審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許異議申立

2016-700574

眼科観察装置、その制御方法、及びプログラム

審判番号
2016-700574
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2014-114583外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2016年06月24日
審決日
2017年08月28日
公報発行日
2017年11月24日
結論
訂正認容
当事者
審判長/審判官
分類
P1651.113-YAA(A61B) / P1651.121-YAA(A61B) / P1651.537-YAA(A61B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第1項第3号、特許法第126条第4項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第5837143号発明「眼科観察装置、その制御方法、及びプログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第5837143号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、2、3、4、5、6について訂正することを認める。 特許第5837143号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。 特許第5837143号の請求項4ないし6に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 特許第5837143号の請求項1ないし6に係る特許についての出願は、平成21年7月29日に出願した特願2009-176201号の一部を、平成25年4月10に新たに特許出願した特願2013-82245号の一部を、平成26年6月3日に更に新たに特許出願したものであって、平成27年11月13日にその特許権の設定登録がされ、その後、特許異議申立人より特許異議の申立てがされ、平成28年11月25日付けで取消理由通知がされ、その指定期間内である平成29年1月24日に意見書の提出及び訂正の請求があり、その訂正の請求に対して同年3月6日に特許異議申立人から意見書が提出され、さらに、同年4月12日付けで取消理由通知がされ、その指定期間内である同年6月6日に意見書の提出及び訂正の請求(以下、当該訂正の請求を「本件訂正請求」といい、本件訂正請求による訂正を「本件訂正」という。)があり、その訂正の請求に対して同年7月21日に特許異議申立人から意見書が提出されたものである。 第2 訂正の適否についての判断 1 本件訂正の内容 本件訂正の内容は、以下のとおりである(下線部は、訂正箇所を示す。)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「光源からの光を信号光と参照光とに分割し、被検眼を経由した前記信号光と参照光路を経由した参照光とを重畳させて干渉光を生成して検出する光学系と、前記光学系による前記干渉光の検出結果に基づいて前記被検眼の画像を形成する画像形成手段と、少なくとも前記光学系の動作内容が動作モードに対して関連付けられた動作モード情報を予め記憶する記憶手段と、前記動作モードに関連付けられた動作内容を前記動作モード情報を参照して特定し、前記特定された動作内容に基づいて少なくとも前記光学系を制御する制御手段と、を備え、前記光学系は、前記被検眼に対する前記信号光の照射位置を走査する走査手段を含み、前記動作モード情報には、前記走査手段による前記照射位置の走査の形状を表す走査パターンが前記動作モードに対して関連付けられており、前記制御手段は、前記動作モードに関連付けられた走査パターンを前記動作モード情報を参照して特定し、更に、前記走査手段を制御して当該特定された走査パターンで前記信号光の照射位置を走査させる、ことを特徴とする眼科観察装置。」と記載されているのを、「光源からの光を信号光と参照光とに分割し、被検眼を経由した前記信号光と参照光路を経由した参照光とを重畳させて干渉光を生成して検出する光学系と、前記光学系による前記干渉光の検出結果に基づいて前記被検眼の画像を形成する画像形成手段と、少なくとも前記光学系の動作内容が動作モードに対して関連付けられた動作モード情報を予め記憶する記憶手段と、前記動作モードに関連付けられた動作内容を前記動作モード情報を参照して特定し、前記特定された動作内容に基づいて少なくとも前記光学系を制御する制御手段と、を備え、前記光学系は、前記被検眼に対する前記信号光の照射位置を走査する走査手段を含み、前記動作モードは、操作手段を用いて追加又は削除が可能であり、前記動作モード情報には、前記走査手段による前記照射位置の走査の形状を表す複数の走査パターンの中から前記操作手段を用いて選択された少なくとも1つの走査パターンが前記動作モードに対して関連付けられており、前記制御手段は、前記動作モードに関連付けられた走査パターンを前記動作モード情報を参照して特定し、更に、前記走査手段を制御して当該特定された走査パターンで前記信号光の照射位置を走査させる、ことを特徴とする眼科観察装置。」に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2に「光源からの光を信号光と参照光とに分割し、被検眼を経由した前記信号光と参照光路を経由した参照光とを重畳させて干渉光を生成して検出する光学系であって、前記被検眼に対する前記信号光の照射位置を走査する走査手段を含む光学系と、前記光学系による前記干渉光の検出結果に基づいて前記被検眼の画像を形成する画像形成手段と、記憶手段と、を備える眼科観察装置の制御方法であって、前記記憶手段に予め記憶された動作モード情報であって、少なくとも前記走査手段による前記照射位置の走査の形状を表す走査パターンが動作モードに対して関連付けられた動作モード情報を参照して、前記動作モードに関連付けられた走査パターンを特定するステップと、前記走査手段を制御して、当該特定された走査パターンで前記信号光の照射位置を走査させるステップと、を含むことを特徴とする眼科観察装置の制御方法。」