特許拒絶査定不服審判
2017-005019
触感呈示装置
- 審判番号
- 2017-005019
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-131473外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年04月07日
- 審決日
- 2018年01月29日
- 公報発行日
- 2018年03月30日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 分類
- P18 .121-WY (G06F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-131473「触感呈示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 1月18日出願公開、特開2016- 9449、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成26年6月26日の出願であって、平成28年8月26日付けで拒絶理由が通知され、同年11月4日付けで手続補正され、平成28年12月22日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、平成29年4月7日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。
第2 原査定の理由の概要
原査定(平成28年12月22日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1-4に係る発明は、以下の引用文献1-5に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献一覧
1.特表2013-513865号公報
2.山田学,メカメカリンクで設計しよう(10):おもちゃで解説。回転&スライドを自在に操る方(2/2)- MONOist(モノイスト),2012.02.20,http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1202/20/news005 2.html
3.特表2012-520519号公報(周知技術を示す文献)
4.特開2011-150467号公報(周知技術を示す文献)
5.特開2011-146006号公報(周知技術を示す文献)
第3 本願発明
本願の請求項1-4に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明4」という。)は、平成28年11月4日付けで手続補正された特許請求の範囲の請求項1-4に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1-4は以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
パネルと、アクチュエータと、前記パネル及び前記アクチュエータに係合し、前記アクチュエータの変位により当該アクチュエータの変位方向及び変位量を異なる変位方向及び異なる変位量に変換して、前記パネルをスライドさせる変換部と、を備え、前記アクチュエータは、積層方向に沿って伸縮変位する積層型圧電素子を備え、前記積層型圧電素子は、変位方向が前記パネルの平面視において当該パネルのスライド方向と交差して配置されている、触感呈示装置。
【請求項2】
前記変換部は、前記アクチュエータの変位により回動して前記パネルをスライドさせる回動部材を備える、請求項1記載の触感呈示装置。
【請求項3】
前記変換部は、前記アクチュエータの変位方向と交差して延在する斜面を有し、前記アクチュエータの変位により当該アクチュエータの変位方向に直線移動する直線移動部材と、該直線移動部材の変位により前記斜面を滑動して前記パネルをスライドさせる滑動部材と、を備える、請求項1に記載の触感呈示装置。
【請求項4】
前記パネルを前記変換部に与圧を加えて係合させるとともに、前記変換部を前記アクチュエータに与圧を加えて係合させる与圧部をさらに備える、請求項1乃至3のいずれかに記載の触感呈示装置。」
第3 引用文献・引用発明
1.引用文献1について
原査定の拒絶理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は、当審により付与した。)
「【0002】
本発明は、一般にタッチセンシティブ入力デバイスに関し、特にポータブルコンピュータなどの電子デバイスのタッチパッドに関する。」
「【0037】
