特許異議申立
2016-700096
光学部材用粘着剤組成物並びにそれを使用した粘着シート、粘着剤層付き光学部材及びフラットパネルディスプレイ
- 審判番号
- 2016-700096
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2013-551623外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年02月05日
- 審決日
- 2017年03月16日
- 公報発行日
- 2017年06月30日
- 結論
- 訂正認容
- 分類
- P1652.113-YAA(C09J) / P1652.121-YAA(C09J)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第2項第1号、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第5785624号発明「光学部材用粘着剤組成物並びにそれを使用した粘着シート、粘着剤層付き光学部材及びフラットパネルディスプレイ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第5785624号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-12〕について訂正することを認める。
特許第5785624号の請求項4ないし12に係る発明についての特許を維持する。
特許第5785624号の請求項1及び2に係る発明についての特許に対する両者特許異議申立人からの特許異議の申立てをいずれも却下する。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯・本件異議申立の趣旨
1.本件特許の設定登録までの経緯
本件特許第5785624号(以下、単に「本件特許」という。)に係る出願(特願2013-551623号、以下「本願」という。)は、平成24年12月18日(優先権主張:平成23年12月28日、特願2011-288778号)の国際出願日に出願人綜研化学株式会社によりされたものとみなされる特許出願であり、平成27年7月31日に特許権の設定登録がされたものである。
2.本件異議申立の趣旨
(1)異議申立1
本件特許につき平成28年2月5日付けで特許異議申立人山田宏基(以下「申立人1」という。)により「特許第5785624号の特許請求の範囲の請求項1、2及び4ないし12に記載された発明についての特許は取り消されるべきものである。」という趣旨の本件異議申立1がされた。
(2)異議申立2
本件特許につき平成28年3月25日付けで特許異議申立人齊藤整(以下「申立人2」という。)により「特許第5785624号の特許請求の範囲の請求項1、2及び4ないし12に記載された発明についての特許は取り消されるべきものである。」という趣旨の本件異議申立2がされた。
3.以降の経緯
上記2件の異議申立につき併合審理したが、以降の経緯は以下のとおりである。
平成28年 8月 1日付け 取消理由通知
平成28年10月 3日 意見書(特許権者)・訂正請求書
平成28年10月31日付け 取消理由通知
平成28年12月13日 意見書(特許権者)・訂正請求書
平成29年 1月 4日付け 通知書(両申立人あて)
(なお、上記通知書を両申立人に送付することにより、各人の希望に応じて、期間を指定し意見書を提出する機会を与えたが、両申立人から意見書の提出はなかった。
また、上記平成28年10月3日付けの訂正請求は、後に平成28年12月13日付けの訂正請求がされたことによって、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなされた。)
第2 各申立人が主張する取消理由
1.申立人1が主張する理由
申立人1は、その本件特許異議申立書において、下記甲第1号証を提示し、概略、以下の取消理由1及び2が存するとしている。
・取消理由1:本件の請求項1、2及び4ないし12に係る発明は、いずれも、甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができるものではないものであって、それらの発明についての特許は、同法第29条に違反してされたものであるから、同法第113条第2号の規定に該当し、取り消されるべきものである。
・取消理由2:本件の請求項1、2及び4ないし12に係る発明は、いずれも、甲第1号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであって、それらの発明についての特許は、同法第29条に違反してされたものであるから、同法第113条第2号の規定に該当し、取り消されるべきものである。
・申立人1提示の甲号証
甲第1号証:特開2011-100095号公報
2.申立人2が主張する理由
申立人2は、その本件特許異議申立書において、下記甲第1号証及び甲第2号証を提示し、概略、以下の取消理由1及び2が存するとしている。
