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特許異議申立

2016-701181

遊技機

審判番号
2016-701181
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2014-169737外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2016年12月26日
審決日
2017年10月30日
公報発行日
2018年01月26日
結論
訂正認容
当事者
審判長/審判官
分類
P1651.121-YAA(A63F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第113条第2号、特許法第126条第6項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第5940610号発明「遊技機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第5940610号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 特許第5940610号の請求項1に係る特許を維持する。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本件特許第5940610号(以下「本件特許」という。)の請求項1に係る特許についての出願は,平成22年3月4日に出願した特願2010-48430号の一部を平成26年8月22日に新たな特許出願である特願2014-169737号として出願したものであって,平成28年5月27日に特許権の設定登録がされ,同年12月26日にその特許に対し,特許異議申立人である日本電動式遊技機特許株式会社より特許異議の申立てがなされ,平成29年3月1日付けで審尋が通知され,特許権者である株式会社三共より同年4月28日付けで回答書が提出され,同年5月22日付けで取消理由が通知され,特許権者である株式会社三共より同年7月24日付けで意見書及び訂正請求書が提出され,これに対して,特許異議申立人より同年9月19日付けで意見書が提出されたものである。 第2 訂正の適否 1 訂正の内容 本件特許の訂正の内容は,次のとおりである。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に 「前記設定値を表示する設定値表示部とを備え,」とあるのを, 「前記設定値を表示する設定値表示部と, 遊技を行うためのデータを読み出しおよび書き込み可能に記憶する記憶領域を有し,電力供給が停止しても該記憶領域に記憶されているデータを保持することが可能なデータ記憶手段と, 前記遊技機の起動時に,前記データ記憶手段に記憶されているデータに基づく制御状態に復帰させる復帰処理と,前記データ記憶手段に記憶されているデータに基づく制御状態に復帰させない非復帰処理とを行う起動時処理手段とを備え,」に訂正する(下線部は訂正箇所を意味する。以下同様。)。 なお,当審では,訂正請求書の訂正事項1~3をまとめ,訂正請求書に貼付された特許請求の範囲の記載に基づいて,訂正事項1を認定し直した。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項1に 「前記変更状態制御手段は,前記設定変更状態に制御した後においては,当該設定変更状態における前記開閉状態検出手段の検出結果に関わらず,前記設定変更状態を終了させる設定終了条件が成立するまで当該設定変更状態を維持し,」とあるのを, 「前記変更状態制御手段は,前記設定変更状態に制御した後においては,当該設定変更状態における前記開閉状態検出手段の検出結果に関わらず,当該開閉状態検出手段により前記開閉体が開放状態でないことが検出されたときであっても,前記設定変更状態を終了させる設定変更終了条件が成立するまで当該設定変更状態を維持し,」に訂正する。 なお,当審では,訂正請求書の訂正事項4を訂正事項2とした。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項1に 「前記設定値表示部は,前記設定変更状態においては,当該設定変更状態における前記開閉状態検出手段の検出結果に関わらず前記開閉体が開放状態および閉鎖状態のうちのいずれであっても,前記設定値を表示し続ける」とあるのを, 「前記設定値表示部は,前記設定変更状態においては,当該設定変更状態における前記開閉状態検出手段の検出結果に関わらず前記開閉体が開放状態および閉鎖状態のうちのいずれであっても,前記設定値を表示し続け, 前記起動時処理手段は, 前記遊技機の起動時に,前記データ記憶手段に記憶されているデータを用いて,パリティの算出を行う算出手段と, 前記算出手段による算出結果に基づいて遊技を行うためのデータが正常か否かを判定し,正常と判定された場合に前記復帰処理に分岐させるとともに,正常と判定されなかった場合に前記非復帰処理に分岐させる分岐手段とを含み, 前記算出手段は,前記遊技機の起動後,前記データ記憶手段に記憶されているデータの読み込みおよび書き込みが許可された後,他の処理を行う前に前記データ記憶手段に記憶されているデータを用いたパリティの算出を行い, 前記起動時処理手段は,前記算出手段が前記パリティの算出を行った後,前記分岐手段が前記遊技を行うためのデータが正常か否かの判定を行うまでの間に,前記復帰処理に分岐させる場合にも前記非復帰処理に分岐される場合にも共通して行う必要のある共通処理を行う」に訂正する。 なお,当審では,訂正請求書の訂正事項5~9をまとめ,訂正請求書に貼付された特許請求の範囲の記載に基づいて,訂正事項3を認定し直した。 (4)訂正事項4 願書に添付した明細書(以下「本件特許明細書」という。)の【0008】に 「(1)遊技者に対する有利度(たとえば設定値)を変更可能な遊技機(スロットマシン,パチンコ機など)であって, 遊技機の前面に設けられた開閉可能な開閉体(前面扉1b,本体枠914)と, 前記開閉体が開放状態であるときに操作可能となる操作手段(電源スイッチ39,設定キースイッチ37)と, 前記開閉体の開閉状態を検出する開閉状態検出手段(ドア開放検出スイッチ25,本体枠開放検出スイッチ925)と, 複数種類の設定値のうちからいずれかの設定値を選択することで前記有利度を変更可能な設定変更状態に制御するために前記操作手段が特定操作されたことを検出する特定操作検出手段と, 前記設定値を確認する設定確認状態に制御するために操作手段が所定操作されたことを検出する所定操作検出手段と, 前記開閉状態検出手段により前記開閉体が開放状態であることが検出され,かつ前記特定操作検出手段により前記特定操作されたことが検出されたときには,前記設定変更状態に制御し(Sa28に移行),前記開閉体が開放状態でないことが検出されたときには,前記設定変更状態に制御しない(Sa27cに移行)変更状態制御手段(Sa27b,Sa27c,Sa28,Sa29,図28など)と, 前記開閉状態検出手段により前記開閉体が開放状態であることが検出され,かつ前記所定操作検出手段により前記所定操作されたことが検出されたときには,前記設定確認状態に制御し,前記開閉体が開放状態でないことが検出されたときには,前記設定確認状態に制御しない確認状態制御手段と, 前記設定値を表示する設定値表示部とを備え, 前記変更状態制御手段は,前記設定変更状態に制御した後においては,当該設定変更状態における前記開閉状態検出手段の検出結果に関わらず,前記設定変更状態を終了させる設定終了条件が成立するまで当該設定変更状態を維持し, 前記設定値表示部は,前記設定変更状態においては,当該設定変更状態における前記開閉状態検出手段の検出結果に関わらず前記開閉体が開放状態および閉鎖状態のうちのいずれであっても,前記設定値を表示し続ける。 (2) 前記開閉状態検出手段により前記開閉体が開放状態でないことが検出されたときに,遊技の進行を不能動化する不能動化手段とを備える。」とあるのを, 「(1)遊技者に対する有利度(たとえば設定値)を変更可能な遊技機(スロットマシン,パチンコ機など)であって, 遊技機の前面に設けられた開閉可能な開閉体(前面扉1b,本体枠914)と, 前記開閉体が開放状態であるときに操作可能となる操作手段(電源スイッチ39,設定キースイッチ37)と, 前記開閉体の開閉状態を検出する開閉状態検出手段(ドア開放検出スイッチ25,本体枠開放検出スイッチ925)と, 複数種類の設定値のうちからいずれかの設定値を選択することで前記有利度を変更可能な設定変更状態に制御するために前記操作手段が特定操作されたことを検出する特定操作検出手段と, 前記設定値を確認する設定確認状態に制御するために操作手段が所定操作されたことを検出する所定操作検出手段と, 前記開閉状態検出手段により前記開閉体が開放状態であることが検出され,かつ前記特定操作検出手段により前記特定操作されたことが検出されたときには,前記設定変更状態に制御し(Sa28に移行),前記開閉体が開放状態でないことが検出されたときには,前記設定変更状態に制御しない(Sa27cに移行)変更状態制御手段(Sa27b,Sa27c,Sa28,Sa29,図28など)と, 前記開閉状態検出手段により前記開閉体が開放状態であることが検出され,かつ前記所定操作検出手段により前記所定操作されたことが検出されたときには,前記設定確認状態に制御し,前記開閉体が開放状態でないことが検出されたときには,前記設定確認状態に制御しない確認状態制御手段と, 前記設定値を表示する設定値表示部と, 遊技を行うためのデータを読み出しおよび書き込み可能に記憶する記憶領域を有し,電力供給が停止しても該記憶領域に記憶されているデータを保持することが可能なデータ記憶手段と, 前記遊技機の起動時に,前記データ記憶手段に記憶されているデータに基づく制御状態に復帰させる復帰処理と,前記データ記憶手段に記憶されているデータに基づく制御状態に復帰させない非復帰処理とを行う起動時処理手段とを備え, 前記変更状態制御手段は,前記設定変更状態に制御した後においては,当該設定変更状態における前記開閉状態検出手段の検出結果に関わらず,当該開閉状態検出手段により前記開閉体が開放状態でないことが検出されたときであっても,前記設定変更状態を終了させる設定変更終了条件が成立するまで当該設定変更状態を維持し, 前記設定値表示部は,前記設定変更状態においては,当該設定変更状態における前記開閉状態検出手段の検出結果に関わらず前記開閉体が開放状態および閉鎖状態のうちのいずれであっても,前記設定値を表示し続け, 前記起動時処理手段は, 前記遊技機の起動時に,前記データ記憶手段に記憶されているデータを用いて,パリティの算出を行う算出手段と, 前記算出手段による算出結果に基づいて遊技を行うためのデータが正常か否かを判定し,正常と判定された場合に前記復帰処理に分岐させるとともに,正常と判定されなかった場合に前記非復帰処理に分岐させる分岐手段とを含み, 前記算出手段は,前記遊技機の起動後,前記データ記憶手段に記憶されているデータの読み込みおよび書き込みが許可された後,他の処理を行う前に前記データ記憶手段に記憶されているデータを用いたパリティの算出を行い, 前記起動時処理手段は,前記算出手段が前記パリティの算出を行った後,前記分岐手段が前記遊技を行うためのデータが正常か否かの判定を行うまでの間に,前記復帰処理に分岐させる場合にも前記非復帰処理に分岐される場合にも共通して行う必要のある共通処理を行う。 (2) 前記開閉状態検出手段により前記開閉体が開放状態でないことが検出されたときに,遊技の進行を不能動化する不能動化手段とを備える。」に訂正する。 なお,当審では,訂正請求書の訂正事項10を訂正事項4とした。 2 訂正の適否の判断 (1)訂正事項1 ア 訂正の目的について 訂正事項1は,「遊技機」が「遊技を行うためのデータを読み出しおよび書き込み可能に記憶する記憶領域を有し,電力供給が停止しても該記憶領域に記憶されているデータを保持することが可能なデータ記憶手段と,前記遊技機の起動時に,前記データ記憶手段に記憶されているデータに基づく制御状態に復帰させる復帰処理と,前記データ記憶手段に記憶されているデータに基づく制御状態に復帰させない非復帰処理とを行う起動時処理手段とを備え」ることを限定することで特許請求の範囲を減縮する訂正であるから,特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の追加及び特許請求の範囲の拡張・変更について 本件特許明細書の【0136】には「メイン制御部41が備えるRAM507は,ゲーム制御用のワークエリアを提供する。ここで,RAM507の少なくとも一部は,バックアップ電源によってバックアップされているバックアップRAMであればよい。すなわち,スロットマシンへの電力供給が停止しても,所定期間はRAM507の少なくとも一部の内容が保存される。なお,本実施の形態では,RAM507の全ての領域がバックアップRAMとされており,スロットマシンへの電力供給が停止しても,所定期間はRAM507の全ての内容が保存される。」と記載されているから,遊技を行うためのデータを読み出しおよび書き込み可能に記憶する記憶領域を有し,電力供給が停止しても該記憶領域に記憶されているデータを保持することが可能なデータ記憶手段を備える訂正事項が,本件特許明細書の記載から導き出せる。 また,本件特許明細書の【0191】には「そして,メイン制御部41は,その起動時においてRAM507の全ての領域に格納されたデータに基づいてRAMパリティを計算するとともに,破壊診断用データの値を確認し,RAMパリティが0であり,かつ破壊診断用データの値も正しいことを条件に,RAM507に記憶されているデータに基づいてメイン制御部41の処理状態を電断前の状態に復帰させるが,RAMパリティが0でない場合(1の場合)や破壊診断用データの値が正しくない場合には,RAM異常と判定し,RAM異常エラーコードをレジスタにセットしてRAM異常エラー状態に制御し,遊技の進行を不能化させるようになっている。」