特許拒絶査定不服審判
2024-008956
光学経路を有する撮像システム
- 審判番号
- 2024-008956
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-514598外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2024年05月30日
- 審決日
- 2025年04月21日
- 公報発行日
- 2025年10月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ジェンテュイティ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
- 【請求人代理人】山尾 憲人
- 【請求人代理人】徳山 英浩
- 分類
- P18 .113-Z (A61B) / P18 .121-Z (A61B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021-514598「光学経路を有する撮像システム」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 3月26日国際公開、WO2020/061001、令和 4年 1月 4日国内公表、特表2022-500174〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1.手続の経緯
本件出願(以下「本願」という。)は、2019年(令和元年)9月17日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2018年9月17日、アメリカ合衆国、2019年4月30日、アメリカ合衆国、2019年5月21日、アメリカ合衆国)を国際出願日とする外国語特許出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。
令和3年 5月 6日 :翻訳文の提出
令和4年 9月 9日 :手続補正書提出
令和5年 4月14日付け:拒絶理由通知
同年10月25日 :意見書提出
同日 :手続補正書提出(以下「原査定時補正書」と
いう。)
令和6年 1月24日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同月30日 :原査定の謄本の送達)
同年 5月30日 :審判請求書提出
以下、2018年(平成30年)9月17日を「優先日」という。
第2.本願発明について
1 本願発明1
本願の請求項1-16に係る発明は、原査定時補正書により補正された特許請求の範囲における請求項1-16の各記載事項により特定されるとおりのものであって、そのうち請求項1に係る発明(以下「本願発明1」という。)は以下のとおりである。ここで、各構成単位冒頭の「A」などは当審にて付した分説番号であり、以下、各構成単位について当該分説番号を用いて「構成A」などということがある(以下、他の発明の認定についても同様。)。また、原査定時補正書によって加筆補正された箇所には、参考のために下線を施した。
「【請求項1】
A1 患者のための撮像システムであって、
B 撮像プローブと、
C 前記撮像プローブに動作可能に接続するように、構成および配置された、コンソールとを、備え、
D 前記撮像プローブは、
近位端、遠位部、および前記近位端と前記遠位部との間に延設するルー
メンとを含む、細長いシャフトと、
E 近位端と遠位端とを含む、回転可能な光学コアと、
F 前記回転可能な光学コアの前記遠位端の近位で配置される、光学アセン
ブリとを、含み、
G 前記回転可能な光学コアの少なくとも一部は、
前記細長いシャフトの前記ルーメン内に、配置され、
H 前記光学アセンブリは、
光を組織に向け、さらに、前記組織からの反射光を収集する、ように構
成され、
I 前記コンソールは、
前記撮像プローブに光学的に接続するように、構成および配置された、
撮像アセンブリを含み、
J 前記撮像アセンブリは、
前記撮像プローブ内に光を出射し、さらに、前記光学アセンブリにより
収集された前記反射光を受取る、ように構成され、
K 前記光学アセンブリは、第一の屈折率を有し、
前記回転可能な光学コアは、前記第一の屈折率と異なる第二の屈折率を
有し、
L 前記反射光は、1つ以上の識別可能な背面反射を含み、
1つ以上の前記識別可能な背面反射の少なくとも1つは、前記第二の屈
折率を有する前記回転可能な光学コアと前記第一の屈折率を有する前記光
学アセンブリとの間のインターフェイスによって生成され、
M 前記コンソールは、前記回転可能な光学コアの回転を必要とせずに、前
記撮像アセンブリと前記光学アセンブリとの間の距離を決定するように構
成され、
N 前記コンソールは、測定された前記距離に基づいて校正される、
A2 撮像システム。」
第3.原査定の拒絶の理由
原査定における本願発明1についての拒絶の理由(理由2:新規性の欠如、理由3:進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。
理由2(新規性の欠如):
本願発明1は、優先日前に発行された下記の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
理由3(進歩性の欠如):
本願発明1は、優先日前に発行された下記の引用文献1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
記
引用文献1:特開2000-97846号公報
第4.引用文献の記載及び引用発明
1 引用文献1
(1)引用文献1の記載事項
原査定の拒絶の理由において引用された引用文献1には、以下の事項が記載されている。下線は当合議体が付したものである。
ア「【0010】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
(第1の実施の形態)図1ないし図8は本発明の第1の実施の形態に係り、図1は本発明の第1の実施の形態の光走査プローブ装置を備えた光イメージング装置の全体構成を示し、図2は光走査プローブ装置が挿通される内視鏡を示し、図3は光走査プローブ装置及び回転駆動装置の構成を示し、図4は光走査プローブ装置の先端側の構成を示し、図5は図4とは異なる構成の光走査プローブ装置の先端側の構成を示し、図6及び図7はさらに異なる構成の光走査プローブ装置の先端側の構成を示し、図8はコネクタ部の詳細な構成を示す。
【0011】本実施の形態の目的は外側シースの内面が傷ついても、シースを交換可能にすることにより観察が可能な光プローブ装置を提供することにある。また、光学素子の保持部に曲面部を設けることにより、外側シースの内面が傷つきにくい光プローブ装置を提供することにある。
【0012】また、外側シース内腔に屈折率整合水を封入することにより、外側シース内面の反射を減衰させ、ゴーストを防止することができる光プローブ装置を提供することにある。また、外側シース内腔に屈折率整合水を封入することにより、外側シース内面の反射を減衰させ、外側シースの内面が傷ついても、傷の乱反射による影響が小さくできる光プローブ装置を提供することにある。
【0013】また、シースの着脱部に水密シールを設け、コネクタ部に屈折率整合水封入用の注水孔を設けることにより、着脱後に屈折率整合水の封入が可能な光プローブ装置を提供することにある。さらに光ファイバ接合部材の長さの範囲内に回転チューブの接合部を設けることにより、硬質長を短縮することができる光プローブ装置を提供することにある。
【0014】図1に示す光イメージング装置(光断層画像装置)1Aは観測装置27内に超高輝度発光ダイオード(以下、SLDと略記)等の低干渉性光源2を設けている。この低干渉性光源2はその波長が例えば1300nmで、その可干渉距離が例えば17μm程度であるような短い距離範囲のみで干渉性を示す低干渉性光の特徴を備えている。つまり、この光を例えば2つに分岐した後、再び混合した場合には分岐した点から混合した点までの2つの光路長の差が17μm程度の短い距離範囲内の場合には干渉した光として検出され、それより光路長が大きい場合には干渉しない特性を示す。
