特許拒絶査定不服審判
2017-003314
三次元集積回路積層体
- 審判番号
- 2017-003314
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2012-082481外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年03月06日
- 審決日
- 2018年04月23日
- 公報発行日
- 2018年07月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】三菱ケミカル株式会社
- 【請求人代理人】加藤 久
- 【請求人代理人】久保山 隆
- 【請求人代理人】遠坂 啓太
- 【請求人代理人】森 博
- 分類
- P18 .121-Z (H01L)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2012- 82481「三次元集積回路積層体」拒絶査定不服審判事件〔平成24年11月 8日出願公開、特開2012-216838〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
1.手続の経緯
本願は、平成24年3月30日(優先権主張 平成23年3月31日)の出願であって、平成27年6月1日付け拒絶理由通知に対する応答時、同年7月23日付けで手続補正がなされ、平成28年2月15日付け拒絶理由通知に対する応答時、同年6月17日付けで意見書が提出されたが、同年11月30日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成29年3月6日付けで拒絶査定不服審判の請求及び手続補正がなされたものである。
2.本願発明
本願の請求項1ないし9に係る発明は、平成29年3月6日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし9に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである。
「【請求項1】
半導体デバイス層が形成された半導体基板を少なくとも2層以上積層した半導体基板積層体を有し、該半導体基板間に、樹脂(A)及び平均粒径0.1μm以上5μm以下、且つ、最大粒径10μm以下であり、熱伝導率が2W/(m・K)以上の無機フィラー(B)を含有する熱伝導率が0.8W/(m・K)以上の第1の層間充填材層を有し、かつ該第1の層間充填材層の中に電気信号接続用のはんだ接続端子を含み、
前記半導体基板積層体がさらに有機基板上に搭載されており、前記半導体基板積層体と前記有機基板との間に、樹脂(a)及び無機フィラー(b)を含有する第2の層間充填材層を有することを特徴とする三次元集積回路積層体。」
なお、上記平成29年3月6日付け手続補正による補正は、実質的に補正前の請求項7を独立形式として補正後の請求項1とし、補正前の請求項1を削除したものであるとみることができ、特許法第17の2第5項第1号に掲げる請求項の削除を目的とするものに該当する。
3.引用例
(1)引用例1
原査定の拒絶の理由に引用された特開2010-10368号公報(以下、「引用例1」という。)には、「半導体装置」について、図面とともに以下の各記載がある(なお、下線は当審で付与した)。
ア.「【請求項1】
基板と、前記基板の少なくとも一方の面側に設けられた第1半導体素子と、厚さ方向に貫通する導体部を有する第2半導体素子と、を有する半導体装置であって、
前記第1半導体素子と前記第2半導体素子とが、突起電極を介して電気的に接続されており、
前記第1半導体素子と、前記第2半導体素子との間には、架橋反応可能な樹脂およびフラックス活性を有する化合物を含む樹脂組成物の硬化物で構成される第1接着層が配置されてなることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記基板と前記第1半導体素子とが、突起電極を介して電気的に接続されており、かつ前記基板と前記第1半導体素子との間には、架橋反応可能な樹脂と、フラックス活性を有する化合物とを含む樹脂組成物の硬化物で構成される第2接着層が配置されているものである請求項1に記載の半導体装置。」
イ.「【0011】
まず、半導体装置について、図1に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の半導体装置の一例を示す断面図である。
図1に示すように、半導体装置100は、基板10と、基板10の上側(図1中の上側)に搭載されている第1半導体素子1と、第1半導体素子の上側(図1中の上側)に搭載されている第2半導体素子2と、を有している。
基板10の上側の面には、図示しない回路パターンが形成されており、電極パッドが配置されている。
