特許拒絶査定不服審判
2017-005688
高圧流体レール
- 審判番号
- 2017-005688
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2012-089732外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年04月20日
- 審決日
- 2017年11月14日
- 公報発行日
- 2018年05月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ヴェルトジィレ シュヴァイツ アクチェンゲゼルシャフト
- 【請求人代理人】特許業務法人浅村特許事務所
- 分類
- P18 .121-Z (F02M)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2012- 89732「高圧流体レール」拒絶査定不服審判事件〔平成24年11月15日出願公開、特開2012-225342〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成24年4月10日(パリ条約による優先権主張 2011年(平成23年)4月15日)の出願であって、平成28年2月19日付けで拒絶理由が通知され、平成28年8月12日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成28年12月15日付けで拒絶査定がされ、これに対して平成29年4月20日に拒絶査定不服審判が請求され、平成29年5月24日に審判請求書の請求の理由を補正する手続補正書(方式)が提出されたものである。
第2 本願発明について
[1]本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、出願当初の明細書及び平成28年8月12日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲並びに出願当初の図面からみて、次のとおりのものである。
「【請求項1】
高圧流体を複数の流体インジェクタに供給するための蓄圧器ユニットであって、外周面を有し、前記蓄圧器ユニットの長手方向軸に略沿って延びる中央ボアを備え、内周面を有し、前記中央ボアから前記蓄圧器ユニットの前記外周面に延びる少なくとも1つの半径方向ボアを有する蓄圧器ユニットを有する、大型内燃エンジン用コモンレールシステムのための高圧流体供給装置であって、
前記半径方向ボアは、前記蓄圧器ユニットの前記長手方向軸に垂直な平面であって、前記半径方向ボアの中心軸に垂直な方向に画定され、前記外周面より前記内周面において大きく、前記内周面から前記外周面に、前記内周面と前記外周面との間の距離の少なくとも半分にわたって、連続的に減少する幅を有する、
高圧流体供給装置。」
[2]刊行物
1.刊行物1
(1)刊行物1の記載事項
原査定の理由に引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物である、特開平10-213045号公報(以下、「刊行物1」という。)には、「コモンレールにおける分岐接続体の接続構造」に関して、図面とともに以下の記載がある(なお、下線は、理解の一助のために当審が付与したものである。)。
1a)「【請求項1】 長手方向に断面ほぼ円形の流通路を有するコモンレールの該流通路の軸方向の周壁部に間隔を保持して複数の分岐孔を設け、かつ該分岐孔の周面部にそれぞれ前記流通路に通ずる流路を有する分岐接続体を連設する外方への開口する受圧座面を形成して該分岐接続体の端部に設けた接続頭部のなす押圧座面部を当接係合せしめ、コモンレールと一体もしくは別体の継手部分と予め分岐接続体側に組込んだナットの螺合による前記接続頭部での押圧に伴って締着して接続してなる分岐接続体の接続構造において、前記分岐孔のコモンレール側開口端部を円弧状に面取りしてエッジ部を有しない曲面に形成したR面取部としたことを特徴とするコモンレールにおける分岐接続体の接続構造。
【請求項2】 前記エッジ部を有しない曲面に形成するコモンレール側開口端部は、R面取部の内周面における輪郭が前記流通路の直径方向に長径の楕円形状であることを特徴とする請求項1記載のコモンレールにおける分岐接続体の接続構造。
【請求項3】 前記R面取部の断面形状が分岐孔内周面と滑らかな曲面で連なったテーパー面と、該テーパー面とコモンレール流通路内周面が滑らかな曲面で連なった形状となしていることを特徴とする請求項1または2記載のコモンレールにおける分岐接続体の接続構造。