・取消理由1:本件の請求項1、2及び4ないし12に係る発明は、いずれも、甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができるものではないものであって、それらの発明についての特許は、同法第29条に違反してされたものであるから、同法第113条第2号の規定に該当し、取り消されるべきものである。
・取消理由2:本件の請求項1、2及び4ないし12に係る発明は、いずれも、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであって、それらの発明についての特許は、同法第29条に違反してされたものであるから、同法第113条第2号の規定に該当し、取り消されるべきものである。
・申立人2提示の甲号証
甲第1号証:特開2011-100095号公報
甲第2号証:「粘着ハンドブック(第3版)」、2006年7月1日(第2刷)、日本粘着テープ工業会発行、第658~660頁
3.本件異議申立に係る審理対象
上記本件異議申立1及び2において主張された取消理由につき併合・整理すると、本件異議申立の審理にあたり、審理すべき異議申立がされている特許は、請求項1、2及び4ないし12に係る発明についての特許であり、請求項3に係る発明についての特許については、異議申立がされていない。
第3 平成28年12月13日付け訂正請求の適否
1.訂正請求の内容
上記平成28年12月13日付け訂正請求では、本件特許の明細書及び特許請求の範囲を、請求書に添付した訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~12について一群の請求項ごとに訂正することを求めるものであり、以下の(ア)ないし(チ)の各訂正事項を含むものである。(下線を付した部分が訂正部である。)
(ア)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1の記載を削除する。
(イ)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2の記載を削除する。
(ウ)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3を、
「(A):下記(a-1)~(a-4)を下記の割合で共重合して得られる(メタ)アクリル系コポリマーと;
(a-1)ホモポリマーのガラス転移温度が-40℃以下で、芳香環を有さない(メタ)アクリル酸エステル40~77.1重量%
(a-2)t-ブチル(メタ)アクリレート10~40重量%
(a-3)芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステル0.1~25重量%
(a-4)2種類以上の極性官能基を有する(メタ)アクリル系モノマー及び/又は2種以上の異なる、1種類の極性官能基を有する(メタ)アクリル系モノマー0.1~6重量%
(ただし、(a-2)及び(a-3)の合計は5~59.9重量%であり、
前記極性官能基はカルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基およびエポキシ基から選ばれ、
(a-1)~(a-4)の合計は100重量%である)
(B):前記(メタ)アクリル系コポリマー(A)100重量部に対して0.01~3重量部の架橋剤と
を含むことを特徴とする光学部材用粘着剤組成物。」
と訂正する。
(エ)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4を、
「 前記(メタ)アクリル酸エステル(a-1)が、n-ブチルアクリレート、n-ペンチルアクリレート、イソペンチルアクリレート、へキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、イソアミルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、n-オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、n-ノニルアクリレート、イソノニルアクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n-ドデシルメタクリレート、n-トリデシル(メタ)アクリレート、メトキシエチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート及びエトキシエトキシエチルアクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項3に記載の光学部材用粘着剤組成物。」
と訂正する。
(オ)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項5を、
