特許異議申立
2016-700628
ポリアミド樹脂組成物及び成形品
- 審判番号
- 2016-700628
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2011-266873外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年07月19日
- 審決日
- 2017年06月26日
- 公報発行日
- 2017年09月29日
- 結論
- 訂正認容
- 分類
- P1651.536-YAA(C08L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第120条の5第4項、特許法第36条第4項第1号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第5844627号発明「ポリアミド樹脂組成物及び成形品」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第5844627号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~6〕について訂正することを認める。
特許第5844627号の請求項2ないし6に係る特許を維持する。
特許第5844627号の請求項1に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許第5844627号(以下、「本件特許」という。)の請求項1ないし6に係る特許についての出願は、平成23年12月6日に特許出願され、平成27年11月27日に設定登録がされ、平成28年1月20日に特許公報が発行され、その後、同年7月19日付けで特許異議申立人東レ株式会社(以下、「特許異議申立人」という。)より特許異議の申立てがされ、同年10月18日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である同年12月22日に意見書の提出及び訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)がされ、その訂正の請求に対して特許異議申立人から平成29年2月22日付けで意見書が提出され、同年3月31日付けで取消理由(決定の予告)が通知され、その指定期間内である同年6月9日に意見書の提出がされたものである。
第2 訂正の適否
1 訂正の内容
(1)訂正事項1
請求項1を削除する。
(2)訂正事項2
請求項1を引用する請求項2について、引用関係を解消し、独立形式にするため、
「前記式(1)で示される(Y)が、0.05≦(Y)≦0.8である請求項1に記載のポリアミド樹脂組成物。」とあるのを、
「(A):(a)アジピン酸とヘキサメチレンジアミンとからなる単位と、
(b)イソフタル酸とヘキサメチレンジアミンとからなる単位と、
を、含むポリアミドであって、
当該ポリアミド中における全カルボン酸成分中のイソフタル酸成分比率(x)が、0.05≦(x)≦0.5であり、
かつ、下記式(1)で示される(Y)が、0.05≦(Y)≦0.8である(A)ポリアミドと、
(Y)=[(EG)-(x)]/[1-(x)] ・・・(1)
(前記式(1)中、(EG)は、(A)ポリアミド中に含有されている全カルボキシル末端基中のイソフタル酸末端基比率を示し、下記式(2)で示される。
(EG)=イソフタル酸末端基量/全カルボキシル末端基量 ・・・(2))
(B):高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、高級脂肪酸エステル及び高級脂肪酸アミドからなる群より選ばれる少なくとも一種の(B)成形性改良剤と、
前記(A)ポリアミド30~95質量部に対して、(C)無機充填材5~70質量部と、を、含有する、ポリアミド樹脂組成物(但し、滑剤として、高級脂肪酸の金属塩、高級脂肪酸と高級アルコールとのエステル化物、及び高級脂肪酸アミドを併用しているものを除く。)。」と訂正する。
(3)訂正事項3
請求項3に「請求項1又は2に記載のポリアミド樹脂組成物。」とあるのを、「請求項2に記載のポリアミド樹脂組成物。」と訂正する。
(4)訂正事項4
請求項4に「請求項1乃至3のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物。」とあるのを、「請求項2又は3に記載のポリアミド樹脂組成物。」と訂正する。
(5)訂正事項5
請求項5に「請求項1乃至4のいずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成物を含む成形品。」とあるのを、「請求項2乃至4のいずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成物を含む成形品。」と訂正する。
(6)訂正事項6
本件特許明細書の段落【0013】に
「〔1〕
(A):(a)アジピン酸とヘキサメチレンジアミンとからなる単位と、
(b)イソフタル酸とヘキサメチレンジアミンとからなる単位と、
を、含むポリアミドであって、
当該ポリアミド中における全カルボン酸成分中のイソフタル酸成分比率(x)が、0.05≦(x)≦0.5であり、
かつ、下記式(1)で示される(Y)が、-0.3≦(Y)≦0.8である(A)ポリアミドと、
(Y)=[(EG)-(x)]/[1-(x)] ・・・(1)
(前記式(1)中、(EG)は、(A)ポリアミド中に含有されている全カルボキシル末端基中のイソフタル酸末端基比率を示し、下記式(2)で示される。
(EG)=イソフタル酸末端基量/全カルボキシル末端基量 ・・・(2))
(B):高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、高級脂肪酸エステル及び高級脂肪酸アミドからなる群より選ばれる少なくとも一種の(B)成形性改良剤と、
