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特許異議申立

2021-700259

吸収性物品及びその製造方法

審判番号
2021-700259
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2019-055334
登録番号
6752320
請求日
2021年03月09日
審決日
2022年11月08日
公報発行日
2022年12月28日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】住友精化株式会社
  • 【権利者代理人】長谷川 芳樹
  • 【権利者代理人】清水 義憲
  • 【権利者代理人】沖田 英樹
  • 【異議申立人】株式会社 日本触媒
  • 【異議申立人代理人】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
審判長/審判官
  • 審判長 久保 克彦
  • 審判官 藤原 直欣
  • 審判官 藤井 眞吾
分類
P1651.113-Y (A61F) / P1651.121-Y (A61F) / P1651.536-Y (A61F) / P1651.537-Y (A61F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第113条、特許法第36条
データ出所
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特許第6752320号発明「吸収性物品及びその製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第6752320号の請求項1~4に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第6752320号の請求項1~4に係る特許(以下「本件特許」という)についての出願は、平成31年3月22日(優先権主張 平成31年1月30日)の特許出願であって、令和2年8月20日に特許権の設定登録がされたものである(特許掲載公報発行日:同年9月9日)。 本件特許異議の申立ては、令和3年3月9日に特許異議申立人株式会社日本触媒(以下「申立人」という。)により、請求項1~4に係る特許に対してされたものである。 当審より令和3年6月11日付で申立人に審尋を行い、令和3年8月16日に申立人から回答書が提出されている。 第2 本件発明 本件特許に係る発明は、その特許請求の範囲の請求項1~4に記載された事項により特定される次のとおりのものである(以下、それぞれの発明を「本件発明1」のように称することとする。)。 【請求項1】 液体不透過性シート、吸収体、及び液体透過性シートを備え、前記液体不透過性シート、前記吸収体及び前記液体透過性シートがこの順に配置されている、吸収性物品であって、 前記吸収体が、吸水性樹脂粒子を含み、 前記吸水性樹脂粒子が、(メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むエチレン性不飽和単量体に由来する単量体単位を有する架橋重合体を含む重合体粒子と、該重合体粒子の表面上に配置された複数の無機粒子と、を含み、 (メタ)アクリル酸及びその塩の割合が前記架橋重合体中の単量体単位全量に対して70~100モル%であり、 吸水速度指数I=(無加圧DWの10秒値)×6[mL/g]で、 吸水速度指数II=(無加圧DWの3分値)/3[mL/g]であるとき、 下記式: α=(I+II)/2 で算出される前記吸水性樹脂粒子の静的吸引指数αが5.0mL/g以上であり、 前記吸水性樹脂粒子の吸水速度指数Iが2mL/g以上であり、 前記吸水性樹脂粒子の吸水速度指数IIが8mL/g以上である、 吸収性物品。 【請求項2】 前記吸水性樹脂粒子の中位粒子径が、250~850μmである、請求項1に記載の吸収性物品。 【請求項3】 前記無機粒子がシリカ粒子である、請求項1又は2に記載の吸収性物品。 【請求項4】 吸水速度指数I=(無加圧DWの10秒値)×6[mL/g]で、 吸水速度指数II=(無加圧DWの3分値)/3[mL/g]であるとき、 下記式: α=(I+II)/2 で算出される静的吸引指数αが5.0mL/g以上で、吸水速度指数Iが2mL/g以上で、吸水速度指数IIが8mL/g以上である、吸水性樹脂粒子を選別することと、 選別された前記吸水性樹脂粒子を含む吸収体を、液体不透過性シート及び液体透過性シートの間に配置することと、 を含み、 前記吸水性樹脂粒子が、(メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むエチレン性不飽和単量体に由来する単量体単位を有する架橋重合体を含む重合体粒子と、該重合体粒子の表面上に配置された複数の無機粒子と、を含み、 (メタ)アクリル酸及びその塩の割合が前記架橋重合体中の単量体単位全量に対して70~100モル%である、 吸収性物品を製造する方法。 第3 特許異議の申立ての理由の概要 申立人の特許異議申立書(以下「申立書」という。)における主張は、以下のように要約される。 1 本件発明1~3は、以下の、それぞれ本件に係る特許出願の優先日前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である、(1)甲第3号証に記載された発明、(2)甲第4号証に記載された発明、(3)甲第7号証に記載された発明、(4)甲第15号証に記載された発明又は(5)甲第16号証に記載された発明。よって、本件発明1~3は、特許法29条1項3号に規定された発明に該当し、それらについての特許は、特許法113条2号に該当し、取り消されるべきである(以下、この理由を「取消理由1」という。申立書47~64ページ)。 2 本件発明4は、以下の、それぞれ本件に係る特許出願の優先日前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である、(1)甲第3号証に記載された発明に基づいて、(2)甲第4号証に記載された発明に基づいて、(3)甲第7号証に記載された発明に基づいて、(4)甲第15号証に記載された発明に基づいて、又は、(5)甲第16号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができた発明であるから、特許法29条2号に規定された発明に該当し、それについての特許は、特許法113条2号に該当し、取り消されるべきである(以下、この理由を「取消理由2」という。申立書64~69ページ)。 3 本件発明1~4は、以下の、それぞれ本件に係る特許出願の優先日前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である、(1)甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証、甲第8号証若しくは甲第9号証に記載された発明に基づいて(申立書80~85ページ)、(2)甲第5号証に記載された発明及び甲第1号証若しくは甲第2号証に記載された発明に基づいて(申立書69~74ページ)、(3)甲第8号証に記載された発明及び甲第1号証、甲第3号証、甲第4号証、甲第5号証若しくは甲第6号証に記載された発明に基づいて(申立書74~80ページ)、(4)甲第13号証に記載された発明及び甲第1号証若しくは甲第2号証に記載された発明に基づいて(申立書85~89ページ)、(5)甲第14号証に記載された発明及び甲第1号証若しくは甲第2号証に記載された発明に基づいて(申立書89~93ページ)、(6)甲第17号証に記載された発明及び甲第1号証若しくは甲第2号証に記載された発明に基づいて(申立書93~98ページ)、(7)甲第18号証に記載された発明及び甲第1号証若しくは甲第2号証に記載された発明に基づいて(申立書98~102ページ)、又は、(8)甲第19号証に記載された発明及び甲第1号証若しくは甲第2号証に記載された発明に基づいて(申立書102~106ページ)、当業者が容易に発明をすることができた発明であるから、特許法29条2項に規定された発明に該当し、それらについての特許は、特許法113条2号に該当し、取り消されるべきである(以下、この理由を「取消理由3」という。)。 4 本件発明1~4は無機粒子の種類の限定を欠き、また、本件発明1~4は無機粒子の使用量の限定を欠くため、本件特許の発明の詳細な説明の記載は、特許法36条4項1号に規定する要件を満たしておらず、また、本件特許の特許請求の範囲の記載は、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていないから、本件発明1~4についての特許は、特許法113条4号に該当し、取り消されるべきである(以下、この理由を「取消理由4」という。)。 記 甲第1号証 : 国際公開第2016/104374号 甲第2号証 : 国際公開第2011/086843号 甲第3号証 : 特開2006-68731号公報 甲第4号証 : 特開2005-111474号公報 甲第5号証 : 国際公開第2017/170605号 甲第6号証 : 国際公開第2018/155591号 甲第7号証 : 特開2012-236898号公報 甲第8号証 : 特開2012-12451号公報 甲第9号証 : 特開2011-178969号公報 甲第10号証、甲第11号証及び甲第12号証: 実験成績証明書 甲第13号証: 特開2009-19065号公報 甲第14号証: 特開2009-57496号公報 甲第15号証: 国際公開第2008/015980号 甲第16号証: 特開平2-227435号公報 甲第17号証: 特開昭60-163956号公報 甲第18号証: 特開平4-214736号公報 甲第19号証: 国際公開第2015/129917号 甲第20号証: 実験成績証明書 甲第21号証: 特許第5485805号公報 甲第22号証: Fredric L.Buchholz and Andrew T.Graham,Modern Superabsorbent Polymer Technology,1998年 甲第23号証: 特開2003-88552号公報 甲第24号証: 特開2000-342963号公報 甲第25号証: 日本アエロジル株式会社製品案内第10版,2020年1月 以下、各甲号証を「甲1」のように略称する。 第4 当審の判断 1 取消理由1(新規性)及び取消理由2(進歩性)について (1)甲3、甲4、甲7、甲15、甲16それぞれの記載事項及びそれに記載された発明は、次のとおりである。 ア 甲3(特開2006-68731号公報) (ア) 甲3には、図面とともに次の記載がある。 ・「【特許請求の範囲】 【請求項1】 酸基及び/又はその塩含有不飽和モノマーを重合してなり、略球状体、その凝集体又は略球状体由来の凝集体のうちの少なくとも1種である吸水性樹脂粒子を主成分とする粒子状吸水剤であって、下記(a)、(b)、(c)及び(d)を満たす粒子状吸水剤。 (a)生理食塩水への無加圧下吸収倍率(CRC)が32g/g以上 (b)質量平均粒子径(D50)が200μm以上400μm以下 (c)粒子径150μm未満の粒子の含有量が0質量%以上5質量%以下 (d)ガス検知管により測定される雰囲気濃度としての揮発性有機物の含有量が0ppm以上100ppm以下 … 【請求項3】 酸基及び/又はその塩含有不飽和モノマーを逆相懸濁重合してなる吸水性樹脂粒子を主成分とする粒子状吸水剤であって、下記(a)、(b)、(c)及び(d)を満たす粒子状吸水剤。 (a)生理食塩水への無加圧下吸収倍率(CRC)が32g/g以上 (b)質量平均粒子径(D50)が200μm以上400μm以下 (c)粒子径150μm未満の粒子の含有量が0質量%以上5質量%以下 (d)ガス検知管により測定される雰囲気濃度としての揮発性有機物の含有量が0ppm以上100ppm以下 … 【請求項6】 さらに、水不溶性無機微粒子を含んでなる請求項1から5のいずれかに記載の粒子状吸水剤。」 ・ 「【0027】 (2)不飽和モノマー 吸水性樹脂を構成する不飽和モノマー(以下、単にモノマーと略す)としては、アクリル酸及び/又はその塩を主成分として使用することが好ましい。 … 【0029】 また、アクリル酸以外のその他のモノマーを併用してもよく、その他のモノマーのみから吸水性樹脂を得てもよい。さらに使用されるモノマーとしては、メタクリル酸、(無水)マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、イタコン酸、ビニルスルホン酸、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリロキシアルカンスルホン酸及びそのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、N-ビニル-2-ピロリドン、N-ビニルアセトアミド、(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、イソブチレン、ラウリル(メタ)アクリレート等の水溶性又は疎水性不飽和モノマーがあり、これらが共重合成分とされ得る。 【0030】 本発明でアクリル酸(塩)以外のモノマーを用いる場合、本発明を達成するため、該アクリル酸(塩)以外のモノマー(但し、下記の架橋モノマーを除く)の使用割合は、主成分として用いるアクリル酸及びその塩との合計量に対して、好ましくは0~30モル%、より好ましくは0~10モル%、最も好ましくは0~5モル%とされる。」 ・ 「【0084】 (C)無機微粒子 本発明に係る吸水剤は、吸湿時のブロッキング防止のために無機微粒子、特に水不溶性無機微粒子を配合することが出来る。本発明に使用される無機粉末としては、具体的には例えば、二酸化珪素や酸化チタン等の金属酸化物、天然ゼオライトや合成ゼオライト等の珪酸(塩)、カオリン、タルク、クレー、ベントナイト等が挙げられる。このうち二酸化珪素及び珪酸(塩)がより好ましく、コールターカウンター法により測定された平均粒子径が0.001~200μmの二酸化珪素及び珪酸(塩)がさらに好ましい。また、ゼオライトで消臭機能を付与してもよく、好ましいゼオライトとしてSiO2 : Al2 O3 のは1:1~100、好ましくは1:2~10である。」 ・ 「【0105】 (18)吸収性物品 本発明の粒子状吸水剤の用途は特定に限定されないが、好ましくは、吸収体及び吸収性物品に使用される。 【0106】 本発明の吸収体は、上記の粒子状吸水剤を用いて得られる。なお、本発明で吸収体とは、粒子状吸水剤と親水性繊維とを主成分として成型された吸収材とのことであり、本発明の吸収体は、吸水剤と親水性繊維との合計質量に対する吸水剤の含有量(コア濃度)が、好ましくは20質量%以上100質量%以下、下限が、さらに好ましくは30質量%、特に好ましくは40質量%である。 【0107】 さらに、本発明の吸収性物品は、上記した本発明の吸収体、液透過性を有する表面シート、及び液不透過性を有する背面シートを備える。 【0108】 本発明の吸収性物品、特に子供用紙オムツ、大人用紙オムツや生理用ナプキンは、例えば繊維基材と吸水剤とをブレンドないしサンドイッチすることで吸収体(吸収コア)を作成し、吸収コアを液透過性を有する基材(表面シート)と液不透過性を有する基材(背面シート)とでサンドイッチして、必要に応じて、弾性部材、拡散層、粘着テープ等を装備することで、製造され得る。かかる吸収コアは密度0.06~0.50g/cc、坪量0.01~0.20g/cm2 の範囲に圧縮成形される。なお、用いられる繊維基材として は、親水性繊維、例えば、粉砕された木材パルプ、その他、コットンリンターや架橋セルロース繊維、レーヨン、綿、羊毛、アセテート、ビニロン等が例示できる。好ましくはそれらをエアレイドしたものである。」 ・ 「【0148】 [アクリル酸の製造例1] 市販のアクリル酸(アクリル酸ダイマー2000ppm、酢酸500ppm、プロピオン酸500ppm含有)を、無堰多孔板50段を有する高沸点不純物分離塔の塔底に供給して、還流比を1として蒸留し、マレイン酸やアクリル酸からなる二量体(アクリル酸ダイマー)等の除去後、さらに晶析を行なうことで、アクリル酸(アクリル酸ダイマー20ppm、酢酸50ppm、プロピオン酸50ppm含有)を得た。」 ・ 「【0151】 [実施例1] 攪拌機、還流冷却機、温度計、窒素ガス導入管及び滴下漏斗を付した2Lの四つ口セパラブルフラスコにシクロヘキサン1.0Lをとり、分散剤としてのショ糖脂肪酸エステル(第一工業薬品株式会社製、DK-エステルF-50、HLB=6)3.8gを加えて溶解させ、窒素ガスを吹き込んで溶存酸素を追い出した。フラスコ中に、製造例1のアクリル酸の中和物であるアクリル酸ナトリウム84.6g、製造例1のアクリル酸21.6g及びN,N’-メチレンビスアクリルアミド0.016gをイオン交換水197gに溶解し、さらにヒドロキシエチルセルロース(ダイセル化学工業株式会社製、HEC-ダイセルEP-850)0.4gを溶解させ、モノマー濃度35質量%のモノマー水溶液を調製した。このモノマー水溶液に過硫酸カリウム0.15gを加えて溶解させた後、窒素ガスを吹き込んで水溶液内に溶存する酸素を追い出した。次いでこのフラスコ内のモノマー水溶液を上記セパラブルフラスコに加えて攪拌することにより分散させた。その後、浴温を60℃に昇温して重合反応を開始させた後、2時間この温度に保持して重合を完了した。重合終了後、シクロヘキサンとの共沸脱水により含水ゲル中の水を留去した後、ろ過し、80℃で減圧乾燥し、球状のポリマー粉体を得た。得られたポリマー粉体の含水率は、5.6%であった。 【0152】 上記ポリマー100質量部に、プロピレングリコール0.5質量部と、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.03質量部と、1,4-ブタンジオール0.3質量部と、水2.7質量部とからなる表面架橋剤3.53質量部とを混合した。上記の混合物を210℃で45分間加熱処理した。表面架橋後さらに、水3質量部を添加して60℃で30分密閉して加熱し、850μmで分級することで造粒された粒子状吸水剤(1)を得た。得られた粒子状吸水剤(1)の無加圧下吸収倍率、1.9kPaでの加圧下吸収倍率、粒度分布、質量平均粒子径(D50)、対数標準偏差(σζ)及び粒子径150μm未満の質量百分率、水可溶分、耐尿性評価、吸収速度、吸湿ブロッキング率、揮発性有機溶媒、及び180℃での3時間加熱後の残存モノマーの含有量が表1及び表2に示される。」 ・ 「【0155】 [実施例2] 実施例1で得られた粒子状吸水剤(1)100質量部に微粒子状の二酸化ケイ素(日本アエロジル株式会社製、アエロジル200(1次粒子の平均粒子径12nm))0.3質量部を添加・混合(ドライブレンド)して、粒子状吸水剤(2)を得た。得られた粒子状吸水剤(2)を実施例1同様に評価した結果が、表1及び表2に示される。」 ・ 「【0162】 【表1】 [図:0001391983000001.jpg] 」 ・ 「【0163】 【表2】 [図:0001391983000002.jpg] 」 ・ 「【0158】 [実施例5,6] 実施例4で用いた粒子状吸水剤(1)を、実施例2及び3で得られた粒子状吸水剤(2)、(3)に変更することにより、評価用吸収体(2)及び(3)をそれぞれ得た。得られた評価用吸収体(2)及び(3)の戻り量を測定した。その評価結果が表3に示される。」 ・ 「【0164】 [図:0001391983000003.jpg] 」 ・ 「【0165】 本発明の粒子状吸水剤は、表1~3から分かるように、揮発性有機溶媒を含まないので、膨潤状態でゲルからの臭気がなく、吸収倍率、加圧下吸収倍率、吸収速度に優れたものである。質量平均粒子径及び対数標準偏差も、吸水剤の取り扱い性がよく、吸収性物品に使用された場合に高物性が示される範囲内にある。本発明の粒子状吸水剤を使用することにより、戻り量が少なく、高性能の吸収性物品(表3ではオムツ)が得られる。かかる本発明の粒子状吸水剤は、必要により無機微粒子、消臭剤等を添加することで、さらに高いブロッキング率、耐尿性、消臭性能をも示す。」 (イ) 甲3は、吸水性樹脂を主成分とする粒子状吸水剤を開示するもので、(i)粒子状吸収剤と繊維基材をブレンドないしサンドイッチすることで吸収体とし、当該吸収体を液透過性を有する表面シートと液不透過性を有する背面シートとでサンドイッチして吸収性物品を構成すること(特に段落【0108】参照)、(ii)粒子状吸収剤は、重合により得られるものであるがその主な原料たる不飽和モノマーとしてアクリル酸又はその塩を用いること及び好ましくはアクリル酸又はその塩外のモノマーを0~30%とすること(特に段落【0027】~【0030】参照)、(iii)吸湿時のブロッキング防止のために二酸化珪素や珪酸(塩)を配合できること(特に段落【0084】参照)等が記載されるところ、(iv)実施例2として、アクリル酸、アクリル酸ナトリウムが含まれたモノマー水溶液を重合反応させて得られた粒子状吸水剤であって、それに微粒子状の二酸化ケイ素が添加された、重量平均粒子径D50が381μmの粒子状吸水剤が開示される(特に段落【0151】【0152】【0155】【0162】【0163】参照)。 (ウ) これらから、上記(i)を踏まえて特に実施例2に係る粒子状吸水剤に着目すると、甲3には、次の発明が記載されていると認められる(以下、この発明を「甲3発明」という。)。 「吸収体が液透過性を有する表面シート、及び液不透過性を有する背面シートでサンドイッチされてなる吸収性物品であって、 前記吸収体が、粒子状吸収剤を含み、 前記粒子状吸収剤が、アクリル酸及びアクリル酸ナトリウム酸を含むモノマー水溶液を重合反応させて得られた粒子状吸収剤であって、該粒子状吸収剤に添加された微粒子状の二酸化ケイ素(アエロジル200)を含み、 前記粒子状吸収剤重量平均粒子径(D50)が381μmである、 吸収性物品。」 イ 甲4(特開2005-111474号公報) (ア)甲4には、図面とともに次の記載がある。 ・ 「【特許請求の範囲】 【請求項1】 アクリル酸およびその塩を含む単量体を重合して得られる架橋構造を有する吸水性樹脂が表面架橋された吸水性樹脂粒子を主成分とする吸水剤であって、 該吸水剤が、下記(a)~(e)の要件を満たす吸水剤。 (a)850μm未満で150μm以上の粒子が全体の90重量%以上 (b)粒度分布の対数標準偏差(σζ)が0.25~0.45 (c)0.9重量%食塩水の加圧下吸収倍率(AAPs)が20g/g以上 (d)0.9重量%食塩水の吸収倍率(CRCs)が29g/g以上、39g/g未満の範囲 (e)以下の式1で表される化学架橋指数が160以上 化学架橋指数=(CRCs)/(CRCdw)×1000 (式1) CRCs(g/g):0.9重量%食塩水の吸収倍率 CRCdw(g/g):純水の吸収倍率 … 【請求項8】 前記吸水剤が液透過性向上剤(F)を含む請求項1~7のいずれか一つに記載の吸水剤。 【請求項9】 前記通液性向上剤が多価金属化合物である請求項8に記載の吸水剤。」 ・ 「【0017】 また、本発明者らは、上記目的を解決すべく鋭意検討した結果、特定量の内部架橋剤および特定量の水溶性連鎖移動剤存在下に重合して得られた吸水性樹脂を、特定の粒度分布とし、特定の吸収倍率まで表面処理を行うことで、従来にない優れたゲル特性を有し、紙おむつ等の衛生材料の吸水体に使用された場合、優れた性能を示す吸水剤が得られることを見出した。」 ・ 「【0035】 本発明にかかる吸水剤の製法は、ある特定の吸水性樹脂を合成し、この吸水性樹脂を特定の粒度分布とし、さらに特定の表面処理剤で表面処理する製法である。また、本発明にかかる吸水剤は、必要に応じて、通液性向上剤を添加する製法である。 (1)吸水性樹脂粒子の製法 (1-1)単量体(A) 本発明で用いる単量体(A)は、アクリル酸および/またはその塩を主成分として含有してなっている。上記単量体(A)中におけるアクリル酸および/またはその塩の含有率は、吸水剤の吸収特性およびゲル特性をさらに向上させるために、70~100モル%であるのが好ましく、80~100モル%であるのがより好ましく、90~100モル%であるのが最も好ましい。 【0036】 上記アクリル酸塩としては、アクリル酸のナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩及びアミン塩等を例示することができる。好ましくは、ナトリウム塩が用いられる。上記単量体(A)は、その構成単位としてアクリル酸0~50モル%およびアクリル酸塩100~50モル%(但し、両者の合計量は100モル%以下とする)の範囲にあるものが好ましく、アクリル酸10~40モル%およびアクリル酸塩90~60モル%(但し、両者の合計量は100モル%以下とする)の範囲にあるものがより好ましい。 … 【0037】 本発明で用いる吸水性樹脂を得るための単量体(A)は、必要に応じて上記アクリル酸(塩)以外の単量体を含有していてもよい。 … 【0038】 本発明において、アクリル酸(塩)以外の単量体を用いる場合には、該アクリル酸(塩)以外の単量体は、単量体(A)の合計量に対して、好ましくは30モル%以下、より好ましくは10モル%以下の割合である。上記アクリル酸(塩)以外の単量体を上記の割合で用いることにより、最終的に得られる吸水性樹脂(または吸水剤)の吸収特性がより一層向上すると共に、吸水性樹脂(または吸水剤)をより一層安価に得ることができる。」 ・ 「【0078】 本発明の吸水性樹脂粒子(E)は、重量平均粒子径が好ましくは100~600μmの粒子状であり、より好ましく重量平均粒子径が200~500μmの粒子状であり、最も好ましくは250~450μmである。重量平均粒子径が100μm未満の場合は、得られる吸水剤の取り扱い性が悪く、またダストが多く、通液・拡散性が悪くなってしまう恐れがある。重量平均粒子径が600μmよりも大きい場合には、得られる吸水剤がダメージを受けやすくなり、物性の低下を招く恐れがある。」 ・ 「【0081】 上記より、本発明の吸水性樹脂粒子(E)は以下の(a)および(b)の要件を満たすことが好ましい。 【0082】 (a)850μm未満で150μm以上の粒子が全体の90重量%以上 (b)粒度分布の対数標準偏差(σζ)が0.25~0.45 本発明で使用される吸水性樹脂粒子は特に限定されないが、好ましくは前記の製法によって得られた吸水性樹脂粒子(E)である。 … (2)液透過性向上剤(F) 本発明の吸水剤は、吸水性樹脂粒子と液透過性向上剤を含む吸水性樹脂組成物であっても良い。以下に、本発明で使用される液透過性向上剤(F)について詳述する。 【0083】 本発明でいう液透過性向上剤(F)とは、吸水性樹脂粒子(吸水性樹脂粒子は特に限定されない)がそれを含むことでSFCが向上し得るような物質を示す。具体的には、液透過性向上剤とは、表面が架橋処理されてなる吸水性樹脂粒子と液透過性向上剤が混合されることによって得られる吸水剤のSFCが、添加されない吸水性樹脂粒子のSFCに比べて1(10-7・cm3・s・g-1)以上、好ましくは5(10-7・cm3・s・g-1)以上 向上する物質を示す。 … 液透過性向上剤(F)は吸水性樹脂粒子中の内部に含まれていても、表面に存在していても、近傍に存在していても良いが、好ましくは、表面またはその近傍に存在する。 … 【0084】 本発明で使用される液透過性向上剤(F)は、例えば、親水性の無機化合物が挙げられ、水不溶性親水性の無機微粒子や水溶性の多価金属塩などが好ましく用いられる。 … 本発明で使用される液透過性向上剤(F)が無機微粒子の場合、その粒子径は取り扱い性や添加効果の点から、500μm以下であることが好ましく、300μm以下であることがより好ましく、150μm以下であることが最も好ましい。前記粒子径は、1次粒子の粒子径である場合と2次粒子(造粒物、凝集体)の粒子径である場合の両方の場合を含む。非凝集体(1次粒子)のシリカやアルミナなどのように粒子の硬度が高く、衝撃力で容易に壊れない化合物の粒子を使用する場合は、凝集体や造粒物の1次粒子の粒子径は好ましくは5μm以下、より好ましくは1μm以下、最も好ましくは0.1μm以下である。 