特許異議申立
2016-700460
積層ポリエステルフィルム
- 審判番号
- 2016-700460
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2014-067545外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年05月20日
- 審決日
- 2017年01月20日
- 公報発行日
- 2017年04月28日
- 結論
- 訂正認容
- 分類
- P1651.536-YAA(B32B) / P1651.537-YAA(B32B) / P1651.121-YAA(B32B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項第3号、特許法第29条第2項、特許法第36条第4項第1号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第5819465号発明「積層ポリエステルフィルム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第5819465号の明細書を訂正請求書に添付された訂正明細書のとおり、訂正後の請求項〔1、2〕について訂正することを認める。
特許第5819465号の請求項1及び2に係る特許を維持する。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許第5819465号の請求項1及び2に係る特許についての出願は、平成22年7月23日を出願日とする特願2010-165722号の一部を、平成26年3月28日に新たな特許出願とした出願であって、平成27年10月9日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許について、特許異議申立人馬場智理(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、平成28年8月29日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成28年9月26日に意見書の提出及び訂正の請求(以下、「本件訂正請求」といい、本件訂正請求に係る訂正を、「本件訂正」という。)があり、本件訂正請求に対して申立人から平成28年11月22日に意見書が提出されたものである。
第2 訂正の適否についての判断
1.訂正の内容
本件訂正の内容は、以下のとおりである。
本件特許明細書の段落【0114】の【表2】中に「VI」とあるのを、以下のとおり「VIA」と訂正する。
[訂正前]
[訂正後]
2.訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項についての本件特許明細書の記載
本件訂正に係る事項について、本件特許明細書には以下の記載がある。
(なお、下線は理解の便のため、当審で付した。)
「【0076】
さらに第2塗布層中には本発明の主旨を損なわない範囲において、架橋剤を併用することも可能である。架橋剤を使用することにより、塗布層が強固になるために、耐湿熱性や耐擦傷性がより向上する場合がある。架橋剤としては、例えば、メラミン系化合物、エポキシ系化合物、オキサゾリン系化合物、イソシアネート系化合物、カルボジイミド系化合物等が挙げられる。これらの架橋剤は、単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよい。さらにインラインコーティングへの適用等を配慮した場合、水溶性または水分散性を有することが好ましい。」
「【0106】
・メラミン化合物:(VIA)ヘキサメトキシメチルメラミン
・エポキシ化合物:(VIB)ポリグリセロールポリグリシジルエーテルである、デナコールEX-521(ナガセケムテックス製)。・・・」
「【0107】
実施例1:
ポリエステル(A)、(B)をそれぞれ90%、10%の割合で混合した混合原料を最外層(表層)の原料とし、ポリエステル(A)、(C)をそれぞれ85%、15%の割合で混合した混合原料を中間層の原料として、2台の押出機に各々を供給し、各々285℃で溶融した後、40℃に設定した冷却ロール上に、2種3層(表層/中間層/表層)の層構成で共押出し冷却固化させて未延伸シートを得た。次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃で縦方向に3.4倍延伸した後、この縦延伸フィルムの片面に、下記表1に示す塗布液A1を塗布し(第1塗布層の形成)、反対面に下記表2に示す塗布液B1を塗布し(第2塗布層の形成)、テンターに導き、横方向に120℃で4.3倍延伸し、225℃で熱処理を行った後、横方向に2%弛緩し、膜厚(乾燥後)が0.05μmの第1塗布層、0.10μmの第2塗布層を有する厚さ38μm(表層4μm、中間層30μm)のポリエステルフィルムを得た。・・・」
(2)本件訂正について
上記(1)に摘記した本件特許明細書の記載から、本件訂正前の段落【0114】の【表2】のVIは、第2塗布層中に混合させる架橋剤についての記載であることが明らかであり、当該架橋剤は、上記段落【0106】の摘記から、「メラミン化合物:(VIA)ヘキサメトキシメチルメラミン」であるか、あるいは「エポキシ化合物:(VIB)ポリグリセロールポリグリシジルエーテルである、デナコールEX-521(ナガセケムテックス製)」のいずれかであることが当業者には理解できる。したがって、「VI」が、「VIA」あるいは「VIB」であるものは、本件特許明細書に記載されたに等しい事項である。