【0015】この低干渉性光源2の光は第1のシングルモードファイバ3の一端に入射され、他方の端面(先端面)側に伝送される。この第1のシングルモードファイバ3は途中の光カップラ部4で第2のシングルモードファイバ5と光学的に結像されている。従って。この光カップラ部4で2つに分岐されて伝送される。
【0016】第1のシングルモードファイバ3の(光カップラ部4より)先端側には、非回転部と回転部とで光を伝送可能な結合を行う光ロータリジョイント6が介挿され、この光ロータリジョイント6内の第3のシングルモードファイバ7の先端に第1の実施の形態の光走査プローブ装置(以下、光走査プローブ或いは光プローブと略記)8のコネクタ部9が着脱自在で接続され、この光走査プローブ8内に挿通され、回転駆動される第4のシングルモードファイバ10に低干渉性光源2の光が伝送(導光)される。
【0017】そして、伝送された光は光走査プローブ8の先端側から被検体としての生体組織11側に走査されながら照射される。また、生体組織11側での表面或いは内部での散乱などした反射光の一部が取り込まれ、逆の光路を経て第1のシングルモードファイバ3側に戻り、光カップラ部4によりその一部が第2のシングルモードファイバ5側に移り、第2のシングルモードファイバ5の一端から光検出器としての例えばフォトダイオード12に入射される。なお、光ロータリジョイント6のロータ側は回転駆動装置13によって回転駆動される。
【0018】また、第2のシングルモードファイバ5の光カップラ部4より先端側には基準光の光路長を変える光路長の可変機構14が設けてある。この光路長の可変機構14は光走査プローブ8により生体組織11の深さ方向に所定の走査範囲だけ走査する光路長に対応してこの走査範囲の光路長だけ高速に変化する第1の光路長変化手段と、光走査プローブ8を交換して使用した場合の個々の光走査プローブ8の長さのバラツキを吸収できるようにその長さのバラツキ程度の光路長を変化できる第2の光路長の変化手段とを備えている。
【0019】第2のシングルモードファイバ5の先端に対向してこの先端と共に1軸ステージ18上に取り付けられ、矢印aに示す方向に移動自在のコリメートレンズ30及びレンズ15を介してグレーティング16が配置されている。また、このグレーティング(回折格子)16と対応するレンズ17を介して微小角度回動可能なガルバノメータ19が第1の光路長の変化手段として取付けられており、このガルバノメータミラー19はガルバノメータコントローラ20により、符号bで示すように高速に回転的に振動される。
【0020】このガルバノメータミラー19はガルバノメータのミラーにより反射させるもので、ガルバノメータに交流の駆動信号を印加してその可動部分に取り付けたミラーを高速に回転的に振動させるものである。つまり、光走査プローブ8により、生体組織11の深さ方向に所定の距離だけ高速に走査できるようにガルバノメータコントローラ20により、駆動信号が印加され、この駆動信号により符号bで示すように高速に回転的に振動する。
【0021】そして、この回転的振動により第2のシングルモードファイバ5の端面から出射され、ガルバノメータミラー19で反射されて戻る光の光路長は生体組織11の深さ方向に走査する所定の距離の走査範囲だけ変化する。つまり、ガルバノメータミラー19により、深さ方向の断層像を得るための第1の光路長の変化手段を形成している。このガルバノメータミラー19による光路長の変化手段はSCIENCE VOL.276、1997、pp2037-2039に開示されている。
【0022】また、第2のシングルモードファイバ5およびコリメートレンズ30は、その光軸方向に符号aで示すように移動自在な1軸ステージ18上に設けられ、第2の光路長の変化手段となっている。また、第2のシングルモードファイバ5には、ファイバで構成される干渉系全体および光走査プローブ8内のファイバの曲げによって生じる複屈折性の影響を取り除くための偏波面調整用のファイバループ29が設けられている。
【0023】一方、1軸ステージ18は光走査プローブ8を交換した場合に対し、光走査プローブ8の光路長のバラツキを吸収できるだけの光路長の可変範囲を有する第2の光路長の可変手段を形成すると共に、ガルバノメータミラー19による光路長を過経して深さ方向の画像を得る場合に所望とする位置(例えば、光走査プローブ8の先端が生体組織の表面に密着していない場合でも、1軸ステージ18による光路長を変化させることにより、生体組織11の表面位置から干渉する状態に設定することにより、その表面位置)から画像化することができるようにオフセットを調整する調整手段の機能も備えているようにしている。
【0024】この1軸ステージ18はステージ移動用のモータを備え、位置制御装置21によりそのモータに駆動信号を印加することにより1軸ステージ18は符号aで示す方向に移動する。この光路長の可変機構14で光路長が変えられた光は第2のシングルモードファイバ5の途中に設けたカップラ部4で第1のシングルモードファイバ3側から漏れた光と混合されて、共にフォトダイオード12で受光される。
【0025】なお、例えば第2のシングルモードファイバ5は1軸ステージ18をその可変範囲の中間位置付近に設定した状態では光カップラ部4から第4のシングルモードファイバ9等を経て光走査プローブ8の先端から生体組織11に至る光路長と、第2のシングルモードファイバ5を経て1軸ステージ18上のガルバノメータミラー19で反射される光路長とがほぼ等しい長さとなるように設定されている。
【0026】そして、実際に接続して使用される光走査プローブ8に応じて1軸ステージ18の位置を可変設定することにより、個々の光走査プローブ8の長さのバラツキを吸収し、かつガルバノメータミラー19を高速で回転的振動或いは高速振動させてその基準光側の光路長を周期的に変化することにより、この光路長と等しい値となる生体組織11の深さ位置での反射光とを干渉させ、他の深さ部分での反射光は非干渉にすることができるようにしている。
【0027】上記フォトダイオード12で光電変換された信号はアンブ22により増幅された後、復調器23に入力される。この復調器23では干渉した光の信号部分のみを抽出する復調処理を行い、その出力はA/D変換器24を経てコンピュータ25に入力される。このコンピュータ25では断層像に対応した画像データを生成し、モ二夕26に出力し、その表示面にOCT像26aを表示する。このコンピュータ25は位置制御装置21と接続され、コンピュータ25は位置制御装置2を介して1軸ステージ18の位置の制御を行う。また、コンピュータ25はビデオ同期回路28と接続され、画像化する際のビデオ同期信号に同期して内部のメモリに断層像データを格納する。
【0028】また、このビデオ同期回路28のビデオ同期信号はそれぞれガルバノメータコントローラ20と回転駆動装置13にも送られ、例えばガルバノメータコントローラ20はビデオ同期信号(より具体的には高速及び低速の2つのビデオ同期信号における高速の第1のビデオ同期信号)に同期した周期で駆動信号を出力し、回転駆動装置13はビデオ同期信号(より具体的には低速の第2のビデオ同期信号)に同期した周期で第1のビデオ同期信号に同期した駆動信号を出力し、回転駆動装置13による回転により周方向に光を走査するようにしている。
【0029】第1の実施の形態の光走査プローブ8は図2に示すように内視鏡31の鉗子挿通口32から鉗子挿通用チャンネルを経てその先端開口から光走査プローブ8の先端側を突出させることができる。この内視鏡31は体腔内に挿入し易いように細長で可撓性の挿入部33を有し、この挿入部33の後端には太幅の操作部34が設けてある。この挿入部33の後端付近には鉗子挿通口32が設けてあり、この鉗子挿通口32はその内部で鉗子挿通用チャンネルと連通している。
【0030】挿入部33内には図示しないライトガイドが挿通され、このライトガイドの入射端を光源装置に接続し、照明光を伝送して挿入部33の先端部に設けた照明窓から出射し、患部等を照明する。また、照明窓に隣接して観察窓が設けられ、この観察窓には対物光学系が取り付けられ、照明された患部等を光学系に観察できるようにしている。そして、内視鏡31の先端部の観察光学系の観察の下で、患部等の注目する部分の生体組織11側に光走査プローブ8により、低干渉性光を照射し、その生体組織11の内部の断層画像データを得て、モ二夕26の表示面にOCT像26aを表示できるようにしている。
