特許異議申立
2016-701175
遊技機
- 審判番号
- 2016-701175
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2011-181805外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年12月26日
- 審決日
- 2017年11月07日
- 公報発行日
- 2018年02月23日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社三共
- 【権利者代理人】特許業務法人深見特許事務所
- 【異議申立人】日本電動式遊技機特許株式会社
- 【異議申立人代理人】特許業務法人 武和国際特許事務所
- 分類
- P1651.121-YAA(A63F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条、特許法第29条第1項第3号、特許法第113条第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第5940265号発明「遊技機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第5940265号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
特許第5940265号の請求項1に係る特許を維持する。
理由
【理 由】
【目次】
第1 手続の経緯
第2 訂正請求について
1 訂正の内容
2 訂正の適否
3 まとめ
第3 特許異議の申立について
1 本件訂正発明
2 特許異議申立理由の概要
3 取消理由の概要
4 甲第1号証の記載
5 当審の判断
(1)取消理由について
ア 対比
イ 判断
(2)特許異議申立理由について
第4 むすび
第1 手続の経緯
本件特許第5940265号(以下「本件特許」という。)に係る出願は、平成23年8月23日に特許出願(特願2011-181805号)したものであって、平成28年5月27日に特許の設定登録がされ、同年12月26日にその特許に対し、特許異議申立人日本電動式遊技機特許株式会社により特許異議の申立てがなされ、当審により平成29年5月19日付けで取消理由が通知され、特許権者である株式会社三共より同年7月24日付けで意見書及び訂正請求書が提出され、これに対して、特許異議申立人より同年9月19日付けで意見書が提出されたものである。
第2 訂正請求について
1 訂正の内容
平成29年7月24日付け訂正請求書による本件特許の訂正の内容は、次のとおりである。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「前記設定変更状態において、前記設定値を変更するための変更操作を検出可能な変更操作検出手段とを備え、」と記載されているのを、
「前記設定変更状態において、前記設定値を変更するための変更操作を検出可能な変更操作検出手段と、」に訂正する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に「賭数が設定された後において、ゲームを開始させるために操作される開始操作手段と、」を加える。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項1に「ゲームの進行を制御するためのデータを読み出しおよび書き込み可能に記憶する記憶手段と、」を加える。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項1に「乱数値を生成する乱数回路とを備え、」を加える。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項1に「前記状態制御手段は、前記設定変更状態に制御した後においては、当該設定変更状態における前記開閉状態検出手段の検出結果に関わらず、前記設定変更状態を終了させる設定終了条件が成立するまで当該設定変更状態を維持し、」と記載されているのを、
「前記状態制御手段は、前記設定変更状態に制御した後においては、当該設定変更状態における前記開閉状態検出手段の検出結果に関わらず、当該開閉状態検出手段により前記開閉体が開放状態でないことが検出されたときであっても、前記設定変更状態を終了させる設定変更終了条件が成立するまで当該設定変更状態を維持し、」に訂正する。
(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項1に「前記設定変更状態は、前記変更操作が前記変更操作検出手段により検出されたときに、前記開閉状態検出手段の検出結果に関わらず設定値を同じ変更態様で変更する状態である」と記載されているのを、
「前記設定変更状態は、前記変更操作が前記変更操作検出手段により検出されたときに、前記開閉状態検出手段の検出結果に関わらず設定値を同じ変更態様で変更する状態であり、」に訂正する。
(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項1に「前記遊技機は、
前記開閉状態検出手段により前記開閉体が開放状態でないことが検出され、かつ前記特定操作検出手段により前記特定操作されたことが検出されたときには、前記設定変更状態に制御せず、前記開始操作手段が操作されたときにゲーム開始時の設定が行われない設定変更異常状態となり、」を加える。
(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項1に「前記記憶手段の異常が発生している記憶異常状態、前記乱数回路の異常が発生している乱数異常状態、および前記設定変更異常状態のいずれとも異なる他の異常状態においてはリセット操作がされることにより当該異常状態を解除し、」を加える。
(9)訂正事項9
特許請求の範囲の請求項1に「前記設定変更異常状態においては、前記リセット操作を契機としてではなく、前記設定変更状態に制御されることを契機として、当該設定変更異常状態を解除する」を加える。
(10)訂正事項10
願書に添付した明細書の段落【0009】に
「遊技者に対する有利度を変更可能な遊技機であって、
遊技機の前面に設けられた開閉可能な開閉体と、
前記開閉体が開放状態であるときに操作可能となる操作手段と、
前記開閉体の開閉状態を検出する開閉状態検出手段と、
複数種類の設定値のうちからいずれかの設定値を選択することで前記有利度を変更可能な設定変更状態に制御するために前記操作手段が特定操作されたことを検出する特定操作検出手段と、
前記開閉状態検出手段により前記開閉体が開放状態であることが検出され、かつ前記特定操作検出手段により前記特定操作されたことが検出されたときには、前記設定変更状態に制御し、前記開閉体が開放状態でないことが検出されたときには、前記設定変更状態に制御しない状態制御手段と、
前記設定変更状態において、前記設定値を変更するための変更操作を検出可能な変更操作検出手段とを備え、
前記状態制御手段は、前記設定変更状態に制御した後においては、当該設定変更状態における前記開閉状態検出手段の検出結果に関わらず、前記設定変更状態を終了させる設定終了条件が成立するまで当該設定変更状態を維持し、
前記変更操作検出手段は、前記設定変更状態においては、当該設定変更状態における前記開閉状態検出手段の検出結果に関わらず、前記変更操作検出手段が前記変更操作されたか否かを検出し、
前記設定変更状態は、前記変更操作が前記変更操作検出手段により検出されたときに、前記開閉状態検出手段の検出結果に関わらず設定値を同じ変更態様で変更する状態である。