前記(A)ポリアミド30~95質量部に対して、(C)無機充填材5~70質量部と、
を、含有するポリアミド樹脂組成物(但し、高級脂肪酸の金属塩、高級脂肪酸と高級アルコールとのエステル化物、及び高級脂肪酸アミドを併用しているものを除く。)。
〔2〕
前記式(1)で示される(Y)が、0.05≦(Y)≦0.8である、前記〔1〕に記載のポリアミド樹脂組成物。
〔3〕
前記(B)成形性改良剤の含有量が、前記(A)ポリアミド100質量部に対して0.001~1質量部である、前記〔1〕又は〔2〕に記載のポリアミド樹脂組成物。
〔4〕
前記(B)成分が、モンタン酸カルシウム及び/又はモンタン酸ナトリウムである、前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載のポリアミド樹脂組成物。
〔5〕
前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に記載のポリアミド樹脂組成物を含む成形品。
〔6〕
射出成形品である、前記〔5〕に記載の成形品。」
とあるのを、
「〔1〕 (削除)
〔2〕
(A):(a)アジピン酸とヘキサメチレンジアミンとからなる単位と、
(b)イソフタル酸とヘキサメチレンジアミンとからなる単位と、
を、含むポリアミドであって、
当該ポリアミド中における全カルボン酸成分中のイソフタル酸成分比率(x)が、0.05≦(x)≦0.5であり、
かつ、下記式(1)で示される(Y)が、0.05≦(Y)≦0.8である(A)ポリアミドと、
(Y)=[(EG)-(x)]/[1-(x)] ・・・(1)
(前記式(1)中、(EG)は、(A)ポリアミド中に含有されている全カルボキシル末端基中のイソフタル酸末端基比率を示し、下記式(2)で示される。
(EG)=イソフタル酸末端基量/全カルボキシル末端基量 ・・・(2))
(B):高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、高級脂肪酸エステル及び高級脂肪酸アミドからなる群より選ばれる少なくとも一種の(B)成形性改良剤と、
前記(A)ポリアミド30~95質量部に対して、(C)無機充填材5~70質量部と、
を、含有するポリアミド樹脂組成物(但し、高級脂肪酸の金属塩、高級脂肪酸と高級アルコールとのエステル化物、及び高級脂肪酸アミドを併用しているものを除く。)。
〔3〕
前記(B)成形性改良剤の含有量が、前記(A)ポリアミド100質量部に対して0.001~1質量部である、前記〔1〕又は〔2〕に記載のポリアミド樹脂組成物。
〔4〕
前記(B)成分が、モンタン酸カルシウム及び/又はモンタン酸ナトリウムである、前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載のポリアミド樹脂組成物。
〔5〕
前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に記載のポリアミド樹脂組成物を含む成形品。
〔6〕
射出成形品である、前記〔5〕に記載の成形品。」
に訂正する。
2 訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1) 訂正事項1
ア 請求項1を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 請求項1を削除するものであるから、新規事項の追加に該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。
ウ 請求項1を削除するものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。
(2) 訂正事項2
ア 訂正事項2は、訂正前の請求項1を引用する請求項2について、引用関係を解消し、内容を変更することなく独立形式にする訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する他の請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとするものである。
イ 訂正事項2は、訂正前の請求項1を引用する請求項2を独立形式にする訂正であるから、新規事項の追加に該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。
ウ 訂正事項2は、訂正前の請求項1を引用する請求項2を独立形式にする訂正であって、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。
(3) 訂正事項3
ア 上記訂正事項1及び2に係る訂正に伴って、従属項である請求項が引用する項番号の整合を図るために訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 明瞭でない記載の釈明をするものであるから、新規事項の追加に該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。
ウ 明瞭でない記載の釈明をするものであり、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。
(4) 訂正事項4
ア 上記訂正事項1及び2に係る訂正に伴って、従属項である請求項が引用する項番号の整合を図るために訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 明瞭でない記載の釈明をするものであるから、新規事項の追加に該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。
ウ 明瞭でない記載の釈明をするものであり、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。
