特許拒絶査定不服審判
2017-012143
担体プレート、担体プレートを備えた装置および担体プレートの製造方法
- 審判番号
- 2017-012143
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2015-528944外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年08月15日
- 審決日
- 2018年08月22日
- 公報発行日
- 2019年02月22日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】スナップトラック・インコーポレーテッド
- 【請求人代理人】蔵田 昌俊
- 【請求人代理人】福原 淑弘
- 【請求人代理人】井関 守三
- 分類
- P18 .121-Z (H05K) / P18 .113-Z (H05K) / P18 .575-Z (H05K)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第6項、特許法第29条第1項第3号、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2015-528944「担体プレート、担体プレートを備えた装置および担体プレートの製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 3月 6日国際公開、WO2014/032940、平成27年11月19日国内公表、特表2015-533260〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1.手続の経緯
本願は、2013年8月9日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2012年8月27日 ドイツ)を国際出願日とする出願であって、平成28年1月13日付けの拒絶理由の通知に対して、平成28年4月19日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされ、平成28年9月16日付けの拒絶理由の通知に対して、平成28年12月26日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、平成29年5月8日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成29年8月15日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされ、さらに、平成29年10月26日付けで前置報告がなされ、平成29年12月20日付けで上申書が提出されたものである。
第2.平成29年8月15日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成29年8月15日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1.本件補正について(補正の内容)
(1)本願発明と本件補正発明
本件補正は、平成28年12月26日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された、
「【請求項1】
セラミック基板(2)と、少なくとも1つの導体配線(3)とを有する担体プレート(1)であって、
・前記導体配線(3)は、前記セラミック基板(2)上に直接載置されている第1層(41)を有し、
・前記導体配線(3)は、前記第1層(41)上に配置された第2層(42)を有し、
・前記第2層(42)は、リード線領域(421)と、はんだ領域(422)とを有し、
・前記第2層(42)は、前記第2層(42)が前記リード線領域(421)と前記はんだ領域(422)との間で完全に中断する中断領域(423)を含み、
前記導体配線(3)は、前記第1層と前記第2層(41、42)との間に配置されている第3層(43)を有し、前記第3層(43)は、前記中断領域(423)の下方で貫通している、
担体プレート(1)。」
という発明(以下、「本願発明」という。)を、補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された、
「【請求項1】
セラミック基板(2)と、少なくとも1つの導体配線(3)とを有する担体プレート(1)であって、
・前記導体配線(3)は、前記セラミック基板(2)上に直接載置されている、銅または銀もしくはこれらからなる組み合わせからなる第1層(41)を有し、
・前記導体配線(3)は、前記第1層(41)上に配置された第2層(42)を有し、
・前記第2層(42)は、リード線領域(421)と、はんだ領域(422)とを有し、
・前記第2層(42)は、前記第2層(42)が前記リード線領域(421)と前記はんだ領域(422)との間で完全に中断する中断領域(423)を含み、
前記導体配線(3)は、前記第1層と前記第2層(41、42)との間に配置されている第3層(43)を有し、前記第3層(43)は、前記中断領域(423)の下方で貫通している、
担体プレート(1)。」
という発明(以下、「本件補正発明」という。)にすることを含むものである。(下線部は、補正箇所である。)