なお、遊技機は、以下のような構成を備えるものであってもよい。
(1) 遊技者に対する有利度(たとえば設定値)を変更可能な遊技機(スロットマシン、パチンコ機など)であって、
遊技の進行を制御するためのデータを読み出し及び書き込みが可能に所定の記憶領域(メイン制御部41のRAMの格納領域)に記憶するデータ記憶手段(メイン制御部41)と、
開閉可能に設けられた開閉体(前面扉1b、本体枠914)と、
前記開閉体が開放状態であるときに操作可能となる操作手段(電源スイッチ39、設定キースイッチ37)と、
前記開閉体の開閉状態を検出する開閉状態検出手段(ドア開放検出スイッチ25、本体枠開放検出スイッチ925)と、
前記操作手段の状態を特定するための信号が所定状態(電源スイッチ39がOFFからONとなったとき(電源投入時)に設定キースイッチ37がON状態)であるときに、前記開閉状態検出手段の検出結果に基づく前記開閉体の開閉状態が、開放状態であるときには複数種類の設定値のうちからいずれかの設定値を選択することで前記有利度を変更可能な設定変更状態に制御し(Sa28に移行)、閉鎖状態であるときには前記設定変更状態に制御しない(Sa27dに移行)状態制御手段(Sa27b、Sa27d、Sa28、Sa29、図7など)と、
前記操作手段の状態を特定するための信号が前記所定状態であるときに、前記開閉状態検出手段の検出結果に基づく前記開閉体の開閉状態が、開放状態であるときには前記記憶領域に記憶されたデータを初期化し(図6のSa27e)、閉鎖状態であるときには前記記憶領域に記憶されたデータを初期化しないデータ初期化手段(図6のSa27b、Sa27e)とを備え、
前記状態制御手段は、前記設定変更状態に制御した後においては、当該設定変更状態における前記開閉状態検出手段の検出結果に関わらず、所定の設定終了条件が成立(図7のSc11においてYES)するまで当該設定変更状態を維持する(図7参照)。」と記載されているのを、
「遊技者に対する有利度を変更可能な遊技機であって、
遊技機の前面に設けられた開閉可能な開閉体と、
前記開閉体が開放状態であるときに操作可能となる操作手段と、
前記開閉体の開閉状態を検出する開閉状態検出手段と、
複数種類の設定値のうちからいずれかの設定値を選択することで前記有利度を変更可能な設定変更状態に制御するために前記操作手段が特定操作されたことを検出する特定操作検出手段と、
前記開閉状態検出手段により前記開閉体が開放状態であることが検出され、かつ前記特定操作検出手段により前記特定操作されたことが検出されたときには、前記設定変更状態に制御し、前記開閉体が開放状態でないことが検出されたときには、前記設定変更状態に制御しない状態制御手段と、
前記設定変更状態において、前記設定値を変更するための変更操作を検出可能な変更操作検出手段と、
賭数が設定された後において、ゲームを開始させるために操作される開始操作手段と、
ゲームの進行を制御するためのデータを読み出しおよび書き込み可能に記憶する記憶手段と、
乱数値を生成する乱数回路とを備え、
前記状態制御手段は、前記設定変更状態に制御した後においては、当該設定変更状態における前記開閉状態検出手段の検出結果に関わらず、当該開閉状態検出手段により前記開閉体が開放状態でないことが検出されたときであっても、前記設定変更状態を終了させる設定変更終了条件が成立するまで当該設定変更状態を維持し、
前記変更操作検出手段は、前記設定変更状態においては、当該設定変更状態における前記開閉状態検出手段の検出結果に関わらず、前記変更操作検出手段が前記変更操作されたか否かを検出し、
前記設定変更状態は、前記変更操作が前記変更操作検出手段により検出されたときに、前記開閉状態検出手段の検出結果に関わらず設定値を同じ変更態様で変更する状態であり、
前記遊技機は、
前記開閉状態検出手段により前記開閉体が開放状態でないことが検出され、かつ前記特定操作検出手段により前記特定操作されたことが検出されたときには、前記設定変更状態に制御せず、前記開始操作手段が操作されたときにゲーム開始時の設定が行われない設定変更異常状態となり、
前記記憶手段の異常が発生している記憶異常状態、前記乱数回路の異常が発生している乱数異常状態、および前記設定変更異常状態のいずれとも異なる他の異常状態においてはリセット操作がされることにより当該異常状態を解除し、
前記設定変更異常状態においては、前記リセット操作を契機としてではなく、前記設定変更状態に制御されることを契機として、当該設定変更異常状態を解除する。
なお、遊技機は、以下のような構成を備えるものであってもよい。
(1) 遊技者に対する有利度(たとえば設定値)を変更可能な遊技機(スロットマシン、パチンコ機など)であって、
遊技の進行を制御するためのデータを読み出し及び書き込みが可能に所定の記憶領域(メイン制御部41のRAMの格納領域)に記憶するデータ記憶手段(メイン制御部41)と、
開閉可能に設けられた開閉体(前面扉1b、本体枠914)と、
前記開閉体が開放状態であるときに操作可能となる操作手段(電源スイッチ39、設定キースイッチ37)と、
前記開閉体の開閉状態を検出する開閉状態検出手段(ドア開放検出スイッチ25、本体枠開放検出スイッチ925)と、
前記操作手段の状態を特定するための信号が所定状態(電源スイッチ39がOFFからONとなったとき(電源投入時)に設定キースイッチ37がON状態)であるときに、前記開閉状態検出手段の検出結果に基づく前記開閉体の開閉状態が、開放状態であるときには複数種類の設定値のうちからいずれかの設定値を選択することで前記有利度を変更可能な設定変更状態に制御し(Sa28に移行)、閉鎖状態であるときには前記設定変更状態に制御しない(Sa27dに移行)状態制御手段(Sa27b、Sa27d、Sa28、Sa29、図7など)と、
前記操作手段の状態を特定するための信号が前記所定状態であるときに、前記開閉状態検出手段の検出結果に基づく前記開閉体の開閉状態が、開放状態であるときには前記記憶領域に記憶されたデータを初期化し(図6のSa27e)、閉鎖状態であるときには前記記憶領域に記憶されたデータを初期化しないデータ初期化手段(図6のSa27b、Sa27e)とを備え、
前記状態制御手段は、前記設定変更状態に制御した後においては、当該設定変更状態における前記開閉状態検出手段の検出結果に関わらず、所定の設定終了条件が成立(図7のSc11においてYES)するまで当該設定変更状態を維持する(図7参照)。」に訂正する。
2 訂正の適否
(1)訂正事項1
ア 訂正の目的について
上記訂正事項1は、後ろに遊技機が備える前提構成が続くことを示すための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記訂正事項1は、構成要件の削除、請求項の追加、実施例の追加ではなく、また、カテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
ウ 本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書等」という。)に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記訂正事項1は、本件特許明細書等に記載した事項または記載した事項から自明な事項の範囲内の訂正であり、本件特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
よって、上記訂正事項1は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
(2)訂正事項2
ア 訂正の目的について
