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特許異議申立

2016-700664

照明器具

審判番号
2016-700664
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2014-027375外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2016年08月02日
審決日
2017年03月21日
公報発行日
2017年06月30日
結論
訂正認容
当事者
審判長/審判官
分類
P1651.121-YAA(F21S) / P1651.536-YAA(F21S) / P1651.537-YAA(F21S)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第9項、特許法第126条第4項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第36条第4項第1号、特許法第17条の2第3項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第5862982号発明「照明器具」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第5862982号の明細書及び特許請求の範囲を平成29年1月13日付け訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1-2]について訂正することを認める。 特許第5862982号の請求項1及び2に係る特許を維持する。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 特許第5862982号の請求項1及び2に係る特許についての出願は、平成23年7月29日(優先権主張 平成23年1月11日)に特許出願した特願2011-167142号の一部を平成25年4月18日に新たな特許出願とした特願2013-87081号の一部を、さらに平成26年2月17日に新たな特許出願としたものであって、平成28年1月8日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許に対し、平成28年7月31日付けで特許異議申立人 武田 英莉(以下「異議申立人」という。)により特許異議の申立てがなされ、平成28年11月10日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成29年1月13日付けで意見書の提出及び訂正請求がなされ、同年2月25日付けで異議申立人から特許法第120条の5第5項に基づく通知書に対する意見書の提出があったものである。 第2 訂正の適否について 1 訂正の内容 平成29年1月13日になされた訂正請求による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、次のとおりである(下線部は訂正箇所を示すものである。)。 (1) 訂正事項1 本件特許の願書に添付した明細書(以下「本件明細書」という。)の段落【0006】に記載された、 「しかしながら、上記のように複数の発光素子の点灯を深調光することによって、常夜灯の機能を持たせる場合、従来の点状の光源とは異なり、その発光部は面状となるため、常夜灯としての点灯状態において発光部が面状に光り違和感を生じることとなる。」を、 「ここで、上記のように複数の発光素子を点灯させる照明器具においては、配線接続関係が複雑化する可能性がある。」に訂正する。 (2) 訂正事項2 本件明細書の段落【0007】に記載された、 「本発明は、上記課題に鑑みなされたもので、補助光源としての発光素子を設け、この発光素子を主光源としての複数の発光素子が実装された基板と同一の基板に実装することにより、違和感を生じることなく、また、配線接続関係を簡素化できる照明器具を提供することを目的とする。」を、 「本発明は、上記課題に鑑みなさたもので、配線接続関係を簡素化できる照明器具を提供することを目的とする。」に訂正する。 (3) 訂正事項3 本件特許の特許請求の範囲の請求項2に記載された、 「前記配線接続部は、少なくとも基板上において最も外側に設けられた主光源としての発光素子よりも内側となるように設けられていることを特徴とする請求項1記載の照明器具。」を、 「前記複数の発光素子は、主光源としての発光素子であり、前記配線接続部は、少なくとも基板上において主光源としての発光素子のうち最も外側に設けられた発光素子よりも内側となるように設けられていることを特徴とする請求項1記載の照明器具。」に訂正する。 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1) 訂正事項1及び2について 本件明細書の段落【0009】には、発明の効果について、「本発明の実施形態によれば、配線接続関係を簡素化できる照明器具を提供することができる。」