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特許異議申立

2016-700913

吸水性樹脂及び吸水性樹脂の製造方法

審判番号
2016-700913
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2014-223721外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2016年09月23日
審決日
2017年09月12日
公報発行日
2017年12月28日
結論
訂正認容
当事者
審判長/審判官
分類
P1651.113-YAA(C08F) / P1651.121-YAA(C08F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第5893116号発明「吸水性樹脂及び吸水性樹脂の製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第5893116号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-3〕について訂正することを認める。 特許第5893116号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 特許第5893116号の請求項1ないし3に係る特許についての出願は、平成26年10月31日(優先権主張 平成26年7月11日)に出願された特許出願であって、平成28年3月4日にその特許権の設定登録がされ、同年9月23日付け(受理日:同月26日)で特許異議申立人である株式会社日本触媒により特許異議の申立てがされ、当審において同年11月28日付けの取消理由が通知され、平成29年1月30日付け(受理日:同月31日)で意見書が提出されるとともに訂正の請求がされ、同年2月10日付けで訂正拒絶理由が通知され、同年3月14日付け(受理日:同月15日)で意見書が提出され、同年3月29日付けの取消理由(決定の予告)が通知され、同年6月1日付け(受理日:同月2日)で意見書が提出されるとともに訂正の請求(以下「本件訂正」という。)がされ、同年7月31日付け(受理日8月1日)で特許異議申立人から意見書が提出されたものである。 なお、平成29年1月30日付けの訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。 第2 本件訂正の適否についての判断 1 本件訂正の内容 本件訂正は、次の訂正事項1及び2からなる。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「4.14kPa荷重下での生理食塩水の吸水能が吸水開始から120分経過後において20ml/g以上であり」とあるのを、 「4.14kPa荷重下での生理食塩水の吸水能が吸水開始から120分経過後において20ml/g以上、120分経過後の生理食塩水の保水能が40~60g/gであり」に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項1に「吸水開始から120分経過後の4.14kPa荷重下での生理食塩水の吸水能を荷重下膨潤度100%としたとき、30分経過後における荷重下膨潤度が70%以下である」とあるのを、 「吸水開始から120分経過後の4.14kPa荷重下での生理食塩水の吸水能を荷重下膨潤度100%としたとき、30分経過後における荷重下膨潤度が70%以下であり、さらに240分経過後の荷重下膨潤度が110%以上である」に訂正する。 2 本件訂正の目的、一群の請求項、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1は、本件特許明細書の【0066】の記載に基づいて、吸水性樹脂を、「120分経過後の生理食塩水の保水能が40~60g/g」であるものに限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (2)訂正事項2は、本件特許明細書の【0065】の記載に基づいて、吸水性樹脂を、「吸水開始から120分経過後の4.14kPa荷重下での生理食塩水の吸水能を荷重下膨潤度100%としたとき、」「240分経過後の荷重下膨潤度が110%以上」であるものに限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (3)そして、これらの訂正は一群の請求項に対して請求されたものである。 3 むすび 以上のとおりであるから、本件訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、並びに、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項1ないし3について訂正することを認める。 第3 本件発明について 本件訂正により訂正された請求項1ないし3に係る発明(以下、それぞれ順に「本件発明1」ないし「本件発明3」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 水溶性エチレン性不飽和単量体と内部架橋剤と後架橋剤との重合体架橋物である吸水性樹脂であって、 前記水溶性エチレン性不飽和単量体の70~100モル%がアクリル酸及びその塩であり、 4.14kPa荷重下での生理食塩水の吸水能が吸水開始から120分経過後において20ml/g以上、120分経過後の生理食塩水の保水能が40~60g/gであり、かつ 吸水開始から120分経過後の4.14kPa荷重下での生理食塩水の吸水能を荷重下膨潤度100%としたとき、30分経過後における荷重下膨潤度が70%以下であり、さらに240分経過後の荷重下膨潤度が110%以上であることを特徴とする吸水性樹脂。 なお、一定時間経過後の荷重下膨潤度は、以下の式で算出される。 【数1】 【請求項2】 吸水開始から120分経過後の4.14kPa荷重下での生理食塩水の吸水能を荷重下膨潤度100%としたとき、30分経過後における荷重下膨潤度が15%以上であることを特徴とする請求項1に記載の吸水性樹脂。 【請求項3】 請求項1又は2に記載の吸水性樹脂を含む吸収体を用いてなる吸収性物品。」 第4 取消理由(決定の予告)の概要 当審において通知した平成29年3月29日付けの取消理由(決定の予告)の概要は、次のとおりである。 1 取消理由1 本件訂正前の請求項1ないし3に係る発明は、甲第1号証又は甲第3号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであり、その発明に係る特許は取り消すべきものである。 2 取消理由2 本件訂正前の請求項1ないし3に係る発明は、甲第6号証に記載された発明及び周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その発明に係る特許は取り消すべきものである。 [甲各号証] 特許異議申立人が提出した証拠方法は、以下の甲第1号証~甲第10号証(以下「甲1」から「甲10」という。)である。 