(5) 訂正事項5
ア 上記訂正事項1及び2に係る訂正に伴って、従属項である請求項が引用する項番号の整合を図るために訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 明瞭でない記載の釈明をするものであるから、新規事項の追加に該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。
ウ 明瞭でない記載の釈明をするものであり、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。
(6) 訂正事項6
ア 訂正事項6は、訂正後の請求項1及び2と整合性を図るものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 訂正事項6の「下記式(1)で示される(Y)が、0.05≦(Y)≦0.8である」以外の事項は、本件特許明細書の段落【0013】に記載されているから、新規事項の追加に該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合する。
ウ 訂正事項6は、訂正前の請求項1を引用する請求項2を独立形式にする訂正事項2に整合させたものであって、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。
(7) 一群の請求項について
訂正前の請求項1ないし6について、請求項2ないし6は請求項1を引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1ないし6に対応する訂正後の請求項1ないし6は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
3 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第1号、3号及び4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項で準用する同法第126条第4項ないし第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項1ないし6について訂正を認める。
第3 本件特許発明
本件訂正請求により訂正された請求項1ないし6に係る発明(以下、それぞれ順に「本件特許発明1」ないし「本件特許発明6」といい、これらを総称して「本件特許発明」という。)は、特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「【請求項1】 (削除)
【請求項2】
(A):(a)アジピン酸とヘキサメチレンジアミンとからなる単位と、
(b)イソフタル酸とヘキサメチレンジアミンとからなる単位と、
を、含むポリアミドであって、
当該ポリアミド中における全カルボン酸成分中のイソフタル酸成分比率(x)が、0.05≦(x)≦0.5であり、
かつ、下記式(1)で示される(Y)が、0.05≦(Y)≦0.8である(A)ポリアミドと、
(Y)=[(EG)-(x)]/[1-(x)] ・・・(1)
(前記式(1)中、(EG)は、(A)ポリアミド中に含有されている全カルボキシル末端基中のイソフタル酸末端基比率を示し、下記式(2)で示される。
(EG)=イソフタル酸末端基量/全カルボキシル末端基量 ・・・(2))
(B):高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、高級脂肪酸エステル及び高級脂肪酸アミドからなる群より選ばれる少なくとも一種の(B)成形性改良剤と、
前記(A)ポリアミド30~95質量部に対して、(C)無機充填材5~70質量部と、を、含有する、ポリアミド樹脂組成物(但し、滑剤として、高級脂肪酸の金属塩、高級脂肪酸と高級アルコールとのエステル化物、及び高級脂肪酸アミドを併用しているものを除く。)。
【請求項3】
前記(B)成形性改良剤の含有量が、前記(A)ポリアミド100質量部に対して0.001~1質量部である、請求項2に記載のポリアミド樹脂組成物。
【請求項4】
前記(B)成分が、モンタン酸カルシウム及び/又はモンタン酸ナトリウムである、請求項2又は3のいずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成物。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成物を含む成形品。
【請求項6】
射出成形品である、請求項5に記載の成形品。」
第4 取消理由(決定の予告)の概要
当審が通知した取消理由のうち「取消理由2」は以下に示すとおりである。
本件特許は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。
記
発明の詳細な説明には、「(EG)=イソフタル酸末端基量/全カルボキシル末端基量」で定義される(EG)の値をどのように調整するかの説明はなく、また、(EG)の値の調整方法が出願時における当業者の技術常識であったともいえない。
さらに、発明の詳細な説明には、式(1)で示される(Y)の値をどのように調整するかの説明はなく、また、(Y)の値の調整方法が出願時における当業者の技術常識であったともいえない。
そうすると、本件特許発明がどのようにして実施されるか当業者が理解できない。
よって、発明の詳細な説明は、本件特許発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていない。
第5 当審の判断
1 本件特許明細書には、以下の記載がある。
(1)「【0077】
〔(A)ポリアミド〕
<製造例1:ポリアミド(A1)の製造>
