特許異議申立
2016-700585
遊技機
- 審判番号
- 2016-700585
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2012-198965外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年06月30日
- 審決日
- 2017年03月31日
- 公報発行日
- 2017年06月30日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社三共
- 【権利者代理人】木村 満
- 【異議申立人】日本電動式遊技機特許 株式会社
- 【異議申立人代理人】黒田 博道
- 分類
- P1651.121-YAA(A63F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第5841029号発明「遊技機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第5841029号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲図面のとおり、訂正後の請求項1~2について訂正することを認める。
特許第5841029号の請求項1~2に係る特許を維持する。
理由
【理 由】
1.手続の経緯
特許第5841029号(以下,「本件特許」という。)の請求項1~2に係る特許についての出願は,平成24年9月10日に特許出願され,平成27年11月20日にその特許権の設定登録がされ,その後,その特許について,特許異議申立人である日本電動式遊技機特許株式会社により特許異議の申立てがされ,平成28年8月29日付けで取消理由が通知され,その指定期間内である同年10月25日に意見書の提出及び訂正の請求があり,その訂正の請求に対して特許異議申立人から同年12月20日に意見書が提出され,さらに,平成29年1月12日付けで取消理由(決定の予告)が通知され,その指定期間内である同年3月23日に意見書の提出及び訂正の請求があったものである。
2.訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
平成29年3月23日付けの訂正請求(以下,「本件訂正請求」という。)による訂正の内容は,以下のとおりである(下線は,訂正箇所を示す。)。
ア 訂正事項1
本件特許請求の範囲の請求項1の
「前記音声出力手段に出力させる音声データを設定する音声データ設定手段とを備え,
前記音声データ設定手段は,前記音声出力手段が呼出タイミングの後に所定タイミングで表示に合わせて効果音を出力する場合に,該呼出タイミングから該所定タイミングまでの時間分に相当する無音部分を該効果音の冒頭に設けた音声データを設定することを特徴とする」を,
「前記音声出力手段に出力させる音声のデータである音声データを設定する音声データ設定手段と,
前記音声出力手段に出力させる音声の音量を指定する音量データを設定する音量データ設定手段と,を備え,
前記音声データ設定手段は,前記音声出力手段が呼出タイミングの後に所定タイミングで表示に合わせて効果音を出力する場合に,該呼出タイミングから該所定タイミングまでの時間分に相当する無音部分を該効果音の冒頭に設けた音声データを設定し,
前記音量データ設定手段は,前記無音部分の音量を「0」に指定する音量データを設定することを特徴とする」に訂正する。
イ 訂正事項2
本件特許請求の範囲の請求項2の
「予告演出を実行可能であることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。」を,
「所定の遊技を行う遊技機であって,
前記遊技の進行に応じた音声を出力する音声出力手段と,
前記音声出力手段に出力させる音声のデータである音声データを設定する音声データ設定手段と,
前記音声出力手段に出力させる音声の音量を指定する音量データを設定する音量データ設定手段と,を備え,
前記音声データ設定手段は,前記音声出力手段が呼出タイミングの後に所定タイミングで表示に合わせて効果音を出力する場合に,該呼出タイミングから該所定タイミングまでの時間分に相当する無音部分を該効果音の冒頭に設けた音声データを設定し,
前記呼出タイミングは,変動開始後に行われるリーチ演出の開始タイミングと同じタイミングであり,
前記効果音は,前記リーチ演出の開始後における,味方キャラクタと敵キャラクタとが戦うバトル演出で出力される効果音であり,
前記音量データ設定手段は,前記無音部分の音量を「0」に指定する音量データを設定し,
前記音声データ設定手段は,BGMの音声データをさらに設定可能であり,
前記音声出力手段は,前記効果音と前記BGMとを同時に出力可能であり,
前記音量データ設定手段は,前記効果音の音量として第1音量を指定する音量データと,前記BGMの音量として前記第1音量よりも低い第2音量を指定する音量データとを設定し,
予告演出を実行可能であることを特徴とする遊技機。」に訂正する。
ウ 訂正事項3
本件特許明細書の段落【0009】の
「(1)上記目的を達成するため,本発明に係る遊技機は,所定の遊技を行う遊技機(例えばパチンコ遊技機1など)であって,前記遊技の進行に応じた音声を出力する音声出力手段(例えばスピーカ8L,8Rなど)と,前記音声出力手段に出力させる音声データ(例えば音声ROMに記憶された音声や効果音など)を設定する音声データ設定手段とを備え,前記音声データ設定手段は,前記音声出力手段に呼出タイミング(例えばスーパーBのリーチ演出開始時など)の後に所定タイミング(例えばスーパーBのリーチ演出におけるバトル演出時など)で表示に合わせて効果音を出力させる場合に,該呼出タイミングから該所定タイミングまでの時間分に相当する無音部分を該効果音の冒頭に設けた音声データを設定することを特徴とする。また,予告演出を実行可能であるとしてもよい。」を,