そうすると、本件訂正は、「VIA」か「VIB」のいずれかである、上記【表2】のVIを、「VIA」であることを明確にするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、本件訂正は、上記のとおり、本件特許の明細書に記載されているに等しい事項である「VIA」に訂正するものであるから、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
さらに、本件訂正は、本件特許の請求項1と、請求項1を引用する請求項2を対象とするものであるから、一群の請求項ごとに請求するものである。
3.小括
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項において準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔1、2〕について訂正を認める。
第3 特許異議の申立てについて
1.本件発明1及び2
本件特許の請求項1及び2に係る発明(以下、「本件発明1」等という。)は、本件特許の特許請求の範囲の請求項1及び2にそれぞれ記載された、以下の事項により特定されるとおりのものと認める。
「【請求項1】
ポリビニルアルコールおよびイソシアネート系化合物を含有する第1塗布層をポリエステルフィルムの一方の面に有し、当該第1塗布層上に、ポリビニルアルコールからなる接着剤層を有し、ポリエステルフィルムのもう一方の面に第2塗布層を有する積層ポリエステルフィルムであって、上記第1塗布層、上記ポリエステルフィルム、上記第2塗布層から構成されたフィルムの、上記第2塗布層表面を明細書に記載の測定法により測定した絶対反射率が波長300~800nmの範囲に1つの極小値を有し、当該極小値が3.5%以下であることを特徴とする積層ポリエステルフィルム。
【請求項2】
ポリエステルフィルム中に紫外線吸収剤を含有することを特徴とする請求項1記載の積層ポリエステルフィルム。」
2.取消理由の概要
平成28年8月29日付けで通知した取消理由の要旨は、以下のとおりである。
なお、当該取消理由の通知により、本件特許異議申立ての全ての理由が通知された。
(以下、甲第○号証を、単に「甲○」という。また、甲第○号証に記載された発明及び事項を、それぞれ「甲○発明」及び「甲○事項」という。)
(1)【理由1】特許法第29条第2項
ア.本件発明1は、甲1発明、甲2事項、及び、甲4ないし7に例示される従来周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
イ.本件発明2は、甲1発明、甲2事項、及び、甲3ないし7に例示される従来周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
<刊 行 物 等 一 覧>
甲1:特開平9-281333号公報
甲2:特開2000-329941号公報
甲3:特開平11-301104号公報
甲4:特開2010-84067号公報
甲5:特開2010-89311号公報
甲6:特開2010-89310号公報
甲7:特開2010-66301号公報
(2)【理由2】特許法第36条第4項第1号及び同条第6項第1号
本件特許明細書段落【0114】の【表2】に記載された「VI」は、同段落【0106】記載の「メラミン化合物(VIA)」及び「エポキシ化合物(VIB)」のいずれかであるか不明である。したがって、【表2】に記載された塗布液「B1」と「C1」の組成を特定することができず、ひいては、塗布液「B1」と「C1」を用いる実施例1~9、13~20及び比較例1~10の「第2塗布層」の組成が特定されないものとなっている。
また、上記実施例1~9、13~20及び比較例1~10の「第2塗布層」の組成が特定されないのであるから、残りの実施例10~12により特定される「膜厚」は「0.10(μm)」のみである。一方、本件発明1の記載は、「膜厚」が特定されていないから、本件発明1は、本件特許の課題を解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えるものである。
3.甲号証の記載
(1)甲1
甲1の、段落【請求項3】、【請求項4】、【0012】、【0048】、【0049】、【0054】、【0057】、【0058】、【0061】、【0062】、【0068】、【0100】、及び、【0102】の記載から、甲1には、以下の甲1発明が記載されている。
「ポリビニルアルコールを代表例とする親水性高分子化合物、親水性ポリエステル誘導体、及び、イソシアネート化合物を含有する層を、単量体として少なくともスチレン類若しくはビニルエステル類と無水マレイン酸類とアクリル酸エステル類若しくはメタクリル酸エステル類を含む共重合体又は/及び当該共重合体の加水分解物を含む層の上に有し、当該共重合体又は/及び当該共重合体の加水分解物を含む層を、ポリエステル系樹脂からなる透明樹脂フィルムの偏光膜が存在する側の面に有し、当該ポリビニルアルコールを代表例とする親水性高分子化合物、親水性ポリエステル誘導体、及び、イソシアネート化合物を含有する層上に、ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール系接着剤の層を有し、当該ポリエステル系樹脂からなる透明樹脂フィルムのもう一方の面にカール防止加工のための塗布された層を有する積層体。」
