特許異議申立
2016-700667
スロットマシン
- 審判番号
- 2016-700667
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2014-146131外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年08月02日
- 審決日
- 2017年02月17日
- 公報発行日
- 2017年05月26日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社三共
- 【権利者代理人】特許業務法人深見特許事務所
- 【異議申立人】日本電動式遊技機特許 株式会社
- 【異議申立人代理人】黒田 博道
- 分類
- P1651.121-YAA(A63F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第126条第5項、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第5851562号発明「スロットマシン」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第5851562号の明細書、特許請求の範囲及び図面を訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲及び図面のとおり訂正することを認める。
特許第5851562号の請求項1に係る特許を維持する。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本件特許第5851562号(以下「本件特許」という。)の請求項1に係る特許についての出願は、平成27年12月11日にその特許権の設定登録がされ、その後、平成28年8月2日付けで特許異議申立人日本電動式遊技機特許株式会社より特許異議の申立てがなされたものであり、平成28年9月27日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成28年11月29日付けで意見書の提出及び訂正請求がなされ、これに対して、特許異議申立人日本電動式遊技機特許株式会社より、平成29年1月13日付けで意見書が提出されたものである。
第2 訂正請求について
1 訂正の内容
本件訂正請求による訂正(以下「本件訂正」という。)は、以下のとおりである。
(1)訂正事項1
本件特許の特許請求の範囲の請求項1における、
「前記第1の遊技状態から前記第3の遊技状態に直接移行させることがなく、前記第1の遊技状態から前記第3の遊技状態への移行は、必ず前記第2の遊技状態を介在し、」を、
「前記第1の遊技状態から前記第3の遊技伏態に直接移行させることがなく、前記第1の遊技状態から前記第3の遊技状態へ遊技状態を移行させる場合には、必ず前記第2の遊技状態を経由する必要があり、」
に訂正する。
(2)訂正事項2
本件特許の特許請求の範囲の請求項1における、「前記再遊技の付与も前記遊技用価値の付与も伴わない特定の非入賞表示結果を導出させる制御を行い、」の後に、
「前記事前決定手段の決定結果が第1所定結果となった場合において、特定操作手順で前記導出操作手段が操作されたときに所定表示結果を導出させる制御を行い、当該特定操作手順とは異なる特別操作手順で前記導出操作手段が操作されたときに当該所定表示結果以外の表示結果を導出させる制御を行い、」を加える。
(3)訂正事項3
本件特許の特許請求の範囲の請求項1における、上記訂正事項2の後に、
「前記事前決定手段の決定結果が第2所定結果となった場合において、前記特別操作手順で前記導出操作手段が操作されたときに所定表示結果を導出させる制御を行い、前記特定操作手順で前記導出操作手段が操作されたときに当該所定表示結果以外の表示結果を導出させる制御を行い、」を加える。
(4)訂正事項4
本件特許の特許請求の範囲の請求項1における、「前記第1の移行条件は、前記特定の非入賞表示結果の導出であり、」の後に、
「前記第2の移行条件は、前記所定表示結果の導出であり、」を加える。
(5)訂正事項5
本件特許の特許請求の範囲の請求項1における、上記訂正事項4の後に、
「前記第2遊技状態制御手段は、前記第2の遊技状態の開始後からのゲーム数に関わらず、終了条件が成立するまで当該第2の遊技状態に継続して制御し、」を加える。
(6)訂正事項6
本件特許の特許請求の範囲の請求項1における、上記訂正事項5の後に、
「前記第2の小役入賞が発生したときに付与される前記遊技用価値は、前記第1の小役入賞が発生したときに付与される前記遊技用価値よりも大きく、」を加える。
(7)訂正事項7
本件特許の特許請求の範囲の請求項1における、上記訂正事項6の後に、
「前記特定の非入賞表示結果は複数種類あり、」を加える。
(8)訂正事項8
本件特許の特許請求の範囲の請求項1における、上記訂正事項7の後に、
「前記事前決定手段の決定結果が前記複数種類の特定結果のうちいずれであるかに応じて、導出され得る前記特定の非入賞表示結果の種類が異なり、」を加える。
(9)訂正事項9
本件特許の特許請求の範囲の請求項1における、「前記スロットマシンは、」の後に、「前記第2の遊技状態において操作手順が報知される報知状態に制御することが可能な報知状態制御手段と、」を加える。
(10)訂正事項10
本件特許の特許請求の範囲の請求項1における、上記訂正事項9の後に、
「前記第2の遊技状態で前記報知状態に制御されている場合において、前記事前決定手段の決定結果が前記第1所定結果となったときに前記特定操作手順を特定可能に報知する一方で、前記事前決定手段の決定結果が前記第2所定結果となったときに前記特別操作手順を特定可能に報知する所定報知手段と、」を加える。
(11)訂正事項11
本件特許の特許請求の範囲の請求項1における、
「前記第3の遊技状態において前記特定結果の種類に対応する操作手順を特定可能に報知することが可能な報知手段をさらに備え、」と記載されているのを、
「前記第3の遊技状態において、前記事前決定手段の決定結果が前記複数種類の特定結果のうちいずれかの種類の特定結果となったときに当該特定結果の種類に対応する前記第2の操作手順を特定可能に報知することが可能な特定報知手段とをさらに備え、」に訂正する。
(12)訂正事項12
願書に添付した明細書の段落【0010】における、
「(1)各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
表示結果が導出される前に、再遊技の付与を伴う再遊技入賞と、遊技に使用可能な遊技用価値の付与を伴う小役入賞とを含む複数種類の入賞について発生を許容するか否かを決定する事前決定手段と、
遊技者が表示結果を導出させるために操作する導出操作手段と、
前記事前決定手段の決定結果および前記導出操作手段の操作に応じて表示結果を導出する制御を行う導出制御手段と、
第1の遊技状態に制御する第1遊技状態制御手段と、
前記第1の遊技状態とは異なる第2の遊技状態に制御する第2遊技状態制御手段と、
前記第1の遊技状態および前記第2の遊技伏態よりも遊技者にとって有利な遊技状態である第3の遊技状態に制御する第3遊技状態制御手段と、
前記第1の遊技状態において第1の移行条件が成立したときに前記第2の遊技状態に移行させる第2遊技状態移行手段と、
前記第2の遊技状態において第2の移行条件が成立したときに前記第3の遊技状態へ移行させる第3遊技状態移行手段とを備え、
前記第1の遊技状態から前記第3の遊技状態に直接移行させることがなく、前記第1の遊技状態から前記第3の遊技状態への移行は、必ず前記第2の遊技状態を介在し、
前記導出制御手段は、前記事前決定手段の決定結果が第1の小役入賞および第2の小役入賞のいずれの発生も許容する複数種類の特定結果のうちいずれかの種類の特定結果となった場合において、当該特定結果の種類に対応する操作手順のうちの第1の操作手順で前記導出操作手段が操作されたときに前記第1の小役入賞が発生する入賞表示結果を導出させる制御を行い、当該特定結果の種類に対応する操作手順のうちの第2の操作手順で前記導出操作手段が操作されたときに前記第2の小役入賞が発生する入賞表示結果を導出させる制御を行い、前記第1の操作手順でも前記第2の操作手順でもない操作手順で前記導出操作手段が操作されたときに前記再遊技の付与も前記遊技用価値の付与も伴わない特定の非入賞表示結果を導出させる制御を行い、
前記第1の移行条件は、前記特定の非入賞表示結果の導出であり、
前記スロットマシンは、前記第3の遊技状態において前記特定結果の種類に対応する操作手順を特定可能に報知することが可能な報知手段をさらに備え、
前記事前決定手段の決定結果が前記特定結果となる確率は、前記第1の遊技状態、前記第2の遊技状態、および前記第3の遊技状態のいずれにおいても同一である。
また、スロットマシンは、以下の構成を備えるものであってもよい。
1ゲームに対して賭数を設定することによりゲームが開始可能となるとともに、複数種類の図柄を変動表示可能な可変表示領域を含む可変表示装置(リール2L、2C、2R)に表示結果が導出されることにより1ゲームが終了し、該可変表示装置の表示結果に応じて入賞が発生可能とされたスロットマシン(スロットマシン1)であって、
前記可変表示装置に表示結果が導出される前に、複数種類の入賞について発生を許容するか否かを決定する事前決定手段(内部抽選)と、
所定のゲーム開始可能条件が成立しているときに、前記可変表示領域において変動表示を開始させるための操作を受付ける開始操作受付手段(スタートスイッチ7)と、
前記開始操作受付手段により操作が受付けられかつ所定の変動開始タイミングに到達していること(図16のS30あるいはS33でYES、所定期間に亘るフリーズが終了したこと)を条件として、前記可変表示領域において変動表示を開始する変動表示開始手段と(図16のS35)、
前記開始操作受付手段により操作が受付けられてから前記変動開始タイミングに到達するまでの操作時残余時間(ウェイト残り時間)が特定時間(T1)以上であること(図17のS52あるいはS54でYES)を条件として、当該操作時残余時間に関わらず、前記変動開始タイミングに到達するまでの残余時間が前記特定時間となったときに、特定演出(第1特定ウェイト演出)を実行する演出実行手段(図17~図20参照)とを備える。」を、
「 (1)各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
表示結果が導出される前に、再遊技の付与を伴う再遊技入賞と、遊技に使用可能な遊技用価値の付与を伴う小役入賞とを含む複数種類の入賞について発生を許容するか否かを決定する事前決定手段と、
遊技者が表示結果を導出させるために操作する導出操作手段と、
前記事前決定手段の決定結果および前記導出操作手段の操作に応じて表示結果を導出する制御を行う導出制御手段と、
第1の遊技状態に制御する第1遊技状態制御手段と、
前記第1の遊技状態とは異なる第2の遊技状態に制御する第2遊技状態制御手段と、
前記第1の遊技状態および前記第2の遊技状態よりも遊技者にとって有利な遊技状態である第3の遊技状態に制御する第3遊技状態制御手段と、
前記第1の遊技状態において第1の移行条件が成立したときに前記第2の遊技状態に移行させる第2遊技状態移行手段と、
前記第2の遊技状態において第2の移行条件が成立したときに前記第3の遊技状態へ移行させる第3遊技状態移行手段とを備え、
前記第1の遊技状態から前記第3の遊技状態に直接移行させることがなく、前記第1の遊技伏態から前記第3の遊技状態へ遊技状態を移行させる場合には、必ず前記第2の遊技状態を経由する必要があり、
前記導出制御手段は、
前記事前決定手段の決定結果が第1の小役入賞および第2の小役入賞のいずれの発生も許容する複数種類の特定結果のうちいずれかの種類の特定結果となった場合において、当該特定結果の種類に対応する操作手順のうちの第1の操作手順で前記導出操作手段が操作されたときに前記第1の小役入賞が発生する入賞表示結果を導出させる制御を行い、当該特定結果の種類に対応する操作手順のうちの第2の操作手順で前記導出操作手段が操作されたときに前記第2の小役入賞が発生する入賞表示結果を導出させる制御を行い、前記第1の操作手順でも前記第2の操作手順でもない操作手順で前記導出操作手段が操作されたときに前記再遊技の付与も前記遊技用価値の付与も伴わない特定の非入賞表示結果を導出させる制御を行い、
前記事前決定手段の決定結果が第1所定結果となった場合において、特定操作手順で前記導出操作手段が操作されたときに所定表示結果を導出させる制御を行い、当該特定操作手順とは異なる特別操作手順で前記導出操作手段が操作されたときに当該所定表示結果以外の表示結果を導出させる制御を行い、
前記事前決定手段の決定結果が第2所定結果となった場合において、前記特別操作手順で前記導出操作手段が操作されたときに所定表示結果を導出させる制御を行い、前記特定操作手順で前記導出操作手段が操作されたときに当該所定表示結果以外の表示結果を導出させる制御を行い、
前記第1の移行条件は、前記特定の非入賞表示結果の導出であり、
前記第2の移行条件は、前記所定表示結果の導出であり、
前記第2遊技状態制御手段は、前記第2の遊技状態の開始後からのゲーム数に関わらず、終了条件が成立するまで当該第2の遊技状態に継続して制御し、
前記第2の小役入賞が発生したときに付与される前記遊技用価値は、前記第1の小役入賞が発生したときに付与される前記遊技用価値よりも大きく、