「(1)上記目的を達成するため,本発明に係る遊技機は,所定の遊技を行う遊技機(例えばパチンコ遊技機1など)であって,前記遊技の進行に応じた音声を出力する音声出力手段(例えばスピーカ8L,8Rなど)と,前記音声出力手段に出力させる音声のデータである音声データ(例えば音声ROMに記憶された音声や効果音など)を設定する音声データ設定手段と,前記音声出力手段に出力させる音声の音量を指定する音量データを設定する音量データ設定手段と,を備え,前記音声データ設定手段は,前記音声出力手段に呼出タイミング(例えばスーパーBのリーチ演出開始時など)の後に所定タイミング(例えばスーパーBのリーチ演出におけるバトル演出時など)で表示に合わせて効果音を出力させる場合に,該呼出タイミングから該所定タイミングまでの時間分に相当する無音部分を該効果音の冒頭に設けた音声データを設定し,前記音量データ設定手段は,前記無音部分の音量を「0」に指定する音量データを設定することを特徴とする。また,所定の遊技を行う遊技機(例えばパチンコ遊技機1など)であって,前記遊技の進行に応じた音声を出力する音声出力手段(例えばスピーカ8L,8Rなど)と,前記音声出力手段に出力させる音声のデータである音声データ(例えば音声ROMに記憶された音声や効果音など)を設定する音声データ設定手段と,前記音声出力手段に出力させる音声の音量を指定する音量データを設定する音量データ設定手段と,を備え,前記音声データ設定手段は,前記音声出力手段に呼出タイミング(例えばスーパーBのリーチ演出開始時など)の後に所定タイミング(例えばスーパーBのリーチ演出におけるバトル演出時など)で表示に合わせて効果音を出力させる場合に,該呼出タイミングから該所定タイミングまでの時間分に相当する無音部分を該効果音の冒頭に設けた音声データを設定し,前記呼出タイミングは,変動開始後に行われるリーチ演出の開始タイミングと同じタイミングであり,前記効果音は,前記リーチ演出の開始後における,味方キャラクタと敵キャラクタとが戦うバトル演出で出力される効果音であり,前記音量データ設定手段は,前記無音部分の音量を「0」に指定する音量データを設定し,前記音声データ設定手段は,BGMの音声データをさらに設定可能であり,前記音声出力手段は,前記効果音と前記BGMとを同時に出力可能であり,前記音量データ設定手段は,前記効果音の音量として第1音量を指定する音量データと,前記BGMの音量として前記第1音量よりも低い第2音量を指定する音量データとを設定し,予告演出を実行可能であるとしてもよい。」に訂正する。
エ 訂正事項4
本件特許明細書の段落【0144】の
「この実施の形態では,スーパーBのリーチ演出として,味方キャラクタと敵キャラクタとが戦うバルト演出が実行される。」を,
「この実施の形態では,スーパーBのリーチ演出として,味方キャラクタと敵キャラクタとが戦うバトル演出が実行される。」に訂正する。
オ 訂正事項5
本件特許明細書の段落【0075】,【0077】,【0078】,【0345】,【0377】のそれぞれの「出力される音声データ」を,「出力される音声のデータである音声データ」に訂正する。
(2)訂正の目的の適否,新規事項の有無,特許請求の範囲の拡張又は変更の有無について
ア 訂正事項1
訂正事項1は,「音声データ」について,「音声のデータである」ことに具体的に限定するものであり,また,「前記音声出力手段に出力させる音声の音量を指定する音量データを設定する音量データ設定手段」を加え,当該「音量データ設定手段」について,「前記無音部分の音量を「0」に指定する音量データを設定」することに具体的に限定するものであるから,特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる,特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また,本件特許明細書の段落【0078】には,「音声制御基板13は,取得した音声データに基づく音声を,CPU120により入力された音量データに対応する音量で,指定チャンネルからスピーカ8L,8Rへ出力する」ことが記載されており,音声データは音声のデータであるといえる。
そして,本件特許明細書の段落【0075】には,「音声制御基板13は,」「スピーカ8L,8Rから音声を出力するための音声信号処理を実行する処理回路や,スピーカ8L,8Rから出力される音声データを記憶する音声ROM(Read Only Memory)などを有」し,「音声ROMは,MP3等の形式の音声データを,音番号を付して登録する」こと,段落【0077】には,「音声制御基板13には,スピーカ8L,8Rから出力される音声データを特定可能な音番号と音量データが,演出制御基板12によりチャンネルを指定して入力される」こと,段落【0365】には,「音声データ中の無音部分には音声は存在しないが,ノイズが混在する可能性もあることから,無音部分を再生する間は,音量を「0」にすることで,ノイズ等を防止すること」とが記載されており,出力される音声の音量を指定するデータを設定する構成において,無音部分を再生する間は音量を「0」にするといえる。
したがって,訂正事項1は,新規事項の追加に該当せず,また,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではないから,特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
イ 訂正事項2