【0085】 これら本発明で使用する液透過性向上剤(F)の具体例としては、例えば、タルク、カオリン、フラー土、ベントナイト、活性白土、重晶石、天然アスファルタム、ストロンチウム鉱石、イルメナイト、パーライトなどの鉱産物;硫酸アルミニウム14~18水塩(または無水物)、硫酸カリウムアルミニウム12水塩、硫酸ナトリウムアルミニウム12水塩、塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、酸化アルミニウムなどのアルミニウム化合物類;その他の多価金属塩類;親水性のアモルファスシリカ(例、乾式法:トクヤマ社 ReolosilQS-20、沈殿法:DEGUSSA社 Sipernat22S, Sipernat2200)類;酸化ケイ素・酸化アルミ・酸化マグネシウム複合体(例、ENGELHARD社 Attagel#50)、酸化ケイ素・酸化アルミニウム複合体、酸化ケイ素・酸化マグネシウム複合体などの酸化物複合体類、を挙げる事が出来る。 … これらの粒子の中から親水性の粒子(例えば、硫酸アルミニウム14~18水塩や親水性のアモルファスシリカ)を選択して使用するのが好ましいが、粒子の親水性が低い場合は、粒子表面を親水性化合物で処理して親水化したものを使用すれば良い。これらのものを単独で用いても良いし、2種以上使用してもよい。」 ・ 「【0108】 本発明の吸水体とは血液や体液、尿などを吸収する、紙おむつ、生理用ナプキン、失禁パッド、医療用パッド等の衛生材料に用いられる、吸水剤とその他の素材からなる成形された組成物のことであり、用いられる素材の例としては、たとえば、セルロース繊維が挙げられる。 … 【0109】 上記方法により得られた吸水剤とセルロース繊維から吸水体を得るには、たとえば、セルロース繊維からなる紙やマットに吸水剤を散布し、必要によりこれらで挟持する方法、セルロース繊維と吸水剤を均一にブレンドする方法、など吸水体を得るための公知の手段を適宜選択できる。好ましくは、吸水剤とセルロース繊維を乾式混含した後、圧縮する方法である。この方法により、セルロース繊維からの吸水剤の脱落を箸しく抑えることが可能である。圧縮は加熱下に行うことが好ましく、その温度範囲は、たとえば50~200℃である。また、吸水体を得るために、特表平9-509591号(吸水性樹脂及び尿の中に含まれる少なくとも1種の成分と反応しうる吸収性改良重合体の混合物を含んでなる吸収性材料)、特開平9-290000号(吸水性樹脂とその表面で吸水性樹脂に結合したポリ陽イオン重合体と吸水性樹脂中に分散されたグルー微小繊維及びグルー微小繊維によって吸水性樹脂に結合した担体層からなる吸収性材料)、特開平10-265582号(具体的な方法を次に示す。吸収剤75重量部と、木材粉砕パルプ25重量部とを、ミキサーを用いて乾式混合した。次いで、得られた混合物を、400メッシュ(目の大きさ38μm)に形成されたワイヤースクリーン上にバッチ型空気抄造装置を用いて空気抄造することにより、120mm×350mmの大きさのウエブを成形した。さらに、このウエブを圧力2kg/cm2で5秒間プレスすることにより、秤量が約500g/m2吸収体を得た。続いて、液不透過性のポリプロピレンからなり、いわゆるレッグギャザーを有するバックシート(液不透過性シート)、上記の吸収体、及び、液透過性のポリプロピレンからなるトップシート(液透過性シート)を、両面テープを用いてこの順に互いに貼着すると共に、この貼着物に2つのいわゆるテープファスナーを取り付けることにより、吸収性物品(つまり、紙オムツ)を得た)などに記載されている方法も好ましく用いられる。」 ・ 「【0248】 (実施例15) 断熱材である発泡スチロールで覆われた内径80mm、容量1リットルのポリプロピレン製容器に、アクリル酸192.2g、ポリエチレングリコールジアクリレート(分子量523)2.79g、およびジエチレントリアミン5酢酸・5ナトリウム0.01gを混合した溶液(A)と、48.5重量%NaOH水溶液156.8gと40℃に調温したイオン交換水239.3gを混合した溶液(B)を、マグネチックスターラーで攪拌しながら(A)に(B)を開放系で一気に加え混合した。中和熱と溶解熱で液温が約100℃まで上昇した単量体水溶液(単量体濃度39重量%、中和率71.3モル%が得られた。さらに、この単量体水溶液に3重量%の過硫酸ナトリウム水溶液8.89gを加え、数秒攪拌した後すぐに、ホットプレート(NEO HOTPLATE H1-1000(株)井内盛栄堂製)により表面温度を100℃まで加熱された、内面にテフロン(登録商標)を貼り付けた底面250×250mmのステンレス製バット型容器中に開放系で注いだ。 【0249】 単量体水溶液がバットに注がれて間もなく重合は開始した。水蒸気を発生し上下左右に膨張発泡しながら重合は進行し、その後、底面よりもやや大きなサイズにまで収縮した。この膨張収縮は約1分以内に終了し、3分間重合容器中に保持した後、含水重合体を取り出した。 【0250】 この細分化された含水重合体を50メッシュの金網上に広げ、180℃で40min間熱風乾燥を行い、乾燥物をロールミルを用いて粉砕し、さらに目開き600μmのJIS標準篩で分級することにより、重量平均粒子径325μm、対数標準偏差(σζ)0.35の不定形破砕状の吸水性樹脂を得た。得られた吸水性樹脂のCRCsは31.4g/g、ゲル層膨潤圧は40.1kdyne/cm2であった。その他の諸物性を表12、13に示した。 【0251】 得られた吸水性樹脂粒子100重量部にエチレンカーボネート0.4重量部、プロピレングリコール1重量部、純水3重量部の混合液からなる表面架橋剤を混合した後、混合物を190℃で35分間加熱処理した。さらに、その粒子を目開き600μmのJIS標準篩を通過するまで解砕し、表面が架橋された吸水性樹脂を得た。得られた吸水剤(15)の諸物性を表12に示した。)」 ・ 「【0270】 (実施例20) 実施例15に記載の方法においてポリエチレングリコールジアクリレートを0.05モル%に変更した以外は同様の操作を行い、重量平均粒子径323μm、対数標準偏差(σζ)0.37の不定形破砕状の吸水性樹脂を得た。得られた吸水性樹脂のCRCsは43.5g/g、ゲル層膨潤圧は35.1kdyne/cm2であった。その他の諸物性を表12、13に示した。」 ・ 「【0282】 (実施例32) 実施例20で得られた吸水剤(20)100重量部に、ReolosilQS-20(親水性アモルファスシリカ、TOKUYAMA社製)0.3重量部を均一に混合し、吸水剤を得た。得られた吸水剤の諸物性を表14、15に示した。」 ・ 「【0296】 【表14】 [図:0001391983000004.jpg] 【0297】 【表15】 [図:0001391983000005.jpg] 」 (イ)甲4は、紙おむつ等の衛生材料に好適に用いることのできる吸水剤を開示するもので、(ア)吸水性樹脂を主成分とする吸水剤とセルロース繊維から吸水体を得て、バックシート(液不透過性シート)、該吸収体、及び、トップシート(液透過性シート)をこの順に互いに貼着して吸収性物品(紙オムツ)を構成すること(特に段落【0108】【0109】参照)、(イ)吸収剤は、重合により得られるものであるがその主な原料たる単量体としてアクリル酸又はその塩を用いること及び好ましくはアクリル酸又はその塩以外のモノマーを30%以下とすること(特に段落【0035】~【0038】参照)、(ウ)液透過性向上剤を添加することが好ましいこと(特に段落【0083】【0084】参照)、等が記載されるところ、(エ)実施例32として、アクリル酸、NaOH水溶液が混合された単量体水溶液を重合反応させて得られた吸水剤であって、親水性アモルファスシリカが添加・混合された、重量平均粒子径D50が330μmの吸水剤が開示される(特に段落【0248】~【0251】【0270】【0282】【0296】【0297】参照)。 これらから、特に実施例32に係る吸水剤に着目すると、甲4には、次の発明が記載されていると認められる(以下、この発明を「甲4発明」という。)。 「液不透過性シート、吸収体及び液透過性シートをこの順で貼着してなる吸収性物品であって、 前記吸収体が、吸水性樹脂を主成分とする吸収剤を含み、 前記吸収剤が、アクリル酸、NaOH水溶液が混合された単量体水溶液を重合反応させて得られた吸収剤であって、該吸収剤に添加された親水性アモルファスシリカを含み、 前記粒子状吸収剤重量平均粒子径(D50)が330μmである、 吸収性物品。」 ウ 甲7(特開2012-236898号公報) (ア)甲7には、図面とともに次の記載がある。 ・ 「【特許請求の範囲】 【請求項1】 2段以上の逆相懸濁重合反応により、水溶性エチレン性不飽和単量体から吸水性樹脂を製造する方法であって、 少なくとも1段の逆相懸濁重合反応において、他段の逆相懸濁重合反応とは互いに異なる水溶性ラジカル重合開始剤を使用することを特徴とする、 吸水性樹脂の製造方法。 ・・・・・・ 【請求項7】 以下(イ)~(ニ)の特徴を有する吸水性樹脂。 (イ)中位粒子径が200~800μm、かつ粒子径分布の均一度が1.0~2.2 (ロ)無荷重下の吸水量が35g/g以上、かつ荷重下の吸水量が15mL/g以上 (ハ)初期吸水速度が0.35mL/s以下、かつ中期吸水速度が0.20mL/s以上 (ニ)水可溶分が20質量%以下 【請求項8】 請求項6又は7に記載の吸水性樹脂と親水性繊維を含有する吸収体。 【請求項9】 請求項8に記載の吸収体を液体透過性シートと液体不透過性シートで挟持してなる吸収性物品。」 ・ 「【発明の効果】 【0015】 本発明によれば、適度な粒子径を有し、優れた吸水性能と衛生材料に好適な吸水速度を有し、水可溶分が少ない、衛生材料用途に適した吸水性樹脂を提供することができる。このような本発明の吸水性樹脂は、吸収体及び吸収性物品の材料として用いることができ、いかなる環境下においても(すなわち無荷重下、荷重下のいずれの場合であっても)吸収性能(浸透速度、逆戻り)に優れるため、衛生材料用途として最適である。」 ・ 「【0018】 水溶性エチレン性不飽和単量体 本発明の製造方法において使用される水溶性エチレン性不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸(本明細書においては、「アクリル」、及び「メタクリル」を合わせて「(メタ)アクリル」と表記し、「アクリレート」、及び「メタクリレート」を合わせて「(メタ)アクリレート」とそれぞれ表記する。以下同様)、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、及びその塩、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の非イオン性単量体、並びに、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のアミノ基含有不飽和単量体やその4級化物等を挙げることができる。これらの水溶性エチレン性不飽和単量体のなかでも、アクリル酸、メタクリル酸、及びそれらの塩、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミドが好ましく用いられる。これらの水溶性エチレン性不飽和単量体は、1種単独で使用してもよく、また2種以上組み合わせて使用してもよい。」 ・ 「【0040】 内部架橋剤 本発明の効果を高めるために、各段の懸濁重合反応において、水溶性ラジカル重合開始剤に加え、内部架橋剤を用いてもよい。」 ・ 「【0064】 かくして得られる吸水性樹脂の乾燥後における水分率は、流動性を持たせる観点から20質量%未満であり、好ましくは1~15質量%、より好ましくは3~10質量%である。また、流動性を向上させるために、非晶質シリカ粉末を添加してもよい。水分率は、実施例に記載の方法に従って測定される。」 ・ 「【0067】 本発明の吸水性樹脂の中位粒子径としては、例えば200~800μmが挙げられるが、衛生材料用途に好適に用いられる観点から、250~600μmがより好ましく、300~550μmがさらに好ましく、350~500μmがよりさらに好ましい。粉体としての流動性が悪く、かつ吸水時のゲルブロッキング現象を発生しやすい微粉末の使用を避け、吸収体の吸収性能を高める観点から、吸水性樹脂の中位粒子径は200μm以上であることが好ましく、吸収体のゴツゴツする感触を低減して、触感を改善するという観点から、吸水性樹脂の中位粒子径は800μm以下であることが好ましい。中位粒子径は、後述の実施例に記載の方法に従って測定される。」 ・ 「【0071】 本発明の吸水性樹脂の初期吸水速度は、例えば0.35mL/s以下が挙げられるが、液浸透の初期におけるゲルブロッキング現象の発生を抑制して吸収体における液拡散を促進させる観点から、好ましくは0.05~0.30mL/sであり、さらに好ましくは0.10~0.25mL/sである。液拡散させつつ、液浸透の初期における肌へのドライ感を確保する観点から、0.05mL/s以上がより好ましい。なお、本明細書において、初期吸水速度とは、吸水時間0~30秒間における1秒間あたりの液体の吸水量(mL)である。吸水性樹脂の初期吸水速度は、後述の実施例に記載の方法に従って測定される。 【0072】 本発明の吸水性樹脂の中期吸水速度は、例えば0.20mL/s以上が挙げられるが、液浸透の初期において拡散した液体を、吸収体から漏れが発生しない程度で速やかに吸収し、肌へのドライ感を確保する観点から、好ましくは0.25~0.60mL/sであり、さらに好ましくは0.30~0.50mL/sである。なお、本明細書において、中期吸水速度とは、吸水時間60~120秒間における1秒間あたりの液体の吸水量(mL)である。吸水性樹脂の中期吸水速度は、後述の実施例に記載の方法に従って測定される。」 ・ 「【0088】 (E)吸水性樹脂の初期吸水速度及び中期吸水速度 吸水性樹脂の初期吸水速度及び中期吸水速度は、図2に示す測定装置を用いて測定した。 当該測定装置は、ビュレット部1と導管2、測定台3、不織布4、架台6、クランプ7からなるものであった。ビュレット部1は、0.1mL単位で目盛が記載されたビュレット10の上部にゴム栓14、下部に空気導入管11とコック12が連結されており、さらに、ビュレット10の下部の先端にコック13を有していた。ビュレット部1はクランプ7で固定されていた。ビュレット部1と測定台3の間には、導管2が取り付けられており、導管2の内径は6mmであった。測定台3の中央部には、直径2mmの穴があいており、導管2が連結されていた。測定台3は架台6によって適切な高さに支持されていた。 このような測定装置Xを用いた、初期吸水速度及び中期吸水速度の測定は以下の手順によって実施した。測定は温度25℃、湿度45~75%の室内にて行なわれた。まずビュレット部1のコック12とコック13を閉め、25℃に調節された0.9質量%食塩水をビュレット10上部から入れ、ゴム栓14でビュレット上部の栓をした後、ビュレット部1のコック12、コック13を開けた。次に、気泡を除去しながら導管2内部に0.9質量%食塩水を満たし、測定台3中心部の導管口から出てくる0.9質量%食塩水の水面と、測定台3の上面とが同じ高さになるように測定台3の高さの調整を行った。 次いで、測定台3中心部の導管口に30×30mmに裁断した不織布4(目付量25g/m2の親水性レーヨンスパンレース)を敷き、平衡になるまで不織布に吸水させた。不織布が吸水している状態では、空気導入管11からビュレット10への気泡発生が見られたが、数分内に気泡発生が停止したことを確認して、平衡に到達したと判断した。平衡後、ビュレット10の目盛を読んで、ゼロ点を確認した。 別途、吸水性樹脂5を0.10g正確に測りとり、不織布4の中心部に一気に投入した。ビュレット10内の0.9質量%食塩水の減少量(すなわち、吸水性樹脂5の粒子が吸水した0.9質量%食塩水量)を順次読み取り、吸水性樹脂5の投入から起算して30秒後の0.9質量%食塩水の減量分Wc(g)を吸水性樹脂0.10gあたりの初期吸水量として記録した。なお、同様にして、吸水性樹脂5の投入から起算して60~120秒における0.9質量%食塩水の減量分Wd(g)を吸水性樹脂0.10gあたりの中期吸水量として記録した。測定は1種類の吸水性樹脂に対して5回実施し、最低値と最高値を除いた3点の平均値を用いた。 投入から30秒後に吸水性樹脂5が吸水した0.9質量%食塩水の量Wc(mL)を吸水性樹脂1gあたりの吸水量に変換し、さらに30(秒)で割って得られた商を、当該吸水性樹脂の初期吸水速度(mL/s)とした。すなわち、初期吸水速度(mL/s)=Wc÷(0.10×30)である。 また、投入から60~120秒の間に吸水性樹脂5が吸水した0.9質量%食塩水の量Wd(mL)を吸水性樹脂1gあたりの吸水量に変換し、さらに60(秒)で割って得られた商を、当該吸水性樹脂の中期吸水速度(mL/s)とした。すなわち、中期吸水速度(mL/s)=Wd÷(0.10×60)である。」 (イ)甲7は、吸水性樹脂、当該吸水性樹脂と親水性繊維を含有する吸収体(請求項8参照)及び当該吸収体を液体透過性シートと液体不透過性シートで挟持してなる吸収性物品(請求項9参照)を開示するものである。 請求項7に「吸水性樹脂」が記載され、さらに、請求項9に当該吸水性樹脂を用いた吸水性物品が記載されており、この吸水性物品において、(i)吸水性樹脂は水溶性エチレン性不飽和単量体から重合反応で製造されるものであり、当該水溶性エチレン性不飽和単量体として(メタ)アクリル酸及びその塩等を用いることができること(請求項1、段落【0018】参照)、(ii)吸水性樹脂の流動性を向上させるために非晶質シリカ粉末を添加してもよいこと(段落【0064】参照)を考慮すると、甲7には、次の発明が記載されていると認めることができる(以下、この発明を「甲7発明」という。)。 「吸収体を液体透過性シートと液体不透過性シートで挟持してなる吸収性物品であって、 前記吸収体が、吸水性樹脂粒子と親水性繊維を含有し、 前記吸水性樹脂粒子が、(メタ)アクリル酸及びその塩等の水溶性エチレン性不飽和単量体を重合してなる吸水性樹脂と、該吸水性樹脂の表面上に配置された複数の非晶質シリカ粉末と、を含み、 以下(a)~(d)の特徴を有する吸水性樹脂。 (a)中位粒子径が200~800μm、かつ粒子径分布の均一度が1.0~2.2 (b)無荷重下の吸水量が35g/g以上、かつ荷重下の吸水量が15mL/g以上 (c)初期吸水速度が0.35mL/s以下、かつ中期吸水速度が0.20mL/s以上 (d)水可溶分が20質量%以下」 エ 甲15(国際公開第2008/015980号) (ア)甲15には、図面とともに次の記載がある。 ・ 「請求の範囲 [1] 水溶性エチレン性不飽和単量体を水溶性ラジカル重合開始剤を用いて、要すれば架橋剤の存在下に重合し、吸水性樹脂粒子前駆体を得た後、後架橋剤を添加して粒子の表面層を架橋し、非晶質シリカ粒子を添加して得られる吸水性樹脂粒子であって、水分率が10~20%であり、粒子衝突試験前後における粒子径保持率が90%以上であることを特徴とする吸水性樹脂粒子。 [2] 粒子衝突試験前後における加圧吸水能保持率が60%以上であることを特徴とする請求項1記載の吸水性樹脂粒子。 [3] 水溶性エチレン性不飽和単量体を水溶性ラジカル重合開始剤を用いて、要すれば架橋剤の存在下に重合し、吸水性樹脂粒子前駆体を得た後、後架橋剤を添加して前記粒子の表面層を架橋し、非晶質シリカ粒子を添加して得られる吸水性樹脂粒子の水分率を10~20%に調整することを特徴とする、粒子衝突試験前後における粒子径保持率が90%以上である吸水性樹脂粒子の製造方法。 [4] 請求項1または2に記載の吸水性樹脂粒子と親水性繊維と透水性シートからなる吸収体。」 ・ 「発明が解決しようとする課題 [0009] 本発明の目的は、高い水分率において粉体流動性に優れ、粒子強度に優れ、機械的な衝撃を受けた後でも粒子径の保持率および加圧吸水能の保持率が高い吸水性樹脂粒子、その製造方法、およびそれを用いた吸収体を提供することにある。 課題を解決するための手段 [0010] すなわち、本発明は、水溶性エチレン性不飽和単量体を水溶性ラジカル重合開始剤を用いて、要すれば架橋剤の存在下に重合し、吸水性樹脂粒子前駆体を得た後 、後架橋剤を添加して粒子の表面層を架橋し、非晶質シリカ粒子を添加して得られる吸水性樹脂粒子であって、水分率が 10~20%であり、粒子衝突試験前後における粒子径保持率が90%以上であることを特徴とする吸水性樹脂粒子に関する。 [0011] 本発明は、また、水溶性エチレン性不飽和単量体を水溶性ラジカル重合開始剤を用いて、要すれば架橋剤の存在下に重合し、吸水性樹脂前駆体粒子を得た後、後架橋剤を添加して前記前駆体粒子の表面層を架橋し、非晶質シリカ粒子を添加して得られる吸水性樹脂粒子の水分率10~20%に調整することを特徴とする、粒子衝突試験前後における粒子径保持率が90%以上である吸水性樹脂粒子の製造方法に関する。 本発明は、さらに、上記の吸水性樹脂粒子を用いた吸収体に関する。」 ・ 「[0021] なお、酸基を有する単量体を中和する場合、その中和度は、水溶性エチレン性不飽和単量体の酸基の30~90モル%であることが好ましい。中和度が30%より低い場合、酸基がイオン化されにくぐ吸水能が低くなるため好ましくない。中和度が90%を超えると、衛生材として使用される場合、安全性等に問題が生ずる可能性があるため好ましくない。 [0022] 水溶性エチレン性不飽和単量体のうち好ましいものは、工業的に入手が容易である観点から、(メタ)アクリル酸またはその塩が挙げられる。 水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液の濃度は、20質量%~飽和濃度であることが好ましい。」 ・ 「[0027] 本発明においては、吸水性樹脂粒子前駆体を得た後、水溶性エチレン性不飽和単量体の官能基と反応性を有する官能基を2個以上含有する後架橋剤を添加して、前駆体粒子の表面層を架橋する。 … [0030] 前記後架橋剤の添加量は、重合に付された水溶性エチレン性不飽和単量体の総量100質量部に対して、好ましくは0.01~5質量部、より好ましくは 0. 03~3質量部である。後架橋剤の添加量が0.01質量部未満の場合、得られる吸水性樹脂粒子のゲル強度が弱くなり、また5質量部を越える場合、架橋密度が過度となるため、充分な吸水性を示さなくなるため好ましくない。」 ・ 「[0034] このようにして得られる本発明の吸水性樹脂粒子の質量平均粒子径は200~500μmであることが好ましく、250~400μmであることがより好ましい。質量平均粒子径が200μm未満であれば、粒子間の間隙が少なぐ吸収液の浸透性が低下し、ゲルブロッキングが生じやすくなるため好ましくない。また、質量平均粒子径が500μmを超えれば、吸水速度が遅くなりすぎ、吸収体に使用された場合、液モレが生じやすくなるため好ましくない。 なお、吸水性樹脂粒子の質量平均粒子径は、後述する「(5)質量平均粒子径」に記載されている測定方法に従って測定したときの値である。」 ・ 「[0036] 非晶質シリカ粒子の添加量は、吸水性樹脂粒子100質量部に対して 0.01~2質量部が好ましく0.1~1.5質量部がより好ましく、0.3~1質量部がさらに好ましく、0.5~0.7質量部がよりさらに好ましい。非晶質シリカ粒子の添加量が0.01質量部未満の場合、粉体流動性を向上する効果が低く、2質量部を超える場合、発塵度が高くなるため好ましくない。本発明の吸水性樹脂粒子は水分率が高く、非晶質シリカ粒子を粒子表面に効果的に付着することができる。 また、吸水性樹脂粒子に非晶質シリカ粒子を添加することにより、粒子間に間隙ができ、吸収液の浸透性が改善される。」 ・ 「[0041] また、本発明の吸収体が用いられる吸収性物品は、水性液体が透過しうる液体透過性シート(トップシート)と、水性液体が透過しない、液体不透過性シート(バックシート)との間に保持された構造を有する。液体透過性シートは、身体と接触する側に配され、液体不透過性シートは、身体と接触する側の反対側に配される。」 ・ 「[0045] 製造例1 内容積500mlの三角フラスコに80質量%のアクリル酸水溶液92gを入れ、氷冷しながら20.0質量%水酸化ナトリウム水溶液154.1gを滴下してアクリル酸の中和を行い、アクリル酸部分中和塩水溶液を調製した。得られたアクリル酸部分中和塩水溶液に、架橋剤としてN,N'-メチレンビスアクリルアミド9.2mgおよび水溶性ラジカル重合開始剤として過硫酸カリウム0.11gを添加し、これを単量体水溶液とした。 一方、攪拌機、2段パドル翼、還流冷却器、滴下ロートおよび窒素ガス導入管を備えた内容積2リットルの五つ口円筒型丸底フラスコに、n-ヘプタン340gと、界面活性剤として、ショ糖ステアリン酸エステル(三菱化学フーズ株式会社の商品名;リョートーシュガーエステルS-370) 0.92gを加えてn-ヘプタンに溶解させた後、上記の重合用の単量体水溶液を加えて35°Cに保ち攪拌下で懸濁した。その後、系内を窒素で置換後、70°Cの水浴を用いて昇温して逆相懸濁重合を行った。 [0046] 次いで、別に、内容積500mlの三角フラスコに80質量%のアクリル酸水溶液128.8gを入れ、氷冷しながら24.7質量%水酸化ナトリウム水溶液173.8gを滴下してアクリル酸の中和を行い、アクリル酸部分中和塩水溶液を調製した。得られたアクリル酸部分中和塩水溶液に、架橋剤としてN,N'-メチレンビスアクリルアミド12.9mgおよび水溶性ラジカル重合開始剤として過硫酸カリウム0.16gを添加し、これを第2段目の逆相懸濁重合用の単量体水溶液とした。 第1段目の逆相懸濁重合の終了後、重合スラリーを冷却し、第2段目重合用の単量体水溶液を系内に滴下し、23°Cに保ちながら30分間攪拌を行った。その後、系内を窒素で置換し、70°Cの水浴を用いて昇温して第2段目の逆相懸濁重合を行った。重合終了後、120°Cの油浴で加熱し、共沸蒸留により、266gの水を系外に除去し、2質量%エチレングリコールジグリシジルエーテル水溶液8.83gを添加し、80°Cで2時間保持し、後架橋処理を行った。さらに水および n-ヘプタンを蒸留により除去して乾燥し、質量平均粒子径が360μm、水分率5%の吸水性樹脂粒子 227.2gを得た。」 ・ 「[0049] 実施例3 製造例1と同様にして得られた吸水性樹脂粒子200gに非晶質シリカ粒子 2g((株)トクヤマ製、トクシールNP)を添加、混合後、内容積2リットルのセパラブルフラスコに入れ、撹拌しながら室温下、加湿機((株)トヨトミ製、ハイブリッド加湿器)により水添加量0.4L/hで45分間、セパラブルフラスコ内を加湿し、水分率17%の吸水性樹脂粒子を得た。」 ・「 [図:0001391983000006.jpg] 」 (イ)甲15は、紙おむつ等の衛生材料に好適に用いることのできる吸水性樹脂粒子を開示するもので、(i)吸収性樹脂粒子は、重合により得られるものであるがその主な原料として水溶性エチレン性不飽和単量体を用いること(請求の範囲[1]等参照)、(ii)吸収液の浸透性を改善するために非晶質シリカ粒子を吸水性樹脂粒子に添加すること(特に請求の範囲[3]、[0036]参照)、(iii)吸収性樹脂粒子を含んだ吸収体が液体透過性シートと液体不透過性シートとの間に保持されて吸収性物品を構成すること(特に[0041]参照)、等が記載されるところ、(iv)実施例3として、アクリル酸部分中和塩を含む単量体水溶液を重合反応させて得られた吸水性樹脂粒子であって、それに非晶質シリカ粒子が添加された、重量平均粒子径D50が372μmの吸水性樹脂粒子が開示される(特に[0045][0046][0049][0067]参照)。 これらから、上記(iii)を踏まえて特に実施例3に係る吸水性樹脂粒子に着目すると、甲15には、次の発明が記載されていると認められる(以下、この発明を「甲15発明」という。)。 「吸収体を液体透過性シートと液体不透過性シートとの間に保持してなる吸収性物品であって、 前記吸収体が、吸水性樹脂粒子を含み、 前記吸収性樹脂粒子が、アクリル酸部分中和塩を含む単量体水溶液を重合反応させて得られた吸収性樹脂粒子であって、該吸収性樹脂粒子に添加された非晶質シリカ粒子を含み、 前記吸収性樹脂粒子の重量平均粒子径(D50)が372μmである、 吸収性物品。」 オ 甲16(特開平2-227435号公報) (ア)甲16には、次の記載がある。 ・「2.特許請求の範囲 (1) 20秒以下の秒数の吸収速度をもち、本質的に吸水性で、少なくとも30ml/gの常圧吸収能を有するベースポリマー粒子からなり、多価イオン性架橋剤で表面架橋され、かつ前記ベースポリマー粒子よりも大きいサイズの粒子に造粒されてなる吸液性ポリマー組成物であって、前記吸液性ベースポリマー粒子が表面架橋及び造粒の前に、その300ミクロンより大きな粒子を実質的に含まず、かつ前記粒子の40%以上が150ミクロン以下の粒子からなる粒度分布を有することを特徴とする吸液性ポリマー組成物。 … (8) 吸液性ポリマー組成物と不活性で無機の親水性水不溶性化合物とからなる組成物であって、粒子サイズが150ミクロン以下でかつ見掛け密度が0.5g/mlより小さく、そのうち前記不活性の無機化合物が前記吸液性ポリマー組成物の重量に対して約0.5~20重量%の量で存在する請求項1~7のいずれか記載の組成物。 … (16) 請求項1~8のいずれか記載の吸液性ポリマー組成物を構成する吸液性構造物であって、前記構造物が2~50重量%と、この構造物に対して50~98%の親水性繊維とからなる吸液性物品。 (17) 液体不透過性の裏打ちシートと液体透過性の上面シートおよび前記裏打ちおよび上面シートの間に位置する請求項16記載の吸液性構造物の芯とからなる吸液性物品。」 ・「本発明における吸液体組成物は、上記した吸液性ベースポリマー粒子を高速混合ゾーンに導き、それらをおよそ0.05~10重量%のイオン性架橋剤を含む約1~20重量%のイオン性架橋剤水溶液と接触させる。」(4頁右上欄6行~10行) ・「本発明の吸液性のポリマー組成物は、細かい粒度分布をもつ吸液性ベースポリマーからなり、これらベースポリマーは表面架橋されているとともに、より大きな粒子群に造粒されている。これらの吸液性ポリマー組成物は、水のような流体を急速かつ効果的に吸液する能力を有する。 この記載の中で使われる場合の吸収速度は、次のような手順によって測定される。 水溶性染料を含む1.59%(W/V)食塩水を調製する。溶液を着色するに足る充分な量でどんな染料でも使用することができる。(例えば1000mlにつき0.001グラムのブリリアントクレシルブルーを添加する。) 着色した食塩水は充分に撹拌して溶解させ、かつ25℃±0.5℃の温度にする。次に1gの吸液性ポリマーを57mm径のアルミニウム皿(フィッシャー#08-732)の底面上に均一に広げる。30mlの食塩水を、1/2秒よりも短い時間で、皿の中央に素早く注ぐ。食塩水の急速な添加によって撹流が起こり、ポリマーの懸濁液が生成する。食塩水がポリマーに接すると同時にストップウオッチによる計時を開始し、サンプルを皿上の12~15インチの距離から観察する。皿上の内容物がゲル化したとき計時を止める。“ゲル化”とは流動溶液がサンプル表面に見られなくなった時点を言う。このような試験を各サンプルごとに5回行ない、平均時間を求める。 … 粒度分布を変えて行なった研究では、表面架橋および造粒の前の粒子サイズが細かければ細かいほど架橋され、造粒された粒子の吸収速度は速くなるということを証明している。」(4頁左下欄4行~5頁左上欄11行) ・「本発明の有用な吸液性ベースポリマーは、公知である。それらは架橋され部分的に中和されたポリアクリル酸(米国特許第4654039号明細書参照)、架橋され部分的に中和された澱粉-アクリル酸グラフトポリマー(米国特許第4076663号明細書)、架橋され部分的に中和されたイソブチレンとマイレン無水物のコポリマー(米国特許第4389513号明細書)、ビニルアセテート-アクリル酸コポリマーのケン化物(米国特許第4124748号明細書)、アクリルアミドポリマーあるいはアクリルアミドコポリマーの加水分解物(米国特許第3959569号明細書)、あるいはアクリロニトリルコポリマーの加水分解物(米国特許第3935099号明細書)から選ぶことができる。上記の特許が教示しているものは、参考文献によって具体化されている。上記の吸液性ベースポリマーのすべては、ベースポリマーが少なくとも30ml/gの常圧吸液能をもつ他のいかなる吸液性ポリマーと同様に、本発明における吸液性組成物を製造するために使用できる。部分的に中和され、架橋された上記吸液性物質は、おむつ、失禁者用治具、生理用ナプキン等のような吸液性物品を製造するために、フリーの酸基の少なくとも50モル%が中和されているべきである。研究によると、中和度が増加するにつれて、吸収速度が増大することを示しているけれども、本発明においては、50~95モル%の中和が、この高吸収速度の組成物を製造するのに有益であろう。」(6頁左下欄12行~右下欄20行) ・「本発明の組成物の吸収速度は、150ミクロンかそれ以下の(好ましくは150ミクロンよりも小さい)粒子サイズと0.5g/mlよりも少ない見掛け密度をもつ、不活性で無機の非疎水性、水不溶性化合物を添加することによって改善される。」(8頁左下欄15行~20行) ・「一般に上記された無機添加剤は、およそ0.5~20重量%;好ましくは0.5~10%、より好ましくは1.0~5%で、最も好ましくはおよそ1~3%の量で使用することができる。30%を超える添加剤の添加は、組成物内の吸液性ポリマーの量を減少させるゆえに、組成物の見掛けの吸収速度を低下させることになる。 本発明の組成物の吸収速度を改善するのに使用すべく見出だされた添加剤は、燻したシリカ、アルミニウム水酸化物、チタニウム酸化物、膨潤粘土等である。そのような無機化合物の粒子サイズ、見掛け密度および親水特性は、改善された吸収速度を得るのにコントロールできる因子であって、添加剤の化学的組成ではないということが判明した。」(9頁左上欄6行~20行) ・「実施例 1 吸水性で市販の、架橋され、部分的に中和された澱粉-アクリル酸グラフトポリマー[IM-1000 ヘキスト セラニーズ コーポレーション(以下HCC社)]をふるいにかけて次の表のような粒子サイズにした。架橋および造粒の前の化合物の典型的な分析結果は、次のとおりである。常圧吸収能(0.9%塩水中におけるg/g)-65、ゲル強度(剪断弾性率)-35,000dynes/cm2。各フラクションの一部を表面架橋および造粒し、次いで各フラクション(処理前後品)の吸収速度を測定した。次の方法で、各フラクションの表面架橋および造粒を効果的に行なった。 1,200ml量をもつ高速(12,000rpm)実験室用混合機の中に各吸液性ポリマーフラクション30gを入れた。10重量%のアルミニウムナトリウムサルフェート[AlNa(SO4)212H2O]水溶液を準備し、シリンジ(注入器)を用いて、この水溶液の1.5g(ポリマー重量に対する0.5%架橋剤を含む5%架橋剤溶液)を撹拌されたポリマーの中に注入した。アルミニウムナトリウムサルフェートの添加終了後,混合機を止め、ポリマーをおよそ40分間室温で放置した。次いで、必要に応じてふるいにかけて、はじめの粒子サイズに相当する粒子サイズにふるい分けした。アエロジル200の細かい二酸化硅素の粉体を、小さなプラスチックバッグの中で攪拌することによりふるい分けたポリマーのフラクション毎に混合した。」(9頁右上欄17行~右下欄5行) ・「実施例 5 クラレ株式会社のKI GEL(商品名)という市販の吸水性で架橋され、かつ部分的に中和されたイソブチレン-無水マレイン酸コポリマーを使用した以外は、実施例1と同じ操作を行なった。」(10頁左下欄15行~19行) (イ)甲16は、吸液性ポリマー組成物、当該吸液性ポリマー組成物と親水性繊維からなる吸液性構造物(請求項16参照)及び当該吸液性構造物を及び液体不透過性の裏打ちシートの間に位置させてなる吸吸液性物品(請求項17参照)を開示するものである。 この請求項1から「20秒以下の秒数の吸収速度をもち、本質的に吸水性で、少なくとも30ml/gの常圧吸収能を有するベースポリマー粒子からなり、多価イオン性架橋剤で表面架橋され、かつ前記ベースポリマー粒子よりも大きいサイズの粒子に造粒されてなる吸液性ポリマー組成物」が把握され、さらに、請求項8に当該吸液性ポリマー組成物と不活性で無機の親水性水不溶性化合物とからなる組成物が記載されている。この請求項8に係る吸液性組成物において、不活性で無機の親水性水不溶性化合物は、吸収速度を改善するために添加されるものであって、粒子状の燻したシリカ等が用いられる。 これらを踏まえると、吸液性物品として、甲16には、次の発明が記載されていると認めることができる(以下、この発明を「甲16発明」という。)。 「液体不透過性の裏打ちシート、吸液性構造物の芯、及び液体透過性の上面シートを備え、前記裏打ちシートおよび前記上面シートの間に前記吸液性構造物の芯が位置する吸液性物品であって、 前記吸液性構造物が、吸液性ポリマー組成物と親水性繊維からなり、 前記吸液性ポリマー組成物が、20秒以下の秒数の吸収速度をもち、本質的に吸水性で、少なくとも30ml/gの常圧吸収能を有するベースポリマー粒子からなり、多価イオン性架橋剤で表面架橋され、かつ前記ベースポリマー粒子よりも大きいサイズの粒子に造粒されてなり、 不活性で無機の粒子状の親水性水不溶性化合物を含む、 吸液性物品。」 (2)対比・判断 本件各発明を甲3発明、甲4発明、甲7発明、甲15発明、甲16発明の各々と対比し、その相違点について判断する。 ア 甲3発明に基づくもの (ア)本件発明1について a 本件発明1を甲3発明と対比する。 (a)甲3発明(以下「後者」ということがある)の「液不透過性を有する背面シート」、「液透過性を有する表面シート」、「微粒子状の二酸化ケイ素(アエロジル200)」は、それぞれ本件発明1(以下「前者」ということがある)の「液体不透過性シート」、「液体透過性シート」、「複数の無機粒子」にそれぞれ相当する。 そうすると、後者の「吸収体が液透過性を有する表面シート及び液不透過性を有する背面シートでサンドイッチされてなる吸収性物品」は、前者の「液体不透過性シート、吸収体、及び液体透過性シートを備え、前記液体不透過性シート、前記吸収体及び前記液体透過性シートがこの順に配置されている、吸収性物品」に相当する。 (b)後者の「アクリル酸及びアクリル酸ナトリウム酸を含むモノマー水溶液を重合反応させて得られた粒子状吸収剤」は、前者の「(メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むエチレン性不飽和単量体に由来する単量体単位を有する含架橋重合体を含む重合体粒子」に相当する。また、後者の「アクリル酸及びアクリル酸ナトリウム酸」の割合は、前者の「(メタ)アクリル酸及びその塩の割合が前記架橋重合体中の単量体単位全量に対して70~100モル%である」に含まれる。 後者の「微粒子状の二酸化ケイ素(アエロジル200)」は、前者の「複数の無機粒子」に相当するから、後者の「該粒子状吸収剤の表面上に添加された配置された複数の無機粒子微粒子状の二酸化ケイ素(アエロジル200)」は、前者の「該重合体粒子の表面上に配置された複数の無機粒子」に相当する。 後者の「微粒子状の二酸化ケイ素(アエロジル200)」が表面に添加された状態の「粒子状吸収剤」は、前者の「吸水性樹脂粒子」に相当する。 (c)そうすると、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。 [一致点] 液体不透過性シート、吸収体、及び液体透過性シートを備え、前記液体不透過性シート、前記吸収体及び前記液体透過性シートがこの順に配置されている、吸収性物品であって、 前記吸収体が、吸水性樹脂粒子を含み、 前記吸水性樹脂粒子が、(メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むエチレン性不飽和単量体に由来する単量体単位を有する含架橋重合体を含む重合体粒子と、該重合体粒子の表面上に配置された複数の無機粒子と、を含み、 (メタ)アクリル酸及びその塩の割合が前記架橋重合体中の単量体単位全量に対して70~100モル%である、吸収性物品。 [相違点] 本件発明1が「吸水速度指数I=(無加圧DWの10秒値)×6[mL/g]で、 吸水速度指数II=(無加圧DWの3分値)/3[mL/g]であるとき、 下記式: α=(I+II)/2 で算出される前記吸水性樹脂粒子の静的吸引指数αが5.0mL/g以上であり、 前記吸水性樹脂粒子の吸水速度指数Iが2mL/g以上であり、 前記吸水性樹脂粒子の吸水速度指数IIが8mL/g以上である」とされているのに対して、甲3発明ではそうした吸水速度指数I、吸水速度指数II、静的吸引指数αの値につき明らかでない点。 b 相違点について検討する。 (a)申立人は、甲13、甲16、甲21に言及し、甲3発明の吸水速度指数I、吸水速度指数II、静的吸引指数αが本件発明1の範囲内である蓋然性が高い旨主張する。 i 甲13には、後に「2(1)キ」で述べる事項が記載されたものであり、実施例として吸水速度が速い重合体粒子として日本アエロジル(株)製アエロジルのドライブレンドにより表面処理されたものが示されている。 甲16には、既に「1(1)オ」で述べた事項が記載されたものであり、実施例として日本アエロジル社のアエロジル200が混合された吸液性ポリマーの粒子が示されている。 甲21には、後に「2(1)シ」で述べる事項が記載されたものであり、吸水性樹脂に無機粉末等の疎水性材料を用いた疎水処理を施すと初期吸水時に膨潤しにくくゲルブロッキングが生じにくくなるため水性液体の拡散性が向上すること、吸水開始から30秒後における人工尿の加圧吸水量が10g/g以下とすること、等が示されている。 ii しかし、これらの甲号証のいずれにも、本件発明1で特定された吸水速度指数I、吸水速度指数II、静的吸引指数αの値が示されておらず、また、無加圧DWの10秒、3分の値に着目することを記載あるいは示唆するものではない。 iii そうすると、甲3発明が微粒子状の二酸化ケイ素(アエロジル200)を含むからといって、その吸水速度指数I、吸水速度指数II、静的吸引指数αの値が全て本件発明1におけるそれらの範囲に含まれるとまではいうことはできない。 (b)申立人が特許異議申立書に添付した甲10は、甲3の実施例2の実験成績証明書である。 これによれば、実施例2に係る粒子状吸収剤の静的吸引指数α、吸水性樹脂粒子の吸水速度指数I、吸水性樹脂粒子の吸水速度指数IIの値は、それぞれ、7.3(ml/g)、3.0(g/g)、11.6(g/g)である。 しかし、甲10に係る実験は、甲3の実施例2とは、用意されたアクリル酸、得られたポリマー粉末の含水率、表にまとめられた物性値に違いが存在している。 当審でこの点に付き申立人に審尋したところ回答書の提出があったが、当該回答書による説明は、一般的なものにとどまり、甲10に係る実験が、甲3の実施例2を正確に再現したものとして扱うことは合理的ではない。 そうすると、甲10の提出があったものの、甲3発明が本件発明1で特定された吸水速度指数I、吸水速度指数II、静的吸引指数αの値を備えているということはできない。 (c)したがって、相違点は、実質的なものであり、本件発明1は、甲3発明ではない。 (イ)本件発明2、3について 本件発明2、3は、いずれも、本件発明1の発明特定事項をすべて含んだ上に他の発明特定事項を付加してなるものであるから、本件発明1と同様に、甲3発明ではない。 (ウ)本件発明4について a 本件発明4を甲3発明と対比すると、既に述べた甲3発明と本件発明1の間の相当関係を踏まえれば、両発明の一致点は、本件発明1と甲3発明の一致点と同様であり、相違点は、本件発明1と甲3発明の相違点(以下、便宜的に「相違点1」と言い替える。)及び次のものである。 [相違点2] 本件発明4が吸収性物品を製造する方法に係るものであって、吸収性樹脂を「選別」する工程と、該吸収性樹脂を含む吸収体を、液体不透過性シート及び液体透過性シートの間に配置する工程が含まれることが特定されているのに対し、甲3発明は明らかでない点。 b 相違点1についての判断は、本件発明1と甲3発明の相違点についての判断が、ここでも当てはまるので、相違点2について検討するまでもなく、本件発明4は、甲3発明に基づいて当業者が容易になし得たものではない。 イ 甲4発明に基づくもの (ア)本件発明1について a 本件発明1を甲4発明と対比する。 甲4発明(以下、「後者」ということがある。)の「液不透過性シート、吸収体及び液透過性シートをこの順で貼着してなる吸収性物品」は、本件発明1(以下、「前者」ということがある。)の「液体不透過性シート、吸収体、及び液体透過性シートを備え、前記液体不透過性シート、前記吸収体及び前記液体透過性シートがこの順に配置されている、吸収性物品」に相当する。 後者の「アクリル酸、NaOH水溶液が混合された単量体水溶液を重合反応させて得られた吸収剤」は、前者の「(メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むエチレン性不飽和単量体に由来する単量体単位を有する含架橋重合体を含む重合体粒子」に相当する。また、後者の「アクリル酸及びその塩」の割合は、前者の「(メタ)アクリル酸及びその塩の割合が前記架橋重合体中の単量体単位全量に対して70~100モル%である」に含まれる。 後者の「親水性アモルファスシリカ」は、前者の「複数の無機粒子」に相当するから、後者の「該吸収剤に添加された親水性アモルファスシリカ」は、前者の「該重合体粒子の表面上に配置された複数の無機粒子」に相当する。 後者の「親水性アモルファスシリカ」が表面に添加された状態の「吸収剤」は、前者の「吸水性樹脂粒子」に相当する。 そうすると、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。 [一致点] 液体不透過性シート、吸収体、及び液体透過性シートを備え、前記液体不透過性シート、前記吸収体及び前記液体透過性シートがこの順に配置されている、吸収性物品であって、 前記吸収体が、吸水性樹脂粒子を含み、 前記吸水性樹脂粒子が、(メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むエチレン性不飽和単量体に由来する単量体単位を有する含架橋重合体を含む重合体粒子と、該重合体粒子の表面上に配置された複数の無機粒子と、を含み、 (メタ)アクリル酸及びその塩の割合が前記架橋重合体中の単量体単位全量に対して70~100モル%である、吸収性物品。 [相違点] 本件発明1が「吸水速度指数I=(無加圧DWの10秒値)×6[mL/g]で、 吸水速度指数II=(無加圧DWの3分値)/3[mL/g]であるとき、 下記式: α=(I+II)/2 で算出される前記吸水性樹脂粒子の静的吸引指数αが5.0mL/g以上であり、 前記吸水性樹脂粒子の吸水速度指数Iが2mL/g以上であり、 前記吸水性樹脂粒子の吸水速度指数IIが8mL/g以上である」とされているのに対して、甲4発明ではそうした吸水速度指数I、吸水速度指数II、静的吸引指数αの値につき明らかでない点。 b 相違点について検討する。 (a)申立人が言及する甲13、甲16、甲21については、既に本件発明1と甲3発明との対比・判断で述べたのと同様である(「1(2)ア(ア)b(a)」)。 (b)申立人が特許異議申立書に添付した甲11は、甲4の実施例32の実験成績証明書である。 これによれば、実施例32に係る吸収剤の静的吸引指数α、吸水速度指数I、吸水速度指数IIの値は、それぞれ、10.5(ml/g)、12(g/g)、9.1(g/g)である。 しかし、甲11に係る実験は、甲4の実施例32とは、分級後の吸水性樹脂の重量平均粒子径、対数標準偏差(σζ)、CRCs、表にまとめられた物性値に違いが存在している。 当審でこの点に付き申立人に審尋したところ回答書の提出があったが、当該回答書による説明は、一般的なものにとどまり、甲11に係る実験が、甲4の実施例32を正確に再現したものとして扱うことは合理的ではない。 そうすると、甲11の提出があったものの、甲4発明が本件発明1で特定された吸水速度指数I、吸水速度指数II、静的吸引指数αの値を備えているということはできない。 (c)したがって、相違点は、実質的なものであり、本件発明1は、甲4発明ではない。 ちなみに、当業者が甲4発明に接したときに、吸水速度指数I、吸水速度指数II、静的吸引指数αが認識されるものではないから、甲4発明に基づいて本件発明1で特定された吸水速度指数I、吸水速度指数II、静的吸引指数αの値を備えたものを当業者が容易に想到し得たといえるものでもない。 (イ)本件発明2、3について 本件発明2、3は、いずれも、本件発明1の発明特定事項をすべて含んだ上に他の発明特定事項を付加してなるものであるから、本件発明1と同様に、甲4発明ではないといえる。 ちなみに、本件発明2、3は、いずれも、甲4発明に基づいて当業者が容易に想到し得たといえるものでもない。 (ウ)本件発明4について a 本件発明4を甲4発明と対比すると、既に述べた甲4発明と本件発明1との間の相当関係を踏まえれば、両発明の一致点は、本件発明1と甲4発明の一致点と同様であり、相違点は、上記本件発明1と甲4発明の相違点(以下、便宜的に「相違点1」と言い替える。)に加え、次の相違点2である。 [相違点2] 本件発明4は、吸収性物品を製造する方法に係るものであって、吸収性樹脂を「選別」する工程と、該吸収性樹脂を含む吸収体を、液体不透過性シート及び液体透過性シートの間に配置する工程が含まれることが特定されているのに対し、甲4発明は明らかでない点。 b 相違点1についての判断は、本件発明1と甲4発明の相違点についての判断が、ここでも当てはまるので、相違点2について検討するまでもなく、本件発明4は、甲4発明に基づいて当業者が容易になし得たものではない。 ウ 甲7発明に基づくもの (ア)本件発明1について a 本件発明1を甲7発明と対比する。 甲7発明(以下「後者」ということがある)における「(メタ)アクリル酸及びその塩等の水溶性エチレン性不飽和単量体を重合してなる吸水性樹脂」は、本件発明1(以下「前者」ということがある)の「(メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むエチレン性不飽和単量体に由来する単量体単位を有する架橋重合体を含む重合体粒子」と、「エチレン性不飽和単量体に由来する単量体単位を有する架橋重合体を含む重合体粒子」である点で一致する。 後者の「非晶質シリカ粉末」は、前者の「複数の無機粒子」に相当する。 後者の「特徴」「(a)中位粒子径が200~800μm、かつ粒子径分布の均一度が1.0~2.2 (b)無荷重下の吸水量が35g/g以上、かつ荷重下の吸水量が15mL/g以上 (c)初期吸水速度が0.35mL/s以下、かつ中期吸水速度が0.20mL/s以上 (d)水可溶分が20質量%以下」と前者の「吸水速度指数I=(無加圧DWの10秒値)×6[mL/g]で、 吸水速度指数II=(無加圧DWの3分値)/3[mL/g]であるとき、下記式: α=(I+II)/2 で算出される前記吸水性樹脂粒子の静的吸引指数αが5.0mL/g以上であり、前記吸水性樹脂粒子の吸水速度指数Iが2mL/g以上であり、前記吸水性樹脂粒子の吸水速度指数IIが8mL/g以上である」は、それぞれ特定の吸水速度を備えるという点で一致する。 したがって、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。 [一致点] 液体不透過性シート、吸収体、及び液体透過性シートを備え、前記液体不透過性シート、前記吸収体及び前記液体透過性シートがこの順に配置されている、吸収性物品であって、 前記吸収体が、吸水性樹脂粒子を含み、 前記吸水性樹脂粒子が、エチレン性不飽和単量体に由来する単量体単位を有する架橋重合体を含む重合体粒子と、該重合体粒子の表面上に配置された複数の無機粒子と、を含み、 前記吸水性樹脂が特定の吸水速度を備えた、 吸収性物品。 [相違点1] エチレン性不飽和単量体について、本件発明1では「(メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含」み、「(メタ)アクリル酸及びその塩の割合が前記架橋重合体中の単量体単位全量に対して70~100モル%」であるとされているのに対して、甲7発明では「(メタ)アクリル酸及びその塩等の水溶性エチレン性不飽和単量体」である点。 [相違点2] 吸水性樹脂の吸水速度について、本件発明1では「吸水速度指数I=(無加圧DWの10秒値)×6[mL/g]で、 吸水速度指数II=(無加圧DWの3分値)/3[mL/g]であるとき、 下記式: α=(I+II)/2 で算出される前記吸水性樹脂粒子の静的吸引指数αが5.0mL/g以上であり、 前記吸水性樹脂粒子の吸水速度指数Iが2mL/g以上であり、 前記吸水性樹脂粒子の吸水速度指数IIが8mL/g以上である」とされているのに対して、甲7発明では、そうした吸水速度指数I、吸水速度指数II、静的吸引指数αの値につき明らかでなく、「無荷重下の吸水量が35g/g以上、かつ荷重下の吸水量が15mL/g以上」、「初期吸水速度が0.35mL/s以下、かつ中期吸水速度が0.20mL/s以上」とされている点。 b 事案に鑑み、相違点2から検討する。 甲7発明における“初期吸水速度”は、吸水時間0~30秒間における1秒間あたりの液体の吸水量のことであるが、これは、投入から30秒後の吸水量の計測に基づくものである(段落【0071】【0088】参照)。 そうすると、その値が0.35mL/s以上であるからといって、当業者にとってこのことから無加圧DWの10秒値により求める吸水速度指数Iが2mL/g以上であり、無加圧DWの3分値により求める吸水速度指数IIが8mL/g以上であることが導かれるというものではない。 同様に、甲7発明における“中期吸水速度”は、吸水時間60~120秒間における1秒間あたりの液体の吸水量のことであるが、投入から60~120秒後の吸水量の計測に基づくものであり(段落【0072】【0088】参照)、その値が0.20mL/s以上であるからといって、当業者にとって無加圧DWの10秒値により求める吸水速度指数Iが2mL/g以上であり、無加圧DWの3分値により求める吸水速度指数IIが8mL/g以上であることが導かれるものではない。 したがって、相違点2は、実質的なものというべきであるから、相違点1について検討するまでもなく、本件発明1は、甲7発明ではない。 (イ)本件発明2、3について 本件発明2、3は、いずれも、本件発明1の発明特定事項をすべて含んだ上に他の発明特定事項を付加してなるものであるから、本件発明1と同様に、甲7発明ではないといえる。 (ウ)本件発明4について a 本件発明4を甲7発明と対比すると、既に述べた甲7発明と本件発明1の間の相当関係を踏まえれば、両発明の一致点は、本件発明1と甲7発明の一致点と同様であり、相違点は、本件発明1と甲7発明の相違点1、2及び次のものである。 [相違点3] 本件発明4が吸収性物品を製造する方法に係るものであって、吸収性樹脂を「選別」する工程と、該吸収性樹脂を含む吸収体を、液体不透過性シート及び液体透過性シートの間に配置する工程が含まれることが特定されているのに対し、甲7発明は明らかでない点。 b 相違点2についての判断は、本件発明1と甲7発明の相違点についての判断が、ここでも当てはまるので、相違点1、3について検討するまでもなく、本件発明4は、甲7発明に基づいて当業者が容易になし得たものではない。 エ 甲15発明に基づくもの (ア)本件発明1について a 本件発明1を甲15発明と対比する。 甲15発明(以下「後者」ということがある)の「吸収体を液体透過性シートと液体不透過性シートとの間に保持してなる吸収性物品」は、本件発明1(以下「前者」ということがある)の「液体不透過性シート、吸収体、及び液体透過性シートを備え、前記液体不透過性シート、前記吸収体及び前記液体透過性シートがこの順に配置されている、吸収性物品」に相当する。 後者の「アクリル酸部分中和塩を含む単量体水溶液を重合反応させて得られた吸収性樹脂粒子」は、前者の「(メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むエチレン性不飽和単量体に由来する単量体単位を有する含架橋重合体を含む重合体粒子」に相当する。また、後者の「アクリル酸及びその塩」の割合は、前者の「(メタ)アクリル酸及びその塩の割合が前記架橋重合体中の単量体単位全量に対して70~100モル%である」に含まれる。 後者の「非晶質シリカ粒子」は、前者の「複数の無機粒子」に相当するから、後者の「該吸収性樹脂粒子に添加された非晶質シリカ」は、前者の「該重合体粒子の表面上に配置された複数の無機粒子」に相当する。 後者の「非晶質シリカ粒子」が表面に添加された状態の「吸収性樹脂粒子」は、前者の「吸水性樹脂粒子」に相当する。 そうすると、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。 [一致点] 液体不透過性シート、吸収体、及び液体透過性シートを備え、前記液体不透過性シート、前記吸収体及び前記液体透過性シートがこの順に配置されている、吸収性物品であって、 前記吸収体が、吸水性樹脂粒子を含み、 前記吸水性樹脂粒子が、(メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むエチレン性不飽和単量体に由来する単量体単位を有する含架橋重合体を含む重合体粒子と、該重合体粒子の表面上に配置された複数の無機粒子と、を含み、 (メタ)アクリル酸及びその塩の割合が前記架橋重合体中の単量体単位全量に対して70~100モル%である、吸収性物品。 [相違点] 本件発明1が「吸水速度指数I=(無加圧DWの10秒値)×6[mL/g]で、 吸水速度指数II=(無加圧DWの3分値)/3[mL/g]であるとき、 下記式: α=(I+II)/2 で算出される前記吸水性樹脂粒子の静的吸引指数αが5.0mL/g以上であり、 前記吸水性樹脂粒子の吸水速度指数Iが2mL/g以上であり、 前記吸水性樹脂粒子の吸水速度指数IIが8mL/g以上である」とされているのに対して、甲15発明ではそうした吸水速度指数I、吸水速度指数II、静的吸引指数αの値につき明らかでない点。 b 上記相違点について検討する。 (a)申立人が言及する甲13、甲16、甲21については、既に本件発明1と甲3発明との対比・判断で述べたと同様である(「1ア(イ)b(a)」)。 (b)申立人が特許異議申立書に添付した甲20は、甲15の実施例3の実験成績証明書である(なお、甲20の表における「甲第8号証」は、「甲第15号証」の誤記と認める。)。 これによれば、実施例3に係る吸収性樹脂粒子の静的吸引指数α、吸水速度指数I、吸水速度指数IIの値は、それぞれ、14.2(ml/g)、2.7(g/g)、42.5(g/g)である。 しかし、甲20に係る実験は、甲15の実施例3とは、後架橋処理、乾燥の後の吸水性樹脂粒子の重量平均粒子径、量、表にまとめられた物性値に違いが存在している。 当審でこの点に付き申立人に審尋したところ回答書の提出があったが、当該回答書による説明は、一般的なものにとどまり、甲20に係る実験が、甲15の実施例3を正確に再現したものとして扱うことは合理的ではない。 そうすると、甲20の提出があったものの、甲15発明が本件発明1で特定された吸水速度指数I、吸水速度指数II、静的吸引指数αの値を備えているということはできない。 (c)したがって、相違点は、実質的なものであり、本件発明1は、甲15発明ではない。 (イ)本件発明2、3について 本件発明2、3は、いずれも、本件発明1の発明特定事項をすべて含んだ上に他の発明特定事項を付加してなるものであるから、本件発明1と同様に、甲15発明ではない。 (ウ)本件発明4について a 本件発明4を甲15発明と対比すると、既に述べた甲15発明と本件発明1の間の相当関係を踏まえれば、両発明の一致点は、本件発明1と甲15発明の一致点と同様であり、相違点は、本件発明1と甲15発明の相違点(以下、便宜的に「相違点1」と言い替える。)に加えて、次の相違点2である。 [相違点2] 本件発明4が吸収性物品を製造する方法に係るものであって、吸収性樹脂を「選別」する工程と、該吸収性樹脂を含む吸収体を、液体不透過性シート及び液体透過性シートの間に配置する工程が含まれることが特定されているのに対し、甲15発明は明らかでない点。 b 相違点1についての判断は、本件発明1と甲4発明の相違点についての判断が、ここでも当てはまるので、相違点2について検討するまでもなく、本件発明4は、甲15発明に基づいて当業者が容易になし得たものではない。 オ 甲16発明に基づくもの (ア)本件発明1について a 本件発明1を甲16発明と対比する。 甲16発明(以下「後者」ということがある)における「液体不透過性の裏打ちシート」、「吸液性構造物の芯」、「液体透過性の上面シート」、「吸液性物品」は、それぞれ、本件発明1(以下「前者」ということがある)の「液体不透過性シート」、「吸収体」、「液体透過性シート」、「吸収性物品」に相当する。 後者の「吸液性ポリマー組成物」は、粒子状であるので、前者の「吸水性樹脂粒子」に相当する。 後者の「ベースポリマー粒子」は、前者の「重合体粒子」に相当する。 後者の「不活性で無機の粒子状の親水性水不溶性化合物」は、前者の「複数の無機粒子」に相当する。 後者の「20秒以下の秒数の吸収速度をもち」と前者の「吸水速度指数I=(無加圧DWの10秒値)×6[mL/g]で、 吸水速度指数II=(無加圧DWの3分値)/3[mL/g]であるとき、下記式: α=(I+II)/2 で算出される前記吸水性樹脂粒子の静的吸引指数αが5.0mL/g以上であり、前記吸水性樹脂粒子の吸水速度指数Iが2mL/g以上であり、前記吸水性樹脂粒子の吸水速度指数IIが8mL/g以上である」は、それぞれ特定の吸水速度を備えるという点で一致する。 したがって、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。 [一致点] 液体不透過性シート、吸収体、及び液体透過性シートを備え、前記液体不透過性シート、前記吸収体及び前記液体透過性シートがこの順に配置されている、吸収性物品であって、 前記吸収体が、吸水性樹脂粒子を含み、 前記吸水性樹脂粒子が、重合体粒子と、該重合体粒子の表面上に配置された複数の無機粒子と、を含み、 前記吸水性樹脂が特定の吸水速度を備えた、 吸収性物品。 [相違点1] エチレン性不飽和単量体について、本件発明1では「(メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むエチレン性不飽和単量体に由来する単量体単位を有する架橋重合体を含」み、「(メタ)アクリル酸及びその塩の割合が前記架橋重合体中の単量体単位全量に対して70~100モル%」であるとされているのに対して、甲16発明ではそのような特定がない点。 [相違点2] 吸水性樹脂の吸水速度について、本件発明1では「吸水速度指数I=(無加圧DWの10秒値)×6[mL/g]で、 吸水速度指数II=(無加圧DWの3分値)/3[mL/g]であるとき、 下記式: α=(I+II)/2 で算出される前記吸水性樹脂粒子の静的吸引指数αが5.0mL/g以上であり、 前記吸水性樹脂粒子の吸水速度指数Iが2mL/g以上であり、 前記吸水性樹脂粒子の吸水速度指数IIが8mL/g以上である」とされているのに対して、甲16発明では、そうした吸水速度指数I、吸水速度指数II、静的吸引指数αの値につき明らかでなく、「20秒以下の秒数の吸収速度をもち」とされている点。 b 事案に鑑み、相違点2から検討する。 甲16発明における“吸収速度”は、所定量の吸液性ポリマーに所定量の食塩水を添加してゲル化するまでの時間を計測したものである(前記「(1)オ(ア)c」参照)。 このような計測値に基づいて、当業者が無加圧DWの10秒値により求める吸水速度指数Iが2mL/g以上であり、無加圧DWの3分値により求める吸水速度指数IIが8mL/g以上であることが導かれ得るものではない。 さらに、甲13、21については、既に本件発明1と甲3発明との対比・判断で述べたと同様であるから(「(イ)b(a)」)、それらを合わせて考慮してみても、本件発明1でいう吸水速度指数I、II、静的吸引指数の値が導き出せるものでもない。 したがって、相違点2は、実質的なものであるから、相違点1について検討するまでもなく、本件発明1は、甲16発明ではない。 (イ)本件発明2、3について 本件発明2、3は、いずれも、本件発明1の発明特定事項をすべて含んだ上に他の発明特定事項を付加してなるものであるから、本件発明1と同様に、甲16発明ではない。 (ウ)本件発明4について a 本件発明4を甲16発明と対比すると、既に述べた甲16発明と本件発明1の間の相当関係を踏まえれば、両発明の一致点は、本件発明1と甲16発明の一致点と同様であり、相違点は、本件発明1と甲16発明の相違点1、2及び次のものである。 [相違点3] 本件発明4が吸収性物品を製造する方法に係るものであって、吸収性樹脂を「選別」する工程と、該吸収性樹脂を含む吸収体を、液体不透過性シート及び液体透過性シートの間に配置する工程が含まれることが特定されているのに対し、甲16発明は明らかでない点。 b 相違点2についての判断は、本件発明1と甲16発明の相違点についての判断が、ここでも当てはまるので、相違点1、3について検討するまでもなく、本件発明4は、甲16発明に基づいて当業者が容易になし得たものではない。 (3)小括 本件発明1~3は、甲3発明、甲4発明、甲7発明、甲15発明又は甲16発明のいずれかではないから、特許法29条1項3号に規定される発明には該当せず、また、本件発明4は、甲3発明、甲4発明、甲7発明、甲15発明又は甲16発明のいずれかに基づいて当業者が容易に発明し得たものではないから、同法29条2項に規定される発明には該当しない。 したがって、本件発明1~4に係る特許は、同法113条2号に該当しない。 2 取消理由3(進歩性)について (1)甲1、甲2、甲5、甲6、甲8、甲9、甲13、甲14、甲17、甲18、甲19、甲21それぞれに記載された事項又はそれに記載された発明は、次のとおりである。 ア 甲1(国際公開第2016/104374号) (ア)甲1には、図面とともに次の記載がある。 ・ 「 請求の範囲 [請求項1] 水溶性エチレン性不飽和単量体をアゾ系重合開始剤存在下で重合させることにより得られる吸水性樹脂と、湿潤促進剤とを含む吸水性樹脂組成物であって、以下(A)~(D)の性能を満たす吸水性樹脂組成物。 (A)生理食塩水保水能が、38~44g/g (B)無加圧DWの5分値が、50mL/g以上 (C)無加圧DWの60分値が、60mL/g以上 (D)生理食塩水通液速度が、5g/分以上」 ・ 「[0002] 紙おむつ、生理用ナプキン、失禁パッド等の衛生材料における吸収性物品は、身体に接触する側に配された液体透過性シートと、身体に接触する側の反対側に配された液体不透過性シートとの間に、吸収体が保持された構造を有している。また、吸収体は、体から排泄される尿や血液等の水性液体を吸収して保持する性質を有し、通常、吸水性樹脂と親水性繊維を主成分として構成されている。 [0003] 吸水性樹脂は、近年、紙おむつや生理用品等の衛生材料、保水剤や土壌改良剤等の農園芸材料、止水剤や結露防止剤等の工業資材等、種々の吸収性物品の分野で広く使用されている。 …」 ・ 「[0008] 本発明は、従来になく薄型にされた吸収体に用いられた時にも、排尿時の液漏れ頻度や液の逆戻り量を著しく低減することができる吸水性樹脂組成物を提供することを課題とする。」 ・ 「[0013] 吸水性樹脂は、通常、水溶性エチレン性不飽和単量体を重合させた後、架橋することにより得られる。水溶性エチレン性不飽和単量体は、重合用として通常用いられているものであればよい。 [0014] 本発明において用いられる水溶性エチレン性不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸(本明細書においては「アクリ」及び「メタクリ」を合わせて「(メタ)アクリ」と表記する。以下同様。)、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸等のα,β-不飽和カルボン酸及びその塩;(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の非イオン性単量体;N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のアミノ基含有不飽和単量体及びその4級化物等;ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸及びそれらの塩等のスルホン酸系単量体等が挙げられる。これらの水溶性エチレン性不飽和単量体は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。 [0015] 前記水溶性エチレン性不飽和単量体のなかでも、工業的に入手が容易である点から、(メタ)アクリル酸及びその塩、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミドが好適に用いられる。さらに、得られる吸水性樹脂の吸水性能が高いという観点から、(メタ)アクリル酸及びその塩がより好適に用いられる。前記(メタ)アクリル酸及びその塩に、他の水溶性エチレン性不飽和単量体を共重合させて用いる場合もある。この場合、前記(メタ)アクリル酸及びその塩は、主となる水溶性エチレン性不飽和単量体として、総水溶性エチレン性不飽和単量体に対して70~100モル%用いられることが好ましい。」 ・ 「[0030] 本発明に用いられる吸水性樹脂は、前記単量体水溶液に内部架橋剤を添加して、架橋されていてもよい。 …」 ・ 「[0052] 含水ゲルまたは凝集粒子は、通常、湿量基準の含水率として15%以下、好ましくは10%以下まで乾燥され、吸水性樹脂として得られる。前記のごとくして得られた吸水性樹脂に、湿潤促進剤を混合することで、本発明の吸水性樹脂組成物が得られる。なお、吸水性樹脂は、必要に応じて篩等で分級して粗粒子と微粒子の部分を取り除いて用いてもよい。 [0053] 本発明に用いられる湿潤促進剤としては、例えば、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミ、カオリン、タルク、ベントナイト及びゼオライト等の親水性の無機微粉末;グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、及びマンニトール等の多価アルコール化合物;ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及びポリアクリル酸塩等の粘度平均分子量が1万以下の親水性高分子微粉末が挙げられる。なかでも、高い液体吸収性能及び高い通液性を両立させる観点から親水性の無機微粉末が好ましく、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミ及びゼオライトがより好ましい。これらの湿潤促進剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。 [0054] 湿潤促進剤の添加量としては、濡れ性を発現させる観点から、吸水性樹脂100質量部に対し、0.1質量部以上3質量部以下が好ましく、0.2質量部以上2質量部以下がより好ましく、0.4質量部以上1質量部以下がさらに好ましい。」 ・ 「[0061] 本発明の吸水性樹脂組成物の中位粒子径は、200~600μmであることが好ましく、250~550μmであることがより好ましく、280~500μmであることがさらに好ましく、300~450μmであることがよりさらに好ましい。中位粒子径を前記範囲とすることで、微粒子による吸液時のゲルブロッキングと、粗粒子による吸収性物品の触感の悪化とを回避することができる。なお、吸水性樹脂組成物の中位粒子径は、後述する「(4)中位粒子径」に記載されている測定方法により測定した値である。」 (イ)甲1は、吸水性樹脂と湿潤促進剤とを含む吸水性樹脂組成物を開示するものであって、(i)水溶性エチレン性不飽和単量体として、(メタ)アクリル酸及びその塩を採用し、その割合は、70~100モル%用いることが好ましいこと、(ii)湿潤促進剤として二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミ及びゼオライトといった親水性の無機微粉末が好ましいこと、(iii)吸水性樹脂組成物は、粒子状を呈すること、等が記載されている。 これらの事項を考慮しつつ、請求項1に記載の「吸水性樹脂組成物」に着目すると、甲1には、次の発明が記載されていると認めることができる(以下、この発明を「甲1発明」という。)。 「(メタ)アクリル酸及びその塩を含む水溶性エチレン性不飽和単量体をアゾ系重合開始剤存在下で重合させることにより得られる吸水性樹脂に親水性の無機微粒子が混合されてなり、該重合体粒子の表面上に配置された複数の無機粒子と、を含み、 (メタ)アクリル酸及びその塩の割合が総水溶性エチレン性不飽和単量体に対して70~100モル%であって、以下(A)~(D)の性能を満たす吸水性樹脂組成物。 (A)生理食塩水保水能が、38~44g/g (B)無加圧DWの5分値が、50mL/g以上 (C)無加圧DWの60分値が、60mL/g以上 (D)生理食塩水通液速度が、5g/分以上」 イ 甲2(国際公開第2011/086843号)には、次の記載がある。 ・ 「[0002] 紙おむつ等に代表される吸収性物品は、体液等の液体を吸収する吸収体が、体に接する側に配された柔軟な液体透過性の表面シート(トップシート)と、体と接する反対側に配された液体不透過性の背面シート(バックシート)とにより挟持された構造を有する。 [0003] 従来、デザイン性、携帯時における利便性、流通時における効率等の観点から、吸収性物品の薄型化、軽量化に対する要求は高まっていた。さらに近年、環境保全の観点から、資源を有効に利用し、樹木のような成長に長期間を要する天然素材の使用を極力回避する、いわゆるエコ・フレンドリーな志向にニーズが集まりつつある。従来、吸収性物品において一般的に行われている薄型化のための方法としては、例えば、吸収体中の吸水性樹脂を固定する役割である木材の解砕パルプ等の親水性繊維を減らし、吸水性樹脂を増加させる方法があった。」 ・ 「[0016] そこで、本発明は、パルプの極めて少ない吸水シート構成体であっても、ゲルブロッキング現象を回避できるため、吸水シート構成体としての基本的な性能(速い液体浸透速度、十分な保水能、少ない液体逆戻り量、少ない液漏れ量、形態保持性)に優れ、薄型化を達成することができる吸水シート構成体を提供することを課題とする。」 ・ 「[0018] 本発明にかかる吸水シート構成体は、薄型であっても、形態保持性が良好なために、液体吸収前や吸収後に型くずれを起こさず、しかも液体浸透性、少ない液体逆戻り量、傾斜時の少ない液漏れ等の吸収能力を十分に発揮することができるという優れた効果を奏する。さらに、吸水シート構成体として、柔らかい触感と少ない異物感を両立するとともに、製造時における作業性、生産性にも配慮がなされたものである。従って、本発明にかかる吸水シート構成体を紙おむつの等吸収体として使用することにより、薄くて外観の意匠性に優れると共に、液漏れ等の不都合のない衛生材料を提供することができる。また、本発明にかかる吸水シート構成体は、衛生材料分野以外に、農業分野や建材分野等にも使用することができる。」 ・ 「[0023] 吸水性樹脂の種類としては、市販の吸水性樹脂が使用でき、例えば、澱粉-アクリロニトリルグラフト共重合体の加水分解物、澱粉-アクリル酸グラフト重合体の中和物、酢酸ビニル-アクリル酸エステル共重合体のケン化物、ポリアクリル酸部分中和物等が挙げられる。これらの吸水性樹脂のなかでは、生産量、製造コストや吸水性能等の観点から、ポリアクリル酸部分中和物が好ましい。ポリアクリル酸部分中和物を合成する方法としては、逆相懸濁重合法、及び水溶液重合法等が挙げられる。これらの重合法のなかでも、得られる粒子の流動性の良さや微粉末の少なさ、液体吸収容量(保水能、有効吸水量、荷重下での吸水能等の指標にて表される)や吸水速度等の吸水性能が高いという観点から、逆相懸濁重合法により得られる吸水性樹脂が好ましく使用される。」 ・ 「[0037] 本発明に用いられる吸水性樹脂の初期吸水速度は、吸水時間0~30秒間における1秒間あたりの液体の吸水量(mL)として表され、吸水シート構成体において液体浸透の初期におけるゲルブロッキング現象の発生を抑制して、吸収層における液体拡散を促進させた後に、より広範囲な吸水性樹脂に効率よく吸水させる観点から、0.35mL/s以下であることが好ましい。より好ましくは0.05~0.30mL/sであり、さらに好ましくは0.10~0.25mL/sである。液体拡散させつつ、液体浸透の初期における肌へのドライ感を確保する観点から、0.05mL/s以上であることがより好ましい。吸水性樹脂の初期吸水速度は、後述の実施例に記載の測定方法により得られる値である。」 ・ 「[0096] 吸水性樹脂5の投入から30秒後に、ビュレット10内の生理食塩水の減少量(吸水性樹脂5が吸水した生理食塩水量)Wd(mL)を吸水性樹脂1gあたりの吸水量に変換し、さらに30(秒)で割って得られた商を、当該吸水性樹脂の初期吸水速度(mL/s)とした。すなわち、初期吸水速度(mL/s)=Wd÷(0.10×30)である。」 ウ 甲5(国際公開第2017/170605号) (ア)甲5には、図面とともに次の記載がある。 ・「請求の範囲 [請求項1]遠心分離機保持容量(CRC)が30~50g/gである、粒子状吸水剤であって、重量平均粒子径(D50)が200~600μmであり、以下の式であらわされるDRC指数が43以下である、粒子状吸水剤: DRC指数(Index of DRC)=(49-DRC5min[g/g])/(D50[μm]/1000)。 ・・・・・ [請求項16]ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂を主成分とする、請求項1~15のいずれか1項に記載の粒子状吸水剤。 [請求項17]ハイドロタルサイト構造を有する2価及び3価の2種類の金属カチオンと水酸基とを含有する多元金属化合物、およびリン酸類のアニオンと2価あるいは3価の金属カチオンとからなる水不溶性金属リン酸塩からなる群から選択される少なくとも1つの吸湿流動性改善剤をさらに含有する、請求項1~16のいずれか1項に記載の粒子状吸水剤。 [請求項18]請求項1~17のいずれかに1項に記載の粒子状吸水剤を含む吸収体。 [請求項19]請求項18に記載の吸収体を含む衛生物品。」 ・ 「[0002] 吸水性樹脂(SAP/Super Absorbent Polymer)は、水膨潤性水不溶性の高分子ゲル化剤であり、紙オムツ、生理用ナプキンや成人向け失禁用製品等の衛生用品、農園芸用の土壌保水剤、工業用の止水剤等、様々な用途に利用されている。このような吸水性樹脂は、原料として多くの単量体や親水性高分子が提案されているが、性能及びコストの観点から、アクリル酸及び/又はその塩を単量体として用いたポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂が、最も多く用いられている。 [0003] 吸水性樹脂の主用途である紙オムツの高性能化に伴い、吸水性樹脂に対して多くの機能(物性)が要求されている。吸水性樹脂の物性の具体的な例としては、単なる吸水倍率の高さに限らず、ゲル強度、水可溶分、吸水速度、加圧下吸水倍率、通液性、粒度分布、耐尿性、抗菌性、耐衝撃性(耐ダメージ性)、粉体流動性、消臭性、耐着色性(白色度)、低粉塵等が挙げられる。」 ・ 「[0017] 本発明により、従来の製造方法で得られた吸水剤に比べて、吸水倍率と吸水速度の双方が優れた粒子状吸水剤が開発された。本発明によりまた、従来の製造方法で得られた吸水剤に比べて、吸水倍率と吸水速度の双方が優れ、高湿条件下でのブロッキング抑制(吸湿流動性)および/または高加圧下吸収量を備えた粒子状吸水剤が開発された。」 ・ 「[0022] 更に、本発明における吸水性樹脂は、最終製品に限らず、吸水性樹脂の製造工程における中間体(例えば、重合後の含水ゲル状架橋重合体や乾燥後の乾燥重合体、表面架橋前の吸水性樹脂粉末等)を指す場合もあり、上記吸水性樹脂組成物と合わせて、これら全てを包括して「吸水性樹脂」と総称する。なお、吸水性樹脂の形状として、シート状、繊維状、フィルム状、粒子状、ゲル状等が挙げられるが、本発明では粒子状の吸水性樹脂が好ましい。 [0023] (1-2)「粒子状吸水剤」 本明細書において、吸水剤とは、吸水性樹脂を主成分として含む、水性液の吸収ゲル化剤を意味する。本明細書において粒子状吸水剤とは、粒子状(別称;粉末状)の吸水剤を意味し、一粒の粒子状吸水剤であっても、複数個の粒子状吸水剤の集合体であっても粒子状吸水剤と称する。「粒子状」とは、粒子の形態を有することを意味し、粒子とは、測定可能な大きさを持つ、固体または液体の粒状小物体(JIS工業用語大辞典第4版、2002頁)をいう。なお、本明細書において、粒子状吸水剤を単に吸水剤と称する場合もある。」 ・ 「[0027] また粒子状吸水剤の主成分となる吸水性樹脂としてはポリアクリル酸(塩)系樹脂、ポリスルホン酸(塩)系樹脂、無水マレイン酸(塩)系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリエチレンオキシド系樹脂、ポリアスパラギン酸(塩)系樹脂、ポリグルタミン酸(塩)系樹脂、ポリアルギン酸(塩)系樹脂、デンプン系樹脂、セルロース系樹脂が挙げられ、好ましくはポリアクリル酸(塩)系樹脂が使用される。 [0028] (1-3)「ポリアクリル酸(塩)」 本発明における「ポリアクリル酸(塩)」とは、ポリアクリル酸及び/又はその塩を指し、主成分として、アクリル酸及び/又はその塩(以下、「アクリル酸(塩)」と称する)を繰り返し単位として含み、任意成分としてグラフト成分を含む重合体を指す。ポリアクリル酸はポリアクリルアミドやポリアクリニトリルなどの加水分解で得てもよいが、好ましくはアクリル酸(塩)の重合で得られる。 [0029] なお、上記「主成分」とは、アクリル酸(塩)の使用量(含有量)が、重合に用いられる単量体(内部架橋剤を除く)全体に対して、通常50~100モル%、好ましくは70~100モル%、より好ましくは90~100モル%、更に好ましくは実質100モル%であることをいう。」 ・ 「[0043] (1-5)「浸漬保持容量5分値」(DRC5min、Dunk Retention Capacity 5minutes) 「DRC5min」は、5分での無加圧下での吸水倍率を意味する。具体的には、粒子状吸水剤または吸水性樹脂1.0gを、上記AAPの測定と同様に、底面にメッシュを有する円筒形のセルに均一に散布し、0.9重量%塩化ナトリウム水溶液に5分間接触させて自由膨潤させた後の吸水倍率(単位;g/g)のことをいう。測定方法の詳細は実施例の項に記述する。」 ・ 「[0049] (1-10)「吸湿流動性改善剤」 本発明における「吸湿流動性改善剤」とは、粒子状吸水剤または吸水性樹脂に添加することにより、吸湿流動性改善剤の添加前よりも吸湿流動性を、向上させる化合物または組成物である(B.R.は吸湿流動性を評価する方法であり、B.R.の値が小さい程、吸湿流動性に優れることを意味する)。例えば、これに限定されることを望まないが、二酸化ケイ素、ハイドロタルサイト、リン酸塩およびアルミニウム塩が挙げられる。本発明において、吸湿流動性改善剤として、ハイドロタルサイト構造を有する2価及び3価の2種類の金属カチオンと水酸基とを含有する多元金属化合物、およびリン酸類のアニオンと2価あるいは3価の金属カチオンとからなる水不溶性金属リン酸塩が使用され得る。」 ・ 「[0135] (2-7)再加湿工程 本工程は、上記表面架橋工程で得られた吸水性樹脂粒子に、下記の多価金属塩化合物、ポリカチオン性ポリマー、キレート剤、無機還元剤、ヒドロキシカルボン酸化合物、吸湿流動性改善剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の添加剤を添加する工程である。」 ・ 「[0163] DRC5min(浸漬保持容量5分値) 本発明の粒子状吸水剤のDRC5minは、上記DRC指数を満たせば特に限定されないが、好ましくは35g/g以上、38g/g以上、40g/g以上である。上限も特に限定されないが、通常60g/g以下、55g/g以下である。」 ・ 「[0292] (p)ダメージ前後の微粉増加量(耐ダメージ性) 後述の測定方法により規定される本発明の粒子状吸水剤のダメージ前後の微粉増加量(150μm通過物の増加量)は、好ましくは4重量%以下、さらには3.5重量%以下である。かかる範囲でおむつ製造などの実使用に物性低下の問題がない。 <ダメージ付与後の微粉増加量> [0293] 吸水剤に下記のペイントシェーカーテストを行い、目開き150μmのJIS標準篩で分級し、テスト前後における150μm以下の粒子径を有する粒子の増加量を測定した。 [0294][ペイントシェーカーテスト] ペイントシェーカーテスト(PS-test)とは、直径6cm、高さ11cmのガラス製容器に、直径6mmのガラスビーズ10g、吸水性樹脂30gを入れてペイントシェーカー(東洋製機製作所 製品No.488)に取り付け、800cycle/min(CPM)で30分間、振盪するものであり、装置詳細は特開平9-235378号公報に開示されている。 [0295] 振盪後、目開き2mmのJIS標準篩でガラスビーズを除去して、ダメージを与えられた吸水性樹脂を得る。」 ・ 「0331」 [製造例2] アクリル酸300重量部、48重量%水酸化ナトリウム水溶液100重量部、ポリエチレングリコールジアクリレート(平均n数9)0.61重量部、1.0重量%エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)5ナトリウム水溶液6.5重量部、脱イオン水346.1重量部からなる単量体水溶液(2)を作製した。 [0332] 次に、40℃に調温した上記単量体水溶液(2)を定量ポンプで連続供給した後、更に48重量%水酸化ナトリウム水溶液150.6重量部を連続的にラインミキシングした。尚、この時、中和熱によって単量体水溶液(2)の液温は81℃まで上昇した。 [0333] 更に、4重量%過硫酸ナトリウム水溶液14.6重量部を連続的にラインミキシングした後、両端に堰を備えた平面状の重合ベルトを有する連続重合機に、厚みが10mmとなるように連続的に供給した。その後、重合(重合時間3分間)が連続的に行われ、帯状の含水ゲル(2)を得た。得られた帯状の含水ゲル(2)を重合ベルトの進行方向に対して幅方向に、切断長が300mmとなるように等間隔に連続して切断することで、含水ゲル(2)を得た。含水ゲル(2)は、CRC36.0[g/g]、樹脂固形分48.1重量%であった。」 ・ 「[0351] [実施例1] (ゲル粉砕) 上記製造例1で得られた含水ゲル(1)を、スクリュー押出機に供給しゲル粉砕した。該スクリュー押出機としては、先端部に直径100mm、孔径9.5mm、孔数40個、開孔率36.1%、厚さ10mmの多孔板が備えられた、スクリュー軸の外径が86mmのミートチョッパーを使用した。該ミートチョッパーのスクリュー軸回転数を130rpmとした状態で、含水ゲル(1)を4640[g/min]、同時に、水蒸気を83[g/min]でそれぞれ供給する。この時のゲル粉砕エネルギー(GGE)は26.9[J/g]、GGE(2)は13.6[J/g]であった。尚、ゲル粉砕前の含水ゲル(1)の温度は80℃であり、ゲル粉砕後の粉砕ゲル、即ち粒子状含水ゲル(1)の温度は85℃に上昇していた。 [0352] 上記ゲル粉砕工程で得られた粒子状含水ゲル(1)は、樹脂固形分49.1重量%、重量平均粒子径(D50)994μm、粒度分布の対数標準偏差(σζ)1.01であった。当該ゲル粉砕工程の条件を表1に、粒子状含水ゲル(1)の物性を表2に示す。 [0353](乾燥) 次に、上記粒子状含水ゲル(1)をゲル粉砕終了後1分以内に通気板上に散布(この時の粒子状含水ゲル(1)の温度は80℃)し、185℃で30分間乾燥を行い、乾燥重合体(1)を得る。熱風の平均風速は通気ベルトの進行方向に対して垂直方向に1.0[m/s]である。尚、熱風の風速は、日本カノマックス株式会社製定温度熱式風速計アネモマスター 6162で測定する。 [0354](粉砕・分級) 次いで、上記乾燥工程で得られた乾燥重合体(1)全量を3段ロールミルに供給して粉砕(粉砕工程)し、その後更に、目開き710μm及び175μmのJIS標準篩で分級することで、不定形破砕状の吸水性樹脂粒子(1)を得る。吸水性樹脂粒子(1)は、重量平均粒子径(D50)348μm、粒度分布の対数標準偏差(σζ)0.32であり、CRC42.1[g/g]、150μm通過粒子(目開き150μmの篩を通過する粒子の割合)0.5重量%である。 [0355](表面処理・添加剤添加) 次に、上記吸水性樹脂粒子(1)100重量部に対して、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.025重量部、1,4-ブタンジオール0.4重量部、プロピレングリコール0.6重量部及び脱イオン水3.0重量部からなる(共有結合性)表面架橋剤溶液を均一に混合し、190℃で30分間程度、得られる吸水性樹脂粉末(1)のCRCが35g/gとなるように加熱処理する。その後冷却を行い、上記ペイントシェーカーテストを実施し、製造プロセス相当のダメージを付与した後に、吸水性樹脂粒子100重量部に対して、水1重量部、ジエチレントリアミン5酢酸3ナトリウム0.01重量部からなる水溶液を均一に混合する。60℃で1時間乾燥した後、目開き710μmのJIS標準篩を通過させ、二酸化ケイ素(商品名:アエロジル200、日本アエロジル製)0.4重量部を均一に添加する。こうして、粒子状吸水剤(1)を得た。粒子状吸水剤(1)の諸物性を表3~6に示す。なお、ペイントシェーカーテスト後の150μm通過粒子増加量は粒子状吸水剤に対して、さらにペイントシェーカーテストを実施した際(おむつなどの吸収体製造時のプロセスダメージを想定したもの)の150μm通過粒子の増加量を示す。」 ・ 「[0356] [実施例2] 実施例1と以下に示す操作以外は同様の操作を行う。含水ゲル(1)のかわりに上記製造例2で得られた含水ゲル(2)を用いる。スクリュー押出機の先端部の多孔板の孔径を8mmに変更する。この時のゲル粉砕エネルギー(GGE)は31.9[J/g]、GGE(2)は17.5[J/g]であった。尚、ゲル粉砕前の含水ゲル(2)の温度は80℃であり、ゲル粉砕後の粉砕ゲル、即ち粒子状含水ゲル(2)の温度は84℃に上昇していた。 [0357] 上記ゲル粉砕工程で得られた粒子状含水ゲル(2)は、樹脂固形分47.5重量%、重量平均粒子径(D50)860μm、粒度分布の対数標準偏差(σζ)0.95であった。当該ゲル粉砕工程の条件を表1に、粒子状含水ゲル(2)の物性を表2に示す。 [0358] 次いで、実施例1と同様の乾燥・粉砕・分級操作を行い、不定形破砕状の吸水性樹脂粒子(2)を得る。吸水性樹脂粒子(2)は、重量平均粒子径(D50)355μm、粒度分布の対数標準偏差(σζ)0.32であり、CRC48.2[g/g]、150μm通過粒子(目開き150μmの篩を通過する粒子の割合)0.4重量%である。 [0359] 次に、上記吸水性樹脂粒子(2)100重量部に対して、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.025重量部、エチレンカーボネート0.4重量部、プロピレングリコール0.6重量部及び脱イオン水3.0重量部からなる(共有結合性)表面架橋剤溶液を均一に混合し、190℃で30分間程度、得られる吸水性樹脂粉末(2)のCRCが38g/gとなるように加熱処理する。その後、実施例1と同様の操作を行う。こうして、粒子状吸水剤(2)を得た。粒子状吸水剤(2)の諸物性を表3~6に示す。」 ・ 「[0376] [実施例11-1] 実施例2で得られた吸水性樹脂粒子(2)100重量部に対して、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.025重量部、エチレンカーボネート0.4重量部、プロピレングリコール0.6重量部及び脱イオン水3.0重量部からなる(共有結合性)表面架橋剤溶液を均一に混合し、175℃で40分間程度、得られる吸水性樹脂粉末(11-1)のCRCが38~40g/gとなるように加熱処理した。その後冷却を行い、上記ペイントシェーカーテストを実施し、製造プロセス相当のダメージを付与した後に、吸水性樹脂粒子100重量部に対して、水1重量部、ジエチレントリアミン5酢酸3ナトリウム0.01重量部からなる水溶液を均一に混合した。60℃で1時間乾燥した後、目開き710μmのJIS標準篩を通過させ、ハイドロタルサイト(製品名:DHT-6、協和化学工業株式会社製、Mg6Al2(OH)16CO3・4H2O[一般式(1)のx=0.25、m=0.50]、体積平均粒子径0.5μm)0.3重量部を均一に混合した。こうして、粒子状吸水剤(11-1)を得た。粒子状吸水剤(11-1)の諸物性を表3~5に示す。なお、ペイントシェーカーテスト後の150μm通過粒子増加量は粒子状吸水剤に対して、さらにペイントシェーカーテストを実施した際(おむつなどの吸収体製造時のプロセスダメージを想定したもの)の150μm通過粒子の増加量を示す。また、吸水剤中のXRD測定によるハイドロタルサイトの含有量は0.3重量%であった。また、上記吸水剤の表面上に存在するハイドロタルサイトの粒度測定による平均粒子径は0.5μmであった。」 ・ 「[0380] [実施例11-5] 実施例11-1の表面処理条件を、以下のとおり変更した。 吸水性樹脂粒子(2)100重量部に対して、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.030重量部、プロピレングリコール1.0重量部及び脱イオン水3.0重量部からなる(共有結合性)表面架橋剤溶液を均一に混合し、100℃で45分間程度、得られる吸水性樹脂粉末(11-5)のCRCが35~36g/gとなるように加熱処理した。その後冷却を行い、上記ペイントシェーカーテストを実施し、製造プロセス相当のダメージを付与した後に、吸水性樹脂粒子100重量部に対して、水1重量部、ジエチレントリアミン5酢酸3ナトリウム0.01重量部からなる水溶液を均一に混合した。60℃で1時間乾燥した後、目開き710μmのJIS標準篩を通過させ、ハイドロタルサイト(製品名:DHT-6、協和化学工業株式会社製、Mg6Al2(OH)16CO3・4H2O[一般式(1)のx=0.25、m=0.50]、体積平均粒子径0.5μm)0.3重量部を均一に混合した。こうして、粒子状吸水剤(11-5)を得た。粒子状吸水剤(11-5)の諸物性を表3~5に示す。なお、ペイントシェーカーテスト後の150μm通過粒子増加量は粒子状吸水剤に対して、さらにペイントシェーカーテストを実施した際(おむつなどの吸収体製造時のプロセスダメージを想定したもの)の150μm通過粒子の増加量を示す。」 ・ 「[0437] [図:0001391983000007.jpg] 」 ・ 「[0438] [図:0001391983000008.jpg] 」 (イ)甲5は、吸水性樹脂を主成分とする粒子状吸水剤を開示するもので、(i)粒子状吸水剤を含む吸収体を含んで衛生物品を構成すること(請求項17,18等参照)、(ii)吸水剤の主成分となる吸水性樹脂としてアクリル酸又はその塩が使用できること及びその使用量(含有量)が重合に用いられる単量体全体に対して好ましくは70~100モル%であること([0027]~[0029][請求項16]参照)、(iii)吸湿流動性改善剤として二酸化ケイ素、ハイドロタルサイト等が添加され得ること([0049]参照)等が記載されるところ、(iv)実施例2として、アクリル酸、水酸化ナトリウム水溶液を含む単量体水溶液を重合反応させて得られ、二酸化ケイ素(商品名:アエロジル200、日本アエルジル製)が添加された粒子状吸水剤が開示され([0331]~[0333][0351]~[0359]表2、表3-1参照)、また、(v)実施例11-5として、アクリル酸、水酸化ナトリウム水溶液を含む単量体水溶液を重合反応させて得られ、ハイドロタルサイト(製品名:DHT-6、協和化学工業株式会社製、Mg6Al2(OH)16CO3・4H2O[一般式(1)のx=0.25、m=0.50]、体積平均粒子径0.5μm)が添加された粒子状吸水剤が開示されている([0376][0380]表2、表3-1参照)。 a これらから、上記(i)と特に実施例2に係る粒子状吸水剤に着目すると、甲15には、次の発明が記載されていると認められる(以下、この発明を「甲5-1発明」という。)。 「吸収体を含む衛生物品であって、 前記吸収体が粒子状吸収剤を含み、 前記粒子状吸収剤が、アクリル酸、水酸化ナトリウム水溶液を含む単量体水溶液を重合反応させて得られた吸水性樹脂粒子と、該吸水性樹脂粒子に添加された二酸化ケイ素と、を含む、 衛生物品。」 b また、上記(i)と特に実施例11-5に係る粒子状吸水剤に着目すると、甲5には、次の発明も記載されていると認められる(以下、この発明を「甲5-2発明」という。)。 「吸収体を含む衛生物品であって、 前記吸収体が粒子状吸収剤を含み、 粒子状吸収剤が、アクリル酸、水酸化ナトリウム水溶液を含む単量体水溶液を重合反応させて得られた吸水性樹脂粒子と、該吸水性樹脂粒子に添加されたハイドロタルサイトと、を含む、 衛生物品。」 エ 甲6(国際公開第2018/155591号) 甲6には、次の記載がある。 ・ 「[請求項1] 第1基材、第2基材、および上記第1基材と第2基材との間に挟持される粒子状吸水剤を備え、 上記第1基材および第2基材の少なくとも一方は、透水性基材であり、 上記粒子状吸水剤の少なくとも一部は下記物性(1)、(2)、(3)を満たす、吸水性シート。 (1)遠心分離機保持容量(CRC)が30g/g~50g/g (2)質量平均粒子径(D50)が200μm~600μm (3)下記式(a)で規定されるDRC指数が43以下 DRC指数=(49-DRC5分値)/(D50/1000) ・・・ 式(a) … [請求項40] 請求項1~38の何れか1項に記載の吸水性シートを、液体透過性シート及び液体不透過性シートで狭持してなる、吸収性物品。」 ・ 「[0028] さらに、本発明における吸水性樹脂は、最終製品に限らず、吸水性樹脂の製造工程における中間体(例えば、重合後の含水ゲル状架橋重合体や乾燥後の乾燥重合体、表面架橋前の吸水性樹脂粉末等)を指す場合もあり、上記吸水性樹脂組成物と合わせて、これら全てを包括して「吸水性樹脂」と総称する。なお、吸水性樹脂の形態として、シート状、繊維状、フィルム状、粒子状、ゲル状等が挙げられるが、本発明では粒子状の吸水性樹脂が好ましい。 [0029] 〔1-2〕「粒子状吸水剤」 本明細書において、吸水剤とは、吸水性樹脂を主成分として含む、水性液の吸収ゲル化剤を意味する。本明細書において粒子状吸水剤とは、粒子状(別称;粉末状)の吸水剤を意味し、一粒の粒子状吸水剤であっても、複数個の粒子状吸水剤の集合体であっても粒子状吸水剤と称する。「粒子状」とは、粒子の形態を有することを意味し、粒子とは、測定可能な大きさを持つ、固体又は液体の粒状小物体(JIS工業用語大辞典第4版、2002頁)をいう。なお、本明細書において、粒子状吸水剤を単に吸水剤と称する場合もある。」 ・ 「[0033] また粒子状吸水剤の主成分となる吸水性樹脂としては、ポリアクリル酸(塩)系樹脂、ポリスルホン酸(塩)系樹脂、無水マレイン酸(塩)系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリエチレンオキシド系樹脂、ポリアスパラギン酸(塩)系樹脂、ポリグルタミン酸(塩)系樹脂、ポリアルギン酸(塩)系樹脂、デンプン系樹脂、セルロース系樹脂が挙げられ、好ましくはポリアクリル酸(塩)系樹脂が使用される。 [0034] 〔1-3〕「ポリアクリル酸(塩)」 本発明における「ポリアクリル酸(塩)」とは、ポリアクリル酸及び/又はその塩を指し、主成分として、アクリル酸及び/又はその塩(以下、「アクリル酸(塩)」と称する)を繰り返し単位として含み、任意成分としてグラフト成分を含む重合体を指す。ポリアクリル酸はポリアクリルアミドやポリアクリロニトリル等の加水分解で得てもよいが、好ましくはアクリル酸(塩)の重合で得られる。 [0035] なお、上記「主成分」とは、アクリル酸(塩)の使用量(含有量)が、重合に用いられる単量体(内部架橋剤を除く)全体に対して、通常50~100モル%、好ましくは70~100モル%、より好ましくは90~100モル%、さらに好ましくは実質100モル%であることをいう。」 ・ 「[0056] 〔1-9〕「吸湿流動性改善剤」 本発明における「吸湿流動性改善剤」とは、粒子状吸水剤又は吸水性樹脂に添加することにより、吸湿流動性改善剤の添加前よりも吸湿流動性を、向上させる化合物又は組成物である(B.R.は吸湿流動性を評価する方法であり、B.R.の値が小さい程、吸湿流動性に優れることを意味する)。例えば、これに限定されることを望まないが、二酸化ケイ素、ハイドロタルサイト、リン酸塩及びアルミニウム塩が挙げられる。」 オ 甲8(特開2012-12451号公報) (ア)甲8には、図面とともに次の記載がある。 ・ 「【特許請求の範囲】 【請求項1】 水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)並びに内部架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体(A)と、水溶性ケイ素化合物(c)から誘導される固体ケイ素含有化合物(C)とを含んでなり、 (a1)及び/又は(a2)並びに(b)を水溶性ケイ素化合物(c)の存在下で重合して架橋重合体(A)を製造する工程、及び/又は架橋重合体(A)と水溶性ケイ素化合物(c)とを混合する工程を含む製造方法により得られる吸収性樹脂粒子。」 ・ 「【0008】 架橋重合体(A)としては、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)並びに内部架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体であれば特に制限がなく、公知のもの{たとえば、以下の(1)~(16)の重合体等}をそのまま用いることができる。なお、ビニルモノマーの水溶性とは、25℃の水100gに少なくとも100g溶解する性質を意味する。また、ビニルモノマーの加水分解性とは、50℃の水及び必要により触媒(酸又は塩基等)の作用により加水分解され水溶性になる性質を意味する(加水分解はビニルモノマーのままでも、架橋重合体としてからでもよい。)。 【0009】 (1)特公昭53-46199号公報又は特公昭53-46200号公報等に記載のデンプン-アクリル酸(塩)グラフト架橋共重合体。 (2)特開昭55-133413号公報等に記載の水溶液重合(断熱重合、薄膜重合又は噴霧重合等)により得られる架橋ポリアクリル酸(塩)。 (3)特公昭54-30710号公報、特開昭56-26909号公報又は特開平11-5808号公報等に記載の逆相懸濁重合により得られる架橋ポリアクリル酸(塩)。 (4)特開昭52-14689号公報又は特開昭52-27455号公報等に記載のビニルエステルと不飽和カルボン酸又はその誘導体との共重合体のケン化物。 (5)特開昭58-2312号公報又は特開昭61-36309号公報等に記載のアクリル酸(塩)とスルホ(スルホネート)基含有モノマーとの共重合体。」 ・ 「【0027】 吸収性樹脂粒子の重量平均粒子径(μm)は、100~800が好ましく、さらに好ましくは200~600、特に好ましくは300~500である。この範囲であると、ハンドリング性(吸収性樹脂粒子の粉体流動性等)がさらに良好となる。」 ・ 「【0043】 <吸収性樹脂粒子の吸収速度測定方法> JIS K7224-1996にて規定のDW法(Demand Wettability法)を用いて、以下の通り測定される。 25℃、湿度50%の室内で、DW装置{ビューレット(1)の容量50ml、長さ55cm、小穴(9)の直径3mm;図1参照}を用い、空気流入細管(2)の最下端部と支持板(3)の最上端部とを同一水平面になるように調整し、バルブ(4)及び(5)を閉じた状態で、約50mlの生理食塩水をビューレット(1)に入れ、ゴム栓(6)を装着し、バルブ(4)及び(5)を開けることにより、配管を生理食塩水で充填すると共に、支持板(3)の中央に設けられた小穴(9)から生理食塩水を溢れ出させ、バルブ(4)を閉じてから、溢れ出た生理食塩水を拭き取る。引き続き、支持板(3)上に、平織りナイロンメッシュ(7)(目開き63μm、5cm×5cm)をのせ、さらにこの平織りナイロンメッシュ(7)の上に、小穴(9)が中央に位置するようにして内径5.0cm、高さ3.0cmの円柱筒(10)を載せて、この円柱筒(10)の中に測定試料(8)を1.000g散布した後、円柱筒(10)を除去する。ここで、支持板(3)のみの荷重がかかるようにセットした天秤のゼロ点調整を行い、バルブ(4)を開けて測定を開始する。バルブ(4)を開けてから1秒ごとに天秤の重量データを読み取り10分間継続する。天秤の重量データは、表示値を読み取り記録してもよいが、天秤とパソコンを接続し、パソコン上で1秒ごとに重量データを記録した方が好ましい。 天秤の重量データは、ビューレット内の生理食塩水の減少量であり、吸収性樹脂粒子の生理食塩水の吸収量は、天秤の重量データの絶対値にて与えられる。 【0044】 得られた時間ごとの重量データをプロットしていくと、吸収性樹脂粒子が生理食塩水を吸収した挙動がグラフ化でき、この吸収挙動を以降、吸収カーブと記載する。一般的に、測定開始後、時間と共に生理食塩水を吸収していくが、測定開始初期と測定開始後期とを比べると、吸収速度は経時的に変化していく。一般的な吸収カーブを図2に示す。」 ・ 「図2 [図:0001391983000009.jpg] 」 (イ)甲8は、吸水性樹脂粒子を開示するものであって、架橋重合体(A)としてポリアクリル酸を用いてもよいこと、重量平均粒子径が300~500μmであること、等が記載されている。 これらの事項を考慮しつつ、請求項1に記載の「吸水性樹脂粒子」に着目すると、甲8には、次の発明が記載されていると認めることができる(以下、この発明を「甲8発明」という。)。 「水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)並びに内部架橋剤(b)を必須構成単位とするポリアクリル酸等の架橋重合体(A)と、水溶性ケイ素化合物(c)から誘導される固体ケイ素含有化合物(C)とを含んでなり、 重量平均粒子径が300~500μmである、 吸水性樹脂粒子。」 カ 甲9(特開2011-178969号公報) 甲9には、次の事項が記載されている。 ・ 「【請求項1】 (メタ)アクリル酸(塩)及び内部架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体(A)と、水素結合性官能基及び/又は共有結合性官能基を有する疎水性物質(b1)と、無機多孔質微粒子(c1)とを含んでなる吸収性樹脂粒子であって、 (A)の表面の少なくとも一部を(b1)で被覆したものと(c1)とを混合して得られる吸収性樹脂粒子。」 ・ 「【0004】 しかし、吸収性樹脂粒子の表面を疎水化するとゲルブロッキングを生じにくくなるものの、尿や水に対する吸収速度が低下するという問題がある。そして、この吸収性樹脂粒子を吸収性物品に適用した場合、吸収性物品から尿や水が漏れるという問題がある。 すなわち本発明の目的は、ゲルブロッキングが防止でき、かつ尿や水に対する吸収速度が低下しない吸収性樹脂粒子を提供すること、そして、漏れの生じにくい吸収性物品を提供することである。」 ・ 「【0014】 (メタ)アクリル酸(塩)及び内部架橋剤(b)の他に、これらと共重合可能なその他のビニルモノマー(a)を含むことができる ・・・・・ 【0016】 その他のビニルモノマー(a)を含む場合、その他のビニルモノマー(a)の使用量(モル%)は、(メタ)アクリル酸(塩)のモル数に基づいて、0.01~5が好ましく、さらに好ましくは0.05~3、次に好ましくは0.08~2、特に好ましくは0.1~1.5である。なお、吸収性能等の観点から、その他のビニルモノマー(a)を使用しないことが最も好ましい。」 ・ 「【0034】 無機多孔質微粒子(c1)は、市場から容易に入手でき、たとえば{以下、商品名(化学組成、体積平均粒子径μm、比表面積m2/g)}、アエロジル130(二酸化ケイ素、16、130)、アエロジル200(二酸化ケイ素、12、200)、アエロジル300(二酸化ケイ素、7、300)、アエロジルMOX80(二酸化ケイ素、30、80)、アエロジルCOK84(二酸化ケイ素、12、170)、アエロジルOX50T(二酸化ケイ素、7、40)、酸化チタンP25(酸化チタン、20、30)及びアルミニウムオキサイドC(酸化アルミニウム、13、100){日本アエロジル株式会社};デンカ溶融シリカF-300(二酸化ケイ素、11、160){電気化学工業株式会社};マイクロイド850(二酸化ケイ素、13、150){株式会社東海化学工業};非晶質シリカSP-1(二酸化ケイ素、14、45){株式会社ノザワ};サイロイド622(二酸化ケイ素、17、350);サイロイドED50(二酸化ケイ素、8、400){グレースジャパン株式会社};アドマフィンSO-C1(複合酸化物、0.1、20){アドマッテクス株式会社};アエロジル200(二酸化ケイ素、100、12){デグサAG:ドイツ};トクシール(二酸化ケイ素、2.5、120)及びレオロシール(二酸化ケイ素、2.5、110){株式会社トクヤマ };ニップシールE220A(二酸化ケイ素、2.5、130){日本シリカ工業株式会社};及びクレボゾール30CAL25(酸化ケイ素、12、200){クラリアントジャパン株式会社}等が好ましく例示できる。」 ・ 「【0052】 <粒度調節> 粉砕された粒子は、必要によりふるい分け等により粒度調節される。 本発明の吸収性樹脂粒子の重量平均粒径(μm)は、355~395が好ましく、さらに好ましくは360~390、特に好ましくは365~385、最も好ましくは370~380である。この範囲であると、吸収性能がさらに良好となる。なお、重量平均粒径は上記と同様にして求められる。 吸収性樹脂の形状は粒子状であれば制限はないが、不定形(破砕状)、真球状、板状及び棒状が好ましく、さらに好ましくは不定形(破砕状)、真球状又は板状、特に好ましくは不定形(破砕状)又は板状である。」 ・ 「【0061】 <吸収速度の測定法{DW(Demand Wettability)法;JIS K7224-1996の解説3~4頁}> 25℃、湿度50%の室内で、図1に示す装置{ビューレット(1)の容量25ml、長さ55cm、小穴(2)の直径2mm}を用い、空気流入細管(3)の最下端部と支持板(4)の最上端部とを同一水平面になるように調整した後、バルブ(5)及び(6)を閉じた状態で、約25mlの生理食塩水をビューレット(1)に入れ、ゴム栓(7)を装着した後、バルブ(5)及び(6)を開けることにより配管(8)を生理食塩水で充填すると共に、支持板(4)の中央に設けられた小穴(2)から生理食塩水を溢れ出させ、バルブ(5)を閉じてから、溢れ出た生理食塩水を拭き取り、ビューレット(1)の液面(h1)を読み取る。引き続き、支持板(4)上に、平織りナイロンメッシュ(9)(目開き63μm、5cm×5cm)をのせ、さらにこの平織りナイロンメッシュ(9)の上に、1.0gの測定試料(10)を散布し、30秒後に、ビューレットの液面(h2)を読み取り、液面の差{(h1)-(h2)}を吸収量(Z)とする。」 キ 甲13(特開2009-19065号公報) (ア)甲13には、図面とともに次の記載がある。 ・ 「【特許請求の範囲】 【請求項1】 重合に不活性な疎水性有機溶媒と水溶性モノマーを用いて該水溶性モノマーを重合させるに際し、分散剤として一般式(I)で表される陰イオン界面活性剤及び一般式(II)で表される陰イオン界面活性剤を存在させる、重合体粒子の製造方法。 【化1】 [図:0001391983000010.jpg] 式中、R1は直鎖又は分岐鎖の炭素数5~29のアルキル基、アルケニル基又は2-ヒドロキシアルキル基を示し、M1及びM2はそれぞれ独立に、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン又は水素原子を示し、nは1又は2を示す。) R2O[(PO)p(EO)q]SO3M3 (II) (式中、R2は直鎖又は分岐鎖の炭素数6~22のアルキル基若しくはアルケニル基を示すか、又は総炭素数12~28のアリール基を示す。POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基を示し、POとEOはブロック結合をしており、POとEOの結合順序は(PO)p(EO)qの順、(EO)q(PO)pの順の何れでも良い。pはオキシプロピレン基の平均付加モル数を示す0より大きく22以下の数、qはオキシエチレン基の平均付加モル数を示す0より大きく22以下の数である。M3はアルカリ金属イオン、アンモニウムイオン又は水素原子を示す。) 【請求項2】 重合が、疎水性有機溶媒を含有する溶媒中へモノマーを供給する逆相懸濁重合法で行われる、請求項1記載の製造方法。 … 【請求項4】 表面処理剤により重合体粒子表面を処理する工程を含む、請求項1~3いずれかに記載の製造方法。 【請求項5】 表面処理剤が、無機粒子である請求項4記載の製造方法。 【請求項6】 請求項1~5いずれかに記載の製造方法により得られる重合体粒子。 【請求項7】 平均粒径が200~550μm、嵩比重が0.6~0.9g/mL、吸水量(対生理食塩水)が27g/g以上、吸水速度(対生理食塩水)が2.8mL/分以上、加圧通液速度(対生理食塩水)が300mL/分以上の、不飽和カルボン酸又はその塩由来の構成単位を含む架橋重合体粒子である、請求項6記載の重合体粒子。」 ・ 「【技術分野】 【0001】 本発明は、良好な吸水性能を有し、吸水後の安定性が高い重合体粒子及びその製造方法に関する。 【背景技術】 【0002】 高吸水性樹脂は衛生用品分野では幼児用、大人用あるいは失禁者用の使い捨ておむつや婦人用生理用ナプキン等の吸収体、農園芸分野での保水剤や、土木建築分野での汚泥の凝固剤、結露防止剤、止水剤等として幅広く使用されている。」 ・ 「【0012】 [重合体の製造方法] 本発明の製造方法に用いられるモノマーは、水溶性で、重合性の不飽和基を有するモノマーである。具体的には、オレフィン系不飽和カルボン酸又はその塩、オレフィン系不飽和カルボン酸エステル、オレフィン系不飽和スルホン酸又はその塩、オレフィン系不飽和リン酸又はその塩、オレフィン系不飽和リン酸エステル、オレフィン系不飽和アミン、オレフィン系不飽和アンモニウム、オレフィン系不飽和アミドなどの重合性不飽和基を有するビニルモノマーが例示される。 【0013】 オレフィン系不飽和カルボン酸又はその塩としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマール酸などの不飽和カルボン酸、これらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩等が挙げられる。オレフィン系不飽和カルボン酸エステルとしては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。 【0014】 オレフィン系不飽和スルホン酸又はその塩としては、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸又はその塩等が挙げられる。オレフィン系不飽和リン酸又はその塩としては、(メタ)アクリロイル(ポリ)オキシエチレンリン酸エステル又はその塩等が挙げられる。 【0015】 オレフィン系不飽和アミンとしては、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。オレフィン系不飽和アンモニウム塩としては、上記オレフィン系不飽和アミンの4級アンモニウム塩等が挙げられ、オレフィン系不飽和アミドとしては、(メタ)アクリルアミド、メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド誘導体やビニルメチルアセトアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。 【0016】 他のモノマーの具体例としては、ビニルピリジン、N-ビニルピロリドン、N-アクリロイルピペリジン、N-アクリロイルピロリジン、N-ビニルアセトアミドなどのノニオン性の親水基含有不飽和モノマーなどが挙げられる。これらのモノマーは、単独で若しくは2種以上の混合物として用いることができる。 【0017】 なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味し、(メタ)アクリルアミドとは、アクリルアミド又はメタクリルアミドを意味し、(メタ)アクリロイルとはアクリロイル又はメタクリロイルを意味する。 【0018】 これらモノマーの中では、オレフィン系不飽和カルボン酸又はその塩が好ましく、アクリル酸、メタクリル酸、それらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩又はアンモニウム塩がより好ましく、アクリル酸、アクリル酸アルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、アクリル酸アンモニウム塩が更に好ましい。」 ・ 「【0046】 本発明においては、重合体粒子に架橋構造を導入しても良い。架橋構造を導入する方法として、架橋剤を使用しない自己架橋によって導入する方法や、1分子中に2個以上の重合性不飽和基及び/又は2個以上の反応性基を有する架橋剤を共重合又は反応させて導入する方法等を例示できる。架橋剤は1種のみ用いてもよいし2種以上使用してもよい。中でも、得られる重合体粒子の吸水特性などから、2個以上の反応性基を有する化合物を架橋剤として用いることが好ましく、さらに、重合体粒子中のイオン基に作用する多価イオンを併用して用いることが好ましい。」 ・ 「【0056】 また、本発明の製造方法は、重合体粒子の通液性向上の観点から、表面処理剤により重合体粒子表面を処理する工程を含むことが好ましい。 【0057】 表面処理剤としては、例えば、硫酸アルミニウム、カリウム明礬、アンモニウム明礬、ナトリウム明礬、(ポリ)塩化アルミニウム、これらの水和物などの多価金属化合物;ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミンなどのポリカチオン化合物;メチルシロキサン(メチコンとも呼ばれる)、ジメチルシロキサン(ジメチコンとも呼ばれる)、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーンなどのシリコーン化合物;シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、ベントナイトなどの無機微粒子などが挙げられ、これらの1種のみ用いても良いし、2種以上を併用してもよい。 【0058】 これらの中でも、シリカなどの無機微粒子が、重合体粒子の吸水速度や通液性を向上する点で好ましい。 【0059】 本発明において、表面処理は、架橋前、同時、架橋後のいずれに行っても良いが、本発明の効果をより発揮するために、架橋後であることが好ましい。表面処理剤の添加方法は、特に限定されず、ドライブレンドでもよいし、水溶液や分散液として添加しても良い。表面処理剤は、重合体粒子に対して、0.001~10重量%の割合で用いることが好ましく、0.01~5重量%の割合で用いることがより好ましい。」 ・ 「【0074】 ここで、不織布袋液残り量=(遠心脱水後の不織布重量)-(不織布袋重量)である。 ・吸水速度の測定法 DW法を実施する装置として一般的に知られている図1に示す装置1(Demand Wettability Tester)を用いる。生理食塩水2の液面を等水位にセットした重合体粒子散布台3(70mmφ、No.2濾紙4をガラスフィルター(No.1)5の上に置いた台)上に、重合体粒子6を0.3g散布し、重合体粒子を散布した時点の吸水量を0とし、60秒後の吸水量(この吸水量は、生理食塩水の水位の低下量を示すビュレット7の目盛りで測定される)を測定し、この値を、吸水速度(mL/分)とした。」 ・ 「【0077】 実施例1 撹拌機,還流冷却管,モノマー滴下口,窒素ガス導入管,温度計を取り付けたSUS304製5L反応容器(アンカー翼使用)に分散剤として下記式(II-1)で表される陰イオン界面活性剤を0.10%[対アクリル酸重量]仕込み、重合溶媒ヘプタン1600mLを加えた。溶存酸素を追い出す目的で窒素ガスを吹き込み、アンカー翼を300r/minで撹拌し、内温88℃まで昇温した。 【0078】 C12H25O(PO)0.2(EO)2SO3Na (II-1) 一方、2L三つ口フラスコ中に、東亞合成(株)製80%アクリル酸506.2g、イオン交換水200.2gを仕込み、氷冷しながら旭硝子(株)製48%苛性ソーダ水溶液347.1gを滴下し、モノマー水溶液としてのアクリル酸ナトリウム水溶液1053.5gを得た。このモノマー水溶液に、N-パーム油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸ソーダ(味の素(株)製、商品名 アミソフトPS-11)0.245gをイオン交換水3gに溶解させたものを添加し、暫く撹拌した後、264g、264g、528gに三分割した。 【0079】 次いで、和光純薬工業(株)製2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)ジヒドロクロリド(商品名V-50)0.0408g、花王(株)製ポリエチレングリコール(PEG6000)0.204g、イオン交換水9gを混合溶解し、開始剤(A)水溶液を調製した。また、和光純薬工業(株)製過硫酸ナトリウム0.61gをイオン交換水10gに溶解し、開始剤(B)水溶液を調製した。さらに、クエン酸チタン水溶液(クエン酸/Tiモル比1.0、固形分19.0%、Ti量0.039%[対アクリル酸])を調製した。 【0080】 三分割したモノマー水溶液の1つ(264g)に、開始剤(A)水溶液2.31gを加えた(モノマー(1))。また、三分割したもう1つのモノマー水溶液(264g)に、開始剤(A)水溶液6.93gとクエン酸チタン水溶液1.57gを加えた(モノマー(2))。三分割した残りのモノマー水溶液(528g)に、開始剤(B)水溶液10.61gとクエン酸チタン水溶液3.15gを加えた(モノマー(3))。 【0081】 前述の5L反応容器の内温が88℃であることを確認した後、モノマー滴下口からマイクロチューブポンプを用いて、モノマー(1)を15分かけて滴下し重合した。引き続き、モノマー(2)を15分かけて滴下し重合した。さらに引き続き、モノマー(3)を30分かけて滴下し重合した。重合終了後、脱水管を用いて共沸脱水を行い、重合体粒子の含水量を重合体粒子100部に対して60部に調整した。その後、架橋剤としてナガセ化成工業(株)製エチレングリコールジグリシジルエーテル(商品名デナコールEX-810)0.122gを水10gに溶解したものを添加した。その後、更に共沸脱水を行い、重合体粒子の含水量を重合体粒子100部に対して40部に調整した。冷却後、ヘプタンをデカンテーションで除き、130℃、約6.7kPa、14時間の条件で乾燥させることにより重合体粒子を得た。得られた重合体粒子について、平均粒径及び嵩比重を測定した。 【0082】 この重合体粒子100部に対し日本アエロジル(株)製アエロジル200 0.5部をドライブレンドすることにより表面処理を行った。この表面処理後の重合体粒子について、吸水量、吸水速度、加圧通液速度及び安定性の評価を行った。 これらの結果を表1に示す。」 ・ 「【0086】 【表1】 [図:0001391983000011.jpg] 」 (イ)甲13は、良好な吸水性能を有し、吸水後の安定性が高い重合体粒子を開示するものであって、(i)重合体粒子は水溶性モノマーが重合されて重合体粒子が製造されること、(ii)重合体粒子の表面がシリカ等の無機微粒子で処理されることが好ましいこと、等が記載されている。 これらの事項を踏まえると、甲13には、次の発明が記載されていると認めることができる(以下、この発明を「甲13発明」という。)。 「水溶性モノマーが重合されてなる重合体粒子であって、該重合体粒子の表面にシリカ等の無機微粒子が処理されてなる、重合体粒子。」 ク 甲14(特開2009-57496号公報) (ア)甲14には、図面とともに次の記載がある。 ・ 「【特許請求の範囲】 【請求項1】 水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)、内部架橋剤(a3)、並びに表面架橋剤(a4)を必須構成単位としてなる架橋重合体粒子(A)と、水不溶性無機微粒子(B)とからなる吸水性樹脂粒子において、 拡散性指数が10~30ml/分であることを特徴とする吸水性樹脂粒子。 … 【請求項5】 水不溶性無機微粒子(B)の含有量が、架橋重合体粒子(A)の重量に基づいて、0.01~2.5重量%である請求項1~4のいずれかに記載の吸水性樹脂粒子。 【請求項6】 請求項1~5のいずれかに記載の吸水性樹脂粒子と繊維とを含有してなる吸収体。 【請求項7】 請求項6に記載の吸収体を配してなる吸収性物品。」 ・ 「【発明が解決しようとする課題】 【0003】 従来の親水性樹脂は、吸収性物品{紙おむつ等}に適用した場合、すぐに吸収されない一部の被吸収液体(尿及び血液等の体液)が、吸収性物品の吸収体と人体との界面を流れるため、人体に不快感を与えるという問題がある。 すなわち、本発明の目的は、吸収性物品に適用した場合、被吸収液体が速やかに吸収され、人体への不快感がない吸水性樹脂粒子を提供することである。 【課題を解決するための手段】 【0004】 本発明の吸水性樹脂粒子の特徴としては、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)、内部架橋剤(a3)、並びに表面架橋剤(a4)を必須構成単位としてなる架橋重合体粒子(A)と、水不溶性無機微粒子(B)とからなる吸水性樹脂粒子において、拡散性指数が10~30である点を要旨とする。 【発明の効果】 【0005】 本発明の吸水性樹脂粒子は、吸収性物品(紙おむつ、ペットシート、失禁ライナー等)に適用した場合、 本発明の吸水性樹脂粒子は、吸収性物品{紙おむつ等}に適用した場合でも、すぐに吸収されない一部の被吸収液体(尿及び血液等の体液)が、吸収性物品の吸収体と人体との界面を流れるということが生じにくい。したがって、本発明の吸水性樹脂粒子を吸収性物品に適用した場合、被吸収液体が速やかに吸収されるため、人体へ不快感を与えることがほとんどない。」 ・ 「【0007】 水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)としては特に限定がないが、例えば、特開2005-075982号公報に記載の水溶性ラジカル重合単量体が挙げられる。これらのうち、吸収性能{吸収速度、拡散面積、表面ドライ感及びSDMEドライネス等}等の観点から、水溶性ビニルモノマー(a1)が好ましく、さらに好ましくはアニオン性ビニルモノマー、特に好ましくは炭素数3~30のビニル基含有カルボン酸(塩){不飽和モノカルボン酸(塩)((メタ)アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸及びこれらの塩等);不飽和ジカルボン酸(塩)(マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸及びこれらの塩等);及び不飽和ジカルボン酸のモノアルキル(炭素数1~8)エステル(マレイン酸モノブチルエステル、フマル酸モノブチルエステル、マレイン酸のエチルカルビトールモノエステル、フマル酸のエチルカルビトールモノエステル、シトラコン酸モノブチルエステル及びイタコン酸グリコールモノエステル等}、次に好ましくは不飽和モノカルボン酸(塩)、最も好ましくはアクリル酸(塩)である。」 ・ 「【0015】 架橋重合体粒子(A)の重量平均粒子径(μm)は、100~800が好ましく、さらに好ましくは200~500、特に好ましくは300~400である。この範囲であると、吸収性能及び人体への不快感がさらに良好となる。」 ・ 「【0022】 水不溶性無機微粒子(B)としては、酸化物{二酸化珪素(斜方晶、立法晶、六方晶及び単斜晶等)、酸化珪素(無定形等)、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム等}、炭化物{炭化珪素及び炭化アルミニウム等}、窒化物{窒化チタン等}又はこれらの複合組成物からなる微粒子等が挙げられる。 これらのうち、酸化物微粒子が好ましく、さらに好ましくは二酸化珪素微粒子である。」 ・ 「【0030】 <垂直方向拡散性指数> 25℃、湿度50%の室内で、DW装置{ビューレット(1)の容量25ml、長さ55cm、小穴(9)の直径3mm;図1参照}を用い、空気流入細管(2)の最下端部と支持板(3)の最上端部とを同一水平面になるように調整し、バルブ(4)及び(5)を閉じた状態で、約25mlの生理食塩水をビューレット(1)に入れ、ゴム栓(6)を装着し、バルブ(4)及び(5)を開けることにより、配管(11)を生理食塩水で充填すると共に、支持板(3)の中央に設けられた小穴(9)から生理食塩水を溢れ出させ、バルブ(4)を閉じてから、溢れ出た生理食塩水を拭き取り、ビューレット(1)の液面(h1)を読み取る。引き続き、支持板(3)上に、平織りナイロンメッシュ(7)(目開き63μm、5cm×5cm)をのせ、さらにこの平織りナイロンメッシュ(7)の上に、小穴(9)が中央に位置するようにして内径2.8cm、高さ6.0cmの円柱筒(10)を載せて、この円柱筒(10)の中に測定試料(8)を1.000g散布した後、円柱筒(10)を除去し、バルブ(4)を開けてから1分後に、ビューレットの液面(h2)を読み取り、液面の差{(h1)-(h2)}を垂直方向拡散性指数(ml/分)とする。」 ・ 「【0034】 本発明の吸水性樹脂粒子は、架橋重合体粒子(A)と水不溶性無機微粒子(B)とを均一混合することにより容易に得られる。架橋重合体粒子(A)と水不溶性無機微粒子(B)とを混合する段階としては、混合のし易さ等の観点から、架橋重合体粒子(A)を製造する工程のうち、溶液重合により架橋重合体(A)を得る場合、重合工程前、重合工程中、重合工程直後、重合で得られた含水ゲルの細断(ミンチ)工程中、表面架橋工程直前、表面架橋工程中、表面架橋工程直後、乾燥工程直前、乾燥工程中又は乾燥工程直後が好ましく、さらに好ましくは乾燥工程直後である。一方、逆相懸濁により架橋重合体粒子(A)を得る場合、重合工程前、重合工程中、重合工程直後、脱水工程中、脱水工程直後、重合で得られた含水ゲルと重合に用いた有機溶剤とを分離する工程中、表面架橋工程直前、表面架橋工程中、表面架橋工程直後、乾燥工程直前、乾燥工程中又は乾燥工程直後が好ましく、さらに好ましくは乾燥工程直後である。」 ・ 「【0065】 【表1】 [図:0001391983000012.jpg] 」 (イ)甲14は、吸水性樹脂粒子、吸収体及び吸収性物品を開示するものであって、吸水性樹脂粒子は、架橋重合体粒子(A)と水不溶性無機微粒子(B)を混合してなるものであることを考慮して、その請求項7に着目すると、甲14には、次の発明が記載されていると認めることができる(以下、この発明を「甲14発明」という。)。 「水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)、内部架橋剤(a3)、並びに表面架橋剤(a4)を必須構成単位としてなる架橋重合体粒子(A)と、該架橋重合体粒子(A)と混合してなる水不溶性無機微粒子(B)とからなり、拡散性指数が10~30ml/分である吸水性樹脂粒子と繊維とを含有してなる吸収体を配してなる吸収性物品。」 ケ 甲17(特開昭60-163956号公報) (ア)甲17には、図面とともに次の記載がある。 ・「2 特許請求の範囲 1 カルボキシレートを有する単量体単位を重合体の構成成分として含有する吸水性樹脂および不活性な無機質粉末の存在下に、架橋剤および水を吸収せしめ、ついで撹拌下に加熱して架橋反応と水の留去とを行わせることを特徴とする改質された吸水性樹脂の製法。 2 前記吸水性樹脂が(メタ)アクリル酸重合体の架橋物、多糖類-(メタ)アクリル酸グラフト共重合体の架橋物、(メタ)アクリル酸-アクリルアミド-スルホン化アクリルアミド3元共重合体の架橋物およびこれらのアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩よりなる群から選ばれた少なくとも1種である特許請求の範囲第1項記載の製法。 3 前記の不活性な無機質粉末が微粒子上シリカ、二酸化チタン粉末およびアルミナ粉末よりなる群から選ばれた少なくとも1種である特許請求の範囲第1項記載の製法。」 ・「吸水性樹脂は生理用品、おむつ、使い捨て雑巾などの衛生関係や保水剤などの農園芸関係に使用されているほか、汚泥の凝固、建材の結露防止、油類の脱水などの用途に用いられている。」(1頁右下欄12行~15行) ・「本発明者らは上記のごとき実情に鑑み、吸水能が良好で、吸水速度および吸水後のゲル強度がともに大きく、吸水後のゲルがべとついた感じにならず、しかも効率よく容易かつ安価に製造しうる改質された吸水性樹脂をうることを目的として鋭意研究を重ねた結果、改質された吸水性樹脂の製造時に不活性な無機質粉末を用いることにより、従来技術において必要不可欠な成分である親水性有機溶剤をまったく使用することなく、前記諸目的を達成せしめうることを見出し、本発明を完成した。」(2頁右上欄10行~20行) ・「本発明により改質しうる吸水性樹脂の粒径にはとくに限定はなく、粉末状あるいは粒子状である限り、とくにその形状、大きさなどに制限はないが、通常約10~600メッシュの粒径を有するものが好ましい。」(3頁左上欄14行~18行) ・「本発明における架橋剤の使用量は、架橋剤の種類、改質すべき吸水性樹脂の種類、用いた水の量、不活性な無機質粉末の種類や量あるいは改質された吸水性樹脂の使用目的などによって異なるが、通常用いる吸水性樹脂に対して0.005~5.0%(重量%、以下同様)程度が好ましく、0.01~1.0%がさらに好ましい。」(4頁左下欄末2行~右下欄5行) ・「本発明の方法によりえられた改質された吸水性樹脂は、吸水能および吸水速度が大きく、吸水後のゲルがさらっとした感じでゲル強度の高いゲルがえられる。また本発明の方法によると、上記のごとき改質された吸水性樹脂が容易に、しかも効率よく製造される。」(5頁右上欄5行~10行) ・「実施例1 ポリアクリル酸カリウム塩架橋物の粉末(荒川化学工業(株)製のアラソーブ)100gおよびアエロジル200(平均粒径約0.012μm、日本アエロジル(株)製の微粒子状シリカ)3gを300mlの3つ口セパラブルフラスコに入れ、撹拌機で充分攪拌したのち、攪拌をつづけながら、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.20gと水25gとからなる溶液を徐々に加え、均一な分散状態にした。そののち加熱し、約120℃で水を留去させながら約1時間架橋させた。ついで減圧下(約30mmHg)にて約10分間残存する水を留去させ、改質された吸水性樹脂95gをえた。 えられた吸水性樹脂を用いて下記方法により、吸水能、吸水速度、吸水後のゲル強度およびべとつきを測定した。それらの結果を架橋反応中の吸水性樹脂の状態とともに第1表に示す。 (吸水能) 200mlのビーカーに脱イオン水150gと本発明でえられた吸水性樹脂0.12gとを加え、30分間放置したのち、200メッシュの金網で濾別し、流出してくる水の重量を測定し、下式により吸水能を算出。 初めに添加した水の重量―流出してきた水の重量 吸水能= 吸水性樹脂の重量 (吸水速度) あらかじめ100mlビーカーに生理食塩水(0.9%食塩水)50gと攪拌子とを入れ、マグネチックスターラーにて600rpmの速度で攪拌しておき、この中に吸水性樹脂2.0gを投入すると、吸水膨潤作用にてゲル化がおこり、流動性が減少して攪拌中心の水流渦が消える。吸水性樹脂投入から渦が消失するまでに要した時間を測定し、吸水速度とする。」(5頁右上欄14行~右下欄7行) ・「 [図:0001391983000013.jpg] 」 (イ)甲17は、吸水性樹脂の製法に係るものであるが、その請求項2の記載に基づいて吸収性樹脂に着目すると、甲17には、次の発明が記載されていると認めることができる(以下、この発明を「甲17発明」という。)。 「(メタ)アクリル酸重合体の架橋物、多糖類-(メタ)アクリル酸グラフト共重合体の架橋物、(メタ)アクリル酸-アクリルアミド-スルホン化アクリルアミド3元共重合体の架橋物およびこれらのアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩よりなる群から選ばれた少なくとも1種である吸水性樹脂と不活性な無機質粉末とを含む、吸水性樹脂。」 コ 甲18(特開平4-214736号公報) (ア)甲18には、図面とともに次の記載がある。 ・ 「【特許請求の範囲】 【請求項1】 水に対する接触角が約60°以上で約70℃以上の熱変形温度を有する基材(1(当審注:原文は丸囲み数字))で実質的に形成された内面を有する高速攪拌型ミキサー内で、カルボキシル基を有する吸水性樹脂粉末(A)100重量部、該吸水性樹脂粉末のカルボキシル基と反応し得る少なくとも2個の官能基を有する架橋剤(B)0.01~30重量部、水(C)0~50重量部、および親水性有機溶媒(D)0~60重量部を攪拌羽根の先端部の回転速度が600m/min以上の攪拌条件下で混合し、その後、反応中に混合物に加えられる全力学的エネルギーFが下記の数式1を満たす条件下で該吸水性樹脂粉末(A)と架橋剤(B)の反応を完結することを特徴とする流体安定性造粒物の製造方法: 0≦F≦36,000ジュール/kg (数式1) (ただし、数式1において、反応中に加えられる毎分当たりの力学的エネルギーFaは、600ジュール/kg以下である。) … 【請求項20】 前記吸水性樹脂粉末(A)と前記架橋剤(B)の混合が、吸水性樹脂粉末(A)100重量部に対し、水不溶性微粒子(E)0.01~10重量部の存在下で実施されてなる請求項1記載の方法。 【請求項21】 前記吸水性樹脂粉末(A)100重量部に対し、前記架橋剤(B)が、0.1~10重量部の範囲で使用され、前記水(C)が、0.5~40重量部の範囲で使用され、前記親水性有機溶媒(D)が、0~20重量部の範囲で使用され、さらに前記水不溶性微粒子(E)0.01~10重量部の範囲で使用されてなる請求項20記載の方法。」 ・ 「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、複数の吸水性樹脂粉末粒子が共有結合により相互に粒子間架橋構造をなし、造粒構造がつぶれることのない流体安定性造粒物およびその製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、体液を吸水することを目的として、生理用ナプキン、使い捨ておむつ等のこれらの衛生用品に関する1つの構成材料として吸水性樹脂を用いる試みがなされている。 … 【0020】本発明のさらに他の目的は、相対的に大量の流体安定性造粒物を含有し、大きい膨脹速度を有する高分子組成物の製造方法を提供することにある。」 ・ 「【0023】 【作用】本発明に用いられる吸水性樹脂粉末(A)としては、カルボキシル基を有することを要する。上記記述に適合する吸水性樹脂粉末は、一様に粉体であり、例えばデンプン-アクリロニトリルグラフト共重合体の加水分解物、デンプン-アクリロニトリルグラフト共重合体の部分中和物、酢酸ビニル-アクリル酸エステル共重合体のケン化物、アクリロニトリル共重合体もしくはアクリルアミド共重合体の加水分解物、これらの共重合体架橋体、ポリアクリル酸部分中和物およびポリアクリル酸部分中和物架橋体が挙げられる。これらの吸水性樹脂粉末は、単独または2種あるいはそれ以上の混合物の形で使用される。吸水性樹脂粉末(A)が、架橋構造を有していることが望ましいけれども、そのような架橋構造を持たない形で効果的に用いても良い。 【0024】上述の種々の吸水性樹脂粉末(A)の中で、特に望ましいもが、以下(1)~(5)に示す吸水性樹脂である。 【0025】(1) 1~50モル%のアクリル酸と99~50モル%のアクリル酸アルカリ金属塩から成るアクリル酸塩単量体100重量部および架橋性単量体0~5重量部を20重量%以上の単量体濃度を有する水溶液中で共重合することにより形成されたゲル状含水重合体を熱乾燥して得られる粉状アクリルアルカリ金属塩重合体。」 ・ 「【0056】本発明において使用できる水不溶性微粒子(E)は、例えば、吸水樹脂の耐光性を改良させる効果および脱臭効果のあるカーボンブラック、活性炭およびパルプ粉のような有機粒子、さらにまた、雲母、パイロフィライト、カオリナイト、ハルサイト、および他の類似した粘土鉱物および主に50μm以下の平均粒子径を有する二酸化シリコン粒子から成るアエロジル200(日本アエロジル株式会社製)およびカプレックス#80(シオノギ株式会社製)のような微粉末のシリカのような無機粒子を含む。」 ・ 「【0058】用いられる水不溶性微粒子(E)の量は、吸水性樹脂粉末(A)100重量部に対し、0.01~10重量部の範囲、好ましくは、0.01~5重量部の範囲である。用いられる水不溶性微粒子(E)の量が、前記の範囲にある間は、大きい膨脹速度、高い流体安定性造粒物の含有量および十分に低い微粉の含有量を有する高分子組成物を、効率的に得ることができる。前記重量が10重量部を越えるならば、該超過は、添加量に比例する効果を得ることができず、そればかりかむしろ、吸水倍率が減少し、場合によっては、造粒を困難にする。」 ・ 「【0084】(b)膨脹速度:吸水性樹脂粉末(A-1)あるいは流体安定性造粒物(1)のサンプルは、常法にしたがって縮分され、30メッシュ(600ミクロン)で遮られ20メッシュ(850ミクロン)を通過するものあるいは、50メッシュ(300ミクロン)で遮られ30メッシュを通過するものを得るために篩にかけられた。 【0085】20/30カットあるいは、30/50カットのサンプル0.450gが、計量され、標準0.5インチ径の試験管の底に置かれた。Jayco人工尿(0.2%のKCl、0.2%のNa2 SO4 、0.085%の(NH4)H2PO4、0.015%の(NH4)2HPO4 、0.025%のCaCl2・2H2Oおよび0.050%のMgCl2・6H2Oを含有する)12.6gが、垂直に支えられた試験管に添加されると同時にストップウォッチを動かした。 【0086】ストップウォッチは、上昇するゲルの集団が試験管内の流体のメニスカスの底に達した、ちょうどその時に止めた。サンプルの単位グラム当りの人工尿グラムすなわち28g/gを膨脹速度を得るために秒の単位で経過した時間で割った。」 ・ 「【0109】実施例8 乾燥ゲルを実施例1よりも厳しい条件でハンマー型粉砕機により粉砕し、20メッシュの金網を通過する粒子[吸水性樹脂粉末(A-3)]を得、該吸水性樹脂粉末(A-3)100重量部とアエロジル200の1重量部が、V-型ミキサーにより混合された以外は実施例1に準じる操作を行ない吸水性樹脂粉末Cを得た。 【0110】吸水性樹脂粉末Cの101重量部および、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.5重量部、水30重量部およびメタノール4重量部を有する液体混合物が、表1に記載の条件下で、実施例1と同様のタービュライザーで混合された以外は実施例1に準じる操作を行ないFSA(8)を得た。実施例1と同様の試験を行い得られた結果を表3に示した。」 ・ 「【0111】 【表1】 [図:0001391983000014.jpg] 」 ・ 「【0112】 【表2】 [図:0001391983000015.jpg] 」 ・ 「【0113】 【表3】 [図:0001391983000016.jpg] 」 (イ)甲18は、流体安定性造立物に係るものであるが、その請求項20の記載に基づいて流体安定性造立物に着目すると、甲18には、次の発明が記載されていると認めることができる(以下、この発明を「甲18発明」という。)。 「カルボキシル基を有する吸水性樹脂粉末(A)と該吸水性樹脂粉末のカルボキシル基と反応し得る少なくとも2個の官能基を有する架橋剤(B)を水不溶性微粒子(E)の存在下で混合して該吸水性樹脂粉末(A)と該架橋剤を反応させてなる流体安定性造立物。」 サ 甲19(国際公開第2015/129917号) (ア)甲19には、図面とともに次の記載がある。 ・ 「[請求項1] ポリ(メタ)アクリル酸(塩)系吸水性樹脂を主成分とする粒子状吸水剤であって、重量平均粒子径が300~500μmの粒度分布を有し、25℃、相対湿度90%の状態で1時間放置した時の吸湿ブロッキング率が20%以下であり、表面張力が60mN/m以上であり、GCA(Gel Capillary Absorption)が28.0g/g以上であることを特徴とする、粒子状吸水剤。 [請求項2] 表面架橋されている、請求項1に記載の粒子状吸水剤。 … [請求項8] 水不溶性無機微粒子を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の粒子状吸水剤。 … [請求項16] (a1)平均粒子径10~180μmのポリ(メタ)アクリル酸(塩)系吸水性樹脂を造粒して造粒物を得る造粒工程と、 (b)前記造粒物を表面架橋する表面架橋工程と、 (c)前記表面架橋工程の前及び/又は後に、前記造粒物の全粒子100重量%に占める粒子径が150~850μm(標準篩で規定)の粒子の割合を95~100重量%とする整粒工程と、 (d)水不溶性無機微粒子を混合する混合工程と、 を順次、又は前記工程(a1)~工程(d)の少なくとも一部を同時に実施することを特徴とする、吸水剤の製造方法。 [請求項17] (a2)重合前に予め気泡を分散させたアクリル酸ナトリウム水溶液を得る単量体水溶液調製工程と、 (a3)前記水溶液を重合して、ポリ(メタ)アクリル酸(塩)系吸水性樹脂の発泡重合体を得る重合工程と、 (b)前記発泡重合体を表面架橋する表面架橋工程と、 (c)前記表面架橋工程の前及び/又は後に、前記発泡重合体の全粒子100重量%に占める粒子径が150~850μm(標準篩で規定)の粒子の割合を95~100重量%とする整粒工程と、 (d)水不溶性無機微粒子を混合する混合工程と、 を順次、又は工程(c)及び工程(d)を同時に実施することを特徴とする、吸水剤の製造方法。 … [請求項21] 前記水不溶性無機微粒子の含有量が、ポリ(メタ)アクリル酸(塩)系吸水性樹脂の固形分量100重量%に対して0.01~1.0重量%である、請求項16~18のいずれか1項に記載の製造方法。」 ・ 「[0053] 本発明において、(メタ)アクリル酸(塩)系単量体又は重合後の含水ゲル状架橋重合体の中和率については特に限定されないが、得られる吸水性樹脂粒子の物性や表面架橋剤の反応性の観点から、40~90モル%が好ましく、50~80モル%がより好ましく、60~75モル%が更に好ましい。但し、上記中和率が低い場合は吸水速度が低下する(例えば、Vortex法による吸水時間が増大する)傾向にあり、逆に中和率が高い場合はポリ(メタ)アクリル酸(塩)系吸水性樹脂と表面架橋剤(特に後述の脱水反応性表面架橋剤)との反応性が低下し、生産性が低下したり、加圧下吸水倍率(例えば、AAP)が低下する傾向にあるため、上記範囲内の中和率が好ましい。」 ・ 「[0172] (溶媒及び濃度) 前記有機表面架橋剤の添加量は、その総量が、添加前の前記吸水性樹脂100重量部に対して、0.001~15重量部であることが好ましく、0.01~5重量部であることがさらに好ましい。」 ・ 「[0203] 上記水不溶性微粒子としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト、クレイ、カオリン等の水不溶性無機微粒子、乳酸カルシウム、金属石鹸(長鎖脂肪酸の多価金属塩)等の水不溶性有機微粒子が挙げられ、その(特に水不溶性無機微粒子の)体積平均粒子径は10μm以下が好ましく、3μm以下がより好ましく、1μm以下が更に好ましい。一方、水不溶性微粒子の(特に水不溶性無機微粒子の)体積平均粒子径の下限値は、好ましくは0.01μm以上である。」 (イ)甲19は、粒子状吸水剤に係るものであるが、その請求項8,16,17の記載に基づくと、甲19には次の発明が記載されている(以下、この発明を「甲19発明」という。)。 「ポリ(メタ)アクリル酸(塩)系吸水性樹脂を主成分とし、水不溶性無機微粒子を混合してなる、粒子状吸水剤。」 シ 甲21(特許第5485805号公報) 甲21には、次の記載がある。 ・ 「【請求項1】 不飽和カルボン酸および/または不飽和カルボン酸塩の重合体を表面架橋処理および疎水性材料による疎水処理してなり、吸水開始から30秒後における人工尿の加圧吸水量が10g/g以下であり、吸水開始から30分後における人工尿の加圧吸水量が30g/g以上であり、生理食塩水に対する飽和吸水量が52g/g以上である吸水性樹脂であって、吸収性物品における逆戻り量が12.6g以下であり、前記疎水材料が、ソルビタン脂肪酸エステル、無水マレイン酸変性ポリエチレン、セルロース類誘導体、および疎水化された無機粉末からなる群より選択される1種以上であり、吸水性樹脂100重量部に対して0.001~10重量部の疎水性材料により疎水処理されている、吸水性樹脂。」 ・ 「【0002】 紙おむつ、失禁パッド、生理用ナプキンなどの吸収性物品は、身体に接触する側に配された柔軟な液体透過性シートと、身体と接触する反対側に配された液体不透過性シートとの間に、尿や体液などの水性液体を吸収・保持する吸収体が保持された構造を有している。」 ・ 「【0052】 ここで、疎水処理を施した場合には、吸水性樹脂が初期吸水時においては膨潤しにくく、ゲルブロッキングが生じにくくなるために水性液体の拡散性が向上する。一方、表面架橋とは、吸水性樹脂の粒子の表層を架橋し、内層に比べて表層の架橋度を大きくすることをいう。このため、表面架橋が施された粒子は、表面架橋を施していないものに比べて表層部の強度が強くなるため、粒子内に液体を取り込んだ場合においても変形しにくく、ゲルブロッキングが生じにくくなって吸水時の拡散性を良好なものとでき、吸収体を有効に利用でき逆戻り量を小さくできる。したがって、疎水処理や表面架橋を施せば、吸水開始初期の段階では、液体の拡散を支配的にできるとともに、吸水開始から一定時間(たとえば30分)経過後における加圧吸水量や飽和吸水量を大きく確保できるようになる。 【0053】 疎水処理は、たとえば疎水性材料を各種溶剤に溶解した溶液、あるいは加熱により溶融させて、吸水性樹脂に噴霧・乾燥してコーティングすることにより、あるいは吸水性樹脂の製造の際に、疎水性材料の存在下で重合してコーティングすることにより行うことができる。本発明においては、疎水処理の方法は、これらに限定されるものではない。 【0054】 上記疎水性材料の添加量は、種類により異なるが、吸水性樹脂100重量部に対し、0.001~10重量部の範囲が好ましい。使用量が0.001重量部未満の場合は、効果が不充分となり、逆に10重量部を超えると、それに見合う経済的な効果が見られない。 【0055】 疎水性材料としては、実質的に水に不溶な材料、例えば、n-ドデカン、n-ヘキサデカン、n-ヘプタデカン等の高級脂肪族炭化水素、ドデカン-1-オール、ヘキサデカン-1-オール等の高級脂肪族アルコール、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等の高級脂肪酸エステル類等の高級脂肪族化合物;ラウリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド等の高級脂肪酸アミド;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/酢酸ビニル共重合体、酸化変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリブタジエン、無水マレイン酸変性EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン・ターポリマー)等のポリオレフィン類;ナイロン等のポリアミド類;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル類;セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、エチルセルロース、ベンジルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース等のセルロース類誘導体;疎水性シリカ等の疎水化された無機粉末等が挙げられる。これらのものは、単独で用いても良く、2種類以上を併用して用いることもできる。なかでも、脂肪酸エステル類が好ましく、とりわけHLBが5以下、好ましくはHLBが4以下、さらに好ましくはHLBが3以下の脂肪酸エステル類が好ましい。」 ・ 「【0068】 一方、500ml容の三角フラスコを2つ用意し、まず、80重量%アクリル酸水溶液92gを加えた。これに、外部から氷冷しつつ、30重量%水酸化ナトリウム水溶液102.2gを滴下して75モル%の中和を行い、アクリル酸の部分中和物水溶液を調製した。さらに、水50.3gと、重合開始剤の過硫酸カリウム0.11gを添加し、これを1段目重合用の単量体水溶液(a)とした。次いで、別の500ml容の三角フラスコに、80重量%アクリル酸水溶液119.1gを加え、上記のごとく冷却しつつ、30重量%水酸化ナトリウム水溶液132.2gを滴下して、75モル%の中和を行い、さらに水27.4g過硫酸カリウム0.14gを添加し、これを2段目重合用の単量体水溶液(b)とした。 【0069】 次に、上記五つ口円筒型丸底フラスコに、攪拌下で1段目重合用の単量体水溶液(a)を全量加えて分散させ、系内を窒素で十分に置換した後、70℃に昇温し1時間重合反応を行った。その後、重合スラリー液を40℃に冷却し、2段目重合用の単量体水溶液(b)を添加した。全量添加後、再び系内を窒素で十分に置換した後、70℃に昇温し2段目の重合反応を1時間行った。2段目の重合終了後、含水ゲル状物から水分をn-ヘプタンと共に加熱留去した。脱水した含水ゲル状物に10.5gの水に溶解したエチレングリコールジグリシジルエーテル211.0mgを添加し、80℃で2時間保持した。その後、50mlのn-ヘプタンに分散した粉末状の無水マレイン酸変成ポリエチレンを2.1g添加し、さらに1時間保持した。その後、余剰の水およびn-ヘプタンを蒸留により除去して乾燥し、850μmのふるいで分級して吸水性樹脂(D)を得た。」 ・ 「【実施例5】 【0070】 無水マレイン酸変成ポリエチレンに代えて粉末状の疎水性シリカ1.0gを用いた以外は、実施例4と同様の操作を行い、吸水性樹脂(E)を得た。」 ・ 「【0114】 【表1】 [図:0001391983000017.jpg] 」 (2)対比・判断 本件各発明を甲1発明、甲5-1発明、甲5-2発明、甲8発明、甲13発明、甲14発明、甲17発明、甲18発明、甲19発明の各々と対比し、その相違点について判断する。 ア 甲1発明に基づくもの (ア)本件発明1について a 本件発明1を甲1発明と対比する。 甲1発明(以下「後者」ということがある)の「水溶性エチレン性不飽和単量体」、「(メタ)アクリル酸及びその塩を含む水溶性エチレン性不飽和単量体をアゾ系重合開始剤存在下で重合させることにより得られる吸水性樹脂」、「親水性の無機微粒子」は、それぞれ、本件発明1(以下「前者」ということがある)の「エチレン性不飽和単量体」、「(メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むエチレン性不飽和単量体に由来する単量体単位を有する架橋重合体を含む重合体粒子」、「複数の無機粒子」に相当する。後者の「総水溶性エチレン性不飽和単量体に対して70~100モル%」は、前者の「前記架橋重合体中の単量体単位全量に対して70~100モル%」に相当する。後者の「吸水性樹脂組成物」は、粒子状を呈すると解されるので、前者の「吸水性樹脂粒子」に相当する。 したがって、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。 [一致点] 吸水性樹脂粒子が、(メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むエチレン性不飽和単量体に由来する単量体単位を有する架橋重合体を含む重合体粒子と、該重合体粒子の表面上に配置された複数の無機粒子と、を含み、 (メタ)アクリル酸及びその塩の割合が前記架橋重合体中の単量体単位全量に対して70~100モル%である、 吸収性樹脂粒子。 [相違点1] 本件発明1が「液体不透過性シート、吸収体、及び液体透過性シートを備え、前記液体不透過性シート、前記吸収体及び前記液体透過性シートがこの順に配置されている、吸収性物品」に係るものであって、吸水性樹脂粒子が「前記吸収体」に含まれるものとされているのに対して、甲1発明は、吸収性樹脂組成物に係るものである点。 [相違点2] 本件発明1が「吸水速度指数I=(無加圧DWの10秒値)×6[mL/g]で、 吸水速度指数II=(無加圧DWの3分値)/3[mL/g]であるとき、 下記式: α=(I+II)/2 で算出される前記吸水性樹脂粒子の静的吸引指数αが5.0mL/g以上であり、 前記吸水性樹脂粒子の吸水速度指数Iが2mL/g以上であり、 前記吸水性樹脂粒子の吸水速度指数IIが8mL/g以上である」とされているのに対して、甲1発明では「(A)生理食塩水保水能が、38~44g/g」「(B)無加圧DWの5分値が、50mL/g以上」「(C)無加圧DWの60分値が、60mL/g以上」「(D)生理食塩水通液速度が、5g/分以上」である点。 b 事案に鑑み、相違点2から検討する。 (a)甲1発明は、吸水速度に関し、「(B)無加圧DWの5分値が、50mL/g以上」「(C)無加圧DWの60分値が、60mL/g以上」と特定されたものであるが、無加圧DWの10秒値、3分値がどのようになるのかは明らかでない。 (b)ここで、申立人が言及する甲2には、吸水性樹脂の初期吸水速度を吸水時間0~30秒間における1秒あたりの液体の吸水量(mL)として表すこと、及び、その好ましい値が0.05~0.30mL/sであること等が記載されている(「2(1)イ」参照)。 また、同じく甲8には、吸水性樹脂の一般的な吸収カーブが図示されている(「2(1)オ」参照)。 さらに、同じく甲9には、実施例の吸収性樹脂粒子の吸水速度に関し、30秒後の生理食塩水の吸収量が5.6~8.5g/gであること等が記載されている(「2(1)カ」参照)。 (c)甲8に記載されている吸収カーブからも理解されるように、吸水速度は、給水を開始してからの時間により変化する性格のものと捉えられる。 したがって、吸水開始1分後の時点での吸水速度が、10秒の時点での吸水速度や3分後の時点での吸水速度と同じ値になるものではない。 (d)甲2、甲9は、その吸水カーブが明らかではなく、10秒及び3分後の吸水速度が把握できるものではない。 甲8からもその吸水カーブから10秒及び3分後の値が読み取れるものではない。 (e)そうすると、甲1発明において、甲2,甲8,甲9を考慮しても、吸水速度指数I、吸水速度指数II、静的吸引指数αの値を特定することはできず、当業者が甲1発明において相違点2に係る本件発明1の発明特定事項を容易に採用できるものではない。 c したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明し得たものではない。 (イ)本件発明2~4について 本件発明2、3は、いずれも、本件発明1の発明特定事項をすべて含んだ上に他の発明特定事項を付加してなるものであるから、本件発明1と同様に、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明し得たものとはいえない。 また、本件発明4を甲1発明と対比すると、両者は、本件発明1と甲8発明の相違点1,2に加えて、本件発明4は、吸収性物品を製造する方法に係るものであって、吸収性樹脂を「選別」する工程と、該吸収性樹脂を含む吸収体を、液体不透過性シート及び液体透過性シートの間に配置する工程が含まれることが特定された点(相違点3)でも相違するが、既に述べた相違点2についての判断を踏まえれば、本件発明4も、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明し得たものとはいえない。 イ 甲5-1発明、甲5-2発明に基づくもの (ア)本件発明1について a 本件発明1を甲5-1発明と対比する。 (a)甲5-1発明(以下「後者」ということがある。)の「衛生物品」は、本件発明1(以下「前者」ということがある。)の「吸収性物品」に相当する。 後者の「アクリル酸、水酸化ナトリウム水溶液を含む単量体水溶液を重合反応させて得られた吸水性樹脂粒子」は、前者の「(メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むエチレン性不飽和単量体に由来する単量体単位を有する含架橋重合体を含む重合体粒子」に相当する。また、後者における「アクリル酸及びその塩」の割合は、前者の「(メタ)アクリル酸及びその塩の割合が前記架橋重合体中の単量体単位全量に対して70~100モル%である」に含まれる。 後者の「二酸化ケイ素」は、前者の「複数の無機粒子」に相当するから、後者の「該吸収性樹脂粒子に添加された二酸化ケイ素」は、前者の「該重合体粒子の表面上に配置された複数の無機粒子」に相当する。 後者の「二酸化ケイ素」が表面に添加された状態の「吸収性樹脂粒子」は、前者の「吸水性樹脂粒子」に相当する。 したがって、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。 [一致点] 吸収体を備える吸収性物品であって、 前記吸収体が、吸収性樹脂粒子を含み、 前記吸水性樹脂粒子が、(メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むエチレン性不飽和単量体に由来する単量体単位を有する含架橋重合体を含む重合体粒子と、該重合体粒子の表面上に配置された複数の無機粒子と、を含み、 (メタ)アクリル酸及びその塩の割合が前記架橋重合体中の単量体単位全量に対して70~100モル%である、 吸収性物品。 [相違点1] 吸収性物品が、本件発明1では「液体不透過性シート、吸収体、及び液体透過性シートを備え、前記液体不透過性シート、前記吸収体及び前記液体透過性シートがこの順に配置されている」ものであるのに対して、甲5-1発明は、吸収体以外の構成要素に付き明らかでない点。 [相違点2] 本件発明1が「吸水速度指数I=(無加圧DWの10秒値)×6[mL/g]で、 吸水速度指数II=(無加圧DWの3分値)/3[mL/g]であるとき、 下記式: α=(I+II)/2 で算出される前記吸水性樹脂粒子の静的吸引指数αが5.0mL/g以上であり、 前記吸水性樹脂粒子の吸水速度指数Iが2mL/g以上であり、 前記吸水性樹脂粒子の吸水速度指数IIが8mL/g以上である」とされているのに対して、甲5-1発明ではそうした吸水速度指数I、吸水速度指数II、静的吸引指数αの値につき明らかでない点。 b 事案に鑑み、相違点2から検討する。 (a)申立人が特許異議申立書に添付した甲12は、甲5の実施例2,11-5の実験成績証明書である。 これによれば、実施例2に係る粒子状吸収剤の静的吸引指数α、吸水速度指数I、吸水速度指数IIの値は、それぞれ、12.6(mL/g)、14.4(g/g)、10.9(g/g)である。 しかし、甲12に係る実験は、甲5の実施例2、11-5とは、分級後の吸水性樹脂の重量平均粒子径、対数標準偏差(σζ)、150μm通過粒子の重量%、表にまとめられた物性値に違いが存在している。 当審でこの点につき申立人に審尋したところ回答書の提出があったが、当該回答書による説明は、一般的なものにとどまり、甲12に係る実験が、甲5の実施例2、11-5を正確に再現したものとして扱うことは合理的ではない。 そうすると、甲12の提出があったものの、甲5-1発明が本件発明1で特定された吸水速度指数I、吸水速度指数II、静的吸引指数αの値を備えたものということはできない。 (b)また、申立人が言及する甲13、甲16、甲21については、既に本件発明1と甲3発明との対比・判断で述べたことと同様であって(「1(2)ア(ア)b(a)」)、甲5-1発明に甲13、甲16、甲21を合わせて考慮しても、本件発明1の静的吸引指数α、吸水速度指数I、吸水速度指数IIの値が導き出せるものではない。 (c)そうすると、当業者が甲5-1発明に接したときに、吸水速度指数I、吸水速度指数II、静的吸引指数αが認識されるものではないから、甲5発明に基づいて本件発明1で特定された吸水速度指数I、吸水速度指数II、静的吸引指数αの値を備えたものを当業者が容易に想到し得たといえるものではない。 そして、本件発明1は、相違点2に係る吸水速度指数I、吸水速度指数II、静的吸引指数αの値を備えた吸収性樹脂粒子を用いて吸収性物品を構成したことにより、液体漏れが抑制できることが確認されたものである。 c したがって、相違点1について検討するまでもなく、本件発明1は、甲5-1発明に基づいて当業者が容易に発明し得たものではない。 d 本件発明1を甲5-2発明と対比する。 甲5-2発明の「ハイドロタルサイト」は、本件発明1の「複数の無機粒子」に相当し、本件発明1を甲5-2発明の間には本件発明1と甲5-1発明の間の相当関係と同様の相当関係が成り立つから、両者の一致点及び相違点は、本件発明1と甲5-1発明の一致点及び相違点と同様である。 そして、本件発明1と甲5-1発明を対比した際の相違点1、2についての判断が、本件発明1と甲5-2発明の相違点についても当てはまるから、本件発明1は、甲5-2発明に基づいても当業者が容易になし得たものではない。 (イ)本件発明3について a 本件発明3を甲5-1発明と対比すると、甲5-1発明の「二酸化ケイ素」は、本件発明3の「シリカ粒子」に相当するから、両者の相違点は、本件発明1と甲5-1発明の相違点と同じである。 そうすると、本件発明3も、甲5-1発明に基づいて当業者が容易になし得たものではない。 b 本件発明3を甲5-2発明と対比すると、甲5-2発明の「ハイドロタルサイト」は、本件発明3の「シリカ粒子」に相当するから、両者の相違点は、本件発明1と甲5-2発明の相違点と同じである。 そうすると、本件発明3も、甲5-2発明に基づいて当業者が容易になし得たものではない。 (ウ)本件発明4について a 本件発明4を甲5-1発明と対比すると、両者は、本件発明1と甲5-1発明の相違点に加えて、本件発明4は、吸収性物品を製造する方法に係るものであって、相違点1に係る吸収性樹脂を「選別」する工程と、該吸収性樹脂を含む吸収体を、液体不透過性シート及び液体透過性シートの間に配置する工程が含まれることが特定された点(相違点3)でも相違する。 しかし、本件発明1と甲5-1発明の相違点1についての判断が、ここでも当てはまるので、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明4は、甲5-1発明に基づいて当業者が容易になし得たものではない。 b 本件発明4を甲5-2発明と対比する。 両者の相違点は、本件発明4と甲5-1発明の相違点と同様であり、本件発明4と甲5-1発明を対比した際の相違点についての判断が本件発明4と甲5-2発明の相違点についても当てはまるから、本件発明4は、甲5-2発明に基づいても当業者が容易になし得たものではない。 ウ 甲8発明に基づくもの (ア)本件発明1について a 本件発明1を甲8発明と対比する。 甲8発明の「架橋重合体(A)」は、粒子状を呈すると解されるので、本件特許発明1の「重合体粒子」に相当する。 したがって、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。 [一致点] 重合体粒子を含む吸水性樹脂粒子。 [相違点1] 本件発明1が「液体不透過性シート、吸収体、及び液体透過性シートを備え、前記液体不透過性シート、前記吸収体及び前記液体透過性シートがこの順に配置されている、吸収性物品」に係るものであって、吸水性樹脂粒子が「前記吸収体」に含まれるものとされているのに対して、甲8発明は、吸収性樹脂粒子に係るものである点。 [相違点2] 架橋重合体が、本件発明1では「(メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むエチレン性不飽和単量体に由来する単量体単位を有する架橋重合体を含む重合体粒子」であって、「(メタ)アクリル酸及びその塩の割合が前記架橋重合体中の単量体単位全量に対して70~100モル%」であるとされているのに対して、甲8発明では「水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)並びに内部架橋剤(b)を必須構成単位とするポリアクリル酸等の架橋重合体(A)」とされている点。 [相違点3] 本件発明1では「重合体粒子の表面上に配置された複数の無機粒子」を含むのに対し、甲8発明では「水溶性ケイ素化合物(c)から誘導される固体ケイ素含有化合物(C)」を含むとされている点。 [相違点4] 本件発明1が「吸水速度指数I=(無加圧DWの10秒値)×6[mL/g]で、 吸水速度指数II=(無加圧DWの3分値)/3[mL/g]であるとき、 下記式: α=(I+II)/2 で算出される前記吸水性樹脂粒子の静的吸引指数αが5.0mL/g以上であり、 前記吸水性樹脂粒子の吸水速度指数Iが2mL/g以上であり、 前記吸水性樹脂粒子の吸水速度指数IIが8mL/g以上である」とされているのに対して、甲8発明ではそうした吸水速度指数I、吸水速度指数II、静的吸引指数αの値につき明らかでない点。 b 事案に鑑み、相違点4から検討する。 甲8には、吸水性樹脂の吸水速度について、図2を用いた説明がある(段落【0044】)。