【0031】また挿入部33の先端部には湾曲部35および(内視鏡)先端部36が設けられている。湾曲部35を経て光走査プローブ8を挿入させる時、また光走査プローブ8の先端37を内視鏡先端部36より突出させて生体組織11に接させる時、図2に示す様に光走査プローブの先端部36は小さな湾曲半径で湾曲する。
【0032】図3は光走査プローブ8及び回転駆動装置13の概略の構成を示す。図3に示すように光走査プローブ8は細長い管状の樹脂チューブで構成された光学シース38と、シース38を回転駆動装置13に接続するコネクタ部9と、光学シース38の内側に設けられ、自在に回転して回転力を伝達するフレキシブルシャフト40と、フレキシブルシャフト40の内腔に設けられた第4のシングルモードファイバ10と、フレキシブルシャフト40の先端に接続されたレンズユニット39と、フレキシブルシャフト40の後端に接続された回転伝達コネクタ42と、第4のシングルモードファイバ10の後端に接続された光コネクタ41よりなる。
【0033】この光走査プローブ8の後端が接続される回転駆動装置13は中空の回転シャフト43及びこの回転シャフト43の後端に接続された光ロータリジョイント6を有する。この回転シャフト43の先端部には光コネクタ41が設けられ、この光コネクタ41と光ロータリジョイント6は回転シャフト43の中空部内に配置された第3のシングルモードファイバ7で接続されている。
【0034】また、回転駆動装置13は回転シャフト43を回転するモータ44及びその回転シャフト43の回転を検出するエンコーダ45とを有し、モータ44の回転軸に取り付けたモータプーリ44aと、エンコーダプーリ45aの回転軸に取り付けたエンコーダプーリ45a及び回転シャフト43にはベルト46が掛け渡してある。また、モータ44およびエンコーダ45は回転駆動コントローラ48に接続されている。
【0035】次に、この回転駆動装置13の作用をまず説明する。モータ44の回転はモータプーリ44aに伝達され、ベルト46により回転シャフト43及びエンコーダプーリ45aに伝達される。エンコーダ45は回転シャフト43の回転速度を検出し、その回転速度が指定された速度になるように回転駆動コントローラ48によりモータ44の駆動電流を制御する。これにより、回転シャフト43は指定された速度で一定に回転する。また、回転シャフト43の回転角はエンコーダ45により検出され、回転駆動コントローラ48を経由して信号49がビデオ同期回路28側に送られる。
【0036】この信号49は1回転を256パルスで分割したパルスであるA相であるA相信号49a、このA相に対し、45度の位相ずれをもつB相のB相信号49bと、1回転に1回のパルスである1回転信号49cとよりなる。
【0037】次に、光走査プローブ8の作用を説明する。第3のシングルモードファイバ7で伝送された光は光コネクタ41によって第4のシングルモードファイバ10に伝達される。また、回転シャフト43の回転は回転伝達コネクタ42によってフレキシブルシャフト40に伝達される。
【0038】第4のシングルモードファイバ10の伝送光はレンズユニット39に伝達され、光学シース38を通して検査光として外部に出射され、生体組織からの反射光を受光し、再び第4のシングルモードファイバ10に伝達する。フレキシブシャフト40の先端はレンズユニット39に接続されているため、フレキシブルシャフト40、レンズユニット39、第4のシングルモードファイバ10は一体で回転する。なお、光学シース38の後端側は図8を参照して後述するようにシース止め86に設けた口金部87に着脱自在に接続される構造になっている。
【0039】図4(A)は光走査グローブ8の詳細な構成を示す。光学シース38は柔軟性のある樹脂チューブ50aと、例えばこれと同質の樹脂で構成され、樹脂チューブ50aの先端開口を閉塞する先端部材50bよりなり、樹脂チューブ50aと先端部材50bは例えば熱溶着で接合されている。レンズユニット39は低干渉性光の出射方向を変更するプリズム51、低干渉性光の偏波面を回転するファラデーローテータ(ファラデー回転子)52、集光するGRINレンズ53およびこれらを保持するレンズ枠54よりなる。また、第4のシングルモードファイバ10はフェルール55に、そのフェルール55の後端の接着剤57で接着されている。
【0040】レンズユニット39、フェルール55及びフレキシブルシャフト40は中空の繋ぎ部材56で接続されている。また、フレキシブルシャフト40の先端は繋ぎ部材56に挿入され、接着剤58で接着して連結固定されている。
【0041】第4のシングルモードファイバ10の中心軸Oに沿って伝送された低干渉性光はその先端のファイバ端10aより出射され、対向するGRINレンズ53に入射して集光され、さらにファラデーローテータ52を経てプリズム51により方向を直角に曲げられ、シース50aを透過して観察ビーム62となり、焦点63に集光する。
【0042】なお、光学シース38の先端側、より具体的には少なくともプリズム51に対向する部分の樹脂チューブ50aは低干渉性光を透過する光透過性の良い素材で形成されている。
【0043】第4のシングルモードファイバ10の先端のファイバ端10aおよびGRINレンズ53の間隔61を変えることにより、シース50aの外面からの距離59の焦点63の位置を(距離59の値を変更して)変更することができる。繋ぎ部材56およびレンズ枠54はフレキシブルシャフト40の回転によりシース50aに対し回転するため、レンズ枠角部54aとシース内面73が接触して傷つくことが多い。
【0044】また、フレキシブルシャフト40は光走査プローブ8の挿入形状により全長が変化するためレンズ枠角部54aとシース内面73の接触により生じた傷が観察ビーム62と交差し、観察が正常に行われない場合がある。このような場合には図4(A)では光学シース38部分を新しい光学シース38と交換することにより、観察像を得ることができるようにしている。
【0045】次に、図4(B)に先端部の別の構成を示す。光学シース38は柔軟性のあるナイロンチューブ64及びその先端開口を閉塞する先端キャップ65により構成され、ナイロンチューブ64および先端キャップ65は接着により接合されている。このナイロンチューブ64は少なくともその先端側は光透過性である。
【0046】レンズユニット39のレンズ枠55の先端側には丸み付キャップ66が接続されている。この丸み付キャップ66には開口部67が設けられ、観察ビーム62を透過できるようになっている。丸み付キャップ66のR部72がシース内面73と接触するため、丸み付キャップ66が回転しでもシース内面73は傷つきにくい。
【0047】なお、この光走査プローブ8では、繋ぎ部材56に間隔管68を介して所定の光路長を確保してレンズユニット39を構成するレンズ枠54を取り付けるようにしている。
【0048】また、図4(A)のフェルール55の代わりに段削りフェルール60が設けられている。段削りフェルール60はその後端側にその外周面を段差状に削り取って細径にした段削り部70が設けられ、この段削り部70の外径はフレキシブルシャフト40の内径よりも小さく、フレキシブルシャフト40の先端部に挿入され、その内側の第4のシングルモードファイバ10と共に接着充填部71でフレキシブルシャフト40に接着固定されている。
【0049】これにより、段削りフェルール60および第4のシングルモードファイバ10の接着長を確保した上でフレキシブルシャフト40と繋ぎ部材56との接着部を段削りフェルール60の長さの範囲内に設けることにより先端部の硬質長を短縮することができる。
【0050】また、丸み付きキャップ66と先端キャップ65の空間の間隔Lは、ナイロンチューブ64等、光学シース38の温度による伸縮、また湾曲によるフレキシブルシャフト40と光学シース38の相対的移動のための余裕空間で、光学シース38の材質に左右されるが通常8mm程度必要である。
【0051】図5(A)に更に別の構成を示す。光学シース38とレンズユニット39の間の内腔76には光学シース38(の光透過窓)を形成するナイロンチューブ64の屈折率とほぼ同じ屈折率の屈折率整合水77が充填されている。レンズ枠54の先端側に取り付けた丸み付キャップ66には開口部66aおよび66bが設けられ、観察ビーム62を透過すると共に、屈折率整合水77が通過可能になっている。