訂正事項2は,上記「ア 訂正事項1」で検討したことに加え,「呼出タイミング」について,「変動開始後に行われるリーチ演出の開始タイミングと同じタイミング」に具体的に限定し,「効果音」について,「リーチ演出の開始後における,味方キャラクタと敵キャラクタとが戦うバトル演出で出力される効果音」に具体的に限定し,「音声データ設定手段」について,「BGMの音声データをさらに設定可能であ」ることに限定し,「音声出力手段」について「前記効果音と前記BGMとを同時に出力可能であ」ることに限定し,「音量データ設定手段」について,「前記効果音の音量として第1音量を指定する音量データと,前記BGMの音量として前記第1音量よりも低い第2音量を指定する音量データとを設定」することに具体的に限定するものであるから,特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる,特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また,本件特許明細書の段落【0009】には,「呼出タイミング」について「スーパーBのリーチ演出開始時」であること,「効果音」について「スーパーBのリーチ演出におけるバトル演出時」「で表示に合わせて効果音を出力する」こと,段落【0144】には「スーパーBのリーチ演出として,味方キャラクタと敵キャラクタとが戦うバルト演出(「バトル演出」の誤記)が実行される」こととが記載されており,呼出しタイミングは,リーチ演出の開始のタイミングであり,効果音は,リーチ演出における味方キャラクタと敵キャラクタとが戦うバトル演出で出力されるといえる。
本件特許明細書の段落【0076】には,「再生されるBGM(バックグラウンドミュージック)とともに,擬似連の可変表示演出やリーチ演出などにおいて所定の表示に合わせて再生する効果音が同時に出力される」こと,段落【0381】には,「バトル演出が表示されるタイミングにおいて,音番号「5」に対応する音声データに基づくBGMが音量「2」で再生されるとともに,音番号「3」に対応する音声データに基づく効果音が,音量データに対応する音量「4」で再生されることにより,スピーカ8L,8RからBGMとともに「ジャキーン」という効果音が出力される」こと,「BGMの音量を抑えることにより,別チャンネルで再生される効果音の邪魔とならないようにすること」とが記載されており,BGMの音声データと効果音の音声データとを設定するとともに,BGMの音量を効果音の音量よりも低く設定して同時に出力されるといえる。
したがって,訂正事項2は,新規事項の追加に該当せず,また,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではないから,特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
ウ 訂正事項3
訂正事項3は,訂正事項1及び2の訂正により,訂正前の請求項1における特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正を行った結果,記載表現が一致しなくなった明細書の段落【0009】の記載を,訂正後の請求項1の記載に整合させるための訂正であるから,特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる,明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。
そして,補正事項3は,新規事項の追加に該当せず,また,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではないから,特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
エ 訂正事項4
本件特許明細書の段落【0009】,【0144】,【0374】,【0381】,【0383】には,リーチ演出としての「バトル演出」について記載されており,段落【0144】の「スーパーBのリーチ演出として,味方キャラクタと敵キャラクタとが戦うバルト演出」が「スーパーBのリーチ演出として,味方キャラクタと敵キャラクタとが戦うバトル演出」の誤記であることは明らかであるから,訂正事項4は,特許法第120条の5第2項ただし書第2号に掲げる,誤記の訂正を目的とするものである。
そして,訂正事項4は,新規事項の追加に該当せず,また,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではないから,特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
オ 訂正事項5
訂正事項5は,訂正事項1の訂正により,訂正前の請求項1における特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正を行った結果,記載表現が一致しなくなった明細書の段落【0075】,【0077】,【0078】,【0345】,【0377】の記載を,訂正後の請求項1の記載に整合させるための訂正であるから,特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる,明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。
そして,補正事項5は,新規事項の追加に該当せず,また,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではないから,特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(3)小括