と記載され,本件特許明細書の【0192】には「なお,本実施の形態では,RAM507に格納されている全てのデータが停電時においてもバックアップ電源により保持されるとともに,メイン制御部41は,電源投入時においてRAM507のデータが正常であると判定した場合に,RAM507の格納データに基づいて電断前の制御状態に復帰する構成であるが,RAM507に格納されているデータのうち停電時において制御状態の復帰に必要なデータのみをバックアップし,電源投入時においてバックアップされているデータに基づいて電断前の制御状態に復帰する構成としてもよい。」と記載されているから,前記遊技機の起動時に,前記データ記憶手段に記憶されているデータに基づく制御状態に復帰させる復帰処理と,前記データ記憶手段に記憶されているデータに基づく制御状態に復帰させない非復帰処理とを行う起動時処理手段を備える訂正事項が,本件特許明細書の記載から導き出せる。 したがって,上記訂正事項1は,本件特許の願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面(以下,「本件特許明細書等」という。)に記載した事項又は記載した事項から自明な事項であり,本件特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。このことから,訂正事項1は,本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。 また,訂正事項1は,訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更をするものではないから,特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 (2)訂正事項2 訂正事項2は,「変更状態制御手段」が「前記設定変更状態を終了させる設定変更終了条件が成立するまで当該設定変更状態を維持」することを,「当該開閉状態検出手段により前記開閉体が開放状態でないことが検出されたときであっても」続けることを限定することで特許請求の範囲を減縮する訂正であるから,特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の追加及び特許請求の範囲の拡張・変更について 本件特許明細書の【0314】には「一旦設定変更処理に移行されてから,設定キースイッチ37がOFFされて設定終了条件が成立するまで,前面扉1bの開閉状態に関わらず,当該設定変更処理が維持される。このため,不正行為ではなく正規に電源スイッチ39や設定キースイッチ37の操作が行なわれて設定変更状態に制御された後においては,設定変更途中において,たとえばドア開放検出スイッチに誤って手が触れるなどして前面扉1bが閉鎖状態であると誤検出されたとしても,当該設定変更状態を維持させて,確実に設定変更を行なうことができる。」と記載されているから,当該開閉状態検出手段により前記開閉体が開放状態でないことが検出されたときであっても,前記設定変更状態を終了させる設定変更終了条件が成立するまで当該設定変更状態を維持する訂正事項が,本件特許明細書の記載から導き出せる。 したがって,訂正事項2は,本件特許明細書等に記載した事項又は記載した事項から自明な事項であり,本件特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものであるから,訂正事項2は,本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。 また,訂正事項2は,訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更をするものではないから,特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 (3)訂正事項3 ア 訂正の目的について 訂正事項3は,「前記起動時処理手段は,前記遊技機の起動時に,前記データ記憶手段に記憶されているデータを用いて,パリティの算出を行う算出手段と,前記算出手段による算出結果に基づいて遊技を行うためのデータが正常か否かを判定し,正常と判定された場合に前記復帰処理に分岐させるとともに,正常と判定されなかった場合に前記非復帰処理に分岐させる分岐手段とを含み,前記算出手段は,前記遊技機の起動後,前記データ記憶手段に記憶されているデータの読み込みおよび書き込みが許可された後,他の処理を行う前に前記データ記憶手段に記憶されているデータを用いたパリティの算出を行い,前記起動時処理手段は,前記算出手段が前記パリティの算出を行った後,前記分岐手段が前記遊技を行うためのデータが正常か否かの判定を行うまでの間に,前記復帰処理に分岐させる場合にも前記非復帰処理に分岐される場合にも共通して行う必要のある共通処理を行う」ことを限定することで特許請求の範囲を減縮する訂正であるから,特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の追加及び特許請求の範囲の拡張・変更について 本件特許明細書の【0191】には「そして,メイン制御部41は,その起動時においてRAM507の全ての領域に格納されたデータに基づいてRAMパリティを計算するとともに,」と記載されているから,前記起動時処理手段は,前記遊技機の起動時に,前記データ記憶手段に記憶されているデータを用いて,パリティの算出を行う算出手段を含む訂正事項が,本件特許明細書の記載から導き出せる。 また,本件特許明細書の【0191】には「そして,メイン制御部41は,その起動時においてRAM507の全ての領域に格納されたデータに基づいてRAMパリティを計算するとともに,破壊診断用データの値を確認し,RAMパリティが0であり,かつ破壊診断用データの値も正しいことを条件に,RAM507に記憶されているデータに基づいてメイン制御部41の処理状態を電断前の状態に復帰させるが,RAMパリティが0でない場合(1の場合)や破壊診断用データの値が正しくない場合には,RAM異常と判定し,RAM異常エラーコードをレジスタにセットしてRAM異常エラー状態に制御し,遊技の進行を不能化させるようになっている。」と記載され,本件特許明細書の【0290】には「次いで,Sa5のステップにおいて計算したRAMパリティが0か否かを判定する(Sa7)。正常に電断割込処理(メイン)が行なわれていれば,RAMパリティが0になるはずであり,Sa7のステップにおいてRAMパリティが0でなければ,RAM507に格納されているデータが正常ではなく,この場合には,RAM507の格納領域のうち,使用中スタック領域を除く全ての格納領域を初期化する初期化1を実行した後(Sa30),設定キースイッチ37がONか否かを判定し(Sa31),設定キースイッチ37がONであれば,プログラム管理エリアに記憶されている第1乱数初期設定KRS1や第2乱数初期設定KRS2を読み出して,図25に示す乱数回路設定処理を実行した後(Sa25),乱数回路509における動作異常の有無を検査するために図26に示す乱数回路異常検査処理を実行する(Sa26)。」と記載されているから,前記算出手段による算出結果に基づいて遊技を行うためのデータが正常か否かを判定し,正常と判定された場合に前記復帰処理に分岐させるとともに,正常と判定されなかった場合に前記非復帰処理に分岐させる分岐手段を含む訂正事項が,本件特許明細書の記載から導き出せる。 そして,本件特許明細書の【0739】には「このように本実施例のメイン制御部41は,システムリセットであるかユーザリセットであるかに関わらず,RAM507へのアクセスが許可された後,他の処理を行なうことなく,まず,RAM507の全ての格納領域(未使用領域及び未使用スタック領域を含む)のRAMパリティを計算し,その後,計算したRAMパリティから格納データが正常か否かの判定を行なう前に,RAM507の格納データが正常か否かに関わらず共通して行なう必要のある処理を行い,その後,RAMパリティに基づいてRAM507の格納データが正常か否かの判定を行なうようになっている。」と記載されているから,前記算出手段は,前記遊技機の起動後,前記データ記憶手段に記憶されているデータの読み込みおよび書き込みが許可された後,他の処理を行う前に前記データ記憶手段に記憶されているデータを用いたパリティの算出を行い,前記起動時処理手段は,前記算出手段が前記パリティの算出を行った後,前記分岐手段が前記遊技を行うためのデータが正常か否かの判定を行うまでの間に,前記復帰処理に分岐させる場合にも前記非復帰処理に分岐される場合にも共通して行う必要のある共通処理を行う訂正事項が,本件特許明細書の記載から導き出せる。 したがって,訂正事項3は,本件特許明細書等に記載した事項又は記載した事項から自明な事項であり,本件特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものであるから,訂正事項3は,本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。 また,訂正事項3は,訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更をするものではないから,特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 (4)訂正事項4 ア 訂正の目的について 訂正事項4は,上記「(1)訂正事項1」~「(3)訂正事項3」の訂正に伴い,訂正前の請求項1における特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正を行った結果,記載表現が一致しなくなった本件特許明細書の【0008】の不明瞭な記載を,訂正後の請求項1の記載に整合させることにより明瞭にする訂正であるから,特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 新規事項の追加及び特許請求の範囲の拡張・変更について 訂正事項4は,本件特許明細書等に記載した事項又は記載した事項から自明な事項であり,本件特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものであるから,訂正事項4は,本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。 また,訂正事項4は,訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更をするものではないから,特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 3 むすび 以上のとおりであるから,本件訂正請求に係る訂正事項1~3は,特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり,かつ,同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合し,訂正事項4は,特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり,かつ,同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので,本件訂正請求に係る訂正を認める。 第3 特許異議の申立てについて 1 本件発明 訂正後の本件特許の請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)は,その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される,次のとおりのものである(A~Rは,特許権者及び特許異議申立人の主張を考慮して,当審で付与した。)。 