【0052】プリズム51の反射面148は、屈折率整合水77と直接接するため、プリズム素材の屈折率と整合水77の屈折率が近いため全反射しない。そこで反射面51aにはアルミコーティングや誘電体多層膜コーティングなどの反射コーティング層を設け、全反射させるようにしている。
【0053】図4(B)の段削りフェルール60の代わりにステンレスパイプ78が設けられている。ステンレスパイプ78の内腔には第4のシングルモードファイバ10を構成するファイバ芯線79及びジャケット80が挿通され、ジャケット80は接着部84で接着されている。また、ステンレスパイプ78の先端は平面または球面研磨されている。
【0054】レンズユニット39およびステンレスパイプ78の間にはガラス材81が充填されている。また、繋ぎ部材56にはガラス材81との接着部82の近傍にレンズユニット39挿入時の空気を抜くための空気抜孔83が設けられている。
【0055】光学シース38とレンズユニット39の間の内腔76には屈折率整合水77を充填することによって、光学シース38内面の反射を減衰させ、光学シース38の外側でも同様に生じる反射との多重反射によるゴーストを防止する事ができる。
【0056】また、光学シース38内面の反射が減衰するため、光学シース38内面が傷ついても、傷による乱反射の影響を小さくすることができる。図5(B)は丸み付キャップ66とプリズム51、開口部66bと繋ぎ部材56の関係を立体的に図示したものである。
【0057】図6(A)は図4(A)の構成に樹脂キャップ85を設けたものである。樹脂キャップ85はレンズ枠54およびプリズム51と一体成形され、プリズム51の観察ビーム62の出射方向には図6(A)のA-A′断面の図6(B)にも示すように開口部85aが設けてある。樹脂キャップ85は丸み付キャップ66と同様のR部を有するため、シース内面を傷つけないという点で図4(B)、図5(A)と同様の効果を有する。
【0058】図7(A)にシースを傷つけない他の方法を示す。図4(A)の構成において、シース内面を傷つける可能性を持つ繋ぎ部材56のレンズ枠54との接合部の端部56aを光照射・受光部から離して配置する構成にしている。
【0059】例えばレンズ枠54の外周面を後端側に対してその先端側をテーパ状に細径にしてその先端側にプリズム51等を取り付けている。光学シース38に対してレンズユニット39が相対的に移動しても、繋ぎ部材56の端部56aで仮に傷が生じても、その位置までは光照射受光部が移動しないので、光の送受に影響を及ぼすことはない。
【0060】図7(B)に更に別の方法を示す。図4(A)の構成におけるシース38を繋ぎ部材56の前端部56aと空隙を有して対向する突き当て部74aを有する透明シース74と、繋ぎ部材端56の後端部56bと空隙を有して対向する突き当て部75bを有する根元側シース75を接合して構成されている。
【0061】繋ぎ部材56の位置は自在に回転できるが、この構成では突き当て部74aと突き当て部75bにより規制されるため、繋ぎ部材56の前端部56aおよびレンズ枠54の角部54aにより生じるシース内部の傷は、光照射・受光部に現れないようにできる。
【0062】図8はコネクタ部9の詳細な構成を示す。光学シース38はシース止め86の前面に設けたタケノコ状の突起を有する口金部87に着脱自在に取り付けられている。また、シース止め86には折れ止め88が設けられており、光学シース38の後端(基端)部分を折れ止め88で覆うようにしている。
【0063】この光学シース38の後端部より突出するフレキシブルシャフト40はコネクタ止め90に取り付けられる。このコネクタ止め90は光コネクタ91に接着部92で接合されている。
【0064】また、コネクタ止め90は軸受け93を介して回転自在に軸受け台94に保持されている。軸受け台94はケース95と締め付けリング96によって回転駆動装置13に取り付けられる。
【0065】また、軸受け台94の前端面にシース止め86の後端面が押しつけられ、止めネジ89でシース止め86がケース95に着脱自在で固定される。この場合、軸受け台94の端面に設けた凹部にシース止め86の端面に設けた回転止め用突起86aをはめ込むことによりシース止め86が不用に回転しないようにしている。
【0066】また、光コネクタ91は第4のシングルモードファイバ10と回転駆動装置13を接続するためのフェルール97と光コネクタ91の接続方向を定める回り止め98を有する。光コネクタ91を回転することにより、コネクタ止め90が回転し、フレキシブルシャフト40に回転が伝達される。また、コネクタ止め90とフレキシブルシャフト40とシングルモードファイバ10は水密接着部99で水密を確保して接着されている。
【0067】また、コネクタ止め90と軸受け台94の間にはOリング100が水密シールとして設けられている。また、シース止め86と軸受け台94の間にも水密シールの機能を備えたOリング101が設けられている。これらの水密シールにより、光学シース38とフレキシブルシャフト40との間に充填された屈折率整合水が漏れ出すことがなく、軸受け台94に設けられた注水口102より屈折率整合水を封入することができる。
【0068】また、フレキシブルシャフト40の隙間から内部に浸入した水も漏れ出すことはない。注水口102は通常は注水蓋103で閉塞されている。また、軸受け台94とケース95との間にもOリング104を介挿して水密を確保している。
【0069】本実施の形態では、図8に示すように光学シース38の基端はシース止め86の口金部87に着脱自在で接続した構成になっているので、光学シース38の内面に傷ができた場合には、光学シース38を口金部87から引き離し、新しい光学シースと交換するのみで、その他はそのまま使用してOCT像を得るのに使用できる。」
イ「【0080】(第3の実施の形態)次に本発明の第3の実施の形態を説明する。本実施の形態の目的は光プローブを交換した場合にも、光路長の長さのバラツキを自動的に補正して、確実に断層像を得ることができる光イメージング装置を提供することにある。
【0081】図10は第1の光路長変化手段と第2の光路長変化手段の構成を示す。図1における第2のシングルモードファイバ5の端部に設けた光路長の可変機構14の他の実施の形態に相当する。
【0082】本実施の形態における第2のシングルモードファイバ115から出射した光はコリメートレンズ116により平行光に変換され、反射ミラー117に入射し、直角方向に反射される。この反射ミラー117からの光はコーナミラー118により再び反射ミラー117に入射し、ファラデーローテータ119を透過し、レンズ120に入射する。
【0083】コーナミラー118は一軸スライダ121に取り付けられ、コーナミラー118は矢印cで示す方向に移動自在であり、反射ミラー117とコーナミラー118の間隔を変えることで光路長を大きく変化させることができる。
【0084】レンズ120に入射した光はミラー122により反射し、グレーティング123に入射し、グレーティング123により分光された光はレンズ124によってガルバノメータミラー125に入射する。ガルバノメータミラー125を反射した光は逆の光路を通って第5のシングルモードファイバ115に入射する。ガルバノメータミラー125を走査させることにより光遅延時間を変化させることができる。その他は第1の実施の形態と同様の構成である。
【0085】第1の実施の形態における図4(A)に示される物体側の干渉系のアームにある光走査プローブ8に設けられたファラデローテータ52と、参照光側のアームにあるファラデーローテータ119によって、光走査プローブ8の湾曲により内部にあるファイバが湾曲することによって生じる複屈折性を補償することができることは、“Rapid acquisition of in vivo biological images by use of optical coherene tomography”,G.J.Tearney et.al,Optics Letters,vol.21,N0.17,p.1408-1410,1996に開示されている。
【0086】図11は第1の光路長変化手段と第2の光路長変化手段の他の構成例を示す。第2のシングルモードファイバ115から出射した光はコリメートレンズ131により平行光に変換され、コーナミラー118により2回反射し、レンズ132に入射する。