上記訂正事項2は、遊技機が備える前提構成として、「開始操作手段」に関する構成を加えるものであるから、特許請求の範囲を減縮するものである。
したがって、上記訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記訂正事項2は、構成要件の削除、請求項の追加、実施例の追加ではなく、また、カテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
ウ 本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記訂正事項2は、願書に添付した明細書の
【0038】の「…ゲームを開始する際に操作されるスタートスイッチ7…」との記載、
【0049】の「…遊技状態に応じて定められた規定数の賭数が設定されると、入賞ラインL1~L5(図1参照)が有効となり、スタートスイッチ7の操作が有効な状態、すなわち、ゲームが開始可能な状態となる。…」との記載、
【0051】の「ゲームが開始可能な状態でスタートスイッチ7を操作すると、各リール2L、2C、2Rが回転し、各リール2L、2C、2Rの図柄が連続的に変動する。…」との記載、
【0195】の「…遊技状態に応じた規定数の賭数が設定され、スタートスイッチ7が操作された時点でゲームを開始させる処理を実行する。」との記載に基づくものである。
したがって、上記訂正事項2は、本件特許明細書等に記載した事項または記載した事項から自明な事項の範囲内の訂正であり、本件特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
よって、上記訂正事項2は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
(3)訂正事項3
ア 訂正の目的について
上記訂正事項3は、遊技機が備える前提構成として、「記憶手段」に関する構成を加えるものであるから、特許請求の範囲を減縮するものである。
したがって、上記訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記訂正事項3は、構成要件の削除、請求項の追加、実施例の追加ではなく、また、カテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
ウ 本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記訂正事項3は、願書に添付した明細書の
【0061】の「メイン制御部41は、メインCPU、ROM、RAM、I/Oポートを備えた1チップマイクロコンピュータにて構成され、ROMに記憶された制御プログラムを実行して、遊技の進行に関する処理を実行することにより遊技の制御を行なう…」との記載、
【0096】の「メイン制御部41は、スロットマシンにおける遊技の進行に応じて、当該遊技を制御するためのデータを読み出しおよび書き込みが可能となるようにRAMの格納領域に格納する。」との記載に基づくものである。
したがって、上記訂正事項3は、本件特許明細書等に記載した事項または記載した事項から自明な事項の範囲内の訂正であり、本件特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
よって、上記訂正事項3は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
(4)訂正事項4
ア 訂正の目的について
上記訂正事項4は、遊技機が備える前提構成として、「乱数回路」に関する構成を加えるものであるから、特許請求の範囲を減縮するものである。
したがって、上記訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記訂正事項4は、構成要件の削除、請求項の追加、実施例の追加ではなく、また、カテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
ウ 本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記訂正事項4は、願書に添付した明細書の【0062】の「乱数発生回路42は、所定数のパルスを発生する度にカウントアップして値を更新するカウンタによって構成され、所定範囲の乱数を発生させる。…」との記載に基づくものである。
したがって、上記訂正事項4は、本件特許明細書等に記載した事項または記載した事項から自明な事項の範囲内の訂正であり、本件特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
よって、上記訂正事項4は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
(5)訂正事項5
ア 訂正の目的について
上記訂正事項5は、「当該設定変更状態を維持」するための条件について限定することにより、特許請求の範囲を減縮するものである。
したがって、上記訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記訂正事項5は、構成要件の削除、請求項の追加、実施例の追加ではなく、また、カテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
ウ 本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記訂正事項5は、願書に添付した明細書の
【0173】の「…一旦設定変更処理に移行されてから、設定キースイッチ37がOFFされて設定終了条件が成立するまで、前面扉1bの開閉状態に関わらず、当該設定変更処理が維持される。このため、不正行為ではなく正規に電源スイッチ39や設定キースイッチ37の操作が行なわれて設定変更状態に制御された後においては、設定変更途中において、たとえばドア開放検出スイッチに誤って手が触れるなどして前面扉1bが閉鎖状態であると誤検出されたとしても、当該設定変更状態を維持させて、確実に設定変更を行なうことができる。」との記載、
【0254】の「また、設定変更処理への制御は、前面扉1bの開閉状態に関わらず、設定キースイッチ37がOFFされるまで継続される。すなわち、一旦設定変更処理に移行されてから、設定キースイッチ37がOFFされて設定終了条件が成立するまで、前面扉1bの開閉状態に関わらず、当該設定変更処理が維持される。このため、不正行為ではなく正規に電源スイッチ39や設定キースイッチ37の操作が行なわれて設定変更状態に制御された後においては、設定変更途中において、たとえばドア開放検出スイッチに誤って手が触れるなどして前面扉1bが閉鎖状態であると誤検出されたとしても、当該設定変更状態を維持させて、確実に設定変更を行なうことができる。このため、誤操作によって再度、電源を落として最初から設定変更状態としなければならないといった煩わしさを遊技場管理者に抱かせてしまうことがない。」との記載に基づくものである。
したがって、上記訂正事項5は、本件特許明細書等に記載した事項または記載した事項から自明な事項の範囲内の訂正であり、本件特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
よって、上記訂正事項5は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
(6)訂正事項6
ア 訂正の目的について
