特許拒絶査定不服審判
2017-000792
クワッドフラットノーリードパッケージ装置及びその製造方法
- 審判番号
- 2017-000792
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-131490外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年01月19日
- 審決日
- 2017年12月18日
- 公報発行日
- 2018年06月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】菱生精密工業股▲分▼有限公司
- 【請求人代理人】服部 雅紀
- 分類
- P18 .121-Z (H01L)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-131490「クワッドフラットノーリードパッケージ装置及びその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成27年11月 9日出願公開、特開2015-198241〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
1.手続の経緯
本願は、平成26年6月26日(パリ条約に基づく優先権主張 平成26年3月31日 台湾(TW))の出願であって、平成28年3月24日付け拒絶理由通知に対する応答時、同年8月25日付けで手続補正がなされたが、同年9月16日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成29年1月19日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
2.本願発明
本願の請求項1ないし8に係る発明は、平成28年8月25日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである。
「【請求項1】
薄膜層を提供し、その後、前記薄膜層の表面に伝導層を提供するステップAと、
前記ステップAの後、電子回路配置手段により前記伝導層に複数の導体線路を形成するステップBと、
前記ステップBの後、複数のコンタクトパッドを有し、各前記コンタクトパッドを各前記導体線路の先端に電気的に接続するチップを提供するステップCと、
前記ステップCの後、ドリル手段により前記薄膜層に複数のスルーホールを形成し、且つ、各前記導体線路の末端を各前記スルーホール内にそれぞれ露出させるステップDと、
前記ステップDの後、複数の金属バンプを各前記スルーホールにそれぞれ設け、各前記導体線路を経由して前記チップの信号を前記薄膜層の裏面まで伝達するステップEと、
を含むことを特徴とするクワッドフラットノーリードパッケージ装置の製造方法。」
3.引用例
(1)引用例1
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された特開2007-150374号公報(以下、「引用例1」という。)には、「半導体装置の製造方法」について、図面とともに以下の各記載がある(なお、下線は当審で付与した)。
ア.「【背景技術】
【0002】
半導体装置のパッケージ形態として、外部電極が形成された基板を半導体チップに接着した構成が知られている。このようなパッケージ形態では、基板と半導体チップとの間に樹脂を設けて両者を密着させることが多い。また、このようなパッケージ形態は、例えば、CSP(Chip Size/Scale Package)型やT-BGA(Tape Ball Grid Array)型などでも適用されており、さらに、TAB(Tape Automated Bonding)技術にも応用されている。」
イ.「【0048】
本実施形態は、上記のように構成されており、以下その製造工程について説明する。図2A~図4Bは、本実施形態に係る半導体装置の製造工程を説明する図である。この製造工程ではTAB技術が適用されており、フィルムキャリアテープ20が使用される。ここでいうフィルムキャリアテープは、絶縁性且つ可撓性を有する長尺状のフィルムであり、ポリイミド、ガラスエポキシ、BTレジンやポリエステル系等の材料が用いられる。なお、半導体チップ搭載前又は搭載後のいずれかのタイミングで、フィルムキャリアテープ20の一部が打ち抜かれて(切り離されて)フィルム片14(図1参照)が形成される。
【0049】