2.補正の適否
本件補正は、補正前の請求項1に記載された発明の発明特定事項である「第1層」について、「銅または銀もしくはこれらからなる組み合わせからなる」として材質を限定するものである。また、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものか否か(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否か)を検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1.の(1)で記載したとおりのものである。
(2)引用文献、引用発明
(ア)引用文献1
原査定の拒絶の理由において引用された、特開2008-227055号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。(下線は、当審において付加した。以下、同じ。)
a.「【技術分野】
【0001】
この発明は、コンデンサや抵抗や半導体素子等の電子部品が所定領域に載置され、はんだ材で接合された回路基板に関する。」
b.「【0003】
この際、配線回路の表面を覆う金属として、はんだ材が接合しやすく、かつワイヤーボンディングしやすい金属が使用され、例えばAuが一般的に用いられる。ところが、配線回路の表面は全てAuで覆われているため、はんだ材は基板上で溶融させたときに、搭載する部品外周よりも外側に流れ出す。このとき、溶融したはんだ材が、電子部品を搭載した場所と連続する配線回路の表面を流れて、電子部品を搭載した配線回路に連続するワイヤーボンディング領域に流れ出す。この結果、ワイヤーボンディングを阻害するような実装上の問題を引き起こす。」
c.「【0013】
セラミック回路基板2の表面に形成した配線回路の表面には、はんだ材4を用いて電子部品5が固定される。
図1では、電子回路5として、コンデンサ素子であるチップキャパシタを用いた例を示している。チップキャパシタは両端に電極が設けられ、チップサイズがある程度大きいので、はんだ付けの際に、図のように電極の端部にはんだフィレットが形成される。電子回路5のそれぞれの電極は、セラミック回路基板2の表面に形成した異なる2つの配線線路における部品搭載部において、それぞれはんだ材4により接合される。すなわち、電子回路5は異なる2つの配線線路に跨って実装されている。部品搭載部には、電子回路5を載置する導体パッド13が構成されている。」
d.「【0017】
図2は、この発明の実施の形態1におけるセラミック回路基板2のはんだ流れ防止構造の詳細を示す断面図である。
【0018】
図2において、セラミック素材9の上には、セラミック素材9と回路導体の密着力を向上させるための接合層10を形成し、接合層10の上に電気的に良導体であるCuから成る導体層11を形成する。また、接合層10に用いる金属は、一般的にCr,Ni-Cr,W,Ta,Ti、またはそれらの合金を用いて構成され、例えば10nm~500nmの膜厚にすると、セラミック素材9と導体層11を構成するCuとの接合力が向上する。導体層11は、電気的損失を極小とする目的の上ではCuを用いるのが好適である。しかし、導体層11としては、Cuの他、Ag、Au、Pt、Pd、およびそれらの合金等電気的良導体であれば制限されるものではない。導体層11の膜厚は、例えば標準的な0.5μm~10μmとするのが良い。
【0019】
導体11の上には、導体層(ニッケル導体層)12を構成するNi(ニッケル)層を形成しなければならない。導体層12のNiの純度、製法は様々あるが、蒸着法、スパッタ法、イオンアシスト蒸着法等何れを用いても良く、電解めっきや無電解めっきで形成される有燐Niめっきであっても構わない。例えば、蒸着法、スパッタ法等の真空中で形成されるNi膜であれば、標準的な膜厚は0.1μm~5μmであり、めっき法によれば2μm~10μmが良い。
【0020】
ワイヤーボンディングパッド7は、ワイヤー6の一端部との接合層であり、例えばAuから成る金膜層とすることが好適である。導体パッド13は、電子部品5との接合層であり、はんだ付け性とワイヤーボンディング性の両方を兼ね備えた金属であり、例えばAuから成る金膜層とすることが好適である。ワイヤーボンディングパッド7と導体層13(審判注:「導体パッド13」の誤記と認められる。)との両方のAu膜厚は、はんだ材4による接合性とワイヤー6の接合性から、例えば0.5μm~2μmが好ましい。
【0021】
図2において、はんだ流れ出し防止部8は、部品搭載部の導体パッド13とワイヤー6を接合させた部分を仕切る形状で設けられている。はんだ流れ出し防止部8は、Ni膜12が露出した部分から成る。このNi膜12の表面には酸化膜が形成され、酸化ニッケル層を成している。はんだ流れ出し防止部8に隣接する導体パッド13は、電子部品5を搭載し、はんだ材で固定する部分である。図の例では、電子部品5として、チップキャパシタの一方の電極がはんだ材で固定され、その電極外側の周囲にはんだ材のフィレットが形成されており、フィレットにより電子部品5の接合強度を確保している。ワイヤボンディングパッド7は、ワイヤボンディングによってワイヤ6の一端部が潰れた状態で接続されている。
【0022】