第1半導体素子1と基板10とは、半田バンプ11を介して電気的に接続されている。第1半導体素子1と、基板10との間には、半田バンプ11の周囲を保護するように架橋反応可能な樹脂およびフラックス活性を有する化合物を含む樹脂組成物の硬化物で構成される第2接着層12が配置されている。
・・・・・(中 略)・・・・・
【0013】
また、第1半導体素子1と第2半導体素子2とも、半田バンプ21を介して電気的に接続されている。第1半導体素子1と第2半導体素子2との間には、半田バンプ21の周囲を保護するように架橋反応可能な樹脂およびフラックス活性を有する化合物を含む樹脂組成物の硬化物で構成される第1接着層22が配置されている。」
ウ.「【0015】
以下、各構成について説明する。
基板10としては、例えばセラミック基板または有機基板等を用いることができる。セラミック基板としては、アルミナ基板、窒化アルミニウム基板等を用いることができる。有機基板としては、ポリイミドフィルムを基板として用いたポリイミドフィルム基板、ガラスクロスにエポキシ樹脂を含浸させたFR-4基板、ビスマレイミド-トリアジン樹脂を含浸させたBT基板等を用いることができる。」
エ.「【0019】
また、半田バンプ11の周囲を保護する第2接着層12としては、いわゆるアンダーフィル材を用いることもできる。例えば、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、マレイミド系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂等を1種または複数種混合したものに、硬化剤や無機充填材、各種カップリング剤などを添加して液状のアンダーフィル材を得ることができる。
このアンダーフィル材を半導体素子の一辺または複数面に塗布し、毛細管現象を利用して樹脂組成物を回路基板と半導体素子の間隙に流れ込ませ硬化し、樹脂硬化物を形成し電極を保護する。
【0020】
なお、第2接着層12として、いわゆるアンダーフィル材を用いた場合について説明したが、これに限定されず、後述するような架橋反応可能な樹脂およびフラックス活性を有する化合物を含む樹脂組成物の硬化物で構成されるようなものを用いても良い。」
オ.「【0023】
また、半田バンプ21の周囲を保護する架橋反応可能な樹脂およびフラックス活性を有する化合物を含む樹脂組成物の硬化物で構成される第1接着層22の樹脂組成物としては、例えば下記のものが挙げられる。
前記架橋反応可能な樹脂としては、例えばエポキシ樹脂、オキセタン樹脂、フェノール樹脂、(メタ)アクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、マレイミド樹脂等のいわゆる熱硬化性樹脂に分類されるものに加え、カルボキシル基、エポキシ基等の官能基を有する熱可塑性樹脂等も本発明の架橋反応可能な樹脂として挙げることができる。これらの中でも、硬化性と保存性、硬化物の耐熱性、耐湿性、耐薬品性に優れるエポキシ樹脂が好適に用いられる。」
・・・・・(中 略)・・・・・
【0059】
また、耐熱性や、寸法安定性、耐湿性等の特性が特に要求される場合には、さらに無機充填剤を含有することが好ましい。このような無機充填剤としては、例えばタルク、焼成クレー、未焼成クレー、マイカ、ガラス等のケイ酸塩、酸化チタン、アルミナ、溶融シリカ(溶融球状シリカ、溶融破砕シリカ)、結晶シリカ等の粉末等の酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト等の炭酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム等の硫酸塩または亜硫酸塩、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素等の窒化物等を挙げることができる。これらの無機充填剤は単独でも混合して使用しても良い。これらの中でも溶融シリカ、結晶シリカ等のシリカ粉末が好ましく、特に球状溶融シリカが好ましい。
【0060】
無機充填剤を樹脂組成物に含めることにより、樹脂組成物を硬化させた後の耐熱性、耐湿性、強度等を向上させることができ、また第1接着層22の保護フィルムに対する剥離性を向上させることができる。なお、無機充填剤の形状は、特に限定されないが、真球状であることが好ましく、これにより、特に異方性のない第1接着層22として好適な樹脂組成物を提供することができる。」