以上のとおりであるから,本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項第1~3号に掲げる事項を目的とするものであり,かつ,同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので,訂正後の請求項1~2について訂正を認める。
3.特許異議の申立てについて
(1)本件発明
本件訂正請求により訂正された訂正後の請求項1~2に係る発明(以下「本件特許発明1~2」という。)は,その特許請求の範囲の請求項1~2に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
本件特許発明1:
「所定の遊技を行う遊技機であって,
前記遊技の進行に応じた音声を出力する音声出力手段と,
前記音声出力手段に出力させる音声のデータである音声データを設定する音声データ設定手段と,
前記音声出力手段に出力させる音声の音量を指定する音量データを設定する音量データ設定手段と,を備え,
前記音声データ設定手段は,前記音声出力手段が呼出タイミングの後に所定タイミングで表示に合わせて効果音を出力する場合に,該呼出タイミングから該所定タイミングまでの時間分に相当する無音部分を該効果音の冒頭に設けた音声データを設定し,
前記音量データ設定手段は,前記無音部分の音量を「0」に指定する音量データを設定することを特徴とする遊技機。」
本件特許発明2:
「所定の遊技を行う遊技機であって,
前記遊技の進行に応じた音声を出力する音声出力手段と,
前記音声出力手段に出力させる音声のデータである音声データを設定する音声データ設定手段と,
前記音声出力手段に出力させる音声の音量を指定する音量データを設定する音量データ設定手段と,を備え,
前記音声データ設定手段は,前記音声出力手段が呼出タイミングの後に所定タイミングで表示に合わせて効果音を出力する場合に,該呼出タイミングから該所定タイミングまでの時間分に相当する無音部分を該効果音の冒頭に設けた音声データを設定し,
前記呼出タイミングは,変動開始後に行われるリーチ演出の開始タイミングと同じタイミングであり,
前記効果音は,前記リーチ演出の開始後における,味方キャラクタと敵キャラクタとが戦うバトル演出で出力される効果音であり,
前記音量データ設定手段は,前記無音部分の音量を「0」に指定する音量データを設定し,
前記音声データ設定手段は,BGMの音声データをさらに設定可能であり,
前記音声出力手段は,前記効果音と前記BGMとを同時に出力可能であり,
前記音量データ設定手段は,前記効果音の音量として第1音量を指定する音量データと,前記BGMの音量として前記第1音量よりも低い第2音量を指定する音量データとを設定し,
予告演出を実行可能であることを特徴とする遊技機。」
(2)特許異議申立の概要
特許異議申立人は,特許異議申立書において,証拠方法として甲第1号証を提出し,訂正前の請求項1~2に係る発明は,甲第1号証に記載された発明であり,また,甲第1号証に記載された発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるので,特許法第29条第1項第3号及び同条第2項の規定に違反してなされたものであるから,取り消されるべきものである旨主張している。
(証拠方法)
甲第1号証:特開2012-130550号公報
(3)特許異議申立人の平成28年12月20日付け意見書の概要
特許異議申立人は,訂正請求によって訂正された請求項1~2に係る発明に対し,平成28年12月20日付け意見書において,証拠方法として甲第3~4号証を提出し,訂正事項1については設計事項であり,設計事項でないとしても,訂正後の請求項1~2に係る発明は,甲1号証に記載された発明に,甲3~4号証に記載の事項を適用することにより,容易想到である旨,主張している。
(証拠方法)
甲第3号証:特開2001-347001号公報
甲第4号証:特開2006-102554号公報
(4)取消理由(決定の予告)の概要
平成29年1月12日付けの取消理由(決定の予告)において,平成28年10月25日付けの訂正請求で訂正された請求項1~2に係る発明は,甲第1号証及び甲第4号証に記載された発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるので,特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから,取り消されるべきものである旨,通知した。
(証拠方法)
甲第1号証:特開2012-130550号公報
甲第4号証:特開2006-102554号公報
(5)甲号証の記載
ア 甲第1号証(特開2012-130550号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。
(ア)「【0011】
(第1実施例)
本実施例においては,当否抽選の結果が大当りである可能性のあることを示唆する複数種類の予告演出を実行するとともに,予告演出の種類ごとにその演出時に出力する効果音や音楽が収められた音声データがあらかじめ用意される。各予告演出が単独で実行される場合には対応する単独音声データを再生し,複数種類の予告演出が複合的に同じ演出期間に実行される場合には,対応する混成音声データを再生する。このように,複数種類の予告演出が複合的に実行される場合を想定して,同じ演出期間に実行される可能性のある予告演出の組合せすべてに個別に対応する混成音声データをあらかじめ用意しておく。これにより,予告演出が単独で実行されるか複合的に実行されるかいずれの場合でも一つの音声伝送路を通じて音声出力できる。すなわち,複合的に予告演出を実行する場合でも,複数の音声伝送路を必要としないため,ハードウェア仕様として余分に音声伝送路を確保しなくて済み,開発者としても音声伝送路の確保を気にせず,より自由度の高い手法で演出内容を設計することができる。