【0087】コーナミラー118には一軸スライダ121が設けられ、コリメートレンズ131とレンズ132とコーナミラー118の間隔を変えることで光路長を大きく変化させることができる。
【0088】レンズ132に入射した光はシングルモードファイバ133に入射し、シングルモードファイバ1337から出射した光はレンズ134によりグレーティング123に入射し、グレーティング123により分光された光はレンズ124によってガルバノメーターミラー125に入射する。ガルバノメーターミラー125を反射した光は逆の光路を通って第2のシングルモードファイバ115に入射する。
ガルバノメーターミラー125を走査させることにより光遅延時間を変化させることができる。その他は第1の実施の形態と同様の構成である。
【0089】図12(A)に本実施の形態の光イメージング装置で得られた像を示す。モニタ像121の中心122を中心としてシース外面の環状の反射像123および生体組織の像124が得られている。モニタ中心122が光プローブ8の回転中心に対応している。
【0090】図12(B)にモニタの中心122と光プローブ8の回転中心がずれた像を示す。
これは、第4のシングルモードファイバ10およびレンズユニット39の光路長が想定していた長さと、実際とずれていた場合におきる。
【0091】シース外面の反射像123の直径が増え、同様に生体組織の像124も拡大している。従って、正確な診断が行うことができない。そのため、正確な光路長を算出する必要がある。
【0092】図13から図16に正確な光路長を算出する方法を示す。
図9および図10で示された光路長変化手段で光路長を変化させながら反射強度を得ると図13のような信号が得られる。横軸125が光路長(距離)を示し、縦軸126が反射強度を示す。
符号127がファイバ端に対応した反射ピークを示し、符号128がGRINレンズ53の入射端、符号129がファラデーローテータ52の入射端、符号130がプリズム51の入射端、符号131がシース内面、符号132がシース外面、符号133が測定生体組織での反射を示す。それぞれの反射ピークの間隔はそれぞれの光学素子の光路長に対応している。
【0093】図14は像の中心となる光路長の位置を決定する方法を示す。まず、ステップS1で反射強度のピークと、そのピークに対応する光路長を検出する。次のステップS2でプリズム、GRINレンズの入射・出射面の光路長とパターンマッチングを行う。
【0094】次にステップS3で一致する位置を検出し、プリズムの出射端の位置を同定する。次のステップS4で、像の中心となる光路長の位置を決定する。また、図15および図16に像の中心となる光路長の位置を決定する別の方法を示す。」
ウ「【0095】図15に示すように光プローブ8の先端にキャリブレーション治具143を置く。このキャリブレーション治具143はその内面には高い反射率を有する塗装膜144が形成されている。
【0096】そして、図16に示すように最初のステップS5で図14のステップS1と同様に反射強度のピークと、そのピークに対応する光路長を検出する。次のステップS7で最大強度の反射ピークをキャリブレーション治具143からの反射として同定する。
【0097】次のステップS8で、上記ピークの1つ手前側のピークをシース表面からの反射として同定する。そして、次のステップS9でシース外径より像の中心となる光路長の位置を決定する。図17は水平方向に走査する光走査プローブ148を示す。フレキシブルシャフト40とGRINレンズ53とプリズム51とシングルモードファイバ10は保持部材151により接合されている。フレキシブルシャフト40を左右方向fに走査することにより観察ビーム62および焦点63は左右方向gに走査され、水平方向に走査した場合の像を得ることができる。
【0098】図18に図17のプローブで得られたモニタ像152を示す。モニタ像152にシース外面の像123と生体組織の像124が得られる。モニタ上辺とシース外面の像123の距離hは図15、図16に示された同様の方法で光路長を算出することができる。
【0099】図19はプローブの正面方向に走査する光走査プローブ158を示す。光走査プローブ158はシース或いはレンズ枠161の内側にシングルモードファイバ10を配置し、その先端面に対向してレンズ枠161の先端開口に取り付けた対物レンズ162を経て光を出射できるようにする。
【0100】また、シングルモードファイバ10の先端部163には例えばピエゾ素子164が取り付けられ、ピエゾ素子164(の電極)に図示しない信号線を介して信号レベルが変化する駆動信号を印加することにより、先端部163を図19に示すように上下方向jに走査する構成になっている。
【0101】このピエゾ素子164によりシングルモードファイバ10の先端部163を上下方向に走査することにより観察ビームが生体組織11を上下方向kに走査され、生体組織11の像を得ることができる。
【0102】図20に図19の光走査プローブ158で得られた像を示す。モニタ像152としてシース外面の像165と生体組織11の像124が得られる。モニタ上辺とシース外面の像165の距離mは図14、図16に示された同様の方法で光路長を算出することができる。」
エ「【0123】[付記]
・・・(中略)・・・
【0146】5.被検体に低干渉性光を照射し、被検体において散乱した光の情報から被検体の断層像を構築する光イメージング装置であって、低干渉性光を被検体に伝送するためのシングルモードファイバが内蔵された交換可能な光コネクタ部を持つ光プローブ部と、前記光プローブ部と接続し、被検体から戻ってきた低干渉性光と基準光とを干渉させるとともに、前記干渉位置を光軸に対し軸方向に走査するため、その走査範囲に対応した伝搬時間を変化する第1の伝搬時間変化手段と、光プローブの先端光学部材の光学係数の変化とその光路長を検出する検出手段と、光学係数の変化とその光路長より光プローブの光路長を算出する算出手段と、算出された光プローブの光路長に対応して伝搬時間を変化する第2の伝搬時間変化手段と、を有する光イメージング装置。
【0147】5-1.付記5において、検出手段が、少なくとも第1または第2の伝搬時間変化手段の一方により伝搬時間を変化させ、光プローブ内の光学部材から戻ってきた低干渉性光と基準光とを干渉させ、前記干渉位置を光軸に対し軸方向に走査し、その干渉強度と干渉位置を検出するもの。
5-2.付記5において、光学係数の変化が、光学素子の表面の反射強度であるもの。
【0148】5-2-1.付記5-2において、光プローブ先端部が、光ファイバおよび光ファイバからの光を集光するレンズおよび光軸の方向を該直角に曲げるプリズムを有し、算出手段が、光ファイバ端、レンズ表面、プリズム面の反射強度のピークにより光プローブの光路長を算出するもの。
5-2-2.付記5-2において、光プローブが、全長の大部分が柔軟な樹脂チューブであって少なくともその先端は光透過性の良い素材で形成されているシースを有し、算出手段がシースの外面または内面の反射強度のピークにより光プローブの光路長を算出するもの。
5-2-3.付記5-2において、光学素子各面の反射強度および反射間隔より光学素子の位置を同定し、光プローブの光路長を算出するもの。
【0149】(付記5の背景)
(付記5に対する従来技術)特表平6-511312では光プローブを交換して使用した場合における個々の光プローブの長さのバラツキを考慮していないので、長さのバラツキのために、断層像を得る範囲が狭くなったり、さらには断層像を得ることができなくなる欠点があった。また、体腔内で使用場合には、内視鏡の観察下で使用できるようにすることが望まれ、その場合には内視鏡の鉗子チャンネル内を挿通して使用するが便利であるが、従来例では内視鏡の鉗子チャンネルの長さに応じて交換使用できるものを提案していなかった。それに対し、特願9-313924では観察のための光路長の走査手段とは別に光路長の可変手段を設け光プローブの長さの変化に対応させているが、個々の光プローブの長さの徴少なばらつきに関しては観察者が調整する必要があり、煩雑であるという問題が有る。
【0150】(付記5の目的)光プローブを交換した場合にも、光路長の長さのバラツキを自動的に補正して、確実に断層像を得ることができる光イメージング装置を提供する。