「【請求項1】 A 遊技者に対する有利度を変更可能な遊技機であって, B 遊技機の前面に設けられた開閉可能な開閉体と, C 前記開閉体が開放状態であるときに操作可能となる操作手段と, D 前記開閉体の開閉状態を検出する開閉状態検出手段と, E 複数種類の設定値のうちからいずれかの設定値を選択することで前記有利度を変更可能な設定変更状態に制御するために前記操作手段が特定操作されたことを検出する特定操作検出手段と, F 前記設定値を確認する設定確認状態に制御するために操作手段が所定操作されたことを検出する所定操作検出手段と, G 前記開閉状態検出手段により前記開閉体が開放状態であることが検出され,かつ前記特定操作検出手段により前記特定操作されたことが検出されたときには,前記設定変更状態に制御し,前記開閉体が開放状態でないことが検出されたときには,前記設定変更状態に制御しない変更状態制御手段と, H 前記開閉状態検出手段により前記開閉体が開放状態であることが検出され,かつ前記所定操作検出手段により前記所定操作されたことが検出されたときには,前記設定確認状態に制御し,前記開閉体が開放状態でないことが検出されたときには,前記設定確認状態に制御しない確認状態制御手段と, I 前記設定値を表示する設定値表示部と, J 遊技を行うためのデータを読み出しおよび書き込み可能に記憶する記憶領域を有し,電力供給が停止しても該記憶領域に記憶されているデータを保持することが可能なデータ記憶手段と, K 前記遊技機の起動時に,前記データ記憶手段に記憶されているデータに基づく制御状態に復帰させる復帰処理と,前記データ記憶手段に記憶されているデータに基づく制御状態に復帰させない非復帰処理とを行う起動時処理手段とを備え, L 前記変更状態制御手段は,前記設定変更状態に制御した後においては,当該設定変更状態における前記開閉状態検出手段の検出結果に関わらず,当該開閉状態検出手段により前記開閉体が開放状態でないことが検出されたときであっても,前記設定変更状態を終了させる設定変更終了条件が成立するまで当該設定変更状態を維持し, M 前記設定値表示部は,前記設定変更状態においては,当該設定変更状態における前記開閉状態検出手段の検出結果に関わらず前記開閉体が開放状態および閉鎖状態のうちのいずれであっても,前記設定値を表示し続け, N 前記起動時処理手段は, O 前記遊技機の起動時に,前記データ記憶手段に記憶されているデータを用いて,パリティの算出を行う算出手段と, P 前記算出手段による算出結果に基づいて遊技を行うためのデータが正常か否かを判定し,正常と判定された場合に前記復帰処理に分岐させるとともに,正常と判定されなかった場合に前記非復帰処理に分岐させる分岐手段とを含み, Q 前記算出手段は,前記遊技機の起動後,前記データ記憶手段に記憶されているデータの読み込みおよび書き込みが許可された後,他の処理を行う前に前記データ記憶手段に記憶されているデータを用いたパリティの算出を行い, R 前記起動時処理手段は,前記算出手段が前記パリティの算出を行った後,前記分岐手段が前記遊技を行うためのデータが正常か否かの判定を行うまでの間に,前記復帰処理に分岐させる場合にも前記非復帰処理に分岐される場合にも共通して行う必要のある共通処理を行うことを特徴とする,遊技機。」 2 特許異議申立ての理由の概要 特許異議申立人は,特許異議申立書において,証拠方法として甲第1~2号証を提出し,訂正前の請求項1に係る発明は,甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証の記載事項に基づき,当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから,特許法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである旨主張している。 (証拠方法) 甲第1号証:特開2006-55443号公報 甲第2号証:特開2008-142126号公報 3 平成29年3月1日付け審尋の概要 特許異議申立書22頁下から5行~26頁20行の甲1発明構成1jが,本件構成1Jの「当該設定変更状態における前記開閉状態検出手段の検出結果に関わらず,前記設定変更状態を終了させる設定終了条件が成立するまで当該設定変更状態を維持」することに相当するか,特許異議申立書26頁下から5行~27頁最終行の甲1発明構成1kが,本件構成1Kの「前記設定値表示部は,前記設定変更状態においては,当該設定変更状態における前記開閉状態検出手段の検出結果に関わらず前記開閉体が開放状態および閉鎖状態のうちのいずれであっても,前記設定値を表示し続ける」ことに相当するか否かについて,意見があれば説明して下さい。 4 平成29年4月28日付け回答書 甲1発明構成1j,1kは,本件構成1J,1Kに相当しない旨主張している。 5 平成29年5月22日付け取消理由の概要 訂正前の請求項1に係る特許に対して平成29年5月22日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は,次のとおりである。 [特許法第29条第2項] 訂正前の請求項1に係る発明は,本件特許の出願時より前に,日本国内において頒布された甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証に記載の技術事項に基づいてその出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり,特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから,特許法第113条第2号に該当し,取り消されるべきものである。 6 平成29年7月24日付け意見書(特許権者)の概要 特許権者は,甲第1~2号証に記載された発明には,構成L,M,Q,Rは記載されておらず,本件発明の構成L,M,Q,Rは想到し得るものではない旨主張している。 7 平成29年9月19日付け意見書(特許異議申立人)の概要 特許異議申立人は,平成29年9月19日付け意見書において,証拠方法として甲第3~5号証を提出し,請求項1に係る発明は,甲第1~4号証に記載された発明に基づき,当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから,特許法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである旨主張している。 (証拠方法) 甲第3号証:特開2010-12318号公報 甲第4号証:特開2009-452号公報 甲第5号証:原出願(特願2010-48430号)の平成26年4月11日付け意見書 8 刊行物の記載 (1)甲第1号証(特開2006-55443号公報)には,以下のように記載されている(下線は当審で付した。以下同様。)。 (ア)「【0010】 上記目的を達成するため,本発明にかかる遊技機は, 前面扉を開放状態とすることにより操作可能となる段階操作手段(設定スイッチ91)を備える遊技機であって, 遊技の進行を制御すると共に,遊技の進行状況に応じた制御情報(コマンド)を送信する遊技制御手段(遊技制御基板101)と, 前記遊技制御手段から送信された制御情報を受信し,該受信した制御情報に基づいて少なくとも前記遊技に関する演出の実行を制御するものであって,書き換え可能な演出用記憶手段(RAM122)を含む演出制御手段(演出制御基板102)とを備え, 前記遊技制御手段は, 前記前面扉が開放状態となっているか否かを検出する開放検出手段(扉開放センサ95,ステップS107)と, 前記開放検出手段により前記前面扉が開放状態となっている旨が検出され(ステップS107(NO)),さらに前記前面扉を開放状態とすることにより操作可能となる変更許可開始操作手段(設定キースイッチ92)が操作されることにより所定の段階変更許可条件を成立させて(ステップS101(YES)),前記変更期間を開始させる変更期間開始制御手段と, 前記変更期間において,前記段階操作手段を操作することにより,所定の確率に基づいて算出される払出率について定められた段階(設定値)を選択して設定する段階設定手段(ステップS113,S115)と, 前記変更期間が開始したときに,前記演出用記憶手段の記憶情報を初期化することを指示する初期化制御情報(設定変更コマンド)を前記演出制御手段に送信する初期化制御情報送信手段(ステップS108)と, 前記変更期間が終了したときに(ステップS111(YES)),該期間の終了時における段階に関する情報を含む段階制御情報(状態コマンド)を送信する段階制御情報送信手段(ステップS119)とを備え, 前記演出制御手段は, 前記初期化制御情報を受信したときに,前記演出用記憶手段の記憶情報のうち少なくとも演出の実行に関する情報を初期化する初期化手段(ステップS607)と, 前記段階制御情報を受信したときに,該段階制御情報が示す段階に関する情報を前記演出用記憶手段に記憶する段階記憶制御手段(ステップS609)とを備える ことを特徴とする。」 (イ)「【0046】 図1は,この実施の形態にかかるスロットマシンの全体構造を示す正面図である。スロットマシン1は,筐体本体と,筐体本体に対して開閉可能に構成された前面扉とから構成される。図1では,前面扉を閉鎖状態とした場合を示している。スロットマシン1の前面扉は,施錠装置19にキーを差し込み,時計回り方向に回動操作することにより開放状態とすることができる。筐体本体の前面扉との接触部に設けられた扉開放センサ95(図2参照)により前面扉が開放状態となっているかどうかが検出される。」 (ウ)「【0064】 電源基板100は,後述する内部抽選への当選確率を設定し,これに基づいて算出されるメダルの払出率の設定値(設定1~設定6)を変更するための設定スイッチ91,設定スイッチ91を操作有効とする設定キースイッチ92,内部状態(RAM112)をリセットする第2リセットスイッチ93,及び電源のON/OFF切り替えを行うメインスイッチ94に,前面扉が開放状態にあることを検出する扉開放センサ95にもそれぞれ接続されており,これらのスイッチ,センサの検出信号を遊技制御基板101へと送る。スイッチ91~94は,スロットマシン1の内部に設けられている。 ・・・ 【0066】 CPU111は,計時機能,タイマ割り込みなどの割り込み機能(割り込み禁止機能を含む)を備え,ROM113に記憶されたプログラム(後述)を実行して,遊技の進行に関する処理を行うと共に,スロットマシン1内の制御回路の各部を直接的または間接的に制御する。CPU111は,8ビット(1バイト)を1として処理を行うものである。RAM112は,CPU111がプログラムを実行する際のワーク領域として使用される。ROM113は,CPU111が実行するプログラムや固定的なデータを記憶する。RAM112とROM113のアドレスの割り当ては,メーカにおける開発用機種とホールに納入される量産機種とで異なる。I/Oポート114は,遊技制御基板101に接続された各回路との間で制御信号を入出力する。」 (エ)「【0078】 上記スロットマシン1においては,設定値に応じてメダルの払出率が変わるものであり,後述する内部抽選の当選確率は,設定値に応じて定まるものとなる。以下,設定スイッチ91による設定値の変更操作について説明する。 【0079】 設定値を変更するためには,設定キースイッチ92をON状態としてからメインスイッチ92によりスロットマシン1の電源をONする必要がある。設定キースイッチ92をON状態とせずに電源をONした場合,RAM112のデータが正常であれば電源断前の状態に復帰するが,RAM112のデータが壊れていて電源断前の状態に復帰できないと,RAM112の特別ワーク以下の領域がクリアされ,設定値が1に設定される。このとき,初期化コマンドが遊技制御基板101から演出制御基板102に送られる。 【0080】 設定キースイッチ92をON状態として電源をONすると,設定値の変更操作が可能となるが,ここで設定値の変更操作が可能となる前に,設定変更コマンドが遊技制御基板101から演出制御基板102に送られる。設定変更コマンドを受信することにより,演出制御基板102のCPU121は,設定値の変更操作中である旨を例えば液晶表示器4に表示するなどして報知する。」 (オ)「【0138】 図8は,遊技制御基板101のCPU111が電源投入時において実行する処理を示すフローチャートである。スロットマシン1の電源が投入されると,まず,設定キースイッチ92が鍵操作されてON状態となっているかどうかを判定する(ステップS101)。設定キースイッチ92がOFF状態となっていれば,RAM112のデータが壊れてなく,正常な状態であるかどうかを判定する(ステップS102)。RAM112が正常な状態であれば,電源が遮断される前の状態に復帰して,ゲームの処理を開始する。 ・・・ 【0140】 設定キースイッチ92がON状態となっていれば,扉開放センサ95の検出信号に基づいて前面扉が開放されているかどうかを判定する(ステップS107)。前面扉が開放されていれば,不正な設定値の変更操作が行われようとしている可能性があるので,エラー終了する。ここでは,前面扉が開放状態で設定値の変更操作が行われた旨のエラーコードを,ゲーム回数表示部21に表示させるなどして報知する。エラーコマンドを送信して,演出制御基板102のCPU121に,スピーカ7L,7R,7Uからエラー音を出力させたり,液晶表示器4にエラーコードを表示させるものとしてもよい。 【0141】 前面扉が開放されていなければ,設定値の変更操作が行われている旨を示す設定変更コマンドを生成して,これを演出制御基板102に送信する(ステップS108)。また,設定値ワークに記憶された設定値を所定のエリアに読み出し,ゲーム回数表示器51を制御することにより,この設定値をゲーム回数表示部21に表示させる(ステップS109)。 ・・・ 【0143】 ステップS112では,設定スイッチ91が操作されたかどうかを判定する。設定スイッチ91が操作されていなければ,ステップS109の処理に戻る。設定スイッチ91が操作されていれば,設定値を1だけ加算し(ステップS113),加算した結果が7となったかどうかを判定する(ステップS114)。加算した結果が7となっていなければ,そのままステップS109の処理に戻る。加算した結果が7となった場合には,設定値を初期値の1に戻し(ステップS115),ステップS109の処理に戻る。こうして設定値の更新が行われてからステップS109に戻った場合には,更新された後の設定値がゲーム回数表示部21に表示されるものとなる。 【0144】 ステップS107でスタートレバー11が操作されていて,ステップS108で設定キースイッチ92がOFF状態とされた場合には,RAM112のクリアする領域の先頭アドレスとしてadd+Cをアドレスレジスタに設定する(ステップS116)。そして,詳細を後述するRAMクリア処理を行うことにより,RAM112のadd+C以降の領域,すなわち重要ワーク112-4以下の領域をクリアする(ステップS117)。また,現在の設定値を確定して,これを設定値ワーク112-3に記憶させ,ゲーム回数表示器51を制御することにより,ステップS109でゲーム回数表示部21に表示された設定値を表示消去する(ステップS118)。」 (カ)「【0162】 次に,ステップS301の乱数取得処理について詳しく説明する。