【請求項4】 前記R面取部の断面形状が回転円弧面、回転楕円面、回転放物線面、回転双曲線面の形状となしていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項記載のコモンレールにおける分岐接続体の接続構造。」(【特許請求の範囲】の【請求項1】ないし【請求項4】)
1b)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般にディーゼル内燃機関における高圧燃料用の多岐管からなる本管レール或いはブロック・レールなどのようなコモンレールにおける分岐枝管もしくは分岐金具などのような分岐接続体の接続構造に関するものである。」(段落【0001】)
1c)「【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記した従来の分岐接続体の接続構造はいずれも、本管レール1のようなコモンレールの断面円形の流通路1-1の中心と分岐枝管2のような分岐接続体の流路2-1の中心とが一致した構造となっており、その流通路1-1に通ずる分岐孔1-2はコモンレールとしての本管レール1の流通路1-1の中心線上に開口し、その開口端部にはエッジがあるため、コモンレールの内部に内圧が作用したときコモンレールの断面円形の流通路1-1の開口端部Pに最も大きな応力が発生し、この開口端部Pが起点となって亀裂が生じ易く、燃料の洩れを招く可能性があった。
【0005】本発明は従来技術の有する前記問題に鑑みてなされたものであり、分岐接続体の流路のコモンレール開口端部に発生する最大応力値を下げて内圧疲労強度をより向上させることが可能な高圧燃料用のコモンレールにおける分岐接続体の接続構造を提供することを目的とするものである。」(段落【0004】及び【0005】)
1d)「【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成するため、長手方向に断面ほぼ円形の流通路を有するコモンレールの該流通路の軸方向の周壁部に間隔を保持して複数の分岐孔を設け、かつ該分岐孔の周面部にそれぞれ前記流通路に通ずる流路を有する分岐接続体を連設する外方への開口する受圧座面を形成して該分岐接続体の端部に設けた接続頭部のなす押圧座面部を当接係合せしめ、コモンレールと一体もしくは別体の継手部分と予め分岐接続体側に組込んだナットの螺合による前記接続頭部での押圧に伴って締着して接続してなる分岐接続体の接続構造において、前記分岐孔のコモンレール側開口端部を円弧状に面取りしてエッジ部を有しない曲面に形成したR面取部としたコモンレールにおける分岐接続体の接続構造を特徴とするものである。
【0007】また本発明の前記エッジ部を有しない曲面に形成するコモンレール側開口端部は、R面取部の内周面における輪郭が前記流通路の直径方向に長径の楕円形状であったり、前記R面取部の断面形状が分岐孔内周面と滑らかな曲面で連なったテーパー面と、該テーパー面とコモンレール流通路内周面が滑らかな曲面で連なった形状、前記R面取部の断面形状が回転円弧面、回転楕円面、回転放物線面、回転双曲線面の形状となしたりするものである。
【0008】さらに本発明では、前記コモンレールと別体の継手部分は、該コモンレールに取付けた継手金具もしくは筒状のスリーブニップルからなり、または該コモンレールと一体の継手部分は、ボスまたは円形溝からなることを特徴とするものであり、前記コモンレールは、本管レールあるいはブロック・レールあり、また前記分岐接続体は、分岐枝管あるいは分岐金具であるものである。」(段落【0006】ないし【0008】)
1e)「【0009】ここで、分岐孔のコモンレール側開口端部のR面取部の半径Rとしては、特に限定するものではなく、コモンレールの肉厚に応じて適宜設定する。
【0010】本発明では上記のごとく、コモンレールの断面ほぼ円形の流通路の中心と、該コモンレールと一体もしくは別体の継手部分の流路の中心とが一致した接続構造のコモンレールにおいて、分岐孔のコモンレール側開口端部をエッジのないR面取部としたことにより、継手部分の流路のコモンレール流通路開口端部に発生する最大応力を軽減することができる。」(段落【0009】及び【0010】)
1f)「【0011】
