特許異議申立
2016-701132
スロットマシン
- 審判番号
- 2016-701132
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2014-075803外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年12月12日
- 審決日
- 2017年08月14日
- 公報発行日
- 2017年11月24日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社三共
- 【権利者代理人】重信 和男
- 【権利者代理人】溝渕 良一
- 【権利者代理人】石川 好文
- 【権利者代理人】堅田 多恵子
- 【権利者代理人】林 修身
- 【権利者代理人】大久保 岳彦
- 【異議申立人】日本電動式遊技機特許株式会社
- 【異議申立人代理人】特許業務法人 武和国際特許事務所
- 分類
- P1651.121-YAA(A63F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条、特許法第29条第2項、特許法第113条第2号、特許法第126条第6項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第5934737号発明「スロットマシン」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第5934737号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
特許第5934737号の請求項1に係る特許を維持する。
理由
【理 由】
【目次】
第1 手続の経緯
第2 訂正請求について
1 訂正の内容
2 訂正の適否
3 まとめ
第3 特許異議の申立について
1 本件訂正発明
2 特許異議申立理由の概要
3 取消理由の概要
4 甲各号証の記載
(1)甲第1号証
(2)甲第2号証
(3)甲第3号証
(4)引用文献
5 当審の判断
(1)取消理由について
ア 対比
イ 判断
(2)特許異議申立理由について
第4 むすび
第1 手続の経緯
本件特許第5934737号(以下「本件特許」という。)に係る出願は、平成20年12月4日に出願した特願2008-309510号の一部を平成26年4月1日に新たな特許出願(特願2014-75803号)としたものであって、平成28年5月13日に特許の設定登録がされ、同年12月12日にその特許に対し、特許異議申立人日本電動式遊技機特許株式会社により特許異議の申立てがなされ、当審により平成29年2月9日付けで取消理由が通知され、特許権者である株式会社三共より同年4月13日付けで意見書及び訂正請求書が提出され、これに対して、特許異議申立人より同年6月7日付けで意見書が提出されたものである。
第2 訂正請求について
1 訂正の内容
平成29年4月13日付け訂正請求書による本件特許の訂正の内容は、次のとおりである。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「遊技の制御を行うとともに、該遊技の制御に基づく情報を含む制御情報を送信する遊技制御手段と、
前記遊技制御手段から受信した制御情報に基づいて演出の制御を行う演出制御手段と、
を備え、」を加える。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に
「前記第1の操作手段、前記第2の操作手段及び前記第3の操作手段の操作に応じてゲームの進行制御を行うゲーム進行制御手段と、
前記第1の操作手段の操作に基づいて表示結果を導出する制御を行う導出制御手段と、
前記第2の操作手段の操作がゲームの進行制御に関与する所定進行制御状態において前記第2の操作手段の操作がされることで終了条件が成立するまで前記第1の操作手段の操作も前記第2の操作手段の操作も前記第3の操作手段の操作もゲームの進行制御に関与しない非関与制御状態に制御する非関与制御手段と、
・・・
遊技者にとって有利な有利状態に制御することが可能な有利状態制御手段と、
を備え、」とあるのを、
「前記遊技制御手段は、
前記第1の操作手段、前記第2の操作手段及び前記第3の操作手段の操作に応じてゲームの進行制御を行うゲーム進行制御手段と、
前記第1の操作手段の操作に基づいて表示結果を導出する制御を行う導出制御手段と、
前記第2の操作手段の操作がゲームの進行制御に関与する所定進行制御状態において前記第2の操作手段の操作がされることで終了条件が成立するまで前記第1の操作手段の操作も前記第2の操作手段の操作も前記第3の操作手段の操作もゲームの進行制御に関与しない非関与制御状態に制御する非関与制御手段と、
_遊技者にとって有利な有利状態に制御することが可能な有利状態制御手段と、
・・・
を含み、」に訂正する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項1に「遊技制御手段」に含まれる構成として、「前記演出制御手段に送信される制御情報を複数格納可能な制御情報格納手段と、」を加える。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項1に「遊技制御手段」に含まれる構成として、「前記制御情報格納手段に格納されている制御情報を前記演出制御手段に対して1ずつ送信する制御情報送信手段と、」を加える。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項1に「遊技制御手段」に含まれる構成として、「最大遅延時間の範囲で制御情報の送信タイミングをランダムに遅延させる送信遅延手段と、」を加える。
(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項1に「遊技制御手段」に含まれる構成として、「前記非関与制御状態において前記第3の操作手段の検出状態の変化を検出したときに、該第3の操作手段の検出状態がOFFからONに変化した第1変化及びONからOFFに変化した第2変化であるか、を特定可能な操作制御情報を制御情報として前記制御情報格納手段に格納することが可能な操作制御情報設定手段と、」を加える。
(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項1に「遊技制御手段」に含まれる構成として、「前記制御情報格納手段に制御情報が格納されているか否かを判定する制御情報判定手段と、」を加える。
(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項1に「前記操作制御情報設定手段は、前記制御情報判定手段により制御情報が格納されていると判定された場合に、前記第3の操作手段の検出状態の変化を検出しても前記操作制御情報を前記制御情報格納手段に格納せず、」を加える。
(9)訂正事項9
特許請求の範囲の請求項1に「前記第3の操作手段は、操作検出部が初期位置から規定位置の範囲で動作可能に形成され、遊技者の操作によって該操作検出部が前記初期位置から前記規定位置に向かって検出位置を超えることで該操作が検出され、操作の解除によって前記操作検出部が前記初期位置に復元する操作手段であり、」を加える。
(10)訂正事項10
特許請求の範囲の請求項1に「前記送信遅延手段は、前記第3の操作手段の操作が解除された場合において前記操作検出部が前記規定位置から前記初期位置まで復元するのに要する時間よりも短く設定された前記最大遅延時間の範囲で制御情報の送信タイミングをランダムに遅延させ、」を加える。
(11)訂正事項11
特許請求の範囲の請求項1に
「前記非関与制御状態において、ゲームの進行制御に関与しない操作手段の操作に基づいて特定演出を実行することが可能な特定演出実行手段と、
・・・
を備え、」とあるのを、
「前記演出制御手段は、前記非関与制御状態において、ゲームの進行制御に関与しない操作手段の操作に基づいて特定演出を実行することが可能な特定演出実行手段を含み、」に訂正する。
(12)訂正事項12
特許請求の範囲の請求項1に
「前記特定演出は、複数種類の特定演出を含み、特定演出の種類によって前記第1の有利状態に制御される可能性が高いか、前記第2の有利状態に制御される可能性が高いか、を示唆することが可能である、」とあるのを、
「前記特定演出は、複数種類の特定演出を含み、特定演出の種類によって前記第1の有利状態に制御される可能性が高いか、前記第2の有利状態に制御される可能性が高いか、を示唆することが可能であり、」に訂正する。
(13)訂正事項13
特許請求の範囲の請求項1に
「前記特定演出実行手段は、
前記非関与制御状態において前記第3の操作手段の検出状態の変化が前記第1変化である旨が特定される前記操作制御情報を受信した後において、
前記第3の操作手段の検出状態の変化が前記第2変化である旨が特定される前記操作制御情報を受信した後、前記第3の操作手段の検出状態の変化が前記第1変化である旨が特定される前記操作制御情報を受信したときには、該操作制御情報を受信したことに基づいて前記特定演出を実行可能であり、
前記第3の操作手段の検出状態の変化が前記第2変化である旨が特定される前記操作制御情報を受信せずに、前記第3の操作手段の検出状態の変化が前記第1変化である旨が特定される前記操作制御情報を受信したときには、該操作制御情報を受信したことに基づく前記特定演出を実行しない」を加える。
(14)訂正事項14
願書に添付した明細書の段落【0009】に
「上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載のスロットマシンは、
各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
表示結果を導出する際に遊技者が操作する第1の操作手段と、
遊技を開始する際に遊技者が操作する第2の操作手段と、
賭数を設定する際に遊技者が操作する第3の操作手段と、
前記第1の操作手段、前記第2の操作手段及び前記第3の操作手段の操作に応じてゲームの進行制御を行うゲーム進行制御手段と、
前記第1の操作手段の操作に基づいて表示結果を導出する制御を行う導出制御手段と、
前記第2の操作手段の操作がゲームの進行制御に関与する所定進行制御状態において前記第2の操作手段の操作がされることで終了条件が成立するまで前記第1の操作手段の操作も前記第2の操作手段の操作も前記第3の操作手段の操作もゲームの進行制御に関与しない非関与制御状態に制御する非関与制御手段と、
前記非関与制御状態において、ゲームの進行制御に関与しない操作手段の操作に基づいて特定演出を実行することが可能な特定演出実行手段と、
遊技者にとって有利な有利状態に制御することが可能な有利状態制御手段と、
を備え、
前記非関与制御状態の終了後の状態として、前記第1の操作手段の操作がゲームの進行制御に関与し、前記第2の操作手段及び第3の操作手段の操作がゲームの進行制御に関与しない特定進行制御状態があり、
前記特定演出実行手段は、終了後の状態が前記特定進行制御状態となる非関与制御状態において、前記第1の操作手段の操作と、前記第2の操作手段及び前記第3の操作手段のうち前記第2の操作手段の操作と、に基づかず前記第3の操作手段の操作に基づいて前記特定演出を実行することが可能であり、
前記スロットマシンは、終了後の状態が前記特定進行制御状態となる非関与制御状態において、前記第3の操作手段を複数回操作させることが可能であり、
前記有利状態は、遊技者にとっての有利度が異なる第1の有利状態と第2の有利状態とを含み、
前記特定演出は、複数種類の特定演出を含み、特定演出の種類によって前記第1の有利状態に制御される可能性が高いか、前記第2の有利状態に制御される可能性が高いか、を示唆することが可能である、
ことを特徴としている。」とあるのを
「上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載のスロットマシンは、