と記載されているのを、「光源からの光を信号光と参照光とに分割し、被検眼を経由した前記信号光と参照光路を経由した参照光とを重畳させて干渉光を生成して検出する光学系であって、前記被検眼に対する前記信号光の照射位置を走査する走査手段を含む光学系と、前記光学系による前記干渉光の検出結果に基づいて前記被検眼の画像を形成する画像形成手段と、記憶手段と、を備える眼科観察装置の制御方法であって、前記記憶手段に予め記憶された動作モード情報であって、少なくとも前記走査手段による前記照射位置の走査の形状を表す複数の走査パターンの中から操作手段を用いて選択された少なくとも1つの走査パターンが動作モードに対して関連付けられた動作モード情報を参照して、前記動作モードに関連付けられた走査パターンを特定するステップと、前記走査手段を制御して、当該特定された走査パターンで前記信号光の照射位置を走査させるステップと、を含み、前記動作モードは、前記操作手段を用いて追加又は削除が可能であることを特徴とする眼科観察装置の制御方法。」に訂正する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3に「光源からの光を信号光と参照光とに分割し、被検眼を経由した前記信号光と参照光路を経由した参照光とを重畳させて干渉光を生成して検出する光学系であって、前記被検眼に対する前記信号光の照射位置を走査する走査手段を含む光学系と、前記光学系による前記干渉光の検出結果に基づいて前記被検眼の画像を形成する画像形成手段と、少なくとも前記走査手段による前記照射位置の走査の形状を表す走査パターンが動作モードに対して関連付けられた動作モード情報を予め記憶する記憶手段と、を備える眼科観察装置に、前記動作モードに関連付けられた走査パターンを、前記動作モード情報を参照して特定させ、前記走査手段により、当該特定された走査パターンで前記信号光の照射位置を走査させる、ことを特徴とするプログラム。」と記載されているのを、「光源からの光を信号光と参照光とに分割し、被検眼を経由した前記信号光と参照光路を経由した参照光とを重畳させて干渉光を生成して検出する光学系であって、前記被検眼に対する前記信号光の照射位置を走査する走査手段を含む光学系と、前記光学系による前記干渉光の検出結果に基づいて前記被検眼の画像を形成する画像形成手段と、少なくとも前記走査手段による前記照射位置の走査の形状を表す複数の走査パターンの中から操作手段を用いて選択された少なくとも1つの走査パターンが動作モードに対して関連付けられた動作モード情報を予め記憶する記憶手段と、を備え、前記動作モードは、前記操作手段を用いて追加又は削除が可能である眼科観察装置に、前記動作モードに関連付けられた走査パターンを、前記動作モード情報を参照して特定させ、前記走査手段により、当該特定された走査パターンで前記信号光の照射位置を走査させる、ことを特徴とするプログラム。」に訂正する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項4を削除する。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項5を削除する。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項6を削除する。 (7)訂正事項7 特許明細書の段落【0018】における記載を、上記訂正事項1~6に伴い、「請求項1に記載の発明は、光源からの光を信号光と参照光とに分割し、被検眼を経由した前記信号光と参照光路を経由した参照光とを重畳させて干渉光を生成して検出する光学系と、前記光学系による前記干渉光の検出結果に基づいて前記被検眼の画像を形成する画像形成手段と、少なくとも前記光学系の動作内容が動作モードに対して関連付けられた動作モード情報を予め記憶する記憶手段と、前記動作モードに関連付けられた動作内容を前記動作モード情報を参照して特定し、前記特定された動作内容に基づいて少なくとも前記光学系を制御する制御手段と、を備え、前記光学系は、前記被検眼に対する前記信号光の照射位置を走査する走査手段を含み、前記動作モードは、操作手段を用いて追加又は削除が可能であり、前記動作モード情報には、前記走査手段による前記照射位置の走査の形状を表す複数の走査パターンの中から前記操作手段を用いて選択された少なくとも1つの走査パターンが前記動作モードに対して関連付けられており、前記制御手段は、前記動作モードに関連付けられた走査パターンを前記動作モード情報を参照して特定し、更に、前記走査手段を制御して当該特定された走査パターンで前記信号光の照射位置を走査させる、ことを特徴とする眼科観察装置である。 請求項2に記載の発明は、光源からの光を信号光と参照光とに分割し、被検眼を経由した前記信号光と参照光路を経由した参照光とを重畳させて干渉光を生成して検出する光学系であって、前記被検眼に対する前記信号光の照射位置を走査する走査手段を含む光学系と、前記光学系による前記干渉光の検出結果に基づいて前記被検眼の画像を形成する画像形成手段と、記憶手段と、を備える眼科観察装置の制御方法であって、前記記憶手段に予め記憶された動作モード情報であって、少なくとも前記走査手段による前記照射位置の走査の形状を表す複数の走査パターンの中から操作手段を用いて選択された少なくとも1つの走査パターンが動作モードに対して関連付けられた動作モード情報を参照して、前記動作モードに関連付けられた走査パターンを特定するステップと、前記走査手段を制御して、当該特定された走査パターンで前記信号光の照射位置を走査させるステップと、を含み、前記動作モードは、前記操作手段を用いて追加又は削除が可能であることを特徴とする眼科観察装置の制御方法である。 請求項3に記載の発明は、光源からの光を信号光と参照光とに分割し、被検眼を経由した前記信号光と参照光路を経由した参照光とを重畳させて干渉光を生成して検出する光学系であって、前記被検眼に対する前記信号光の照射位置を走査する走査手段を含む光学系と、前記光学系による前記干渉光の検出結果に基づいて前記被検眼の画像を形成する画像形成手段と、少なくとも前記走査手段による前記照射位置の走査の形状を表す複数の走査パターンの中から操作手段を用いて選択された少なくとも1つの走査パターンが動作モードに対して関連付けられた動作モード情報を予め記憶する記憶手段と、を備え、前記動作モードは、前記操作手段を用いて追加又は削除が可能である眼科観察装置に、前記動作モードに関連付けられた走査パターンを、前記動作モード情報を参照して特定させ、前記走査手段により、当該特定された走査パターンで前記信号光の照射位置を走査させる、ことを特徴とするプログラムである。」と訂正する。 