(付記5の作用)付記5の構成により、光プローブの光路長を自動的に校正することで、光プローブを交換して使用した場合にも、正しい観察像が得られる。」
(2)引用文献1の記載から読み取れる事項の認定
ア 引用実施形態
(ア)上記「(1)イ」において摘記したように、引用文献1の【0080】-【0094】には、「第3の実施の形態」のうち、光路長を決定する方法のうちの実施形態の1つ(以下「引用実施形態」という。)が開示されていると認められる。
(イ)上記「(1)イ」において摘記したように、引用文献1の【0081】-【0084】、及び【0086】-【0088】において、「図1における第2のシングルモードファイバ5の端部に設けた光路長の可変機構14の他の実施の形態」がそれぞれ記載されるとともに、【0084】及び【0088】のそれぞれにおいて、「その他は第1の実施の形態と同様の構成である」ことが記載されている。
したがって、引用実施形態において、「光路長の可変機構」以外の構成は、【0010】-【0069】に開示の「第1の実施の形態」と同様であることが認められる。
(ウ)上記「(1)イ」より、引用文献1には、引用実施形態に関して、
「光プローブを交換した場合にも、光路長の長さのバラツキを自動的に補正して、確実に断層像を得ることができる光イメージング装置を提供することを目的としており(【0080】)、
低干渉性光源の光を光プローブの先端側から被検体としての生体組織側に走査されながら照射し(【0014】、【0017】)、前記生体組織側での表面或いは内部での散乱などした反射光の一部を取り込んで前記生体組織の内部の断層画像データを得る光イメージング装置であって(【0014】、【0017】、【0030】)、
前記低干渉性光源の光を伝送するシングルモードファイバを内部に挿通し(【0016】)、交換可能なコネクタ部を有する光プローブと(【0016】、【0080】)、
前記光プローブと接続し、前記生体組織での反射光と基準光とを干渉させるとともに(【0026】)、前記生体組織の深さ方向に走査するため、所定の距離の走査範囲だけ光路長を変化させる第1の光路長変化手段と(【0018】、【0084】)、
前記光プローブが、光ファイバ、GRINレンズ、及びプリズムからなる光学素子を有しており(【0091】)、
それぞれの光学素子での反射強度と光路長の変化を検出して前記光プローブの正確な光路長を算出し(【0091】、【0092】、【0093】、【0094】)、算出された光路長に基づき前記光プローブの光路長のバラツキを吸収する第2の光路長変化手段(【0023】、【0084】、【0094】)と、
を有する光イメージング装置(【0080】)。」
が記載されていると認められる。
(エ)一方、上記「(1)エ」において摘記したように、引用文献1には「付記5」として、
「光プローブを交換した場合にも、光路長の長さのバラツキを自動的に補正して、確実に断層像を得ることができる光イメージング装置を提供することを目的としており(【0150】)、
被検体に低干渉性光を照射し、被検体において散乱した光の情報から被検体の断層像を構築する光イメージング装置であって(【0146】)、
低干渉性光を被検体に伝送するためのシングルモードファイバが内蔵された交換可能な光コネクタ部を持つ光プローブ部と(【0146】)、
前記光プローブ部と接続し、被検体から戻ってきた低干渉性光と基準光とを干渉させるとともに、前記干渉位置を光軸に対し軸方向に走査するため、その走査範囲に対応した伝搬時間を変化する第1の伝搬時間変化手段と(【0146】)、
光プローブが光ファイバおよび光ファイバからの光を集光するレンズおよび光軸の方向を該直角に曲げるプリズムからなる光学素子を有し(【0148】)、
前記光学素子の反射強度の変化とその光路長を検出して光プローブの光路長を算出し、算出された光プローブの光路長に対応して伝搬時間を変化させる第2の伝搬時間変化手段と(【0146】、【0147】、【0148】)、
を有する光イメージング装置(【0146】)。」
が記載されていると認められる。
(オ)上記「(ウ)」に記載の「光プローブ」、「第1の光路長変化手段」、「光学素子」、「第2の光路長変化手段」は、それぞれ上記「(エ)」に記載の「光プローブ部」、「第1の伝搬時間変化手段」、「光学素子」、「第2の伝搬時間変化手段」に相当するものであり、上記「(ウ)」及び上記「(エ)」に記載の「光イメージング装置」は、目的及び各構成要素が互いに一致するものである。
したがって、引用文献1の【0146】-【0150】に開示の「付記5」は、引用実施形態について言及したものと認められる。
イ 図13看取事項
(ア)引用文献1の図13は次のとおりである。
「
[図:0001427594000001.jpg]
」
(イ)上記図13から、≪GRINレンズの入射端によって生成される反射強度のピークは、生体組織からの反射光を含む他の反射光と識別可能である。≫との態様(以下「図13看取事項」という。)を看取できる。
(3)引用発明の認定
上記(1)及び(2)より、引用文献1には、引用実施形態に係る下記の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認める。ここで、各構成単位末尾の括弧内に、主たる認定根拠となった記載箇所を示す。
「a1 患部等の生体組織のOCT像を構築する光イメージング装置であって(【0027】、【0030】、【0146】)、
b 光プローブ8と(【0016】)、
c 前記光プローブ8のコネクタ部9に着脱自在で接続される、低干渉性光源2を含む観測装置27を備え(【0014】、【0016】)、
d 前記光プローブ8は、
細長い管状の樹脂チューブで構成され、内側に内腔を有するフレキシブルシャフト40が設けられた光学シース38と(【0032】)、
e 自在に回転して回転力を伝達する前記フレキシブルシャフト40の内腔に設けられ、前記フレキシブルシャフト40と一体で回転する第4のシングルモードファイバ10と(【0032】、【0038】)、
f 前記フレキシブルシャフト40の先端に接続されたレンズユニット39とを、含み(【0032】)、
g 前記フレキシブルシャフト40の内腔に第4のシングルモードファイバ10が設けられ(【0032】)、
h 前記レンズユニット39は、検査光を外部に出射し、生体組織からの反射光を受光し(【0038】)、
i 前記観測装置27は、
前記光プローブ8のコネクタ部9に接続されて光を伝送する第3のシングルモードファイバ7、光ロータリジョイント6、第1のシングルモードファイバ3、光カップラ部4、第2のシングルモードファイバ5、及びフォトダイオード12を含み(【0016】、【0017】)、
j 前記第3のシングルモードファイバ7から前記光プローブ8に光を伝送し、前記生体組織からの反射光が前記フォトダイオード12に入射され(【0016】、【0017】)、
k 前記レンズユニット39は、前記第4のシングルモードファイバ10からの光を集光するGRINレンズ53を有し、前記GRINレンズ53の入射端において反射強度のピークが現れ(【0039】、【0041】、【0092】)、
l 前記第4のシングルモードファイバ10からの光を集光する前記GRINレンズ53の入射端によって生成される反射強度のピークは、前記生体組織からの反射光を含む他の反射光と識別可能であり(【0041】、【0092】、【図13看取事項】)、
m 光プローブを交換した場合にも、光路長の長さのバラツキを自動的に補正するために、ファイバ端、レンズ表面、プリズム面の反射強度のピークにより前記光プローブ8の光路長を算出し(【0080】、【0148】)、
n 算出された前記光路長に対応して前記光プローブ8の光路長を自動的に校正する(【0146】、【0150】)、
a2 光イメージング装置(【0080】、【0146】)」
第5.対比
1 本願発明1と引用発明との対比
(1)本願発明1と引用発明とを対比する。
ア(構成A1について)
引用発明の構成a1の「患部等の生体組織のOCT像」は、患者の患部等の診断のために撮像されるものであることは自明である。そして、構成a1の「光イメージング装置」は、本願発明1の構成A1の「撮像システム」に相当する。
したがって、構成a1の「患部等の生体組織の断層像を構築する光イメージング装置」は、構成A1の「患者のための撮像システム」に相当する。