【0012】
図1は,ぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す。以下,弾球遊技機として従来にいういわゆる第1種ぱちんこ遊技機を例に説明する。ぱちんこ遊技機10は,主に遊技機枠と遊技盤で構成される。ぱちんこ遊技機10の遊技機枠は,外枠11,前枠12,透明板13,扉14,上球皿15,下球皿16,および発射ハンドル17を含む。外枠11は,開口部分を有し,ぱちんこ遊技機10を設置すべき位置に固定するための枠体である。前枠12は,外枠11の開口部分に整合する枠体であり,図示しないヒンジ機構により外枠11へ開閉可能に取り付けられる。前枠12は,遊技球を発射する機構や,遊技盤を着脱可能に収容させるための機構,遊技球を誘導または回収するための機構等を含む。
【0013】
透明板13は,ガラスなどにより形成され,扉14により支持される。扉14は,図示しないヒンジ機構により前枠12へ開閉可能に取り付けられる。上球皿15は,遊技球の貯留,発射レールへの遊技球の送り出し,下球皿16への遊技球の抜き取り等をする機構を有する。下球皿16は,遊技球の貯留,抜き取り等の機構を有する。上球皿15と下球皿16の間にはスピーカ18が左右に二つ設けられており,後述する音声を制御する手段によって演出内容に対応する演出音声データが再生された音楽や効果音の演出音声が出力される。音声はモノラル音声だけでなくステレオ音声も出力可能である。」
(イ)「【0077】
予告演出パターンに対応する演出音声データには,複数の単独音声データと複数の混成音声データとが含まれる。単独音声データは,演出制御パターンに基づいて演出が実行される間に一つの音声伝送路を通じて再生される演出音声データであって,複数の演出制御パターンのそれぞれに個別に対応づけられる。例えば,変動演出パターンには,その種類ごとにバックグラウンドミュージック(以下,「BGM」ともいう)の演出音声データが対応付けられ,予告演出パターンには,その種類ごとに効果音の演出音声データが対応付けられる。混成音声データは,複数の演出制御パターンのうち2以上の演出制御パターンに基づく演出が同じ演出期間内に並行して実行されるときに一つの音声伝送路を通じて再生される演出音声データであって,2以上の演出制御パターンのそれぞれに対応する単独音声データを混成させた内容を持つ。混成音声データは,2以上の演出制御パターンの組合せごとに個別に対応づけられる。本実施例では,二つの予告演出が同じ図柄変動期間内に並行して実行される可能性があり,その場合にその二つの予告演出の組合せに対応する混成音声データが選択される。その混成音声データは,二つの予告演出に対応する二つの単独音声データを混成させた内容を持つ。
【0078】
予告演出に対応する単独音声データは,ステレオ音声のデータである。この場合,「一つの音声伝送路」は二つのチャネルで構成され,右音声と左音声が別々のチャネルを通じて再生される。予告演出に対応する単独音声データがステレオ音声データで構成されるのは,右方から左方へ,または左方から右方へ音源が移動するように左右で異なる音声を出力させるためである。例えば,図3における第3の予告演出の場合,予告演出オブジェクト300が右上から左下に流れるのに合わせて効果音も右から左へ移動する音声を出力させる。また,予告演出に対応する混成音声データもまた,単独音声データと同様にステレオ音声のデータであり,二つのチャネルを「一つの音声伝送路」として用いて音声を出力する。」
(ウ)「【0084】
本実施例における予告演出パターンには,上述した第1~3の予告演出を定めた第1~3予告演出パターンが少なくとも含まれる。第1予告演出パターンには,図柄変動開始後の所定タイミングで遊技効果ランプ90を2秒間点灯させる制御パターンが定められており,赤色に点灯させるパターンA,青色に点灯させるパターンB,黄色に点灯させるパターンC,の3種類が含まれる。第2予告演出パターンには,図柄変動開始後の所定タイミングで1~4個の可動役物140を2秒間閉じる制御パターンが定められており,いずれか1個の可動役物140が閉じられるパターンa~d,4個の可動役物140が閉じられるパターンeが含まれる。第3予告演出パターンには,多数の予告演出オブジェクト300が画面を横切るように表示させる群予告演出の表示パターンが定められており,表示させる予告演出オブジェクト300の種類が異なるパターン1~5が含まれる。
【0085】
予告演出パターンには,装飾図柄190の表示態様がリーチ状態となった後のタイミングで演出が実行されて図柄の最終的な停止態様を予告するパターンと,装飾図柄190が一つも停止していないタイミングで演出が実行されてリーチ状態となることを同時に予告するパターンとがある。図柄変動においてどのタイミングで実行されるかは予告演出パターンの種類により異なるとともに,そのタイミングは各予告演出パターンに定められる。予告演出中に再生される効果音のその発生タイミングは予告演出パターンの種類により異なる。ただし,演出音声データとしては効果音の発生期間だけでなく無音期間も含めてデータが構成されているため,図柄変動の開始とともに再生も開始され,あらかじめ定められたタイミングまで無音期間が続いた後に効果音が発せられる。なお,変形例として,無音期間のない形式で演出音声データを構成してもよく,その場合,効果音のデータおよびその再生タイミングが演出音声データに定められる。
【0086】