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1~3について ア 訂正の目的の適否 訂正後の請求項1~3に係る発明では、動作モード情報について、操作手段を用いて追加又は削除が可能な動作モードに対して、走査手段による照射位置の走査の形状を表す複数の走査パターンの中から当該操作手段を用いて選択された少なくとも1つの走査パターンが関連付けられる旨を明らかにすることで、動作モード情報を具体的に特定し、更に限定するものであるから、当該訂正事項1~3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 この動作モードに係る説明として、段落【0103】には、「このような事情に鑑み、眼科観察装置1が設置される医療機関や、眼科観察装置1を使用する医師に応じて動作モード情報214を編集できることが望ましい。この編集作業は、たとえば、所定の編集画面(たとえば図5に示すようなテーブル)を表示部240に表示させ、操作部250を用いて動作内容を追加/削除することにより行う。また、動作モードを追加したり削除したりすることも可能である。このように使用される操作部250はこの発明の『操作手段』に相当する。」との記載がなされており、当該動作モードに関連付けられる少なくとも1つの走査パターンについても、図5及び段落【0096】には、「・・・(略)・・・乳頭検査モードに対しては、・・・(略)・・・走査パターンとして『サークル』及び『3D』が関連付けられ・・・(略)・・・」との記載がなされており、図5及び段落【0099】には、「・・・(略)・・・黄斑変性検査モードに対しては、・・・(略)・・・走査パターンとして『3D』が関連付けられ・・・(略)・・・」との記載がなされており、段落【0161】には、「乳頭検査モードが指定された場合、・・・(略)・・・サークルスキャンと3次元スキャンを順次実行する」との記載がなされており、段落【0163】には、「黄斑変性検査モードが指定された場合、・・・(略)・・・3次元スキャンを実行して黄斑及びその近傍を描写する3次元画像を形成する」との記載がなされているものであるから、当該訂正事項1~3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項1~3は、発明特定事項を上位概念から下位概念にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 (2)訂正事項4~6について ア 訂正の目的の適否 訂正事項4~6は、請求項4~6を削除するというものであるから、当該訂正事項4~6は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 訂正事項4~6は、請求項4~6を削除するというものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項4~6は、請求項4~6を削除するというものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 (3)訂正事項7について ア 訂正の目的の適否 訂正事項7は、訂正事項1~6により請求項の記載が変更されたことにより生じる明細書の段落【0018】との不整合を解消する訂正であるから、当該訂正事項7は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 新規事項の有無 訂正事項7は、訂正事項1~6により請求項の記載が変更されたことに対応する訂正であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項7は、訂正事項1~6により請求項の記載が変更されたことに対応する訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 エ 明細書又は図面の訂正と関係する請求項についての説明 訂正事項7は、訂正事項1~6により請求項の記載が変更されたことによる明細書との不整合を解消し、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、これは請求項1~6に関係する訂正である。 したがって、訂正事項7は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第4項に適合するものである。 3 本件訂正の適否についての判断のまとめ 以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号及び3号に掲げる事項を目的とするものに該当し、同条第9項で準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので、本件訂正後の請求項1、2、3、4、5、6について訂正を認める。 第3 特許異議の申立てについて 1 本件訂正発明 本件訂正請求により訂正された訂正請求項1~3に係る発明(以下、それぞれ「本件訂正発明1」~「本件訂正発明3」という。)は、その請求項1~3に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 本件訂正発明1 「光源からの光を信号光と参照光とに分割し、被検眼を経由した前記信号光と参照光路を経由した参照光とを重畳させて干渉光を生成して検出する光学系と、 前記光学系による前記干渉光の検出結果に基づいて前記被検眼の画像を形成する画像形成手段と、 少なくとも前記光学系の動作内容が動作モードに対して関連付けられた動作モード情報を予め記憶する記憶手段と、 前記動作モードに関連付けられた動作内容を前記動作モード情報を参照して特定し、前記特定された動作内容に基づいて少なくとも前記光学系を制御する制御手段と、 を備え、 前記光学系は、前記被検眼に対する前記信号光の照射位置を走査する走査手段を含み、 前記動作モードは、操作手段を用いて追加又は削除が可能であり、 前記動作モード情報には、前記走査手段による前記照射位置の走査の形状を表す複数の走査パターンの中から前記操作手段を用いて選択された少なくとも1つの走査パターンが前記動作モードに対して関連付けられており、 前記制御手段は、前記動作モードに関連付けられた走査パターンを前記動作モード情報を参照して特定し、更に、前記走査手段を制御して当該特定された走査パターンで前記信号光の照射位置を走査させる、 ことを特徴とする眼科観察装置。」 