アジピン酸とヘキサメチレンジアミンとの等モル塩1237g、イソフタル酸とヘキサメチレンジアミンとの等モル塩263g、及び全等モル塩成分に対して0.5モル%過剰のアジピン酸を蒸留水1500gに溶解させ、原料モノマーの等モル50質量%均一水溶液を作製した。
この水溶液を、内容積5.4Lのオートクレーブに仕込み、窒素置換した。
110~150℃の温度下で前記水溶液を撹拌しながら、溶液濃度70質量%まで水蒸気を徐々に抜いて濃縮した。
その後、オートクレーブの内部温度を220℃に昇温した。
このとき、オートクレーブは1.8MPaまで昇圧した。
そのまま1時間、オートクレーブの内部温度が245℃になるまで加熱し、水蒸気を徐々に抜いて圧力を1.8MPaに保ちながら1時間反応させた。
次に、1時間かけてオートクレーブ内の圧力を1MPaまで下げ、その後、オートクレーブ内を真空装置で650torrの減圧下に10分維持した。
このとき、重合の最終内部温度は265℃であった。
その後、オートクレーブ内を窒素で加圧し下部紡口(ノズル)から得られたポリマーをストランド状で排出し、水冷、カッティングを行いペレット状にして、100℃、窒素雰囲気下で12時間乾燥し、ポリアミドを得た。
得られたポリアミドの全カルボン酸中のイソフタル酸成分比率(x)、全カルボキシル末端基中のイソフタル酸末端基比率(EG)、上記式(1)で示されるパラメータ(Y)、蟻酸溶液粘度等のポリマー特性を上記記載の方法により測定及び算出した。これらを下記表1に示す。」
(2)「【0081】
<製造例5:ポリアミド(A5)の製造>
アジピン酸とヘキサメチレンジアミンとの等モル塩1237g、及びイソフタル酸とヘキサメチレンジアミンとの等モル塩263gを用いた。全等モル塩成分に対して0.5モル%過剰のアジピン酸を添加しなかった。
その他の条件は、製造例1の方法によりポリアミドを得た。
得られたポリアミドの全カルボン酸中のイソフタル酸成分比率(x)、全カルボキシル末端基中のイソフタル酸末端基比率(EG)、上記式(1)で示されるパラメータ(Y)、蟻酸溶液粘度等のポリマー特性を上記記載の方法により測定及び算出した。これらを下記表1に示す。」
(3)「【0096】
〔実施例1〕
製造例1で作製したポリアミド(A1)100質量部と成形性改良剤(B1)0.05質量部とを、東芝機械社製、TEM35mm 2軸押出機(設定温度:290℃、スクリュー回転数300rpm)にトップフィード口より供給した。紡口より押出された溶融混練物をストランド状で冷却し、ペレタイズしてペレット状のポリアミド樹脂組成物を得た。
また、得られたポリアミド樹脂組成物を用いて、上記記載の方法により成形品を製造し、ハイサイクル成形時の外観安定性、衝撃特性、離型性の評価を行った。評価結果を下記表1に示す。
【0097】
〔実施例2~18、比較例1~7〕
製造例1のポリアミド(A1)に代えて、上述した製造例2~16の各ポリアミドを用いた。
さらには、ポリアミド(A)100質量部に対して供給する成形性改良剤(B)の種類、配合量を、それぞれ下記表1及び表2に示す種類及び質量部に変更したこと以外は実施例1と同様の方法により、ペレット状のポリアミド樹脂組成物を得た。
また、得られたポリアミド樹脂組成物を用いて、上記記載の方法により成形品を製造し、ハイサイクル成形時の外観安定性、衝撃特性、離型性の評価を行った。評価結果を下記表1及び表2に示す。」
(4)【表1】には、「実施例1」として、「ポリアミド種類」が「A1」であって、「イソフタル酸末端基量(meq/kg)」が「55」、「アジピン酸末端基量(meq/kg)」が「66」であり、両者の合計量として「カルボキシル末端基量(meq/kg)」が「121」であること及び「実施例14」として、「ポリアミド種類」が「A5」であって、「イソフタル酸末端基量(meq/kg)」が「63」、「アジピン酸末端基量(meq/kg)」が「38」であり、両者の合計量として「カルボキシル末端基量(meq/kg)」が「101」であること。
2 検討
重合時に過剰のアジピン酸を添加することによる制御について
(1)特開2002-194210号報(平成29年6月9日に提出された意見書に添付された参考文献4)の「【0022】・・・末端調整剤として・・・二塩基酸を用いるとアミノ末端基が減少するとともにカルボキシル末端基が増大する。」との記載から、末端調整剤としてジカルボン酸を用いるとアミノ末端基が減少するとともにカルボキシル末端が増大することが本件特許の出願時の技術常識であることが理解でき、これに加え、本件特許明細書の【表1】により、過剰のアジピン酸を添加した実施例1(A1)とこれを添加しなかった実施例14(A5)の比較から、アジピン酸を過剰に用いると(EG)が減少することが理解できる。さらに、このような(EG)の値の調整の結果、(Y)の値も調整できることも明らかである。したがって、出願時における当業者の技術常識及び発明の詳細な説明からは本件特許発明がどのようにして実施されるか当業者が理解できる。
(2)よって、発明の詳細な説明は、本件特許発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されている。
第6 むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件訂正請求による訂正後の請求項2ないし6に係る特許を取り消すことができない。
また、他に本件訂正請求による訂正後の請求項2ないし6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、本件特許の請求項1に係る特許は、本件訂正請求による訂正により削除されたため、特許異議申立人の請求項1に係る特許についての特許異議の申立ては、対象となる請求項が存在しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2016-700628