演出決定手段132は,当否抽選の結果に応じて予告演出を実行するか否かを所定の予告抽選により決定して設定するとともに,実行する決定をした場合には予告演出パターンの種類を決定して設定する。演出決定手段132は,予告演出を実行するか否かを決定するために参照すべき予告決定テーブルと,予告演出パターンの種類を選択するときに参照すべき予告種類テーブルとを保持する。予告決定テーブルは,当否抽選の結果に応じて異なる欄が参照されるように設定されており,当否抽選が当りの場合は外れの場合よりも高い確率で予告演出を実行するよう,当否抽選の結果と予告演出を表示するか否かの対応関係が定められる。これにより,予告演出が実行されること自体で大当りへの期待度の高さを示唆することができる。変形例として,決定された変動演出パターンの種類に応じて予告演出パターンの有無および種類を決定する構成としてもよく,例えばスーパーリーチのときほど予告演出が実行される確率を高めることもできる。この場合もまた,大当りの可能性が高いときほど予告演出が実行され,また,予告演出の種類と大当りの可能性の高さを対応づけることもできる。
・・・
【0088】
演出決定手段132は,決定した予告演出パターンの種類に対応する演出音声データを選択して音声データ記憶手段137から読み出し,その演出音声データの情報を音声制御手段138へ送る。予告演出パターンと単独音声データは1対1で対応づけられ,その対応関係は単独音声テーブルに定められる。単独音声テーブルにおいて,第1予告演出パターンとしてのパターン「A」~「C」には単独音声データ「A」~「C」が対応づけられ,第2予告演出パターンとしてのパターン「a」~「e」には単独音声データ「a」~「e」が対応づけられる。第3予告演出パターンとしてのパターン「1」~「5」には単独音声データ「1」~「5」が対応づけられる。」
上記(ア)~(ウ)の記載事項を総合すると,甲第1号証には,次の発明(以下,「甲1発明」という。)が記載されている。
「予告演出を実行するぱちんこ遊技機10において,
スピーカ18が設けられており,演出内容に対応する演出音声データが再生された効果音の演出音声が出力され,
演出決定手段132は,予告演出パターンの種類を決定して設定し,決定した予告演出パターンの種類に対応する演出音声データを選択し,
第3の予告演出パターンの場合,多数の予告演出オブジェクト300が画面を横切るように表示させ,予告演出オブジェクト300が右上から左下に流れるのに合わせて効果音も右から左へ移動する音声を出力させ,演出音声データとしては効果音の発生期間だけでなく無音期間も含めてデータを構成し,図柄変動の開始とともに再生が開始され,あらかじめ定められたタイミングまで無音期間が続いた後に効果音が発せられ,
演出音声データとして,バックグラウンドミュージックを選択可能であり,
効果音とバックグラウンドミュージックとを混声音声データとして出力可能である,
ぱちんこ遊技機10。」
イ 甲第2号証は,本件特許の特許公報(特許第5841029号公報)である。
ウ 甲第3号証(特開2001-347001号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている。
「【0087】図16は,変動グループ番号が“1”,音声出力パターンaが選択された場合に,前述のST76の処理で使用される音声データの構成を示す図である。音声データ中の「SD_NO」は,音声データを識別するものである。具体的には,「SD_NO10」は,変動グループ番号が“1”,音声出力パターンaに対応する音声データを示す。ここで,前述のように,変動グループ番号が“1”となるのは,前述のST34の判別が“YES”であり,ST35の処理でリーチの種類として「ノーマル」が選択された場合である。
【0088】音声データ中の「DB」は,処理の内容及び処理の時間を示す。例えば「DB」が「000H」のときは,「消音」処理が40ms間行われる。また,「DB」が「SND_CODE2」のときは,「図柄変動音」の出音処理が5223ms間行われる。なお,「SND_CODE」の後ろに示された数字は,処理の内容及び処理の時間を示すものであるが,処理の時間については,音声データ中には示していない。「DB」が「0FFH」のときは,CPU95は,参照している音声データに基く処理を終了する。音声データ中の「DW」は,原則として対応する「DB」に示す処理の開始時から次の処理が開始されるまでの時間を示す。ここで,「DW」の「0001H」は,40msを示す。また,TIMEの後に示された数値は時間を示し,単位はmsである。「DW」に複数のTIMEが「+」,又は「-」を挟んで示されている場合には,各TIMEの後ろに示された数値を加算,又は減算した値が次の処理を開始するまでの時間を示す。ここで,音声データに基くCPU95の音声出力装置101の制御処理の結果,音声出力装置101から出力される音のタイミングダイアグラムについては,後で図18~図20を参照して説明する。
【0089】次に,図16に示す音声データに基くCPU95の処理について説明する。初めに,CPU95は,「消音」処理を行う。続いて,「消音」処理の開始時から40ms後,「図柄変動音」の出音処理を行う。「図柄変動音」の出音処理の開始時から40ms後,「水晶出現音1」の出音処理を行う。「水晶出現音1」の出音処理の開始時から3696ms後,「左攻撃かけ声」の出音処理を行う。「左攻撃かけ声」の出音処理の開始時から463ms後,「左図柄確定音」の出音処理を行う。「左図柄確定音」の出音処理の開始時から824ms後,「右攻撃かけ声」の出音処理を行う。「右攻撃かけ声」の出音処理を終了した後,「消音」処理を行う。「消音」処理の開始時から40ms後,「右図柄確定音」の出音処理を行う。