【発明の実施の形態】図1は本発明に係るコモンレールにおける分岐接続体の接続構造例のコモンレールとしての本管レール側を一部切欠いて示す拡大断面図、図2は図1に示す接続構造例における分岐孔のコモンレール側開口端部のR面取部の内周面における輪郭の一例を示す図1矢視図、図3は図1に示す接続構造例における分岐孔のR面取部の断面形状を例示したもので、(A)は分岐孔内周面と滑らかな曲面で連なったテーパー面と、該テーパー面とコモンレール流通路内周面が滑らかな曲面で連なった形状で構成したR面取部の断面形状を示すコモンレール側開口端部の断面図、(B)は回転放物線面で構成したR面取部の断面形状を示すコモンレール側開口端部の断面図、(C)は回転双曲線面で構成したR面取部の断面形状を示すコモンレール側開口端部の断面図、図4はコモンレールとしてのブロック・レールを示す斜視図、図5は図4の断面図で、(A)は図4のA-A′線上の断面図、(B)図4のB-B′線上の断面図である。なお、ここではコモンレールとしての多岐管からなる本管レールと別体からなる継手部分として筒状のスリーブニップルを使用し、このスリーブニップルを直接本管レールに溶接して構成する図8に示す分岐接続体の接続構造に適用した場合を例にとり説明する。
【0012】図1に示す分岐接続体の接続構造は、図8に示すものと同様、予め分岐接続体としての分岐枝管2側に組込んだナット4と螺合する螺子面3-1bを内周面に設けた筒状のスリーブニップル3bを継手部分となしてその基端部を前記受圧座面1-3付近の本管レール1の外周壁に該受圧座面部を囲むように分岐孔1-2と同心円上に溶接し、分岐枝管2側の接続頭部2-2のなす押圧座面2-3を本管レール1側の受圧座面1-3に当接係合せしめ、前記スリーブニップル3bに螺合するナット4を締着して接続構成するものである。ここで、コモンレールとしての本管レール1は、例えば管径20m/m、肉厚8m/m程度の比較的厚肉で細径の金属管であって、その軸芯内部を断面円形の流通路1-1となして軸方向の周壁部に間隔を保持して複数からなる外方に開口する周面を受圧座面1-3となす分岐孔1-2を流通路1-1に連通して設けてなるものである。一方、分岐接続体は、前記したような分岐枝管2或いは分岐金具からなるものであって、その内部に前記流通路1-1に通ずる流路2-1を有してその端部に先細円錐状の挫屈成形による拡径した接続頭部2-2のなす押圧座面2-3を設けてなるものである。」(段落【0011】及び【0012】)
1g)「【0013】本発明では、本管レール1の周壁部に外方に開口する周面を受圧座面1-3となし当該本管レール1の断面円形の流通路1-1に連通する分岐孔1-2の流通路1-1開口端部を円弧状に面取りしてエッジ部を有しない曲面に形成したR面取部1-2aとするものである。また、このR面取部1-2aの内周面における輪郭は真円に限らず、図2に示すごとく断面ほぼ円形の流通路1-1の直径方向に長径の楕円形状としてもよい。また、R面取部の断面形状としては、図3(A)に示すごとく、分岐孔の垂直部の内周面1-2bと半径r1の滑らかな曲面1-2cで連なったテーパー面1-2dと、該テーパー面と本管レール流通路内周面1-1aが半径r2の滑らかな曲面1-2eで連なった形状、または同(B)に示すごとく、分岐孔の垂直部の内周面1-2bと連なった半径r3の滑らかな曲面1-2fと本管レール流通路内周面1-1aが半径R1の滑らかな曲面1-2で連なった回転放物線面、同(C)に示すごとく、分岐孔の垂直部の内周面1-2bと連なった半径R2の滑らかな曲面1-2hと本管レール流通路内周面1-1aが半径r4の滑らかな曲面1-2iで連なった回転双曲線面とすることができる。なお、前記各R面取部の半径R、R1、R2、r1、r2、r3、r4は特に限定されるものではなく、コモンレールとしての本管レールやブロック・レールの肉厚に応じて適宜設定する。
【0014】このように本管レール1の断面ほぼ円形の流通路1-1に連通する分岐孔1-2の流通路1-1開口端部をエッジのないR面取部とした場合には、本管レール1に内圧が作用したときに分岐孔1-2の流通路1-1開口端部に発生する最大応力は大幅に軽減される。したがって、開口端部Pが起点となって亀裂が生じるという問題はほとんど解消される。」(段落【0013】及び【0014】)