アクチュエータ36が制御信号により駆動されると、アクチュエータ36は、アーム40を平坦なタッチパッド部材24に対して接離させる(例えば、図2の例ではX軸と平行な横方向38に動かす)。アクチュエータ36により与えられる動きは、ボタン操作イベントに応答して与えられるので、この種の動きは触覚フィードバックと呼ばれる場合もある。ユーザは、ボタン操作イベントによってクリックした感触や音声が得られることを期待できる。アクチュエータ36を適切に駆動することにより、タッチパッド24の振動又は他の運動によりユーザに対して(例えば、ユーザの指26の先端に対して)所望の感触が発生する。実際には、タッチパッド部材24は筐体12B内部のほぼ固定された場所に装着されているので、力センサ34はタッチパッド部材24を相対的にわずかに垂直方向に動かすにすぎないが、例えばユーザは、パッド24が沈み込み、従来の機械式スイッチを操作したかのように感じる。必要に応じて、アクチュエータ36は、他の基準に応答して、バー40に力を加え、それによりタッチパッド部材24に力を加える(例えば、ある特定のソフトウェア条件が成立した場合、タッチパッド20のタッチセンサ部分を使用して感知されるある特定のジェスチャをユーザが行った場合など)。」
「【0040】
タッチパッド20で使用される例示的な一連の構造の展開斜視図が図3に示される。図3に示されるように、タッチパッド20は矩形の平坦なタッチパッド部材24を含む。平坦なタッチパッド部材24は筐体構造12Bに装着される。筐体構造12Bは、筐体壁の一部(例えば、図1の基部ユニット12Bの下部の壁)により形成されるか、内部筐体フレーム構造又はフレーム支持体により形成されるか、他の適切な支持構造により形成されるか、あるいはそれらの構造の組み合わせにより形成される。」
「【0054】
図10は、図1のアクチュエータ36のような例示的なアクチュエータの横断面図である。アクチュエータ36は、ワイヤのラップ96を含むバレル94を有するソレノイドである。バレル94のワイヤは、端子88と端子90とに接続される。端子88と端子90とに電流が印加されると、磁気プランジャ92をバレル94の内部へ引き込む磁界が形成される。端子88と端子90とへ流れる電流を変調することにより、プランジャ92はバレル94の長手方向軸に沿って方向38に往復運動する。
【0055】
プランジャ92は、図2の結合部材40を形成する部分を有するか、又は図2の結合部材40のような部材に結合される。必要に応じて、アクチュエータ36は、リニアモータ、回転モータ又は他の電磁アクチュエータ構造から形成される。更に、アクチュエータ36は、圧電材料と、印加される電気信号に応答して運動を発生可能な他の構造とから形成される。
【0056】
図11の平面図に示されるように、アクチュエータ36はタッチパッド部材24の近傍に配置される。結合部材40は、アクチュエータ36の可動構造(例えば、図10のソレノイド36のプランジャ92)に直接結合されると共に、タッチパッド部材24の縁部(例えば、図3に示される層のうち1つ以上の層)に直接結合される。結合部材40の長さはソレノイド36の最大寸法より短い(一例として)。
【0057】
結合部材40をアクチュエータ36とタッチパッド部材24との双方に直接結合する必要はない。例えば、図12に示されるように、結合部材40とタッチパッド部材24との間に間隙98のような間隙が形成されてもよい。アクチュエータ36の近傍にも間隙は形成されてもよい。
【0058】
図13は、電子デバイス10内部のタッチパッド部材24から幾分離れた場所に装着されたアクチュエータ36を示す。結合部材40の長さは、例えば2~5mm、5~10mm、2~20mm、10~30mm又は30mmを超える長さである。結合部材40が長い場合、部材40の長さ(従って、アクチュエータ36とタッチパッド部材24との間隔)は、アクチュエータ36の最大寸法と等しいか、その2倍又は3倍であるか、あるいは3倍を超える。
【0059】
図14の例に示されるように、結合部材40はまっすぐである必要はない。結合部材40は、例えば湾曲部10、102のような1つ以上の湾曲部を含む。
【0060】
図15は、アクチュエータ36と、タッチパッド部材24とが機械式リンク装置(リンク装置4)に結合される構成を示す。リンク装置40は、機械的な利点を利用することにより、アクチュータ36により加えられる力の量を増減できるような構造を有する。リンク構造40のようなリク装置を使用することにより、リンク装置を使用しない場合には実現不可能であると考えられる例えば、装着を妨げる構造が存在するなどの理由により)電子デバイス10内の位置にアクチュータ36を配置できるようになる。
【0061】
動作中、アクチュエータ36は部材40Cを方向110に動かす。部材40Cと部材40Bとは、動点104で結合される。部材40Bは、回動点106に関してデバイスの筐体に対して回動す。アクチュエータ36が部材40Cを方向110に動かすと、部材40Bは必然的に回動点10に関して時計回り方向(方向112)に回転する。これにより、回動点108で部材40Bに結されている部材40Aは方向114に動いてタッチパッド部材24に当接する。」
「【0066】
図17は、タッチパッド部材24に動きを与えるために使用される例示的な作動構成の横断面図である。図17の例において、アクチュエータ36は、アクチュエータ36に駆動信号が印加された場合にプランジャ116が強制的に上向きの方向118に動かされるような向きに配置される。これにより、結合部材40の部分120は、方向118に引き上げられる。回動点112はデバイス筐体に結合されるので、部材40の縁部128は、部分120の動きによって方向126に動かされ、タッチパッド部材24の対応する左側縁部に当接する。
