それにより複数のパラメータを一度に検証測定する連続スキャンが可能になる。また、再構成は確率的であるため、MRFは運動の影響をより受けにくい。提示したシーケンス設計は、B0、B1および他の効果による誤差のないMR信号に影響する様々なパラメータのどれをも定量化できる、可能な利用すべき無数のシーケンス設計の1つに過ぎない。」 引1オ Figure 1は、以下のとおりである。 「図1:フリップ角(a)およびTR(b)は、ランダムなTrueFISPシーケンスで1つのTRから次のTRへランダムに変化させた。再構成画像からの時間経過例(c)は発振信号展開を示す。」 引1カ Figure 2は、以下のとおりである。 「図2:MRFファントム実験から生成したT1、T2、M0およびオフレゾナンスマップ」 引1キ Figure 3は、以下のとおりである。 「図3:MRFからのT1(左)およびT2(右)の値と、標準スピンエコーシーケンスから測定した値との比較」 2 引用発明 上記1からみて、引用文献1には、以下の発明が記載されている(以下、「引用発明」という。)。 「MRフィンガープリンティング(MRF)の方法において、 MRFシーケンスは、基本的なシーケンスパラメータを変化させることによって、各組織型において固有の信号展開を提供することにあり、 このタイプのシーケンスの1例は、ランダムなTrueFISPを使用する、各画素に対する500個のデータ点が得られたシーケンスであり、各データ点に対して、TR(範囲:6.8~10ms)とフリップ角(範囲:2~6度)をランダムに変化させ、逆パルスを200TRs毎に追加し、かかるシーケンスを用いると、信号は1つのTRから次のTRに大きく変化し、 緩和パラメータを決定するために、信号時間経過のパターン認識は、直交マッチング追跡(OMP)を用い、OMPは、正確な信号を分解し、複数のパラメータを同時に得ることができ、OMPは、設計シーケンスパラメータ(TR、TE、フリップ角、B0)に基づく全ての予想される信号展開を含む辞書を、ブロッホシミュレーションを用いて構築することを含む、MRFの方法であって、 この方法は、ファントム研究において評価され、GdCl3(Aldrich)とアガロース(Sigma)の異なる濃度の10個の円筒形ファントムが作成され、ファントムは、1.5TのSiemens Espree(Siemens Medical Solutions)を用いてスキャンされ、約1万5千の特性パラメータ集合(T1:50~2000ms、T2:20~400msおよびオフレゾナンス:-40~40Hz)は、スピン展開のブロッホシミュレーションを用いて予測される信号時間経過をシミュレートするため使用され、そして辞書に登録され、続いてOMPは、得られた信号を最もよく表す要素を辞書から選択するために使用され、対応するT1、T2、プロトン濃度およびオフレゾナンスマップを得る、MRFの方法。」 第5 対比 本願発明と引用発明とを対比する。 1 引用発明の「各組織」は、本願発明の「材料」に相当する。また、引用発明の「MRFシーケンス」が、「基本的なシーケンスパラメータを変化させることによって、各組織型において固有の信号展開を提供する」ためには、MRFシーケンスの一部に「各組織」を励起する工程を含む必要があることは、当業者にとって自明である。 してみると、引用発明の「MRFシーケンス」の「基本的なシーケンスパラメータを変化させることによって」、「固有の信号展開を提供する」「各組織」が、本願発明の「核磁気共鳴(NMR)フィンガープリンティング励起に暴露される材料」に相当する。 2 引用発明の「MRFシーケンス」の「基本的なシーケンスパラメータを変化させることによって」「提供」される「各組織型において固有の信号展開」は、本願発明の「NMRフィンガープリンティング励起に応答して前記材料から取得されるNMR信号に関連する第1の情報」に相当する。 3 引用発明の「ブロッホシミュレーションを用いて構築する」「設計シーケンスパラメータ(TR、TE、フリップ角、B0)に基づく全ての予想される信号展開」は、「MRFシーケンス」の「基本的なシーケンスパラメータを変化させることによって」「提供」される「各組織型において固有の信号展開」から、「複数のパラメータを同時に得る」ための「辞書」であるから、本願発明の「NMRフィンガープリンティング励起に関連する基準の情報」に相当する。 4 引用発明の「各組織」の「緩和パラメータを決定する」ことは、本願発明の「材料の特性を」「特徴づける工程」に相当する。 5 また、引用発明の「直交マッチング追跡(OMP)」は、「得られた信号を最もよく表す要素を辞書から選択するために使用され」ることから、「MRFシーケンス」の「基本的なシーケンスパラメータを変化させることによって」「提供」される「各組織型において固有の信号展開」と、「ブロッホシミュレーションを用いて構築する」「設計シーケンスパラメータ(TR、TE、フリップ角、B0)に基づく全ての予想される信号展開」とを比較し、「設計シーケンスパラメータ(TR、TE、フリップ角、B0)に基づく全ての予想される信号展開」のうち、前記「各組織型において固有の信号展開」に「最もよく表す要素を辞書から選択」(特定)するものといえる。 