甲第1号証:国際公開第2008/108343号 甲第2号証:実験成績報告書(作成日:平成28年8月10日、作成者:株式会社日本触媒 吸水性樹脂研究所 片田好希) 甲第3号証:特開2004-261796号公報 甲第4号証:実験成績報告書(作成日:平成28年8月10日、作成者:株式会社日本触媒 吸水性樹脂研究所 片田好希) 甲第5号証:特開2009-280668号公報 甲第6号証:国際公開第2005/027987号 甲第7号証:特開2003-88551号公報 甲第8号証:国際公開第2014/038324号 甲第9号証:Modern Superabsorbent Polymer Technology(1998), p155,p159-160,p201-213 甲第10号証:国際公開第2012/132902号 第5 当審の判断 当合議体は、以下に述べるように、本件発明1ないし3は、甲1又は甲3に記載された発明ではなく(取消理由1)、また、甲6及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから(取消理由2)、本件発明1ないし3に係る特許は、特許法第29条の規定に違反してされたものではなく、取り消すべきものではないと判断する。 1 取消理由1(新規性)について、 (1)甲1について ア 甲1に記載された事項 甲1には、おおむね、以下の記載がある。 (ア)「特許請求の範囲 [1] 吸水性樹脂粒子を含む吸水剤であって、当該吸水性樹脂粒子の表面に、当該吸水性樹脂粒子表面の官能基との反応性基、及び、疎水基を有する化合物が存在し、 当該疎水基は炭素数8以上の炭化水素基を含み、 当該化合物は以下の関係式 13≦(炭素数8以上の炭化水素基の平均炭素数+1~3級アミンの窒素原子数)≦26 (式中、1~3級アミンの窒素原子数≧0である) を満足し、 且つ、該化合物の分子量中に占めるオキシアルキレン基の割合が0以上25質量%以下であるとともに、 当該反応性基の少なくとも一部は、吸水性樹脂粒子表面の官能基と結合している、及び/又は、吸水時に結合を形成することを特徴とする吸水剤。」 (イ)「技術分野 [0001] 本発明は、吸水剤及びその製造方法に関するものであり、特に、紙おむつや生理用ナプキン、いわゆる失禁パッド等の衛生材料等に好適に用いることができる吸水剤及びその製造方法に関するものである。」 (ウ)「発明が解決しようとする課題 [0019] 吸水剤を実際に使用する上で、遠心分離機保持容量、食塩水流れ誘導性、低いブロッキング率などの物性を良好な値にて兼ね備えていることが吸水剤に要求されるものの、上記従来の技術ではこれらの物性を充分満たすには至っていない。その一要因として、吸水剤において重要な物性である遠心分離機保持容量と食塩水流れ誘導性とは、一方の物性が向上すれば他方の物性が低下する関係にあり、これらの物性を両立させ難いことが挙げられる。 [0020] 本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は遠心分離機保持容量と食塩水流れ誘導性のバランスに優れ、低いブロッキング率を有する吸水剤とその製造方法を提供することである。」 (エ)「[0215] <遠心分離機保持容量(CRC)> 遠心分離機保持容量(CRC)は0.90質量%食塩水に対する無加圧下で30分の吸収倍率を示す。なお、CRCは、無加圧下吸収倍率と称されることもある。 [0216] 吸水剤0.200gを不織布製(南国パルプ工業(株)製、商品名:ヒートロンペーパー、型式:GSP-22)の袋(85mm×60mm)に均一に入れてヒートシールした後、室温で大過剰(通常500ml程度)の0.90質量%食塩水(塩化ナトリウム水溶液)中に浸漬した。30分後に袋を引き上げ、遠心分離機(株式会社コクサン社製、遠心機:型式H-122)を用いてedana ABSORBENCY II 441.1-99に記載の遠心力(250G)で3分間水切りを行った後、袋の質量W1(g)を測定した。また、同様の操作を吸水剤を用いずに行い、その時の質量W0(g)を測定した。そして、これらW1 、W0、から、次式に従って遠心分離機保持容量(CRC)(g/g)を算出した。 [0217] 遠心分離機保持容量(CRC)(g/g) =(W1(g)-W0(g))/(吸水剤の質量(g))-1  」 (オ)「[0242] ・・・ (参考例1) シグマ型羽根を2本有する内容積10リットルのジャケット付きステンレス型双腕型ニーダーに蓋を付けて形成した反応器中で、アクリル酸505.6g、37質量%アクリル酸ナトリウム水溶液4430.8g、純水511.7g、ポリエチレングリコールジアクリレート(分子量523)12.786gを溶解させて反応液とした。次にこの反応液を窒素ガス雰囲気下で、20分間脱気した。続いて、反応液に20質量%過硫酸ナトリウム水溶液14.67g及び0.1質量%L-アスコルビン酸水溶液24.45gを攪拌しながら添加したところ、およそ25秒後に重合が開始した。そして、生成したゲルを粉砕しながら、25℃以上90℃以下で重合を行い、重合が開始して30分後に含水ゲル状架橋重合体を取り出した。このとき、重合が開始してから最高温度に達するまでの時間は15分以内であった。得られた含水ゲル(含水ゲル状架橋重合体)は、その径が約5mm以下に細分化されていた。 [0243] この細分化された含水ゲル状架橋重合体を50メッシュの金網上に広げ、180℃で45分間熱風乾燥を行い、乾燥物をロールミルで粉砕し、さらに分級操作によって、目開き710μmのJIS標準篩を通過した粒子を、さらに目開き175μmのJIS標準篩で分級し、通過した微粒子を除去することにより、質量平均粒子径(D50)343μm、粒度分布の対数標準偏差(σζ)0.32の不定形破砕状の吸水性樹脂(A)を得た。吸水性樹脂(A)の遠心分離機保持容量(CRC)は33.4(g/g)、水可溶分は6.1質量%、目開き150μmのふるいを通過できる大きさの粒子の割合は1.1質量%であった。 [0244] 得られた吸水性樹脂(A)100質量部に1,4-ブタンジオール0.3質量部、プロピレングリコール0.5質量部、純水2.7質量部の混合液からなる表面架橋剤を均一に混合した後、混合物を212℃で35分間加熱処理した。その後、得られた粒子を目開き710μmのJIS標準篩を通過するまで解砕した。次に、解砕された粒子にペイントシェーカーテスト1を行った。こうして、表面が架橋された吸水性樹脂粒子(1)を得た。」 (カ)「[0255] (実施例1) 吸水性樹脂粒子(1)100質量部に、オクタデシルアミン(ステアリルアミン)(和光純薬工業株式会社製)の35.7質量%メタノール分散溶液を2.8質量部添加した。添加は吸水性樹脂粒子(1)を攪拌しながら、溶液が均一に添加されるように行った。この混合物を、60℃30分間、無風下で静置乾燥した。こうして得られたものを吸水剤(1)とした。」 (キ)[0291][表1]には、実施例1で製造された吸水剤(1)は、遠心分離機保持容量(CRC:0.90質量%食塩水に対する無加圧下で30分の吸収倍率)が26.6(g/g)であると記載されている。 イ 甲1発明 上記アの記載、特に、実施例1の記載からみて、甲1には、次のとおりの発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。 