各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
表示結果を導出する際に遊技者が操作する第1の操作手段と、
遊技を開始する際に遊技者が操作する第2の操作手段と、
賭数を設定する際に遊技者が操作する第3の操作手段と、
遊技の制御を行うとともに、該遊技の制御に基づく情報を含む制御情報を送信する遊技制御手段と、
前記遊技制御手段から受信した制御情報に基づいて演出の制御を行う演出制御手段と、
を備え、
前記遊技制御手段は、
前記第1の操作手段、前記第2の操作手段及び前記第3の操作手段の操作に応じてゲームの進行制御を行うゲーム進行制御手段と、
前記第1の操作手段の操作に基づいて表示結果を導出する制御を行う導出制御手段と、
前記第2の操作手段の操作がゲームの進行制御に関与する所定進行制御状態において前記第2の操作手段の操作がされることで終了条件が成立するまで前記第1の操作手段の操作も前記第2の操作手段の操作も前記第3の操作手段の操作もゲームの進行制御に関与しない非関与制御状態に制御する非関与制御手段と、
遊技者にとって有利な有利状態に制御することが可能な有利状態制御手段と、
前記演出制御手段に送信される制御情報を複数格納可能な制御情報格納手段と、
前記制御情報格納手段に格納されている制御情報を前記演出制御手段に対して1ずつ送信する制御情報送信手段と、
最大遅延時間の範囲で制御情報の送信タイミングをランダムに遅延させる送信遅延手段と、
前記非関与制御状態において前記第3の操作手段の検出状態の変化を検出したときに、該第3の操作手段の検出状態がOFFからONに変化した第1変化及びONからOFFに変化した第2変化であるか、を特定可能な操作制御情報を制御情報として前記制御情報格納手段に格納することが可能な操作制御情報設定手段と、
前記制御情報格納手段に制御情報が格納されているか否かを判定する制御情報判定手段と、
を含み、
前記操作制御情報設定手段は、前記制御情報判定手段により制御情報が格納されていると判定された場合に、前記第3の操作手段の検出状態の変化を検出しても前記操作制御情報を前記制御情報格納手段に格納せず、
前記第3の操作手段は、操作検出部が初期位置から規定位置の範囲で動作可能に形成され、遊技者の操作によって該操作検出部が前記初期位置から前記規定位置に向かって検出位置を超えることで該操作が検出され、操作の解除によって前記操作検出部が前記初期位置に復元する操作手段であり、
前記送信遅延手段は、前記第3の操作手段の操作が解除された場合において前記操作検出部が前記規定位置から前記初期位置まで復元するのに要する時間よりも短く設定された前記最大遅延時間の範囲で制御情報の送信タイミングをランダムに遅延させ、
前記演出制御手段は、前記非関与制御状態において、ゲームの進行制御に関与しない操作手段の操作に基づいて特定演出を実行することが可能な特定演出実行手段を含み、
前記非関与制御状態の終了後の状態として、前記第1の操作手段の操作がゲームの進行制御に関与し、前記第2の操作手段及び第3の操作手段の操作がゲームの進行制御に関与しない特定進行制御状態があり、
前記特定演出実行手段は、終了後の状態が前記特定進行制御状態となる非関与制御状態において、前記第1の操作手段の操作と、前記第2の操作手段及び前記第3の操作手段のうち前記第2の操作手段の操作と、に基づかず前記第3の操作手段の操作に基づいて前記特定演出を実行することが可能であり、
前記スロットマシンは、終了後の状態が前記特定進行制御状態となる非関与制御状態において、前記第3の操作手段を複数回操作させることが可能であり、
前記有利状態は、遊技者にとっての有利度が異なる第1の有利状態と第2の有利状態とを含み、
前記特定演出は、複数種類の特定演出を含み、特定演出の種類によって前記第1の有利状態に制御される可能性が高いか、前記第2の有利状態に制御される可能性が高いか、を示唆することが可能であり、
前記特定演出実行手段は、
前記非関与制御状態において前記第3の操作手段の検出状態の変化が前記第1変化である旨が特定される前記操作制御情報を受信した後において、
前記第3の操作手段の検出状態の変化が前記第2変化である旨が特定される前記操作制御情報を受信した後、前記第3の操作手段の検出状態の変化が前記第1変化である旨が特定される前記操作制御情報を受信したときには、該操作制御情報を受信したことに基づいて前記特定演出を実行可能であり、
前記第3の操作手段の検出状態の変化が前記第2変化である旨が特定される前記操作制御情報を受信せずに、前記第3の操作手段の検出状態の変化が前記第1変化である旨が特定される前記操作制御情報を受信したときには、該操作制御情報を受信したことに基づく前記特定演出を実行しない
ことを特徴としている。」に訂正する。
2 訂正の適否
(1)訂正事項1
ア 訂正の目的について
上記訂正事項1は、スロットマシンが「遊技制御手段」と「演出制御手段」を備えることを限定し、新たに定義し、特許請求の範囲を減縮するものである。
したがって、上記訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記訂正事項1は、構成要件の削除、請求項の追加、実施例の追加ではなく、また、カテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書等」という。)に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記訂正事項1は、願書に添付した明細書の段落【0009】の「・・・前記複数の操作手段(MAXBETスイッチ6、ストップスイッチ8L、8C、8R)の操作に応じて複数の制御状態からなるゲームの進行制御を行うとともに、該ゲームの進行制御に基づく制御情報(コマンド)を送信する遊技制御手段(メイン制御部41)と、前記遊技制御手段(メイン制御部41)から受信した制御情報(コマンド)に基づいて演出の制御を行う演出制御手段(サブ制御部91)と、を備え、・・・」との記載に基づくものである。
したがって、上記訂正事項1は、本件特許明細書等に記載した事項または記載した事項から自明な事項の範囲内の訂正であり、本件特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
よって、上記訂正事項1は本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
(2)訂正事項2
ア 訂正の目的について
上記訂正事項2は、「遊技制御手段」が、「ゲーム進行制御手段」、「導出制御手段」、「非関与制御手段」、及び、「有利状態制御手段」を含むことを限定することにより、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
したがって、上記訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記訂正事項2は、構成要件の削除、請求項の追加、実施例の追加ではなく、また、カテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
ウ 本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記訂正事項2は、願書に添付した明細書の段落【0044】の「メインCPU41aは、遊技制御基板40に接続された各種スイッチ類の検出状態が変化するまでは制御状態に応じた処理を繰り返しループし、各種スイッチ類の検出状態の変化に応じて段階的に移行する基本処理を実行する。」との記載、段落【0032】の「本実施例のスロットマシン1においてゲームを行う場合には、まず、メダルをメダル投入部4から投入するか、あるいはクレジットを使用して賭数を設定する。クレジットを使用するには1枚BETスイッチ5またはMAXBETスイッチ6を操作すれば良い。遊技状態に応じて定められた規定数の賭数が設定されると、入賞ラインL1~L5(図1参照)が有効となり、スタートスイッチ7の操作が有効な状態、すなわち、ゲームが開始可能な状態となる。」との記載、段落【0034】の「ゲームが開始可能な状態でスタートスイッチ7を操作すると、各リール2L、2C、2Rが回転し、各リール2L、2C、2Rの図柄が連続的に変動する。この状態でいずれかのストップスイッチ8L、8C、8Rを操作すると、対応するリール2L、2C、2Rの回転が停止し、透視窓3に表示結果が導出表示される。」との記載、段落【0303】の「Sd3のステップにおけるリール回転処理では、各リール2L、2C、2Rを回転させる処理、遊技者によるストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出されたことに応じて対応するリール2L、2C、2Rの回転を停止させる処理を実行する。」との記載、段落【0169】の「ゲーム開始後からゲーム終了までの制御状態において、・・・フリーズ状態であれば、1枚BETスイッチ5、MAXBETスイッチ6、スタートスイッチ7、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作がゲームの進行制御に関与しないが、・・・」との記載、段落【0197】の「一方、フリーズ抽選にてフリーズ状態に制御すると決定した場合には、フリーズ状態に制御される時期(全リール回転中、第1停止時、第2停止時)から、回転中のリールに対応するストップスイッチであっても、ストップスイッチの操作が無効となり、MAXBETスイッチ6とともに、ストップスイッチについてもその操作がゲームの進行制御に関与しなくなることによりゲームの進行制御が不能化されるフリーズ状態に制御する。そして、フリーズ状態の開始後、一定時間が経過することでフリーズ状態は解除され、回転中のリールに対応するストップスイッチの操作が有効となり、その操作がゲームの進行制御に関与する制御状態となる。」との記載、段落【0065】の「RBは、通常遊技状態において入賞ラインのいずれかに「網7-網7-黒7」の組合せが揃ったときに入賞となり、遊技状態がRBに移行する。RBは、小役、特にベルの当選確率が高まることによって他の遊技状態よりも遊技者にとって有利となる遊技状態であり、・・・」との記載、段落【0067】の「BBが入賞すると、遊技状態がBBに移行するとともに同時にRBに移行し、RBが終了した際に、BBが終了していなければ、再度RBに移行し、BBが終了するまで繰り返しRBに制御される。すなわちBB中は、常にRBに制御されることとなる。」との記載、段落【0306】の「Sd6のステップにおけるゲーム終了時処理では、次のゲームに備えて遊技状態を設定する処理を実行する。」との記載に基づくものである。上記記載箇所には、メイン制御部41(メインCPU41a)(遊技制御手段)により、MAXBETスイッチ6(第3の操作手段)、スタートスイッチ7(第2の操作手段)、ストップスイッチ8L、8C、8R(第1の操作手段)の操作に応じてゲームの進行制御が行われること、ストップスイッチ8L、8C、8Rが操作されることでリールが停止して表示結果を導出させる制御が行われること、MAXBETスイッチ6(第3の操作手段)、スタートスイッチ7(第2の操作手段)、ストップスイッチ8L、8C、8R(第1の操作手段)のいずれの操作もゲームの進行に関与しないフリーズ状態(非関与制御状態)に制御されること、BBやRBなどの遊技者にとって有利な状態(有利状態)に制御されることが記載されており、上記訂正事項2は、これらの記載に基づくものである。
したがって、上記訂正事項2は、本件特許明細書等に記載した事項または記載した事項から自明な事項の範囲内の訂正であり、本件特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
よって、上記訂正事項2は本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