と記載されているところ、かかる効果は、本件特許の特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された「器具本体」における「基板」及び「点灯装置」等の配線構造に関するものであって、少なくとも、「器具本体」に対する「点灯装置」及び「複数の基板」の配設構造、さらには「電源供給接続部」及び「配線接続部」の設置態様に依拠することが技術的に明らかである。 したがって、訂正事項1及び2は、訂正前の発明が解決しようとする課題を上記発明の効果に整合するように訂正するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものといえ、また、本件明細書に記載した範囲内でなされたもので、新規事項の追加に該当せず、特許請求の範囲を実質上拡張・変更するものでもない。 (2) 訂正事項3について 訂正事項3は、訂正前の請求項2における「主光源としての発光素子」を明確にするため、当該「主光源としての発光素子」が請求項1における「複数の発光素子」であることに訂正するものである。また、訂正事項3は、当該「主光源としての発光素子」が請求項1における「複数の発光素子」であることに限定するために訂正するものともいえる。 よって、当該訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とするもの、又は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものといえ、また、本件明細書に記載した範囲内でなされたもので、新規事項の追加に該当せず、特許請求の範囲を実質上拡張・変更するものでもない。 (3) 一群の請求項について 訂正事項1~3は、一群の請求項である請求項1及び2について行われているものであるから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第4項の規定に適合する。 3 小活 以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、さらに、同条第9項において準用する同法第126条第4項~第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項1及び2について訂正することを認める。 第3 本件発明 本件訂正により訂正された請求項1及び2に係る発明(以下「本件発明1及び2」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。 「【請求項1】 器具取付面に配設された配線器具に取り付けられる開口が形成された器具本体と; 配線器具を介して交流電源を受けて直流出力を生成する前記器具本体の開口周囲に配設された点灯装置と; 前記点灯装置の周囲であるとともに、前面側に実装面が下方の照射方向に向けられて設けられ、裏面側が前記本体に熱的に結合された複数の基板と; 前記基板上に実装された複数の発光素子と; 前記点灯装置から出力線を介して複数の基板のうち特定の基板の前面側の内周側に設けられ直流出力を発光素子に供給する電源供給接続部と; 特定の基板から隣接する他の基板に直流出力が供給されるように互いに隣接する基板の前面側に設けられ、この基板間を電気的に接続する配線接続部と; を具備しており、電源供給接続部は前記複数の基板の分割部から外れた領域に設けられていることを特徴とする照明器具。 【請求項2】 前記複数の発光素子は、主光源としての発光素子であり、前記配線接続部は、少なくとも基板上において主光源としての発光素子のうち最も外側に設けられた発光素子よりも内側となるように設けられていることを特徴とする請求項1記載の照明器具。」 第4 取消理由の概要 1 訂正前の請求項1及び2に係る特許に対して平成28年11月10日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 [取消理由1]本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 [取消理由2]本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 記 (1) 取消理由1について 本件特許が解決しようとする課題は、「違和感を生じることなく、また、配線接続関係を簡素化できる照明器具を提供すること」(【0007】)であり、その課題は少なくとも、「補助光源としての発光素子を設け、この発光素子を主光源としての複数の発光素子が実装された基板と同一の基板に実装すること」(【0007】)により解決するものと認められるところ、「補助光源としての発光素子」を設けること、及び、当該補助光源としての「発光素子を主光源としての複数の発光素子が実装された基板と同一の基板に実装する」ことのいずれについても本件発明1において特定されていないから、本件発明1及び2は、請求項において、発明の詳細な説明に記載された発明の課題を解決するための手段が反映されていないため、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求するものである。 (2) 取消理由2について 本件発明2の「最も外側に設けられた主光源としての発光素子よりも内側となるように設けられている」との記載に関し、 ア 「主光源としての発光素子」との記載は、本件発明1には「主光源としての発光素子」が記載されていないから、その意味するところが不明確である。 イ 「最も外側に設けられた」及び「内側」との記載は、基準となる位置等が示されていないものであるから、その意味するところが不明確である。 2 判断 取消理由通知に記載した取消理由について判断する。 (1) 取消理由1について 上記「第2」で述べたとおり、本件訂正は認められるものであり、本件明細書の段落【0006】及び段落【0007】の記載は、訂正事項1及び訂正事項2のとおり訂正されている。 そうすると、本件発明1及び2は、従来技術が有する「複数の発光素子を点灯させる照明器具においては、配線接続関係が複雑化する可能性がある。」(段落【0006】)という問題に鑑みて、「配線接続関係を簡素化できる照明器具を提供する」(段落【0007】)という課題を解決するために、少なくとも、「前記点灯装置から出力線を介して複数の基板のうち特定の基板の前面側の内周側に設けられ直流出力を発光素子に供給する電源供給接続部と;特定の基板から隣接する他の基板に直流出力が供給されるように互いに隣接する基板の前面側に設けられ、この基板間を電気的に接続する配線接続部とを具備しており、電源供給接続部は前記複数の基板の分割部から外れた領域に設けられていること」を備えることを発明特定事項として特定したものと理解することができる。 そして、上記発明特定事項で特定する「電源供給接続部」、「特定の基板」、「他の基板」及び「配線接続部」を用いた配線接続構造は、本件明細書に「基板21は、所定の幅寸法を有した円弧状の4枚の基板21が繋ぎ合わされるように配設されて全体として略サークル状に形成されている。…そして、これら基板21相互は、分割部DにおいてコネクタCnによって電気的に接続されている(図3参照)。」(段落【0015】)として、また、「さらに、図3に示すように、特定の基板21aの内周側には、電源供給接続部23が設けられている。この電源供給接続部23は、具体的には、コネクタであり、後述する点灯装置4から導出される出力線Wが接続され、基板21の配線パターンを介して主光源としての各発光素子22や補助光源としての発光素子22aに電力が供給されるようになっている。」(段落【0024】)として、明確に記載されている。 したがって、本件発明1及び2は、発明の詳細な説明に記載したものであるといえるから、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たすものである。 (2) 取消理由2について 上記「第2」で述べたとおり、本件訂正は認められるものであり、請求項2の記載は、上記「第3」のとおり訂正されている。 そして、請求項2には、請求項1の「複数の発光素子」が「主光源としての発光素子であ」ると特定し、さらに、配線接続部が「主光源としての発光素子のうち最も外側に設けられた発光素子よりも内側」であると特定するものであるから、「主光源としての発光素子」の意味、及び、「最も外側に設けられた」及び「内側」との記載の意味は明確である。 したがって、本件特許の請求項2の記載は、特許を受けようとする発明が明確であるといえるから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たすものである。 (3) 異議申立人の意見について 異議申立人は、平成29年2月25日付けの意見書において、 ア 訂正事項1及び2に関し、 (ア) 本件発明1及び2は、原出願(特願2011-167142号)に記載されていた発明特定事項を上位概念化するものであるから、本件特許は分割要件を満たさない出願に対して付与されたものである(意見書第14ページ第12行~第20行参照)、 (イ) 訂正事項1及び2は、解決しようとする課題の変更に当たるものであるから、実質的な新規事項の追加に該当する(意見書第14ページ第21行~第26行参照)、 (ウ) 「補助光源としての発光素子を主光源としての複数の発光素子が実装された基板と同一の基板に実装する」ことは、本件特許発明の「配線接続関係を簡素化する」という課題解決のための必須の要件であるから、これらを削除する訂正事項1及び2は認められない(意見書第14ページ第27行~第15ページ第14行参照)、 と主張し、また、 イ 訂正事項3に関し、「補助光源としての発光素子」は課題解決のための必須の要件であるから、これを含まない訂正は許されない(意見書第15ページ第19行~第16ページ第3行参照)、と主張する。 しかしながら、上記「(1)」で示した段落【0015】及び【0024】の記載は、そこで参照されている図面とともに、原出願にも同一の記載があるものであるから、当該記載からみて、「補助光源としての発光素子」は「配線接続関係を簡素化」の必須の要件とはいえないし、また、本件発明1、2及びその解決課題が原出願にも記載されていたことは明らかであるから、異議申立人の主張はいずれも採用できない。 