【0067】
図17に示される種類の構成は、タッチパッド部材24の垂直位置とは異なる垂直位置にアクチュエータ36を配置することが望まれる場合又はレイアウト上の制約条件を満たすことが望まれる場合に使用できる。
【0068】
タッチパッド部材24は、アクチュエータ36により何らかの適切な方向(例えば、横方向、垂直方向、側方変位方式と垂直変位方式との双方を同時に使用して斜め方向になど)に駆動される。」
上記記載(特に下線部)によれば、引用文献1には、図17に示される作動構成のタッチパッドに関して、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。
「タッチパッド20は矩形の平坦なタッチパッド部材24を含み、タッチパッド部材24は筐体構造12Bに装着されており、
アクチュエータ36は、アクチュエータ36に駆動信号が印加された場合にプランジャ116が強制的に上向きの方向118に動かされるような向きに配置され、結合部材40の部分120は、方向118に引き上げられ、回動点112はデバイス筐体に結合されるので、部材40の縁部128は、部分120の動きによって方向126に動かされ、タッチパッド部材24の対応する左側縁部に当接し、タッチパッド部材24は、アクチュエータ36により何らかの適切な方向(例えば、横方向、垂直方向、側方変位方式と垂直変位方式との双方を同時に使用して斜め方向になど)に駆動される、タッチパッド20。」
第4 対比・判断
1.本願発明1について
(1) 対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「矩形の平坦なタッチパッド部材24」は、本願発明1の「パネル」に相当する。
(イ)引用発明の「アクチュエータ36」は、本願発明1の「アクチュエータ」に相当するといえる。
(ウ)引用発明の「結合部材40」は、アクチュエータ36に駆動信号が印加された場合にプランジャ116が強制的に上向きの方向118に動かされ、結合部材40の部分120は、方向118に引き上げられ、回動点112はデバイス筐体に結合されるので、部材40の縁部128は、部分120の動きによって方向126に動かされ、タッチパッド部材24の対応する左側縁部に当接し、タッチパッド部材24は、例えば、横方向に駆動されるから、本願発明1の「前記アクチュエータの変位により当該アクチュエータの変位方向及び変位量を異なる変位方向及び異なる変位量に変換して、前記パネルをスライドさせる変換部」に相当するといえる。
(エ)引用発明の「タッチパッド20」は、アクチュエータ36により与えられる動きが触覚フィードバックと呼ばれるから、後述する相違点を除き、本願発明の「触感呈示装置」に相当するといえる。
したがって、本願発明1と引用発明との間には、以下の一致点及び相違点があるといえる。
(一致点)
「パネルと、アクチュエータと、前記パネル及び前記アクチュエータに係合し、前記アクチュエータの変位により当該アクチュエータの変位方向及び変位量を異なる変位方向及び異なる変位量に変換して、前記パネルをスライドさせる変換部と、を備える、触感呈示装置。」
(相違点1)
アクチュエータは、本願発明1では「積層方向に沿って伸縮変位する積層型圧電素子」を備えるのに対し、引用発明では、駆動信号が印加された場合に強制的に上向きの方向118に動かされる「プランジャ116」を備えるものである点。
(相違点2〉
本願発明1では、アクチュエータが備える「積層型圧電素子は、変位方向が前記パネルの平面視において当該パネルのスライド方向と交差して配置されている」のに対し、引用発明は、タッチパッド部材24の垂直位置とは異なる垂直位置にアクチュエータ36(「プランジャ116」)を配置している点。
(2) 判断
事案に鑑みて先ず相違点2について検討する。
引用文献1~5には、上記相違点2に係る本願発明1のアクチュエータが備える「積層型圧電素子は、変位方向が前記パネルの平面視において当該パネルのスライド方向と交差して配置されている」という構成は、記載されておらず、示唆されてもいない。また、上記相違点2に係る本願発明1の構成が、本願出願日前に周知技術であったとはいえない。
したがって、上記相違点1を検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献1~5に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。
2.本願発明2-4について
本願発明2-4は、上記相違点1に係る本願発明1の構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2~4に記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
第5 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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