まず、図2Aに示すように、フィルムキャリアテープ20の一方の面(ここでは裏面が使用される)に接着剤22を塗布し、図2Bに示すように、フィルムキャリアテープ20に穴14aなどの開口を、プレスによる打ち抜きやレーザ-加工やケミカルエッチング等所望の手段により形成する。穴14aは、図1に示すように外部端子18を設けるために使用される。
【0050】
そして、図2Cに示すように、接着剤22を介して、フィルムキャリアテープ20の穴14aも含むように裏面全面に金属膜としての銅箔24を貼り付ける。銅箔24は、所定の形状にパターニングされる。そのために、図2D以降の工程が行われる。
【0051】
なお、本実施形態では、銅箔24を貼る前に穴14aなどの開口を形成したが、これに限らず銅箔24を貼った後に、開口させる工程を行っても良い。この方法によれば、未硬化の接着剤22が付いているフィルムキャリアテープ20を扱うという難しい工程がなくなり、接着剤22の硬化が終わり、銅箔24が貼られ終わっているフィルムキャリアテープ20を扱う工程になる。そのため、ある程度ラフな扱いで良いから、工程が限定されず、穴14aなどの形成工程の自由度が増すという効果がある。また、この場合には、銅箔24が貼られてから銅箔24に穴を開けずにフィルムキャリアテープ20に穴14aを形成するために、レーザ加エやケミカルエッチング等の手段を用いることが多い。
【0052】
次に、図2Dに示すように、フィルムキャリアテープ20にレジスト26を塗布し、銅箔24をエッチングして、図2Eに示すように、所定のパターン(図1に示す配線パターン16)を形成する。
【0053】
詳しくは、フィルムキャリアテープ20の両面にレジスト26を塗布し、エッチングすべき領域のレジスト26を除去するように露光及び現像し、レジスト26に覆われていない領域において銅箔24をエッチングする。エッチングには、既知のエッチャント(例えば、塩化第二鉄、塩化第二銅等の水溶液)が用いられる。
【0054】
あるいは、エッチングのようなサブトラクト(除去)法による代わりに、アディティブ(付加)法によって、配線パターン16を形成してもよい。例えば、フィルムキャリアテープ20に、スパッタリングによって、配線パターン16の形状で銅などの金属薄膜を形成し、その上に電解メッキによって厚い金属膜を形成してもよい。
・・・・・(中 略)・・・・・
【0060】
次に、図4Bに示すように、半導体チップ12の電極13と、配線パターン16の凸部17とを位置合わせして両者を接続する。詳しくは、ボンディングツール100により、フィルムキャリアテープ20の上から凸部17を、電極13に対して押圧しながら超音波振動を印加し、凸部17を構成する銅(Au)と電極13を構成するアルミニウム(Al)との合金(Au/Al)をつくることにより行われる。
【0061】
なお、本実施形態では、凸部17上のレジスト28(図3B参照)を除去してから、化学研磨工程が行われるので、配線パターン16におけるエッチングされた面16aのみならず、凸部17の表面も粗面加工がなされている。したがって、超音波振動による凸部17の塑性変形が進みやすく、凸部17と電極13との接続工程を迅速に行うことができる。
【0062】
凸部17の表面の粗面加工が不要の場合には、凸部17上のレジスト28を除去する前に化学研磨工程を行うことで対応できる。
【0063】
その後、フィルムキャリアテープ20と半導体チップ12との間に、樹脂19(図1参照)を注入して熱硬化させ、穴14a内にハンダを充填して外部端子(半田ボール)18を形成する。
【0064】
そして、フィルムキャリアテープ20からフィルム片14を打ち抜いて、図1に示す半導体装置10を得ることができる。」
ウ.「【0085】
(その他の実施形態)
上記いずれの実施形態においても、配線パターンに凸部が形成されているが、本発明は、凸部がない場合にも適用することができる。すなわち、例えば、配線パターンがハーフエッチングされない場合であっても、配線パターンを粗面加工することで樹脂との密着性を上げることができる。その場合には、銅箔等の金属膜に粗面加工を行ってから、これを配線パターンの形状にパターニングしてもよい。」
・上記引用例1に記載の「半導体装置の製造方法」は、特に上記「イ.」の段落【0051】における「本実施形態では、銅箔24を貼る前に穴14aなどの開口を形成したが、これに限らず銅箔24を貼った後に、開口させる工程を行っても良い。」なる記載、及び上記「ウ.」の「上記いずれの実施形態においても、配線パターンに凸部が形成されているが、本発明は、凸部がない場合にも適用することができる。」なる記載を踏まえ、上記「イ.」の記載事項、及び図2~図4によると、以下の製造工程を含むものである。