6 してみると、上記1~5を踏まえると、引用発明の、「MRFシーケンス」の「基本的なシーケンスパラメータを変化させることによって」「提供する」「各組織型において固有の信号展開」を、「ブロッホシミュレーションを用いて構築」された「設計シーケンスパラメータ(TR、TE、フリップ角、B0)に基づく全ての予想される信号展開を含む辞書」「から選択」して、「各組織」の「緩和パラメータを決定する」「直交マッチング追跡(OMP)」は、本願発明の「核磁気共鳴(NMR)フィンガープリンティング励起に暴露される材料の特性を、前記NMRフィンガープリンティング励起に応答して前記材料から取得されるNMR信号に関連する第1の情報と、NMRフィンガープリンティング励起に関連する基準の情報とを比較することによって特徴づける工程」に相当する。 7 また、上記5のとおり、引用発明の「得られた信号を最もよく表す要素を辞書から選択する」ことは、「設計シーケンスパラメータ(TR、TE、フリップ角、B0)に基づく全ての予想される信号展開」のうち、前記「各組織型において固有の信号展開」に「最もよく表す要素を辞書から選択」(特定)することであるから、本願発明の「その比較は、前記第1の情報に関係する前記基準の情報における信号を特定する工程」に相当するところ、したがって、「その比較は、前記第1の情報に関係する前記基準の情報における信号を特定する工程、前記基準の情報における信号が前記第1の情報に関係する程度を特定する工程、および前記基準の情報における信号が前記第1の情報に関係する可能性を特定する工程のうちの1つ以上を含む」に相当する。 なお、平成30年11月30日付け意見書において、請求人は、拒絶の理由1(新規性、進歩性)については、「引用文献1では、『基準の情報における信号が第1の情報に関係する程度を特定する工程、および基準の情報における信号が第1の情報に関係する可能性を特定する工程』が開示されていません。」と主張している。 しかしながら、本願発明には、「その比較」が、「前記第1の情報に関係する前記基準の情報における信号を特定する工程」のみを含み、「前記基準の情報における信号が前記第1の情報に関係する程度を特定する工程、および前記基準の情報における信号が前記第1の情報に関係する可能性を特定する工程」を含まない発明が含まれるので、拒絶の理由1(新規性、進歩性)についての請求人の上記主張は採用できない。 また、一応、引用文献1に「前記基準の情報における信号が前記第1の情報に関係する程度を特定する工程、および前記基準の情報における信号が前記第1の情報に関係する可能性を特定する工程」が開示されているか検討しておく。 この記載を、拒絶の理由2(明確性)での「『基準の情報における信号が第1の情報に関連する程度を特定する』とは、これが第1の情報信号がどのくらいライブラリ基準の情報に関連しているか(または類似するか)の尺度を特定することであると当業者が理解するように明確そのものです。また、『基準の情報における信号が第1の情報に関係する可能性を特定する』とは、これが第1の情報信号が情報信号に関連する(または一致する)可能性を特定すると当業者が理解するように明確そのものです。」との請求人の主張のとおり解釈すると、ここでの「特定」は、許容差内又は一定パーセントの可能性で一致することを含むものと理解できる。一方、引用発明の「得られた信号を最もよく表す要素を辞書から選択する」ことは、「設計シーケンスパラメータ(TR、TE、フリップ角、B0)に基づく全ての予想される信号展開」のうち、前記「各組織型において固有の信号展開」に「最もよく表す要素を辞書から選択」(特定)することであり、ここでの選択(特定)は、信号同士の比較である以上、完全に一致することのみならず、許容差内又は一定パーセントの可能性で一致することを含むものと理解するのが自然である。この点は、「図1Cは、再構成したMRFシリーズの1画素からの信号時間経過と、それに対応する辞書マッチを示す」(引1エ)とある図1C(引1オ)をみても、信号同士が近似していることをもってマッチしていると結論づけていることからも裏付けられる。 してみると、引用発明の「得られた信号を最もよく表す要素を辞書から選択する」ことは、本願発明の「その比較は」、「前記第1の情報に関係する前記基準の情報における信号を特定する工程」のみならず、「前記基準の情報における信号が前記第1の情報に関係する程度を特定する工程、および前記基準の情報における信号が前記第1の情報に関係する可能性を特定する工程」の全てを「を含む」ことに相当するといえることからも、拒絶の理由1(新規性、進歩性)についての請求人の上記主張は採用できない。 第6 判断 1 本願発明と引用発明は、上記「第5 対比」のとおりであるから、本願発明の発明特定事項の全てにおいて一致し、相違するところはない。 したがって、本願発明は、引用文献1に記載された発明である。 2 仮に、上記「第5 対比」の7の「その比較は、前記第1の情報に関係する前記基準の情報における信号を特定する工程、前記基準の情報における信号が前記第1の情報に関係する程度を特定する工程、および前記基準の情報における信号が前記第1の情報に関係する可能性を特定する工程のうちの1つ以上を含む」点が相違点であったとしても、前記相違点に係る本願発明の構成は、辞書からある情報を選択する際の検索技術における常套手段にすぎないことから、本願発明は、引用文献1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第7 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、又は、同条第2項の規定により、特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2017-014042

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