1h)「【0016】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によるコモンレールにおける分岐接続体の接続構造は、コモンレールの断面ほぼ円形の流通路に連通する分岐孔の流通路開口端部を円弧状に面取りしてエッジ部を有しない曲面に形成したことにより、分岐金具もしくはスリーブニップルのような別体の継手部分、またはボスもしくは円形溝のような一体の継手部分の流路のコモンレール開口端部に発生する最大応力を大幅に軽減できるので、各分岐孔における内圧疲労強度が高く、耐久性に優れ、亀裂の発生による燃料洩れをなくして確実にして安定した機能を発揮することができる。また本発明に係る分岐接続体の接続構造は、コモンレール以外の分岐管継手や、油圧マニホールド、水圧マニホールド用にも適用可能である。」(段落【0016】)
1i)「【図1】本発明に係るコモンレールにおける分岐接続体の接続構造例のコモンレールとしての本管レール側を一部切欠いて示す拡大断面図である。
【図2】図1に示す接続構造例における分岐孔のコモンレール側開口端部のR面取部の内周面における輪郭の一例を示す図1矢視図である。
【図3】図1に示す接続構造例における分岐孔のR面取部の断面形状を例示したもので、(A)は分岐孔内周面と滑らかな曲面で連なったテーパー面と、該テーパー面とコモンレール流通路内周面が滑らかな曲面で連なった形状で構成したR面取部の断面形状を示すコモンレール側開口端部の断面図、(B)は回転放物線面で構成したR面取部の断面形状を示すコモンレール側開口端部の断面図、(C)は回転双曲線面で構成したR面取部の断面形状を示すコモンレール側開口端部の断面図である。」(【図面の簡単な説明】の欄)
(2)上記(1)及び図面から分かること
1j)図2は上記(1)1i)によれば、図1における分岐孔1-2を、矢印の方向(下方)から見た図である。さらに、上記(1)1g)によれば、分岐孔1-2の流通路1-1開口端部におけるR面取部1-2aの内周面における輪郭は、真円あるいは流通路1-1の直径方向に長径の楕円形状であることから、図2において、本管レール1(流通路1-1)の長手方向軸に垂直な平面において、分岐孔1-2の中心軸に垂直な方向に見た場合の、分岐孔1-2の幅が、流通路1-1の内周面に開口する分岐孔のR面取部1-2aの幅よりも小さいこと、及び分岐孔のR面取部1-2aの前記幅が流通路1-1の流通路内周面1-1aから本管レール1の周壁部側に向かって連続的に減少することが分かる。また、R面取部1-2aの内周面における輪郭が真円である場合においても図1及び図3を参酌すれば同様のことがいえる。
1k)上記(1)1b)及び1f)によれば、複数の分岐孔1-2を備える本管レール1は、ディーゼル内燃機関におけるコモンレールを備えた燃料噴射装置のためのものであることが分かる。そして、本管レール1が複数の分岐孔1-2を備えること、及び技術常識からみて、本管レール1は高圧燃料を複数の燃料噴射弁に供給するものであって、高圧燃料の噴射装置に属するものであることは明らかである。
(3)引用発明
上記(1)及び(2)並びに図面の記載からみて、刊行物1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「高圧燃料を複数の燃料噴射弁に供給するための本管レール1であって、周壁部を有し、本管レール1の軸方向に延びる流通路1-1を備え、流通路内周面1-1aを有し、流通路1-1から本管レール1の前記周壁部に延びる分岐孔1-2及び受圧座面1-3を有する本管レール1を有する、ディーゼル内燃機関用のコモンレールを備えた燃料供給装置のための高圧燃料の噴射装置であって、
分岐孔1-2及び受圧座面1-3のうち、分岐孔1-2は、本管レール1の長手方向軸に垂直な平面であって、分岐孔1-2の中心軸に垂直な方向に見た場合の分岐孔1-2のR面取部1-2aが、本管レール1の流通路内周面1-1aから本管レール1の周壁部側に向かって連続的に減少する幅を有する、
高圧燃料の噴射装置。」
2.刊行物2
(1)刊行物2の記載事項
原査定の理由に引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物である、特開2011-33190号公報(以下、「刊行物2」という。)には、「高圧接続部及び接続構成」に関して、図面とともに以下の記載がある(なお、下線は、理解の一助のために当審が付与したものである。)。
2a)「【請求項1】
加圧される流体を用いて運転される装置を前記流体のための圧力貯槽に接続するための高圧接続部であって、
前記圧力貯槽は、着座表面に開口する少なくとも1つの接続孔を有し、