(3)訂正事項3
ア 訂正の目的について
上記訂正事項3は、「遊技制御手段」が、「制御情報格納手段」を含むことを限定することにより、特許請求の範囲を減縮するものである。
したがって、上記訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記訂正事項3は、構成要件の削除、請求項の追加、実施例の追加ではなく、また、カテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
ウ 本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記訂正事項3は、願書に添付した明細書の段落【0009】の「・・・前記遊技制御手段(メイン制御部41)は、・・・前記演出制御手段(サブ制御部91)に送信される制御情報(コマンド)を複数格納可能な制御情報格納手段(コマンド送信用バッファ)と、・・・を含み、」との記載に基づくものである。
したがって、上記訂正事項3は、本件特許明細書等に記載した事項または記載した事項から自明な事項の範囲内の訂正であり、本件特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
よって、上記訂正事項3は本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
(4)訂正事項4
ア 訂正の目的について
上記訂正事項4は、「遊技制御手段」が、「制御情報送信手段」を含むことを限定することにより、特許請求の範囲を減縮するものである。
したがって、上記訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記訂正事項4は、構成要件の削除、請求項の追加、実施例の追加ではなく、また、カテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
ウ 本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記訂正事項4は、願書に添付した明細書の段落【0009】の「・・・前記遊技制御手段(メイン制御部41)は、・・・前記制御情報格納手段(コマンド送信用バッファ)に制御情報(コマンド)が格納されている場合に、前記タイマ割込処理(タイマ割込処理(メイン))において該格納されている制御情報(コマンド)を前記演出制御手段(サブ制御部91)に対して送信する制御情報送信処理を実行するとともに、前記制御情報格納手段(コマンド送信用バッファ)に複数の制御情報(コマンド)が格納されている場合でも、1回の前記制御情報送信処理においては該格納されている制御情報(コマンド)のうち最も早い段階で格納された制御情報(コマンド)を1つのみ送信する制御情報送信処理手段と、・・・を含み、」との記載に基づくものである。
したがって、上記訂正事項4は、本件特許明細書等に記載した事項または記載した事項から自明な事項の範囲内の訂正であり、本件特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
よって、上記訂正事項4は本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
(5)訂正事項5
ア 訂正の目的について
上記訂正事項5は、「遊技制御手段」が、「送信遅延手段」を含むことを限定することにより、特許請求の範囲を減縮するものである。
したがって、上記訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記訂正事項5は、構成要件の削除、請求項の追加、実施例の追加ではなく、また、カテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
ウ 本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記訂正事項5は、願書に添付した明細書の段落【0123】の「タイマ割込2内のコマンド送信処理において通常コマンド送信用バッファに格納された未送信のコマンド、特殊コマンド送信用バッファに格納された未送信のエラーコマンド、電源投入コマンドまたは初期化コマンド、またはドアコマンド送信用バッファに格納された未送信のドアコマンドが検知されると、遅延時間が設定され、設定した遅延時間が経過した時点で、通常コマンド送信用バッファに格納された未送信のコマンドまたはドアコマンド送信用バッファに格納された未送信のドアコマンドが送信される。」との記載に基づくものである。
したがって、上記訂正事項5は、本件特許明細書等に記載した事項または記載した事項から自明な事項の範囲内の訂正であり、本件特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
よって、上記訂正事項5は本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
(6)訂正事項6
ア 訂正の目的について
上記訂正事項6は、「遊技制御手段」が、「操作制御情報設定手段」を含むことを限定することにより、特許請求の範囲を減縮するものである。
したがって、上記訂正事項6は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記訂正事項6は、構成要件の削除、請求項の追加、実施例の追加ではなく、また、カテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
ウ 本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記訂正事項6は、願書に添付した明細書の段落【0009】の「前記第2の操作制御情報設定手段は、前記操作状態判定手段が現在の制御状態においてゲームの進行制御に関与しない操作手段の操作状態(ON、OFF)の変化を検出したと判定したときに、前記基本処理において該現在の制御状態においてゲームの進行制御に関与しない操作手段が非操作状態から操作状態に変化した第1の変化であるか、操作状態から非操作状態に変化した第2の変化であるか、を識別可能な前記第2の操作制御情報を格納し、」との記載、段落【0112】の「操作検出コマンドは、1枚BETスイッチ5、MAXBETスイッチ6、スタートスイッチ7、ストップスイッチ8L、8C、8Rのうちゲームの進行制御に関与しない操作スイッチの検出状態がOFFからONに変化した旨、またはONからOFFに変化した旨を示すコマンドであり、ゲームの進行制御に関与しない操作スイッチの検出状態が変化したときに送信される。」との記載、段落【0169】の「・・・フリーズ状態であれば、1枚BETスイッチ5、MAXBETスイッチ6、スタートスイッチ7、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作がゲームの進行制御に関与しないが、メインCPU41aは、ゲーム開始後からゲーム終了までの制御状態において基本処理を構成するリール回転処理において、これらゲームの進行制御に関与しない操作スイッチのうちMAXBETスイッチ6の検出状態の変化を示す立上りエッジまたは立下りエッジの有無のみを判定し、MAXBETスイッチ6の検出状態の変化を示す立上りエッジまたは立下りエッジが設定されていると判定された場合に、MAXBETスイッチ6の立上りエッジまたは立下りエッジを示す操作検出コマンドを通常コマンド送信用バッファに格納する。」との記載に基づくものである。
上記記載箇所には、フリーズ状態(非関与状態)においてMAXBETスイッチ6(第3の操作手段)の検出状態が変化した場合に、MAXBETスイッチ6の検出状態がOFFからONに変化したか、ONからOFFに変化したか、を特定可能な操作検出コマンド(操作制御情報)を送信することが記載されており、上記訂正事項6は、これらの記載に基づくものである。
したがって、上記訂正事項6は、本件特許明細書等に記載した事項または記載した事項から自明な事項の範囲内の訂正であり、本件特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
よって、上記訂正事項6は本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
(7)訂正事項7
ア 訂正の目的について
上記訂正事項7は、「遊技制御手段」が、「制御情報判定手段」を含むことを限定することにより、特許請求の範囲を減縮を目的とするものである。
したがって、上記訂正事項7は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記訂正事項7は、構成要件の削除、請求項の追加、実施例の追加ではなく、また、カテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
ウ 本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記訂正事項7は、願書に添付した明細書の段落【0177】の「メインCPU41aは、基本処理において通常コマンド送信用バッファが空か否かを判定し、通常コマンド送信用バッファが空であると判定した場合に限り、ゲームの進行制御に関与しない操作スイッチの操作が検出された旨を示す立上りエッジまたは立下りエッジが設定されているか否かを判定し、立上りエッジまたは立下りエッジが設定されていると判定した場合に、立上りエッジまたは立下りエッジが示す操作スイッチが操作された旨を特定可能な操作検出コマンドを通常コマンド送信用バッファに格納し、・・・」との記載に基づくものである。
したがって、上記訂正事項7は、本件特許明細書等に記載した事項または記載した事項から自明な事項の範囲内の訂正であり、本件特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
よって、上記訂正事項7は本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
(8)訂正事項8
ア 訂正の目的について
上記訂正事項8は、「操作制御情報設定手段」が、「操作制御情報を制御情報格納手段に格納」する条件を限定することにより、特許請求の範囲を減縮するものである。
したがって、上記訂正事項8は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記訂正事項8は、構成要件の削除、請求項の追加、実施例の追加ではなく、また、カテゴリ ーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
ウ 本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記訂正事項8は、願書に添付した明細書の【0177】の「・・・通常コマンド送信用バッファが空ではないと判定した場合には、立上りエッジまたは立下りエッジが設定されているか否かを判定せず、操作検出コマンドが通常コマンド送信用バッファに格納されることがない。」との記載に基づくものである。
したがって、上記訂正事項8は、本件特許明細書等に記載した事項または記載した事項から自明な事項の範囲内の訂正であり、本件特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
よって、上記訂正事項8は本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
(9)訂正事項9
ア 訂正の目的について
上記訂正事項9は、「第3の操作手段」に関して、操作検出の条件、及び、操作解除による復元について限定して、特許請求の範囲を減縮するものである。