・上記引用例1に記載の「半導体装置」は、上記「ア.」、「イ.」の記載事項、及び図1によれば、基板10と、基板10の上側に搭載されている第1半導体素子1と、第1半導体素子1の上側に搭載されている第2半導体素子2と、を有し、第1半導体素子1と第2半導体素子2とが、半田バンプ21(突起電極)を介して電気的に接続されており、第1半導体素子1と第2半導体素子2との間には、半田バンプ21を保護するように樹脂組成物の硬化物で構成される第1接着層22が配置されてなり、基板10と第1半導体素子1とが、半田バンプ11(突起電極)を介して電気的に接続されており、かつ基板10と第1半導体素子1との間には、半田バンプ11の周囲を保護するように樹脂組成物の硬化物で構成される第2接着層12が配置されている、半導体装置である。
・上記「ウ.」の記載事項によれば、基板10は、例えば有機基板が用いられてなるものである。
・上記「オ.」の記載事項によれば、第1接着層22には、無機充填剤が含有されてなるものである。
・上記「エ.」の記載事項によれば、第2接着層12としては、樹脂に硬化剤や無機充填剤などを添加してなるアンダーフィル材、あるいは第1接着剤22と同様のものが用いられる。
したがって、上記記載事項及び図面を総合勘案すると、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「有機基板と、前記有機基板の上側に搭載されている第1半導体素子と、前記第1半導体素子の上側に搭載されている第2半導体素子と、を有し、
前記第1半導体素子と前記第2半導体素子とが、半田バンプ21を介して電気的に接続されており、前記第1半導体素子と前記第2半導体素子との間には、前記半田バンプ21を保護するように樹脂組成物の硬化物で構成され、無機充填剤が含有されてなる第1接着層が配置されてなり、
前記有機基板と前記第1半導体素子とが、半田バンプ11を介して電気的に接続されており、かつ前記有機基板と前記第1半導体素子との間には、前記半田バンプ11の周囲を保護するように樹脂組成物の硬化物で構成され、無機充填剤が含有されてなる第2接着層が配置されている、半導体装置。」
(2)引用例2
同じく原査定の拒絶の理由に引用された特開2011-23607号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに以下の各記載がある(なお、下線は当審で付与した)。
ア.「【請求項1】
半導体素子を被着体上に接着して固定させる放熱性ダイボンドフィルムであって、
熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、及び熱伝導率が12W/m・K以上の熱伝導性フィラーを少なくとも含み、前記熱伝導性フィラーの含有量は有機樹脂成分と熱伝導性フィラーの合計に対し50重量%~120重量%の範囲内である放熱性ダイボンドフィルム。
【請求項2】
前記熱伝導性フィラーの平均粒径は0.01~10μmの範囲内である請求項1に記載の放熱性ダイボンドフィルム。
・・・・・(中 略)・・・・・
【請求項4】
前記熱伝導性フィラーは酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、水酸化マグネシウム、窒化アルミニウム、及び炭化珪素からなる群より選択される少なくとも何れか1種である請求項1~3の何れか1項に記載の放熱性ダイボンドフィルム。」
イ.「【0004】
一方、近年、半導体素子が高集積化、多段化、高機能化し、その寸法も大型化するに伴い、半導体素子の作動時に発生する熱が増加傾向にある。このため、当該熱が半導体装置内部で蓄熱され、半導体素子のジャンクション温度を超えると、機能不良に陥る問題がある。このため、放熱性の向上が課題となっている。
・・・・・(中 略)・・・・・
【0007】
本発明は、従来の前記課題に鑑みなされたものであり、高い熱伝導性と放熱性に優れたダイボンドフィルム及び当該ダイボンドフィルムを備えたダイシング・ダイボンドフィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明者等は、前記従来の問題点を解決すべく、放熱性ダイボンドフィルム及び当該放熱性ダイボンドフィルムを備えたダイシング・ダイボンドフィルムについて検討した。その結果、接着剤層中に熱伝導性フィラーを含有させることにより放熱性に優れたダイボンドフィルムが得られることを見出して、本発明を完成させるに至った。
・・・・・(中 略)・・・・・
【0010】
本発明の放熱性ダイボンドフィルム(以下、「ダイボンドフィルム」という場合がある。)は熱伝導率が12W/m・K以上の熱伝導性フィラーを有機樹脂成分と熱伝導性フィラーの合計に対し50重量%以上含有するので、熱を蓄積することなく放熱させることができる。これにより、例えば半導体素子がその作動時において熱を発生した場合、当該熱は本発明のダイボンドフィルムに伝導するが、当該フィルム中に蓄積されることなく被着体側に放熱させることが可能になる。その結果、半導体素子が熱により劣化するのを防止することができる。尚、熱伝導フィラーの含有量を有機樹脂成分と熱伝導性フィラーの合計に対し120重量%以下にするのは、半導体素子や被着体に対するダイボンドフィルムの濡れ性及び接着性が低下するのを防止する為である。また、熱伝導性フィラーの熱伝導率が12W/m・K未満であると、ダイボンドフィルムの熱伝導性が低下し、熱の蓄積が発生する場合がある。