当該高圧接続部は、第一端面から第二端面に長手軸の方向に延在する本体を含み、前記第一端面は、前記着座表面と封止的に協働するよう構成され、且つ、入口開口を有し、前記第二端面は、前記装置によって受け入れられるよう構成され、且つ、通路孔を介して前記入口開口に接続される出口開口を有し、
前記第二端面は、前記第一端面の活性表面よりも大きい、前記流体のための活性表面を有することを特徴とする、
高圧接続部。」(【特許請求の範囲】の【請求項1】)
2b)「【0001】
本発明は、それぞれの範疇の独立請求項の前文に従った圧力貯槽を有する高圧接続部並びに接続構成に関する。さらに、本発明は、そのような高圧接続部及び/又はそのような接続構成を有する大型ディーゼルエンジンに関する。」(段落【0001】)
2c)「【0005】
本発明の目的は、構造が異なり、構造的に単純であり、且つ、信頼性のある、加圧液体を圧力貯槽から装置に運搬し得る高圧接続部を提供することである。更に、そのような接続構成が提供されなければならない。具体的には、高圧接続は大型ディーゼルエンジンにおける使用に適さなければならない。」(段落【0005】)
2d)「【0028】
圧力貯槽2は、例えば、今日のコモンレールシステムにおいて使用される圧力貯槽のような、パイプ形状の、具体的には、円筒形の、シリンダ軸Lを備える圧力パイプとして作製され得る。圧力貯槽2は、壁21を含み、その内部側は、加圧液体用の貯蔵空間22を有する。圧力貯槽2は、少なくとも1つの接続孔23を含み、接続孔23は、貯蔵空間22から壁21を通じて径方向に外向きに延び、着座表面24に開口している。着座表面24は円錐形に作製される。
【0029】
コモンレールシステムのパイプ形状圧力貯槽2のために、典型的には、複数の接続孔23が提供され、それらは、例証(図1)に従って、シリンダ軸Lを基準にして互いに後に配置される。以下の説明は、1つの接続孔23にのみ限定される。何故ならば、理解のためには、それで十分だからである。」(段落【0028】及び【0029】)
2e)「【0039】
第二実施態様では、実施すべき重要な用途である大型ディーゼルエンジンが参照される。現代の大型ディーゼルエンジンでは、燃料噴射、ガス交換、及び、選択的に、水噴射及び補助システムが、コモンレールシステムによって運転される。この点に関して、それぞれの流体、例えば、噴射用の燃料、排気弁の運転のためのサーボオイルのような油圧媒体、又は、噴射の制御のための作動媒体は、高圧下でポンプを用いて、蓄圧室としても既知の圧力貯槽内に運搬される。その場合には、内燃機関の全シリンダは、それぞれの蓄圧室及び/又は弁からの加圧流体を備え、燃料噴射装置は、加圧液体によって制御される。典型的に、圧力貯槽は、パイプ状構成部品としてそれぞれ作製され、パイプ状構成部品は、両端で閉塞され、ほぼシリンダヘッドのレベルでエンジンに沿って延在する。
【0040】
コモンレールシステムにおいて、最高圧力は、典型的には、燃料噴射のために起こる。関連する圧力貯槽内で、圧力は、例えば、2000バールまで達し得る。油圧媒体(例えば、サーボオイル)の圧力は、排気弁の作動のためにコモンレールシステムの圧力貯槽内で300バールまで達し得る。」(段落【0039】及び【0040】)
(2)刊行物2技術
上記(1)及び図面の記載からみて、刊行物2には次の技術(以下、「刊行物2技術」という。)が記載されている。
「大型ディーゼルエンジンに圧力貯槽を有するコモンレールシステムを用いる技術。」
[3]本願発明と引用発明との対比・判断
引用発明の「高圧燃料」は、その機能、構成及び技術的意義からみて、本願発明における「高圧流体」に相当し、以下同様に、「燃料噴射弁」は「流体インジェクタ」に、「本管レール1」は「蓄圧器ユニット」に、「周壁部」は「外周面」に、「軸方向に延びる」は「長手方向軸に略沿って延びる」に、「流通路1-1」は「中央ボア」に、「流通路内周面1-1a」は「内周面」に、「分岐孔1-2及び受圧座面1-3」は「半径方向ボア」に、「コモンレールを備えた燃料供給装置」は「コモンレールシステム」に、「高圧燃料の噴射装置」は「高圧流体供給装置」に、それぞれ相当する。
そして、引用発明における「ディーゼル内燃機関用のコモンレールを備えた燃料供給装置」と本願発明における「大型内燃エンジン用コモンレールシステム」とは、「内燃機関用コモンレールシステム」という限りにおいて一致する。
したがって、両者の一致点、相違点は以下のとおりである。
[一致点]
「高圧流体を複数の流体インジェクタに供給するための蓄圧器ユニットであって、外周面を有し、蓄圧器ユニットの長手方向軸に略沿って延びる中央ボアを備え、内周面を有し、中央ボアから蓄圧器ユニットの外周面に延びる半径方向ボアを有する蓄圧器ユニットを有する、内燃機関用コモンレールシステムのための高圧流体供給装置。」