【0090】次に,CPU95は,「右図柄確定音」の出音処理の開始時から500ms後,「ドラの音」の出音処理を行う。「ドラの音」の出音処理を終了した後,「消音」処理を行う。「消音」処理の開始時から40ms後,「ノーマルリーチ音」の出音処理を行う。「ノーマルリーチ音」の出音処理の開始時から2121ms後,「開眼音」の出音処理を行う。「開眼音」の出音処理の開始時から400ms後,「攻撃かけ声」の出音処理を行う。「攻撃かけ声」の出音処理の開始時から563ms後,「中図柄確定音」の出音処理を行う。「中図柄確定音」の出音処理を終了した後,「消音」処理を行う。「消音」処理の開始時から40ms後,「開門音」の出音処理を行う。
【0091】次に,CPU95は,「開門音」の出音処理の開始時から1800ms後,「気合い声」の出音処理を行う。「気合い声」の出音処理の開始時から40ms後,「爆発音」の出音処理を行う。「爆発音」の出音処理の開始時から2600ms後,「大当り音」の出音処理を行う。CPU95は,「大当り音」の出音処理を終了した後,「消音」処理を行い,図16に示す音声データに基く処理を終了する。」
エ 甲第4号証(特開2006-102554号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている。
「【0028】
図1~図5は,主制御基板1から受信する制御コマンドと,音声制御基板3から発せられる音声情報との関係を説明するため参照テーブルを例示したものである。この実施例では,主制御基板1から伝送されてくる2バイト長の制御コマンドに対応して,スピーカSPからは効果音(SE)と背景音(BGM)をミキシングした音声情報が出力されるが,最初に,この一連の処理を概略的に説明する。
【0029】
図1(a)に示すように,受信した2バイト長の制御コマンドに対応して,1バイト長のFiコマンド(完全情報Full Intelligence Command)が特定される。ここでFiコマンドとは,一連の音声情報を完全に特定するものであり,例えば,図柄始動口への入賞に合わせて液晶ディスプレイ8において図柄変動の動作が開始される場合には,その図柄変動の動作に合わせて,(1)「今回は期待できるよ!」→(2)・・・・(無音状態)→(3)「ほーらリーチだ!」→(4)・・・・(無音状態)→(5)「やったー!。大当りー!!」のような一連の効果音SEを,背景音BGM(通常は音楽)と共に特定するものである。
【0030】
Fiコマンドは,上記のような区分情報(1)~(5)を組合せて構成されているが,区分情報はSiコマンド(Semi Intelligence Command)で特定されるようになっている。すなわち,Fiコマンドは,Siコマンドの組合せによって構成されており,複数個のSiコマンドの組合せによって,(1)「今回は期待できるよ!」,(2)・・・(無音状態),(3)「ほーらリーチだ!」,(4)・・・・(無音状態),(5)「やったー!。大当りー!!」の一連の音声情報が特定されることになる。
【0031】
図2は,Fiコマンドと,Siコマンドと,サウンドNOの関係を概略的に図示したものである。図2(a)及び図2(b)に示すように,一つのFiコマンドに対して,背景音(BGM)用のSiコマンドと効果音(SE)用のSiコマンドとが特定される。例えばコマンド番号01HのFiコマンドの場合には,効果音としては,一連の10個のSiコマンド番号(50H,23H,50H,24H,41H,50H,4BH,4CH,5CH,50H)の組合せが特定され,背景音としては,一連の7個のSiコマンド番号(01H,51H,02H,51H,10H,0FH,51H)の組合せが特定されることになる。なお,Hは16進数を意味する。
【0032】
各Siコマンドは,その再生時間と共に規定されており,図2(a)に例示する効果音(SE)の場合には,
(1)9.4秒の再生時間を要するSiコマンド50H(無音)
(2)0.7秒の再生時間を要するSiコマンド23H
(3)12.7秒の再生時間を要するSiコマンド50H(無音)
(4)1.0秒の再生時間を要するSiコマンド24H
(5)0.8秒の再生時間を要するSiコマンド41H
(6)3.6秒の再生時間を要するSiコマンド50H(無音)
(7)2.0秒の再生時間を要するSiコマンド4BH
(8)0.8秒の再生時間を要するSiコマンド4CH
(9)11.27秒の再生時間を要するSiコマンド5CH
(10)0.004秒の再生時間を要するSiコマンド50H(無音)
によってFiコマンド1が実効化されることを意味している。そして,一連のSiコマンドのうち,現在どのSiコマンドを実行すべきかは,SE用の進行カウンタCNT SEによって指示される。
【0033】
これらの点は,背景音の場合も同様であり,図2(b)に例示する背景音(BGM)の場合には,
(1)9.4秒の再生時間を要するSiコマンド01H
(2)0.7秒の再生時間を要するSiコマンド51H(無音)
(3)12.7秒の再生時間を要するSiコマンド02H
(4)3.6秒の再生時間を要するSiコマンド51H(無音)
(5)4.8秒の再生時間を要するSiコマンド10H
(6)9.1秒の再生時間を要するSiコマンド0FH
(7)0.004秒の再生時間を要するSiコマンド51H(無音)
によってFiコマンド01Hが実効化されることを意味している。そして,一連のSiコマンドのうち,現在どのSiコマンドを実行すべきかは,BGM用の進行カウンタCNT BGによって指示される。
【0034】
各Siコマンドは,更に,音声パーツであるサウンドNO及びその再生時間の組合せを特定するよう構成されている。例えば,図2(a)の例では,Siコマンド5CHは,0.6秒の再現時間を要するサウンドNO47H→0.6秒の再現時間を要するサウンドN