(2)甲2
甲2の、段落【請求項1】、【0028】~【0031】、【0035】の記載から、甲2には、以下の甲2事項が記載されている。
「偏光板が偏光フィルムと保護板からなり、表面における反射率が波長430~500nmの範囲において1%以下、好ましくは0.5%以下であり、保護板はポリエステルフィルム上に反射防止処理がコーティング法で施されること。」
4.判断
(1)【理由2】について
事案に鑑み、まず【理由2】について検討する。
上記第2.に示したように、本件訂正によって、本件特許明細書段落【0114】の【表2】に記載された「VI」は、「VIA」と訂正され、メラミン化合物であることが明らかとなった。したがって、上記【理由2】は、当該本件訂正前の本件特許明細書の記載を根拠とするものであるから、【理由2】については、取消理由は解消した。
申立人は、平成28年11月22日付け意見書において、
「明細書の【0106】には、『メラミン化合物(VIA)』の記載と共に『エポキシ化合物(VIB)』の記載もあり、明細書の【0114】に示される【表2】に『VI』とあるのが、『VIA』であると決めつける根拠は何もない。従って、明細書の【0114】に示される【表2】に『VI』とあるのを、『VIA』と訂正することは、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲を超えて訂正されることとなり、120条の5第9項において準用する126条第5項違反の訂正拒絶理由に該当する」(4ページ1ないし11行)
と主張している。
しかし、上記第2.で示したように、本件特許明細書の記載から、上記【表2】の「VI」が、「VIA」あるいは「VIB」のいずれかであることが当業者には理解できるから、「VI」を、「VIA」としたものも、「VIB」としたものも、本件特許明細書にはいずれも記載されているに等しい事項であるといえる。
そうすると、「VI」を「VIA」と訂正することは、本件特許明細書に記載した事項の範囲内の訂正であるから、上記申立人の主張は失当である。
(2)【理由1】について
ア.本件発明1と甲1発明との対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
甲1発明の「ポリビニルアルコールを代表例とする親水性高分子化合物、親水性ポリエステル誘導体、及び、イソシアネート化合物を含有する層」は、本件発明1の「ポリビニルアルコールおよびイソシアネート系化合物を含有する第1塗布層」に相当する。
甲1発明の「ポリエステル系樹脂からなる透明樹脂フィルム」は、本件発明の「ポリエステルフィルム」に相当する。
甲1発明の「ポリエステル系樹脂からなる透明樹脂フィルムの偏光膜が存在する側の面」及び「もう一方の面」は、本件発明の「一方の面」及び「もう一方の面」に相当する。
甲1発明の「ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール系接着剤の層」は、本件発明の「ポリビニルアルコールからなる接着剤層」に相当する。
甲1発明の「カール防止加工のための塗布された層」は、本件発明の「第2塗布層」に相当する。
そうすると、本件発明1と甲1発明とは、少なくとも以下の点で相違する。
<相違点1>
本件発明1の「ポリビニルアルコールおよびイソシアネート系化合物を含有する第1塗布層」は、「ポリエステルフィルムの一方の面」に有するものであるのに対し、甲1発明の「ポリビニルアルコールを代表例とする親水性高分子化合物、親水性ポリエステル誘導体、及び、イソシアネート化合物を含有する層」は、「ポリエステル系樹脂からなる透明樹脂フィルム」の「偏光膜が存在する側の面」に有する「単量体として少なくともスチレン類若しくはビニルエステル類と無水マレイン酸類とアクリル酸エステル類若しくはメタクリル酸エステル類を含む共重合体又は/及び当該鏡重合体の加水分解物を含む層」の上に有するものである点。
<相違点2>
本件発明1の「第2塗布層」の表面は、「明細書に記載の測定法により測定した絶対反射率が波長300~800nmの範囲に1つの極小値を有し、当該極小値が3.5%以下である」であるのに対し、甲1発明の「カール防止加工のための塗布された層」が、そのようなものであるかが不明である点。
イ.相違点についての検討
相違点1について検討する。
甲1には、以下の記載がある。
「【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来のようなアルカリ液ケン化処理した保護フィルムを作成するには高濃度アルカリ液を使用するため、作業安全上充分に留意しなければならず、そのため生産効率は満足できるものではなかった。また、アルカリ液ケン化処理による接着性向上技術は特定の透明樹脂フィルムには有効であるが、すべての透明樹脂フィルムにも適用できるというわけではなく、種々の透明樹脂フィルム、例えばポリカーボネート系樹脂を偏光板用保護フィルムとして用いたい場合には、新たな易接着手段が必要になってくる。また、高耐久性の偏光板を作成するには偏光板用保護フィルムと偏光膜との接着の良さが重要であり、優れた接着性を付与する手段が必要であった。
【0005】すなわち、本発明の第1の目的は、偏光膜と接着し易い偏光板用保護フィルムを提供することにある。」