上記訂正事項6は、後ろに文章が続くことを示すための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記訂正事項6は、構成要件の削除、請求項の追加、実施例の追加ではなく、また、カテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
ウ 本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記訂正事項6は、本件特許明細書等に記載した事項または記載した事項から自明な事項の範囲内の訂正であり、本件特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
よって、上記訂正事項6は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
(7)訂正事項7
ア 訂正の目的について
上記訂正事項7は、「設定変更異常状態」に関する構成を加えるものであるから、特許請求の範囲を減縮するものである。
したがって、上記訂正事項7は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記訂正事項7は、構成要件の削除、請求項の追加、実施例の追加ではなく、また、カテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
ウ 本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記訂正事項7は、願書に添付した明細書の
【0169】の「また、設定キースイッチがON状態であるが前面扉1bが開放状態でない旨を示す、設定時扉閉状態フラグを設定し(Sa27d)、Sa16の処理へ移行する。設定時扉閉状態フラグが設定されているときには、後述するように、所定のタイミングで遊技制御の進行が停止されて不能動化される。」との記載、
【0216】の「…設定時扉閉状態フラグが設定されていると判定されたときには、Se22bのステップに進み、現在有効な特定操作が検出されたか否か判定する。…」との記載、
【0218】の「Se22bにおいて、現在有効な特定操作が検出されたと判定されたときには、Se22cのステップに進み、スタートスイッチ7の操作を不能化することにより遊技の進行を停止させて不能動化させるための不能化フラグを設定する。…」との記載、
【0225】の「…Se35bのステップに進む。Se35bでは、不能化フラグが設定されているか否かを判定する。通常であれば前面扉1bを開放させなければ設定変更操作を行なうことができないところ、Se35bにおいて不能化フラグが設定されていると判定されたときには、設定変更操作が行なわれた際に前面扉1bが閉鎖状態であったような異常時であるため、いずれの処理も行なわないループ処理に移行する。…」との記載、
【0228】の「…ゲーム開始時の設定を行なう(Se38)。…」との記載に基づくものである。
したがって、上記訂正事項7は、本件特許明細書等に記載した事項または記載した事項から自明な事項の範囲内の訂正であり、本件特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
よって、上記訂正事項7は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
(8)訂正事項8
ア 訂正の目的について
上記訂正事項8は、「異常状態」の解除に関する構成を加えるものであるから、特許請求の範囲を減縮するものである。
したがって、上記訂正事項8は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記訂正事項8は、構成要件の削除、請求項の追加、実施例の追加ではなく、また、カテゴリ ーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
ウ 本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記訂正事項8は、願書に添付した明細書の
【0042】の「…所定のキー操作により後述するエラー状態および後述する打止状態を解除するためのリセット操作を検出するリセットスイッチ23…」との記載、
【0085】の「…RAMパリティが0でない場合(1の場合)や破壊診断用データの値が正しくない場合には、RAM異常と判定し、RAM異常エラーコードをレジスタにセットしてRAM異常エラー状態に制御し、遊技の進行を不能化させるようになっている。なお、RAM異常エラー状態は、通常のエラー状態と異なり、リセットスイッチ23やリセット/設定スイッチ38を操作しても解除されないようになっており、前述した設定変更状態において新たな設定値が設定されるまで解除されることがない。」との記載、
【0166】の「…乱数発生回路42が異常であるか否か、すなわち乱数回路異常か否かを判定する(Sa27a)。…」との記載、
【0177】の「…乱数回路異常であれば、乱数回路異常を示すエラーコマンドの送信…」との記載、
【0185】の「このようにエラー処理においては、RAM異常、乱数回路異常以外によるエラー処理であれば、リセット/設定スイッチ38またはリセットスイッチ23が操作されることで、エラー状態を解除してもとの処理に復帰するが、RAM異常や乱数回路異常によるエラー処理であれば、リセット/設定スイッチ38またはリセットスイッチ23が操作されてもエラー状態が解除され、元の状態に復帰することはない。」との記載、
【0260】の「(5) 前述した実施の形態において不能動化された場合、図7のSc14、Sc15で示したように、設定変更処理に移行されることにより設定変更状態に制御されることが必須となる。このため、不正行為を行なった者にとっては容易に不能動化を解除することができないのに対し、遊技場管理者であれば、容易かつ速やかに不能動化を解除することができる。」との記載に基づくものである。
したがって、上記訂正事項8は、本件特許明細書等に記載した事項または記載した事項から自明な事項の範囲内の訂正であり、本件特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
よって、上記訂正事項8は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
(9)訂正事項9
ア 訂正の目的について
上記訂正事項9は、「設定変更異常状態」の解除に関する構成を加えるものであるから、特許請求の範囲を減縮するものである。
したがって、上記訂正事項9は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記訂正事項9は、構成要件の削除、請求項の追加、実施例の追加ではなく、また、カテゴリ ーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
ウ 本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記訂正事項9は、願書に添付した明細書の
【0025】の「…前記不能動化手段により遊技の進行が不能動化されているときに、前記設定変更状態に制御されることにより、当該不能動化を解除する不能動化解除手段…」との記載、
【0026】の「このような構成によれば、不正行為を行なった者にとっては容易に不能動化を解除することができないのに対し、開閉体を開放状態にして操作手段の状態を特定するための信号を所定状態と異なる状態にすることができる者(たとえば遊技場管理者)であれば、容易かつ速やかに不能動化を解除することができる。」との記載、
【0192】の「…設定時扉閉状態フラグや不能化フラグが一旦設定されると設定変更状態に移行されるまで、当該フラグがクリアされないため、遊技を不能動化することができる。」との記載、