したがって、上記訂正事項9は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記訂正事項9は、構成要件の削除、請求項の追加、実施例の追加ではなく、また、カテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
ウ 本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記訂正事項9は、願書に添付した明細書の段落【0213】の「操作部8bは、図16(a)に示す位置から図16(c)に示す位置の間で移動可能とされており、操作部8bが操作されていない状態においては、操作部8bがコイルバネ8dによって図中上方に付勢されているため、図16(a)に示す位置となる。この位置では、投光部8fからの照射光が受光部8gに受光されており、検出センサ8eにより操作部8bの押圧操作は検知されない。」との記載、段落【0214】の「操作部8bをコイルバネ8dの付勢に抗して押圧すると、操作部8bは図中下方に移動し、これに伴い検出部8cも図中下方に移動する。そして、操作部8bが図16(b)に示す位置を超えると、投光部8fからの照射光が検出部8cによって遮断され、受光部8gは受光しなくなり、検出センサ8eによって操作部8bの押圧操作が検知される。」との記載、段落【0215】の「そして、操作部8bは、図16(c)に示す位置までコイルバネ8dの付勢に抗して押圧された時点でそれ以上の移動が規制される。また、操作部8bの押圧を解除すると、操作部8bはコイルバネ8dにより図中上方に付勢され、図16(b)に示す位置まで復元することで、投光部8fからの照射光が受光部8gに受光されるようになり、検出センサ8eによって操作部8bの押圧操作が検知されなくなる。そして、操作部8bは最終的に図16(a)に示す位置まで復元することとなる。」との記載に基づくものである。
したがって、上記訂正事項9は、本件特許明細書等に記載した事項または記載した事項から自明な事項の範囲内の訂正であり、本件特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
よって、上記訂正事項9は本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
(10)訂正事項10
ア 訂正の目的について
上記訂正事項10は、「送信遅延手段」に関して、送信タイミングを遅延させる範囲を特定して、特許請求の範囲を減縮するものである。
したがって、上記訂正事項10は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記訂正事項10は、構成要件の削除、請求項の追加、実施例の追加ではなく、また、カテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
ウ 本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記訂正事項10は、願書に添付した明細書の段落【0222】の「・・・また、コマンドの最大遅延時間が、MAXBETスイッチ6の操作が解除された場合に操作部が最深位置から検出境界位置に復元するまでの時間(t2)、すなわちMAXBETスイッチ6が連続して操作された場合にONが検出されてからOFFが検出されるまでに要する時間(t:on-off)よりもさらに短い時間よりも短い時間に設定されているとともに、MAXBETスイッチ6の操作が解除された場合に操作部が検出境界位置から非操作位置に復元するまでの時間(t3)、すなわちMAXBETスイッチ6が連続して操作された場合にOFFが検出されてからONが検出されるまでに要する時間(t:off-on)よりもさらに短い時間よりも短い時間に設定されている。」との記載に基づくものである。
したがって、上記訂正事項10は、本件特許明細書等に記載した事項または記載した事項から自明な事項の範囲内の訂正であり、本件特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
よって、上記訂正事項10は本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
(11)訂正事項11
ア 訂正の目的について
上記訂正事項11は、「演出制御手段」が、「特定演出実行手段」を含むことについて限定することにより、特許請求の範囲を減縮を目的とするものである。
したがって、上記訂正事項11は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記訂正事項11は、構成要件の削除、請求項の追加、実施例の追加ではなく、また、カテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記訂正事項11は、願書に添付した明細書の【0257】の「本実施例においてサブCPU91aは、メインCPU41aの制御状態に応じてゲームの進行制御に関与しない操作スイッチの操作が検出されたこと、すなわち操作検出コマンドの受信を契機として操作演出を実行する。」との記載、段落【0263】の「パターン6は、前述したフリーズ演出、すなわち特別役に当選した旨が告知される演出を実行するパターンであり、フリーズ状態においてMAXBETスイッチ6の連続操作を指示する演出を行った後、MAXBETスイッチ6が10回操作されたとき、すなわちMAXBETスイッチ6の検出状態がOFFからONに変化した旨を示す操作検出コマンドを10回受信したときに実行される。」との記載に基づくものである。ここには、サブCPU91a(演出制御手段)により、フリーズ演出(特定演出)が実行されることが記載されており、上記訂正事項11は、これらの記載に基づくものである。
したがって、上記訂正事項11は、本件特許明細書等に記載した事項または記載した事項から自明な事項の範囲内の訂正であり、本件特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
よって、上記訂正事項11は本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
(12)訂正事項12
ア 訂正の目的について
上記訂正事項12は、訂正事項13により発明特定事項を加えることに伴い、整合をとるために表現を変更したものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記訂正事項12は、構成要件の削除、請求項の追加、実施例の追加ではなく、また、カテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
ウ 本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記訂正事項12は、本件特許明細書等に記載した事項または記載した事項から自明な事項の範囲内の訂正であり、本件特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、上記訂正事項12は本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
(13)訂正事項13
ア 訂正の目的について
上記訂正事項13は、「特定演出実行手段」に関して、特定演出の実行条件を限定することにより、特許請求の範囲を減縮するものである。
したがって、上記訂正事項13は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記訂正事項13は、構成要件の削除、請求項の追加、実施例の追加ではなく、また、カテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
ウ 本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記訂正事項13は、願書に添付した明細書の段落【0267】の「メインCPU41aが、ゲームの進行制御に関与しない操作スイッチの検出状態の変化を検出した際に、OFFからONに変化したのか、ONからOFFに変化したのか、を特定可能な操作検出コマンドを送信するとともに、サブCPU91aは、操作検出コマンドを受信した際に、操作検出コマンドが示す操作スイッチの検出状態が変化した旨を示す操作検出プラグを設定するとともに、操作検出コマンドが示す検出状態の変化に応じて、検出状態格納領域に格納されている操作検出コマンドの受信前後の各操作スイッチの検出状態を更新するようになっており、サブCPU91aは、操作検出プラグの有無を確認することで、ゲームの進行制御に関与しない操作スイッチの検出状態が変化した旨を判別できるとともに、検出状態格納領域に格納された検出状態を確認することで、操作検出コマンドの受信前後で各操作スイッチの検出状態がどのように変化したかを判別できるようになっている。」との記載、段落【0268】の「このため、サブCPU91aは、ゲームの進行制御に関与しない操作スイッチの操作が開始したタイミングだけでなく、その操作が解除されたタイミングに応じて演出を行ったり、演出を変化させることが可能となり、ゲームの進行制御に関与しない操作スイッチの操作態様に応じて多彩な演出を行うことができる。」との記載、段落【0275】の「また、サブCPU91aは、操作検出処理1において操作検出コマンドがOFFからONに変化した旨を示すと判定した場合に、前回の状態がOFFか否かを判定し、前回の状態がOFFではない場合、すなわちOFFからONに変化した旨を示す操作検出コマンドを受信した後、ONからOFFに変化した旨を示す操作検出コマンドを受信せずに、再度OFFからONに変化した旨を示す操作検出コマンドを受信した場合には、操作検出プラグをクリアする。」との記載、段落【0276】の「このため、OFFからONに変化した旨を示す操作検出コマンドを受信した後、ONからOFFに変化した旨を示す操作検出コマンドを受信せずに、再度OFFからONに変化した旨を示す操作検出コマンドを受信した場合には、操作検出プラグが設定されず、当該操作検出コマンドが示す操作スイッチの操作に伴う演出は実行されない。」との記載に基づくものである。ここには、サブCPU91a(演出制御手段)が、OFFからONに変化した旨を示す操作検出コマンドを受信したことに基づいて操作コマンドが示す操作スイッチの操作に伴う演出(フリーズ演出を含む)を実行すること、OFFからONに変化した旨を示す操作検出コマンドを受信した後、ONからOFFに変化した旨を示す操作検出コマンドを受信せずに、再度OFFからONに変化した旨を示す操作検出コマンドを受信した場合には、操作コマンドが示す操作スイッチの操作に伴う演出を実行しないことが記載されており、上記訂正事項13は、これらの記載に基づくものである。
したがって、上記訂正事項13は、本件特許明細書等に記載した事項または記載した事項から自明な事項の範囲内の訂正であり、本件特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
よって、上記訂正事項13は本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
(14)訂正事項14
ア 訂正の目的について
上記訂正事項14は、上記訂正事項1~13に係る訂正により、本件訂正前の請求項1における特許請求の範囲の訂正を行った結果、記載表現が一致しなくなった願書に添付した明細書の段落【0009】の記載を、訂正後の請求項1の記載に整合させるための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記訂正事項14は、構成要件の削除、請求項の追加、実施例の追加ではなく、また、カテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