図11は,CPU111がステップS301で実行する乱数取得処理を詳細に示すフローチャートである。乱数取得処理では,まず,CPU111に対する割り込みを禁止する(ステップS401)。次に,サンプリング回路116にサンプリング指令を出力し,乱数発生回路115が発生している乱数をラッチさせ,ラッチさせた乱数の値をI/Oポート114から入力して,これを抽出する。乱数発生回路115から抽出された乱数の値は,汎用レジスタ111GRに格納される(ステップS402)。」 (キ)上記【0046】の「図1は,この実施の形態にかかるスロットマシンの全体構造を示す正面図である。スロットマシン1は・・・筐体本体に対して開閉可能に構成された前面扉とから構成される。図1では,前面扉を閉鎖状態とした場合を示している」との記載を参酌すると,図1には,スロットマシン1の前面に設けられた,スロットマシン1の筐体本体に対して開閉可能な前面扉が図示されているといえる。 上記(ア)~(カ)の記載事項,及び上記(キ)の図示内容から,以下のことがいえる(認定)。 なお,(a)~(e),(g),(i)~(j),(l)~(m),(r)は,本件発明の構成A~E,G,I~J,L~M,Rに対応した事項を示している。 (a)上記【0078】には「スロットマシン1においては,設定値に応じてメダルの払出率が変わる」と記載され,上記【0080】には「設定値の変更操作が可能となる」と記載されている。 これらのことから,上記【0078】及び【0080】には,メダルの払出率が変わる設定値の変更操作が可能なスロットマシン1が記載されているといえる。 (b)上記(キ)には,図示内容として,スロットマシン1の前面に設けられた,スロットマシン1の筐体本体に対して開閉可能な前面扉が記載されている。 (c)上記【0064】には「設定値(設定1~設定6)を変更するための設定スイッチ91,設定スイッチ91を操作有効とする設定キースイッチ92,・・・電源のON/OFF切り替えを行うメインスイッチ94・・・スイッチ91~94は,スロットマシン1の内部に設けられている」と記載されている。 このことから,上記【0064】には,スロットマシン1の内部に設けられた設定値(設定1~設定6)を変更するための設定スイッチ91,設定スイッチ91を操作有効とする設定キースイッチ92,電源のON/OFF切り替えを行うメインスイッチ94が記載されているといえる。 (d)上記【0064】には「前面扉が開放状態にあることを検出する扉開放センサ95」と記載されている。 このことから,上記【0064】には,前面扉が開放状態にあることを検出する扉開放センサ95が記載されているといえる。 (e)上記【0064】には「設定値(設定1~設定6)を変更するための設定スイッチ91」と記載され,上記【0080】には「設定キースイッチ92をON状態として電源をONすると,設定値の変更操作が可能となる・・・設定値の変更操作中」と記載され,上記【0079】には「設定値を変更するためには,設定キースイッチ92をON状態としてからメインスイッチ92によりスロットマシン1の電源をONする必要がある」と記載され,上記【0138】には「図8は,遊技制御基板101のCPU111が電源投入時において実行する処理を示すフローチャートである。スロットマシン1の電源が投入されると,まず,設定キースイッチ92が鍵操作されてON状態となっているかどうかを判定する」と記載されている。 これらのことから,上記【0064】,【0079】,【0080】及び【0138】には,設定スイッチ91により設定値(設定1~設定6)の変更操作が可能となる設定値の変更操作中にするために,スロットマシン1の電源が投入されると,設定キースイッチ92が鍵操作されてON状態となっているかどうかを判定するCPU111が記載されているといえる。 (g)上記【0138】には「図8は,遊技制御基板101のCPU111が電源投入時において実行する処理を示すフローチャートである。設定キースイッチ92が鍵操作されてON状態となっているかどうかを判定する(ステップS101)」と記載され,上記【0140】には「ON状態となっていれば,扉開放センサ95の検出信号に基づいて前面扉が開放されているかどうかを判定する(ステップS107)。前面扉が開放されていれば・・・エラー終了する」と記載され,上記【0141】には「前面扉が開放されていなければ,設定値の変更操作が行われている旨を示す設定変更コマンドを生成して,これを演出制御基板102に送信する(ステップS108)」と記載され,上記【0080】には「設定値の変更操作が可能となる前に,設定変更コマンドが遊技制御基板101から演出制御基板102に送られる。設定変更コマンドを受信することにより,演出制御基板102のCPU121は,設定値の変更操作中である旨を・・・報知する」と記載され,上記【0143】には「ステップS112では,設定スイッチ91が操作されたかどうかを判定する。設定スイッチ91が操作されていれば,設定値を1だけ加算し(ステップS113)・・・設定値の更新が行われ」と記載されているから,前面扉が開放されていればエラー終了し,前面扉が開放されていなければ,設定スイッチ91が操作されると,設定値を1だけ加算する点が記載されているといえる。 しかしながら,上記【0010】には「前面扉を開放状態とすることにより操作可能となる段階操作手段(設定スイッチ91)・・・前記開放検出手段により前記前面扉が開放状態となっている旨が検出され(ステップS107(NO)),さらに前記前面扉を開放状態とすることにより操作可能となる変更許可開始操作手段(設定キースイッチ92)が操作されることにより所定の段階変更許可条件を成立させて(ステップS101(YES)),前記変更期間を開始させる変更期間開始制御手段と,前記変更期間において,前記段階操作手段を操作することにより,所定の確率に基づいて算出される払出率について定められた段階(設定値)を選択して設定する段階設定手段(ステップS113,S115)と」と記載されているから,前面扉を開放状態とすることにより,設定スイッチ91が操作可能となる点が記載されているといえ,上記【0140】~【0141】の記載と矛盾する。 スロットマシンの技術分野の技術常識を考慮すると,設定値を変更する操作は,前面扉が開放されている時に行い,前面扉が開放されていない時には行わないことは技術常識であるといえるから,上記【0140】の「前面扉が開放されていれば」,及び上記【0141】の「前面扉が開放されていなければ」は,それぞれ,「前面扉が開放されていなければ」,及び「前面扉が開放されていれば」の誤記であるといえる。 これらのことから,上記【0010】,【0080】,【0138】,【0140】~【0141】及び【0143】には,設定キースイッチ92が鍵操作されてON状態となっているかどうかを判定し,ON状態となっていれば,扉開放センサ95の検出信号に基づいて前面扉が開放されているかどうかを判定し,前面扉が開放されていれば,設定値の変更操作が行われている旨を示す設定変更コマンドを生成して演出制御基板102に送信して設定値の変更操作中にし,次に,設定スイッチ91が操作されたかどうかを判定し,操作されていれば,設定値を1だけ加算して設定値の更新を行うように制御し,前面扉が開放されていないと判定されれば,エラー終了するように制御するCPU111が記載されているといえる。 (i)上記【0141】には「この設定値をゲーム回数表示部21に表示させる」と記載され,上記【0143】には「更新された後の設定値がゲーム回数表示部21に表示される」と記載されている。 これらのことから,上記【0141】及び【0143】には,設定値を表示するゲーム回数表示部21が記載されているといえる。 (j)上記【0141】には「RAM112は,CPU111がプログラムを実行する際のワーク領域として使用される」と記載されている。 このことから,上記【0141】には,CPU111がプログラムを実行する際に使用されるワーク領域があるRAM112が記載されているといえる。 (l)上記(g)で検討したように上記【0080】,【0138】,【0140】~【0141】及び【0143】には「設定値の変更操作が行われている旨を示す設定変更コマンドを生成して演出制御基板102に送信して設定値の変更操作中にし,次に,設定スイッチ91が操作されたかどうかを判定し,操作されていれば,設定値を1だけ加算して設定値の更新を行うように制御・・・するCPU111」が記載され,上記【0141】には「設定値の変更操作が行われている旨を示す設定変更コマンドを生成して,これを演出制御基板102に送信する(ステップS108)。また,設定値ワークに記憶された設定値を所定のエリアに読み出し,・・・この設定値をゲーム回数表示部21に表示させる(ステップS109)」と記載され,上記【0143】には「設定スイッチ91が操作されていれば,設定値を1だけ加算し(ステップS113),・・・更新された後の設定値がゲーム回数表示部21に表示される」と記載され,上記【0144】には「ステップS107でスタートレバー11が操作されていて,ステップS108で設定キースイッチ92がOFF状態とされた場合には,・・・現在の設定値を確定して,これを設定値ワーク112-3に記憶させ」と記載されている。 これらのことから,上記【0080】,【0138】,【0140】~【0141】,【0143】~【0144】には,CPU111は,設定値の変更操作中にし,設定値ワークに記憶された設定値を所定のエリアに読み出し,ゲーム回数表示部21に表示させ,設定スイッチ91が操作されていれば,設定値を1だけ加算し,更新された後の設定値がゲーム回数表示部21に表示され,スタートレバー11が操作され,設定キースイッチ92がOFF状態とされた場合に,現在の設定値を確定して,設定値ワーク112-3に記憶させることが記載されているといえる。 (m)上記(l)で検討したように上記【0080】,【0138】,【0140】~【0141】,【0143】~【0144】には「設定値の変更操作中にし,設定値ワークに記憶された設定値を所定のエリアに読み出し,ゲーム回数表示部21に表示させ,設定スイッチ91が操作されていれば,・・・更新された後の設定値がゲーム回数表示部21に表示され,スタートレバー11が操作され,設定キースイッチ92がOFF状態とされた場合に,・・・ゲーム回数表示部21に表示された設定値を表示消去する」ことが記載され,上記【0144】には「ステップS107でスタートレバー11が操作されていて,ステップS108で設定キースイッチ92がOFF状態とされた場合には,・・・ゲーム回数表示部21に表示された設定値を表示消去する(ステップS118)。」と記載されている。 これらのことから,上記【0080】,【0138】,【0140】~【0141】,【0143】~【0144】には,ゲーム回数表示部21は,設定値の変更操作中にすると,設定値ワークに記憶された設定値を表示し,設定スイッチ91が操作されると,更新された後の設定値を表示し,スタートレバー11が操作され,設定キースイッチ92がOFF状態とされた場合に,表示された設定値を表示消去することが記載されているといえる。 (r)上記【0046】には「スロットマシン1」と記載されているから,上記【0046】には,スロットマシン1が記載されているといえる。 上記(ア)~(カ)の記載事項,上記(キ)の図示内容,及び上記(a)~(e),(g),(i)~(j),(l)~(m),(r)の認定事項から,甲第1号証には,次の甲1発明(a~j,l~m,rは,本件発明の構成A~E,G,I~J,L~M,Rに対応させて,当審にて付与。)が開示されていると認められる。 「a メダルの払出率が変わる設定値の変更操作が可能なスロットマシン1であって, b スロットマシン1の前面に設けられた,スロットマシン1の筐体本体に対して開閉可能な前面扉と, c スロットマシン1の内部に設けられた設定値(設定1~設定6)を変更するための設定スイッチ91,設定スイッチ91を操作有効とする設定キースイッチ92,電源のON/OFF切り替えを行うメインスイッチ94と, d 前面扉が開放状態にあることを検出する扉開放センサ95と, e 設定スイッチ91により設定値(設定1~設定6)の変更操作が可能となる設定値の変更操作中にするために,スロットマシン1の電源が投入されると,設定キースイッチ92が鍵操作されてON状態となっているかどうかを判定するCPU111と, g 設定キースイッチ92が鍵操作されてON状態となっているかどうかを判定し,ON状態となっていれば,扉開放センサ95の検出信号に基づいて前面扉が開放されているかどうかを判定し,前面扉が開放されていれば,設定値の変更操作が行われている旨を示す設定変更コマンドを生成して演出制御基板102に送信して設定値の変更操作中にし,次に,設定スイッチ91が操作されたかどうかを判定し,操作されていれば,設定値を1だけ加算して設定値の更新を行うように制御し,前面扉が開放されていないと判定されれば,エラー終了するように制御するCPU111と, i 設定値を表示するゲーム回数表示部21と, j CPU111がプログラムを実行する際に使用されるワーク領域があるRAM112, l CPU111は,設定値の変更操作中にし,設定値ワークに記憶された設定値を所定のエリアに読み出し,ゲーム回数表示部21に表示させ,設定スイッチ91が操作されていれば,設定値を1だけ加算し,更新された後の設定値がゲーム回数表示部21に表示され,スタートレバー11が操作され,設定キースイッチ92がOFF状態とされた場合に,現在の設定値を確定して,設定値ワーク112-3に記憶させ, m ゲーム回数表示部21は,設定値の変更操作中にすると,設定値ワークに記憶された設定値を表示し,設定スイッチ91が操作されると,更新された後の設定値を表示し,スタートレバー11が操作され,設定キースイッチ92がOFF状態とされた場合に,表示された設定値を表示消去する, r スロットマシン1。」 (2)甲第2号証(特開2008-142126号公報)には,以下のように記載されている。 (ア)「【0187】 図24は入賞役の抽選確率の設定を数値情報表示部400に表示する場合及び表示を禁止する場合における主制御基板20のCPU200の処理を示すフローチャートである。 ・・・ 【0191】 一方,ステップS3において,CPU200は,前扉開放検出スイッチ85がオン状態であるか否かを検出する。ここで,筐体2に対して前扉3が閉じられた状態では,ステップS3の判定がNOとなり,CPU200はステップS4の処理に移行する。また,筐体2に対して前扉3が開かれ,押圧部712から支持板部331が離れた状態では,ステップS3の判定がYESとなり,CPU200はステップS5の処理に移行する。 【0192】 ステップS4において,CPU200は,加算出力a3(図23参照)に対して設定キー回転信号(図23参照)の検出処理を行いうことで,設定キー回転信号を受け付けたか否かの判別を行う。ここで,設定錠83が操作されない状態では,ステップS4の判定がNOとなり,CPU200は,ステップS3の処理に戻る。また,作業者が設定錠83の鍵穴836に設定キー800を挿入し,設定キー800を右回りに回転させた場合,加算出力a3は,期間A→B→Cの状態となり,CPU200は,設定キー回転信号を受け付け,ステップS4の判定がYESとなり,ステップS10の処理に移行する。 【0193】 ステップS5において,CPU200は,加算出力a3に基づいて,設定キー回転信号を受け付けたか否かの判別を行う。ここで,設定錠83が操作されない状態では,ステップS5の判定がNOとなり,CPU200は,ステップS5の処理を繰り返す。作業者が設定錠83の鍵穴836に設定キー800を挿入し,設定キー800を右回りに回転させた場合,加算出力a3は,期間A→B→Cの状態となり,CPU200は,設定キー回転信号を受け付け,ステップS5の判定がYESとなり,ステップS6の処理に移行する。 【0194】 ステップS6において,CPU200は,数値情報表示部400に入賞役の抽選確率の設定を1から6までの数字で数値表示する制御を行い処理を終了する。 ・・・ 【0198】 次に,不正を行う者が,閉じられた前扉3と筐体2の間の隙間から不正器具を挿入し,さらに主電源装置23に不正器具を挿入して設定錠83の鍵穴836に不正器具を挿入して挿入し,設定表示操作を行った場合には,CPU200は,処理がステップS1→S3→S4→S10の流れとなり,ステップS10において,異常発生信号を外部集中端子基板25(図2参照)に出力する等の異常に対応した処理を行う。」 (3)甲第3号証(特開2010-12318号公報)には,以下のように記載されている。 (ア)「【0092】 リセットスイッチ123は,スロットマシン10の各種状態をリセットするためのスイッチである。本スロットマシン10は各種データのバックアップ機能を有しており,万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し,停電からの復帰(復電)の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。従って,例えば遊技ホールの営業が終了する場合のように通常手順で電源を遮断すると遮断前の状態が記憶保持されるが,リセットスイッチ123を押しながら電源スイッチ122をオンすると,バックアップデータがリセットされるようになっている。また,電源スイッチ122がオンされている状態でリセットスイッチ123を押した場合には,エラー状態がリセットされる。 ・・・ 【0094】 リールユニット41の上方には,主制御装置131が筐体11の背板11cに取り付けられている。主制御装置131は,主たる制御を司るCPU,遊技プログラムを記憶したROM,遊技の進行に応じた必要なデータを一時的に記憶するRAM,各種機器との連絡をとるポート,時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロック回路等を含む主基板を具備しており,主基板が透明樹脂材料等よりなる被包手段としての基板ボックスに収容されて構成されている。基板ボックスは,略直方体形状のボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印手段としての封印ユニットによって開封不能に連結され,これにより基板ボックスが封印されている。なお,ボックスベースとボックスカバーとを鍵部材を用いて開封不能に連結する構成としてもよい。 【0095】 次に,本スロットマシン10の電気的構成について,図8のブロック図に基づいて説明する。」 (イ)「【0104】 上述したCPU151には,このCPU151によって実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM152と,このROM152内に記憶されている制御プログラムを実行するに当たって各種のデータを一時的に記憶する作業エリアを確保するためのRAM153のほかに,図示はしないが周知のように割込み回路を始めとしてタイマ回路,データ送受信回路などスロットマシン10において必要な各種の処理回路や,クレジット枚数をカウントするクレジットカウンタなどの各種カウンタが内蔵されている。ROM152とRAM153によって記憶手段としてのメインメモリが構成され,図9以降に示される各種のフローチャートに示される処理を実行するためのプログラムは,制御プログラムの一部として上述したROM152に記憶されている。 【0105】 RAM153は,スロットマシン10の電源が遮断された後においても電源ボックス121内に設けられた電源装置161からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており,RAM153には,各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリやエリアの他に,バックアップエリアが設けられている。 【0106】 バックアップエリアは,停電などの発生により電源が遮断された場合において,電源遮断時(電源スイッチ122の操作による電源遮断をも含む。以下同様)のスタックポインタや,各レジスタ,I/O等の値を記憶しておくためのエリアであり,停電解消時(電源スイッチ122の操作による電源投入をも含む。以下同様)には,バックアップエリアの情報に基づいてスロットマシン10の状態が電源遮断前の状態に復帰できるようになっている。バックアップエリアへの書き込みは停電時処理(図11参照)によって電源遮断時に実行され,バックアップエリアに書き込まれた各値の復帰は電源投入時のメイン処理(図12参照)において実行される。なお,CPU151のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には,停電等の発生による電源遮断時に,停電監視回路161bからの停電信号が入力されるように構成されており,停電等の発生に伴う停電フラグ生成処理としてのNMI割込み処理が即座に実行される。 【0107】 続いて,主制御装置131内のCPU151により実行される各制御処理を図9~図18のフローチャートを参照しながら説明する。かかるCPU151の処理としては大別して,電源投入に伴い起動されるメイン処理と,定期的に(本実施の形態では1.49msec周期で)起動されるタイマ割込み処理と,NMI端子(ノンマスカブル端子)への停電信号の入力により起動されるNMI割込み処理とがあり,説明の便宜上,はじめにNMI割込み処理とタイマ割込み処理とを説明し,その後メイン処理を説明する。 【0108】 図9はNMI割込み処理の一例を示すフローチャートである。停電の発生などによって電源が遮断されると,電源装置161の停電監視回路161bでは停電信号が生成され,主制御装置131に対して出力される。NMI端子を介して停電信号を受信した主制御装置131では,NMI割込み処理が実行される。 【0109】 NMI割込み処理では,まずステップS101において,CPU151内に設けられた使用レジスタのデータをRAM153内に設けられたバックアップエリアに退避させる。続いて,ステップS102では,停電フラグをRAM153内に設けられた停電フラグ格納エリアにセットする。その後,ステップS103にてRAM153のバックアップエリアに退避させたデータを再びCPU151の使用レジスタに復帰させる。この復帰処理でNMI割込み処理が終了する。なお,CPU151の使用レジスタのデータを破壊せずに停電フラグのセット処理が可能な場合には,バックアップエリアへの退避および復帰処理を省くことができる。 【0110】 図10は,主制御装置131で定期的に実行されるタイマ割込み処理のフローチャートであり,主制御装置131のCPU151により例えば1.49msecごとにタイマ割込みが発生する。 【0111】 先ず,ステップS201に示すレジスタ退避処理では,後述する通常処理で使用しているCPU151内の全レジスタの値をRAM153のバックアップエリアに退避させる。ステップS202では停電フラグがセットされているか否かを確認し,停電フラグがセットされているときにはステップS203に進み,停電時処理を実行する。 【0112】 ここで,停電時処理について図11を用いて説明する。この停電時処理は,タイマ割込み処理のうち特にレジスタ退避処理の直後に行われるため,その他の割込み処理を中断することなく実行できる。従って,例えば各種コマンドの送信処理中,スイッチの状態(オンオフ)の読み込み処理中などのように,それぞれの処理に割り込んでこの停電時処理が実行されることはなく,かかるタイミングで実行されることをも考慮した停電時処理のプログラムを作成する必要がなくなる。これにより停電時処理用の処理プログラムを簡略化してプログラム容量を削減できる。なお,このことは後述する復電時処理用の処理プログラムについても同様である。 ・・・ 【0114】 ステップS301がYES,すなわちコマンドの送信が完了している場合には,ステップS302に進み,CPU151のスタックポインタの値をRAM153内のバックアップエリアに保存する。その後ステップS303では,停止処理として後述するRAM判定値をクリアすると共に入出力ポート155における出力ポートの出力状態をクリアし,図示しない全てのアクチュエータをオフ状態にする。ステップS304では,RAM判定値を算出し,バックアップエリアに保存する。RAM判定値とは,具体的にはRAM153の作業領域アドレスにおけるチェックサムの2の補数である。RAM判定値をバックアップエリアに保存することにより,RAM153のチェックサムは0となる。RAM153のチェックサムを0とすることにより,ステップS305においてそれ以後のRAMアクセスを禁止する。その後は,電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるのに備え,無限ループに入る。なお,例えばノイズ等に起因して停電フラグが誤ってセットされる場合を考慮し,無限ループに入るまでは停電信号が出力されているか否かを確認する。停電信号が出力されていなければ停電状態から復旧したこととなるため,RAM153への書き込みを許可すると共に停電フラグをリセットし,タイマ割込み処理に復帰する。停電信号の出力が継続してなされていれば,そのまま無限ループに入る。 ・・・ 【0119】 図12は電源投入後に実行される主制御装置131でのメイン処理を示すフローチャートである。メイン処理は,停電からの復旧や電源スイッチ122のオン操作によって電源が投入された際に実行される。 【0120】 先ずステップS401では,初期化処理として,スタックポインタの値をCPU151内に設定すると共に,割込み処理を許可する割込みモードを設定し,その後CPU151内のレジスタ群や,I/O装置等に対する各種の設定などを行う。 ・・・ 【0123】 ステップS406では停電フラグがセットされているか否かを確認する。停電フラグがセットされていない,すなわち先のステップS403又はステップS405にてRAM153のデータがクリアされている場合には,後述するステップS407の通常処理に進み,本処理を終了する。 【0124】 ステップS406において停電フラグがセットされた状態にあるときには,ステップS408以降に示す復電処理に移行する。停電フラグがセットされた状態にあるということは,ステップS403のRAMクリア処理,ステップS405の設定変更処理等のサブルーチン処理が全く実行されていないことを意味する。従って,RAM153のデータは全く書き替えられていないこととなり,復電処理ではRAM153のデータなどが正常であるかどうかなどの確認処理が必要となる。 【0125】 そのためにまず,ステップS408ではRAM判定値が正常であるか否かを確認する。具体的には,RAM153のチェックサムの値を調べ,その値が正常,つまりRAM判定値を加味したチェックサムの値が0か否かを確認する。RAM判定値を加味したチェックサムの値が0である場合,RAM153のデータは正常であると判定する。 【0126】 ステップS408においてRAM判定値が異常である,つまりチェックサムの値が0でなかったときには,RAM153のデータが破壊された可能性が高い。そのため,このような場合にはステップS409にてエラー表示処理を行う。エラー表示処理として,先ず割込み処理を禁止し,入出力ポート155内の全ての出力ポートをクリアすることにより,入出力ポート155に接続された全てのアクチュエータをオフ状態に制御する。その後,ホール管理者などにエラーの発生を報知するエラー表示を行うと共に,リセットスイッチ123がON操作されるまでかかる状態を維持する。 