【0225】の「…これにより、設定変更状態に移行されるまで、遊技が不能動化される。このため、不正行為が行なわれたことを、遊技場管理者や他の遊技者などによって容易に特定されてしまう。その結果、不正行為を行なうことのリスクを高めることにより、不正行為を抑止することができる。」との記載、
【0227】の「…前面扉1bを開放させて設定キースイッチをON状態にして電源を再投入した場合には、図6のSa29以降で説明したように、図7の設定変更処理に移行されて、Sc15において不能動化フラグが消去されることにより、不能動化を解除することができる。このように、遊技の不能動化は、正規に設定変更状態に移行されることにより解除される。よって、不正行為を行なった者にとっては容易に遊技の不能動化を解除することができないのに対し、前面扉1bを開放状態にして設定キースイッチを操作することができる者(たとえば遊技場管理者)であれば、容易かつ速やかに不能動化を解除することができる。」との記載、
【0260】の「… 前述した実施の形態において不能動化された場合、図7のSc14、Sc15で示したように、設定変更処理に移行されることにより設定変更状態に制御されることが必須となる。このため、不正行為を行なった者にとっては容易に不能動化を解除することができないのに対し、遊技場管理者であれば、容易かつ速やかに不能動化を解除することができる。」との記載、
【0266】の「…前述した実施の形態においては、設定変更操作が行なわれた際に前面扉1bが閉鎖状態であったために不能動化された場合、正規の操作(前面扉1bを開放、電源断して設定キースイッチ37をON状態にして電源投入する操作)を行なって設定変更状態に移行させることを契機として、当該不能動化が解除される例について説明した。…」との記載に基づくものである。
したがって、上記訂正事項9は、本件特許明細書等に記載した事項または記載した事項から自明な事項の範囲内の訂正であり、本件特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
よって、上記訂正事項9は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
(10)訂正事項10
ア 訂正の目的について
上記訂正事項10は、上記訂正事項1~9に係る訂正により、本件訂正前の請求項1における特許請求の範囲の訂正を行った結果、記載表現が一致しなくなった願書に添付した明細書の段落【0009】の記載を、訂正後の請求項1の記載に整合させるための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記訂正事項10は、構成要件の削除、請求項の追加、実施例の追加ではなく、また、カテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
ウ 本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記訂正事項10は、本件特許明細書等に記載した事項または記載した事項から自明な事項の範囲内の訂正であり、本件特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
よって、上記訂正事項10は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
(11)小括
訂正事項2~5、7~9は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、特許法第120条の5第9項において準用する特許法第126条第5~6項の規定に適合するものである。
また、訂正事項1、6、10は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、特許法第120条の5第9項において準用する特許法第126条第5~6項の規定に適合するものである。
3 まとめ
上記1、2において検討したとおりであるから、本件特許の明細書及び特許請求の範囲についての訂正を認める。
第3 特許異議の申立について
1 本件訂正発明
本件特許の訂正後の請求項1に係る発明(以下「本件訂正発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである(当審にて請求項1をA~Pに分説した。)。
(本件訂正発明)
「【請求項1】
A 遊技者に対する有利度を変更可能な遊技機であって、
B 遊技機の前面に設けられた開閉可能な開閉体と、
C 前記開閉体が開放状態であるときに操作可能となる操作手段と、
D 前記開閉体の開閉状態を検出する開閉状態検出手段と、
E 複数種類の設定値のうちからいずれかの設定値を選択することで前記有利度を変更可能な設定変更状態に制御するために前記操作手段が特定操作されたことを検出する特定操作検出手段と、
F 前記開閉状態検出手段により前記開閉体が開放状態であることが検出され、かつ前記特定操作検出手段により前記特定操作されたことが検出されたときには、前記設定変更状態に制御し、前記開閉体が開放状態でないことが検出されたときには、前記設定変更状態に制御しない状態制御手段と、
G 前記設定変更状態において、前記設定値を変更するための変更操作を検出可能な変更操作検出手段と、
H 賭数が設定された後において、ゲームを開始させるために操作される開始操作手段と、
I ゲームの進行を制御するためのデータを読み出しおよび書き込み可能に記憶する記憶手段と、
J 乱数値を生成する乱数回路とを備え、
K 前記状態制御手段は、前記設定変更状態に制御した後においては、当該設定変更状態における前記開閉状態検出手段の検出結果に関わらず、当該開閉状態検出手段により前記開閉体が開放状態でないことが検出されたときであっても、前記設定変更状態を終了させる設定変更終了条件が成立するまで当該設定変更状態を維持し、
L 前記変更操作検出手段は、前記設定変更状態においては、当該設定変更状態における前記開閉状態検出手段の検出結果に関わらず、前記変更操作検出手段が前記変更操作されたか否かを検出し、
M 前記設定変更状態は、前記変更操作が前記変更操作検出手段により検出されたときに、前記開閉状態検出手段の検出結果に関わらず設定値を同じ変更態様で変更する状態であり、
N 前記遊技機は、
O 前記開閉状態検出手段により前記開閉体が開放状態でないことが検出され、かつ前記特定操作検出手段により前記特定操作されたことが検出されたときには、前記設定変更状態に制御せず、前記開始操作手段が操作されたときにゲーム開始時の設定が行われない設定変更異常状態となり、
P 前記記憶手段の異常が発生している記憶異常状態、前記乱数回路の異常が発生している乱数異常状態、および前記設定変更異常状態のいずれとも異なる他の異常状態においてはリセット操作がされることにより当該異常状態を解除し、
Q 前記設定変更異常状態においては、前記リセット操作を契機としてではなく、前記設定変更状態に制御されることを契機として、当該設定変更異常状態を解除することを特徴とする、遊技機。」
2 特許異議申立理由の概要
異議申立人は、本件特許の請求項1に係る発明(以下「本件特許発明」という。)に対して、証拠として甲第1号証を提示し、本件特許発明は、甲1号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであるから、取り消すべきものである旨、主張する。
<証拠方法>
甲第1号証:特開2008-142126号公報
3 取消理由の概要