ウ 本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記訂正事項14は、本件特許明細書等に記載した事項または記載した事項から自明な事項の範囲内の訂正であり、本件特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
したがって、上記訂正事項14は本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
(15)小括
訂正事項1~11、13は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、特許法第120条の5第9項において準用する特許法第126条第5~6項の規定に適合するものである。
また、訂正事項12、14は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、特許法第120条の5第9項において準用する特許法第126条第5~6項の規定に適合するものである。
3 まとめ
上記1、2において検討したとおりであるから、本件特許の請求項1についての訂正を認める。
第3 特許異議の申立について
1 本件訂正発明
本件特許の訂正後の請求項1に係る発明(以下「本件訂正発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである(当審にて請求項1をA~Z3に分説した。)。
(本件訂正発明)
「【請求項1】
A 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
B 前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
C 表示結果を導出する際に遊技者が操作する第1の操作手段と、
D 遊技を開始する際に遊技者が操作する第2の操作手段と、
E 賭数を設定する際に遊技者が操作する第3の操作手段と、
F 遊技の制御を行うとともに、該遊技の制御に基づく情報を含む制御情報を送信する遊技制御手段と、
G 前記遊技制御手段から受信した制御情報に基づいて演出の制御を行う演出制御手段と、
を備え、
H 前記遊技制御手段は、
前記第1の操作手段、前記第2の操作手段及び前記第3の操作手段の操作に応じてゲームの進行制御を行うゲーム進行制御手段と、
I 前記第1の操作手段の操作に基づいて表示結果を導出する制御を行う導出制御手段と、
J 前記第2の操作手段の操作がゲームの進行制御に関与する所定進行制御状態において前記第2の操作手段の操作がされることで終了条件が成立するまで前記第1の操作手段の操作も前記第2の操作手段の操作も前記第3の操作手段の操作もゲームの進行制御に関与しない非関与制御状態に制御する非関与制御手段と、
K 遊技者にとって有利な有利状態に制御することが可能な有利状態制御手段と、
L 前記演出制御手段に送信される制御情報を複数格納可能な制御情報格納手段と、
M 前記制御情報格納手段に格納されている制御情報を前記演出制御手段に対して1ずつ送信する制御情報送信手段と、
N 最大遅延時間の範囲で制御情報の送信タイミングをランダムに遅延させる送信遅延手段と、
O 前記非関与制御状態において前記第3の操作手段の検出状態の変化を検出したときに、該第3の操作手段の検出状態がOFFからONに変化した第1変化及びONからOFFに変化した第2変化であるか、を特定可能な操作制御情報を制御情報として前記制御情報格納手段に格納することが可能な操作制御情報設定手段と、
P 前記制御情報格納手段に制御情報が格納されているか否かを判定する制御情報判定手段と、
を含み、
Q 前記操作制御情報設定手段は、前記制御情報判定手段により制御情報が格納されていると判定された場合に、前記第3の操作手段の検出状態の変化を検出しても前記操作制御情報を前記制御情報格納手段に格納せず、
R 前記第3の操作手段は、操作検出部が初期位置から規定位置の範囲で動作可能に形成され、遊技者の操作によって該操作検出部が前記初期位置から前記規定位置に向かって検出位置を超えることで該操作が検出され、操作の解除によって前記操作検出部が前記初期位置に復元する操作手段であり、
S 前記送信遅延手段は、前記第3の操作手段の操作が解除された場合において前記操作検出部が前記規定位置から前記初期位置まで復元するのに要する時間よりも短く設定された前記最大遅延時間の範囲で制御情報の送信タイミングをランダムに遅延させ、
T 前記演出制御手段は、前記非関与制御状態において、ゲームの進行制御に関与しない操作手段の操作に基づいて特定演出を実行することが可能な特定演出実行手段を含み、
U 前記非関与制御状態の終了後の状態として、前記第1の操作手段の操作がゲームの進行制御に関与し、前記第2の操作手段及び第3の操作手段の操作がゲームの進行制御に関与しない特定進行制御状態があり、
V 前記特定演出実行手段は、終了後の状態が前記特定進行制御状態となる非関与制御状態において、前記第1の操作手段の操作と、前記第2の操作手段及び前記第3の操作手段のうち前記第2の操作手段の操作と、に基づかず前記第3の操作手段の操作に基づいて前記特定演出を実行することが可能であり、
W 前記スロットマシンは、終了後の状態が前記特定進行制御状態となる非関与制御状態において、前記第3の操作手段を複数回操作させることが可能であり、
X 前記有利状態は、遊技者にとっての有利度が異なる第1の有利状態と第2の有利状態とを含み、
Y 前記特定演出は、複数種類の特定演出を含み、特定演出の種類によって前記第1の有利状態に制御される可能性が高いか、前記第2の有利状態に制御される可能性が高いか、を示唆することが可能であり、
Z1 前記特定演出実行手段は、
前記非関与制御状態において前記第3の操作手段の検出状態の変化が前記第1変化である旨が特定される前記操作制御情報を受信した後において、
Z2 前記第3の操作手段の検出状態の変化が前記第2変化である旨が特定される前記操作制御情報を受信した後、前記第3の操作手段の検出状態の変化が前記第1変化である旨が特定される前記操作制御情報を受信したときには、該操作制御情報を受信したことに基づいて前記特定演出を実行可能であり、
Z3 前記第3の操作手段の検出状態の変化が前記第2変化である旨が特定される前記操作制御情報を受信せずに、前記第3の操作手段の検出状態の変化が前記第1変化である旨が特定される前記操作制御情報を受信したときには、該操作制御情報を受信したことに基づく前記特定演出を実行しない
ことを特徴とするスロットマシン。」
2 特許異議申立理由の概要
異議申立人により、本件特許の請求項1に係る発明(以下「本件特許発明」という。)に対して、証拠として甲第1~3号証を提示し、本件特許発明は、甲1発明に甲2~甲3号証に示された周知の技術事項を適用することにより当業者が容易になし得たものである旨の特許法第29条第2項に係る特許異議の申立てがなされた。
<証拠方法>
甲第1号証:特開2006-230807号公報
甲第2号証:特開2007-20720号公報
甲第3号証:特開2001-314550号公報
3 取消理由の概要
特許異議申立人による、特許異議の申立書の提出を受け、当審により、平成29年2月9日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は次のとおりである。
本件特許発明は、甲1発明及び周知の技術事項1~2に基づいて、あるいは、甲1発明、甲第2~3号証に記載された技術事項、及び、審査段階における平成27年6月3日付け拒絶理由通知にて提示された特開2007-268207号公報(以下「引用文献」という。)に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許発明についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
4 甲各号証の記載
(1)甲第1号証
甲第1号証(特開2006-230807号公報)には、図面と共に次の事項が記載されている。
ア 「【請求項1】
互いに異なる操作機能を有する複数の操作部の各々を操作することによって遊技に係る処理が行われ、当たりか否かを決定する抽選の結果に基づいて演出が実行される遊技機において、
前記操作機能が有効化されている状態で前記操作部のいずれかが操作されたことを契機に前記演出を実行させる演出制御手段と、
前記演出の実行中に、前記操作部の少なくともいずれか1つの操作機能を前記演出の態様に変化を与える演出変化機能に変換させる操作機能変換手段とを設けたことを特徴とする遊技機。」
イ 「【0019】
図1にスロットマシン10の外観を示し、先ず、スロットマシン10の遊技の流れの概略を説明する。図1に示すスロットマシン10には、通常モード及びBBモードの2種類の遊技モードが設定されている。BBモードに移行する権利を与えるBBに通常モードでの当選役抽選で当選し、BBを入賞させると通常モードからBBモードに移行する。BBモードは、予め設定された特定当選役(通常モードでは入賞しない)に当選させるか否かが決定されるRBモードと、RBモードの前に移行されるRB導入モードとからなる。RBモードは1枚のメダルをベットして遊技が行われ、殆どの遊技で特定当選役が当選するようにその当選確率が設定されている。これにより、RBモードでは通常モードよりもペイアウト率が高くなり、遊技者が有利になる。RBモードは、12回の遊技が行われるか又は特定当選役が8回入賞すると終了する。RB導入モードは3枚のメダルをベットして遊技が行われる。RB導入モードでの当選役抽選でRB移行役に当選するとRB導入モードからRBモードに移行する。BBモードはメダルの払い出し枚数が規定枚数(例えば最大465枚)に達すると終了する。
【0020】
スロットマシン10には、収納箱11と前面扉12とからなる筐体10aが設けられている。前面扉12には表示窓13が設けられている。表示窓13の奥には第1リール14a、第2リール14b、第3リール14cが回転自在に組み込まれている。第1~第3リール14a~14cの外周には複数種類の図柄が一定の間隔で配列されている。第1~第3リール14a~14cが停止した状態では表示窓13を通して1リール当たり3個の図柄が観察できる。そして、各リールの図柄を1個ずつ組み合わせた直線状の入賞有効ライン15が横3本と斜め2本との合計5本設定されている。
【0021】
メダル投入口16から1枚のメダルを投入したときには中段の入賞有効ライン15が有効化される。2枚のメダルを投入したときには中段の入賞有効ライン15に上段及び下段の入賞有効ライン15を加えた横3本の入賞有効ライン15が有効化される。3枚のメダルを投入したときには上段、中段、下段の3本に斜めの2本を加えた合計5本の入賞有効ライン15が有効化される。
【0022】
スロットマシン10では、50枚を限度にメダルをクレジット(貯留)することが可能になっている。表示窓13の下方に配置された操作パネルにはベットボタン(操作部)17が設けられている。ベットボタン17を押下するとクレジットされているメダルが投入される(操作機能)。
【0023】
メダルの投入後にスタートレバー(操作部)18が押下されると第1~第3リール14a~14cが一斉に回転する(操作機能)。第1~第3リール14a~14cの回転が開始してから一定時間が経過するとストップボタン(操作部)19a~19cの操作が有効化される。ストップボタン19a~19cの操作が有効化されると、ストップボタン19a~19cが押下されたことに応答してそれぞれに対応する第1~第3リール14a~14cが個別に停止する(操作機能)。このように、ベットボタン17→スタートレバー18→ストップボタン19a~19cの順に各操作部の操作機能が順次に有効化される。
・・・
【0026】
図2に示すように、スロットマシン10の作動は基本的にCPU(操作機能変換手段、処理遅延手段及び操作有効化手段)30a及びメモリ31を含むメイン制御部30によって管制される。メイン制御部30にはメインCPU30a及びメモリ31の他、当選役抽選を行う当選役決定部39、演出抽選を行う演出抽選部40、タイマー41などが設けられている。