前記特定の非入賞表示結果は複数種類あり、
前記事前決定手段の決定結果が前記複数種類の特定結果のうちいずれであるかに応じて、導出され得る前記特定の非入賞表示結果の種類が異なり、
前記スロットマシンは、
前記第2の遊技状態において操作手順が報知される報知状態に制御することが可能な報知状態制御手段と、
前記第2の遊技状態で前記報知状態に制御されている場合において、前記事前決定手段の決定結果が前記第1所定結果となったときに前記特定操作手順を特定可能に報知する一方で、前記事前決定手段の決定結果が前記第2所定結果となったときに前記特別操作手順を特定可能に報知する所定報知手段と、
前記第3の遊技状態において、前記事前決定手段の決定結果が前記複数種類の特定結果のうちいずれかの種類の特定結果となったときに当該特定結果の種類に対応する前記第2の操作手順を特定可能に報知することが可能な特定報知手段とをさらに備え、
前記事前決定手段の決定結果が前記特定結果となる確率は、前記第1の遊技状態、前記第2の遊技状態、および前記第3の遊技状態のいずれにおいても同一である。
また、スロットマシンは、以下の構成を備えるものであってもよい。1ゲームに対して賭数を設定することによりゲームが開始可能となるとともに、複数種類の図柄を変動表示可能な可変表示領域を含む可変表示装置(リール2L、2C、2R)に表示結果が導出されることにより1ゲームが終了し、該可変表示装置の表示結果に応じて入賞が発生可能とされたスロットマシン(スロットマシン1)であって、
前記可変表示装置に表示結果が導出される前に、複数種類の入賞について発生を許容するか否かを決定する事前決定手段(内部抽選)と、
所定のゲーム開始可能条件が成立しているときに、前記可変表示領域において変動表示を開始させるための操作を受付ける開始操作受付手段(スタートスイッチ7)と、
前記開始操作受付手段により操作が受付けられかつ所定の変動開始タイミングに到達していること(図16のS30あるいはS33でYES、所定期間に亘るフリーズが終了したこと)を条件として、前記可変表示領域において変動表示を開始する変動表示開始手段と(図16のS35)、
前記開始操作受付手段により操作が受付けられてから前記変動開始タイミングに到達するまでの操作時残余時間(ウェイト残り時間)が特定時間(T1)以上であること(図17のS52あるいはS54でYES)を条件として、当該操作時残余時間に関わらず、前記変動開始タイミングに到達するまでの残余時間が前記特定時間となったときに、特定演出(第1特定ウェイト演出)を実行する演出実行手段(図17~図20参照)とを備える。」に訂正する。
(13)訂正事項13
願書に添付した図面の【図8】において、
「「当選役」-「小役GR(2)」の「操作手順」-「第1左・網7」について、
「白7-スイカ-リプレイ(移行役(2))」と記載されているのを、
「網7-スイカ-リプレイ(移行役(2))」に訂正する。
2 訂正の適否について
(1)訂正事項1
ア 訂正の目的
訂正事項1は、「前記第1の遊技状態から前記第3の遊技状態への移行」について、「必ず前記第2の遊技状態を介在」する点を、「遊技状態を移行させる場合には、必ず前記第2の遊技状態を経由する必要」がある点に限定するものであるから、当該訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更について
願書に添付した明細書の段落【0328】には「RT(1)に滞在している場合には、直接、遊技者にとって有利なRT(3)やRT(4)へ移行することがなく、RT(1)からRT(3)やRT(4)へ移行させる場合には、RT(1)において必ずしも成立するとは限らない移行役が成立することで移行するRT(0)を必ず介して移行することとなる。」と記載されており、訂正事項1は、上記の記載及び図10に基づくものである。
したがって、訂正事項1は、上記のとおり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「願書に添付した明細書等」という。)の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。
そして、訂正事項1は、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合する。
(2)訂正事項2
ア 訂正の目的
訂正事項2は、「前記導出制御手段」が、「前記事前決定手段の決定結果が第1所定結果となった場合において、特定操作手順で前記導出操作手段が操作されたときに所定表示結果を導出させる制御を行い、当該特定操作手順とは異なる特別操作手順で前記導出操作手段が操作されたときに当該所定表示結果以外の表示結果を導出させる制御を行」う点を限定するものであるから、当該訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更について
願書に添付した明細書の段落【0258】には「リプレイGR(1)(リプレイ(2)+リプレイ(3))が当選し、左リールの停止操作が「黒7」の引込範囲(6~12番図柄)内のタイミングでなされた場合には、いずれかの入賞ラインに「黒7-リプレイ-スイカ」が揃い、RT(0)からRT(3)への移行契機となるリプレイ(3)が入賞し、左リールの停止操作が「網7」の引込範囲(20、0~5番図柄)内のタイミングまたは「白7」の引込範囲(13~19番図柄)内のタイミングでなされた場合には、いずれかの入賞ラインに「リプレイ-リプレイ-スイカ」が揃い、RT(0)からRT(5)への移行契機となるリプレイ(2)が入賞する。」と記載されており、訂正事項2は、上記の記載等に基づくものである。
したがって、訂正事項2は、願書に添付した明細書等の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。
そして、訂正事項2は、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合する。
(2)訂正事項3
ア 訂正の目的
訂正事項3は、「前記導出制御手段」が、「前記事前決定手段の決定結果が第2所定結果となった場合において、前記特別操作手順で前記導出操作手段が操作されたときに所定表示結果を導出させる制御を行い、前記特定操作手順で前記導出操作手段が操作されたときに当該所定表示結果以外の表示結果を導出させる制御を行」う点を限定するものであるから、当該訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更について
願書に添付した明細書の段落【0260】には、「リプレイGR(2)(リプレイ(2)+リプレイ(4))が当選し、左リールの停止操作が「網7」の引込範囲内のタイミングでなされた場合には、いずれかの入賞ラインに「網7-リプレイ-スイカ」が揃い、RT(0)からRT(3)への移行契機となるリプレイ(4)が入賞し、左リールの停止操作が「黒7」の引込範囲内のタイミングまたは「白7」の引込範囲内のタイミングでなされた場合には、いずれかの入賞ラインに「リプレイ-リプレイ-スイカ」が揃い、RT(0)からRT(5)への移行契機となるリプレイ(2)が入賞する。」と記載されており、訂正事項3は、上記の記載等に基づくものである。
したがって、訂正事項3は、願書に添付した明細書等の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。
そして、訂正事項3は、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合する。
(4)訂正事項4
ア 訂正の目的
訂正事項4は、「前記第2の移行条件」が、「前記所定表示結果の導出」である点を限定するものであるから、当該訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである
イ 新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更について
願書に添付した明細書の段落【0312】には「RT(3)は、RT(0)においてリプレイ(3)(4)のいずれかが入賞したときに移行し、」と記載されており、訂正事項4は、上記の記載等に基づくものである。
したがって、訂正事項4は、願書に添付した明細書等の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。
そして、訂正事項4は、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項4は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合する。
(5)訂正事項5
ア 訂正の目的
訂正事項5は、「前記第2遊技状態制御手段」が、「前記第2の遊技状態の開始後からのゲーム数に関わらず、終了条件が成立するまで当該第2の遊技状態に継続して制御」する点を限定するものであるから、当該訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更について
願書に添付した明細書の段落【0309】には「RT(0)は、RT(1)(4)において移行役(1)~(3)のいずれかが成立するか、RT(2)(3)(5)において規定ゲーム数消化し、これらRT(2)(3)(5)が終了したときに移行し、RT(0)に移行してからのゲーム数に関わらず、いずれかの特別役が当選するか、リプレイ(2)~(6)、12枚(1)~(3)のいずれかが入賞するまで継続し、・・・12枚(1)~(3)が入賞してRT(2)に移行することで終了する。」と記載されており、訂正事項5は、上記の記載等に基づくものである。
したがって、訂正事項5は、願書に添付した明細書等の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。
そして、訂正事項5は、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項5は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合する。
(6)訂正事項6
ア 訂正の目的
訂正事項6は、「前記第2の小役入賞が発生したときに付与される前記遊技用価値」が、「前記第1の小役入賞が発生したときに付与される前記遊技用価値よりも大き」い点を限定するものであるから、当該訂正事項6は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更について
願書に添付した明細書の段落【0211】には「12枚(1)は、いずれの遊技状態においても入賞ラインのいずれかに「黒7-ペルー白チェリー」の組合せが揃ったときに入賞となり、12枚のメダルが払い出される。」と記載されており、段落【0212】には、「11枚(1)は、いずれの遊技状態においても入賞ラインのいずれかに「黒7-スイカースイカ」の組合せが揃ったときに入賞となり、11枚のメダルが払い出される。」と記載されており、訂正事項6は、上記の記載等に基づくものである。
したがって、訂正事項6は、願書に添付した明細書等の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。
そして、訂正事項6は、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項6は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合する。
(7)訂正事項7
ア 訂正の目的
訂正事項7は、「前記特定の非入賞表示結果」が、「複数種類」ある点を限定するものであるから、当該訂正事項7は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更について
願書に添付した明細書の【0248】には「小役GR(1)(12枚(1)+11枚(2))が当選し、・・・左リールを第1停止とし、かつ左リールの停止操作が「白7」の引込範囲(13~19番図柄)内のタイミングでなされた場合には、いずれかの入賞ラインに「白7-スイカーリプレイ」が揃い、RT(1)からRT(0)への移行契機となる移行役(3)が成立する。」と記載され、段落【0249】には「小役GR(2)(12枚(1)+11枚(3))が当選し、・・・左リールを第1停止とし、かつ左リールの停止操作が「網7」の引込範囲内のタイミングでなされた場合には、いずれかの入賞ラインに「網7-スイカーリプレイ」が揃い、RT(1)からRT(0)への移行契機となる移行役(2)が成立する。」と記載されており、訂正事項7は、上記の記載等に基づくものである。
したがって、訂正事項7は、願書に添付した明細書等の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。
そして、訂正事項7は、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項7は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合する。
(8)訂正事項8
ア 訂正の目的
訂正事項8は、「前記事前決定手段の決定結果が前記複数種類の特定結果のうちいずれであるかに応じて、導出され得る前記特定の非入賞表示結果の種類が異な」る点を限定するものであるから、当該訂正事項8は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更について