3 小括 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由によっては、本件請求項1及び2に係る特許を取り消すことはできない。 第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について 1 特許法第29条第2項について (1)刊行物等 甲第1号証: 特開2002-270026号公報 甲第2号証: 特開2008-124008号公報 甲第3号証: 特開2009-9890号公報 甲第4号証: 特開2009-289709号公報 甲第5号証: 登録実用新案第3154761号公報 甲第6号証: 特開2010-15798号公報 甲第7号証: 特開2010-3683号公報 甲第8号証: 特開2010-98302号公報 甲第9号証: 特開2007-305742号公報 甲第10号証: 特開2009-37876号公報 甲第11号証: 登録実用新案第3160808号公報 (2) 甲第1号証に記載された事項 ア 甲第1号証には、次の事項が記載されている。(下線は当審で付与。) (1a) 「【0006】図示の実施形態は、天井1に対して固定され外周に係止部2が形成された引掛ローゼット3と、中央に前記引掛ローゼット3を通す孔4が設けられるとともに、前記孔4内に弾性付勢されて突出され前記係止部2に係止される被係止部5が設けられ、さらにこの被係止部5の外側位置には光源部6が設けられ、前記引掛ローゼット3の下面に接続されるプラグ7(及びコード7a)を介して受電される本体8と、前記プラグ7の下面及び前記被係止部5を外向きに変位させるために前記本体8の下面に露出された係止解除操作部9の下面を着脱可能に覆うカバー10とを備えた照明器具である。また、光源部6には多数の白色の発光ダイオード11…を備えている。なお、引掛ローゼット3としては近年普及し始めた係止部2付きの厚型のものを図示したが、その代わりに天井1にあらかじめ固定された旧来の薄型引掛ローゼットに係止部付きの中間アダプターを接続したものでもよく、この場合も当然本発明に含まれる。」 (1b) 「【0007】さらに詳述すれば、被係止部5はばね12で孔4に向けて弾性付勢されている。カバー10は可撓性樹脂で成形されると好ましく不透明でも半透明でもよいが、光源部6の下面を覆うことはないように配備されて、下面照度の向上に寄与している。カバー10はその上端の爪13が本体8の下面の図示されない係止孔に挿入されて係止される例を示しているが、他の取付構造でももちろんよい。発光ダイオード11…を搭載した基板14には整流器や電流制限抵抗などの点灯回路部品も搭載してもよいが、そのような点灯回路部品はプラグ7内に設けてもよい。また、光源部6の下面には適切な配光をもたらすための透光レンズ15が設けられている。」 (1c) 甲第1号証の図1~図3には、それぞれ以下の図が示されている。 (3) 甲第1号証に記載された発明 ア 甲第1号証には、 (ア) 照明器具は、天井1に対して固定され外周に係止部2が形成された引掛ローゼット3と、中央に前記引掛ローゼット3を通す孔4が設けられるとともに、前記孔4内に弾性付勢されて突出され前記係止部2に係止される被係止部5が設けられ、さらにこの被係止部5の外側位置には光源部6が設けられ、前記引掛ローゼット3の下面に接続されるプラグ7(及びコード7a)を介して受電される本体8と、を備えたものであること(摘示(1a))、 (イ) 光源部6には多数の白色の発光ダイオード11を備えていること(摘示(1a))、 が記載されている。 (ウ) 基板14には発光ダイオード11が搭載されていること(摘示(1b))、 (エ) 整流器や電流制限抵抗などの点灯回路部品はプラグ7内に設けてもよいこと(摘示(1b))、 また、甲第1号証において、 (オ) 摘示(1c)の図1及び図2より、 a 上記「(ウ)」の「基板14」及び「発光ダイオード11」は、上記「(イ)」の「光源部6」をなすものであること、 b 上記「(イ)」の「多数の白色の発光ダイオード11」の照射方向は、下方であること、 が明らかである。 イ 以上によれば、甲第1号証には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているものといえる。 「天井1に対して固定され外周に係止部2が形成された引掛ローゼット3と、 中央に前記引掛ローゼット3を通す孔4が設けられるとともに、前記孔4内に弾性付勢されて突出され前記係止部2に係止される被係止部5が設けられ、さらにこの被係止部5の外側位置には光源部6が設けられ、前記引掛ローゼット3の下面に接続されるプラグ7及びコード7aを介して受電される本体8と、を備えた照明器具であって、 前記光源部6は、多数の白色の発光ダイオード11を搭載した基板14を備え、 前記多数の白色の発光ダイオード11の照射方向は、下方であり、 前記プラグ7内に整流器や電流制限抵抗などの点灯回路部品が設けられた、 照明器具。」 (4) 対比 本件発明1と甲1発明とを対比する。 (ア) 甲1発明の「照明器具」は本件発明1の「照明器具」に相当し、以下同様に、「天井1」は「器具取付面」に、「引掛ローゼット3」は「配線器具」に、「コード7a」は「出力線」に、「本体8」は「器具本体」に、「孔4」は「開口」に、「基板14」は「基板」に、「多数の白色の発光ダイオード11」は「複数の発光素子」に、「整流器や電流制限抵抗などの点灯回路部品」は「点灯装置」に、それぞれ相当する。 (イ) 上記「(ア)」の相当関係より、 a (a) 甲1発明の「本体8」は、「中央に前記引掛ローゼット3を通す孔4が設けられるとともに、前記孔4内に弾性付勢されて突出され前記係止部2に係止される被係止部5が設けられ」、被係止部5が「天井1に対して固定され外周に係止部2が形成された引掛ローゼット3」に取付けられることが明らかであるから、本件発明1の「中央部に開口を有し、器具取付面に配設された配線器具に取付けられる器具本体」に相当する。 (b) 甲1発明は、「光源部6は、多数の白色の発光ダイオード11を搭載した基板14を備え」、「プラグ7内に整流器や電流制限抵抗などの点灯回路部品が設けられ」、「前記引掛ローゼット3の下面に接続されるプラグ7を介して受電される」ものであるところ、引掛ローゼットを介して交流電源を受けることは照明器具の技術分野の技術常識であるから、上記「点灯回路部品」は、引掛ローゼット3を介して交流電源を受けて直流出力を生成するものと理解することができる。 (c) よって、甲1発明の「点灯回路部品」と本件発明1の「配線器具を介して交流電源を受けて直流出力を生成する前記器具本体の開口周囲に配設された点灯装置」とは、「配線器具を介して交流電源を受けて直流出力を生成する点灯装置」の限度で一致する。 b 摘示(1c)の図1及び図2より、甲1発明の「基板14」は、「点灯回路部品が設けられた」「プラグ7」よりも外周側に位置するから、甲1発明の「照射方向は、下方であ」る「多数の白色の発光ダイオード11を搭載した基板14」は、本件発明1の「前記点灯装置の周囲であるとともに、前面側に実装面が下方の照射方向に向けられて設けられ、裏面側が前記本体に熱的に結合された複数の基板」と「前記点灯装置の周囲であるとともに、前面側に実装面が下方の照射方向に向けられて設けられた基板」の限度で一致する。 c 甲1発明の「多数の白色の発光ダイオード11」は、「基板14」に「搭載」されるものであるから、本件発明1の「前記基板上に実装された複数の発光素子」に相当する。 以上によれば、本件発明1と甲1発明とは、 「器具取付面に配設された配線器具に取り付けられる開口が形成された器具本体と; 配線器具を介して交流電源を受けて直流出力を生成する点灯装置と; 前記点灯装置の周囲であるとともに、前面側に実装面が下方の照射方向に向けられて設けられた基板と; 前記基板上に実装された複数の発光素子と; を具備している照明器具。」 の点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点1] 本件発明1では、「点灯装置」が「前記器具本体の開口周囲に配設された」ものであるのに対し、甲1発明では、「点灯回路部品」が「引掛ローゼット3の下面に接続される」「プラグ7内に」「設けられた」ものである点。 [相違点2] 本件発明1では、「基板」が「裏面側が前記本体に熱的に結合された複数の基板」であるのに対し、甲1発明の「基板14」は、そのように特定されたものではない点。 [相違点3] 本件発明1では、「前記点灯装置から出力線を介して複数の基板のうち特定の基板の前面側の内周側に設けられ直流出力を発光素子に供給する電源供給接続部と;特定の基板から隣接する他の基板に直流出力が供給されるように互いに隣接する基板の前面側に設けられ、この基板間を電気的に接続する配線接続部と;を具備しており、電源供給接続部は前記複数の基板の分割部から外れた領域に設けられている」のに対し、甲1発明では、「プラグ7内に整流器や電流制限抵抗などの点灯回路部品が設けられ」、「本体8」が「引掛ローゼット3の下面に接続されるプラグ7及びコード7aを介して受電される」ように構成されている点。 (5) 判断 上記相違点1について検討する。 上記相違点1に係る本件発明1の構成は、平成28年7月31日付けの特許異議申立書(以下「申立書」という。)における「構成要件(B)」に関するものであるところ、異議申立人は申立書において、甲第2~4号証に当該「構成要件(B)」が記載されていると主張しているから、以下、甲1発明とこれらの各甲号証から当該相違点1に係る本件発明1の構成に想到することが当業者にとって容易であるかについて検討する。 ア 甲第2号証について (ア) 甲第2号証には、「天井用照明器具において、孔8の周囲である、第二本体3上に点灯制御回路部5を備え、当該第二本体3の、点灯制御回路部5を備える面の反対側にはLEDユニット4を備える技術。」(以下「甲2技術」という。)が記載されているといえる(段落【0007】及び図1参照)。 (イ) ここで、甲2技術と本件発明1を対比すると、甲2技術の「天井用照明器具」は本件発明1の「照明器具」に相当し、以下同様に、「孔8」は「開口」に、「第二本体3」は「基板」に、「点灯制御回路部5」は「点灯装置」に、「LEDユニット4」は「発光素子」に相当する。 (ウ) よって、甲2技術は、上記相違点1に係る本件発明1の構成と一致するものであるといえるが、甲2技術を甲1発明に適用すると、基板14の、発光ダイオード11を搭載した面の反対側に点灯回路部品を設けることになる。そうすると、上記一致点に係る、「点灯装置の周囲である」「基板」という構成を失うことになるから、本件発明1との間で新たな相違点が生じることになる。 してみれば、甲2技術を甲1発明に適用することによって、本件発明1の構成をすべて備えたものとすることはできない。 (エ) 以上より、甲1発明及び甲2技術に基いて本件発明1に想到することは当業者にとって容易である、とはいえない。 イ 甲第3号証について (ア) 甲第3号証には、「器具本体21、照明装置10、反射体22及びグローブ23からなる照明器具20において、照明装置10は複数個のLED11を配置した基板11aを有し、2つの照明装置10を器具本体21の外縁部の辺に互いに対向するように取付け、器具本体の中央部の反射体22とアダプタ24の空間に点灯装置25を取り付ける技術。」(以下「甲3技術」という。)が記載されているといえる(段落【0036】、【0044】、【0045】及び図3(a)参照)。 (イ) ここで、甲3技術と本件発明1を対比すると、甲3技術の「照明器具20」は本件発明1の「照明器具」に相当し、以下同様に、「器具本体21」は「器具本体」に、「LED11」は「発光素子」に、「基板11a」は「基板」に、「点灯装置25」は「点灯装置」に相当する。また、甲3技術の「アダプタ24」を取り外した器具本体21部分は本件発明1の「開口」に相当するといえる。 (ウ) そうすると、甲3技術は、上記相違点1に係る本件発明1の構成を備えたものであるといえる。しかしながら、甲3技術は、「反射体22」の存在を前提として「反射体22とアダプタ24の空間に点灯装置25を取り付ける」ものであるから、反射体及びそれによる空間を備えていない甲1発明に対し、甲3技術を適用できないことは明らかである。 そもそも、甲第1号証には、「基板14には…点灯回路部品も搭載してもよい」(摘示(1b)【0007】)と記載されているのであるから、当業者が甲3技術に接したとしても、孔4の周囲の基板14に点灯回路部品を設けることを想起するに過ぎず、上記相違点1に係る本件発明1の構成を想起するとはいえない。 (エ) 以上より、甲1発明及び甲3技術に基いて上記相違点1に係る本件発明1の構成に想到することは当業者にとって容易でない。 ウ 甲第4号証について (ア) 甲第4号証には、「本体2、光源ユニット3、光源ユニット3を駆動する駆動手段4、反射体5、カバー6及びリモコン送信器7を備える天井直付け形照明装置1において、光源ユニット3は基板に直線状に表面実装された複数の発光素子を備え、反射体5の内側の空間を利用して開口2bに嵌合する引掛けシーリングCc及び本体2に取付けられた点灯回路12を配置する技術。」(以下「甲4技術」という。)が記載されているといえる(【0012】~【0014】、図1及び図2参照)。 (イ) ここで、甲4技術と本件発明1を対比すると、甲4技術の「天井直付け形照明装置1」は本件発明1の「照明器具」に相当し、以下同様に、「本体2」は「器具本体」に、「基板」は「基板」に、「発光素子」は「発光素子」に、「開口2b」は「開口」に、「点灯回路12」は「点灯装置」に相当する。 (ウ) しかしながら、甲第4号証の図2によれば、「点灯回路12」は本体2の端部に位置しており「開口周囲に配設された」ものとはいえないから、甲4技術は上記相違点1に係る本件発明1の構成と、「点灯装置」が「前記器具本体の開口周囲に配設された」ものでない点で相違するものであるし、また、甲4技術は「反射体5」の存在を前提として「反射体5の内側の空間を利用して」「点灯回路12を配置する」ものであるから、反射体及びそれによる空間を備えていない甲1発明に対し、甲4技術を適用できないことは明らかである。また、当業者が甲4技術に接したとしても、上記「イ(ウ)」と同様の理由で、上記相違点1に係る本件発明1の構成を想起するとはいえない。 (エ) 以上より、甲1発明及び甲4技術に基いて上記相違点1に係る本件発明1の構成に想到することは当業者にとって容易でない。 エ 以上のとおりであるから、異議申立人のかかる主張は理由がない。 (6) 小活 以上のとおり、本件発明1は甲1発明と相違点1~3において相違するものであるところ、少なくとも相違点1に係る本件発明1の構成は容易想到とはいえないものであるから、その余の相違点を検討するまでもなく、本件発明1は当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 また、本件発明2は本件発明1をさらに限定するものであるから、本件発明1と同様に、本件発明2は当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 2 特許法第36条第4項第1号について 異議申立人は、「本件特許の明細書において、同一部材の名称が不一致であり、発明の詳細な説明が不明瞭であるから、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものでない。」