・・・
【0033】
ストップボタン19a~19cが押下されて、その操作信号が入力されると、メインCPU30aとリール駆動コントローラ34は、対応する第1~第3リール14a~14cの停止制御を行う。第1~第3リール14a~14cの停止制御は停止テーブルを用いたテーブル方式により行われる。」
ウ 「【0038】
なお、第1~第3リール14a~14cの停止制御は、例えば当選した当選役の種類及びストップボタン19a~19cが押下されたタイミングに応じて入賞有効ライン15上に停止させる図柄の優先順位を決定するコントロール方式など適宜の方式によって行ってよい。この場合、ストップボタン19a~19cが押下されたときに、引き込み範囲内で優先順位の最も高い図柄が入賞有効ライン15上に停止される。
・・・
【0041】
演出テーブルは、当選役に当選した場合に用いられる当選用テーブルとハズレとなった場合に用いられるハズレテーブルとの2種類のテーブルからなる。当選用テーブルではハズレテーブルよりも演出を実行する確率が高くなるように乱数値の割り振りが行われており、また、各々のテーブルには互いに態様の異なる複数種類の演出パターンが割り当てられている。また、当選用テーブルとハズレ用テーブルとには、同一態様の演出がそれぞれに割り当てられている。そして、当選役に当選した場合とハズレとなった場合とで同一態様の演出同士の選択確率が異なるように、各テーブルでの乱数値の割り振りが行われている。これにより、実行される演出パターンの種類によって、当選役に当選した可能性の度合いの高低が表現される。すなわち、演出パターンによって信頼度が異なっている。
【0042】
演出抽選に当選した場合、スタートレバー18が押下されて遊技スタート信号が入力されると、メインCPU30aは第1~第3リール14a~14cを回転させることを示す回転フラグをメモリ31のRAM領域に書き込むとともにタイマー41を作動する。そして、タイマー41の時間が20秒になったときに、メモリ31から回転フラグを読み出して第1~第3リール14a~14cの回転を開始させる。これにより、演出抽選に当選した場合は第1~第3リール14a~14cの回転開始が20秒遅延され、スタートレバー18が押下されてから20秒後に第1~第3リール14a~14cが回転を開始する。すなわち、スタートレバー18が押下されてから20秒が経過するまでは、ストップボタン19a~19cの操作が無効化されると言い換えることができる。
【0043】
なお、第1~第3リール14a~14cの回転開始の遅延中に、ベットボタン17、スタートレバー18、ストップボタン19a~19cのいずれかが操作されたことを検知すると、メインCPU30aは各操作部の操作機能による処理を行わずにこれらの操作信号を後述するサブCPU46に入力する(演出変化機能)。このため、第1~第3リール14a~14cの回転開始の遅延中は各操作部の操作機能が無効化される。
・・・
【0045】
メインCPU30aにはサブ制御部45が接続されている。サブ制御部45では液晶パネル22から表示される画像の表示制御が行われる。サブ制御部45は、サブ制御部45の動作を管制するサブCPU(演出制御手段)46、液晶パネル22から画像を表示させるためのグラフィックデータが格納された演出メモリ47を備えている。」
エ 「【0048】
次にスロットマシン10による遊技の流れについて説明する。図3に示すように、遊技の開始に先立ってメダルが投入され、この後にスタートレバー18が押下されると、スタート信号センサ33からメインCPU30aに遊技スタート信号が入力される。これに応答して当選役決定部39で当選役抽選が行われ、この後に演出抽選部40で演出抽選が行われる。これにより、演出を実行するか否か及び実行する演出の種類が当選役抽選の結果に基づいて決定される。
【0049】
演出抽選に当選した場合、メインCPU30aは第1~第3リール14a~14cの回転フラグをメモリ31に書き込むとともにタイマー41を作動させる。これにより、第1~第3リール14a~14cの回転開始が遅延される。また、これと同時にメインCPU30aはサブCPU46に演出開始信号を入力する。これに応答して、サブCPU46は液晶パネル22で演出画像を表示させ、演出を実行させる。
【0050】
演出の実行中に、ベットボタン17、スタートレバー18、ストップボタン19a~19cのいずれかが操作されたことを検知すると、メインCPU30aは各操作部の操作信号をサブCPU46に入力する。
【0051】
サブCPU46は、操作信号と対応付けされた先頭アドレスに対応するグラフィックデータを演出メモリ47から読み出し、各操作部が操作されるごとに演出の態様を変化させる。タイマー41の時間が20秒になると、メインCPU30aはサブCPU46に演出終了信号を入力する。これに応答してサブCPU46は演出を終了させる。
【0052】
また、メインCPU30aは、メモリ31から回転フラグを読み出して第1~第3リール14a~14cの回転を開始させる。そして、メインCPU30aとリール駆動コントローラ34は、ストップボタン19a~19cが押下されたタイミングに基づいて第1~第3リール14a~14cを停止させる。当選役が入賞した場合はホッパー装置42によってメダルが払い出される。これにより1回の遊技が終了する。」
オ 「【0057】
演出抽選に当選した場合、メインCPU30aはタイマー41を作動させ、サブCPU46に演出開始信号を入力する。これに応答して、サブCPU46は液晶パネル22で演出画像を表示させ、演出を実行させる。
【0058】
演出の実行中に、ベットボタン17、スタートレバー18、ストップボタン19a~19cのいずれかが操作されたことを検知すると、メインCPU30aは各操作部の操作信号をサブCPU46に入力する。」
カ 「【0066】
演出の実行中に、ベットボタン17又はスタートレバー18が操作されたことを検知すると、メインCPU30aはスタートレバー18の操作信号をサブCPU46に入力する。なお、演出の実行中に、ストップボタン19a~19cが押下された場合は、メインCPU30aはこれらの操作信号をキャンセルする。」
キ 「【0074】
また、操作部の操作のたびに演出の態様を変化させることに加えて、例えば操作部を操作位置で保持した(例えばベットボタン17、スタートレバー18、ストップボタン19a~19cを押下した状態で保持する)時間の長さによって演出の態様を変化させてもよい。この場合、操作部が操作位置で保持された時間を計測するタイマーをメイン制御部30内に設けておき、このタイマーの時間に応じてサブ制御部45でサブCPU46が演出メモリ47からグラフィックデータを読み出すことにより演出画像を切り替えることにより実現可能となる。」
ク 上記ア~キの記載事項から、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲1発明」という。a~yは、本件訂正発明の分説(A~Z1)に対応させて、当審にて付与。以下同様。)が開示されていると認められる。
「a 第1~第3リール14a~14c(【0020】)を備え、
b 第1~第3リール14a~14cの停止制御を行い(【0038】)、当選役が入賞した場合はメダルが払い出される(【0052】)スロットマシン10(【0020】)において、
c ストップボタン(操作部)19a~19c(【0023】)と、
d スタートレバー(操作部)18(【0023】)と、
e ベットボタン(操作部)17(【0022】)と、
f、l、m 遊技の流れを制御し、演出開始信号をサブCPU46に入力するメインCPU30aを含むメイン制御部30(【0026】、【0048】、【0057】)と、
g メインCPU30aに接続され、液晶パネル22に表示される画像の表示制御を行う、サブCPU46を備えるサブ制御部45(【0045】)と、
を備え、
h メイン制御部30は、互いに異なる操作機能を有する複数の操作部の各々を操作することによって遊技に係る処理を行い(【請求項1】、【0026】)、
i メインCPU30aとリール駆動コントローラ34は、ストップボタン19a~19cが押下されると、第1~第3リール14a~14cの停止制御を行い(【0033】)、
j メインCPU30aは、スタートレバー18が押下され、演出抽選に当選した場合、第1~第3リール14a~14cの回転開始が20秒遅延され、回転開始の遅延中に、ベットボタン17、スタートレバー18、ストップボタン19a~19cのいずれかが操作されたことを検知しても、各操作部の操作機能による処理を行わず(【0042】、【0043】)、
k メインCPU30aは、BBを入賞させると通常モードから、RBモードと、RB導入モードとからなるBBモードに移行可能とし(【0019】)、
t、v サブCPU46は、回転開始の遅延中に、ベットボタン17又はスタートレバー18が操作されるごとに、演出の態様を変化させると共に、ストップボタン19a~19cが押下されても、メインCPU30aにより、その操作信号がキャンセルされ、入力されず、(【0043】、【0048】~【0051】、【0066】)、
u メインCPU30aとリール駆動コントローラ34は、サブCPU46により回転開始の遅延中に実行される演出が終了すると、第1~第3リール14a~14cの回転を開始させ、ストップボタン19a~19cの操作のみを有効化し、ストップボタン19a~19cが押下されたタイミングに基づいて第1~第3リール14a~14cを停止させ(【0042】、【0051】、【0052】)、
w サブ制御部45は、操作部を操作位置で保持した時間の長さによって、演出の態様を変化させてもよく(【0074】)、
x 遊技モードとして、通常モード及びBBモードの2種類のモードが設定され(【0019】)、
y 実行される演出パターンの種類によって、当選役に当選した可能性の度合いの高低が表現される(【0041】)
スロットマシン。」
(2)甲第2号証
甲第2号証(特開2007-20720号公報)には、図面と共に次の事項が記載されている。
ア 「【0072】
さて、本実施形態ではS24の処理により、ベットボタン130、131に対する操作があると、ベット処理中か否かに関わらず、当該操作を示す操作情報のコマンドが副制御部400へ送信される。また、ベット処理中においても、S27の処理により、ベットボタン130、131に対する操作があると、ベット操作に対応するクレジットが無くても当該操作を示す操作情報のコマンドが副制御部400へ送信される。つまり、ベットボタン130、131に対する操作があればその操作毎に必ず操作情報が主制御部300から送信されるので、ベットボタン130、131が有効に機能しているか否かを試験する場合、操作情報が送信される条件(例えば、クレジットの数が1以上)をセットする必要がない。従って、スロットマシン100に対する操作(ここではベット操作)の試験をより簡易に行える。また、ベットボタン130、131に対する操作があれば必ず操作情報が送信され、操作情報の送信が特定の機能の実行時(例えばベット処理中)に限定されない。従って、後述する演出に関する処理機能のように、ベットボタン130、131、特にMAXベットボタン131に対する操作に対して他機能を簡易に付加できる。」
イ 「【0095】
クリア報知演出の後、再び、操作要求演出が実行され、操作態様チェック期間2として、MAXベットボタン131に対する遊技者の操作態様がチェックされる。この時のクリア条件は、操作態様チェック期間1の場合よりも厳しくし、クリアを難しくする。例えば、制限時間を短くするか、操作回数を増加することが挙げられる。
【0096】
そして、遊技者のMAXベットボタン131に対する操作が制限時間内に所定回数に達すると、特定演出がなされ、そうでない場合は失敗演出がなされる。ここでの特定演出はBB内部当選報知であり、一連の演出は遊技者の成功でもって終了する。遊技者はMAXベットボタン131に対する操作態様の条件を複数回クリアしたので、満足感をもってBB内部当選報知を受けることになろう。」