訂正事項8は、上記(7)で検討した段落【0248】、【0249】の記載等に基づくものである。
したがって、訂正事項8は、願書に添付した明細書等の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。
そして、訂正事項8は、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項8は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合する。
(9)訂正事項9
ア 訂正の目的
訂正事項9は、「前記第2の遊技状態において操作手順が報知される報知状態に制御することが可能な報知状態制御手段」を加えて限定するものであるから、当該訂正事項9は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更について
願書に添付した明細書の【0354】「これに対してサブCPU91aは、RT(0)(1)(3)(4)において小役GR(1)~(6)のいずれかが当選したとき、RT(0)においてリプレイGR(1)(2)のいずれかが当選したときに、当選した小役GRまたはリプレイGRの種類に応じて遊技者にとって有利となる操作手順を報知する操作手順報知を行なうことが可能である。」と記載されており、訂正事項9は、上記の記載等に基づくものである。
したがって、訂正事項9は、願書に添付した明細書等の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。
そして、訂正事項9は、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項9は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合する。
(10)訂正事項10
ア 訂正の目的
訂正事項10は、「前記第2の遊技状態で前記報知状態に制御されている場合において、前記事前決定手段の決定結果が前記第1所定結果となったときに前記特定操作手順を特定可能に報知する一方で、前記事前決定手段の決定結果が前記第2所定結果となったときに前記特別操作手順を特定可能に報知する所定報知手段」を加えて限定するものであるから、当該訂正事項10は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更について
願書に添付した明細書の【0360】「RT(0)においてリプレイGR(1)(2)が当選した場合には、リプレイ(3)またはリプレイ(4)を入賞させることでRT(5)へ移行してしまうことを回避し、かつ遊技者にとって有利なRT(3)へ移行させることができるため、リプレイGR(1)の当選時には、リプレイ(3)が入賞する条件となる「黒7」を示唆する黒色を報知し、リプレイGR(2)の当選時には、リプレイ(4)が入賞する条件となる「網7」を示唆する網摸様を報知する。」と記載されており、訂正事項10は、上記の記載等に基づくものである。
したがって、訂正事項10は、願書に添付した明細書等の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。
そして、訂正事項10は、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項10は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合する。
(11)訂正事項11
ア 訂正の目的
訂正事項11は、「報知手段」を、「特定報知手段」とするとともに、「特定報知手段」が、「前記第3の遊技状態において、前記事前決定手段の決定結果が前記複数種類の特定結果のうちいずれかの種類の特定結果となったときに当該特定結果の種類に対応する前記第2の操作手順を特定可能に報知することが可能」である点を限定するものであるから、当該訂正事項11は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更について
願書に添付した明細書の【0358】「RT(3)において小役GR(1)~(6)が当選した場合には、12枚を入賞させることで他の遊技状態へ移行することもなくメダルを獲得できるため、小役GR(1)(2)の当選時には、12枚(1)が入賞する条件となる「黒7」を示唆する黒色を報知し、小役GR(3)(4)の当選時には、12枚(2)が入賞する条件となる「網7」を示唆する網模様を報知し、小役GR(5)(6)の当選時には、12枚(3)が入賞する条件となる「白7」を示唆する白色を報知する。」と記載されており、訂正事項11は、上記の記載等に基づくものである。
したがって、訂正事項11は、願書に添付した明細書等の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。
そして、訂正事項11は、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項11は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合する。
(12)訂正事項12
ア 訂正の目的
訂正事項12は、訂正事項1~11に係る訂正にともない、特許請求の範囲の記載と願書に添付した明細書の記載との整合を図るため、願書に添付した明細書の段落【0010】の記載を訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更について
訂正事項12は、上記(1)~(11)で検討したとおり、願書に添付した明細書等の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。
そして、訂正事項12は、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項12は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合する。
(13)訂正事項13
ア 訂正の目的
訂正事項13は、願書に添付した図面の図8における「白7-スイカ-リプレイ(移行役(2))」の記載を、願書に添付した明細書の【0249】における「小役GR(2)(12枚(1)+11枚(3))が当選し、・・・左リールを第1停止とし、かつ左リールの停止操作が「網7」の引込範囲内のタイミングでなされた場合には、いずれかの入賞ラインに「網7-スイカ-リプレイ」が揃い、RT(1)からRT(0)への移行契機となる移行役(2)が成立する。」の記載と整合させて明瞭にするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更について
訂正事項13は、上記のとおり、願書に添付した明細書等の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。
そして、訂正事項13は、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項13は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合する。
3 むすび
したがって、本件訂正の訂正事項1~11は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項までの規定に適合し、訂正事項12、13は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項1について訂正を認める。
第3 特許異議の申立てについて
1 本件発明
本件発明は、訂正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである(当審において請求項1をA~Xに分説した。)。
「【請求項1】
A 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
B 前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
C 表示結果が導出される前に、再遊技の付与を伴う再遊技入賞と、遊技に使用可能な遊技用価値の付与を伴う小役入賞とを含む複数種類の入賞について発生を許容するか否かを決定する事前決定手段と、
D 遊技者が表示結果を導出させるために操作する導出操作手段と、
E 前記事前決定手段の決定結果および前記導出操作手段の操作に応じて表示結果を導出する制御を行う導出制御手段と、
F 第1の遊技状態に制御する第1遊技状態制御手段と、
G 前記第1の遊技状態とは異なる第2の遊技状態に制御する第2遊技状態制御手段と、
H 前記第1の遊技状態および前記第2の遊技状態よりも遊技者にとって有利な遊技状態である第3の遊技状態に制御する第3遊技状態制御手段と、
I 前記第1の遊技状態において第1の移行条件が成立したときに前記第2の遊技状態に移行させる第2遊技状態移行手段と、
J 前記第2の遊技状態において第2の移行条件が成立したときに前記第3の遊技状態へ移行させる第3遊技状態移行手段とを備え、
K 前記第1の遊技状態から前記第3の遊技状態に直接移行させることがなく、前記第1の遊技状態から前記第3の遊技状態へ遊技状態を移行させる場合には、必ず前記第2の遊技状態を経由する必要があり、
前記導出制御手段は、
L 前記事前決定手段の決定結果が第1の小役入賞および第2の小役入賞のいずれの発生も許容する複数種類の特定結果のうちいずれかの種類の特定結果となった場合において、当該特定結果の種類に対応する操作手順のうちの第1の操作手順で前記導出操作手段が操作されたときに前記第1の小役入賞が発生する入賞表示結果を導出させる制御を行い、当該特定結果の種類に対応する操作手順のうちの第2の操作手順で前記導出操作手段が操作されたときに前記第2の小役入賞が発生する入賞表示結果を導出させる制御を行い、前記第1の操作手順でも前記第2の操作手順でもない操作手順で前記導出操作手段が操作されたときに前記再遊技の付与も前記遊技用価値の付与も伴わない特定の非入賞表示結果を導出させる制御を行い、
M 前記事前決定手段の決定結果が第1所定結果となった場合において、特定操作手順で前記導出操作手段が操作されたときに所定表示結果を導出させる制御を行い、当該特定操作手順とは異なる特別操作手順で前記導出操作手段が操作されたときに当該所定表示結果以外の表示結果を導出させる制御を行い、
N 前記事前決定手段の決定結果が第2所定結果となった場合において、前記特別操作手順で前記導出操作手段がされたときに所定表示結果を導出させる制御を行い、前記特定操作手順で前記導出操作手段が操作されたときに当該所定表示結果以外の表示結果を導出させる制御を行い、
O 前記第1の移行条件は、前記特定の非入賞表示結果の導出であり、
P 前記第2の移行条件は、前記所定表示結果の導出であり、
Q 前記第2遊技状態制御手段は、前記第2の遊技状態の開始後からのゲーム数に関わらず、終了条件が成立するまで当該第2の遊技状態に継続して制御し、
R 前記第2の小役入賞が発生したときに付与される前記遊技用価値は、前記第1の小役入賞が発生したときに付与される前記遊技用価値よりも大きく、
S 前記特定の非入賞表示結果は複数種類あり、
T 前記事前決定手段の決定結果が前記複数種類の特定結果のうちいずれであるかに応じて、導出され得る前記特定の非入賞表示結果の種類が異なり、
前記スロットマシンは、
U 前記第2の遊技状態において操作手順が報知される報知状態に制御することが可能な報知状態制御手段と、
V 前記第2の遊技状態で前記報知状態に制御されている場合において、前記事前決定手段の決定結果が前記第1所定結果となったときに前記特定操作手順を特定可能に報知する一方で、前記事前決定手段の決定結果が前記第2所定結果となったときに前記特別操作手順を特定可能に報知する所定報知手段と、
W 前記第3の遊技状態において、前記事前決定手段の決定結果が前記複数種類の特定結果のうちいずれかの種類の特定結果となったときに当該特定結果の種類に対応する前記第2の操作手順を特定可能に報知することが可能な特定報知手段とをさらに備え、
X 前記事前決定手段の決定結果が前記特定結果となる確率は、前記第1の遊技状態、前記第2の遊技状態、および前記第3の遊技状態のいずれにおいても同一であることを特徴とする、スロットマシン。」
2 取消理由の概要
訂正前の請求項1に係る特許に対して平成28年9月27日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は次のとおりである。
訂正前の本件発明は、刊行物1発明(甲1発明)、刊行物2(甲第2号証)記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
3 特許異議申立理由の概要
(1)特許異議申立書の理由の概要
特許異議申立人は、特許異議申立書において、証拠方法として甲第1~13号証を提出し、訂正前の本件発明について、以下のとおり主張している。
ア 異議理由1について
本件発明は、甲第1号証及び甲第2号証、並びに周知技術(甲第3号証乃至甲第7号証)から当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
イ 異議理由2について