特許異議申立人による、特許異議の申立書の提出を受け、当審により、平成29年5月19日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は次のとおりである。
本件特許明は、甲1発明に一致するものであるから、本件特許発明は、甲1発明と同一のものであり、甲第1号証に記載された発明であるから、本件特許発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、その発明に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきである。
4 甲第1号証の記載
甲第1号証(特開2008-142126号公報)には、図面と共に次の事項が記載されている。
・記載事項
ア 「【請求項1】
前方に開口を有する筐体と、
前記筐体に対して回動可能に取り付けられることで前記開口を開閉可能な状態で閉塞させる前扉と、
所定の第1の遊技操作を契機に乱数値を取得し、取得した当該乱数値に基づいて入賞役を抽選する抽選手段と、
前記抽選手段が抽選した入賞役及び所定の第2の遊技操作に基づいて、遊技媒体を前記前扉の内側から外側に向けて払い出す遊技媒体払い出し手段と、
前記筐体の壁面に形成された貫通孔を介しての筐体の外部から電力が供給され、供給された電力から所定の電圧値の電力を生成して前記抽選手段及び前記遊技媒体払い出し手段に供給する電源ユニットと、
前記抽選手段による入賞役の抽選確率の設定の変更を行う設定変更手段とを備えた遊技機であって、
前記前扉に設けられ、筒状に形成された前扉用シリンダ錠本体と、
前扉キーと嵌合する前扉キー嵌合部を有し、前記前扉用シリンダ錠本体の筒内に挿入され、当該筒内で係止固定状態及び回転可能な状態の何れか一方の状態にあり、前記前扉キー嵌合部が前記前扉キーと嵌合することで前記筒内での係止固定状態を解除する前扉用シリンダ錠ロータと、
前記前扉用シリンダ錠本体から前記前扉の内側に突出した前記前扉用シリンダ錠ロータに固定して取り付けられたカム板と、
前記前扉を前記筐体に固定するとともに前記カム板の回動に連動して当該固定の解除を行う前扉ロック機構部と、
前記カム板の回動位置が前記前扉の固定の解除を行う位置にあるかを検出するカム板回動位置検出手段と、
前記前扉または前記筐体の内側に設けられ、前記前扉の開放を検出する前扉開放検出スイッチと、
前記電源ユニットに設けられ、筒状に形成された設定用シリンダ錠本体と、
設定キーと嵌合する設定キー嵌合部を有し、前記設定用シリンダ錠本体の筒内に挿入され、当該筒内で係止固定状態及び回転可能な状態の何れか一方の状態にあり、前記設定キー嵌合部が前記設定キーと嵌合することで前記筒内での係止固定状態を解除する設定用シリンダ錠ロータと、
前記設定用シリンダ錠ロータの回動角が第1乃至第3の回動範囲の何れにあるかを検出する設定用シリンダ錠ロータ回動角検出手段と、
前記設定用シリンダ錠ロータ回動角検出手段の検出結果が第1乃至第3の回動範囲を順番に連続して示した場合に、設定キーに対して設定表示が操作を行われたと判別する設定表示操作判別手段と、
前記設定表示操作判別手段の判別結果に基づいて前記入賞役の抽選確率の設定を表示する設定表示手段と、
前記カム板回動位置検出手段の検出結果が前記筐体に対する前記前扉の固定の解除を示さずに、前記前扉開放検出スイッチの検出結果が前記前扉の開放を示した場合に、異常が発生したと見なすとともに、前記前扉開放検出スイッチの検出結果が前扉の閉塞を示した状態で前記設定用シリンダ錠ロータ回動角検出手段の検出結果に変化が生じた場合、異常が発生したと見なす異常判別手段と、
前記異常判別手段が異常の発生を示した場合に、設定表示操作判別手段による設定表示操作を無効とする制御手段と、
前記異常判別手段が異常の発生を示した場合に、警報を発報する警報発報手段とを備えることを特徴とする遊技機。」
イ 「【0001】
本発明は、筐体の開口を閉塞する前扉に対して施錠が可能な遊技機に関する。」
ウ 「【0011】
図1において、スロットマシン1は、前方に開口を有する略矩形状の箱体である筐体2と、当該筐体2に対して蝶番機構により回動可能に取り付けられることで前記開口を開閉可能な状態で閉塞させる前扉3とを備えている。」
エ 「【0032】
リールユニット100の下方には、ホッパ装置21と、ホッパ装置21から溢れたメダルを収容するための補助貯留部22と、主電源装置23が設けられている。主電源装置23の内部の右側には、いわゆる配電盤に相当する電源装置基板24が設けられている。主電源装置23の前面には電源スイッチ81、リセット釦82、設定錠83等が設けられている。主電源装置23の前面は、通常時、透明な扉84により覆われている。
・・・
【0034】
更に、筐体2の上部右側の内壁に、遊技場に設置されている「ホールコンピュータ」と呼ばれる管理用コンピュータと接続可能な外部集中端子基板25が取り付けられている。筐体2の内壁の外部集中端子基板25より下側の位置には、前記前扉3の開放を検出する前扉開放検出スイッチ85が設けられている。」
オ 「【0046】
図3において、主制御基板20は、CPU200と、記憶部201とを備えている。
【0047】
記憶部201は、ROM、RAM等の半導体メモリによって構成され、スロットマシンゲーム用のシステムプログラム202が予め記憶されている。主制御基板20は、記憶部201に記憶されたシステムプログラム202に従ってCPU200が演算処理を実行することで、スロットマシン1全体の動作を統括制御している。」
カ 「【0057】
一方、主制御基板20の記憶部201には、入賞抽選テーブル204及び内部抽選フラグ205が記憶されている。主制御基板20には、乱数値のデータを発生する乱数発生装置206がCPU200に接続した状態で設けられている。例えばCPU200は、スタートレバー75の操作を検出した時点で乱数発生装置206から乱数値を取得し、入賞抽選テーブル204を参照することで、得られた乱数値に割り当てられた入賞役またはハズレを抽選する。そして、CPU200は、乱数値に対応する入賞役が存在すると、それを当該ゲームの入賞役として抽選結果を当選にし、当該入賞役を記憶部201の内部抽選フラグ205に記憶する。ここでは、かかる入賞役の抽選方法を「内部抽選」と呼んでいる。
・・・
【0060】
スロットマシン1は、先のゲームにおいて入賞しメダルの配当が完了した時、又は先のゲームにおいてハズレが確定すると待機状態となる。この待機状態においては、当該状態を遊技者に示唆するとともにゲーム操作を促す待機モードの演出が液晶表示装置49等によって行われる。次に、遊技者がメダル投入部71にメダルを投入し、もしくは、何れかのベットボタン73、74を押圧操作することで、スロットマシン1は、内部に貯留したメダル(クレジット)から当該ゲームに所定枚数のメダルが賭けられゲームを準備する。
【0061】
ゲーム準備の状態でスタートレバー75が傾倒操作されゲームが開始されると、主制御基板20は、3個のリール101a、101b、101cを一斉に回転させ始めるとともに、上述した内部抽選を実行する。内部抽選の結果は、内部抽選フラグ205に記憶される。」
キ 「【0143】
鍵穴79に差し込こんだ前扉キー600を左回りに回動させた場合には、施錠装置ユニット300の後ろ側において、カム板309の左回りに回動し、カム板309の第1突部431が、連結杆302の逃がし孔423に挿入した状態で、ダンパー板306のカム形状441(図7参照)を摺動し、図17に示すように、ダンパー板306の上側が後方に突出する方向にするダンパー板306を回動させるとともに、作動杆305の係合孔456を押し下げ、本体フレーム301に対して作動杆305を下方にスライドさせ、図18に示すように、フォトセンサ312の発光部347と受光部348の間に遮光片458を挿入して、フォトセンサ312を作動させ、図2に示した主制御基板20にスロットマシン1のゲーム状態のリセットを行わせる。」