[相違点1]
「内燃機関用コモンレールシステム」に関して、本願発明においては「大型内燃エンジン用コモンレールシステム」であるのに対して、引用発明においては「ディーゼル内燃機関用のコモンレールを備えた燃料供給装置」である点(以下「相違点1」という。)。
[相違点2]
本願発明においては「半径方向ボアは、蓄圧器ユニットの長手方向軸に垂直な平面であって、半径方向ボアの中心軸に垂直な方向に画定され、外周面より内周面において大き(い)幅を有する」のに対して、
引用発明においては、本管レール1の長手方向軸に垂直な平面であって、分岐孔1-2の中心軸に垂直な方向に見た場合の、分岐孔1-2のR面取部1-2aの流通路1-1における開口端部の幅と、受圧座面1-3の本管レール1の周壁部における幅との大小関係が明らかでない点(以下、「相違点2」という。)。
[相違点3]
本願発明においては「半径方向ボアは、蓄圧器ユニットの長手方向軸に垂直な平面であって、半径方向ボアの中心軸に垂直な方向に画定され」、「内周面から外周面に、内周面と外周面との間の距離の少なくとも半分にわたって、連続的に減少する幅を有する」のに対して、
引用発明においては「分岐孔1-2及び受圧座面1-3のうち、分岐孔1-2は、本管レール1の長手方向軸に垂直な平面であって、分岐孔1-2の中心軸に垂直な方向に見た場合の、分岐孔1-2のR面取部1-2aが、本管レール1の流通路内周面1-1aから本管レール1の周壁部側に向かって連続的に減少する幅を有する」点(以下、「相違点3」という。)。
以下、相違点について判断する。
[相違点1について]
刊行物2技術は、「大型ディーゼルエンジンに圧力貯槽を有するコモンレールシステムを用いる技術」であるから、刊行物2技術は、「コモンレールシステム」を「大型内燃エンジン」に適用することを示唆するものといえる。
そうすると、引用発明において、コモンレールシステムに関する刊行物2技術を適用して、「ディーゼル内燃機関用のコモンレールを備えた燃料供給装置」を「大型内燃エンジン」に適用することにより、上記相違点1に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。
[相違点2及び3について]
上記第2[2]1.(1)1e)における刊行物1の記載によれば、分岐孔1-2のR面取部1-2aは、コモンレール流通路開口端部に発生する最大応力を軽減するためのものである。そして、技術常識からみて、最大応力は本管レール1内の圧力によっても決定されるものである。
そして、本管レール1の分岐孔1-2の開口端部において発生する応力を効果的に分散させるためには、本管レールの肉厚や材料の強度などを考慮しつつ可能な範囲でより大きい受圧面積を分岐孔1-2内面において確保することが必要であることは当業者にとって明らかであって、そのための分岐孔1-2内面の受圧面積を大きくするための基準は、R面取部1-2aの幅や流通路内周面1-1aから本管レール1の周壁部側に向かっての距離などにおいて適宜定め得るものである。
そうすると、引用発明において、分岐孔1-2の受圧面積をより大きくするために、R面取部1-2aの流通路1-1における開口端部の幅を、受圧座面1-3の本管レール1の周壁部における幅より大きくすることにより、上記相違点2に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。
また、引用発明において、分岐孔1-2のR面取部1-2aの受圧面積をより大きくするために、分岐孔1-2のR面取部1-2aにおける流通路内周面1-1aから本管レール1の周壁部側に向かっての距離を、流通路内周面1-1aから本管レール1の周壁部までの距離の少なくとも半分とすることにより、上記相違点3に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。
そして、本願発明は、引用発明及び刊行物2技術から予測される以上の格別な効果を奏するものではない。
第3 むすび
したがって、本願発明は、引用発明及び刊行物2技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないので、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2017-005688