本件発明は、甲第8号証、甲第2号証及び甲第9号証、並びに周知技術(甲第3号証乃至甲第7号証、及び甲第10号証)から当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<証拠方法>
甲第1号証:特開2008-200165号公報
甲第2号証:パチスロ必勝本DX2008 10月号 平成20年10月1日発行 48~53頁
甲第3号証:パチスロ必勝本2008 11月号 平成20年11月1日発行 8頁~11頁
甲第4号証:パチスロ必勝本DX2008 4月号 平成20年4月1日発行 52~55頁
甲第5号証:特開2008-148810号公報
甲第6号証:特開2008-148811号公報
甲第7号証:特開2008-148812号公報
甲第8号証:パチスロ必勝本2008 10月号 平成20年10月1日発行 54~57頁
甲第9号証:パチスロ必勝ガイド2008 10月号 平成20年10月1日発行 44~45頁
甲第10号証:遊技機の認定及び形式の検定等に関する規則(昭和六十年二月十二日国家公安委員会規則第四号)抄
甲第11号証:特願2014-146131(本件特許出願)の平成26年11月12日提出の上申書
甲第12号証:特願2014-146131(本件特許出願)の平成27年9月9日提出の意見書
甲第13号証:特許第5851562号公報(本件特許の特許公報)
(2)特許異議申立人の意見書の概要
特許異議申立人は、平成29年1月13日付けの意見書において、証拠方法として甲第14~23号証を提出し、本件発明について、以下のとおり主張している。
本件発明と甲1発明との相違点は、公知発明(甲第2号証、及び甲第8号証)、周知技術(甲第3号証乃至甲第7号証、甲第14号証乃至甲第16号証、甲第17号証乃至甲第19号証、及び甲第21号証乃至甲第23号証)、及び公知技術(甲第20号証)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
<証拠方法>
甲第14号証:特開2006-346473号公報
甲第15号証:特開2007-330532号公報
甲第16号証:特開2007-222409号公報
甲第17号証:パチスロ必勝本2007 6月号 平成19年6月1日発行 14~15頁
甲第18号証:パチスロ必勝本2007 12月号 平成19年12月1日発行 6~9頁
甲第19号証:パチスロ必勝本DX2008 10月号 平成20年10月1日発行 150~153頁
甲第20号証:特開2008-206707号公報
甲第21号証:特開2008-200133号公報
甲第22号証:特開2008-200134号公報
甲第23号証:特開2008-279080号公報
4 甲各号証の記載
(1)甲第1号証
取消理由で通知した甲第1号証(特開2008-200165号公報)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
(1-a)「【0001】
本発明は、遊技メダルや遊技球等の遊技媒体を用いて遊技を行う回胴式遊技機(スロットマシン)に関する。」
(1-b)「【0029】
操作部2mbの前面には、遊技メダルの投入後に回胴20a、20b、20cの回転を開始するためのスタートレバー36と、3つの回胴20a、20b、20cの回転をそれぞれ停止させるための回胴停止ボタン38a、38b、38cなどが設けられている。なお、回胴停止ボタン38a、38b、38cが本発明の停止操作手段に相当している。
・・・
【0034】
筐体3のほぼ中央には、3つの回胴20a、20b、20cが設けられており、各回胴20a~20cの外表面には、後述のように複数種類の図柄が表示されている。これら回胴20a~20cの上方には、遊技全体の制御を司る主制御基板200(図4参照)が格納された主制御基板ユニット110と、各回胴を駆動するための回胴基板260(図4参照)が格納された回胴基板ユニット111が設けられている。回胴20a、20b、20cの下方には、リアスピーカ114が設けられ、更にその下方には、投入された遊技メダルが集められるホッパー116や、遊技メダルを払い出すメダル払出装置118、遊技機1全体に電源を供給するための電源基板280(図4参照)が格納された電源ユニット120などが搭載されている。メダル払出装置118から払い出された遊技メダルは、コインシュータ108を通って、遊技メダル払出口50から払い出されるようになっている。また、電源ユニット120の前面には、遊技機1の電源を投入するための電源ユニット120sも設けられている。」
(1-c)「【0043】
遊技開始にあたって、遊技メダル投入口30から遊技メダルを投入して、メダルのベットを行う。ベットする遊技メダル数は、通常、1枚または3枚に固定されている。遊技メダルがクレジットとして予め内部に貯留されている場合は、一枚投入ボタン32、あるいは三枚投入ボタン34を押すことにより、それぞれ1枚または3枚の遊技メダルをベットすることも可能である。
【0044】
遊技メダルをベットして、スタートレバー36を操作すると、3つの回胴20a~20cが一斉に回転を開始する。それぞれの回胴20a~20cの外周面には複数の図柄が描かれているため、回胴20a~20cが回転すると、これら図柄が変動表示されることになる。また、前面扉2の前面側には、それぞれの回胴に対応して3つの回胴停止ボタン38a~38cが設けられている(図1参照)。回胴20a~20cの回転中に回胴停止ボタン38a~38cを押すと、押したボタンに対応する回胴が回転を停止し、これに伴って、変動表示されていた図柄がいずれかの図柄で停止表示される。このようにして、3つの回胴20a~20cの回転を停止させると、それぞれの回胴でいずれかの図柄が停止表示される。回胴20a~20cの停止は、主制御基板200のCPU200cが後述の回胴回転停止処理S107で行うように構成されている。したがって、主制御基板200のCPU200cが本発明の停止制御手段に相当している。
【0045】
本実施例の遊技機1では、表示窓20の大きさは、各回胴20a~20cあたり3つずつの図柄が表示される大きさに設定されている。このため、3つの回胴20a~20cが停止表示されると、表示窓20には、縦横3列ずつ、合計9つの図柄が表示されるようになっている。これら9つの図柄が表示される位置には、複数本の入賞ラインが予め設定されている。
・・・
【0047】
そして、有効な入賞ライン上で揃った図柄組合せがいずれかの遊技役を成立させる図柄組合せだった場合には、成立した遊技役に応じた特典が遊技者に付与される。図6は、本実施例の遊技機1に設定されている図柄組合せを示している。図6(a)は、遊技役の種類に図柄組合せと付与される特典を対応付けて示した説明図である。図6(a)では、左端の欄に遊技役の種類が表示され、中央の欄に遊技役を成立させる図柄組合せが表示され、右端の欄に遊技役が成立した場合に遊技者に付与される特典が表示されている。これらの図柄組合せは、主制御基板200に搭載されたROMに予め記憶されている。
・・・
【0050】
ベルの小役は、左回胴20aの図柄が「赤セブン」、「青セブン」、「バー」のいずれかであり、中回胴20bと右回胴20cの図柄が「ベル」の図柄組合せの3種類が設定されている。左図柄20aが「赤セブン」の場合は「ベルAの小役」と呼び、左図柄20aが「青セブン」の場合は「ベルBの小役」と呼び、左図柄20aが「バー」の場合は「ベルCの小役」と呼ぶ。これらのベルの小役に対して遊技者に付与される特典として、15枚の遊技メダルが払い出される。
【0051】
スイカの小役は、3つの回胴20a~20cのすべてが「スイカ」の図柄で揃った図柄組合せが設定されている。スイカの小役に対する特典として、6枚の遊技メダルが払い出される。また、チェリーの小役は、左回胴20aの図柄が「チェリー」の図柄であり、中図柄20bおよび右図柄20cはどのような図柄の組合せであっても構わない図柄組合せが設定されている。チェリーの組合せに対しては、2枚の遊技メダルが払い出される。
【0052】
再遊技役(リプレイ)は、3つの回胴20a~20cがいずれも「再遊技」の図柄で揃った図柄組合せが設定されている。本実施例の遊技機1では、3つの回胴20a~20cのすべてが「Replay」の図柄で揃った図柄組合せからなる再遊技役Aと、左図柄20aが半円状の図柄で、中図柄20bと右図柄20cが「Replay」の図柄である図柄組合せからなる再遊技役Bの2種類の再遊技役が設定されている。再遊技役Aおよび再遊技役Bのいずれかの図柄組合せが揃えば、再遊技役の入賞を成立させることができる。再遊技役に付与される特典としては、新たな遊技メダルをベットすることなく、再度遊技を行う権利が付与される。つまり、再遊技役の入賞を成立させたときにベットしていた遊技メダルと同じ遊技メダルがベットされたものとしてもう一度遊技を行うことが可能となる。また、再遊技役Bは、後述するRT遊技(リプレイタイム遊技)の開始図柄であり、RT遊技を開始させる特典も有している。RT遊技に関する詳細は後述する。
【0053】
3つの回胴20a~20cが停止したときに、図6に示すいずれの遊技役も成立しなかった場合は、再び1枚または3枚の遊技メダルをベットした後、スタートレバー36を操作して回胴20a~20cを回転させることで、次のゲームを行う。本実施例の遊技機1では、こうした操作を繰り返すことによってゲームが進行するようになっている。
【0054】
なお、本実施例の遊技機1では、図6(a)に示す遊技役に加えて、図6(b)に示す特定図柄と呼ばれる図柄組合せが設定されている。本実施例では、左図柄20aが「Replay」、中図柄20bが「ベル」、右図柄20cが「ベル」の図柄組合せが特定図柄に設定されており、この特定図柄は、遊技メダルが払い出される遊技役とは異なり、遊技状態の切り替えに用いられる。この特定図柄による遊技状態の切り替えについては後述する。
【0055】
図6(a)で示したいずれの遊技役に当選するかは後述する内部抽選で決定される。内部抽選処理では、主制御基板200のCPU200cがスタートレバー36が操作されたタイミングで取得した内部抽選用乱数に応じて遊技役を内部的に抽選する。内部抽選用乱数とは、主制御基板200がスタートレバー操作信号を受け取ったときに取得する乱数である。本実施例の内部抽選用乱数は2バイトデータとなっており、0~65535の範囲の乱数値を取得することが可能となっている。内部抽選用乱数は、主制御基板200に搭載された専用の乱数発生回路を用いてハードウェア的に生成することもでき、あるいは乱数発生用プログラムを用いてソフトウェア的に生成することもできる。なお、主制御基板200のCPU200cが本発明の遊技役抽選手段に相当している。
【0056】
ただし、内部抽選処理でいずれかの遊技役に当選したとしても、直ちに遊技役が成立するわけではなく、回胴停止ボタン38a~38cを操作することにより、対応する図柄組合せを入賞ライン上に揃えなければ当選した遊技役を成立させることはできない。逆にどのようなタイミングで回胴停止ボタン38a~38cを操作しても、内部抽選で当選した遊技役でなければ入賞ライン上に対応する図柄組合せを揃えることはできない。このように内部抽選は、図柄組合せを揃えて遊技役を成立させるための前提条件として内部的に行われる抽選となっている。内部抽選に当選した状態は、内部当選状態(または単に内部当選)と呼ばれている。内部抽選でいずれの遊技役に内部当選したかは内部当選フラグに設定される。内部当選フラグとは、内部抽選の結果を保存しておくために用いられるフラグであり、主制御基板200のRAMの所定アドレスに設定されている。」
(1-d)「【0061】
ここで、各遊技状態を対応する抽選テーブルとともに説明する。図8は、各遊技状態が切り替わる状態を示している。図8に示すように、通常遊技から特定遊技またはBB遊技に切り替わることができ、特定遊技からRT遊技、BB遊技または通常遊技に切り替わることができ、RT遊技から特定遊技またはBB遊技に切り替わることができ、BB遊技から通常遊技に切り替わる。これらの複数の遊技状態の切り替え(各遊技状態の開始及び終了)は、主制御基板200がROMに記憶されている抽選テーブルを選択することによって行われる。したがって、主制御基板200のCPU200cが本発明のリプレイタイム遊技開始手段、リプレイタイム遊技終了手段、特定遊技開始手段、特定遊技終了手段に相当している。
【0062】
まず、通常遊技について説明する。遊技を開始した直後(RAMクリア処理等を行って遊技状態を初期状態にしたとき)は、図7(c)の遊技状態フラグは全てのビットに「0」が設定される。したがって、遊技状態が最も一般的な遊技状態である通常遊技に設定されている。通常遊技状態では、通常遊技用抽選テーブルを用いて内部抽選が行われる。図9(a)は通常遊技用抽選テーブルを示し、図9(b)は通常遊技用抽選テーブルに設定されている各遊技役と内部抽選用乱数の乱数範囲との対応関係を示している。図9(a)に示す通常遊技用の抽選テーブルでは、「ベルAの小役」に対して0~1333の乱数値が設定されている。これは、取得した乱数値がこの範囲内にあった場合には、ベルAの小役に内部抽選することを表わしている。同様に、「ベルBの小役」には1334~2667、「ベルCの小役」には2668~4000、「スイカの小役」には4001~4200、「チェリーの小役」には4201~4400、「赤7のBB役」には4401~4600、「青7のBB役」には4601~4700、「再遊技役A」には4601~13800、「再遊技役B」には4601~4700のそれぞれの乱数値が設定されている。13801~65535の乱数値には、いずれの遊技役も設定されておらず、取得した乱数値がこの範囲にあった場合には、「外れ」となる。