ウ 「【0108】
演出パターンZZ(デモ)では、演出ブロックF1のみが設定されている。但し、演出ブロックF1には「ループ」が○に設定されており、これは演出ブロックF1の演出が繰り返し実行されることを意味する。なお、各演出パターンには上述した以外の各種設定もなされ、例えば、演出実行時期や演出時間等も設定され得る。なお、本実施形態では、BGM選択演出時や演出モード選択演出時においても特定演出が実行され得るが、特定演出は全てBBやRB等の特定の入賞役の内部当選を遊技者に報知する報知演出としてもよい。こうすることで、BB等の特定の入賞役の内部当選の報知を遊技者が得るためにMAXベットボタン131に対する操作が促進され、遊技者の操作意欲をより一層高めることができる。」
(3)甲第3号証
甲第3号証(特開2001-314550号公報)には、図面と共に次の事項が記載されている。
ア 「【0004】現在主流の機種では、複数種類の入賞役を有している。特に、特定の入賞役に入賞したときは、1回のコインの払い出しに終わらず、所定期間、通常の状態である「一般遊技状態」よりも条件の良い遊技状態となる。このような入賞役として、遊技者に相対的に大きい利益を与えるゲームが所定回数行える特別増加入賞役(「ビッグボーナス」と称し、以下「BB」と略記する)と、遊技者に相対的に小さい利益を与える遊技を所定ゲーム行える特別入賞役(「レギュラーボーナス」と称し、以下「RB」と略記する)とがある。」
イ 「【0144】予兆演出5として表示される「BB予兆」は、図24(5)に示すように、鈴木家の3人が手をつないで歩いている左側に、当該ストーリーが繰り広げられる遊園地のイメージキャラクタ103が登場する様子が表示される。この予兆演出が表示されたときは、BB内部当選の可能性が高いことを報知する。
【0145】予兆演出6として表示される「RB予兆」は、図24(6)に示すように、鈴木家の3人が手をつないで歩いている右側に、お化け屋敷に登場するキャラクタのお化け104が登場する様子が表示される。この予兆演出が表示されたときは、RB内部当選の可能性が高いことを報知する。」
ウ 「【0151】予兆演出5として表示される「BB予兆」は、図25(5)に示すように、カップルが並んで歩いている左側に、イメージキャラクタ103が登場する様子が表示される。この予兆演出が表示されたときは、BB内部当選の可能性が高いことを報知する。
【0152】予兆演出6として表示される「RB予兆」は、図25(6)に示すように、カップルが並んで歩いている左側に、お化け104が登場する様子が表示される。この予兆演出が表示されたときは、RB内部当選の可能性が高いことを報知する。」
(4)引用文献
ア 「【0196】
しかして、制限時間に達するとMAXベットボタン132の操作回数のカウントが終了し、成功か、失敗かが判定される。遊技者のMAXベットボタン132に対する操作が制限時間内に所定回数に達すると、表示画面602aの表示内容が切り替わり、報知演出がなされる(同図最下段左)。表示画面602aには「BB確定」との表示がなされ、BBに内部当選状態にあることが報知されている。また、演出部材701と演出部材702とは十字状に現れている。」
イ 「【0200】
また、例えば、BBやRBのような内部当選確率の低い、特定の入賞役の内部当選状態に関する報知演出は、全て上記の操作態様を要求するようにしてもよい。こうすることで、遊技者は、BB等の内部当選を知るためにはMAXベットボタン132を操作せざる得なくなり、遊技者の操作意欲をより一層高めることができる。この場合、告知ランプ121によるボーナスの内部当選の報知は報知演出が行われた後にすることで、BB等の内部当選を知るためには遊技者は完全にMAXベットボタン132を操作せざる得なくなる。」
5 当審の判断
(1)取消理由について
ア 対比
本件訂正発明と甲1発明とを対比する。
甲1発明の構成a~m、t、uは、それぞれ、本件訂正発明の構成A~M、T、Uに相当する。
したがって、本件訂正発明と甲1発明とは、
「【請求項1】
A 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
B 前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
C 表示結果を導出する際に遊技者が操作する第1の操作手段と、
D 遊技を開始する際に遊技者が操作する第2の操作手段と、
E 賭数を設定する際に遊技者が操作する第3の操作手段と、
F 遊技の制御を行うとともに、該遊技の制御に基づく情報を含む制御情報を送信する遊技制御手段と、
G 前記遊技制御手段から受信した制御情報に基づいて演出の制御を行う演出制御手段と、
を備え、
H 前記遊技制御手段は、
前記第1の操作手段、前記第2の操作手段及び前記第3の操作手段の操作に応じてゲームの進行制御を行うゲーム進行制御手段と、
I 前記第1の操作手段の操作に基づいて表示結果を導出する制御を行う導出制御手段と、
J 前記第2の操作手段の操作がゲームの進行制御に関与する所定進行制御状態において前記第2の操作手段の操作がされることで終了条件が成立するまで前記第1の操作手段の操作も前記第2の操作手段の操作も前記第3の操作手段の操作もゲームの進行制御に関与しない非関与制御状態に制御する非関与制御手段と、
K 遊技者にとって有利な有利状態に制御することが可能な有利状態制御手段と、
L 前記演出制御手段に送信される制御情報を複数格納可能な制御情報格納手段と、
M 前記制御情報格納手段に格納されている制御情報を前記演出制御手段に対して1ずつ送信する制御情報送信手段と、
T 前記演出制御手段は、前記非関与制御状態において、ゲームの進行制御に関与しない操作手段の操作に基づいて特定演出を実行することが可能な特定演出実行手段を含み、
U 前記非関与制御状態の終了後の状態として、前記第1の操作手段の操作がゲームの進行制御に関与し、前記第2の操作手段及び第3の操作手段の操作がゲームの進行制御に関与しない特定進行制御状態がある
スロットマシン。」(構成A~M、T、Uを備える)の点で一致し、次の点で相違する。
[相違点1]
構成Vに関し、本件訂正発明は、第1の操作手段の操作と第2の操作手段の操作とに基づかず、第3の操作手段の操作に基づいて特定演出を実行することが可能であるのに対して、甲1発明は、ベットボタン17又はスタートレバー18が操作されるごとに、演出の態様を変化させる点。
[相違点2]
構成Wの非関与制御状態に関して、本件訂正発明は、第3の操作手段を複数回操作させることが可能であるのに対して、甲1発明は、操作部を操作位置で所定時間保持可能である点。
[相違点3]
本件訂正発明は、有利状態の種類を示唆する特定演出に関する構成X、Yを備えるのに対し、甲1発明は、有利状態が1種類のみしか設けられていないため、本件訂正発明の構成X、Yを備えない点。
[相違点4]
本件訂正発明は、構成Oを備えるのに対し、甲1発明は、構成Oを備えない点。
[相違点5]
本件訂正発明は、構成Oを備えることに加えて、構成P、Qを備えるのに対し、甲1発明は、構成P、Qを備えない点。
[相違点6]
本件訂正発明は、構成Oを備えることに加えて、構成N、R、Sを備えるのに対し、甲1発明は、構成N、R、Sを備えない点。
[相違点7]
本件訂正発明は、構成Oを備えることに加えて、構成Z1~Z3を備えるのに対し、甲1発明は、構成Z1~Z3を備えない点。
イ 判断
まず、上記相違点1~7のうち、相違点1~3については、取消理由通知で指摘した次のとおりである。
(ア)相違点1について
遊技機の技術分野において、ゲームの進行制御に関与しない状態で実行される特定演出に関して、特定演出の内容を変化可能とし、BBやRB等の特定の入賞役を遊技者に報知するための条件を、マックスベットボタンの所定時間内における所定回数の連打とすることは、本願の遡及日前に周知の技術事項である(例えば、甲2号証の【0095】、【0096】、【0108】や、引用文献の【0196】、【0200】を参照。以下「周知の技術事項1」という。)。
そして、甲第1号証には、「演出を実行するか否か及び実行する演出の種類が当選役抽選の結果に基づいて決定される。」(【0048】)ことが記載されている。
そうすると、甲1発明における「演出」は、当選役抽選の結果に基づくものであることから、甲1発明における「演出」と上記周知の技術事項1における「特定演出」とは、当選役抽選の結果に基づく演出である点で共通する。
したがって、甲1発明の演出に上記周知の技術事項1を適用して、演出の態様を変化させるために操作される操作手段を、ベットボタン17とスタートレバー18のうち、ベットボタン17のみとして、上記相違点1に係る本件訂正発明の構成とすることは当業者が容易になし得たものである。
(イ)相違点2について
上記周知の技術事項1は、マックスベットボタンを所定時間内に所定回数連打可能とするものでもある。
したがって、上記アにおいて検討したことと同様にして、甲1発明の操作部に上記周知の技術事項1を適用して、演出の態様を変化させる条件として、操作の長さに替えて所定時間内の操作回数を採用して、上記相違点2に係る本件訂正発明の構成とすることは当業者が容易になし得たものである。
(ウ)相違点3について
遊技機の技術分野において、2種類の有利状態を設け、特定演出の種類によって、いずれの有利状態に制御される可能性が高いかを示唆することは、本願の遡及日前に周知の技術事項である(例えば、引用文献の【0132】~【0135】、【図9】(a)には、内部抽選結果がBBであるか、RBであるかに応じて、演出パターンの選択確率を設定することが記載され、甲第3号証の【0004】、【0144】、【0145】、【0151】、【0152】、【図24】、【図25】には、予兆演出の種類に応じてBBに内部当選している可能性が高いこと、及び、RBに内部当選している可能性が高いことを報知することが記載されている。以下「周知の技術事項2」という。)。
そして、甲1発明は、「実行される演出パターンの種類によって、当選役に当選した可能性の度合いの高低が表現される」ものである。
そうすると、甲1発明と、上記周知の技術事項2とは、当選役抽選の結果に基づいて演出パターンの種類を決定する点で共通する。
したがって、甲1発明に上記周知の技術事項2を適用して、有利状態に2種類のボーナス状態を設け、演出パターンの種類によって、いずれのボーナス状態に当選した可能性が高いかを示唆し、上記相違点3に係る本件訂正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。
次に、上記相違点4~7について、平成29年6月7日付け意見書における、特許異議申立人の主張を中心に検討する。
(エ)相違点4について
平成29年6月7日付け意見書において、特許異議申立人は、本件訂正発明の構成Oについて次のように主張する。
〈特許異議申立人の主張の概要〉(第7頁第4~24行)
新たに提示した甲第4号証(特開2008-237549号公報)には、ベットスイッチが押圧状態であるか開放状態であるかの状態に関する情報を送信用バッファに格納すること(段落【0131】を参照。)が開示されている。
そして、スイッチの操作検出に際し、電圧等の立ち上がり、立ち下がりを検出することは、新たに提示した甲第5号証(特開2005-245618号公報の段落【0066】、【0067】)に示されるように本願の遡及日前に周知の技術事項である。
また、甲第1号証には、演出(本件訂正発明の「非関与制御状態における特定演出」に相当する。)の実行中に、ベットボタン17等が操作信号をメインCPU30aからサブCPU46に入力すること(段落【0050】)が記載されている。このことは、押圧状態と開放状態の二者択一の場合に、押圧状態を表す信号が送信用バッファに存在しない場合は開放状態であることが黙示的に示されていることになる。