「 前記(メタ)アクリル酸エステル(a-3)が、ベンジル(メタ)アクリレート、下記一般式(1)で表されるフェノキシエチル(メタ)アクリル酸エステルおよびその誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の光学部材用粘着剤組成物:
【化3】
(式(1)において、R0は水素又はメチル基であり、R1は(CH2CH2O)nで表される基であり(nは1~20の整数である)、mは1~5の整数であり、R2は水素、炭素数1~9のアルキル基、炭素数6~10のアリール基又は炭素数7~11のアラルキル基であり、mが2以上の場合、複数存在するR2は同一でも異なっていてもよい。)。」
と訂正する。
(カ)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項6を、
「 前記(メタ)アクリル系モノマー(a-4)の共重合割合が1~6重量%であり、前記(a-2)及び(a-3)の共重合割合の合計が5~50重量%であることを特徴とする請求項3~5のいずれかに記載の光学部材用粘着剤組成物。」
と訂正する。
(キ)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項7を、
「 前記光学部材用粘着剤組成物について以下の微少クリープ試験を行った場合において、60℃測定値/23℃測定値の比の値が1.05~2.00であることを特徴とする請求項3~6のいずれかに記載の光学部材用粘着剤組成物:
前記光学部材用粘着剤組成物を剥離処理されたポリエステルフィルム上に塗布・乾燥させて、膜厚25μmの粘着剤層を有する粘着シートを作製し;
該粘着シートをTAC(トリアセチルセルロース)-PVA(ポリビニルアルコール)-TAC構成の偏光板と、前記粘着剤層が前記偏光板と接するように貼り合わせて評価用粘着加工偏光板を作製し;
該評価用粘着加工偏光板を幅10mm×長さ100mmにカットし、前記剥離処理されたポリエステルフィルムを剥がしてアルカリ処理ガラス上に、前記粘着剤層が前記ガラスに接するように、かつ10mm×10mmの貼り合わせ面積になるように貼り合わせて評価用粘着加工偏光板試験片とし;
該評価用粘着加工偏光板試験片についてオートクレーブ処理(50℃、5atm)を行い、23℃/50%RH雰囲気下で24時間静置し;
次に前記試験片を、微少クリープ測定機のチャンバーBOX内に固定用チャック部分の長さ15mmにてセットし;
前記チャンバーBOX内を測定温度まで加熱して、測定温度にて40分間静置後に、引張荷重800g、引張時間1000秒にて、前記試験片における前記評価用粘着加工偏光板を、該偏光板と前記ガラスとの接着面に平行にかつ前記偏光板の長さ方向に引っ張り;
前記試験片における前記ガラスと偏光板との貼り合わせ部分のズレの距離(mm)を測定する。」
と訂正する。
(ク)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項8を、
「 さらにシランカップリング剤を、前記(メタ)アクリル系コポリマー(A)100重量部に対して0.01~0.5重量部含むことを特徴とする請求項3~7のいずれかに記載の光学部材用粘着剤組成物。」
と訂正する。
(ケ)訂正事項9
特許請求の範囲の請求項9を、
「 さらに帯電防止剤を、前記(メタ)アクリル系コポリマー(A)100重量部に対して0.01~3重量部含むことを特徴とする請求項3~8のいずれかに記載の光学部材用粘着剤組成物。」
(コ)訂正事項10
特許請求の範囲の請求項10を、
「 基材フィルム上に請求項3~9のいずれかに記載の光学部材用粘着剤組成物を含む粘着剤層が形成されてなる粘着シート。」
と訂正する。
(サ)訂正事項11
特許請求の範囲の請求項11を、
「 光学部材の少なくとも片面に粘着剤層が形成された粘着剤層付き光学部材であって、前記粘着剤層が請求項3~9のいずれかに記載の光学部材用粘着剤組成物を含むことを特徴とする粘着剤層付き光学部材。」
と訂正する。
(シ)訂正事項12
明細書段落【0017】の「(a-2)ホモポリマーのガラス転移温度が0℃以上で、芳香環を有さない(メタ)アクリル酸エステル0.1~50重量%」を、「(a-2)t-ブチル(メタ)アクリレート10~40重量%」に訂正する。
(ス)訂正事項13
明細書段落【0018】の記載を削除する。
(セ)訂正事項14
明細書段落【0019】の記載を削除する。
(ソ)訂正事項15
明細書段落【0020】の記載を削除する。
(タ)訂正事項16
明細書段落【0152】の「<実施例1~13、参考例1及び2並びに比較例1~8に使用したアクリル系コポリマーの製造例>」を「<実施例1~10、参考例1~5、比較例1~8に使用したアクリル系コポリマーの製造例>」に訂正する。
(チ)訂正事項17
明細書段落【0157】の表2を、下記のとおりに訂正する。
2.検討
なお、以下の検討において、この訂正請求による訂正を「本件訂正」といい、本件特許時の特許請求の範囲における請求項1ないし12を「旧請求項1」ないし「旧請求項12」、本件訂正後の特許請求の範囲における請求項1ないし12を「新請求項1」ないし「新請求項12」という。