・・・
【0067】
また、本実施例の遊技機1では、ベルの小役の入賞を成立させる図柄組み合わせが停止表示されなかった場合(取りこぼしが発生した場合)に、ベル小役の取りこぼし目として特定図柄の組み合わせ(図6(b)参照)が停止表示されるように設定されている。すなわち、ベルA、ベルB、ベルCのいずれかに内部当選した状態で、左回胴20aの図柄がベルA、ベルB、ベルCのいずれかの入賞を成立させる図柄(「赤セブン」か「青セブン」か「バー」のいずれか)が停止表示されなかった場合は、「再遊技」の図柄を左回胴20aに停止表示させる。そして、中回胴20b、右回胴20cについては、左回胴20aに停止表示された「再遊技」の図柄位置を含む入賞ライン上に「ベル」の図柄が停止表示される。これにより、「ベル」の小役を取りこぼした場合には、特定図柄の組み合わせが入賞ライン上に停止表示される。なお、特定図柄組み合わせが停止表示されることは、特定遊技の開始条件となっている。よって、通常遊技中に特定図柄組み合わせが停止表示された場合には、前述した遊技状態フラグ(図7(c)参照)における特定遊技フラグがONに設定され、特定遊技が開始される。
【0068】
以上のように、通常遊技からは、特定遊技またはBB遊技のいずれかの遊技状態に切り換わることができる(図8参照)。すなわち、通常遊技中にBB役(赤7および青7のBB役)の入賞が成立すると、遊技状態がBB遊技に切り換わる。また、有効な入賞ライン上に特定図柄の組み合わせが停止表示されると遊技状態が特定遊技に切り換わる。
【0069】
次に、特定遊技について説明する。特定遊技は、上述した特定図柄の組合せが成立することで開始されるものであり、特定遊技用抽選テーブルを用いて内部抽選が行われる。図10は、特定遊技用抽選テーブルを示している。図9に示した通常遊技用抽選テーブルと同様、特定遊技用抽選テーブルにも、複数の遊技役毎に、その遊技役を当選させる乱数範囲が設定されている。また、図10(b)には、特定遊技用抽選テーブルに設定されている各遊技役と、内部抽選乱数の乱数範囲との対応関係が示されている。図10に示す特定遊技用抽選テーブルと、図9に示す通常遊技用抽選テーブルとを比較すると、再遊技役全体の乱数範囲は通常遊技とほぼ同様であるが、通常遊技用抽選テーブルに対して特定遊技用抽選テーブルの方が再遊技役Bの乱数範囲が100から300に拡大されている。このため、特定遊技では、通常遊技よりも再遊技役Bに内部当選しやすい遊技状態となっている。また、拡大された再遊技役Bの乱数範囲(4701~4900の範囲)は、青7のBB役とは重複しておらず、再遊技役Aとのみ重複役を構成している。そして、この拡大された乱数範囲の乱数値に内部当選し、再遊技役Bの入賞が成立した場合はRT遊技が開始される。
【0070】
図8に示したように、特定遊技からRT遊技、BB遊技または通常遊技のいずれかの遊技状態に切り替わることができる。特定遊技中にBB役の入賞が成立すると、遊技状態がBB遊技に切り替わる。また、上述のように特定遊技は、再遊技役Bに内部当選する乱数範囲が拡大され、再遊技役Bが成立しやすくなっているため、特定遊技からRT遊技に切り替わり易くなっている。一方、特定遊技において、RT遊技またはBB遊技に切り替わらないまま、所定回数(本実施例では50回)の遊技が行われた場合には、特定遊技から通常遊技に戻る。
【0071】
次に、RT遊技について説明する。RT遊技では、RT遊技用抽選テーブルを用いて内部抽選が行われる。図11は、RT遊技用抽選テーブルを示している。RT遊技用抽選テーブルは、図10で示した特定遊技用抽選テーブルと比較すると、再遊技役Aおよび再遊技役Bに内部当選する乱数範囲が拡大されている。特に、再遊技役Aに内部当選する乱数範囲が拡大されており、全乱数範囲のほぼ半分が再遊技役Aに内部当選する乱数範囲に設定されている。また、その分だけ、外れの乱数範囲が縮小されている。RT遊技では、このような抽選テーブルを用いて内部抽選処理が行われることから、RT遊技は高い確率で再遊技役の入賞を成立させやすい遊技状態となっている。再遊技役に入賞すると、遊技メダルを投入することなく次回の遊技を行うことができため、この再遊技役に頻繁に当選することで、遊技者が保持している遊技メダルを比較的減らさずに遊技が可能になる。よって、RT遊技が長ければ長いほど遊技者にとって有利な状態となり、BB役等のボーナス役に当選するチャンスをメダルを減らさずに享受させることができる。このRT遊技は、赤7または青7のBB役に入賞するか、特定図柄の組み合わせが停止表示されるまで継続する。
【0072】
また、本実施例の遊技機1では、RT遊技中にベルA、ベルB、ベルCの小役のいずれかに内部当選した場合には、主制御基板200から内部当選を示す制御コマンドがサブ制御基板220に送信され、サブ制御基板220はコマンドを受け取ると各種ランプ類12や演出表示装置10等を用いてベル小役に内部当選した旨を遊技者に報知するように構成されている。遊技者は、報知されたベル小役を狙って比較的容易にベル小役の入賞を成立させることが可能である。このため、RT遊技中は、遊技者はあまり遊技メダルを減らすことなく、むしろ効率よくベル小役の入賞を成立させて少しずつ遊技メダルを増やしながら、BB役の入賞を狙って遊技を続けることが可能である。RT遊技中のベル小役当選の報知は、サブ制御基板220によって行われる。」
(1-e)「【0081】
遊技の進行は、主制御基板200によって制御されている。以下、主制御基板200が遊技の進行を制御するために行っている処理内容について説明する。
・・・
【0089】
次に、回胴20a~20cの回転を停止させる回胴回転停止処理を行う(S107)。回胴回転停止処理では、すべての回胴20a~20cの回転速度が所定速度で安定したことを確認した後、各回胴20a~20cに対応する回胴停止ボタン38a~38cの操作を有効化する。そして、主制御基板200は、各回胴停止ボタン38a~38cからの操作信号に基づいて、各回転停止ボタン38a~38cが操作された時に各回胴20a~20cの回転位置を検出し、検出結果に基づいて各回胴20a~20cの停止位置を決定し、決定した位置で回胴20a~20cを停止させる制御を行う。
【0090】
各回胴20a~20cの停止位置を決定する際には、内部抽選処理S105の結果が参照され、何れの遊技役にも内部当選していない場合には、どのようなタイミングで回胴停止ボタンが操作されても、遊技役を成立させる図柄組合せが停止表示されないように、回胴の停止位置が決定される。一方、ある遊技役に内部当選している場合には、よほどタイミングが外れていない限り、内部当選した遊技役を成立させる図柄組合せが停止表示されるように、各回胴の停止位置が決定されるようになっている。
【0091】
次に、予め設定された特定図柄(図6(b)参照)の組合せが、入賞ライン上に揃っているか否かを判定する(S108)。上述のように、本実施例の遊技機1では、ベルの小役の入賞を成立させる図柄組み合わせが停止表示されなかった場合(取りこぼしが発生した場合)に、特定図柄の組み合わせが停止表示される。」
(1-f)「【0100】
以下、遊技状態設定処理について説明する。図14は、遊技状態設定処理を示すフローチャートである。主制御基板200が、図14に示す遊技状態設定処理を行い、ROMに記憶されている抽選テーブルを選択することによって、複数の遊技状態を切り替えている。」
(1-g)「【0123】
次に、ベル報知処理を図19に基づいて説明する。まず、RT遊技中であるか否かを判定する(S361)。この結果、RT遊技中でないと判定された場合には(S361:NO)、ベル報知処理を終了する。一方、RT遊技中であると判定された場合には(S361:YES)、ベル小役に内部当選したか否かを判定する(S362)。ベル小役に内部当選したか否かは、主制御基板200から送信されるベル小役の内部当選を示す制御コマンドを受信したか否かによって判定することができる。
【0124】
この結果、ベル小役に内部当選していないと判定された場合には(S362:NO)、ベル報知処理を終了する。一方、ベル小役に内部当選したと判定された場合には(S362:YES)、ベル報知回数が0より大きいか否かを判定する(S363)。
【0125】
この結果、ベル報知回数が0より大きくないと判定された場合、すなわち、ベル報知回数の残り回数が0であった場合には(S363:NO)、すでにS343またはS344で設定された回数分のベル報知を行ったと判定できるので、ベル報知処理を終了する。一方、ベル報知回数が0より大きくないと判定された場合には(S363:YES)、遊技者にベル小役の内部当選を報知し(S364)、ベル報知回数を1減算する(S365)。ベル小役の内部当選報知では、演出表示装置10などを用いてベル小役に内部当選した旨を遊技者に報知する。ベルの小役は、図柄組合せが異なるベルA、ベルB、ベルCを含んでいるので、ベル小役の内部当選報知では内部当選したベル小役の種類も報知する。
【0126】
ベル小役の内部当選報知により、遊技者は、報知されたベル小役を狙って比較的容易にベル小役の入賞を成立させることができる。これにより、遊技者は、効率よくベル小役の入賞を成立させて少しずつ遊技メダルを増やしながら、BB役の入賞を狙って遊技を続けることが可能である。また、本実施例の遊技機1では、RT遊技から特定遊技に移行する条件がベル小役の取りこぼし目である特定図柄が揃った場合となっている。このため、ベル小役に内部当選しているにもかかわらず、ベル小役の入賞を成立させる図柄を停止表示されることができなかった場合は特定図柄が揃い、RT遊技から特定遊技に移行する。これに対し、ベル小役の内部当選を報知することで、ベル小役の報知を行うことで、容易にベル小役の入賞を成立させることができ、再遊技役の内部当選確率が高いRT遊技を継続させることができる。」
(1-h)段落【0056】の「回胴停止ボタン38a~38cを操作することにより、対応する図柄組合せを入賞ライン上に揃えなければ当選した遊技役を成立させることはできない。逆にどのようなタイミングで回胴停止ボタン38a~38cを操作しても、内部抽選で当選した遊技役でなければ入賞ライン上に対応する図柄組合せを揃えることはできない。」の記載、及び段落【0090】の「ある遊技役に内部当選している場合には、よほどタイミングが外れていない限り、内部当選した遊技役を成立させる図柄組合せが停止表示されるように、各回胴の停止位置が決定されるようになっている。」の記載等から、当選した遊技役に対応するタイミングで回胴停止ボタンを操作されたときには、その遊技役を成立させることができ、当該タイミングと異なるタイミングで回胴停止ボタンを操作されたときには、その遊技役を取りこぼすことになるといえる。
これらの記載を踏まえれば、段落【0067】の記載は、前記遊技役抽選手段の決定結果がベルA、ベルB、ベルCのいずれかに内部当選した状態で当該ベル小役に対応するタイミングで前記回胴停止ボタンが操作されたときに、前記ベル小役の入賞が発生する図柄組み合わせを前記表示窓20に停止表示させ、当該ベル小役に対応するタイミングとは異なるタイミングで前記回胴停止ボタンが操作されたときに、前記再遊技の付与も前記遊技メダルの付与も伴わない特定図柄(Replay-ベル-ベル)を前記表示窓20に停止表示させる制御を行うことであるといえる。
(1-i)段落【0072】には「遊技者は、報知されたベル小役を狙って比較的容易にベル小役の入賞を成立させることが可能である。」と記載されているから、当選したベル小役(ベルA、ベルB、ベルC)の種類を特定可能に報知することは明らかである。
以上の事項を総合すれば、甲第1号証には以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「a 複数種類の図柄が変動表示される回胴20a~20cを備え(段落【0034】、【0044】)、
b 回胴20a~20cが回転し、図柄が変動表示された後、回胴停止ボタンを押すと回胴20a~20cが回転を停止し、入賞ライン上で揃った図柄組み合わせがいずれかの遊技役であった場合には、成立した遊技役に応じて特典が付与される回胴式遊技機において(段落【0001】、【0044】、【0047】)、
c スタートレバー36が操作されたタイミングで、再遊技の付与を伴う再遊技役A及びBと、遊技メダルの付与を伴う小役を含む遊技役に当選させるかを内部的に抽選する遊技役抽選手段と(段落【0050】~【0052】、【0055】)、
d 前記回胴20a~20cの回転を停止させ図柄組み合わせを表示させる回胴停止ボタンと(段落【0029】)、
e ある遊技役に内部当選している場合には、よほど回胴停止ボタンの操作タイミングが外れていない限り、内部当選した遊技役を成立させる図柄組み合わせを停止表示させる制御を行う主制御基板200と(段落【0081】、【0090】)、
f 通常遊技状態に制御する主制御基板200と(段落【0061】)、
g 前記通常遊技状態とは異なる特定遊技状態に制御する主制御基板200と(段落【0061】、【0069】)、
h 前記通常遊技状態及び前記特定遊技状態よりも高い確率で再遊技役の入賞を成立させやすい遊技状態であるRT遊技状態に制御する主制御基板200と(段落【0061】、【0069】、【0071】)、