本件訂正発明2 「光源からの光を信号光と参照光とに分割し、被検眼を経由した前記信号光と参照光路を経由した参照光とを重畳させて干渉光を生成して検出する光学系であって、前記被検眼に対する前記信号光の照射位置を走査する走査手段を含む光学系と、 前記光学系による前記干渉光の検出結果に基づいて前記被検眼の画像を形成する画像形成手段と、 記憶手段と、 を備える眼科観察装置の制御方法であって、 前記記憶手段に予め記憶された動作モード情報であって、少なくとも前記走査手段による前記照射位置の走査の形状を表す複数の走査パターンの中から操作手段を用いて選択された少なくとも1つの走査パターンが動作モードに対して関連付けられた動作モード情報を参照して、前記動作モードに関連付けられた走査パターンを特定するステップと、 前記走査手段を制御して、当該特定された走査パターンで前記信号光の照射位置を走査させるステップと、 を含み、 前記動作モードは、前記操作手段を用いて追加又は削除が可能である ことを特徴とする眼科観察装置の制御方法。」 本件訂正発明3 「光源からの光を信号光と参照光とに分割し、被検眼を経由した前記信号光と参照光路を経由した参照光とを重畳させて干渉光を生成して検出する光学系であって、前記被検眼に対する前記信号光の照射位置を走査する走査手段を含む光学系と、 前記光学系による前記干渉光の検出結果に基づいて前記被検眼の画像を形成する画像形成手段と、 少なくとも前記走査手段による前記照射位置の走査の形状を表す複数の走査パターンの中から操作手段を用いて選択された少なくとも1つの走査パターンが動作モードに対して関連付けられた動作モード情報を予め記憶する記憶手段と、 を備え、 前記動作モードは、前記操作手段を用いて追加又は削除が可能である眼科観察装置に、前記動作モードに関連付けられた走査パターンを、前記動作モード情報を参照して特定させ、 前記走査手段により、当該特定された走査パターンで前記信号光の照射位置を走査させる、 ことを特徴とするプログラム。」 2 取消理由の概要 (1)平成28年11月25日付け取消理由の概要 本件特許権の設定登録時の特許請求の範囲の請求項1~6に対して、平成28年11月25日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 (進歩性違反)請求項1~6に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2及び3に記載されている周知技術に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、請求項1~6に係る特許は、取り消されるべきものである。 引用文献1:Cirrus HD-OCT, Model 4000, User Manual English, ZEISS, Version 3.0 , Release Date 2008.03(異議申立人が提出した甲第1号証) 引用文献2:特開平6-237900号公報 引用文献3:特開2007-215733号公報 (2)平成29年4月12日付け取消理由の概要 平成29年1月24日付け訂正請求書に添付された特許請求の範囲の請求項1~3に対して、同年4月12日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 (明確性違反)請求項1の「少なくとも前記光学系の動作内容が操作手段を用いて追加又は削除が可能な動作モードに対して関連付けられた動作モード情報を予め記憶する記憶手段」との記載では、「操作手段を用いて追加又は削除が可能」な対象が、「光学系の動作内容」であるのか、それとも「動作モード」であるのか、2通りの解釈ができるため、その結果、請求項1に係る発明は明確でない。また、請求項2及び3に係る発明も同様である。 よって、請求項1~3に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。 3 特許異議申立理由の概要 申立理由の要旨は、次のとおりである。 甲第1号証:“Cirrus HD-OCT,Model 4000,User Manual”及び抄訳文 甲第2号証:特開2007-130403号公報 甲第3号証:特開2007-181632号公報 甲第4号証:“RTVue,Model-RT100,User's Manual,Version 3.0”及び抄訳文 (1)申立理由1(新規性・進歩性違反) 本件特許発明1~6は、いずれも甲第1号証に記載された発明と同一であるか、又は、甲第1号証に記載された発明から技術常識(例えば、甲第2号証、甲第3号証等を参照)を参酌することにより容易に想到することができた発明である。 よって、請求項1~6に係る特許は、特許法第29条第1項第3号または同条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号により取り消されるべきである。 (2)申立理由2(新規性・進歩性違反) 本件特許発明1~6は、いずれも甲第4号証に記載された発明と同一であるか、又は、甲第4号証に記載された発明から技術常識(例えば、甲第2号証、甲第3号証等を参照)を参酌することにより容易に想到することができた発明である。 よって、請求項1~6に係る特許は、特許法第29条第1項第3号または同条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号により取り消されるべきである。 (3)申立理由3(サポート要件・明確性要件違反) ア サポート要件違反 本件特許明細書の発明の詳細な発明には、課題として、「被検眼の診断に用いられる情報を容易にかつ過不足なく取得すること」が記載されている(段落【0017】)が、本件特許発明1~6は、上記発明の課題を解決するための必要な手段が反映されていない。したがって、本件特許発明1~6は発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求するものであるから、請求項1~6の記載は特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 よって、請求項1~6に係る特許は、特許法第36条第6項第1号の規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号により取り消されるべきである。 イ 明確性要件違反 明細書及び図面の記載並びに技術常識を考慮しても、請求項1に記載された「動作モード」の意味内容を当業者が理解できない結果、請求項1に係る発明は不明確である。したがって、請求項1~3の記載は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 よって、請求項1~3に係る特許は、特許法第36条第6項第2号の規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号により取り消されるべきである。 