よって、引用発明は本願発明1の構成A1を満たす。
イ(構成Bについて)
引用発明の構成bの「光プローブ8」は、本願発明1の構成Bの「撮像プローブ」に相当する。
よって、引用発明は本願発明1の構成Bを満たす。
ウ(構成Cについて)
引用発明の構成cの「前記光プローブ8のコネクタ部9に着脱自在で接続される」、「観測装置27」は、それぞれ本願発明1の構成Cの「前記撮像プローブに動作可能に接続するように、構成および配置された」、「コンソール」に相当する。
よって、引用発明は本願発明1の構成Cを満たす。
エ(構成Dについて)
引用発明の構成dの「フレキシブルシャフト40」が、近位端、遠位端をそれぞれ有することは自明である。そして、構成dの「フレキシブルシャフト40」の「内腔」は、本願発明1の構成Dの「ルーメン」に相当し、構成dの「フレキシブルシャフト40」は、構成Dの「前記近位端と前記遠位部との間に延設するルーメンとを含む、細長いシャフト」に相当する。
よって、引用発明は本願発明1の構成Dを満たす。
オ(構成Eについて)
引用発明の構成eの「第4のシングルモードファイバ10」が近位端と遠位端をそれぞれ有することは自明であることから、構成eの「自在に回転して回転力を伝達する前記フレキシブルシャフト40の内腔に設けられ、前記フレキシブルシャフト40と一体で回転する第4のシングルモードファイバ10」は、本願発明1の構成Eの「近位端と遠位端とを含む、回転可能な光学コア」に相当する。
よって、引用発明は本願発明1の構成Eを満たす。
カ(構成Fについて)
引用発明の構成fの「前記フレキシブルシャフト40の先端」は「第4のシングルモードファイバ10」の遠位端の近位に位置することは自明であり、構成fの「レンズユニット39」は、本願発明1の構成Fの「光学アセンブリ」に相当する。したがって、構成fの「前記フレキシブルシャフト40の先端に接続されたレンズユニット39」は、構成Fの「前記回転可能な光学コアの前記遠位端の近位で配置される、光学アセンブリ」に相当する。
よって、引用発明は本願発明1の構成Fを満たす。
キ(構成Gについて)
引用発明の構成gの「前記フレキシブルシャフト40の内腔に第4のシングルモードファイバ10が設けられ」は、本願発明1の構成Gの「前記回転可能な光学コアの少なくとも一部は、前記細長いシャフトの前記ルーメン内に、配置され」に相当する。
よって、引用発明は本願発明1の構成Gを満たす。
ク(構成Hについて)
引用発明の構成hの「外部」は、外部の生体組織を意味することは自明であり、構成hの「検査光を外部に出射し、生体組織からの反射光を受光し」は、本願発明1の構成Hの「光を組織に向け、さらに、前記組織からの反射光を収集する、ように構成され」に相当する。
よって、引用発明は本願発明1の構成Hを満たす。
ケ(構成Iについて)
引用発明の構成iの「前記光プローブ8のコネクタ部9に接続されて光を伝送する」は、本願発明1の構成Iの「前記撮像プローブに光学的に接続するように、構成および配置された」に相当する。そして、構成iの「第3のシングルモードファイバ7、光ロータリジョイント6、第1のシングルモードファイバ3、光カップラ部4、第2のシングルモードファイバ5、及びフォトダイオード12」は、生体組織からの反射光を伝送するものであることから、構成Iの「撮像アセンブリ」に相当する。
よって、引用発明は本願発明1の構成Iを満たす。
コ(構成Jについて)
引用発明の構成jの「前記第3のシングルモードファイバ7から前記光プローブ8に光を伝送し」、「前記生体組織からの反射光が前記フォトダイオード12に入射され」は、それぞれ本願発明1の構成Jの「前記撮像アセンブリは、前記撮像プローブ内に光を出射し」、「前記光学アセンブリにより収集された前記反射光を受取る」に相当する。
よって、引用発明は本願発明1の構成Jを満たす。
サ(構成Kについて)
光ファイバとGRINレンズは、互いに材質が異なるものであり、互いに異なる屈折率を有することは文献を提示するまでもなく技術常識である。そして、引用発明の構成kの「前記第4のシングルモードファイバ10からの光を集光するGRINレンズ53」「の入射端において反射強度のピークが現れ」ることが、「第4のシングルモードファイバ10(光学コア)」と、「レンズユニット39(光学アセンブリ)」の一部である「GRINレンズ53」が互いに異なる屈折率を有することにより、前記第4のシングルモードファイバ10から前記GRINレンズ53の端部に入射する光の一部が背面反射されることを意味することは、当業者にとって自明である。
したがって、構成kの「前記レンズユニット39は、前記第4のシングルモードファイバ10からの光を集光するGRINレンズ53を有し、前記GRINレンズ53の入射端において反射強度のピークが現れ」は、本願発明の構成Kの「前記光学アセンブリは、第一の屈折率を有し、前記回転可能な光学コアは、前記第一の屈折率と異なる第二の屈折率を有し」に相当する。
よって、引用発明は本願発明1の構成Kを満たす。
シ(構成Lについて)
引用発明の構成lの「反射強度のピークは、前記生体組織からの反射光を含む他の反射光と識別可能であり」、「前記第4のシングルモードファイバ10からの光を集光する前記GRINレンズ53の入射端」は、それぞれ本願発明1の構成Lの「前記反射光は、1つ以上の識別可能な背面反射を含み」、「前記第二の屈折率を有する前記回転可能な光学コアと前記第一の屈折率を有する前記光学アセンブリとの間のインターフェイス」に相当する。
したがって、構成lの「前記第4のシングルモードファイバ10からの光を集光する前記GRINレンズ53の入射端における反射強度のピークは、前記生体組織からの反射光を含む他の反射光と識別可能であり」は、構成Lの「前記反射光は、1つ以上の識別可能な背面反射を含み、1つ以上の前記識別可能な背面反射の少なくとも1つは、前記第二の屈折率を有する前記回転可能な光学コアと前記第一の屈折率を有する前記光学アセンブリとの間のインターフェイスによって生成され」に相当する。
よって、引用発明は本願発明1の構成Lを満たす。
ス(構成Mについて)
引用発明において、構成mの「レンズ表面」「の反射強度のピーク」が、構成lの「前記GRINレンズ53の入射端によって生成される反射強度のピーク」と同じものを意味することは、上記「第4.1(2)ア(オ)」を鑑みても自明である。
そして、引用発明において、「前記光プローブ8の光路長を算出」することは、「光プローブを交換した場合にも、光路長の長さのバラツキを自動的に補正するために」行うものであるから、引用発明において「算出」される「前記光プローブ8の光路長」が、交換の対象である「光プローブ8」の起端部である「コネクタ部9」(撮像アセンブリとの接続部)からの「光プローブ8の光路長」であることは、明らかである。
そして、「反射強度のピーク」により得られる位置の情報は、「GRINレンズ53の入射端」の位置であるから、引用発明において、「前記光プローブ8の光路長」が、「コネクタ部9」から「GRINレンズ53の入射端」までの距離であることは、明らかである。
以上より、引用発明において、「ファイバ端、レンズ表面、プリズム面の反射強度のピークにより前記光プローブ8の光路長を算出」することは、本願発明1において、「前記撮像アセンブリと前記光学アセンブリとの間の距離を決定する」ことに相当する。
よって、引用発明の構成mは、本願発明1の構成Mのうち、「前記コンソールは、前記撮像アセンブリと前記光学アセンブリとの間の距離を決定するように構成され」を充足する。
セ(構成Nについて)
引用発明の構成nの「前記光プローブ8の光路長を自動的に校正する」ことは、既知の光路長も含めた全ての光路長が校正されることを意味する。
したがって、構成nの「算出された前記光路長に対応して前記光プローブ8の光路長を自動的に校正する」は、本願発明1の構成Nの「前記コンソールは、測定された前記距離に基づいて校正される」に相当する。
よって、引用発明は本願発明1の構成Nを満たす。
ソ(構成A2について)
引用発明の構成a2の「光イメージング装置」は、本願発明1の構成A2の「撮像システム」に相当する。
よって、引用発明は本願発明1の構成A2を満たす。
2 一致点・相違点
上記1によれば、本願発明1と引用発明とは下記(1)の点で一致し、下記(2)の点で一応相違する。