(1)訂正の目的要件について
上記の各訂正事項による訂正の目的につき検討する。
上記訂正事項1及び2は、いずれも旧請求項1及び2を削除するものであるから、各請求項に係る特許請求の範囲を減縮するものと認められる。
上記訂正事項3は、旧請求項3において、旧請求項1を引用して記載されていたものを旧請求項1に記載されていた事項を書き下すことにより、旧請求項1を引用しない請求項、すなわち独立請求項化して新請求項3とするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定の「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものと認められる。
また、上記訂正事項4ないし11は、いずれも、旧請求項4ないし12につき、引用していた旧請求項1及び2が上記訂正事項1及び2により削除され、さらに上記訂正事項3により独立請求項化された新請求項3を直接又は間接的に引用するものとしたものであって、各請求項に係る旧請求項1又は2を引用する部分を削除することにより、特許請求の範囲が減縮されているものとであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定の「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものと認められる。
さらに、上記訂正事項12ないし17は、いずれも、上記訂正事項1ないし11による特許請求の範囲の訂正により、訂正後の特許請求の範囲の記載内容と対応関係が不整合となった明細書の記載を単に正したものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定の「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものと認められる。
してみると、上記訂正事項1及び2による訂正及び訂正事項4ないし11による訂正は、いずれも特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、上記訂正事項3による訂正は、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものであり、上記訂正事項12ないし17による訂正は、いずれも明瞭でない記載の釈明を目的とするものと認められる。
したがって、上記訂正事項1ないし17による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号又は第4号に規定のいずれかの目的要件に適合するものである。
(2)新規事項の追加及び特許請求の範囲の実質的拡張・変更について
上記(1)に示したとおり、訂正事項1及び2による訂正により新請求項1及び2はその内容が削除され、特許請求の範囲が減縮されていることが明らかであるとともに、訂正事項3ないし11による訂正により、旧請求項3が独立請求項化されて新請求項3とされ、旧請求項4ないし12は、当該新請求項3を直接又は間接的に引用する新請求項4ないし12とされているから、新請求項3については、請求項に係る特許請求の範囲に変動がないことが明らかであって、新請求項4ないし12については、各請求項に係る旧請求項1又は2を引用する部分を削除することにより、特許請求の範囲が減縮されているものと認められる。
してみると、上記訂正事項1ないし11による訂正は、いずれも新たな技術的事項を導入しないものであり、また、特許請求の範囲を実質的に拡張又は変更するものではないことが明らかである。
また、上記訂正事項12ないし17による訂正は、いずれも、訂正後の特許請求の範囲の記載内容と対応関係が不整合となった明細書の記載を単に正したものであるから、いずれも新たな技術的事項を導入しないものであって、さらに、特許請求の範囲を実質的に拡張又は変更するものではないことが明らかである。
したがって、上記訂正事項1ないし17による訂正は、いずれも特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定を満たすものである。
(3)独立特許要件
上記第1の2.に示したとおり、本件特許に対する異議申立1及び2は、いずれも旧請求項1、2及び4ないし12につきされたものであるから、本件訂正により訂正された新請求項のうち、異議申立がされていない新請求項は、新請求項3である。
しかるに、上記(1)で説示したとおり、新請求項3に係る訂正事項3による訂正は、「特許請求の範囲の減縮」又は「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものではないから、新請求項3に係る発明につき、特許出願の際、独立して特許を受けることができるものであること(いわゆる独立特許要件(特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項))に係る検討を要するものではない。