このように、電子部品5を装着する配線回路上に酸化ニッケル層(Ni膜12が露出した部分の表面に酸化膜を形成した層)を設け、はんだ流れ出し防止部8を構成することによって、ワイヤボンディング領域へのはんだ流れ出しを防止することができる。」
e.「
」
・上記c.には、表面に形成した配線回路の表面に、はんだ材4を用いて電子部品5が固定されるセラミック回路基板2が記載されている。
・上記d.の段落【0018】、および図2によれば、セラミック回路基板2は、セラミック素材9の上に形成される、セラミック素材9と回路導体の密着力を向上させるための接合層10と、接合層10の上に形成される、電気的に良導体であるCuから成る導体層11を備えることが記載されている。また、導体層11としては、Cuの他、Ag、Au、Pt、Pd、およびそれらの合金であれば制限されるものではないこと、が記載されている。
してみれば、引用文献1には、セラミック素材9の上に形成される、セラミック素材9と回路導体の密着力を向上させるための接合層10と、接合層10の上に形成される、電気的に良導体であるCu、Ag、Au、Pt、Pd、およびそれらの合金のいずれかから成る導体層11とを備えるセラミック回路基板2が記載されているといえる。
・上記d.の段落【0019】、および図2によれば、セラミック回路基板2は、導体層11の上に形成される、導体層(ニッケル導体層)12を構成するNi(ニッケル)層を備えることが記載されている。
・上記d.の段落【0020】、および図2によれば、セラミック回路基板2は、Ni層12の上に形成されるワイヤーボンディングパッド7、電子部品5が接合される導体パッド13を備えることが記載されている。
・上記d.の段落【0021】、および図2によれば、セラミック回路基板2は、Ni層12の上に、導体パッド13とワイヤーボンディングパッド7を仕切る形状で、Ni膜12が露出し、Ni膜12の表面に酸化膜が形成された酸化ニッケル層であるはんだ流れ出し防止部8を備えることが記載されている。
・上記d.の段落【0022】、および図2によれば、セラミック回路基板2は、電子部品5を装着する配線回路上に酸化ニッケル層であるはんだ流れ出し防止部8を備えることによって、ワイヤボンディング領域へのはんだ流れ出しを防止することができることが記載されている。
上記引用文献1の記載及び図面並びにこの分野の技術常識を考慮すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が開示されていると認められる。
「表面に形成した配線回路の表面に、はんだ材4を用いて電子部品5が固定されるセラミック回路基板2であって、
セラミック素材9の上に形成される、セラミック素材9と回路導体の密着力を向上させるための接合層10と、
前記接合層10の上に形成される、電気的に良導体であるCu、Ag、Au、Pt、Pd、およびそれらの合金のいずれかから成る導体層11と、
前記導体層11の上に形成される、導体層(ニッケル導体層)12を構成するNi(ニッケル)層と、
前記Ni層12の上に形成されるワイヤーボンディングパッド7、および電子部品5が接合される導体パッド13と、
前記Ni層12の上に前記導体パッド13と前記ワイヤーボンディングパッド7を仕切る形状で、前記Ni膜12が露出し、Ni膜12の表面に酸化膜が形成された酸化ニッケル層であるはんだ流れ出し防止部8と、
を備え、
電子部品5を装着する配線回路上に酸化ニッケル層であるはんだ流れ出し防止部8を備えることによって、ワイヤボンディング領域へのはんだ流れ出しを防止することができる、
セラミック回路基板2。」
(イ)引用文献2
本件出願の優先日前に頒布された、特開2007-158364号公報(以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
a.「【0002】
近年、パワーモジュール用基板やスイッチングモジュール用基板等の回路基板として、セラミック基板上に被着させたメタライズ金属層に銀-銅合金等のロウ材を介して銅等から成る金属回路板を接合させたセラミック回路基板や、セラミック基板上に銀-銅共晶合金にチタン・ジルコニウム・ハフニウムあるいはその水素化物を添加した活性金属ロウ材を介して銅等から成る金属回路板を直接接合させたセラミック回路基板、あるいはセラミック基板上に銅板を載置して加熱し、セラミック基板と銅板とを直接接合させた、いわゆるDBC(Direct Bond Copper)法によって作製されたセラミック回路基板が用いられている。」
(ウ)引用文献3
本件出願の優先日前に頒布された、特開2005-136296号公報(以下、「引用文献3」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
a.「【0013】
セラミック配線基板に配線パターンを形成する方法には、従来技術と同様に、活性金属化法もしくは、いわゆるDBC法といわれる、直接配線基板を構成するセラミックに銅パターンを形成する方法などがある。
配線パターン3のドレインパターン3bには電力用半導体素子(半導体チップ)10がはんだ接合(図示せず)により固着されている。この実施例では、ソースパターン3cに熱により発生する応力を緩和する未接合部8を形成している。そして、この未接合部8にソース端子5cが形成されている。