4 引用文献1の記載等 (1)引用文献1の記載 引用文献1には、次の事項が記載されている。(下線は、当審において付加したものである。) ア 第1-3頁第10行~第29行 「Cirrus HD-OCT Technology The Cirrus HD-OCT is a computerized instrument that acquires and analyzes cross-sectional and three-dimensional tomograms of the posterior eye segment using spectral domain optical coherence tomography (SD-OCT). SD-OCT is a form of non-invasive, low-coherence interferometry that produces high-resolution tomograms of the retina without contacting the eye. In low-coherence interferometry, light is sent along two optical paths, one being the sample path (into the eye)and the other the reference path of the interferometer. The light source is an 840 nm superluminescent light emitting diode (SLD), Light returning from the sample and reference paths is combined at the detector, which is a spectrometer in SD-OCT. The spectrometer resolves the interference signals throughout the depth of each A-scan immediately by means of a Fourier transformation. This is possible because the spectrometer resolves the relative amplitudes and phases of the spectral components scattered back from all depths of each A-scan tissue sample, without varying the length of the reference path. Eliminating the necessity of moving a mechanical reference arm makes it possible to acquire OCT image data about 70 times faster than conventional (time domain)OCT. The vast increase in scan speed makes it possible for Cirrus HD-OCT to acquire three-dimensional data sets, or entire cubes of data in about the same time (depending on the selected scan type)as conventional OCT. In spite of the increased speed of scanning, spectral detection of the interference signal provides superior resolution.」 (当審訳) 「シラスHD-OCT技術 シラスHD-OCTは、スペクトルドメイン光学コヒーレンストモグラフィ(SD-OCT)を用いて後眼部の断面・3次元断層像を取得・解析するコンピュータ制御機器である。SD-OCTは、眼に接触することなく網膜の高解像度断層像を生成する、非侵襲、低コヒーレンスの干渉分光法の形態をとっている。 低コヒーレンス干渉測定においては、光が2つの光路に沿って送られるところ、光路の一方は(眼に入る)標本光路であり、他方は干渉測定の参照光路である。光源は、840nmのスーパールミネッセント発光ダイオードである。標本光路と参照光路から戻った光は、SD-OCTの分光器である検出器において合成される。分光器は、フーリエ変換を用いて、各A-スキャンの深さの深さにわたって即時に干渉信号を解像する。これは、分光器が、各A-スキャン組織標本の全ての深さから散乱されて戻るスペクトル成分の相対的な振幅及び位相を、参照光路の長さを変化させずに解像することから可能である。機械的な参照アームの移動を不要にすることで、従来の(時間ドメイン)OCTよりも約70倍高速にOCT画像データを取得することが可能となっている。スキャン速度の大幅な増大により、シラスHD-OCTは、(選択されたスキャンタイプに応じて)従来のOCTとほぼ同じ時間で3次元データセットやキューブ(立方)データの全体を取得することが可能となっている。スキャン速度の増大にもかかわらず、干渉信号のスペクトル検出により、優れた解像度が提供される。」 イ 第3-6頁第11行~第3-7頁第34行 「Select Scan Type After you identify a patient and click Acquire, the Acquire Screen appears, as in Figure 3-5 on page 3-8. All Scans is the default exam protocol, which contains all available scan types for each eye. Unless the patient's chin is in the chin rest for the left eye, the first scan type for the right eye is selected by default. You can select any scan type by clicking it, thereby skipping or repeating any scan. As you acquire and save scans, the