したがって、前記構成Oは、甲1発明に甲第4号証に記載された事項を適用することにより、当業者が容易になし得たものである。
〈当審による判断〉
甲第4号証には、特許異議申立人が主張するように、信頼度演出を実行するために、ベットスイッチが押圧状態であるか開放状態であるかの状態に関する情報を送信用バッファに格納することが開示されている。
しかしながら、甲第4号証には、前記構成Oの「非関与制御状態において第3の操作手段の検出状態の変化を検出」することは、記載も示唆もされていない。
また、特許異議申立人は、甲第1号証に押圧状態と開放状態の二者択一の場合に、押圧状態を表す信号が送信用バッファに存在しない場合は開放状態であることが黙示的に示されている旨の主張をしているが、甲第1号証には、甲第4号証と同様に、前記構成Oの「非関与制御状態において第3の操作手段の検出状態の変化を検出」することは、記載も示唆もされていない。この点は、甲第3号証にも引用文献にも記載も示唆もされていない。
そして、本件訂正発明は、前記構成Oを備えることにより、「非関与制御状態において第3の操作手段の検出状態が変化(したこと)を検出したときに操作制御情報が送信されるので、演出制御手段が操作制御情報を受信することで、第3の操作手段の検出状態がOFFからONに変化した場合、ONからOFFに変化した場合のいずれのタイミングにおいても演出を行うことができるとともに、操作制御情報から第3の操作手段の検出状態がOFFかONに変化した第1変化及びONからOFFに変化した第2変化であるかが特定されるので、演出制御手段が操作制御情報を受信することで、第1変化であるか、第2変化であるか、を特定して演出を行うことができる」(特許権者による平成29年4月13日付け意見書第9頁第13~21行)という効果を奏するものである。
したがって、甲1発明に、甲第2号証、甲第3号証、引用文献、及び、甲第4号証に記載された事項を適用しても、本件訂正発明の上記相違点4に係る構成に到達することはできない。
(オ)相違点5について
平成29年6月7日付け意見書において、特許異議申立人は、本件訂正発明の構成Qについて次のように主張する。
〈特許異議申立人の主張の概要〉(第8頁第1~4行)
本件訂正発明において、制御情報格納手段の容量上限まで制御情報が格納されて空きがない場合に、制御情報格納手段に制御情報が格納できないことは明らかであるから、甲1発明におけるメインCPU30aからサブCPU46への制御信号伝送に際しても、前記構成Qを備えていることは明らかである。
〈当審による判断〉
前記構成Qに関して、本件特許明細書には、「・・・基本処理においてゲームの進行制御に関与しない操作スイッチの操作が検出された旨を示す立上りエッジまたは立下りエッジが設定されているか否かを判定し、立上りエッジまたは立下りエッジが設定されていると判定された場合に、通常コマンド送信用バッファが空か否かを判定し、通常コマンド送信用バッファが空であると判定した場合に限り、通常コマンド送信用バッファに操作検出コマンドを格納することで、通常コマンド送信用バッファが空の場合にのみ操作検出コマンドが格納される構成としても良く、このような構成であっても上記と同様の効果が得られる。」(段落【0178】)ことが記載されている。
この記載からも明らかなように、前記構成Qにおいて、「制御情報判定手段により制御情報が格納されている」状態は、制御情報格納手段に制御情報が格納されていて空の状態でないことを意味するものであって、特許異議申立人が主張するような、制御情報格納手段の容量上限まで制御情報が格納されていて空きがない状態を意味するものでないことは、当業者にとって明らかである。
前記構成Qは、甲第3号証にも引用文献にも記載も示唆もされていない。
そして、本件訂正発明は、前記構成Qを備えることにより、「ゲームの進行制御に関与しない第3の操作手段が操作され、検出状態が変化する毎に操作制御情報が制御情報格納手段に格納されるため、連続して第3の操作手段が操作されることで多くの操作制御情報が制御情報格納手段に格納されることになるが、既に制御情報格納手段に制御情報が格納されている場合には、第3の操作手段が操作されても新たに操作制御情報が格納されることがないため、ゲームの進行制御に関与しない第3の操作手段が連続して操作されても、操作制御情報が制御情報格納手段に複数貯まってしまうことがなく、操作制御情報が制御情報格納手段に複数貯まることに伴ってゲームの進行制御を示す制御情報の送信が大幅に遅れてしまうことを防止できる」(特許権者による平成29年4月13日付け意見書第10頁第12~21行)という効果を奏するものである。
したがって、甲1発明に、甲第2号証、甲第3号証、及び、引用文献に記載された事項を適用しても、本件訂正発明の上記相違点5に係る構成に到達することはできない。
(カ)相違点6について
相違点6は、本件訂正発明の構成F、G、L、M、Oを備えることを前提とするものである。
そして、上記エにおいて検討したように、甲第2号証、甲第3号証、引用文献、及び、甲第4号証には、相違点6に係る前記構成Oを備えることは記載も示唆もされていない。
そして、本件訂正発明は、構成N、R、Sを備えることにより、「非関与制御状態において第3の操作手段の検出状態がOFFからONに変化して操作制御情報が制御情報格納手段に格納された場合に、この格納された操作制御情報は、第3の操作手段の検出状態がONからOFFに変化して次の操作制御情報が格納される前に必ず送信されることになり、第3の操作手段が連続して操作された場合でも、第3の操作手段の検出状態がOFFからONに変化した旨を示す操作制御情報が送信される前に、さらに第3の操作手段の検出状態がONからOFFに変化した旨を示す操作制御情報が制御情報格納手段に格納されることがなく、また、第3の操作手段の検出状態がONからOFFに変化して操作制御情報が制御情報格納手段に格納された場合にも、この格納された操作制御情報は、第3に操作手段の検出状態がOFFからONに変化して次の操作制御情報が格納される前に必ず送信されることとなり、第3の操作手段が連続して操作された場合でも、第3の操作手段の検出状態がONからOFFに変化した旨を示す操作制御情報が送信される前に、さらに第3の操作手段の検出状態がOFFからONに変化した旨を示す操作制御情報が制御情報格納手段に格納されることがないので、ゲームの進行制御に関与しない第3の操作手段が連続して操作された場合であっても、この第3の操作手段の操作を特定可能な操作制御情報が送信タイミングの遅延によって複数溜まってしまうことがなく、操作制御情報が複数溜まってしまうことに伴ってゲームの進行制御を示す制御情報の送信が大幅に遅れてしまうことを防止できる」(特許権者による平成29年4月13日付け意見書第11頁第16行~第12頁第5行)という効果を奏するものである。
したがって、仮に、特許異議申立人が主張するように、コマンドの送信タイミングをランダムに遅延させることにより、送信タイミングと遊技制御基板により制御される遊技状態とが同期して目押しアシストが実行されることを防止することが、新たに提示された甲第6号証(特開2003-38713号公報の段落【0092】、【0093】)や、甲第7号証(特開2003-190423号公報の段落【0117】、【0135】、【0136】)に示されるように本願の遡及日前に周知の技術事項であり、また、操作の解除によって操作検出部が初期位置に付勢手段にて復元する操作手段が、新たに提示する甲第8号証(特開2005-7079号公報の段落【0179】~【0181】、【図21】)に示されるように本願の遡及日前に周知の技術事項であるとしても、甲1発明に、甲第2号証、甲第3号証、引用文献、及び、甲第4号証に記載された事項を適用することにより、本件訂正発明の上記相違点6に係る構成に到達することはできない。
(キ)相違点7について
相違点7は、本件訂正発明の構成F、G、L、M、Oを備えることを前提とするものである。
そして、上記エにおいて検討したように、甲第2号証、甲第3号証、引用文献、及び、甲第4号証には、相違点6に係る前記構成Oを備えることは記載も示唆もされていない。
そして、本件訂正発明は、構成Z1~Z3を備えることにより、「演出制御手段が、第3の操作手段の検出状態がOFFからONに変化した旨を示す操作制御情報を受信した後、第3の操作手段の検出状態がONからOFFに変化した旨を示す操作制御情報を受信せずに、再度第3の操作手段の検出状態がOFFからONに変化した旨を示す操作制御情報を受信した場合には、操作制御情報を取りこぼしたか、ノイズ等の異常でデータが破損した虞があり、正常に演出を行えない可能性が高く、このような場合には、操作制御情報の受信に伴う特定演出を実行しないことにより演出の整合性を保つことができる」(特許権者による平成29年4月13日付け意見書第13頁第1~8行)という効果を奏するものである。
したがって、甲1発明に、甲第2号証、甲第3号証、引用文献、及び、甲第4号証に記載された事項を適用することにより、本件訂正発明の上記相違点7に係る構成に到達することはできない。
(ク)まとめ
上記ア~キにおいて検討したように、甲1発明に、甲第2号証、甲第3号証、引用文献、及び、甲第4号証に記載された事項を適用しても、本件訂正発明の上記相違点4~7に係る構成に到達することはできないため、本件訂正発明は、当業者が容易になし得たものではない。
よって、特許異議申立人が提出した証拠(訂正請求に伴い、平成29年6月7日付け意見書において新たに提示した甲第4号証~甲第8号証を含む)によっては、本件訂正発明についての特許を取り消すことができない。
(2)特許異議申立人の意見について
特許異議申立人は、平成29年6月7日付け意見書において、同年4月13日付けの訂正請求に対し、本件特許発明に係る訂正請求は、
ア 本件訂正発明が、甲1発明に甲第2号証~甲第8号証に記載された事項、若しくは、周知の技術事項を適用することにより当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反するものであり、認められるべきものではない。
また、
イ 実質上特許請求の範囲を変更するものであるから、特許法第126条第6項の規定に違反するものであり、認められるべきものではない。
旨、主張する。
そこで、上記主張について検討する。
・上記アについて
上記(1)において検討したように、本件訂正発明は、甲1発明に甲第2号証~甲第8号証に記載された事項、若しくは、周知の技術事項を適用しても、当業者が容易になし得たものではない。
したがって、本件訂正発明は、特許異議申立人が新たに提示した甲第4号証~甲第8号証に記載された事項を加味しても、当業者が容易になし得たものとすることはできない。
・上記イについて
本件訂正発明に係る訂正事項1~14は、前記第2 2訂正の適否において検討したように、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、若しくは同第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、特許法第120条の5第9項において準用する特許法第126条第5~6項の規定に適合するものである。
ウ 小括
上記ア、イにおいて検討したように、特許異議申立人の意見書における主張を採用することはできない。
(2)特許異議申立理由について
当審による平成29年1月19日付けで取消理由通知は、前記第3 2及び3において検討したように、特許異議申立の理由を包含するものであることから、特許異議申立理由は、「5 当審の判断(1)取消理由について」において検討済みである。
第4 むすび
以上のことから、上記取消理由、並びに、特許異議申立ての理由及び証拠方法によっては、訂正後の請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
よって、結論のとおり決定する。
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2016-701132