この未接合部8には、本発明の特徴である切り込み9が設けられており、この切り込みにより未接合部8は2つに分離されている。未接合部8に接続されたソース端子5cは、この切り込み9に跨がって配置されている。」
上記引用文献2、3の記載及び図面、並びにこの分野の技術常識を考慮すると、以下の技術(以下、「周知の技術」という。)が開示されていると認められる。
「セラミック基板上に直接、銅からなる配線を配置すること。」
(3)対比・判断
本件補正発明と引用発明とを対比する。
a.引用発明の「セラミック回路基板2」は、「セラミック素材9」を備え、「表面に」「配線回路」が形成されるものである。
そして、引用発明の「セラミック素材9」、「配線回路」は、本件補正発明の「セラミック基板」、「導体配線」に相当するから、引用発明の「セラミック素材9」を備え「表面に形成した配線回路」を有する「回路基板2」は、本件補正発明の「セラミック基板と、少なくとも1つの導体配線とを有する担体プレート」に相当する。
b.引用発明の「導体層11」は、「Cu、Ag、Au、Pt、Pd、およびそれらの合金のいずれかから成」るものである。
さらに、「接合層10」を介してであって直接ではないが、「導体層11」は「接合層10」上に形成され、「接合層10」は「セラミック素材9」上に形成されるものであるから、「導体層11」は、「セラミック素材9」上に載置されるものと認められる。
してみると、引用発明の「前記接合層10の上に形成される、電気的に良導体であるCu、Ag、Au、Pt、Pd、およびそれらの合金のいずれかから成る導体層11」は、本件補正発明の「前記セラミック基板上に載置されている、銅または銀もしくはこれらからなる組み合わせからなる第1層」に相当する。
c.引用発明の「導体パッド13」および「ワイヤーボンディングパッド7」は、いずれも「Ni層12の上に形成され」、また、引用文献1の図2によれば同一の層(以下、「同一層」という。)に形成されているものと認められ、さらに、「Ni層12」は「導体層11の上に形成される」ものであるから、該同一層は「前記導体11の上に」配置されているといえる。
してみれば、引用発明の「導体パッド13」および「ワイヤーボンディングパッド7」が形成された同一層は、本件補正発明の「前記第1層上に配置された第2層」に相当する
d.引用発明は「電子部品5を装着する配線回路上に酸化ニッケル層であるはんだ流れ出し防止部8を備えることによって、ワイヤボンディング領域へのはんだ流れ出しを防止する」ものであるから、電子部品5が装着される配線回路上の「導体パッド13」ははんだが留まる領域であって、「ワイヤーボンディングパッド7」は配線回路上で「導体パッド13」に連なる領域と認められる。
してみれば、引用発明の同一層に「導体パッド13」および「ワイヤーボンディングパッド7」が形成されることは、本件補正発明の「前記第2層は、リード線領域と、はんだ領域とを有」することに相当する。
e.引用発明の「はんだ流れ出し防止部8」は、「前記Ni層12の上に前記導体パッド13と前記ワイヤーボンディングパッド7を仕切る」ものであって、また、引用文献1の図2によれば同一層を中断する領域と認められる。
したがって、引用発明の「前記導体パッド13と前記ワイヤーボンディングパッド7」が形成される同一層に「前記Ni層12の上に前記導体パッド13と前記ワイヤーボンディングパッド7を仕切る形状で、前記Ni膜12が露出し、Ni膜12の表面に酸化膜が形成された酸化ニッケル層であるはんだ流れ出し防止部8」があることは、本件補正発明の「前記第2層は、前記第2層が前記リード線領域と前記はんだ領域との間で完全に中断する中断領域を含」むことに相当する。
f.引用発明の「Ni(ニッケル)層12」は、「前記導体層11の上に形成され」、また、前記c.に記したように「前記Ni層12の上に」「導体パッド13」および「ワイヤーボンディングパッド7」が形成される同一層があるから、「前記導体層11」と同一層の間に配置される層といえる。
してみれば、引用発明の「前記導体層11の上に形成される、導体層(ニッケル導体層)12を構成するNi(ニッケル)層12」は、本件補正発明の「前記第1層と前記第2層との間に配置されている第3層」に相当する。
また、引用発明の「Ni膜12の表面に酸化膜が形成された酸化ニッケル層であるはんだ流れ出し防止部8」の下の「Ni(ニッケル)層12」は導通しているものと認められる。
したがって、引用発明の「はんだ流れ出し防止部8」の下の「Ni(ニッケル)層12」が導通していることは、本件補正発明の「前記第1層と前記第2層との間に配置されている第3層を有し、前記第3層は、前記中断領域の下方で貫通している」ことに相当する。
g.本件補正発明の「導体配線」は、「第1層」、「第2層」、「第3層」を有しているものと認められる。
一方、引用発明の「導体層11」、「導体パッド13」および「ワイヤーボンディングパッド7」、「Ni(ニッケル)層12」は、「セラミック回路基板2」上の導体の層であり、引用発明の「配線回路」を構成していることは明らかである。
したがって、引用発明の「配線回路」が「導体層11」、「導体パッド13」および「ワイヤーボンディングパッド7」、「Ni(ニッケル)層12」で構成されることは、本件補正発明の「導体配線」は、「第1層」、「第2層」、「第3層」を有することに相当する。