O47H→・・・→1.1秒の再現時間を要するサウンドNO47H→・・・→2秒の再現時間を要するサウンドNO56Hの組合せで実効化される。このように,サウンドNOとその再生時間とは必ずしも固定的ではなく,再生時間は適宜に変更される。そして,一連のサウンドNOのうち,現在どのサウンドNOを実行すべきかは進行カウンタPT CNTによって指示される。なお,図2においてENDCDは,データの終了を意味するコードであり,再生時間がmS(ミリ秒)の単位であって,且つ**/4の形式で特定されているのは,後述するタイマ割込み処理が4mS毎に発生することに因るものである。」
(6)対比・判断
本件特許発明1と甲1発明とを対比する。
(a)甲1発明の「ぱちんこ遊技機10」は,本件特許発明1の「所定の遊技を行う遊技機」に含まれる。
(b)甲1発明の「演出内容に対応する演出音声データが再生された効果音の演出音声が出力され」る「スピーカ18」は,本件特許発明1の「前記遊技の進行に応じた音声を出力する音声出力手段」に相当する。
(c)甲1発明の「予告演出パターンの種類を決定して設定し,決定した予告演出パターンの種類に対応する演出音声データを選択」する「演出決定手段132」は,本件特許発明1の「前記音声出力手段に出力させる音声のデータである音声データを設定する音声データ設定手段」に相当する。
(d)甲1発明の「図柄変動の開始」,「あらかじめ定められたタイミング」,「無音期間」及び「演出音声データ」は,本件特許発明1の「呼出タイミング」,「所定タイミング」,「無音部分」及び「音声データ」に,それぞれ相当する。
また,甲1発明の「第3の予告演出パターンの場合,多数の予告演出オブジェクト300が画面を横切るように表示させ,予告演出オブジェクト300が右上から左下に流れるのに合わせて効果音も右から左へ移動する音声を出力させ」る構成は,予告演出パターンにおいて,表示に合わせて効果音が出力される構成といえるから,本件特許発明1の「表示に合わせて効果音を出力する」構成に相当する。
さらに,甲1発明の表示に合わせて出力される「効果音」と,「図柄変動の開始とともに再生が開始され,あらかじめ定められたタイミングまで無音期間が続いた後に効果音が発せられる」場合の「効果音」とは,同じ「効果音」であるといえるから,甲1発明には,図柄変動の開始とともに再生が開始され,あらかじめ定められたタイミングまで無音期間が続いた後に,表示に合わせて効果音が発せられる構成が,記載されているといえる。
これらのことから,甲1発明の「第3の予告演出パターンの場合,多数の予告演出オブジェクト300が画面を横切るように表示させ,予告演出オブジェクト300が右上から左下に流れるのに合わせて効果音も右から左へ移動する音声を出力させ,演出音声データとしては効果音の発生期間だけでなく無音期間も含めてデータを構成し,図柄変動の開始とともに再生が開始され,あらかじめ定められたタイミングまで無音期間が続いた後に効果音が発せられる」構成は,本件特許発明1の「前記音声データ設定手段は,前記音声出力手段が呼出タイミングの後に所定タイミングで表示に合わせて効果音を出力する場合に,該呼出タイミングから該所定タイミングまでの時間分に相当する無音部分を該効果音の冒頭に設けた音声データを設定」することに相当する。
上記(a)~(d)により,本件特許発明1と甲1発明とは,
「所定の遊技を行う遊技機であって,
前記遊技の進行に応じた音声を出力する音声出力手段と,
前記音声出力手段に出力させる音声のデータである音声データを設定する音声データ設定手段と,を備え,
前記音声データ設定手段は,前記音声出力手段が呼出タイミングの後に所定タイミングで表示に合わせて効果音を出力する場合に,該呼出タイミングから該所定タイミングまでの時間分に相当する無音部分を該効果音の冒頭に設けた音声データを設定することを特徴とする遊技機。」
である点で一致し,次の点で相違する。
本件特許発明1では「前記音声出力手段に出力させる音声の音量を指定する音量データを設定する音量データ設定手段」を備え,「前記音量データ設定手段は,前記無音部分の音量を「0」に指定する音量データを設定する」のに対し,甲1発明では,そのように特定されていない点。
上記相違点について検討する。
甲1発明は,ぱちんこ遊技機10の演出において,出力させる音声のデータである音声データを設定する構成は有するもの,決定された音声データに対応する「音量を指定する音量データを設定する」構成については開示も示唆もない。
そして,甲1発明には,設定された音声データに対応する音量データを設定する構成がないため,「無音部分の音量を「0」に指定する音量データを設定する」ことについても,開示も示唆もない。
また,甲第3,4号証についても,設定された音声データに対応する「音量データを設定する」構成及び「無音部分の音量を「0」に指定する音量データを設定する」ことについて,開示も示唆もない。
(7)まとめ
本件特許発明1は,上記相違点について容易になし得たものということはできず,請求人の提出した甲第1,3,4号証に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
また,本件特許発明2は,本件特許発明1に限定を付したものであるから,限定を付した事項を検討するまでもなく,当業者が容易に発明することができたものとすることはできない。
したがって,本件特許発明1~2に係る特許は,特許法第29条第2項に違反してされたものとはいえない。
4.むすび
以上のとおりであるから,取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては,本件発明に係る特許を取り消すことはできない。
また,他に本件発明に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2016-700585