(a)フィルムキャリアテープ20の一方の面全面に接着剤22を介して金属膜としての銅箔24を貼り付ける工程。
(b)前記銅箔24を貼り付ける工程の後に、レーザ加工等の手段により、銅箔24には穴を開けずにフィルムキャリアテープ20にのみ穴14aを形成する工程。
(c)次に、銅箔24をエッチングして所定の配線パターン16を形成する工程。
(d)半導体チップ12の電極13と配線パターン16とを位置合わせして両者を電気的に接続する工程。
(e)その後、穴14a内にハンダを充填して外部端子(半田ボール)18を形成する工程。
・図1、図2から明らかなように、銅箔24に形成される複数の穴14a内にはそれぞれ銅箔24の一部が露出されてなるものである。
・技術常識からして、また、図1からも明らかなように、配線パターン16や、穴14a及び外部端子(半田ボール)18は、それぞれ複数形成され、半導体チップ12の電極13についても複数設けられてなるものである。
・さらに、上記「ア.」の記載事項、図1からして、半導体装置は、パッケージ形態のものである。
したがって、上記記載事項及び図面を総合勘案すると、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「フィルムキャリアテープの一方の面全面に接着剤を介して金属膜としての銅箔を貼り付ける工程と、
前記銅箔を貼り付ける工程の後に、レーザ加工等の手段により、前記銅箔には穴を開けずに前記フィルムキャリアテープのみに複数の穴を形成し、複数の穴内に前記銅箔の一部をそれぞれ露出させる工程と、
次に、前記銅箔をエッチングして複数の配線パターンを形成する工程と、
半導体チップの複数の電極と前記複数の配線パターンとをそれぞれ位置合わせして両者を電気的に接続する工程と、
その後、前記複数の穴内にハンダを充填して複数の外部端子(半田ボール)を形成する工程、を含むパッケージ形態の半導体装置の製造方法。」
(2)引用例2
同じく原査定の拒絶の理由に引用された特開2008-66685号公報(以下、「引用例2」という。)には、「半導体装置の製造方法」について、図面とともに以下の各記載がある(なお、下線は当審で付与した)。
ア.「【0025】
次に、上記半導体装置の製造方法について図2および図3(a)~(e)を参照しながら説明する。図2は、半導体装置の製造方法の各工程を説明するフロー図、図3(a)~(e)は各工程の半導体装置の製作途中の断面図である。
まず、可撓性フィルム基材3用の可撓性フィルム基材12を用意する。この可撓性フィルム基材12としては、回路パターンを形成する工程とICチップを実装する工程における熱プロセスに耐えるだけの耐熱性を備えていれば良く、上述したアラミドフィルムとは異なるプラスチックフィルムを用いてもよい。具体的には、ポリカーボネイト、ポリエーテルサルファイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミド、ポリアミド、液晶ポリマーなどから選択される。耐熱性や耐薬品性を考慮した場合、ポリイミドフィルムが好適に採用される。また、低誘電損失など電気的特性を考慮した場合、液晶ポリマーが好適に採用される。
【0026】
このほかに可撓性のガラス繊維補強樹脂板を採用することも可能である。ガラス繊維補強樹脂板の樹脂としては、エポキシ、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンエーテル、マレイミド(共)重合樹脂、ポリアミド、ポリイミドなどが挙げられる。
【0027】
図3(b)に示すように、可撓性フィルム基材12の所定の箇所にドライエッチング、ウエットエッチングおよびレーザ加工法などを利用して貫通孔13を形成する。つまり、孔明け工程(ステップS1)である。
【0028】
次に、図3(c)に示すように可撓性フィルム基材12の一方の面12aにICチップ1の電極パッド形成面を電極パッド2と貫通孔13とを位置合わせして接合して固定する。つまり、ICチップの可撓性フィルム基材12への接合工程(ステップS2)である。