(4)一群の請求項
本件訂正においては、訂正前の旧請求項1及びいずれも旧請求項1を直接又は間接的に引用する旧請求項2ないし12からなる一群の請求項につき、訂正後の新請求項3及びいずれも新請求項3を直接又は間接的に引用する新請求項4ないし12からなる一群の請求項に訂正しているから、本件訂正は、一群の請求項ごとに訂正されているものである。
(5)訂正に係る検討のまとめ
以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項及び同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1-12〕について訂正を認める。
第4 本件特許に係る発明
上記第3で説示したとおり、上記本件訂正は適法であるから、本件特許の請求項1ないし12に係る発明は、訂正された請求項1ないし12にそれぞれ記載された事項で特定される、以下のとおりのものである。
「【請求項1】
(削除)
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
(A):下記(a-1)~(a-4)を下記の割合で共重合して得られる(メタ)アクリル系コポリマーと;
(a-1)ホモポリマーのガラス転移温度が-40℃以下で、芳香環を有さない(メタ)アクリル酸エステル40~77.1重量%
(a-2)t-ブチル(メタ)アクリレート10~40重量%
(a-3)芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステル0.1~25重量%
(a-4)2種類以上の極性官能基を有する(メタ)アクリル系モノマー及び/又は2種以上の異なる、1種類の極性官能基を有する(メタ)アクリル系モノマー0.1~6重量%
(ただし、(a-2)及び(a-3)の合計は5~59.9重量%であり、
前記極性官能基はカルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基およびエポキシ基から選ばれ、
(a-1)~(a-4)の合計は100重量%である)
(B):前記(メタ)アクリル系コポリマー(A)100重量部に対して0.01~3重量部の架橋剤と
を含むことを特徴とする光学部材用粘着剤組成物。
【請求項4】
前記(メタ)アクリル酸エステル(a-1)が、n-ブチルアクリレート、n-ペンチルアクリレート、イソペンチルアクリレート、へキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、イソアミルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、n-オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、n-ノニルアクリレート、イソノニルアクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n-ドデシルメタクリレート、n-トリデシル(メタ)アクリレート、メトキシエチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート及びエトキシエトキシエチルアクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項3に記載の光学部材用粘着剤組成物。
【請求項5】
前記(メタ)アクリル酸エステル(a-3)が、ベンジル(メタ)アクリレート、下記一般式(1)で表されるフェノキシエチル(メタ)アクリル酸エステルおよびその誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の光学部材用粘着剤組成物:
【化3】
(式(1)において、R0は水素又はメチル基であり、R1は(CH2CH2O)nで表される基であり(nは1~20の整数である)、mは1~5の整数であり、R2は水素、炭素数1~9のアルキル基、炭素数6~10のアリール基又は炭素数7~11のアラルキル基であり、mが2以上の場合、複数存在するR2は同一でも異なっていてもよい。)。
【請求項6】
前記(メタ)アクリル系モノマー(a-4)の共重合割合が1~6重量%であり、前記(a-2)及び(a-3)の共重合割合の合計が5~50重量%であることを特徴とする請求項3~5のいずれかに記載の光学部材用粘着剤組成物。
【請求項7】
前記光学部材用粘着剤組成物について以下の微少クリープ試験を行った場合において、60℃測定値/23℃測定値の比の値が1.05~2.00であることを特徴とする請求項3~6のいずれかに記載の光学部材用粘着剤組成物:
前記光学部材用粘着剤組成物を剥離処理されたポリエステルフィルム上に塗布・乾燥させて、膜厚25μmの粘着剤層を有する粘着シートを作製し;