「シグマ型羽根を2本有する内容積10リットルのジャケット付きステンレス型双腕型ニーダーに蓋を付けて形成した反応器中で、アクリル酸505.6g、37質量%アクリル酸ナトリウム水溶液4430.8g、純水511.7g、ポリエチレングリコールジアクリレート(分子量523)12.786gを溶解させて反応液とし、次にこの反応液を窒素ガス雰囲気下で、20分間脱気し、続いて、反応液に20質量%過硫酸ナトリウム水溶液14.67g及び0.1質量%L-アスコルビン酸水溶液24.45gを攪拌しながら添加し、25秒後に重合が開始し、そして、生成したゲルを粉砕しながら、25℃以上90℃以下で重合を行い、重合が開始して30分後に含水ゲル状架橋重合体を取り出し、このとき、重合が開始してから最高温度に達するまでの時間は15分以内であり、得られた含水ゲル(含水ゲル状架橋重合体)は、その径が5mm以下に細分化されており、この細分化された含水ゲル状架橋重合体を50メッシュの金網上に広げ、180℃で45分間熱風乾燥を行い、乾燥物をロールミルで粉砕し、さらに分級操作によって、目開き710μmのJIS標準篩を通過した粒子を、さらに目開き175μmのJIS標準篩で分級し、通過した微粒子を除去することにより、質量平均粒子径(D50)343μm、粒度分布の対数標準偏差(σζ)0.32の不定形破砕状の吸水性樹脂(A)を得て、吸水性樹脂(A)の遠心分離機保持容量(CRC)は33.4(g/g)、水可溶分は6.1質量%、目開き150μmのふるいを通過できる大きさの粒子の割合は1.1質量%であり、得られた吸水性樹脂(A)100質量部に1,4-ブタンジオール0.3質量部、プロピレングリコール0.5質量部、純水2.7質量部の混合液からなる表面架橋剤を均一に混合した後、混合物を212℃で35分間加熱処理して、その後、得られた粒子を目開き710μmのJIS標準篩を通過するまで解砕し、解砕された粒子にペイントシェーカーテスト1を行い、こうして、表面が架橋された吸水性樹脂粒子(1)を得て、この吸水性樹脂粒子(1)100質量部に、オクタデシルアミン(ステアリルアミン)(和光純薬工業株式会社製)の35.7質量%メタノール分散溶液を2.8質量部添加し、添加は吸水性樹脂粒子(1)を攪拌しながら、溶液が均一に添加されるように行い、この混合物を、60℃30分間、無風下で静置乾燥し、こうして得られた、遠心分離機保持容量(CRC:0.90質量%食塩水に対する無加圧下で30分の吸収倍率)が26.6(g/g)である、吸水剤(1)。」 (2)甲3について ア 甲3に記載された事項 甲3には、おおむね、以下の記載がある。 (ア)「【請求項1】 不飽和単量体を重合することによって得られる重合体の内部に架橋構造を有する吸水性樹脂を含む粒子状吸水剤であって、 上記吸水性樹脂は、表面に架橋構造を有する粒子状の吸水性樹脂であり、 当該粒子状吸水剤には、106μm以上850μm未満の粒子径を有する粒子が、該粒子状吸水剤に対して90質量%以上含まれているとともに、 さらに、分子内の炭素数が7個以上である有機酸の多価金属塩が、上記吸水性樹脂に対して0.001質量%以上10質量%未満含まれていることを特徴とする粒子状吸水剤。 ・・・ 【請求項9】 2.06kPaの加圧下にて、0.9質量%塩化ナトリウム水溶液に浸漬した場合の吸収倍率が20g/g以上であるとともに、下記(式2) 第一の加圧下吸収倍率保持指数=Q1/P1 ・・(式2) (式中、P1は、所定の衝撃力を与える前の2.06kPaの加圧下での吸収倍率であり、Q1は、所定の衝撃力を与えた後の2.06kPaの加圧下での吸収倍率を表す)で規定される第一の加圧下吸収倍率保持指数、及び/又は、下記(式3) 第二の加圧下吸収倍率保持指数=Q2/P2 ・・(式3) (式中、P1は、所定の衝撃力を与える前の4.83kPaの加圧下での吸収倍率であり(式中、Q1は、所定の衝撃力を与えた後の4.83kPaの加圧下での吸収倍率を表す)で規定される第二の加圧下吸収倍率保持指数が、0.90以上であることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の粒子状吸水剤。」 (イ)「【技術分野】 【0001】 本発明は吸水性樹脂を主成分とする粒子状吸水剤及びそれを用いた吸収物品、並びに粒子状吸水剤の製造方法に関し、さらに詳しくは、尿や血液等の体液の吸収に好適に用いられ、優れた吸収性能を発揮する粒子状吸水剤及びそれを用いた吸収物品、並びに粒子状吸水剤の製造方法に関するものである。」 (ウ)「【0015】 本発明の目的は、(1)吸湿時及び含水率が0~20質量%の乾燥状態においても、粉体流動性に優れ、粒子状吸水剤の搬送時等の取り扱い性が良好であり、(2)粒子状吸水剤の製造時や搬送時、吸収物品等を作成する際に受ける機械的衝撃力による吸水性能や吸湿時の流動性の低下が少なく、(3)安定かつ優れた吸水特性を有する粒子状吸水剤を得ることにある。」 (エ)「【0119】 <粒子状吸水剤の加圧下吸収倍率> 本発明の粒子状吸水剤は、2.06kPa及び/又は4.83kPaの圧力下(荷重下)での加圧下吸収倍率が、15g/g以上、好ましくは18g/g以上、より好ましくは20g/g以上、さらに好ましくは23g/g以上、最も好ましくは25g/g以上である。また、加圧下吸収倍率の上限は特に限定されず高い方が好ましいが、製造コスト等の経済性とのバランスにより、上限は50g/g以下、好ましくは45g/g以下であるとよい。 【0120】 なお、2.06kPa及び4.83kPaの荷重下での加圧下吸収倍率を用いたのは、本発明の粒子状吸水剤を紙おむつ等の衛生材料として使用した場合に、乳幼児の寝ている状態及び座った状態で、粒子状吸水剤に付与される荷重を想定したためである。」 (オ)「【0157】 ・・・ 〔加圧下吸収倍率(0.90質量%塩化ナトリウム水溶液に対する2.06kPa下、60分間の吸収倍率(AAP1))〕 内径60mmのプラスチック支持円筒の底に、ステンレス製400メッシュ(目開き38μm)を融着させ、室温(20~25℃)、相対湿度50%RHの条件下で、上記メッシュ上に吸水剤又は吸水性樹脂0.90gを均一に散布した。該吸水性樹脂又は吸水剤に対して、2.06kPa(0.3psi)の荷重を均一に加えることができるように調整された、外径が60mmよりわずかに小さく、支持円筒に隙間が生じず、かつ上下の動きが妨げられないピストンと荷重とをこの順に載置し、この測定一式の質量Wa(g)を測定した。直径150mmのペトリ皿の内側に、直径90mmのガラスフィルター(株式会社相互理化学硝子製作所製、細孔直径100~120μm)を置き、0.90質量%の塩化ナトリウム水溶液(20~25℃)をガラスフィルターの上面と同じレベルになるように加えた。 【0158】 その上に、直径90mmのろ紙1枚(ADVANTAEC東洋株式会社、品名:定量ろ紙Qualitative Filter Papers(JIS P 3801、No.2)、厚さ0.26mm、保留粒子径5μm)を載せ、ろ紙表面が全て濡れるようにし、かつ過剰の液を除いた。 【0159】 上記測定装置一式を、前記湿ったろ紙上に載せ、液を荷重下で吸収させた。1時間(60分)後、測定装置一式を持ち上げ、その質量Wb(g)測定した。そして、Wa、Wbから、下記(式5)に従って、加圧下吸収倍率AAP1(g/g)を算出した。 