これらから、吸収速度が経時的に変化していくことは理解できるが、この一般的な吸収カーブを示したものとされる図2の記載から、申立人が指摘するような、DW10秒の値が1ml/gでDW3分の値が26ml/gであるといった事実は読み取ることができない。 甲8発明において吸水速度指数I、吸水速度指数II、静的吸引指数αの値を特定することはできず、当業者が甲8発明において相違点4に係る本件発明1の発明特定事項を容易に採用できるものではない。 c したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲8発明に基づいて当業者が容易に発明し得たものではない。 (イ)本件発明2~4について 本件発明2、3は、いずれも、本件発明1の発明特定事項をすべて含んだ上に他の発明特定事項を付加してなるものであるから、本件発明1と同様に、甲8発明に基づいて当業者が容易に発明し得たものではない。 また、本件発明4を甲8発明と対比すると、両者は、本件発明1と甲8発明の相違点1~4に加えて、本件発明4は、吸収性物品を製造する方法に係るものであって、吸収性樹脂を「選別」する工程と、該吸収性樹脂を含む吸収体を、液体不透過性シート及び液体透過性シートの間に配置する工程が含まれることが特定された点(相違点5)でも相違するが、既に述べた相違点4についての判断を踏まえれば、本件発明4も、甲8発明に基づいて当業者が容易に発明し得たものではない。 エ 甲13発明に基づくもの (ア)本件発明1について a 本件発明1を甲13発明と対比する。 甲13発明(以下「後者」ということがある)の「水溶性モノマーが重合されてなる重合体粒子」は、本件発明1(以下「前者」ということがある)の「重合体粒子」に相当する。 後者の「シリカ等の無機微粒子」は、前者の「複数の無機粒子」に相当し、後者の「無機微粒子」が「該重合体粒子の表面に」「処理されてなる」態様は、前者の「複数の無機粒子」が「該重合体粒子の表面上に配置された」態様に相当する。 後者の「無機微粒子」が表面に処理された「重合体粒子」は、それが吸水性を持つことは明らかであるから、前者の「吸水性樹脂粒子」に相当する。 したがって、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。 [一致点] 重合体粒子と、該重合体粒子の表面上に配置された複数の無機粒子と、を含む、 吸水性樹脂粒子。 [相違点1] 本件発明1が「液体不透過性シート、吸収体、及び液体透過性シートを備え、前記液体不透過性シート、前記吸収体及び前記液体透過性シートがこの順に配置されている、吸収性物品」に係るものであって、吸水性樹脂粒子が「前記吸収体」に含まれるものとされているのに対して、甲13発明は、吸収性樹脂粒子に係るものである点。 [相違点2] 重合体粒子が、本件発明1では「(メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むエチレン性不飽和単量体に由来する単量体単位を有する架橋重合体を含む」ものであって「(メタ)アクリル酸及びその塩の割合が前記架橋重合体中の単量体単位全量に対して70~100モル%」であるとされているのに対して、甲13発明は「水溶性モノマーが重合されてなる」ものである点。 [相違点3] 本件発明1が「吸水速度指数I=(無加圧DWの10秒値)×6[mL/g]で、 吸水速度指数II=(無加圧DWの3分値)/3[mL/g]であるとき、 下記式: α=(I+II)/2 で算出される前記吸水性樹脂粒子の静的吸引指数αが5.0mL/g以上であり、 前記吸水性樹脂粒子の吸水速度指数Iが2mL/g以上であり、 前記吸水性樹脂粒子の吸水速度指数IIが8mL/g以上である」とされているのに対して、甲13発明ではそうした吸水速度指数I、吸水速度指数II、静的吸引指数αの値につき明らかでない点。 b 事案に鑑み、相違点3から検討する。 甲13には、実施例につき60秒後の吸水速度を測定したところ、4.8(mL/分)、3.1(mL/分)であったことが記載されている(段落【0074】、【0077】~【0082】、【0086】参照)。この測定は、無加圧下のものであると理解される。 この実施例からは、無加圧DWの10秒値、3分値が実際にどのような値になるのかは明らかでない。 さらに、甲16、甲21をみても、無加圧DWの10秒値、3分値がどのようになるのか、また、本件発明1でいう吸水速度指数I,IIがどのようなものになるのか示されるものではない。 そうすると、甲13発明において、甲16、甲21を考慮しても、吸水速度指数I、吸水速度指数II、静的吸引指数αの値を特定することはできず、当業者が甲13発明において相違点3に係る本件発明1の発明特定事項を容易に採用できるものではない。 c したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲13発明に基づいて当業者が容易に発明し得たものではない。 (イ)本件発明2~4について 本件発明2、3は、いずれも、本件発明1の発明特定事項をすべて含んだ上に他の発明特定事項を付加してなるものであるから、本件発明1と同様に、甲13発明に基づいて当業者が容易に発明し得たものではない。 また、本件発明4を甲13発明と対比すると、両者は、本件発明1と甲13発明の相違点1~3に加えて、本件発明4は、吸収性物品を製造する方法に係るものであって、吸収性樹脂を「選別」する工程と、該吸収性樹脂を含む吸収体を、液体不透過性シート及び液体透過性シートの間に配置する工程が含まれることが特定された点(相違点4)でも相違するが、既に述べた相違点2についての判断を踏まえれば、本件発明4も、甲13発明に基づいて当業者が容易に発明し得たものではない。 オ 甲14発明に基づくもの (ア)本件発明1について a 本件発明1を甲14発明と対比する。 甲14発明(以下「後者」ということがある)の「水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)、内部架橋剤(a3)、並びに表面架橋剤(a4)を必須構成単位としてなる架橋重合体粒子(A)」は、本件発明1(以下「前者」ということがある)の「重合体粒子」に相当する。 後者の「水不溶性無機微粒子(B)」は、前者の「複数の無機粒子」に相当し、後者の「水不溶性無機微粒子(B)」が「該架橋重合体粒子(A)と混合してなる」態様は、前者の「複数の無機粒子」が「該重合体粒子の表面上に配置された」態様に相当する。 後者の「吸水性樹脂粒子」は、前者の「吸水性樹脂粒子」に相当する。 後者の「吸水性樹脂粒子と繊維とを含有してなる吸収体」は、前者の「吸水樹脂を含む」「吸収体」に相当する。 後者の「吸水性物品」は、前者の「吸水性物品」に相当する。 したがって、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。 [一致点] 吸収体を備えた吸収性物品であって、 前記吸収体が、吸収性樹脂粒子を含み、 前記吸水性樹脂粒子が、重合体粒子と、該重合体粒子の表面上に配置された複数の無機粒子と、を含む、 吸水性物品。 [相違点1] 本件発明1が「液体不透過性シート、吸収体、及び液体透過性シートを備え、前記液体不透過性シート、前記吸収体及び前記液体透過性シートがこの順に配置されている、吸収性物品」に係るものであるのに対して、甲14発明は、吸収体を備えた吸収性物品に係るものである点。 [相違点2] 重合体粒子が、本件発明1では「(メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むエチレン性不飽和単量体に由来する単量体単位を有する架橋重合体を含む」ものであって「(メタ)アクリル酸及びその塩の割合が前記架橋重合体中の単量体単位全量に対して70~100モル%」であるとされているのに対して、甲14発明は「水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)、内部架橋剤(a3)、並びに表面架橋剤(a4)を必須構成単位としてなる」ものである点。 [相違点3] 本件発明1が「吸水速度指数I=(無加圧DWの10秒値)×6[mL/g]で、 吸水速度指数II=(無加圧DWの3分値)/3[mL/g]であるとき、 下記式: α=(I+II)/2 で算出される前記吸水性樹脂粒子の静的吸引指数αが5.0mL/g以上であり、 前記吸水性樹脂粒子の吸水速度指数Iが2mL/g以上であり、 前記吸水性樹脂粒子の吸水速度指数IIが8mL/g以上である」とされているのに対して、甲14発明ではそうした吸水速度指数I、吸水速度指数II、静的吸引指数αの値につき明らかでない点。 b 事案に鑑み、相違点3から検討する。 甲14発明は、拡散性指数につき特定されるものであるが、無加圧DWの10秒値、3分値がどのようなものであるのか明らかでない。 さらに、既に甲13発明に関連して述べたように、甲13、甲16、甲21をみても、無加圧DWの10秒値、3分値がどのようになるのか、また、本件発明1でいう吸水速度指数I,IIがどのようなものになるのか示されるものではない。 そうすると、当業者が甲14発明において相違点3に係る本件発明1の発明特定事項を容易に採用できるものではない。 c したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲14発明に基づいて当業者が容易に発明し得たものではない。 (イ)本件発明2~4について 本件発明2、3は、いずれも、本件発明1の発明特定事項をすべて含んだ上に他の発明特定事項を付加してなるものであるから、本件発明1と同様に、甲14発明に基づいて当業者が容易に発明し得たものではない。 また、本件発明4を甲14発明と対比すると、両者は、本件発明1と甲14発明の相違点1~3に加えて、本件発明4は、吸収性物品を製造する方法に係るものであって、吸収性樹脂を「選別」する工程と、該吸収性樹脂を含む吸収体を、液体不透過性シート及び液体透過性シートの間に配置する工程が含まれることが特定された点(相違点4)でも相違するが、既に述べた相違点2についての判断を踏まえれば、本件発明4も、甲14発明に基づいて当業者が容易に発明し得たものではない。 カ 甲17発明に基づくもの (ア)本件発明1について a 本件発明1を甲17発明と対比する。 甲1発明(以下「後者」ということがある)の「(メタ)アクリル酸重合体の架橋物、多糖類-(メタ)アクリル酸グラフト共重合体の架橋物、(メタ)アクリル酸-アクリルアミド-スルホン化アクリルアミド3元共重合体の架橋物およびこれらのアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩よりなる群から選ばれた少なくとも1種である吸水性樹脂」、「不活性な無機質粉末」は、それぞれ、本件発明1(以下「前者」ということがある)の「(メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むエチレン性不飽和単量体に由来する単量体単位を有する架橋重合体を含む重合体粒子」、「複数の無機粒子」に相当する。 後者の「吸水性樹脂と不活性な無機質粉末とを含む」「吸水性樹脂」は、粒子状を呈するものであるから(甲17の「エ」参照)、前者の「吸水性樹脂粒子」に相当する。 したがって、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。 [一致点] 吸水性樹脂粒子が、(メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むエチレン性不飽和単量体に由来する単量体単位を有する架橋重合体を含む重合体粒子と、複数の無機粒子と、を含む、 吸収性樹脂粒子。 [相違点1] 本件発明1が「液体不透過性シート、吸収体、及び液体透過性シートを備え、前記液体不透過性シート、前記吸収体及び前記液体透過性シートがこの順に配置されている、吸収性物品」に係るものであって、吸水性樹脂粒子が「前記吸収体」に含まれるものとされているのに対して、甲17発明は、吸収性樹脂組成物に係るものである点。 [相違点2] 本件発明1では「(メタ)アクリル酸及びその塩の割合が前記架橋重合体中の単量体単位全量に対して70~100モル%」であるとされているのに対して、甲17発明ではそのような特定がない点。 [相違点3] 無機粒子について、本件発明1では「重合体粒子の表面に配置された」ものとされているのに対して、甲17発明ではそのようなものか明らかでない点。 [相違点4] 本件発明1が「吸水速度指数I=(無加圧DWの10秒値)×6[mL/g]で、 吸水速度指数II=(無加圧DWの3分値)/3[mL/g]であるとき、 下記式: α=(I+II)/2 で算出される前記吸水性樹脂粒子の静的吸引指数αが5.0mL/g以上であり、 前記吸水性樹脂粒子の吸水速度指数Iが2mL/g以上であり、 前記吸水性樹脂粒子の吸水速度指数IIが8mL/g以上である」とされているのに対して、甲17発明ではそうした吸水速度指数I、吸水速度指数II、静的吸引指数αの値につき明らかでない点。 b 事案に鑑み、相違点4から検討する。 甲17には、実施例につき吸水速度を計測したことが記載されているが、この計測は無加圧DWの値を取得したものではない。 さらに、既に甲13発明に関連して述べたように、甲13、甲16、甲21をみても、無加圧DWの10秒値、3分値がどのようになるのか、また、本件発明1でいう吸水速度指数I,IIがどのようなものになるのか示されるものではない。 そうすると、当業者が甲17発明において相違点4に係る本件発明1の発明特定事項を容易に採用できるものではない。 c したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲17発明に基づいて当業者が容易に発明し得たものではない。(イ)本件発明2~4について 本件発明2、3は、いずれも、本件発明1の発明特定事項をすべて含んだ上に他の発明特定事項を付加してなるものであるから、本件発明1と同様に、甲17発明に基づいて当業者が容易に発明し得たものではない。 また、本件発明4を甲17発明と対比すると、両者は、本件発明1と甲17発明の相違点1~4に加えて、本件発明4は、吸収性物品を製造する方法に係るものであって、吸収性樹脂を「選別」する工程と、該吸収性樹脂を含む吸収体を、液体不透過性シート及び液体透過性シートの間に配置する工程が含まれることが特定された点(相違点5)でも相違するが、既に述べた相違点4についての判断を踏まえれば、本件発明4も、甲17発明に基づいて当業者が容易に発明し得たものではない。 キ 甲18発明に基づくもの (ア)本件発明1について a 本件発明1を甲18発明と対比する。 甲18発明(以下「後者」ということがある)の「カルボキシル基を有する吸水性樹脂粉末(A)」は、本件発明1(以下「前者」ということがある)の「(メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むエチレン性不飽和単量体に由来する単量体単位」に相当する。後者の「該吸水性樹脂粉末(A)と該架橋剤を反応させてなる」ものは、流体安定性造立物」、は、それぞれ、本件発明1(以下「前者」ということがある)の「(エチレン性不飽和単量体に由来する単量体単位を有する架橋重合体を含む重合体粒子」に相当する。 前者の「複数の無機粒子」は、「水不溶性微粒子」に含まれるものである。 後者の「流体安定性造立物」は、粒子状を呈するものと理解されるから、前者の「吸水性樹脂粒子」に相当する。 したがって、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。 [一致点] 吸水性樹脂粒子が、エチレン性不飽和単量体に由来する単量体単位を有する架橋重合体を含む重合体粒子と、複数の水不溶性微粒子と、を含む、吸収性樹脂粒子。 [相違点1] 本件発明1が「液体不透過性シート、吸収体、及び液体透過性シートを備え、前記液体不透過性シート、前記吸収体及び前記液体透過性シートがこの順に配置されている、吸収性物品」に係るものであって、吸水性樹脂粒子が「前記吸収体」に含まれるものとされているのに対して、甲18発明は、吸収性樹脂組成物に係るものである点。 [相違点2] エチレン性不飽和単量体について、本件発明1では「(メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含む」ものとされ、「(メタ)アクリル酸及びその塩の割合が前記架橋重合体中の単量体単位全量に対して70~100モル%」であるとされているのに対して、甲18発明ではそのように特定されない点。 [相違点3] 水不溶性微粒子について、本件発明1では「無機粒子」であって「重合体粒子の表面に配置された」ものとされているのに対して、甲18発明ではそのように特定されない点。 [相違点4] 本件発明1が「吸水速度指数I=(無加圧DWの10秒値)×6[mL/g]で、 吸水速度指数II=(無加圧DWの3分値)/3[mL/g]であるとき、 下記式: α=(I+II)/2 で算出される前記吸水性樹脂粒子の静的吸引指数αが5.0mL/g以上であり、 前記吸水性樹脂粒子の吸水速度指数Iが2mL/g以上であり、 前記吸水性樹脂粒子の吸水速度指数IIが8mL/g以上である」とされているのに対して、甲18発明ではそうした吸水速度指数I、吸水速度指数II、静的吸引指数αの値につき明らかでない点。 b 事案に鑑み、相違点4から検討する。 甲18には、実施例につき膨張速度等を計測したことが記載されているが、この計測は無加圧DWの値を取得したものではない。 さらに、既に甲13発明に関連して述べたように、甲13、甲16、甲21をみても、無加圧DWの10秒値、3分値がどのようになるのか、また、本件発明1でいう吸水速度指数I,IIがどのようなものになるのか示されるものではない。 そうすると、当業者が甲18発明において相違点4に係る本件発明1の発明特定事項を容易に採用できるものではない。 c したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲18発明に基づいて当業者が容易に発明し得たものではない。 (イ)本件発明2~4について 本件発明2、3は、いずれも、本件発明1の発明特定事項をすべて含んだ上に他の発明特定事項を付加してなるものであるから、本件発明1と同様に、甲18発明に基づいて当業者が容易に発明し得たものではない。 また、本件発明4を甲18発明と対比すると、両者は、本件発明1と甲18発明の相違点1~4に加えて、本件発明4は、吸収性物品を製造する方法に係るものであって、吸収性樹脂を「選別」する工程と、該吸収性樹脂を含む吸収体を、液体不透過性シート及び液体透過性シートの間に配置する工程が含まれることが特定された点(相違点5)でも相違するが、既に述べた相違点4についての判断を踏まえれば、本件発明4も、甲18発明に基づいて当業者が容易に発明し得たものではない。 ク 甲19発明に基づくもの (ア)本件発明1について a 本件発明1を甲19発明と対比する。 甲19発明(以下「後者」ということがある)の「ポリ(メタ)アクリル酸(塩)系吸水性樹脂」は、本件発明1(以下「前者」ということがある)の「(メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むエチレン性不飽和単量体に由来する単量体単位を有する架橋重合体を含む重合体粒子」に相当する。また、後者の「ポリ(メタ)アクリル酸(塩)系吸水性樹脂」の「ポリ(メタ)アクリル酸(塩)」の割合は、それが「主成分」であるから、前者の「(メタ)アクリル酸及びその塩の割合が前記架橋重合体中の単量体単位全量に対して70~100モル%」に含まれるものと理解される。 後者の「水不溶性無機微粒子」は、前者の「複数の無機粒子」に相当する。また、後者の「水不溶性無機微粒子」が「ポリ(メタ)アクリル酸(塩)系吸水性樹脂」に混合された態様は、前者の「複数の無機粒子」が「重合体粒子の表面に配置された」態様に相当する。 後者の「粒子状吸水剤」は前者の「吸水性樹脂粒子」に相当する。 したがって、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。 [一致点] (メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むエチレン性不飽和単量体に由来する単量体単位を有する架橋重合体を含む重合体粒子と、該重合体粒子の表面上に配置された複数の無機粒子と、を含み、 (メタ)アクリル酸及びその塩の割合が前記架橋重合体中の単量体単位全量に対して70~100モル%である、吸収性樹脂粒子。 [相違点1] 本件発明1が「液体不透過性シート、吸収体、及び液体透過性シートを備え、前記液体不透過性シート、前記吸収体及び前記液体透過性シートがこの順に配置されている、吸収性物品」に係るものであって、吸水性樹脂粒子が「前記吸収体」に含まれるものとされているのに対して、甲19発明は、粒子状吸水剤に係るものである点。 [相違点2] 本件発明1が「吸水速度指数I=(無加圧DWの10秒値)×6[mL/g]で、 吸水速度指数II=(無加圧DWの3分値)/3[mL/g]であるとき、 下記式: α=(I+II)/2 で算出される前記吸水性樹脂粒子の静的吸引指数αが5.0mL/g以上であり、 前記吸水性樹脂粒子の吸水速度指数Iが2mL/g以上であり、 前記吸水性樹脂粒子の吸水速度指数IIが8mL/g以上である」とされているのに対して、甲19発明ではそうした吸水速度指数I、吸水速度指数II、静的吸引指数αの値につき明らかでない点。 b 事案に鑑み、相違点2から検討する。 甲19には、無加圧DWの10秒値、3分値がどのようになるのか、また、本件発明1でいう吸水速度指数I,IIがどのようなものになるのか記載されたものではない。 さらに、既に甲13発明に関連して述べたように、甲13、甲16、甲21をみても、それらにおける無加圧DWの10秒値、3分値がどのようになるのか、また、本件発明1でいう吸水速度指数I,IIがどのような値になるのか示されるものではない。 そうすると、当業者が甲19発明において相違点2に係る本件発明1の発明特定事項を容易に採用できるものではない。 c したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲19発明に基づいて当業者が容易に発明し得たものではない。 (イ)本件発明2~4について 本件発明2、3は、いずれも、本件発明1の発明特定事項をすべて含んだ上に他の発明特定事項を付加してなるものであるから、本件発明1と同様に、甲19発明に基づいて当業者が容易に発明し得たものではない。 また、本件発明4を甲19発明と対比すると、両者は、本件発明1と甲19発明の相違点1~4に加えて、本件発明4は、吸収性物品を製造する方法に係るものであって、吸収性樹脂を「選別」する工程と、該吸収性樹脂を含む吸収体を、液体不透過性シート及び液体透過性シートの間に配置する工程が含まれることが特定された点(相違点3)でも相違するが、既に述べた相違点2についての判断を踏まえれば、本件発明4も、甲19発明に基づいて当業者が容易に発明し得たものではない。 (3)小括 本件発明1~4は、甲1発明、甲5-1発明、甲5-2発明、甲8発明、甲13発明、甲14発明、甲17発明、甲18発明、甲19発明のいずれかに基づいて当業者が容易に発明し得たものではないから、特許法29条2項に規定される発明には該当しない。 したがって、本件発明1~4に係る特許は、同法113条2号に該当しない。 3 取消理由3(サポート要件及び実施可能要件)について (1)申立人は、概ね以下のように主張する。 ・ 本件特許の明細書(以下「本件明細書」という)には、本件発明1~4(以下これらの発明を合わせて単に「本件発明」ということがある)に必須の「無機粒子」として“シリカ粒子”のみが例示され、実施例1~4では、無機粒子として非晶質シリカが0.2-2%使用されている。 ・ 本件発明は、本件課題を解決するために必須の構成である「無機粒子の種類と含有量」が特定されていないから、本件明細書に記載の範囲を越えている。 ・ 本件発明は、無機粒子の含有量が欠如しており、課題を解決し得ない範囲までもが含まれているから、本件明細書の発明の詳細な記載は、当業者が本件発明を実施できる程度に明確かつ十分に記載したものではない。 ・ 無機粒子がシリカ粒子以外の場合に、すべての無機粒子からシリカ粒子以外のどの種類の無機粒子を選択し、どの程度含有させればよいのかが、本件明細書から理解できないから、本件明細書の発明の詳細な記載は、当業者が本件発明を実施できる程度に明確かつ十分に記載したものではない。 (2)本件明細書には、非晶質シリカの量を変更したり、水溶性ラジカル重合開始剤の種類、内部架橋剤の種類・量、重合後架橋のための架橋剤の添加の有無、表面架橋剤の量等を変更することで得られた、8つの吸収体・吸収性物品が示されている。そのうちの4つが、実施例と位置づけられるものであり、残りの4つが比較例であった。 これらをみると、実施例、すなわち本件課題を解決できたものは、すべて、無機粒子として非晶質シリカが混合されたものであるが、比較例、すなわち本件課題が解決できなかったものも、すべて、無機粒子として非晶質シリカが混合されたものである。そして、非晶質シリカの含有量についてみても、実施例では0.2質量%、2.0質量%、0.5質量%である一方で、比較例では0.1質量%、0.2質量%である。 そうしてみると、非晶質シリカを用いてもその含有量の多寡のみで所与の課題解決の成否が決まるものでないことは明らかである。そして、実施例、比較例をみれば、架橋のさせ方も所与の課題解決の成否に影響を与える要因であると理解できるものである。本件明細書の段落【0015】の記載(「5.0mL/g以上の静的吸引指数αを示す吸水性樹脂粒子は、例えば、後述の重合体粒子にシリカ粒子(例えば非晶質シリカ)を付着させること、吸水性樹脂粒子の表面積を大きくすること、吸水性樹脂粒子の表層における架橋密度を調整すること、又はこれらの組み合わせにより、得ることができる。」)は、こうした状況を表現したものと理解される。 したがって、非晶質シリカの含有量は、技術的に明らかに不合理と考えるような値は当然除かれるとして、当業者が実施例を参酌しつつ適宜定めればよいものというべきである。 また、本件明細書の記載の限りでは、非晶質シリカ特有の効果、あるいは、非晶質シリカでしか得られないような効果が把握されるものではなく、本件発明において、無機粒子の種類について、当業者は、非晶質シリカ粒子が採用された実施例と同様の効果をもたらすものであれば、非晶質シリカ粒子以外の無機粒子も適宜採用できるものと認識できる。 言い方を変えれば、「吸水速度指数I=(無加圧DWの10秒値)×6[mL/g]で、吸水速度指数II=(無加圧DWの3分値)/3[mL/g]であるとき、下記式: α=(I+II)/2 で算出される前記吸水性樹脂粒子の静的吸引指数αが5.0mL/g以上であり、前記吸水性樹脂粒子の吸水速度指数Iが2mL/g以上であり、前記吸水性樹脂粒子の吸水速度指数IIが8mL/g以上である」という条件が満たされさえすれば、当業者は無機粒子の種類もその量も適宜採用可能なものと理解される。 以上を踏まえると、本件発明に所与の課題を解決し得ない範囲までもが含まれているということはできない。 また、本件明細書の発明の詳細な記載には4つの実施例、4つの比較例が記載されており、これらを踏まえれば、本件明細書の発明の詳細な記載は、当業者が本件発明を実施できる程度に明確かつ十分なものといえる。 (3)小括 本件特許の特許請求の範囲の記載は、特許法36条4項1号に規定する要件を満たし、また、本件特許の発明の詳細な説明は、特許法36条6項1号に規定する要件を満たす。 したがって、本件発明1~4に係る特許は、同法113条4号に該当しない。 第5 むすび 以上のとおりであるから、本件請求項1~4に係る特許は、いずれも、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、取り消すことができない。 よって、結論のとおり決定する。

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2021-700259

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  • 2021-700401異議申立 / 2022-06-30 / 訂正認容吸水性樹脂粒子、吸水性樹脂粒子の液体漏れ性の評価方法、及び吸水性樹脂粒子の製造方…
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