i 前記通常遊技状態において特定図柄(Replay-ベル-ベル)が成立した場合に前記特定遊技状態に移行させる主制御基板200と(段落【0054】、【0067】)、
j 前記特定遊技状態において再遊技役Bが成立した場合に前記RT遊技状態へ移行させる主制御基板200と、を備え(段落【0061】、【0069】)、
k 前記通常遊技状態から前記RT遊技状態に直接移行させることがなく、前記通常遊技状態から前記RT遊技状態への移行は、必ず前記特定遊技状態を介在し(段落【0061】、図8)、
前記主制御基板200は、
l’ 前記遊技役抽選手段の決定結果がベルA、ベルB、ベルCのいずれかに内部当選した状態で当該ベル小役に対応するタイミングで前記回胴停止ボタンが操作されたときに、前記ベル小役の入賞が発生する図柄組み合わせを前記表示窓20に停止表示させ、当該ベル小役に対応するタイミングとは異なるタイミングで前記回胴停止ボタンが操作されたときに、前記再遊技の付与も前記遊技メダルの付与も伴わない特定図柄(Replay-ベル-ベル)を前記表示窓20に停止表示させる制御を行い(段落【0061】、【0067】)、
m’ 遊技役抽選手段の抽選結果が再遊技役Bの入賞を許容する重複役となった場合に、再遊技役Bのタイミングで前記回動停止ボタンが操作されたときに、前記再遊技役Bの入賞が発生する図柄組み合わせを前記表示窓20に停止表示させ、再遊技役Bのタイミングとは異なるタイミングで前記回動停止ボタンが操作されたときに、前記再遊技役B以外の図柄組み合わせを前記表示窓20に停止表示させる制御を行い(段落【0061】、【0069】)、
o 特定図柄(Replay-ベル-ベル)が停止表示された場合に前記特定遊技状態に移行させ(段落【0061】、【0067】)、
p 再遊技役Bが成立した場合に前記RT遊技状態へ移行させ(段落【0061】、【0069】)、
q’ 特定遊技においてRT遊技に切り替わらないまま所定回数(50回)の遊技が行われた場合には、通常遊技に戻り(段落【0070】)、
w’ 前記RT遊技状態において当選したベル小役(ベルA、ベルB、ベルC)の種類を特定可能に報知することが可能なサブ制御基板220をさらに備え(段落【0072】)、
x 遊技役抽選手段の決定結果がベルA、ベルB、ベルCとなる確率は、通常遊技状態、特定遊技状態、およびRT遊技状態のいずれにおいても同一である回胴式遊技機(図9~11)。」
(2)甲第2号証
取消理由で通知した甲第2号証(パチスロ必勝本DX2008 10月号 平成20年10月1日発行 48~53頁)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
(2-a)「押し順ベルは「第1停止の押し順に正解」「正しい絵柄を引き込む範囲で押す」と、2パターンの獲得方法がある。前者は必ずベースorギター絵柄のみで構成され、後者は必ずいずれかのリールにリプレイ絵柄を含む構成となるぞ(リプレイ・ギター・ギターなど)」(第48頁左下)
(2-b)ベル(9枚)には、ベースorギター絵柄のみで構成されるものと、いずれかのリールにリプレイ絵柄を含んで構成されるものがあることが図示されている。(第48頁「ベルの仕組み」)
(2-c)「上記の押し順ベル取りこぼし目出現で内部的にもCZ開始
ベルの取りこぼし目を必ず停止させよう
ボーナス終了後1回目のCZは必ず順押しorハサミ打ちで消化して、ベルの取りこぼし目を停止させよう。」(第52頁左下)
(3)甲第3号証
特許異議申立人により特許異議申立書において提出された甲第3号証(パチスロ必勝本2008 11月号 平成20年11月1日発行 8~11頁)には、以下の事項が記載されている。
8頁下段には「強スイカは一枚役も同時に成立」との記載がある。
10頁下段には「取りこぼしのあるフラグはチェリー・スイカ(強・弱)・一枚役」との記載がある。
(4)甲第4号証
特許異議申立人により特許異議申立書において提出された甲第4号証(パチスロ必勝本DX2008 4月号 平成20年4月1日発行 52~55頁)には、以下の事項が記載されている。
53頁上段には、「中段チェリー・スイカには強弱が存在」、「強スイカ+1枚役」と記載されている。
(5)甲第5号証
特許異議申立人により特許異議申立書において提出された甲第5号証(特開2008-148810号公報)には、以下の事項が記載されている。
「【0061】
子役・リプレイ用内部当籤役決定テーブルにおいて、例えば、子役・リプレイ用データポインタが「1」のときは、当たり要求フラグは「00000001」であり、これは、「特殊青」として規定されているので、内部当籤役が「特殊青」に決定される。また、子役・リプレイ用データポインタが「0」のときは、「ハズレ」であり、いずれの子役、リプレイにも内部当籤しない。さらに、例えば、子役・リプレイ用データポインタの「6」において、「黄チェリー+ハートチェリー+青チェリー」のように規定されているのは、内部当籤役として「黄チェリー」、「ハートチェリー」、「青チェリー」の3つに同時当籤することを示している。なお、子役・リプレイ用データポインタの「9」~「13」については、RB中のみに使用される内部当籤役のコンビネーションである(図8を参照)。」
(6)甲第6号証
特許異議申立人により特許異議申立書において提出された甲第6号証(特開2008-148811号公報)には、以下の事項が記載されている。
「【0059】
子役・リプレイ用内部当籤役決定テーブルにおいて、例えば、子役・リプレイ用データポインタが「1」のときは、当たり要求フラグは「00000001」であり、これは、「特殊青」として規定されているので、内部当籤役が「特殊青」に決定される。また、子役・リプレイ用データポインタが「0」のときは、「ハズレ」であり、いずれの子役、リプレイにも内部当籤しない。さらに、例えば、子役・リプレイ用データポインタの「6」において、「黄チェリー+ハートチェリー+青チェリー」のように規定されているのは、内部当籤役として「黄チェリー」、「ハートチェリー」、「青チェリー」の3つに同時当籤することを示している。なお、子役・リプレイ用データポインタの「9」~「13」については、RB中のみに使用される内部当籤役のコンビネーションである(図8を参照)。」
(7)甲第7号証
特許異議申立人により特許異議申立書において提出された甲第7号証(特開2008-148812号公報)には、以下の事項が記載されている。
「【0058】
子役・リプレイ用内部当籤役決定テーブルにおいて、例えば、子役・リプレイ用データポインタが「1」のときは、当たり要求フラグは「00000001」であり、これは、「特殊青」として規定されているので、内部当籤役が「特殊青」に決定される。また、子役・リプレイ用データポインタが「0」のときは、「ハズレ」であり、いずれの子役、リプレイにも内部当籤しない。さらに、例えば、子役・リプレイ用データポインタの「6」において、「黄チェリー+ハートチェリー+青チェリー」のように規定されているのは、内部当籤役として「黄チェリー」、「ハートチェリー」、「青チェリー」の3つに同時当籤することを示している。なお、子役・リプレイ用データポインタの「9」~「13」については、RB中のみに使用される内部当籤役のコンビネーションである(図8を参照)。」
(8)甲第8号証
特許異議申立人により特許異議申立書において提出された甲第8号証(パチスロ必勝本2008 10月号 平成20年10月1日発行 54~57頁)には、以下の事項が記載されている。
第54頁の「コレだけは必ず実行しよう!!」の記載によれば、押し順ベル当選時に操作手順に応じて、9枚役に入賞し9枚のメダルを獲得したり、こぼし目が表示されてチャンスゾーン(CZ)に移行したりすることが分かる。
(9)甲第9号証
特許異議申立人により特許異議申立書において提出された甲第9号証(パチスロ必勝ガイド2008 10月号 平成20年10月1日発行 44~55頁)には、以下の事項が記載されている。
44頁下段「ART中の打ち方と性能」には、「ART中はリプレイ確率大幅アップ&ベルを根こそぎ奪取でコイン激増!」との記載があり、「リプレイ 1/8.1→1/1.42」とリプレイ確率が上昇する記載がある。
(10)甲第10号証
特許異議申立人により特許異議申立書において提出された甲第10号証(遊技機の認定及び形式の検定等に関する規則(昭和六十年二月十二日国家公安委員会規則第四号)抄)には、以下の事項が記載されている。
「(カ) 設定ごと及び規定数ごとに、入賞に係る1の条件装置が作動する確率は、あらかじめ定められた値であり、役物が作動している場合を除き、変動するものでないこと。」(別表第5(1)ロ)
(11)甲第14号証
特許異議申立人により平成29年1月13日付け意見書において提出された甲第14号証(特開2006-346473号公報)には、以下の事項が記載されている。
「【0111】
(4-2-3)再遊技賞
本実施例による再遊技賞には、再遊技1賞(第1再遊技賞)と再遊技2A賞(個別第2再遊技賞)と再遊技2B賞(個別第2再遊技賞)とが含まれる。再遊技1賞は、遊技メダル又はクレジットの投入なしに次ゲームを開始する権利を遊技者に付与する再遊技賞であり、例えば「プラム-プラム-プラム」の図柄の組み合わせで構成される役(これを「プラム役(第1役)」ともいう)が対応づけられている。再遊技2A賞(個別第2再遊技賞)は、遊技メダル又はクレジットの投入なしに次ゲームを開始する権利を遊技者に付与する再遊技賞であり、例えば「プラム-プラム-赤7」の図柄の組み合わせで構成される役(これを「プラム赤7役(個別第2役)」ともいう)と「プラム-プラム-プラム」の図柄の組み合わせで構成される役(これを「プラム役」(第1役)ともいう)との2つが対応づけられている。再遊技2B賞(個別第2再遊技賞)は、遊技メダル又はクレジットの投入なしに次ゲームを開始する権利を遊技者に付与する再遊技賞であり、例えば「プラム-プラム-白7」の図柄の組み合わせで構成される役(これを「プラム白7役(個別第2役)」ともいう)と「プラム-プラム-プラム」の図柄の組み合わせで構成される役(これを「プラム役」(第1役)ともいう)との2つが対応づけられている。
・・・
【0113】
また、スロットマシン1は、再遊技賞にかかる役のうち、「プラム赤7役」及び「プラム白7役」が入賞ライン上に表示された場合、次のゲームから所定ゲーム回数(例えば100ゲーム)の間、再遊技1賞の内部抽選の当選確率を変動させたRT1ゲーム(第1確率変動ゲーム)を実行する。すなわち、「プラム赤7役」及び「プラム白7役」はRT1ゲームの開始契機となるRT開始出目として機能する。
・・・
【0207】
また、本実施例では、再遊技2A賞が当選したゲームにおいて、RT開始出目となる「プラム赤7役」を構成する「赤7」図柄を表示させることができる停止操作図柄番号は「1」~「7」である。ただし、再遊技2B賞が当選したゲームでは、停止操作図柄番号が「1」~「7」を示す場合、RT開始出目とならない「プラム役」を構成する「プラム」図柄が表示される。一方、再遊技2B賞が当選したゲームにおいて、RT開始出目となる「プラム白7役」を構成する「白7」図柄を表示させることができる停止操作図柄番号は「8」~「14」である。ただし、再遊技2A賞が当選したゲームでは、停止操作図柄番号が「8」~「14」を示す場合、RT開始出目とならない「プラム役」を構成する「プラム」図柄が表示される。即ち、本実施例では、再遊技2A賞と再遊技2B賞とで、RT開始出目を表示する停止操作図柄番号が互いに重ならない関係にある。換言すれば、再遊技2A賞が当選した場合と再遊技2B賞が当選した場合との双方でRT開始出目を表示する共通のリール上の図柄位置がない。これは遊技者がRT開始出目を表示するための停止操作タイミングを特定できないようにするためである。遊技者が再遊技2A賞と再遊技2B賞とのどちらが当選しているかを知らなければ、再遊技2A賞や再遊技2B賞に応じたRT開始出目を表示するリール上の図柄位置を特定できない。このため、遊技者は再遊技2A賞と再遊技2B賞のどちらが当選しているかを勘に頼るしかなく、これにより、RT開始出目を必ず表示させるという遊技性の低下を防止することができる。」
(12)甲第15号証
特許異議申立人により平成29年1月13日付け意見書において提出された甲第15号証(特開2007-330532号公報)には、以下の事項が記載されている。
「【0045】
特に本実施形態では、リプレイA(第1再遊技役)、リプレイB(第2再遊技役)、及びリプレイC(第3再遊技役)の3種類のリプレイが通常状態、第1RT状態、及び第2RT状態の各遊技状態用の抽選テーブルにおいて設定されている。またリプレイA、リプレイB、リプレイCは、それぞれの入賞形態を示す図柄組合せが互いに異なっており、抽選テーブルでは、リプレイAが単独当選する場合、リプレイAとリプレイBとが重複当選する場合、リプレイAとリプレイCとが重複当選する場合とがあるように各リプレイと乱数値とが対応づけられている。
・・・
【0062】
また第2RT状態は、リプレイBまたはリプレイCの入賞を開始条件とする遊技状態である。第2RT状態でも、遊技中にビックボーナスあるいはレギュラーボーナス(RB)のフラグが内部当選状態となった場合、及び第2RT状態での遊技回数が所定回数(1回、5回、10回、50回、100回等)に達した場合のいずれか一方でも成立した場合に終了して他の遊技状態へ移行するように制御される。」
(13)甲第16号証