scan list indicates scan acquisition with a green checkmark to the left and shows the number of saved scans of that type to the right. The same scan types for each eye are listed in the following order near the top of the screen. They are: (中略) ・Optic Disk Cube 200×200: Generates a cube of data through a 6 mm square grid by acquiring a series of 200 horizontal scan lines each composed of 200A-scans. Except that the central vertical and horizontal scans are not composed of 1000 A-scans each,the Optic Disk Cube 200×200 has the same scan characteristics as the Macular Cube 200×200. The other differences lie in the application of the Optic Disk Cube: it is designed to scan the optic disk and to generate data for use in the Glaucoma Analysis.」 (当審訳) 「スキャンタイプの選択 あなたが患者を特定してAcquire(取得)をクリックした後に、第3-8頁の図3-5のように、取得画面が現れる。All Scan(全スキャン)は初期設定の検査プロトコルであるが、これは各眼に対して利用可能なすべてのスキャンタイプを含むものである。患者の顎が左眼用の顎当てに存在しない限り、右眼用の第1のスキャンタイプが初期設定により選択される。任意のスキャンタイプはあなたがそれをクリックすることにより選択することができ、これにより任意のスキャンがスキップまたはリピートされる。あなたがスキャンを取得して保存した場合、スキャンリストは、スキャン取得を緑のチェックマークにより左に示し、そのタイプの保存されたスキャンの数を右に示す。 各眼に対する同じスキャンタイプは、画面の最上部付近に以下の順序で一覧表示される。 (中略) ・視神経乳頭キューブ200×200:それぞれ200本のA-スキャンからなる200本の一連の水平スキャンラインを取得することにより、6mm正方グリッドによるキューブデータを生成する。中央の垂直・水平スキャンがそれぞれ1000本のA-スキャンから構成されていないことを除けば、視神経乳頭キューブ200×200は、黄斑キューブ200×200と同じスキャン特性を有する。他の相違が視神経乳頭キューブの適用において存在する:すなわち、これは視神経乳頭をスキャンし、緑内障解析において用いられるデータを生成するために設計されている。」 ウ 第4-17頁第7行~第12行 「Glaucoma Analysis (中略) The Glaucoma Analysis1 appears automatically when you select any Optic Disk Cube 200×200 scan from either eye.The system automatically selects the most recent Optic Disk Cube 200×200 scan from other eye,if one exists.(Otherwise it presents the analysis for one eye.)To select a particular optic disk cube scan from the other eye,click Tools>Glaucoma Scan Selection ...,as shown at left. 」 (当審訳) 「緑内障解析 (中略) 緑内障解析1は、あなたがいずれかの眼から何らかの視神経乳頭キューブ200×200スキャンを選択した場合に、自動的に現れる。存在する場合、システムは、いずれかの眼からの最近の視神経乳頭キューブ200×200スキャンを自動的に選択する。(存在しない場合は、一方の眼に対する解析を妨げる。)他方の眼からの特定の視神経乳頭キューブスキャンを選択するには、左に示すように、Tools >Glaucoma Scan Selection …をクリックする。」 (2)引用文献1に記載された発明の認定 上記ア~ウを含めて上記(1)の記載を総合すると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「スペクトルドメイン光学コヒーレンストモグラフィ(SD-OCT)を用いて後眼部の断面・3次元断層像を取得・解析するコンピュータ制御機器であるシラスHD-OCTであって、 SD-OCTは、眼に接触することなく網膜の高解像度断層像を生成する、非侵襲、低コヒーレンスの干渉分光法の形態をとっており、低コヒーレンス干渉測定においては、光が2つの光路に沿って送られるところ、光路の一方は(眼に入る)標本光路であり、他方は干渉測定の参照光路であり、光源は、840nmのスーパールミネッセント発光ダイオードであり、標本光路と参照光路から戻った光は、SD-OCTの分光器である検出器において合成され、分光器は、フーリエ変換を用いて、各A-スキャンの深さの深さにわたって即時に干渉信号を解像し、これは、従来の(時間ドメイン)OCTよりも約70倍高速にOCT画像データを取得することが可能となっており、 あなたが患者を特定してAcquire(取得)をクリックした後に、取得画面が現れ、任意のスキャンタイプはあなたがそれをクリックすることにより選択することができ、視神経乳頭キューブ200×200は、それぞれ200本のA-スキャンからなる200本の一連の水平スキャンラインを取得することにより、6mm正方グリッドによるキューブデータを生成し、すなわち、これは視神経乳頭をスキャンし、緑内障解析において用いられるデータを生成するために設計されており、 緑内障解析は、あなたがいずれかの眼から何らかの視神経乳頭キューブ200×200スキャンを選択した場合に、自動的に現れる、シラスHD-OCT。」 