次に、図3(c)に示すように、可撓性フィルム基材12の一方の面12aとは逆側の他方の面12bに導体パターンをアディティブ法で製造するためのレジストパターン14を形成する。つまり、レジストパターン形成工程(ステップS3)である。メッキ金属が付着するのを防止するレジストパターン14の形成は、薄膜形成後公知のリソグラフィ工程を用いた方法でも、あるいは印刷法を用いた方法でもよい。
【0029】
次に、図3(d)に示すように、貫通孔13にメッキをして貫通電極4を作製すると同時に、可撓性フィルム基材12の他方の面12b上に、導体パターンを有する金属箔層5を作製する。つまり、金属メッキ工程(ステップS4)である。
【0030】
次に、図3(e)に示すように、レジストパターン14を剥離し、導体パターンによる回路を形成すること、つまりレジストパターン除去工程(ステップ5)を経て、図1に示すような半導体装置を得ることができる。
【0031】
なお、第1実施形態では、メッキ法により、導体パターンを有する金属箔層5と貫通電極4とを同時一体的に形成しているが、これに限られることなく、メッキ法により貫通電極4のみを設け、金属箔層5は、エッチング法により形成しても良い。」
イ.「<第5実施形態>
【0054】
本発明の第5実施形態について、図12、図13(a)~(e)を参照しながら説明する。図12は、半導体装置の製造方法の各工程を説明するフロー図、図13(a)~(e)は、半導体装置の製造方法の各工程の半導体装置の製作途中の断面図である。
第5実施形態では、まず、図13(a)に示すように、可撓性フィルム基材42を準備する。この可撓性フィルム基材42としては、前記第1実施形態で説明したものと同様な材料が用いられる。
【0055】
次に、図13(b)に示すように、可撓性フィルム基材42の一方の面42a(図13(b)における下側の面)にICチップ1の電極パッド形成面を固定して接合する。つまり、ICチップ1の電気絶縁基材42への接合工程である(ステップS21)である。このとき、ICチップ1の可撓性フィルム基材42への位置合わせは、ICチップ1の外形を基準に行っても良く、あるいはICチップ1の隅部等に予め設けられた位置合わせようのマークを基準に行っても良い。
次に、図13(c)に示すように、可撓性フィルム基材42のICチップ接合面と相対する面つまり他方の面42bに、レジストパターン43を、ICチップ1の電極パッド2に対向する部分を除いた所定箇所に形成する。つまり、貫通孔形成用のレジストパターン形成工程(ステップS22)である。
なお、このように可撓性フィルム基材42のICチップ接合後にレジストパターン43を所定箇所に堆積、塗布形成するのでなく、初めからレジストが全面に張り付いた可撓性製フィルムにICチップ接合後にレジストパターンをエッチングにより形成しても良い。
【0056】
次に、図13(d)に示すように、可撓性フィルム基材42においてレジスト43が形成されていない箇所に、ドライエッチングあるいはウエットエッチング等の加工法を利用して貫通孔44を形成する。つまり、電気絶縁基材のエッチング工程(ステップS23)である。ここで、レジストパターン43を形成する際に、ICチップ1に予め形成された位置合わせようのマークを利用してICパッド1の電極パッド2の正確な位置を割り出したり、あるいは直接電極パッド2の位置を認識しながら形成する。
【0057】
次に、図13(e)に示すように貫通電極4および導体パターン5をアディティブ法で製造するためのレジストパターン45を形成する。つまり、メッキ用のレジストパターン形成工程(ステップS24)である。このとき、前記レジストパターン43は、すべて一旦取り除きその後、新たにレジストパターン45を形成しても良く、あるいは前記レジストパターン43を利用できる場合には、それを再利用しつつその一部を除去することで、
レジストパターン45を形成しても良い。
次に、図13(f)に示すように、レジストパターン45を利用したメッキ法により、貫通孔13に貫通電極46を製作すると同時に、所定の導体パターンを有する金属箔層47を作製する。つまり、金属メッキ工程(ステップS25)である。
次に、図13(g)に示すように、レジストパターン45を剥離することで(レジストパターン除去工程(ステップS26))、所望の半導体装置を得る。」
・上記「ア.」の記載事項、及び図3によれば、第1実施形態に係るものでは、可撓性フィルム基材に予め貫通電極を作製するための貫通孔を形成した後に、当該可撓性フィルム基材の一方の面に、ICチップの電極パッド形成面を固定して接合するようにしたものである。