該粘着シートをTAC(トリアセチルセルロース)-PVA(ポリビニルアルコール)-TAC構成の偏光板と、前記粘着剤層が前記偏光板と接するように貼り合わせて評価用粘着加工偏光板を作製し;
該評価用粘着加工偏光板を幅10mm×長さ100mmにカットし、前記剥離処理されたポリエステルフィルムを剥がしてアルカリ処理ガラス上に、前記粘着剤層が前記ガラスに接するように、かつ10mm×10mmの貼り合わせ面積になるように貼り合わせて評価用粘着加工偏光板試験片とし;
該評価用粘着加工偏光板試験片についてオートクレーブ処理(50℃、5atm)を行い、23℃/50%RH雰囲気下で24時間静置し;
次に前記試験片を、微少クリープ測定機のチャンバーBOX内に固定用チャック部分の長さ15mmにてセットし;
前記チャンバーBOX内を測定温度まで加熱して、測定温度にて40分間静置後に、引張荷重800g、引張時間1000秒にて、前記試験片における前記評価用粘着加工偏光板を、該偏光板と前記ガラスとの接着面に平行にかつ前記偏光板の長さ方向に引っ張り;
前記試験片における前記ガラスと偏光板との貼り合わせ部分のズレの距離(mm)を測定する。
【請求項8】
さらにシランカップリング剤を、前記(メタ)アクリル系コポリマー(A)100重量部に対して0.01~0.5重量部含むことを特徴とする請求項3~7のいずれかに記載の光学部材用粘着剤組成物。
【請求項9】
さらに帯電防止剤を、前記(メタ)アクリル系コポリマー(A)100重量部に対して0.01~3重量部含むことを特徴とする請求項3~8のいずれかに記載の光学部材用粘着剤組成物。
【請求項10】
基材フィルム上に請求項3~9のいずれかに記載の光学部材用粘着剤組成物を含む粘着剤層が形成されてなる粘着シート。
【請求項11】
光学部材の少なくとも片面に粘着剤層が形成された粘着剤層付き光学部材であって、前記粘着剤層が請求項3~9のいずれかに記載の光学部材用粘着剤組成物を含むことを特徴とする粘着剤層付き光学部材。
【請求項12】
請求項11に記載の粘着剤層付き光学部材を有することを特徴とするフラットパネルディスプレイ。」
第5 当審の判断
1.請求項1及び2に係る異議申立について
本件特許に係る請求項1及び2に対する異議申立1及び2は、上記第3及び第4で示したとおり、適法な訂正によりその各請求項に係る全ての内容が削除され、申立の対象となる請求項1及び2に係る発明についての特許が存しないものとなっているから不適法なものであり、その補正をすることができないものであるから、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下すべきものである。
2.請求項4ないし12に係る異議申立について
旧請求項4ないし12は、それぞれ、旧請求項1及び2を含む各請求項以前の請求項を択一的に引用して記載したものである。
そして、本件特許に係る請求項4ないし12に対する異議申立1及び2は、旧請求項1又は2を引用する旧請求項4ないし12に係る発明についての特許に対するものであるところ、上記第3及び第4で示したとおり、適法な訂正によって新請求項1及び2はいずれも全ての内容が削除されたから、新請求項4ないし12に係る発明についての特許は、異議申立の対象となる特許を包含しないものとなった。
すなわち、新請求項4ないし12は、いずれも新請求項3を引用するものであるから、旧請求項3に記載された「前記(メタ)アクリル酸エステル(a-2)がt-ブチル(メタ)アクリレートであること」なる事項をいずれも発明特定事項とするところ、当該事項は、申立人1及び2が提示した甲第1号証及び申立人2が提示した甲第2号証に開示されていないから、併合して審理しても、上記甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づいて、本件の新請求項4ないし12に係る発明についての新規性及び進歩性を否定することはできない。
してみると、訂正後の請求項4ないし12に係る発明についての特許を異議申立1及び2に係る取消理由により、取り消すことはできない。
3.まとめ
以上のとおりであるから、本件の請求項1及び2に係る発明についての特許に対する上記異議申立1及び2は、いずれも不適法なものであり、却下すべきものである。
また、本件の請求項4ないし12に係る発明についての特許について、上記異議申立1及び2に係る取消理由では、取り消すことができない。
第6 むすび
以上のとおり、上記2件の異議申立に係る取消理由では、併合して審理しても本件の請求項4ないし12に係る発明についての特許について、取り消すことができない。
また、本件の請求項4ないし12に係る発明についての特許について、取り消すべき他の理由も発見しない。
さらに、本件の請求項1及び2に係る発明についての特許に対する2件の異議申立は、いずれも不適法なものであり、却下すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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2016-700096