【0160】 加圧下吸収倍率AAP1(g/g)=(Wb(g)-Wa(g))/吸水剤又は吸水性樹脂の質量(0.9)g) ・・(式5) 」 (カ)「【0199】 〔参考例1〕 65モル%の中和率を有するアクリル酸ナトリウムの水溶液5500g(単量体の濃度で38重量%)に、ポリエチレングリコールジアクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数8)5.9gを溶解し、反応液とした。 【0200】 次に、この反応液を、窒素ガス雰囲気下で30分間脱気した。続いて、シグマ型羽根を2本有する内容積10Lのジャケット付きステンレス製双腕型ニーダーに蓋を付けて形成した反応器に、脱気した上記反応液を供給し、該反応液を30℃に保ちながら、窒素ガス置換した。その後、窒素ガス置換した反応液を撹拌しながら、過硫酸ナトリウム2.46g及びL-アスコルビン酸0.10gを水溶液で添加したところ、約1分後に重合が開始された。そして、30℃~90℃で重合を行い、重合を開始して60分後に、含水ゲル状架橋重合体を得た。 【0201】 得られた含水ゲル状架橋重合体は、その径が約5mmに細分化されていた。この細分化された含水ゲル状架橋重合体を50メッシュ(目開き300μm)の金網上に広げ、150℃で90分間熱風乾燥した。得られた乾燥重合体を、振動ミルを用いて粉砕し、さらに20メッシュ(目開き850μm)の金網で分級及び調合することにより、不定形破砕状の吸水性樹脂粒子前駆体(a)を得た。 【0202】 得られた吸水性樹脂前駆体(a)100部に、プロピレングリコール0.5部と、1,4-ブタンジオール0.3部と、水3部とからなる表面架橋溶液を混合した。上記の混合物を200℃で45分間加熱処理することにより、表面架橋処理が施された吸水性樹脂(A)を得た。 【0203】 〔実施例1~3〕 25℃、相対湿度50%RH下にて、参考例1で得られた吸水性樹脂(A)100部に対して、0.3部,0.5部,1部のステアリン酸亜鉛(関東化学株式会社製)をそれぞれレディゲミキサー(レディゲ社製、タイプ:M5R)に投入し、330rpmで15秒間攪拌して、それぞれから、吸水剤(1)・(2)・(3)を得た。」 (キ)【0232】【表4】には、実施例2において得られた吸水剤(2)は、衝撃力を与える前のAAP1(0.90質量%塩化ナトリウム水溶液に対する2.06kPa下、60分間の吸水倍率)は、34.3g/gであることが記載されている。 イ 甲3に記載された発明 上記アの記載、特に、実施例2の記載からみて、甲3には、次のとおりの発明(以下「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。 「65モル%の中和率を有するアクリル酸ナトリウムの水溶液5500g(単量体の濃度で38重量%)に、ポリエチレングリコールジアクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数8)5.9gを溶解し、反応液とし、次に、この反応液を、窒素ガス雰囲気下で30分間脱気し、続いて、シグマ型羽根を2本有する内容積10Lのジャケット付きステンレス製双腕型ニーダーに蓋を付けて形成した反応器に、脱気した上記反応液を供給し、該反応液を30℃に保ちながら、窒素ガス置換し、その後、窒素ガス置換した反応液を撹拌しながら、過硫酸ナトリウム2.46g及びL-アスコルビン酸0.10gを水溶液で添加し、1分後に重合が開始され、そして、30℃~90℃で重合を行い、重合を開始して60分後に、含水ゲル状架橋重合体を得て、得られた含水ゲル状架橋重合体の径を5mmに細分化し、この細分化された含水ゲル状架橋重合体を50メッシュ(目開き300μm)の金網上に広げ、150℃で90分間熱風乾燥し、得られた乾燥重合体を、振動ミルを用いて粉砕し、さらに20メッシュ(目開き850μm)の金網で分級及び調合することにより、不定形破砕状の吸水性樹脂粒子前駆体(a)を得て、得られた吸水性樹脂前駆体(a)100部に、プロピレングリコール0.5部と、1,4-ブタンジオール0.3部と、水3部とからなる表面架橋溶液を混合し、上記の混合物を200℃で45分間加熱処理することにより、表面架橋処理が施された吸水性樹脂(A)を得て、25℃、相対湿度50%RH下にて、前記吸水性樹脂(A)100部に対して、0.5部のステアリン酸亜鉛(関東化学株式会社製)をレディゲミキサー(レディゲ社製、タイプ:M5R)に投入し、330rpmで15秒間攪拌して得た、AAP1(0.90質量%塩化ナトリウム水溶液に対する2.06kPa下、60分間の吸水倍率)が34.3g/gである、吸水剤(2)。」 (3)本件発明1について ア 甲1発明との対比・判断 (ア)対比 本件発明1と甲1発明とを対比する。 甲1発明の「アクリル酸」及び「アクリル酸ナトリウム」は、本件特許発明1の「水溶性エチレン性不飽和単量体」に相当し、甲1発明の「ポリエチレングリコールジアクリレート」は、本件発明1の「内部架橋剤」に相当し、甲1発明の「1,4-ブタンジオール」及び「プロピレングリコール」は、本件発明1の「後架橋剤」に相当する。 また、甲1発明の「吸水剤(1)」は、「アクリル酸」と「アクリル酸ナトリウム」と「ポリエチレングリコールジアクリレート」と「1,4-ブタンジオール」と「プロピレングリコール」との重合体架橋物であるから、本件発明1の「吸水性樹脂」に相当する。 さらに、甲1発明では、水溶性エチレン性不飽和単量体として「アクリル酸」と「アクリル酸ナトリウム」のみを用いているのであるから、水溶性エチレン性不飽和単量体の100モル%がアクリル酸及びその塩である。 そうすると、本件発明1と甲1発明とは、「水溶性エチレン性不飽和単量体と内部架橋剤と後架橋剤との重合体架橋物である吸水性樹脂であって、前記水溶性エチレン性不飽和単量体の100モル%がアクリル酸及びその塩である吸水性樹脂。」の点で一致し、以下の点で相違する。 (相違点1)本件発明1では、「4.14kPa荷重下での生理食塩水の吸水能が吸水開始から120分経過後において20ml/g以上」であるのに対し、甲1発明では、そのような特定がない点。 (相違点2)本件発明1では、「120分経過後の生理食塩水の保水能が40~60g/g」であるのに対し、甲1発明では、「遠心分離機保持容量(CRC:0.90質量%食塩水に対する無加圧下で30分の吸収倍率)が26.6(g/g)」である点。 (相違点3)本件発明1では、「吸水開始から120分経過後の4.14kPa荷重下での生理食塩水の吸水能を荷重下膨潤度100%としたとき、30分経過後における荷重下膨潤度が70%以下である」のに対して、甲1発明では、そのような特定がない点。 (相違点4)本件発明1では、「吸水開始から120分経過後の4.14kPa荷重下での生理食塩水の吸水能を荷重下膨潤度100%としたとき」「240分経過後の荷重下膨潤度が110%以上である」のに対して、甲1発明では、そのような特定がない点。 (イ)判断 a 相違点1及び3について 実験成績報告書(甲2)によれば、甲1発明の吸水剤(1)は、4.14kPa荷重下での生理食塩水の吸水能が吸水開始から120分経過後において22.3ml/gであり、かつ吸水開始から120分経過後の4.14kPa荷重下での生理食塩水の吸水能を荷重下膨潤度100%としたとき、30分経過後における荷重下膨潤度が24%であると認められる。 したがって、相違点1及び3は実質的な相違点ではない。 