ク 「【0184】
ここで、作業者が設定錠83の鍵穴836に設定キー800を挿入し、設定用シリンダ錠ロータ812と設定用シリンダ錠本体811とのロックを解除し、設定キー800を右回りに回転させると、設定キー動作検出スイッチ92は、期間A→B→Cの状態となる。この場合、図23(a)に示すリード線902からの出力a1は、期間Aと期間Bの境界のタイミングT1でハイレベルHからローレベルLに立ち下がり、図23(b)に示すリード線903からの出力a2は、期間Bと期間Cの境界のタイミングT2でローレベルLからハイレベルHに立ち上がり、図23(c)に示す主制御基板20により出力a1と出力a2を1/2に減衰した出力を加算した加算出力a3は、期間Aと期間Bの境界のタイミングT1でハイレベルHからローレベルLに立ち下がり、期間Bと期間Cの境界のタイミングT2でローレベルLからハイレベルHの1/2のミドルレベルMに立ち上がる。本実施例では、加算出力a3においてハイレベルHからローレベルLに立ち下がった後ミドルレベルMに立ち上がった出力を設定キー回転信号としている。」
ケ 「【0195】
ここで、正規の作業で筐体2に対して前扉3を開き設定錠83の鍵穴836に設定キー800を挿入して設定表示を行う場合を考える。
【0196】
この場合、作業者は、前扉キー600を用いて前扉用シリンダ錠78に対して解錠操作を行い、次に筐体2に対して前扉3を開くことで前扉開放検出スイッチ85をオン状態とし、この後設定錠83の鍵穴836に設定キー800を挿入し、設定表示操作を行った場合、CPU200は、処理がステップS1→S3→S5→S6の流れとなり、数値情報表示部400に入賞役の抽選確率の設定を1から6までの数字で数値表示する。」
コ 「【0206】
ステップS31において、CPU200は、サブ制御基板30を介して演出装置230に対して警報を出力させる制御を行い、異常発生信号を外部集中端子基板25(図2参照)に出力し、演出用放音部62(図1参照)のスピーカ32a、32b、38a、38b(図2参照)に警報を発声させ、設定変更釦86(図2参照)の操作による設定変更操作信号の受付を禁止して処理を終了する。
・・・
【0212】
ステップS19において、CPU200は、設定変更釦86がオン操作されたか否かを検出する。ここで、設定変更釦86がオン操作された場合には、ステップS19の判定がYESとなって、CPU200は、ステップS20の処理に移行する。また、設定変更釦86がオン操作されなかった場合には、ステップS20の判定がNOとなって、CPU200は、ステップS21の処理に移行する。
・・・
【0216】
ここで、正規の作業で筐体2に対して前扉3を開き設定錠83の鍵穴836に設定キー800を挿入して設定変更を行う場合を考える。
【0217】
この場合、作業者は、前扉キー600を用いて前扉用シリンダ錠78に対して解錠操作を行い、次に筐体2に対して前扉3を開くことで前扉開放検出スイッチ85をオン状態とし、電源スイッチ81をオフし、この後設定錠83の鍵穴836に設定キー800を挿入し、設定キー800を右回りに回して設定キー800の幅方向をオン方向にし、電源スイッチ81をオンし、設定変更釦86をn回押すことで、設定候補値をn回変更し、レバー75をオン操作することで、設定候補値を実際の設定値として主制御基板20の記憶部201に記憶させる。この場合、主制御基板20のCPU200は、処理がステップS11→S12→S15→S16→S17→S18→(S19→S20→S21のn回ループ)→S22の流れとなり、入賞役の抽選確率の設定が正常に変更される。この後、設定錠83に差し込まれた設定キー800を左回りに回して設定キー800の幅方向をオフ方向にし、設定錠83から設定キー800を引き抜き、電源スイッチ81をオンし、次に筐体2に対して前扉3を閉塞することでスロットマシン1が遊技可能になる。
・・・
【0219】
次に、不正を行う者が、閉じられた前扉3と筐体2の間の隙間から不正器具を挿入し、前扉3を開くことなく主電源装置23の電源スイッチ81がオンし、さらに主電源装置23に不正器具を挿入して設定錠83の鍵穴836に不正器具を挿入して挿入し、設定候補値の表示操作を行った場合、CPU200は、処理がステップS11→S12→S13→S14→S31またはステップS11→S12→S15→S14→S31の流れとなり、ステップS31において、演出装置230に対して警報を出力させる等の異常に対応した処理を行う。
【0220】
尚、CPU200の処理がステップS11→S12→S13→S14→S31の流れとなるのは、前扉用シリンダ錠78に対して解錠操作が行われることなく不正行為が行われていた場合であり、CPU200の処理がステップS11→S12→S15→S14→S31の流れとなるのは、前扉用シリンダ錠78に対して解錠操作が行われたが前扉3が開かれることなく不正行為が行われていた場合である。」
・認定事項
サ 【図25】、【図26】の図示内容、及び、【0217】、【0219】の記載内容から、甲第1号証には、CPU200が、前扉3が閉じていると、入賞役の抽選確率の設定を変更不可能とすることが示されていると認められる。
シ 上記ア~コの記載事項、及び上記サの認定事項から、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲1発明」という。a~qは、本件訂正発明の分説(A~Q)に対応させて、当審にて付与。)が開示されていると認められる。
「a 抽選手段による入賞役の抽選確率の設定の変更を行う設定変更手段を備えた遊技機であって(【請求項1】)、
b 前方に開口を有する筐体2に回動可能に取り付けられ、開口を開閉可能な状態で閉塞させる前扉3(【0011】)と、
c 筐体2に対して前扉3を開くことでオン、オフ可能な電源スイッチ81(【0217】)、前扉3が開かれることで設定キー800が挿入可能となる設定錠83(【0196】)と、
d 前扉3の開放を検出する前扉開放検出スイッチ85(【0034】)と、
e 電源スイッチ81をオフし、設定キー800をオン方向にし、電源スイッチ81をオンすることで、入賞役の抽選確率の設定を変更可能とするCPU200(【0217】)と、
f 前扉3を開くことで前扉開放検出スイッチ85をオン状態とし、電源スイッチ81をオフし、設定キー800をオン方向にし、電源スイッチ81をオンすることで、入賞役の抽選確率の設定を変更し(【0217】)、
前扉3が閉じていると、入賞役の抽選確率の設定を変更不可能とするCPU200(認定事項サ)と、
g 設定変更釦86がオン操作されたか否かを検出するCPU200(【0212】)と、
h 所定枚数のメダルが賭けられたゲーム準備状態で、傾倒操作することによりゲームを開始するスタートレバー75(【0060】、【0061】)と、
i RAMによって構成された記憶部201(【0047】)と、
j 乱数値のデータを発生する乱数発生装置206(【0057】)と
を備え、
k CPU200は、設定候補値をn回変更し、レバー75をオン操作することで設定候補値を実際の設定値として主制御基板20の記憶部201に記憶させ、設定キー800をオフ方向にすることで遊技可能にし(【0217】)、
l、m CPU200は、設定変更釦86をn回押すことで、設定候補値をn回変更し(【0217】)、