特許異議申立人により平成29年1月13日付け意見書において提出された甲第16号証(特開2007-222409号公報)には、以下の事項が記載されている。
「【0174】
このように、本実施の形態の遊技機1では、内部当籤役としてリプレイ及び特殊リプレイAが決定された場合、所定のリールである左リール3Lに対する停止操作の検出が最初に行われると(前述のパターン1)、特殊リプレイAに係る図柄の組合せが表示窓4L,4C,4Rにより表示される一方で、左リール3L以外の他のリールに対する停止操作の検出が最初に行われると(前述のパターン2)、リプレイに係る図柄の組合せが表示窓4L,4C,4Rにより表示される。また、内部当籤役としてリプレイ及び特殊リプレイBが決定された場合、特定のリールである右リール3Rに対する停止操作の検出が最初に行われると(前述のパターン3)、特殊リプレイBに係る図柄の組合せが表示窓4L,4C,4Rにより表示される一方で、右リール3R以外の他のリールに対する停止操作の検出が最初に行われると(前述のパターン4)、リプレイに係る図柄の組合せが表示窓4L,4C,4Rにより表示される。
・・・
【0177】
さらに、特殊リプレイAに係る図柄の組合せ及び特殊リプレイBに係る図柄の組合せが表示される場合には、リプレイに係る図柄の組合せが表示される場合と異なり、RTの作動が行われるようにしている。即ち、単に再遊技が行われる場合よりも、遊技者にとって有利な特典の付与が行われることとなる。従って、予め定めた押し順と合致する押し順を遊技者が採用したときにはそれに見合う特典を遊技者に与えることが可能となる。この結果、遊技者に対して、採用する押し順の予想を期待感を持って行わせ、自分に有利となる押し順を考える面白みを与えることが可能となるので、遊技の興趣を向上させることが可能となる。」
(14)甲第17号証
特許異議申立人により平成29年1月13日付け意見書において提出された甲第17号証(パチスロ必勝本2007 6月号 平成19年6月1日発行 14~15頁)には、以下の事項が記載されている。
15頁左下の「チャンスゾーンについて」に「CZ終了条件は特殊リプレイ成立のみ」と記載されている。
(15)甲第18号証
特許異議申立人により平成29年1月13日付け意見書において提出された甲第18号証(パチスロ必勝本2007 12月号 平成19年12月1日発行 6~9頁
)には、以下の事項が記載されている。
9頁右上の「チャレンジゾーン(CZ)中のポイント」には、「CZ終了条件はチェリー入賞のみ」と記載されている。
(16)甲第19号証
特許異議申立人により平成29年1月13日付け意見書において提出された甲第19号証(パチスロ必勝本DX2008 10月号 平成20年10月1日発行 150~153頁)には、以下の事項が記載されている。
150頁左上にCZにおいて「特殊リプレイorパンク役入賞まで継続」することが記載されている。
(17)甲第20号証
特許異議申立人により平成29年1月13日付け意見書において提出された甲第20号証(特開2008-206707号公報)には、以下の事項が記載されている。
「【0129】
続いて、選択された演出番号「1-1」に対応する演出番号1-1用小分類テーブルを用いて、当籤役「赤チェリー+ベル2+ベル3」に対応する演出分類「黄7と青7を示唆する花火」および演出番号「1-1-1」が選択される。具体的には、演出番号1-1用小分類テーブルにおいて当籤役が「赤チェリー+ベル2+ベル3」である場合には、全て演出番号1-1-1が選択されることとなり、液晶表示部2bに黄7と青7を示唆する花火が打ちあがる演出が表示されて遊技者にベル2およびベル3が当籤したことを報知する。つまり、「赤チェリー+ベル2+ベル3」が内部当籤した場合には、三つの小役が同時に当籤していることとなり、その三つの役のうち、一番払出枚数が多いベル2(青7-ベル-ベル)およびベル3(黄7-ベル-ベル)が当籤したことを遊技者に報知する。」
(18)甲第21号証
特許異議申立人により平成29年1月13日付け意見書において提出された甲第21号証(特開2008-200133号公報)には、以下の事項が記載されている。
「【0245】
また、RT2に遊技状態を制御させるための図柄は、ベル2~ベル4のように入賞となる役ではなく、内部抽選により当選した役の取りこぼしにより導出される図柄としてもよい。例えば、通常の遊技状態またはRT3において、内部抽選によりベル2、ベル3、ベル4にそれぞれ単独で当選するものとし、これらの取りこぼし時にそれぞれ取りこぼし目2、取りこぼし目3、取りこぼし目4が導出され得るものとした場合、取りこぼし目2、取りこぼし目3、取りこぼし目4をRT2に遊技状態を制御させるための図柄としてもよい。この場合には、RTナビによりベル2~ベル4の当選が報知されたときには、報知されたベル2~ベル4に入賞させずに取りこぼし目2~取りこぼし目4を導出させるように停止操作を行うことで、RT2に遊技状態を制御させるものとすることができる。」
(19)甲第22号証
特許異議申立人により平成29年1月13日付け意見書において提出された甲第22号証(特開2008-200134号公報)には、以下の事項が記載されている。
「【0241】
また、RT2に遊技状態を制御させるための図柄は、ベル2~ベル4のように入賞となる役ではなく、内部抽選により当選した役の取りこぼしにより導出される図柄としてもよい。例えば、通常の遊技状態またはRT3において、内部抽選によりベル2、ベル3、ベル4にそれぞれ単独で当選するものとし、これらの取りこぼし時にそれぞれ取りこぼし目2、取りこぼし目3、取りこぼし目4が導出され得るものとした場合、取りこぼし目2、取りこぼし目3、取りこぼし目4をRT2に遊技状態を制御させるための図柄としてもよい。この場合には、RTナビによりベル2~ベル4の当選が報知されたときには、報知されたベル2~ベル4に入賞させずに取りこぼし目2~取りこぼし目4を導出させるように停止操作を行うことで、RT2に遊技状態を制御させるものとすることができる。」
(20)甲第23号証
特許異議申立人により平成29年1月13日付け意見書において提出された甲第23号証(特開2008-279080号公報)には、以下の事項が記載されている。
「【0249】
また、RT2に遊技状態を制御させるための図柄は、ベル2~ベル4のように入賞となる役ではなく、内部抽選により当選した役の取りこぼしにより導出される図柄としてもよい。例えば、通常の遊技状態またはRT3において、内部抽選によりベル2、ベル3、ベル4にそれぞれ単独で当選するものとし、これらの取りこぼし時にそれぞれ取りこぼし目2、取りこぼし目3、取りこぼし目4が導出され得るものとした場合、取りこぼし目2、取りこぼし目3、取りこぼし目4をRT2に遊技状態を制御させるための図柄としてもよい。この場合には、RTナビによりベル2~ベル4の当選が報知されたときには、報知されたベル2~ベル4に入賞させずに取りこぼし目2~取りこぼし目4を導出させるように停止操作を行うことで、RT2に遊技状態を制御させるものとすることができる。」
5 対比
本件発明と甲1発明とを対比すると、甲1発明の「回胴式遊技機」、「遊技役抽選手段」、「回胴停止ボタン」、「通常遊技状態」、「特定遊技状態」、「RT遊技状態」、「特定図柄(Replay-ベル-ベル)が成立した場合」、「再遊技役Bが成立した場合」、「ベルA、ベルB、ベルC」、「対応するタイミング」は、本件発明の「スロットマシン」、「事前決定手段」、「導出操作手段」、「第1の遊技状態」、「第2の遊技状態」、「第3の遊技状態」、「特定の移行条件が成立したとき」、「所定の移行条件が成立したとき」、「複数種類の特定結果」、「対応する操作手順」に、それぞれ、相当する。
したがって、本件発明1と甲1発明とは、
A 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
B 前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
C 表示結果が導出される前に、再遊技の付与を伴う再遊技入賞と、遊技に使用可能な遊技用価値の付与を伴う小役入賞とを含む複数種類の入賞について発生を許容するか否かを決定する事前決定手段と、
D 遊技者が表示結果を導出させるために操作する導出操作手段と、
E 前記事前決定手段の決定結果および前記導出操作手段の操作に応じて表示結果を導出する制御を行う導出制御手段と、
F 第1の遊技状態に制御する第1遊技状態制御手段と、
G 前記第1の遊技状態とは異なる第2の遊技状態に制御する第2遊技状態制御手段と、
H 前記第1の遊技状態および前記第2の遊技状態よりも遊技者にとって有利な遊技状態である第3の遊技状態に制御する第3遊技状態制御手段と、
I 前記第1の遊技状態において第1の移行条件が成立したときに前記第2の遊技状態に移行させる第2遊技状態移行手段と、
J 前記第2の遊技状態において第2の移行条件が成立したときに前記第3の遊技状態へ移行させる第3遊技状態移行手段とを備え、
K 前記第1の遊技状態から前記第3の遊技状態に直接移行させることがなく、前記第1の遊技状態から前記第3の遊技状態へ遊技状態を移行させる場合には、必ず前記第2の遊技状態を経由する必要があり、
前記導出制御手段は、
L’ 前記事前決定手段の決定結果が小役入賞の発生を許容する複数種類の特定結果のうちいずれかの種類の特定結果となった場合において、当該特定結果の種類に対応する操作手順で前記導出操作手段が操作されたときに小役入賞が発生する入賞表示結果を導出させる制御を行い、前記操作手順でない操作手順で前記導出操作手段が操作されたときに前記再遊技の付与も前記遊技用価値の付与も伴わない特定の非入賞表示結果を導出させる制御を行い、
M 前記事前決定手段の決定結果が第1所定結果となった場合において、特定操作手順で前記導出操作手段が操作されたときに所定表示結果を導出させる制御を行い、当該特定操作手順とは異なる特別操作手順で前記導出操作手段が操作されたときに当該所定表示結果以外の表示結果を導出させる制御を行い、
O 前記第1の移行条件は、前記特定の非入賞表示結果の導出であり、
P 前記第2の移行条件は、前記所定表示結果の導出であり、
W’ 前記第3の遊技状態において、前記事前決定手段の決定結果が前記複数種類の特定結果のうちいずれかの種類の特定結果となったときに当該特定結果の種類に対応する操作手順を特定可能に報知することが可能な特定報知手段とをさらに備え、
X 前記事前決定手段の決定結果が前記特定結果となる確率は、前記第1の遊技状態、前記第2の遊技状態、および前記第3の遊技状態のいずれにおいても同一であることを特徴とする、スロットマシン。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点1](構成N)
導出制御手段に関して、本件発明は、前記事前決定手段の決定結果が第2所定結果となった場合において、前記特別操作手順で前記導出操作手段がされたときに所定表示結果を導出させる制御を行い、前記特定操作手順で前記導出操作手段が操作されたときに当該所定表示結果以外の表示結果を導出させる制御を行うのに対して、甲1発明は、遊技役抽選手段の抽選結果が再遊技役B(所定表示結果)の入賞を許容する重複役(第1所定結果)となる場合はあるが、第2所定結果となる場合がない点。
[相違点2](構成Q)
第2遊技状態制御手段に関して、本件発明は、第2の遊技状態の開始後からのゲーム数に関わらず、終了条件が成立するまで当該第2の遊技状態に継続して制御するのに対して、甲1発明は、所定回数(50回)の遊技が行われた場合には、通常遊技に戻るものであり、ゲーム数に上限がある点。
[相違点3](構成U、V)
本件発明は、第2の遊技状態において操作手順が報知される報知状態に制御することが可能な報知状態制御手段と、第2の遊技状態で前記報知状態に制御されている場合において、事前決定手段の決定結果が第1所定結果となったときに特定操作手順を特定可能に報知する一方で、事前決定手段の決定結果が第2所定結果なったときに特別操作手順を特定可能に報知する所定報知手段を備えるのに対し、甲1発明は、そのような手段を備えていない点。
[相違点4](構成L)
導出制御手段に関して、本件発明は、事前決定手段の決定結果が第1の小役入賞および第2の小役入賞のいずれの発生も許容する複数種類の特定結果のうちいずれかの種類の特定結果となった場合において、当該特定結果の種類に対応する操作手順のうちの第1の操作手順で前記導出操作手段が操作されたときに前記第1の小役入賞が発生する入賞表示結果を導出させる制御を行い、当該特定結果の種類に対応する操作手順のうちの第2の操作手順で前記導出操作手段が操作されたときに前記第2の小役入賞が発生する入賞表示結果を導出させる制御を行い、前記第1の操作手順でも前記第2の操作手順でもない操作手順で前記導出操作手段が操作されたときに前記再遊技の付与も前記遊技用価値の付与も伴わない特定の非入賞表示結果を導出させる制御を行うのに対して、甲1発明は、再遊技の付与も遊技メダルの付与も伴わない特定図柄を含む抽選結果は、1つの入賞役(ベル)しか含んでおらず、第1の小役入賞および第2の小役入賞といった複数の入賞役を含むものではない点。
[相違点5](構成R、W)