5 判断 (1)取消理由通知に記載した取消理由について ア 特許法第29条第2項について (ア)本件訂正発明1 a 対比 本件訂正発明1と引用発明を対比する。 本件訂正発明1の「動作モード」とは、本件特許明細書の段落【0060】の記載から、眼科観察装置の各種の動作項目を組み合わせて一連の動作として実行するものと理解でき、一方、引用発明では、「取得画面」上の「視神経乳頭キューブ200×200」を「選択」すると、「視神経乳頭をスキャンし、緑内障解析において用いられるデータを生成し」、「緑内障解析」結果が画面上に「自動的に現れる」ものである。 してみると、引用発明の「取得画面」上にて「選択」できる「視神経乳頭キューブ200×200」は、各種の動作項目である走査パターンと解析処理を組み合わせて一連の動作として実行させるものであることから、本件訂正発明1の「動作モード」に相当するものである。 よって、本件訂正発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点がある。 (一致点) 「光源からの光を信号光と参照光とに分割し、被検眼を経由した前記信号光と参照光路を経由した参照光とを重畳させて干渉光を生成して検出する光学系と、 前記光学系による前記干渉光の検出結果に基づいて前記被検眼の画像を形成する画像形成手段と、 少なくとも前記光学系の動作内容が動作モードに対して関連付けられた動作モード情報を予め記憶する記憶手段と、 前記動作モードに関連付けられた動作内容に基づいて少なくとも前記光学系を制御する制御手段と、 を備え、 前記光学系は、前記被検眼に対する前記信号光の照射位置を走査する走査手段を含み、 前記動作モード情報には、前記走査手段による前記照射位置の走査の形状を表す複数の走査パターンの中から選択された少なくとも1つの走査パターンが前記動作モードに対して関連付けられており、 前記制御手段は、前記走査手段を制御して前記動作モードに関連付けられた走査パターンで前記信号光の照射位置を走査させる、 眼科観察装置。」 (相違点1) 制御手段が、本件訂正発明1では、「前記動作モードに関連付けられた動作内容を前記動作モード情報を参照して特定し、前記特定された」動作内容に基づいて制御するのに対し、引用発明では、この点につき特定できない点。 (相違点2) 制御手段が、本件訂正発明1では、「前記動作モードに関連付けられた走査パターンを前記動作モード情報を参照して特定し」、「当該特定された」走査パターンで前記信号光の照射位置を走査させるのに対し、引用発明では、この点につき特定できない点。 (相違点3) 動作モードが、本件訂正発明1では、「操作手段を用いて追加又は削除が可能であ」るのに対し、引用発明では、この点につき特定できない点。 (相違点4) 動作モードに対して関連付けられる選択された少なくとも1つの走査パターンが、本件訂正発明1では、「操作手段を用いて」選択されたものであるのに対し、引用発明では、この点につき特定できない点。 b 相違点についての判断 事案に鑑み、相違点3及び4について併せて検討する。 引用文献1~3及び特許異議申立人が証拠として提出した甲第2~4号証のいずれにも、「記憶手段」に「予め記憶」されている「少なくとも前記光学系の動作内容が動作モードに対して関連付けられた動作モード情報」を「操作手段を用いて」編集可能にすること、具体的には、本件訂正発明1の相違点3に係る構成である「前記動作モード」を、「操作手段を用いて追加又は削除」可能にすることや、本件訂正発明1の相違点4に係る構成である動作モードに対して関連付けられる走査パターンを「操作手段を用いて」選択することについて記載も示唆もされていない。 よって、引用発明において、相違点3又は4に係る本件訂正発明1の構成にすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。 c 小括 以上のとおり、本件訂正発明1は、他の相違点を検討するまでもなく、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものとはいえず、本件請求項1に係る特許は、取り消されるべきものであるとはいえない。 (イ)本件訂正発明2及び3 本件訂正発明2は、本件訂正発明1に対応する方法の発明(カテゴリ上に差異がある程度の発明)であり、また、本件訂正発明3は、本件訂正発明1に対応するコンピュータプログラムの発明(カテゴリ上に差異がある程度の発明)であるから、上記(ア)と同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものとはいえず、本件請求項2及び3に係る特許は、取り消されるべきものであるとはいえない。 イ 特許法第36条第6項第2号について 本件訂正により、請求項1の上記記載が、「少なくとも前記光学系の動作内容が動作モードに対して関連付けられた動作モード情報を予め記憶する記憶手段と、・・・前記動作モードは、操作手段を用いて追加又は削除が可能であり」と訂正されたことで、本件訂正発明1は明確となった。また、本件訂正発明2及び3も同様である。 よって、本件請求項1~3の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないとはいえないことから、本件請求項1~3に係る特許は、取り消されるべきものであるとはいえない。 (2)特許異議申立人の意見について 特許異議申立人は、平成29年7月21日付け意見書(第21頁第18行~第22頁第3行)において、「このように、甲第4号証の「スキャンプロトコル」又は「スキャンリスト」と訂正発明1の「動作モード」とは、何れもスキャンパターン(走査パターン)や装置の動作と関連付けられている点で共通しており、さらに、何れも検査対象を特定するものである(例えば、本件特許の緑内障検査モードと、甲第4号証の緑内障プロトコルとが、何れも検査対象が緑内障に関するものである)。従って、甲第4号証の「スキャンプロトコル」又は「スキャンリスト」は訂正発明1の「動作モード」に相当するものと認められる。 また、甲第4号証の「スキャンプロトコル」又は「スキャンリスト」が新規に作成・編集可能であることから、「動作モード」を追加可能であることが開示されているといえる。また、第7-12頁の下図のプロトコルエディタ及び第2-2頁のキーボード及びマウスが訂正発明1の操作手段に相当しており、操作手段を用いて追加可能であることも開示されている。そして、第7-12頁の下図には「Delete」ボタンも示されていることから、削除も可能であると認められる。」と主張している。 