(申立書第45ページ第4行~第46ページ第2行参照)と主張している。 確かに、本件明細書においては、段落【0062】以前の記載では例えば符号12~14はそれぞれ、「平坦部」、「段差部」、「凹部」となっているのに対し、段落【0063】以降においては、例えば符号12~14はいずれも「突出部」となっている。 しかしながら、本件明細書においては、段落【0063】以降においては、第4の実施例である図13~図18の説明がなされており、これらの図面に付された符号12~14は、段落【0062】以前の符号12~14と同一部材を指していないことが明らかである。また、異議申立人が指摘するその他の不一致の点も、いずれも明らかな誤記や記載の不統一にすぎないから、本件明細書は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものでない、とまではいえない。 よって、異議申立人のかかる主張は理由がない。 3 特許法第36条第6項第1号について (1) 異議申立人は、本件明細書の段落【0041】には、点灯装置の周囲に基板を具備することが記載されているものの、本件特許の図18において、点灯装置4と基板21とが縦断面において一部重複しているから、本件発明1における「点灯装置の周囲である…複数の基板」との事項は、発明の詳細な説明に記載したものでない、と主張している(申立書第46ページ第9行~第47ページ第13行参照)。 しかしながら、異議申立人も自認するとおり、少なくとも本件明細書の段落【0041】及び図2~図4に当該事項が記載されているから、異議申立人のかかる主張は理由がない。 なお、図18は上記「2」で述べたとおり第4の実施例に係るものであるところ、当該実施例には「電源供給接続部」や「配線接続部」等に相当する構成が示されていないから、当該図18は明らかに本件発明1及び2を説明したものではない。 (2) 異議申立人は、本件特許の請求項1の「電源供給接続部は前記複数の基板の分割部から外れた領域に設けられている」との事項は、発明の詳細な説明に記載したものでない、と主張している(申立書第48ページ第12行~第17行参照)。 しかしながら、「電源供給接続部23」と「分割部D」の位置関係は、本件明細書の段落【0015】、【0024】及び図3に記載されており、当該図3において、「電源供給接続部23」が「分割部D」と異なる位置に位置する、すなわち「外れた領域に設けられている」ことが看取できるから、当該事項が発明の詳細な説明に記載したものでない、とはいえない。 よって、異議申立人のかかる主張は理由がない。 4 特許法第36条第6項第2号について 異議申立人は、本件特許の請求項1の「電源供給接続部は前記複数の基板の分割部から外れた領域に設けられている」との記載が不明確である、と主張している(申立書第48ページ第24行~第49ページ第11行参照)。 しかしながら、当該記載は、上記「3(2)」で述べたとおりの意味と理解できるから、当該記載に不明確なところはない。 よって、異議申立人のかかる主張は理由がない。 5 特許法第17条の2第3項について 異議申立人は、本件特許の請求項1及び本件明細書の段落【0008】の、「点灯装置の周囲であるとともに、」及び「電源供給接続部は前記複数の基板の分割部から外れた領域に設けられている」との事項は新規事項を追加するものである、と主張している(申立書第49ページ第22行~第50ページ第17行参照)。 これらの事項は、平成27年6月1日付けで提出された手続補正書により補正された事項であるところ、同日付けで提出された意見書には、「本願の出願当初明細書の段落番号0015、0041、図面に記載されている事項であり、いわゆる新規事項の追加に該当するものではない」と記載されている。 そして、本件特許の出願当初の明細書において、段落【0041】には、「点灯装置4は、図2乃至図4に示すように」及び「このような点灯装置4は、取付部6と光源部2、すなわち、基板21との間に配設されている。」と記載され、そこで参照されている図3において、基板21が点灯装置4の周囲にあることが看取できるし、また、段落【0015】には、「これら基板21相互は、分割部DにおいてコネクタCnによって電気的に接続されている(図3参照)。」と記載されており、そこで参照されている図3において、電源供給接続部23が分割部Dから外れた領域(上記「3(2)」参照)に設けられていることが看取できるから、これらの事項は、本件特許の出願当初の明細書又は図面に記載されていたものであって、新規事項の追加に該当しない。 よって、異議申立人のかかる主張は理由がない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件特許を取り消すことはできない。 また、他に本件特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2016-700664

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