【0011】
ここで、前記「被着体」とは、BGA(Ball Grid Array)基板やBT(ビスマレイミド・トリアジン)基板等の各種基板、リードフレーム、他の半導体素子、スペーサ等を含む。・・・(以下、略)」
ウ.「0012】
前記の構成に於いて、前記熱伝導性フィラーの平均粒径は0.01~10μmの範囲内であることが好ましい。平均粒径を0.01μm以上にすることにより、ダイボンドフィルムの熱伝導性及び耐熱性の向上が図れる。その一方、平均粒径を10μm以下にすることにより、ダイボンドフィルムの熱伝導性が低下し過ぎるのを防止すると共に、被着体や半導体素子に対する濡れ性を良好なものにし、接着性の低下を抑制することができる。尚、フィラーの平均粒径は、光度式の粒度分布計(HORIBA製、装置名;LA-910)により求めた値である。」
エ.「【0021】
前記ダイボンドフィルム3は、半導体素子を被着体上に接着して固定させる際に用いる接着フィルムであって、少なくとも熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂及び熱伝導性フィラーを含む。当該固定には、ダイボンドフィルム3を完全に硬化させない状態で接着させる場合を含む意味である。
【0022】
前記熱伝導性フィラーは、その熱伝導率が12W/m・K以上であり、好ましくは15~70W/m・K、より好ましくは25~70W/m・Kである。前記熱伝導率が12W/m・K以上であると、ダイボンドフィルム3に対し、少なくとも1.5W/m・K以上の熱伝導性を付与することが可能になる。但し、熱伝導性フィラーの熱伝導率が70W/m・Kを超えると、コスト高を招来する場合がある。
【0023】
前記熱伝導性フィラーとしては特に限定されず、例えば、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、水酸化マグネシウム、窒化アルミニウム、炭化珪素等の電気絶縁性のものが挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を併用して用いることができる。なかでも、酸化アルミニウムは高伝導率であり、ダイボンドフィルム3中における分散性に優れ、入手の容易さの点から好ましい。」
オ.「【0043】
ダイボンドフィルム3の熱伝導率は1.5W/m・K以上であることが好ましく、2W/m・K以上であることがより好ましい。ダイボンドフィルム3自体の熱伝導率を2W/m・K以上にすることにより、例えば、半導体素子の作動時に発生する熱を効果的に被着体側に放熱させることができ、半導体装置内の熱の蓄積を低減することができる。尚、ダイボンドフィルム3の自己支持性の観点から、ダイボンドフィルム3の熱伝導率は5W/m・K以下であることが好ましい。」
カ.「【0087】
また、本発明のダイシング・ダイボンドフィルムは、図4に示すように、複数の半導体チップを積層して3次元実装をする場合にも好適に用いることができる。図4は、ダイボンドフィルムを介して半導体チップを3次元実装した例を示す断面模式図である。図4に示す3次元実装の場合、先ず半導体チップと同サイズとなる様に切り出した少なくとも1つのダイボンドフィルム3aを被着体6上に貼り付けた後、ダイボンドフィルム3aを介して半導体チップ5を、そのワイヤーボンド面が上側となる様にしてダイボンドする。次に、ダイボンドフィルム13を半導体チップ5の電極パッド部分を避けて貼り付ける。更に、他の半導体チップ15をダイボンドフィルム13上に、そのワイヤーボンド面が上側となる様にしてダイボンドする。その後、ダイボンドフィルム3a、13を加熱することにより熱硬化させて接着固定し、耐熱強度を向上させる。加熱条件としては、前述と同様、温度80~200℃の範囲内であり、かつ、加熱時間0.1~24時間の範囲内であることが好ましい。」
キ.「【0099】
(実施例1)
アクリル酸エチル-メチルメタクリレートを主成分とするアクリル酸エステル系ポリマー(根上工業(株)製、パラクロンW-197CM)100部に対して、エポキシ樹脂A(JER(株)製、エピコート1004)228部、エポキシ樹脂B(JER(株)製、エピコート827)206部、フェノール樹脂(三井化学(株)製、ミレックスXLC-4L)446部、熱伝導性フィラーとしての球状アルミナ((株)電気化学工業製、DAM-0、平均粒径3μm、熱伝導率40W/m・K)1500部、硬化触媒(四国化成(株)製、C11-Z)3部をメチルエチルケトンに溶解させ、濃度23.6重量%の接着剤組成物を調製した。」