b 相違点2及び4について 甲1発明は、食塩水に対する無加圧下で30分の吸水倍率を示す「遠心分離機保持容量(CRC)」が26.6(g/g)であるものの、それとは具体的な測定方法が異なる「120分経過後の生理食塩水の保水能」については、甲1において記載も示唆もされていない。 また、甲1には、「吸水開始から120分経過後の4.14kPa荷重下での生理食塩水の吸水能を荷重下膨潤度100%としたとき」の「240分経過後の荷重下膨潤度」については、記載も示唆もされていない。 そして、実験成績報告書(甲2)にも、甲1発明の「120分経過後の生理食塩水の保水能」及び「吸水開始から120分経過後の4.14kPa荷重下での生理食塩水の吸水能を荷重下膨潤度100%としたとき」の「240分経過後の荷重下膨潤度」についての測定結果は示されていない。 したがって、相違点2及び4は、実質的な相違点である。 (ウ)小括 以上のとおりであるから、本件発明1は、相違点2及び4において甲1発明と相違するから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができない、とすることはできない。 イ 甲3発明との対比・判断 (ア)対比 本件発明1と甲3発明とを対比する。 甲3発明の「アクリル酸ナトリウム」、「ポリエチレングリコールジアクリレート」は、それぞれ、本件発明1の「水溶性エチレン性不飽和単量体」、「内部架橋剤」に相当し、甲3発明の「プロピレングリコール」及び「1,4-ブタンジオール」は、本件発明1の「後架橋剤」に相当する。 また、甲3発明の「吸水剤(2)」は、「アクリル酸ナトリウム」と「ポリエチレングリコールジアクリレート」と「プロピレングリコール」と「1,4-ブタンジオール」との重合体架橋物であるから、本件発明1の「吸水性樹脂」に相当する。 さらに、甲3発明では、水溶性エチレン性不飽和単量体として「アクリル酸ナトリウム」のみを用いているのであるから、水溶性エチレン性不飽和単量体の100モル%がアクリル酸の塩である。 そうすると、本件発明1と甲3発明とは、「水溶性エチレン性不飽和単量体と内部架橋剤と後架橋剤との重合体架橋物である吸水性樹脂であって、前記水溶性エチレン性不飽和単量体の100モル%がアクリル酸の塩である吸水性樹脂。」の点で一致し、以下の点で相違する。 (相違点1’)本件発明1では、「4.14kPa荷重下での生理食塩水の吸水能が吸水開始から120分経過後において20ml/g以上」であるのに対し、甲3発明では、「AAP1(0.90質量%塩化ナトリウム水溶液に対する2.06kPa下、60分間の吸水倍率)が34.3g/g」である点。 (相違点2’)本件発明1では、「120分経過後の生理食塩水の保水能が40~60g/g」であるのに対し、甲3発明では、そのような特定がない点。 (相違点3’)本件発明1では、「吸水開始から120分経過後の4.14kPa荷重下での生理食塩水の吸水能を荷重下膨潤度100%としたとき、30分経過後における荷重下膨潤度が70%以下である」のに対して、甲3発明では、そのような特定がない点。 (相違点4’)本件発明1では、「吸水開始から120分経過後の4.14kPa荷重下での生理食塩水の吸水能を荷重下膨潤度100%としたとき」、「240分経過後の荷重下膨潤度が110%以上である」のに対して、甲3発明では、そのような特定がない点。 (イ)判断 a 相違点1’及び3’について 実験成績報告書(甲4)によれば、甲3発明の吸水剤(2)は、4.14kPa荷重下での生理食塩水の吸水能が吸水開始から120分経過後において23.2ml/gであり、かつ吸水開始から120分経過後の4.14kPa荷重下での生理食塩水の吸水能を荷重下膨潤度100%としたとき、30分経過後における荷重下膨潤度が59%であると認められる。 したがって、相違点1’及び3’は実質的な相違点ではない。 b 相違点2’及び4’について 甲3には、「120分経過後の生理食塩水の保水能」及び「吸水開始から120分経過後の4.14kPa荷重下での生理食塩水の吸水能を荷重下膨潤度100%としたとき」の「240分経過後の荷重下膨潤度」については、記載も示唆もされていない。 そして、実験成績報告書(甲4)にも、甲3発明の「120分経過後の生理食塩水の保水能」及び「吸水開始から120分経過後の4.14kPa荷重下での生理食塩水の吸水能を荷重下膨潤度100%としたとき」の「240分経過後の荷重下膨潤度」についての測定結果は示されていない。 したがって、相違点2’及び4’は、実質的な相違点である。 (ウ)小括 以上のとおりであるから、本件発明1は、相違点2’及び4’において甲3発明と相違するから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができない、とすることはできない。 (4)本件発明2及び3について 本件発明2は、本件発明1において、さらに「吸水開始から120分経過後の4.14kPa荷重下での生理食塩水の吸水能を荷重下膨潤度100%としたとき、30分経過後における荷重下膨潤度が15%以上であること」を特定したものであり、本件発明3は、本件発明1又は2に係る吸水性樹脂を含む吸水体を用いてなる吸収性物品である。 上記(3)の本件発明1と同様の理由により、本件発明2及び3と、甲1発明とは、少なくとも相違点2及び4において実質的に相違し、本件発明2及び3と、甲3発明とは、少なくとも相違点2’及び4’において、実質的に相違する。 したがって、本件発明2及び3は、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができない、とすることはできない。 2 取消理由2(進歩性)について (1)甲6について ア 甲6に記載された事項 甲6には、おおむね、以下の記載がある(なお、便宜上、甲6の日本語ファミリー文献である特表2007-505193号公報の記載事項に基づいて摘示する。) (ア)「【請求項1】 a)約55~約99.9重量%の、モノマーを含む重合可能な不飽和酸基と、 b)約0.001~約5.0重量%の内部架橋剤と、 c)約0.001~約5.0重量%の、粒子表面に塗布される表面架橋剤とを含み、 d)組成は約20%より高い中和度を有し、約75℃以下の温度で、約20~約75モル%のモノマーを含む不飽和酸基が第1の中和剤で中和され、約5~約40モル%のモノマーを含む不飽和酸基が第2の中和剤で中和され、 高吸収ポリマーは、約5+10a2分以上の吸収時間を有し、aは高吸収物質の平均粒子サイズをミリメートル単位で表したものであり、約15g/g以上の液体容量と、約2秒以下の液滴浸透値と、約50%以下の1/2浮遊飽和率とを有する、親水性の高吸収ポリマー。 ・・・ 【請求項3】 約25g/g以上の液体容量を有する、請求項1に記載の高吸収ポリマー。 ・・・ 【請求項5】 約10+10a2分以上の吸収時間を有する、請求項1に記載の高吸収ポリマー。」 (イ)「【技術分野】 【0001】 本発明は、水、水性液体、および血液を吸収する高吸収ポリマーに関し、本発明の高吸収ポリマーは改良された特性、とりわけ容認できる流体保持特性を保ちながらよりゆっくりである吸収時間を有する。本発明はまた、これらの高吸収ポリマーの生成および、衛生用品や産業分野における吸収剤としてのそれらの使用に関する。」 (ウ)「【背景技術】 【0002】 高吸収剤とは、水膨潤性かつ不水溶性で、0.9重量%塩化ナトリウム水溶液を含む水溶液において少なくともそれ自身の重さの約10倍から約30倍の重量を吸収することができる有機もしくは無機の物質のことである。高吸収ポリマーは、膨張およびヒドロゲルの形成により、大量の水性液体および尿や血液などの体液を吸収でき、またそれらを高吸収剤の一般的定義にしたがい、ある一定の圧力下に保つことのできる、架橋ポリマーである。 ・・・ 【0005】 特に、ゲルブロッキングは、おむつなどの吸収用品における高吸収ポリマーの使用に関係しうる、周知の問題である。ゲルブロッキングは、体液が吸収用品に入る場所の周りの高吸収ポリマー粒子の急速な膨張によって、SAP-フラッフマトリックスの間質腔と孔隙が閉鎖されるときに起こる。膨張したヒドロゲル内の拡散による液体の運搬は、間質腔間の運搬よりも大幅に遅いので、体液の入る場所部分でシーリング効果が起きる。この効果はゲルブロッキングと呼ばれる。 ・・・ 【0009】 膨張速度のより遅い高吸収剤を作ることで、SAP-フラッフマトリックスの間質腔と孔隙の閉鎖、つまりゲルブロッキングを引き起こす、体液が吸収用品に入る場所の周りでの高吸収ポリマー粒子の急速な膨張を防ぐことにより、薄くて繊維の少ない次世代型の用品における流体の運搬および浸透性が保たれることがわかっている。したがって、浸透性を実現するために高吸収ポリマーの過度な架橋に頼ることなく、ゲルブロッキングを防ぐことが出来る。この技術分野において既知の吸収速度の遅い高吸収ポリマーは、吸収を遅らせる疎水処理またはコーティングのどちらかにより、低下した膨張率を実現する。疎水性は、バルクのポリマーの吸い上げ能力を減少させ、SAPが濡れることを防ぐ可能性があるので望ましくない。ゼラチンなどを用いたゆっくりと溶解するコーティングは、それが溶解して流体の運搬を妨げるにつれ、吸収用品内の流体の粘度を高める。 【0010】 したがって、本発明の目的は、疎水性や性能を妨げるコーティングなどを導入することなくポリマーの吸収速度を制限することで、吸収構造に基づき高吸収ポリマーの重さが割合で増加しても、高い液体の浸透性、親水性、および液体の保持力を保つ能力などの優れた特性を示す吸収ポリマーの組成を提供することである。」 (エ)「【0016】 本発明の他の実施形態で、高吸収ポリマーは架橋ポリマーであり、高吸収ポリマーは約5+10a2分以上の吸収時間を有し、aは高吸収物質の平均粒子サイズをミリメートル単位で表したものであり、約15g/g以上の液体容量と、約2秒以下の液滴浸透値と、約50%以下の1/2浮遊飽和率とを有する。好適には、このような高吸収ポリマーは、約20g/g以上のFAUZL液体容量と、20×10-9cm2以上のゲルベッド浸透性を示す。好適な一実施形態は、約25~約36g/gの液体容量と、約5~92×10-9cm2のゲルベッド浸透性とを有する、このような高吸収ポリマーである。 ・・・ 【0018】 本発明の高吸収ポリマーは、約55~約99.9重量%の、モノマーを含む重合可能な不飽和酸基の、初期重合によって得られる。アクリル酸、メタクリル酸、もしくは2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、またはこれらのモノマーの混合物など、カルボキシル基を含むものを含む適切なモノマーが、ここでは好適である。少なくとも約50重量%、より好適には少なくとも約75重量%の酸性基がカルボキシル基であることが好ましい。酸性基は少なくとも約25モル%程度まで、好ましくは25~80モル%程度まで中和され、すなわち酸性基は塩の形状で存在する。アクリル酸もしくはメタクリル酸の重合によって得られたポリマーを得ることが好ましく、そのカルボキシル基は、内部架橋剤の存在下で、50~80モル%程度まで中和される。」 (オ)「【実施例】 【0043】 本発明は、その範囲を何ら制限することない以下の実施例によってさらに説明される。一方手段は、この記載を読むことで本発明および/または添付の請求の範囲の精神から外れることなく当業者に示唆される、多様なその他の実施形態、改良、およびそれらと同等のものであってよいことが、明確に理解されるべきである。 (実施例1) アクリル酸28重量%水溶液は水酸化ナトリウムによって60モル%まで、水酸化カルシウムによってさらに10モル%が、40℃未満の温度に保つよう絶え間なく冷却を続けながら中和される。0.24重量%ポリエチレングリコール(300)ジアクリレートおよび0.3重量%アリルオキシポリエチレングリコール-アクリレートは部分的に中和したアクリル酸溶液に添加される。5℃まで冷却し、ニトロゲンによってオキシゲンを揮発させた後で、混合物は通常のラジカル連鎖重合技術により、10ppmのアスコルビン酸、100ppmの2,2’-アゾビス-(2-アミジノプロパン)二塩酸塩、70ppmの過酸化水素、および300ppmの過硫酸ナトリウムを添加して重合される。 【0044】 重合の終了後(約30分)、得られたゲル様ブロックは小さな断片に切り分けられ、10mm穴の金型から押し出される。そこでゲル粒子は、30分後にポリマーに対する気流の方向を180°反転させる強制換気式のオーブンで、150℃で120分の間乾燥される。乾燥したポリマーはレッチェピングラインダで粉砕され、150~850ミクロンの粒子サイズにふるいがけされる。 【0045】 そこでベースポリマーは、7.7重量%のエチレンカーボネート、30.8重量%の水、および61.5重量%のアセトンを含む6.5重量%の溶液で均一にコーティングされる。コーティングされたポリマーは25分間180℃に加熱された。」 (カ)「【0061】 表1は、これらおよびその他の高吸収物質の物質特性をまとめたものである。 【0062】 【表1】 」 (キ)「【0063】 試験方法 生理食塩水滴浸透試験、ゲルベッド浸透性(GBP)試験、浮遊度試験、平均粒子サイズ試験、およびゼロ荷重の水浸吸収度(FAUZL)試験を行う方法である。特に明記しない限り、下記の全ての試験方法で用いられる試験液は、Ricca Chemical Company(テキサス州アーリントン)で入手可能なものなどの0.9重量%塩化ナトリウム水溶液である。特に明記しない限り、全ての試験は約70°F、かつ10~60%の相対湿度で行われた。 ・・・ 【0064】 ・・・ ゼロ荷重での水浸吸収度(FAUZL) この試験は、粒子状の高吸収ポリマー(SAP)の、生理食塩水吸収速度を計測することを目的とする。試験は時間の関数として、0.01psi(0.069kPa)の決定された呼び圧力において、5.07cm2の面積に限定された場合の、0.160グラムの乾燥高吸収ポリマーに吸収される生理食塩水の量を計測する。得られた時間に対する吸収のデータから、平衡吸収容量の60%に達するまでの吸収時間が決定される。 ・・・ 【0069】 SAPの最終的な平衡吸収容量を決定する:90分時と120分時で得られたSAPの平均容量(3試験の平均)の変化が5%より少なければ、120分時で得られた容量を平衡容量、FAUZLとして用いる。平均容量の変化が5%より大きければ、サンプル試験は繰り返される必要があり、200分の累積浸漬時間の追加のサンプリングを含むことが必要となる。後者の場合は、200分時の容量を平衡容量、FAUZLとして用いる。 