(1)一致する構成
「患者のための撮像システムであって、
撮像プローブと、
前記撮像プローブに動作可能に接続するように、構成および配置された、コンソールとを、備え、
前記撮像プローブは、
近位端、遠位部、および前記近位端と前記遠位部との間に延設するルーメンとを含む、細長いシャフトと、
近位端と遠位端とを含む、回転可能な光学コアと、
前記回転可能な光学コアの前記遠位端の近位で配置される、光学アセンブリとを、含み、
前記回転可能な光学コアの少なくとも一部は、
前記細長いシャフトの前記ルーメン内に、配置され、
前記光学アセンブリは、
光を組織に向け、さらに、前記組織からの反射光を収集する、ように構成され、
前記コンソールは、
前記撮像プローブに光学的に接続するように、構成および配置された、撮像アセンブリを含み、
前記撮像アセンブリは、
前記撮像プローブ内に光を出射し、さらに、前記光学アセンブリにより収集された前記反射光を受取る、ように構成され、
前記光学アセンブリは、第一の屈折率を有し、
前記回転可能な光学コアは、前記第一の屈折率と異なる第二の屈折率を有し、
前記反射光は、1つ以上の識別可能な背面反射を含み、
1つ以上の前記識別可能な背面反射の少なくとも1つは、前記第二の屈折率を有する前記回転可能な光学コアと前記第一の屈折率を有する前記光学アセンブリとの間のインターフェイスによって生成され、
前記コンソールは、前記撮像アセンブリと前記光学アセンブリとの間の距離を決定するように構成され、
前記コンソールは、測定された前記距離に基づいて校正される、
撮像システム。」
(2)一応相違する構成
ア 一応の相違点1(構成M)
コンソールが、撮像アセンブリと光学アセンブリとの間の距離を決定するにあたり、本願発明1では、「回転可能な光学コアの回転を必要とせずに」決定するのに対して、引用発明においては、回転可能な光学コアの回転を必要とせずに決定するのか否か不明である点(以下「一応の相違点1」という)。
第6.判断
1 一応の相違点について
(1)一応の相違点1について
上記一応の相違点1ついて検討する。
ア 引用発明のような、OCTを用いた光イメージング装置において光プローブを回転させる必要があるのは、光プローブを回転させることにより当該光プローブの周方向にわたって生体組織の断層像を撮像するためである。
一方、引用発明における光路長の校正は、「光プローブを交換した場合に、光路長の長さのバラツキを自動的に補正するため」(構成m)に行うものであって、「前記GRINレンズ53の入射端」における「反射強度のピーク」(構成l、m)等を取得して用いるものであるから、光プローブを回転させることにより当該光プローブの周方向にわたる撮像をする必要がないことは、当業者にとって自明である。
よって、引用発明も、「前記回転可能な光学コアの回転を必要とせずに、前記撮像アセンブリと前記光学アセンブリとの間の距離を決定する」ことに相当する構成を有しているといえるから、上記一応の相違点1は、実質的な相違点ではない。
イ また、本願発明は、「前記コンソールは、前記回転可能な光学コアの回転を必要とせずに、前記撮像アセンブリと前記光学アセンブリとの間の距離を決定する」と特定されているが、仮に、当該発明特定事項における「前記回転可能な光学コアの回転を必要とせずに」との事項が、回転を必要としないことのみを意味するのではなく、「前記撮像アセンブリと前記光学アセンブリとの間の距離を決定する」際に、「前記回転可能な光学コアの回転」を行っていないことを意味すると解釈した場合について、検討する。
引用発明においては、「前記反射強度のピークにより前記光プローブ8の光路長を算出し」(構成m)、「算出された前記光路長に対応して前記光プローブ8の光路長を自動的に校正する」(構成n)際に、「光プローブ8」の回転を行うか否かについては、特定されていない。
一方、引用文献1には、「前記反射強度のピークにより前記光プローブ8の光路長を算出」する際に、「光プローブ8」を回転させる機構が必要であることを示す記載も示唆もなく、引用発明のようなOCTを用いた光イメージング装置において、光路長の校正を行う際に、光プローブを回転させる機構が必要であるという技術常識もない。したがって、引用発明が、光路長の校正の際に光プローブを回転させない態様も含むことは、明らかである。また、明らかとまでは言えないとしても、引用発明において、光路長の校正の際の光プローブの駆動態様として、光プローブを回転させない実施形態を選択することは、当業者が容易に想到し得たことである。
よって、上記一応の相違点1は、実質的な相違点ではないか、実質的な相違点であるといえるとしても、引用発明から当業者が容易に想到し得たものである。
(2)小括
上記(1)のとおりであるから、本願発明1は引用発明と同一であり、また引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
2 審判請求人の主張について
(1)審判請求人の主張
審判請求人は審判請求書において、本願発明1の新規性及び進歩性に関し、概略以下の主張をする。
「引用文献1に係る発明では、像の中心となる光路長の位置を決定するため、シングルモードファイバ10及びGRINレンズ53を収容する光学シース38の外部に、反射鏡として機能するキャリブレーション治具143を設ける必要がある(段落0095-0097等参照)。当業者であれば、当該反射鏡を用いた光路長の位置の決定を開示する引用文献1に接した際に、当該光路長の位置の決定に、シングルモードファイバ10の回転が必要である点を容易に理解することができる。
一方、本願発明1においては、隣り合う光学アセンブリおよび光学コアとの屈折率が互いに異なるため、光学アセンブリと光学コアとのインターフェイスにおいて、意図的な光の反射が発生する。この反射は、前記の反射鏡による反射光の代わりに、撮像アセンブリと光学アセンブリとの間の距離(光路長)を決定するために用いることができる。これにより、当該距離を決定するための前記反射鏡等の部材を別途設ける必要がなくなるので、撮像プローブの構成が複雑になることを抑制することができるという有利な効果が奏される。引用文献1には、シングルモードファイバ10の屈折率とGRINレンズ53の屈折率とが異なることは、開示されていない。
また、光学アセンブリと光学コアとのインターフェイスにおける背面反射は、光学コアが回転しているか否かに拘わらず生成されるものである。そのため、前記距離を決定するために光学コアを回転させる必要はなく、撮像システムの使用時における動作の制約を減らすことができるという有利な効果が奏される。
光学アセンブリと光学コアとが互いに異なる屈折率を有すること、及び撮像アセンブリと光学アセンブリとの間の距離が光学コアの回転を必要とせずに決定されることは、引用文献1には、開示も示唆もされていない。
したがって、本願発明1は、引用文献1に見られない目的、構成、作用、及び効果を有する以上、新規性及び進歩性を有するものである。」
(2)審判請求人の主張についての判断
上記「第4.1(1)イ」において摘記した、引用文献1の【0080】-【0094】において、反射鏡として機能するキャリブレーション治具を設けることなく光路長の校正を行う実施形態が記載されており、光路長の校正の際に、前記キャリブレーション治具は必須の構成ではなく、さらに前記キャリブレーション治具を用いて光路長の校正を行う場合であっても、光学コアを回転させる必要性がないことも技術常識である。そして、上記「第5.1(1)サ」にて説示したとおり、光学アセンブリ(GRINレンズ)と光学コア(光ファイバ)の屈折率が互いに異なることは技術常識であり、上記「第6.1(1)」にて説示したとおり、コンソールが、撮像アセンブリと光学アセンブリとの間の距離を決定するにあたり、光プローブの光学コアの回転が必要でないことは、引用文献1に記載されているに等しい事項である。
したがって、審判請求人の主張はいずれも理由がない。
第7.むすび
以上のとおり、本願発明1は、引用文献1に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し、かつ引用文献1に記載された発明に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2024-008956