本件発明は、前記第2の小役入賞が発生したときに付与される前記遊技用価値は、前記第1の小役入賞が発生したときに付与される前記遊技用価値よりも大きく、前記第3の遊技状態において、前記事前決定手段の決定結果が前記複数種類の特定結果のうちいずれかの種類の特定結果となったときに当該特定結果の種類に対応する前記第2の操作手順を特定可能に報知することが可能な特定報知手段を備えているのに対し、甲1発明は、RT遊技状態においてベル小役の種類を特定可能に報知するものであり、第2の操作手順を特定可能に報知することにより、遊技用価値が大きい第2の小役入賞を発生させるものではない点。
[相違点6](構成S、T)
本件発明は、特定の非入賞表示結果は複数種類あり、事前決定手段の決定結果が前記複数種類の特定結果のうちいずれであるかに応じて、導出され得る前記特定の非入賞表示結果の種類が異なるのに対して、甲1発明は、通常遊技状態から特定遊技状態に移行させる特定図柄(特定の非入賞表示結果)は1種類のみである点。
6 判断
(1)特許異議申立人の意見について
特許異議申立人は、平成29年1月13日付けの意見書において、周知技術(甲第14号証乃至甲第19号証、甲第21号証乃至甲第23号証)、及び公知技術(甲第20号証)を追加するとともに以下の主張をしている。
ア 相違点1~3について(「5-3-1 相違点1の主張に対する反論」(意見書第17~23頁))
甲第8号証、及び甲第14号証乃至甲第16号証に記載されているように、2種類の所定結果について、それぞれの所定結果に対応した入賞条件となる操作手順で停止操作を行うことにより、所定結果である昇格リプレイに入賞すること、及び第2の遊技状態を報知状態に制御し、第1の所定結果及び第2の所定結果のそれぞれに対応する操作手順を報知することは、周知技術である。
また、甲第2号証、及び甲第17号証乃至甲第19号証に記載されているように、第2の遊技状態の開始後からのゲーム数に関わらず、終了条件が成立するまで当該第2の遊技状態を継続させることは、周知技術である。
よって、相違点1~3に係る構成は、上記周知技術を組み合わせたものに過ぎない。
イ 相違点4、5について(「5-3-2 相違点2の主張に対する反論」(意見書第23、24頁))
甲第3号証乃至甲第7号証に記載されているように、重複当選役の払出し枚数が異なる点は、周知技術に過ぎない。
また、甲第20号証には、三つの小役が同時に当籤した場合に、払出し枚数が多い小役について報知することが記載されている。
よって、相違点4、5に係る構成は、上記周知技術及び甲第20号証に記載されている。
ウ 相違点6について(「5-3-3 相違点3の主張に対する反論」(意見書第24頁))
甲第21号証乃至甲第23号証に記載されているように、特定の非入賞表示結果は複数種類あり、決定結果が複数種類の特定結果のうちいずれかであるかに応じて、導出されうる特定の非入賞表示結果の種類が異なることは周知技術である。
よって、上記相違点6に係る構成は、上記周知技術である。
(2)当審の判断
事案に鑑み、相違点4~6について検討する。
ア [相違点4](構成L)について
甲第2号証には、ギター又はベース絵柄で構成される役と、リプレイ絵柄を含む構成の役とが同時成立しているベル(9枚)となった場合に、押し順ベルは「第1停止の押し順に正解」するか、「正しい絵柄を引き込む範囲で押す」ことで獲得され、「第1停止の押し順に正解」するとギター又はベース絵柄で構成される役となり、「正しい絵柄を引き込む範囲で押す」とリプレイ絵柄を含む構成の役となり、押し順ベルのリプレイ絵柄を含む取りこぼし目を停止させることによりCZが開始される遊技機が記載されている(以下「甲第2号証記載の事項」という。)。
また、本件発明の「操作手順」とは、導出操作手段が操作されるタイミングであっても、導出操作手段が操作される順序であってもよいから(願書に添付した明細書の段落【0047】参照)、上記刊行物2の「第1停止の押し順に正解」は本件発明の「第1の操作手順」、同様に、「正しい絵柄を引き込む範囲で押す」は「第2の操作手順」、「押し順ベルのリプレイ絵柄を含む取りこぼし目を停止させる」は「第1の操作手順でも第2の操作手順でもない操作手順」、ギター又はベース絵柄で構成される役は「第1の小役入賞」、リプレイ絵柄を含む構成の役は「第2の小役入賞」と解することができる。
甲1発明と甲第2号証記載の事項とは、共に遊技状態が、通常遊技(通常時)、特定遊技(CZ)、RT遊技(ART)と変化するものであるとともに、小役の取りこぼし目により次の遊技状態に移行する点で共通するものである。
したがって、甲1発明に甲第2号証記載の事項を適用することにより、上記相違点4に係る本件発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
イ [相違点5](構成R、W)について
上記相違点5に係る本件発明の構成の「前記第2の小役入賞」、「前記第1の小役入賞」については、構成Lで、「事前決定手段の決定結果が第1の小役入賞および第2の小役入賞のいずれの発生も許容する複数種類の特定結果のうちいずれかの種類の特定結果となった場合において、当該特定結果の種類に対応する操作手順のうちの第1の操作手順で前記導出操作手段が操作されたときに前記第1の小役入賞が発生する入賞表示結果を導出させる制御を行い、当該特定結果の種類に対応する操作手順のうちの第2の操作手順で前記導出操作手段が操作されたときに前記第2の小役入賞が発生する入賞表示結果を導出させる制御を行い、前記第1の操作手順でも前記第2の操作手順でもない操作手順で前記導出操作手段が操作されたときに前記再遊技の付与も前記遊技用価値の付与も伴わない特定の非入賞表示結果を導出させる制御を行い、」と特定されているから、取りこぼし目が移行役となる重複当選役における小役入賞を意味するものであり、上記アで検討した甲第2号証記載の事項のベル(9枚)の構成が前提となる。
甲第2号証記載の事項のベル(9枚)においては、「ギター又はベース絵柄で構成される役」(第1の小役入賞)と「リプレイ絵柄を含む構成の役」(第2の小役入賞)は、共に9枚のメダルが付与され、これらの役の取りこぼし目を停止させることによりCZが開始されるものであり、ARTにおいて複数の小役入賞のうちの遊技価値の大きい方の小役入賞を発生させるための操作手順を報知するものではない。
特許異議申立人は、甲第3号証乃至甲第7号証に記載されているように、重複当選役の払出し枚数が異なる点は、周知技術(以下「周知技術A」という。)に過ぎないものであり、また、甲第20号証には、三つの小役が同時に当籤した場合に、払出し枚数が多い小役について報知することが記載されていると主張している(上記(1)イ参照。)
しかしながら、上記周知技術Aは、例えば、甲第5号証には「黄チェリー+ハートチェリー+青チェリー」に重複当選している場合、黄チェリー又は青チェリーに入賞すると払出し枚数は2枚であり、ハートチェリーに入賞すると払い出し枚数は4枚であるというように、単に重複当選役の小役の払出し枚数が異なる点を示すものであり、これらの役の取りこぼし目が移行役となるものではない。また、甲第20号証の三つの小役の同時当籤役も、取りこぼし目が移行役となるものではない。
すなわち、上記周知技術Aの重複当選役、及び上記甲第20号証の三つの小役の同時当籤役は、移行役を含まない点において、甲第2号証記載の事項のベル(9枚)とは、当選役としての技術的意味が異なるものであるから、甲第2号証記載の事項のベル(9枚)を、上記周知技術A及び上記甲第20号証のものに置換する動機付けがない。
したがって、上記周知技術Aに基づいて、甲第2号証記載の事項のベル(9枚)を、「第2の小役入賞が発生したときに付与される前記遊技用価値が第1の小役入賞が発生したときに付与される前記遊技用価値よりも大きい」重複当選役に置換して甲1発明に適用することは、当業者が容易になし得たこととはいえない。
また、上記甲第20号証の記載に基づいて、甲第2号証記載の事項のベル(9枚)を、「第3の遊技状態において」(付与される遊技用価値の大きい第2の小役入賞が発生する)「第2の操作手順を特定可能に報知する」ものに置換して甲1発明に適用することも、当業者が容易になし得たこととはいえない。
そして、上記相違点5に係る本件発明の構成(構成R、W)により「RT(0)(1)(3)(4)において小役GR(1)~(6)のいずれかが当選したとき、・・・、当選した小役GRまたはリプレイGRの種類に応じて遊技者にとって有利となる操作手順を報知する操作手順報知を行なうことが可能である。」(段落【0354】)という効果を奏するものであり、この効果は、甲1発明、甲第2号証記載の事項、甲第20号証記載の事項及び周知技術Aから予測し得るものではない。
ウ [相違点6](構成S、T)について
上記相違点6に係る本件発明の構成の「前記特定の非入賞表示結果」については、構成Lで、「事前決定手段の決定結果が第1の小役入賞および第2の小役入賞のいずれの発生も許容する複数種類の特定結果のうちいずれかの種類の特定結果となった場合において、」「前記第1の操作手順でも前記第2の操作手順でもない操作手順で前記導出操作手段が操作されたときに前記再遊技の付与も前記遊技用価値の付与も伴わない特定の非入賞表示結果を導出させる制御を行い、」と特定されているから、重複当選役における取りこぼし目を意味するものであり、上記イと同様に、上記アで検討した甲第2号証記載の事項のベル(9枚)の構成が前提となる。
甲第2号証記載の事項のベル(9枚)は、重複当選役の取りこぼし目を停止させることによりCZが開始されるものであり、ベルの種類に応じて導出され得る取りこぼし目の種類が異なることは記載されていない。
特許異議申立人は、甲第21号証乃至甲第23号証には、特定の非入賞表示結果は複数種類あり、決定結果が複数種類の特定結果のうちいずれかであるかに応じて、導出され得る特定の非入賞表示結果の種類が異なることは周知技術(以下「周知技術B」という。)であると主張する(上記(1)ウ参照)。
しかしながら、甲第21号証乃至甲第23号証には、内部抽選によりベル2、ベル3、ベル4にそれぞれ単独で当選するものとし、これらの取りこぼし時にそれぞれ取りこぼし目2、取りこぼし目3、取りこぼし目4が導出され得るものとした場合、取りこぼし目2、取りこぼし目3、取りこぼし目4をRT2に遊技状態を制御させるための図柄としてもよいことが記載されており、ベル2、ベル3、ベル4は、取りこぼし目は移行役となるものの、単独で当選する役であり、重複当選役ではない。
すなわち、特許異議申立人が主張する上記周知技術Bは、重複当選役でない点で甲第2号証記載の事項のベル(9枚)とは異なるものである。
したがって、上記周知技術Bに基づいて甲第2号証記載の事項のベル(9枚)の取りこぼし目を複数種類設けるとともに、ベルの種類に応じて取りこぼし目の種類が異なるように構成して甲1発明に適用することは、当業者が容易になし得たこととはいえない。
そして、上記相違点6に係る本件発明の構成(構成S、T)により「左リールにおいて12枚(1)~(3)、11枚(1)~(3)、移行役(1)~(3)を構成する「黒7」「網7」「白7」の引込範囲がそれぞれ異なり、小役GR(1)~(6)の当選時においては、左リールを第1停止とし、左リールの停止操作のタイミングを選択することで、12枚を入賞させるか、11枚を入賞させるか、移行役を成立させるか、を選択することが可能となる。」(段落【0254】)という効果を奏するものであり、この効果は、甲1発明、甲第2号証記載の事項、周知技術Bから予測し得るものではない。
エ 他の証拠方法について
特許異議申立人は、他の証拠方法として、甲第3号証乃至甲第10号証、甲第14号証乃至甲第23号証を提出しているが、本件発明は、これらの文献に基づいて、当業者が容易になし得たものであるということもできない。
オ まとめ
したがって、上記ア~ウで検討したとおり、相違点4に係る本件発明の構成は、甲1発明、及び甲第2号証記載の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、相違点5、6に係る本件発明の構成は、甲1発明、甲第2号証記載の事項、甲第20号証記載の事項及び周知技術A、Bに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
よって、相違点1~3について検討するまでもなく、本件発明は、甲1発明、甲第2号証記載の事項、甲第20号証記載の事項及び周知技術A、Bに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
7 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
特許異議申立人は、平成28年8月2日付け特許異議申立書において、異議理由2として、本件発明は、甲第8号証、甲第2号証及び甲第9号証、並びに周知技術(甲第3号証乃至甲第7号証、及び甲第10号証)から当業者が容易に発明をすることができたものであると主張するが、甲第8号証は「パチスロ必勝本2008 10月号 平成20年10月1日発行 54~57頁」であるため、各種制御手段を正確に認定することは困難であるが、仮に、甲第8号証を主引例として検討しても、少なくとも上記5で検討した相違点5、6と同様の相違点を有することは明らかである。
したがって、本件特許は、甲第8号証、甲第2号証及び甲第9号証、並びに周知技術(甲第3号証乃至甲第7号証、及び甲第10号証)から当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
第4 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2016-700667