【0070】 平衡吸収容量の60%に達する補間時間を決定する。これは、平衡値の60%のときの容量を計算し、この容量に達するときに対応する時間をグラフから見積もることによりなされる。60%容量に達する補間時間(この手順による)は、見積もられた時間の両サイドにあるデータポイントと線形補間を行うことにより得られる。 【0071】 平衡容量(3試験の平均)の60%に達する補間時間の相加平均を計算する。この平均値は“吸収時間”と呼ばれる。 」 イ 甲6に記載された発明 上記アの記載、特に摘記事項(ア)の記載からみて、甲6には、次のとおりの発明(以下「甲6発明」という。)が記載されていると認められる。 「a)55~99.9重量%の、モノマーを含む重合可能な不飽和酸基と、b)0.001~5.0重量%の内部架橋剤と、c)0.001~5.0重量%の、粒子表面に塗布される表面架橋剤とを含み、d)組成は20%より高い中和度を有し、75℃以下の温度で、20~75モル%のモノマーを含む不飽和酸基が第1の中和剤で中和され、5~40モル%のモノマーを含む不飽和酸基が第2の中和剤で中和され、高吸収ポリマーは、10+10a2分以上の吸収時間を有し、aは高吸収物質の平均粒子サイズをミリメートル単位で表したものであり、25g/g以上の液体容量と、2秒以下の液滴浸透値と、50%以下の1/2浮遊飽和率とを有する、親水性の高吸収ポリマー。」 (2)本件発明1について ア 対比 本件発明1と甲6発明とを対比する。 甲6発明の「内部架橋剤」、「表面架橋剤」、「高吸収ポリマー」は、それぞれ、本件発明1の「内部架橋剤」、「後架橋剤」、「吸水性樹脂」に相当する。 また、甲6発明の「モノマーを含む重合可能な不飽和酸基」は、重合可能な不飽和酸基を有するモノマーのことであるから、本件発明1の「水溶性エチレン性不飽和単量体」と「不飽和単量体」の限りにおいて一致する。 そうすると、本件発明1と甲6発明とは、「不飽和単量体と内部架橋剤と後架橋剤との重合体架橋物である吸水性樹脂。」の点で一致し、以下の点で相違する。 (相違点A)本件発明1では、70~100モル%がアクリル酸及びその塩である水溶性エチレン性不飽和単量体を用いるのに対して、甲6発明では、モノマーを含む重合可能な不飽和酸基を用いる点。 (相違点B)吸水性樹脂が、本件発明1では、4.14kPa荷重下での生理食塩水の吸水能が吸水開始から120分経過後において20ml/g以上、120分経過後の生理食塩水の保水能が40~60g/gであるのに対して、甲6発明では、25g/g以上の液体容量を有する点。 (相違点C)吸水性樹脂が、本件発明1では、吸水開始から120分経過後の4.14kPa荷重下での生理食塩水の吸水能を荷重下膨潤度100%としたとき、30分経過後における荷重下膨潤度が70%以下であり、さらに240分経過後の荷重下膨潤度が110%以上であるのに対して、甲6発明では、10+10a2分以上の吸収時間(aは高吸収物質の平均粒子サイズをミリメートル単位で表したもの)を有する点。 イ 判断 (ア)相違点Aについて 甲6には、甲6発明の高吸収ポリマーは、約55~約99.9重量%の、モノマーを含む重合可能な不飽和酸基を重合したもの、好ましくはアクリル酸もしくはメタクリル酸を重合したものであることが記載されている(摘記事項(エ))。 また、甲6の実施例(摘記事項(オ))においても、「モノマーを含む重合可能な不飽和酸基」としてアクリル酸のみを用いて高吸収ポリマーを得ている。 そうしてみると、甲6発明において、本件発明1のように70~100モル%がアクリル酸及びその塩である水溶性エチレン性不飽和単量体を重合して高吸収ポリマーとすることは、当業者が容易になし得たことである。 (イ)相違点Bについて 吸水性樹脂の技術分野において、無荷重下での保水能、及び、荷重下での吸水能という、一方を高めると一方が低下する関係にある二つの物性を、バランス良く共に高くすることが求められているところ、吸水性樹脂を紙おむつ等に使用する状態を考慮すると、吸水開始からある程度の時間(例えば2時間程度)経過した場合においても、上記の二つの物性がいずれも高い方が好ましいことは、当業者にとって自明である。また、当該技術分野において、吸水性樹脂の吸水能を測定する際に4.14kPa荷重下で行うことは周知の技術事項である(例えば、甲8:【0067】~【0071】参照)。 甲6発明は、「25g/g以上の液体容量」を有するものであり、この「液体容量」は、FAUZL液体容量(ゼロ荷重での水浸吸収度。原則、120分時におけるグラムあたりの高吸収ポリマーに吸収された生理食塩水のグラムを表すものである。摘記事項(キ))、すなわち、具体的な測定方法が異なるため単純に数値を比較はできないものの、本件発明1の無荷重下での保水能である「120分経過後の生理食塩水の保水能(g/g)」に対応するものであるといえる。 そうすると、甲6発明において、無荷重下の保水能である「液体容量」をなるべく高くし、「120分経過後の生理食塩水の保水能」を40~60g/gに設定すること、及び、荷重下の吸水能である「120分経過後」の「4.14kPa荷重下での生理食塩水の吸水能」を20ml/g以上という値に設定することは、当業者が容易に想到することができたものということができる。 (ウ)相違点Cについて a 甲6の【背景技術】の欄には、膨張速度のより遅い高吸収剤を作ることで、ゲルブロッキングを引き起こす、体液が吸収用品に入る場所の周りでの高吸収ポリマー粒子の急速な膨張を防ぐことにより、流体の運搬及び浸透性が保たれることが知られていたことが記載されている(摘記事項(ウ))。甲6発明は、それを応用したものであって、ゲルブロッキングを防ぐために、疎水性や性能を妨げるコーティングなどを導入することなく、ポリマーの「吸収速度」を制限して、高い液体の浸透性や液体の保持力を保つ能力などの優れた特性を示す吸収ポリマーを与えることを目的とするものである(摘記事項(ウ))。 b 甲6発明においては、「吸収速度」の指標として、ゼロ荷重での、粒子状の高吸収ポリマー(SAP)の生理食塩水の吸収が平衡吸収容量の60%に達するまでの「吸収時間」が、「10+10a2分以上」であることを特定しており、「吸収時間」が長いことは、「吸収速度」が遅いことを意味する。 甲6における平衡吸収容量(平衡容量)の測定方法は、「0.01psi(0.069kPa)の決定された呼び圧力において、5.07cm2の面積に限定された場合の、0.160グラムの乾燥高吸収ポリマーに吸収される生理食塩水の量を計測」し、「90分時と120分時で得られたSAPの平均容量(3試験の平均)の変化が5%より少なければ、「120分時で得られた容量」を平衡容量とするものであり、「平均容量の変化が5%より大きければ、・・・200分の累積浸漬時間の追加のサンプリングを含むことが必要」となり、この場合は、「200分時の容量」を平衡容量とするものである(摘記事項(キ))。上記の「0.01psi(0.069kPa)」は、無視し得る程度の圧力であるから、この方法について「ゼロ荷重での水浸吸収度」と表記されていると解される。 また、甲6の【表1】(摘記事項(カ))において、実施例1~8の高吸収ポリマーの「吸収時間は8分~96.5分の範囲内にあることが記載され、例えば、「吸収時間」が30分以上である実施例2~6の高吸収ポリマーは、本件発明1の表記に倣うと、「吸水開始から120分経過後の無荷重下での生理食塩水の吸水能を膨潤度100%としたとき、30分経過後における膨潤度が70%以下」であることに、おおむね対応するものであるということができる。 