【0127】 ステップS408においてRAM判定値が正常であると判定した場合にはステップS410に進み,バックアップエリアに保存されたスタックポインタの値をCPU151のスタックポインタに書き込み,スタックの状態を電源が遮断される前の状態に復帰させる。次に,ステップS411において,復電処理の実行を伝える復電コマンドを表示制御装置111に送信する。その後,ステップS412にて遊技状態として打ち止めおよび自動精算設定保存処理を行い,ステップS413にてスタート検出センサ71a等の各種センサの初期化を行う。以上の処理が終了した後,ステップS414にて停電フラグをリセットし,電源遮断前の番地に戻る。具体的には,先に説明したタイマ割込み処理に復帰し,ウォッチドッグタイマクリア処理(ステップS204)が実行されることとなる。」 上記(ア)~(イ)の記載事項から,甲第3号証には,次の事項(以下,「甲第3号証に記載された事項」という。)が開示されていると認められる。 「主制御装置131は,停電からの復旧や電源スイッチ122のオン操作によって電源が投入された際に実行されるメイン処理において, 先ずステップS401で,初期化処理として,スタックポインタの値をCPU151内に設定すると共に,割込み処理を許可する割込みモードを設定し,その後CPU151内のレジスタ群や,I/O装置等に対する各種の設定などを行い, ステップS406で停電フラグがセットされているか確認し,停電フラグがセットされた状態にあるときには,ステップS408以降に示す復電処理に移行し, ステップS408でRAM153のチェックサムの値を調べ,その値が正常,つまりRAM判定値を加味したチェックサムの値が0である場合,RAM153のデータは正常であると判定し,ステップS410に進み,スタックの状態を電源が遮断される前の状態に復帰させ, ステップS408においてRAM判定値が異常,つまりチェックサムの値が0でなかったときには,ステップS409にてエラー表示処理を行うスロットマシン10。」 (4)甲第4号証(特開2009-452号公報)には,以下のように記載されている。 (ア)「【0048】 遊技制御基板40には,CPU41a,ROM41b,RAM41c,I/Oポート41dを備えたマイクロコンピュータからなり,遊技の制御を行なうメイン制御部41,所定範囲(本実施の形態では0~65535)の乱数を発生させる乱数発生回路42,乱数発生回路から乱数を取得するサンプリング回路43,遊技制御基板40に直接または電源基板100を介して接続されたスイッチ類から入力された検出信号を検出するスイッチ検出回路44,リールモータ32L,32C,32Rの駆動制御を行なうモータ駆動回路45,流路切替ソレノイド30の駆動制御を行なうソレノイド駆動回路46,遊技制御基板40に接続された各種表示器やLEDの駆動制御を行なうLED駆動回路47,スロットマシン1に供給される電源電圧を監視し,電圧低下を検出したときに,その旨を示す電圧低下信号をメイン制御部41に対して出力する電断検出回路48,電源投入時またはCPU41aからの初期化命令が入力されないときにCPU41aにリセット信号を与えるリセット回路49,その他各種デバイス,回路が搭載されている。 【0049】 CPU41aは,計時機能,タイマ割込などの割込機能(割込禁止機能を含む)を備え,ROM41bに記憶されたプログラム(後述)を実行して,遊技の進行に関する処理を行なうととともに,遊技制御基板40に搭載された制御回路の各部を直接的または間接的に制御する。ROM41bは,CPU41aが実行するプログラムや各種テーブル等の固定的なデータを記憶する。RAM41cは,CPU41aがプログラムを実行する際のワーク領域等として使用される。I/Oポート41dは,メイン制御部41が備える信号入出力端子を介して接続された各回路との間で制御信号を入出力する。 【0050】 また,メイン制御部41には,停電時においてもバックアップ電源が供給されており,バックアップ電源が供給されている間は,CPU41aによりリフレッシュ動作が行なわれてRAM41cに記憶されているデータが保持されるようになっている。 ・・・ 【0052】 電断検出回路48は,スロットマシン1に供給される電源電圧を監視し,電圧の低下を検出(たとえば,所定電圧以下になったか否か判定)したときに,電圧低下信号をメイン制御部41に対して出力する回路である。メイン制御部41は,特に図示はしないが,割込入力端子を備えており,この割込入力端子に電圧低下信号が入力されることで外部割込が発生し,メイン制御部41のCPU41aは外部割込に応じて電断割込処理を実行する。 【0053】 電断割込処理においては,当該処理の開始にともなってその他の割込処理の実行を禁止する。そして,使用している可能性がある全てのレジスタをRAMに退避させる処理が行なわれる。これにより,電断復旧時に,元の処理に復帰できるようにする。 【0054】 次いで,全出力ポートを初期化した後,RAMに記憶されている全てのデータに基づいてRAMパリティを計算してパリティ格納領域41c-7(図7参照)にセットし,RAMアクセスを禁止する。そして何らの処理も行なわないループ処理に入る。すなわち,そのまま電圧が低下すると内部的に動作停止状態になる。よって,電断時に確実にメイン制御部41は動作停止する。 【0055】 このように電断割込処理においては,その時点のRAMパリティを計算してパリティ格納領域41c-7に格納されるようになっており,次回起動時において計算したRAMパリティと比較することで,RAMに格納されているデータが正常か否かを確認できるようになっている。 ・・・ 【0092】 次に,遊技制御基板40におけるメイン制御部41への電源まわりの構成を説明する。遊技制御基板40には,電源基板100の電圧生成回路により生成された+5Vの直流電圧が供給される。電源基板100から供給された+5Vの直流電圧は,メイン制御部41の駆動電源としてVDD入力端子に供給されるとともに,図5に示すように,遊技制御基板40上で分岐して+5V(VBB)の直流電圧の供給ラインを形成する。そして,この+5V(VBB)の直流電圧の供給ラインは,逆流防止用のダイオード312を介してメイン制御部41のメモリバックアップ電源入力端子VBBに接続されているとともに,電源基板100側でグラウンドレベルに接続され,その間には大容量の図示されないコンデンサが設けられている。これにより+5V(VBB)の直流電圧をコンデンサに蓄積可能とされ,スロットマシン1に対する電力供給が遮断されたときに,コンデンサに蓄積された電圧を,メイン制御部41におけるRAM41cの記憶状態を保持するためのバックアップ電源として供給できるようになっている。 ・・・ 【0100】 次に,遊技制御基板40のRAM41cの構成について説明する。図7は,RAM41cの記憶領域の構成を示す図である。図示するように,RAM41cには,重要ワーク41c-1,一般ワーク41c-2,特別ワーク41c-3,設定値ワーク41c-4,非保存ワーク41c-5,スタック領域41c-6,パリティ格納領域41c-7,および未使用領域41c-8を含む複数の記憶領域が設けられている。 【0101】 これらの記憶領域のうち,特に,設定値ワーク41c-4は,後述する内部当選の当選確率を定める設定値を格納する領域である。パリティ格納領域41c-7は,電源の遮断時においてRAMパリティを格納する領域である。また,RAM41cは,停電時においてもバックアップ電源により電力が供給され,記憶されているデータが保持されるようになっている。」 (イ)「【0235】 図13は,遊技制御基板40のCPU41aが実行する起動処理を示すフローチャートである。この起動処理は,遊技制御基板40のリセット回路49からリセット信号が入力されてメイン制御部41が起動されたときに行なわれる処理である。なお,リセット信号は,電源投入時およびメイン制御部41の動作が停滞した場合に出力される信号であるので,起動処理は,電源投入に伴うメイン制御部41の起動時およびメイン制御部41の不具合に伴う再起動時に行なわれる処理となる。 【0236】 起動処理では,まず,内蔵デバイスや周辺IC,スタックポインタ等を初期化し(ステップS101),RAM41cへのアクセスを許可する(ステップS102)。そして,設定キースイッチ37がONの状態か否かを判定する(ステップS103)。設定キースイッチ37がONでなければ,RAM41cに記憶されているデータのうちパリティ格納領域41c-7を除く全てのデータに基づいてRAMパリティを計算する(ステップS104)。 【0237】 次に,ここで計算したRAMパリティがパリティ格納領域41c-7に格納されているRAMパリティ,すなわち前回の電源断時に計算して格納されたRAMパリティと比較し(ステップS105),双方のRAMパリティが一致したか否か,すなわちRAMに格納されているデータが正常か否かを判定する(ステップS106)。なお,本実施の形態では,RAMパリティによるRAM41cが正常か否かの判定は,起動処理においてのみ行なわれるようになっている。 【0238】 ステップS106においてRAMパリティが一致していなければ,RAM41cに格納されているデータが正常ではないので,図15に示すRAM異常エラー処理に移行する。RAMパリティが一致していれば,RAM41cに格納されているデータが正常であるので,スタック領域41c-6に格納されているレジスタを復帰する(ステップS107)。次に,電断前の状態でいずれかの特別役が当選しているか否かを判定し(ステップS107a),電断前の状態でいずれかの特別役が当選している場合には,特別役の当選を示す電源投入コマンドを生成して,演出制御基板90に送信して(ステップS107b),ステップS108の処理に進む。一方,電断前の状態でいずれの特別役も当選していない場合には,特別役の非当選を示す電源投入コマンドを生成して,演出制御基板90に送信して(ステップS107c),ステップS108の処理に進む。ステップS108では,割込禁止を解除して,電源断前の処理に戻る。 【0239】 また,ステップS103において設定キースイッチ37がONの状態であれば,割込禁止を解除して(ステップS110),図14に示す設定変更処理に移行する(ステップS111)。そして,設定変更処理の終了後,遊技の進行が可能な状態となってゲーム制御処理に移行する。 ・・・ 【0243】 図15は,遊技制御基板40のCPU41aが実行するRAM異常エラー処理を詳細に示すフローチャートである。RAM異常エラー処理では,ペイアウト表示器13を制御してRAM異常エラーコードをペイアウト表示器13に表示した後(ステップS301),いずれの処理を行なわないループ処理に移行する。 【0244】 上記のように起動処理においては,設定キースイッチ37がONの状態でない場合に,電源断時に計算したRAMパリティと起動時に計算したRAMパリティとを比較することで,RAM41cに記憶されているデータが正常か否かを判定し,RAM異常エラー処理に移行する。RAM異常エラー処理では,RAM異常エラーコードをペイアウト表示器13に表示させた後,いずれの処理も行なわないループ処理に移行するので,ゲームの進行が不能化される。 【0245】 RAMパリティが一致しなければ,割込が許可されることがないので,一度RAM異常エラー処理に移行すると,設定キースイッチ37がONの状態で起動し,割込禁止が解除されるまでは,電源が遮断しても電断割込処理は行なわれない。すなわち,電断割込処理において新たにRAMパリティが計算されて格納されることはないので,メイン制御部41が起動しても設定キースイッチ37がONの状態で起動した場合を除き,常にRAMパリティは一致することがないので,メイン制御部41を起動させてゲームを開始(再開)させることができないようになっている。 【0246】 そして,RAM異常エラー状態に一度移行すると,設定キースイッチ37がONの状態で起動し,設定変更処理が行なわれてリセット/設定スイッチ38の操作により新たな設定値が選択・設定されるまで,ゲームの進行が不能な状態となる。すなわち,RAM異常エラー状態に移行した状態では,リセット/設定スイッチ38の操作により新たに設定値が選択・設定されたことを条件に,ゲームの進行が不能な状態が解除され,ゲームを開始(再開)させることが可能となる。なお,RAM異常エラー以外のエラー状態では,RAMパリティの不一致の問題がないため,リセットスイッチ23またはリセット/設定スイッチ38の操作でのみゲームの進行が不能な状態を解除し,ゲームを再開させることができる。」 上記(ア)~(イ)の記載事項から,甲第4号証には,次の事項(以下,「甲第4号証に記載された事項」という。)が開示されていると認められる。 「メイン制御部41は,電源投入に伴う起動時および不具合に伴う再起動時に行なわれる起動処理において, まず,内蔵デバイスや周辺IC,スタックポインタ等を初期化し(ステップS101),RAM41cへのアクセスを許可し(ステップS102), そして,設定キースイッチ37がONの状態か判定し(ステップS103),設定キースイッチ37がONでなければ,RAM41cに記憶されているデータのうちパリティ格納領域41c-7を除く全てのデータに基づいてRAMパリティを計算し(ステップS104), 次に,前回の電源断時に計算して格納されたRAMパリティと比較し(ステップS105),双方のRAMパリティが一致したか,すなわちRAMに格納されているデータが正常か判定し(ステップS106), ステップS106においてRAMパリティが一致していなければ,RAM41cに格納されているデータが正常ではないので,RAM異常エラー処理に移行し,RAMパリティが一致していれば,RAM41cに格納されているデータが正常であるので,スタック領域41c-6に格納されているレジスタを復帰する(ステップS107)スロットマシン1。」 