したがって、上記記載事項及び図面(特に図4)を総合勘案すると、引用例2には、次の技術事項が記載されている。
「半導体素子の多段化等に伴い、半導体素子の作動時に発生する熱が増加して当該熱が半導体装置内部で蓄熱され、半導体素子が機能不良に陥ることを防ぐための放熱性の向上という課題に鑑み、
半導体素子を被着体(例えば他の半導体素子)に接着して固定させる接着フィルム(ダイボンドフィルム)において、
熱硬化性樹脂等から構成される接着剤層中に、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム等の熱伝導率が12W/m・K以上、平均粒径が0.01~10μmの範囲内である熱伝導性フィラー(例えば実施例1では、熱伝導率40W/m・K、平均粒径3μmの球状アルミナ)を含有させ、接着フィルム(ダイボンドフィルム)の熱伝導率を1.5W/m・K以上(より好ましくは2W/m・K以上)としたこと。」
4.対比
そこで、本願発明と引用発明とを対比すると、
(1)引用発明における「有機基板と、前記有機基板の上側に搭載されている第1半導体素子と、前記第1半導体素子の上側に搭載されている第2半導体素子と、を有し」によれば、
(a)引用発明における「第1半導体素子」及び「第2半導体素子」は、本願発明でいう「半導体デバイス層が形成された半導体基板」に相当するといえ、
引用発明においても、「第1半導体素子」の上側に「第2半導体素子」が積層されており、本願発明でいう「半導体基板積層体」を構成している。
(b)また、引用発明における「有機基板」は、本願発明でいう「有機基板」に相当し、
引用発明においても、「第1半導体素子」及び「第2半導体素子」で構成される積層体が「有機基板」の上側に搭載されてなるものである。
したがって、本願発明と引用発明とは、「半導体デバイス層が形成された半導体基板を少なくとも2層以上積層した半導体基板積層体」を有するものである点、及び「前記半導体基板積層体がさらに有機基板上に搭載され」ている点で一致する。
(2)引用発明における「前記第1半導体素子と前記第2半導体素子とが、半田バンプ21を介して電気的に接続されており、前記第1半導体素子と前記第2半導体素子との間には、前記半田バンプ21を保護するように樹脂組成物の硬化物で構成され、無機充填剤が含有されてなる第1接着層が配置されてなり」によれば、
(a)引用発明における、第1半導体素子と第2半導体素子との間に配置されてなる「第1接着層」は、本願発明でいう「第1の層間充填材層」に相当し、
引用発明の「第1接着層」を構成する樹脂組成物に含まれる「樹脂」、当該樹脂組成物に含有されてなる「無機充填剤」が、それぞれ本願発明でいう「第1の層間充填材層」が含有する「樹脂(A)」、「無機フィラー(B)」に相当するといえる。
(b)そして、引用発明における、第1半導体素子と第2半導体素子とを電気的に接続するための「半田バンプ21」は、本願発明でいう「はんだ接続端子」に相当し、
引用発明における「半田バンプ21」にあっても、第1接着層の中に含まれてなるものである。
したがって、本願発明と引用発明とは、「該半導体基板間に、樹脂(A)及び無機フィラー(B)を含有する第1の層間充填材層を有し、かつ該第1の層間充填材層の中に電気信号接続用のはんだ接続端子を含」むものである点で共通するといえる。
ただし、第1の層間充填材層について、本願発明では、無機フィラー(B)として「平均粒径0.1μm以上5μm以下、且つ、最大粒径10μm以下であり、熱伝導率が2W/(m・K)以上」のものを含有し、「熱伝導率が0.8W/(m・K)以上」である旨特定するのに対し、引用発明では、そのような特定を有していない点で相違している。
(3)引用発明における「前記有機基板と前記第1半導体素子とが、半田バンプ11を介して電気的に接続されており、かつ前記有機基板と前記第1半導体素子との間には、前記半田バンプ11の周囲を保護するように樹脂組成物の硬化物で構成され、無機充填剤が含有されてなる第2接着層が配置されている・・」によれば、
引用発明における、有機基板と第1半導体素子との間に配置されてなる「第2接着層」は、本願発明でいう「第2の層間充填材層」に相当し、
引用発明の「第2接着層」を構成する樹脂組成物に含まれる「樹脂」、当該樹脂組成物に含有されてなる「無機充填剤」が、それぞれ本願発明でいう「第1の層間充填材層」が含有する「樹脂(a)」、「無機フィラー(b)」に相当する。
したがって、本願発明と引用発明とは、「前記半導体基板積層体と前記有機基板との間に、樹脂(a)及び無機フィラー(b)を含有する第2の層間充填材層を有する」ものである点で一致する。
(4)そして、引用発明における「半導体装置」は、2つの半導体素子が積層された積層体を有するものであることから、本願発明でいう「三次元集積回路積層体」に相当するといえるものである。