「【0046】本発明の偏光板用保護フィルムに用いる、単量体としてスチレン類若しくはビニルエステル類と無水マレイン酸類とアクリル酸エステル類若しくはメタクリル酸エステル類を含む共重合物又は/及び当該共重合物の加水分解物は1種類であっても2種類以上併用してもよく、その使用量は、10~3000mg/m2であることが好ましく、更には20~1000mg/m2であることが特に好ましい。
【0047】本発明においては、単量体として少なくともスチレン類若しくはビニルエステル類と無水マレイン酸類とアクリル酸エステル類若しくはメタクリル酸エステル類を含む共重合体を含む層の上に更に、少なくとも1種の親水性高分子化合物を含む層を設けると、よりいっそう接着力が強化され本発明の効果を奏するので好ましい。」
そうすると、甲1発明は、「単量体として少なくともスチレン類若しくはビニルエステル類と無水マレイン酸類とアクリル酸エステル類若しくはメタクリル酸エステル類を含む共重合体又は/及び当該鏡重合体の加水分解物を含む層」の上に、「ポリビニルアルコールを代表例とする親水性高分子化合物、親水性ポリエステル誘導体、及び、イソシアネート化合物を含有する層」を設けることにより、「よりいっそう接着力が強化され」るとの効果を発揮せしめ、「偏光膜と接着しやすい変更用保護フィルムを提供する」との甲1発明の課題を解決するものである。
したがって、甲1発明において、「単量体として少なくともスチレン類若しくはビニルエステル類と無水マレイン酸類とアクリル酸エステル類若しくはメタクリル酸エステル類を含む共重合体又は/及び当該鏡重合体の加水分解物を含む層」を介在させずに、「ポリビニルアルコールを代表例とする親水性高分子化合物、親水性ポリエステル誘導体、及び、イソシアネート化合物を含有する層」を、「ポリエステル系樹脂からなる透明樹脂フィルムの偏光膜が存在する側の面」に有するようにすることは、上記甲1発明が解決しようとする課題の解決を妨げるものであるから、甲1発明には、上記相違点1に係る本件発明1の構成を備えることを阻害する事由があるといえる。
一方、本件発明1は、「ポリビニルアルコールおよびイソシアネート系化合物を含有する第1塗布層」を、「ポリエステルフィルムの一方の面」に有し、当該第1塗布層上に、「ポリビニルアルコールからなる接着剤層」を有するようにしたから、「ポリエステルフィルム」を、「例えば偏光板の保護フィルム、特に後面側偏光板の後面側の保護フィルムとして使用する場合、偏光膜を接着させるための接着剤との接着力が良好・・・」(本件特許明細書、段落【0010】)との格別な作用効果を奏するものである。
以上のとおりであるから、上記相違点2について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明、甲2事項、及び従来周知の事項から、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
ウ.本件発明2について
本件発明2は、本件発明1の特定事項の全てを含み、さらに、ポリエステルフィルム中に紫外線吸収剤を含有するとの構成を付加し、限定するものである。
上記イ.に示したように、本件発明1は、甲1発明、甲2事項、及び従来周知の事項から、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件発明1を上記のとおり更に限定した発明である本件発明2も、甲1発明、甲2事項、及び従来周知の事項から、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
エ.申立人の主張について
申立人は、平成28年11月22日付け意見書において、
「ア. 特許権者は、異議意見書において、『甲第1号証記載の発明には、本件特許発明1の第1塗布層に相当する『親水性高分子化合物を含有する層』以外に『特定の共重合体又は/及び当該共重合体の加水分解物を含む層』も記載されており、甲第1号証には、本件特許発明1の第1塗布層に記載されている『ポリビニルアルコール』と『イソシアネート』化合物以外の親水性高分子化合物以外の記載もあるから、本件特許請求項1に当業者が想到できない旨、主張するが失当である。
本件特許発明1の第1塗布層を規定する構成要件のすべてが甲第1号証に記載されており、甲第1号証に記載されている偏光板用保護フィルムが、ポリビニルアルコールの接着剤を用いて、偏光膜であるPVAフィルムと接着され、かかる接着性に優れる課題や効果も記載されており、当業者であれば、特に困難性なく、甲第1号証の記載に基づいて、本件特許発明1の第1塗布層に想到できる。」(5ページ14ないし24行)
しかし、上記イ.に示したように、甲1発明において、「単量体として少なくともスチレン類若しくはビニルエステル類と無水マレイン酸類とアクリル酸エステル類若しくはメタクリル酸エステル類を含む共重合体又は/及び当該鏡重合体の加水分解物を含む層」を設けないことの阻害事由が、甲1には存在するから、上記申立人の主張は失当である。
第4 むすび
以上のとおりであるから、上記取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立て理由によっては、本件請求項1及び2に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1及び2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2016-700460