・これに対して、上記「イ.」の記載事項、及び図13によれば、第5実施形態に係るものでは、可撓性フィルム基材の一方の面に、ICチップの電極パッド形成面を固定して接合した後に、可撓性フィルム基材に貫通電極を作製するための貫通孔を形成するようにしたものである。
したがって、上記記載事項及び図面を総合勘案すると、引用例2には、次の技術事項が記載されている。
「半導体装置の製造方法において、
可撓性フィルム基材に予め貫通孔を形成した後に、当該可撓性フィルム基材の一方の面に、ICチップの電極パッド形成面を固定して接合するようにしたこと。」
及び
「半導体装置の製造方法において、
可撓性フィルム基材の一方の面に、ICチップの電極パッド形成面を固定して接合した後に、当該可撓性フィルム基材に貫通孔を形成するようにしたこと。」
4.対比
そこで、本願発明と引用発明とを対比すると、
(1)引用発明における「フィルムキャリアテープの一方の面全面に接着剤を介して金属膜としての銅箔を貼り付ける工程と」によれば、
引用発明における「フィルムキャリアテープ」、金属膜としての「銅箔」は、それぞれ本願発明でいう「薄膜層」、「伝導層」に相当し、
本願発明と引用発明とは、「薄膜層を提供し、その後、前記薄膜層の表面に伝導層を提供するステップAと」を含むものである点で一致する。
(2)引用発明における「前記銅箔を貼り付ける工程の後に、レーザ加工等の手段により、前記銅箔には穴を開けずに前記フィルムキャリアテープのみに複数の穴を形成し、複数の穴内に前記銅箔の一部をそれぞれ露出させる工程と」によれば、
引用発明における「レーザ加工等の手段」、複数の「穴」が、それぞれ本願発明でいう「ドリル手段」、複数の「スルーホール」に相当し、
本願発明と引用発明とは、「少なくとも下記のステップEの前に、ドリル手段により前記薄膜層に複数のスルーホールを形成し、且つ、前記伝導層の一部を各前記スルーホール内にそれぞれ露出させるステップDと」〔なお、「ステップE」とは、「前記ステップDの後、複数の金属バンプを各前記スルーホールにそれぞれ設け、各前記導体線路を経由して前記チップの信号を前記薄膜層の裏面まで伝達するステップ」である(下記(5)を参照)〕を含むものである点で共通するといえる。
ただし、ステップDについて、本願発明では、「前記ステップCの後」〔なお、「ステップC」とは、「前記ステップBの後、複数のコンタクトパッドを有し、各前記コンタクトパッドを各前記導体線路の先端に電気的に接続するチップを提供するステップ」である(下記(4)を参照)〕に行われるものであり、各スルーホール内にそれぞれ露出される伝導層の一部が、「各前記導体線路の末端」であると特定するのに対し、引用発明では、そのような特定を有しておらず、銅箔を貼り付ける工程の後、つまり複数の配線パターンを形成する工程の前に行われるものである点で相違している。
(3)引用発明における「次に、前記銅箔をエッチングして複数の配線パターンを形成する工程と」によれば、
引用発明における、複数の「配線パターン」は、本願発明でいう、複数の「導体線路」に相当し、
また、引用発明においても当然、銅箔をエッチングして複数の配線パターンを形成するための手段(例えばレジスト、エッチャントなど)を有するものであり、かかる手段が、本願発明でいう「電子回路配置手段」に相当するといえる。
したがって、本願発明と引用発明とは、「前記ステップAの後、電子回路配置手段により前記伝導層に複数の導体線路を形成するステップBと」を含むものである点で一致する。
(4)引用発明における「半導体チップの複数の電極と前記複数の配線パターンとをそれぞれ位置合わせして両者を電気的に接続する工程と」によれば、
引用発明における「半導体チップ」、半導体チップの複数の「電極」が、それぞれ本願発明でいう「チップ」、複数の「コンタクトパッド」に相当し、
また、引用発明においても、各電極と各配線パターンとがそれぞれ電気的に接続されてなるものであり(引用例1の図1も参照)、そして、引用発明の配線パターンにおける、半導体チップの電極が接続される箇所が、本願発明でいう「導体線路の先端」に相当するとみることができる。
したがって、本願発明と引用発明とは、「前記ステップBの後、複数のコンタクトパッドを有し、各前記コンタクトパッドを各前記導体線路の先端に電気的に接続するチップを提供するステップCと」を含むものである点で一致する。
(5)引用発明における「その後、前記複数の穴内にハンダを充填して複数の外部端子(半田ボール)を形成する工程、を含む・・」によれば、