よって、本願発明と引用発明とは、
「半導体デバイス層が形成された半導体基板を少なくとも2層以上積層した半導体基板積層体を有し、該半導体基板間に、樹脂(A)及び無機フィラー(B)を含有する第1の層間充填材層を有し、かつ該第1の層間充填材層の中に電気信号接続用のはんだ接続端子を含み、
前記半導体基板積層体がさらに有機基板上に搭載されており、前記半導体基板積層体と前記有機基板との間に、樹脂(a)及び無機フィラー(b)を含有する第2の層間充填材層を有することを特徴とする三次元集積回路積層体。」
である点で一致し、次の点で相違する。
[相違点]
第1の層間充填材層について、本願発明では、無機フィラー(B)として「平均粒径0.1μm以上5μm以下、且つ、最大粒径10μm以下であり、熱伝導率が2W/(m・K)以上」のものを含有し、「熱伝導率が0.8W/(m・K)以上」である旨特定するのに対し、引用発明では、そのような特定を有していない点。
5.判断
上記[相違点]について検討すると、
引用例2には、「半導体素子の多段化等に伴い、半導体素子の作動時に発生する熱が増加して当該熱が半導体装置内部で蓄熱され、半導体素子が機能不良に陥ることを防ぐための放熱性の向上という課題に鑑み、半導体素子を被着体(例えば他の半導体素子)に接着して固定させる接着フィルム(ダイボンドフィルム)において、熱硬化性樹脂等から構成される接着剤層中に、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム等の熱伝導率が12W/m・K以上、平均粒径が0.01~10μmの範囲内である熱伝導性フィラー(例えば実施例1では、熱伝導率40W/m・K、平均粒径3μmの球状アルミナ)を含有させ、接着フィルム(ダイボンドフィルム)の熱伝導率を1.5W/m・K以上(より好ましくは2W/m・K以上)」としてなる技術事項が記載(上記「3.(2)」を参照)され、半導体素子間に配置される接着フィルムに含有されるフィラーとして、平均粒径が所定の範囲内であり、熱伝導率が所定の値以上のものを用いることによって、接着フィルム自体の熱伝導率も所定の値以上の高いものとすることが記載されているところ、
上記引用例2に記載のような、半導体素子の多段化等によって発生する熱の増加に伴う放熱性の向上という課題は当業者にとって考慮すべき一般的な課題にすぎず、引用例1においても、第1接着層に含有される無機充填剤として、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素といった熱伝導率が高いものも例示されている(上記「3.(1)オ.」を参照)ことから、放熱性の向上を考慮して上記引用例2に記載の技術事項を採用し、第1接着層に含有される無機充填剤として「平均粒径0.1μm以上5μm以下であり、熱伝導率が2W/(m・K)以上」の条件を満たし、第1接着層が「熱伝導率が0.8W/(m・K)以上」の条件を満たすものとすることも当業者であれば容易になし得ることである。
そして、無機充填剤の最大粒径については、例えば原査定において提示した特開2001-298146号公報(特に【請求項10】、段落【0001】、【0020】、【0033】、図1を参照)には、2枚の半導体チップ9,10を積層して相互にバンプ11,12を介して接続し、半導体チップ間に介在する樹脂組成物層13により固着してなるものにおいて、樹脂組成物層13に含まれる充填剤(アルミナ、窒化ケイ素など)として「半導体チップ9,10間の間隔が狭いため、最大粒径が10μm以下で平均粒径が1μm以下が望ましい。」と記載され、また、本願明細書においても「・・配合されるフィラーの最大粒径は、半導体基板の確実な接合を実現するためにも層間充填材層の厚みの1/3以下程度にすることが求められている。」と記載(段落【0008】)されているように、第1接着層の厚み、すなわち第1半導体素子と第2半導体素子との間隔に応じて定められるべきものであることは当業者において周知といえる技術事項であり、引用発明においても、第1半導体素子と第2半導体素子との接続は半田バンプを介して行われ、第1半導体素子と第2半導体素子との間隔は狭いといえることから、上記特開2001-298146号公報に記載のものと同様に「最大粒径10μm以下」とすることも当業者であれば適宜なし得ることである。
そして、本願発明が奏する効果についてみても、引用発明、引用例2に記載の技術事項及び周知の技術事項から当業者が予測できたものであって、格別顕著なものがあるとはいえない。
6.むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用発明、引用例2に記載の技術事項及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2017-003314