第4 当審の判断 1 特許法第29条第2項について 本件発明は,甲1発明と同一であるか,又は甲1発明及び甲第2号証に記載された技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるか検討する。 ア 対比 本件発明と甲1発明を対比する。 (a)甲1発明の「メダルの払出率が変わる設定値」及び「スロットマシン1」は,それぞれ,本件発明の「遊技者に対する有利度」及び「遊技機」に相当する。 このことから,甲1発明の「メダルの払出率が変わる設定値の変更操作が可能なスロットマシン1」は,本件発明の「遊技者に対する有利度を変更可能な遊技機」に相当する。 (b)甲1発明の「前面扉」は,本件発明の「開閉体」に相当する。 このことから,甲1発明の「スロットマシン1の前面に設けられた,スロットマシン1の筐体本体に対して開閉可能な前面扉」は,本件発明の「遊技機の前面に設けられた開閉可能な開閉体」に相当する。 (c)甲1発明の「設定スイッチ91」,「設定キースイッチ92」及び「メインスイッチ94」は,本件発明の「操作手段」に相当する。 また,甲1発明の「設定スイッチ91」,「設定キースイッチ92」及び「メインスイッチ94」は,「スロットマシン1の内部に設けられた」ものであるから,前面扉が開放状態であるときに操作可能となるといえる。 これらのことから,甲1発明の「スロットマシン1の内部に設けられた設定値(設定1~設定6)を変更するための設定スイッチ91,設定スイッチ91を操作有効とする設定キースイッチ92,電源のON/OFF切り替えを行うメインスイッチ94」は,本件発明の「前記開閉体が開放状態であるときに操作可能となる操作手段」に相当する。 (d)甲1発明の「扉開放センサ95」は,本件発明の「開閉状態検出手段」に相当する。 このことから,甲1発明の「前面扉が開放状態にあることを検出する扉開放センサ95」は,本件発明の「前記開閉体の開閉状態を検出する開閉状態検出手段」に相当する。 (e)甲1発明の「設定値の変更操作中」は,本件発明の「設定変更状態」に相当する。 また,甲1発明の「スロットマシン1の電源が投入されると,設定キースイッチ92が鍵操作されてON状態とな」る操作は,本件発明の「特定操作」に相当する。 これらのことから,甲1発明の「設定スイッチ91により設定値(設定1~設定6)の変更操作が可能となる設定値の変更操作中にするために,スロットマシン1の電源が投入されると,設定キースイッチ92が鍵操作されてON状態となっているかどうかを判定するCPU111」は,本件発明の「複数種類の設定値のうちからいずれかの設定値を選択することで前記有利度を変更可能な設定変更状態に制御するために前記操作手段が特定操作されたことを検出する特定操作検出手段」に相当する。 (g)甲1発明の「設定キースイッチ92が鍵操作されてON状態となっているかどうかを判定し,ON状態となっていれば,扉開放センサ95の検出信号に基づいて前面扉が開放されているかどうかを判定し,前面扉が開放されていれば,設定値の変更操作が行われている旨を示す設定変更コマンドを生成して演出制御基板102に送信して設定値の変更操作中にし,次に,設定スイッチ91が操作されたかどうかを判定し,操作されていれば,設定値を1だけ加算して設定値の更新を行うように制御し」は,本件発明の「前記開閉状態検出手段により前記開閉体が開放状態であることが検出され,かつ前記特定操作検出手段により前記特定操作されたことが検出されたときには,前記設定変更状態に制御し」に相当する。 また,甲1発明の「前面扉が開放されていないと判定されれば,エラー終了するように制御するCPU111」は,本件発明の「前記開閉体が開放状態でないことが検出されたときには,前記設定変更状態に制御しない変更状態制御手段」に相当する。 これらのことから,甲1発明の「設定キースイッチ92が鍵操作されてON状態となっているかどうかを判定し,ON状態となっていれば,扉開放センサ95の検出信号に基づいて前面扉が開放されているかどうかを判定し,前面扉が開放されていれば,設定値の変更操作が行われている旨を示す設定変更コマンドを生成して演出制御基板102に送信して設定値の変更操作中にし,次に,設定スイッチ91が操作されたかどうかを判定し,操作されていれば,設定値を1だけ加算して設定値の更新を行うように制御し,前面扉が開放されていないと判定されれば,エラー終了するように制御するCPU111」は, 本件発明の「前記開閉状態検出手段により前記開閉体が開放状態であることが検出され,かつ前記特定操作検出手段により前記特定操作されたことが検出されたときには,前記設定変更状態に制御し,前記開閉体が開放状態でないことが検出されたときには,前記設定変更状態に制御しない変更状態制御手段」に相当する。 (i)甲1発明の「ゲーム回数表示部21」は,本件発明の「設定値表示部」に相当する。 このことから,甲1発明の「設定値を表示するゲーム回数表示部21」は,本件発明の「前記設定値を表示する設定値表示部」に相当する。 (j)甲1発明の「ワーク領域」及び「RAM112」は,それぞれ,本件発明の「記憶領域」及び「データ記憶手段」に相当する。 また,甲1発明の「CPU111がプログラムを実行する際に使用されるワーク領域」は,遊技を行うためのデータを読み出しおよび書き込み可能に記憶するものであることは,明らかである。 しかしながら,甲1発明の「ワーク領域」は,電力供給が停止しても記憶されているデータを保持することが可能であるか不明である。 これらのことから,甲1発明の「CPU111がプログラムを実行する際に使用されるワーク領域があるRAM112」は, 本件発明の構成Jと「遊技を行うためのデータを読み出しおよび書き込み可能に記憶する記憶領域を有」する「データ記憶手段」である点で共通している。 (l)甲1発明の「スタートレバー11が操作され,設定キースイッチ92がOFF状態とされ」ることは,本件発明の「設定変更終了条件」に相当する。 しかしながら,甲1発明は,設定値の変更操作中における扉開放センサ95の検出結果に関わらず,扉開放センサ95により前面扉が開放状態でないことが検出されたときであっても,設定値の変更操作中を終了させるスタートレバー11が操作され設定キースイッチ92がOFF状態とされる(設定変更終了条件が成立する)まで設定値の変更操作中を維持するか明記されていない。 これらのことから,甲1発明の「CPU111は,設定値の変更操作中にし,設定値ワークに記憶された設定値を所定のエリアに読み出し,ゲーム回数表示部21に表示させ,設定スイッチ91が操作されていれば,設定値を1だけ加算し,更新された後の設定値がゲーム回数表示部21に表示され,スタートレバー11が操作され,設定キースイッチ92がOFF状態とされた場合に,現在の設定値を確定して,設定値ワーク112-3に記憶させ」は, 本件発明の構成Lと「前記変更状態制御手段は,前記設定変更状態に制御した後においては,」「前記設定変更状態を終了させる設定変更終了条件が成立するまで当該設定変更状態を維持」する点で共通している。 (m)甲1発明の「ゲーム回数表示部21は,設定値の変更操作中にすると,設定値ワークに記憶された設定値を表示し,設定スイッチ91が操作されると,更新された後の設定値を表示し,スタートレバー11が操作され,設定キースイッチ92がOFF状態とされた場合に,表示された設定値を表示消去」するから,設定値の変更操作中においては,設定値を表示し続けているといえる。 しかしながら,甲1発明は,設定値の変更操作中における扉開放センサ95の検出結果に関わらず,扉開放センサ95により前面扉が開放状態および閉鎖状態のうちのいずれであっても,設定値を表示し続けるか明記されていない。 これらのことから,甲1発明の「ゲーム回数表示部21は,設定値の変更操作中にすると,設定値ワークに記憶された設定値を表示し,設定スイッチ91が操作されると,更新された後の設定値を表示し,スタートレバー11が操作され,設定キースイッチ92がOFF状態とされた場合に,表示された設定値を表示消去し」は, 本件発明の構成Mと「前記設定値表示部は,前記設定変更状態においては,」「前記設定値を表示し続け」る点で共通する。 (r)上記(a)で検討したように,甲1発明の「スロットマシン1」は,本件発明の「遊技機」に相当する。 このことから,甲1発明の「スロットマシン1」は,本件発明の構成Pと「遊技機」である点で共通している。 上記(a)~(e),(g),(i)~(j),(l)~(m),(r)から,本件発明と甲1発明とは, [一致点] 「A 遊技者に対する有利度を変更可能な遊技機であって, B 遊技機の前面に設けられた開閉可能な開閉体と, C 前記開閉体が開放状態であるときに操作可能となる操作手段と, D 前記開閉体の開閉状態を検出する開閉状態検出手段と, E 複数種類の設定値のうちからいずれかの設定値を選択することで前記有利度を変更可能な設定変更状態に制御するために前記操作手段が特定操作されたことを検出する特定操作検出手段と, G 前記開閉状態検出手段により前記開閉体が開放状態であることが検出され,かつ前記特定操作検出手段により前記特定操作されたことが検出されたときには,前記設定変更状態に制御し,前記開閉体が開放状態でないことが検出されたときには,前記設定変更状態に制御しない変更状態制御手段と, I 前記設定値を表示する設定値表示部と, J’遊技を行うためのデータを読み出しおよび書き込み可能に記憶する記憶領域を有するデータ記憶手段とを備え, L’前記変更状態制御手段は,前記設定変更状態に制御した後においては,前記設定変更状態を終了させる設定変更終了条件が成立するまで当該設定変更状態を維持し, M’前記設定値表示部は,前記設定変更状態においては,前記設定値を表示し続ける, R’遊技機。」 である点で一致し,以下の点で相違している。 [相違点1](構成F,Hに関して) 本件発明は,「前記設定値を確認する設定確認状態に制御するために操作手段が所定操作されたことを検出する所定操作検出手段と,」「前記開閉状態検出手段により前記開閉体が開放状態であることが検出され,かつ前記所定操作検出手段により前記所定操作されたことが検出されたときには,前記設定確認状態に制御し,前記開閉体が開放状態でないことが検出されたときには,前記設定確認状態に制御しない確認状態制御手段と」を備えるのに対して, 甲1発明は,そのような構成でない点。 [相違点2](構成Jに関して) 「遊技を行うためのデータを読み出しおよび書き込み可能に記憶する記憶領域を有」する「データ記憶手段」に関して, 本件発明は,「電力供給が停止しても該記憶領域に記憶されているデータを保持することが可能」であるのに対して, 甲1発明は,そのような構成であるか不明である点。 [相違点3](構成Kに関して) 本件発明は,「前記遊技機の起動時に,前記データ記憶手段に記憶されているデータに基づく制御状態に復帰させる復帰処理と,前記データ記憶手段に記憶されているデータに基づく制御状態に復帰させない非復帰処理とを行う起動時処理手段とを備え」るのに対して, 甲1発明は,そのような構成であるか不明である点。 [相違点4](構成Lに関して) 「前記設定変更状態に制御した後においては,前記設定変更状態を終了させる設定変更終了条件が成立するまで当該設定変更状態を維持」する「前記変更状態制御手段」に関して, 本件発明は,「当該設定変更状態における前記開閉状態検出手段の検出結果に関わらず,当該開閉状態検出手段により前記開閉体が開放状態でないことが検出されたときであっても」「当該設定変更状態を維持」するのに対して, 甲1発明は,そのような構成であるか不明である点。 [相違点5](構成Mに関して) 「前記設定変更状態においては,」「前記設定値を表示し続け」る「前記設定値表示部」に関して, 本件発明は,「当該設定変更状態における前記開閉状態検出手段の検出結果に関わらず前記開閉体が開放状態および閉鎖状態のうちのいずれであっても,前記設定値を表示し続け」るのに対して, 甲1発明は,そのような構成であるか不明である点。 [相違点6](構成N,O,Pに関して) 本件発明は,「前記起動時処理手段は,前記遊技機の起動時に,前記データ記憶手段に記憶されているデータを用いて,パリティの算出を行う算出手段と,前記算出手段による算出結果に基づいて遊技を行うためのデータが正常か否かを判定し,正常と判定された場合に前記復帰処理に分岐させるとともに,正常と判定されなかった場合に前記非復帰処理に分岐させる分岐手段とを含」むのに対して, 甲1発明は,そのような構成でない点。 [相違点7](構成Q,Rに関して) 本件発明は,「前記算出手段は,前記遊技機の起動後,前記データ記憶手段に記憶されているデータの読み込みおよび書き込みが許可された後,他の処理を行う前に前記データ記憶手段に記憶されているデータを用いたパリティの算出を行い,前記起動時処理手段は,前記算出手段が前記パリティの算出を行った後,前記分岐手段が前記遊技を行うためのデータが正常か否かの判定を行うまでの間に,前記復帰処理に分岐させる場合にも前記非復帰処理に分岐される場合にも共通して行う必要のある共通処理を行う」のに対して, 甲1発明は,そのような構成でない点。 イ 判断 事案の事情により,まず相違点7から判断する。 [相違点7について] 上記第3 8(4)の甲第4号証に記載された事項には, 「メイン制御部41は,電源投入に伴う起動時および不具合に伴う再起動時に行なわれる起動処理において, まず,内蔵デバイスや周辺IC,スタックポインタ等を初期化し(ステップS101),RAM41cへのアクセスを許可し(ステップS102), そして,設定キースイッチ37がONの状態か判定し(ステップS103),設定キースイッチ37がONでなければ,RAM41cに記憶されているデータのうちパリティ格納領域41c-7を除く全てのデータに基づいてRAMパリティを計算し(ステップS104), 次に,前回の電源断時に計算して格納されたRAMパリティと比較し(ステップS105),双方のRAMパリティが一致したか,すなわちRAMに格納されているデータが正常か判定し(ステップS106), ステップS106においてRAMパリティが一致していなければ,RAM41cに格納されているデータが正常ではないので,RAM異常エラー処理に移行し,RAMパリティが一致していれば,RAM41cに格納されているデータが正常であるので,スタック領域41c-6に格納されているレジスタを復帰する(ステップS107)スロットマシン1。」が記載されている。 しかしながら,上記甲第4号証に記載された事項においては,RAMパリティの計算(ステップS104)[パリティの算出]とRAMに格納されているデータが正常かの判定(ステップS106)[データが正常か否かの判定]の間に,RAMパリティ以外の処理であり,復帰処理でも非復帰処理でも行う必要のある共通処理を行う点[本件発明の構成R]は記載されていない。 また,上記甲第4号証の内蔵デバイスや周辺IC,スタックポインタ等の初期化(ステップS101)[共通処理]は,RAM41cへのアクセスを許可(ステップS102)する前に行う処理であり,RAM41cへのアクセスを許可した(ステップS102)後に行う構成にできるとはいえないから,内蔵デバイスや周辺IC,スタックポインタ等の初期化(ステップS101)[共通処理]を,RAMパリティの計算(ステップS104)[パリティの算出]とRAMに格納されているデータが正常かの判定(ステップS106)[データが正常か否かの判定]の間に行う構成[本件発明の構成R]とすることはできない。 加えて,上記甲第4号証に記載された事項においては,RAM41cへのアクセスの許可(ステップS102)[データ記憶手段に記憶されているデータの読み込みおよび書き込みが許可]とRAMパリティの計算(ステップS104)[パリティの算出]の間において,設定キースイッチ37がONの状態か判定する(ステップS103)から,「前記データ記憶手段に記憶されているデータの読み込みおよび書き込みが許可された後,他の処理を行う前に前記データ記憶手段に記憶されているデータを用いたパリティの算出を行」う構成[本件発明の構成Q]ではない。 これらのことから,甲1発明に,甲第4号証に記載された事項を適用しても,相違点7に係る本件発明の構成にはならない。 次に,上記第3 8(3)の甲第3号証に記載された事項には, 「主制御装置131は,停電からの復旧や電源スイッチ122のオン操作によって電源が投入された際に実行されるメイン処理において, 先ずステップS401で,初期化処理として,スタックポインタの値をCPU151内に設定すると共に,割込み処理を許可する割込みモードを設定し,その後CPU151内のレジスタ群や,I/O装置等に対する各種の設定などを行い, ステップS406で停電フラグがセットされているか確認し,停電フラグがセットされた状態にあるときには,ステップS408以降に示す復電処理に移行し, ステップS408でRAM153のチェックサムの値を調べ,その値が正常,つまりRAM判定値を加味したチェックサムの値が0である場合,RAM153のデータは正常であると判定し,ステップS410に進み,スタックの状態を電源が遮断される前の状態に復帰させ, ステップS408においてRAM判定値が異常,つまりチェックサムの値が0でなかったときには,ステップS409にてエラー表示処理を行うスロットマシン10。」が記載されている。 しかしながら,上記甲第3号証に記載された事項においては,「データ記憶手段に記憶されているデータの読み込みおよび書き込みが許可され」る処理[本件発明の構成Q]は記載されていないから,「前記遊技機の起動後,前記データ記憶手段に記憶されているデータの読み込みおよび書き込みが許可された後,他の処理を行う前に前記データ記憶手段に記憶されているデータを用いたパリティの算出を行」う点[本件発明の構成Q]は記載されていない。 また,上記甲第3号証に記載された事項においては,RAM153のチェックサムの値を調べる処理[パリティの算出]と,RAM153のデータは正常であると判定する処理[データが正常か否かの判定]が,1つのステップS408で行われており,パリティの算出とデータが正常か否かの判定の間に,復帰処理でも非復帰処理でも行う必要のある共通処理を行う点[本件発明の構成R]は記載されていない。 しかも,上記甲第3号証に記載された事項における初期化処理(スタックポインタの値をCPU151内に設定。割込み処理を許可する割込みモードの設定。CPU151内のレジスタ群や,I/O装置等に対する各種の設定など。ステップS401。)[共通処理]は,停電からの復旧や電源スイッチ122のオン操作によって電源が投入された際に1番最初に実行される処理であり,他のタイミングで実行可能であるとは記載されておらず,RAM153のチェックサムの値を調べる処理[パリティの算出]と,RAM153のデータは正常であると判定する処理[データが正常か否かの判定]の間に,他の処理を実行してもいいと記載されていないから,初期化処理(ステップS401)[共通処理]を,RAM153のチェックサムの値を調べる処理[パリティの算出]と,RAM153のデータは正常であると判定する処理[データが正常か否かの判定]の間に行う構成[本件発明の構成R]にすることはできない。 これらのことから,甲1発明に,甲第3号証に記載された事項を適用しても,相違点7に係る本件発明の構成にはならない。 それに,上記第3 8(2)の甲第2号証には,パリティの算出に関する記載がないから,甲1発明に,甲第2号証に記載された事項を適用しても,相違点7に係る本件発明の構成にはならない。 さらに,甲1発明に,甲第2~4号証に記載された事項を適用しても,相違点7に係る本件発明の構成にはならず,相違点6に係る本件発明の構成は,自明でも,周知でもない。 そして,本件発明は,上記相違点6に係る構成を備えることにより,データ記憶手段に対して何らのアクセスも行われる前の状態で算出されたパリティに基づいてデータ記憶手段のデータが正常か否かの判断が行われるため,このデータが正常か否かの判定の信頼性を高めることができるという効果(構成Qの効果)を奏すると共に,データ記憶手段のデータが正常か否かに関わらず共通して行う必要のある処理を,データ記憶手段のデータが正常と判定された場合と異常と判定された場合とで個別に実行する必要がないため,起動時の処理に用いるプログラムの容量を削減することができるという有利な効果(構成Rの効果)を奏するものである。 したがって,本件発明の上記相違点7に係る構成は,甲1発明及び甲第2~4号証に記載された事項に基づいて当業者が容易になし得たものであるとはいえない。 ウ 小括 以上のことから,上記相違点7に係る本件発明の構成とすることは,甲1発明及び甲第2~4号証に記載された事項に基づいて当業者が容易になし得たものではない。 したがって,上記相違点1~6について検討するまでもなく,本件発明は甲1発明及び甲第2~4号証に記載された事項に基づいて当業者が容易になし得たものであるとはいえない。 2 特許異議申立人の意見について 特許異議申立人は,平成29年9月19日付け意見書第31頁第3~19行において, 本件発明の構成Rの「前記算出手段が前記パリティの算出を行った後,前記分岐手段が前記遊技を行うためのデータが正常か否かの判定を行うまでの間に,」との構成は,その訂正の根拠となった本件特許明細書の【0739】の「まず,RAM507の全ての格納領域(未使用領域及び未使用スタック領域を含む)のRAMパリティを計算し,その後,計算したRAMパリティから格納データが正常か否かの判定を行なう前に,RAM507の格納データが正常か否かに関わらず共通して行なう必要のある処理を行い,」との記載から,甲第3号証における構成r3,甲第4号証における構成r4と差異がない旨,別の言い方をすると,本件発明の構成Rの訂正の根拠は「計算したRAMパリティ・・・が正常か否かの判定を行なう前に・・・共通して行なう必要のある処理を行い」との記載であるから,本件発明の構成Rは,RAMパリティが正常か否かの判定を行なう前に,共通処理を行う発明であり,パリティの算出とRAMパリティが正常か否かの判定の間に,共通処理を行う発明ではないので,甲第3号証における構成r3,甲第4号証における構成r4は,本件発明の構成Rと差異がない旨主張している。 しかしながら,本件特許明細書の【0739】には,特許異議申立人が意見書において摘記していない記載があり,本件特許明細書の【0739】には「このように本実施例のメイン制御部41は,システムリセットであるかユーザリセットであるかに関わらず,RAM507へのアクセスが許可された後,他の処理を行なうことなく,まず,RAM507の全ての格納領域(未使用領域及び未使用スタック領域を含む)のRAMパリティを計算し,その後,計算したRAMパリティから格納データが正常か否かの判定を行なう前に,RAM507の格納データが正常か否かに関わらず共通して行なう必要のある処理を行い,その後,RAMパリティに基づいてRAM507の格納データが正常か否かの判定を行なうようになっている。」(下線は当審で付した。)と記載されており,パリティの算出とRAMパリティが正常か否かの判定の間に,共通処理を行う点が記載されているから,本件発明の構成Rは,特許異議申立人が主張するような,RAMパリティが正常か否かの判定を行なう前に,共通処理を行う構成ではない。 また,本件発明の構成Rについては,上記1イにおいて既に検討したように,甲第3~4号証には記載されおらず,差異がある。 これらのことから,特許異議申立人の上記主張は,採用することができない。 また,特許異議申立人は,平成29年9月19日付け意見書第33頁第8行~第35頁第3行において, 訂正発明(本件発明)の構成Lの「当該開閉状態検出手段により前記開閉体が開放状態でないことが検出」されることについて,原出願明細書(特願2010-48430号[特開2011-182840号公報参照])及び本件特許明細書の何処にも記載されておらず,特許権者が意見書で述べている甲第1号証及び甲第2号証の記載に対する反論は,訂正手続と矛盾するものであり,認められるべきものではない旨主張している。 しかしながら,原出願明細書の【0314】及び本件特許明細書の【0314】には「すなわち,一旦設定変更処理に移行されてから,設定キースイッチ37がOFFされて設定終了条件が成立するまで,前面扉1bの開閉状態に関わらず,当該設定変更処理が維持される。このため,不正行為ではなく正規に電源スイッチ39や設定キースイッチ37の操作が行なわれて設定変更状態に制御された後においては,設定変更途中において,たとえばドア開放検出スイッチに誤って手が触れるなどして前面扉1bが閉鎖状態であると誤検出されたとしても,当該設定変更状態を維持させて,確実に設定変更を行なうことができる。このため,誤操作によって再度,電源を落として最初から設定変更状態としなければならないといった煩わしさを遊技場管理者に抱かせてしまうことがない。」(下線は当審で付した。)と記載されており,本件発明の構成Lの「当該設定変更状態における前記開閉状態検出手段の検出結果に関わらず,当該開閉状態検出手段により前記開閉体が開放状態でないことが検出されたときであっても,前記設定変更状態を終了させる設定変更終了条件が成立するまで当該設定変更状態を維持」する構成が記載されているといえる。 また,甲第1~2号証には,原出願明細書の【0314】及び本件特許明細書の【0314】に記載されたような,設定変更状態において,開閉状態検出手段により開閉体が開放状態でないことが検出されたときであっても,設定変更状態を維持する記載はないから,特許権者が意見書で述べている甲第1号証及び甲第2号証の記載に対する反論は,訂正手続と矛盾するものではない。 これらのことから,特許異議申立人の上記主張は,採用することができない。 さらに,特許異議申立人は,平成29年9月19日付け意見書第35頁第4行~第36頁第5行において, 訂正発明(本件発明)は,構成A,B,C,D,E,F,G,H,I,L,Mに対して,新たに構成J,K,N,O,P,Q,Rを追加した構成であり,構成B,C,D,E,F,G,H,I,L,Mと構成J,K,N,O,P,Q,Rの間には相互関連がないから,構成J,K,N,O,P,Q,Rを追加する訂正は,特許法第126条第6項に規定された訂正要件に適合せず,特許査定時の本件特許請求の範囲を実質上変更するものであるから,訂正拒絶理由が通知されるべきである旨主張している。 しかしながら,上記第2 2において既に検討したように,訂正発明(本件発明)は,構成J,K,N,O,P,Q,Rを直列的に追加することにより特許請求の範囲を減縮した発明であり,訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更をするものではない。 このことから,特許異議申立人の上記主張は,採用することができない。 3 特許異議申立理由について 当審による平成29年5月22日付けの取消理由通知は,上記第3 2及び5において検討したように,特許異議申立の理由と同じであるから,特許異議申立理由は,上記1において検討済みである。 第5 むすび 以上のことから,上記取消理由,並びに,特許異議申立ての理由及び証拠方法によっては,訂正後の請求項1に係る特許を取り消すことはできない。 よって,結論のとおり決定する。

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2016-701181

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