したがって、本件補正発明と引用発明とを対比すると、両者は、以下の点で一致し、また、相違している。
(一致点)
「セラミック基板と、少なくとも1つの導体配線とを有する担体プレートであって、
前記導体配線は、前記セラミック基板上に載置されている、銅または銀もしくはこれらからなる組み合わせからなる第1層を有し、
前記導体配線は、前記第1層上に配置された第2層を有し、
前記第2層は、リード線領域と、はんだ領域とを有し、
前記第2層は、前記第2層が前記リード線領域と前記はんだ領域との間で完全に中断する中断領域を含み、
前記導体配線は、前記第1層と前記第2層との間に配置されている第3層を有し、前記第3層は、前記中断領域の下方で貫通している、
担体プレート。」
(相違点)
上記「第1層」が、本件補正発明では、「前記セラミック基板(2)上に直接載置されている」のに対して、
引用発明では、「接合層」を介して「セラミック素材9」上に載置されてる点。
上記相違点について検討する。
上記引用文献2、3にも記載されているように、セラミック基板上に直接、銅からなる配線を配置することは周知の技術に過ぎない。
また、引用文献1の段落【0003】に記載されるように、引用発明は、電子部品を搭載した場所と連続する配線回路の表面にはんだ材が流れ出ることを防止することを課題としており、当該課題に影響しない「導体層11」をどう配置するかは、当業者が適宜変更し得た事項と認められる。
したがって、引用発明における「セラミック素材」に対する「導体層11」の配置について上記周知の技術を適用して、「導体層11」を「直接」載置することは、当業者が容易に想到し得たことである。
そして、本件補正発明の作用効果も、引用発明、及び周知の技術に基づいて当業者が予測できる範囲のものである
したがって、本件補正発明は、引用発明、及び周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
(4)むすび
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3.本願発明について
1.本願発明
平成29年8月15日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1-12に係る発明は、平成28年12月26日に補正された特許請求の範囲の請求項1-12に記載された事項により特定されるものであるところ、そのうち請求項1に係る発明(本願発明)は再掲すると次のとおりのものである。
「【請求項1】
セラミック基板(2)と、少なくとも1つの導体配線(3)とを有する担体プレート(1)であって、
・前記導体配線(3)は、前記セラミック基板(2)上に直接載置されている第1層(41)を有し、
・前記導体配線(3)は、前記第1層(41)上に配置された第2層(42)を有し、
・前記第2層(42)は、リード線領域(421)と、はんだ領域(422)とを有し、
・前記第2層(42)は、前記第2層(42)が前記リード線領域(421)と前記はんだ領域(422)との間で完全に中断する中断領域(423)を含み、
前記導体配線(3)は、前記第1層と前記第2層(41、42)との間に配置されている第3層(43)を有し、前記第3層(43)は、前記中断領域(423)の下方で貫通している、
担体プレート(1)。」
2.原査定の拒絶の理由
この出願の下記の請求項1-2、5-12に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
引用文献1:特開2008-227055号公報
3.引用文献、引用発明
引用発明は、上記「第2.補正却下の決定」の項中の「2.補正の適否」の項中の「(2)引用文献、引用発明」の項中の「(ア)引用文献1」の項で記載したとおりである。
4.対比・判断
そこで、本願発明と引用発明を対比するに、本願発明は上記本件補正発明から補正に係る、「第1層(41)」についての「銅または銀もしくはこれらからなる組み合わせからなる」という材質の限定を省いたものである。
してみると、本願発明では、材質の限定がないことから、「第1層(41)」が多層から構成されるものも含むものである。
そうすると、引用発明の「接合層10」は「セラミック素材9の上」に直接載置され、「導体層11」を「セラミック素材9」に密着させるための層であり、「接合層11」と「接合層10」は一体的な層と認められるから、引用発明の「接合層11」と「接合層10」を合わせた層が、本願発明の「前記セラミック基板上に直接載置されている第1層」に相当する。
そして、上記本件補正発明と引用発明は、上記「第2.補正却下の決定」の項中の「3.独立特許要件」の項中の「(3) 対比・判断」の項で検討したとおり、補正による限定を付加した「第1層」以外の構成では一致するものである。
したがって、本願発明の構成は、すべて引用発明が備えているから、本願発明と引用発明は実質同一である。
、
5.むすび
以上のとおり、請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明と実質同一であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2017-012143