しかしながら、甲6における「吸収時間」は、ゼロ荷重(無荷重)で測定したものであると解されるから、甲6には、荷重下における「吸収時間」を約30分以上とすること、すなわち、本件発明1の荷重下での生理食塩水の吸水能について「30分経過後における荷重下膨潤度が70%以下」とする技術思想が記載されているとはいえない。 また、甲6においては、追加のサンプリングを行わない場合、すなわち、原則的には、高吸収ポリマーの生理食塩水の吸収は、120分時には、90分時と「平均容量の変化が5%より少ない」ことを想定しているから、200分時の追加のサンプリングが必要である場合があることを考慮しても、120分時の平均容量に対して240分時の平均容量を10%以上も高めることが記載ないし示唆されていると解することはできない。 そうすると、甲6の記載に接した当業者が、甲6発明において、荷重下での生理食塩水の吸水能について、「吸水開始から120分経過後の・・・荷重下での生理食塩水の吸水能を荷重下膨潤度100%としたとき、30分経過後における荷重下膨潤度が70%以下であり、さらに240分経過後の荷重下膨潤度が110%以上」とする相違点Cに係る本件発明1の構成を採用することを、当業者が容易に想到することができたものとはいえない。 c 周知の技術事項について検討する。 上記(イ)に記載したように、吸水性樹脂の吸水能を測定する際に4.14kPa荷重下で行うことは周知の技術事項であり、また、上記(ウ)aに記載したように甲6の背景技術の欄(摘記事項(ウ))、あるいは甲7(【請求項1】、【0009】、【0010】、【0018】等)にも記載されるように、吸水速度を遅くし、吸水開始から緩やかに吸水させることによりゲルブロッキングを防ぎ、液の戻り量を少なくすることは周知の技術事項である。 上記の周知の技術事項を示す文献の一つである甲7の記載をみると、甲7には、吸収性物品において、ゲルブロッキングが生じ、水性液体を吸収しきれずに逆戻り量が増える等の問題を解決するするために(【0009】、【0010】)、「吸水開始から30秒後における人工尿の加圧吸水量が10g/g以下であり、吸水開始から30分後における人工尿の加圧吸水量が20g/g以上である吸水性樹脂と親水性繊維とを含む吸収体。」(【請求項1】)とすることが記載されている。 甲7に記載された吸水性樹脂は、「吸水開始30秒後の加圧吸水量が比較的少ないためにゲルブロッキングが生じにくく、吸水開始直後では水性液体の拡散が支配的となり、吸水開始30分後には吸水が支配的となるような性能を有している」(【0028】)ものであり、吸水性樹脂に対して5gの荷重(【0084】)下で加圧吸水量の測定を行っている。 そうすると、ゲルブロッキングを防ぐために「吸水速度」が遅いことの指標として、荷重下において120分後の吸水能を100%としたときに、30分後の吸水能を一定値以下とし、さらに240分後の吸水能を一定値以上とすることが、上記の周知の技術事項の範囲内で当業者が容易に行うことであるとする根拠があるとはいえない。 したがって、上記の周知の技術事項を考慮しても、甲6発明において、相違点Cに係る本件発明1の構成を採用することは、当業者が容易に想到することができたものとはいえない。 ウ 小括 以上のとおりであるから、本件発明1は、甲6発明及び周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、とすることはできない。 (3)本件発明2及び3 本件発明2及び3は、本件発明1をさらに特定するものであるから、本件発明1と同様の理由により、甲6発明及び周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではいえず、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、とすることはできない。 (4)特許異議申立人の主張について ア 特許異議申立人は、特許異議申立書において、甲6の表1の実施例6の吸水時間の記載からみて、甲6には、0.01psi(0.069kPa)荷重下での生理食塩水の吸水能が120分経過後において20ml/g以上であり、かつ、吸水開始から120分経過後の0.069kPa荷重下での生理食塩水の吸水能を荷重下膨潤度100%としたとき、30分経過後における荷重膨純度が70%以下である高吸収ポリマーが記載されており、甲8及び甲9の記載からみて、4.14kPa荷重下での生理食塩水の吸収能が、120分経過後において20ml/g以上である吸水性樹脂は、本件発明の優先日以前に普通に存在していたこと、及び、甲9の記載からみて、甲6の高吸収ポリマーを4.14kPa荷重下で測定した場合には、30分経過後における荷重下膨潤度がさらに低くなることは明らかであることから、甲6に記載の発明において、生理食塩水の吸水能を測定するときの荷重を4.14kPaとした場合には、本件発明1の構成C(4.14kPa荷重下での120分経過後の吸収能が20ml/g以上)及び構成D(4.14kPa荷重下で、120分経過後の荷重膨潤度100%としたとき、30分経過後における荷重下膨潤度が70%以下)は通常満たされる旨を主張する。 しかしながら、甲8及び甲9に記載された吸水性樹脂と、甲6発明とが、全く同じ物性を有するとする理由が何ら見出せないから、甲8及び甲9の記載に基づいて、直ちに、甲6発明が、上記構成C及びDを同時に満たすとする根拠に欠ける。 したがって、特許異議申立人の上記主張は採用できない。 イ 特許異議申立人は、意見書において、甲6の記載(甲6の日本語ファミリー文献である特表2007-505193号公報の【0069】)に基づけば、90分時と120分時で得られた粒子状の高吸収ポリマーの平均容量の変化が5%より大きい場合があり、かかる場合には、200分の累積浸漬時間の追加のサンプリングを行うことから、たとえ、200分後に平衡に近づくとしても、吸水開始から120分経過後の平均容量を100%としたとき、240分経過後の平均容量が110%以上であることは普通に予測できる旨を主張する。 しかしながら、甲6においては、120分時と240分時の平均容量の関係について言及する記載はないから、甲6発明に係る高吸収ポリマーが、ゼロ荷重(無荷重)で、240分時の平均容量が110%以上であることが予測できるとする具体的な根拠は見出せない。まして、4.14kPa荷重下でそうなることが予測できるとする根拠もない。 したがって、特許異議申立人の上記主張は採用できない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、当審において通知した取消理由(決定の予告)によっては、本件発明1ないし3に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件発明1ないし3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2016-700913

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