上記主張について検討すると、甲第4号証には、「スキャンプロトコル」又は「スキャンリスト」におけるスキャンパターン(走査パターン)が、他の動作項目の動作内容と組み合わせて一連の動作を実行している旨の記載は見当たらない。したがって、甲第4号証の「スキャンプロトコル」又は「スキャンリスト」は、動作項目であって、本件訂正発明1の「動作モード」に相当するものとはいえない。 そうすると、甲第4号証には、「スキャンプロトコル」又は「スキャンリスト」が操作手段を用いて新規に作成・編集(追加・削除)可能であることが開示されているとしても、本件訂正発明1の「動作モード」を追加可能であることが開示されているとはいえない。 よって、特許異議申立人の上記主張は採用できない。 (3)取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について ア 申立理由1(新規性違反) 上記(1)アにおいて検討したとおり、引用発明(甲第1号証に記載された発明)と本件訂正発明1との間に相違点がある以上、本件訂正発明1は、引用文献1(甲第1号証)に記載された発明であるとはいえない。 また、本件訂正発明2及び3は、本件訂正発明1と同様の理由で、引用文献1(甲第1号証)に記載された発明であるとはいえない。 イ 申立理由2(新規性・進歩性違反) 上記(2)において検討したとおり、甲第4号証には、「スキャンプロトコル」又は「スキャンリスト」におけるスキャンパターン(走査パターン)が、他の動作項目の動作内容と組み合わせて一連の動作を実行している旨の記載は見当たらないことから、甲第4号証に記載された発明は、本件訂正発明1の「動作モード」に相当するものがあるとはいえず、また、本件訂正発明1の「動作モード」を追加可能であるともいえない。 よって、本件訂正発明1~3は、甲第4号証に記載された発明であるとはいえず、甲第4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 ウ 申立理由3(サポート要件・明確性要件違反) (ア)サポート要件違反 本件訂正発明1では、「少なくとも前記光学系の動作内容が動作モードに対して関連付けられた動作モード情報を予め記憶する記憶手段と、前記動作モードに関連付けられた動作内容を前記動作モード情報を参照して特定し、前記特定された動作内容に基づいて少なくとも前記光学系を制御する制御手段と、を備え」ることが特定されているので、本件特許明細書の発明の詳細な発明に記載されている「被検眼の診断に用いられる情報を容易にかつ過不足なく取得する」(段落【0017】)という課題を解決するための手段が反映されていないとはいえない。本件訂正発明2及び3も同様である。 したがって、本件請求項1~3の記載は特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないとはいえない。 (イ)明確性要件違反 本件特許明細書の段落【0060】の記載から、本件訂正発明1の「動作モード」は、「光学系の動作内容(走査パターン)」と、その以外の各種の動作項目(解析処理など)と組み合わせて一連の動作として実行するものと理解できるから、本件訂正発明1が不明確であるとはいえない。本件訂正発明2及び3も同様である。 したがって、本件請求項1~3の記載は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないとはいえない。 第4 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1~3に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1~3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 そして、請求項4~6に係る発明は、本件訂正により削除されたので、本件特許の請求項4~6に対してなされた特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しない。 よって、結論のとおり決定する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2016-700574

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決21件(向山 正一、株式会社トプコン)
  • 2020-700105異議申立 / 2020-08-21 / 請求成立(取消)端末装置及び眼科システム
    同じ当事者: 向山 正一、株式会社トプコン
  • 2018-700050異議申立 / 2018-07-25 / 訂正認容光画像計測装置
    同じ当事者: 向山 正一、株式会社トプコン
  • 2021-700597異議申立 / 2022-03-30 / 訂正認容眼科装置及びその作動方法
    同じ当事者: 株式会社トプコン
  • 2024-012388拒絶査定不服審判 / 2026-02-25 / 原査定取消(特許/登録すべき)距離測定装置
    同じ当事者: 株式会社トプコン
  • 2024-002655拒絶査定不服審判 / 2025-08-25 / 原査定取消(特許/登録すべき)三脚及び測量装置
    同じ当事者: 株式会社トプコン
同じ論点・分野の審決(審決分類)2,216件(113・A61B、121・A61B、537・A61B)
  • 2025-700788異議申立 / 2026-04-27 / 訂正認容内視鏡用処置具
    共通の審決分類: 113・A61B、121・A61B、537・A61B
  • 2025-700198異議申立 / 2026-02-25 / 訂正認容放射線撮影システム、放射線撮影方法及びプログラム
    共通の審決分類: 113・A61B、121・A61B、537・A61B
  • 2024-701093異議申立 / 2025-08-19 / 訂正認容支持枠およびCT検出装置
    共通の審決分類: 113・A61B、121・A61B、537・A61B
  • 2024-700462異議申立 / 2024-10-01 / 維持電気生理学的マッピングカテーテル用の単極基準電極
    共通の審決分類: 113・A61B、121・A61B、537・A61B
  • 2023-700355異議申立 / 2024-05-29 / 訂正認容脈波測定装置および脈波測定プログラム
    共通の審決分類: 113・A61B、121・A61B、537・A61B

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存