n、o 不正を行う者が、閉じられた前扉3と筐体2の間の隙間から不正器具を挿入し、前扉3を開くことなく主電源装置23の電源スイッチ81がオンし、さらに主電源装置23に不正器具を挿入して設定錠83の鍵穴836に不正器具を挿入して挿入し、設定候補値の表示操作を行った場合、演出装置230に対して警報を出力させる等の異常に対応した処理を行い(【0219】)、
p、q
主電源装置23の前面にはリセット釦82が設けられ(【0032】)、
主制御基板20は、鍵穴79に差し込こんだ前扉キー600を左回りに回動させた場合にはゲーム状態のリセットを行わせる(【0143】)
遊技機。」
5 当審の判断
(1)取消理由について
ア 対比
本件訂正発明と甲1発明とを対比する。
甲1発明の構成a~jは、それぞれ、本件訂正発明の構成A~Jに相当する。
したがって、本件訂正発明と甲1発明とは、
「【請求項1】
A 遊技者に対する有利度を変更可能な遊技機であって、
B 遊技機の前面に設けられた開閉可能な開閉体と、
C 前記開閉体が開放状態であるときに操作可能となる操作手段と、
D 前記開閉体の開閉状態を検出する開閉状態検出手段と、
E 複数種類の設定値のうちからいずれかの設定値を選択することで前記有利度を変更可能な設定変更状態に制御するために前記操作手段が特定操作されたことを検出する特定操作検出手段と、
F 前記開閉状態検出手段により前記開閉体が開放状態であることが検出され、かつ前記特定操作検出手段により前記特定操作されたことが検出されたときには、前記設定変更状態に制御し、前記開閉体が開放状態でないことが検出されたときには、前記設定変更状態に制御しない状態制御手段と、
G 前記設定変更状態において、前記設定値を変更するための変更操作を検出可能な変更操作検出手段と、
H 賭数が設定された後において、ゲームを開始させるために操作される開始操作手段と、
I ゲームの進行を制御するためのデータを読み出しおよび書き込み可能に記憶する記憶手段と、
J 乱数値を生成する乱数回路とを備える遊技機。」(構成A~Jを備える)の点で一致し、次の点で相違する。
[相違点1](構成K)
本件訂正発明は、状態制御手段は、設定変更状態に制御した後においては、当該設定変更状態における開閉状態検出手段の検出結果に関わらず、当該開閉状態検出手段により開閉体が開放状態でないことが検出されたときであっても、設定変更状態を終了させる設定変更終了条件が成立するまで当該設定変更状態を維持するのに対して、
甲1発明は、CPU200は、設定候補値をn回変更し、レバー75をオン操作することで、設定候補値を実際の設定値として主制御基板20の記憶部201に記憶させ、設定キー800をオフ方向にし、遊技可能にするが、本件訂正発明の上記構成Kを備えるか否か不明である点で一応相違する。
[相違点2](構成L、M)
本件訂正発明は、変更操作検出手段は、設定変更状態においては、当該設定変更状態における前記開閉状態検出手段の検出結果に関わらず、変更操作検出手段が変更操作されたか否かを検出し、設定変更状態は、変更操作が変更操作検出手段により検出されたときに、開閉状態検出手段の検出結果に関わらず設定値を同じ変更態様で変更する状態であるのに対して、
甲1発明は、CPU200は、設定変更釦86をn回押すことで、設定候補値をn回変更するが、設定変更が、本件訂正発明の上記構成L、Mの「開閉状態検出手段の検出結果に関わらず」なる条件を満たすものであるか否か不明である点で一応相違する。
[相違点3](構成N、O)
本件訂正発明は、開閉状態検出手段により開閉体が開放状態でないことが検出され、かつ特定操作検出手段により特定操作されたことが検出されたときには、設定変更状態に制御せず、開始操作手段が操作されたときにゲーム開始時の設定が行われない設定変更異常状態となるのに対して、
甲1発明は、本件訂正発明の上記構成N、Oと、開閉状態検出手段により開閉体が開放状態でないことが検出され、かつ特定操作検出手段により特定操作されたことが検出されたときには、設定変更状態に制御しない点で共通するが、本件訂正発明の開始操作手段が操作されたときにゲーム開始時の設定が行われない設定変更異常状態となる構成を備えない点。
[相違点4](構成P、Q)
本件訂正発明は、記憶手段の異常が発生している記憶異常状態、乱数回路の異常が発生している乱数異常状態、および設定変更異常状態のいずれとも異なる他の異常状態においてはリセット操作がされることにより当該異常状態を解除し、設定変更異常状態においては、リセット操作を契機としてではなく、設定変更状態に制御されることを契機として、当該設定変更異常状態を解除するのに対して、
甲1発明は、リセット釦82を備え、前扉キー600によるゲーム状態のリセットを行うが、本件訂正発明の上記構成P、Qを備えない点。
イ 判断
事案の性質に鑑み、設定変更異常状態に関する相違点3、4から検討する。
甲1発明は、不正により「前扉3を開くことなく主電源装置23の電源スイッチ81がオンし、さらに主電源装置23に不正器具を挿入して設定錠83の鍵穴836に不正器具を挿入して挿入し、設定候補値の表示操作を行った場合」、「警報を出力させる等の異常に対応した処理を行」い、設定変更状態に制御しないが、本件訂正発明の構成N、Oのうち、「開始操作手段が操作されたときにゲーム開始時の設定が行われない設定変更異常状態となる」構成に関して、記載も示唆もされていない。
そして、本件訂正発明は、相違点3の構成を備えることで、「不正行為を行なった場合、その後の遊技の進行が不能動化される。このため、不正行為が行なわれたことを、遊技場管理者や他の遊技者などによって容易に特定されてしまう。その結果、不正行為を行なうことのリスクを高めることにより、不正行為を抑止することができる。」(【0022】)という効果を奏することに加えて、「不能動化される前の遊技の進行状況に関わらず、特定の遊技操作手段が無効にされるため、不能動化するための処理を容易化することができる。」(【0028】)という格別の効果を奏するものである。
また、甲1発明には、リセット釦82を備え、前扉キー600によるゲーム状態のリセットを行うことについて記載されているが、本件訂正発明の構成P、Qに関して、記載も示唆もされていない。
そして、本件訂正発明は、相違点4の構成を備えることで、「不能動化された場合、図7のSc14、Sc15で示したように、設定変更処理に移行されることにより設定変更状態に制御されることが必須となる。このため、不正行為を行なった者にとっては容易に不能動化を解除することができないのに対し、遊技場管理者であれば、容易かつ速やかに不能動化を解除することができる。」(【0260】)という格別の効果を奏するものである。
したがって、甲1発明に本件訂正発明の上記相違点3、4に係る構成は記載されていないので、本件訂正発明は、甲1発明と同一のものであるとすることはできない。
よって、相違点1、2について検討するまでもなく、特許異議申立人が提出した証拠によっては、本件訂正発明についての特許を取り消すことができない。
(2)特許異議申立理由について
当審による平成29年5月19日付け取消理由通知は、前記第3 2及び3において検討したように、特許異議申立の理由と同じものであることから、特許異議申立理由は、「5 当審の判断(1)取消理由について」において検討済みである。
第4 むすび
以上のことから、上記取消理由、並びに、特許異議申立ての理由及び証拠方法によっては、訂正後の請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に訂正後の請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2016-701175