引用発明における、複数の「外部端子(半田ボール)」が、本願発明でいう、複数の「金属バンプ」に相当し、
引用発明においても、当然、各配線パターンを経由して半導体チップの信号がフィルムキャリアテープの裏面まで伝達されるものであるから、
本願発明と引用発明とは、「前記ステップDの後、複数の金属バンプを各前記スルーホールにそれぞれ設け、各前記導体線路を経由して前記チップの信号を前記薄膜層の裏面まで伝達するステップEと」を含むものである点で一致する。
(6)そして、引用発明における「パッケージ形態の半導体装置の製造方法」によれば、
引用発明における「パッケージ形態の半導体装置」は、本願発明における「パッケージ装置」と同様の構造〔特に、引用例1の図1によれば、表面実装型であり、パッケージの側面より外方に突出するリード端子がない構造であって、パッケージの中央部から外周部にかけて1個の外部端子のみが底面に配置されてなる(つまり、BGA型のようにパッケージの中央部から外周部にかけて複数個の外部端子が底面に配列されたものではない)〕ものであるから、本願発明でいう「クワッドフラットノーリードパッケージ装置」に相当するとみることができ、
本願発明と引用発明とは、「クワッドフラットノーリードパッケージ装置の製造方法」に係るものであるといえる点で一致する。
よって、本願発明と引用発明とは、
「薄膜層を提供し、その後、前記薄膜層の表面に伝導層を提供するステップAと、
前記ステップAの後、電子回路配置手段により前記伝導層に複数の導体線路を形成するステップBと、
前記ステップBの後、複数のコンタクトパッドを有し、各前記コンタクトパッドを各前記導体線路の先端に電気的に接続するチップを提供するステップCと、
少なくとも下記のステップEの前に、ドリル手段により前記薄膜層に複数のスルーホールを形成し、且つ、前記伝導層の一部を各前記スルーホール内にそれぞれ露出させるステップDと、
前記ステップDの後、複数の金属バンプを各前記スルーホールにそれぞれ設け、各前記導体線路を経由して前記チップの信号を前記薄膜層の裏面まで伝達するステップEと、
を含むことを特徴とするクワッドフラットノーリードパッケージ装置の製造方法。」
である点で一致し、次の点で相違する。
[相違点]
ステップDについて、本願発明では、「前記ステップCの後」に行われるものであり、各スルーホール内にそれぞれ露出される伝導層の一部が、「各前記導体線路の末端」であると特定するのに対し、引用発明では、そのような特定を有しておらず、複数の配線パターンを形成する工程の前に行われるものである点。
5.判断
上記[相違点]について検討する。
引用発明では、フィルムキャリアテープに複数の穴を形成する工程(本願発明でいう「ステップD」に対応する工程)を、複数の配線パターンを形成する工程の前、すなわち本願発明でいう「ステップB」の前に行っているところ、
例えば引用例2には、「導体装置の製造方法において、可撓性フィルム基材に予め貫通孔を形成した後に、当該可撓性フィルム基材の一方の面に、ICチップの電極パッド形成面を固定して接合するようにした」技術事項とともに、「可撓性フィルム基材の一方の面に、ICチップの電極パッド形成面を固定して接合した後に、当該可撓性フィルム基材に貫通孔を形成するようにした」技術事項も記載されているように、可撓性フィルム基材への貫通孔の形成とICチップの接合のいずれを先に行うかは適宜選択し得る事項であるといえ、引用発明においても、フィルムキャリアテープに複数の穴を形成する工程を、半導体チップを接続する工程(本願発明でいう「ステップC」)の後に行う〔その場合、複数の配線パターンを形成する工程は、半導体チップを接続する工程より前であるから、フィルムキャリアテープに複数の穴を形成する工程は、当然、複数の配線パターンを形成する工程の後であり、各穴内にそれぞれ露出される伝導層の一部は、「各配線パターン」の一部(本願発明でいう「各導体線路の末端」)である〕ようにし、相違点に係る構成とすることは当業者であれば適宜なし得ることである。
そして、本願発明が奏する効果についてみても、引用発明及び引用例2に記載の技術事項から当業者が予測できたものであって、格別顕著なものがあるとはいえない。
6.むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用発明及び引用例2に記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2017-000792